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せんずり電話3

2013/06/15 Sat 00:02


 センズリ電話は、その電話を切るタイミングが最も難しかった。
 それは、相手がいつ電話を切ってしまうかわからないからだった。
 センズリ電話というのは、あらかじめ交渉していた相手と電話を通じてプレイするようなテレホンセックスとはわけが違った。
 何も知らない相手に不意打ちに電話をかけ、一方的に猥褻な言葉を吐き、そしてさっさと射精してしまうという、実に陰気で実に悪質な犯罪行為だった。
 だから、すぐに電話を切られてしまう恐れがあった。
 だから、電話を切るタイミングが最も重要だった。
 そのタイミングを一歩間違えると、プープーっという切断音を聞きながら射精しなければならず、その精液と興奮の全てを台無しになってしまうのであった。

 その点、この女は脈があった。
 電話を切る気配は全く感じられず、じっと息を潜めながら、私の『ひとりよがり』を聞いてくれているのだ。
 最も、この女は元々そういう女なのだ。見ず知らずの客に、濡れた陰部を見せつけてくるような変態性欲者なのだ。
 そんな女は電話を切らない。
 私はそう確信していたため、いつものセンズリ電話のように早々と射精せず、じっくりとタイミングを見計らってゆっくりと射精しようと、余裕をかましていたのだった。

「奥さん……ハァハァ……今、私の舌が、奥さんの肛門の中にヌルヌルと入ってますよ……」

 女は黙っていた。黙ってはいるが、しかし、女の鼻息は微かに感じ取れた。

「ああああ……オマンコがもうビチャビチャですよ……真っ赤な穴の中からいやらしい汁がトロトロと溢れてますよ……」

 私はペニスをシゴきながらそう唸ると、素早くスマホを肩に挟み、コンビニの袋が置いてあるサイドボードに手を伸ばしたのだった。

 ガサガサとコンビニの袋を漁り、中から夕食用に買っておいた『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』を取り出した。

「オマンコの中にも舌を入れて欲しいですか……ヌルヌルの穴の中を舌でドロドロに掻き回して欲しいですか……」

 そう言いながら寿司の蓋をカパッと開けた。マグロの握りのマグロだけをシャリから捲り取り、それを二つ折りにすると真っ赤な割れ目が出来上がった。
 それを二つの枕の間に挟み、割れ目を上に向けてしっかりと固定した。そのままうつ伏せになり、そこにゆっくりと顔を近づけながら、「オマンコを舐めますよ……」とスマホに囁いた。
 舌先をチロチロ動かしながら割れ目をこじ開けた。少々生臭かったが、それがよりリアルだった。その舌触りも、かなり小陰唇に近いものがあった。
 それをベロベロと舐めながら、うつ伏せでペニスをシゴいた。「奥さんのビラビラが……」とか、「あああ生臭い……」などと呟きながら、本当にあの女の、あの濡れた陰部をペロペロと舐めているシーンを、必死に頭に描いていた。

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 そんな割れ目に舌を強引にねじ込むと、二つ折りにされていたマグロがサクッと割れた。
 勿体ないからそのまま食べた。醤油をつけていないため少々血生臭かったが、それを奥歯でくちゃくちゃと咀嚼しながら再び仰向けになった。

「奥さん。今度は私のペニスを舐めてもらえますかね……」

 そう言いながら再び『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』に手を伸ばし、イカの握りのイカだけをシャリから捲り取った。
 しかし、その真っ白なイカはパサパサに乾いていたため、このままでは使い物にならないと思い、一度口内に入れて唾液で湿らせることにした。
 ツルツルとしたイカの表面に舌を滑らせながら、「奥さん……もう我慢できません……早く、ビンビンに勃起した私のペニスをしゃぶって下さい……」などと囁き、唾液でべっとりと濡れたイカを口からヌルっと取り出した。

「あああ……奥さんの口の中……とっても温かいですよ……」

 そう囁きながら、イカを亀頭にペタリとくっ付けた。そしてそれをカリ首の裏や尿道にヌルヌルと滑らせながら、「ああああ、そんなところまでペロペロされたらイッちゃいそうです」などと悶えていると、突然スマホから、「あのぅ……」という男の野太い声が聞こえ、驚いて飛び起きた私は、一瞬にして現実へと引き戻されたのだった。

(しまった……やはりさっきのマグロクンニの時点で射精しとくべきだった……)

 そう顔を顰めながら後悔していると、いきなり男が、「さっきのお客さんですよね?」と聞いてきた。
 答えられなかった。声が出なかった。いつからこの男は私の話を聞いていたのだろうかと思うと、あまりの恥ずかしさと恐怖で脳が固まってしまったのだ。
 私は息を殺しながら、そのまま何も答えず黙っていた。すると男は、「やっぱりさっきまで店にいた方ですね」と勝手に決めつけ、意味ありげに「ふっ」と鼻で笑った。
 その、人を小馬鹿にしたような鼻笑いに、一瞬、(この野郎……警察に通報する気か?)と焦ったが、しかし男は、そんな鼻笑いを小刻みに続けながら、「どうでしたか妻のアソコは。興奮しましたか?」と言い出したのだった。

 男のその言葉により状況が急展開した。
 やはりあいつらは夫婦であり、そして変態だった。あのノーブラや陰部の露出はあの女が勝手にやっていたことではなく、夫であるこの男の指示により女がやらされていたに違いなかった。
 そう確信した私は、とりあえず警察に通報される事はないだろうとひとまず安心し、羞恥と恐怖で固まっていた脳をゆっくりと和らげた。
 それでもそのまま黙ったままでいると、男は、一人静かにボソボソと語り始めた。

「この女は色情狂なんですよ……いつでもどこでも誰の肉棒でも欲しがるという厄介な病気なんです……」

 その内容はともかく、ここでわざわざ『肉棒』などという言葉を使うところが実に胡散臭かった。そんな言葉が普通に出てくるという事は、今までにもコレ系のプレイを相当熟してきているという証拠であり、その言葉から私は、この夫婦は熟練した『寝取られマニア』だと感じ取った。

「実はね、今も私の肉棒にしゃぶりついているんですよ……あなたが、『私のペニスをしゃぶって下さい』なんて言うもんですから、妻は欲情してしまいましてね……ほら、聞こえますか? 肉棒をしゃぶるいやらしい音が聞こえるでしょ?」

 男は受話器をそこに向けたのか、いきなりスマホから、べちょ、ぶちょ、という卑猥な音が聞こえてきた。
 子供の頃から幾度となくセンズリ電話をしてきた私だったが、しかしこんなことは初めてだった。まさかセンズリ電話で、生のフェラチオの音を聞けるとは思っていなかった。
 クラクラと目眩を感じるほどに興奮した私は、その音に合わせてイカを亀頭にヌルヌルと滑らせた。そして、営業中のカウンターの裏で、マスターのペニスをしゃぶりまくっている女の姿を想像した。

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 いくら男が話しかけてきても、私は何も喋らなかった。無言で妄想しながらシコシコとシゴいていた。
 だから男は一方的に話していた。今、女の舌がどのように蠢いているとか、しゃがんだ女の股間から見える陰部はどうなっているかなど、まるで解説者のように事細かく教えてくれた。
 そんな中、不意に男の、「よし……もういいぞ……」という声が聞こえた。それと同時に、まるで排水溝に溜まった水が消える瞬間のような音が響き、いかに女が激しくバキュームしていたかを物語っていた。

「入れて欲しいか?」

 男は女にそう聞いた。
 女の返答は何も聞こえなかったが、しかしその直後に、「それじゃあ、そこに手をついて尻を突き出せ」という男の声が聞こえてきたため、女がそれを望んでいるのがわかった。
 そこに手をつけ、というのは、恐らく私に陰部を露出していたレジカウンターだった。確かあの台の上には電話が置いてあったため、その台に間違いなかった。
 という事は、二人は店の入り口でセックスをする気なのだ。

(客は、誰もいないのだろうか……)

 そう心配していると、いきなり男が「もしもし」と言った。

「今ね、肉棒をしゃぶらせてたんですけどね、だけどこいつ、オマンコの汁を床にポタポタと垂らすくらい興奮しちゃってるんですよ。だからね、そろそろ入れてやろうと思うんですけど、どう思います?」

 なぜか男は私にそう聞いてきた。
 それでも私が黙っていると、男は、「あれ? 切られたのかな? もしもし? 聞いてますか?」と焦りながら確認してきた。
 ここで電話を切られてはまずいと思った私は、慌てて「聞いてます」と答えた。

「ああ、まだ繋がってた、よかったよかった」

 そう笑う男は、私が初めて応えたことに実に満足そうだった。

「もう肉棒を入れちゃいますね。スカートもパンツも脱がせて、下半身だけスッポンポンにして、バコバコに犯してやりますわ」

 そう言いながら男がガサゴソし始めると、私は恐る恐る「あのぅ……」と口を開いた。

「……その場所って……もしかして、入口にあるレジカウンターの裏ですか?……」

「そうです。さっきあなたが妻のオマンコを見てた所です」

「……そんな所でヤッて、大丈夫なんですか?……」

「大丈夫ですよ。いつもここでヤッてますから」

 男がそう笑うと、不意にその笑い声の背後で、女が「はあぁぁぁぁ……」と深い息を吐くのが聞こえた。

「ははは。マンコに亀頭を擦り付けただけで失禁しちゃってますよ……ホント、こいつは変態なんですよ、この店の常連さんたちも、みんなそう言ってますわ」

 みんながそう言っているということは、その常連たちは、既にあの女とヤッてしまっているという事だった。
 それが事実なら、この夫婦はとんでもない変態だと驚きながらも、私は、偶然にもこの出張の地で、こんな素敵な変態夫婦を発見できた事に激しい喜びを感じていた。

「それじゃあ入れますから、妻に電話を渡しますね。ちゃんと、さっきみたいにエッチな事を言ってやって下さいよ、その方が妻も私も燃えますから」

 男はそう言うと、すぐさま受話器を女に渡したらしく、スマホから、女の荒い呼吸が聞こえてきた。

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 最初のうちは、ハァ、ハァ、という荒い呼吸音だけが聞こえたが、しかし途中からは、それが、「あん! あん!」という激しい喘ぎ声に変わってきた。
 そんな声に興奮した私は、さっそく「気持ちいいですか? 旦那さんのペニスは気持ちいいですか?」と聞いてみた。
 女は、男の腰の動きに合わせながら「ふん、ふん」と切なく鼻を鳴らすと、蚊の鳴くような声で「気持ちいいです……」と答えた。そして、そう答えると同時に、「もっと! もっとエッチなこと言って下さい!」と、まるで気でも狂ったかのように叫び始めた。
 そんな叫び声に挑発された私も、狂ったようにペニスをシゴきまくった。

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「あなたは変態です……他人に性器を見せつけたり、セックスの声を他人に聞かせてヨガリまくっているあなたは変態性欲者です……ほら変態女、私のペニスもしゃぶりたいですか?」

「しゃぶりたい……お客さんのオチンチンしゃぶりたい……しゃぶらせて下さい」

「ならば口を開けなさい……ほら、入りましたよ……あぁぁぁぁ……もっと奥まで咥えなさい、根元まで咥えなさい、そしてその可愛い唇でペニスを擦るんです、ほら、もっと顔を動かして」

「んぐっ……んぐっ……」

 女は、ペニスの代用品らしき物を実際にしゃぶっているのか、そう喉を鳴らしながら、じゅぽっ、じゅぽっ、と、リアルな唾液音を奏でた。
 そんな唾液音に混じって、男の、「いいぞ……もっともっとしゃぶってあげなさい」という声が聞こえた。その背後では、男の太ももと女の尻が激しくぶつかり合う衝撃音が、パン、パン、パン、と、ひっきりなしに響いていた。それらの卑猥な音を聞きながらペニスをシゴいていると、この男と二人して、その妻を串刺しにしている姿が鮮明に浮かびあがり、何やら本当にこの夫婦と交わっているような感じがしてきた。
 
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(ヤってみたい……リアルでこんな変態夫婦とドロドロに交わりあってみたい……)

 突然私は、そんな期待を抱き始めた。
 今まで私は、自称人妻の風俗嬢とは何十人となくプレイしてきたが、しかし、素人の人妻とは一度も交わった事がなかった。三人プレイも未経験で、ましてやその相手が夫婦で、その旦那と一緒に妻を攻めるなど想像すらしたことがなかった。
 もともと私は陰湿な性格をしており、悪戯電話で一人シコシコと性欲を発散したり、コンビニや電車の中で手当たり次第に女を視姦しては、後にセンズリのネタにするような、そんな小心者の変態男だった。
 そんな私が複数プレイなどできるはずがなかった。ましてや夫の目の前で、その妻を寝取ることなどできるわけがないのだ。
 が、しかし、今は違った。こうして電話で三人プレイをしていたら、この夫婦とならできるかもしれないという、変な自信が湧いてきたのだ。

(誘ってみるか……今から三人で会いませんかと言ってみるか……)

 そう思いながら、スマホの向こうで「はぁん! はぁん!」と喘いでいる女の声を聞いていた。どのタイミングで誘おうか、どうやって誘おうかと、焦燥感に駆られながらペニスを激しくシゴいていた。

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 しかし私は、所詮、小心者で根暗で陰湿な変態男だった。
 センズリ電話や視姦だけで満足できる妄想狂だった。
 実際に、「今から三人で会いませんか」と、そう誘った時の事を考えるだけで、もはや強烈なエクスタシーに包まれてしまっていた。

 と、その時、不意にスマホから女の喘ぎ声が消え、代わりに男の激しい息づかいがハァハァと聞こえてきた。
 男は、荒い呼吸と共に、「もしもし……」と言った。

「どうですか……今から三人で会いませんか……」

 男のその言葉に胸が飛び跳ねた。

「僕と一緒に……妻を犯しませんか……」

 男のその言葉と共に、女のプリプリとした胸やムッチリとした尻、そしてあのパックリと口を開きながらテラテラと輝いていた赤黒い性器が鮮明に蘇ってきた。

「ホテルにしますか……それとも店でヤリますか……どっちでもいいですよ……」

 あの店のカウンターの中で、女の大きな尻にスコスコと腰を振っている自分の姿が浮かび上がってきた。

「もし、僕の事が気になるのなら妻だけでもいいですよ……場所を言ってもらえれば、妻を一人でそこに行かせますから……」

 あの女をこの部屋に呼ぶ。
 あの女をこのベッドの上で滅茶苦茶に犯す。

「中出ししても構いませんよ……こいつ、肉便器ですから……」

 そう男が笑った瞬間、あの女の腹の上で、両足をピクピクと引き攣らせながら中出ししている自分の姿が浮かんだ。
 それと同時に、シゴいていたペニスの尿道がドクンっと波を打った。
 あっ、という小さな叫びと共に、ペニスの先から大量の精液が凄まじい勢いでビュッ!と吹き出した。

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 その精液は、ビュッ! ビュッ! ビュッ! と三回吹き出した。
 それに合わせて、ハウッ! ハウッ! ハウッ! と、まるでトドのような呻き声を上げた。
 痺れるような快感に脳をぐるぐるさせていた私は、気がつくと唇の端から大量の涎を垂らしていた。

「ウチの店のすぐ近くに、『ラヴィアンローズ』ってラブホがあるんですけど、そこでどうですか? そこにSMの部屋がありますから、そこで妻を虐めてやってくださいよ」

 男はまだ話し続けていた。
 私がそれを妄想しただけで放出してしまったことなど知らず、男は必死に私を誘っていた。

 所詮私は、小心者で根暗で陰湿な変態男だった。
 センズリ電話や視姦だけで満足できる妄想狂だった。

 話し続ける男を無視し、そのまま静かに電話を切った。
 ふーっ……と溜息をつきながらゆっくりと起き上がり、陰毛に絡みつくドロドロの精液をティッシュで拭き取った。
 どこかで救急車のサイレンが鳴っていた。
 遠ざかっていくサイレンの音を聞きながら、丸めたティッシュを屑篭に投げた。しかしティッシュは壁に当たり、そのままカーペットの上をコロコロと転がった。
 ふと見ると、サイドテーブルの上に、夕食用に買っておいた寿司がそのまま放置されていた。
 既に寿司ネタはカピカピに乾いており、とてもではないが食べられるような状態ではなかった。
 それを恨めしそうに見つめながらベッドを降りた。
 そのまま浴室へと向かった。安いカーペットにスリッパをヒタヒタ鳴らしながら、「勿体ないことしたな……」と呟いた。
 もちろんそれは、寿司の事ではなく、あの女の事だった。

(せんずり電話・完)

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