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わけあり7

2013/06/15 Sat 00:01


 女の耳に押し当てられたスマホの隙間に指を入れ、コールしている画面のスピーカーを押した。
 静まり返った部屋にプルルルルというコール音が鳴り響くと、それが緊張と興奮を更に昂め、私は女の尻にしがみつきながら軽い目眩を覚えた。
 そんなコールは六度目で途切れた。すぐさまスピーカーから、「はい」という夫の声が聞こえ、それだけで私はイキそうになった。
 女は、必死に声のトーンを変えながら、「私です……」と言った。
 男は同じ声のトーンのまま、「うん」と答えた。
 女は、しどろもどろになりながらも、「……優子と隆は……もう保育園から帰ってきたのかなぁ……」と、まるで独り言のように呟いた。
 すると、一瞬間をおいて、夫が「いきなりどうしたの?」と聞き返した。
 恐らく、いつもはそんな会話をしないのだろう、夫のその声は、明らかに妻を不審がっていた。
 女は戸惑いながらも、「うん……実はね……」と話し始めたが、しかし、何を話すのか事前に考えていなかったため、すぐに言葉を詰まらせた。
 女は頭の中が真っ白になったようだった。「あのね」と「そのね」を何度も繰り返しながら焦っていた。
 そんな女の背後に潜んでいた私は、その隙をついてゆっくりと両膝を立てた。すると、それまでワレメの表面をヌルヌルと泳いでいた肉棒の角度が変わり、亀頭だけが穴の中にヌルッと突き刺さった。

写真28

 いきなり女が、「はぁん!」と声を上げながら、四つん這いの背骨を仰け反らせた。
 すぐに夫が「え?」と言い、「今、何て言った?」と聞き直した。
 焦った女は、「ううん、違うの。ちょっと頭が痛くって……」と答えた。

「またいつもの偏頭痛か?」

「……うん……」

「だから医者に行けって言ってるだろ……」

「うん、だから今、病院に来てるの……」

 女はそう上手く誤魔化した。女は持病らしき偏頭痛に助けられたのだ。

「そんなに酷いのか?」

 そう心配そうに聞く夫の声が聞こえるなり、私はゆっくりと腰を落としてやった。
 ドロドロに濡れた穴の中に、太い肉棒がヌメヌメと沈んでいくと、女は慌ててスマホの送話口を手の平で押さえ、ベッドに顔を押し付けながら「んんんんんん」と唸った。
 そんな女の穴は思っていた以上に狭かった。出産経験が二度もある三十路の風俗嬢にしては珍しく、その穴はまるで肛門のようにキツかった。
 
写真29

 根元まですっぽりと突き刺さった肉棒は、蠢く膣筋にニギニギと締め付けられていた。
 これはすごい名器だと、肉棒を根元まで突き刺したままその具合の良さに目を細めていると、「もしもし! おい! 大丈夫か!」と、慌てた夫の声がスピーカーから響いた。
 女は急いでベッドから顔を上げた。そして大きく息を吸い込むと、「大丈夫、ちょっと目眩がしただけ」と言いながらゆっくり息を吐いた。

「先生には診てもらったのか」

「うん。今、検査の結果待ちなの」

「検査って……いつもの偏頭痛とは違うのか?」

 そう焦る夫に、「うん。私はいつもの偏頭痛だと思うんだけど、でも先生が一応検査しときましょうって……」と、女は最もらしい嘘をついた。
 そんな女の尻を見下ろしながら、(この嘘つき女め……)と思った。
 そう思うと、もっともっとこの女を窮地に追い込んでやりたくなり、女が話している最中に、根元まで突き刺さっていた肉棒をゆっくりと引いてやった。
 穴の筋肉に激しく締め付けられているせいか、肉棒の血管や亀頭のカリ首が膣壁にゴリゴリし、何とも言えない快感が太ももからジワジワと湧き上がってきた。
 当然女も、そんなゴリゴリに快感を得たらしく、話の途中で「んん!」と唸っては、再びベッドに顔を押し付けた。

写真30

「おい! どうした! 大丈夫か!」

 そう怒鳴り立てる夫の声を聞きながら私は腰を振り始めた。
 剥き出した穴の中にズプズプと突き刺さる肉棒は、子宮をガンガンと突いていた。
 女はアレが効いている。しかもここまで焦らされている。
 そんな女は、いつしか握っていたスマホを放り投げていた。両手でシーツを鷲掴みしながら、肉棒がピストンする動きに合わせて、「ハァン! ハァン!」と喘ぎまくっていた。
 放り出されたスマホから、「おい! 大丈夫か!」と叫ぶ夫の声が、ひっきりなしに聞こえてきた。
 それを無視して平気で喘いでいる女の耳元に、「このままだと旦那さんにバレちゃうよ」と囁いてやると、途端に女は「はっ」と我に返り、慌ててスマホを掴んだ。

「ごめんなさい……急に頭がクラクラして……」

 そう女が話す間にも、私はスコスコと腰を振っていた。女は既に潮を吹いたのか大量の汁を垂れ流し、その結合部分からは卑猥な音がグチャグチャと鳴り響いていた。
 女は、声が漏れないよう必死に唇を噛み締めながら、「大丈夫……ちょっと休んでればすぐに良くなるから……」と言った。しかし、それでも夫は心配なのか、「先生はいないのか! そこに先生か看護婦はいないのか!」と叫んだ。
 そんな夫の言葉に、すかさず私は肉棒を抜いた。そして、素早く女の手からスマホを奪い取ると、愕然としている女を不敵な笑顔で見下ろしながら、スマホを耳に当てた。

「もしもし、お電話かわりました医師の滝沢と申します」

 そう言うと、夫は少し安心したように、「ああ、先生ですか」と声を和らげた。

「妻は大丈夫なんでしょうか」

「はい。さっきCT検査をしまして、今はその結果待ちですので何とも申し上げられませんが、かなり頭痛が激しいようでしてね……」

「何とかならないでしょうか先生!」

「ええ、ですから今、鎮痛剤を用意したんですけどね……」

「お願いします。すぐに打ってやってください」

「うん。ただね、この鎮痛剤は相当強い薬でしてね、一時的に脳を麻痺させて痛みを抑えるという危険なものなんですよ」

「…………」

「頭痛は瞬間で消えるんですけど、その後に多少の副作用が——」

「——どんな副作用ですか」

「ええ、まぁ、食欲が激減したり、二、三日は歩行が困難になったりという程度なんですけどね」

「結構です。すぐに打ってやってください」

「あと、この鎮痛剤は膣から注入する座薬ですので、もし奥さんが妊娠してますと流産の恐れがあります。現在、奥さんは、妊娠していたり、その可能性というのはございますか?」

「いえ、妊娠してません」

「その可能性は?」

「可能性と申しますと……」

「最近、膣内射精はしましたか?」

「いえ」

「性交時に避妊具を使用してるんですか?」

「いえ、使ってません……使ってませんけど、ただ、ここ最近はずっと、その、性行為はしてなくて……」

「ずっとと申しますと、どれくらいの期間ですか? もしかしたら知らないうちに受精している可能性もございますので、詳しく教えてください」

「いや、それは大丈夫です。もう一年以上はしてませんから」

「一年以上ですか……それはまずいなぁ……」

「え?……何か問題があるんですか?」

「ええ。実はですね、うちの病院には、その鎮痛剤を注入する器具が旧式の物しか置いてないんですよ。頻繁に使用するものではありませんからね……」

「はぁ……」

「その旧式の器具は、五百ミリリットルのペットボトルくらいあるんですけどね、そんな大きな器具を膣の奥まで入れて、鎮痛剤をゆっくり注入しなければならないんです。ですから、一年以上も性行為がないとなると膣の筋肉が硬くなっていますから、それがスムーズに入るかどうかが……

「…………」

「もし、どうしても入らないという場合には、筋弛緩剤で膣の筋肉を緩めるという方法もあるんですが、しかし、鎮痛剤と筋弛緩剤を同時に使用するとなると、その後の副作用が心配でしてね……」

 馬鹿な話だった。これが本当なら、一年以上セックスしていない女は出産できないという事になるのだが、しかし、不安に駆られていた夫は、そんな矛盾には全く気づいていなかった。

「この器具で鎮痛剤を注入するとなりますと、奥さんは大変苦しい思いをするかと思います。旦那さんがそれでもよろしいというのであれば……」

 わざとらしくも、恐る恐るそう聞いた。
 すると夫は、突然声を低め、「背に腹は代えられません。まずは、その頭痛を取り除いてやることが先決です」と、まるで何かを決意した武士のように呟いた。
 バカかこいつは、と思いながらも、「それでは、鎮痛剤を注入しますからね」と私はペニスを握った。
「よろしくお願いします」と言う夫に、「このまま電話を切らないで、何か奥さんと話してやっててください、気が紛れると思いますから」と言ってやると、夫は半泣きになりながら、「わかりました」と声を震わせた。
 どこまでもバカな夫だ。

 スマホを女に渡し、その耳元に、「セックスしている間、ずっと旦那と喋ってろ。絶対に電話を切るんじゃないぞ」と念を押した。
 すると女は、素直にコクリと頷きながら、ソッとスマホを耳にあてた。
 そんな女を見下ろしながら再び女の尻肉を両手で開いた。そしてベロリと口を開いたドロドロの穴の中に亀頭をツルンっと滑らせ、そのまま肉棒を根元までヌーっと潜り込ませてやったのだった。
 
写真31

 まるで深い谷底に落ちていくかのように、女は、「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」と長く叫んだ。
 そんな叫び声の中に、「大丈夫だぞ! 少しの辛抱だぞ! 頑張れ!」という夫の声が混じり、まるで『立ち会い出産』のような雰囲気になってしまった。
 こんな雰囲気では燃えないと思い、私は慌てて女の手からスマホを奪い取った。

「変に励まさないでください。頑張れとか辛抱しろとか言うと、逆にそこに神経が集中して余計痛くなってしまうものです。ですから、お子さんの話とか、今夜の夕飯の話とか、普通の会話をしてやってください」

 そう言ってやると、すぐにスマホのスピーカーから、「了解しました!」という軍隊のような返事が響いた。
 そのまま腰を振り始めた。ゆっくりとピストンする肉棒には透明汁がネトネトと糸を引き、ピタッ、ピタッ、と粘着性のある音を鳴らした。
 そんな結合部分にスマホを近づけ、その卑猥な音をバカ夫に聞かせてやった。しかし、まさかその音が他人男のペニスが奏でている音だとは夢にも思っていない夫は、「優子はね、今、一人で大人しくアンパンマンのぬり絵をやってるよ……」などと話していた。

 スマホを女に手渡し、「話をしろ」と言った。女がそれを耳にあて、「あなた……」と言うなり、凄まじい勢いで腰をガンガンと振りまくってやった。

写真32

 パン、パン、パン、と尻肉が炸裂する音と、それに合わせて「あん、あん、あん」と喘ぐ女の声が部屋に響いた。
 それでも夫は必死に冷静さを装いながら、「隆は、また保育園でいじめられたらしいよ。早く自転車を買ってやらないと可哀想だね……」などと話していた。
 しかし、アレが効いている妻には、そんな夫の言葉は、もはや耳には入って来なかった。止まることなく襲い掛かってくる快感に狂わされ、妻や母という立場を忘れてしまった女は、もはや獣のように喘ぎまくっていた。

「イキます! またイっちゃいます!」

 そう泣き出しながら女が叫んだ。さすがに動揺したのか、夫は、「行くってどこに!」と叫び返した。

 そんな夫の声を聞きながら、その夫の妻を陵辱していた。
 凄まじい背徳感が凄まじい性的興奮を呼び起こし、思わず私も、「中で出すぞ!」と叫んでしまった。
 すると、女は一瞬真顔に戻り、慌てて私に振り向いた。

「やめて! 今は排卵日なんです!」

 その緊迫した表情が、私のS心を激しく刺激した。
 そんな女の顔を見ながら、「全部、旦那に聞こえてるぞ」とニヤリと微笑んだ。
 一瞬、「はっ!」と我に返った女だったが、しかし、私の腰が更に激しく動き始めると、すぐさま女は獣に戻り、再び卑猥な悲鳴を上げ始めた。
 いつの間にか放り捨てられたスマホから、「マミ! マミ!」と必死に妻の名を叫ぶ夫の声がひっきりなしに響いていた。
 そんな夫の悲痛な叫びを聞きながら、私は、穴の中にズブズブとペニスを突き刺したまま、ゆっくりとベッドに寝そべった。ペニスを挿入したまま仰向けに寝転がると、いつしか後背位から背面騎乗位の体勢に変わっていた。
 寝転がった私の腰の動きが弱まると、すぐさま女の尻が上下に激しく動き始めた。
 そんな女の尻を撫でながら、「あんまり激しく動かすと、中で出ちゃうぞ……」と囁くと、女はそれを無視して更に激しく尻を振ってきた。

「おい! マミ! 大丈夫なのか!」

 ベッドの隅に転がっていたスマホから夫の声が響いた。

「旦那さん、可哀想じゃないか。何とか言ってやれよ」

 そう言いながら女の前にスマホを放り投げてやると、女はユッサユッサと尻を振りながら、「もう大丈夫よ……あなた……」と言った。

「大丈夫のか? もうその鎮痛剤を入れるのは終わったのか?」

 ホッとした声で夫がそう聞くと、女は長い髪を妖艶に揺らしながら、「まだよ……今、やっと膣の中に……器具が入ったの……だから……これからそれを注入するの……」と、途切れ途切れに答えた。そう答えながらも、女は自ら尻を動かし、膣に肉棒をヌポヌポと出し入れしていた。
 夫は半泣きになりながら、「その注入ってのは痛くないのか……」と聞いた。
 
「わかんない……だけど、きっと痛いと思う……」

 そう女が答えると同時に、私は、わざと夫に聞こえるほどの大きな声で、「それじゃあ、そろそろ中に出しますよ」と言った。
 それに合わせて、「だ、大丈夫かマミ!」と夫が叫ぶと、いきなり女の尻の動きが激しく動き出し、女は狂ったように、「あなた! あなた!」と喘ぎ始めた。
 そんな女の尻を見ながら、私は、「イクぞ……中で出すぞ……」と囁くと、揺れ動くその大きな尻を思い切り引っ叩いた。
 ピシャン! という乾いた音が鳴り響くと同時に、私の尿道にゾクゾクとしたものが走った。
 穴の中にすっぽりと飲み込まれたペニスはドクンドクンと激しく脈を打ち、そこに大量の精液を吐き出したのだった。

写真33

 大きな尻肉をタプタプと上下に振っていた女は射精に気づいた。
 ドクドクと注入される精液の感触に興奮したのか、女は激しく悶えながら狂ったように腰を振りまくった。
 夫は必死に「マミ! マミ!」と叫びまくっていた。そんな夫に強烈な背徳感と罪悪感を感じたのだろう、突然女は、「ごめんなさい! ごめんなさい!」と泣き出した。そして、射精するペニスが結合したままの状態で、大量の小便を漏らしたのだった。

 私と女は、ほぼ同時に絶頂に達した。
 ゆっくりとペニスを抜くと、同時に、そこに溜まっていた精液がドロッと垂れた。それはまるで、『妖怪人間ベム』のオープニングのワンシーンのようであり、なんとも薄気味悪く感じた。
 アレが効いているせいか、女はまだまだ欲しそうだった。
 しかし、全ての欲望を放出してしまった私には全くその気はなく、未だ尻を突き出しながら肉棒を欲しがっているこの中年女が気持ち悪くてしょうがなかった。

 静まり返ったベッドでは、スマホから聞こえる夫の声だけが痛々しく響いていた。
 私は、溜め息混じりにそのスマホを手に取ると、「注入は無事に終了しましたからもう安心ですよ」と言ってやり、飲みかけのコーラを乾いた喉にゴクゴクと流し込んだ。

「先生、ありがとうございます」

 泣き出さんばかりの声で夫はそう言っていたが、しかし、アレが効いている女は未だ四つん這いで尻を突き出し、その尻を私に向けて大きく開きながら精液で汚れた陰部をヒクヒクさせていた。

「まだ欲しいのか?」

 そう聞くと、女は自分でクリトリスを弄りながら、「もっとしてください」と声を震わせた。

 アレに堕ちてしまった女ほど見苦しいものはなかった。アレに堕ちてしまうと、理性もプライドも消え失せ、その欲望を得るためなら泥水さえも平気で啜るのだ。
 そんな女に興味はなかった。例えワケあり女であれ、それなりの自尊心がなければ嬲る面白みがないのだ。

 気怠い溜息を吐いた私は、ふと、飲みかけのコーラのペットボトルの先を、ドロドロに汚れた陰部に突きつけてみた。
 すかさず女は「ハァン」と息を吐き、その尻をビクンっと跳ね上げた。
 それを穴の中にグニョグニョと押し込み、突き刺さったペットボトルの底を指でユッサユッサと揺らしてやった。
 すると女が「あぁぁ、あぁぁ」と激しく悶え始めたため、その声が聞こえたのか、再び不安に駆られた夫が、「先生! ど、どうしたんですか!」と慌てて聞いてきた。

「ああ、心配いりませんよ、ただの膣洗浄です。膣に溜まっている残液を炭酸水で洗い流してるだけですから心配しないでください」

 そう答えながらペットボトルの底を指でクイッと持ち上げると、真っ黒なコーラがドクドクと膣の中に流れ込んでいくのが見えた。

写真34

 たちまち結合部分から黄金色の泡が溢れ出した。
 それがシャワシャワしながらシーツの上にボタボタと落ちると、ふと、コーラで洗浄すれば避妊できるという一昔前の都市伝説を思い出した。

 女は悶えていた。炭酸に粘膜を刺激されながら身悶えていた。
 夫は不安に駆られていた。妻の悲痛な喘ぎ声を聞かされ、「先生、大丈夫ですか」と何度も聞きながら半泣きになっていた。
 私はぼんやりとしていた。シーツに落ちる不浄な泡をジッと見つめながら、明日の遠足は雨が降らなければいいがと思っていた……






 ふと気がつくと、けたたましいサイレンの音と共に、「三十代男性、全身打撲、意識はありません」という声が耳に飛び込んできた。
 目を開けようしたが、パンパンに腫れた瞼はほんの微かに開くだけだった。喋ろうとしても、ボコボコに腫れた唇は思うように動いてくれなかった。
 微かに開いた目に、白いヘルメットを被った男がぼんやりと見えた。男は、運転席に向かって「奈良中央病院が受け入れてくれましたぁ〜」と告げていた。それは、近所のラーメン店のバイト学生が、厨房の親父に向かって、「担々麺入りましたぁ〜」と言うのと同じ発音だった。

 ピッ、ピッ、ピッ、という医療ドラマでよく耳にする音が真横で鳴っていた。その音を聞きながら、あれだけ殴られてよく生きてたなぁ、と思った。
 男たちは明らかにヤクザだった。どうやってホテルの部屋の合鍵を手に入れたのかわからないが、コーラのペットボトルが突き刺さったままの女の肛門に、ペニスをズブッと挿入した瞬間、三人の獰猛な男達がいきなり部屋に突入してきた。
 あっという間の出来事だった。ドアが開き、男達が雪崩れ込み、「誰!」と叫ぶと同時に後頭部に重たい衝撃を受け、一瞬にして目の前が真っ暗になった。
 朦朧とする意識の中、ドカドカと無数の拳を喰らわされた。不思議な事に全く痛くはなかったが、しかし、その恐怖は半端ではなかった。
 遠くの方で「大丈夫か!」という男の声が聞こえ、それと同時に女の泣き叫ぶ声が聞こえた。
 誰かが「トランクに入れまっか」と言うと、また別の誰かが「このまま放っとけ」と言った。すると誰かが「この変態がぁ」と言いながら私の後頭部を革靴の踵でガンッ! と踏みつけ、そして誰かの「行くぞ」という声と共に私の意識は完全に飛んだのだった。

 ピーポーピーポーとけたたましく鳴り響くサイレンの中、ヘルメットの男が呟いた。

「ホテルの人が言うてましたけど、こいつ、デリヘル呼んどったらしいですわ」

 すると運転席から、「どうせ女に悪さしてヤー公にやられたんやろな」という声が返ってきた。

「でしょうね、バッグの中からシャブが発見されたって警察の人が言うてましたから」

「薬物反応は出てんのか?」

「いえ、気持ち悪いから検査してませんわ」

 酸素マスクが被せられた鼻が異常に痒かった。
 しかし、手が動かないため鼻を掻くことはできなかった。
 ヘルメットの男がケラケラと笑った。「チンポの先にウ○コが付いとるわ」と関西弁で笑った。
 思わず私も笑っていた。
 酸素マスクの中でケラケラと笑っていた。
 
「こいつ、笑うとるわ!」

 ヘルメットの男が驚いた。
 それでもケラケラ笑っていると、いきなりヘルメットの男が、「なに笑うとんねんチンポのカスがぁ」と、ストレッチャーの足をガン! と蹴飛ばしたのだった。

(わけあり・完)

《←目次》

変態

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