2ntブログ

スリル13・針地獄

2013/06/13 Thu 00:02

 ドン……ドン……
 シャワーを終えた恵美は、洗面所の鏡に向かいながらアイラインを引いていた。
 あの誰もが恐れる大磯が、あんなに小さなお爺ちゃんだったとは意外だった。それまで恵美が描いていた大磯は、三国志に出て来る暴君・董卓だった。あの弱々しいお爺ちゃんからは全く想像ができなかった。
 それでもあのペニスは凄かった。あの獰猛な肉棒を思い出しながら恵美はポーチの中から口紅を摘んだ。そしてあの目。あの冷酷な目は只者ではない、と思いながら真っ赤な口紅を唇に滑らせたのだった。
 ドン……ドン……
 先ほどから聞こえて来る音が気になった。それは、上階で子供が飛び跳ねているような音だった。マンションではよく聞く音だったが、しかしこの客が誰もいない古びたラブホテルでは、その音は明らかに違和音だった。
 胸にバスタオルを巻いた。しかし、思い直してバスタオルを剥ぎ取った。
 獣のように犯されたい。
 そう思った恵美は、全裸のままドアを開けた。
 ドン……ドン……と鳴っていたその音が、いきなり鮮明に聞こえた。
 見ると、全裸の老人がベッドの上でゴーゴーを踊っていた。
 その痩せこけた老いた背中を見つめながら、何が何だかわからないまま後手でドアを閉めると、背後でドアがガチャっと鳴った。
 その音に気付いた大磯がサッと振り返った。
 大磯の顔は血まみれだった。そして、振り上げたままの拳も血で真っ赤に染まっていた。
 その老人はゴーゴーを踊っていたのではなかった。
 その老人は仰向けの沙織に馬乗りになりながら殴っていたのだった。

「この子は困った子です。どれだけ言ってもこの下手糞な演技をやめようとしないんです」
 大磯は血飛沫が飛び散った頬を歪め、そう笑った。
 沙織の顔は、既に原型がわからないほどに腫れ上がり、まるで『らんちゅう』と呼ばれる金魚のようになっていた。
 潰れた鼻からは止めどなく鼻血が流れ、ズタズタに切れた唇からはドス黒い血がドクドクと溢れていた。
 しかし、それでも沙織は、呻き声一つあげないまま天井の鏡をジッと見つめていた。あれだけ大きかった目は、腫れてほとんど塞がっていたが、それでもその奥に、身動き一つしない黒目がポツンとあるのが見えた。
「手伝って頂けますか?」
 大磯はそう言いながら、突然ベッドの下から荒縄をズルズルと引きずり出した。
 いつの間に隠していたのか、そのベッドの下には、おどろおどろしい拷問グッズが沢山押し込まれていたのだった。

 命じられるまま、恵美は沙織の両手首に縄を巻いた。
 大磯は、ブツブツと独り言を呟きながら、イルカのように美しい沙織の裸体に荒縄を巻き付け、その真っ白な肌に殺伐とした荒縄をギシギシと食い込ませた。
 身動きできなくなった沙織を見て満足そうな笑みを浮かべると、突然大磯は黒皮のポーチの中から布団針を一本取り出した。
 それは、一般家庭で普通に使われている縫い針よりも、長さも太さも倍ほどある物騒な針だった。
 大磯はその針の先で沙織の太ももをチクチクと刺した。そしてパンパンに腫れ上がった沙織の顔を覗き込みながら「痛いですか?」と聞いた。
 無反応の沙織にニヤリと微笑んだ大磯は、「それではここはどうですか?」と言いながら沙織の右足を持ち上げ、膝の真裏の柔らかい部分に針先をプスっ刺した。
 それでも沙織は眉一つ動かさなかった。
「おかしいですね……ここは刺青でも最も痛い場所だと聞いたんですがね……」
 大磯はそう首を傾げながらも、しかしどこか嬉しそうだった。
 針をそこに突き刺したまま、再び大磯は黒革のポーチを弄ると、中から手の平サイズのスタンガンを取り出した。
 ジジジジッ!
 その音だけで恵美は震え上がった。それは小さいながらも、凄まじい勢いで青い電流を弾かせていた。
 大磯はニヤニヤと笑いながら、膝の裏に突き刺した針にスタンガンの先をソッとあてた。そしてカサカサの唇をペロリと舌でなぞると、迷う事無く、そこにバチバチバチと音を立てたのだった。
 沙織の足はビクンっと飛び跳ね、そのままベッドにドテッと落ちた。
 それで沙織が悲鳴でも上げていれば、この状況は変わったかも知れないが、しかし沙織は鼻息一つ漏らさなかった。
「キミはどこまで頑固なんだ!」
 いきなりそう叫ぶと、膝の裏に刺さったままの針の頭めがけ、まるで蚊を叩き殺すかのように、パン! と手の平で叩いた。
 沙織の膝の裏には、あの太くて長い布団針が、根元まですっぽりと突き刺さっていた。それでも沙織は身動き一つしなかったのだった。

「これは、私に対する挑戦だね」
 大磯は、まるで子供のように笑いながら、その巨大な肉棒を沙織の膣に押し付けた。
 濡れていない膣にそれが入るわけがなかった。しかし、それでも大磯は強引にそれを突き刺し、そこをメリメリと無惨に引き裂いた。
 そこから溢れるドス黒い血を潤滑油にしながら腰を振っていた大磯は、新たな布団針を摘まみ上げると、それをクリトリスに貫通させた。
 それでも物足りないのか、沙織の真っ白な腹に五本もの布団針を突き刺し、それを一本一本順番に手の平で叩いていった。
 それはまるで豆腐に針を突き刺しているようだった。針は、いとも簡単に沙織の腹の中にスポスポと消えていった。
 このままでは沙織は死んでしまう。そう思った瞬間、恵美は失禁してしまった。
 するとそれに気付いた大磯は大いに喜び、そのまま沙織の顔を跨ぎなさいと命令した。
 逆らえば自分の腹にも針を埋め込まれると恐れた恵美は、水死体のようにブクブクに腫れた沙織の顔を恐る恐る跨ぐと、沙織の顔面にびしゃびしゃと尿を飛び散らせた。
 顔面を覆っていた血が流れ落ち、その生々しい顔がみるみる現れて来た。
 すると、不意に大磯の腰の動きがぴたりと止まった。
「ちっ」
 大磯は、沙織の顔を見ながらそう舌打ちした。
 そして再び腰を動かし始めると、沙織を跨いでいる恵美にニヤニヤと笑いかけながら、「もう死んじゃってますよこの子」と、残念そうに呟いた。
 それでも大磯は、冷たくなった沙織の股で激しく腰を振っていた。そして「はっ! はっ!」とスタッカートな呼吸を始めると、突然奇怪な奇声をあげ、死体となった沙織の中に果てた。
 大磯は「ふーっ……」と息を吐きながらヌポッと肉棒を抜いた。精液と血にまみれたそれをピクピクさせながら、「死ぬ寸前の膣は素晴らしいシマリなんですけどね……残念です、見逃してしまいました」と笑った。
 大磯はゆっくりと立ち上がると、肉の塊となった沙織をドスドスと蹴り転がし、そのままベッドの下に落した。そしてしゃがんだままの恵美を突き飛ばし、ベッドに尻餅をついたままの恵美の股間に血まみれの肉棒を突き立てた。
 亀頭まではヌルっと滑り込んだが、しかし、あまりにも太い肉棒は真ん中辺りで止まってしまった。
「痛いですか?」
 そう耳元で囁く大磯の声に、激しいスリルを感じた恵美は、「奥まで入れて下さい!」と泣き叫んでいた。
 それはまさに獣のセックスだった。恵美は何発も何発も顔面を殴打されながら、「もっと! もっと!」と喘いだ。
 大磯はそんな恵美の太ももに布団針の先をチクチクと刺し、「コレも奥まで入れてあげましょうか?」と笑った。
 その狂気の目に、失神しそうなほどのスリルに襲われた恵美は、無意識のうちに「殺して下さい! 私も殺して下さい!」と叫び、自ら腰を振っていいたのだった。

(つづく)

《←目次》《14話へ→》

変態

FX
ブログパーツ アクセスランキング