蛞蝓 —なめくじ—
2013/06/28 Fri 22:42
シアワセニナリタイ
2013/06/21 Fri 21:52
群がる蟻
2013/06/15 Sat 22:31
せんずり電話1
2013/06/15 Sat 00:02
斜め前のテーブルで、カレーライスを平らげたサラリーマンが席を立った。
昔ながらのカレー皿は底が深くて和式便器のようだ。そこにやたらと黄色いカレールーの残汁がこびりつき、ましてや口を拭いたナプキンが、その皿の横にくしゃくしゃになって置いてあると、それはもう便器以外の何物でもなかった。
さっそくウェイトレスがそのテーブルにやって来た。
その下品な皿の中に卑猥に汚れたナプキンを投げ入れ、それを銀色のお盆の上に乗せると、その横に空のグラスと吸殻二本の灰皿を素早く置いた。
ウェイトレスは黒いミニスカートを履いていた。歳は三十手前で、なかなか色気の漂う足をしていた。
そんなウェイトレスの足や尻をいやらしく眺めていると、ふと、カウンターにいたマスターらしき男が私を睨んでいる事に気づいた。
ウェイトレスはテーブルの上をせっせと拭き始めた。
ウェイトレスの尻が、私の目の前でユッサユッサと揺れていた。
私はそれを見ながら、その黒いミニスカートをペロリと捲り、そこに顔を埋める妄想をした。
暫くすると、ウェイトレスはその丸いテーブルの反対側に移動した。今まで背中を向けていたウェイトレスが正面を向いたため、今度はそのたわわとしたおっぱいを拝む事が出来るようになった。

テーブルを拭く度に、その豊かな柔肉はフルフルと揺れていた。
それをドキドキしながらチラチラと見ていると、不意にその柔肉の先に小さな突起物が薄っすらと浮かんでいる事に気付いた。
(もしかしてノーブラか……)
私はゴクリと唾を飲み込みながら、もう一度それを確かめた。
確かにその突起物は乳首だった。時々、ブラジャーのシワが乳首のように浮かんでいる女を見かけたりする事があるが、しかし、今、目の前にいるこの女のそれは、明らかに乳首以外のなにものでもなかった。
その証拠に、女のTシャツにはブラジャーのラインが浮かんでいなかった。しかも、その柔肉のフルフルとした揺れ方は、まるで水風船をぶらぶらとぶら下げてさせているような動きをしており、どう見てもノーブラとしか思えなかった。
私はそれを確かめるべく、女に「すみません」と声をかけた。
女は、「はい」と言いながらテーブルを拭く手を止めた。
「ここも拭いてもらえますか」
私は、自分のテーブルを指差して言った。そこにはアイスコーヒーから垂れた水滴が岐阜県のような形を作っていた。
女は「あっ、はい」と返事をしながら私の席に向かってきた。チラッと横目でカウンターを見てみると、マスターの表情は酷く焦っていた。
通路側に座っていた私の真横で女は足を止めた。寝起きのような小声で「失礼します」と呟きながらテーブルに台拭きをソッと置き、微かに前屈みになった。
女の胸がすぐ目の前にあった。台拭きを持つ女の右腕が動くなり、ボテっと垂れた乳肉がフルッと揺れた。
やはりその突起物は乳首だった。その形、その位置からして、乳首以外には考えられなかった。

女がテーブルを拭く度に、たわわな乳房が私の目の前でフルフルと揺れた。それが揺れる度に、その突起物もTシャツにスリスリと擦れているのではないかという妄想が膨らみ、思わず亀頭がビクンと疼いた。
残念な事に、岐阜県のような水溜りは一瞬にして台拭きに吸い込まれてしまった。女は小声で「失礼します」と呟くと、そそくさとカウンターに向かって歩き出した。
私は亀頭をジクジクと疼かせながら、去って行く女の尻を目で追っていた。すると再び突き刺さるような視線を感じ、慌てて視線を上げてみると、やっぱりマスターがカウンターから私を睨んでいた。
そんな二人の関係は恐らく夫婦だった。詳しいことはわからないが、しかし、二人の会話やその仕草から見て、二人が夫婦以外の関係であるとは考えにくかった。
私がこの店に来たのは偶然だった。
この日、出張で福井に来ていた私は、取引先との商談を終えた帰り道、たまたまホテルの裏にあったこの喫茶店に一人で立ち寄った。
そこは初めて入った店だった。福井には何度も出張で来ており、その度にこのホテルを利用していたが、今までこの喫茶店の存在は知らなかった。
どこの町にでもある普通の喫茶店だった。カフェのように小洒落てなく、ホテルのティーラウンジのように気取っていないその雰囲気は、四十を目前にした安サラリーマンの私でも気軽に入ることができた。
ドアを開けると、ドアにぶら下がっていた銅のカウベルがカランコロンと牧歌的な音を鳴らした。
店内にはナポリタンスパゲティーの香りがモワモワと漂い、カウンターでコーヒーカップを磨いていたマスターが小さく会釈をした。そんなマスターの頭上には小さなテレビがぶら下がり、夕方のニュースが垂れ流しにされていた。
その昭和的な雰囲気に安堵を覚えながら、私は窓際のテーブルに腰を下ろした。
座るなり手書きのメニューを手にした。そこには、オムライス、海老ピラフ、サンドイッチ、カレーライスと、コレ系の店の定番軽食が並んでいた。裏を見ても、コーヒー、ココア、クリームソーダ、と、親父の私にでもわかりやすいメニューばかりだった。
とかく最近の喫茶店というのは、カフェラテ、エスプレッソ、カプチーノと、意味不明なメニューが多かった。先日も、若い部下達に昼食を誘われ、会社の近くのカフェに連れて行かれたのだが、案の定、何がなんだかわからないメニューばかりだった。
しかしそこで「わからない」というのはあまりにも恥ずかしく、だから私は、別段食べたくもなかったが、その中でも唯一理解できるタコライスを注文した。
料理が出てくるまでの間、緊張を誤魔化すために私は、必死に部下達に能書きを垂らしていた。タコライスは本場兵庫の明石が一番うまい、や、関西に出張に行くと必ず私は『ひっぱりだこ』の駅弁を買うなど、散々言いまくっていた。
が、しかし、出てきたそのタコライスに蛸の姿は微塵もなかった。てっきりタコライスを『たこめし』だと思っていた私は思い切り恥を掻き、まさに茹で蛸の如く真っ赤な顔をしながらそれを急いで平らげたのだった。
そんな私だったため、この喫茶店の雰囲気やメニューに、たちまち私は癒された。これで綺麗なウェイトレスでもいてくれたら申し分ないなどと思いながら窓の外をぼんやり眺めていると、そこに例の女がお冷を持ってやってきた。
決して若くはないが、妙に色気のある女だった。ミニスカートがそう思わせたのか、真っ赤な口紅がそう思わせたのかわからないが、とにかく私はその中年女に性的な魅力を感じた。
まさかその時、この女がノーブラである事など、夢にも思っていなかった。
わざと乳首を見せつけているのか、それともブラジャーを着け忘れたのか。
そんなことを考えながら、丸みを帯びた柔肉のラインや、コリコリとした突起物を思い出していた。
もう一度見たいと思いながらアイスコーヒーを手にし、ストローを唇に挟みつつカウンターにソッと視線を向けた。
一瞬にしてマスターと目が合った。マスターは、人の女房をいやらしい目で見るなと言わんばかりの攻撃的な目つきで私を睨んでいた。
しかし、いくら睨まれても仕方なかった。突然目の前にたわわな乳をフルフルとさせたノーブラ女が現れ、しかもその先には乳首のような突起物が浮かんでいるとなると、これは「見るな」という方がおかしいのだ。
この状況は、それを凝視していた私が悪いのではなく、そうしている女が悪いのであって、私は何も非難される筋合いはないのだ。
だから私はマスターを睨み返してやった。そして堂々と、カウンターの中でグラスを拭いている女の胸を見つめてやった。
すると、何故か突然、それまで鋭かったマスターの目が急に弱々しくなった。その表情は、まるでウ○コをしている柴犬のようであり、見ないで下さいと必死に乞うているようだった。
そんなマスターの突然の変化に違和感を感じた。ノーブラの妻の胸を客に見られたくないのなら、何故マスターは妻にブラジャーを着けさせないのか、そんな疑問が湧いた。
私は思った。もしかしたらあの女は露出狂のサディストなのかも知れないと。だからマスターがブラを着けてくれと悲願しても、あの女はそんなマスターの惨めな姿にサド心がくすぐられ、更に客に恥部を見せては快楽を得ているのではないのかと。
しかし、そんな考えはすぐに消えた。それは、その女の表情に陰りがあったからだ。
女は何かに怯えていた。マスターの隣で黙ってグラスを拭きながらも、その表情には、万引きをした直後の少女のような焦りと怯えが浮かんでいたのだ。
その怯えた表情からして、女は明らかにマゾだった。あの気弱そうな女が、自ら率先して露出しているとは思えなかった。
となると、マスターが妻に露出させているとしか考えられなかった。サディストなマスターは妻に露出を強要し、羞恥に駆られる妻を見て喜んでいるとしか思えなかった。
が、しかし、それも違った。なぜならマスターは、私が女を凝視している時、凄まじい形相で怒りを露わにしていたからだ。
もしマスターが妻に露出を強要するようなサディストなら、そこで怒りを感じるはずがなかった。むしろ、もっと見てくれと言わんばかりに不敵に微笑むはずだった。
しかしマスターは、そんな私に怒りを露わにさせながらも、今度は一転して「もう見ないで下さい」と言わんばかりの情けない表情を見せたりしていた。これはどう考えてもサディストではなく、どちらかといえばマゾヒストなのだ。
(一体これはどういう事なんだ……)
変態の世界を知らない私は、何が何だか分からなくなった。
マゾの夫とマゾの妻。そんな夫婦が、何を目的にしてこんな露出をしているのだろう。
そんな事をぼんやり考えていると、不意にスーツの内ポケットでスマホがヴィィィン、ヴィィィンと震え出した。
電話は部長からだった。
「はい、村山です」と慌てて電話に出ると、部長はいきなり「どこにいる」と不機嫌そうな声で聞いてきた。
喫茶店にいますと言えない小心者の私は、「あっ、はい、その」と焦りながらも、「ホテルに向かっている途中です」と嘘をついた。
「今、先方から連絡があって、お前が出した発注書の数が間違っていると指摘された。すぐに書き直せ」
「す、すみません。大至急書き直して送るようにします」
慌ててそう言うと、部長は「アホが」と捨て台詞を残し、そのままプツっと電話を切ったのだった。
伝票を鷲掴みにし、慌ててレジへと向かった。
レジには、例のノーブラ女が待ち構えていた。
そこに進みながらカウンターをチラッと見ると、マスターは今にも泣き出しそうな表情でレジの女を心配そうに見ていた。
Tシャツから浮き出た乳首を見つめながら、レジカウンターに伝票を置いた。
女はレジを打ちながら「四百円です……」と呟いた。
そんな女の顔には明らかなる羞恥が浮かんでいた。その表情からして、この女の露出は確信犯であることが窺い知れた。
私はポケットから小銭を出しながらも、敢えて堂々とその乳首が浮かんだ胸をジッと見つめてやった。
女は見られている事に気付いているのか、恥ずかしそうに俯きながら尻をモジモジさせた。マスターもエプロンの端をギュッと握りしめながら、必死な形相でこちらを見ていた。
(こいつら……一体何なんだ……)
そう思いながら五百円玉をキャッシュトレイに置いた。
女は「五百円お預かりします」と言いながら、レジの中からお釣りの百円玉を取り出した。
しかし女は、摘んだその百円玉をレジカウンターの裏に落としてしまった。
チャリン、という音と共に女が「すみません」と肩を竦めた。そしてそのままスッとレジカウンターの下にしゃがんでしまった。
女はなかなか出てこなかった。私はそのままそこに足止めを食らっていた。
小さな溜息を吐きながらチラッとマスターを見ると、なぜかマスターの顔は真っ赤に火照っていた。ハァハァと荒い息を吐きながら、マスターはギョッと開いた目でレジカウンターの裏を見つめていた。
んっ? と不思議に思いながら、私もそのレジカウンターの中をソッと覗いてみた。
その瞬間、私の顔もカッと火照り、半開きの唇がわなわなと震えた。
なんとレジカウンターの裏では、女が股を大きく開きながらしゃがんでいた。しかも女はパンティーを履いておらず、赤く爛れたワレメが私に向かってベロリと捲れていたのだった。

(つづく)
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せんずり電話2
2013/06/15 Sat 00:02
不意に私は女性器を見せられた。しかもその女は全く見ず知らずの他人で、それを見せられた場所は喫茶店だった。
その色と形は、喫茶店を出てからも頭から離れなかった。ホテルに戻る途中に立ち寄ったコンビニでも、常にその穴は私の頭の中でヒクヒクと蠢いていた。
ムラムラしながら弁当コーナーへと向かった。せっかく福井くんだりまで出張に来たのだから、夕食くらいは地元の美味しいものを食べたかったが、しかし今の私にはそんな余裕はなかった。
それは金の事ではなく精神的な問題だった。
一刻も早くホテルに戻りたかったのだ。あの女の陰部が頭の中に鮮明に残っているうちにオナニーがしたかったのだ。
そう焦りながら、いつもの唐揚げ弁当を手にした。
すると、ふとその横に置いてあった『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』が目に飛び込んできた。
イカ、エビ、カニ、タコ。真っ赤なマグロとオレンジ色のイクラが、いかにも新鮮そうにテラテラと輝いていた。
(せっかく福井まで来たんだから……)
そう思いながら二百六十八円の唐揚げ弁当を元に戻し、四百九十八円のそれを手にした。
そのままレジに向かったが、レジには会社帰りのOLやサラリーマンが列をなしていたため、落ち着くまで立ち読みでもしておこうと、雑誌コーナーへと向きを変えた。
しかし、そこも人で溢れていた。この近くに専門学校でもあるのか、雑誌コーナーは大勢の若い女の子たちで占領されていた。
そんな中、唯一、ガラガラだったのが成人雑誌コーナーだった。店内は会社帰りのサラリーマンで溢れていたが、さすがにこの状況でエロ本は買えないと思ったのか、サラリーマンたちはそこを横目で見つつも、素通りしていた。
しかし、余所者の私には関係なかった。私は堂々と女の子達に並び、『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』を片手に、堂々と成人雑誌を物色してやった。
ラックには、『ニャン2倶楽部』や『ザ・ベスト』といった定番の雑誌が並んでいた。しかし私は、それらには目もくれず、もっとマイナーでもっとマニアックな、『やりまん四十路妻情報』や『素人のナマ下着』といった変態系雑誌を目で追っていた。
そんな中、素人投稿系雑誌に書いてあった、『深夜の公園に出没する露出夫婦』という文字が目に飛び込んできた。その文字と同時に、さっきのウェイトレスの濡れた陰部が蘇り、思わず深い鼻息をスーッと吐いてしまった。
そんな私のすぐ隣には専門学生風の女の子がいた。一般雑誌のラックから押し出され、ほぼ成人雑誌のラックに割り込んでいた。
そんな女の子の視線を気にしながら、恐る恐る雑誌をラックから抜いた。雑誌の表紙を『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』で素早く隠し、そそくさとその場を立ち去ろうとすると、不意に、隣で立ち読みしていた女の子の巨大なおっぱいが目に飛び込んできた。
擦れ違いざまにその胸を思い切り凝視してやった。その女のタポタポと揺れる真っ白な乳肉を妄想しながら、一刻も早くホテルに帰ってヌキたいという焦燥感に駆られていたのだった。

ホテルの部屋に入るなり急いでズボンを脱いだ。ヌルヌルに湿ったトランクスは気持ちが悪く、早くそれを脱ぎたかったのだ。
スルッとトランクスを太ももまで下げると、半勃ちのペニスがだらりと顔を出した。今までにない強烈な刺激を受けたそれは驚くほどに大量な我慢汁を垂れ流し、トランクスの裏面をぐっしょりと濡らしていた。
(あいつらは……一体何者なんだ……)
そう思いながら、未だドキドキしている自分を落ち着かせようとした。
バサバサと乱暴に抜き取ったティッシュをペニスに押し付け、冷蔵庫からミネラルウォーターを一本取り出した。股間に大量のティッシュを挟んだままその蓋をベキベキッと回し、取り敢えずパソコンを立ち上げた。
ペットボトルの口にチュルチュルと音を立て、乾いた喉に徐々に水を流し込んだ。面白いように喉が、ゴク、ゴク、と鳴った。気がつくと一気に半分以上も飲み干しており、急に怖くなって慌ててペットボトルの口を唇から抜いた。
『六甲のおいしい水』のおかげで、ひとまずドキドキとした鼓動は治まった。
しかし、亀頭の先を濡らす汁をティッシュでカサカサと拭き取っていると、そのうちムラムラとした興奮が胸底から湧き上がり、再びあの濡れた割れ目が鮮明に蘇ってきた。
むちむちとした白い太ももの奥に真っ黒な物体が潜んでいた。
乱雑に伸びまくる陰毛はウヨウヨと肛門にまで逹し、綺麗に整えられたそれよりも、より一層卑猥感を漂わせていた。
そのモサモサとした陰毛の中では、キクラゲのような二枚の黒いビラビラがベロリと捲れ、真っ赤に爛れた粘膜が剥き出されていた。
テラテラと濡れ輝く粘膜の中心には、小さな穴がぽっかりと口を開いており、まるで餌を欲しがる鯉の口のようにヒクヒクと痙攣しては、そこから透明の汁をタラタラと垂らしていた。

そんな卑猥な女性器を思い出しながら亀頭をティッシュで拭いていると、今まで半勃ちだったそれは、いつしかフランクフルトのようにビンッと勃起していた。
ヤリたい。そう思いながらそれを上下にシゴき、もう片方の手でマウスを握った。発注書のひな形を開くと、シコシコしながら急いで発注書を書き直し、それを先方のアドレスに送信した。
すぐさま先方の会社に電話をかけ、書き直した発注書をメールで送ったことを伝えた。そうしながらも私は、ずっとペニスをシゴき続けていたのだった。

電話を切るなり、一刻も早くエロ本で抜こうと思った。
あんなモノをいきなり見せつけられ、このまま正常でいられるはずがないのだ。
コンビニの袋を取ろうとベッドサイドテーブルの上を手探りしていると、不意にスマホが指先に触れた。
その瞬間、ふと面白そうな考えが浮かんだ。
それは、さっきの喫茶店に電話を掛け、あの変態女に卑猥な言葉を囁きながら射精しようという陰気な企みだった。
さっそく私はグーグルマップを開いた。喫茶店の店名がわからなかったため、このホテルをグーグルマップで開き、そこから喫茶店に辿ろうと思ったのだ。
福井市片町で検索し、このホテルを見つけた。そのすぐそばにコーヒーカップのマークが表示されており、そこに『リペア』と書かれていた。
電話番号をメモに控えながら、もう片方の手で勃起しているペニスを握り締めた。そして、こちらの番号がわからないよう最初に『184』をプッシュし、非通知で電話をかけた。
プルルルルル、プルルルルル、とコールが続いた。女が出てくれ、女が出てくれ、と祈りながらペニスを上下にシゴいた。8コールめでやっと電話に出た。受話器の向こうから「はいリペアです」と聞こえてきたその声は、紛れもなくさっき私に性器を見せつけてきたあの女の声だった。
一瞬心臓が飛び跳ね、思わず電話を切ってしまいそうになった。
そのまま私が黙っていると、女は「もしもし?」と何度も言った。その甘ったるい声が脳を掻き回し、あの濡れ輝いた穴や剛毛な陰毛がメラメラと蘇ってきた。
私は声を震わせながら、「あのぅ……」と呟いた。
女は、何の疑いもなく、「はい、リペアでございます」ともう一度店名を繰り返した。
女は普通だった。つい三十分ほど前、見ず知らずの客に陰部を露出していたとは思えない、平然とした口調だった。
私は、そんな女の、まるで何もなかったかのような二重人格性に狂気を感じた。そして同時に、こんな狂った女ならば、誰にでもヤラせてくれるのではないだろうかと思った。
激しい興奮に胸を押し潰されながら、何かに取り憑かれたかのようにペニスをシゴきまくった。気がつくと、スマホに向かって「ハァ、ハァ」と荒い息まで吐いていた。

しかし女は電話を切らなかった。女は受話器の向こうでジッと身を潜め、私の卑猥な呼吸を黙って聞いていた。
明らかに猥褻な悪戯電話であるにもかかわらず、それでも電話を切らないまま、その「ハァ、ハァ」という卑猥な息づかいにジッと耳を傾けているということは、女はそれを受け入れているという証拠だった。
あの女は、見ず知らずの一見の客に陰部を露出するほどの変態なのだ。あんな事を平気でするくらいだから、私以外の客にもそれらしき事をしている可能性は非常に高く、だからこんな悪戯電話はよく掛ってくるのかも知れなかった。
そう思うと、今頃あの変態女は、ノーパンのスカートの中に手を忍ばせているかも知れないと思った。私のこの卑猥な荒い息づかいを聞きながら、あのドロドロに濡れたワレメに指をヌルヌルと滑らせながら、オナニーしているのかも知れないと想像した。

そんな想像と共に更に欲情した私は、遂に女に話しかけた。声を震わせながら「あなたのアソコを舐めさせて下さい……」と囁いた。
女は黙っていた。
すぐさま私はスマホに向かって舌を出し、そして、わざと下品にべちゃべちゃと舌を鳴らした。
「今からそちらに行きます……あなたのアソコを舐めさせてください……肛門まで綺麗に舐めますから僕のチンポも舐めてください……」
そう震える声で囁きながらペニスをシゴいた。
今まで、他人に向かってそんな卑猥な言葉を囁いた事はなかった。満員電車の中や、歩道ですれ違う女に、心の中でそんな事を囁いた事は何度もあったが、しかし、それを声に出して言ったことは一度もなかった。
そんな自分の言葉に激しく興奮した私は、本気であの女とヤリたいと思った。
実際、今からあの喫茶店へ行き、「あなたの奥さんとヤらせて下さい」とマスターに交渉してみるのも一つの方法だった。又、ホテルの部屋番号を教え、「夫婦で来てください」と言ってみるのも一つの手だった。
もしかしたら上手く行くかもしれなかった。あの夫婦は明らかに寝取られ趣味があるか、もしくは露出狂だ。誰にでもヤらせるレベルの変態であり、そんな夫婦なら、もしかしたらその誘いに乗ってくるかもしれなかった。
が、しかし、頭ではそう思っていても、では実際にそんな事が私にできるかと言えば答えはノーだった。
というのは、私は女に対して極度に臆病だからだ。私という男は、親子ほど歳の離れた年下の風俗嬢に対しても敬語を使うほどに気が小さいのだ。
そんな私が女を誘えるわけがなかった。例え相手が誰にでもヤらせる変態女であっても、私のような小心者が公然と女を誘うことなど絶対にありえず、仮に、誘うことができて本当にあの夫婦が部屋にやって来たとしても、恐らく私はドアを開けないであろう。
だから私のような陰気な変態には、こうして悪戯電話でシコシコしている方が性に合っているのである。
気がつくと、私は自分のスマホをベロベロと舐めていた。
そこをベロベロしながら、黒いミニスカートを腰までたくし上げた女の股間に吸い付く妄想を描いていた。

妄想の中の女の陰部はトロトロに濡れ、鼻をくすぐる陰毛は汗臭かった。
女はカウンターに凭れながらハァハァと荒い息を吐き、股間に吸い付く私をジッと見下ろしていた。
カウンターの奥に旦那がいた。他人男に陰部を舐められている妻の姿を複雑な表情で見つめながら、自分のペニスをシゴいていた。
そんな妄想を繰り広げながら、「オマンコ汁が肛門まで垂れてますよ……」とスマホに囁いた。
「肛門も舐めてあげますから、私の顔にお尻を突き出してください……」
そう言いながらペニスをシゴきまくり、スマホにハァハァと熱い息を吐きかけた。
女は黙っていたが、しかし電話を切ろうとはしなかった。ジッと息を潜めたまま、私が囁く卑猥な言葉を聞いていた。
(電話を切らないということは……この女は欲情している……)
そう確信しながら、私は女の尻に顔を埋める妄想をしていたのだった。

(つづく)
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せんずり電話3
2013/06/15 Sat 00:02
センズリ電話は、その電話を切るタイミングが最も難しかった。
それは、相手がいつ電話を切ってしまうかわからないからだった。
センズリ電話というのは、あらかじめ交渉していた相手と電話を通じてプレイするようなテレホンセックスとはわけが違った。
何も知らない相手に不意打ちに電話をかけ、一方的に猥褻な言葉を吐き、そしてさっさと射精してしまうという、実に陰気で実に悪質な犯罪行為だった。
だから、すぐに電話を切られてしまう恐れがあった。
だから、電話を切るタイミングが最も重要だった。
そのタイミングを一歩間違えると、プープーっという切断音を聞きながら射精しなければならず、その精液と興奮の全てを台無しになってしまうのであった。
その点、この女は脈があった。
電話を切る気配は全く感じられず、じっと息を潜めながら、私の『ひとりよがり』を聞いてくれているのだ。
最も、この女は元々そういう女なのだ。見ず知らずの客に、濡れた陰部を見せつけてくるような変態性欲者なのだ。
そんな女は電話を切らない。
私はそう確信していたため、いつものセンズリ電話のように早々と射精せず、じっくりとタイミングを見計らってゆっくりと射精しようと、余裕をかましていたのだった。
「奥さん……ハァハァ……今、私の舌が、奥さんの肛門の中にヌルヌルと入ってますよ……」
女は黙っていた。黙ってはいるが、しかし、女の鼻息は微かに感じ取れた。
「ああああ……オマンコがもうビチャビチャですよ……真っ赤な穴の中からいやらしい汁がトロトロと溢れてますよ……」
私はペニスをシゴきながらそう唸ると、素早くスマホを肩に挟み、コンビニの袋が置いてあるサイドボードに手を伸ばしたのだった。
ガサガサとコンビニの袋を漁り、中から夕食用に買っておいた『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』を取り出した。
「オマンコの中にも舌を入れて欲しいですか……ヌルヌルの穴の中を舌でドロドロに掻き回して欲しいですか……」
そう言いながら寿司の蓋をカパッと開けた。マグロの握りのマグロだけをシャリから捲り取り、それを二つ折りにすると真っ赤な割れ目が出来上がった。
それを二つの枕の間に挟み、割れ目を上に向けてしっかりと固定した。そのままうつ伏せになり、そこにゆっくりと顔を近づけながら、「オマンコを舐めますよ……」とスマホに囁いた。
舌先をチロチロ動かしながら割れ目をこじ開けた。少々生臭かったが、それがよりリアルだった。その舌触りも、かなり小陰唇に近いものがあった。
それをベロベロと舐めながら、うつ伏せでペニスをシゴいた。「奥さんのビラビラが……」とか、「あああ生臭い……」などと呟きながら、本当にあの女の、あの濡れた陰部をペロペロと舐めているシーンを、必死に頭に描いていた。

そんな割れ目に舌を強引にねじ込むと、二つ折りにされていたマグロがサクッと割れた。
勿体ないからそのまま食べた。醤油をつけていないため少々血生臭かったが、それを奥歯でくちゃくちゃと咀嚼しながら再び仰向けになった。
「奥さん。今度は私のペニスを舐めてもらえますかね……」
そう言いながら再び『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』に手を伸ばし、イカの握りのイカだけをシャリから捲り取った。
しかし、その真っ白なイカはパサパサに乾いていたため、このままでは使い物にならないと思い、一度口内に入れて唾液で湿らせることにした。
ツルツルとしたイカの表面に舌を滑らせながら、「奥さん……もう我慢できません……早く、ビンビンに勃起した私のペニスをしゃぶって下さい……」などと囁き、唾液でべっとりと濡れたイカを口からヌルっと取り出した。
「あああ……奥さんの口の中……とっても温かいですよ……」
そう囁きながら、イカを亀頭にペタリとくっ付けた。そしてそれをカリ首の裏や尿道にヌルヌルと滑らせながら、「ああああ、そんなところまでペロペロされたらイッちゃいそうです」などと悶えていると、突然スマホから、「あのぅ……」という男の野太い声が聞こえ、驚いて飛び起きた私は、一瞬にして現実へと引き戻されたのだった。
(しまった……やはりさっきのマグロクンニの時点で射精しとくべきだった……)
そう顔を顰めながら後悔していると、いきなり男が、「さっきのお客さんですよね?」と聞いてきた。
答えられなかった。声が出なかった。いつからこの男は私の話を聞いていたのだろうかと思うと、あまりの恥ずかしさと恐怖で脳が固まってしまったのだ。
私は息を殺しながら、そのまま何も答えず黙っていた。すると男は、「やっぱりさっきまで店にいた方ですね」と勝手に決めつけ、意味ありげに「ふっ」と鼻で笑った。
その、人を小馬鹿にしたような鼻笑いに、一瞬、(この野郎……警察に通報する気か?)と焦ったが、しかし男は、そんな鼻笑いを小刻みに続けながら、「どうでしたか妻のアソコは。興奮しましたか?」と言い出したのだった。
男のその言葉により状況が急展開した。
やはりあいつらは夫婦であり、そして変態だった。あのノーブラや陰部の露出はあの女が勝手にやっていたことではなく、夫であるこの男の指示により女がやらされていたに違いなかった。
そう確信した私は、とりあえず警察に通報される事はないだろうとひとまず安心し、羞恥と恐怖で固まっていた脳をゆっくりと和らげた。
それでもそのまま黙ったままでいると、男は、一人静かにボソボソと語り始めた。
「この女は色情狂なんですよ……いつでもどこでも誰の肉棒でも欲しがるという厄介な病気なんです……」
その内容はともかく、ここでわざわざ『肉棒』などという言葉を使うところが実に胡散臭かった。そんな言葉が普通に出てくるという事は、今までにもコレ系のプレイを相当熟してきているという証拠であり、その言葉から私は、この夫婦は熟練した『寝取られマニア』だと感じ取った。
「実はね、今も私の肉棒にしゃぶりついているんですよ……あなたが、『私のペニスをしゃぶって下さい』なんて言うもんですから、妻は欲情してしまいましてね……ほら、聞こえますか? 肉棒をしゃぶるいやらしい音が聞こえるでしょ?」
男は受話器をそこに向けたのか、いきなりスマホから、べちょ、ぶちょ、という卑猥な音が聞こえてきた。
子供の頃から幾度となくセンズリ電話をしてきた私だったが、しかしこんなことは初めてだった。まさかセンズリ電話で、生のフェラチオの音を聞けるとは思っていなかった。
クラクラと目眩を感じるほどに興奮した私は、その音に合わせてイカを亀頭にヌルヌルと滑らせた。そして、営業中のカウンターの裏で、マスターのペニスをしゃぶりまくっている女の姿を想像した。

いくら男が話しかけてきても、私は何も喋らなかった。無言で妄想しながらシコシコとシゴいていた。
だから男は一方的に話していた。今、女の舌がどのように蠢いているとか、しゃがんだ女の股間から見える陰部はどうなっているかなど、まるで解説者のように事細かく教えてくれた。
そんな中、不意に男の、「よし……もういいぞ……」という声が聞こえた。それと同時に、まるで排水溝に溜まった水が消える瞬間のような音が響き、いかに女が激しくバキュームしていたかを物語っていた。
「入れて欲しいか?」
男は女にそう聞いた。
女の返答は何も聞こえなかったが、しかしその直後に、「それじゃあ、そこに手をついて尻を突き出せ」という男の声が聞こえてきたため、女がそれを望んでいるのがわかった。
そこに手をつけ、というのは、恐らく私に陰部を露出していたレジカウンターだった。確かあの台の上には電話が置いてあったため、その台に間違いなかった。
という事は、二人は店の入り口でセックスをする気なのだ。
(客は、誰もいないのだろうか……)
そう心配していると、いきなり男が「もしもし」と言った。
「今ね、肉棒をしゃぶらせてたんですけどね、だけどこいつ、オマンコの汁を床にポタポタと垂らすくらい興奮しちゃってるんですよ。だからね、そろそろ入れてやろうと思うんですけど、どう思います?」
なぜか男は私にそう聞いてきた。
それでも私が黙っていると、男は、「あれ? 切られたのかな? もしもし? 聞いてますか?」と焦りながら確認してきた。
ここで電話を切られてはまずいと思った私は、慌てて「聞いてます」と答えた。
「ああ、まだ繋がってた、よかったよかった」
そう笑う男は、私が初めて応えたことに実に満足そうだった。
「もう肉棒を入れちゃいますね。スカートもパンツも脱がせて、下半身だけスッポンポンにして、バコバコに犯してやりますわ」
そう言いながら男がガサゴソし始めると、私は恐る恐る「あのぅ……」と口を開いた。
「……その場所って……もしかして、入口にあるレジカウンターの裏ですか?……」
「そうです。さっきあなたが妻のオマンコを見てた所です」
「……そんな所でヤッて、大丈夫なんですか?……」
「大丈夫ですよ。いつもここでヤッてますから」
男がそう笑うと、不意にその笑い声の背後で、女が「はあぁぁぁぁ……」と深い息を吐くのが聞こえた。
「ははは。マンコに亀頭を擦り付けただけで失禁しちゃってますよ……ホント、こいつは変態なんですよ、この店の常連さんたちも、みんなそう言ってますわ」
みんながそう言っているということは、その常連たちは、既にあの女とヤッてしまっているという事だった。
それが事実なら、この夫婦はとんでもない変態だと驚きながらも、私は、偶然にもこの出張の地で、こんな素敵な変態夫婦を発見できた事に激しい喜びを感じていた。
「それじゃあ入れますから、妻に電話を渡しますね。ちゃんと、さっきみたいにエッチな事を言ってやって下さいよ、その方が妻も私も燃えますから」
男はそう言うと、すぐさま受話器を女に渡したらしく、スマホから、女の荒い呼吸が聞こえてきた。

最初のうちは、ハァ、ハァ、という荒い呼吸音だけが聞こえたが、しかし途中からは、それが、「あん! あん!」という激しい喘ぎ声に変わってきた。
そんな声に興奮した私は、さっそく「気持ちいいですか? 旦那さんのペニスは気持ちいいですか?」と聞いてみた。
女は、男の腰の動きに合わせながら「ふん、ふん」と切なく鼻を鳴らすと、蚊の鳴くような声で「気持ちいいです……」と答えた。そして、そう答えると同時に、「もっと! もっとエッチなこと言って下さい!」と、まるで気でも狂ったかのように叫び始めた。
そんな叫び声に挑発された私も、狂ったようにペニスをシゴきまくった。

「あなたは変態です……他人に性器を見せつけたり、セックスの声を他人に聞かせてヨガリまくっているあなたは変態性欲者です……ほら変態女、私のペニスもしゃぶりたいですか?」
「しゃぶりたい……お客さんのオチンチンしゃぶりたい……しゃぶらせて下さい」
「ならば口を開けなさい……ほら、入りましたよ……あぁぁぁぁ……もっと奥まで咥えなさい、根元まで咥えなさい、そしてその可愛い唇でペニスを擦るんです、ほら、もっと顔を動かして」
「んぐっ……んぐっ……」
女は、ペニスの代用品らしき物を実際にしゃぶっているのか、そう喉を鳴らしながら、じゅぽっ、じゅぽっ、と、リアルな唾液音を奏でた。
そんな唾液音に混じって、男の、「いいぞ……もっともっとしゃぶってあげなさい」という声が聞こえた。その背後では、男の太ももと女の尻が激しくぶつかり合う衝撃音が、パン、パン、パン、と、ひっきりなしに響いていた。それらの卑猥な音を聞きながらペニスをシゴいていると、この男と二人して、その妻を串刺しにしている姿が鮮明に浮かびあがり、何やら本当にこの夫婦と交わっているような感じがしてきた。

(ヤってみたい……リアルでこんな変態夫婦とドロドロに交わりあってみたい……)
突然私は、そんな期待を抱き始めた。
今まで私は、自称人妻の風俗嬢とは何十人となくプレイしてきたが、しかし、素人の人妻とは一度も交わった事がなかった。三人プレイも未経験で、ましてやその相手が夫婦で、その旦那と一緒に妻を攻めるなど想像すらしたことがなかった。
もともと私は陰湿な性格をしており、悪戯電話で一人シコシコと性欲を発散したり、コンビニや電車の中で手当たり次第に女を視姦しては、後にセンズリのネタにするような、そんな小心者の変態男だった。
そんな私が複数プレイなどできるはずがなかった。ましてや夫の目の前で、その妻を寝取ることなどできるわけがないのだ。
が、しかし、今は違った。こうして電話で三人プレイをしていたら、この夫婦とならできるかもしれないという、変な自信が湧いてきたのだ。
(誘ってみるか……今から三人で会いませんかと言ってみるか……)
そう思いながら、スマホの向こうで「はぁん! はぁん!」と喘いでいる女の声を聞いていた。どのタイミングで誘おうか、どうやって誘おうかと、焦燥感に駆られながらペニスを激しくシゴいていた。

しかし私は、所詮、小心者で根暗で陰湿な変態男だった。
センズリ電話や視姦だけで満足できる妄想狂だった。
実際に、「今から三人で会いませんか」と、そう誘った時の事を考えるだけで、もはや強烈なエクスタシーに包まれてしまっていた。
と、その時、不意にスマホから女の喘ぎ声が消え、代わりに男の激しい息づかいがハァハァと聞こえてきた。
男は、荒い呼吸と共に、「もしもし……」と言った。
「どうですか……今から三人で会いませんか……」
男のその言葉に胸が飛び跳ねた。
「僕と一緒に……妻を犯しませんか……」
男のその言葉と共に、女のプリプリとした胸やムッチリとした尻、そしてあのパックリと口を開きながらテラテラと輝いていた赤黒い性器が鮮明に蘇ってきた。
「ホテルにしますか……それとも店でヤリますか……どっちでもいいですよ……」
あの店のカウンターの中で、女の大きな尻にスコスコと腰を振っている自分の姿が浮かび上がってきた。
「もし、僕の事が気になるのなら妻だけでもいいですよ……場所を言ってもらえれば、妻を一人でそこに行かせますから……」
あの女をこの部屋に呼ぶ。
あの女をこのベッドの上で滅茶苦茶に犯す。
「中出ししても構いませんよ……こいつ、肉便器ですから……」
そう男が笑った瞬間、あの女の腹の上で、両足をピクピクと引き攣らせながら中出ししている自分の姿が浮かんだ。
それと同時に、シゴいていたペニスの尿道がドクンっと波を打った。
あっ、という小さな叫びと共に、ペニスの先から大量の精液が凄まじい勢いでビュッ!と吹き出した。

その精液は、ビュッ! ビュッ! ビュッ! と三回吹き出した。
それに合わせて、ハウッ! ハウッ! ハウッ! と、まるでトドのような呻き声を上げた。
痺れるような快感に脳をぐるぐるさせていた私は、気がつくと唇の端から大量の涎を垂らしていた。
「ウチの店のすぐ近くに、『ラヴィアンローズ』ってラブホがあるんですけど、そこでどうですか? そこにSMの部屋がありますから、そこで妻を虐めてやってくださいよ」
男はまだ話し続けていた。
私がそれを妄想しただけで放出してしまったことなど知らず、男は必死に私を誘っていた。
所詮私は、小心者で根暗で陰湿な変態男だった。
センズリ電話や視姦だけで満足できる妄想狂だった。
話し続ける男を無視し、そのまま静かに電話を切った。
ふーっ……と溜息をつきながらゆっくりと起き上がり、陰毛に絡みつくドロドロの精液をティッシュで拭き取った。
どこかで救急車のサイレンが鳴っていた。
遠ざかっていくサイレンの音を聞きながら、丸めたティッシュを屑篭に投げた。しかしティッシュは壁に当たり、そのままカーペットの上をコロコロと転がった。
ふと見ると、サイドテーブルの上に、夕食用に買っておいた寿司がそのまま放置されていた。
既に寿司ネタはカピカピに乾いており、とてもではないが食べられるような状態ではなかった。
それを恨めしそうに見つめながらベッドを降りた。
そのまま浴室へと向かった。安いカーペットにスリッパをヒタヒタ鳴らしながら、「勿体ないことしたな……」と呟いた。
もちろんそれは、寿司の事ではなく、あの女の事だった。
(せんずり電話・完)
《←目次》
わけあり1
2013/06/15 Sat 00:01
奈良に出張に来た。田舎への出張ほどつまらないものはないが、検索ボタンを押すと、スマホの画面には若くて綺麗な女の子の写真がドッと現れた。
奈良は田舎だ。しかしデリヘルの検索結果は山のような数だ。そこには若くて綺麗な女の子の写真ばかりが掲載されている。
が、しかし、どれだけ若かろうと、どれだけ綺麗であろうと、私はそれらに全く興味を感じなかった。
それは私が変態だからだった。癖のある変態だからだった。
若くて綺麗な風俗嬢よりも、デブでもブスでも普通の主婦が良かった。旦那や子供のいる主婦に羞恥と屈辱を与えてやりたい。
それが、私の何よりもの悦びなのであった。
さっそく、サイトの上にある『好みのタイプ絞り込み』の欄に、『熟女・主婦』と二つのキーワードを入力してみた。
すると、今まで若くて綺麗な女の子の写真がズラリと並んでいた画面が一転し、豚のようなおばさん達がズラリと映し出された。
しかし、検索されたそのほとんどがSMプレイを主体とした店だった。
『好みのタイプ絞り込み』に違うキーワードを入力し直した。今度は、『素人・主婦』と入れてみた。
すると、さっきの豚おばさん達よりはマシな普通のおばさん達がズラリと現れた。
しかし、二百枚以上の写真を一つ一つ見ていくのは大変だった。
そこで私は、取り敢えずどこでもいいから電話してみようと思った。
丁度、サイトの一番上に『ワケあり主婦専門店』という、私好みの名前の店が掲載されていた。
ワケあり主婦。実に興味をそそられる響きだった。どうせ本物のワケあり主婦などいないであろうが、ひとまずその店に電話をしてみることにした。
「お電話ありがとうございます『ワケあり主婦専門店』です」
そう電話に出た男の声は、まるで寝起きのようだった。
恐らく、まだ二十代の若い男であろう、妙に脱力感のある気怠い喋り方だった。
「新大宮駅の近くのビジネスホテルなんですが、今すぐイケますか?」
「大丈夫です」
「三十代の人妻がいいんですけど……」
「大丈夫です」
「できれば気の強い人じゃなくて大人しい人が——」
「——大丈夫です」
「…………」
「大丈夫です」
「本物の主婦なんですよね」
「大丈夫です」
「完全な素人とまでは言いませんけど、できればそれに近いような……」
「大丈夫です」
「料金は、六十分一万四千円って書いてあるんですけど」
「大丈夫です」
「チェンジは無料でできると書いてありますが」
「大丈夫です」
「しつこいようですけど、本物の主婦なんですよね?」
「大丈夫です」
「本番は」
「大丈夫です」
「…………」
「大丈夫です」
全て「大丈夫」だった。何を言っても、気怠く「大丈夫」と返された。
結局私は、その「大丈夫」という返答だけでホテルの部屋番号を告げてしまった。
電話を切ってから、あの気怠そうな「大丈夫」が少し不安になったが、しかし、正直に言って田舎の風俗など最初から期待はしておらず、かろうじてセンズリの代用品になればいいというくらいにしか思っていなかったため、そんな不安はすぐに消えた。
我慢汁でヌルヌルに湿ったトランクスを履き替え、飲みかけの水を一気に飲み干した。
女が来るまでの間に興奮を昂めておこうと思った。もし化け物のようなおばさんがやって来ても、それはそれでそれなりに楽しめるよう、今のうちに脳を活性化しておこうと思ったのだ。
ベッドにゴロリと横になり、ベッドサイドテーブルに置いてあった有料アダルトビデオのメニューを眺めた。
巨乳、OL、人妻、SM、ギャル、ぽっちゃり、オナニー、乱交、盗撮、と、様々なカテゴリがズラリと並んでいた。その中に『メス豚』というカテゴリがあり、そこを開いてみると、いきなり醜い肥満女が鼻フックをされながら吐瀉物を吐いているという凄まじいパッケージ画像が映し出された。
(これくらい強烈なヤツを事前に観ておけば、どんなババアがやってきても対応できるだろう……)
そう思いながらテレビのリモコンを操作し、三百七十円のそれを購入したのだった。
黒い画面から、『変態メス豚女・優里香・28歳・主婦』という白い文字がフェードインし、それが五秒ほど静止した後、ゆっくりとフェードアウトしていった。
それがタイトルだったのか、いきなりラブホの室内が映し出された。見るからに馬鹿そうな中年デブ女が、ベッドの上で正座しながら項垂れていた。
ストーリもなく、セリフもなく、照明もなければ映像も乱れていた。延々とハンディカムで撮影されているところから見て、恐らくそれはインディーズビデオに違いなかった。
全裸となった中年デブ女が、醜い乳房を曝け出しながらオナニーを始めた。ボカシはいたって薄く、真っ黒な小陰唇まではっきりと見ることができた。
ビデ論を無視したインディーズビデオというのは、映像も悪く女優も悪かったが、しかし、逆にそれがリアリティーを増し、独特な卑猥感を醸し出していた。
中年デブ女が指オナニーで絶頂に達すると、すぐさまガリガリに痩せた中年男が現れ、そのムチムチとした女の体に黙々とロープを巻き始めた。そうされながらも中年デブ女は、ガリガリ男の股間に向かって首を伸ばし、そこに反り勃つ肉棒を下品にしゃぶりまくっていた。
亀甲縛りにされた中年デブ女の体に、ガリガリ男が卑猥な落書きを始めた。『淫豚』、『家畜』、『公衆便所』などとマジックを走らせながら、ガリガリ男は中年デブ女の淫穴に反り勃つ肉棒を挿入した。
ガリガリ男が腰を振る度に、中年デブ女は豚のように鳴いた。後背位で突かれながら肛門にバイブを入れられると、中年デブ女は狂ったように喚きながら失禁し、花柄の羽毛掛け布団をベシャベシャに濡らした。
そのうち中年デブ女は「出ちゃう、出ちゃう」と泣き始めた。ガリガリ男が肛門のバイブをピストンさせる度、中年デブ女は必死になってそう喚いていた。
そんな中年デブ女に、突然ガリガリ男はアイマスクを装着させた。そしてチェーンの付いた革のマスクで口を塞ぐと、そのままトイレに連行した。
中年デブ女は便器に座らされた。そんな中年デブ女の耳元に顔を寄せたガリガリ男が、「今から調教して貰うからね……」と囁くと、突然焦り始めた中年デブ女が、革マスクの中で「ウーウー」と唸り出したのだった。

そんな中年デブ女をトイレに一人残し、ガリガリ男はトイレを出た。
するといつの間にか、部屋には二人の男が待ち受けていた。
「私の妻は変態メス豚女です。マンコとアナルに同時に中出ししてやって下さい」
ガリガリ男は二人の男にそう告げた。そしてそのまま部屋の隅の椅子にソッと腰掛けると、二人の男は無言で服を脱ぎ始めた。
一人の男の背中には中途半端な観音様の刺青が彫られ、もう一人の男の腹には40センチほどの手術創が浮かんでいた。
リアルだった。二人の男には、AV男優にはない危険な素人感がムンムンと漂っていた。
(そっか……あのデブ女房は、今からこの二人の男にヤられる事を知らされていなかったんだな……)
なかなか手の込んだ寝取られビデオだと思った。
しかし、それを夫から告げられた時の中年デブ女の焦りようや、それを二人の男たちに告げた時のガリガリ夫の絶望的な表情は、とても演技には見えなかった。
もしかしたらこれは実録かもしれない。変態夫が妻を騙し、他人男達に陵辱されるシーンを撮影し、それをインディーズの会社に投稿してきたものなのかも知れない。
そう思いながらそれを見ていると、激しい興奮が下腹部から湧き上がってきた。
革マスクの中で泣き叫ぶ中年デブ女がトイレから引きずり出され、ベッドに投げ出された。二人の男達が、まるで家畜を扱うように中年デブ女を陵辱し始め、それを見ていたガリガリ夫がセンズリを始めた。
私もセンズリしていた。両足をピーンと伸ばしながらペニスを上下にシゴき、醜い中年デブ女が二つの穴を塞がれるのを真剣に見ていた。
と、その時、突然部屋のチャイムが鳴り響いた。
慌ててテレビを消した。
ベッドから飛び降り、急いでクローゼットへと向かうと、取り敢えずそこにぶら下がっていたバスローブを羽織った。
ペニスは勃起したままだった。しかも射精寸前の状態であり、黒いトランクスの股間は我慢汁のシミでじっとりと湿っていた。
とにかく勃起を治めなければとドアの前で深呼吸した。いくら相手が風俗嬢と言えど、勃起したまま出迎えるというのはあまりにも恥ずかしいのだ。
しかし、ペニスは一向に治る気配を見せなかった。あの中年デブ女の刺激が相当効いているのか、ペニスは勃起が治るどころかジンジンと疼いていた。
このままでは女が帰ってしまうと焦りながらも、とりあえずドアスコープを覗いてみる事にした。あまりにも酷いようなら、このままチェンジすればいいのだ。
そう思いながら恐る恐るドアスコープを覗き込むと、髪の長い痩せた女が項垂れていた。項垂れているため顔は見えなかったが、何やら貪よりとした暗い陰を背負った女だった。
しかし、そのスタイルや雰囲気からして、思っていたほど醜い女ではなさそうだったため、取り敢えずこの女に決める事にした。
勃起したペニスを腹に押し当て、硬い肉棒をトランクスのゴムに挟んだ。そのままバスローブで前を隠し、これなら大丈夫だろうと入り口にあった等身大の鏡で股間を確認しながらドアを開けた。
「こんばんは……『ワケあり主婦』から来ましたミズキです……」
女は上目遣いでソッと私を見上げながら、蚊の泣くような声で呟いた。
「おっ」と思うほどの、なかなかの美形だった。スッと鼻筋が通り、切れ長の目は大きく、どことなく若い頃のいしだあゆみに似ていた。

スタイルも良かった。足も細く、腰もくびれ、全体的にスレンダーだったが、しかし、胸や尻にはそれなりの肉は付いていた。
女は、長い髪を垂らしたまま黙ってその場で項垂れていた。見た目はなかなかの美人だが、そこに漂う雰囲気はまるで幽霊のように薄暗かった。
「チェンジは……よろしいでしょうか……」
女は、長い髪の隙間から恐る恐る私を見上げながらそう聞いた。
そこから漂ってくる絶望感というかどん底感は、まさに店名通りの『ワケあり主婦』そのものだった。
「とりあえず、どうぞ」と私はドアを大きく開いた。
女は妙にオドオドしながら、「失礼します……」と一歩部屋の中に入った。
「歳はいくつですか?」
部屋の入り口に立ったままそう聞いた。
「……三十四歳です……」
そう答えるなり、女の背後でドアがカチャっと閉まった。
「子供はいますか?」
「……はい……」
「旦那さんは?」
「います……」
「この仕事は長いんですか?」
「いえ……四回目です……」
女がそう答えるなり、私は女の白いブラウスのボタンにそっと指を伸ばした。
静かにボタンを外し始めると、一瞬女は戸惑いながら私の目を見上げた。が、しかし、私が優しく微笑みかけると、女はその目に恐怖を浮かべながらゆっくりと視線を戻した。
(気の小さな女だ……)
そう思いながら、「本当にワケありですか?」と聞いた。
女は項垂れたまま「はい……」と答えた。
「どんなワケですか?」
女は、少し間を置いた後、「借金です……」と小さく答えた。
「そっか……借金か……」
そう言いながら、私はブラウスの胸元をソッと開いた。
白い乳肉がポテンッとしていた。決して大きくはなく、少し垂れ気味ではあったが、しかしそれは主婦の乳らしく、生クリームのように柔らかそうだった。
女は抵抗しなかった。文句一つ言わなかった。恥ずかしそうにジッと俯きながら下唇を甘噛みしていた。
そんな、被虐的なワケあり主婦に異様な興奮を覚えた。
私はその温かくも柔らかい乳肉をソッと掌に包み込むと、彼女の耳元で「どうぞ……」と囁きながら、彼女のその細い腕を静かに引いたのだった。

(つづく)
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奈良は田舎だ。しかしデリヘルの検索結果は山のような数だ。そこには若くて綺麗な女の子の写真ばかりが掲載されている。
が、しかし、どれだけ若かろうと、どれだけ綺麗であろうと、私はそれらに全く興味を感じなかった。
それは私が変態だからだった。癖のある変態だからだった。
若くて綺麗な風俗嬢よりも、デブでもブスでも普通の主婦が良かった。旦那や子供のいる主婦に羞恥と屈辱を与えてやりたい。
それが、私の何よりもの悦びなのであった。
さっそく、サイトの上にある『好みのタイプ絞り込み』の欄に、『熟女・主婦』と二つのキーワードを入力してみた。
すると、今まで若くて綺麗な女の子の写真がズラリと並んでいた画面が一転し、豚のようなおばさん達がズラリと映し出された。
しかし、検索されたそのほとんどがSMプレイを主体とした店だった。
『好みのタイプ絞り込み』に違うキーワードを入力し直した。今度は、『素人・主婦』と入れてみた。
すると、さっきの豚おばさん達よりはマシな普通のおばさん達がズラリと現れた。
しかし、二百枚以上の写真を一つ一つ見ていくのは大変だった。
そこで私は、取り敢えずどこでもいいから電話してみようと思った。
丁度、サイトの一番上に『ワケあり主婦専門店』という、私好みの名前の店が掲載されていた。
ワケあり主婦。実に興味をそそられる響きだった。どうせ本物のワケあり主婦などいないであろうが、ひとまずその店に電話をしてみることにした。
「お電話ありがとうございます『ワケあり主婦専門店』です」
そう電話に出た男の声は、まるで寝起きのようだった。
恐らく、まだ二十代の若い男であろう、妙に脱力感のある気怠い喋り方だった。
「新大宮駅の近くのビジネスホテルなんですが、今すぐイケますか?」
「大丈夫です」
「三十代の人妻がいいんですけど……」
「大丈夫です」
「できれば気の強い人じゃなくて大人しい人が——」
「——大丈夫です」
「…………」
「大丈夫です」
「本物の主婦なんですよね」
「大丈夫です」
「完全な素人とまでは言いませんけど、できればそれに近いような……」
「大丈夫です」
「料金は、六十分一万四千円って書いてあるんですけど」
「大丈夫です」
「チェンジは無料でできると書いてありますが」
「大丈夫です」
「しつこいようですけど、本物の主婦なんですよね?」
「大丈夫です」
「本番は」
「大丈夫です」
「…………」
「大丈夫です」
全て「大丈夫」だった。何を言っても、気怠く「大丈夫」と返された。
結局私は、その「大丈夫」という返答だけでホテルの部屋番号を告げてしまった。
電話を切ってから、あの気怠そうな「大丈夫」が少し不安になったが、しかし、正直に言って田舎の風俗など最初から期待はしておらず、かろうじてセンズリの代用品になればいいというくらいにしか思っていなかったため、そんな不安はすぐに消えた。
我慢汁でヌルヌルに湿ったトランクスを履き替え、飲みかけの水を一気に飲み干した。
女が来るまでの間に興奮を昂めておこうと思った。もし化け物のようなおばさんがやって来ても、それはそれでそれなりに楽しめるよう、今のうちに脳を活性化しておこうと思ったのだ。
ベッドにゴロリと横になり、ベッドサイドテーブルに置いてあった有料アダルトビデオのメニューを眺めた。
巨乳、OL、人妻、SM、ギャル、ぽっちゃり、オナニー、乱交、盗撮、と、様々なカテゴリがズラリと並んでいた。その中に『メス豚』というカテゴリがあり、そこを開いてみると、いきなり醜い肥満女が鼻フックをされながら吐瀉物を吐いているという凄まじいパッケージ画像が映し出された。
(これくらい強烈なヤツを事前に観ておけば、どんなババアがやってきても対応できるだろう……)
そう思いながらテレビのリモコンを操作し、三百七十円のそれを購入したのだった。
黒い画面から、『変態メス豚女・優里香・28歳・主婦』という白い文字がフェードインし、それが五秒ほど静止した後、ゆっくりとフェードアウトしていった。
それがタイトルだったのか、いきなりラブホの室内が映し出された。見るからに馬鹿そうな中年デブ女が、ベッドの上で正座しながら項垂れていた。
ストーリもなく、セリフもなく、照明もなければ映像も乱れていた。延々とハンディカムで撮影されているところから見て、恐らくそれはインディーズビデオに違いなかった。
全裸となった中年デブ女が、醜い乳房を曝け出しながらオナニーを始めた。ボカシはいたって薄く、真っ黒な小陰唇まではっきりと見ることができた。
ビデ論を無視したインディーズビデオというのは、映像も悪く女優も悪かったが、しかし、逆にそれがリアリティーを増し、独特な卑猥感を醸し出していた。
中年デブ女が指オナニーで絶頂に達すると、すぐさまガリガリに痩せた中年男が現れ、そのムチムチとした女の体に黙々とロープを巻き始めた。そうされながらも中年デブ女は、ガリガリ男の股間に向かって首を伸ばし、そこに反り勃つ肉棒を下品にしゃぶりまくっていた。
亀甲縛りにされた中年デブ女の体に、ガリガリ男が卑猥な落書きを始めた。『淫豚』、『家畜』、『公衆便所』などとマジックを走らせながら、ガリガリ男は中年デブ女の淫穴に反り勃つ肉棒を挿入した。
ガリガリ男が腰を振る度に、中年デブ女は豚のように鳴いた。後背位で突かれながら肛門にバイブを入れられると、中年デブ女は狂ったように喚きながら失禁し、花柄の羽毛掛け布団をベシャベシャに濡らした。
そのうち中年デブ女は「出ちゃう、出ちゃう」と泣き始めた。ガリガリ男が肛門のバイブをピストンさせる度、中年デブ女は必死になってそう喚いていた。
そんな中年デブ女に、突然ガリガリ男はアイマスクを装着させた。そしてチェーンの付いた革のマスクで口を塞ぐと、そのままトイレに連行した。
中年デブ女は便器に座らされた。そんな中年デブ女の耳元に顔を寄せたガリガリ男が、「今から調教して貰うからね……」と囁くと、突然焦り始めた中年デブ女が、革マスクの中で「ウーウー」と唸り出したのだった。

そんな中年デブ女をトイレに一人残し、ガリガリ男はトイレを出た。
するといつの間にか、部屋には二人の男が待ち受けていた。
「私の妻は変態メス豚女です。マンコとアナルに同時に中出ししてやって下さい」
ガリガリ男は二人の男にそう告げた。そしてそのまま部屋の隅の椅子にソッと腰掛けると、二人の男は無言で服を脱ぎ始めた。
一人の男の背中には中途半端な観音様の刺青が彫られ、もう一人の男の腹には40センチほどの手術創が浮かんでいた。
リアルだった。二人の男には、AV男優にはない危険な素人感がムンムンと漂っていた。
(そっか……あのデブ女房は、今からこの二人の男にヤられる事を知らされていなかったんだな……)
なかなか手の込んだ寝取られビデオだと思った。
しかし、それを夫から告げられた時の中年デブ女の焦りようや、それを二人の男たちに告げた時のガリガリ夫の絶望的な表情は、とても演技には見えなかった。
もしかしたらこれは実録かもしれない。変態夫が妻を騙し、他人男達に陵辱されるシーンを撮影し、それをインディーズの会社に投稿してきたものなのかも知れない。
そう思いながらそれを見ていると、激しい興奮が下腹部から湧き上がってきた。
革マスクの中で泣き叫ぶ中年デブ女がトイレから引きずり出され、ベッドに投げ出された。二人の男達が、まるで家畜を扱うように中年デブ女を陵辱し始め、それを見ていたガリガリ夫がセンズリを始めた。
私もセンズリしていた。両足をピーンと伸ばしながらペニスを上下にシゴき、醜い中年デブ女が二つの穴を塞がれるのを真剣に見ていた。
と、その時、突然部屋のチャイムが鳴り響いた。
慌ててテレビを消した。
ベッドから飛び降り、急いでクローゼットへと向かうと、取り敢えずそこにぶら下がっていたバスローブを羽織った。
ペニスは勃起したままだった。しかも射精寸前の状態であり、黒いトランクスの股間は我慢汁のシミでじっとりと湿っていた。
とにかく勃起を治めなければとドアの前で深呼吸した。いくら相手が風俗嬢と言えど、勃起したまま出迎えるというのはあまりにも恥ずかしいのだ。
しかし、ペニスは一向に治る気配を見せなかった。あの中年デブ女の刺激が相当効いているのか、ペニスは勃起が治るどころかジンジンと疼いていた。
このままでは女が帰ってしまうと焦りながらも、とりあえずドアスコープを覗いてみる事にした。あまりにも酷いようなら、このままチェンジすればいいのだ。
そう思いながら恐る恐るドアスコープを覗き込むと、髪の長い痩せた女が項垂れていた。項垂れているため顔は見えなかったが、何やら貪よりとした暗い陰を背負った女だった。
しかし、そのスタイルや雰囲気からして、思っていたほど醜い女ではなさそうだったため、取り敢えずこの女に決める事にした。
勃起したペニスを腹に押し当て、硬い肉棒をトランクスのゴムに挟んだ。そのままバスローブで前を隠し、これなら大丈夫だろうと入り口にあった等身大の鏡で股間を確認しながらドアを開けた。
「こんばんは……『ワケあり主婦』から来ましたミズキです……」
女は上目遣いでソッと私を見上げながら、蚊の泣くような声で呟いた。
「おっ」と思うほどの、なかなかの美形だった。スッと鼻筋が通り、切れ長の目は大きく、どことなく若い頃のいしだあゆみに似ていた。

スタイルも良かった。足も細く、腰もくびれ、全体的にスレンダーだったが、しかし、胸や尻にはそれなりの肉は付いていた。
女は、長い髪を垂らしたまま黙ってその場で項垂れていた。見た目はなかなかの美人だが、そこに漂う雰囲気はまるで幽霊のように薄暗かった。
「チェンジは……よろしいでしょうか……」
女は、長い髪の隙間から恐る恐る私を見上げながらそう聞いた。
そこから漂ってくる絶望感というかどん底感は、まさに店名通りの『ワケあり主婦』そのものだった。
「とりあえず、どうぞ」と私はドアを大きく開いた。
女は妙にオドオドしながら、「失礼します……」と一歩部屋の中に入った。
「歳はいくつですか?」
部屋の入り口に立ったままそう聞いた。
「……三十四歳です……」
そう答えるなり、女の背後でドアがカチャっと閉まった。
「子供はいますか?」
「……はい……」
「旦那さんは?」
「います……」
「この仕事は長いんですか?」
「いえ……四回目です……」
女がそう答えるなり、私は女の白いブラウスのボタンにそっと指を伸ばした。
静かにボタンを外し始めると、一瞬女は戸惑いながら私の目を見上げた。が、しかし、私が優しく微笑みかけると、女はその目に恐怖を浮かべながらゆっくりと視線を戻した。
(気の小さな女だ……)
そう思いながら、「本当にワケありですか?」と聞いた。
女は項垂れたまま「はい……」と答えた。
「どんなワケですか?」
女は、少し間を置いた後、「借金です……」と小さく答えた。
「そっか……借金か……」
そう言いながら、私はブラウスの胸元をソッと開いた。
白い乳肉がポテンッとしていた。決して大きくはなく、少し垂れ気味ではあったが、しかしそれは主婦の乳らしく、生クリームのように柔らかそうだった。
女は抵抗しなかった。文句一つ言わなかった。恥ずかしそうにジッと俯きながら下唇を甘噛みしていた。
そんな、被虐的なワケあり主婦に異様な興奮を覚えた。
私はその温かくも柔らかい乳肉をソッと掌に包み込むと、彼女の耳元で「どうぞ……」と囁きながら、彼女のその細い腕を静かに引いたのだった。

(つづく)
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わけあり2
2013/06/15 Sat 00:01
ワケあり主婦を部屋の奥へと連行した。
デリヘルなのだからわざわざ連行する必要はないのだが、しかしこの被虐的なマゾ女には、『連行』という言葉が妙に似合った。
部屋の中央で立ち止まらせた。私だけベッドに腰掛け、女の体を舐めるように見つめながら、「そのままスカートを捲ってみて下さい」と囁いた。
女は一瞬、えっ? という顔をしながらも、「先にお店に電話をかけさせてください」と言った。
「わかってます。あなた達の事情はわかってますけど、私はまだあなたに決めたわけではありません。色々とチェックさせてもらってからチェンジするかどうかを決めさせてもらいます」
「…………」
「当然でしょ。仮にね、ヤマダ電機で19インチのテレビを買うとしましょうよ、そうなったらあなた、そのテレビを買う前にリモコンをカチカチしたりして色々調べたりするでしょ?」
「…………」
「それと同じですよ。一万四千円と言ったら私にとっては大金ですからね。それだけの買い物を今からしようとしてるんですから、事前に私があなたの体を調べるのは当然でしょ」
女は複雑な表情を浮かべながらも、しかし、私のそのケチ臭い意見に反論しなかった。というか、この小心者の女は、反論できるだけの勇気を持っていなかった。
「さ、時間がありませんから、早くスカートを捲ってください」
そう急かせると、女は左手をモジモジさながらフレアスカートの裾を摘んだ。
一呼吸置き、女は一気にスカートを捲り上げた。黒いストッキングに包まれた腰部が露わになると、女の表情は羞恥と不快と難色で歪み、更に複雑になった。
そんな黒いストッキングの中には、レースのピンクの短パンのようなものが透けて見えた。
それは恐らく下着の上に履くオーバーショーツというものだった。以前、出会い系で知り合った五十過ぎのおばさんもそれを履いていた。
それが、アイドル歌手たちのような『見せパン』的な可愛いオーバーショーツなら良かったのだが、しかし、この女が履いているそれは妙に所帯染みており、出会い系で知り合ったおばさん同様、悲しくなるほど貧乏くさかった。
一瞬にして意欲を削がれてしまった私は、小さく溜息をつきながら、「それもズラしてマンコを見せてください」と言った。
女は顔を引き攣らせながらも素直にそれに従った。左手の指をストッキングのゴムに掛け、スルスルッと片手でそれを太ももまで下ろした。
弛んだ下腹部に伸び放題の陰毛がわさわさしていた。ピンクのオーバーショーツの下に履いていたベージュのパンティーが乱暴に捲れていた。そんなだらしなさがより卑猥感を醸し出し、まるで夜の公園で露出している狂った女のように見えた。
再び興奮を覚えた私が、「ンフフフフ」と笑いながら乾いた舌を舐めると、女はゾッとした表情で慌てて私から目を逸らした。
そんな女は、危なくなったらすぐに逃げようと思っているのか、右手にバッグを持ったままだった。

私はゆっくりとベッドから立ち上がると、そのまま女の足元にソッとしゃがんだ。
わさわさとする陰毛を覗き込みながら、その奥でベロリと垂れ下がっている二枚のびらびらを見ていた。
「もういいですか……」
頭上から女の声が聞こえた。そっと見上げると、顔を引き攣らせた女が私を見下ろしていた。
「まだです」
そう言いながら再びそこを覗き込むと、女は「部屋に入ったら、すぐにお店に電話をしなくちゃならないんです、早くお店に電話を入れないと……」と弱々しい声で言った。
「それはあなた達の都合です。私は客です。その商品に欠陥がないかどうかを確かめる権利があります」
「欠陥……ですか?……」
「そうです。欠陥です。あなたが恐ろしい性病を持っている可能性は無きにしも非ずですからね」
そう言いながら、まるで精密検査をするかのように更に股の隙間を覗き込んだ。
「性病は大丈夫です……ちゃんと検査してますから……」
「ふん。あなた達は何かと言うとすぐに『大丈夫』ですね。あなた達のような低劣な者達の『大丈夫』にどれだけの信用度があるんですか……」
「…………」
黙ってしまった女の太ももをツンツンと突き、「もう少し股を開いてください」と言うと、女は諦めたかのように両足を肩幅まで広げた。
女の太ももに頬を摺り寄せながらローアングルで股間の裏を覗き込むと、いかにも臭そうな中年女のくたびれた性器がムンムンと蒸れていた。

そこを覗き込みながら自分の股間に手を這わした。トランクスの上から勃起したペニスを握りしめ、まるでバイブのようにそれを小刻みに動かした。
それを見た女が、「前金なんですけど……」と恐る恐る呟いた。私は女の股を覗き込みながら、「まだあなたを買うとは言ってません!」と裏声で叫び、そのどさくさに紛れて女の太ももをチロッと舐めた。
そして女の股からゆっくりと顔を上げると、太ももで止まっていたパンティーのクロッチを指差しながら、「なんですかこの汚れは!」と、再び猛禽類のような声で叫んだ。
焦った女が慌てて股を閉じると、汚れたクロッチは股に挟まれた。
私は女の顔を見上げながら、「どうしてそんなに汚れてるんですか」と聞いた。
女は恥ずかしそうにモジモジしながら、「すみません……急に呼び出されて、パート先から直にここに来たものですから……」と白状した。
「そうですか……だからこんなにダサいパンツを履いてるんですね……」
私はそう納得しながらも、「だからと言って、この汚れは酷すぎるでしょ」と更に問い詰めると、女は恥ずかしそうに顔を顰めながら、「今日はサービスデーだったので……忙しくて……」と蚊の鳴くような声でそう答えた。
「どんな仕事をしてるんですか?」
「……スーパーでレジを打ってます……」
「レジが忙しいとオリモノが多くなるんですか?」
「……そういうわけではないんですが……」
「性病じゃないんですか?」
「いえ、それは本当に大丈夫です」
「旦那さんとはセックスしてるんですか?」
「してます」
「旦那さん、あなたとセックスしていてなんともないですか?」
「なんともないです」
「それにしては汚れが酷すぎますよね……」
「……多分、排卵日ですから……それで……」
「排卵? どれ、もっとちゃんと見せてくださいよ、排卵のオリモノかどうか確かめますから」
そう言うと、女は何の疑いもなくクロッチを指で摘んだ。そしてそれを股間から引っ張り出すと、その卑猥に汚れた部分を私に見せたのだった。

こうなればこっちのものだった。
女は気が小さい上にバカだった。このまま行けば、この女は私の言うことを何でも聞く奴隷と化すだろう。
私はそう細く微笑みながら、その乾いた卵の黄身のようなオリモノを間近に覗き込んだ。
「うん……確かに、排卵日のオリモノのように濃厚だ……」
その言葉に安堵したのか、女は素早くそこを隠そうとした。
「あ、いや、ちょっと待ってください」
「…………」
「見た目だけではわかりませんよ。匂いを嗅いでみなくては、それが性病による膿なのか、排卵によるオリモノなのかは判別できません」
「…………」
女は困惑した表情を浮かべながら、「どうすればいいんですか」と聞いてきた。
「とりあえず脱いでください」
「…………」
女は黙って前屈みになった。そして足を片方ずつあげながら、それを足首からスッと抜いた。
「貸してください」
そう手を差し出すと、女の表情は更に困惑した。
そんな女の困惑する表情から、この女は本物の主婦だろうと確信した。
もしこれが場慣れした風俗嬢だったなら、開き直ってくるか、若しくは、その下着を私に渡す際、追加料金を要求してくるであろう。
そうしないという事は、この女は擦れていないのだ。彼女自身が言っているように、この女は、本当に旦那と子供と借金を背負っているのだ。デリヘル経験は四回しかなく、昼間はスーパーのレジでバイトしながら下着にオリモノをこびりつかせている、本物のワケあり主婦なのだ。
そう思うと私の興奮は更に激しくなってきた。素人同然の本物ワケあり主婦を、今からじっくり陵辱できるのだと想像すると、身震いするほどの興奮を覚えた。
ハァハァと荒い息を唇から漏らしながら、「早くしなさい」と言った。
女は怯える目で私を見ていた。そして小刻みに手を震るわせながら、恐る恐るそれを私の手に渡したのだった。
羞恥に駆られた女の目の前で嗅いでやった。犬のように、スッ、スッ、と鼻を鳴らしながら、そのカリカリに固まった黄色いオリモノを嗅ぎまくってやった。
そこには働く女の匂いが染み付いていた。汗と恥垢と小便の残り汁が乾いた饐えた匂いがプンプンと漂っていた。
「こりゃあ、臭いなぁ……」
わざとそう呟いてやると、女は下唇をギュッと噛みながらソッと項垂れた。
「目を逸らさないでください。ちゃんと見ててください」
そう言いながら、私は恐る恐る女が顔を上げるのを見計らい、女がこちらを見ると同時に黄色いシミをベロベロと舐めてやった。
「やめてください!」
女は、今にも泣き出さんばかりの表情になりながら、慌てて私の手からそれを奪い取った。一度それを拳の中に握りしめ、そしてそれをそのままトートバッグの口にスッと落とすと、「もういいですか」と眉を潜めながら訴えた。
「まぁ、匂いも味も普通ですけどね……」
私はそう言いながら立ち上がった。そして、古畑任三郎を少し意識しながらベッドに静かに腰を下ろすと、「ただ、それはあくまでも下着ですからね……現物を直に確かめて見ないことには、なんとも言えませんね……」と唇の端を不敵に歪めた。
そこまで言えば、さすがのバカ主婦でも、これが私の手口だと言う事に気づいたようだった。女は必死な口調で「前金でお願いします」と焦り始めると、下着を落としたトートバッグの口から携帯を取り出した。
「お店に電話するのはいいですけど、ただ、まだ私はあなたに決めたわけではありません。まだあなたが性病ではないというはっきりとした確信は——」
私がそう言い終わらぬ間に、女は緊迫した顔で、「早くお店に電話をしないとドライバーさんがここに来ちゃいます」と、まるで脅迫めいたことを吐き捨て、素早く携帯に指を走らせた。
さすがにそれはマズイと思った。先月も出張で名古屋に行った際、やはりこの時と同じようにデリヘル嬢に何癖をつけては、前金を払わないままセクハラ行為を続けていた。しかし、女に電話をかけさせなかったせいか、すぐに用心棒のような厳つい男が部屋に駆けつけ、問答無用で顔面を数発殴られたうえ、おまけに罰金として二万円をふんだくられては散々な目に遭わされたばかりだった。
だから私は慌てて女に「あっ、ちょっとキミ」と言った。
女はそんな私を横目で見ながら、「連絡遅れてすみません、ミズキです」と言った。
私は素早くベッドサイドに手を伸ばした。そこの引き出しを開けながら、「わかりました。わかりましたよ。キミを信用して前金を払いますよ」と呟き、そこに入れておいた財布を取り出した。
女は携帯電話を耳に押し当てたまま私を見ていた。私が財布の中から一万四千円を抜き取り、それを彼女に差し出すまで用心深く私を見ていた。
女は受け取った金を確認すると、そこで初めて、「さっきお部屋に入りましたので」と告げた。そして電話を切るなり、そそくさとスカートを脱ぎ始め、「先にシャワーで流させていただきますので」と言いながら、脱いだスカートをクローゼットのカゴの中に入れた。
完全に女のペースになっていた。
このままでは、ありきたりな普通のコースで終わってしまうと危惧した私は、なんとか自分のペースにしなければと焦った。
女は下半身を剥き出しにしたまま、白いブラウスのボタンを外し始めた。
一万四千円。私にとっては大金だった。この大金を、死に金にするか生き金にするかはスタートで決まるのだ。
なんとしてでも、もう一度私のペースに戻さなければならなかった。
私はクローゼットに向かってスタスタと歩き出すと、ブラウスを脱いだ直後の女の腕を掴み、「シャワーは結構ですから」と女の手を引いた。
「でも」と焦る女をベッドに突き飛ばした。
ベッドに尻餅をつきながら愕然としている女を見下ろし、「シャワーはいいですから、サービスデーで汚れたマンコを見せてください」と不敵に微笑んでやった。
一瞬にして女の顔に恐怖が浮かんだ。
これでまた、私のペースに戻った。
(つづく)
《←目次》《3話へ→》
デリヘルなのだからわざわざ連行する必要はないのだが、しかしこの被虐的なマゾ女には、『連行』という言葉が妙に似合った。
部屋の中央で立ち止まらせた。私だけベッドに腰掛け、女の体を舐めるように見つめながら、「そのままスカートを捲ってみて下さい」と囁いた。
女は一瞬、えっ? という顔をしながらも、「先にお店に電話をかけさせてください」と言った。
「わかってます。あなた達の事情はわかってますけど、私はまだあなたに決めたわけではありません。色々とチェックさせてもらってからチェンジするかどうかを決めさせてもらいます」
「…………」
「当然でしょ。仮にね、ヤマダ電機で19インチのテレビを買うとしましょうよ、そうなったらあなた、そのテレビを買う前にリモコンをカチカチしたりして色々調べたりするでしょ?」
「…………」
「それと同じですよ。一万四千円と言ったら私にとっては大金ですからね。それだけの買い物を今からしようとしてるんですから、事前に私があなたの体を調べるのは当然でしょ」
女は複雑な表情を浮かべながらも、しかし、私のそのケチ臭い意見に反論しなかった。というか、この小心者の女は、反論できるだけの勇気を持っていなかった。
「さ、時間がありませんから、早くスカートを捲ってください」
そう急かせると、女は左手をモジモジさながらフレアスカートの裾を摘んだ。
一呼吸置き、女は一気にスカートを捲り上げた。黒いストッキングに包まれた腰部が露わになると、女の表情は羞恥と不快と難色で歪み、更に複雑になった。
そんな黒いストッキングの中には、レースのピンクの短パンのようなものが透けて見えた。
それは恐らく下着の上に履くオーバーショーツというものだった。以前、出会い系で知り合った五十過ぎのおばさんもそれを履いていた。
それが、アイドル歌手たちのような『見せパン』的な可愛いオーバーショーツなら良かったのだが、しかし、この女が履いているそれは妙に所帯染みており、出会い系で知り合ったおばさん同様、悲しくなるほど貧乏くさかった。
一瞬にして意欲を削がれてしまった私は、小さく溜息をつきながら、「それもズラしてマンコを見せてください」と言った。
女は顔を引き攣らせながらも素直にそれに従った。左手の指をストッキングのゴムに掛け、スルスルッと片手でそれを太ももまで下ろした。
弛んだ下腹部に伸び放題の陰毛がわさわさしていた。ピンクのオーバーショーツの下に履いていたベージュのパンティーが乱暴に捲れていた。そんなだらしなさがより卑猥感を醸し出し、まるで夜の公園で露出している狂った女のように見えた。
再び興奮を覚えた私が、「ンフフフフ」と笑いながら乾いた舌を舐めると、女はゾッとした表情で慌てて私から目を逸らした。
そんな女は、危なくなったらすぐに逃げようと思っているのか、右手にバッグを持ったままだった。

私はゆっくりとベッドから立ち上がると、そのまま女の足元にソッとしゃがんだ。
わさわさとする陰毛を覗き込みながら、その奥でベロリと垂れ下がっている二枚のびらびらを見ていた。
「もういいですか……」
頭上から女の声が聞こえた。そっと見上げると、顔を引き攣らせた女が私を見下ろしていた。
「まだです」
そう言いながら再びそこを覗き込むと、女は「部屋に入ったら、すぐにお店に電話をしなくちゃならないんです、早くお店に電話を入れないと……」と弱々しい声で言った。
「それはあなた達の都合です。私は客です。その商品に欠陥がないかどうかを確かめる権利があります」
「欠陥……ですか?……」
「そうです。欠陥です。あなたが恐ろしい性病を持っている可能性は無きにしも非ずですからね」
そう言いながら、まるで精密検査をするかのように更に股の隙間を覗き込んだ。
「性病は大丈夫です……ちゃんと検査してますから……」
「ふん。あなた達は何かと言うとすぐに『大丈夫』ですね。あなた達のような低劣な者達の『大丈夫』にどれだけの信用度があるんですか……」
「…………」
黙ってしまった女の太ももをツンツンと突き、「もう少し股を開いてください」と言うと、女は諦めたかのように両足を肩幅まで広げた。
女の太ももに頬を摺り寄せながらローアングルで股間の裏を覗き込むと、いかにも臭そうな中年女のくたびれた性器がムンムンと蒸れていた。

そこを覗き込みながら自分の股間に手を這わした。トランクスの上から勃起したペニスを握りしめ、まるでバイブのようにそれを小刻みに動かした。
それを見た女が、「前金なんですけど……」と恐る恐る呟いた。私は女の股を覗き込みながら、「まだあなたを買うとは言ってません!」と裏声で叫び、そのどさくさに紛れて女の太ももをチロッと舐めた。
そして女の股からゆっくりと顔を上げると、太ももで止まっていたパンティーのクロッチを指差しながら、「なんですかこの汚れは!」と、再び猛禽類のような声で叫んだ。
焦った女が慌てて股を閉じると、汚れたクロッチは股に挟まれた。
私は女の顔を見上げながら、「どうしてそんなに汚れてるんですか」と聞いた。
女は恥ずかしそうにモジモジしながら、「すみません……急に呼び出されて、パート先から直にここに来たものですから……」と白状した。
「そうですか……だからこんなにダサいパンツを履いてるんですね……」
私はそう納得しながらも、「だからと言って、この汚れは酷すぎるでしょ」と更に問い詰めると、女は恥ずかしそうに顔を顰めながら、「今日はサービスデーだったので……忙しくて……」と蚊の鳴くような声でそう答えた。
「どんな仕事をしてるんですか?」
「……スーパーでレジを打ってます……」
「レジが忙しいとオリモノが多くなるんですか?」
「……そういうわけではないんですが……」
「性病じゃないんですか?」
「いえ、それは本当に大丈夫です」
「旦那さんとはセックスしてるんですか?」
「してます」
「旦那さん、あなたとセックスしていてなんともないですか?」
「なんともないです」
「それにしては汚れが酷すぎますよね……」
「……多分、排卵日ですから……それで……」
「排卵? どれ、もっとちゃんと見せてくださいよ、排卵のオリモノかどうか確かめますから」
そう言うと、女は何の疑いもなくクロッチを指で摘んだ。そしてそれを股間から引っ張り出すと、その卑猥に汚れた部分を私に見せたのだった。

こうなればこっちのものだった。
女は気が小さい上にバカだった。このまま行けば、この女は私の言うことを何でも聞く奴隷と化すだろう。
私はそう細く微笑みながら、その乾いた卵の黄身のようなオリモノを間近に覗き込んだ。
「うん……確かに、排卵日のオリモノのように濃厚だ……」
その言葉に安堵したのか、女は素早くそこを隠そうとした。
「あ、いや、ちょっと待ってください」
「…………」
「見た目だけではわかりませんよ。匂いを嗅いでみなくては、それが性病による膿なのか、排卵によるオリモノなのかは判別できません」
「…………」
女は困惑した表情を浮かべながら、「どうすればいいんですか」と聞いてきた。
「とりあえず脱いでください」
「…………」
女は黙って前屈みになった。そして足を片方ずつあげながら、それを足首からスッと抜いた。
「貸してください」
そう手を差し出すと、女の表情は更に困惑した。
そんな女の困惑する表情から、この女は本物の主婦だろうと確信した。
もしこれが場慣れした風俗嬢だったなら、開き直ってくるか、若しくは、その下着を私に渡す際、追加料金を要求してくるであろう。
そうしないという事は、この女は擦れていないのだ。彼女自身が言っているように、この女は、本当に旦那と子供と借金を背負っているのだ。デリヘル経験は四回しかなく、昼間はスーパーのレジでバイトしながら下着にオリモノをこびりつかせている、本物のワケあり主婦なのだ。
そう思うと私の興奮は更に激しくなってきた。素人同然の本物ワケあり主婦を、今からじっくり陵辱できるのだと想像すると、身震いするほどの興奮を覚えた。
ハァハァと荒い息を唇から漏らしながら、「早くしなさい」と言った。
女は怯える目で私を見ていた。そして小刻みに手を震るわせながら、恐る恐るそれを私の手に渡したのだった。
羞恥に駆られた女の目の前で嗅いでやった。犬のように、スッ、スッ、と鼻を鳴らしながら、そのカリカリに固まった黄色いオリモノを嗅ぎまくってやった。
そこには働く女の匂いが染み付いていた。汗と恥垢と小便の残り汁が乾いた饐えた匂いがプンプンと漂っていた。
「こりゃあ、臭いなぁ……」
わざとそう呟いてやると、女は下唇をギュッと噛みながらソッと項垂れた。
「目を逸らさないでください。ちゃんと見ててください」
そう言いながら、私は恐る恐る女が顔を上げるのを見計らい、女がこちらを見ると同時に黄色いシミをベロベロと舐めてやった。
「やめてください!」
女は、今にも泣き出さんばかりの表情になりながら、慌てて私の手からそれを奪い取った。一度それを拳の中に握りしめ、そしてそれをそのままトートバッグの口にスッと落とすと、「もういいですか」と眉を潜めながら訴えた。
「まぁ、匂いも味も普通ですけどね……」
私はそう言いながら立ち上がった。そして、古畑任三郎を少し意識しながらベッドに静かに腰を下ろすと、「ただ、それはあくまでも下着ですからね……現物を直に確かめて見ないことには、なんとも言えませんね……」と唇の端を不敵に歪めた。
そこまで言えば、さすがのバカ主婦でも、これが私の手口だと言う事に気づいたようだった。女は必死な口調で「前金でお願いします」と焦り始めると、下着を落としたトートバッグの口から携帯を取り出した。
「お店に電話するのはいいですけど、ただ、まだ私はあなたに決めたわけではありません。まだあなたが性病ではないというはっきりとした確信は——」
私がそう言い終わらぬ間に、女は緊迫した顔で、「早くお店に電話をしないとドライバーさんがここに来ちゃいます」と、まるで脅迫めいたことを吐き捨て、素早く携帯に指を走らせた。
さすがにそれはマズイと思った。先月も出張で名古屋に行った際、やはりこの時と同じようにデリヘル嬢に何癖をつけては、前金を払わないままセクハラ行為を続けていた。しかし、女に電話をかけさせなかったせいか、すぐに用心棒のような厳つい男が部屋に駆けつけ、問答無用で顔面を数発殴られたうえ、おまけに罰金として二万円をふんだくられては散々な目に遭わされたばかりだった。
だから私は慌てて女に「あっ、ちょっとキミ」と言った。
女はそんな私を横目で見ながら、「連絡遅れてすみません、ミズキです」と言った。
私は素早くベッドサイドに手を伸ばした。そこの引き出しを開けながら、「わかりました。わかりましたよ。キミを信用して前金を払いますよ」と呟き、そこに入れておいた財布を取り出した。
女は携帯電話を耳に押し当てたまま私を見ていた。私が財布の中から一万四千円を抜き取り、それを彼女に差し出すまで用心深く私を見ていた。
女は受け取った金を確認すると、そこで初めて、「さっきお部屋に入りましたので」と告げた。そして電話を切るなり、そそくさとスカートを脱ぎ始め、「先にシャワーで流させていただきますので」と言いながら、脱いだスカートをクローゼットのカゴの中に入れた。
完全に女のペースになっていた。
このままでは、ありきたりな普通のコースで終わってしまうと危惧した私は、なんとか自分のペースにしなければと焦った。
女は下半身を剥き出しにしたまま、白いブラウスのボタンを外し始めた。
一万四千円。私にとっては大金だった。この大金を、死に金にするか生き金にするかはスタートで決まるのだ。
なんとしてでも、もう一度私のペースに戻さなければならなかった。
私はクローゼットに向かってスタスタと歩き出すと、ブラウスを脱いだ直後の女の腕を掴み、「シャワーは結構ですから」と女の手を引いた。
「でも」と焦る女をベッドに突き飛ばした。
ベッドに尻餅をつきながら愕然としている女を見下ろし、「シャワーはいいですから、サービスデーで汚れたマンコを見せてください」と不敵に微笑んでやった。
一瞬にして女の顔に恐怖が浮かんだ。
これでまた、私のペースに戻った。
(つづく)
《←目次》《3話へ→》
わけあり3
2013/06/15 Sat 00:01
「お金は支払いましたが、しかしまだあなたが性病でないとは判明していません」
「…………」
「あのクロッチの汚れは尋常ではありませんから、もう少し検査する必要がありますね」
「でも……」と、何か言おうとした女の言葉を遮り、「もし性病だったら金は返してもらいますからね!」と金切り声で叫んだ。そして女をギッと睨み、まるでミザリーがヒステリーを起こした時のような奇声をあげながら、「そこで四つん這いになって尻を出しなさい!」と命令してやった。
そう狂ったふりすをる私に、もはや女は完全に脅えていた。
以前、五反田のデリヘル嬢からこんな話を聞いたことがある。
当たった客が異常者だった時のデリヘル嬢の恐怖というのは半端ではない、と。
それが箱ヘルの場合なら、部屋を飛び出してスタッフに助けを求めることもできるが、しかしデリヘルの場合は、場所がホテルのため逃げる場所はなく、例え部屋から逃げ出せたとしても助けてくれる者はいないからだった。
だからデリヘル嬢は、一度ホテルの部屋に入ってしまったら最後、途中で客が異常者だとわかっても、あとはひたすら耐えるしかなかった。制限時間内はどんな異常行為も無視し、どんな変態行為も拒否せず、ただただ人形のように黙っているしかないらしい。
そこでジタバタしてその異常者を刺激すれば、殺される可能性もあるからだ。
そんな五反田のデリヘル嬢の言葉を思い出しながら、私は異常者を演じていた。
いや、実際に私は異常者なのだが、しかし、人を殺すまでの異常性はなく、せいぜいが嫌がる女の肛門を舐めまくったり、強引に小便をさせてはそれを飲む程度の変態性異常者だ。
しかしこの時の私は、場合によっては人をも平気で殺めかねない異常者を演じていた。
そうすれば、女を好き放題にできると、五反田のデリヘル嬢がヒントを教えてくれたからだ。
脅える女は、躊躇いながらも静かに私に背中を向けた。そしてそのまま両手を前つき、犬のように四つん這いになると、「これでいいですか……」と、蚊の鳴くような声で言った。
「それではダメです。ちゃんと尻を突き出して、尻の谷間をおもいきり開いて下さい。肛門もマンコも剥き出してくれないと検査できませんからね」
そう言うと、女は四つん這いのままぐったりと首を項垂れた。そして、だらりと垂れる長い髪の中から恐る恐る私を見つめ、「シャワーを浴びてからではダメですか」と声を震わせた。
「洗ってからでは検査の意味がないでしょうが! その汗と小便と恥垢で汚れた状態でなければ検査にならないでしょうが!」
そう黒岩五郎の口真似をしながら叫ぶと、私は意味もなく、その場にぴょんぴょんと跳び跳ねた。その借金に追われたワケあり主婦の尻が開くのを、今か今かと待ちわびながらぴょんぴょんと跳び跳ねまくった。
そんな私に狂気を感じたのか、女は慌てて腰を反らした。
背骨が弓なりになり、尻の谷間がパカッと開いた。
それと同時に、黒ずんだ肛門が剥き出され、半生カルビのようなビラビラがネチャッと口を開いたのだった。

半開きになった割れ目の奥では、赤い粘膜がヌラヌラと輝いていた。
それをぴょんぴょんと跳び跳ねながら眺めていた。ぴょんぴょんしながらトランクスを下ろし、ビンッと勃起したペニスをギュッと握りしめると、「自分の指で開いて奥まで見せなさい!」と叫んでは、それをシコシコとシゴき始めた。
女は素直にそこに指を這わせた。しかし、指先でほんの少しワレメを歪めただけで、そこをクパッと開くまではしなかった。
突然私は、「それじゃあアカン!」と叫びながら、ぴょんぴょんしているのをピタリと止めた。
素早く女の尻の前へと行き、「指で開くというのはこうするんです」と女の尻に両手を這わせた。そしてその両サイドの黒いビラビラを両手の指で押さえつけると、それを乱暴にクパッと開いた。

羞恥に駆られた女の尻が小刻みに震えていた。
こんな不純なワケあり主婦など、もっともっと辱めてやるべきだと思いながら、「白いカスがいっぱい付いてますよ」と言ってやった。
だらりと垂れた長い髪の中で、女は下唇を噛んでいた。
震える声で「もういいですか」と言いながら私の指から逃れようと尻をくねらせたため、慌てて私はそこに鼻を近づけ、わざとスッスッと音を立てて嗅ぎまくってやった。
女は「やめてください!」と声を張り上げながら、本気で尻を振り始めた。そんな暴れる尻を両腕に抱え込み、「大人しくしなさい!」と叫びながら、私はしつこくそこをクンクンと嗅ぎまくった。
酷い匂いだった。さすがサービスデーで忙しかっただけあり、蒸れたそこにはパルメザンチーズのような匂いがムンムンと漂っていた。
そんな強烈な匂いに脳を刺激されながらも、不意に、この女にも家族がいると思った。こんな女にも、旦那がいて子供がいて家庭があるのだと思った。
そう思いながらパルメザンチーズの匂いを嗅いでいると、激しい興奮が胸に湧き上がってきた。今、この女の旦那や子供は、まさかお母さんが見知らぬ男に汚れた性器の匂いを嗅がれているなど、夢にも思っていないだろうと思うと、今までに感じた事のない残酷なエロスが亀頭をジュクジュクと疼かせた。
気がつくと私は、四つん這いになる女の股の中に、仰向けになって潜り込んでいた。
そして必死に逃れようとする女の腰を両手で固定し、「逃げたらあかん!」と、なぜか関西弁で叫びながら、ウヨウヨとした陰毛の中に舌を伸ばした。
割れ目に沿ってペロッと舌を跳ね上げると、それまでそこに溜まっていた不潔な汁が舌に広がった。
人妻の、汗、小便の残り汁、恥垢、オリモノ。それらが混ざった汁。
不潔だった。汚かった。そして臭かった。
しかし私はそれを求めていた。この汁は、人妻の性器で密かに蓄積されていた、とても貴重な生汁なのだ。
そう思いながらそれを味わっていると、脳がクラクラするほどの興奮が襲いかかってきた。
女は、そのひと舐めで諦めたのかそれ以上抵抗しなくなった。
それに乗じた私は、女の腰に回していた腕を解き、その両手を女の股間に潜らせた。そして、だらだらに緩んだ女の性器に両親指を押し付けると、そのままそれをベロリと開いた。
今まで密封されていたパルメザンチーズの香りが溢れた。その匂いに刺激されながらそこに舌を伸ばした私は、まるで犬のように下品な音を立ててはそこをベロベロと舐めまくった。
その生温かい内部は酸味が強く、まるで海水のように塩っぱかった。それを舐め続けていると、次第に舌がピリピリし始めてきたが、しかし舐めているうちに奥からヌルヌルとした汁が滲み出し、それが舌を優しくコーテイングしては痺れを和らげてくれた。
舌をチロチロと動かしながら、割れ目に沿って移動させた。その先端でプクッと膨らんでいるクリトリスを捕らえ、舌先で器用に皮を剥いた。
木の芽のようなクリトリスがヌッと顔を出した。真ピンクのそこには恥垢が溜まっており、少年の包茎ペニスの皮を剥いた時のような強烈なイカ臭がプンッと漂ってきた。
それでもそれをペロペロしてやると、女は、そこで初めて「んんん……」と切ない声を漏らした。
そんな女の割れ目は、いつしかローションを垂らしたかのようにヌルヌルになっていたのだった。

じゅるるるるるっ、と大袈裟な音を立ててヌルヌル汁を啜ってやった。
それをゴクリと飲み込みながら女の股から顔を抜くと、バスローブの袖で口の周りを拭きながらベッドに寝転がり、横で四つん這いになったままの女の顔をソッと覗き込んだ。
「相当汚れてましたが性病ではありません。ただの不潔です」
そう笑ってやると、女は恥ずかしそうにサッと目を逸らしながら、「もうシャワーを浴びてきてもいいですか」と呟いた。
「ダメですよ。せっかくアソコがヌルヌルに濡れてるのに、それを洗い流すのは勿体ないですよ」
そう言いながら、未だ四つん這いになっている女の細い腕を掴み、同時にもう片方の手でトランクスをズラした。
強烈に勃起した肉棒がビンッと跳ね上がった。
私は女の腕を引きながら、「しゃぶってください……」と囁いた。
それを目にした女は戸惑っていた。なぜなら私は仮性包茎であり、そのベロっと皮が捲れたそこには、カピカピに乾いた恥垢がこびりついていたからだ。
私は、そんな汚れたペニスを指で摘み、それを女に見せつけながら、「匂って見て下さい。あなたに負けないくらい臭いですから」と笑った。
そう言われた女は露骨に嫌な顔をした。恐らくこの強烈なイカ臭が漂ってきたのだろう、女は眉を顰めながら戸惑っていた。
「嫌なんですか? 私だってあなたのチーズ臭いオマンコを舐めたんですよ? 嫌なんですか? 嫌なんですか?」
そう何度も言いながら掴んでいた女の腕を強く握りしめると、女は恐怖の表情を浮かべながら「いえ……」と呟き、四つん這いになっていた体をゆっくりと方向転換させたのだった。
女の目の前に、異臭が漂う肉棒がビンッと反り勃っていた。女はそれを恐る恐る指で摘み、眉間に皺を寄せながらゆっくりと顔を下ろそうとした。
すかさず私は、「ちょっと待って下さい」と言いながら、前屈みになろうとしている女の肩を止めた。
「すぐに舐めるんじゃなくて、まずはシコシコして下さい」
その時、恥垢だらけの亀頭は女の鼻先にあった。その状態のまま女は手コキをしろと命じられた。
それでも女は素直にそれに従った。この女には旦那と小さな子供がいる。だからここで異常者に逆らい、乱暴されるわけにはいかないのだ。
女の手が上下に動き出すと、私は大袈裟に背中を仰け反らしながら、「ああああ」と唸った。
「いいよ、気持ちいいよ、もっと激しくシコシコして……」
そう馬鹿みたいに唸りながら女の尻を弄り、その湿った陰部を指でクチュクチュと鳴らしてやった。
ペニスの弛んだ皮が上下される度、乾いた恥垢がポロポロと捲れた。ダラダラと溢れ出る我慢汁が乾いた恥垢を湿らせ、その匂いをより強烈な匂いに変えていた。
眉を顰めながら手コキしている女の顔を覗き込み、(さぞかし臭いんだろうな……)とそれを確認した私は、そんな女の肛門を指でスリスリと擦りながら、「それじゃあ、そろそろしゃぶってもらおうか……」と呟いた。
女の手の動きがゆっくりと止まった。
女はそのまま肉棒の根元を握りしめると、もう片方の手で長い髪を掻き分けた。そしてその恥垢だらけの激臭ペニスに恐る恐る顔を近づけ、静かに唇を開いた。
パクッとそれが咥えられると同時に、女の生温かい舌が亀頭に絡みついてきた。最も恥垢が溜まっているカリ首の裏にまで舌を滑らせてきた。
そうしながらも、女は頭部をゆっくりと上下に動かした。そしてそこにヌポヌポといやらしい音を奏で始めたのだった。

(つづく)
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わけあり4
2013/06/15 Sat 00:01
「いつもこうして、旦那さんのをしゃぶってるんですか?」
そう囁きながら女の長い髪を優しく撫でた。
しかし女はその問いには何も答えず、黙々とペニスをしゃぶり続けていた。
そんな女の動きは、まるで大きな工場で流れ作業をしているようだった。その汚れた肉棒を他人の性器だと思わないようにしながら、必死に感情を押し殺してしゃぶっているようだった。
それが面白くなかった。このままさっさと終わらされてしまうのだけは阻止しなければならなかった。
私は、「違うでしょ?」と言いながら、髪を撫でる手をソッと止めた。
「旦那さんにはそんないい加減な舐め方はしないでしょ。もっと愛情込めて舐めてるでしょ」
そんな棘のある言葉に、女は一瞬頭部の動きを止めたが、しかし、すぐにまたその機械的な動きは再開され、何も変わらないまま、ただただヌポヌポという音だけをそこに鳴らした。
無視を決め込む女にカチンときた私は、それならそれで目にものを見せてやると思いながら、いきなり上半身をムクリと起き上がらせた。
そして羽織っていたバスローブを素早く脱ぎながら、「あんたも全裸になりなさい」と女の尻を叩いてやった。
女は、一刻も早く私をイかせたいのか、その動きを続けたまま服を脱ぎ始めた。確かに、ペニスを咥えたまま服を脱ぐ女の姿というのは実に卑猥であり、それを見ながらしゃぶられていた私は思わずイキそうになってしまった。
が、しかし、ここでイクわけにはいかなかった。この風俗業界を舐めきっているド素人の奥さんに、ワケあり風俗嬢としての本当の苦しみと快楽を教えてやらなければ気が済まないと思った私は、グッと奥歯を噛み締めながら、湧き上がる射精の欲望を必死に堪えた。
全裸となった女の尻を叩き、「そのまま私の顔を跨いでください」とシックスナインを要求した。
女はゆっくりとペニスを唇から抜いた。そして四つん這いのまま膝立ちで移動し、素早く私の顔を跨いだ。
跨ぐなり、女は物凄い勢いでペニスにしゃぶりついてきた。恐らく、私にそれなりの刺激を与えてやればそれだけ仕事が早く終わるとでも思ったのだろう、女は今までのヌポヌポとした気怠い動きを変え、ジュポジュポと激しい音を立てながらそれをしゃぶりまくってきた。

(浅はかな女め……今に見てろよ……)
そう鼻で笑いながら、私は女に気づかれないよう静かにベッド下に手を伸ばした。
ベッドの下の床の上には、私の秘密道具が入っている黒いバッグが置いてあった。
それは、出張の際には必ず持参するバッグだった。そのバッグの中には、バイブやローターといったアダルトグッズから、盗撮用のハンディカメラなどが詰まっていた。又、拘束具やスタンガンといった、職務質問されれば逮捕の危険もある『危ない物』まで入っており、主にそれは、出会い系で知り合った女やデリヘル嬢といった、『殺してしまってもいい女』と会う時に使用されていた。
その中で最も『危ない物』だったのが、清原やノリピーといった数々の芸能人達を淫欲の世界にのめり込ませてしまった、例のアレだった。
それは、あまりにも危険で、あまりにも高価だったため、特定した女にしか使わなかった。
風俗業にどっぷりと浸かっているような女や、出会い系を渡り歩いているようなスレた女には使わなかった。そんな女は、既にそれを使用している可能性があり、そんな女にそれを使用しても焼け石に水だからだ。
だから私は、そんな荒んだ女にはそれを使用しなかった。私がそれを使用するのは、まだその快楽を知らない未開発な女ばかりだった。
これは、極度な恥ずかしがり屋な女でも、一瞬にして大胆な淫乱女に変えてしまう力を持っていた。どれだけお高くとまっている女でも、どれだけ清純を気取った女でも、それを使えばたちまち肉棒の虜となり、誰にでも股を開く変態雌豚女へと変貌させてくれるのであった。
そんな『危ない物』を、今私は、この幸の薄い女に使おうと企んでいた。
この女は、夫と子供がありながらも、多額の借金によって薄汚い淫欲地獄に突き落とされた可哀想な身の上だった。借金のため、見ず知らずの男の恥垢だらけの肉棒をしゃぶらされ、しかもその肉棒を、子供達が生まれてきた清浄な穴の中に入れられ不浄な精液で穢されているのだ。
そんな女がセックスに悶え狂う姿を見てみたかった。淫欲に溺れ、ヨダレと小便を垂れ流し、白目をむきながらその終わることのない快楽に失神する姿を見てみたかった。
しかもそのセックスの相手は旦那ではなく、見ず知らずの変態男。つまり私だ。
私は、左手で女の尻を撫でながら、右手で黒いバッグのファスナーを静かに開けた。
その『危ない物』は、別のポーチの中に隠されていた。そのポーチの中には、急な職質に備え、醤油、塩、胡椒、七味、といった調味料がカモフラージュで詰め込まれており、その『危ない物』は『味の素』の容器の中に入れられていた。
素早くポーチのファスナーを開け、そこからパンダ模様の『味の素』の容器を取り出した。
本来なら注射器によってそれを女の体内に注入するのだが、しかしこの場合、注射器など使えるわけがなかった。
だから私は、いつもこれを自分の口内で溶かし、舌によって女の陰部に塗り込んでやるという手法を取っていた。
実際、最初の頃は、そんな面倒臭いことをせず、それを直接女の陰部に擦り込んだりしていたものだが、しかしある時、それを八王子のデリヘル嬢に試してみた所、セックスの最中に突然女が「ザラザラして痛いと騒ぎ出し、せっかく擦り込んだ高価なそれをシャワーで洗い流されてしまった事があった。
だから私は、それからというもの、いくら面倒臭くともそれを口内でじっくりと溶かし、クンニによって女の体内に浸透させるという手法を取っていたのだった
上下している女の頭部を尻越しに見つめながら、ソッと私は大きく口を開いた。その口の中に『味の素』の容器を三回振り、パラパラと落ちる白い粉を舌で受け止めた。
たちまち舌がギュワワワワワと痺れた。息をすると強烈な苦味に襲われるため、息を止めたまま舌を硬口蓋にザラザラと擦り付け、微妙に唾液を混ぜ合わせながらそれを液状化した。
それを飲まないよう気をつけながら、素早く女の尻肉に両手を這わせ、一気に陰部をクパッと開いた。
陰部が剥き出されると同時に、そこにブチュッと唇を押し付けた。それが垂れないよう唇の端に力を入れながら、ゆっくりゆっくり穴の中に液体を注入した。
すぐに唇を離すと、せっかくのそれがダラっと溢れる危険があった。そのため、そのまま舌を滑り込ませ、穴の中で舌をヌルヌルと泳がせながら、その液体を粘膜に塗り込んだ。
そんなものが、まさか自分の性器の粘膜に塗りこまれていようとは、夢にも思っていない女は、早く私をイカせようと必死にペニスをしゃぶっていた。
そんな女の猛攻撃に、私は何度もイキそうになっていた。それが効いてくるまでもう少し我慢しなければならず、私は去年死んだ親父の顔を思い出しては、必死にそれを耐えていたのだった。
頭の中で、(71、72、73、74……)と数えていた。今までの経験上、二、三分でそれは効いてくるはずであり、もう少しの辛抱だった。
それが効いてきたかどうかを確かめるのはクリトリスしかなかった。
女の体の中で、最も敏感な性感帯であるクリトリスを舐めてみれば、それが効いているかどうかを確認することができた。
もし効いているなら、それを舐められた瞬間、女は狂ったように悶えるはずだった。
必死に射精を堪える私の頭の中で、その数が170に達した。
そろそろいいだろうと、穴の中からヌルリと舌を抜き、とりあえずその表面にヌラヌラと舌を滑らせた。
そうしながらも、徐々にクリトリスへと舌を移動させた。
そんなクリトリスは既に勃起していた。皮からピンッと飛び出し、痛々しいまでに腫れ上がっていた。
見るからにそれは、あれが効いていた。恐らくそこは、カサブタを毟り取った擦り傷のように敏感になっており、ほんの少し触れただけで飛び上がるはずだった。
そんなクリトリスを目の前で剥き出し、そこに恐る恐る舌先を伸ばした。そして女の尻が飛び上がらないよう、両手でしっかりと尻肉を鷲掴みにしながら、そのコリコリと突起しているクリトリスを舌先でコロンっと転がしてみた。

女はペニスを咥えたまま「んっ!」と唸ると、まるで電流が流されたかのように腰をヒクン!と跳ね上げた。
(効いてるな)
そう細く微笑みながら更にクリトリスを剥き出し、その異常な程に敏感になっている木の芽を舌先でチロチロと転がしてやった。
女は私の太ももにがっしりとしがみつきながら、「んんんんんんん」と唸っていたが、しかし私の舌の動きが更に激しくなると、慌ててペニスを口から吐き出し、まるで狼の遠吠えのように天井を見上げては、「ああああああああああ」と叫び始めた。
こうなればこっちのものだった。あとは、乳首を摘んでも、肛門に指を入れても、いや、首筋を舐めただけでも狂ったように喘ぎまくるはずだ。
そう確信した私は、素早く女の体の下からすり抜けた。そしてベッドの下の黒カバンをガサゴソと漁りながら、うつ伏せになったままハァハァと肩を揺らす女の顔をソッと覗き込んだ。
女はシーツに横顔を押し付けながら驚愕していた。今のこの強烈な快感はなんだったの、と言わんばかりの表情を浮かべながら、ハァハァと荒い息を吐いていた。そんな女の丸い尻肉に、人差し指の爪先をスッと走らせてみると、再び女は「はぁん!」と腰を跳ね上げた。
黒いバッグの中からレザーのアイマスクを取り出した。それをベッドの上に放ると、更にバッグの中から黒い革手錠を引きずり出し、それを女に向けてヒラヒラと振ってやった。
それを目にした女の顔から、一瞬にして血の気が引いた。女はシーツに顔をつけたまま首を左右に振り、声を震わせながら「無理です」と小さく言った。
「無理? 無理か無理じゃないかは私が決めることですよ。私はあなたを金で買ってるんですからね」
そう笑いながらベッドに腰を下ろし、女の手首を掴んだ。
その手を必死に振り払おうとしながら、女は「でも、そういうプレイはお店で禁止されてるんです」と言った。
「そんな話は聞いてませんね……さっきお店の人は、殺す以外だったら何をしても大丈夫です、って言ってましたけどね……」
「とにかくお店に電話させて下さい」
そう言いながら女は起き上がろうとした。
そんな女の四つん這いになった尻を慌てて捕まえた。
いきなり女の尻の谷間に顔を押し付け、ワレメ、肛門、クリトリスと、そこらじゅうを滅茶苦茶に舐めまわしてやると、女は「ひゃん!」と悲鳴をあげながら再びシーツに顔を埋めた。
素早く私は、棒のように固めた舌を穴の中に挿入した。そして股の間から乳房に手を伸ばし、ピンピンに硬くなっている乳首を指で転がした。
そうしながら、固めた舌を穴の中にヌポヌポとピストンしてやると、女は「ヒィーヒィー」と狂ったように喘ぎ始め、生温かい尿をジワッと漏らした。

肛門をベロベロと舐めながら穴の中に指を入れた。二本、三本、四本、と入れてやると、女は激しく喘ぎながらも自らの意思で腰をカクカクと振ってきた。
指マンをしたまま女の目の前へと移動した。熱り勃った肉棒を突き出してやると、女はハァハァと荒い息を吐きながらそれにむしゃぶりついてきた。
女がそれを無我夢中でしゃぶっている間に、素早く女の両手を背中に回し、その両手首に革手錠をはめ、女を後ろ手に拘束した。
それでも女は肉棒をしゃぶっていた。もはや女に抵抗する意思はなく、両手を拘束されながら、首だけヒコヒコと動かしては肉棒を上下させていた。
私は、そんな女の長い髪を撫でながら、「旦那さんのペニスとどっちが大きい?」と聞いた。
しかし女はそれに答えないまましゃぶり続けていた。
私はどうしてもそれを答えさせたいと思い、素早く女の口からペニスを抜いた。
「ちゃんと答えなさい。私のペニスと旦那のペニス、どっちが大きいの?」
すると女は、唾液で濡れた唇を静かに舐めながら、「お客さんです……」と小さく答えた。
「ところで……旦那さんは、あなたがこんなバイトをしてる事は知らないよね?」
そう女の顔を覗き込むと、女は私からサッと目を逸らした。
「あなたがこうやって他人のペニスをしゃぶってる事を、旦那さんは知らないんでしょ?」
更にそう念を押してやると、女は小さく首を左右に振りながら、「いえ……知ってます……」と答えた。
その答えに、思わず私は「チッ」と舌打ちをしてしまった。いくら本物のワケあり主婦だとしても、これが旦那公認となると一気に背徳感が薄れてしまうのだ。
やはり、ワケあり主婦を陵辱するには、それなりの『後ろめたさ』が必要だった。それは旦那に対する背徳感であったり、子供に対する罪悪感であり、そんな倫理道徳に反する感情を抱きながら行うというのが、ワケあり主婦を陵辱する醍醐味なのである。
旦那公認だということを知り、一気に興醒めてしまった私だったが、しかし、だからと言ってここでこれを中止するわけにはいかなかった。
私は、そんな女の頭部にレザーのアイマスクを被せた。女は一瞬のうちに光を奪われたが、しかし抵抗はしてこなかった。
それどころか、手探りしながら私のペニスを探し出し、自らの意思でペニスにしゃぶりついてきた。
例のアレがキンキンに効いているこの女は、もはや旦那も子供も関係ない、ただの動物なのだ。
私はペニスをしゃぶられながら、再び黒いバッグに手を伸ばした。
大量のアダルトグッズを掻き分け、その中から緑色のバイブを取り出した。
それは、『マッハゼロワン』というピストン式バイブだった。
ピストンするのはわずか五センチほどの亀頭部分だけだったが、しかしそのスピードはかなりの高速であり、腟内深部にあるポルチオをガンガンと刺激した。しかも竿部分には無数のプラスチック玉が埋め込まれており、それがピストンと連動してドリルのように回転する仕組みになっていた。
高速ピストンと高速グリグリ玉により、腟内部を滅茶苦茶に掻き回してしまう恐ろしいバイブだった。
正常な女にこの『マッハゼロワン』を使用すると、たちまち「痛い、痛い」と絶叫しながらベッドの上をのたうち回るが、しかし、あれが効いている女にこれを使用すると、違う意味で絶叫しながらベッドの上をのたうち回った。
そんなバイブを右手に掴み、それを尻からワレメにヌルヌルと挿入してやった。
スイッチはまだ入れてはいなかったが、しかし、そのバイブ本体が結構な極太サイズであり、ましてや女はアレが効いていたため、それを挿入されるなり釣り上げられたマグロのように激しく飛び跳ねた。
叫ぶ女の口内から、唾液と一緒にペニスが飛び出した。そのタイミングでベッドを降りた私は、四つん這いになった女の尻へと移動した。
バイブが突き刺さったままの尻を見下ろした。そのバイブの根元からは、ローターが仕込まれた棒が枝分かれしていたため、その先端がクリトリスに当たるよう微調整した。
そうしながら「バイブを動かして欲しいですか?」と女に聞いた。女は言葉では答えず、無言で腰をカクカクと動かしながら、「早く動かして下さい」とばかりに体で答えた。
コントローラを左手に持ちながら、バイブが突き刺さっている結合部分を覗き込んだ。今までに、スイッチを入れた瞬間、バイブがヌポッと抜けて白けてしまった事が何度かあったため、もう一度そこを確認した。
しかし、極太バイブは穴の奥までぎっしりと嵌っていた。締まりが良いのか、それとも穴が小さいのか、それは鉄骨にはめ込まれたボルトのように、しっかりと固定されていた。
これなら大丈夫だろうと、まずはグリグリ玉を回転させてみた。
穴の中で、「ガー……」と玉が回転する音が鳴り出すと、それに合わせて女が「あぁぁぁ……」と低く唸りだした。
その低速で回転するグリグリ玉は、直接的に快感を与えるものではなかった。じわりじわりと快感を昂めてくれるものであり、いわば前戯のようなものだった。
そんな前戯をしばらく続けていると、突然穴の奥からバイブがヌーッと伸びてきた。
見ると、バイブが突き刺さった穴の隙間から透明の汁がタラタラと漏れていた。その汁によって滑りが良くなり、バイブが外に押し出されてきたのだ。
慌ててバイブの底を人差し指で押さえた。そして再び穴の中にそれをヌルッと押し戻し、そこを指で押えたままピストンのスイッチを入れてやった。
たちまちバイブは、ウィンウィンウィンウィン、と小刻みなモーター音を鳴らしながら上下に動き出した。
高速ピストンするバイブに腟内深部をガンガンと突かれた女は、言葉にならない言葉を叫びながら首を左右に振り、その長い髪を振り乱し始めた。
そんな女を見下ろしながら、「まだまだこれからですよ」と気色悪い笑顔を浮かべた私は、再びコントローラーを握った。
(これでこの女は一巻の終わりだ……)と、目玉をギラギラさせながらローターのスイッチをONにすると、クリトリスに押し付けられていた短い突起物がヴィィィィィィィと震え始め、同時に女が絶叫した。
そして、そのスイッチを入れてものの一分も経たないうちに、女は「イク! イク!」と泣き出し、突き出した尻をヒクヒクと痙攣させながら果てたのだった。

(つづく)
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わけあり5
2013/06/15 Sat 00:01
四つん這いの尻にバイブを突き刺したまま、女は三度も四度も果てていた。イク度に女は絶叫し、顔をくしゃくしゃにして泣きながら失禁していた。
そんなワケあり中年デリヘル嬢の無残な姿を、私は窓際のソファーに座りながら眺めていた。
立て続けにタバコを二本吸った。喉がイガイガしたため冷蔵庫へとスリッパを鳴らした。中からコーラを取り出し、痙攣する女の尻を横目で見ながら、ペットボトルの蓋をプシュッと開けた。
女の尻の谷間では、緑のバイブが休む間も無く行ったり来たりと繰り返していた。そのバイブは、激しい高速ピストンと回転する玉によって、穴から滲み出る透明汁をヨーグルト状の白濁汁へと変え、それを外部にダラダラと掻き出していた。
コーラをラッパ飲みしながら、ベッド横の床に置いてあった女のトートバッグを手にした。
再び窓際のソファーに腰を下ろし、トートバッグの中を覗いた。ベッドで喘ぐ女は、レザーのアイマスクをされているため、私がバッグを物色している事はわからない。
バッグの中の物を、上から順に一つ一つソファーの上に取り出した。
スマホ、さっきまで履いていたパンティー、使い古したルイ・ヴィトンの財布とキーケース。サラ金のポケットティッシュ2ヶ、飲みかけの『お〜いお茶』一本、駄菓子が詰まったスーパーの小袋。そして、ジッパーの付いたポケットの中には、関西電力の請求書と、アンパンマンのイラストが描かれた『春の遠足のお知らせ』が押し込まれていた。
どうやらそれは保育園からのプリントらしく、明日の午前中、保育園の裏にある神山公園に遠足に行くと書かれていた。
そのプリントから、駄菓子ばかりが詰まっているスーパーの小袋の謎が解けた。
さすが、借金に追われた家庭だけあり、その小袋の中身は妙に貧乏くさい駄菓子ばかりだった。プリントには、『おやつは二百円まででお願いします』と書かれているのに、その小袋の中身は、どう見積もっても五十円足らずだった。
そんな小袋の中から、一本しかない『うまい棒』を取り出し、無情にそれをガシガシと食ってやった。しかし、途中で無性に心が痛くなり、その小袋の中に百円玉を入れて元に戻した。
続いて財布を開けてみた。案の定、札入れには千円札が二枚しかなく、小銭入れには一円玉ばかりがパンパンに詰まっていた。
カードポケットにはスーパーの割引券しか入っておらず、キャッシュカードやクレジットカードは見当たらなかった。
そこから免許証を摘み出し、女の名前と生年月日、そして住所をメモに書き写した。免許証の住所は、関西電力の請求書に書かれた住所と同じだったため、女がそこに住んでいるのは間違いなかった。
ソファーの上に並べたそれらを全て元に戻し、スマホだけを残した。
スマホのスイッチを入れた。当然ロックされていた。
今時、生年月日を暗証番号にする奴などいないだろうと思いながらも、一応、女の生年月日を入力してみると、難なくロックは解除された。
やっぱりこの女はユルい女なのだ。
旦那の電話番号を知りたかった。
が、しかし、旦那が何と登録されているかわからず、電話帳からそれを見つけ出すのは困難だった。
そこで履歴から調べてみることにした。
さっそく履歴を開くと、
『あけぼのスーパー』
『パパ』
『スーパーあけぼの』
『どんぐり保育園』
と、出てきた。
さすが借金に追われる女だけあり交友関係は少ないらしく、その履歴には重複した同じ名前ばかりが並んでいた。
『パパ』は旦那に違いなかった。すぐさま『パパ』の情報を開き、そこに記されている電話番号とメールアドレスをメモに書き写した。
すると、それを書き終えた所で、ふとあることに気づいた。
『あけぼのスーパー』というのは、恐らく女がパートをしているスーパーの事であろうが、しかしそこにはもう一つ『スーパーあけぼの』と登録された履歴があるのである。
『あけぼのスーパー』と『スーパーあけぼの』。
レジ打ちごときがパート先の番号を二つも登録している事に違和感を覚えた。しかも二つの登録名は、酷似しているものの微妙に違っており、何やら意図的に登録名を改ざんされているような感じがした。
怪しいと思い、その二つの番号をメモに書き出してみた。
『スーパーあけぼの』の番号の下四桁『1919』だった。その『1919』に見覚えがあった私は、すぐさま自分の携帯の履歴を開いてみた。
案の定、ついさっき電話をした『ワケあり主婦専門店』の番号の下四桁も『1919』だった。
つまりこの女は、バイトしているデリヘルの番号を、もう一つのバイト先である『スーパーあけぼの』と登録していたのだ。
さっき女は、デリヘルのバイトは旦那公認だと言っていた。
しかし、もし本当に旦那が公認しているのであれば、わざわざ偽装登録する必要はないのだ。
確かに、『ワケあり主婦専門店』などとは登録できないだろうが、しかしだからと言って、わざわざあんなややこしい登録名にする必要はない。例えば、『A』とアルファベットで登録したり、でたらめに『山田さん』と登録すればいいわけであり、わざわざバイト先のスーパーの名前と酷似させる必要はないのだ。
では、何のために、あんなややこしい偽装登録する必要があるのか?
あそこまでカモフラージュしなければならないのは、何かそれなりの理由があるからに違いないのだ。
そう考えていると、女が五度目の絶頂に達した。
四つん這いの女は、その尻をヨガの『猫のポーズ』のように思い切り突き出しながら、「あああああああああああ」と叫んでいた。その叫び声は、深い谷底に落ちて行くように長く、そして悲痛だった。
そんな女の尻の中心では、突き刺さったままの緑のバイブが、まるで別の生き物のようにスコスコとピストンしていた。
例え女が絶頂に達してもその動きは弱まることはなく、激しいピストンによって穴から掻き出された白濁の汁が、白いシーツにポタポタ垂れていた。

そんな女の乱れた髪を見つめながら、ふと思った。
(旦那公認ってのは嘘だな……)
そう思うと猛烈な興奮が胸に湧き上がってきた。女のこの淫らな姿を撮影し、その画像を旦那のメールに送ってやったらと思うと、息苦しくなるほどの興奮に襲われた。
慌ててコーラを飲み、静かに立ち上がった。
コーラをラッパ飲みしたままベッドへと進み、悶える女の顔をソッと覗き込んだ。
女は首筋に血管を浮かべながら歯を食いしばっていた。まるで犬のように「ヴゥゥ……ヴゥゥ……」と唸りながら、絶頂直後の激しいピストンに耐えていた。
「そろそろ生チンポが欲しくなってきた頃でしょ……」
そう優しく微笑みかけながら、尻に突き刺さるバイブを抜き取った。
いとも簡単にツルンっと抜けたバイブは、そのままベッドにボトッと落ち、ドロドロの汁にまみれながらスコスコとピストンを続けていた。
素早くバイブのスイッチを止め、ハァハァと肩で息をしている女の頭部から乱暴にアイマスクを抜き取った。
一瞬、眩しそうにしながら、女は私を見た。
そんな女の目をソッと覗き込みながら、「あんなオモチャじゃなくて、生のチンポでズボズボされたくなってきたでしょ」と聞いた。そして、まるで催眠術をかけるかのように、「ほら、これを入れて欲しくて堪らないでしょ……」と、しゃがれた声で囁きながら、女のすぐ目の前で怒張したペニスを上下にシゴいてやった。
今までの女なら、もはやその時点でそれにむしゃぶりついているはずだった。無我夢中でそれをしゃぶったり、必死に手コキしたりしながら、今にも泣き出しそうな表情で「入れて、入れて」と声を震わせているはずだった。
が、しかし、この女は違った。
なんとこの女は、「すみません……私、本番はNGなんです……」とそこから目を背けたのだ。
そんなはずはなかった。アレを陰部に塗り込まれ、ピストン式バイブで散々にイカされた後の女というのは、例え犬畜生のペニスでも欲しがるものだった。今まで、アレを使って陵辱してきた女のほとんどがそうだった。
私は、きっと強がっているだけだろうと思いながら、女の目の前で更にペニスを激しくシゴいてやった。そして、「これで穴の中をグチャグチャに掻き回されたいでしょ?」と聞きながら、尿道から溢れる我慢汁をわざとクチュクチュと鳴らしてやった。
しかし、それでも女は、「本番はできません」と呟き、頑なにそこから目を背けていた。
そんな女の頑固な姿を見ていると、ふと、あの時の篠崎麻衣子を思い出した……
篠崎麻衣子は派遣社員だった。
26才、独身。スタイルもルックスもそこそこ良く、いつも男性社員たちからは好奇の目で見られていた。
私もそんな篠崎麻衣子に興味を持ち、さっそくストーカー根性で彼女の身辺を探ってみた。
が、しかしそこには意外な事実が隠されていた。

なんと彼女は貧困女子だった。
そこにどんな理由があるのかまでは調べられなかったが、とにかく彼女の住んでいるアパートはボロく、食事も決まってコンビニ弁当だった。
こっそり盗んだゴミ袋の中には、あらゆるサラ金会社からの返済催告状や、ガスや水道会社からの料金滞納催告書、更には電力会社からの、『電力供給停止の予告』と書かれた通知などが大量に詰まっており、その壮絶さを物語っていた。
しかし、私にとって、そんなワケあり女は好都合だった。容姿の悪い私には、彼女を口説き落とすことはできないが、しかし金とアレで落とすことはできるのだ。
そう企んだ私は、さっそく準備に取り掛かった。彼女が残業の日を狙い、私も残業を入れた。
幸いにも、その日は私と彼女だけが残業であり、会社には二人きりだった。
大量の書類の整理をしている彼女を横目に、私はそそくさとトイレに向かった。
営業部のトイレは一つしかなく男女兼用だった。この後、彼女がこのトイレを使用する可能性は非常に高く、それを狙っての犯行だった。
トイレに入るなり、私はホルダーの中のトイレットペーパーを三十センチほどダラダラと伸ばした。そして携帯用のスプレーをポケットから取り出すと、伸ばしたトイレットペーパーに満遍なくスプレーを吹きかけた。
そのスプレーの中身は、もちろんアレだった。あの飛鳥も田代もヘロヘロになるまで骨抜きにされた例のアレを水に溶かしておいたものだった。
アレがしっとりと浸透したトイレットペーパーを再び丁寧に巻き戻し、何食わぬ顔でトイレを出た。
デスクに座り、どうでもいいパソコンの画面を見つめながら、息を殺してその瞬間を待っていた。
それから約三十分後、遂に彼女がトイレへと向かった。
トイレのドアがバタンと閉まると同時に、私は急いでパソコンの画面を切り替えた。
そこには便座の前に立つ彼女の姿が映っていた。
彼女がソレでアソコを拭くかどうかを確認しなければならなかった私は、事前にそこにカメラを仕掛けておいたのだった。
盗撮されているとも知らず、彼女は便座の前で堂々とミニスカートをたくし上げた。
ストッキングは履いていなかった。スレンダーな下腹部に、白いハート柄の入った茶色いパンティーがぴったりと張り付いていた。
それをスルッと下ろしながら、彼女は便座に腰掛けた。一瞬しか見えなかったが、真っ白な下腹部に栗毛色の陰毛がとぐろを巻いていた。
残念なことに、安物のそのカメラにはマイクは付いていなかったため、小水の滴る音は確認することはできなかったが、しかし、身動きせずにジッと俯いている彼女のその仕草からして、今それがアソコから放水されているのは間違いなかった。
暫くしてふーっと小さな溜息をついた彼女が、いよいよトイレットペーパーに手をかけた。
それを両手にくるくると巻いた彼女は、まさかそこにそんなモノが染み込まされているなどとは夢にも思っておらず、何の疑いもなくソレをアソコに擦り付けたのだった。

ものの数分で彼女はトイレから出てきた。普通にデスクに戻り、さっきと同じように書類の整理を始めたが、しかしアソコは普通ではないはずだった。
アレは三十分ほどで効いてくるはずだった。その前兆を見逃し、そのまま彼女に帰られてしまっては全てが台無しになってしまうため、一時も彼女から目を離せなかった。
そうしながら刻々と時は過ぎた。丁度三十分を過ぎた辺りから、事務椅子に座る彼女の尻がムズムズと動き始めた。
彼女は立て続けに二回トイレに入った。ムズムズするアソコを覗き込みながら、不安げに首を傾げている彼女の姿をパソコン画面で見ていると、私のペニスは一瞬にして硬くなった。
トイレから出てきた彼女は、立て続けに二回もトイレに行った事を誤魔化すかのように、私の背中に「コーヒー淹れましょうか?」と聞いてきた。
「お願いします」と振り向きながら答えると、彼女は明るく「はい」と微笑み、そのまま給湯室に消えていった。
静まり返ったオフィスに、コーヒー豆を挽く、ギィィィィィンという音が響いた。
給湯室から香ばしいコーヒーの香りが漂ってきた頃、私は財布の中から四万円を取り出し、そのまま足を忍ばせた。
給湯室では、既にコーヒーメーカーがコポコポと小気味良い音を立てていた。
柱の角からソッと中を覗くと、彼女は自分の股間をジッと見つめながら尻をモゾモゾさせていた。しかも、時折ミニスカートの上から股間に指を押し付け、そこをスリスリと掻いたりもしていた。
そんな彼女の異常な仕草から、アレが効いている事を確信した私は、そのまま一気に給湯室に乗り込んだ。
いきなり現れた私に、驚いた彼女は、「どうしたんですか?」と目を丸めながら、股間をスリスリしていた人差し指を慌ててそこから離した。
私は無言で二万円を彼女に差し出した。
「なんですか…これ……」と戸惑う彼女に、「これで、しゃぶってくれないか」と単刀直入に聞いた。
「えっ」と絶句した彼女だったが、しかし、その瞬間にもアレは彼女の陰部をジクジクと疼かせ、彼女は絶句しながらも尻をモゾモゾさせていた。
今の彼女に二万円は魅力的なはずだった。今の彼女は、二日後に七千六百円の電気代を支払わなければ、電気が止められてしまう状況なのである。
しかも、彼女の陰部は、アレの効果によって激しく疼いているはずだった。陰部のムズムズがムラムラとした興奮へと変わり、確実にアソコは濡れているはずだった。
(断るはずがない)
そう確信していた私は、いきなりズボンのジッパーを下ろし、ガチガチに勃起したペニスを彼女の眼の前に晒したのだった。

「しゃぶるだけでいいんだ。すぐ終わらせるから頼むよ……」
そう言いながら迫ると、彼女は「えっ、えっ」と動揺しながら後ずさり、給湯室の壁に追いやられた。
壁に背中を押し付けた彼女は、ギョッと目を見開きながら迫り来る私を見ていた。「ちょっ、ちょっと待ってください」と狼狽えながらも、余程アソコが痒いのか、彼女は人差し指でスカートの股間をスリスリと掻いていた。
そんな彼女の目の前に二万円を突き出した。彼女の視線が、私の目から札へとゆっくり下りた。
「ほら、とっときなさいよ……」
そう優しく囁くと、それまで狼狽えていた彼女の瞳の奥に、小さな光がポッと灯るのが見えた。
彼女はそんな目をゆっくりと私に向けながら、「絶対に……誰にも言わないと約束してくれますか……」と恐る恐る聞いた。
私は無言でコクンと頷きながら彼女の手に二万円を握らせた。そして、彼女の両肩に静かに手を置き、そのままゆっくりと押してやると、背中を壁に押し付けたままの彼女は、まるでエレベーターが降りて行くようにスーッとしゃがんだ。
彼女の目の前で、怒張した肉棒がヒクヒクと脈を打っていた。パンパンに腫れ上がった亀頭からは我慢汁が滴り、皮が捲れ上がったカリ首からは恥垢の饐えた匂いが漂っていた。
そんなペニスを彼女は無言で握った。そして、その太さに合わせて唇を開くと、静かに目を閉じながらそれを咥えた。
彼女の生温かい舌は、尿道やカリ首を満遍なく滑り、亀頭全体にヌルヌルと絡みついてきた。そうしながら顔を前後に動かし始めると、血管が浮き出た竿に彼女の唇がペプペプと鳴った。

私は壁に両手を押し付けながら、彼女の唇の中を行ったり来たりと繰り返す自身の陰茎を見下ろしていた。そんな彼女の頭に、小豆大の円形ハゲが二つあるのを発見した私は、さすが貧困女子だと嬉しくなり、なんとしてもこのワケあり女の膣の中で射精したいと欲望を抱いた。
彼女は、ング、ング、と喉を鳴らしながら必死に顔を前後させていた。早くイカせようとしているのか、凄いスピードで顔を動かし、竿に唇を擦り付けていた。
そんな彼女を見下ろしながら、私はポケットの中から更に二万円を取り出した。
「もう我慢できない……これで、入れさせてくれないか……」
そう言いながら二万円を彼女に差し出すと、肉棒にジュプジュプと激しい唾液の摩擦音を鳴らしていた彼女の動きがピタリと止まった。
(ここまでしておいて、今更断るわけないだろう……それに、こいつのアソコもそろそろ限界なはずだ……)
そう高を括りながら、「中で出さないからナマでいいだろ?」と笑った。もちろん、そう言いながらも、その豊満の尻からたっぷりと精液を中出ししてやるつもりだ。
が、しかし、彼女はゆっくりとペニスを吐き出しながら首を横に振った。
「どうして?」と聞くと、彼女はそっと俯き、今にも消え入りそうな声で、「先月……婚約したんです……」と答えた。
小さく鼻で笑いながら、「でも、もうフェラまでしちゃってんだから同じことでしょ」と私が言うと、彼女は項垂れたまま左右に首を振り、「セックスは違います」ときっぱり言った。
彼女は頑固だった。その金を倍の四万円に吊り上げても、みんなに言うぞと脅しても、彼女は頑なにそれを拒否した。
しかし、いくら口ではそれを拒否していても、アレが擦り込まれた性器が我慢できるはずがなかった。
それを今までの経験上知り尽くしていた私は、貝のように塞いでいる彼女の前に平伏し、しゃがんだミニスカートの中を覗いた。

その茶色いパンティーには、案の定シミができていた。茶色いクロッチには、今にも氷柱の先からポトリと落ちそうな雫のように、卑猥な汁が溜まっていた。
「でも、すごく濡れてるよ……本当は入れて欲しいんでしょ?」
そう言うと、そこで初めてスカートの中を覗かれていることに気づいた彼女は、慌てて下唇を噛みながら股を閉じたのだった。
この状況で、これだけアソコを濡らしている女をレ○プするなどいとも簡単だった。どれだけ暴れようが、どれだけ泣き叫ぼうが、一度、肉棒をぶち込んでしまえば、アレの快楽にすんなり堕ちてしまうのは火を見るよりも明らかなのだ。
しかし私は、それを諦める事にした。
こんなにお金に困っていながらも、そしてこんなにアソコを濡らしながらも、それでも婚約者のために必死に貞操を守ろうとしているこの女が怖くなってきたのだ。
ここまで信念の強い女というのは、例えこの場で簡単にレ○プできたとしても、きっとその後が厄介だった。
レ○プ後、警察に駆け込む恐れもあれば、民事告発によって目ん玉が飛び出るほどの慰謝料を請求される恐れもあった。もしそれがダメだとしても、ヤクザやチンピラを雇い、きっと私に復讐してくるであろう。
しかし、それよりも何よりも一番怖いのは自殺だった。この手の女は、レ○プで感じてしまった事で自己嫌悪に陥り、婚約者に対する罪悪感から自殺してしまう恐れがあるのだ。
そんな厄介事に巻き込まれたくなかった。
例えばこれが、デリヘルや出会い系で捕まえた女というのなら、私の身元が判明していない分、そのリスクは非常に少なくなるのだが、しかし彼女と私は同じ会社に勤めているのだ。彼女は私の些細な個人情報までも全て知っているのだ。
だから私は諦めた。厄介事に巻き込まれるのが嫌で諦めることにした。
「わかりました……じゃあ、口でイカせて下さい……」と素直に諦め、再びフェラチオを再開させた。
それをさせている間も、彼女はしゃがんだ尻をムズムズと疼かせていた。時折、我慢できなくなったのか、ソッと股間に指を這わす仕草さえ見せていた。
そんな彼女を見下ろしながら、(ヤリたくてウズウズしてるんだろうな……)と思ったが、しかし臆病な私は再びセックスを誘うことはせず、そのまま大人しく、彼女の口内に大量の精液を吐き出したのだった。

必死に「本番はできません」と拒否しているこのワケありデリヘル女を見ていると、そんな篠崎麻衣子との苦い経験をふと思い出した。
あの篠崎麻衣子もこのデリヘル女も金に困っていた。そして二人共、アレの効果によって異常なほどに欲情していた。
にもかかわらず、二人は私の誘いを拒否した。
二人を頑なにそうさせていた原因は、いわゆる『愛』だった。
このように、篠崎麻衣子とデリヘル女には、夫と婚約者への『愛』という共通点があった。二人は愛する者のために、どんな欲望にも負けず貞操を守っているのだ。
が、しかし、あの時の篠崎麻衣子と、今のデリヘル女とでは、置かれている状況が違っていた。
私と篠崎麻衣子は同じ会社だったため、彼女は私の個人情報を知り尽くしていた。だから私は、その後の報復を恐れ、篠崎麻衣子をレ○プできなかった。
しかしこのデリヘル女は違う。この女にとって私は、たまたま出会った通りすがりの客だ。私の名前も住所も年齢すら知らないため、その後に報復のしようがないのだ。
だから今の私には、篠崎麻衣子の時に感じたあの恐怖は、微塵も感じられなかった。
恐怖どころか、むしろ、『愛』によって貞操を守ろうとしている女に、サディスティックなエロスを感じていた。
(滅茶苦茶にしてやる……そのイカ臭い『愛』とやらを、明け方の歌舞伎町の路地裏に吐き散らかされた吐瀉物のようにぐっちゃぐちゃにしてやる……)
そうメラメラと加虐的な興奮を漲らせた私は、今にも泣き出しそうな表情を浮かべながら、「お店に電話させて下さい……」と呟いた女の髪を、いきなり鷲掴みにした。
「いいですよ」と女の顔を睨みながら、もう片方の手でソファーに転がる女のスマホを手繰り寄せた。
そして「私が電話をかけてあげますよ」と告げながら、愕然とする女の唇に肉棒を押し付け、強引にそれを咥えさせた。
スマホを弄りながら、女の口内にコキコキと腰を振った。女の体はユッサユッサと揺れ、革手錠のクサリがチャリチャリと鳴った。
女は「ング、ング」という苦しそうな呻きながら、スマホを操作する私を不安そうに見ていた。
そんな女に、「ほら、もうロック解除できちゃった」と笑ってやった。そして、そこに開いた画面を見せながら、「今、電話かけてあげるからね」と不敵に微笑むと、突然女は、捕獲された猪のようにもがき出し、肉棒を咥えさせられたまま「ヴゥゥゥ! ヴゥゥゥ!」と必死に何かを訴え始めた。
そんなスマホの画面には、『パパ』と表示されていたのだった。

(つづく)
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わけあり6
2013/06/15 Sat 00:01
旦那の電話番号が表示されたスマホの画面を見せつけ、いつでも発信できるようそこに親指を伸ばしていた。
革手錠で後ろ手に拘束されていた女は、手も足も出ないアザラシだった。そこから逃げ出すことも、スマホを強行的に奪い取ることもできないまま、いつ旦那に発信されるかという恐怖にひたすら怯えていた。
「さっき、旦那さんは公認してるって言ってたけど……あれって嘘だよね?」
そう聞きながら、私はベッドの下に置いてある黒いバッグを漁っていた。
女は黙っていた。黙ったまま、絶望の表情でシーツを見つめ、時折、泣き出しそうな子供のようにヒクッと鼻を鳴らしていた。
「別にどーでもいいことなんだけど、どうしてわざわざあんな嘘ついたの?」
そう言いながら、プラスチックの白い玉が数珠繋ぎになっている『アナルパール』をバッグの中から取り出した。
ゆっくりとそれを目にした女は、すぐにそれが何だかわかったのか、突然「嫌です!」と叫びながら起き上がろうとした。
そんな女の尻を慌てて押え付けた。そして、「大丈夫だから、痛くないから」とその尻肉を強引に開こうとしたが、しかし女は必死に尻を窄め、「嫌です! 絶対に嫌です!」と泣き叫びながらそこを開こうとはしなかった。
仕方なく私は、更にバッグの中から黒いボンテージテープを取り出した。
うつ伏せになっている女の背中に馬乗りになると、女の右足の膝を強引に曲げさせた。必死に抵抗しようとする女は、「痛い、痛い」と泣いていたが、それでも強行に、曲げた右足の太ももと脛にボンテージテープをグルグルと巻きつけ、右足が伸ばせないようしっかりと固定した。
左足も同じように固定すると、ついでに後ろ手に拘束していた革手錠も外し、代わりにボンテージテープで両手首をグルグル巻きにした。
なぜわざわざ革手錠からボンテージテープに変えたかというと、革手錠の間には十五センチほどのクサリが付いており、その分、手が尻に届くため、アナルパールを肛門に突っ込んだ際、女が自らの手でそれを引き抜く可能性があったからだった。
そうやってボンテージテープでガシガシと拘束していると、ふと女が、「夫には……電話を掛けないで下さい……」とシーツに顔を押し付けたまま呟いた。
「まぁ、電話するかしないは、あなた次第ですね……」
そう笑いながら、アナルパールにヌルヌルとローションを塗り始めると、女は、「なんでも言う事を聞きますから、夫に電話するのだけはやめて下さい」と、グスグスと鼻を啜りながら泣き出した。
そんな女の震える肩を見ながら、私は目を細めて微笑んだ。横に倒れていた女の太ももをスリスリと撫でながら、「それじゃあ取り敢えず、そのまま膝を立てて、尻を突き出してもらいましょうかね……」と言うと、すぐさま女はモゾモゾと両膝を立て、斜めにさせた右肩と首で上半身を支えたのだった。
背中は弓なりに反り、肉付きの良い尻がプリンっと突き出していた。
降伏した女というのは潔いものだった。さっきとは打って変わり、女は自らの意思で思い切り尻肉を開いていた。もはやそこに羞恥心はなく、まさに恐怖によって支配された性奴隷のようだった。
連続でイッたバイブオナニーにより、陰部は白濁の汁でドロドロに汚れていた。パックリと開いたままのそこは、筒状の膣道が奥まで覗くことができ、これが男を狂わせる穴なのか……と、思わず女体の神秘に見入ってしまった。
そんな卑猥な穴のすぐ真上では、ライトに照らされた肛門がテラテラと輝いていた。三十路の商売女にしては綺麗な肛門をしており、シミやイボやケツ毛といった類は皆無だった。
しかし、そこにソッと鼻を近づけ、小刻みにスッスッと二、三度匂いを嗅いでみると、やはりパート帰りの女だけあり、微かなウ○コの香りがツーンっと匂った。
無臭よりも異臭が好きな私は、そんな素人感溢れる肛門に激しい欲情を覚えた。
「ウ○コそのものの匂いがしますね……」
そう羞恥を与えながら指先で肛門をツンっと突いてやると、まるでそこだけが別の生き物のようにスッと窄んだのだった。

窄んだ肛門を舌先でチロチロと舐めた。ウ○コらしき味はしなかったが、しかし、唾液で湿ったそこは更にその香りを強くさせた。
ローションを塗り込んだ指でそこをヌルヌルしながら、「アナルセックスの経験はありますか?」と聞いた。女はくすぐったいのか、肛門をヒクヒクさせながら、「ありません」ときっぱり答えた。
「お客さんにココを求められた事はないの?」
「……ありません……」
「あっ、そっか、このバイトを始めて間もないのか。確か、まだ四人しか客を取った事ないって言ってたもんね……」
「はい……」
「旦那さんにも求められた事ないの?」
「ありません……」
「へぇ〜……じゃあ、今まであなたのココは、ウ○コしか通ってないんだね……」
そう呟きながら、窄んだ穴の中に指先を滑り込ませた。そのまま指を尺取虫のように動かしながら奥へと進んで行くと、第二関節にきた辺りで女が「んん……んん……」と悩ましい声で唸り始めた。
「どう? 結構気持ちいいでしょ?」
そう聞くと、女は震える声で、「わかりません……」と答えた。
しかし、その声からして、女は明らかに快感を得ていた。
それもそのはずだった。例のアレは、本来性感帯ではない場所でも性感帯に変えてしまう力を持っているのだ。特に、口内や肛門といった粘膜部分は超敏感となり、ディープキスをされただけでイッてしまう女や、肛門に指を入れられただけで潮を吹く女もいるほどだった。
だから、例え肛門未経験の素人女であっても、アレを使われてそこを弄られれば、たちまち年季の入った肛門性癖者のように悶え乱れるのであった。
もはや指は根元まで突き刺さっていた。その指をグニグニと動かし、腸の内部を掻き回していた。それは、そこにウ○コが溜まっていないかを確認するための事前作業だった。
その溜まり具合によっては浣腸をしなければならなかった。少量ならイチヂク浣腸で充分だが、しかし、あまりにも頑固なモノが大量に詰まっているようなら、巨大浣腸器で食塩水を注入しなければならなかった。
しかし女のそこには、それらしきモノが見当たらなかった。まるで膣のように穴は貫通していた。
そんな確認作業をしている間にも、女はハァハァと卑猥な息を吐き始めていた。ついさっき「気持ちいいでしょ」という私の問いに、「わかりません」と白々しく答えておきながらも、女は指がグニグニと動く度に微かな喘ぎ声を漏らしていた。
そんな女の状態から、今これを挿入してやれば悶え狂うだろうと確信した私は、既にローションが塗りたくられたアナルパールを握り、肛門に差していた指をゆっくりと引いた。
それがヌポッと抜けると、括約筋が緩んだ肛門は、まるで鯉口のようにぽっかりと開いていた。すぐさまそこにアナルパールの先を突き刺し、その結合部分にローションをタラタラと垂らしながら、ゆっくりゆっくりそれを押し込んで行った。
そのアナルパールの長さは二十センチほどで、そこに大小のプラスチック玉が交互に連なっていた。
それが半分まで沈むと、今まで微かな喘ぎ声だったのが、今度ははっきり「あぁぁぁん……」という声になった。
それを、入れて引いて入れて引いてと何度も繰り返してやると、そのうち女は狂ったように喘ぎ始め、遂に自らの意思で、「お願いします! セックスして下さい!」と叫び出したのだった。

その言葉を待っていた。
アナルパールをピストンしていた私は、もう片方の手でスマホを持ちながら、その言葉が女の口から出るのを待っていたのだ。
四つん這いで喘いでいた女は、その背後で私がスマホを握っている事を知らなかった。狂ったように喘いでいたため、録画スイッチを押した際に鳴る開始音にも気づかなかった。
「早く……早く入れて下さい……」
女は腰をクネクネさせながら声を震わせた。
「何を入れて欲しいの?」
私は意地悪くそう聞いてやった。
「ハァハァ……おちんちんを……」
「どこに?」
「ハァハァ……アソコに……」
「アソコとはオマンコの事ですか?」
「ハァハァ……そう……です……」
「そうなら、そうとはっきり言いなさい。どこに何を入れて欲しいんですか?」
「ハァハァ……おちんちんを……私のオマンコに……入れてください……」
それはまるで昭和のエロ劇画のようなダサいやりとりだった。しかし、彼女の意思を録画しようと思うと、どうしてもこんな風にダサくなってしまうのだった。
それでも私の意図とするシーンは完璧に録画できた。この動画さえあれば、今後この女を煮るなり焼くなり好きにできるのだ。
私はそのスマホをソッと背後に置いた。そして、女の体に巻きついているボンテージテープをビシビシと捲り始め、拘束していた女の体を解放した。
これで女は抵抗することができた。本気で逃げ出そうと思えば、そのまま廊下に強行突破する事も不可能ではなかった。
しかし女は、そうする気は全くなさそうだった。まるでペニスを待ちわびているかのように、女は四つん這いのまま私に尻を突き出していたのだった。
そんな女の尻肉を両手で開き、陰部を剥き出してやった。
クパッと開いた割れ目には、肛門から溢れたローションと、ピストン式バイブで掻き出された白濁の汁、そして新たに湧き出てきた透明の膣分泌液がギトギトと輝いていた。真ん中でポツンと開いていた膣口は、餌を欲しがる鯉口のようにヒクヒクと動き、その奥ではピンク色した粘膜がヌルヌルと蠢いていた。
右手で尻肉を開き、左手の中指で陰部を撫でた。指腹がヌルっと滑ると同時に女の尻がヒクッと跳ね上がり、その指がクリトリスまで滑っていくと、女は「はぁぁぁぁぁ」と空気が抜けたような声を出した。

ドロドロに濡れた穴の中に中指をヌルヌルと泳がせた。アレが効いているせいか、それは余程に気持ちいいらしく、女は「ああああ……」と目を細めながら、「早く入れてください……」と声を震わせていた。
私は再びスマホを手にした。ただし今度のそれは私の物ではなく、女のスマホだった。
悶える女の背中を見下ろしながら旦那の電話番号を開いた。背中から女の顔にそっと手を伸ばし、『パパ』と表示されている画面を女に見せた。
「旦那に電話しろ」
そう言うなり、女は「無理です!」と叫びながら、必死にそのスマホを奪い取ろうとした。
そんな女の手を素早く避けながら、私は女の枕元に自分のスマホを投げ捨てた。そして、さっき録画した女の卑猥な動画を素早く再生してやると、いきなり「セックスして下さい!」と叫ぶ女の声が部屋に響き渡った。
女は四つん這いのまま凍りつき、愕然としながらそれを見つめていた。
そんな女の耳元に、「この動画、ネットに晒してやろうか」と囁くと、凍りついていた女の肩がガクガクと震え始めた。
「ネットよりも、どんぐり保育園とか旦那の会社のサイトに送りつけてやったほうが面白いかも知れねぇな」
そうニヤニヤ笑いながら素早く自分のスマホを取り戻し、代わりに、『パパ』と表示されている女のスマホをそこに投げ捨てた。
「そうされたくなかったら旦那に電話しろ」
動画を見せられ観念したのか、女は声を震わせながら、「……電話して……何を話せばいいんですか……」と言った。
「何でもいい。俺がイクまで旦那と話し続けろ」
そう言いながら尻肉を開くと、テラテラと輝く割れ目の表面に、怒張した亀頭をヌルヌルと滑らせた。

女は背骨を仰け反らせながら、「ハァン」と声を漏らした。
さすがアレが効いているだけあり、こんな状況でも女は感じていた。
「旦那は、お前がこんなバイトをしてる事、知らないんだろ?」
女はコクンっと頷いた。
「バレたら困るだろ?」
もう一度、女はコクンと頷いた。
「だったらそんな声を出すなよ。すぐにオマンコしてるのがバレちまうぜ」
そう笑っていると、女は亀頭の感触に刺激されたのか、頬をポッと火照らせながら、その視線をゆっくりと落とした。そして『パパ』と表示されている画面を潤んだ目で見つめながら、「電話をすれば……さっきの動画は削除してくれますか」と呟いた。
「いいだろう。これが終わったらお前の目の前で消してやるよ」
ワレメに亀頭を滑らせながらそう言うと、女は恐る恐る私の顔を見上げながら、「ゴムは……」と聞いた。
「心配すんな。中で出さねぇよ……だから早く電話しろ」
女は、噛み締めた下唇をブルブルと震わせながら、『パパ』と表示されたスマホを手にした。
それと同時に、私は親指でワレメをベロリと捲りあげた。そして剥き出されたピンクの粘膜に亀頭だけをヌルヌルと擦り付けながら、「バレないように気をつけろよ」と忠告してやった。
しかし女は、もはやヌルヌルと滑る亀頭の感触に自分を見失っていた。発信ボタンを押し、スマホを耳に当てるなり、早くも、「あああ……」と卑猥な声を漏らしてしまっていたのだった。

(つづく)
《←目次》《7話へ→》
わけあり7
2013/06/15 Sat 00:01
女の耳に押し当てられたスマホの隙間に指を入れ、コールしている画面のスピーカーを押した。
静まり返った部屋にプルルルルというコール音が鳴り響くと、それが緊張と興奮を更に昂め、私は女の尻にしがみつきながら軽い目眩を覚えた。
そんなコールは六度目で途切れた。すぐさまスピーカーから、「はい」という夫の声が聞こえ、それだけで私はイキそうになった。
女は、必死に声のトーンを変えながら、「私です……」と言った。
男は同じ声のトーンのまま、「うん」と答えた。
女は、しどろもどろになりながらも、「……優子と隆は……もう保育園から帰ってきたのかなぁ……」と、まるで独り言のように呟いた。
すると、一瞬間をおいて、夫が「いきなりどうしたの?」と聞き返した。
恐らく、いつもはそんな会話をしないのだろう、夫のその声は、明らかに妻を不審がっていた。
女は戸惑いながらも、「うん……実はね……」と話し始めたが、しかし、何を話すのか事前に考えていなかったため、すぐに言葉を詰まらせた。
女は頭の中が真っ白になったようだった。「あのね」と「そのね」を何度も繰り返しながら焦っていた。
そんな女の背後に潜んでいた私は、その隙をついてゆっくりと両膝を立てた。すると、それまでワレメの表面をヌルヌルと泳いでいた肉棒の角度が変わり、亀頭だけが穴の中にヌルッと突き刺さった。

いきなり女が、「はぁん!」と声を上げながら、四つん這いの背骨を仰け反らせた。
すぐに夫が「え?」と言い、「今、何て言った?」と聞き直した。
焦った女は、「ううん、違うの。ちょっと頭が痛くって……」と答えた。
「またいつもの偏頭痛か?」
「……うん……」
「だから医者に行けって言ってるだろ……」
「うん、だから今、病院に来てるの……」
女はそう上手く誤魔化した。女は持病らしき偏頭痛に助けられたのだ。
「そんなに酷いのか?」
そう心配そうに聞く夫の声が聞こえるなり、私はゆっくりと腰を落としてやった。
ドロドロに濡れた穴の中に、太い肉棒がヌメヌメと沈んでいくと、女は慌ててスマホの送話口を手の平で押さえ、ベッドに顔を押し付けながら「んんんんんん」と唸った。
そんな女の穴は思っていた以上に狭かった。出産経験が二度もある三十路の風俗嬢にしては珍しく、その穴はまるで肛門のようにキツかった。

根元まですっぽりと突き刺さった肉棒は、蠢く膣筋にニギニギと締め付けられていた。
これはすごい名器だと、肉棒を根元まで突き刺したままその具合の良さに目を細めていると、「もしもし! おい! 大丈夫か!」と、慌てた夫の声がスピーカーから響いた。
女は急いでベッドから顔を上げた。そして大きく息を吸い込むと、「大丈夫、ちょっと目眩がしただけ」と言いながらゆっくり息を吐いた。
「先生には診てもらったのか」
「うん。今、検査の結果待ちなの」
「検査って……いつもの偏頭痛とは違うのか?」
そう焦る夫に、「うん。私はいつもの偏頭痛だと思うんだけど、でも先生が一応検査しときましょうって……」と、女は最もらしい嘘をついた。
そんな女の尻を見下ろしながら、(この嘘つき女め……)と思った。
そう思うと、もっともっとこの女を窮地に追い込んでやりたくなり、女が話している最中に、根元まで突き刺さっていた肉棒をゆっくりと引いてやった。
穴の筋肉に激しく締め付けられているせいか、肉棒の血管や亀頭のカリ首が膣壁にゴリゴリし、何とも言えない快感が太ももからジワジワと湧き上がってきた。
当然女も、そんなゴリゴリに快感を得たらしく、話の途中で「んん!」と唸っては、再びベッドに顔を押し付けた。

「おい! どうした! 大丈夫か!」
そう怒鳴り立てる夫の声を聞きながら私は腰を振り始めた。
剥き出した穴の中にズプズプと突き刺さる肉棒は、子宮をガンガンと突いていた。
女はアレが効いている。しかもここまで焦らされている。
そんな女は、いつしか握っていたスマホを放り投げていた。両手でシーツを鷲掴みしながら、肉棒がピストンする動きに合わせて、「ハァン! ハァン!」と喘ぎまくっていた。
放り出されたスマホから、「おい! 大丈夫か!」と叫ぶ夫の声が、ひっきりなしに聞こえてきた。
それを無視して平気で喘いでいる女の耳元に、「このままだと旦那さんにバレちゃうよ」と囁いてやると、途端に女は「はっ」と我に返り、慌ててスマホを掴んだ。
「ごめんなさい……急に頭がクラクラして……」
そう女が話す間にも、私はスコスコと腰を振っていた。女は既に潮を吹いたのか大量の汁を垂れ流し、その結合部分からは卑猥な音がグチャグチャと鳴り響いていた。
女は、声が漏れないよう必死に唇を噛み締めながら、「大丈夫……ちょっと休んでればすぐに良くなるから……」と言った。しかし、それでも夫は心配なのか、「先生はいないのか! そこに先生か看護婦はいないのか!」と叫んだ。
そんな夫の言葉に、すかさず私は肉棒を抜いた。そして、素早く女の手からスマホを奪い取ると、愕然としている女を不敵な笑顔で見下ろしながら、スマホを耳に当てた。
「もしもし、お電話かわりました医師の滝沢と申します」
そう言うと、夫は少し安心したように、「ああ、先生ですか」と声を和らげた。
「妻は大丈夫なんでしょうか」
「はい。さっきCT検査をしまして、今はその結果待ちですので何とも申し上げられませんが、かなり頭痛が激しいようでしてね……」
「何とかならないでしょうか先生!」
「ええ、ですから今、鎮痛剤を用意したんですけどね……」
「お願いします。すぐに打ってやってください」
「うん。ただね、この鎮痛剤は相当強い薬でしてね、一時的に脳を麻痺させて痛みを抑えるという危険なものなんですよ」
「…………」
「頭痛は瞬間で消えるんですけど、その後に多少の副作用が——」
「——どんな副作用ですか」
「ええ、まぁ、食欲が激減したり、二、三日は歩行が困難になったりという程度なんですけどね」
「結構です。すぐに打ってやってください」
「あと、この鎮痛剤は膣から注入する座薬ですので、もし奥さんが妊娠してますと流産の恐れがあります。現在、奥さんは、妊娠していたり、その可能性というのはございますか?」
「いえ、妊娠してません」
「その可能性は?」
「可能性と申しますと……」
「最近、膣内射精はしましたか?」
「いえ」
「性交時に避妊具を使用してるんですか?」
「いえ、使ってません……使ってませんけど、ただ、ここ最近はずっと、その、性行為はしてなくて……」
「ずっとと申しますと、どれくらいの期間ですか? もしかしたら知らないうちに受精している可能性もございますので、詳しく教えてください」
「いや、それは大丈夫です。もう一年以上はしてませんから」
「一年以上ですか……それはまずいなぁ……」
「え?……何か問題があるんですか?」
「ええ。実はですね、うちの病院には、その鎮痛剤を注入する器具が旧式の物しか置いてないんですよ。頻繁に使用するものではありませんからね……」
「はぁ……」
「その旧式の器具は、五百ミリリットルのペットボトルくらいあるんですけどね、そんな大きな器具を膣の奥まで入れて、鎮痛剤をゆっくり注入しなければならないんです。ですから、一年以上も性行為がないとなると膣の筋肉が硬くなっていますから、それがスムーズに入るかどうかが……
「…………」
「もし、どうしても入らないという場合には、筋弛緩剤で膣の筋肉を緩めるという方法もあるんですが、しかし、鎮痛剤と筋弛緩剤を同時に使用するとなると、その後の副作用が心配でしてね……」
馬鹿な話だった。これが本当なら、一年以上セックスしていない女は出産できないという事になるのだが、しかし、不安に駆られていた夫は、そんな矛盾には全く気づいていなかった。
「この器具で鎮痛剤を注入するとなりますと、奥さんは大変苦しい思いをするかと思います。旦那さんがそれでもよろしいというのであれば……」
わざとらしくも、恐る恐るそう聞いた。
すると夫は、突然声を低め、「背に腹は代えられません。まずは、その頭痛を取り除いてやることが先決です」と、まるで何かを決意した武士のように呟いた。
バカかこいつは、と思いながらも、「それでは、鎮痛剤を注入しますからね」と私はペニスを握った。
「よろしくお願いします」と言う夫に、「このまま電話を切らないで、何か奥さんと話してやっててください、気が紛れると思いますから」と言ってやると、夫は半泣きになりながら、「わかりました」と声を震わせた。
どこまでもバカな夫だ。
スマホを女に渡し、その耳元に、「セックスしている間、ずっと旦那と喋ってろ。絶対に電話を切るんじゃないぞ」と念を押した。
すると女は、素直にコクリと頷きながら、ソッとスマホを耳にあてた。
そんな女を見下ろしながら再び女の尻肉を両手で開いた。そしてベロリと口を開いたドロドロの穴の中に亀頭をツルンっと滑らせ、そのまま肉棒を根元までヌーっと潜り込ませてやったのだった。

まるで深い谷底に落ちていくかのように、女は、「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」と長く叫んだ。
そんな叫び声の中に、「大丈夫だぞ! 少しの辛抱だぞ! 頑張れ!」という夫の声が混じり、まるで『立ち会い出産』のような雰囲気になってしまった。
こんな雰囲気では燃えないと思い、私は慌てて女の手からスマホを奪い取った。
「変に励まさないでください。頑張れとか辛抱しろとか言うと、逆にそこに神経が集中して余計痛くなってしまうものです。ですから、お子さんの話とか、今夜の夕飯の話とか、普通の会話をしてやってください」
そう言ってやると、すぐにスマホのスピーカーから、「了解しました!」という軍隊のような返事が響いた。
そのまま腰を振り始めた。ゆっくりとピストンする肉棒には透明汁がネトネトと糸を引き、ピタッ、ピタッ、と粘着性のある音を鳴らした。
そんな結合部分にスマホを近づけ、その卑猥な音をバカ夫に聞かせてやった。しかし、まさかその音が他人男のペニスが奏でている音だとは夢にも思っていない夫は、「優子はね、今、一人で大人しくアンパンマンのぬり絵をやってるよ……」などと話していた。
スマホを女に手渡し、「話をしろ」と言った。女がそれを耳にあて、「あなた……」と言うなり、凄まじい勢いで腰をガンガンと振りまくってやった。

パン、パン、パン、と尻肉が炸裂する音と、それに合わせて「あん、あん、あん」と喘ぐ女の声が部屋に響いた。
それでも夫は必死に冷静さを装いながら、「隆は、また保育園でいじめられたらしいよ。早く自転車を買ってやらないと可哀想だね……」などと話していた。
しかし、アレが効いている妻には、そんな夫の言葉は、もはや耳には入って来なかった。止まることなく襲い掛かってくる快感に狂わされ、妻や母という立場を忘れてしまった女は、もはや獣のように喘ぎまくっていた。
「イキます! またイっちゃいます!」
そう泣き出しながら女が叫んだ。さすがに動揺したのか、夫は、「行くってどこに!」と叫び返した。
そんな夫の声を聞きながら、その夫の妻を陵辱していた。
凄まじい背徳感が凄まじい性的興奮を呼び起こし、思わず私も、「中で出すぞ!」と叫んでしまった。
すると、女は一瞬真顔に戻り、慌てて私に振り向いた。
「やめて! 今は排卵日なんです!」
その緊迫した表情が、私のS心を激しく刺激した。
そんな女の顔を見ながら、「全部、旦那に聞こえてるぞ」とニヤリと微笑んだ。
一瞬、「はっ!」と我に返った女だったが、しかし、私の腰が更に激しく動き始めると、すぐさま女は獣に戻り、再び卑猥な悲鳴を上げ始めた。
いつの間にか放り捨てられたスマホから、「マミ! マミ!」と必死に妻の名を叫ぶ夫の声がひっきりなしに響いていた。
そんな夫の悲痛な叫びを聞きながら、私は、穴の中にズブズブとペニスを突き刺したまま、ゆっくりとベッドに寝そべった。ペニスを挿入したまま仰向けに寝転がると、いつしか後背位から背面騎乗位の体勢に変わっていた。
寝転がった私の腰の動きが弱まると、すぐさま女の尻が上下に激しく動き始めた。
そんな女の尻を撫でながら、「あんまり激しく動かすと、中で出ちゃうぞ……」と囁くと、女はそれを無視して更に激しく尻を振ってきた。
「おい! マミ! 大丈夫なのか!」
ベッドの隅に転がっていたスマホから夫の声が響いた。
「旦那さん、可哀想じゃないか。何とか言ってやれよ」
そう言いながら女の前にスマホを放り投げてやると、女はユッサユッサと尻を振りながら、「もう大丈夫よ……あなた……」と言った。
「大丈夫のか? もうその鎮痛剤を入れるのは終わったのか?」
ホッとした声で夫がそう聞くと、女は長い髪を妖艶に揺らしながら、「まだよ……今、やっと膣の中に……器具が入ったの……だから……これからそれを注入するの……」と、途切れ途切れに答えた。そう答えながらも、女は自ら尻を動かし、膣に肉棒をヌポヌポと出し入れしていた。
夫は半泣きになりながら、「その注入ってのは痛くないのか……」と聞いた。
「わかんない……だけど、きっと痛いと思う……」
そう女が答えると同時に、私は、わざと夫に聞こえるほどの大きな声で、「それじゃあ、そろそろ中に出しますよ」と言った。
それに合わせて、「だ、大丈夫かマミ!」と夫が叫ぶと、いきなり女の尻の動きが激しく動き出し、女は狂ったように、「あなた! あなた!」と喘ぎ始めた。
そんな女の尻を見ながら、私は、「イクぞ……中で出すぞ……」と囁くと、揺れ動くその大きな尻を思い切り引っ叩いた。
ピシャン! という乾いた音が鳴り響くと同時に、私の尿道にゾクゾクとしたものが走った。
穴の中にすっぽりと飲み込まれたペニスはドクンドクンと激しく脈を打ち、そこに大量の精液を吐き出したのだった。

大きな尻肉をタプタプと上下に振っていた女は射精に気づいた。
ドクドクと注入される精液の感触に興奮したのか、女は激しく悶えながら狂ったように腰を振りまくった。
夫は必死に「マミ! マミ!」と叫びまくっていた。そんな夫に強烈な背徳感と罪悪感を感じたのだろう、突然女は、「ごめんなさい! ごめんなさい!」と泣き出した。そして、射精するペニスが結合したままの状態で、大量の小便を漏らしたのだった。
私と女は、ほぼ同時に絶頂に達した。
ゆっくりとペニスを抜くと、同時に、そこに溜まっていた精液がドロッと垂れた。それはまるで、『妖怪人間ベム』のオープニングのワンシーンのようであり、なんとも薄気味悪く感じた。
アレが効いているせいか、女はまだまだ欲しそうだった。
しかし、全ての欲望を放出してしまった私には全くその気はなく、未だ尻を突き出しながら肉棒を欲しがっているこの中年女が気持ち悪くてしょうがなかった。
静まり返ったベッドでは、スマホから聞こえる夫の声だけが痛々しく響いていた。
私は、溜め息混じりにそのスマホを手に取ると、「注入は無事に終了しましたからもう安心ですよ」と言ってやり、飲みかけのコーラを乾いた喉にゴクゴクと流し込んだ。
「先生、ありがとうございます」
泣き出さんばかりの声で夫はそう言っていたが、しかし、アレが効いている女は未だ四つん這いで尻を突き出し、その尻を私に向けて大きく開きながら精液で汚れた陰部をヒクヒクさせていた。
「まだ欲しいのか?」
そう聞くと、女は自分でクリトリスを弄りながら、「もっとしてください」と声を震わせた。
アレに堕ちてしまった女ほど見苦しいものはなかった。アレに堕ちてしまうと、理性もプライドも消え失せ、その欲望を得るためなら泥水さえも平気で啜るのだ。
そんな女に興味はなかった。例えワケあり女であれ、それなりの自尊心がなければ嬲る面白みがないのだ。
気怠い溜息を吐いた私は、ふと、飲みかけのコーラのペットボトルの先を、ドロドロに汚れた陰部に突きつけてみた。
すかさず女は「ハァン」と息を吐き、その尻をビクンっと跳ね上げた。
それを穴の中にグニョグニョと押し込み、突き刺さったペットボトルの底を指でユッサユッサと揺らしてやった。
すると女が「あぁぁ、あぁぁ」と激しく悶え始めたため、その声が聞こえたのか、再び不安に駆られた夫が、「先生! ど、どうしたんですか!」と慌てて聞いてきた。
「ああ、心配いりませんよ、ただの膣洗浄です。膣に溜まっている残液を炭酸水で洗い流してるだけですから心配しないでください」
そう答えながらペットボトルの底を指でクイッと持ち上げると、真っ黒なコーラがドクドクと膣の中に流れ込んでいくのが見えた。

たちまち結合部分から黄金色の泡が溢れ出した。
それがシャワシャワしながらシーツの上にボタボタと落ちると、ふと、コーラで洗浄すれば避妊できるという一昔前の都市伝説を思い出した。
女は悶えていた。炭酸に粘膜を刺激されながら身悶えていた。
夫は不安に駆られていた。妻の悲痛な喘ぎ声を聞かされ、「先生、大丈夫ですか」と何度も聞きながら半泣きになっていた。
私はぼんやりとしていた。シーツに落ちる不浄な泡をジッと見つめながら、明日の遠足は雨が降らなければいいがと思っていた……
ふと気がつくと、けたたましいサイレンの音と共に、「三十代男性、全身打撲、意識はありません」という声が耳に飛び込んできた。
目を開けようしたが、パンパンに腫れた瞼はほんの微かに開くだけだった。喋ろうとしても、ボコボコに腫れた唇は思うように動いてくれなかった。
微かに開いた目に、白いヘルメットを被った男がぼんやりと見えた。男は、運転席に向かって「奈良中央病院が受け入れてくれましたぁ〜」と告げていた。それは、近所のラーメン店のバイト学生が、厨房の親父に向かって、「担々麺入りましたぁ〜」と言うのと同じ発音だった。
ピッ、ピッ、ピッ、という医療ドラマでよく耳にする音が真横で鳴っていた。その音を聞きながら、あれだけ殴られてよく生きてたなぁ、と思った。
男たちは明らかにヤクザだった。どうやってホテルの部屋の合鍵を手に入れたのかわからないが、コーラのペットボトルが突き刺さったままの女の肛門に、ペニスをズブッと挿入した瞬間、三人の獰猛な男達がいきなり部屋に突入してきた。
あっという間の出来事だった。ドアが開き、男達が雪崩れ込み、「誰!」と叫ぶと同時に後頭部に重たい衝撃を受け、一瞬にして目の前が真っ暗になった。
朦朧とする意識の中、ドカドカと無数の拳を喰らわされた。不思議な事に全く痛くはなかったが、しかし、その恐怖は半端ではなかった。
遠くの方で「大丈夫か!」という男の声が聞こえ、それと同時に女の泣き叫ぶ声が聞こえた。
誰かが「トランクに入れまっか」と言うと、また別の誰かが「このまま放っとけ」と言った。すると誰かが「この変態がぁ」と言いながら私の後頭部を革靴の踵でガンッ! と踏みつけ、そして誰かの「行くぞ」という声と共に私の意識は完全に飛んだのだった。
ピーポーピーポーとけたたましく鳴り響くサイレンの中、ヘルメットの男が呟いた。
「ホテルの人が言うてましたけど、こいつ、デリヘル呼んどったらしいですわ」
すると運転席から、「どうせ女に悪さしてヤー公にやられたんやろな」という声が返ってきた。
「でしょうね、バッグの中からシャブが発見されたって警察の人が言うてましたから」
「薬物反応は出てんのか?」
「いえ、気持ち悪いから検査してませんわ」
酸素マスクが被せられた鼻が異常に痒かった。
しかし、手が動かないため鼻を掻くことはできなかった。
ヘルメットの男がケラケラと笑った。「チンポの先にウ○コが付いとるわ」と関西弁で笑った。
思わず私も笑っていた。
酸素マスクの中でケラケラと笑っていた。
「こいつ、笑うとるわ!」
ヘルメットの男が驚いた。
それでもケラケラ笑っていると、いきなりヘルメットの男が、「なに笑うとんねんチンポのカスがぁ」と、ストレッチャーの足をガン! と蹴飛ばしたのだった。
(わけあり・完)
《←目次》
雌豚肉便器1
2013/06/15 Sat 00:00
「君は、顔はブスだが、体はいい」
会社帰り、駅の改札口を出るなり突然背後からそう声をかけられた。
振り返ると五十半ばのスーツを着た中年男が、何やら怒ったような顔をしながら恵美子を睨んでいた。
全く見覚えのない人だった。
その見ず知らずの中年男に手を引かれ、駅裏にある古いビジネスホテル『あらや』に連れて行かれた。
恵美子は抵抗しなかった。そこに抵抗する理由は何もなく、恵美子は素直に男に従ったのだった。
ベッドとソファーだけが置かれた狭い部屋だった。
白い壁紙はタバコのヤニで茶色く染まり、クリーム色のカーペットにはコーヒーをひっくり返したかのような大きなシミが広がっていた。
男は恵美子をベッドに座らせた。自分はそのベッドの真正面に置いてあったソファーに腰を下ろし、鋭い眼光で恵美子を睨みながら、「歳はいくつだね」と聞いてきた。
「26歳です……」
そう恐る恐る答えると、男は矢継ぎ早に「勤務先は」と聞いてきた。
「……不動産の事務をしてます……」
「君はマゾだな」
驚きながらそっと顔を上げると、男は銀縁眼鏡の奥で目を座らせながら、「雌豚だろ」と低く呟き、自分で自分の股間をスリスリと撫で始めたのだった。

確かに恵美子にはマゾ的な性癖があった。
というか、今までにSMプレイというものをしたことがないため、本当に自分がマゾなのかどうかはわからなかったが、しかし、オナニーをする度に、いつも誰かに乱暴に犯されている想像ばかりしていたため、恵美子は自分をマゾだと思い込んでいた。
恵美子はブスだった。性格も暗く、友達もおらず、いつも一人だった。
合コンや飲み会など一度も誘われたことはなく、街でナンパされる事もなければ、出会い系サイトに電話をする勇気もなかった。
だから当然彼氏はいなかった。今までに付き合った男は一人もいなかった。
それでもセックスはそれなりに熟していた。
そんな恵美子に言い寄ってくるのは、決まって加齢臭漂うオヤジたちばかりだった。
恵美子は、会社の上司たちから性処理女として扱われていた。上司と言っても、そのほとんどがウダツの上がらない平社員ばかりだったため、それは不倫などといったロマンチックなものではなく、ただ単に風俗嬢代わりに利用されているだけだった。
オヤジたちは、すぐにヤらせてくれる恵美子を肉便器と呼んでいた。ヤリたくなったら恵美子をボイラー室やトイレなどに連れ込み、まるで小便をするかのようにちゃっちゃっと処理していた。
だから彼らは、共通して恵美子の事を肉便器と呼んでいたのだが、それでも恵美子は、そんな薄汚いオヤジたちの身勝手なセックスに喜びを感じていた。
まともに愛撫されることはなく、いきなり入れて、擦られて、そして勝手に射精されるといった無残なセックスでも、男運に恵まれない恵美子にとっては、その肉棒は唯一自分を女として認めてくれる物体だった。
だから恵美子は、例え自分が性処理用の肉便器として利用されているとわかっていても、荒々しくピストンする肉棒の動きや、そこから吐き出される精液の温もりに女としての喜びを感じ、世間一般の女たちのように喘ぎ悶えていたのだった。
そんな恵美子だったから、この見ず知らずの中年男に突然声を掛けられ、強引に腕を引っ張られても、抵抗することなく黙って付いてきた。
恵美子は常にセックスがしたかった。例えその相手が薄汚いオヤジであろうと変質者であろうと、自分を女として認めてくれるなら誰でも良かったのだ。
偶然この日も、恵美子はアパートに帰ってからオナニーに耽る予定でいた。
それは、今日会社で誰も恵美子を使用してくれなかったからだった。
そんな日は、いつか庶務課の遠藤さんがプレゼントしてくれた、あの巨大ディルド『サスケ』を使うのだ。
そして恵美子は明け方まで自分を慰めるのだった。

その日も、一人寂しくオナニーに耽る予定だった恵美子にとって、突然現れたこの中年男は、ある意味ひとつのサプライズだった。
電車に揺られながら、誰の肉棒でも構わないから入れて欲しいと陰部を疼かせていた恵美子には、この中年男の誘いを断る理由は何一つなかったのだった。
タバコ臭い部屋には、中年男がズボンの上から股間を摩っているスリスリという音だけが響いていた。
そんな中年男の股間を見ていると、そこがみるみる硬くなっていくのがわかった。
中年男は、わざとそこを恵美子に見せつけようと股を大きく広げていた。
そこには、見るからにコリコリとした肉の棒がくっきりと浮かび上がっていた。
中年男は、その膨らみを指で上下に撫でながら、「私は、瞬時に変態を見抜くパワーを持っているんだ」と呟いた。
そして不敵に唇の端をニヤッと歪め、「君は変態だろ」と聞いてきたのだった。
確かに恵美子は変態だった。それは自分でもわかっていた。
それを恵美子が自覚したのは、今から二ヶ月ほど前だった。真夜中にどうしても肉棒が欲しくて堪らなくなり、近所の銭湯のガレージで飼われていた大型犬と交尾してしまった時からだった。
その犬は恵美子に懐いていた。それは、朝の出勤途中、必ずそこで足を止めては、戯れてくる犬の首下や腹などを撫でてやっていたからだった。
そんなある時、いつものように犬の腹を撫でてやっていると、犬の股間からヒクヒクと勃起した真ピンクのペニスが飛び出している事に気付いた。
恵美子は嬉しくなった。こんな犬畜生でも私を女として見てくれいるのだと思うと、嬉しくて堪らなかった。
だから恵美子は、それに答えてあげようと、腹を撫でるふりをしてペニスに指を伸ばした。
そのペニスは人間のサイズとほぼ変わらず、亀頭らしきものもちゃんと付いていた。
そのヌルヌルと滑った亀頭を指で摘み、人間と同じようにシコシコと上下にシゴいてやると、犬は嬉しそうにハァハァと荒い息を吐きながら、寝転がったまま腰をカクカクと動かした。
そしてすぐにそこから真っ白な精液をピュッピュッと噴き出し、恵美子の手を汚したのだった。
そんな事があったからか、その日、真夜中にどうしても肉棒が欲しくて堪らなくなった恵美子は、すぐさまあの犬を思い出した。
さっそく恵美子は、ミニスカートにノーパンという姿で夜の闇に紛れた。息を殺しながら銭湯のガレージに潜り込み、ぐったりと寝ている犬に忍び寄った。
犬は、恵美子に気づくと、狂ったように尻尾を振りながら起き上がった。
「よし、よし」と囁きながらも犬の身体中を撫で、そのままゆっくりと股間に指を忍ばせた。
毛の中に潜り込んでいたペニスは、まるで煮込んだ麩のようにフニャフニャに萎れていた。しかし、そこばかり集中的に摩ってやっていると、次第にそれはコンニャクのように固まり始め、そしてすぐにシャウエッセンのように硬くなった。
それをゆっくりシゴいてやった。犬は自らそこに仰向けになり、もっとシゴいてと言わんばかりにそれを剥き出してきた。
毛だらけの皮の中から真ピンクに輝く肉棒がヌッと伸びていた。
恵美子はそれをシコシコとシゴきながらそこに顔を埋めた。
まるでチュッパチャップスを舐めるようにしながら舌で皮を剥いていくと、まるで鰻が穴から滑り出すかのようにして真ピンクの肉棒がヌルッと飛び出した。
ズルムケにされたその痛々しい真ピンクの物体からは、ホワホワと湯気が上がっていた。恥垢らしき白いカスが大量に溜まり、腐ったハマグリのような異臭がムンムンと漂っていた。
異様に生臭いペニスだったが、しかし、いつも恥垢だらけの包茎ペニスをオヤジたちにしゃぶらされていた恵美子には、その生臭さは然程苦ではなかった。
だから迷うことなくそれを口内に含み、いつもオヤジたちにしているように、ブジュブジュと音を立ててしゃぶってやった。
そうしながらも恵美子は、コンクリートの床に両膝を立て、捲れ上がったミニスカートの中から大きな尻を突き出した。
犬のペニスをしゃぶりながら、尻の谷間に指を這わせた。パックリと剥き出された陰部は驚くほどに濡れており、指先でちょっと触れただけで、まるで吸い込まれるかのように指が滑り込んで行った。
ヌルヌルの穴の中を指で掻き回しながら、この穴の中に、どうやって犬のペニスを入れようかと悩んでいた。
すると突然、犬がガバッと起き上がった。コンクリートの床に爪をカチカチと鳴らしながら足踏みをし、恵美子をじっと見つめながらハァハァと荒い息を吐いていた。
犬は、まるで恵美子の心を察したかのように、尻を突き出している恵美子の背後へと回った。そして尻の谷間に鼻を押しつけ、濡れた性器をクンクンと嗅ぎまわると、その生暖かい舌でそこをベロベロと舐め始めたのだった。
今まで、散々オヤジたちの性処理に使われながらも、まともに愛撫された事のなかった恵美子は、素直にそのクンニに感動した。例えそれが獣だとしても、インサートの前に優しくクンニされた事など一度もなかった恵美子には、嬉しくてたまらなかった。
強烈な欲情を覚えた恵美子は、その大きな尻を卑猥に揺らしながら、まるで人間の男に言うかのように、「入れて下さい、入れて下さい」とペニスをねだっていた。
揺れる尻に誘発されたのか、犬は慌てて両前足を恵美子の尻の上に乗せた。そして、ハァハァと荒い息を吐きながら腰をコキコキと振り始め、恵美子の尻肉にペニスをツンツンと突き立ててきた。
恵美子は素早く両手を後ろに回し、尻肉を大きく開いた。そして尻の角度を微調整しながらそのヌルヌルとした突起物を性器に押し付けると、そのまま一気に腰を落とした。
犬のペニスは、何の障害もなく穴の中へとツルンっ滑り込んだ。
それが入った瞬間、雌犬のごとくコンクリートの床に這っていた恵美子の全身にジーンっと痺れる快感が走った。
「もっと、もっと、もっと激しくしてください」
背後でコキコキと腰を振りまくる犬に、冷たいコンクリートの床に顔を押し付けながらそう呻いた。
惨めだった。こんなに惨めなセックスは初めてだと、恵美子は獣にガンガンと攻められながら思っていた。
それは、営業課の田辺さんに、居酒屋の裏のゴミ捨て場で、生ゴミにまみれながら犯された時よりも屈辱だった。夜間の道路工事のおじさん達に、汗臭いダンプの中で集団でレ○プされた時よりも、高砂公園のホームレスに肛門を舐めさせられた時よりも、このセックスは強烈な屈辱を与えていた。
その屈辱の理由は犬に対してではなかった。こんな獣のペニスで感じてしまっている自分への嫌悪感だった。
しかし、そんな嫌悪感が膨らめば膨らむ程、その快感は激しく恵美子を襲った。
それに気づいた時、ふと、自分はやっぱりマゾなんだと思った。犬畜生に犯されながらもこんなに感じてしまっている自分は、肉体的精神的苦痛に喜びを感じる真性の被虐願望者なんだと確信した。
(私は変態だ。ブスでデブで気持ちの悪い変態女なんだ……)
そう自分を責めながらも、恵美子の脳は犬のペニスに溶かされていた。
そして断続的に続く犬の射精を膣奥に感じながらも、その度に自分も何度も何度も絶頂に達し、獣と化していたのだった。
そんな変態行為を夜な夜な密かに行っていた恵美子は、この見ず知らずの中年男に、いきなり「君は変態だろ」と図星を衝かれ、激しく動揺していた。
いつも会社のオヤジたちからは、「雌豚」や「肉便器」などと罵られながら犯され、ある時には、「気持ち悪い女だ」などと顔を顰めながらペニスを入れられ、またある時には、「こんなバカ娘を持つ親の顔が見てみたいもんだ」などと言われながら中出しされていた。
今までオヤジたちには、散々酷い事を言われながら肉便器にされてきたが、しかし、お前は変態だろとその胸の内を見透かされた事は一度もなかった。
それはオヤジたちが、恵美子は嫌々ながらも仕方なく皆の肉便器にされていると思っていたからだった。そのオヤジたちは、恵美子が肉便器にされている事に喜びを感じているとは思ってもいなかったのだ。
だからこの時、いきなり図星を衝かれた恵美子は激しく戸惑った。今まで密かに隠し持っていた変態性欲を、まだ出会ってから三十分も経っていないこの初対面の中年男に不意に暴かれ、動揺を隠せずにいた。
そんな恵美子の目を中年男はグッと覗き込みながら、まるで念を押すかのように、「君は変態だよな」ともう一度聞いてきた。
内面を無残に抉られた恵美子は、何も答えることができないまま、ただただ項垂れて震えていたのだった。
(つづく)
《←目次》《2話へ→》
会社帰り、駅の改札口を出るなり突然背後からそう声をかけられた。
振り返ると五十半ばのスーツを着た中年男が、何やら怒ったような顔をしながら恵美子を睨んでいた。
全く見覚えのない人だった。
その見ず知らずの中年男に手を引かれ、駅裏にある古いビジネスホテル『あらや』に連れて行かれた。
恵美子は抵抗しなかった。そこに抵抗する理由は何もなく、恵美子は素直に男に従ったのだった。
ベッドとソファーだけが置かれた狭い部屋だった。
白い壁紙はタバコのヤニで茶色く染まり、クリーム色のカーペットにはコーヒーをひっくり返したかのような大きなシミが広がっていた。
男は恵美子をベッドに座らせた。自分はそのベッドの真正面に置いてあったソファーに腰を下ろし、鋭い眼光で恵美子を睨みながら、「歳はいくつだね」と聞いてきた。
「26歳です……」
そう恐る恐る答えると、男は矢継ぎ早に「勤務先は」と聞いてきた。
「……不動産の事務をしてます……」
「君はマゾだな」
驚きながらそっと顔を上げると、男は銀縁眼鏡の奥で目を座らせながら、「雌豚だろ」と低く呟き、自分で自分の股間をスリスリと撫で始めたのだった。

確かに恵美子にはマゾ的な性癖があった。
というか、今までにSMプレイというものをしたことがないため、本当に自分がマゾなのかどうかはわからなかったが、しかし、オナニーをする度に、いつも誰かに乱暴に犯されている想像ばかりしていたため、恵美子は自分をマゾだと思い込んでいた。
恵美子はブスだった。性格も暗く、友達もおらず、いつも一人だった。
合コンや飲み会など一度も誘われたことはなく、街でナンパされる事もなければ、出会い系サイトに電話をする勇気もなかった。
だから当然彼氏はいなかった。今までに付き合った男は一人もいなかった。
それでもセックスはそれなりに熟していた。
そんな恵美子に言い寄ってくるのは、決まって加齢臭漂うオヤジたちばかりだった。
恵美子は、会社の上司たちから性処理女として扱われていた。上司と言っても、そのほとんどがウダツの上がらない平社員ばかりだったため、それは不倫などといったロマンチックなものではなく、ただ単に風俗嬢代わりに利用されているだけだった。
オヤジたちは、すぐにヤらせてくれる恵美子を肉便器と呼んでいた。ヤリたくなったら恵美子をボイラー室やトイレなどに連れ込み、まるで小便をするかのようにちゃっちゃっと処理していた。
だから彼らは、共通して恵美子の事を肉便器と呼んでいたのだが、それでも恵美子は、そんな薄汚いオヤジたちの身勝手なセックスに喜びを感じていた。
まともに愛撫されることはなく、いきなり入れて、擦られて、そして勝手に射精されるといった無残なセックスでも、男運に恵まれない恵美子にとっては、その肉棒は唯一自分を女として認めてくれる物体だった。
だから恵美子は、例え自分が性処理用の肉便器として利用されているとわかっていても、荒々しくピストンする肉棒の動きや、そこから吐き出される精液の温もりに女としての喜びを感じ、世間一般の女たちのように喘ぎ悶えていたのだった。
そんな恵美子だったから、この見ず知らずの中年男に突然声を掛けられ、強引に腕を引っ張られても、抵抗することなく黙って付いてきた。
恵美子は常にセックスがしたかった。例えその相手が薄汚いオヤジであろうと変質者であろうと、自分を女として認めてくれるなら誰でも良かったのだ。
偶然この日も、恵美子はアパートに帰ってからオナニーに耽る予定でいた。
それは、今日会社で誰も恵美子を使用してくれなかったからだった。
そんな日は、いつか庶務課の遠藤さんがプレゼントしてくれた、あの巨大ディルド『サスケ』を使うのだ。
そして恵美子は明け方まで自分を慰めるのだった。

その日も、一人寂しくオナニーに耽る予定だった恵美子にとって、突然現れたこの中年男は、ある意味ひとつのサプライズだった。
電車に揺られながら、誰の肉棒でも構わないから入れて欲しいと陰部を疼かせていた恵美子には、この中年男の誘いを断る理由は何一つなかったのだった。
タバコ臭い部屋には、中年男がズボンの上から股間を摩っているスリスリという音だけが響いていた。
そんな中年男の股間を見ていると、そこがみるみる硬くなっていくのがわかった。
中年男は、わざとそこを恵美子に見せつけようと股を大きく広げていた。
そこには、見るからにコリコリとした肉の棒がくっきりと浮かび上がっていた。
中年男は、その膨らみを指で上下に撫でながら、「私は、瞬時に変態を見抜くパワーを持っているんだ」と呟いた。
そして不敵に唇の端をニヤッと歪め、「君は変態だろ」と聞いてきたのだった。
確かに恵美子は変態だった。それは自分でもわかっていた。
それを恵美子が自覚したのは、今から二ヶ月ほど前だった。真夜中にどうしても肉棒が欲しくて堪らなくなり、近所の銭湯のガレージで飼われていた大型犬と交尾してしまった時からだった。
その犬は恵美子に懐いていた。それは、朝の出勤途中、必ずそこで足を止めては、戯れてくる犬の首下や腹などを撫でてやっていたからだった。
そんなある時、いつものように犬の腹を撫でてやっていると、犬の股間からヒクヒクと勃起した真ピンクのペニスが飛び出している事に気付いた。
恵美子は嬉しくなった。こんな犬畜生でも私を女として見てくれいるのだと思うと、嬉しくて堪らなかった。
だから恵美子は、それに答えてあげようと、腹を撫でるふりをしてペニスに指を伸ばした。
そのペニスは人間のサイズとほぼ変わらず、亀頭らしきものもちゃんと付いていた。
そのヌルヌルと滑った亀頭を指で摘み、人間と同じようにシコシコと上下にシゴいてやると、犬は嬉しそうにハァハァと荒い息を吐きながら、寝転がったまま腰をカクカクと動かした。
そしてすぐにそこから真っ白な精液をピュッピュッと噴き出し、恵美子の手を汚したのだった。
そんな事があったからか、その日、真夜中にどうしても肉棒が欲しくて堪らなくなった恵美子は、すぐさまあの犬を思い出した。
さっそく恵美子は、ミニスカートにノーパンという姿で夜の闇に紛れた。息を殺しながら銭湯のガレージに潜り込み、ぐったりと寝ている犬に忍び寄った。
犬は、恵美子に気づくと、狂ったように尻尾を振りながら起き上がった。
「よし、よし」と囁きながらも犬の身体中を撫で、そのままゆっくりと股間に指を忍ばせた。
毛の中に潜り込んでいたペニスは、まるで煮込んだ麩のようにフニャフニャに萎れていた。しかし、そこばかり集中的に摩ってやっていると、次第にそれはコンニャクのように固まり始め、そしてすぐにシャウエッセンのように硬くなった。
それをゆっくりシゴいてやった。犬は自らそこに仰向けになり、もっとシゴいてと言わんばかりにそれを剥き出してきた。
毛だらけの皮の中から真ピンクに輝く肉棒がヌッと伸びていた。
恵美子はそれをシコシコとシゴきながらそこに顔を埋めた。
まるでチュッパチャップスを舐めるようにしながら舌で皮を剥いていくと、まるで鰻が穴から滑り出すかのようにして真ピンクの肉棒がヌルッと飛び出した。
ズルムケにされたその痛々しい真ピンクの物体からは、ホワホワと湯気が上がっていた。恥垢らしき白いカスが大量に溜まり、腐ったハマグリのような異臭がムンムンと漂っていた。
異様に生臭いペニスだったが、しかし、いつも恥垢だらけの包茎ペニスをオヤジたちにしゃぶらされていた恵美子には、その生臭さは然程苦ではなかった。
だから迷うことなくそれを口内に含み、いつもオヤジたちにしているように、ブジュブジュと音を立ててしゃぶってやった。
そうしながらも恵美子は、コンクリートの床に両膝を立て、捲れ上がったミニスカートの中から大きな尻を突き出した。
犬のペニスをしゃぶりながら、尻の谷間に指を這わせた。パックリと剥き出された陰部は驚くほどに濡れており、指先でちょっと触れただけで、まるで吸い込まれるかのように指が滑り込んで行った。
ヌルヌルの穴の中を指で掻き回しながら、この穴の中に、どうやって犬のペニスを入れようかと悩んでいた。
すると突然、犬がガバッと起き上がった。コンクリートの床に爪をカチカチと鳴らしながら足踏みをし、恵美子をじっと見つめながらハァハァと荒い息を吐いていた。
犬は、まるで恵美子の心を察したかのように、尻を突き出している恵美子の背後へと回った。そして尻の谷間に鼻を押しつけ、濡れた性器をクンクンと嗅ぎまわると、その生暖かい舌でそこをベロベロと舐め始めたのだった。
今まで、散々オヤジたちの性処理に使われながらも、まともに愛撫された事のなかった恵美子は、素直にそのクンニに感動した。例えそれが獣だとしても、インサートの前に優しくクンニされた事など一度もなかった恵美子には、嬉しくてたまらなかった。
強烈な欲情を覚えた恵美子は、その大きな尻を卑猥に揺らしながら、まるで人間の男に言うかのように、「入れて下さい、入れて下さい」とペニスをねだっていた。
揺れる尻に誘発されたのか、犬は慌てて両前足を恵美子の尻の上に乗せた。そして、ハァハァと荒い息を吐きながら腰をコキコキと振り始め、恵美子の尻肉にペニスをツンツンと突き立ててきた。
恵美子は素早く両手を後ろに回し、尻肉を大きく開いた。そして尻の角度を微調整しながらそのヌルヌルとした突起物を性器に押し付けると、そのまま一気に腰を落とした。
犬のペニスは、何の障害もなく穴の中へとツルンっ滑り込んだ。
それが入った瞬間、雌犬のごとくコンクリートの床に這っていた恵美子の全身にジーンっと痺れる快感が走った。
「もっと、もっと、もっと激しくしてください」
背後でコキコキと腰を振りまくる犬に、冷たいコンクリートの床に顔を押し付けながらそう呻いた。
惨めだった。こんなに惨めなセックスは初めてだと、恵美子は獣にガンガンと攻められながら思っていた。
それは、営業課の田辺さんに、居酒屋の裏のゴミ捨て場で、生ゴミにまみれながら犯された時よりも屈辱だった。夜間の道路工事のおじさん達に、汗臭いダンプの中で集団でレ○プされた時よりも、高砂公園のホームレスに肛門を舐めさせられた時よりも、このセックスは強烈な屈辱を与えていた。
その屈辱の理由は犬に対してではなかった。こんな獣のペニスで感じてしまっている自分への嫌悪感だった。
しかし、そんな嫌悪感が膨らめば膨らむ程、その快感は激しく恵美子を襲った。
それに気づいた時、ふと、自分はやっぱりマゾなんだと思った。犬畜生に犯されながらもこんなに感じてしまっている自分は、肉体的精神的苦痛に喜びを感じる真性の被虐願望者なんだと確信した。
(私は変態だ。ブスでデブで気持ちの悪い変態女なんだ……)
そう自分を責めながらも、恵美子の脳は犬のペニスに溶かされていた。
そして断続的に続く犬の射精を膣奥に感じながらも、その度に自分も何度も何度も絶頂に達し、獣と化していたのだった。
そんな変態行為を夜な夜な密かに行っていた恵美子は、この見ず知らずの中年男に、いきなり「君は変態だろ」と図星を衝かれ、激しく動揺していた。
いつも会社のオヤジたちからは、「雌豚」や「肉便器」などと罵られながら犯され、ある時には、「気持ち悪い女だ」などと顔を顰めながらペニスを入れられ、またある時には、「こんなバカ娘を持つ親の顔が見てみたいもんだ」などと言われながら中出しされていた。
今までオヤジたちには、散々酷い事を言われながら肉便器にされてきたが、しかし、お前は変態だろとその胸の内を見透かされた事は一度もなかった。
それはオヤジたちが、恵美子は嫌々ながらも仕方なく皆の肉便器にされていると思っていたからだった。そのオヤジたちは、恵美子が肉便器にされている事に喜びを感じているとは思ってもいなかったのだ。
だからこの時、いきなり図星を衝かれた恵美子は激しく戸惑った。今まで密かに隠し持っていた変態性欲を、まだ出会ってから三十分も経っていないこの初対面の中年男に不意に暴かれ、動揺を隠せずにいた。
そんな恵美子の目を中年男はグッと覗き込みながら、まるで念を押すかのように、「君は変態だよな」ともう一度聞いてきた。
内面を無残に抉られた恵美子は、何も答えることができないまま、ただただ項垂れて震えていたのだった。
(つづく)
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雌豚肉便器2
2013/06/15 Sat 00:00
中年男は、更にその眼光を強めながら唇の端をニヤリと歪めた。そして「ふん」と小さく鼻で笑いながら、それがさも当然のことであるかのように、「では、おっぱいを見せてみなさい」とさりげなく言った。
中年男のその自信に満ちた目は、まるで催眠術をかけようとしているようだった。その目に睨まれていると何も考えることができなくなり、もはや恵美子の体は操り人形のように無意識に動き出していた。
シャツを喉元まで捲し上げると、後ろ手に回した手でブラジャーのホックを外した。決して大きくもないが決して小さくもない乳肉が、その反動でポテンっと揺れ、チョコレート色の乳首を蛍光灯の下に晒した。
「なんだそれは。まだ若いというのに、馬鹿共にヤられすぎたせいで形が崩れてしまってるじゃないか」
中年男はそう鼻で笑うと、呆れたような笑みを浮かべながら、「そのままスカートを脱ぎなさい」と次の命令を出した。
恵美子は、捲し上げたシャツを顎で押さえながら、スカートの右側にあるホックをモゾモゾと外した。そしてそれを太ももにスルスルと滑らせながら足元に落とすと、中年男はそこに現れた薄ピンクのパンティーを見て、「思っていた通りの貧乏くさいパンツだな」と嬉しそうに笑った。
そうやって中年男はいちいち蔑んだコメントを呟いていたが、しかし恵美子は、そんな中年男の酷い言葉に不思議なエロスを感じていた。そう呟かれる度に屈辱感と羞恥心が入り乱れ、それが太ももの間に挟まれている陰核をズキズキと疼かせるのだ。
「なんだその太ももは。まさに堕落した雌豚女の醜い太ももだな」
そう貶しながら中年男は、そのまま両足をベッドに上げ、股をM字に開けと命令した。
言われるがままに両足をベッドに上げて体育座りの体勢になると、中年男はその股間を覗き込み、パンティーのクロッチをジッと見つめながら、「汚ねぇなぁ、黄色いシミが浮き出てるじゃないか」と吐き捨てた。
今までにない羞恥心に襲われながらも、それでも恵美子の胸には異様な興奮がドクドクと湧き上がってきていた。
そんな恵美子の変態性欲を見透かすかのように、中年男はニヤニヤと不敵に笑いながら、「オマンコも見て欲しいんだろ」と小声で囁いた。
股間でそう囁かれる恵美子は、ただただ黙って項垂れていた。小心者の恵美子は、「見て欲しいです」などとは恥ずかしくて言えなかった。
しかし、心はそうであっても体は違った。体は「見て下さい」と言わんばかりにその意思表示をしていた。
それをこの中年男が気づかないわけがなかった。
中年男はそんなクロッチを黙ってジッと見つめていた。
クロッチの裏側は、もはやシロップを垂らしたかのようにヌルヌルしていた。それがクロッチの外側にジワジワと滲み出ている事は恵美子自身気づいていた。
中年男は、今までニヤニヤしていた口元をぴたりと止めた。そして、突然怒ったような口調で、「どうして濡れてるんだ」と低く呟くと、そのまま恵美子の顔を鋭い目つきで睨んだのだった。

恵美子は既にこのホテルの部屋に入った瞬間から濡れていた。それをこうしてM字に股を開かされたため、クロッチが陰部により密着し、そこに卑猥な汁が滲み出てきたのだった。
今まで、オヤジたちにヤられている時にも、「すごく濡れてぞ」や、「小便を漏らしたみたいだな」などと、何度かその大量の愛液について指摘をされたことがあったが、しかしそれは、あくまでもオヤジたちが自分の欲情を昂めるために呟いている独り言であり、この中年男のように、濡れている理由を問い質されているわけではなかった。
改めて「どうして濡れているのか」と聞かれても、恵美子は答えられなかった。当然のことながら、性器が濡れているということは、少なくとも今のこの状況に欲情しているという意味なのであるが、しかし、この時激しい羞恥心に駆られていた恵美子は、それを言葉にする事ができなかった。
そんな恵美子の羞恥心を見透かしているかのように、中年男は更にそこを攻撃してきた。
「やっぱり君は相当な変態だな。初めて会った男にいきなりホテルに連れ込まれても、怖がるどころかオマンコを濡らしているじゃないか」
「…………」
「ヤって欲しいのか。そのヌルヌルに濡れた穴の中に、ビンビンに勃起したチンポを入れて欲しいのか。ん?……」
そう首を傾げながら、中年男は項垂れている恵美子の顔を覗き込んだ。
今まで恵美子は、決して自分からヤって欲しいなどと願った事はなかった。どれだけ疼いていても、どれだけ欲情していても、自分からオヤジたちにセックスを求めた事は一度もなかった。
それは、自分に自信がなかったからだった。自分という女は、ブスで根暗で気持ちの悪いバカ女だと自覚していたため、自らそんなことを言う勇気がなかったのだ。
そんな内気な性格こそが、オヤジたちから肉便器と蔑まれる原因だった。
例えどれだけブスであろうと、どれだけ気色の悪い女であろうと、男を誘う意欲と色気があれば、それはただ単に『ヤリマン女』と呼ばれた。そこにバイタリティーが少しでもあれば、例えブスであろうと『スキモノ』や『ユルい女』と呼ばれ、それなりに女として扱ってもらうことができた。
しかし恵美子にはそんなバイタリティーは微塵もなかった。貪欲な変態性欲は人一倍あってもそれを前面に打ち出す勇気はなく、ただただジメジメと陰部を濡らしながら肉棒を待ちわびているといった、そんな陰気な変態女だった。
恵美子という女は、男に媚びる可愛らしさもなければ、男を挑発する色気もなかった。唯一、オマンコという特殊な性玩具を持っているだけであり、それ以外は男を惹きつける武器は何も持っていなかった。
だから恵美子は肉便器と呼ばれた。ヤリマン女やユルい女といった愛称で男たちから可愛がられることはなく、性処理だけを目的とした『便器』として扱われていたのだった。
そんな恵美子が、ここで中年男に向かって「入れて下さい」などと媚びることができるわけがなかった。
しかし中年男も、恵美子がそんな事を言えるわけがない事は最初からわかっているようだった。
この中年男は、そんな恵美子の内向的な性格を知っていたのだ。知っているからこそ、わざとそうやって恵美子を虐めているのだ。
そんな中年男は明らかにサディストだった。しかも、肉体的苦痛を与えて喜ぶサディストではなく、精神的苦痛を与えて喜ぶサディストだった。
恵美子は肉体的苦痛には慣れていた。毎日のように会社のオヤジたちに肉便器にされていた恵美子は、いつしかその肉体的苦痛を快楽へと変えてしまうほどに逞しくなっていた。
が、しかし、精神的苦痛には弱かった。学生時代、『肉まん』というあだ名をつけられただけで二回も自殺未遂を起こすほどにメンタル面は弱かった。
だからこの中年男は、恵美子にとっては最も苦手な部類と言えた。
そんな中年男は、何も答えられないまま項垂れている恵美子を、ギラギラとした欲望溢れる目で見つめていた。そして、ネトネトに濡れたクロッチに人差し指の先をヌルヌルと滑らせながら、「この汚いマンコを見てあげるから、取り敢えずパンツを脱ぎなさい」と低く笑った。
恵美子は無言でパンティーのサイドに指を引っ掛けると、両足をM字に曲げたままそれをスルスルと下ろし始めた。
汗ばんだ尻でパンティーがクルクルと捻れた。そのままパンティーをクルクルと太ももへと上げていくと、陰部にペタリと張り付いていたクロッチが捲れ、トロトロの透明汁がねちゃっと糸を引いた。
「ストップ」
中年男は、パンティーが太ももの真ん中に来た時点でそう言った。
クルクルに捻れたパンティーは、まるで捩り鉢巻きのようになっていた。
この状態は、全部脱いでしまうよりも恥ずかしかった。

中年男はソッと身を乗り出すと、まるで画廊で絵画を見ているかのように黙って陰部をジッと見ていた。
今まで、こんなにマジマジと性器を見られたことがなかった恵美子は、ゾクゾクとする興奮と共に強烈な羞恥を感じていた。
「この、真っ黒なびらびらに張り付いているのは、トイレットペーパーのカスだな」
中年男はそう呟きながら、爪の先でそれをペリリッと剥がした。
「トイレットペーパーのカスがこよりになってぶら下がっているのはウォシュレットを使っていないからだ。君のようにペタリと張り付いているのは、ウォシュレットを使っている証拠だ」
そう言いながら中年男は舌を伸ばし、その破片を舌の上にペタリと置くと、キャラメルを舐めるようにしてそれを食べてしまった。
「君は、ちゃんとウォシュレットを使っているようだが、しかし少し匂うねぇ……いや、それがピタリと閉じた状態でここまで匂うんだから、きっとそれをベロリと開いたら、かなり強烈な匂いだろう……」
羞恥に駆られた恵美子が下唇をギュッと噛むと、すかさず中年男は肛門をクンクンと嗅ぎ始め、「ウ○コの匂いもするね」と追い打ちをかけた。
その言葉に、思わず恵美子は、「やめてください……」と声を震わせた。犬のように股間をクンクンと嗅ぎまわる中年男から目を背けながら必死にそう呟いた。
すると中年男は黒目だけをギッと上げ、三白眼で恵美子を睨みながら「どうして」と言った。
「君はこうされながらも濡れてるじゃないか。こうされて感じているんだろ?」
「……もう、許してください……」
「許してください? どうして?」
「恥ずかしいです……」
「恥ずかしい? ここを見られるのが恥ずかしいのかね。誰にでも尻を振る変態雌豚のくせに、ここの匂いを嗅がれるのが恥ずかしいというのかね」
中年男はわざとらしくそう驚いた。そして、再び黒目をゆっくりと陰部へと戻すと、「ほらみろ、ワレメからオツユが垂れてるじゃないか……」と鼻で笑い、そのネトネトに濡れたワレメにベロリと舌を這わせたのだった。

(つづく)
《←目次》《3話へ→》
中年男のその自信に満ちた目は、まるで催眠術をかけようとしているようだった。その目に睨まれていると何も考えることができなくなり、もはや恵美子の体は操り人形のように無意識に動き出していた。
シャツを喉元まで捲し上げると、後ろ手に回した手でブラジャーのホックを外した。決して大きくもないが決して小さくもない乳肉が、その反動でポテンっと揺れ、チョコレート色の乳首を蛍光灯の下に晒した。
「なんだそれは。まだ若いというのに、馬鹿共にヤられすぎたせいで形が崩れてしまってるじゃないか」
中年男はそう鼻で笑うと、呆れたような笑みを浮かべながら、「そのままスカートを脱ぎなさい」と次の命令を出した。
恵美子は、捲し上げたシャツを顎で押さえながら、スカートの右側にあるホックをモゾモゾと外した。そしてそれを太ももにスルスルと滑らせながら足元に落とすと、中年男はそこに現れた薄ピンクのパンティーを見て、「思っていた通りの貧乏くさいパンツだな」と嬉しそうに笑った。
そうやって中年男はいちいち蔑んだコメントを呟いていたが、しかし恵美子は、そんな中年男の酷い言葉に不思議なエロスを感じていた。そう呟かれる度に屈辱感と羞恥心が入り乱れ、それが太ももの間に挟まれている陰核をズキズキと疼かせるのだ。
「なんだその太ももは。まさに堕落した雌豚女の醜い太ももだな」
そう貶しながら中年男は、そのまま両足をベッドに上げ、股をM字に開けと命令した。
言われるがままに両足をベッドに上げて体育座りの体勢になると、中年男はその股間を覗き込み、パンティーのクロッチをジッと見つめながら、「汚ねぇなぁ、黄色いシミが浮き出てるじゃないか」と吐き捨てた。
今までにない羞恥心に襲われながらも、それでも恵美子の胸には異様な興奮がドクドクと湧き上がってきていた。
そんな恵美子の変態性欲を見透かすかのように、中年男はニヤニヤと不敵に笑いながら、「オマンコも見て欲しいんだろ」と小声で囁いた。
股間でそう囁かれる恵美子は、ただただ黙って項垂れていた。小心者の恵美子は、「見て欲しいです」などとは恥ずかしくて言えなかった。
しかし、心はそうであっても体は違った。体は「見て下さい」と言わんばかりにその意思表示をしていた。
それをこの中年男が気づかないわけがなかった。
中年男はそんなクロッチを黙ってジッと見つめていた。
クロッチの裏側は、もはやシロップを垂らしたかのようにヌルヌルしていた。それがクロッチの外側にジワジワと滲み出ている事は恵美子自身気づいていた。
中年男は、今までニヤニヤしていた口元をぴたりと止めた。そして、突然怒ったような口調で、「どうして濡れてるんだ」と低く呟くと、そのまま恵美子の顔を鋭い目つきで睨んだのだった。

恵美子は既にこのホテルの部屋に入った瞬間から濡れていた。それをこうしてM字に股を開かされたため、クロッチが陰部により密着し、そこに卑猥な汁が滲み出てきたのだった。
今まで、オヤジたちにヤられている時にも、「すごく濡れてぞ」や、「小便を漏らしたみたいだな」などと、何度かその大量の愛液について指摘をされたことがあったが、しかしそれは、あくまでもオヤジたちが自分の欲情を昂めるために呟いている独り言であり、この中年男のように、濡れている理由を問い質されているわけではなかった。
改めて「どうして濡れているのか」と聞かれても、恵美子は答えられなかった。当然のことながら、性器が濡れているということは、少なくとも今のこの状況に欲情しているという意味なのであるが、しかし、この時激しい羞恥心に駆られていた恵美子は、それを言葉にする事ができなかった。
そんな恵美子の羞恥心を見透かしているかのように、中年男は更にそこを攻撃してきた。
「やっぱり君は相当な変態だな。初めて会った男にいきなりホテルに連れ込まれても、怖がるどころかオマンコを濡らしているじゃないか」
「…………」
「ヤって欲しいのか。そのヌルヌルに濡れた穴の中に、ビンビンに勃起したチンポを入れて欲しいのか。ん?……」
そう首を傾げながら、中年男は項垂れている恵美子の顔を覗き込んだ。
今まで恵美子は、決して自分からヤって欲しいなどと願った事はなかった。どれだけ疼いていても、どれだけ欲情していても、自分からオヤジたちにセックスを求めた事は一度もなかった。
それは、自分に自信がなかったからだった。自分という女は、ブスで根暗で気持ちの悪いバカ女だと自覚していたため、自らそんなことを言う勇気がなかったのだ。
そんな内気な性格こそが、オヤジたちから肉便器と蔑まれる原因だった。
例えどれだけブスであろうと、どれだけ気色の悪い女であろうと、男を誘う意欲と色気があれば、それはただ単に『ヤリマン女』と呼ばれた。そこにバイタリティーが少しでもあれば、例えブスであろうと『スキモノ』や『ユルい女』と呼ばれ、それなりに女として扱ってもらうことができた。
しかし恵美子にはそんなバイタリティーは微塵もなかった。貪欲な変態性欲は人一倍あってもそれを前面に打ち出す勇気はなく、ただただジメジメと陰部を濡らしながら肉棒を待ちわびているといった、そんな陰気な変態女だった。
恵美子という女は、男に媚びる可愛らしさもなければ、男を挑発する色気もなかった。唯一、オマンコという特殊な性玩具を持っているだけであり、それ以外は男を惹きつける武器は何も持っていなかった。
だから恵美子は肉便器と呼ばれた。ヤリマン女やユルい女といった愛称で男たちから可愛がられることはなく、性処理だけを目的とした『便器』として扱われていたのだった。
そんな恵美子が、ここで中年男に向かって「入れて下さい」などと媚びることができるわけがなかった。
しかし中年男も、恵美子がそんな事を言えるわけがない事は最初からわかっているようだった。
この中年男は、そんな恵美子の内向的な性格を知っていたのだ。知っているからこそ、わざとそうやって恵美子を虐めているのだ。
そんな中年男は明らかにサディストだった。しかも、肉体的苦痛を与えて喜ぶサディストではなく、精神的苦痛を与えて喜ぶサディストだった。
恵美子は肉体的苦痛には慣れていた。毎日のように会社のオヤジたちに肉便器にされていた恵美子は、いつしかその肉体的苦痛を快楽へと変えてしまうほどに逞しくなっていた。
が、しかし、精神的苦痛には弱かった。学生時代、『肉まん』というあだ名をつけられただけで二回も自殺未遂を起こすほどにメンタル面は弱かった。
だからこの中年男は、恵美子にとっては最も苦手な部類と言えた。
そんな中年男は、何も答えられないまま項垂れている恵美子を、ギラギラとした欲望溢れる目で見つめていた。そして、ネトネトに濡れたクロッチに人差し指の先をヌルヌルと滑らせながら、「この汚いマンコを見てあげるから、取り敢えずパンツを脱ぎなさい」と低く笑った。
恵美子は無言でパンティーのサイドに指を引っ掛けると、両足をM字に曲げたままそれをスルスルと下ろし始めた。
汗ばんだ尻でパンティーがクルクルと捻れた。そのままパンティーをクルクルと太ももへと上げていくと、陰部にペタリと張り付いていたクロッチが捲れ、トロトロの透明汁がねちゃっと糸を引いた。
「ストップ」
中年男は、パンティーが太ももの真ん中に来た時点でそう言った。
クルクルに捻れたパンティーは、まるで捩り鉢巻きのようになっていた。
この状態は、全部脱いでしまうよりも恥ずかしかった。

中年男はソッと身を乗り出すと、まるで画廊で絵画を見ているかのように黙って陰部をジッと見ていた。
今まで、こんなにマジマジと性器を見られたことがなかった恵美子は、ゾクゾクとする興奮と共に強烈な羞恥を感じていた。
「この、真っ黒なびらびらに張り付いているのは、トイレットペーパーのカスだな」
中年男はそう呟きながら、爪の先でそれをペリリッと剥がした。
「トイレットペーパーのカスがこよりになってぶら下がっているのはウォシュレットを使っていないからだ。君のようにペタリと張り付いているのは、ウォシュレットを使っている証拠だ」
そう言いながら中年男は舌を伸ばし、その破片を舌の上にペタリと置くと、キャラメルを舐めるようにしてそれを食べてしまった。
「君は、ちゃんとウォシュレットを使っているようだが、しかし少し匂うねぇ……いや、それがピタリと閉じた状態でここまで匂うんだから、きっとそれをベロリと開いたら、かなり強烈な匂いだろう……」
羞恥に駆られた恵美子が下唇をギュッと噛むと、すかさず中年男は肛門をクンクンと嗅ぎ始め、「ウ○コの匂いもするね」と追い打ちをかけた。
その言葉に、思わず恵美子は、「やめてください……」と声を震わせた。犬のように股間をクンクンと嗅ぎまわる中年男から目を背けながら必死にそう呟いた。
すると中年男は黒目だけをギッと上げ、三白眼で恵美子を睨みながら「どうして」と言った。
「君はこうされながらも濡れてるじゃないか。こうされて感じているんだろ?」
「……もう、許してください……」
「許してください? どうして?」
「恥ずかしいです……」
「恥ずかしい? ここを見られるのが恥ずかしいのかね。誰にでも尻を振る変態雌豚のくせに、ここの匂いを嗅がれるのが恥ずかしいというのかね」
中年男はわざとらしくそう驚いた。そして、再び黒目をゆっくりと陰部へと戻すと、「ほらみろ、ワレメからオツユが垂れてるじゃないか……」と鼻で笑い、そのネトネトに濡れたワレメにベロリと舌を這わせたのだった。

(つづく)
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雌豚肉便器3
2013/06/15 Sat 00:00
中年男が恵美子のワレメをベロリと舐めたのは、わずかに一回だけだった。それはワレメから垂れる汁を舌で掬い取っただけであり、クンニと呼べるようなものではなかった。
オヤジたちに散々肉便器にされていた恵美子だったが、しかしクンニをされた経験はほとんどなかった。
まともにクンニをされたのは、二年前の忘年会の帰り道、ベロベロに酔った高橋部長にいきなりボウリング場の裏の細い路地に連れ込まれ、背後から陰部を二、三回舐められただけであり、あとは犬に舐められただけだった。
肉便器の性器を好んで舐める者はいなかった。だから恵美子は、中年男がそこに舌を這わせた瞬間、激しい期待と興奮に胸が高鳴ったのだが、しかしそれは、無残にもたったひと舐めで終わってしまったのだった。
それでも陰部を舐められたその感触は、激しい興奮となって恵美子の脳をグルグルと掻き回した。
早く入れて、早く入れて、と、そんな言葉ばかりが脳の中を駆け巡っていた。恵美子の唇からは自然に卑猥な息がハァハァと漏れ出し、ひと舐めされて刺激を受けた陰部が、鯉の口のようにヒクヒクしていた。
そんな恵美子を冷血な目で見下ろしながら、中年男はズボンを脱ぎ始めた。
スーツの上着を羽織ったまま、ズボンとトランクスだけを脱ぎ捨てると、勃起した肉棒を張り子の虎のようにヒコヒコさせながらソファーにドスンっと腰を下ろした。
「入れて欲しいんだろ」
中年男はそう言いながら、勃起したペニスをゆっくりとシゴき始めた。
欲情した恵美子の目の前で卑猥な物体が上下に動いていた。それを握る中年男の拳の上で、真っ赤な亀頭が出たり入ったりと繰り返していた。

男のオナニーを見せつけられたのは、これで三度目だった。
一度目はコンビニの駐車場だった。
夜の十一時を過ぎた頃、近所のコンビニにコーラを買いに行くと、駐車場に停めてあったワンボックスカーの中で若い男がペニスを露出していた。それは、明らかに恵美子に向けて露出しているものだった。
最初恵美子は、見て見ぬ振りをした。そのままコンビニの店内に入ると、ドキドキしながらコーラを買い、白いビニール袋を片手にぶら下げながら窓際の雑誌コーナーへと向かった。
女性雑誌が並ぶラックの目の前に、そのワンボックスカーは止まっていた。
恵美子は取り敢えず『女性自身』を手に取ると、それをパラパラと捲りながらも、その視線を駐車場のワンボックスカーにソッと向けた。
若い男は、いつの間にか後部座席から助手席へと移動していた。恵美子がそれを見せつけられても騒がなかった事に安心したのか、助手席に座る男は堂々と股を開き、巨大に勃起したペニスを見せつけてきた。
若い男のペニスには興味があった。いつも中年オヤジのペニスばかりを相手にしていた恵美子には、若い男のピクピクとした元気の良いペニスが珍しかったのだ。
恵美子は、レジにいる店員をチラチラと気にしながらも、堂々と視線をそこに向けていた。若い男は、見られている事に興奮しているのか、目を半開きにさせながら口を開け、狂ったようにペニスをシゴいていた。
さすが、若い男のペニスは中年オヤジたちのペニスとは違った。それは、まるで金属バットのグリップのように長かった。クワっと開いたカリ首はエリマキトカゲのように獰猛で、がっしりと太くて逞しい竿は石のように固そうだった。

若い男はそれをシコシコと上下させながら、恵美子をじっと見ていた。それに応えるべく、恵美子もスカートを捲り上げ、パンティーずらして陰毛が渦巻く恥骨を見せてやりたかったが、しかし、そんな勇気が恵美子にあるはずがなく、ただただ黙ってそれを見続けるしかなかった。
しかし、それを見ているうちに、恵美子の陰部からはドロドロの汁が溢れ出し、居てもたっても居られないくらい陰部が疼いてきた。あの巨大なペニスでズボズボに掻き回されたいという思いが激しくなり、遂に意を決した恵美子は、思い切ってワンボックスカーの側まで行ってみようという気になった。
大きく深呼吸しながら雑誌を閉じた。このままワンボックスカーの側へ行き、あの若い男に何と声をかければいいのかと考えながら、雑誌をラックにソッと戻した。
しかし、それが失敗だった。若い男は、恵美子が店員に通報するとでも思ったのか急に慌て始め、ものすごい勢いで運転席に移動すると、そのままバックで逃げて行ってしまったのだ。
ショックだった。呆然としたまま走り去るワンボックスカーのテールランプを見つめていた恵美子は、逃げ出さなくてもヤらせてあげるのにと下唇を噛んだのだった。
それが一度目の経験だった。
そして二度目は今から半年ほど前、会社の帰宅途中にいつも通っている公園での出来事だった。
その日は残業があり、駅を出る頃には八時を過ぎていた。辺りは既に真っ暗だったが、いつものように郵便局裏の公園を通り抜けてアパートに向かった。
鬱蒼とする森に囲まれた薄暗い遊歩道を歩いていると、前方で爛々と蛍光灯が輝いている公衆便所の前に、サラリーマン風の男がポツンと立っているのが見えた。
男は明らかに不審だった。チラチラと恵美子の方を見つつ、何度も公衆便所の中を出たり入ったりと繰り返していた。
変質者かもしれない。そうドキドキしながら、恵美子は公衆便所の前を早足で通り過ぎようとしていた。
すると、いきなりその男が、公衆便所の中から「すみません」と声をかけてきた。
見た目は普通だった。会社帰りのサラリーマンといった感じの三十代の男だった。
「はい」と警戒しながらも足を止めると、男は、「公園の管理事務所の者なんですけど、ちょっと手を貸してもらいたいんですけど……」と申し訳なさそうに頭を下げた。
怪しかった。いつも見る公園管理事務所の人たちは作業服を着ており、ワイシャツを着ている人など一人も見たことがなかったからだ。
恵美子は距離を保ちながらも、「どうしたんですか?」と聞いた。
「男子トイレの個室の中で泥酔した女性の方が倒れてるんです。今、警察と救急車には連絡したんですけど、なんか急に苦しいとか言い出しまして……相手は女性ですので、ちょっと様子を見てきて頂けないでしょうか……」
どう考えても嘘臭かった。こんな住宅街の公園で、こんな時間に女性が泥酔。しかも男子トイレで……。
これは絶対に何かの罠だと思った。この男は、私を男子トイレに連れ込み、いやらしい行為に及ぼうと企んでいるに違いないと思った。
しかし、そうとはわかっていても、恵美子はそこから立ち去らなかった。なぜなら恵美子は、この一時間ほど前、一緒に残業をしていた上野という男に肉便器にされていたからだった。
上野は、部長が帰って恵美子と事務所で二人きりになるなり、いきなり「させてくれよ」と言ってきた。上野は四十代の平社員で、つい先日離婚したばかりだった。離婚を機に、上野は他のオヤジたちの仲間入りをし、度々恵美子を肉便器に使っていたのだった。
そんな上野のセックスは、まさにセンズリだった。恵美子を全裸にし何の愛撫もせぬまま尻を突き出させた。そして膣に大量の唾を垂らして一気にペニスを捻り込むと、すぐさまスマホでエロ動画を開き、そのエロ動画を見ながら中出しするのだった。

それは、わずか三分で終了した。まるで立ち小便でもするかのように、さっさと射精してしまった。
いつもなら、その後にまた別の誰かが恵美子を肉便器に使うため、例えそんな三分セックスでも恵美子はそれなりの快感を得ることができたのだが、しかし、この時会社に残っていたのは上野だけであり、結局この日は、たったの三分間、肉棒で膣を掻き回されただけで終わってしまっていたのだった。
そんな恵美子は激しい欲求不満に襲われていた。中途半端にピストンされただけの膣は膿んだ傷口のようにジクジクと疼き、電車に乗っている時も、早くアパートに帰って巨大ディルドでアソコをぐちゃぐちゃにしたいと、そんなことばかり考えていた。
だから恵美子は、この時、男子トイレで女性が泥酔しているから見て来て欲しいなどという、誰が聞いても怪しい話にも足を止めたのだった。
「お願いします」と言いながら、さっさと男子トイレに入っていった男の背中を見つめていた。例え彼が変質者であっても、殺されさえしなければいいと思いながら、そんな男の後について男子トイレの中へと進んだ。
シーンっと静まり返ったトイレには、その男以外、人の気配は全くしなかった。それでも恵美子は、男が「ここです」と指を差す一番奥の個室に向かって歩いた。
その個室はドアが閉まっていた。背後に立っている男をチラチラと気にしながらソッとドアを押し、半開きになったドアの隙間を恐る恐る覗いた。
案の定、そこには誰もいなかった。「誰もいないですけど……」と言いながら後ろを振り向くと、さっきまで真後ろに立っていたはずの男は、小便器の前に立っていた。
「えっ? いないっすか?」
そう言いながら男は、小便器の前で右腕をカサカサと動かしていた。
「おかしいなぁ……今までそこに居たんだけどなぁ……」
そう言いながら男は、スカートから伸びる恵美子の足をジロジロと見つめ、時折、目をトロンとさせてはハァハァと卑猥な息を吐いた。
恵美子はその場に立ち竦みながら、視線を男の下半身へと下ろした。
そんな恵美子の視線に気づいた男は、「へへへへ」と笑いながら体を斜めに傾け、シコシコとシゴく肉棒を恵美子に見せつけた。

予想していたことではあったが、しかし、改めてそれを見せつけられると、さすがの恵美子もギョッと目を見開いてしまった。
すかさず男は、「逃げないで」と恵美子に言った。悲願するかのように眉を垂らしながら、「すぐにイキますから見ててください」と言った。
恵美子は放心状態でそれを見つめながらゴクリと唾を飲み込んだ。上下にシゴかれる肉棒は、まるで別の生き物のように蠢き、ピンクの亀頭の先から溢れ出す我慢汁がピチャピチャと卑猥な音を奏でいた。
恵美子は、逃げ出すことなくそれをジッと見ていた。すると男は、そんな恵美子に脈があると思ったのか、小便器に向けていた体を堂々と恵美子に向け、「お願いします……しゃぶって下さい……」と言いながら、恵美子の目の前にシコシコと上下する肉棒を突き出した。
それをまともに見せつけられると、自然に恵美子の口からもハァハァと淫らな息が漏れ始めた。
恵美子はクラクラと目眩を感じながらゆっくりとその場にしゃがんだ。男は極度に興奮し、いきなり「ほら、しゃぶれ」などと命令語になりながら、激しくシゴくそれを恵美子の口に押しつけた。
強烈な恥垢臭が恵美子の鼻を襲った。しかし、そんな饐えた匂いは雌豚肉便器の恵美子にとっては興奮臭であり、恵美子の欲情を更に昂めてくれた。
我慢汁でテラテラと輝く亀頭に震える舌を伸ばした。アイスキャンディーの先を舐めるようにペロペロと舌を動かしながら、徐々に亀頭を口内に滑り込ませていった。

それが根元まで飲み込まれると、頭上で男が「マジかよ……」と呟いた。
顔を前後に振り、唾液でブジュブジュと音を立て始めると、男は「あああああ……」と唸りだし、恵美子の髪を両手で優しく撫でながら、「そこまでするならヤらせてくれよ……」と言った。
恵美子は、名残り惜しそうにそれを口からゆっくりと抜き取ると、口内に溜まった恥垢だらけの唾液をゴクリと飲み込んだ。
男は「いいのか?」と嬉しそうに目を輝かせながら、しゃがんでいた恵美子をその場に立たせた。そして、恵美子と入れ替わるように今度は自分がそこにしゃがむと、震える手で恵美子のスカートをゆっくりと捲り上げ、パンティーの上から恵美子の下半身に顔を擦り付けたのだった。
男はパンティーを乱暴に下ろすと、伸ばした舌を陰毛に這わせ、ジャリジャリと音を立てながらそこを舐めまくった。そうしながらも、尻から指を股間に潜り込ませ、割れ目を荒々しく弄りまくった。
「すげぇ濡れてるじゃん……」
男は恥骨に頬ずりしながらそう呟いた。確かにこの時恵美子は濡れていたが、しかし、その時男が指でネチャネチャさせていたのは上野が中出しした残液だった。
それを、こんなに恵美子が濡れているのだと勘違いした男は、「すげぇじゃん、すげぇ痴女じゃん」と喜びながら立ち上がり、そのまま恵美子を小便器にしがみつかせると、背後からペニスをツルンっと入れてきた。

男は、「おっ、おっ、おっ」とリズムを取りながら、それに合わせて腰を振ってきた。肉棒がズボズボとピストンする度に上野の残液がびちゃびちゃと音を鳴らし、静まり返ったトイレに響いた。
小便器にしがみつきながら悶える恵美子は、心の中で(もっと激しく犯してください、もっともっと乱暴に、めちゃくちゃにして下さい)と叫んでいた。するとそんな心の声が通じたのか、男は突然恵美子の尻をパシパシと叩き始め、「豚みてぇにデッケェ尻だな」と吐き捨てた。
いつものオヤジとは違い、男は激しく腰を振ってきた。恵美子が喘げば喘ぐほどにその腰の動きは速くなり、「感じてるのか……気持ちいいのか……」といやらしい質問を繰り返してきた。
そうされながら恵美子は何度も絶頂に達していた。イク度に恵美子は白い陶器の小便器に舌を這わせ、誰のものかもわからない塩っぱい小便の味を感じていたのだった。
このように恵美子は、二度も他人のオナニーを見せつけられてきた。
二度目のそれは、結局セックスまでさせてしまっているが、一度目の時も、誘われれば迷わずセックスさせていた。
そんな恵美子が、今、三度目のオナニーを見せつけられていた。
当然恵美子は、それを見せつけられながら、早くセックスして欲しいと思っていたが、しかし中年男は、まるでそんな恵美子の心を読み取っているかのように、ゆっくりとペニスをシゴきながら焦らし続けていた。
「これを、入れて欲しいか?」
男は鋭い目で恵美子の顔を覗き込みながら言った。
入れてくださいとどうしても声に出せない恵美子は、項垂れたまま小さくコクンっと頷いたのだった。
(つづく)
《←目次》《4話へ→》
オヤジたちに散々肉便器にされていた恵美子だったが、しかしクンニをされた経験はほとんどなかった。
まともにクンニをされたのは、二年前の忘年会の帰り道、ベロベロに酔った高橋部長にいきなりボウリング場の裏の細い路地に連れ込まれ、背後から陰部を二、三回舐められただけであり、あとは犬に舐められただけだった。
肉便器の性器を好んで舐める者はいなかった。だから恵美子は、中年男がそこに舌を這わせた瞬間、激しい期待と興奮に胸が高鳴ったのだが、しかしそれは、無残にもたったひと舐めで終わってしまったのだった。
それでも陰部を舐められたその感触は、激しい興奮となって恵美子の脳をグルグルと掻き回した。
早く入れて、早く入れて、と、そんな言葉ばかりが脳の中を駆け巡っていた。恵美子の唇からは自然に卑猥な息がハァハァと漏れ出し、ひと舐めされて刺激を受けた陰部が、鯉の口のようにヒクヒクしていた。
そんな恵美子を冷血な目で見下ろしながら、中年男はズボンを脱ぎ始めた。
スーツの上着を羽織ったまま、ズボンとトランクスだけを脱ぎ捨てると、勃起した肉棒を張り子の虎のようにヒコヒコさせながらソファーにドスンっと腰を下ろした。
「入れて欲しいんだろ」
中年男はそう言いながら、勃起したペニスをゆっくりとシゴき始めた。
欲情した恵美子の目の前で卑猥な物体が上下に動いていた。それを握る中年男の拳の上で、真っ赤な亀頭が出たり入ったりと繰り返していた。

男のオナニーを見せつけられたのは、これで三度目だった。
一度目はコンビニの駐車場だった。
夜の十一時を過ぎた頃、近所のコンビニにコーラを買いに行くと、駐車場に停めてあったワンボックスカーの中で若い男がペニスを露出していた。それは、明らかに恵美子に向けて露出しているものだった。
最初恵美子は、見て見ぬ振りをした。そのままコンビニの店内に入ると、ドキドキしながらコーラを買い、白いビニール袋を片手にぶら下げながら窓際の雑誌コーナーへと向かった。
女性雑誌が並ぶラックの目の前に、そのワンボックスカーは止まっていた。
恵美子は取り敢えず『女性自身』を手に取ると、それをパラパラと捲りながらも、その視線を駐車場のワンボックスカーにソッと向けた。
若い男は、いつの間にか後部座席から助手席へと移動していた。恵美子がそれを見せつけられても騒がなかった事に安心したのか、助手席に座る男は堂々と股を開き、巨大に勃起したペニスを見せつけてきた。
若い男のペニスには興味があった。いつも中年オヤジのペニスばかりを相手にしていた恵美子には、若い男のピクピクとした元気の良いペニスが珍しかったのだ。
恵美子は、レジにいる店員をチラチラと気にしながらも、堂々と視線をそこに向けていた。若い男は、見られている事に興奮しているのか、目を半開きにさせながら口を開け、狂ったようにペニスをシゴいていた。
さすが、若い男のペニスは中年オヤジたちのペニスとは違った。それは、まるで金属バットのグリップのように長かった。クワっと開いたカリ首はエリマキトカゲのように獰猛で、がっしりと太くて逞しい竿は石のように固そうだった。

若い男はそれをシコシコと上下させながら、恵美子をじっと見ていた。それに応えるべく、恵美子もスカートを捲り上げ、パンティーずらして陰毛が渦巻く恥骨を見せてやりたかったが、しかし、そんな勇気が恵美子にあるはずがなく、ただただ黙ってそれを見続けるしかなかった。
しかし、それを見ているうちに、恵美子の陰部からはドロドロの汁が溢れ出し、居てもたっても居られないくらい陰部が疼いてきた。あの巨大なペニスでズボズボに掻き回されたいという思いが激しくなり、遂に意を決した恵美子は、思い切ってワンボックスカーの側まで行ってみようという気になった。
大きく深呼吸しながら雑誌を閉じた。このままワンボックスカーの側へ行き、あの若い男に何と声をかければいいのかと考えながら、雑誌をラックにソッと戻した。
しかし、それが失敗だった。若い男は、恵美子が店員に通報するとでも思ったのか急に慌て始め、ものすごい勢いで運転席に移動すると、そのままバックで逃げて行ってしまったのだ。
ショックだった。呆然としたまま走り去るワンボックスカーのテールランプを見つめていた恵美子は、逃げ出さなくてもヤらせてあげるのにと下唇を噛んだのだった。
それが一度目の経験だった。
そして二度目は今から半年ほど前、会社の帰宅途中にいつも通っている公園での出来事だった。
その日は残業があり、駅を出る頃には八時を過ぎていた。辺りは既に真っ暗だったが、いつものように郵便局裏の公園を通り抜けてアパートに向かった。
鬱蒼とする森に囲まれた薄暗い遊歩道を歩いていると、前方で爛々と蛍光灯が輝いている公衆便所の前に、サラリーマン風の男がポツンと立っているのが見えた。
男は明らかに不審だった。チラチラと恵美子の方を見つつ、何度も公衆便所の中を出たり入ったりと繰り返していた。
変質者かもしれない。そうドキドキしながら、恵美子は公衆便所の前を早足で通り過ぎようとしていた。
すると、いきなりその男が、公衆便所の中から「すみません」と声をかけてきた。
見た目は普通だった。会社帰りのサラリーマンといった感じの三十代の男だった。
「はい」と警戒しながらも足を止めると、男は、「公園の管理事務所の者なんですけど、ちょっと手を貸してもらいたいんですけど……」と申し訳なさそうに頭を下げた。
怪しかった。いつも見る公園管理事務所の人たちは作業服を着ており、ワイシャツを着ている人など一人も見たことがなかったからだ。
恵美子は距離を保ちながらも、「どうしたんですか?」と聞いた。
「男子トイレの個室の中で泥酔した女性の方が倒れてるんです。今、警察と救急車には連絡したんですけど、なんか急に苦しいとか言い出しまして……相手は女性ですので、ちょっと様子を見てきて頂けないでしょうか……」
どう考えても嘘臭かった。こんな住宅街の公園で、こんな時間に女性が泥酔。しかも男子トイレで……。
これは絶対に何かの罠だと思った。この男は、私を男子トイレに連れ込み、いやらしい行為に及ぼうと企んでいるに違いないと思った。
しかし、そうとはわかっていても、恵美子はそこから立ち去らなかった。なぜなら恵美子は、この一時間ほど前、一緒に残業をしていた上野という男に肉便器にされていたからだった。
上野は、部長が帰って恵美子と事務所で二人きりになるなり、いきなり「させてくれよ」と言ってきた。上野は四十代の平社員で、つい先日離婚したばかりだった。離婚を機に、上野は他のオヤジたちの仲間入りをし、度々恵美子を肉便器に使っていたのだった。
そんな上野のセックスは、まさにセンズリだった。恵美子を全裸にし何の愛撫もせぬまま尻を突き出させた。そして膣に大量の唾を垂らして一気にペニスを捻り込むと、すぐさまスマホでエロ動画を開き、そのエロ動画を見ながら中出しするのだった。

それは、わずか三分で終了した。まるで立ち小便でもするかのように、さっさと射精してしまった。
いつもなら、その後にまた別の誰かが恵美子を肉便器に使うため、例えそんな三分セックスでも恵美子はそれなりの快感を得ることができたのだが、しかし、この時会社に残っていたのは上野だけであり、結局この日は、たったの三分間、肉棒で膣を掻き回されただけで終わってしまっていたのだった。
そんな恵美子は激しい欲求不満に襲われていた。中途半端にピストンされただけの膣は膿んだ傷口のようにジクジクと疼き、電車に乗っている時も、早くアパートに帰って巨大ディルドでアソコをぐちゃぐちゃにしたいと、そんなことばかり考えていた。
だから恵美子は、この時、男子トイレで女性が泥酔しているから見て来て欲しいなどという、誰が聞いても怪しい話にも足を止めたのだった。
「お願いします」と言いながら、さっさと男子トイレに入っていった男の背中を見つめていた。例え彼が変質者であっても、殺されさえしなければいいと思いながら、そんな男の後について男子トイレの中へと進んだ。
シーンっと静まり返ったトイレには、その男以外、人の気配は全くしなかった。それでも恵美子は、男が「ここです」と指を差す一番奥の個室に向かって歩いた。
その個室はドアが閉まっていた。背後に立っている男をチラチラと気にしながらソッとドアを押し、半開きになったドアの隙間を恐る恐る覗いた。
案の定、そこには誰もいなかった。「誰もいないですけど……」と言いながら後ろを振り向くと、さっきまで真後ろに立っていたはずの男は、小便器の前に立っていた。
「えっ? いないっすか?」
そう言いながら男は、小便器の前で右腕をカサカサと動かしていた。
「おかしいなぁ……今までそこに居たんだけどなぁ……」
そう言いながら男は、スカートから伸びる恵美子の足をジロジロと見つめ、時折、目をトロンとさせてはハァハァと卑猥な息を吐いた。
恵美子はその場に立ち竦みながら、視線を男の下半身へと下ろした。
そんな恵美子の視線に気づいた男は、「へへへへ」と笑いながら体を斜めに傾け、シコシコとシゴく肉棒を恵美子に見せつけた。

予想していたことではあったが、しかし、改めてそれを見せつけられると、さすがの恵美子もギョッと目を見開いてしまった。
すかさず男は、「逃げないで」と恵美子に言った。悲願するかのように眉を垂らしながら、「すぐにイキますから見ててください」と言った。
恵美子は放心状態でそれを見つめながらゴクリと唾を飲み込んだ。上下にシゴかれる肉棒は、まるで別の生き物のように蠢き、ピンクの亀頭の先から溢れ出す我慢汁がピチャピチャと卑猥な音を奏でいた。
恵美子は、逃げ出すことなくそれをジッと見ていた。すると男は、そんな恵美子に脈があると思ったのか、小便器に向けていた体を堂々と恵美子に向け、「お願いします……しゃぶって下さい……」と言いながら、恵美子の目の前にシコシコと上下する肉棒を突き出した。
それをまともに見せつけられると、自然に恵美子の口からもハァハァと淫らな息が漏れ始めた。
恵美子はクラクラと目眩を感じながらゆっくりとその場にしゃがんだ。男は極度に興奮し、いきなり「ほら、しゃぶれ」などと命令語になりながら、激しくシゴくそれを恵美子の口に押しつけた。
強烈な恥垢臭が恵美子の鼻を襲った。しかし、そんな饐えた匂いは雌豚肉便器の恵美子にとっては興奮臭であり、恵美子の欲情を更に昂めてくれた。
我慢汁でテラテラと輝く亀頭に震える舌を伸ばした。アイスキャンディーの先を舐めるようにペロペロと舌を動かしながら、徐々に亀頭を口内に滑り込ませていった。

それが根元まで飲み込まれると、頭上で男が「マジかよ……」と呟いた。
顔を前後に振り、唾液でブジュブジュと音を立て始めると、男は「あああああ……」と唸りだし、恵美子の髪を両手で優しく撫でながら、「そこまでするならヤらせてくれよ……」と言った。
恵美子は、名残り惜しそうにそれを口からゆっくりと抜き取ると、口内に溜まった恥垢だらけの唾液をゴクリと飲み込んだ。
男は「いいのか?」と嬉しそうに目を輝かせながら、しゃがんでいた恵美子をその場に立たせた。そして、恵美子と入れ替わるように今度は自分がそこにしゃがむと、震える手で恵美子のスカートをゆっくりと捲り上げ、パンティーの上から恵美子の下半身に顔を擦り付けたのだった。
男はパンティーを乱暴に下ろすと、伸ばした舌を陰毛に這わせ、ジャリジャリと音を立てながらそこを舐めまくった。そうしながらも、尻から指を股間に潜り込ませ、割れ目を荒々しく弄りまくった。
「すげぇ濡れてるじゃん……」
男は恥骨に頬ずりしながらそう呟いた。確かにこの時恵美子は濡れていたが、しかし、その時男が指でネチャネチャさせていたのは上野が中出しした残液だった。
それを、こんなに恵美子が濡れているのだと勘違いした男は、「すげぇじゃん、すげぇ痴女じゃん」と喜びながら立ち上がり、そのまま恵美子を小便器にしがみつかせると、背後からペニスをツルンっと入れてきた。

男は、「おっ、おっ、おっ」とリズムを取りながら、それに合わせて腰を振ってきた。肉棒がズボズボとピストンする度に上野の残液がびちゃびちゃと音を鳴らし、静まり返ったトイレに響いた。
小便器にしがみつきながら悶える恵美子は、心の中で(もっと激しく犯してください、もっともっと乱暴に、めちゃくちゃにして下さい)と叫んでいた。するとそんな心の声が通じたのか、男は突然恵美子の尻をパシパシと叩き始め、「豚みてぇにデッケェ尻だな」と吐き捨てた。
いつものオヤジとは違い、男は激しく腰を振ってきた。恵美子が喘げば喘ぐほどにその腰の動きは速くなり、「感じてるのか……気持ちいいのか……」といやらしい質問を繰り返してきた。
そうされながら恵美子は何度も絶頂に達していた。イク度に恵美子は白い陶器の小便器に舌を這わせ、誰のものかもわからない塩っぱい小便の味を感じていたのだった。
このように恵美子は、二度も他人のオナニーを見せつけられてきた。
二度目のそれは、結局セックスまでさせてしまっているが、一度目の時も、誘われれば迷わずセックスさせていた。
そんな恵美子が、今、三度目のオナニーを見せつけられていた。
当然恵美子は、それを見せつけられながら、早くセックスして欲しいと思っていたが、しかし中年男は、まるでそんな恵美子の心を読み取っているかのように、ゆっくりとペニスをシゴきながら焦らし続けていた。
「これを、入れて欲しいか?」
男は鋭い目で恵美子の顔を覗き込みながら言った。
入れてくださいとどうしても声に出せない恵美子は、項垂れたまま小さくコクンっと頷いたのだった。
(つづく)
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雌豚肉便器4
2013/06/15 Sat 00:00
「どこに入れて欲しいんだ?」
項垂れている恵美子に、中年男はそう聞いてきた。
恵美子が黙っていると、「口か? マンコか? それともケツの穴か?」と下品に笑った。
それでも答えられない恵美子は、恐る恐る股間に手を伸ばした。そして、既にトロトロに濡れている割れ目にソッと指を這わせ、無言でそこにヌルヌルと指を滑らせた。
「そうか……そこに入れて欲しいのか……」
中年男は満足そうに頷くと、愛液でテラテラと輝く恵美子の指をジッと見つめながら、「開いてみろ」と唇の端を歪ませた。
恵美子は、その言葉に思わずいやらしい声を漏らした。今まで、早漏オヤジたちに入れて出されるだけの無情なセックスばかりされてきた恵美子には、そんな卑猥な命令は、いつも見ている変態動画よりも興奮させてくれた。
ハァハァと息を荒げながら両手を太ももの裏に入れた。そしてM字に股を開いたまま太ももを両腕で持ち上げ、両手で尻肉を押し広げながら、そこに伸ばした指で大陰唇をベロッと開いた。

中年男はペニスをシゴきながら前屈みになると、大きく開かれた膣の内部をマジマジと見つめた。そして、そこに顔をゆっくりと近づけながら、ヌメヌメと輝く粘膜をクンクンと嗅ぐと、「肉便器の匂いだ」と独り言のように呟いた。
中年男は、獰猛に口を開いた膣に指を伸ばしてきた。そこに人差し指をヌルヌルと滑らせ、その指をクンクンと嗅いだりしていた。
「今日は誰かセックスしてくれたか?」
白濁の汁が絡みつく指をペロペロと舐めながら中年男が聞いてきた。
今日は誰も恵美子を肉便器にしなかった。今日は中古物件のキャンペーンがあったため、いつも恵美子を肉便器にしている平社員のオヤジたちは朝から会場に出ていたからだった。
恵美子はソッと項垂れたまま、首を小さく左右に振った。
中年男は、ぽっかりと口を開いた膣口に人差し指をヌポヌポと出し入れしながら、「そりゃあ可哀想に……さぞかしチンポが欲しくて堪らないだろうなぁ……」と呟いた。
確かに、肉便器として調教されていた恵美子は、最低でも一日一回は肉棒を入れられないと気が狂いそうになった。肉棒を入れられない日はジクジクと陰部が疼いて仕方がないため、一人自宅アパートでディルドを使って疼きを癒していたくらいだった。

中年男は、そこからヌルっと指を抜き取ると、再びソファーにふんぞり返った。そして、そのドロドロに濡れた指でペニスを摘み、その汁を亀頭に塗り込みながら上下にシゴき始めた。
ピチャ、ピチャ、と汁が鳴っていた。それをジッと見つめていた恵美子は、今すぐにでもそれにしゃぶりつきたい衝動に駆られていた。
そんな恵美子の心を知りながら、中年男はひたすらペニスをシゴいていた。わざと焦らすかのようにそれを見せつけながら、時折、「ああ、イキそうだ」などと唸っては、恵美子に焦燥感与えた。

「このまま射精してもいいか?」
中年男は、不敵に唇の端を歪めながら聞いてきた。
心に蠢くモヤモヤを鷲掴みにされた恵美子は、ギュッと下唇を噛み締めながらイヤイヤと首を左右に振った。
中年男はニヤリと笑いながら、「君は、顔はブスだが、体はいい」と、最初に声を掛けられた時と同じ言葉を呟いた。
「醜い女に限ってアソコの具合は良いものなんだが……君はどうだね?」
「………………」
恵美子は黙ったまま、いつもオヤジたちが唸っている言葉を思い出していた。
オヤジたちは、いつも恵美子を肉便器にしている際、決まって、「マンコだけは最高だ」と唸っていた。
定年退職間際の島田さんが言うには、恵美子の性器は、いわゆる『名器』らしく、咥え込んだペニスをギュンギュンと締め付けながら、ヌルヌルの穴肉全体をグニョグニョと蠢かすらしい。
だから皆は、すぐにイッてしまうのだと島田さんは言った。決して早漏なのではなく、恵美子の性器が名器すぎるから、みんなすぐに果ててしまうんだと言っていた。
そんな島田の言葉を思い出しながら、恵美子はソッと中年男の顔を見上げた。
そんな恵美子の目を見ながら、中年男は、「ほほう……自信がありそうだな」と笑い、身を乗り上げた。そして、シコシコとシゴくその手を止め、ビンビンと勢いよく勃起する肉棒を恵美子に突き出しながら、「そんなに自信があるのなら、上に乗ってみなさい」と、亀頭をヒクヒクと痙攣させた。
恵美子は背筋をゾクゾクさせながらゆっくりと立ち上がった。中年男がふん反り返るソファーに恐る恐る近づき、肉棒がヌッと突き出ている下半身を跨ごうとした。
すると中年男が「おい」とそれを制止した。
「さっきから何度も言ってるが、君はブスだ。そんな醜い顔をドアップで見せられながらヤッても気色悪いだけだ。後ろを向け。ケツをこっちに向けて入れろ」
中年男はそう言いながら恵美子の腰を両手で掴み、強引に後ろを向かせたのだった。
屈辱が胸を締め付けた。ブスと言われる事には慣れていたが、気色悪いと言われたのは初めてであり、不意に埼玉にいるお母さんの顔が頭に浮かび悲しくなった。
しかし、それでも恵美子は我慢した。そこまで無残に貶されても、もはや変態雌豚肉便器として調教されてしまっている恵美子には、ここでそれを止める事は不可能なのだ。
屈辱に下唇を噛み締めながら、恵美子は前屈みになった。そのまま中年男の両太ももを跨ぎ、中年男の顔に向けておもいきり尻を突き出した。
「でかい尻だな……」
中年男はそう呟きながら、恵美子の大きな尻を両手で受け止めた。そして尻肉をこれでもかというくらいに大きく開くと、そこに剥き出されたワレメに亀頭をヌルヌルと滑らせながら、「肛門が真っ黒だ」と笑った。

ベロリと剥き出された粘膜に亀頭が食い込んできた。
恵美子はこの瞬間が堪らなく好きだった。ツルンっと滑り込んできた亀頭が膣の入口でコリコリする感触が堪らなかった。
しかし、いつものオヤジたちは、そんな感触を充分に楽しませてはくれなかった。こっそり会社の倉庫やトイレに恵美子を連れ込み、ビクビクしながら恵美子を肉便器にしていたオヤジたちには、そんな余裕はなかった。亀頭をワレメに充てがうなり一気に根元まで入れ、後は壊れたロボットのように腰を動かすだけだった。
だから恵美子は、ここぞとばかりに亀頭の感触を味わっていた。すぐに腰を落とそうとはせず、亀頭だけをすっぽりと飲み込みながら小刻みに腰を動かしていた。

そんな恵美子の尻を、中年男がおもいきり引っ叩いた。
ただしそれは、早くペニスをズッポリと入れろと怒っているのではなかった。「素晴らしい尻だな……」と感慨深く呟く中年男は、その大きな尻を叩く感触を楽しんでいるのであった。
そうやって尻を叩かれ続けていると、そのはち切れるような痛みがみるみる快感に変わってきた。但しそれは、痛みを快楽に変えた肉体的な快感ではなく、自分が無残に扱われているというマゾヒズムが湧き上がった精神的な快感だった。
我慢できなくなった恵美子は、腰を持ち上げたまま前に倒れ、中年男の両足にしがみついた。そしてそのままゆっくりと腰を落とし、まるで奈落の底に落ちていくかのように、「あああああああああああああ」と声を上げながら、硬い肉棒を根元まで飲み込んだ。

背後で中年男が「んんんんんんん……」と唸った。島田が言っていた『名器』を実感したのか、中年男は「んんんん」と唸る声を「おおおお」と変えながら、その大きな尻を両手で摩り始めた。
「これは凄い……想像して以上の具合の良さだ……」
中年男はそう呟きながらも、早く動かせとばかりに、腰を締め付けている恵美子の太ももをトントンと叩いた。
それを合図に恵美子の大きな尻が上下に動き出した。タプンタプンと揺れる尻肉が中年男の腹に叩きつけられ、パンパンと乾いた音を響かせた。
そんな中年男のペニスは、然程大きなものではなかった。それはどちらかといえば小さく、広告宣伝部の井上さんの真性包茎レベルだった。
それでも恵美子は感じていた。小さいながらもコリコリと硬い肉棒は、狭い穴の中にぎっしりと詰まった生肉をグイグイと掻き分け、膣壁をゴリゴリと擦ってくれた。その、ディルドとは違う肉感は恵美子を激しく興奮させ、気がつくと恵美子は肉棒をピストンしたまま失禁してしまっていた。
ペニスがズボズボする度に、割れ目の先からシュッシュっと尿が吹き出した。中年男は吹き出すそれを手の平で掬いながら、嬉しそうにペロペロと舐めていた。
恵美子も変態だったが、この中年男もかなりの変態だった。上下に動く恵美子の尻の裏を覗き込みながら、「ウ○コは出ないか、ウ○コを出してみろ」と肛門に指を突き立てていた。
そんな変態的な背面騎乗で、恵美子は四度も絶頂に達していた。中年男も一度は射精したが、しかしそれは全く衰えることはなく、中出ししたままピストンを続行していた。
「私はね、電車の中で君を見た瞬間から、君が変態性欲者だとすぐに気づいたよ」
中年男は、止めどなく上下する恵美子の尻を眺めながら突然そう語り始めた。
「なぜだかわかるかね」
「………………」
「それはね、君のその体が異様にエロかったからだよ」
恵美子は「あん、あん」と喘ぎながら腰をふり、中年男の話に耳を傾けていた。
「普通、君ほどのブスなら、そこまで体はエロくないんだよ。男に相手にされないようなブスはね、みるみる男性ホルモンが強くなり、次第におっさん化していくもんなんだよ。なのに君はブスのくせにエロかった。そのだらしない唇も、このムチムチの尻も、変態男共の精液の匂いがプンプンと漂っていたよ」
「………………」
「私はピーンッときたね。あっ、この女、ヤリマンだなってね。しかも君はブスだったから雌豚だと思ったよ。マゾの雌豚。変態男共の肉便器だなってね」
激しく腰を振る恵美子は、その肉便器という言葉に反応し、五度目の絶頂を迎えた。ヒィ、ヒィ、と息を詰まらせながら短く喘ぐ恵美子を見て、中年男は「それだよそれ、そのイキ方はまさに雌豚だよ」と笑った。
再び吹き出した尿を手の平で掬い取り、中年男はそれをペロペロと舐めながら、「相当、男に遊ばれてるな」と呟いた。
「だいたいね、ブスのくせに男が寄り付いてくるってのは、その女が金を持っているか、とびっきりスタイルが良いか、それともマンコの具合が良いかのどれかなんだよ。君は、どう見ても金を持っているようには見えないし、スタイルだってどちらかと言えば豚だ。だから私は、きっとこの女のマンコの具合は最高だなって思ったんだよ」
そう語りながら、突然中年男は、床に置いてあった黒い鞄を持ち上げた。そしてその中から太いマジックを取り出すと、「案の定、君は変態だった。そして予想通りマンコの具合も良かった。私の読みは当たっていた。君は最高の肉便器だ……」と言いながら、そのマジックのキャップをスポンっと抜いた。
中年男は恵美子の尻に手を置き、尻の動きを止めさせた。
その動きが止まるなり、恵美子の尻に冷たいマジックの先が滑り、辺りにシンナーのような匂いが漂った。
中年男は、素早くそこに何かを書いた。そして、恵美子の尻に書いたそれにフーフーと息を吹きかけながら、それを乾かそうとしていた。
マジックにキャップを被せながら、中年男は「よし」と言った。
「三日後の夜、また会おう。その時まで絶対にこれを消すな。君はこの三日間、この尻のまま肉便器にされるんだ」
恵美子は、そんな中年男の言葉を無視するかのように再び尻を動かし始めた。
「三日後、もしこれがこのままの状態で保たれていたら、ご褒美に凄い所に連れて行ってあげよう。君の大好きな変態男たちが大勢いる変態の館に連れて行ってやるよ。どうだ、行きたいだろ」
そうせせら嗤う中年男を無視して、恵美子はひたすら腰を動かしまくった。
そして、その尻に何と書かれているかも知らないまま、六度目の絶頂を迎えたのだった。

(雌豚肉便器・完)
《←目次》
項垂れている恵美子に、中年男はそう聞いてきた。
恵美子が黙っていると、「口か? マンコか? それともケツの穴か?」と下品に笑った。
それでも答えられない恵美子は、恐る恐る股間に手を伸ばした。そして、既にトロトロに濡れている割れ目にソッと指を這わせ、無言でそこにヌルヌルと指を滑らせた。
「そうか……そこに入れて欲しいのか……」
中年男は満足そうに頷くと、愛液でテラテラと輝く恵美子の指をジッと見つめながら、「開いてみろ」と唇の端を歪ませた。
恵美子は、その言葉に思わずいやらしい声を漏らした。今まで、早漏オヤジたちに入れて出されるだけの無情なセックスばかりされてきた恵美子には、そんな卑猥な命令は、いつも見ている変態動画よりも興奮させてくれた。
ハァハァと息を荒げながら両手を太ももの裏に入れた。そしてM字に股を開いたまま太ももを両腕で持ち上げ、両手で尻肉を押し広げながら、そこに伸ばした指で大陰唇をベロッと開いた。

中年男はペニスをシゴきながら前屈みになると、大きく開かれた膣の内部をマジマジと見つめた。そして、そこに顔をゆっくりと近づけながら、ヌメヌメと輝く粘膜をクンクンと嗅ぐと、「肉便器の匂いだ」と独り言のように呟いた。
中年男は、獰猛に口を開いた膣に指を伸ばしてきた。そこに人差し指をヌルヌルと滑らせ、その指をクンクンと嗅いだりしていた。
「今日は誰かセックスしてくれたか?」
白濁の汁が絡みつく指をペロペロと舐めながら中年男が聞いてきた。
今日は誰も恵美子を肉便器にしなかった。今日は中古物件のキャンペーンがあったため、いつも恵美子を肉便器にしている平社員のオヤジたちは朝から会場に出ていたからだった。
恵美子はソッと項垂れたまま、首を小さく左右に振った。
中年男は、ぽっかりと口を開いた膣口に人差し指をヌポヌポと出し入れしながら、「そりゃあ可哀想に……さぞかしチンポが欲しくて堪らないだろうなぁ……」と呟いた。
確かに、肉便器として調教されていた恵美子は、最低でも一日一回は肉棒を入れられないと気が狂いそうになった。肉棒を入れられない日はジクジクと陰部が疼いて仕方がないため、一人自宅アパートでディルドを使って疼きを癒していたくらいだった。

中年男は、そこからヌルっと指を抜き取ると、再びソファーにふんぞり返った。そして、そのドロドロに濡れた指でペニスを摘み、その汁を亀頭に塗り込みながら上下にシゴき始めた。
ピチャ、ピチャ、と汁が鳴っていた。それをジッと見つめていた恵美子は、今すぐにでもそれにしゃぶりつきたい衝動に駆られていた。
そんな恵美子の心を知りながら、中年男はひたすらペニスをシゴいていた。わざと焦らすかのようにそれを見せつけながら、時折、「ああ、イキそうだ」などと唸っては、恵美子に焦燥感与えた。

「このまま射精してもいいか?」
中年男は、不敵に唇の端を歪めながら聞いてきた。
心に蠢くモヤモヤを鷲掴みにされた恵美子は、ギュッと下唇を噛み締めながらイヤイヤと首を左右に振った。
中年男はニヤリと笑いながら、「君は、顔はブスだが、体はいい」と、最初に声を掛けられた時と同じ言葉を呟いた。
「醜い女に限ってアソコの具合は良いものなんだが……君はどうだね?」
「………………」
恵美子は黙ったまま、いつもオヤジたちが唸っている言葉を思い出していた。
オヤジたちは、いつも恵美子を肉便器にしている際、決まって、「マンコだけは最高だ」と唸っていた。
定年退職間際の島田さんが言うには、恵美子の性器は、いわゆる『名器』らしく、咥え込んだペニスをギュンギュンと締め付けながら、ヌルヌルの穴肉全体をグニョグニョと蠢かすらしい。
だから皆は、すぐにイッてしまうのだと島田さんは言った。決して早漏なのではなく、恵美子の性器が名器すぎるから、みんなすぐに果ててしまうんだと言っていた。
そんな島田の言葉を思い出しながら、恵美子はソッと中年男の顔を見上げた。
そんな恵美子の目を見ながら、中年男は、「ほほう……自信がありそうだな」と笑い、身を乗り上げた。そして、シコシコとシゴくその手を止め、ビンビンと勢いよく勃起する肉棒を恵美子に突き出しながら、「そんなに自信があるのなら、上に乗ってみなさい」と、亀頭をヒクヒクと痙攣させた。
恵美子は背筋をゾクゾクさせながらゆっくりと立ち上がった。中年男がふん反り返るソファーに恐る恐る近づき、肉棒がヌッと突き出ている下半身を跨ごうとした。
すると中年男が「おい」とそれを制止した。
「さっきから何度も言ってるが、君はブスだ。そんな醜い顔をドアップで見せられながらヤッても気色悪いだけだ。後ろを向け。ケツをこっちに向けて入れろ」
中年男はそう言いながら恵美子の腰を両手で掴み、強引に後ろを向かせたのだった。
屈辱が胸を締め付けた。ブスと言われる事には慣れていたが、気色悪いと言われたのは初めてであり、不意に埼玉にいるお母さんの顔が頭に浮かび悲しくなった。
しかし、それでも恵美子は我慢した。そこまで無残に貶されても、もはや変態雌豚肉便器として調教されてしまっている恵美子には、ここでそれを止める事は不可能なのだ。
屈辱に下唇を噛み締めながら、恵美子は前屈みになった。そのまま中年男の両太ももを跨ぎ、中年男の顔に向けておもいきり尻を突き出した。
「でかい尻だな……」
中年男はそう呟きながら、恵美子の大きな尻を両手で受け止めた。そして尻肉をこれでもかというくらいに大きく開くと、そこに剥き出されたワレメに亀頭をヌルヌルと滑らせながら、「肛門が真っ黒だ」と笑った。

ベロリと剥き出された粘膜に亀頭が食い込んできた。
恵美子はこの瞬間が堪らなく好きだった。ツルンっと滑り込んできた亀頭が膣の入口でコリコリする感触が堪らなかった。
しかし、いつものオヤジたちは、そんな感触を充分に楽しませてはくれなかった。こっそり会社の倉庫やトイレに恵美子を連れ込み、ビクビクしながら恵美子を肉便器にしていたオヤジたちには、そんな余裕はなかった。亀頭をワレメに充てがうなり一気に根元まで入れ、後は壊れたロボットのように腰を動かすだけだった。
だから恵美子は、ここぞとばかりに亀頭の感触を味わっていた。すぐに腰を落とそうとはせず、亀頭だけをすっぽりと飲み込みながら小刻みに腰を動かしていた。

そんな恵美子の尻を、中年男がおもいきり引っ叩いた。
ただしそれは、早くペニスをズッポリと入れろと怒っているのではなかった。「素晴らしい尻だな……」と感慨深く呟く中年男は、その大きな尻を叩く感触を楽しんでいるのであった。
そうやって尻を叩かれ続けていると、そのはち切れるような痛みがみるみる快感に変わってきた。但しそれは、痛みを快楽に変えた肉体的な快感ではなく、自分が無残に扱われているというマゾヒズムが湧き上がった精神的な快感だった。
我慢できなくなった恵美子は、腰を持ち上げたまま前に倒れ、中年男の両足にしがみついた。そしてそのままゆっくりと腰を落とし、まるで奈落の底に落ちていくかのように、「あああああああああああああ」と声を上げながら、硬い肉棒を根元まで飲み込んだ。

背後で中年男が「んんんんんんん……」と唸った。島田が言っていた『名器』を実感したのか、中年男は「んんんん」と唸る声を「おおおお」と変えながら、その大きな尻を両手で摩り始めた。
「これは凄い……想像して以上の具合の良さだ……」
中年男はそう呟きながらも、早く動かせとばかりに、腰を締め付けている恵美子の太ももをトントンと叩いた。
それを合図に恵美子の大きな尻が上下に動き出した。タプンタプンと揺れる尻肉が中年男の腹に叩きつけられ、パンパンと乾いた音を響かせた。
そんな中年男のペニスは、然程大きなものではなかった。それはどちらかといえば小さく、広告宣伝部の井上さんの真性包茎レベルだった。
それでも恵美子は感じていた。小さいながらもコリコリと硬い肉棒は、狭い穴の中にぎっしりと詰まった生肉をグイグイと掻き分け、膣壁をゴリゴリと擦ってくれた。その、ディルドとは違う肉感は恵美子を激しく興奮させ、気がつくと恵美子は肉棒をピストンしたまま失禁してしまっていた。
ペニスがズボズボする度に、割れ目の先からシュッシュっと尿が吹き出した。中年男は吹き出すそれを手の平で掬いながら、嬉しそうにペロペロと舐めていた。
恵美子も変態だったが、この中年男もかなりの変態だった。上下に動く恵美子の尻の裏を覗き込みながら、「ウ○コは出ないか、ウ○コを出してみろ」と肛門に指を突き立てていた。
そんな変態的な背面騎乗で、恵美子は四度も絶頂に達していた。中年男も一度は射精したが、しかしそれは全く衰えることはなく、中出ししたままピストンを続行していた。
「私はね、電車の中で君を見た瞬間から、君が変態性欲者だとすぐに気づいたよ」
中年男は、止めどなく上下する恵美子の尻を眺めながら突然そう語り始めた。
「なぜだかわかるかね」
「………………」
「それはね、君のその体が異様にエロかったからだよ」
恵美子は「あん、あん」と喘ぎながら腰をふり、中年男の話に耳を傾けていた。
「普通、君ほどのブスなら、そこまで体はエロくないんだよ。男に相手にされないようなブスはね、みるみる男性ホルモンが強くなり、次第におっさん化していくもんなんだよ。なのに君はブスのくせにエロかった。そのだらしない唇も、このムチムチの尻も、変態男共の精液の匂いがプンプンと漂っていたよ」
「………………」
「私はピーンッときたね。あっ、この女、ヤリマンだなってね。しかも君はブスだったから雌豚だと思ったよ。マゾの雌豚。変態男共の肉便器だなってね」
激しく腰を振る恵美子は、その肉便器という言葉に反応し、五度目の絶頂を迎えた。ヒィ、ヒィ、と息を詰まらせながら短く喘ぐ恵美子を見て、中年男は「それだよそれ、そのイキ方はまさに雌豚だよ」と笑った。
再び吹き出した尿を手の平で掬い取り、中年男はそれをペロペロと舐めながら、「相当、男に遊ばれてるな」と呟いた。
「だいたいね、ブスのくせに男が寄り付いてくるってのは、その女が金を持っているか、とびっきりスタイルが良いか、それともマンコの具合が良いかのどれかなんだよ。君は、どう見ても金を持っているようには見えないし、スタイルだってどちらかと言えば豚だ。だから私は、きっとこの女のマンコの具合は最高だなって思ったんだよ」
そう語りながら、突然中年男は、床に置いてあった黒い鞄を持ち上げた。そしてその中から太いマジックを取り出すと、「案の定、君は変態だった。そして予想通りマンコの具合も良かった。私の読みは当たっていた。君は最高の肉便器だ……」と言いながら、そのマジックのキャップをスポンっと抜いた。
中年男は恵美子の尻に手を置き、尻の動きを止めさせた。
その動きが止まるなり、恵美子の尻に冷たいマジックの先が滑り、辺りにシンナーのような匂いが漂った。
中年男は、素早くそこに何かを書いた。そして、恵美子の尻に書いたそれにフーフーと息を吹きかけながら、それを乾かそうとしていた。
マジックにキャップを被せながら、中年男は「よし」と言った。
「三日後の夜、また会おう。その時まで絶対にこれを消すな。君はこの三日間、この尻のまま肉便器にされるんだ」
恵美子は、そんな中年男の言葉を無視するかのように再び尻を動かし始めた。
「三日後、もしこれがこのままの状態で保たれていたら、ご褒美に凄い所に連れて行ってあげよう。君の大好きな変態男たちが大勢いる変態の館に連れて行ってやるよ。どうだ、行きたいだろ」
そうせせら嗤う中年男を無視して、恵美子はひたすら腰を動かしまくった。
そして、その尻に何と書かれているかも知らないまま、六度目の絶頂を迎えたのだった。

(雌豚肉便器・完)
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スリル1・破滅の起因
2013/06/13 Thu 00:02
ほんのりとカビ臭いクローゼットの中から浴衣を取り出した。
安いビジネスホテルの浴衣は洗濯のりでバリバリしており、とても着れるような代物ではなかった。
一人でホテルに泊まる時は浴衣など絶対に着ない恵美だったが、しかし、浴衣姿に欲情するという彼とこのホテルに来た時だけは、いつもそれに着替えていた。
そんな浴衣をベッドの上に投げ捨て、服を脱ぎ始めた。
クローゼットの前にある等身大の鏡に、二十五才の見事な裸体が映し出された。
透明感。そんな言葉が似合う真っ白な肌だった。プルンっと盛り上がった半球型の乳房の先には、色素の薄い乳頭がツンっと尖り、引き締まったウェストからポテッと張り出したそのヒップのラインは、美しくもあり、そして卑猥でもあった。
そんな自分の裸体を隅々まで見つめながら、淡いベージュのショーツに指先を引っかけた。スルッとショーツを太ももまで下ろすと、クロッチの裏側に丸い形をしたシミが出来ているのが見えた。
既にそこは濡れていた。栗毛色の陰毛がネチャっと萎れるほど、そこにはネトネトの汁が溢れ出していた。
そこに指を潜らせると、まるでハチミツの瓶に指を突っ込んだようにヌルっと滑り、生温かい二枚の襞が指にネバネバと絡み付いて来た。
恵美は、毎週土曜日になるとこのホテルに来ていた。
それは、同じ会社の営業部の松川と一緒だった。
妻と別れるからと強引に口説かれ、松川と関係を持ったのだが、しかし松川に離婚する気など全くなく、そのまま二年間、恵美は毎週土曜の夜にこの薄ら淋しいホテルの一室に呼び出されては、性処理女として扱われていたのだった。
土曜の午後八時。
その日も恵美は、いつものように、一人このホテルにやって来た。
そこは、駅裏にある古いビジネスホテルだった。
当初は、ビジネスマン向けに作られた低価格のホテルだったらしいが、しかし老朽化と共にその利用客も変わり、今ではラブホテル代わりに使う客がほとんどだった。
そんなホテルのロビーには、常にそれらしき女達がいた。
酔ったキャバ嬢、疲れたデリ嬢、やたらキョロキョロしている出会い系の女に、スマホをジッと見つめたまま身動きしない不倫女。
そして、そんな女達を取り巻くように、それらしき男達も大勢いた。
ソファーを占領する反社の男達、やたらと声の大きな田舎のオヤジ、こそこそと新聞で顔を隠している不倫男に、妙にイライラしているデリのドライバー。
そんなカオスと化したロビーには、いつもそんな男と女が醜い欲望を剥き出しながら蠢いていたのだった。
浴衣に着替えた恵美は、窓際のベッドに腰掛けながら、今か今かと背後のドアが開くのを待ちわびていた。
松川に対して恋愛感情はほとんどなかった。自分が性処理女として扱われていると知った時点で、松川に対する気持ちは冷めてしまっていた。
しかし、感情は薄れても、肉体は松川を求めていた。
中年男の執拗なる変態行為は、苦痛の中に激しい快感を与えてくれた。週に一度は、その快感を得なければ気が狂いそうになってしまうほど、恵美は松川に調教されていたのだった。
だから恵美は松川が来るのを今か今かと待ちわびていた。
しかし二時間待っても、松川はやって来なかった。
やめたほうがいいと思いながらも松川の携帯に電話してみた。
十コール目でやっと松川が出た。
しかし松川は、電話に出るなりいきなり怒鳴った。
「いい加減つきまとうのはやめてくれよ!」
そのまま機関銃のように怒鳴られまくった。何が何だかわからないまま唖然としていると、その怒鳴り声の途中で、女が電話に代わった。
「これ以上夫につきまとうと告訴しますよ」
低い声でそう言われ、そのまま電話を切られてしまったのだった。
呆然とベッドに腰掛けていた。
窓の外に映る『つぼ八』の青いネオン看板をぼんやりと見つめていると、この二年間、あの醜い中年男の性玩具にされてきた事が走馬灯のように思い出された。
松川は、十歳年下の恵美を可愛い可愛いと愛でながらも、その言葉とは逆の行為を恵美に加えた。
ガムテープで縛られた事もあった。真っ赤な蝋をお尻に垂らされながら背後から攻められた事もあった。卑猥なバイブを使わされ、そのシーンを携帯で撮影された事もあった。ある時など、通常では入れない穴に入れられ、あまりの痛さに泣き叫んだ事もあったほどだった。
そんな二年間の結末は実に呆気なかった。散々弄ばれた挙げ句、たった一分足らずの電話で強制終了させられてしまったのだ。
松川には全く未練はなかった。恨みも怒りも湧いて来なかった。が、しかし、心は覚めていても、体はまだ疼いていた。
この二年間、あの中年男に変態行為を教え込まれたこの体は、土曜の夜になると妙に疼くのだ。
そんな疼きを抑えようと、恵美は冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
恵美は下戸だったが、このやるせなさを消し去りたい一心で、缶ビールを一気に飲み干した。
空になった缶をテーブルに置くと、全身の力がドッと抜け、すぐさま額に脂汗が滲んできた。
目を綴じると、とたんに脳が回り始めた。慌てて目を開けると、ふとベッドサイドテーブルに置いてあった、『マッサージ・四十分四千円』というプレートが目に飛び込んで来た。
無性に誰かと話したかった。相手は誰でも良かった。とにかくこの胸のモヤモヤを誰かに聞いてもらいたかった。
朦朧としながら受話器を取り、震える指でフロント9番を押した。そして、天井の隅の雨漏りの染みをぼんやり見つめながら、「マッサージをお願いします……」と呟くと、その返事も聞かないまま寝てしまったのだった。
ピンポーンっとドアチャイムが鳴った気がして目を覚ました。
ぼんやりと目を開き、朦朧としたまま天井を見つめていると、静まり返った部屋に再びドアチャイムが鳴り響いた。
ふらふらしながらドアへと向かい、ソッとドアスコープを覗くと、そこには白衣を着た中年男が立っていた。
そこで初めて恵美はマッサージを頼んだ事を思い出した。
今更、話し相手など必要なかった。馬鹿みたいに一気飲みしたビールが頭をガンガンと締め付け、このまま眠ってしまいたかった。
料金だけ払って帰ってもらおうとドアを開けた。
しかし、「こんばんは〜」と笑っている男を目の当たりにすると、気の小さな恵美はとたんに何も言えなくなってしまったのだった。
結局、ベッドに寝かされ、肩をグイグイと揉まれた。
右肩の窪みに男の指が食い込むと、まるで水が漏れていくように、首に溜まっていた疲れが一気に抜けていった。
久々のマッサージは驚くほどに気持ち良かった。ここ最近、連日のデスクワークに没頭していた恵美は、異常な肩こりに悩まされていたのだ。
あまりの気持ち良さに恵美の脳は蕩け、心地良い睡魔に再び眠りの中へと引きずり込まれた。
それからどれだけ時間が過ぎただろうか、ふと目を覚ました恵美は、ベッドの足下で男がモゾモゾしている気配を感じた。
まだマッサージは続いていたのか……
そう思いながらソッと顔をあげると、M字に開かれた自分の太ももが目に飛び込んで来た。
浴衣の裾は捲れ上がりショーツが露になっていた。
そんな恵美の足下には男が踞り、恵美の脹ら脛をせっせと揉みながら、M字に開かれた股間をジッと見ていた。
しかも男は、もう片方の手で熱り立った黒い肉棒を握りしめていた。それを上下に動かしながら恵美の股間を覗き込み、ハァハァと卑猥な荒い息を小刻みに漏らしていたのだった。
(つづく)
《←目次》《2話へ→》
安いビジネスホテルの浴衣は洗濯のりでバリバリしており、とても着れるような代物ではなかった。
一人でホテルに泊まる時は浴衣など絶対に着ない恵美だったが、しかし、浴衣姿に欲情するという彼とこのホテルに来た時だけは、いつもそれに着替えていた。
そんな浴衣をベッドの上に投げ捨て、服を脱ぎ始めた。
クローゼットの前にある等身大の鏡に、二十五才の見事な裸体が映し出された。
透明感。そんな言葉が似合う真っ白な肌だった。プルンっと盛り上がった半球型の乳房の先には、色素の薄い乳頭がツンっと尖り、引き締まったウェストからポテッと張り出したそのヒップのラインは、美しくもあり、そして卑猥でもあった。
そんな自分の裸体を隅々まで見つめながら、淡いベージュのショーツに指先を引っかけた。スルッとショーツを太ももまで下ろすと、クロッチの裏側に丸い形をしたシミが出来ているのが見えた。
既にそこは濡れていた。栗毛色の陰毛がネチャっと萎れるほど、そこにはネトネトの汁が溢れ出していた。
そこに指を潜らせると、まるでハチミツの瓶に指を突っ込んだようにヌルっと滑り、生温かい二枚の襞が指にネバネバと絡み付いて来た。
恵美は、毎週土曜日になるとこのホテルに来ていた。
それは、同じ会社の営業部の松川と一緒だった。
妻と別れるからと強引に口説かれ、松川と関係を持ったのだが、しかし松川に離婚する気など全くなく、そのまま二年間、恵美は毎週土曜の夜にこの薄ら淋しいホテルの一室に呼び出されては、性処理女として扱われていたのだった。
土曜の午後八時。
その日も恵美は、いつものように、一人このホテルにやって来た。
そこは、駅裏にある古いビジネスホテルだった。
当初は、ビジネスマン向けに作られた低価格のホテルだったらしいが、しかし老朽化と共にその利用客も変わり、今ではラブホテル代わりに使う客がほとんどだった。
そんなホテルのロビーには、常にそれらしき女達がいた。
酔ったキャバ嬢、疲れたデリ嬢、やたらキョロキョロしている出会い系の女に、スマホをジッと見つめたまま身動きしない不倫女。
そして、そんな女達を取り巻くように、それらしき男達も大勢いた。
ソファーを占領する反社の男達、やたらと声の大きな田舎のオヤジ、こそこそと新聞で顔を隠している不倫男に、妙にイライラしているデリのドライバー。
そんなカオスと化したロビーには、いつもそんな男と女が醜い欲望を剥き出しながら蠢いていたのだった。
浴衣に着替えた恵美は、窓際のベッドに腰掛けながら、今か今かと背後のドアが開くのを待ちわびていた。
松川に対して恋愛感情はほとんどなかった。自分が性処理女として扱われていると知った時点で、松川に対する気持ちは冷めてしまっていた。
しかし、感情は薄れても、肉体は松川を求めていた。
中年男の執拗なる変態行為は、苦痛の中に激しい快感を与えてくれた。週に一度は、その快感を得なければ気が狂いそうになってしまうほど、恵美は松川に調教されていたのだった。
だから恵美は松川が来るのを今か今かと待ちわびていた。
しかし二時間待っても、松川はやって来なかった。
やめたほうがいいと思いながらも松川の携帯に電話してみた。
十コール目でやっと松川が出た。
しかし松川は、電話に出るなりいきなり怒鳴った。
「いい加減つきまとうのはやめてくれよ!」
そのまま機関銃のように怒鳴られまくった。何が何だかわからないまま唖然としていると、その怒鳴り声の途中で、女が電話に代わった。
「これ以上夫につきまとうと告訴しますよ」
低い声でそう言われ、そのまま電話を切られてしまったのだった。
呆然とベッドに腰掛けていた。
窓の外に映る『つぼ八』の青いネオン看板をぼんやりと見つめていると、この二年間、あの醜い中年男の性玩具にされてきた事が走馬灯のように思い出された。
松川は、十歳年下の恵美を可愛い可愛いと愛でながらも、その言葉とは逆の行為を恵美に加えた。
ガムテープで縛られた事もあった。真っ赤な蝋をお尻に垂らされながら背後から攻められた事もあった。卑猥なバイブを使わされ、そのシーンを携帯で撮影された事もあった。ある時など、通常では入れない穴に入れられ、あまりの痛さに泣き叫んだ事もあったほどだった。
そんな二年間の結末は実に呆気なかった。散々弄ばれた挙げ句、たった一分足らずの電話で強制終了させられてしまったのだ。
松川には全く未練はなかった。恨みも怒りも湧いて来なかった。が、しかし、心は覚めていても、体はまだ疼いていた。
この二年間、あの中年男に変態行為を教え込まれたこの体は、土曜の夜になると妙に疼くのだ。
そんな疼きを抑えようと、恵美は冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
恵美は下戸だったが、このやるせなさを消し去りたい一心で、缶ビールを一気に飲み干した。
空になった缶をテーブルに置くと、全身の力がドッと抜け、すぐさま額に脂汗が滲んできた。
目を綴じると、とたんに脳が回り始めた。慌てて目を開けると、ふとベッドサイドテーブルに置いてあった、『マッサージ・四十分四千円』というプレートが目に飛び込んで来た。
無性に誰かと話したかった。相手は誰でも良かった。とにかくこの胸のモヤモヤを誰かに聞いてもらいたかった。
朦朧としながら受話器を取り、震える指でフロント9番を押した。そして、天井の隅の雨漏りの染みをぼんやり見つめながら、「マッサージをお願いします……」と呟くと、その返事も聞かないまま寝てしまったのだった。
ピンポーンっとドアチャイムが鳴った気がして目を覚ました。
ぼんやりと目を開き、朦朧としたまま天井を見つめていると、静まり返った部屋に再びドアチャイムが鳴り響いた。
ふらふらしながらドアへと向かい、ソッとドアスコープを覗くと、そこには白衣を着た中年男が立っていた。
そこで初めて恵美はマッサージを頼んだ事を思い出した。
今更、話し相手など必要なかった。馬鹿みたいに一気飲みしたビールが頭をガンガンと締め付け、このまま眠ってしまいたかった。
料金だけ払って帰ってもらおうとドアを開けた。
しかし、「こんばんは〜」と笑っている男を目の当たりにすると、気の小さな恵美はとたんに何も言えなくなってしまったのだった。
結局、ベッドに寝かされ、肩をグイグイと揉まれた。
右肩の窪みに男の指が食い込むと、まるで水が漏れていくように、首に溜まっていた疲れが一気に抜けていった。
久々のマッサージは驚くほどに気持ち良かった。ここ最近、連日のデスクワークに没頭していた恵美は、異常な肩こりに悩まされていたのだ。
あまりの気持ち良さに恵美の脳は蕩け、心地良い睡魔に再び眠りの中へと引きずり込まれた。
それからどれだけ時間が過ぎただろうか、ふと目を覚ました恵美は、ベッドの足下で男がモゾモゾしている気配を感じた。
まだマッサージは続いていたのか……
そう思いながらソッと顔をあげると、M字に開かれた自分の太ももが目に飛び込んで来た。
浴衣の裾は捲れ上がりショーツが露になっていた。
そんな恵美の足下には男が踞り、恵美の脹ら脛をせっせと揉みながら、M字に開かれた股間をジッと見ていた。
しかも男は、もう片方の手で熱り立った黒い肉棒を握りしめていた。それを上下に動かしながら恵美の股間を覗き込み、ハァハァと卑猥な荒い息を小刻みに漏らしていたのだった。
(つづく)
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スリル2・変態マッサージ
2013/06/13 Thu 00:02
M字に開かされた太もも越しに、男の白衣の右肩が、ユッサ、ユッサ、と動いているのが見えた。
男は恵美が目を覚ましている事に全く気付いていなかった。M字に開いた股間を覗き込み、目を半開きにさせながらひたすら右手を動かす行為に没頭していた。
(目を覚ましているのがばれたら殺される……)
突発的に、そんな馬鹿げた強迫観念に囚われた。
恐る恐る薄目を開けると、男の右手の中で蠢いている黒い物体がはっきりと見えた。それが上下に擦られる度に、黒い皮の中からテラテラと濡れ輝く赤い頭が出たり入ったりと繰り返し、まるで獰猛な爬虫類が威嚇しているようだった。
男はクロッチに鼻を近づけ、まるで麻薬探知犬のように鼻を鳴らしながら陰部を嗅ぎ始めた。
強烈な羞恥心に襲われた。見られるのと嗅がれるのとでは、その羞恥度は雲泥の差だった。しかもこの男は見ず知らずの他人であり、ましてその部分は、女が最も嗅がれたくない部分なのである。
男は、そこをひと嗅ぎする度に恍惚とした表情を浮かべていた。
その病的な男の姿に恵美は、改めて恐怖を感じた。
が、しかし、そんな恐怖とは違う、また別の感情が恵美の胸底に涌き上がってきているのも事実だった。
それは、言葉では表現できないスリルだった。
これまで数々の男達と様々なセックスを経験して来た恵美だったが、しかし、自慰を生で見るのはこれが初めてだった。
確かに、腹に出された時や顔射の際、男が手淫しているのを何度か見た事はあったが、しかし、それはあくまでもセックスの延長であり、今回のように、人に隠れてコソコソしながらやっている手淫とは全くの別物だった。
恵美は、この初めて目にする自慰に、人間の醜さと、男の貪欲さと、異様なスリルを感じた。そしてその結末がどうなるかを見てみたいという、怖いもの見たさに駆られてしまった。
しかも男は、自分のこの醜態を見られている事に全く気付いていなかった。だからこの状況には、監視カメラで他人のプライベートをこっそり覗いているような面白さがあった。
恐怖心と好奇心。
それらが複雑に入り乱れ、日頃は大人しくて気の弱い恵美に異常な興奮を与えた。
恵美は酔っていた。しかも、松川に捨てられたというショックで自虐に陥っていたのだ。
そんな、アルコールとストレスで壊れかけていた恵美の脳を、異常な興奮がジワリジワリと溶かし始めていた。見知らぬ男に性器を見られ、そして嗅がれるというフェティシズムな変態行為が、本来マゾヒストである恵美の異常興奮を呼び起こしてしまったのだった。
暫くすると、男の太い指がスリスリと股間に近付き、クロッチを優しく撫で始めた。まるで原型をなぞるかのように、割れ目に沿って上下に動いていた。
不意に男が、「濡れてる……」と呟いた。
男は、恵美が目を覚ましていると疑っているのか、凄まじい形相で恵美の股間と恵美の顔とを交互に見た。
恵美は思った。もし男が強姦してくるようであれば、それを素直に受け入れようと。恵美は密かに望んでいたのだ。あの黒くて太い物体が、自分の中を出たり入ったりしてくれる事を。
そう願っていると男はショーツのゴムに指を引っかけた。そしてそれをじわりじわりと下ろし始めたが、しかし、恵美の股はM字に開いていた為、ショーツは曲がった膝で止まってしまった。
恵美の太ももでショーツがピーンッと張っていた。露にされたクロッチにはいやらしいシミがじっとりと広がっていた。
恵美の陰部は既にヌルヌルだった。溢れた蜜が、穴と肛門の間にある会陰にトロっと垂れ、それが肛門へと垂れて行くのが自分でもわかった。
男はそんな股間を必死に覗き込んでいた。剥き出された性器に男の荒い息を感じた恵美は、(早く入れて)と心の中で呟いていた。
しかし男は、一向に入れる気配を見せなかった。それどころか、いきなり数枚のティッシュをベッドのシーツの上に広げ、そこに亀頭を向けて手淫を始めたのである。
どうやら男は、そこに射精するつもりでいるらしい。そう落胆した恵美は、いっその事、いきなりその黒い物体にむしゃぶりつこうかと考えた。
しかし、何度も言うが恵美は小心者だった。特にセックスに対しては病的なほどに消極的で、いつも男達にはされるがままになっているM女だった。
そんな恵美に、自らの意思で黒い物体を咥える勇気などなかった。
四つん這いになりながら股間を覗き込んでいた男は、濡れた陰部に向かって「あああ」と小さく唸った。今まで亀頭から根元まで大振りにシゴいていたのが、いつしか亀頭だけを集中的にシゴく小振りな動きに変わっている。
男はハァハァと荒い息を吐きながらいきなり割れ目をペロリと舐めた。溢れる汁を舌で掬い取りながら、割れ目に沿って下から上へとツルンっと滑った舌は、最後にクリトリスをコロンっと転がした。
そんな刺激に、おもわず恵美が顔を顰めると、そこでいきなりパタパタっという聞き慣れない音が響いた。
男はベッドに広げたティッシュの上に白濁の精液が飛び散らせていた。
「あっ、あっ、」と呻きながら、四つん這いの腰を小刻みに動かしていた。
上下される黒い物体の先からは次々に精液が噴き出した。広げたティッシュの上には、まるでカルピスゼリーのような精液の塊がタプタプと溜まっていたのだった。
男は精液を出し尽くすと、慌ててティッシュを丸め、それをそのままドレッサーの下の屑篭の中に捨てた。
ズボンを履き、身形を整えると、男は急いで恵美のショーツを元に戻し、料金も貰わないまま逃げるようにして部屋を出て行った。
一人部屋に取り残された恵美は、微かに響くエアコンの音を聞きながら天井を見つめていた。そんな恵美の胸には、レイプされた後のような屈辱感と、早漏の男と寝た後のような不満足感が燻っていた。
恵美は気怠くベッドを滑り降りた。そしてドレッサーの下を覗き、屑篭の中から丸めたティッシュを摘まみ出した。
それはずっしりと重かった。キャベツの葉を捲るようにして、丸めたティッシュを一枚一枚捲り始めた。
中からプルプルとした精液の塊が出て来た。顔を近づけてみると、ほのかにクレゾールのようなキツい匂いが漂ってきた。
急いで浴衣を脱ぎ捨て、全裸でベッドに寝転がった。
ティッシュから精液を掬い取り、それを乳首に塗り込むと、ヌルヌルとしたその感触に、おもわず「はっ」と声が漏れた。
一心不乱に乳首をヌルヌルと滑らせていると、不意に枕元に置いてあった携帯が鳴り出した。
携帯の画面には『松川さん』という文字が浮かんでいた。
しかし恵美はそれを無視した。
再びティッシュから精液を掬い取ると、迷う事無くそれを陰部に塗り込んだ。指をピストンさせると、さっき見たあの黒い物体の動きが鮮明に蘇って来た。とたんに激しい高揚感が涌き上がり、無意識に全身がキューンっと伸びた。
あっ、イクっ。
そう頭の中で呟いた瞬間、恵美は、精液がべっとりと付着したティッシュを顔の上で広げた。そして、そのどこの誰かもわからない男の精液を無我夢中で舐め、激しい快楽の渦に巻き込まれた。
恵美は何度もイッた。イッたと思ったらまたすぐに新たな波が押し寄せ、数えきれないほど連続でイッた。
気が付くと、ベッドのシーツはグショグショに湿っていた。それが失禁なのか、若しくは潮を噴いたものなのか自分でもわからなかったが、そんな卑猥なシーツを目にすると、またしても激しい波が押し寄せて来たのだった。
(つづく)
《←目次》《3話へ→》
男は恵美が目を覚ましている事に全く気付いていなかった。M字に開いた股間を覗き込み、目を半開きにさせながらひたすら右手を動かす行為に没頭していた。
(目を覚ましているのがばれたら殺される……)
突発的に、そんな馬鹿げた強迫観念に囚われた。
恐る恐る薄目を開けると、男の右手の中で蠢いている黒い物体がはっきりと見えた。それが上下に擦られる度に、黒い皮の中からテラテラと濡れ輝く赤い頭が出たり入ったりと繰り返し、まるで獰猛な爬虫類が威嚇しているようだった。
男はクロッチに鼻を近づけ、まるで麻薬探知犬のように鼻を鳴らしながら陰部を嗅ぎ始めた。
強烈な羞恥心に襲われた。見られるのと嗅がれるのとでは、その羞恥度は雲泥の差だった。しかもこの男は見ず知らずの他人であり、ましてその部分は、女が最も嗅がれたくない部分なのである。
男は、そこをひと嗅ぎする度に恍惚とした表情を浮かべていた。
その病的な男の姿に恵美は、改めて恐怖を感じた。
が、しかし、そんな恐怖とは違う、また別の感情が恵美の胸底に涌き上がってきているのも事実だった。
それは、言葉では表現できないスリルだった。
これまで数々の男達と様々なセックスを経験して来た恵美だったが、しかし、自慰を生で見るのはこれが初めてだった。
確かに、腹に出された時や顔射の際、男が手淫しているのを何度か見た事はあったが、しかし、それはあくまでもセックスの延長であり、今回のように、人に隠れてコソコソしながらやっている手淫とは全くの別物だった。
恵美は、この初めて目にする自慰に、人間の醜さと、男の貪欲さと、異様なスリルを感じた。そしてその結末がどうなるかを見てみたいという、怖いもの見たさに駆られてしまった。
しかも男は、自分のこの醜態を見られている事に全く気付いていなかった。だからこの状況には、監視カメラで他人のプライベートをこっそり覗いているような面白さがあった。
恐怖心と好奇心。
それらが複雑に入り乱れ、日頃は大人しくて気の弱い恵美に異常な興奮を与えた。
恵美は酔っていた。しかも、松川に捨てられたというショックで自虐に陥っていたのだ。
そんな、アルコールとストレスで壊れかけていた恵美の脳を、異常な興奮がジワリジワリと溶かし始めていた。見知らぬ男に性器を見られ、そして嗅がれるというフェティシズムな変態行為が、本来マゾヒストである恵美の異常興奮を呼び起こしてしまったのだった。
暫くすると、男の太い指がスリスリと股間に近付き、クロッチを優しく撫で始めた。まるで原型をなぞるかのように、割れ目に沿って上下に動いていた。
不意に男が、「濡れてる……」と呟いた。
男は、恵美が目を覚ましていると疑っているのか、凄まじい形相で恵美の股間と恵美の顔とを交互に見た。
恵美は思った。もし男が強姦してくるようであれば、それを素直に受け入れようと。恵美は密かに望んでいたのだ。あの黒くて太い物体が、自分の中を出たり入ったりしてくれる事を。
そう願っていると男はショーツのゴムに指を引っかけた。そしてそれをじわりじわりと下ろし始めたが、しかし、恵美の股はM字に開いていた為、ショーツは曲がった膝で止まってしまった。
恵美の太ももでショーツがピーンッと張っていた。露にされたクロッチにはいやらしいシミがじっとりと広がっていた。
恵美の陰部は既にヌルヌルだった。溢れた蜜が、穴と肛門の間にある会陰にトロっと垂れ、それが肛門へと垂れて行くのが自分でもわかった。
男はそんな股間を必死に覗き込んでいた。剥き出された性器に男の荒い息を感じた恵美は、(早く入れて)と心の中で呟いていた。
しかし男は、一向に入れる気配を見せなかった。それどころか、いきなり数枚のティッシュをベッドのシーツの上に広げ、そこに亀頭を向けて手淫を始めたのである。
どうやら男は、そこに射精するつもりでいるらしい。そう落胆した恵美は、いっその事、いきなりその黒い物体にむしゃぶりつこうかと考えた。
しかし、何度も言うが恵美は小心者だった。特にセックスに対しては病的なほどに消極的で、いつも男達にはされるがままになっているM女だった。
そんな恵美に、自らの意思で黒い物体を咥える勇気などなかった。
四つん這いになりながら股間を覗き込んでいた男は、濡れた陰部に向かって「あああ」と小さく唸った。今まで亀頭から根元まで大振りにシゴいていたのが、いつしか亀頭だけを集中的にシゴく小振りな動きに変わっている。
男はハァハァと荒い息を吐きながらいきなり割れ目をペロリと舐めた。溢れる汁を舌で掬い取りながら、割れ目に沿って下から上へとツルンっと滑った舌は、最後にクリトリスをコロンっと転がした。
そんな刺激に、おもわず恵美が顔を顰めると、そこでいきなりパタパタっという聞き慣れない音が響いた。
男はベッドに広げたティッシュの上に白濁の精液が飛び散らせていた。
「あっ、あっ、」と呻きながら、四つん這いの腰を小刻みに動かしていた。
上下される黒い物体の先からは次々に精液が噴き出した。広げたティッシュの上には、まるでカルピスゼリーのような精液の塊がタプタプと溜まっていたのだった。
男は精液を出し尽くすと、慌ててティッシュを丸め、それをそのままドレッサーの下の屑篭の中に捨てた。
ズボンを履き、身形を整えると、男は急いで恵美のショーツを元に戻し、料金も貰わないまま逃げるようにして部屋を出て行った。
一人部屋に取り残された恵美は、微かに響くエアコンの音を聞きながら天井を見つめていた。そんな恵美の胸には、レイプされた後のような屈辱感と、早漏の男と寝た後のような不満足感が燻っていた。
恵美は気怠くベッドを滑り降りた。そしてドレッサーの下を覗き、屑篭の中から丸めたティッシュを摘まみ出した。
それはずっしりと重かった。キャベツの葉を捲るようにして、丸めたティッシュを一枚一枚捲り始めた。
中からプルプルとした精液の塊が出て来た。顔を近づけてみると、ほのかにクレゾールのようなキツい匂いが漂ってきた。
急いで浴衣を脱ぎ捨て、全裸でベッドに寝転がった。
ティッシュから精液を掬い取り、それを乳首に塗り込むと、ヌルヌルとしたその感触に、おもわず「はっ」と声が漏れた。
一心不乱に乳首をヌルヌルと滑らせていると、不意に枕元に置いてあった携帯が鳴り出した。
携帯の画面には『松川さん』という文字が浮かんでいた。
しかし恵美はそれを無視した。
再びティッシュから精液を掬い取ると、迷う事無くそれを陰部に塗り込んだ。指をピストンさせると、さっき見たあの黒い物体の動きが鮮明に蘇って来た。とたんに激しい高揚感が涌き上がり、無意識に全身がキューンっと伸びた。
あっ、イクっ。
そう頭の中で呟いた瞬間、恵美は、精液がべっとりと付着したティッシュを顔の上で広げた。そして、そのどこの誰かもわからない男の精液を無我夢中で舐め、激しい快楽の渦に巻き込まれた。
恵美は何度もイッた。イッたと思ったらまたすぐに新たな波が押し寄せ、数えきれないほど連続でイッた。
気が付くと、ベッドのシーツはグショグショに湿っていた。それが失禁なのか、若しくは潮を噴いたものなのか自分でもわからなかったが、そんな卑猥なシーツを目にすると、またしても激しい波が押し寄せて来たのだった。
(つづく)
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スリル3・深夜の露出
2013/06/13 Thu 00:02
二十五才、独身。
恵美は二十七才までには結婚したいと思っていた。
だから奥さんとは別れるという松川の言葉を信じ、二年間性奴隷にされながらも必死に耐えてきたのだが、しかし一週間前の夜、不意に松川からあまりにも無情な別れを告げられた。
あの晩、恵美は、自暴自棄になって飲めない酒を飲んだ。酔ってマッサージを呼び、寝たふりをして性器を見せた。
マッサージ師は恵美の股間を覗き、匂いを嗅ぎ、そしてそこを舐めながら自慰をした。
そのマッサージ師がホテルの屑篭に捨てていったティッシュ。
それを屑篭から取り出した恵美は、ティッシュに溜まっている精液を性器に塗り込んだ。そしてそれをぺちゃぺちゃと舐めながら、見るも無惨な変態オナニーを繰り返してしまったのだった。
自分の醜い本性に気付かされた恵美は、あの晩から激しい自己嫌悪に陥っていた。
あの時の自分の醜態を思い出す度に脳が痒くなった。それは、脳に無数の蟻がウヨウヨと群がっているような感覚であり、逃げようの無い苦痛だった。
会社をずっと無断欠勤していた。昼はマンションに閉じ篭り、カーテンを閉め切った部屋で一人ウンウンと唸っていた。
そして深夜になると、こっそりマンションを抜け出し、二十四時間営業の巨大スーパーに繰り出した。
それは精神科医が教えてくれた、気が狂わないための治療だった。
この精神科医は、いわゆる『ひきこもり』状態にある恵美に深夜散歩をさせ、気分転換させるのが目的だったのだが、しかし、今の恵美に『深夜』は逆効果だった。
深夜二時。その日は、隣町にあるスーパーにまで足を伸ばした。
静まり返った駅の向こうに、『大安売りの殿堂』と輝く看板が見えてきた。
闇の中でキラキラと輝くネオンに引き寄せられる恵美は、まるで外灯に集る夜蟲のようだった。
ソワソワしながら店内に入った。小学校のグラウンドほどある巨大な店内には、このスーパーチェーンの自社ソングがリピートで鳴り響いていた。
客は大勢いるのだろうが、しかしあまりにも店内が広すぎて閑散としているように見えた。
そんな巨大店内をウロウロと歩き回りながらスリルを探した。
既にデニムのミニスカートの中はネチネチしていた。歩く度にノーパンの股間が擦れ、いやらしい汁がネチネチと粘ついていた。
誰もいないカー用品のコーナーを歩いていると、家電コーナーに展示されている巨大テレビの前に、四十代後半のサラリーマン風の男がポツンと立っているのが見えた。
終電に乗り遅れたのか、くたびれたスーツにネクタイをだらしなく弛め、展示テレビで垂れ流しにされている深夜のお笑い番組をぼんやりと眺めながら、ヤマザキの菓子パンを齧っていた。
スリルだった。あの堕落した風体とあのヤケクソ気味な態度は、恵美に激しいスリルを与えてくれた。
わざと男の視界に入る位置で足を止めた。どうでもいい電子レンジを覗き込みながら、ミニスカートのお尻を男に向けた。
電子レンジのアクリルの扉に背後の男が映っていた。それを横目で確認しながら、恵美は更にお尻を突き出すと、男はすぐに喰い付いて来たのだった。
深夜の巨大スーパーには病んだ客が多かった。特にこの地区にはそんな客が多く、若い女がふらりと立ち寄れるような雰囲気ではなかった。
そんな深夜の巨大スーパーで、素足にミニスカートを履いたユルい女が一人でふらふらしていれば、たちまち病んだ男達の暇つぶしにされてしまうのは火を見るよりも明らかだった。
しかし、恵美にとってそんな男達こそがスリルだった。このスリルが、恵美の壊れかけていた精神を、かろうじて支えてくれていたのだ。
スリルを見つけた恵美は、背後の男に尻を突き出したままその場にしゃがみ込んだ。そして電子レンジのアクリルの扉に映る男を確認しながら、しゃがんだ股をゆっくりと開いた。
肩幅まで大きく股を開くと、その頃には、既に背後の男の姿は消えていた。
恵美の予想通り、男は家電コーナーの隣りにあるペット用品コーナーへと移動し、ラックの隙間から恵美のスカートの中を覗き込んでいた。
恵美がノーパンだという事に気付いた男は、ギョッと目を見開いたまま動かなくなっていた。
恵美は、男の視線に気付いていないふりをしながら、何食わぬ顔で電子レンジの説明書をパラパラと捲っていた。しかし、恵美の陰部は既にスリルに刺激されており、ねっちょりと開いた割れ目からトロトロの汁を溢れさせていた。
説明書の端からソッと見ると、ラックの隙間に男の血走った目が爛々と輝いていた。そんな危ない視線に背筋をゾクゾクさせながら、下腹部にキュッと力を入れると、膣口がヒクッとしゃっくりをし、そこに溜まっていた汁がトロっと零れた。
それは肛門へと滑り、ピカピカにワックスがかけられている白い床にニュッと糸を引いて落ちた。そんな雫を見下ろしていた恵美が視線を上げると、いきなり男と目が合った。
男は目を反らさなかった。
ラックの隙間から恵美をジッと睨んでいるその目は、もはや完全に獣と化し、人間としての理性を失っているようだった。
足早にスーパーを出ると、少し遅れて男がスーパーから飛び出して来た。凄まじいスリルに煽られた。この瞬間のスリルが恵美には堪らなかった。後を付いて来る男を横目に、通りの向こうにある大きな学習塾へと渡った。学習塾の駐輪場に潜り込み、奥の闇に向かって歩き出すと、不意に背後から「ねぇ」と声を掛けられたのだった。
赤い自転車のサドルに両手を付かされ、背後から陰部を弄られた。
「おまえ、変態なんだろ……」
そう何度も耳元で囁かれながら、背後から肉棒を挿入された。
そんな男の息は納豆のような匂いがした。腰を振る度に男の頭皮の饐えた臭いが漂い、スリル感を更に高めてくれた。
まるで野良猫のように扱われた。握り潰さんばかりに乳房を鷲掴みにされ、尻を平手で叩かれながら「もっと腰を振れ」と叱られた。
そんな男の肉棒は、子供用の魚肉ソーセージのように細く、そして短かった。恵美が腰を振る度に、その貧弱な肉棒は穴の中から何度もヌルっと抜け、結局フィニッシュは中出しされないまま尻と太ももの裏に飛ばされた。
しかし、今の恵美には、テクニックやペニスのサイズなど、どうでもよかった。こうして惨めに陵辱されるというスリルさえ得られれば、それで満足なのであった。
そんなスリルを味わえるのは巨大スーパーだけではなかった。
ホームレスが屯す公園や、痴漢が多発する公衆便所。駅地下にあるオールナイトの映画館や、ドライブインにある大人のオモチャ店など、スリルはあらゆる所に潜んでいた。
いつしか恵美は、危険な場所で危険な男達を挑発し、危険な精液を中出しされるという危険なスリルが病み付きになってしまっていた。
そんな恵美は、日に日に精神が蝕まれていった。スリルを得れば得るほど恵美の精神状態は狂ったが、しかしそれをわかっていても、そのスリルはやめられなかった。
皮肉な事に、精神科医が教えてくれた『気が狂わないため』の唯一の方法が、『気を狂わすため』の方法になってしまっていたのだった。
そんな、異常をきたした恵美が次に選んだスリルは、朝の満員電車だった。
深夜から朝へと移行したという事は、精神医学的に考えれば精神的復興の兆しがあるように思えたが、しかし、現実はそんなに甘くなかった。
闇夜に晒す裸体よりも、白昼堂々裸体を晒すほうが明らかにスリルなのであった。
(つづく)
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恵美は二十七才までには結婚したいと思っていた。
だから奥さんとは別れるという松川の言葉を信じ、二年間性奴隷にされながらも必死に耐えてきたのだが、しかし一週間前の夜、不意に松川からあまりにも無情な別れを告げられた。
あの晩、恵美は、自暴自棄になって飲めない酒を飲んだ。酔ってマッサージを呼び、寝たふりをして性器を見せた。
マッサージ師は恵美の股間を覗き、匂いを嗅ぎ、そしてそこを舐めながら自慰をした。
そのマッサージ師がホテルの屑篭に捨てていったティッシュ。
それを屑篭から取り出した恵美は、ティッシュに溜まっている精液を性器に塗り込んだ。そしてそれをぺちゃぺちゃと舐めながら、見るも無惨な変態オナニーを繰り返してしまったのだった。
自分の醜い本性に気付かされた恵美は、あの晩から激しい自己嫌悪に陥っていた。
あの時の自分の醜態を思い出す度に脳が痒くなった。それは、脳に無数の蟻がウヨウヨと群がっているような感覚であり、逃げようの無い苦痛だった。
会社をずっと無断欠勤していた。昼はマンションに閉じ篭り、カーテンを閉め切った部屋で一人ウンウンと唸っていた。
そして深夜になると、こっそりマンションを抜け出し、二十四時間営業の巨大スーパーに繰り出した。
それは精神科医が教えてくれた、気が狂わないための治療だった。
この精神科医は、いわゆる『ひきこもり』状態にある恵美に深夜散歩をさせ、気分転換させるのが目的だったのだが、しかし、今の恵美に『深夜』は逆効果だった。
深夜二時。その日は、隣町にあるスーパーにまで足を伸ばした。
静まり返った駅の向こうに、『大安売りの殿堂』と輝く看板が見えてきた。
闇の中でキラキラと輝くネオンに引き寄せられる恵美は、まるで外灯に集る夜蟲のようだった。
ソワソワしながら店内に入った。小学校のグラウンドほどある巨大な店内には、このスーパーチェーンの自社ソングがリピートで鳴り響いていた。
客は大勢いるのだろうが、しかしあまりにも店内が広すぎて閑散としているように見えた。
そんな巨大店内をウロウロと歩き回りながらスリルを探した。
既にデニムのミニスカートの中はネチネチしていた。歩く度にノーパンの股間が擦れ、いやらしい汁がネチネチと粘ついていた。
誰もいないカー用品のコーナーを歩いていると、家電コーナーに展示されている巨大テレビの前に、四十代後半のサラリーマン風の男がポツンと立っているのが見えた。
終電に乗り遅れたのか、くたびれたスーツにネクタイをだらしなく弛め、展示テレビで垂れ流しにされている深夜のお笑い番組をぼんやりと眺めながら、ヤマザキの菓子パンを齧っていた。
スリルだった。あの堕落した風体とあのヤケクソ気味な態度は、恵美に激しいスリルを与えてくれた。
わざと男の視界に入る位置で足を止めた。どうでもいい電子レンジを覗き込みながら、ミニスカートのお尻を男に向けた。
電子レンジのアクリルの扉に背後の男が映っていた。それを横目で確認しながら、恵美は更にお尻を突き出すと、男はすぐに喰い付いて来たのだった。
深夜の巨大スーパーには病んだ客が多かった。特にこの地区にはそんな客が多く、若い女がふらりと立ち寄れるような雰囲気ではなかった。
そんな深夜の巨大スーパーで、素足にミニスカートを履いたユルい女が一人でふらふらしていれば、たちまち病んだ男達の暇つぶしにされてしまうのは火を見るよりも明らかだった。
しかし、恵美にとってそんな男達こそがスリルだった。このスリルが、恵美の壊れかけていた精神を、かろうじて支えてくれていたのだ。
スリルを見つけた恵美は、背後の男に尻を突き出したままその場にしゃがみ込んだ。そして電子レンジのアクリルの扉に映る男を確認しながら、しゃがんだ股をゆっくりと開いた。
肩幅まで大きく股を開くと、その頃には、既に背後の男の姿は消えていた。
恵美の予想通り、男は家電コーナーの隣りにあるペット用品コーナーへと移動し、ラックの隙間から恵美のスカートの中を覗き込んでいた。
恵美がノーパンだという事に気付いた男は、ギョッと目を見開いたまま動かなくなっていた。
恵美は、男の視線に気付いていないふりをしながら、何食わぬ顔で電子レンジの説明書をパラパラと捲っていた。しかし、恵美の陰部は既にスリルに刺激されており、ねっちょりと開いた割れ目からトロトロの汁を溢れさせていた。
説明書の端からソッと見ると、ラックの隙間に男の血走った目が爛々と輝いていた。そんな危ない視線に背筋をゾクゾクさせながら、下腹部にキュッと力を入れると、膣口がヒクッとしゃっくりをし、そこに溜まっていた汁がトロっと零れた。
それは肛門へと滑り、ピカピカにワックスがかけられている白い床にニュッと糸を引いて落ちた。そんな雫を見下ろしていた恵美が視線を上げると、いきなり男と目が合った。
男は目を反らさなかった。
ラックの隙間から恵美をジッと睨んでいるその目は、もはや完全に獣と化し、人間としての理性を失っているようだった。
足早にスーパーを出ると、少し遅れて男がスーパーから飛び出して来た。凄まじいスリルに煽られた。この瞬間のスリルが恵美には堪らなかった。後を付いて来る男を横目に、通りの向こうにある大きな学習塾へと渡った。学習塾の駐輪場に潜り込み、奥の闇に向かって歩き出すと、不意に背後から「ねぇ」と声を掛けられたのだった。
赤い自転車のサドルに両手を付かされ、背後から陰部を弄られた。
「おまえ、変態なんだろ……」
そう何度も耳元で囁かれながら、背後から肉棒を挿入された。
そんな男の息は納豆のような匂いがした。腰を振る度に男の頭皮の饐えた臭いが漂い、スリル感を更に高めてくれた。
まるで野良猫のように扱われた。握り潰さんばかりに乳房を鷲掴みにされ、尻を平手で叩かれながら「もっと腰を振れ」と叱られた。
そんな男の肉棒は、子供用の魚肉ソーセージのように細く、そして短かった。恵美が腰を振る度に、その貧弱な肉棒は穴の中から何度もヌルっと抜け、結局フィニッシュは中出しされないまま尻と太ももの裏に飛ばされた。
しかし、今の恵美には、テクニックやペニスのサイズなど、どうでもよかった。こうして惨めに陵辱されるというスリルさえ得られれば、それで満足なのであった。
そんなスリルを味わえるのは巨大スーパーだけではなかった。
ホームレスが屯す公園や、痴漢が多発する公衆便所。駅地下にあるオールナイトの映画館や、ドライブインにある大人のオモチャ店など、スリルはあらゆる所に潜んでいた。
いつしか恵美は、危険な場所で危険な男達を挑発し、危険な精液を中出しされるという危険なスリルが病み付きになってしまっていた。
そんな恵美は、日に日に精神が蝕まれていった。スリルを得れば得るほど恵美の精神状態は狂ったが、しかしそれをわかっていても、そのスリルはやめられなかった。
皮肉な事に、精神科医が教えてくれた『気が狂わないため』の唯一の方法が、『気を狂わすため』の方法になってしまっていたのだった。
そんな、異常をきたした恵美が次に選んだスリルは、朝の満員電車だった。
深夜から朝へと移行したという事は、精神医学的に考えれば精神的復興の兆しがあるように思えたが、しかし、現実はそんなに甘くなかった。
闇夜に晒す裸体よりも、白昼堂々裸体を晒すほうが明らかにスリルなのであった。
(つづく)
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スリル4・痴を求めて
2013/06/13 Thu 00:02
AM八時二〇分。
車内はスーツを着たサラリーマン達がぎっしりと詰まっていた。若いOLや女子高生のほとんどは女性専用車両へと非難し、この車両に女性の姿は皆無に等しかった。
そんな満員電車に、恵美は会社の事務服を着て乗り込んだ。
いつものデニムのミニスカートにノーパンという姿でこの男だらけの満員電車に乗り込むというのは、あたかも『私は痴女です』と誘っているようなものであり、それでは今までの行為と何ら変わりなかった。だからこの日の恵美は、敢えて地味な事務服を着用し、野暮ったい縁なし眼鏡を掛け、いかにも鈍臭い事務員が紛れ込んでしまった風を装いながら、この車両に乗り込んだのだった。
車内はムッとした熱気に包まれていた。
恵美は四方八方をスーツの男達に囲まれていた。
背後には二人の男がピタリと密着していた。顔は見えなかったが、濃紺のスーツを着たサラリーマン風の男達だった。
右側には二十代の青年がいた。初々しいリクルートスーツに、まだほんのりと茶髪が残る、いかにも新入社員風の大人しそうな青年だった。
その反対側の左の真横には、ブヨブヨに太った三十代のサラリーマンがいた。寝癖の付いた髪に無精髭。頬には不摂生からなる吹き出物が広がり、その貪よりとした濁り目は完全に腐っていた。
そんな四人に背後と左右を囲まれていた。そして真正面には、いかにも優しい係長といった感じの中年サラリーマンが、恵美の体を抱くようにして立っていたのだった。
二駅目を過ぎた辺りから、さっそく尻に生温かい手の平の温もりを感じた。
しかし、その手は随分と警戒しているようだった。撫でては引き、撫でては引きと、小刻みにそれを繰り返しながら、恵美の様子を伺っていた。
恵美は抵抗する事無く、そのままジッと俯いていた。ふと異様な視線を感じ、顔を俯かせたまま恐る恐る視線だけを上げると、左側に立っていた豚男が澱んだ目でジッと恵美を睨んでいた。
豚男と目が合った瞬間、再びスカートの尻に指が滑り始めた。指は先ほどよりも大胆になっており、尻の谷間に沿って上下に撫でていた。
この豚男が触っているのだろうかと考えながら、恵美は再び視線を落した。
すると、更に新たな指が左太ももに現れた。
その指は、まるで尺取り虫のような動きをしながらスカートの裾をたくし上げ始めた。そしてスカートの裾が膝上にまで上げられた瞬間、いきなり三本の手がスカートの中に潜り込み、まるで申し合わせていたかのようにして、それぞれがそれぞれの場所を弄り始めたのだった。
その素早さも然ることながら、赤の他人同士のこの暗黙の連係プレイに恵美は驚かされた。一人は下着の上から性器をなぞり、一人は背後から尻の谷間を弄っていた。そしてもう一人は、臍から下着の中へと指を滑らせ、ジリジリと陰毛を掻き分けながらクリトリスを探し回っていた。
誰がどこを触っているのかわからなかったが、その位置からして、下着の上から割れ目を摩っているのは右側の青年が怪しかった。
しかし、青年は週刊新潮の中吊り広告をぼんやりと眺め、痴漢をしている様子は欠片も無かった。それに、元々この青年は痴漢ができるようなタイプには見えなかった。
となると、真正面にいる中年男が怪しかったが、しかし、その男は右手で吊り革に掴まり、左手でスマホを弄っていた。
残るは、背後の二人と右側の豚男しかいなかった。これだけぎゅうぎゅう詰めに押し込まれていたら、それ以外の男の手が割り込む隙はないため、もはやこの三人の犯行としか考えられなかった。
そうしている間にも、陰毛を掻き分ける指がクリトリスを捕らえた。既に勃起しているそれをコリッと転がされると、おもわず恵美の腰がピクンっと跳ね、それがスタートの合図でもあるかのように、残りの二本の手も容赦なく下着の中に指を入れて来たのだった。
太ももの付け根から侵入した指は、ピタリと閉じていた太ももを必死に押し開こうとしていた。尻から侵入した指は、同じくピタリと閉じていた尻の谷間を強引に押し開こうとしていた。
そんな二人の作業を手伝うかのように、クリトリスを転がしていた指の動きが激しくなった。
たちまち恵美の腰が砕けそうになり、慌ててその場に踏ん張ると、今度は膝がカクンっと折れた。それと同時に、力んでいた恵美の股が弛むと、それを見計らっていたかのように男達の指が一斉に股間に潜り込んで来たのだった。
それはまるで、大量のウナギが泥の巣穴に潜り込もうともがいているようだった。既にヌルヌルになっていた恵美の膣は、一瞬にしてその獰猛なウナギ達に塞がれてしまった。
下唇を噛みながら、漏れそうになる声を必死に堪えていた。正面の中年男の胸に顔を埋め、ジッと黙ったまま肩を小刻みに震わせていると、恵美が無抵抗だという事を悟ったのか、男達は更にエスカレートして来た。
スカートは腰まで上げられ、下着は太ももまで下げられた。いつしかブラウスのボタンは外され、そこから真っ白な乳房が引きずり出されていた。
膣内は太い指でクタクタと掻き回され、そこから溢れた汁が太ももにまで垂れていた。
そのヌルヌルとした汁が肛門に塗り込められ、そこに突き刺さった指先が内肛門括約筋をグニグニと広げていた。
恵美は、寄りかかっていた正面の男の胸の中で、おもわず「あぁ……」と声を漏らしてしまった。
そんな自分の声に、慌てて男の胸から顔を離すと、ふと、男が右手に持っていたスマホの画面が目に飛び込んで来た。
その画面には、ハイアングルで撮影された下腹部の画像が映っていた。
一瞬目を疑ったが、しかしその下着の柄からして、そこに映っているのは、紛れもなく自分の下腹部だった。
恐る恐る男の顔を見上げると、ジッと恵美を見下ろしていた男は優しい目で小さく微笑んだ。
男は、わざと恵美にスマホの画面を見せた。そして赤い録画ボタンをピコンっと押すと、それをそのまま下半身へと潜らせ再びニコッと微笑んだ。
暫くすると、男はそのスマホを取り出した。そしてそれを恵美に見せつけながら、再生ボタンを押した。そこには、テラテラと濡れ輝く太い指が、恵美の穴の中をヌルヌルとピストンしているシーンが鮮明に映っていた。
「気持ちいい?」
そう囁く男からサッと目を反らすと、いきなり右手に熱くて硬いモノが触れた。
それは、右側に立っていた青年のペニスだった。あの大人しそうな青年が、真っ赤に腫れ上がったペニスを恵美の太ももにグイグイと押し付けてきたのだ。
「シコシコしてあげれば?」
真正面の男が恵美の耳元にそう囁いた。
恵美は恐る恐るそれを握ると、男の命令通りそれを上下にシゴき始めた。
青年は、すぐに「うっ」と唸った。その熱い汁を恵美の太ももに飛ばした。
その精液が発射されると同時に、背後から硬い肉の塊が恵美の穴の中にヌルっと滑り込んできた。
名前も年齢も、顔すらも見えない男の肉棒が膣の中をヌルヌルと動き回った。その肉棒に膣と脳を破壊されながら、精液でドロドロになった青年のペニスを更にシゴきまくった。
そんなシーンを、真正面の男は不敵な笑顔を浮かべながらスマホで撮影していた。
そして恵美の顔をアップで撮影しながら、「この動画、ネットにばらまかれたくなかったら、次の駅で降りなさい……」と、男は囁いたのだった。
(つづく)
《←目次》《5話へ→》
車内はスーツを着たサラリーマン達がぎっしりと詰まっていた。若いOLや女子高生のほとんどは女性専用車両へと非難し、この車両に女性の姿は皆無に等しかった。
そんな満員電車に、恵美は会社の事務服を着て乗り込んだ。
いつものデニムのミニスカートにノーパンという姿でこの男だらけの満員電車に乗り込むというのは、あたかも『私は痴女です』と誘っているようなものであり、それでは今までの行為と何ら変わりなかった。だからこの日の恵美は、敢えて地味な事務服を着用し、野暮ったい縁なし眼鏡を掛け、いかにも鈍臭い事務員が紛れ込んでしまった風を装いながら、この車両に乗り込んだのだった。
車内はムッとした熱気に包まれていた。
恵美は四方八方をスーツの男達に囲まれていた。
背後には二人の男がピタリと密着していた。顔は見えなかったが、濃紺のスーツを着たサラリーマン風の男達だった。
右側には二十代の青年がいた。初々しいリクルートスーツに、まだほんのりと茶髪が残る、いかにも新入社員風の大人しそうな青年だった。
その反対側の左の真横には、ブヨブヨに太った三十代のサラリーマンがいた。寝癖の付いた髪に無精髭。頬には不摂生からなる吹き出物が広がり、その貪よりとした濁り目は完全に腐っていた。
そんな四人に背後と左右を囲まれていた。そして真正面には、いかにも優しい係長といった感じの中年サラリーマンが、恵美の体を抱くようにして立っていたのだった。
二駅目を過ぎた辺りから、さっそく尻に生温かい手の平の温もりを感じた。
しかし、その手は随分と警戒しているようだった。撫でては引き、撫でては引きと、小刻みにそれを繰り返しながら、恵美の様子を伺っていた。
恵美は抵抗する事無く、そのままジッと俯いていた。ふと異様な視線を感じ、顔を俯かせたまま恐る恐る視線だけを上げると、左側に立っていた豚男が澱んだ目でジッと恵美を睨んでいた。
豚男と目が合った瞬間、再びスカートの尻に指が滑り始めた。指は先ほどよりも大胆になっており、尻の谷間に沿って上下に撫でていた。
この豚男が触っているのだろうかと考えながら、恵美は再び視線を落した。
すると、更に新たな指が左太ももに現れた。
その指は、まるで尺取り虫のような動きをしながらスカートの裾をたくし上げ始めた。そしてスカートの裾が膝上にまで上げられた瞬間、いきなり三本の手がスカートの中に潜り込み、まるで申し合わせていたかのようにして、それぞれがそれぞれの場所を弄り始めたのだった。
その素早さも然ることながら、赤の他人同士のこの暗黙の連係プレイに恵美は驚かされた。一人は下着の上から性器をなぞり、一人は背後から尻の谷間を弄っていた。そしてもう一人は、臍から下着の中へと指を滑らせ、ジリジリと陰毛を掻き分けながらクリトリスを探し回っていた。
誰がどこを触っているのかわからなかったが、その位置からして、下着の上から割れ目を摩っているのは右側の青年が怪しかった。
しかし、青年は週刊新潮の中吊り広告をぼんやりと眺め、痴漢をしている様子は欠片も無かった。それに、元々この青年は痴漢ができるようなタイプには見えなかった。
となると、真正面にいる中年男が怪しかったが、しかし、その男は右手で吊り革に掴まり、左手でスマホを弄っていた。
残るは、背後の二人と右側の豚男しかいなかった。これだけぎゅうぎゅう詰めに押し込まれていたら、それ以外の男の手が割り込む隙はないため、もはやこの三人の犯行としか考えられなかった。
そうしている間にも、陰毛を掻き分ける指がクリトリスを捕らえた。既に勃起しているそれをコリッと転がされると、おもわず恵美の腰がピクンっと跳ね、それがスタートの合図でもあるかのように、残りの二本の手も容赦なく下着の中に指を入れて来たのだった。
太ももの付け根から侵入した指は、ピタリと閉じていた太ももを必死に押し開こうとしていた。尻から侵入した指は、同じくピタリと閉じていた尻の谷間を強引に押し開こうとしていた。
そんな二人の作業を手伝うかのように、クリトリスを転がしていた指の動きが激しくなった。
たちまち恵美の腰が砕けそうになり、慌ててその場に踏ん張ると、今度は膝がカクンっと折れた。それと同時に、力んでいた恵美の股が弛むと、それを見計らっていたかのように男達の指が一斉に股間に潜り込んで来たのだった。
それはまるで、大量のウナギが泥の巣穴に潜り込もうともがいているようだった。既にヌルヌルになっていた恵美の膣は、一瞬にしてその獰猛なウナギ達に塞がれてしまった。
下唇を噛みながら、漏れそうになる声を必死に堪えていた。正面の中年男の胸に顔を埋め、ジッと黙ったまま肩を小刻みに震わせていると、恵美が無抵抗だという事を悟ったのか、男達は更にエスカレートして来た。
スカートは腰まで上げられ、下着は太ももまで下げられた。いつしかブラウスのボタンは外され、そこから真っ白な乳房が引きずり出されていた。
膣内は太い指でクタクタと掻き回され、そこから溢れた汁が太ももにまで垂れていた。
そのヌルヌルとした汁が肛門に塗り込められ、そこに突き刺さった指先が内肛門括約筋をグニグニと広げていた。
恵美は、寄りかかっていた正面の男の胸の中で、おもわず「あぁ……」と声を漏らしてしまった。
そんな自分の声に、慌てて男の胸から顔を離すと、ふと、男が右手に持っていたスマホの画面が目に飛び込んで来た。
その画面には、ハイアングルで撮影された下腹部の画像が映っていた。
一瞬目を疑ったが、しかしその下着の柄からして、そこに映っているのは、紛れもなく自分の下腹部だった。
恐る恐る男の顔を見上げると、ジッと恵美を見下ろしていた男は優しい目で小さく微笑んだ。
男は、わざと恵美にスマホの画面を見せた。そして赤い録画ボタンをピコンっと押すと、それをそのまま下半身へと潜らせ再びニコッと微笑んだ。
暫くすると、男はそのスマホを取り出した。そしてそれを恵美に見せつけながら、再生ボタンを押した。そこには、テラテラと濡れ輝く太い指が、恵美の穴の中をヌルヌルとピストンしているシーンが鮮明に映っていた。
「気持ちいい?」
そう囁く男からサッと目を反らすと、いきなり右手に熱くて硬いモノが触れた。
それは、右側に立っていた青年のペニスだった。あの大人しそうな青年が、真っ赤に腫れ上がったペニスを恵美の太ももにグイグイと押し付けてきたのだ。
「シコシコしてあげれば?」
真正面の男が恵美の耳元にそう囁いた。
恵美は恐る恐るそれを握ると、男の命令通りそれを上下にシゴき始めた。
青年は、すぐに「うっ」と唸った。その熱い汁を恵美の太ももに飛ばした。
その精液が発射されると同時に、背後から硬い肉の塊が恵美の穴の中にヌルっと滑り込んできた。
名前も年齢も、顔すらも見えない男の肉棒が膣の中をヌルヌルと動き回った。その肉棒に膣と脳を破壊されながら、精液でドロドロになった青年のペニスを更にシゴきまくった。
そんなシーンを、真正面の男は不敵な笑顔を浮かべながらスマホで撮影していた。
そして恵美の顔をアップで撮影しながら、「この動画、ネットにばらまかれたくなかったら、次の駅で降りなさい……」と、男は囁いたのだった。
(つづく)
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スリル5・変態スカウト
2013/06/13 Thu 00:02
男に脅された恵美は、男の指示通り次の駅で電車を降りた。
そのまま男の後ろについて行くと、駅前にある二階建てのバーガーショップに連れて行かれた。
一階は朝食セットを求める客で溢れかえっていた。
恵美は、お金を要求されるのか、それとも体を要求されるのかと不安を覚えながらも、しかし、それにしてはこんな場所に連れて来られるなんて何か変だと思っていた。
二階に上がると、男は一番奥の席を指差しながら「あそこで待ってて」と言い、再び階段を下りて行った。
席に着くなり恵美は、テーブルに置いてあった紙ナプキンを指で摘み、電車の中で太ももに飛ばされた精液を拭き取ろうとした。しかし太ももに飛び散ったそれは既にカピカピに乾いており、指で擦るとカサカサと白い粉を吹いた。
それをフーッと吹き払うと、腹に力を入れた勢いで膣内の精液がヌルっと絞り出された。
恵美は慌てて更に三枚の紙ナプキンを摘まみ上げ、ソッと店内を見回した。
階段脇のテーブルには女子高生が三人いた。すぐ目の前の窓際の席には、OLが一人でスマホを弄っていた。
恵美は彼女達を交互に監視しながらスカートをスルスルと上げた。そして恐る恐る下着のフロントのゴムを引っ張ると、乾いた精液でゴワゴワになった悲惨な陰毛が現れた。
本来ならトイレで処理するべき事だったが、しかし二階にトイレは無く、あの男に身柄を拘束されていると思い込んでいる今の恵美には、勝手に一階のトイレに行く勇気はなかった。
すぐ目の前にいるOLに脅えながら、下着の中に紙ナプキンを押し込んだ。それを陰部に押し当て下腹部に力を入れると、誰の物かわからない精液がドロドロと溢れ出し、それが紙ナプキンにジワジワと染み込んでいった。
そこにアイスコーヒーを両手に持った男がヌッと現れた。
「あいつら、中出ししてたみたいだけど大丈夫?」
男はそう言いながら恵美の真横に座った。そして紙ナプキンが押し込まれた股間を見下ろしながら、「卑猥だね」と笑った。
いったいこの男は何が目的なんだろう。そう思いながらアイスコーヒーのカップに滴る雫を見つめていた。階段脇のテーブルにいた女子高生達がガタガタと椅子を鳴らして立ち上がった。女子高生達がキャッキャッと笑いながら階段を下りて行くと、二階の店内には、窓際のテーブルでスマホを弄っているOLだけとなった。
男は、恵美を見つめながらニヤニヤと笑ってばかりいた。
そんな沈黙に耐えきれなくなり恐る恐る顔を上げると、それを待っていたかのように男は「キミ、ウチでバイトしてみない?」と言って来た。
恵美は、その唐突な言葉に「えっ?」と聞き直した。
男はスーツの内ポケットの中から素早く名刺を取り出すと、それを恵美の前にソッと差し出した。
『松橋観光株式会社』
そんな名刺の裏には、『人材派遣』や『各種イベント』といった業種がズラリと並んでいた。しかしそこには、『公認不動産コンサルティングマスター』と書かれていれば、『おしぼりリース』なども書かれており、その業種の幅の広さに、かなり胡散臭い会社だと思った。
男は藤田という名前だった。肩書きには『営業部長』と書かれていた。
藤田は、残り少ないアイスコーヒーをズズズっと吸い込むと、「早い話がデリヘルだよ」と言った。
「ウチの会社、デリヘルも経営してるんだ。キミだったらさ、腹一杯稼がせてやる自信あるんだけど、どう?」
男はそう優しく微笑みながら恵美の顔を覗き込んだ。
恵美はデリヘルというものが、いまいちわからなかった。何となくはわかったが、それは、『エッチなことをする仕事』という程度の知識であり、それ以外は何も知らなかった。
恵美は、下唇を噛みながら黙っていた。
確かに、今の生活は苦しかった。収入は無く、貯金も底を尽きかけていた。
だけど仕事はしたくなかった。そもそも気が狂ってしまった今の自分に、仕事などできるわけがないと思っていた。
無理です。
そう言おうとした瞬間、突然藤田は、持っていたスマホの再生ボタンを押した。
スマホから、ガタンガタン、ガタンガタン、という電車の音が店内に響くと、窓際のテーブルに座っていたOLが迷惑そうにこちらを見た。
そんな画面には、唇を半開きにした恵美の悶える顔がアップで映っていた。濡れた陰部に何本もの男の指が蠢くシーンや、その穴の中に真っ黒なペニスが出たり入ったりしているシーン、そして恵美が青年のペニスを必死にシゴいているシーンなども鮮明に映っていた。
そんな動画を立て続けに三本見せた藤田は、スマホを内ポケットの中に滑り込ませると、「こんなの撮られてたら、もうノーとは言えないでしょ?」と笑った。
恵美は胸を激しく締め付けられた。必死に「でも……」と声を絞り出し、蚊の鳴くような小声で、「私……異常者なんです……」と告白した。
しかし藤田は全く驚きもせず、恵美を見つめながらニヤニヤと笑っていた。
「本当なんです……精神科にも通ってるんです……そんな私に仕事なんて……」
すると藤田は「わかってる」と力強く頷いた。
「ウチの会社はデリヘルを六店経営してるんです。そのうちの一店に、キミみたいな人を求めている店があるんです」
「キミみたいな……人?」
恵美は不思議そうに首を傾げた。
「そう。キミみたいに狂っちゃってる女の子ですよ。その店はね、頭がイッちゃってる子を専門に扱ってる変態の店なんですよ」
そう笑い出した藤田だったが、しかしその目はギラギラと輝き真剣そのものだった。
狂ってる女の子。その言葉が恵美の頭の中を駆け巡り、それが次第に大きな黒い渦となって蠢き始めた。
突然さっきの痴漢電車の興奮が蘇った。男たちの指の動きまでもが鮮明に蘇り、とたんに胸がゾクゾクし、脳がクラクラした。
すると藤田は、そんな恵美の様子を察したのか、いきなりベルトの金具をカチャカチャと鳴らしながらズボンの前を開け始めた。
窓際のカウンターに座っていたOLが、不審なそうにこちらをジッと見ていた。
それでも藤田はおかまいなしに、そのゴリゴリとした逞しい肉棒をそこにピーンと突き出し、それを恵美とOLに堂々と見せつけながらニヤニヤと笑った。
OLが、マッチ棒のような細い目をギョッと見開いた。藤田は、そんなOLを見つめたまま恵美の髪をいきなり鷲掴みにすると、強引に恵美の顔を股間に押し付けた。
「ひと月に二百万は稼がせてやる。最低でも五十万は保証してやる。これはその実技試験だ。ほら、しゃぶってみろ。あの女にしゃぶってるとこを見せるんだ」
すぐ目の前に、焦げ茶色した肉棒がヌッと迫っていた。獰猛にエラを張った亀頭が恵美の唇にグイグイと押し付け、「やめて下さい」と言おうとすると、その開いた唇の隙間から亀頭が滑り込み、前歯を強引に押し開いた。
ウグウグと唸りながらも、その柔らかくも硬い感触を口内に感じた。
気が付くと、恵美は無我夢中でそれにしゃぶりついていた。肉棒に吸い付き、亀頭に舌を絡ませ、顔を上下させながら、じゅぷ、じゅぷ、と卑猥な音を立てていた。
それを見たOLが慌てて席を立ち上がった。逃げるようにして階段を駆け下り、ヒールの音がカツコツと店内に響いた。
恵美は、いつ店員が階段を駆け上がって来るかというスリルに身悶えながら、咥えた肉棒の根元をシコシコと手淫していた。
「合格だ」
ふと、そんな藤田の声が頭上から聞こえた。
それと同時に、生温かい精液が、ビュッ! と口内に迸ったのだった。
(つづく)
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そのまま男の後ろについて行くと、駅前にある二階建てのバーガーショップに連れて行かれた。
一階は朝食セットを求める客で溢れかえっていた。
恵美は、お金を要求されるのか、それとも体を要求されるのかと不安を覚えながらも、しかし、それにしてはこんな場所に連れて来られるなんて何か変だと思っていた。
二階に上がると、男は一番奥の席を指差しながら「あそこで待ってて」と言い、再び階段を下りて行った。
席に着くなり恵美は、テーブルに置いてあった紙ナプキンを指で摘み、電車の中で太ももに飛ばされた精液を拭き取ろうとした。しかし太ももに飛び散ったそれは既にカピカピに乾いており、指で擦るとカサカサと白い粉を吹いた。
それをフーッと吹き払うと、腹に力を入れた勢いで膣内の精液がヌルっと絞り出された。
恵美は慌てて更に三枚の紙ナプキンを摘まみ上げ、ソッと店内を見回した。
階段脇のテーブルには女子高生が三人いた。すぐ目の前の窓際の席には、OLが一人でスマホを弄っていた。
恵美は彼女達を交互に監視しながらスカートをスルスルと上げた。そして恐る恐る下着のフロントのゴムを引っ張ると、乾いた精液でゴワゴワになった悲惨な陰毛が現れた。
本来ならトイレで処理するべき事だったが、しかし二階にトイレは無く、あの男に身柄を拘束されていると思い込んでいる今の恵美には、勝手に一階のトイレに行く勇気はなかった。
すぐ目の前にいるOLに脅えながら、下着の中に紙ナプキンを押し込んだ。それを陰部に押し当て下腹部に力を入れると、誰の物かわからない精液がドロドロと溢れ出し、それが紙ナプキンにジワジワと染み込んでいった。
そこにアイスコーヒーを両手に持った男がヌッと現れた。
「あいつら、中出ししてたみたいだけど大丈夫?」
男はそう言いながら恵美の真横に座った。そして紙ナプキンが押し込まれた股間を見下ろしながら、「卑猥だね」と笑った。
いったいこの男は何が目的なんだろう。そう思いながらアイスコーヒーのカップに滴る雫を見つめていた。階段脇のテーブルにいた女子高生達がガタガタと椅子を鳴らして立ち上がった。女子高生達がキャッキャッと笑いながら階段を下りて行くと、二階の店内には、窓際のテーブルでスマホを弄っているOLだけとなった。
男は、恵美を見つめながらニヤニヤと笑ってばかりいた。
そんな沈黙に耐えきれなくなり恐る恐る顔を上げると、それを待っていたかのように男は「キミ、ウチでバイトしてみない?」と言って来た。
恵美は、その唐突な言葉に「えっ?」と聞き直した。
男はスーツの内ポケットの中から素早く名刺を取り出すと、それを恵美の前にソッと差し出した。
『松橋観光株式会社』
そんな名刺の裏には、『人材派遣』や『各種イベント』といった業種がズラリと並んでいた。しかしそこには、『公認不動産コンサルティングマスター』と書かれていれば、『おしぼりリース』なども書かれており、その業種の幅の広さに、かなり胡散臭い会社だと思った。
男は藤田という名前だった。肩書きには『営業部長』と書かれていた。
藤田は、残り少ないアイスコーヒーをズズズっと吸い込むと、「早い話がデリヘルだよ」と言った。
「ウチの会社、デリヘルも経営してるんだ。キミだったらさ、腹一杯稼がせてやる自信あるんだけど、どう?」
男はそう優しく微笑みながら恵美の顔を覗き込んだ。
恵美はデリヘルというものが、いまいちわからなかった。何となくはわかったが、それは、『エッチなことをする仕事』という程度の知識であり、それ以外は何も知らなかった。
恵美は、下唇を噛みながら黙っていた。
確かに、今の生活は苦しかった。収入は無く、貯金も底を尽きかけていた。
だけど仕事はしたくなかった。そもそも気が狂ってしまった今の自分に、仕事などできるわけがないと思っていた。
無理です。
そう言おうとした瞬間、突然藤田は、持っていたスマホの再生ボタンを押した。
スマホから、ガタンガタン、ガタンガタン、という電車の音が店内に響くと、窓際のテーブルに座っていたOLが迷惑そうにこちらを見た。
そんな画面には、唇を半開きにした恵美の悶える顔がアップで映っていた。濡れた陰部に何本もの男の指が蠢くシーンや、その穴の中に真っ黒なペニスが出たり入ったりしているシーン、そして恵美が青年のペニスを必死にシゴいているシーンなども鮮明に映っていた。
そんな動画を立て続けに三本見せた藤田は、スマホを内ポケットの中に滑り込ませると、「こんなの撮られてたら、もうノーとは言えないでしょ?」と笑った。
恵美は胸を激しく締め付けられた。必死に「でも……」と声を絞り出し、蚊の鳴くような小声で、「私……異常者なんです……」と告白した。
しかし藤田は全く驚きもせず、恵美を見つめながらニヤニヤと笑っていた。
「本当なんです……精神科にも通ってるんです……そんな私に仕事なんて……」
すると藤田は「わかってる」と力強く頷いた。
「ウチの会社はデリヘルを六店経営してるんです。そのうちの一店に、キミみたいな人を求めている店があるんです」
「キミみたいな……人?」
恵美は不思議そうに首を傾げた。
「そう。キミみたいに狂っちゃってる女の子ですよ。その店はね、頭がイッちゃってる子を専門に扱ってる変態の店なんですよ」
そう笑い出した藤田だったが、しかしその目はギラギラと輝き真剣そのものだった。
狂ってる女の子。その言葉が恵美の頭の中を駆け巡り、それが次第に大きな黒い渦となって蠢き始めた。
突然さっきの痴漢電車の興奮が蘇った。男たちの指の動きまでもが鮮明に蘇り、とたんに胸がゾクゾクし、脳がクラクラした。
すると藤田は、そんな恵美の様子を察したのか、いきなりベルトの金具をカチャカチャと鳴らしながらズボンの前を開け始めた。
窓際のカウンターに座っていたOLが、不審なそうにこちらをジッと見ていた。
それでも藤田はおかまいなしに、そのゴリゴリとした逞しい肉棒をそこにピーンと突き出し、それを恵美とOLに堂々と見せつけながらニヤニヤと笑った。
OLが、マッチ棒のような細い目をギョッと見開いた。藤田は、そんなOLを見つめたまま恵美の髪をいきなり鷲掴みにすると、強引に恵美の顔を股間に押し付けた。
「ひと月に二百万は稼がせてやる。最低でも五十万は保証してやる。これはその実技試験だ。ほら、しゃぶってみろ。あの女にしゃぶってるとこを見せるんだ」
すぐ目の前に、焦げ茶色した肉棒がヌッと迫っていた。獰猛にエラを張った亀頭が恵美の唇にグイグイと押し付け、「やめて下さい」と言おうとすると、その開いた唇の隙間から亀頭が滑り込み、前歯を強引に押し開いた。
ウグウグと唸りながらも、その柔らかくも硬い感触を口内に感じた。
気が付くと、恵美は無我夢中でそれにしゃぶりついていた。肉棒に吸い付き、亀頭に舌を絡ませ、顔を上下させながら、じゅぷ、じゅぷ、と卑猥な音を立てていた。
それを見たOLが慌てて席を立ち上がった。逃げるようにして階段を駆け下り、ヒールの音がカツコツと店内に響いた。
恵美は、いつ店員が階段を駆け上がって来るかというスリルに身悶えながら、咥えた肉棒の根元をシコシコと手淫していた。
「合格だ」
ふと、そんな藤田の声が頭上から聞こえた。
それと同時に、生温かい精液が、ビュッ! と口内に迸ったのだった。
(つづく)
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スリル6・デリヘル待機所
2013/06/13 Thu 00:02
原っぱのような駐車場に車が滑り込むと、藤田は運転席からフロントガラスに身を乗り出した。真正面に建つ薄汚れたマンションを見上げながら「ここの三階が待機所だ」と言った。それはマンションというより、高度成長期に建てられたマンモス団地のようだった。
駐車場は舗装されていないため、タイヤが小石をパチパチと弾いていた。その音を聞きつけたのか、三階のバルコニーから坊主頭の中年男がヌッと顔を出し、藤田の車に向かってへコッと頭を下げた。
入口の壁に、『さとうのうんこ』と赤いスプレーで落書きされていた。それが佐藤なのか砂糖なのか考えながら藤田の後について行くと、駐輪場にサドルの無い自転車が二台並んでいるが見えた。
エレベーターの壁には、公衆便所のような卑猥な落書きがそこらじゅうに書かれ、その天井には、なぜか数十枚の大長森神社のお札がびっしりと貼られていた。
ガタン! と激しい揺れと共にエレベーターの扉がゆっくりと開いた。
扉の向こうには日陰の廊下が貪よりと続き、コンクリートがカラカラに乾いた埃っぽい風が泳いでいた。ペンキが剥がれた鉄の扉がズラリと並び、その光景は、まるで軍艦島のように不気味だった。
『三ノ六号』とプレートが貼られた扉を開くと、中から異様な臭いが漂って来た。
玄関にはさっきの坊主頭の中年男が待ち構えていた。
「さっき電話で話した久美子ちゃんだ」
藤田は、ついさっき車の中で考えたばかりの恵美の源氏名を坊主頭の男に告げると、なぜか口に手をあてたまま、そそくさと廊下を進んで行った。
玄関先で「久美子です……」と恐る恐る頭を下げると、坊主頭の男は、まるでお地蔵様のような人懐っこい笑顔を浮かべながら、「ここの責任者を任されてます原山ですぅ」と、どこか違和感のある関西弁でお辞儀をした。
原山は埃だらけの下駄箱から真っ黒に汚れたスリッパを出した。そして恵美に向かって「さっ、どうぞ」とそれを廊下の先に並べた。
その異様な匂いの元は原山だった。原山が前屈みになると強烈なワキガ臭がモワッと漂い、スリッパを履く恵美は、おもわず息を止めてしまった。
トイレと浴室が並ぶ廊下を抜けると、六畳のダイニングキッチンに出た。その横には八畳ほどの居間があり、それぞれにバルコニーが付いているため、部屋の中には、あの軍艦島のような暗さは全く感じられなかった。
キッチンでは、ダイニングテーブルに気怠く座った藤田が、ジョージアの缶コーヒーをジュジュジュと啜っていた。
そっと八畳の居間を覗くと、女が二人いた。
腰まで黒髪を伸ばした一人の女は、テレビの前で胡座をかきながらゲームをしていた。それは、襲って来るゾンビを撃ち殺すというシューティングゲームで、十五年ほど前に流行ったものだった。
もう一人の女は、押し入れの襖にぐったりと凭れ掛かりながら、無言で畳の一点をジッと見つめていた。その姿はどう見ても十代の少女であり、そんな彼女の両腕の裏側には、無数のリストカットの傷跡が、まるで線路のように続いていた。
「出勤日とか給料とか何でも原山さんに聞けばいいから」
藤田はそう言いながら立ち上がった。カップ麺の空箱が大量に積み重ねられた流し台に飲みかけの缶コーヒーをコンっと置くと、原山から顔を背けながら「それじゃ、あとはヨロシク」と告げ、早々と部屋を出て行ってしまったのだった。
鉄扉が閉まる音が背後で響くと、原山は、「こっちへどうぞ」と言いながら、キッチンで突っ立ったままの恵美を居間に案内した。
居間の真ん中にある卓袱台の上には、懐かしいプッシュ回線の電話機が置いてあった。その受話器には、『変態倶楽部・サラマンドラ』とプリントされたテプラが貼られ、本機から飛び出した電話帳には、系列店と思われる店の電話番号がズラリと書き込まれていた。
原山は、テレビの横に置いてあったミニ冷蔵庫を開けた。四つん這いで中を覗きながら、「コーヒー、コーラ、ミルクティー。何飲みます?」と恵美に聞いて来た。
冷蔵庫の中にはプリンやヨーグルトが大量に押し込められ、それらの蓋には女の名前がマジックで殴り書きされていた。
恵美が「いえ、結構です……」と答えると、原山の横でゲームをしていた黒髪の女が「くさい!」と、いきなり叫んだ。そして画面に現れるゾンビに向かって「くさい! くさい! くさい!」、と連続して叫びながら次々にゾンビを撃ち殺していった。
そんな黒髪の女は、左手を口元にあて、右手だけで器用にコントローラーを操っていた。しかも女の右手の指は四本しか無く、小指が不気味に第二関節から欠損していた。
原山は冷蔵庫の中からミルクティーを取り出すと、それを恵美の前にソッと置き、黒髪の女を横目でそっと見た。
「この人は静香さん。宿無しですからここに住んでます」
そう言いながら卓袱台にゆっくりと身を乗り出すと、「シャブで狂うてますから相手にせんほうがええですわ」と、恵美の耳元に向かって囁いたのだった。
そんな静香の「くさい! くさい!」と叫ぶ声を背後にしながら、原山はバッグの中から一枚の書類を取り出し、それを卓袱台に広げた。
それは『同意書』と書かれた書類だった。
「藤田さんから聞いてはると思いますけど、ウチは普通のデリと違いますから、一応、これにサインしておいて下さい」
そこには、『営業中にいかなるトラブルが発生しようとも店には一切の責任を問いません』、といった内容の文章が十項目ほど並んでいた。
そのひとつひとつに目を通していると、原山はそれを詳しく読まれたくないのか、読んでいる最中の恵美に話し掛けて来た。
「そっちの子は沙織ちゃん言いますねん。この子もね、精神病院を逃げてきてますから今はここで暮らしてますわ。病院の薬で脳をやられてしもうてますから、意思の疎通はなかなか難しい思いますけど、まぁ、仲ようしてやって下さい」
「はい……」と頷きながら恵美が沙織に振り返ると、原山は素早く朱肉の蓋を開け、「まぁ、ここには色んな子がいますわ」と呟きながら恵美の右手首を掴んだ。そして、恵美の人差し指を卑猥に伸ばしながら、「精神病、身体障害者、覚醒剤中毒、自殺願望者。中には、車椅子の子もいますから……」と説明を始め、恵美がそのショッキングな話に気を取られているうちに、素早くその同意書に恵美の指印を押してしまったのだった。
その同意書を、原山はそそくさとバッグの中にしまいながら、「で、久美子さんはどんな病をお持ちですのん?」と聞いて来た。
恵美が言葉に詰まっていると、ふと、バーガーショップで藤田に言われた言葉が蘇ってきた。
(キミは、自分では気付いていないかも知れないけど破滅願望があるね。キミは変態共に嬲り殺しにされたいと思っている究極のマゾヒストだよ)
そんな言葉を思い出したとたん、恵美の脳にメラメラと轟く黒い渦が立ち込めた。
下唇を噛みながら黙っていると、原山は「雰囲気からして、マゾちゃいますか?」と笑った。
恵美が小さくコクンっと頷くと、原山はニヤニヤと笑いながら、「ほなら、こんなブッサイクなチ○ポでイジメられたいちゃいますのん」と、ヨレヨレのパジャマのズボンの前をズルッと下げた。
そこに飛び出したペニスは、七割皮を被った真性包茎だった。
皮からほんの少しだけ頭を出す真っ赤な亀頭の先には、消しゴムの滓のような恥垢が、惨めにポロポロと付着していたのだった。
(つづく)
《←目次》《7話へ→》
駐車場は舗装されていないため、タイヤが小石をパチパチと弾いていた。その音を聞きつけたのか、三階のバルコニーから坊主頭の中年男がヌッと顔を出し、藤田の車に向かってへコッと頭を下げた。
入口の壁に、『さとうのうんこ』と赤いスプレーで落書きされていた。それが佐藤なのか砂糖なのか考えながら藤田の後について行くと、駐輪場にサドルの無い自転車が二台並んでいるが見えた。
エレベーターの壁には、公衆便所のような卑猥な落書きがそこらじゅうに書かれ、その天井には、なぜか数十枚の大長森神社のお札がびっしりと貼られていた。
ガタン! と激しい揺れと共にエレベーターの扉がゆっくりと開いた。
扉の向こうには日陰の廊下が貪よりと続き、コンクリートがカラカラに乾いた埃っぽい風が泳いでいた。ペンキが剥がれた鉄の扉がズラリと並び、その光景は、まるで軍艦島のように不気味だった。
『三ノ六号』とプレートが貼られた扉を開くと、中から異様な臭いが漂って来た。
玄関にはさっきの坊主頭の中年男が待ち構えていた。
「さっき電話で話した久美子ちゃんだ」
藤田は、ついさっき車の中で考えたばかりの恵美の源氏名を坊主頭の男に告げると、なぜか口に手をあてたまま、そそくさと廊下を進んで行った。
玄関先で「久美子です……」と恐る恐る頭を下げると、坊主頭の男は、まるでお地蔵様のような人懐っこい笑顔を浮かべながら、「ここの責任者を任されてます原山ですぅ」と、どこか違和感のある関西弁でお辞儀をした。
原山は埃だらけの下駄箱から真っ黒に汚れたスリッパを出した。そして恵美に向かって「さっ、どうぞ」とそれを廊下の先に並べた。
その異様な匂いの元は原山だった。原山が前屈みになると強烈なワキガ臭がモワッと漂い、スリッパを履く恵美は、おもわず息を止めてしまった。
トイレと浴室が並ぶ廊下を抜けると、六畳のダイニングキッチンに出た。その横には八畳ほどの居間があり、それぞれにバルコニーが付いているため、部屋の中には、あの軍艦島のような暗さは全く感じられなかった。
キッチンでは、ダイニングテーブルに気怠く座った藤田が、ジョージアの缶コーヒーをジュジュジュと啜っていた。
そっと八畳の居間を覗くと、女が二人いた。
腰まで黒髪を伸ばした一人の女は、テレビの前で胡座をかきながらゲームをしていた。それは、襲って来るゾンビを撃ち殺すというシューティングゲームで、十五年ほど前に流行ったものだった。
もう一人の女は、押し入れの襖にぐったりと凭れ掛かりながら、無言で畳の一点をジッと見つめていた。その姿はどう見ても十代の少女であり、そんな彼女の両腕の裏側には、無数のリストカットの傷跡が、まるで線路のように続いていた。
「出勤日とか給料とか何でも原山さんに聞けばいいから」
藤田はそう言いながら立ち上がった。カップ麺の空箱が大量に積み重ねられた流し台に飲みかけの缶コーヒーをコンっと置くと、原山から顔を背けながら「それじゃ、あとはヨロシク」と告げ、早々と部屋を出て行ってしまったのだった。
鉄扉が閉まる音が背後で響くと、原山は、「こっちへどうぞ」と言いながら、キッチンで突っ立ったままの恵美を居間に案内した。
居間の真ん中にある卓袱台の上には、懐かしいプッシュ回線の電話機が置いてあった。その受話器には、『変態倶楽部・サラマンドラ』とプリントされたテプラが貼られ、本機から飛び出した電話帳には、系列店と思われる店の電話番号がズラリと書き込まれていた。
原山は、テレビの横に置いてあったミニ冷蔵庫を開けた。四つん這いで中を覗きながら、「コーヒー、コーラ、ミルクティー。何飲みます?」と恵美に聞いて来た。
冷蔵庫の中にはプリンやヨーグルトが大量に押し込められ、それらの蓋には女の名前がマジックで殴り書きされていた。
恵美が「いえ、結構です……」と答えると、原山の横でゲームをしていた黒髪の女が「くさい!」と、いきなり叫んだ。そして画面に現れるゾンビに向かって「くさい! くさい! くさい!」、と連続して叫びながら次々にゾンビを撃ち殺していった。
そんな黒髪の女は、左手を口元にあて、右手だけで器用にコントローラーを操っていた。しかも女の右手の指は四本しか無く、小指が不気味に第二関節から欠損していた。
原山は冷蔵庫の中からミルクティーを取り出すと、それを恵美の前にソッと置き、黒髪の女を横目でそっと見た。
「この人は静香さん。宿無しですからここに住んでます」
そう言いながら卓袱台にゆっくりと身を乗り出すと、「シャブで狂うてますから相手にせんほうがええですわ」と、恵美の耳元に向かって囁いたのだった。
そんな静香の「くさい! くさい!」と叫ぶ声を背後にしながら、原山はバッグの中から一枚の書類を取り出し、それを卓袱台に広げた。
それは『同意書』と書かれた書類だった。
「藤田さんから聞いてはると思いますけど、ウチは普通のデリと違いますから、一応、これにサインしておいて下さい」
そこには、『営業中にいかなるトラブルが発生しようとも店には一切の責任を問いません』、といった内容の文章が十項目ほど並んでいた。
そのひとつひとつに目を通していると、原山はそれを詳しく読まれたくないのか、読んでいる最中の恵美に話し掛けて来た。
「そっちの子は沙織ちゃん言いますねん。この子もね、精神病院を逃げてきてますから今はここで暮らしてますわ。病院の薬で脳をやられてしもうてますから、意思の疎通はなかなか難しい思いますけど、まぁ、仲ようしてやって下さい」
「はい……」と頷きながら恵美が沙織に振り返ると、原山は素早く朱肉の蓋を開け、「まぁ、ここには色んな子がいますわ」と呟きながら恵美の右手首を掴んだ。そして、恵美の人差し指を卑猥に伸ばしながら、「精神病、身体障害者、覚醒剤中毒、自殺願望者。中には、車椅子の子もいますから……」と説明を始め、恵美がそのショッキングな話に気を取られているうちに、素早くその同意書に恵美の指印を押してしまったのだった。
その同意書を、原山はそそくさとバッグの中にしまいながら、「で、久美子さんはどんな病をお持ちですのん?」と聞いて来た。
恵美が言葉に詰まっていると、ふと、バーガーショップで藤田に言われた言葉が蘇ってきた。
(キミは、自分では気付いていないかも知れないけど破滅願望があるね。キミは変態共に嬲り殺しにされたいと思っている究極のマゾヒストだよ)
そんな言葉を思い出したとたん、恵美の脳にメラメラと轟く黒い渦が立ち込めた。
下唇を噛みながら黙っていると、原山は「雰囲気からして、マゾちゃいますか?」と笑った。
恵美が小さくコクンっと頷くと、原山はニヤニヤと笑いながら、「ほなら、こんなブッサイクなチ○ポでイジメられたいちゃいますのん」と、ヨレヨレのパジャマのズボンの前をズルッと下げた。
そこに飛び出したペニスは、七割皮を被った真性包茎だった。
皮からほんの少しだけ頭を出す真っ赤な亀頭の先には、消しゴムの滓のような恥垢が、惨めにポロポロと付着していたのだった。
(つづく)
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スリル7・変態専門店
2013/06/13 Thu 00:02
変態専用デリヘル。その待機所には二人の女がいた。一人はゲームに狂い、一人は廃人のように瞬きすらしないままぼんやりしていた。
そんな二人の女がいる部屋で、恵美は今、細い足首からパンティーを抜き取ろうとしていた。
それを見ていた原山が、そのパンティーを素早く奪い取った。そして恵美が見ている前でそれを広げ、クロッチに染み付いた黄色いオリモノをチロチロと舐め始めた。
それはまるで、汲み取り便所の穴に潜むカマドウマが汚物を吸っているように気色悪かった。おもわず目を背けてしまった恵美だったが、しかしそんな恐怖と羞恥が恵美にスリルを与え、胸の奥で燻っていた変態性欲を激しく燃え上がらせた。
「しゃぶって」
そう言いながら原山は、胡座をかいた股の中心から真性包茎のペニスを突き出した。
全裸の恵美は、丸い尻を突き出しながら四つん這いになった。五十を過ぎた男の薄汚い股間に顔を埋め、その生ゴミのような臭いが漂う肉の塊を口に含んだ。
恵美の顔が上下する度に、ぷちゃ、くちゃ、と湿った音が部屋に響いた。
ゲームをしていた黒髪の女がソッと後ろを振り向き、それを咥える恵美を見ながら、「金も貰わないで、よくそんな奴のチ○ポしゃぶるわ」と、呆れるように笑った。
皮から三割しか顔を出していない亀頭を舌先でチロチロと舐めた。皮の隙間からジワジワと滲み出てくる臭汁は、醤油のような味がした。
その時、卓袱台の上の電話が鳴り出した。
恵美の髪を優しく撫でていた原山の手が、素早く受話器に伸びた。
「お電話ありがとうございますサラマンドラです」
原山の野太い声が頭上で響いた。「はい、はい」と対応する原山の口臭を感じながら、恵美はその醜い肉棒を激しくしゃぶり続けた。
「アナルでっか? ええ、もちろんイケますよ。ウチは変態専門の女の子ばかりを用意してますから、基本的に殺す以外でしたら何をしてもらってもかまいません」
そう卑しく笑う原山が、ふと奴隷商人に思えた。私は商品なんだ、と思った。そう思う恵美は、今から変態男に買われるというスリルに胸を締め付けられ、背筋をゾクゾクと痺れさせていた。
「繰り返しまっせ、東円町の『ホテル・グリーンヒル』302号室、佐々木さんですね」
原山は、それを素早く信用金庫のメモ帳に控えると、「では、三十分以内にお伺いしますんで」と、まるでピザ屋のように電話を切ったのだった。
受話器を置くと同時に、原山はリダイヤルのボタンを押した。本機のスピーカーから、ピポパポピピパポ、と高速プッシュ音が響くと、原山はペニスを咥えていた恵美の体をゆっくりと起き上がらせ、「さっそく初仕事ですわ」と笑った。
スピーカーから鳴り響く呼び出し音を背景に、卓袱台の下に置いてあった『おしぼりウェッティー』で唇の唾液を拭き取った。そして原山の唾液で湿ったパンティーを履こうとしていると、スピーカーから「はい、矢部です」という若い男の声が飛び出した。
原山は慌てて受話器を取ると、「もしもしベーやんか、悪いけど東円まで一人頼んますわ」と早口で言った。
電話を切るなり原山は、下卑た表情を浮かべながら「久美子ちゃんは今から商売やし、諦めなしゃあないな」と独り言のように呟くと、勃起したままのペニスをピコピコ跳ねさせながら部屋の隅へと移動した。そして、廃人のように床の一点をジッと見つめている沙織の前にゆっくりとしゃがむと、「ちゃっ、ちゃっ、と終わらせるさかい」と囁き、そのまま沙織を床に寝転がせたのだった。
原山は沙織の細い足首を両手で掴むと、それを左右に広げた。フレアなミニスカートが捲れると、少女の真っ白な股間で、淫売婦ならではの真っ黒な小陰唇がベロリと捲れた。
なぜか沙織は下着を履いていなかった。そして沙織の性器は何故か濡れていた。
原山の包茎ペニスは何の障害もなくヌルっと滑り込んだ。
カサカサと畳が擦れる音に合わせ、原山の貧弱な尻がヘコヘコと凹凸していた。原山は「いくで、いくで」と唸りながらもなかなかイかなかった。さっそくゲームをしていた黒髪の女が「くっさい! くっさい!」と叫び出したが、しかし沙織は全くの無表情だった。その大きな目で斜め下の床をジッと見つめたまま、瞬き一つしなかったのだった。
マンションを出ると、黒いワンボックスカーの中から恵美に向かって「こっち、こっち」と手を振っている男がいた。
『ドライバーさん』と呼ばれる矢部は、二十歳の現役大学生だった。黙って後部座席で項垂れている恵美に向かって、「まぁ、オヤジがうるさいから一応大学には籍だけ置いてるんっすけどね」と、終始にしゃべりまくっていた。
そんな矢部が、松橋観光株式会社のデリヘル部について、勝手に説明を始めた。
「ウチはね、全部で六店に分かれてるんっすよ。高級、大衆、ロリ専、熟専、人妻アルバイトに、そして久美子さんとこの変態。それぞれジャンルで分かれてるんっすよ」
矢部は自慢げにそう指折り数えながらも、「まぁ、そうは言っても、今は女の子が少ないっすからね……」と、急に深刻な表情を浮かべた。
「だから今は、どの店も女の子の回し合いっすよ。この間なんてね、ロリ専の店に電話かけて来た客んとこに熟専の婆様を回したんですからね、もう大笑いっすよ。ランドセルの似合う可愛い子をお願いしますって要望したのに、やって来たのがデヴィ夫人みたいな婆さんなんですから」
ひひひひひ、と苦笑いしながら煙草を銜えようとしている矢部を、何気に恵美はチラッと見た。
すると、不意にバックミラーの中で矢部と目が合った。
矢部はピタリと笑い声を止めると、まだ幼さが残る目をギラリと輝かせながら恵美の目を見返した。
「サラマンドラは別ですよ。客が特殊ですから、普通の女の子達は嫌がるんっすよ。普通の女の子はね……」
矢部は、そう『普通の女の子』を何度も強調しながら、バックミラー越しに恵美を睨んだ。そして、ゆっくりと煙草に火をつけながら「ふん」っと鼻で笑うと、「自分、変態って嫌いなんっすよね、気持ち悪りぃから」と、胸糞悪そうに煙草の煙を吐き出し、いきなり豹変したのだった。
閑静な住宅街から小さな橋を一本渡ると、そこはもうネオンが煌めくラブホ街だった。
古いお城のようなホテルの駐車場に車を滑り込ませると、矢部と一緒にホテルの中に入った。
矢部は、慣れた手つきで無人のフロントのインターホンを押すと、「毎度、松橋観光っす、302号室お願いします」と告げた。
暫くすると、緑のフィルムが貼られたフロントの窓が少しだけ開き、中からおばさんが「どうぞ」と言った。
二人用の狭いエレベーターに二人で乗った。矢部は三階のボタンを押したその指を、そのまま恵美の尻にグッと食い込ませた。
恵美が「うっ」と身を縮めると、矢部は「アナルセックスってそんなに気持ちいいんっすか?」と笑いながら恵美の顔を覗き込んだ。
「ほーっ……サラマンドラにしては結構綺麗じゃん」
そう驚きながらも矢部は恵美のスカートの中に手を入れた。そして、原山に弄られた余韻が残る恵美の股間に指を這わせた。
「すげぇ、さすがはサラマンドラだ、何もしてないのにもう濡れてるよ!」
そう矢部が笑い出した瞬間、エレベーターは三階に到着した。
扉が開くと同時に、恵美の脳にアドレナリンが広がった。
不釣り合いなクラッシックが流れるそのケバケバしい廊下には、恵美が求めていたスリルがメラメラと満ち溢れていたのだった。
(つづく)
《←目次》《8話へ→》
そんな二人の女がいる部屋で、恵美は今、細い足首からパンティーを抜き取ろうとしていた。
それを見ていた原山が、そのパンティーを素早く奪い取った。そして恵美が見ている前でそれを広げ、クロッチに染み付いた黄色いオリモノをチロチロと舐め始めた。
それはまるで、汲み取り便所の穴に潜むカマドウマが汚物を吸っているように気色悪かった。おもわず目を背けてしまった恵美だったが、しかしそんな恐怖と羞恥が恵美にスリルを与え、胸の奥で燻っていた変態性欲を激しく燃え上がらせた。
「しゃぶって」
そう言いながら原山は、胡座をかいた股の中心から真性包茎のペニスを突き出した。
全裸の恵美は、丸い尻を突き出しながら四つん這いになった。五十を過ぎた男の薄汚い股間に顔を埋め、その生ゴミのような臭いが漂う肉の塊を口に含んだ。
恵美の顔が上下する度に、ぷちゃ、くちゃ、と湿った音が部屋に響いた。
ゲームをしていた黒髪の女がソッと後ろを振り向き、それを咥える恵美を見ながら、「金も貰わないで、よくそんな奴のチ○ポしゃぶるわ」と、呆れるように笑った。
皮から三割しか顔を出していない亀頭を舌先でチロチロと舐めた。皮の隙間からジワジワと滲み出てくる臭汁は、醤油のような味がした。
その時、卓袱台の上の電話が鳴り出した。
恵美の髪を優しく撫でていた原山の手が、素早く受話器に伸びた。
「お電話ありがとうございますサラマンドラです」
原山の野太い声が頭上で響いた。「はい、はい」と対応する原山の口臭を感じながら、恵美はその醜い肉棒を激しくしゃぶり続けた。
「アナルでっか? ええ、もちろんイケますよ。ウチは変態専門の女の子ばかりを用意してますから、基本的に殺す以外でしたら何をしてもらってもかまいません」
そう卑しく笑う原山が、ふと奴隷商人に思えた。私は商品なんだ、と思った。そう思う恵美は、今から変態男に買われるというスリルに胸を締め付けられ、背筋をゾクゾクと痺れさせていた。
「繰り返しまっせ、東円町の『ホテル・グリーンヒル』302号室、佐々木さんですね」
原山は、それを素早く信用金庫のメモ帳に控えると、「では、三十分以内にお伺いしますんで」と、まるでピザ屋のように電話を切ったのだった。
受話器を置くと同時に、原山はリダイヤルのボタンを押した。本機のスピーカーから、ピポパポピピパポ、と高速プッシュ音が響くと、原山はペニスを咥えていた恵美の体をゆっくりと起き上がらせ、「さっそく初仕事ですわ」と笑った。
スピーカーから鳴り響く呼び出し音を背景に、卓袱台の下に置いてあった『おしぼりウェッティー』で唇の唾液を拭き取った。そして原山の唾液で湿ったパンティーを履こうとしていると、スピーカーから「はい、矢部です」という若い男の声が飛び出した。
原山は慌てて受話器を取ると、「もしもしベーやんか、悪いけど東円まで一人頼んますわ」と早口で言った。
電話を切るなり原山は、下卑た表情を浮かべながら「久美子ちゃんは今から商売やし、諦めなしゃあないな」と独り言のように呟くと、勃起したままのペニスをピコピコ跳ねさせながら部屋の隅へと移動した。そして、廃人のように床の一点をジッと見つめている沙織の前にゆっくりとしゃがむと、「ちゃっ、ちゃっ、と終わらせるさかい」と囁き、そのまま沙織を床に寝転がせたのだった。
原山は沙織の細い足首を両手で掴むと、それを左右に広げた。フレアなミニスカートが捲れると、少女の真っ白な股間で、淫売婦ならではの真っ黒な小陰唇がベロリと捲れた。
なぜか沙織は下着を履いていなかった。そして沙織の性器は何故か濡れていた。
原山の包茎ペニスは何の障害もなくヌルっと滑り込んだ。
カサカサと畳が擦れる音に合わせ、原山の貧弱な尻がヘコヘコと凹凸していた。原山は「いくで、いくで」と唸りながらもなかなかイかなかった。さっそくゲームをしていた黒髪の女が「くっさい! くっさい!」と叫び出したが、しかし沙織は全くの無表情だった。その大きな目で斜め下の床をジッと見つめたまま、瞬き一つしなかったのだった。
マンションを出ると、黒いワンボックスカーの中から恵美に向かって「こっち、こっち」と手を振っている男がいた。
『ドライバーさん』と呼ばれる矢部は、二十歳の現役大学生だった。黙って後部座席で項垂れている恵美に向かって、「まぁ、オヤジがうるさいから一応大学には籍だけ置いてるんっすけどね」と、終始にしゃべりまくっていた。
そんな矢部が、松橋観光株式会社のデリヘル部について、勝手に説明を始めた。
「ウチはね、全部で六店に分かれてるんっすよ。高級、大衆、ロリ専、熟専、人妻アルバイトに、そして久美子さんとこの変態。それぞれジャンルで分かれてるんっすよ」
矢部は自慢げにそう指折り数えながらも、「まぁ、そうは言っても、今は女の子が少ないっすからね……」と、急に深刻な表情を浮かべた。
「だから今は、どの店も女の子の回し合いっすよ。この間なんてね、ロリ専の店に電話かけて来た客んとこに熟専の婆様を回したんですからね、もう大笑いっすよ。ランドセルの似合う可愛い子をお願いしますって要望したのに、やって来たのがデヴィ夫人みたいな婆さんなんですから」
ひひひひひ、と苦笑いしながら煙草を銜えようとしている矢部を、何気に恵美はチラッと見た。
すると、不意にバックミラーの中で矢部と目が合った。
矢部はピタリと笑い声を止めると、まだ幼さが残る目をギラリと輝かせながら恵美の目を見返した。
「サラマンドラは別ですよ。客が特殊ですから、普通の女の子達は嫌がるんっすよ。普通の女の子はね……」
矢部は、そう『普通の女の子』を何度も強調しながら、バックミラー越しに恵美を睨んだ。そして、ゆっくりと煙草に火をつけながら「ふん」っと鼻で笑うと、「自分、変態って嫌いなんっすよね、気持ち悪りぃから」と、胸糞悪そうに煙草の煙を吐き出し、いきなり豹変したのだった。
閑静な住宅街から小さな橋を一本渡ると、そこはもうネオンが煌めくラブホ街だった。
古いお城のようなホテルの駐車場に車を滑り込ませると、矢部と一緒にホテルの中に入った。
矢部は、慣れた手つきで無人のフロントのインターホンを押すと、「毎度、松橋観光っす、302号室お願いします」と告げた。
暫くすると、緑のフィルムが貼られたフロントの窓が少しだけ開き、中からおばさんが「どうぞ」と言った。
二人用の狭いエレベーターに二人で乗った。矢部は三階のボタンを押したその指を、そのまま恵美の尻にグッと食い込ませた。
恵美が「うっ」と身を縮めると、矢部は「アナルセックスってそんなに気持ちいいんっすか?」と笑いながら恵美の顔を覗き込んだ。
「ほーっ……サラマンドラにしては結構綺麗じゃん」
そう驚きながらも矢部は恵美のスカートの中に手を入れた。そして、原山に弄られた余韻が残る恵美の股間に指を這わせた。
「すげぇ、さすがはサラマンドラだ、何もしてないのにもう濡れてるよ!」
そう矢部が笑い出した瞬間、エレベーターは三階に到着した。
扉が開くと同時に、恵美の脳にアドレナリンが広がった。
不釣り合いなクラッシックが流れるそのケバケバしい廊下には、恵美が求めていたスリルがメラメラと満ち溢れていたのだった。
(つづく)
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スリル8・初めての客
2013/06/13 Thu 00:02
その部屋は、だだ広い洋室の隅に、八畳の小上がりの座敷がある和洋室だった。
初めての客は、四十代のスーツを着た背の高い男だった。
ほどよく白髪が交じった髪と、高そうなスーツ、そして映画俳優のように整った顔には変態とは思えぬ上品さが漂っていた。
ベッドの端に腰掛けながら薔薇の香りのする煙草を燻らせていた男は、入口に突っ立ったままの恵美を優しく見つめながら、「貴女のような美しい方が来てくれるとは思わなかった」と微笑んだ。
男は、まるでテレビドラマに出て来る一流企業の重役のようだったが、しかし恵美は、そんな男の姿にどこか違和感を感じていた。この部屋に入った時から何か変だと感じていた。
それは、「おいくつですか?」と、恵美に尋ねながら、男が座敷に上がった時にふと気付いた。
なんと男は靴を履いたままだった。ピカピカに輝く革靴を履いたまま、男は畳の上に立っていたのだった。
「二十五歳です」
そう答える恵美を、男は小上がりの座敷から見下ろしていた。口元はニヤニヤと笑っていたが、しかしその目はカミソリのように尖り、異様な輝きを放っていた。
そんな視線に唯ならぬスリルを感じながらも、恵美はマニュアル通りにシステムの説明を始めた。
六〇分四万円、九〇分五万円、一二〇分六万円。
サラマンドラの料金は、一般的なデリヘルの相場に比べて遥かに高額だった。それは、女の質が良いからではなく、特別なサービスをしてくれるからでもなかった。
サラマンドラは、基本的に女に何をしても良かった。本番はもちろんの事、中出し、アナルセックス、SMプレイ等々、女を性奴隷のように好きなように扱う事ができた。だから高額なのである。
但し、殺人はNGだった。自殺させてもいけなかった。縄の跡や鞭の跡といった『消える傷』は無料だったが、しかし、刃物で斬ったり煙草の焼きを入れるような『消えない傷』を付けたい場合は、それなりの別料金を払わなければならなかった。
そんな説明を終えると、男はスーツの内ポケットから黒い財布を取り出し、「とりあえずこれだけ渡しておきます」と、十万円を差し出して来た。
それが安いのか高いのか恵美にはわからなかった。しかし今の恵美にとってお金などどうでもよかった。お金よりもスリルを求めていた恵美は、ただただ疼くこの気持ちを和らげてさえくれればそれで良かったのだった。
さっそく恵美は畳の上に引きずり倒された。
今までジェントルマンだった男の顔は醜く歪み、まるでバットマンに出て来る悪役のような顔になっていた。
革靴の先で蹴られ、畳の上をゴロゴロと転がされ、スカートから零れた太ももに革靴の踵を食い込まされた。
男は、痛みに顔を歪める恵美を満足そうに見下ろしながら、意味不明な言葉を呟いていた。
「それは真理の御霊です。あなたに新たな戒めを与えましょう」
そう呟きながらズボンのジッパーを開けると、黒光りする肉棒が勢い良く飛び出した。そのサイズは五百ミリリットルのペットボトルほどもあり、更にそのドス黒い皮には、パチンコ玉ほどのタマが無数に埋め込まれていた。
男は、目をギラギラと輝かせながらゆっくりとしゃがむと、下着の上から恵美の股間を弄った。
「濡れてます」
そう囁く男の赤黒い亀頭が、恵美のすぐ目の前に迫っていた。みかんのように腫れ上がった大きな亀頭の先では、テラテラに輝く尿道がぽっかりと口を開き、それはまるで水木しげるが描く一つ目の妖怪のように見えた。
それを咥えさせられたまま下着を剥ぎ取られた。乱暴に足を開かされると、濡れた性器に四本の指を入れられ、一本だけ飛び出した親指でクリトリスを押し潰された。
四本の指は狂ったように暴れ回り、そこにグチャグチャと下品な音を立てた。
ウォータースライダーを滑り降りるような快感と、内臓を引きずり出されるような恐怖に同時に襲われた恵美は、肉棒を咥えたままヒィーヒィーと情けない声を出してしまった。
男は、そんな恵美を見下ろしながら、「求めなさい。そうすれば与えられる」と呟いた。そして、しゃがんだ腰を動かし始め、恵子の口の中に肉棒を激しくピストンさせると、「探しなさい。そうすれば必ず見つかる」と笑顔で囁き、いきなり恵美の口内に放尿したのだった。
恵美は咽せながらも必死にそれを飲み込んだ。しかし男は途中で肉棒を抜き、残りの小便を恵美の顔にかけた。
髪を掴まれ畳の上を引きずられた。そしてそのままベッドに放り投げられ、乱暴に衣類を脱がされた。
全裸の恵美を見下ろしながら、男は満足そうに口笛を吹き始めた。その表情はまるで蝋人形のように無表情であり、口笛の曲は『トルコ行進曲』だった。
男は、黒いバッグの中から殺伐とした荒縄を取り出した。それを、軽快な『トルコ行進曲』の口笛と共に恵美の上半身に巻き付け始めた。
引っ張られる度に縄が真っ白な肌に食い込み、ギシギシと不気味な音を立てた。縄と縄の隙間から真っ白な乳房が飛び出し、パンパンに腫れたそこに青い血管が透き通って見えた。
上半身が緊縛されると、そのまま股をM字に開かされた。両膝を曲げた状態で臑と太ももに荒縄をグルグルと巻かれると、M字に股を開かされた状態のまま、がっちりと固定された。
「五万円払います。だから乳首をハサミで切らせて下さい」
男はそう言いながら、ピーンっと突き出た硬い乳首を指先でコロコロと転がした。
たちまち恵美の背筋が凍った。飛び出した乳首が鋭利なハサミでパツンっと切り取られるシーンが脳裏に浮かび、激しい恐怖を掻き立てられた。
その表情と低い声、細くカットされた眉と妙に長いまつげ。男のその全てが怖かった。
男は未だに黒いスーツを着たままで、黒光りする革靴も履いたままだった。そこから巨大なペニスだけを突き出すその異様な姿にも、改めて恐怖を感じさせられた。
そんな男が、黒いバッグの中から刃渡り十センチほどの洋裁鋏を取り出すと恐怖は最高潮に達し、恵美は「やめて!」と、狂ったように叫びまくっていた。
「殺人以外なら何をしてもいいと聞きましたが……」
男はそう笑いながら恵美の目をタオルで塞ぐと、もう一本のタオルで猿ぐつわをかました。
目隠しされた闇の中でトルコ行進曲の口笛が響いていた。その背後では鋏が動くシャカシャカとした音が微かに聞こえ、その見えない恐怖に脅える恵美の股間からは、生温かい尿がタラタラと溢れていた。
包丁のように研がれた刃がコリコリの乳首をゆっくり挟んだ。男が指を動かせば、恵美の乳首は、たちまちギロチンの首のようにサクッと切断される状況下に置かれた。
「おしっこが漏れてます。蓋をしてあげましょう」
男は真面目にそう言いながら巨大なペニスを膣の中に滑り込ませて来た。
太い肉棒は恵美の膣道をこれでもかというくらいに広げた。それが上下に動く度にペニスに埋め込まれた無数のタマが膣壁にグリグリと蠢き、異様な痛みと絶妙な快感を与えた。
「乳首、切りますね」
そう言いながら乳首を挟んだ刃を小刻みに動かしては脅し、そのままドロドロに汚れたペニスを肛門に這わせた。
男は鋏の刃を乳首に食い込ませ、「そろそろ切りますよ」などと執拗に脅しながら、二つの穴を交互に犯しまくった。
男は、脅される度に恐怖で呻く恵美を恍惚とした表情で見下ろしていた。そして突然、「イエスはここにいます!」と叫ぶと、その無惨に裂けた血まみれの肛門の中に大量の精液を放出したのだった。
(つづく)
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初めての客は、四十代のスーツを着た背の高い男だった。
ほどよく白髪が交じった髪と、高そうなスーツ、そして映画俳優のように整った顔には変態とは思えぬ上品さが漂っていた。
ベッドの端に腰掛けながら薔薇の香りのする煙草を燻らせていた男は、入口に突っ立ったままの恵美を優しく見つめながら、「貴女のような美しい方が来てくれるとは思わなかった」と微笑んだ。
男は、まるでテレビドラマに出て来る一流企業の重役のようだったが、しかし恵美は、そんな男の姿にどこか違和感を感じていた。この部屋に入った時から何か変だと感じていた。
それは、「おいくつですか?」と、恵美に尋ねながら、男が座敷に上がった時にふと気付いた。
なんと男は靴を履いたままだった。ピカピカに輝く革靴を履いたまま、男は畳の上に立っていたのだった。
「二十五歳です」
そう答える恵美を、男は小上がりの座敷から見下ろしていた。口元はニヤニヤと笑っていたが、しかしその目はカミソリのように尖り、異様な輝きを放っていた。
そんな視線に唯ならぬスリルを感じながらも、恵美はマニュアル通りにシステムの説明を始めた。
六〇分四万円、九〇分五万円、一二〇分六万円。
サラマンドラの料金は、一般的なデリヘルの相場に比べて遥かに高額だった。それは、女の質が良いからではなく、特別なサービスをしてくれるからでもなかった。
サラマンドラは、基本的に女に何をしても良かった。本番はもちろんの事、中出し、アナルセックス、SMプレイ等々、女を性奴隷のように好きなように扱う事ができた。だから高額なのである。
但し、殺人はNGだった。自殺させてもいけなかった。縄の跡や鞭の跡といった『消える傷』は無料だったが、しかし、刃物で斬ったり煙草の焼きを入れるような『消えない傷』を付けたい場合は、それなりの別料金を払わなければならなかった。
そんな説明を終えると、男はスーツの内ポケットから黒い財布を取り出し、「とりあえずこれだけ渡しておきます」と、十万円を差し出して来た。
それが安いのか高いのか恵美にはわからなかった。しかし今の恵美にとってお金などどうでもよかった。お金よりもスリルを求めていた恵美は、ただただ疼くこの気持ちを和らげてさえくれればそれで良かったのだった。
さっそく恵美は畳の上に引きずり倒された。
今までジェントルマンだった男の顔は醜く歪み、まるでバットマンに出て来る悪役のような顔になっていた。
革靴の先で蹴られ、畳の上をゴロゴロと転がされ、スカートから零れた太ももに革靴の踵を食い込まされた。
男は、痛みに顔を歪める恵美を満足そうに見下ろしながら、意味不明な言葉を呟いていた。
「それは真理の御霊です。あなたに新たな戒めを与えましょう」
そう呟きながらズボンのジッパーを開けると、黒光りする肉棒が勢い良く飛び出した。そのサイズは五百ミリリットルのペットボトルほどもあり、更にそのドス黒い皮には、パチンコ玉ほどのタマが無数に埋め込まれていた。
男は、目をギラギラと輝かせながらゆっくりとしゃがむと、下着の上から恵美の股間を弄った。
「濡れてます」
そう囁く男の赤黒い亀頭が、恵美のすぐ目の前に迫っていた。みかんのように腫れ上がった大きな亀頭の先では、テラテラに輝く尿道がぽっかりと口を開き、それはまるで水木しげるが描く一つ目の妖怪のように見えた。
それを咥えさせられたまま下着を剥ぎ取られた。乱暴に足を開かされると、濡れた性器に四本の指を入れられ、一本だけ飛び出した親指でクリトリスを押し潰された。
四本の指は狂ったように暴れ回り、そこにグチャグチャと下品な音を立てた。
ウォータースライダーを滑り降りるような快感と、内臓を引きずり出されるような恐怖に同時に襲われた恵美は、肉棒を咥えたままヒィーヒィーと情けない声を出してしまった。
男は、そんな恵美を見下ろしながら、「求めなさい。そうすれば与えられる」と呟いた。そして、しゃがんだ腰を動かし始め、恵子の口の中に肉棒を激しくピストンさせると、「探しなさい。そうすれば必ず見つかる」と笑顔で囁き、いきなり恵美の口内に放尿したのだった。
恵美は咽せながらも必死にそれを飲み込んだ。しかし男は途中で肉棒を抜き、残りの小便を恵美の顔にかけた。
髪を掴まれ畳の上を引きずられた。そしてそのままベッドに放り投げられ、乱暴に衣類を脱がされた。
全裸の恵美を見下ろしながら、男は満足そうに口笛を吹き始めた。その表情はまるで蝋人形のように無表情であり、口笛の曲は『トルコ行進曲』だった。
男は、黒いバッグの中から殺伐とした荒縄を取り出した。それを、軽快な『トルコ行進曲』の口笛と共に恵美の上半身に巻き付け始めた。
引っ張られる度に縄が真っ白な肌に食い込み、ギシギシと不気味な音を立てた。縄と縄の隙間から真っ白な乳房が飛び出し、パンパンに腫れたそこに青い血管が透き通って見えた。
上半身が緊縛されると、そのまま股をM字に開かされた。両膝を曲げた状態で臑と太ももに荒縄をグルグルと巻かれると、M字に股を開かされた状態のまま、がっちりと固定された。
「五万円払います。だから乳首をハサミで切らせて下さい」
男はそう言いながら、ピーンっと突き出た硬い乳首を指先でコロコロと転がした。
たちまち恵美の背筋が凍った。飛び出した乳首が鋭利なハサミでパツンっと切り取られるシーンが脳裏に浮かび、激しい恐怖を掻き立てられた。
その表情と低い声、細くカットされた眉と妙に長いまつげ。男のその全てが怖かった。
男は未だに黒いスーツを着たままで、黒光りする革靴も履いたままだった。そこから巨大なペニスだけを突き出すその異様な姿にも、改めて恐怖を感じさせられた。
そんな男が、黒いバッグの中から刃渡り十センチほどの洋裁鋏を取り出すと恐怖は最高潮に達し、恵美は「やめて!」と、狂ったように叫びまくっていた。
「殺人以外なら何をしてもいいと聞きましたが……」
男はそう笑いながら恵美の目をタオルで塞ぐと、もう一本のタオルで猿ぐつわをかました。
目隠しされた闇の中でトルコ行進曲の口笛が響いていた。その背後では鋏が動くシャカシャカとした音が微かに聞こえ、その見えない恐怖に脅える恵美の股間からは、生温かい尿がタラタラと溢れていた。
包丁のように研がれた刃がコリコリの乳首をゆっくり挟んだ。男が指を動かせば、恵美の乳首は、たちまちギロチンの首のようにサクッと切断される状況下に置かれた。
「おしっこが漏れてます。蓋をしてあげましょう」
男は真面目にそう言いながら巨大なペニスを膣の中に滑り込ませて来た。
太い肉棒は恵美の膣道をこれでもかというくらいに広げた。それが上下に動く度にペニスに埋め込まれた無数のタマが膣壁にグリグリと蠢き、異様な痛みと絶妙な快感を与えた。
「乳首、切りますね」
そう言いながら乳首を挟んだ刃を小刻みに動かしては脅し、そのままドロドロに汚れたペニスを肛門に這わせた。
男は鋏の刃を乳首に食い込ませ、「そろそろ切りますよ」などと執拗に脅しながら、二つの穴を交互に犯しまくった。
男は、脅される度に恐怖で呻く恵美を恍惚とした表情で見下ろしていた。そして突然、「イエスはここにいます!」と叫ぶと、その無惨に裂けた血まみれの肛門の中に大量の精液を放出したのだった。
(つづく)
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スリル9・嬢たちの過去
2013/06/13 Thu 00:02
ある日の土曜の深夜、恵美はその男から「全身を隅々まで舐めて下さい」と言われた。
足の指から耳の穴まで、二時間かけて丁寧に舐めさせられた。
男はサラマンドラの常連で、三十八歳の中学校教員だった。
カバのような顔をした彼は、性格もカバのように穏和だった。サラマンドラの常連にしては比較的に扱いやすい客だったが、しかしそのブヨブヨに太った体からは常にドリアンのようなデブ臭が漂い、その体を二時間舐めさせ続けられるのは、かなりの苦痛を伴った。
特に足の裏は最悪だった。強烈な匂いを放っている足の裏は、目を背けたくなるほどに酷い水虫で、そこに舌を這わす度にカサカサと皮が剥がれては、中から黄色い汁が滲み出て来た。
そんな彼は、いつもこうして体中を舐めさせるだけで性交は一切しなかった。全身を舐め回され、「あぁぁ、うぅぅ」と気色の悪い声で呻く彼は、そのカバの尻尾のような小さなペニスを自分で手淫しながら、いつも勝手に果ててしまうのであった。
変態専用デリヘル・サラマンドラ。
ここには、そんな『おかしな客』ばかりが集まって来た。
この中学教師のような草食系変態もいれば、女の顔がパンパンに腫れ上がるまで叩きながら性交する、そんな凶暴な肉食系変態も大勢いた。
そんな客達を、一日に二、三人相手にしていた恵美は、たったの一週間で五十万も稼いでいた。この調子で行けば、ひと月に二百万近くの稼ぎとなった。OL時代、手取り十四万の給料で細々と暮らしていた恵美には信じられない金額だった。
しかし恵美は、お金には執着していなかった。お金などどうでもよく、ただただスリルだけが欲しいだけだった。
だから恵美は、より危険な客を求めていたのだが、しかし店長の原山は、そんな恵美の欲望とは裏腹に、危険な客は恵美には回さないようにしていた。
それは、恵美が稀に見る上玉だからであった。
恵美ほどの女なら高級店でも十分にやっていけた。それが、サラマンドラのような劣悪変態店に回って来たのは奇跡であり、原山に取って恵美は大儲けのチャンスなのであった。
だから原山は、恵美の客を厳選した。危険な肉食系は他の女達に回し、恵美にはリスクの少ない草食系ばかりを回した。
原山にしてみたら、他の女達など殺されようが壊されようが一向にかまわなかった。寧ろ、この狂った女達など、とっとと殺してしまって欲しいとさえ思っていた。そう、あの廃人少女、沙織以外は……。
現在サラマンドラには、待機所に住み着いている静香と沙織以外に七人の女が在籍していた。
ほとんどの女は外待機だったため恵美とは面識が無かった。トモ子と愛美だけはいつも待機所を利用していたため、かろうじて面識はあったが、しかし、二人ともお喋りし合うほどの仲ではなかった。
愛美という中年女は、サラマンドラで働き始めてまだ一年目だった。三人の子供と旦那を持つ現役の主婦であり、見た目は三十代だったが、しかし、実年齢はとうに四十を過ぎていた。
愛美は、他の女達と違って唯一まともな人間だった。挨拶もできるし、普通に会話もできるし、それに、肉体的にも精神的にも汚れてないように見えた。
最初はそう思っていた恵美だったが、しかしサラマンドラで働く女は、そんなに甘くはなかった。
愛美がサラマンドラで働くようになったのは旦那が原因だった。旦那が愛美をサラマンドラという奈落の底に突き落としたのだ。
但しそれは、ギャンブル狂の旦那が作った借金を返済する為だとか、旦那が怠け者のヒモ男だからといったありきたりな事情からではなかった。それどころか旦那は、一部上場企業に勤めるエンジニアで、年収は八百万近くもあった。借金と言えば、四年前に建てた豪邸の住宅ローンくらいで、酒もギャンブルも浮気も一切しないという理想の旦那様だった。
そんな旦那が、何故に愛する妻を奈落の底に突き落としたのか。
それは、旦那が『寝取られマニア』という変態だからだった。
旦那は、愛する妻が他人に陵辱される事に喜びを感じるという特殊な性癖を持っていた。
最初のうちは、ハプニングバーで知り合った夫婦とスワッピングする程度だったのが、次第にそれでは物足りなくなり、遂にはネットで募集した『顔も見えない男』に妻を提供するようになっていた。
しかし、それでも旦那はまだ物足りなかった。そう、この男もまた、恵美と同じようにスリルという魔物に取り憑かれた男であり、安全圏での寝取られでは満足できなかったのだ。
そんな時、旦那はふとした事からサラマンドラの存在を知った。
『殺す以外なら何をしてもかまいません』
そんなキャッチフレーズを目にした旦那は身震いした。こんな危険な客達の中に、全裸の妻を野放しにしてみたいと思うと震えが止まらなくなったのだった。
旦那はさっそくサラマンドラに電話をかけ、愛美に何の相談をする事も無く勝手にバイトを決めてしまった。そしてその時、電話対応した原山に事情を説明し、できるだけ危ない客を回してくれるよう頼んでおいた。
いきなりサラマンドラで働かされるようになった愛美だったが、しかし元々マゾの愛美は文句一つ言わず、旦那の期待に応えようと頑張った。
毎晩、バイトから帰って来るなり、その日の客のペニスのサイズ、色、形、匂いなど報告させられた。そして、その客からどんな風に陵辱されたのかを、痣や傷跡を見せながら事細かく説明させられた。
それを聞きながら旦那は激しい嫉妬の念に駆られ、まるで日本脳炎に侵されたように震えた。
そんな旦那が最も嫉妬に狂う瞬間が、愛美の膣に溜まった客の精液を目にする瞬間だった。
それは旦那の要望だった。プレイ後にはシャワーを浴びず、中出しされた精液を一滴残らず持ち帰って来いというのが、旦那の一番の目論みなのであった。
汚れたパンティーを脱がせた旦那は、迷う事無く愛美の膣に舌を這わせ、そこから溢れる他人の精液を舐めた。そして、愛する妻が見ず知らずの変態男に滅茶苦茶に犯されているシーンを想像しながら狂ったように興奮した。
遂には、他人の精液が溜まったヌルヌルの穴の中に、自身の肉塊を滑り込ませ、「こうやってヤられたのか! こうヤられて感じていたんだろ!」と、激しい絶望に駆られながら、自身の精液そこにを継ぎ足すのであった。
そんな愛美と旦那の異常性を恵美に教えてくれたのは、ドライバーの矢部だった。矢部は、病的な程のお喋りで、送迎中は、嬢の事情や、客の悪口、会社の不満などを、勝手に一人でべらべらと喋りまくっていた。
それを毎日聞かされていた恵美は、この店に来てまだ一週間足らずだというのに、サラマンドラで働く女達の事情をほとんど知っていた。
ドライバー達から『家畜』と呼ばれている現役女子大生のトモ子は、食費の為に働いていた。給料のほとんどをコンビニ弁当に使ってしまう程の過食症らしく、食欲と性欲のコントロールができない彼女は、スカトロプレイ時に客の糞を食べる癖があった。
小指が欠損した静香には殺人の前科があった。
盲目のマリアはアル中の父親に身売りされた女だった。
そして、車椅子の華子はオリンピックにまで出場した元水泳選手のアスリートだった。
そんな嬢たちの過去を聞かされて衝撃を受けていた恵美だったが、しかし、その中でも一番衝撃的だったのが沙織だった。
原山にいつも待機所で犯されているあの廃人のような少女は、なんと原山の実の娘なのであった。
(つづく)
《←目次》《10話へ→》
足の指から耳の穴まで、二時間かけて丁寧に舐めさせられた。
男はサラマンドラの常連で、三十八歳の中学校教員だった。
カバのような顔をした彼は、性格もカバのように穏和だった。サラマンドラの常連にしては比較的に扱いやすい客だったが、しかしそのブヨブヨに太った体からは常にドリアンのようなデブ臭が漂い、その体を二時間舐めさせ続けられるのは、かなりの苦痛を伴った。
特に足の裏は最悪だった。強烈な匂いを放っている足の裏は、目を背けたくなるほどに酷い水虫で、そこに舌を這わす度にカサカサと皮が剥がれては、中から黄色い汁が滲み出て来た。
そんな彼は、いつもこうして体中を舐めさせるだけで性交は一切しなかった。全身を舐め回され、「あぁぁ、うぅぅ」と気色の悪い声で呻く彼は、そのカバの尻尾のような小さなペニスを自分で手淫しながら、いつも勝手に果ててしまうのであった。
変態専用デリヘル・サラマンドラ。
ここには、そんな『おかしな客』ばかりが集まって来た。
この中学教師のような草食系変態もいれば、女の顔がパンパンに腫れ上がるまで叩きながら性交する、そんな凶暴な肉食系変態も大勢いた。
そんな客達を、一日に二、三人相手にしていた恵美は、たったの一週間で五十万も稼いでいた。この調子で行けば、ひと月に二百万近くの稼ぎとなった。OL時代、手取り十四万の給料で細々と暮らしていた恵美には信じられない金額だった。
しかし恵美は、お金には執着していなかった。お金などどうでもよく、ただただスリルだけが欲しいだけだった。
だから恵美は、より危険な客を求めていたのだが、しかし店長の原山は、そんな恵美の欲望とは裏腹に、危険な客は恵美には回さないようにしていた。
それは、恵美が稀に見る上玉だからであった。
恵美ほどの女なら高級店でも十分にやっていけた。それが、サラマンドラのような劣悪変態店に回って来たのは奇跡であり、原山に取って恵美は大儲けのチャンスなのであった。
だから原山は、恵美の客を厳選した。危険な肉食系は他の女達に回し、恵美にはリスクの少ない草食系ばかりを回した。
原山にしてみたら、他の女達など殺されようが壊されようが一向にかまわなかった。寧ろ、この狂った女達など、とっとと殺してしまって欲しいとさえ思っていた。そう、あの廃人少女、沙織以外は……。
現在サラマンドラには、待機所に住み着いている静香と沙織以外に七人の女が在籍していた。
ほとんどの女は外待機だったため恵美とは面識が無かった。トモ子と愛美だけはいつも待機所を利用していたため、かろうじて面識はあったが、しかし、二人ともお喋りし合うほどの仲ではなかった。
愛美という中年女は、サラマンドラで働き始めてまだ一年目だった。三人の子供と旦那を持つ現役の主婦であり、見た目は三十代だったが、しかし、実年齢はとうに四十を過ぎていた。
愛美は、他の女達と違って唯一まともな人間だった。挨拶もできるし、普通に会話もできるし、それに、肉体的にも精神的にも汚れてないように見えた。
最初はそう思っていた恵美だったが、しかしサラマンドラで働く女は、そんなに甘くはなかった。
愛美がサラマンドラで働くようになったのは旦那が原因だった。旦那が愛美をサラマンドラという奈落の底に突き落としたのだ。
但しそれは、ギャンブル狂の旦那が作った借金を返済する為だとか、旦那が怠け者のヒモ男だからといったありきたりな事情からではなかった。それどころか旦那は、一部上場企業に勤めるエンジニアで、年収は八百万近くもあった。借金と言えば、四年前に建てた豪邸の住宅ローンくらいで、酒もギャンブルも浮気も一切しないという理想の旦那様だった。
そんな旦那が、何故に愛する妻を奈落の底に突き落としたのか。
それは、旦那が『寝取られマニア』という変態だからだった。
旦那は、愛する妻が他人に陵辱される事に喜びを感じるという特殊な性癖を持っていた。
最初のうちは、ハプニングバーで知り合った夫婦とスワッピングする程度だったのが、次第にそれでは物足りなくなり、遂にはネットで募集した『顔も見えない男』に妻を提供するようになっていた。
しかし、それでも旦那はまだ物足りなかった。そう、この男もまた、恵美と同じようにスリルという魔物に取り憑かれた男であり、安全圏での寝取られでは満足できなかったのだ。
そんな時、旦那はふとした事からサラマンドラの存在を知った。
『殺す以外なら何をしてもかまいません』
そんなキャッチフレーズを目にした旦那は身震いした。こんな危険な客達の中に、全裸の妻を野放しにしてみたいと思うと震えが止まらなくなったのだった。
旦那はさっそくサラマンドラに電話をかけ、愛美に何の相談をする事も無く勝手にバイトを決めてしまった。そしてその時、電話対応した原山に事情を説明し、できるだけ危ない客を回してくれるよう頼んでおいた。
いきなりサラマンドラで働かされるようになった愛美だったが、しかし元々マゾの愛美は文句一つ言わず、旦那の期待に応えようと頑張った。
毎晩、バイトから帰って来るなり、その日の客のペニスのサイズ、色、形、匂いなど報告させられた。そして、その客からどんな風に陵辱されたのかを、痣や傷跡を見せながら事細かく説明させられた。
それを聞きながら旦那は激しい嫉妬の念に駆られ、まるで日本脳炎に侵されたように震えた。
そんな旦那が最も嫉妬に狂う瞬間が、愛美の膣に溜まった客の精液を目にする瞬間だった。
それは旦那の要望だった。プレイ後にはシャワーを浴びず、中出しされた精液を一滴残らず持ち帰って来いというのが、旦那の一番の目論みなのであった。
汚れたパンティーを脱がせた旦那は、迷う事無く愛美の膣に舌を這わせ、そこから溢れる他人の精液を舐めた。そして、愛する妻が見ず知らずの変態男に滅茶苦茶に犯されているシーンを想像しながら狂ったように興奮した。
遂には、他人の精液が溜まったヌルヌルの穴の中に、自身の肉塊を滑り込ませ、「こうやってヤられたのか! こうヤられて感じていたんだろ!」と、激しい絶望に駆られながら、自身の精液そこにを継ぎ足すのであった。
そんな愛美と旦那の異常性を恵美に教えてくれたのは、ドライバーの矢部だった。矢部は、病的な程のお喋りで、送迎中は、嬢の事情や、客の悪口、会社の不満などを、勝手に一人でべらべらと喋りまくっていた。
それを毎日聞かされていた恵美は、この店に来てまだ一週間足らずだというのに、サラマンドラで働く女達の事情をほとんど知っていた。
ドライバー達から『家畜』と呼ばれている現役女子大生のトモ子は、食費の為に働いていた。給料のほとんどをコンビニ弁当に使ってしまう程の過食症らしく、食欲と性欲のコントロールができない彼女は、スカトロプレイ時に客の糞を食べる癖があった。
小指が欠損した静香には殺人の前科があった。
盲目のマリアはアル中の父親に身売りされた女だった。
そして、車椅子の華子はオリンピックにまで出場した元水泳選手のアスリートだった。
そんな嬢たちの過去を聞かされて衝撃を受けていた恵美だったが、しかし、その中でも一番衝撃的だったのが沙織だった。
原山にいつも待機所で犯されているあの廃人のような少女は、なんと原山の実の娘なのであった。
(つづく)
《←目次》《10話へ→》
スリル10・大磯先生
2013/06/13 Thu 00:02
原山は、自分が店長を務める変態専用デリヘルで実の娘を働かせていた。
しかも待機所では娘を犯しまくり、平気で中出しまでしていた。
彼女は重度の精神障害を患っていた。年齢は定かではないが、恐らく義務教育をまだ終えていない少女だった。
鬼畜。
原山は、まさに鬼畜そのものだった。
そんな鬼畜が、ある時、父親の顔を見せた。
しかしそれは最初で最後の顔となった。
幸いにも原山は、父親の顔のまま、この世を去る事ができたのだった。
それは、日曜日のお昼、『NHKのど自慢』のエンディングが流れた直後の事だった。
いきなり待機所に藤田がやって来た。
藤田は何やら慌てた様子でドカドカと居間にやって来ると、そこで嬢たちとリンゴを齧っていた原山に「二時から大磯先生が入ったぞ」とだけ短く告げた。
恵美は、大磯という名前に聞き覚えがあった。確か以前、ドライバーの矢部が、「サラマンドラのような店がやっていけるのは大磯先生に『生け贄』を提供しているからだ」と言っていた。そして、「爺さんの機嫌をひとつ損ねれば、サラマンドラどころか松橋観光の系列店全店が一瞬で潰されるからな」とまで言っていた。
確かに大磯というのは、この町では相当な権力者だった。数年前まで副知事を務めていた六十五歳のこの老人は、警察でも役人でも思いのままに操る事ができ、サラマンドラのケツ持ちをしている佐川会の会長さえも、子分のように動かす事ができた。
そんな大物から予約が入った。だから本社の藤田は、わざわざサラマンドラの待機所にまで慌ててやってきたのだった。
「二人用意して欲しい」
藤田は深刻そうな表情でそう言うと、今まさにリンゴを齧ろうと口をぽかんっと開けている恵美をチラッと見ながら、「一人は彼女でいいだろう」と呟いた。
そんな藤田に「はい」と頷いた原山だったが、しかし、その表情は死人のように青ざめていた。
大磯に差し出す『生け贄』というのは、まだ大磯が食べた事のない初顔の嬢でなければならないとされていた。
しかし、既にサラマンドラで働いている嬢は全て大磯に出し尽くしていた。たまたま一週間ほど前に働き始めた恵美がいたため一人は確保できたが、しかし今回はもう一人必要だった。
原山は、青ざめた顔のままジッと黙って畳を見つめていた。
そんな原山の前に藤田はゆっくりとしゃがんだ。
「なぁ原ちゃん……」
藤田はそう言いながら原山の肩にソッと手を置いた。
その藤田の言い方に、恵美は(何かあるな)と思った。
恵美の直感は当たった。なんと、いきなり原山が「わっ」と泣き出したのだ。
「沙織だけは勘弁して下さい!」
原山は、喉を掻きむしるような声でそう叫びながら、畳に額を擦り付けた。
実は沙織は、原山の実の娘という事から、今まで大磯の生け贄を免除されていたのだった。大磯のプレイがあまりにも残酷だという事を知っている原山は、なんとか沙織だけはと藤田に頼み込んでいたのだった。
しかし、今回ばかりはどうしょうもなかった。初顔が恵美しか残っていない以上、もはや沙織を差し出すしかなかった。そうしなければ大磯の機嫌を損ね、サラマンドラは会社もろとも潰されてしまうのである。
「なんとか、系列店から女の子を回せませんか!」
原山は藤田に縋り付いた。
「無理だよ。あの子たちではとても大磯先生の相手なんてできないよ。それは、あなたが一番わかってる事じゃないか」
「じゃあ、先生に正直に言うて下さい、ウチにはもう新人はいないって」
「…………」
「ええです、会社が言うてくれんのやったら自分で詫び入れに行ってきます、指の一本や二本詰めてもかましまへん!」
そう熱くなる原山に、藤田は大きく息を吐きながら「原ちゃん……今まで会社は、何も働いていないあんたの娘に毎月九万円もの最低保証を出して来たんだぞ……」と呟き、両手で原山の肩をパンっと叩いた。そして原山の顔を覗き込みながら、「わかってくれよ原ちゃん」と言った。
すると、それと同時に廊下で床がギシッと軋み、襖の隅からドライバーの矢部がヌッと顔を出した。
「藤田部長、そろそろ出ないと間に合いませんけど……」
矢部は、そこに漂う重たい空気にモゾモゾしながらも、恐る恐る藤田にそう告げた。
「わかった。キミは久美子を連れて車で待っててくれ」
藤田がそう言うと、矢部は未だリンゴを手にしたまま呆然としていた恵美に「行こっ」と小さく囁いた。
煙草臭いワンボックスカーに乗り込むなり、矢部は独り言のように「原山さん、相当ヤバいなぁ……」と呟いた。
今まで、自分からは矢部に一度も話し掛けた事がなかった恵美だったが、しかし、このあまりにも不穏な空気に居た堪れなくなり、おもわず「あのぅ……」と運転席を覗き込んだ。
矢部は火の付いていない煙草を唇でピコピコさせながら、「ん?」とバックミラーを見た。
「その……大磯さんという人のソレは……そんなに酷いんですか……」
ひと呼吸置いて、矢部が「んふふふふ」と笑った。
「酷いとか凄いとかのレベルじゃないね。あれはもう殺人レベルだよ」
矢部は深く頷きながらシートを座り直した。そしてポケットから百円ライターを取り出すと、それを、ジュっ、ジュ、と何度も擦りながら恵美を見た。
「あんた、この世に思い残す事はない?」
「え?……」
「あるなら今のうちだよ。彼氏に電話するとか、親の声を聞くとか、辞世を書くとかね」
矢部はひひひっと下品に笑いながら煙草に火を付けた。そんな矢部をバックミラーで見ながら、恵美は、どうせいつものようにからかってるだけだろうと思った。
すると、フロントガラスにフーッと煙を吐きかけた矢部がジロっと恵美を睨んだ。
「あんた、今、俺が冗談言ったと思っただろ? 見ただろ、あの原山さんがトチ狂ってる姿……あんなの演技じゃできねぇぜ……」
「…………」
「ココだけの話しだけどよ、俺、大磯先生に殺された女の死体を見た事あるんだ……あん時も確か、浦川のラブホだったな……いきなり夜中に藤田さんに呼び出されてその部屋に行ったんだけどさぁ、そしたら、さっき送ったばかりの女がぐちゃぐちゃの肉の塊になってるじゃねぇか……マジ、ビビったよ。死体なんて見るの初めてだしさ、それにその死体には目とか鼻とかねぇんだぜ、ボコボコに殴られて深海魚みてぇな顔になってんだぜ……正直、ここまでヤッても捕まらねぇんだから、やっぱ大磯ってのはスゲぇんだなぁって思ったよ……あいつに逆らったらマジヤベェって、そん時、心底思い知らされたね……」
矢部はその時の光景を思い出したのか、急に暗い顔をして黙りこくった。その深刻そうな表情は演技でもなさそうだった。
そんな緊迫した沈黙に、恵美の背筋はゾクゾクしていた。
(ぐちゃぐちゃの肉の塊……)
そう何度も繰り返していると、下着のクロッチがみるみる湿っていくのがわかった。
暫くすると、矢部が、「おっ、来た」と慌てて煙草を揉み消し、車のエンジンをかけた。
窓の外を見ると、藤田に肩を抱かれながら歩く沙織がいた。
ワンボックスカーの後部ドアがガラガラガラっと開くなり、三階のベランダから原山の絶叫が聞こえて来た。
藤田は沙織の背中を押しながら「早くしろ」言った。ヨタヨタと乗り込む沙織のその姿は、まるでデイサービスのバスに押し込まれる痴呆老人のようだった。
(つづく)
《←目次》《11話へ→》
しかも待機所では娘を犯しまくり、平気で中出しまでしていた。
彼女は重度の精神障害を患っていた。年齢は定かではないが、恐らく義務教育をまだ終えていない少女だった。
鬼畜。
原山は、まさに鬼畜そのものだった。
そんな鬼畜が、ある時、父親の顔を見せた。
しかしそれは最初で最後の顔となった。
幸いにも原山は、父親の顔のまま、この世を去る事ができたのだった。
それは、日曜日のお昼、『NHKのど自慢』のエンディングが流れた直後の事だった。
いきなり待機所に藤田がやって来た。
藤田は何やら慌てた様子でドカドカと居間にやって来ると、そこで嬢たちとリンゴを齧っていた原山に「二時から大磯先生が入ったぞ」とだけ短く告げた。
恵美は、大磯という名前に聞き覚えがあった。確か以前、ドライバーの矢部が、「サラマンドラのような店がやっていけるのは大磯先生に『生け贄』を提供しているからだ」と言っていた。そして、「爺さんの機嫌をひとつ損ねれば、サラマンドラどころか松橋観光の系列店全店が一瞬で潰されるからな」とまで言っていた。
確かに大磯というのは、この町では相当な権力者だった。数年前まで副知事を務めていた六十五歳のこの老人は、警察でも役人でも思いのままに操る事ができ、サラマンドラのケツ持ちをしている佐川会の会長さえも、子分のように動かす事ができた。
そんな大物から予約が入った。だから本社の藤田は、わざわざサラマンドラの待機所にまで慌ててやってきたのだった。
「二人用意して欲しい」
藤田は深刻そうな表情でそう言うと、今まさにリンゴを齧ろうと口をぽかんっと開けている恵美をチラッと見ながら、「一人は彼女でいいだろう」と呟いた。
そんな藤田に「はい」と頷いた原山だったが、しかし、その表情は死人のように青ざめていた。
大磯に差し出す『生け贄』というのは、まだ大磯が食べた事のない初顔の嬢でなければならないとされていた。
しかし、既にサラマンドラで働いている嬢は全て大磯に出し尽くしていた。たまたま一週間ほど前に働き始めた恵美がいたため一人は確保できたが、しかし今回はもう一人必要だった。
原山は、青ざめた顔のままジッと黙って畳を見つめていた。
そんな原山の前に藤田はゆっくりとしゃがんだ。
「なぁ原ちゃん……」
藤田はそう言いながら原山の肩にソッと手を置いた。
その藤田の言い方に、恵美は(何かあるな)と思った。
恵美の直感は当たった。なんと、いきなり原山が「わっ」と泣き出したのだ。
「沙織だけは勘弁して下さい!」
原山は、喉を掻きむしるような声でそう叫びながら、畳に額を擦り付けた。
実は沙織は、原山の実の娘という事から、今まで大磯の生け贄を免除されていたのだった。大磯のプレイがあまりにも残酷だという事を知っている原山は、なんとか沙織だけはと藤田に頼み込んでいたのだった。
しかし、今回ばかりはどうしょうもなかった。初顔が恵美しか残っていない以上、もはや沙織を差し出すしかなかった。そうしなければ大磯の機嫌を損ね、サラマンドラは会社もろとも潰されてしまうのである。
「なんとか、系列店から女の子を回せませんか!」
原山は藤田に縋り付いた。
「無理だよ。あの子たちではとても大磯先生の相手なんてできないよ。それは、あなたが一番わかってる事じゃないか」
「じゃあ、先生に正直に言うて下さい、ウチにはもう新人はいないって」
「…………」
「ええです、会社が言うてくれんのやったら自分で詫び入れに行ってきます、指の一本や二本詰めてもかましまへん!」
そう熱くなる原山に、藤田は大きく息を吐きながら「原ちゃん……今まで会社は、何も働いていないあんたの娘に毎月九万円もの最低保証を出して来たんだぞ……」と呟き、両手で原山の肩をパンっと叩いた。そして原山の顔を覗き込みながら、「わかってくれよ原ちゃん」と言った。
すると、それと同時に廊下で床がギシッと軋み、襖の隅からドライバーの矢部がヌッと顔を出した。
「藤田部長、そろそろ出ないと間に合いませんけど……」
矢部は、そこに漂う重たい空気にモゾモゾしながらも、恐る恐る藤田にそう告げた。
「わかった。キミは久美子を連れて車で待っててくれ」
藤田がそう言うと、矢部は未だリンゴを手にしたまま呆然としていた恵美に「行こっ」と小さく囁いた。
煙草臭いワンボックスカーに乗り込むなり、矢部は独り言のように「原山さん、相当ヤバいなぁ……」と呟いた。
今まで、自分からは矢部に一度も話し掛けた事がなかった恵美だったが、しかし、このあまりにも不穏な空気に居た堪れなくなり、おもわず「あのぅ……」と運転席を覗き込んだ。
矢部は火の付いていない煙草を唇でピコピコさせながら、「ん?」とバックミラーを見た。
「その……大磯さんという人のソレは……そんなに酷いんですか……」
ひと呼吸置いて、矢部が「んふふふふ」と笑った。
「酷いとか凄いとかのレベルじゃないね。あれはもう殺人レベルだよ」
矢部は深く頷きながらシートを座り直した。そしてポケットから百円ライターを取り出すと、それを、ジュっ、ジュ、と何度も擦りながら恵美を見た。
「あんた、この世に思い残す事はない?」
「え?……」
「あるなら今のうちだよ。彼氏に電話するとか、親の声を聞くとか、辞世を書くとかね」
矢部はひひひっと下品に笑いながら煙草に火を付けた。そんな矢部をバックミラーで見ながら、恵美は、どうせいつものようにからかってるだけだろうと思った。
すると、フロントガラスにフーッと煙を吐きかけた矢部がジロっと恵美を睨んだ。
「あんた、今、俺が冗談言ったと思っただろ? 見ただろ、あの原山さんがトチ狂ってる姿……あんなの演技じゃできねぇぜ……」
「…………」
「ココだけの話しだけどよ、俺、大磯先生に殺された女の死体を見た事あるんだ……あん時も確か、浦川のラブホだったな……いきなり夜中に藤田さんに呼び出されてその部屋に行ったんだけどさぁ、そしたら、さっき送ったばかりの女がぐちゃぐちゃの肉の塊になってるじゃねぇか……マジ、ビビったよ。死体なんて見るの初めてだしさ、それにその死体には目とか鼻とかねぇんだぜ、ボコボコに殴られて深海魚みてぇな顔になってんだぜ……正直、ここまでヤッても捕まらねぇんだから、やっぱ大磯ってのはスゲぇんだなぁって思ったよ……あいつに逆らったらマジヤベェって、そん時、心底思い知らされたね……」
矢部はその時の光景を思い出したのか、急に暗い顔をして黙りこくった。その深刻そうな表情は演技でもなさそうだった。
そんな緊迫した沈黙に、恵美の背筋はゾクゾクしていた。
(ぐちゃぐちゃの肉の塊……)
そう何度も繰り返していると、下着のクロッチがみるみる湿っていくのがわかった。
暫くすると、矢部が、「おっ、来た」と慌てて煙草を揉み消し、車のエンジンをかけた。
窓の外を見ると、藤田に肩を抱かれながら歩く沙織がいた。
ワンボックスカーの後部ドアがガラガラガラっと開くなり、三階のベランダから原山の絶叫が聞こえて来た。
藤田は沙織の背中を押しながら「早くしろ」言った。ヨタヨタと乗り込む沙織のその姿は、まるでデイサービスのバスに押し込まれる痴呆老人のようだった。
(つづく)
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スリル11・廃人少女
2013/06/13 Thu 00:02
その古いラブホテルは、昭和六十二年に若いホテトル嬢が変質者に殺されてから、ずっと廃墟のまま放置されていた。
地元では有名な幽霊スポットとなり、暴走族が集まったりレイプ事件があったりと色々問題が起きていたが、しかし、平成となりバブルに突入すると、その後に世間を震撼させるカルト教団がそこを購入し、道場を建設しようとした。
それを断固反対したのが、当時この町で県会議員をしていた大磯だった。
大磯は、その物件をカルト教団から自費で買い取り、道場建設を阻止した。財産をなげうってまでカルト教団から町を守ろうとした大磯はたちまちヒーローとなり、翌年大磯は、知事の指名により副知事となったのだった。
恵美と沙織は、丸いベッドに座ったまま大磯が来るのを待っていた。
ワインレッドに輝くその部屋は、まるで血の海のようだった。
壁もソファーも床も同じワインレッドだった。それは、一昔前の暴走族が車内に張っていたような、そんな趣味の悪いテラテラと輝く素材だった。
二人が座っているベッドは、今時珍しい回転ベッドだった。ベッドの天井には鏡が張られており、ベッドが回るのに合わせて黄色い豆電球がチカチカと点滅した。
そのラブホテルは、凄惨な事件のあった昭和六十二年当時から何も変わっていなかった。
だから客は誰も寄り付かなかった。たまにそこを利用する客がいたとしても、それは何も知らない余所者だった。
それでも大磯は、そこを改装ひとつする事無く、そのまま営業を続けていた。
当然、経営は赤字だったが、しかし、大磯はそれで良かった。なぜならこのホテルは、大磯が個人的に愉しむ為の、趣味の部屋だからであった。
ベッドに敷かれた掛け布団は、田舎の安宿で使っているような綿布団だった。半乾きの洗濯物のようにジメッと湿っており、ほのかにカビの匂いが漂っていた。
恵美は、隣りに座る沙織を横目でジッと観察していた。
沙織は美少女だった。大きな瞳とぽってりとした唇。小さな顔と長い手足。そのスラッとした小柄なスタイルは、まるでディズニーに出て来る森の妖精のように可愛かった。
しかし、その透き通るような肌をした腕には、数えきれないほどのリストカットの痕が連なっていた。その傷がせっかくの可愛さを狂気に変え、唯ならぬ薄気味悪さを醸し出していた。
恵美は、恐る恐る少女の顔を覗き込み、「歳はいくつ?」と優しく聞いてみた。
しかし沙織は表情一つ変えず黙っていた。マネキン人形のような目で、目の前にある『三〇分一〇〇円』と書かれた箱型テレビをジッと見つめたまま、身動き一つしなかった。
そんな沈黙が続く中、気が付くと時刻はとうに二時を過ぎていた。あれだけ急がせておきながら、もうすぐ三時になろうとしていた。
恵美は、いつあの古びたドアからいきなりモンスターが飛び出してくるのだろうかとゾクゾクしていた。
猪のような獰猛な老人。冷血で残酷で、例え人を殺しても裁かれない権力者。そんな三国志に出てくる暴君のようなモンスターが現れた瞬間を想像すると、恵美はあまりの怖さに胸を締め付けられ、おもわず泣き出してしまいそうになった。
しかし、それこそが恵美が求めていたスリルだった。恵美にとっては、その本当に危険な恐怖こそが快感であり、この後に訪れる残酷なシーンを想像すると脳と陰部が激しく疼くのだった。
そんな異様な疼きに耐えられなくなった恵美は、スカートの中にソッと手を忍ばせ、既にぐっしょりと湿っている下着の股間に指を這わせた。
下着の上からクリトリスを探し出し、滲んだ汁を潤滑油にしながら指腹をヌルヌルと滑らせた。おもわず「あんっ」と声を漏らしてしまったが、しかし隣りの沙織は表情一つ変えていなかった。
そんな沙織のTシャツの胸にソッと手をあててみた。沙織はブラジャーをつけていなかったため、すぐに恵美の手の平に若い弾力性が伝わって来た。
そのままTシャツの中に手を入れ、直接その小さな膨らみを優しく揉んでみた。それでも沙織は無反応だった。ニキビのように小さな乳首を指で転がしても眉一つ動かさなかった。
そんな沙織の無表情な横顔を見ていると、ふと、高校時代に読んだ石黒清一廊の『影と陰』を思い出した。
それは昭和初期に書かれた古い小説で、中年の未亡人が、そこに下宿している男子高校生にこっそり睡眠薬を飲ませては、夜な夜な性的悪戯をするという変態小説だった。
当時恵美は、その小説を繰り返し読みながら自慰に耽っていた。特に、眠った少年の萎れたペニスを口に含んだ未亡人が、そのまま射精させてしまうシーンに堪らない興奮を覚えていた。
そんな古い小説を思い出した恵美は、自分もこの廃人のような少女を舌でイカせてみたいという欲望に駆られた。胸底から涌き上がってくる興奮に目眩を感じながら、恵美は沙織をベッドに寝かせてしまったのだった。
まるで人形のように素直に仰向けになった沙織は、そのマネキンのような目で天井の鏡に映る自分を見つめていた。
両膝を立たせ、ミニスカートの中を覗いた。やはり下着は履いていなかった。
妙に陰毛がフワフワし、ボディーソープの香りだけが漂っていた。恐らく、連行前に藤田が慌てて洗ったのだろうと思うと、廃人のような少女が中年男に陰部を洗われている光景がメラメラと頭に浮かび、とたんに背筋がゾクゾクした。
沙織ちゃん……と、囁きながら真っ白な太ももに頬擦りした。生クリームのような肌触りを頬に感じながら、股間の奥に息衝く割れ目を凝視した。
その顔、その肌、その肉体は、妖精を思わせるほどに初々しい少女なのに、その一点だけは醜く穢れていた。左右の襞はダラリと垂れ下がり、その色は焦げたカルビのように真っ黒だった。
そこに舌を伸ばし、折り畳まれていた襞を舌先で開いた。ペロンっと襞が捲れると、弛んだ穴がねっとりと口を開いていた。
本来、この若さからして、そこはサーモンピンクに輝いていていいはずだった。しかしその内部は、まるで死んだ魚のエラのように赤黒く爛れていた。
果たしてこの穴の中に、今までどれだけの醜い肉棒が出たり入ったりと繰り返したのだろうと思った。そして同時に、意識の無いまま変態男たちに弄ばれ、無の世界で男たちの穢れた汁をドクドクと注入されている少女の姿を想像し、恵美は異様な興奮に包まれた。
大きく突き出した舌を割れ目に這わせ、下から上へとベロリと舐めた。舌をピリっとする酸味と、赤錆の味が口内に広がった。
生まれて初めて女性器を舐めた。ホームレスの肛門は何度も舐めた事があるのに、女性器はこれが初めてだった。
いつも自分が男たちからされているように、クリトリスをチロチロと転がし、そして穴の中に舌を潜り込ませた。
べちょ、べちょ、と下品な音が鳴り響くが、しかし少女は表情一つ変えず、ジッと天井に映る自分を見つめているだけだった。
少女の股間に顔を埋めながら、そんな天井の鏡越しに少女の気配を伺っていると、ふと自分の真後ろに人影が映っている事に気付いた。
「はっ!」と驚き、慌てて後ろを振り返ると、それと同時に、痩せこけた老爺も「えっ!」と驚いた。
「ご、ごめんなさい、覗くつもりじゃなかったんです!」
そう必死に弁解しながら狼狽えている老爺は、まるで小学生のように小さかった。
(つづく)
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地元では有名な幽霊スポットとなり、暴走族が集まったりレイプ事件があったりと色々問題が起きていたが、しかし、平成となりバブルに突入すると、その後に世間を震撼させるカルト教団がそこを購入し、道場を建設しようとした。
それを断固反対したのが、当時この町で県会議員をしていた大磯だった。
大磯は、その物件をカルト教団から自費で買い取り、道場建設を阻止した。財産をなげうってまでカルト教団から町を守ろうとした大磯はたちまちヒーローとなり、翌年大磯は、知事の指名により副知事となったのだった。
恵美と沙織は、丸いベッドに座ったまま大磯が来るのを待っていた。
ワインレッドに輝くその部屋は、まるで血の海のようだった。
壁もソファーも床も同じワインレッドだった。それは、一昔前の暴走族が車内に張っていたような、そんな趣味の悪いテラテラと輝く素材だった。
二人が座っているベッドは、今時珍しい回転ベッドだった。ベッドの天井には鏡が張られており、ベッドが回るのに合わせて黄色い豆電球がチカチカと点滅した。
そのラブホテルは、凄惨な事件のあった昭和六十二年当時から何も変わっていなかった。
だから客は誰も寄り付かなかった。たまにそこを利用する客がいたとしても、それは何も知らない余所者だった。
それでも大磯は、そこを改装ひとつする事無く、そのまま営業を続けていた。
当然、経営は赤字だったが、しかし、大磯はそれで良かった。なぜならこのホテルは、大磯が個人的に愉しむ為の、趣味の部屋だからであった。
ベッドに敷かれた掛け布団は、田舎の安宿で使っているような綿布団だった。半乾きの洗濯物のようにジメッと湿っており、ほのかにカビの匂いが漂っていた。
恵美は、隣りに座る沙織を横目でジッと観察していた。
沙織は美少女だった。大きな瞳とぽってりとした唇。小さな顔と長い手足。そのスラッとした小柄なスタイルは、まるでディズニーに出て来る森の妖精のように可愛かった。
しかし、その透き通るような肌をした腕には、数えきれないほどのリストカットの痕が連なっていた。その傷がせっかくの可愛さを狂気に変え、唯ならぬ薄気味悪さを醸し出していた。
恵美は、恐る恐る少女の顔を覗き込み、「歳はいくつ?」と優しく聞いてみた。
しかし沙織は表情一つ変えず黙っていた。マネキン人形のような目で、目の前にある『三〇分一〇〇円』と書かれた箱型テレビをジッと見つめたまま、身動き一つしなかった。
そんな沈黙が続く中、気が付くと時刻はとうに二時を過ぎていた。あれだけ急がせておきながら、もうすぐ三時になろうとしていた。
恵美は、いつあの古びたドアからいきなりモンスターが飛び出してくるのだろうかとゾクゾクしていた。
猪のような獰猛な老人。冷血で残酷で、例え人を殺しても裁かれない権力者。そんな三国志に出てくる暴君のようなモンスターが現れた瞬間を想像すると、恵美はあまりの怖さに胸を締め付けられ、おもわず泣き出してしまいそうになった。
しかし、それこそが恵美が求めていたスリルだった。恵美にとっては、その本当に危険な恐怖こそが快感であり、この後に訪れる残酷なシーンを想像すると脳と陰部が激しく疼くのだった。
そんな異様な疼きに耐えられなくなった恵美は、スカートの中にソッと手を忍ばせ、既にぐっしょりと湿っている下着の股間に指を這わせた。
下着の上からクリトリスを探し出し、滲んだ汁を潤滑油にしながら指腹をヌルヌルと滑らせた。おもわず「あんっ」と声を漏らしてしまったが、しかし隣りの沙織は表情一つ変えていなかった。
そんな沙織のTシャツの胸にソッと手をあててみた。沙織はブラジャーをつけていなかったため、すぐに恵美の手の平に若い弾力性が伝わって来た。
そのままTシャツの中に手を入れ、直接その小さな膨らみを優しく揉んでみた。それでも沙織は無反応だった。ニキビのように小さな乳首を指で転がしても眉一つ動かさなかった。
そんな沙織の無表情な横顔を見ていると、ふと、高校時代に読んだ石黒清一廊の『影と陰』を思い出した。
それは昭和初期に書かれた古い小説で、中年の未亡人が、そこに下宿している男子高校生にこっそり睡眠薬を飲ませては、夜な夜な性的悪戯をするという変態小説だった。
当時恵美は、その小説を繰り返し読みながら自慰に耽っていた。特に、眠った少年の萎れたペニスを口に含んだ未亡人が、そのまま射精させてしまうシーンに堪らない興奮を覚えていた。
そんな古い小説を思い出した恵美は、自分もこの廃人のような少女を舌でイカせてみたいという欲望に駆られた。胸底から涌き上がってくる興奮に目眩を感じながら、恵美は沙織をベッドに寝かせてしまったのだった。
まるで人形のように素直に仰向けになった沙織は、そのマネキンのような目で天井の鏡に映る自分を見つめていた。
両膝を立たせ、ミニスカートの中を覗いた。やはり下着は履いていなかった。
妙に陰毛がフワフワし、ボディーソープの香りだけが漂っていた。恐らく、連行前に藤田が慌てて洗ったのだろうと思うと、廃人のような少女が中年男に陰部を洗われている光景がメラメラと頭に浮かび、とたんに背筋がゾクゾクした。
沙織ちゃん……と、囁きながら真っ白な太ももに頬擦りした。生クリームのような肌触りを頬に感じながら、股間の奥に息衝く割れ目を凝視した。
その顔、その肌、その肉体は、妖精を思わせるほどに初々しい少女なのに、その一点だけは醜く穢れていた。左右の襞はダラリと垂れ下がり、その色は焦げたカルビのように真っ黒だった。
そこに舌を伸ばし、折り畳まれていた襞を舌先で開いた。ペロンっと襞が捲れると、弛んだ穴がねっとりと口を開いていた。
本来、この若さからして、そこはサーモンピンクに輝いていていいはずだった。しかしその内部は、まるで死んだ魚のエラのように赤黒く爛れていた。
果たしてこの穴の中に、今までどれだけの醜い肉棒が出たり入ったりと繰り返したのだろうと思った。そして同時に、意識の無いまま変態男たちに弄ばれ、無の世界で男たちの穢れた汁をドクドクと注入されている少女の姿を想像し、恵美は異様な興奮に包まれた。
大きく突き出した舌を割れ目に這わせ、下から上へとベロリと舐めた。舌をピリっとする酸味と、赤錆の味が口内に広がった。
生まれて初めて女性器を舐めた。ホームレスの肛門は何度も舐めた事があるのに、女性器はこれが初めてだった。
いつも自分が男たちからされているように、クリトリスをチロチロと転がし、そして穴の中に舌を潜り込ませた。
べちょ、べちょ、と下品な音が鳴り響くが、しかし少女は表情一つ変えず、ジッと天井に映る自分を見つめているだけだった。
少女の股間に顔を埋めながら、そんな天井の鏡越しに少女の気配を伺っていると、ふと自分の真後ろに人影が映っている事に気付いた。
「はっ!」と驚き、慌てて後ろを振り返ると、それと同時に、痩せこけた老爺も「えっ!」と驚いた。
「ご、ごめんなさい、覗くつもりじゃなかったんです!」
そう必死に弁解しながら狼狽えている老爺は、まるで小学生のように小さかった。
(つづく)
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スリル12・狂宴
2013/06/13 Thu 00:02
総白髪の髪に青白い顔。ヨレヨレの縦縞パジャマに、痩せこけた弱々しい体。そんな姿は、まさに老人ホームから脱走して来たお爺ちゃんのようだった。
恵美は沙織の股間から慌てて起き上がると、その小さなお爺ちゃんを唖然と見ながら「もしかして……」と呟いた。
すると、それまで狼狽えていたお爺ちゃんの顔が、急にパッと明るくなった。お爺ちゃんは、少し照れくさそうにコクンっと頷くと、「どうも、どうも、私が大磯大蔵です」と選挙中の政治家のように笑ったのだった。
恵美は目を疑った。この小学生のように小さくて、朗らかなお爺ちゃんが、まさかあの大磯だとは信じられなかった。
しかし、そう呆然としている恵美を優しく見つめるお爺ちゃんの目は、決して笑ってはいなかった。その目は、その性癖を持つ者に共通している狂気の目だった。貪よりと重く、ぴくりとも瞬きせず、そしてギラギラと燃えながら、黒目だけがグルグルと回っていた。
そんな目をした男たちに、今まで散々嬲られて来た恵美にはわかった。その目を持つ男たちは女を人間とは見なしておらず、己の欲望を果たすためなら、何の躊躇も無く平気で惨い事をする狂人だという事を。
それはまさに、己の空腹を満たす為だけに命を奪う肉食獣と同じだった。
恵美がそれに気付いたのは、たまたまスカパーのアニマルプラネットで放映していた『ベンガル虎の晩餐』という番組を見ていた時だった。
腹を空かせた虎が親子の鹿に襲い掛かり、瞬く間に子鹿を射止めた。そして親鹿が見ている目の前で子鹿の腹を噛み千切り、口の回りを血まみれにしながら内臓を貪り食っていた。
それを見ていた恵美は、その時の虎の目と、今まで自分を無惨に犯してきた男たちの目が同じだという事に気付いた。そう思うと、内臓を食い荒らされている子鹿が自分のような気がしてならず、おもわず恵美はその番組を見ながらオナニーをしてしまったのだった。
そんな肉食獣の目を輝かせながら大磯は沙織を見た。
「この子、まだ若いでしょ……」
大磯はそう言いながら、股を開いたまま天井を見つめている沙織の顔を覗き込んだ。
「いくつですか?」
大磯は沙織にそう聞くが、もちろん沙織は表情一つ変えないまま天井の鏡をジッと見つめたままだった。
暫く沙織の顔を覗き込んでいた大磯が、急に恵美に振り返って聞いた。
「この子は聾唖ですか?」
「ろうあ?」
「耳が聞こえず言葉が喋れないという意味です」
恵美は小さく首を傾げながら「多分、そうだと思います……」と答えると、大磯は何故か嬉しそうに微笑みながら「本当かなぁ……」と呟き、もう一度沙織の顔を覗き込んだ。
「麻原君も目が見えないとか言っておきながら、ちゃっかり見えてたからねぇ……私がフィリピンの幼女を紹介してやったら、『若い頃の坂口良子みたいだ』って喜んでたんだから……」
大磯は、独り言のようにそう呟きながら沙織の股間に指を這わせた。そして沙織の表情をジッと監視しながら、そこにピチャピチャといやらしい音を立て始めた。
麻原。確か、さっき車の中で、「大磯先生と教団はズブズブの仲だったみたいですね」と矢部が言っていた。そして、「大磯は教団の道場建設の反対をしながらも、実は教団とは裏で繋がっていたってのは本当ですか」と、どこかのレポーターのように藤田に聞き、藤田に「余計な事は話すな」と一喝されていた。
それを思い出した恵美は、大磯の口から出た麻原という名前から、あの時矢部が言っていた事は本当だったんだと確信した。
激しいスリルを感じた。それほどの悪党なら、本当に私を子鹿のように食い殺してしまうかもしれないと恐怖に襲われ、それと同時に異様なエロスに包まれた。
「演技をしててもすぐにバレちゃいますよ……」
大磯は、沙織にそう笑いかけながらパジャマのズボンを下ろした。そしてそこに巨大な肉棒を突き出すと、「コレを入れられるとね、どんな嘘つき女だって本性を剥き出しにしちゃうんですから」とケラケラと笑い、その焼き芋のようにゴツゴツとした肉棒を自慢げにシゴき始めた。
その真っ黒な皮が上下に動くのを恵美は呆然と見ていた。あんな大きなモノを入れられたら、きっと沙織の膣は張り裂けてしまうだろうと思うと、不意にクラクラと目眩がするほどの興奮を感じた。
そんな恵美の様子に気付いたのか、大磯は静かに恵美に振り向くと、恵美に向かって肉棒を突き出した。
「そちらの綺麗なお姉さん。あなた、もう我慢できないんでしょ。ふふふふふ……ほら、遠慮なさらずに、さ、どうぞ」
たちまち恵美の危機察知能力が激しく警鐘を鳴らした。しかしそれは、普通の人にとっては危機察知の警鐘だが、恵美にとっては快楽への入口に導いてくれる誘導信号であった。
大磯の足下に縋り付き、「あぁぁ……」と声を漏らしながら唇を丸く開いた。それを口一杯に頬張り、その硬さを舌で確かめながらそこに唾液を塗り込んだ。顔ごと上下に動かすと、思いきり開かされた唇と肉棒との隙間で、ぺぷ、ぺぷ、と艶かしい音が鳴った。
「この子も可愛いが、あなたも実に美しい……それにあなたは変態だ。変態の匂いがプンプンと漂っている……美女の変態は特に美しいものです……変態美女と嘘つき娘……ふふふふふ……今夜は久しぶりに愉しめそうですね……」
そんな大磯の声を聞きながら、恵美はそれを激しくしゃぶりまくった。左手を腰に回し、そのまま大磯の肛門を人差し指で弄った。そして右手で睾丸を優しく握り、それをふにゃふにゃと揉みながら、肉棒を唇で激しく擦った。
暫くすると、口内で肉棒がビクンっと跳ね上がった。
大磯は「ほっ」と息を吐くと、素早く恵美の口内から肉棒を抜いた。そして亀頭を恵美に向けながら自らそれをシゴき、恵美の顔に大量の精液を吐き出した。
「あなたがあんまり上手だから、もう出ちゃいましたよ……でも心配しないで下さい、私はずっと勃起してますし、何度でも射精する事ができますから」
そう自慢げに笑う大磯を、眉間からドロリと垂れる精液越しに見つめた。ふと、さっき矢部が車の中で、「あの歳であれだけ元気なのは、やっぱシャブですか。佐川会の若い衆が大磯先生に回してるって噂がありますけど」と、藤田に聞いていたのを思い出した。
反社、シャブ、教団、幼女、殺人。
そんな危険な老人の精液が、今、恵美の顔にナメクジのように這っていた。
恵美は唇を尖らせながらそれをズルズルっと吸い込み、それを舌と硬口蓋で磨り潰しながら、その危険な味を脳に刷り込んだ。
そんな恵美を見下ろしながら、大磯は嬉しそうに笑った。
「後でゆっくりと可愛がってあげますから、シャワーで顔を洗って来なさい」
そう囁く大磯の肉棒は、やはり衰えてはいなかった。これだけ大量の精液を出したというのに、その肉棒は未だ筋肉をピクピクさせていた。
恵美はゆっくりと立ち上がると、バッグの中から化粧ポーチを取り出し、それを持ってバスルームへと向かった。
脱衣場のドアを開けると、その奥にある浴室が不気味な闇を作っていた。昭和チックなモザイクタイル張りの浴室からは、身震いするほどの冷気と強烈なカビ臭が漂って来た。
車の中で矢部が藤田に言っていた。
「ホテトル嬢は風呂場で殴り殺されていたらしいっすね」
大磯の声が背後で聞こえた。
「そろそろ、その下手糞な演技はやめなさい」
そんな大磯の声はどこか殺気を帯びていた。
(つづく)
《←目次》《13話へ→》
恵美は沙織の股間から慌てて起き上がると、その小さなお爺ちゃんを唖然と見ながら「もしかして……」と呟いた。
すると、それまで狼狽えていたお爺ちゃんの顔が、急にパッと明るくなった。お爺ちゃんは、少し照れくさそうにコクンっと頷くと、「どうも、どうも、私が大磯大蔵です」と選挙中の政治家のように笑ったのだった。
恵美は目を疑った。この小学生のように小さくて、朗らかなお爺ちゃんが、まさかあの大磯だとは信じられなかった。
しかし、そう呆然としている恵美を優しく見つめるお爺ちゃんの目は、決して笑ってはいなかった。その目は、その性癖を持つ者に共通している狂気の目だった。貪よりと重く、ぴくりとも瞬きせず、そしてギラギラと燃えながら、黒目だけがグルグルと回っていた。
そんな目をした男たちに、今まで散々嬲られて来た恵美にはわかった。その目を持つ男たちは女を人間とは見なしておらず、己の欲望を果たすためなら、何の躊躇も無く平気で惨い事をする狂人だという事を。
それはまさに、己の空腹を満たす為だけに命を奪う肉食獣と同じだった。
恵美がそれに気付いたのは、たまたまスカパーのアニマルプラネットで放映していた『ベンガル虎の晩餐』という番組を見ていた時だった。
腹を空かせた虎が親子の鹿に襲い掛かり、瞬く間に子鹿を射止めた。そして親鹿が見ている目の前で子鹿の腹を噛み千切り、口の回りを血まみれにしながら内臓を貪り食っていた。
それを見ていた恵美は、その時の虎の目と、今まで自分を無惨に犯してきた男たちの目が同じだという事に気付いた。そう思うと、内臓を食い荒らされている子鹿が自分のような気がしてならず、おもわず恵美はその番組を見ながらオナニーをしてしまったのだった。
そんな肉食獣の目を輝かせながら大磯は沙織を見た。
「この子、まだ若いでしょ……」
大磯はそう言いながら、股を開いたまま天井を見つめている沙織の顔を覗き込んだ。
「いくつですか?」
大磯は沙織にそう聞くが、もちろん沙織は表情一つ変えないまま天井の鏡をジッと見つめたままだった。
暫く沙織の顔を覗き込んでいた大磯が、急に恵美に振り返って聞いた。
「この子は聾唖ですか?」
「ろうあ?」
「耳が聞こえず言葉が喋れないという意味です」
恵美は小さく首を傾げながら「多分、そうだと思います……」と答えると、大磯は何故か嬉しそうに微笑みながら「本当かなぁ……」と呟き、もう一度沙織の顔を覗き込んだ。
「麻原君も目が見えないとか言っておきながら、ちゃっかり見えてたからねぇ……私がフィリピンの幼女を紹介してやったら、『若い頃の坂口良子みたいだ』って喜んでたんだから……」
大磯は、独り言のようにそう呟きながら沙織の股間に指を這わせた。そして沙織の表情をジッと監視しながら、そこにピチャピチャといやらしい音を立て始めた。
麻原。確か、さっき車の中で、「大磯先生と教団はズブズブの仲だったみたいですね」と矢部が言っていた。そして、「大磯は教団の道場建設の反対をしながらも、実は教団とは裏で繋がっていたってのは本当ですか」と、どこかのレポーターのように藤田に聞き、藤田に「余計な事は話すな」と一喝されていた。
それを思い出した恵美は、大磯の口から出た麻原という名前から、あの時矢部が言っていた事は本当だったんだと確信した。
激しいスリルを感じた。それほどの悪党なら、本当に私を子鹿のように食い殺してしまうかもしれないと恐怖に襲われ、それと同時に異様なエロスに包まれた。
「演技をしててもすぐにバレちゃいますよ……」
大磯は、沙織にそう笑いかけながらパジャマのズボンを下ろした。そしてそこに巨大な肉棒を突き出すと、「コレを入れられるとね、どんな嘘つき女だって本性を剥き出しにしちゃうんですから」とケラケラと笑い、その焼き芋のようにゴツゴツとした肉棒を自慢げにシゴき始めた。
その真っ黒な皮が上下に動くのを恵美は呆然と見ていた。あんな大きなモノを入れられたら、きっと沙織の膣は張り裂けてしまうだろうと思うと、不意にクラクラと目眩がするほどの興奮を感じた。
そんな恵美の様子に気付いたのか、大磯は静かに恵美に振り向くと、恵美に向かって肉棒を突き出した。
「そちらの綺麗なお姉さん。あなた、もう我慢できないんでしょ。ふふふふふ……ほら、遠慮なさらずに、さ、どうぞ」
たちまち恵美の危機察知能力が激しく警鐘を鳴らした。しかしそれは、普通の人にとっては危機察知の警鐘だが、恵美にとっては快楽への入口に導いてくれる誘導信号であった。
大磯の足下に縋り付き、「あぁぁ……」と声を漏らしながら唇を丸く開いた。それを口一杯に頬張り、その硬さを舌で確かめながらそこに唾液を塗り込んだ。顔ごと上下に動かすと、思いきり開かされた唇と肉棒との隙間で、ぺぷ、ぺぷ、と艶かしい音が鳴った。
「この子も可愛いが、あなたも実に美しい……それにあなたは変態だ。変態の匂いがプンプンと漂っている……美女の変態は特に美しいものです……変態美女と嘘つき娘……ふふふふふ……今夜は久しぶりに愉しめそうですね……」
そんな大磯の声を聞きながら、恵美はそれを激しくしゃぶりまくった。左手を腰に回し、そのまま大磯の肛門を人差し指で弄った。そして右手で睾丸を優しく握り、それをふにゃふにゃと揉みながら、肉棒を唇で激しく擦った。
暫くすると、口内で肉棒がビクンっと跳ね上がった。
大磯は「ほっ」と息を吐くと、素早く恵美の口内から肉棒を抜いた。そして亀頭を恵美に向けながら自らそれをシゴき、恵美の顔に大量の精液を吐き出した。
「あなたがあんまり上手だから、もう出ちゃいましたよ……でも心配しないで下さい、私はずっと勃起してますし、何度でも射精する事ができますから」
そう自慢げに笑う大磯を、眉間からドロリと垂れる精液越しに見つめた。ふと、さっき矢部が車の中で、「あの歳であれだけ元気なのは、やっぱシャブですか。佐川会の若い衆が大磯先生に回してるって噂がありますけど」と、藤田に聞いていたのを思い出した。
反社、シャブ、教団、幼女、殺人。
そんな危険な老人の精液が、今、恵美の顔にナメクジのように這っていた。
恵美は唇を尖らせながらそれをズルズルっと吸い込み、それを舌と硬口蓋で磨り潰しながら、その危険な味を脳に刷り込んだ。
そんな恵美を見下ろしながら、大磯は嬉しそうに笑った。
「後でゆっくりと可愛がってあげますから、シャワーで顔を洗って来なさい」
そう囁く大磯の肉棒は、やはり衰えてはいなかった。これだけ大量の精液を出したというのに、その肉棒は未だ筋肉をピクピクさせていた。
恵美はゆっくりと立ち上がると、バッグの中から化粧ポーチを取り出し、それを持ってバスルームへと向かった。
脱衣場のドアを開けると、その奥にある浴室が不気味な闇を作っていた。昭和チックなモザイクタイル張りの浴室からは、身震いするほどの冷気と強烈なカビ臭が漂って来た。
車の中で矢部が藤田に言っていた。
「ホテトル嬢は風呂場で殴り殺されていたらしいっすね」
大磯の声が背後で聞こえた。
「そろそろ、その下手糞な演技はやめなさい」
そんな大磯の声はどこか殺気を帯びていた。
(つづく)
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スリル13・針地獄
2013/06/13 Thu 00:02
ドン……ドン……
シャワーを終えた恵美は、洗面所の鏡に向かいながらアイラインを引いていた。
あの誰もが恐れる大磯が、あんなに小さなお爺ちゃんだったとは意外だった。それまで恵美が描いていた大磯は、三国志に出て来る暴君・董卓だった。あの弱々しいお爺ちゃんからは全く想像ができなかった。
それでもあのペニスは凄かった。あの獰猛な肉棒を思い出しながら恵美はポーチの中から口紅を摘んだ。そしてあの目。あの冷酷な目は只者ではない、と思いながら真っ赤な口紅を唇に滑らせたのだった。
ドン……ドン……
先ほどから聞こえて来る音が気になった。それは、上階で子供が飛び跳ねているような音だった。マンションではよく聞く音だったが、しかしこの客が誰もいない古びたラブホテルでは、その音は明らかに違和音だった。
胸にバスタオルを巻いた。しかし、思い直してバスタオルを剥ぎ取った。
獣のように犯されたい。
そう思った恵美は、全裸のままドアを開けた。
ドン……ドン……と鳴っていたその音が、いきなり鮮明に聞こえた。
見ると、全裸の老人がベッドの上でゴーゴーを踊っていた。
その痩せこけた老いた背中を見つめながら、何が何だかわからないまま後手でドアを閉めると、背後でドアがガチャっと鳴った。
その音に気付いた大磯がサッと振り返った。
大磯の顔は血まみれだった。そして、振り上げたままの拳も血で真っ赤に染まっていた。
その老人はゴーゴーを踊っていたのではなかった。
その老人は仰向けの沙織に馬乗りになりながら殴っていたのだった。
「この子は困った子です。どれだけ言ってもこの下手糞な演技をやめようとしないんです」
大磯は血飛沫が飛び散った頬を歪め、そう笑った。
沙織の顔は、既に原型がわからないほどに腫れ上がり、まるで『らんちゅう』と呼ばれる金魚のようになっていた。
潰れた鼻からは止めどなく鼻血が流れ、ズタズタに切れた唇からはドス黒い血がドクドクと溢れていた。
しかし、それでも沙織は、呻き声一つあげないまま天井の鏡をジッと見つめていた。あれだけ大きかった目は、腫れてほとんど塞がっていたが、それでもその奥に、身動き一つしない黒目がポツンとあるのが見えた。
「手伝って頂けますか?」
大磯はそう言いながら、突然ベッドの下から荒縄をズルズルと引きずり出した。
いつの間に隠していたのか、そのベッドの下には、おどろおどろしい拷問グッズが沢山押し込まれていたのだった。
命じられるまま、恵美は沙織の両手首に縄を巻いた。
大磯は、ブツブツと独り言を呟きながら、イルカのように美しい沙織の裸体に荒縄を巻き付け、その真っ白な肌に殺伐とした荒縄をギシギシと食い込ませた。
身動きできなくなった沙織を見て満足そうな笑みを浮かべると、突然大磯は黒皮のポーチの中から布団針を一本取り出した。
それは、一般家庭で普通に使われている縫い針よりも、長さも太さも倍ほどある物騒な針だった。
大磯はその針の先で沙織の太ももをチクチクと刺した。そしてパンパンに腫れ上がった沙織の顔を覗き込みながら「痛いですか?」と聞いた。
無反応の沙織にニヤリと微笑んだ大磯は、「それではここはどうですか?」と言いながら沙織の右足を持ち上げ、膝の真裏の柔らかい部分に針先をプスっ刺した。
それでも沙織は眉一つ動かさなかった。
「おかしいですね……ここは刺青でも最も痛い場所だと聞いたんですがね……」
大磯はそう首を傾げながらも、しかしどこか嬉しそうだった。
針をそこに突き刺したまま、再び大磯は黒革のポーチを弄ると、中から手の平サイズのスタンガンを取り出した。
ジジジジッ!
その音だけで恵美は震え上がった。それは小さいながらも、凄まじい勢いで青い電流を弾かせていた。
大磯はニヤニヤと笑いながら、膝の裏に突き刺した針にスタンガンの先をソッとあてた。そしてカサカサの唇をペロリと舌でなぞると、迷う事無く、そこにバチバチバチと音を立てたのだった。
沙織の足はビクンっと飛び跳ね、そのままベッドにドテッと落ちた。
それで沙織が悲鳴でも上げていれば、この状況は変わったかも知れないが、しかし沙織は鼻息一つ漏らさなかった。
「キミはどこまで頑固なんだ!」
いきなりそう叫ぶと、膝の裏に刺さったままの針の頭めがけ、まるで蚊を叩き殺すかのように、パン! と手の平で叩いた。
沙織の膝の裏には、あの太くて長い布団針が、根元まですっぽりと突き刺さっていた。それでも沙織は身動き一つしなかったのだった。
「これは、私に対する挑戦だね」
大磯は、まるで子供のように笑いながら、その巨大な肉棒を沙織の膣に押し付けた。
濡れていない膣にそれが入るわけがなかった。しかし、それでも大磯は強引にそれを突き刺し、そこをメリメリと無惨に引き裂いた。
そこから溢れるドス黒い血を潤滑油にしながら腰を振っていた大磯は、新たな布団針を摘まみ上げると、それをクリトリスに貫通させた。
それでも物足りないのか、沙織の真っ白な腹に五本もの布団針を突き刺し、それを一本一本順番に手の平で叩いていった。
それはまるで豆腐に針を突き刺しているようだった。針は、いとも簡単に沙織の腹の中にスポスポと消えていった。
このままでは沙織は死んでしまう。そう思った瞬間、恵美は失禁してしまった。
するとそれに気付いた大磯は大いに喜び、そのまま沙織の顔を跨ぎなさいと命令した。
逆らえば自分の腹にも針を埋め込まれると恐れた恵美は、水死体のようにブクブクに腫れた沙織の顔を恐る恐る跨ぐと、沙織の顔面にびしゃびしゃと尿を飛び散らせた。
顔面を覆っていた血が流れ落ち、その生々しい顔がみるみる現れて来た。
すると、不意に大磯の腰の動きがぴたりと止まった。
「ちっ」
大磯は、沙織の顔を見ながらそう舌打ちした。
そして再び腰を動かし始めると、沙織を跨いでいる恵美にニヤニヤと笑いかけながら、「もう死んじゃってますよこの子」と、残念そうに呟いた。
それでも大磯は、冷たくなった沙織の股で激しく腰を振っていた。そして「はっ! はっ!」とスタッカートな呼吸を始めると、突然奇怪な奇声をあげ、死体となった沙織の中に果てた。
大磯は「ふーっ……」と息を吐きながらヌポッと肉棒を抜いた。精液と血にまみれたそれをピクピクさせながら、「死ぬ寸前の膣は素晴らしいシマリなんですけどね……残念です、見逃してしまいました」と笑った。
大磯はゆっくりと立ち上がると、肉の塊となった沙織をドスドスと蹴り転がし、そのままベッドの下に落した。そしてしゃがんだままの恵美を突き飛ばし、ベッドに尻餅をついたままの恵美の股間に血まみれの肉棒を突き立てた。
亀頭まではヌルっと滑り込んだが、しかし、あまりにも太い肉棒は真ん中辺りで止まってしまった。
「痛いですか?」
そう耳元で囁く大磯の声に、激しいスリルを感じた恵美は、「奥まで入れて下さい!」と泣き叫んでいた。
それはまさに獣のセックスだった。恵美は何発も何発も顔面を殴打されながら、「もっと! もっと!」と喘いだ。
大磯はそんな恵美の太ももに布団針の先をチクチクと刺し、「コレも奥まで入れてあげましょうか?」と笑った。
その狂気の目に、失神しそうなほどのスリルに襲われた恵美は、無意識のうちに「殺して下さい! 私も殺して下さい!」と叫び、自ら腰を振っていいたのだった。
(つづく)
《←目次》《14話へ→》
シャワーを終えた恵美は、洗面所の鏡に向かいながらアイラインを引いていた。
あの誰もが恐れる大磯が、あんなに小さなお爺ちゃんだったとは意外だった。それまで恵美が描いていた大磯は、三国志に出て来る暴君・董卓だった。あの弱々しいお爺ちゃんからは全く想像ができなかった。
それでもあのペニスは凄かった。あの獰猛な肉棒を思い出しながら恵美はポーチの中から口紅を摘んだ。そしてあの目。あの冷酷な目は只者ではない、と思いながら真っ赤な口紅を唇に滑らせたのだった。
ドン……ドン……
先ほどから聞こえて来る音が気になった。それは、上階で子供が飛び跳ねているような音だった。マンションではよく聞く音だったが、しかしこの客が誰もいない古びたラブホテルでは、その音は明らかに違和音だった。
胸にバスタオルを巻いた。しかし、思い直してバスタオルを剥ぎ取った。
獣のように犯されたい。
そう思った恵美は、全裸のままドアを開けた。
ドン……ドン……と鳴っていたその音が、いきなり鮮明に聞こえた。
見ると、全裸の老人がベッドの上でゴーゴーを踊っていた。
その痩せこけた老いた背中を見つめながら、何が何だかわからないまま後手でドアを閉めると、背後でドアがガチャっと鳴った。
その音に気付いた大磯がサッと振り返った。
大磯の顔は血まみれだった。そして、振り上げたままの拳も血で真っ赤に染まっていた。
その老人はゴーゴーを踊っていたのではなかった。
その老人は仰向けの沙織に馬乗りになりながら殴っていたのだった。
「この子は困った子です。どれだけ言ってもこの下手糞な演技をやめようとしないんです」
大磯は血飛沫が飛び散った頬を歪め、そう笑った。
沙織の顔は、既に原型がわからないほどに腫れ上がり、まるで『らんちゅう』と呼ばれる金魚のようになっていた。
潰れた鼻からは止めどなく鼻血が流れ、ズタズタに切れた唇からはドス黒い血がドクドクと溢れていた。
しかし、それでも沙織は、呻き声一つあげないまま天井の鏡をジッと見つめていた。あれだけ大きかった目は、腫れてほとんど塞がっていたが、それでもその奥に、身動き一つしない黒目がポツンとあるのが見えた。
「手伝って頂けますか?」
大磯はそう言いながら、突然ベッドの下から荒縄をズルズルと引きずり出した。
いつの間に隠していたのか、そのベッドの下には、おどろおどろしい拷問グッズが沢山押し込まれていたのだった。
命じられるまま、恵美は沙織の両手首に縄を巻いた。
大磯は、ブツブツと独り言を呟きながら、イルカのように美しい沙織の裸体に荒縄を巻き付け、その真っ白な肌に殺伐とした荒縄をギシギシと食い込ませた。
身動きできなくなった沙織を見て満足そうな笑みを浮かべると、突然大磯は黒皮のポーチの中から布団針を一本取り出した。
それは、一般家庭で普通に使われている縫い針よりも、長さも太さも倍ほどある物騒な針だった。
大磯はその針の先で沙織の太ももをチクチクと刺した。そしてパンパンに腫れ上がった沙織の顔を覗き込みながら「痛いですか?」と聞いた。
無反応の沙織にニヤリと微笑んだ大磯は、「それではここはどうですか?」と言いながら沙織の右足を持ち上げ、膝の真裏の柔らかい部分に針先をプスっ刺した。
それでも沙織は眉一つ動かさなかった。
「おかしいですね……ここは刺青でも最も痛い場所だと聞いたんですがね……」
大磯はそう首を傾げながらも、しかしどこか嬉しそうだった。
針をそこに突き刺したまま、再び大磯は黒革のポーチを弄ると、中から手の平サイズのスタンガンを取り出した。
ジジジジッ!
その音だけで恵美は震え上がった。それは小さいながらも、凄まじい勢いで青い電流を弾かせていた。
大磯はニヤニヤと笑いながら、膝の裏に突き刺した針にスタンガンの先をソッとあてた。そしてカサカサの唇をペロリと舌でなぞると、迷う事無く、そこにバチバチバチと音を立てたのだった。
沙織の足はビクンっと飛び跳ね、そのままベッドにドテッと落ちた。
それで沙織が悲鳴でも上げていれば、この状況は変わったかも知れないが、しかし沙織は鼻息一つ漏らさなかった。
「キミはどこまで頑固なんだ!」
いきなりそう叫ぶと、膝の裏に刺さったままの針の頭めがけ、まるで蚊を叩き殺すかのように、パン! と手の平で叩いた。
沙織の膝の裏には、あの太くて長い布団針が、根元まですっぽりと突き刺さっていた。それでも沙織は身動き一つしなかったのだった。
「これは、私に対する挑戦だね」
大磯は、まるで子供のように笑いながら、その巨大な肉棒を沙織の膣に押し付けた。
濡れていない膣にそれが入るわけがなかった。しかし、それでも大磯は強引にそれを突き刺し、そこをメリメリと無惨に引き裂いた。
そこから溢れるドス黒い血を潤滑油にしながら腰を振っていた大磯は、新たな布団針を摘まみ上げると、それをクリトリスに貫通させた。
それでも物足りないのか、沙織の真っ白な腹に五本もの布団針を突き刺し、それを一本一本順番に手の平で叩いていった。
それはまるで豆腐に針を突き刺しているようだった。針は、いとも簡単に沙織の腹の中にスポスポと消えていった。
このままでは沙織は死んでしまう。そう思った瞬間、恵美は失禁してしまった。
するとそれに気付いた大磯は大いに喜び、そのまま沙織の顔を跨ぎなさいと命令した。
逆らえば自分の腹にも針を埋め込まれると恐れた恵美は、水死体のようにブクブクに腫れた沙織の顔を恐る恐る跨ぐと、沙織の顔面にびしゃびしゃと尿を飛び散らせた。
顔面を覆っていた血が流れ落ち、その生々しい顔がみるみる現れて来た。
すると、不意に大磯の腰の動きがぴたりと止まった。
「ちっ」
大磯は、沙織の顔を見ながらそう舌打ちした。
そして再び腰を動かし始めると、沙織を跨いでいる恵美にニヤニヤと笑いかけながら、「もう死んじゃってますよこの子」と、残念そうに呟いた。
それでも大磯は、冷たくなった沙織の股で激しく腰を振っていた。そして「はっ! はっ!」とスタッカートな呼吸を始めると、突然奇怪な奇声をあげ、死体となった沙織の中に果てた。
大磯は「ふーっ……」と息を吐きながらヌポッと肉棒を抜いた。精液と血にまみれたそれをピクピクさせながら、「死ぬ寸前の膣は素晴らしいシマリなんですけどね……残念です、見逃してしまいました」と笑った。
大磯はゆっくりと立ち上がると、肉の塊となった沙織をドスドスと蹴り転がし、そのままベッドの下に落した。そしてしゃがんだままの恵美を突き飛ばし、ベッドに尻餅をついたままの恵美の股間に血まみれの肉棒を突き立てた。
亀頭まではヌルっと滑り込んだが、しかし、あまりにも太い肉棒は真ん中辺りで止まってしまった。
「痛いですか?」
そう耳元で囁く大磯の声に、激しいスリルを感じた恵美は、「奥まで入れて下さい!」と泣き叫んでいた。
それはまさに獣のセックスだった。恵美は何発も何発も顔面を殴打されながら、「もっと! もっと!」と喘いだ。
大磯はそんな恵美の太ももに布団針の先をチクチクと刺し、「コレも奥まで入れてあげましょうか?」と笑った。
その狂気の目に、失神しそうなほどのスリルに襲われた恵美は、無意識のうちに「殺して下さい! 私も殺して下さい!」と叫び、自ら腰を振っていいたのだった。
(つづく)
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