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スリル8・初めての客

2013/06/13 Thu 00:02

 その部屋は、だだ広い洋室の隅に、八畳の小上がりの座敷がある和洋室だった。
 初めての客は、四十代のスーツを着た背の高い男だった。
 ほどよく白髪が交じった髪と、高そうなスーツ、そして映画俳優のように整った顔には変態とは思えぬ上品さが漂っていた。
 ベッドの端に腰掛けながら薔薇の香りのする煙草を燻らせていた男は、入口に突っ立ったままの恵美を優しく見つめながら、「貴女のような美しい方が来てくれるとは思わなかった」と微笑んだ。
 男は、まるでテレビドラマに出て来る一流企業の重役のようだったが、しかし恵美は、そんな男の姿にどこか違和感を感じていた。この部屋に入った時から何か変だと感じていた。
 それは、「おいくつですか?」と、恵美に尋ねながら、男が座敷に上がった時にふと気付いた。
 なんと男は靴を履いたままだった。ピカピカに輝く革靴を履いたまま、男は畳の上に立っていたのだった。
「二十五歳です」
 そう答える恵美を、男は小上がりの座敷から見下ろしていた。口元はニヤニヤと笑っていたが、しかしその目はカミソリのように尖り、異様な輝きを放っていた。
 そんな視線に唯ならぬスリルを感じながらも、恵美はマニュアル通りにシステムの説明を始めた。
 六〇分四万円、九〇分五万円、一二〇分六万円。
 サラマンドラの料金は、一般的なデリヘルの相場に比べて遥かに高額だった。それは、女の質が良いからではなく、特別なサービスをしてくれるからでもなかった。
 サラマンドラは、基本的に女に何をしても良かった。本番はもちろんの事、中出し、アナルセックス、SMプレイ等々、女を性奴隷のように好きなように扱う事ができた。だから高額なのである。
 但し、殺人はNGだった。自殺させてもいけなかった。縄の跡や鞭の跡といった『消える傷』は無料だったが、しかし、刃物で斬ったり煙草の焼きを入れるような『消えない傷』を付けたい場合は、それなりの別料金を払わなければならなかった。
 そんな説明を終えると、男はスーツの内ポケットから黒い財布を取り出し、「とりあえずこれだけ渡しておきます」と、十万円を差し出して来た。
 それが安いのか高いのか恵美にはわからなかった。しかし今の恵美にとってお金などどうでもよかった。お金よりもスリルを求めていた恵美は、ただただ疼くこの気持ちを和らげてさえくれればそれで良かったのだった。
 さっそく恵美は畳の上に引きずり倒された。
 今までジェントルマンだった男の顔は醜く歪み、まるでバットマンに出て来る悪役のような顔になっていた。
 革靴の先で蹴られ、畳の上をゴロゴロと転がされ、スカートから零れた太ももに革靴の踵を食い込まされた。
 男は、痛みに顔を歪める恵美を満足そうに見下ろしながら、意味不明な言葉を呟いていた。
「それは真理の御霊です。あなたに新たな戒めを与えましょう」
 そう呟きながらズボンのジッパーを開けると、黒光りする肉棒が勢い良く飛び出した。そのサイズは五百ミリリットルのペットボトルほどもあり、更にそのドス黒い皮には、パチンコ玉ほどのタマが無数に埋め込まれていた。
 男は、目をギラギラと輝かせながらゆっくりとしゃがむと、下着の上から恵美の股間を弄った。
「濡れてます」
 そう囁く男の赤黒い亀頭が、恵美のすぐ目の前に迫っていた。みかんのように腫れ上がった大きな亀頭の先では、テラテラに輝く尿道がぽっかりと口を開き、それはまるで水木しげるが描く一つ目の妖怪のように見えた。
 それを咥えさせられたまま下着を剥ぎ取られた。乱暴に足を開かされると、濡れた性器に四本の指を入れられ、一本だけ飛び出した親指でクリトリスを押し潰された。
 四本の指は狂ったように暴れ回り、そこにグチャグチャと下品な音を立てた。 
 ウォータースライダーを滑り降りるような快感と、内臓を引きずり出されるような恐怖に同時に襲われた恵美は、肉棒を咥えたままヒィーヒィーと情けない声を出してしまった。
 男は、そんな恵美を見下ろしながら、「求めなさい。そうすれば与えられる」と呟いた。そして、しゃがんだ腰を動かし始め、恵子の口の中に肉棒を激しくピストンさせると、「探しなさい。そうすれば必ず見つかる」と笑顔で囁き、いきなり恵美の口内に放尿したのだった。
 恵美は咽せながらも必死にそれを飲み込んだ。しかし男は途中で肉棒を抜き、残りの小便を恵美の顔にかけた。
 髪を掴まれ畳の上を引きずられた。そしてそのままベッドに放り投げられ、乱暴に衣類を脱がされた。
 全裸の恵美を見下ろしながら、男は満足そうに口笛を吹き始めた。その表情はまるで蝋人形のように無表情であり、口笛の曲は『トルコ行進曲』だった。
 男は、黒いバッグの中から殺伐とした荒縄を取り出した。それを、軽快な『トルコ行進曲』の口笛と共に恵美の上半身に巻き付け始めた。
 引っ張られる度に縄が真っ白な肌に食い込み、ギシギシと不気味な音を立てた。縄と縄の隙間から真っ白な乳房が飛び出し、パンパンに腫れたそこに青い血管が透き通って見えた。
 上半身が緊縛されると、そのまま股をM字に開かされた。両膝を曲げた状態で臑と太ももに荒縄をグルグルと巻かれると、M字に股を開かされた状態のまま、がっちりと固定された。
「五万円払います。だから乳首をハサミで切らせて下さい」
 男はそう言いながら、ピーンっと突き出た硬い乳首を指先でコロコロと転がした。
 たちまち恵美の背筋が凍った。飛び出した乳首が鋭利なハサミでパツンっと切り取られるシーンが脳裏に浮かび、激しい恐怖を掻き立てられた。
 その表情と低い声、細くカットされた眉と妙に長いまつげ。男のその全てが怖かった。
 男は未だに黒いスーツを着たままで、黒光りする革靴も履いたままだった。そこから巨大なペニスだけを突き出すその異様な姿にも、改めて恐怖を感じさせられた。
 そんな男が、黒いバッグの中から刃渡り十センチほどの洋裁鋏を取り出すと恐怖は最高潮に達し、恵美は「やめて!」と、狂ったように叫びまくっていた。
「殺人以外なら何をしてもいいと聞きましたが……」
 男はそう笑いながら恵美の目をタオルで塞ぐと、もう一本のタオルで猿ぐつわをかました。
 目隠しされた闇の中でトルコ行進曲の口笛が響いていた。その背後では鋏が動くシャカシャカとした音が微かに聞こえ、その見えない恐怖に脅える恵美の股間からは、生温かい尿がタラタラと溢れていた。
 包丁のように研がれた刃がコリコリの乳首をゆっくり挟んだ。男が指を動かせば、恵美の乳首は、たちまちギロチンの首のようにサクッと切断される状況下に置かれた。
「おしっこが漏れてます。蓋をしてあげましょう」
 男は真面目にそう言いながら巨大なペニスを膣の中に滑り込ませて来た。
 太い肉棒は恵美の膣道をこれでもかというくらいに広げた。それが上下に動く度にペニスに埋め込まれた無数のタマが膣壁にグリグリと蠢き、異様な痛みと絶妙な快感を与えた。
「乳首、切りますね」
 そう言いながら乳首を挟んだ刃を小刻みに動かしては脅し、そのままドロドロに汚れたペニスを肛門に這わせた。
 男は鋏の刃を乳首に食い込ませ、「そろそろ切りますよ」などと執拗に脅しながら、二つの穴を交互に犯しまくった。
 男は、脅される度に恐怖で呻く恵美を恍惚とした表情で見下ろしていた。そして突然、「イエスはここにいます!」と叫ぶと、その無惨に裂けた血まみれの肛門の中に大量の精液を放出したのだった。

(つづく)

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