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吐泥(へろど)22

2013/06/13 Thu 00:01

 さっそく私は、窓一面に映る海を覗き込みながら、「ここは泳げるんですか?」と運転手に話しかけてみた。そう聞きながらもズボンのボタンをソッと外すした。
 運転手はバックミラーでチラッと私を見ながら「ここら一帯は海水浴場になってますよ」と、なぜか妙に嬉しそうに答えた。その口ぶりから、なかなかノリの良さそうな親父だと察した。
 私は「へぇ〜」と頷きながらトランクスのゴムを剝いだ。それまで押し付けられていたペニスがビンっと跳ね上がり、陰毛の生い茂る下腹部にピタンッと当たった。それは、先日NHKの特集で見た、ユーラシアプレートに沈み込んだフィリピンプレートが跳ね上がって起きる『南海トラフのメカニズム』によく似ていた。
 そんなペニスを妻の唇に突きつけてやると、妻は素早くそれを握りしめた。そして我慢汁がダラダラと溢れる尿道を愛おしそうに見つめながら、その弛んだ皮を上下にシコシコと動かし始めた。

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 太ももから快楽がジンジンと湧き上がってきた。フゥゥゥ……と静かに息を吐きながら妻の髪を優しく撫でていると、再び運転手が私に話しかけてきた。

「シーズンになりますとね、この通りは海水浴に来た客で凄い渋滞ですよ。もうピクリとも車が動かなくなりますからね。だから、私たちタクシードライバーの間ではね、シーズン中のこの通りの事を『天神様の細道』なんて呼んでるんですよ……」

 とりあえず、「そうなんだ……」とだけ答えておいた。
 正直どうでもよかった。この通りが彼らの間で何と呼ばれているなど全く興味はなく、今はただ妻の愛撫に集中していたかった。だからそのまま話を切ろうとしたのだが、しかし、案の定、運転手は話を続けてきた。バックミラーでチラチラと私を見ながら、まるで、自分しか知らないクイズの答えをコメンテーターに聞き出そうとしている自己欲の強いみのもんたのように、「なぜだと思います?」と聞いてきた。
「知るかボケ!」と怒鳴りたいところだったが、しかし、その瞬間、妻がいきなり亀頭をベロリと舐めた。その快感により私の表情がフッと一瞬緩んだのを運転手はバックミラーで見ていた。だから私は無視できなかった。反論もできなかった。いや、逆にこうやってこの男に話しを続けさせていた方が、妻にスリルを与えられるのではないかと咄嗟に思い、私は顔を緩ませたまま「なぜだろう……わかんないなぁ……教えて下さいよ……」なとど、そのくだらない話に乗ったふりをした。

「ふふふふ。お客さん、通りゃんせ、通りゃんせ、って童謡知ってるでしょ。アレですよアレ。あの歌に『天神様の細道』って出てくるじゃないっすか」

「はぁ……」と私が答える間にも、妻の舌はソフトクリームを舐めるように動き出し、ピチャピチャという湿った音まで鳴らし始めた。

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「行きはヨイヨイ、帰りは怖い、っつうね、まさにアレですよ。客を海水浴場まで送ってくのには料金がバンバン跳ね上がるからいいんですけどね、その帰り道は渋滞で身動き取れなくなって時間を無駄にしちゃうでしょ、だからこの通りは、私たちの間では『天神様の細道』なんて呼ばれてるんですわ」

 そう運転手がへらへらと笑うと同時に、ペニスは妻の口内にヌルッと滑り込んだ。
 妻はそれを咥えたままゆっくりと舌を動かした。尿道やカリ首の裏といった細部にまでその生温い舌を滑らせながら、窄めた唇で竿を上下に摩擦した。

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 そんな妻の口技は、ペニスだけでなく私の脳までも愛撫していた。思わず顔を顰めて「んふっ……」と息を漏らすと、それをバックミラーで見ていた運転手が、「お客さん?……もしかして車酔いしました?」と心配そうに眉を顰めた。
「いえ……大丈夫です……」と答えながら腰をずらし、慌てて妻の口からペニスを抜いた。この状況でもう少ししゃぶらせていたかったが、しかし、今の私には、このシチュエーションはあまりにも刺激が強すぎたため、ここで果ててしまうのには勿体ないと思い、慌てて妻のそれをやめさせたのだった。

 そのまま妻の上半身を起き上がらせると、妻は俯いたまま唇の唾液をそっと拭い、元の座席位置へと戻った。
 妻の体が突然ムクリと起き上がったせいか、それをバックミラーで見ていた運転手は、「あれ? 気分が悪いのは奥さんの方でしたか?」と心配そうに聞いてきた。

「ええ。そうなんですよ……妻はすぐに車酔いするんですよ……」

 私はそう嘘を吐くと、バックミラーには映らない妻の下半身に手を伸ばし、指を尺取虫のように動かしながらスカートを捲った。真っ白な太ももとピンクのパンティーが、海面に反射して炎のようにメラメラと輝く夕日に照らされた。
 妻は一瞬ビクっとしたが、しかし、運転手が後ろに振り向かない限り、そこを彼に見られる事はないと知ると、大胆に股を広げたまま、そのスリリングなプチ露出にドキドキしていた。
 そんな事がすぐ真後ろで行われているとは露知らず、運転手は「それじゃあ、もう少しゆっくり走りますね」などと言いながらスピードを緩めた。私はそんな運転手に「すみませんねぇ」と呟きながら、素早くそのピンクのパンティーの中に手を滑り込ませた。いきなり生温い汁が指にネトネトと絡みついてきた。まるで大量の『めかぶ』が流し込まれたかのように、そこは異様なほどに濡れていた。もはやどこがクリトリスで、どこに穴があるのかもわからないくらいヌルヌルしていた。

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 二本の指を滑り込ませ、熱い穴の中をぐちゃぐちゃと掻き回した。妻は「んん……」と小さく唸りながら私の肩に頬を摺り寄せた。髪から漂う甘いリンスの香りを感じながら妻の耳元にソッと唇を這わせ、「声を出すとバレちゃうよ……」と囁きながらも、声を出せよと言わんばかりにわざと指を激しく動かしてやった。
 右手でそうしながら左手でバッグの中を漁った。今こそあれを使うべきだと思いながら必死にそれを探した。
 すぐ目の前では、名前も知らない赤の他人がハンドルを握っていた。この男だったら、と思った。「もし気分が悪くなったらコンビニに寄りますので、遠慮なくお申し付けください」などと話しているこの真面目そうな男だったら、きっと従順な性玩具となってくれるはずだと期待しながら、私はバッグの中からピンクローターを摘み出した。
 それを妻に見せると、妻は困惑した表情で「音が聞こえちゃうよ……」と慌てた。私は妻のうなじにそっと唇を這わせると、「いいじゃないか、見せてあげよう……」と囁き、拒む妻の手を払い除けながらそれをパンティーの中に入れた。
 トロトロに濡れた割れ目にそれを這わした。ツルツルとした丸い表面は面白いようにヌルヌルと滑り、時折それが穴の中にツルンっと滑り込んだりした。その度に妻は太ももをヒクンっと跳ね上げ、必死に私の腕にしがみついていたが、しかし、いよいよその丸い先がクリトリスの上をヌルヌルと滑り始めると、妻は恐怖の表情を浮かべながら私の顔を見上げ、無言で「いや、いや」と首を横に振った。
 そんな妻のマゾ顔に激しく欲情しながら、私はもう片方の手でコントローラーを握った。眉を顰めながら必死に懇願する妻を無視し、「運転手さん……」と声を掛けると、その声と同時に妻は股を閉じ、慌ててスカートを直し始めた。
「なんでしょう?」と運転手がバックミラーで私を見た。私は、再びスカートを捲り上げながら、「ほら、言うことを聞きなさい……」と、わざと運転手に聞こえるくらいの声で言いながら、妻の太ももを左足の膝でツンツンと突いた。

「どうかなさいましたか?」

 運転手はそう言いながら後ろに振り返ると、ぐったりと項垂れている妻を見て、「大丈夫ですか?」と驚いた。私はそんな運転手の目をジッと見ながら、一気にローターのスイッチを入れた。
 妻の股間から振動音が響いた。すかさず運転手の視線が妻の下半身へとサッと下りた。運転手の目が、ピンクのパンティーの中で蠢く私の手を捕らえた。たちまち運転手はその子羊のような目をギョッと見開き、慌てて前に向き直ったのだった。

 一瞬にして車内は静まり返った。重たい沈黙の中、電気剃刀のようなヴィィィィィィィィィという振動音だけが不気味に響いていた。
 項垂れている妻の耳元に、「見られちゃったよ」囁くと、妻は閉じていた目を更にぎゅっと瞑りながら、迫り来る羞恥と恐怖と快楽に必死に耐えていた。
 そんな妻のマゾ心を更に昂ぶらせようと、閉じていた太ももを乱暴に引っ張り、股を逆Y字に開かせた。「パンツのシミが丸見えだよ」と耳元に囁きながら妻の手を握り、その妻の手をパンティーの中に潜らせた。「自分でヤリなさい」とパンティーの中でローターを渡そうとすると、妻は戸惑いながらもそれを受け取り、いつものようにそれを陰核に押し付けた。

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「はぁん」という声と共に、妻は背骨を大きく反らした。そしてすぐに腰を引き、再びガクンっと項垂れた。その一瞬の激しい出来事に、慌てて運転手がバックミラーを覗いた。バックミラー越しに運転手と目があった。運転手の目は激しく動揺し、まるでタクシー強盗に後ろから包丁を突きつけられているような恐怖が浮かんでいた。

 私はバックミラーに「フッ」と小さく微笑むと、「すみませんね、驚かせちゃって……」と言いながら、ノーブラの大きな胸をダイナミックに揉みしだいた。そして「この女、変態なんですよ」と笑ってやると、運転手は、「あぁ、はい……」と、しどろもどろになりながら、慌ててバックミラーから目を反らした。
 私は運転席へと身を乗り出した。シート越しに運転手の耳元に顔を近づけ、「こーいう事したらダメですか?」と聞くと、運転手は人形のようにジッと前を向いたまま、「いえ……」と呟いた。
 そんな運転手の顔は顔面神経痛のように引き攣っていた。ハンドルを握る手はブルブルと震えていた。助手席の前にあるネームプレートには『松本和樹』と達筆で書かれていた。そのプレートの上には、『優良運転者』と表示されたカードが刺さっており、そこには『十年間無事故無違反達成』という表彰マークが記されていた。
 恐らく彼は、浮気をしたこともなければ、風俗にも行ったことのないような、仕事一筋の真面目な男だった。それは、運転席と助手席の隙間に刺さっている本のタイトルから見てもわかった。普通のタクシーなら、週刊大衆やアサヒ芸能といった下品な週刊誌や、ニッカンや東スポといったスポーツ新聞が刺さっているものだが、しかしそこに刺さっていたのは、『お客様を確実に気分良くさせるための接客術』というハウツー本と、『般若心経から読み取る真心のおもてなし』という単行本だった。
 こんな本を読んでいる奴に悪人はいなかった。こんな本を読んでいる奴は風俗などには絶対に行かず、一貫して古女房の股座で性処理しているはずだった。がしかし、その一方で、こんな本を読んでいる奴に限って、一歩道を踏み外すと取り返しがつかないくらいに暴走するものだった。特に性的な問題は、免疫力がない為にブレーキが効かず、一度欲情すると獣の如く手がつけられなくなるものだった。

(こんな真面目な男が、出会い系で知り合った少女を殺しちゃったりするんだろうな……)

 そんなことを勝手に想像しながら、私はこの真面目な男に、妻の不真面目な性器を見せてみたいと思った。それは、ウブな少女に卑猥なノーカット動画を見せてみたいという欲求によく似ていた。
 ムラムラと興奮を覚えた私は、そのまま手を伸ばして、勝手にバックミラーの角度を変えた。途端に運転手が、「あっ、お客さん、それは——」と、慌ててバックミラーを元の角度に戻そうとしたが、しかし、そこに妻の下半身が映っていることを知ると、運転手は、何かに必死に戸惑いながらもソッと手を下ろした。
 そんな運転手の下劣な本能に欲情した私は、黙々とオナニーに耽っている妻のパンティーを一気に膝まで下ろした。一瞬妻は「イヤ……」と呟いたが、しかし、この状況下でオナニーに耽っている妻の脳は、もはや完全にヘドロと化しており、口ではイヤと言いながらも抵抗する気配は微塵もなかった。
 渦巻く陰毛の中で、赤く爛れたワレメがテラテラと濡れ輝いていた。それはまるで、腸を抉られた魚の腹のように残酷であり、グロテスクだった。その部分を運転手にも見せたいと思った私は、逆Y字に開いていた妻の足を片方ずつシートの上に持ち上げ、股をM字に開かせた。
 その恥ずかしい部分を他人に見られていると意識した妻は、ハァハァと息を荒げ始めた。そしてクリトリスを集中的に攻めながら「見ないで、見ないで」と何度も呟き、自らの意思で更に股を大きく開いた。

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 そんな妻の乱心する姿を、運転手はバックミラーで見ていた。そこに映る運転手の目には狂気が浮かんでいた。あの羊のように優しかった目は獰猛な狼の目に変わり、今にも襲いかかってきそうな危険な光を帯びていた。
 羊の皮を被った狼。こんな男に妻を犯させたいと思った。風俗にも行かなければ、浮気もしない。エロ雑誌も見なければエロ動画も一切見ない。古女房一筋の真面目で誠実なタクシードライバー。そんな男が、他人の妻の裸体に悶え狂っている姿を見てみたいと本気で思った。
 私は、妻のワンピースの肩をずらした。大きな乳肉が溢れ、ポテンっと波を打った。妻の手をそこに誘導した。そして妻が自ら乳肉を揉み始めたのを確認すると、運転手の耳元に「私の妻は……露出狂なんです……」と呟いた。

「あぁ、はい……」

 そう頷く運転手の耳の裏からは、強烈な加齢臭が漂ってきた。

「妻を……助手席に座らせてもいいですか?……」

 そう聞くと、運転手は戸惑いながらも、「はぁ……」と頷いた。

「良かったね……前に座ってもいいってさ」

 そう囁くと、妻はその言葉から、今から始まる卑猥な光景を想像したのか、ハァハァという呼吸を荒げた。そして半開きの目で運転席を見つめながら突然乳房を激しく揉み出すと、そのまま全身をヒクヒクさせながらイッてしまったのだった。
 
ウツボ100

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)23

2013/06/13 Thu 00:01

 シーサイドラインと呼ばれる国道を延々と進んでいた。窓の外にはひたすら海が続き、既に日が暮れた日本海は漆黒の闇と化していた。
 妻は助手席に座っていた。まるで護送される囚人のようにぐったりと項垂れている。
 私は後部座席から、「股を開きなさい……」と耳元に囁いた。しばらく黙ったまま項垂れていた妻だったが、しかし私が何度もそう囁きながらワンピースの肩をずらし、真っ白な乳肉をそこにタポンっと溢れさせると、やっと観念したのか、妻は股をゆっくりと開き始めた。
 後部座席から手を伸ばし、曝け出された柔肉をタプタプと揺らした。妻は「いや……」と小さく呟きながら、私のその手の動きを止めようとした。すかさず私は、指先で乳首を転がした。そして、「ほら、いつもみたいに自分でコリコリとやってごらんよ……」と囁きながら妻の手を柔肉の上にソッと乗せた。
 すると妻は、更に「いや……」と呟きながらも、その指を恐る恐る乳首に伸ばした。そしてその硬くなった乳首をコリコリと転がしながら、自らの意思でもう片方の手をパンティーの中に滑り込ませ、そこでも指をクネクネと動かし始めたのだった。

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 んふっ……んふっ……んふっ……。
 そんな妻の鼻息が、静まり返った車内に響いていた。後部座席から運転手の横顔をソッと覗き込み、「どうです……凄い変態でしょ……」と笑うと、運転手は横目でチラッと妻を見ながら、「はぁ……」と小さく頷いた。
 そんな運転手は、明らかに怯えていた。当然、こんな客は初めてだろうし、恐らく、今までに他人女のリアルなオナニーなど一度も見た事はないはずだった。だからこの男は怯え、そして狼狽えているのだろうが、しかし、精神的にそうであっても肉体的には違うようだった。それは、彼のその痛々しいほどに膨らんでいる股間を見れば一目瞭然だった。

「この女はね、見られることが嬉しいんですよ。自分の恥ずかしい姿を他人に見られることにね、喜びを感じる変態なんですよ。だから見てやって下さいよ……私の妻の気分を、確実に良くさせてやって下さいよ……」

 私はそう言いながら、助手席と運転席の隙間に刺さっていた、『お客様を確実に気分良くさせるための接客術』を抜き取り、それを運転手にチラチラと見せながら笑った。

 暫くすると長いトンネルに突入した。入り口の壁には、『出口まで約8分』という看板が表示されていた。今までも度々トンネルに出くわしたが、しかし、どれも一瞬で脱出してしまうほどの短いものばかりだった。
 私は、この長い闇に乗じることにした。車内が薄暗ければ、妻もこの男ももっと大胆になれると思ったのだ。
 さっそく助手席に両手を伸ばし、ワンピースの胸元を大きく開かせた。まるでダムの決壊のように巨大な乳肉が溢れ出し、解放された二つの柔肉がタプタプと交互に揺れた。
 その乳肉を背後からムニムニと揉みしだきながら、妻の耳元に「パンツを脱ぎなさい」と囁いた。トンネルの闇がそうさせているのか、妻はまるで催眠術にかけられたかのように素直に従い、それを足首までスルスルと下ろした。

「シートに両足を乗せて、股をM字に開くんだ……」

 私はそう囁きながら二つの乳首を両指でコリコリと転がした。すると妻がゆっくりと顔を上げ、そっと私の耳元に唇を近づけた。

「ローター……頂戴……」

 妻の甘い囁き声と生暖かい息が私の脳をくすぐった。この状況でそれを求める妻の変態性に強烈な興奮を覚えた私は、脳をクラクラさせながら妻の唇の中に舌を押し込んだ。
 激しく絡み合う互いの舌が、ベプ……ペプ……と音を立てた。そのまま乳首を思い切り摘むと、妻は私の口内で「ング……ング……」と唸り声をあげた。そうしながら横目で運転手を見ると、運転手はそっと前屈みになりながら妻の股を覗き込んでいた。ふと見ると、いつの間にか妻は股をM字に開いていた。
 それを見た私は、バンジージャンプを跳んだ瞬間のような衝撃を受けた。こっそり陰部を男に見せつけていた妻に激しい嫉妬を感じ、そして、どさくさに紛れて、他人の妻の陰部を覗き込んでいるその男の卑しい根性に、激しい怒りを覚えた。
 自ら『見てくれ』と頼みながらも、しかし、いざ本当に見られると激しい怒りを感じるというのが、寝取られ願望者特有の複雑な精神構造だった。そんな怒りは、次第に焦りへと変わり、それが、嫉妬、悲しみ、怯え、絶望、と変化しながら、最終的に快楽へと昇りつめていくというから、これは、一般人では到底理解できない精神構造だった。
 そんな異常者である私は、嫉妬と怒りで脳をクラクラさせながら妻の唇から乱暴に舌を抜いた。ローターを頂戴とせがむ妻を無視し、いきなりハンドルを握っている運転手の左手首をガッと掴んだ。

「わっ、お客さん! 危ないです!」

 そう慌てる運転手に、「あんた、今、私の妻のオマンコをこっそり見てたでしょ」と聞いた。運転手はそれに答えず、ただひたすらに「危ないですから離して下さい!」と焦っていた。

「こっそり見なくたっていいじゃないですか……こっちは最初から見てやってくれって頼んでるんですから、堂々と見てもらって構わないんですよ……」

「わかりましたから、危ないですからとにかく手を離して下さい!」

「いや、あなたこそ、その手をハンドルから離して下さいよ……」

「……えっ?」

「見るだけじゃなくて……触ってやってくださいよ……」

 そう不敵に笑うと、運転手はそれ以上何も言わず、トンネルの闇をジッと見つめたままゴクリと唾を飲み込んだ。
 一瞬の沈黙が流れた。沈黙の中、ハンドルを握る運転手の左手から力が抜けていくのがわかった。
 私はその手を静かにハンドルから外した。運転手は、何の抵抗もする事なく、黙ってそれに従った。その手を妻の股間へと持って行くと、それまで半開きだった妻の股が大きくM字に開いた。それは、妻自らの意思だった。妻は、まさに早く触ってと言わんばかりに性器を突き出しており、途端に私は激しい嫉妬に襲われたのだった。

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 クチャ……クチャ……クチャ……。そんな卑猥な音が微かに響いていた。
 運転手の指は、戸惑いながらも確実に穴を捕らえていた。トンネルの闇をジッと見つめながらも、そこから溢れる汁に指をヌルヌルと滑らせていた。
 妻は完全無抵抗で陰部を剥き出しながら、まるで高熱で魘されているかのようにハァハァと荒い息を吐いていた。時折、蠢く運転手の指先がクリトリスに触れると、突然赤ちゃんの泣き声のような声を出しては、腰をヒクン、ヒクン、と痙攣させていた。
 そんな二人を後部座席から見ていた私は、今までにない強烈な嫉妬に襲われていた。それは、この時の妻があまりにも積極的すぎたからだった。今までのように、嫌がりながらも行為に及ぶという感じではなく、今は、自らそうして下さいと言わんばかりに大胆なのだ。しかも妻は、異常なほどに感じていた。ローターも使わず、指だけでここまで感じている妻など今までに見たことがないのだ。

(こんな加齢臭漂う汚いオヤジに……どうしてこんなに感じているんだ……)

 そうギリギリと歯軋りをしながら私は嫉妬に燃えていた。こんな状態なら、妻はすんなりこの男のペニスを受け入れるはずだ。路肩に車を止め、運転席に座る男の膝の上に乗れと命令すれば、きっと今の妻なら喜んでそうするはずだと思った。
 そう思っていると、不意に、騎乗位で腰を振っている妻の姿が頭に浮かんだ。そして同時に、妻の尻をペシペシと叩きながら「うぅぅぅぅ」と唸っている運転手の表情までもが鮮明に浮かんできた。

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 ヘドロのような妄想の中では、運転手のペニスが妻の尻の谷間をズボズボとピストンしていた。目を閉じながら喘いでいる妻は、そのコリコリとした肉棒の感触を必死に味わっているようであり、その乱れ方はもはや淫乱そのものだった。
 妄想の中の運転手は、上下に動く妻の大きな胸に顔を埋めながら、「お客さん……イキそうです!」と唸った。妻は、運転手の加齢臭漂う耳元にソッと唇を寄せると、「中で出して……」と囁き、そしてその耳たぶをペロッと舐めた。すかさず運転手が「うっ!」と呻きながら体を硬直させた。妻はその体にしがみつきながら狂ったように腰を振りまくった。そして妻は、射精中の男の唇の中に自ら舌を押し込みながら、自身も快楽の渦に巻かれていったのだった……。

 そんな妄想を一人黙々と繰り広げ、息ができないくらいに嫉妬に胸を締め付けられていた。頭をクラクラさせながらも現実に戻り、ソッと助手席を覗いてみると、いつの間にか、運転手の指はクリトリスから穴へと移動していた。
 ピンクの粘膜を剥き出しにされた穴の中を、テラテラと濡れ輝く二本の指が行ったり来たりと繰り返していた。年季の入った皺だらけの指に、どす黒い小陰唇がヌルヌルと絡みついていた。
 その指の動きは貪欲だった。まるで場末のピンサロで、安サラリーマンが料金分触らなければ損だとばかりにピンサロ嬢の体を触りまくっているような、そんな必死さが感じられた。

(この男……相当溜まっているな……)

 そう思った私は、もはやこの男は私の性奴隷と化したと確信した。さっそく背後から運転手の耳元に顔を寄せ、まるで暗示をかけるような口調で、「チンポを出してください……」と囁いた。「えっ」と一瞬振り向きかけた運転手は、顔を横に向けたまま横目で前を見つめ、「今……ですか?」と声を震わせた。

「今です……そのままズボンを下げて、そのビンビンに勃起しているチンポを妻に見せてやって下さい……」

 運転手は絶句したまま困惑していたが、しかし、暫くすると陰部からヌルリと指を抜き、そのテラテラと輝く指でズボンのベルトを外し始めた。

 ベルトの金具がカチャカチャと鳴るのを、妻はハァハァと胸を上下させながら横目でジッと見ていた。妻のその目は明らかに異常をきたしており、それは欲情している時の私の目と同じだった。
 ベルトを外した運転手は、恐る恐るシートに腰を浮かせながらズボンとトランクスを同時に下ろし始めた。ズボンが太ももの上をスルッと通過すると、痛々しいまでに勃起した肉棒がビンっと跳ね上がった。

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 肉棒には無数の血管が絡まっていた。獰猛な爬虫類のような亀頭からはヘドロのような汁がダラダラと溢れ、それがゴツゴツとした肉棒に垂れてはテラテラと怪しく輝いていた。
 特に巨大というわけではないが、その肉の棒は凄まじいパワーに満ち溢れていた。ちょっとでも触れれば、すぐにでも爆発しそうな一触即発の気を発していた。
 ソッと妻の顔を見ると、妻はムラムラとした目でソレを見つめながら割れ目に指を滑らせていた。そんな妻の耳元に「シコシコしてあげなさい……」と囁いてやると、妻はそれをリアルに想像して欲情したのか、「はぁぁぁぁ……」と大きな息を吐きながら、自分の穴の中を指で掻き回し始めたのだった。

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(つづく)

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変態

吐泥(へろど)24

2013/06/13 Thu 00:01

 狭い車内には、三匹の獣の淫らな欲望がムンムンと立ち込めていた。
 肉棒を剥き出した一匹のオスは、精液を放出したくてムラムラしていた。
 自ら己の性器を弄る一匹のメスは、その肉棒をそこに入れたくてハァハァと悶えていた。
 そしてそんな二匹を後部座席から見ていたもう一匹のオスは、二匹が淫らに交わる姿を見たくて、頭をクラクラとさせていた。

「早く……シコシコしてあげなさい……」

 再度そう妻に囁くと、妻は私の目を見ないまま、無言で性器から指を抜き取った。性器を掻き回していたその指には、風邪を引いた時に出る鼻水のような透明の汁がドロドロと絡みついていた。その指が運転席へとゆっくり伸びていくと、それに合わせて運転手の呼吸は荒くなり、その表情は、まるで長距離マラソンを走り終えたランナーのように、だらしなく緩んでいた。
 妻の指がカチカチに固まった肉棒を摘んだ。そのままゆっくりと妻の手首が動き出すと、同時に肉棒の茶色い皮が上下にピストンし始め、すかさず運転手が、「んんんん……」と唸った。

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 そんな運転手の耳元に「まだイっちゃダメですよ……」と囁きながら、運転手の肩をポンポンっと叩いた。そして「今からもっともっと色んなことをして楽しみましょうよ……」と、不敵に笑いながらソッと妻を見ると、妻は下唇を噛みながらジッと項垂れていた。
 そんな妻からは、性奴隷が強制的にそうさせられているような雰囲気が漂っていた。私はその悲観的なマゾのエロスに背筋をゾクッとさせたが、しかし、よく見ると、妻はペニスを上下させながらも、指に絡みついていた自身の汁を亀頭にヌルヌルと塗り込んでいた。
 それは、明らかに自分の意思による行為だった。それを目にした瞬間、性奴隷が強制的にさせられているような悲観的なエロスは消え、欲情した淫乱女が他人棒を弄んでいるエロスへと変わった。
 自分のいやらしい汁を潤滑油にしながら他人男の肉棒をシゴく人妻。そう思っていると、不意に妻が妻でなくなり、ただの変態中年女に見えてきた。こんな女、どうなってもいい、という投げ遣りな感情が生まれ、そしてその感情が、また新たなる性的欲情を湧き上がらせた。

(この変態女を……この見ず知らずの男と二人で……)

 妻を滅茶苦茶にしてやりたいと思った。運転手と二人して妻を陵辱し、肉便器と化した妻の精神と肉体を徹底的に破壊してやりたいと思ったのだ。
 そう思った瞬間、運転手のペニスと自分のペニスが、同時に妻の二穴を塞いでいるシーンが頭に浮かんだ。ヌルヌルに濡れ輝く二匹のウナギが、妻の二つの穴を出たり入ったりと繰り返していた。上から突かれ、下からも突かれ、同時に二穴を激しく摩擦される妻は、今までにない叫び声をあげながら悶え狂っていた。

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 そんなシーンが鮮明に頭に浮かぶと、思わず私は運転手の肩を掴み、「トンネルを出たらどこかで止めてくれ!」と叫んでいた。
 トンネルを抜けると、海沿いに続く鬱蒼とした森林をオレンジ色の水銀灯が照らしていた。「五分ほど行けばコンビニがありますが……」と恐る恐る聞いていた運転手に、「そこらの空き地でいいから早く止めてくれ!」と怒鳴ると、運転手は慌てて大通りを逸れた。
 タクシーが滑り込んだのは、静かな住宅街の中にあるホームセンターの駐車場だった。百台近く駐車できそうなだだっ広い巨大駐車場だったが、止まっているのはわずか十台程度で、しかもそれらは全て店の前に並んでいた。
 そんな駐車場の一番奥の隅にタクシーを向かわせた。わざわざ外灯のあたらない薄暗い場所を選んでいる時点で、恐らく妻も運転手も、これから何が起きようとしているのか感づいているはずだった。
 タクシーが止まると、私は助手席に手を伸ばし、妻が座っているシートのスイッチを下げた。電動シートは、ヴィィィィィンと音を鳴らしながら後部座席に倒れてきた。
 戸惑う妻の顔を覗き込んだ。ブヨブヨの乳肉を揉み解しながら、「股を開きなさい」と囁くと、妻は私からそっと目を背け、恐る恐る肩幅程度に股を開いた。

「それじゃあダメだよ……脚をM字に曲げて、両手で両足を抱えるんだ……」

 そう言うと、妻は背けていた目をゆっくりと元に戻し、私の目をジッと見上げながら「運転手さんに……ヤらせるの?」と聞いてきた。
「ダメか?」と優しくそう聞くと、妻は再び目を背けながら「……こんな所じゃイヤ……」と言った。
 こんな所……。私はそう呟きながら、(じゃあ、ホテルのベッドだったらヤらせてもいいのか)と思い、激しい嫉妬と怒りに襲われた。

「どうせヤリたくてヤリたくて気が狂いそうになってんだろ変態女……だったら場所なんてどこでもいいじゃないか……ほら、早く両脚を抱えて股を開けよ、ここであのチンポをズボズボしてもらうんだよ……」

 そう言いながら、私は妻の脚を強引に曲げさせた。妻は今にも泣き出さんばかりの顔で「いや……」と首を振ったが、しかし、それ以上の抵抗をすることはなく、結局、嫌がりながらも私の指示に素直に従ったのだった。

ウツボ108

 遠くで輝くサーチライトの灯りが、妻の股間を残酷に照らしていた。ベロリと捲れた小陰唇の隙間からはピンク色の粘膜が剥き出され、それが卑猥にテラテラと濡れ輝いていた。

「どうです……人妻の性器は……いやらしい色と形をしてるでしょ……」

 そう運転手の耳元に囁くと、それを横目でジッと見つめていた運転手は、まるで悪質なポン引きに捕まった安サラリーマンのように「は、はい……」と頷いた。

「使い熟された変態人妻の性器ってのは、味も匂いもスケベですからね……ほら、そこに垂れてる汁をペロッと舐めて御覧なさい、たちまち脳が蕩けてしまいますから……」

「…………」

「どうぞ……」

 私はそう囁きながら、捲れあがったワンピースの裾で妻の顔を隠した。そして、「この女の事は何も考えなくて結構ですから、存分にその味を堪能して下さい」と妖しく微笑み、戸惑う運転手のシートベルトをカチャッと外した。
 シートを最大まで下げると、助手席の足元に人が一人入り込むだけのスペースができた。運転手は、運転席からそのスペースに移動した。勃起したペニスをヒコヒコさせながらその狭いスペースに潜り込み、シートの上で両足を抱えている妻の股間の前にしゃがみ込んだ。
 いよいよ妻の性器が、見ず知らずの親父に舐められると思うと、覚悟していたはずの欲望が歪み、激しい嫉妬へと変わった。それを望んでいるはずなのに、いざそれを目の当たりにすると、たちまち泣き出しそうなほどに心が締め付けられた。
 ドロドロに濡れた割れ目を目の前にして、運転手が「ほ、本当に舐めるんですか……」と声を震わせた。すかさず私は、「あんた、本当は妻のそこを舐めたくて仕方ないんでしょ?」と意地悪く聞いてやった。すると運転手は濁り目をギョロギョロさせながら、「そ、それは……」と言葉を詰まらせた。そんな運転手のしゃがんだ股間には、張り子の虎のようにヒコヒコと動くペニスがヨダレを垂らしていた。

「早くして下さい……この状態じゃ妻も可哀想です……ほら、まずはそこの匂いを嗅いでやって下さい……」

 そう言うなり、運転手の顔が恐る恐る妻の陰部に迫った。ペロリと捲れた割れ目の前で運転手の鼻がクンクンと動く度に、私の心境は複雑に揺れ動いた。赤の他人に妻の股間の匂いを嗅がれるというのは、目の前で妻がレ◯プされているのを見せつけられるよりも精神的に辛かった。しかしその辛さが私の惨めなマゾ心をジワリジワリと締め付け、みるみる私は寝取られの渦に巻き込まれていった。
 剥き出された性器に運転手の荒い鼻息を感じていた妻も、激しい羞恥に駆られているようだった。顔はワンピースの裾で覆われていたが、しかしそこから聞こえてくる荒い息遣いは、明らかに羞恥によって興奮させられているものだった。
 MとMの夫婦。そんな惨めな夫婦は、この薄汚い一人の中年男によって激しい羞恥を与えられ、そして同時に快楽を得ていた。性器の匂いを嗅がれながら悶えている妻の髪を、私は左手で優しく撫でながら、右手でズボンのボタンを外した。
 ビンビンに熱り立つ肉棒を握りしめた。それを上下に動かしながら妻の股間を覗くと、ふと、運転手の鼻頭と小陰唇の間に透明の糸が引いているのが見えた。それを目にした瞬間、強烈な興奮が湧き上がってきた。思わず悲痛な声で「早く舐めてやってください!」と叫ぶと、運転手は戸惑いながらも舌を伸ばし、慌ててそのドロドロに濡れた割れ目をベロリと舐めたのだった。

ウツボ109

 運転手は、割れ目に沿って大きく舌をベロベロと動かした。それはまるで、喉が渇いていた大型犬が水を飲んでいるようであり、静まり返った車内にはぺシャぺシャと下品な音が響いていた。
 シートの上で、妻はウゥゥゥゥゥンと唸りながら上半身を仰け反らせていた。そんな妻の顔からいきなりワンピースの裾を剥ぐと、「見ろ。知らないオジさんにオマンコが舐められてるぞ」と囁き、そこが見えるように妻の顔を持ち上げた。
 ハァハァと荒い息を吐きながら、驚愕した目でそこをジッと見つめていた妻だったが、しかし、裂け目を上下する運転手の舌がコリコリのクリトリスを捕らえた瞬間、突然妻はすすり泣きのような声をあげながら上半身を仰け反らせた。

ウツボ110

 イヤイヤと激しく首を振る妻の妻の上半身を押さえ付けた。そうしながら素早く後部座席に両膝を付くと、妻の股間に顔を埋める運転手を見下ろしながら、「入れたいですか?」と聞いた。
 運転手の舌の動きがピタリと止まった。運転手はそこに顔を埋めたままソッと私を見上げると、「い、いいんですか……」と声を震わせた。私は左右に動く妻の顔を両手で押さえつけながら、「今までに、3Pしたことありますか?」と聞いた。すると運転手はすぐさまブルブルっと首を横に振り、蚊の鳴くような声で「女房以外の女は……知りません……」と答えた。
 予想していた通りの男だった。私はこんな男を求めていたのだ。浮気をしたこともなければ、風俗にも行ったことがない、そんな真面目な男こそが、私が求める最高の性奴隷になってくれるに違いなかった。
 そんな運転手を見下ろしながら、私はもう一度、「この女と本当にヤリたいんですね?」と念を押した。すると運転手は、今度ははっきりと「ヤらせてください」と即答したのだった。

 見ず知らずの赤の他人から、最愛の妻を「ヤらせて下さい」と頼まれた。普通の夫ならば激怒するところだが、しかし異常な夫である私は、その残酷な言葉に身震いするほどの欲情を覚えていた。
 私は、両手で押さえ付けていた妻の顔を覗き込むと、「この人、お前とヤリたいらしいよ……どうする?」と聞いた。しかし妻は、無言で私の目を見つめたまま何も答えなかった。イエスともノーとも答えないまま、ただひたすらに眉を八の字に下げながら私をジッと見つめていた。
 実際、そんな答えなどどちらでも良かった。もし、答えが『イエス』であっても、私は妻のその背信的な言葉に激しく身悶えるだろうし、例え『ノー』だったとしても、私は嫌がる妻のその姿を見ては、同じく激しく悶えるであろう。だから今の私にとってその答えはどちらでも良かったのである。
 いずれにせよ、この薄汚い中年男に妻をヤらせるのは決まっている事だった。だからわざわざそれを妻の口から言わせる必要などなかった。が、しかし、私はそれを執拗に妻に問い質していた。今の妻に選択権などないにもかかわらず、それでも私は、敢えて「本当にこの男にヤらせてもいいのか?」と問い質していた。
 その理由は、妻に罪悪感を植え付けるためだった。
 因みに、私が理想とする『寝取られ』というのは、裏切られた事により湧き上がってくる絶望感が快楽へと変わっていくという、実に特殊なプレイだった。決して、そこいらのブログで紹介されているような、明るく楽しく安全な社交プレイなどではなかった。
 だから妻には罪悪感が必要だった。妻には、旦那が見ている目の前で他人棒に悶えるという事は、決して健全なプレイではなく背徳行為だという事を認識してもらわなければならなかった。常に罪悪感に苛まれながらも、密かに快楽に溺れる。そんな、暗くてジメジメとした残酷性がなければ、私が理想とする寝取られプレイは成り立たないのだ。

 黙り込んでいる妻の頬にペニスを食い込ませた。そして「どっちなんだよ……このままヤらせちゃってもいいのか? それともダメなのか? ちゃんと自分のこの口で答えろよ……」と、罪悪感を植えつけながら、その柔らかい唇に亀頭をグイグイと押し付けてやった。
 するとその瞬間、妻の唇がゆっくりと開いた。そしてパンパンに腫れ上がった私の亀頭に妻の舌がヌルヌルと絡みついた。それが答えだった。無言で亀頭をベロベロと舐め始めたその行為こそが、罪悪感に苛まれた『イエス』の意思表示だった。

ウツボ111

 たちまち私は絶望に陥った。やっぱりこの女は変態だった、と、その残酷な意思表示を見下ろしながら、私はショックに打ちひしがれていた。
 しかし、これこそが私が求めていた残酷な寝取られだった。名前すら知らない行きずりの男のペニスを、「入れて欲しい」と旦那に意思表示している妻のこの裏切り行為こそが、最も私の異常性欲を高ぶらせてくれる瞬間だった。
 私は運転手を横目で見た。そして、「こんな女、好きなようにして下さい」と、投げ遣りに呟いた。それまで妻の股間で身を潜めていた運転手がサッと顔を上げ、「本当にいいんですね」と念を押した。

「結構ですよ……どうやら私の妻は本物の色情狂のようです……どうぞ、思う存分、ヤリまくって下さい……」

 そう告げるなり、妻はゆっくりと私のペニスを吐き出した。そしてソッと私から顔を背けながら、「お願いだから見ないで……あなたは車から出てて……」と小さな声で呟いた。

 妻のその残酷な言葉に、思わず声を出して「あああああ……」と身震いした。たちまち真っ黒な悪魔が私の心臓を鷲掴みした。ナイフのような鋭利な爪がドクドクと鼓動する心臓に食い込み、ヘドロのような汚れた血がドロドロと溢れ出した。
 異様な快感に脳をクラクラさせながらドアノブに指を引っ掛けると、運転手が「あのぅ……」と私を呼び止めた。

「コンドームは……」

 そんな運転手を無視して、無言でドアを開けた。途端に生温い潮風が顔面に襲いかかってきた。そのイカ臭い潮の香りに、激しい吐き気を催した。

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)25

2013/06/13 Thu 00:01

 後部ドアに凭れながら夜空を見上げていた。海沿いの夜空には分裂した鼠色の雲がいくつも浮かび、それが凄い速度で風に流されては、月のあかりを消したり灯したりと繰り返していた。
 そんな夜空を見上げていた私は、狂ったように小指の爪を噛みまくっていた。今、この車の中では、互いに性器を剥き出しにした妻と他人男が二人きりなのだと思うと、強烈な焦燥感に襲われ、意味もなくこのだだっ広い駐車場を全速力で走り回りたい衝動に駆られた。
 が、しかし、そんな私のペニスは勃起していた。妻が汚されてしまうと焦りながらも、あのヌルヌルに濡れた妻の膣に、見知らぬ中年男の肉棒がヌルリと滑り込む瞬間を想像しては、痛いくらいにペニスを勃起させていたのだった。

ウツボ112

 その心境は複雑すぎるほどに複雑だった。他人男に妻をヤらせたい、他人棒で妻を乱れさせたい、と、そんな欲望を強く抱きながらも、しかし、もう一方では、妻の性器に見知らぬ男の性器がナマで擦れ合う想像に嫉妬し、妻の穴の中に名前も知らない男の精液がドクドクと中出しされている想像に絶望した。
 絶望と欲望が複雑に混じり合っていた。鼠色の雲が月を遮ると絶望し、雲が流れて月の明かりに照らされると興奮した。そんな感情に交互に襲われていた私は、まさに重度の躁鬱病者だった。駐車場のアスファルトにベタリと座り込みながら、突然頭を掻き毟ったり、いきなり股間を握りしめたりと繰り返している私は、ストレスで頭がおかしくなった動物園の熊のように滑稽だった。

 私がタクシーから出て五分が経過していた。あの狭い車内で、性器を剥き出しにした男女が五分間も一緒にいれば、既に淫らな行為が行なわれているのは必然だった。まして二人は興奮していた。例えそれが道徳に背いた罪深き行為だとわかっていても、もはや、濡れた穴を剥き出した獣と、熱り立つ肉棒を突き出した獣には、その興奮を抑える事はまず不可能であろう。
 そう思いながら腕時計を見つめていると、ひっくり返ったカエルのように股を開いた妻の上で、薄汚い中年男が必死にコキコキと腰を振っている姿が鮮明に浮かび上がり、再び激しい焦燥感に駆られた。

ウツボ113

 そんな残酷な妄想を咄嗟に掻き消した私だったが、しかし私はそうしながらもズボンの中に手を入れていた。亀頭からは大量の我慢汁が溢れていた。トランクスの前は、まるで女のクロッチのようにネチャネチャに濡れていた。そんな我慢汁を潤滑油にしながら、ペニスをヌルヌルとシゴいた。
 しかし、ふとそこであることに気づいた。もし本当に男が腰を振りまくっているのなら、その振動で車がユサユサと揺れているはずだ、と。その静けさに不審を抱いた私はゆっくりと膝を立てた。運転席のドアに両手を付き、もしかしたら、トチ狂った運転手は妻を絞殺してしまったのかも知れないなどと、有り得もしない妄想を頭に描きながら、恐る恐る運転席の窓から中を覗いた。
 青い月明かりが車内を照らしていた。ぼんやりとした薄暗い闇の中で、黒い物体がユッサユッサと揺れていた。いつの間にか男は運転席へと戻り、そのシートに仰向けに寝転びながら、リズミカルに動く黒い物体を優しく撫でていた。
 それが、どんな状況なのかすぐにわかった。男の股間で蠢くその黒い物体が何なのかもすぐにわかった。しかし私はそれを認めたくはなかった。凄まじいショックに幾度も幾度も脳を襲われながらも、その黒い物体の積極的な動きを絶対に信じたくはなかった。
 そう絶望しながら愕然と窓を覗いていると、不意に男の手が、その黒い物体に垂れ下がっている髪をゆっくりと搔き上げた。青い月明かりに妻の横顔が照らされた。ゆっくりと上下に動く妻のその横顔は、まるで女神のように美しく、そして卑猥だった。

ウツボ114

(こ、これだったら……ズボズボにヤられていた方がマシだ……)

 ヌッと突き出した肉棒を、ヌルヌルと咥える妻の横顔を見ながら私は震え上がった。ここで私が見たかったのは消極的な妻だった。激しく欲情していながらも、その感情を必死にひた隠しながらヤられている妻を求めていた。しかし今の妻は逆だった。男の亀頭に絡みつく妻の舌の動きは明らかに積極的であり、必要以上に他人男を悦ばせようとしていた。
 これは、さっきの展望台での出来事とは大きく異なっていた。他人の男性器をしゃぶるという行為は同じでも状況が違っていた。展望台での妻は、ただ単に私の命令に従っただけだった。しかし、今の妻は、私の命令以外のことまで積極的に行っていた。例えそれが運転手の強要であったとしても、それは許されないことだった。あくまでも妻は私が所有する性奴隷であり、私以外の男の命令に従ってはいけないのだ。
 妻のその行為は、主人の私に対する裏切り行為だった。私の命令通りに、黙ってセックスだけヤらせておけばいいものを、妻は自ら積極的にあの汚れたペニスに舌を動かしているのだ。その必要以上なサービスは、明らかに裏切り行為だった。
 私は、今までにないショックに襲われていた。あの大人しい妻が、私の見ていない所でここまで変貌するのかと思うと、これが妻の本性だったのかと激しい怒りと悲しみに胸を締め付けられ、思わず運転席のドアに拳を叩きつけそうになった。
 が、しかし、私のその拳は勃起したペニスを握り締めていた。いつの間にズボンのボタンを外したのか、気がつくと私はペニスを剥き出しにしながらソレをシコシコとシゴいていた。

ウツボ115

 それに気づいた瞬間、今まで込み上げていた怒りと悲しみは、瞬時に快楽へと変わった。寝取られ願望者の悲しい性だった。マゾヒストの惨めな性だった。愛する妻が、この見ず知らずの薄汚い中年男のペニスを積極的に舐めている姿に、私は強烈な性的興奮を覚えていたのだった。

 上下する妻の頭部は、時には小さく、そして時には大きく動いていた。小さく動いている時は、亀頭を唇で挟みながらパフパフしたり、舌先で尿道をチロチロと舐めたりしていた。大きく動いている時はソレを根元まで飲み込み、窄めた唇で竿全体を上下に摩擦していた。
 その一連の動きは、いつも私にしてくれる愛撫と同じだった。だから妻の舌が各箇所を愛撫する度に、今この運転手がどんな快楽を得ているのかが手に取るようにわかり、嫉妬が渦巻いた。舌の些細な動きによって、いちいち嫉妬していた私だったが、その中でも何より嫉妬したのが、運転手の手が妻の髪を掴んでいる事だった。

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 これには嫉妬というより怒りを感じた。髪を鷲掴みにする運転手のその手は、もっと早くしゃぶれと言わんばかりに妻の頭部を動かしており、そこには背筋がゾッとするような陵辱感が漂っていた。
 それを見ながら私は、こんな田舎のタクシードライバー風情に、と激しい怒りを感じた。この運転手は、ついさっきまで、「本当にいいんですか……」などと声を震わせていた小心者なのだ。しかし、私が車から出て行ったために突然気が大きくなり、本性を剥き出しにした野獣へと変貌したのだ。
 きっとこのフェラも、運転手が無理矢理させたに違いなかった。妻を本物の変態肉便器だと蔑んだ運転手は、ペニスを挿入する前にもっと愉しんでやろうと、嫌がる妻にフェラを強要したのだろう。
 そんな運転手は、妻にペニスをしゃぶらせながら妻の尻を弄っていた。髪を鷲掴みにしていたもう片方の手を妻の尻に伸ばし、手首をくねくねと動かしながら、妻の尻肉をグニョグニョと歪めていた。

ウツボ117

 その手首の激しい動きからして、かなり乱暴に陰部を弄っている様子が伺えた。恐らく指を何本挿入し、内臓を抉り出すかのように滅茶苦茶に掻き回しているに違いなかった。
 妻が陵辱されている。私の大切な妻が、加齢臭漂う中年親父の性玩具にされている。そう思えば思う分、妻に対する愛おしさが倍増した。まるで、今までずっと片思いしていた女の子が、実はサッカー部の先輩とデキていたという事実を知らされた瞬間の学生のような、そんな悲しい切なさに胸を締め付けられた。
 が、しかし、そんな切なさも、妻の次なる行動で一瞬にして消え去った。
 口内にペニスをブシュブシュとピストンさせていた妻は、突然運転手の太ももに手を伸ばし、その股を大きく広げ始めた。シートの上で股を広げさせられた運転手は、まるでオムツを交換する赤ちゃんのようだった。妻は、口からペニスをベチョっと抜くと、そのままシワシワの睾丸をザラザラと舐めた。そしてその舌先を更に股間の奥へと滑らせて行くと、握ったペニスを上下にシゴきながら、その尻毛だらけの醜い肛門をチロチロと舐め始めた。
 それら一連の変態行為は、全て妻が自分の意思により行った裏切り行為だった。

ウツボ118

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)26

2013/06/13 Thu 00:01

 妻が肛門を舐め始めた瞬間、今まで胸を締め付けていたその純粋な切なさは、たちまちドロドロとしたヘドロと化した。
 妻のそれは、明らかに自分の意思によるものだった。妻は誰に命令されることもなく、自らその人間の体で最も不浄な肛門を舐め始めたのだ。
 まして相手は、見ず知らずのタクシードライバーだった。しかも、老猿のような顔をした薄汚い中年親父であり、決してイケメンの若い男ではなかった。
 そんな中年親父のそこは、きっと凄まじく汚れているはずだった。ウンチの臭いがツーンっと漂っては、トイレットペーパーのカスなどが尻毛にぶら下がっているに違いなかった。
 何より、長時間座りっぱなしのタクシードライバーである彼のそこには、ザクロのようなイボ痔が痛々しく剥き出されている可能性もあり、そんな男の劣悪な肛門を、妻は自らの意思で舐めているのだ。
 再び激しいショックに襲われた。妻は、もはやここまで堕ちてしまったのかと思うと、畏怖する反面、身震いするほどの性的興奮を覚えた。
 肛門を舐められる運転手は、「あっ」、「うっ」と唸り声をあげながら、まるで殺虫剤を吹きかけられたハエのように手足を蠢かせていた。
 暫くすると、妻の顔が尻の谷間からスーッと這い上がってきた。乱れたワンピースからは真っ白な巨乳が溢れ、自分で自分の乳首をコリコリと摘んでいた。
 そのまま妻は運転手の膝の上に座ってペニスをシゴき始めた。そして男の顔をソッと覗き込むと、その不浄な唾液でテラテラと輝く唇で何かを呟いたのだった。

ウツボ119

 妻が運転手に何といったのか聞こえなかった。しかしその後、突然妻が助手席シートに両肘を付き、運転席で寝転がっている男に向かって大きく尻を突き出した所を見ると、妻が運転手に言ったその言葉は、「入れて」だと予想できた。
 真っ白な尻が薄暗い車内に浮かんでいた。その中心でベロリと捲れるワレメには、まるでヨーグルトのような白濁の汁がぐちゃぐちゃに付着し、いかにそこを乱暴に指で掻き回されていたかを物語っていた。
 そんな卑猥な尻を見せつけられた運転手は、赤い旗に挑発された闘牛の如く鼻息を荒くしながら起き上がると、妻の二つの尻肉を両手でぐにゃりと鷲掴みにした。そしてそこをこれでもかというくらいに押し開くと、大きく突き出した舌でワレメを無茶苦茶に舐めまくった。
 運転手はそこをダラダラと舐めながら、妻の丸い尻肉を手の平で叩いていた。その張りの良さと弾力性を楽しむかのようにして、そこを何度もパンパンと叩きまくっていた。
 その乾いた音は車外にまで響いてきた。息を殺しながらその音に耳を傾けていると、ふとその音に混じって、「早く入れてください!」と叫ぶ妻の声が聞こえてきたのだった。

 それを耳にした瞬間、ズシンっと重たいショックが脳を襲った。
 旦那である私が自分で言うのもなんだが、妻は近所でも評判の美人だった。スタイルも良く、性格も優しく、そして何よりも独特な色気を持っていた。
 会社の同僚たちは、私の妻の事を『理想の奥さん』だと言った。上司の高橋部長からも、「キミの奥さんは美人だから、不倫されないように気をつけろよ」と言われていた。そのくらい私の妻は美しかった。男なら誰もが抱きたいと思うくらい、妻は魅力的だったのだ。
 なのに今、そんな妻は、あの薄汚い中年男に尻を振りながら肉棒を求めていた。しかも妻は、「入れてください」と敬語で乞うていた。今の妻は、そこまで下卑てまでこの男とセックスがしたいのだろうかと思うと、ズシンっと重たいショックが幾度も襲い掛かり、私の脳を滅茶苦茶に破壊した。

 ガクンっと膝から崩れ落ちた私は、アスファルトに両膝を付きながら、その残酷な車内を覗いていた。『新潟タクシー』と書かれた運転席のドアに亀頭を押し付け、そこに発情期の犬のようにコキコキと腰を振りながら、次なる展開に息を飲んでいた。
 しばらくすると、妻の尻に顔を埋めていた運転手が顔を上げた。テラテラに濡れ輝く唇を手の甲で拭いながらゆっくりと起き上がると、猫のようにそり曲がった妻の背中を見下ろした。
 運転手は深い溜息をつきながら尻肉の谷間を大きく広げた。そしてその濡れた中心部にペニスを突きつけると、腰を艶かしく動かしながら小陰唇に亀頭をヌルヌルと擦り付け、「本当にナマで入れてもいいんですね」と、妻に念を押した。

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 すかさず、「早く入れてください」という、切羽詰まった妻の声が聞こえてきた。すると運転手は突然ペニスの根元を握りしめた。まるで焦らすかのようにペニスを『の』の字に回しながら、濡れた穴の表面を亀頭でグチャグチャと掻き回し始めた。

「中で出しちゃってもいいんですか?」

 そう声を震わせながら、運転手はもう片方の手でクリトリスを弄り始めた。妻は、両手で髪を掻き毟りながら「ああああああっ」と叫んだ。そして、「中で出してください! だから早く! 早く入れてください!」と、必死に叫びながら、自らペニスを挿入しようとそこに尻を押し付けた。
 その瞬間、真っ赤な亀頭が濡れた穴の中にヌルッと滑り込んだ。すかさず妻が「あん!」と叫びながら腰をしならせると、同時に運転手が「はっ」とスタッカートな声で唸った。
 そのまま一気にズボズボと始まるものだと思っていた。肉棒を根元まで押し込まれ、ガンガンと突かれまくるものだと思っていたが、しかし、ペニスを握っていた運転手の拳が邪魔をして、それ以上深くは挿入されなかった。
 すかさず妻が、「もっと奥まで入れてください!」と声を枯らしながら叫び、更に尻をそこに押し付けたが、しかし運転手はペニスを握るその手を離そうとはしなかった。
 それでも妻は強引に腰を動かした。子犬のように、フン、フン、と鼻を鳴らしながら必死に腰を振っていたが、しかしその穴には、亀頭だけしかヌポヌポとピストンしていなかった。
 そんな無残な結合部分を覗いていた私は、ここまで焦らす必要があるのか? と、そう不審に思いながら運転手の顔を見た。
 運転手は、まるで梅干しを頬張っているかのように顔を顰めていた。下唇をギュッと噛み、その目玉は天井の一点をジッと見つめていた。
 それは明らかに限界の表情だった。旦那の前で他人妻の陰部を弄り、その陰部を舐めまくり、そして濃厚なフェラをされた挙句、調子に乗って指マンまでしてしまったために、この運転手は、肝心なセックスまで持ち堪えられなかったのだ。
 妻が尻をコキコキコキと振ると、四つん這いになった巨乳がユサユサユサと揺れ、穴に亀頭がヌポヌポヌポとピストンした。そんなリズムに合わせながら、運転手も「んっ、んっ、んっ」と苦しそうに唸っていたが、しかし、遂に我慢できなくなった妻は後ろに手を伸ばし、ペニスを握っていた運転手の腕を引っ張るという強硬手段に出た。
 男の指から離れたペニスは、その反動でビンッと微動していた。すかさず妻は、その突起物に向かって思い切り尻を押し付けた。それは何の障害もなく、根元までツルンっと飲み込まれた。

ウツボ121

 途端に妻が「はぁんっ!」と叫びながら天井を見上げた。ガバッと振り乱れた髪は歌舞伎の鏡獅子のように激しく、いかに妻がそれを求めていたのかが見て取れた。
 同時に運転手も「あっ!」と声をあげた。その根元までズッポリと突き刺さった結合部分を愕然と見つめながら、まるで瞬間凍結されたかのように固まっていた。
 一呼吸おいて、妻が猛然と腰を振り始めた。「あああああああああああああああ」と淫らな声をあげながら、まるでレゲェダンサーのように、器用に腰だけをコキコキと動かしていた。
 新幹線の中から散々私に焦らされていた妻にとって、この肉棒は待ちに待った御褒美だった。新潟に着いてからというもの、入れて欲しくて堪らなかった肉の塊だった。そんな妻は、左手で自分の乳肉を鷲掴みにし、右手でクリトリスを弄っていた。
 そうしながら腰を振りまくっている妻は、まさに獲物を得た飢えた獣のように乱れ狂っていた。しかし、運転手は違った。彼のその表情には喜びはなく、ただただひたすら『苦』の表情が浮かんでいた。
 案の定、その後すぐに運転手は腰を引いた。その穴の中で、わずか三擦りしただけで、早々とペニスを抜いてしまった。
 運転手は、ヌポッと抜けたペニスを慌てて握り締めると、そこに塗り込まれた妻の汁を潤滑油にしながら、それをピチャピチャと上下にシゴき出した。
 すかさず妻が、もっともっと、と言わんばかりに尻を振り始めた。名前も知らない他人男の肉棒を乞う妻のその姿は、まさに貪欲な牝豚だった。 
 そんな妻の惨めな姿を、私は嫌悪と興奮で顔を歪めながら愕然と見ていた。すると突然運転手が、「はっ!」とスタッカートな息を吐いた。そして「おおおおおおおおおお」と唸りながら体を硬直させると、真っ赤な亀頭の先から、真っ白な汁がビュビュビュッと噴射した。
 噴き出した精液は妻の性器にビタビタと飛び散った。運転手は、慌ててペニスを挿入しようとそれを突き出したが、しかし、亀頭が割れ目にパクッと挟まれると、そのあまりの気持ち良さからか、そのままペニスをシゴき始め、そこに全てを出し尽くしてしまったのだった。

ウツボ122

 ベロリと捲れた妻の赤い割れ目に、他人男の真っ白な精液がドロドロと滴っていた。それが陰毛を伝って助手席のシートの上にポタポタと垂れていた。
 それはある意味、中出しされるよりも卑猥で残酷だった。他人の精液を妻の陰部にぶっかけられると言うのは、その瞬間を見ることができる分、内密に行われる中出しよりも精神的苦痛は激しかった。
 そんな妻の無残な性器を見つめながら、寝取られマゾヒストな私は、怒りと嫉妬と興奮に胸を掻き毟られていた。
 運転手は、「はぁぁぁぁぁぁ……」と長い息を吐きながら、ワレメにペニスをハメたまま精液を全て出し尽くした。
 すると、ペニスをシゴいていた男の手の動きが止まるなり、それまで尻を突き出したまま身動きしなかった妻が、いきなりクルリとこちらに向いた。
 男はハァハァと肩で息をしながら妻を見下ろしていた。妻は四つん這いのまま男の下半身に顔を近づけると、ソッとアゴを突き出しながら唇を丸く開いた。
 妻は、その愛液と精液でドロドロに汚れたペニスを口に含むと、そのままネトネトとペニスをしゃぶり、その表面に付着する不浄な汁を妖艶に味わった。そしてペニスの根元をキュッと摘むと、その指をゆっくりと下ろしながら尿道の残液を口内に絞り出したのだった。

 チュポッと吸引しながらペニスを抜いた妻は、不浄な汁を口内に溜めたまままソッと顔を上げ、窓から覗いていた私を見た。
 そんな妻の顔は欲求不満の熱で火照っていた。待ちに待っていた肉棒が、わずか三擦りで抜かれてしまったため、妻の欲情は更に昂まっているようだった。
 妻は、恨めしそうに私を見つめながらゆっくりと舌を突き出した。その舌には、見ず知らずの男の精液が白く泡立ち、ヘドロのようにドロドロしていた。

 それは、明らかに私に対する挑発行為だった。私の異常性癖を知り尽くしていた妻は、わざとそれを私に見せつける事により、見事私を絶望と欲情の谷底に突き落としたのだ。
 そんな妻の淫らな舌を見つめながら狂ったようにペニスをシゴいた。 (そんなに他人男たちとヤリたいなら、今からたっぷりとヤらせてやるよ……)と呟きながら、私は運転席のドアに書かれた『新潟タクシー』の社名にその惨めな精液をぶっかけてやったのだった。

ウツボ123

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)27

2013/06/13 Thu 00:01

 監獄のように狭いその部屋には、日本海特有のじっとりとした湿気がジメジメと漂っていた。白い壁はタバコのヤニでクリーム色に染まり、テレビの裏やベッドの下には、相も変わらず猫の毛玉のような埃の塊が溜まっていた。
 重たい遮光カーテンを開けると、一瞬、ツーンっとしたカビ臭が鼻を襲った。どうせ冬の間、結露を放置したままなのだろうと呆気にとられながらサッシを開けようとすると、案の定、そのサッシレールには黒カビがポツポツと広がり、窓枠のゴムパッキンは、干からびたミミズのようにヨレヨレになっていた。
 そんなサッシをガサガサと音立てながら開くと、ガスのように重たい潮風がモワッと部屋に入り込んできた。すぐ目の前には海が広がっていた。
 漆黒の闇の中で不規則な波の音が響いていた。国道沿いに並ぶオレンジの水銀灯に照らされた海はコールタールのように黒くうねり、そんな不気味な海を一人ぼんやりと見つめていると、不意に背後の浴室からボイラーの音が聞こえてきた。

 今から五分前、妻はこの部屋に入るなり、いきなり服を脱ぎ始めた。入口ドアを入ってすぐの通路でワンピースを脱ぎ捨て、そのまま私に振り向きもせず無言でバスルームに入っていった。
 そんな妻の慌てた様子に、ふと私は、妻はその不浄な部分を私に見られる前に、証拠隠滅してしまおうと思ったのではないかと勘ぐった。
 確かに、あの行為後、タクシーの車内には気まずい空気が漂っていた。誰も一言も口を開こうとはせず、ひたすら沈黙のままタクシーは走り続けた。ホテルに到着し、チェックインしている間もそうだった。妻は、まるで他人のように私を無視し、ロビーの隅の観葉植物の陰でジッと項垂れていた。エレベーターに乗っても私とは目を合わせようともせず、二人は無言のまま部屋に辿り着いたのだった。
 そして部屋に入るなり、妻は慌てて浴室に駆け込むわけだが、それは、必死に何かを隠そうとしている様子であり、明らかに不審な行動だった。恐らく妻は、陰部にネトネトと粘り着いている運転手の精液を、一刻も早く洗い流したかっただけだと思うが、しかし、服を脱いでいる時の妻には、浮気妻特有の背徳感がメラメラと漂っていたため、妄想癖のある私は、必要以上に勘ぐらずにはいられなかったのだった。

 浴室からボイラーの音が聞こえてきた事で、妻がシャワーを使い始めたと認識した。黒カビだらけのサッシを閉め、カビ臭い遮光カーテンを閉め、そのまま床のカーペットをサカサカと音立てながらクローゼットへと向かった。
 浴室から聞こえてくるシャワーの音に耳を澄ましながら、半開きのクローゼットをソッと覗いた。鉄パイプにぶら下がるハンガーの下に、妻の衣類が一塊になってドサっと置いてあった。黒いワンピースを摘み上げると、その中に包まっていたピンクのパンティーが、床の上にパサッと落ちた。

(いくらマンコを洗って証拠隠滅しようとしても、こんな物的証拠を残していては意味がないですよ奥さん……)

 私はそうニヤニヤ笑いながらパンティーを摘み上げた。そして推理小説の最後のページを開くかのように、恐る恐るパンティーを広げたのだった。

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 ぐっしょりと湿ったクロッチの中心に、一円玉ほどのゼリー状の液体があった。それはクロッチには染み込まず、まるで水晶のような形のままポツンっと溜まっていた。
 原型が崩れていない所から見て、これは妻がパンティーを脱ごうとした瞬間、緩んだ膣からトロっと垂れたものであると推測できた。それが妻の愛液なのか、はたまた運転手の精液なのかは定かではないが、しかし、その液体球に目を凝らしてみると、透明の液体の中に乳液のような白い濁りが渦を巻いているのが見え、となるとこの液体球は、妻の性器にぶっかけられた運転手の精液が、妻の陰部から滲み出た愛液の中に混じったものであると考えられた。
 カッと頭に血が上った。激しい嫉妬が異常な興奮を呼び起こし、ハァハァと息を漏らしながら、(妻の陰部に滴る他人男の精液)と、そう何度も頭の中で呟いていた。
 ふと気がつくと、私はそこに舌を伸ばしていた。だらりと伸ばした舌を小刻みに震わせながら、それを舐め取ろうとしていた。
 私は慌てて舌を引いた。この一粒の液体球は非常に貴重なものであり、勢いだけで一気に舐め取ってしまうのには、あまりにも勿体ないと思ったのだ。
 だから私は、取り敢えずそこに鼻を近づけた。犬のように鼻をクンクンとさせながら、その不浄な液体球の匂いを嗅いだ。そんなクロッチには、元々そこに染み付いていた妻の小便臭がダラダラと漂い、それに混じって、何やら消毒液のような異臭が微かに匂った。その異臭は妻のものではなかった。それは明らかに精液の匂いであり、センズリ後の丸めたティッシュの匂いによく似ていた。
 そんな淫らな匂いを嗅ぎながら、ズボンの中からペニスを引っ張り出した。そのギンギンに硬くなった肉棒を上下にシゴきながら、この液体を尿道にヌルヌルと擦りつけようか、それとも、チロチロと舐めながらその味をじっくり味わうべきかと悩んでいた。
 尿道に擦り付けるのは肉体的快楽で、味わうのは精神的快楽だった。異常興奮した今の私は一触即発だった。だからここで肉体的快楽を得るのは暴発する恐れがあったため、危険だと思った私は精神的快楽を選んで再びそこに舌を伸ばした。
 震える舌先がネトネトの液体球に触れた。まだそれはほんのりと生暖かかったため、舌先を上下に動かしていると、まるで妻のワレメを舐めているような錯覚にとらわれた。
 舌をゆっくりと戻そうとすると、舌先とクロッチの間に透明の糸が引いた。それがプツンっと千切れるなり、ペチャペチャと舌を鳴らしながらそれを味わった。汗のような、小便のような、そんなしょっぱい味だった。精液のような苦味はなかったが、しかし口内に残るその風味は、まさに栗の花そのものの嫌な香りだった。
 やはりこれは、妻の汁と運転手の汁が混じったものであると確信した。そう思えば思うほどに興奮が増し、あの運転手と二人して妻をガンガンと犯しまくっている妄想が次々に湧き出てきた。

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 脳をクラクラとさせながらペニスをシゴいていると、興奮のあまり私は、口内に溜まっていたその精液を、思わずゴクリと飲み込んでいた。もちろん精液を飲んだのは初めてだった。しかもそれは、愛する妻を性玩具のように弄んだ、本来、憎むべき相手である男の精液だった。
 それを飲み込んだ瞬間、強烈な屈辱感に襲われた。私は顔を歪めながら、ふと、あの時の妻も、やはり今の私と同じような屈辱に耐えていたのだろうかと思い、胸を激しく締め付けられた。
 不意に、脳裏にあの展望台での出来事が蘇ってきた。薄気味悪い店員の、あの恥垢だらけの汚れたペニスをしゃぶっている時の妻の姿が鮮明に浮かんできた。それと同時に、タクシー運転手に性器を弄られていた時の、あの羞恥に満ちた妻の横顔も浮かんできた。そして、大股開きで性器を舐められている時の妻の痛々しい喘ぎ声や、剥き出された性器に精液をぶっかけられている生々しい光景までもが、次々に脳裏に蘇ってきたのだった。
 そんな無残な記憶は更なる屈辱を私に与えた。屈辱に屈辱を重ねられ、己の惨めさと情けなさに胸を締め付けられた。
 が、しかし、私は異常者だった。普通の者なら、これほどの屈辱には耐え切れないだろうが、しかし私は違っていた。屈伏させられ、恥を受ければ受けるほどに快楽を得るという寝取られマゾヒストな私には、妻が他人男に陵辱されるというその屈辱は、性的興奮以外の何ものでもなかったのだ。
 そう考えると妻も同じだった。妻もマゾヒストだった。あの見ず知らずの小汚い男たちに性玩具にされながらも、密かに妻は悦びを感じていた。しかもその醜態を、旦那の私に見られる事で更に快楽を得ていたのだ。
 やはり私達夫婦は異常だった。お互いに羞恥や屈辱をエロスに変えてしまう変態だった。
 そう思うと、そんな妻が急に切なく思えた。私のような変質者と結婚したせいで、ドロドロのヘドロの中に引きずり込まれてしまった妻が切なくて切なくて堪らなくなった。
 しかし、私にとっては、そんな切なさもまた興奮材料の一つだった。切なさに胸を締め付けられた私は、すかさずペニスにパンティーを被せた。汚れたクロッチが尿道に当たるよう調節しながら、パンティーに包んだペニスをゴシゴシとシゴき始めたのだった。

ウツボ126

 はっと気が付き顔を上げると、私のすぐ目の前に黒々とした陰毛がふわふわと浮いていた。いつの間にドアを開けたのか、モワモワと湯気が立ち上る浴室に妻が立っていた。
 私はすぐにでも妻の股間に顔を埋め、その洗いたての小陰唇にベロベロと舌を這わせたかった。が、しかし、私は一瞬にしてそれを躊躇った。なぜなら、そんな私を見下ろしている妻のその表情はゾッとするほどに冷たく、まるで親の仇を見るような目をしていたからだった。
 咄嗟に私はマズイと思った。せっかくここまで妻を調教してきたというのに、あと一歩というところで、淫らな魔物をシャワーで洗い流されてしまったのだ。
 焦った私は、慌てて妻の尻に両手を伸ばした。両手で尻肉を支えながら、水滴が滴る下半身を静かに引き寄せ、安物のボディーソープの香りが漂う陰毛に唇を埋めた。
 ムホムホと唸りながら唇に陰毛をジャリジャリさせていると、不意に頭上から「もういや……」という妻の声が聞こえてきた。陰毛に顔を埋めながら「えっ?」と視線だけを上に向けると、いきなり妻は腰を引き、尻を押さえていた私の手からすり抜けて行ってしまったのだった。
 その体勢のまま呆然と固まっている私を無視し、妻はさっさと新しい下着に履き替えた。白い紐パンに包まれた尻をプリプリさせながら、ベッドの上に置いてあった浴衣を広げた。

「怒ってるのか?……」

 恐る恐るそう聞くと、妻は私を無視しながら、糊でバリバリになった浴衣をメシメシと羽織った。そしてあたかも私に、(もう終わりよ)と告げるかのようにその帯を頑丈に締めると、「怒ってない……疲れただけ……」と呟き、そそくさとベッドの中に潜り込んでしまったのだった。

 私はゆっくりと起き上がった。未だペニスを包んだままのパンティーをソッと剝ぎ、それをクローゼットの棚にポンッと投げ捨てると、身動き一つしないまま布団に包まっている妻の背中を見つめながら、ベッド横にあるドレッサー兼用のテーブルに腰掛けた。

(せっかくあそこまで妻をその気にさせたのに……)

 そう歯軋りする私は、妻にシャワーというインターバルを与えてしまった事を悔やんでいた。やはり、あのままあの運転手をホテルに連れ込み、サウナに潜入できる深夜0時まで引っ張るべきだったと、激しい後悔の念に駆られていた。
 しかし、ここで諦めたら全てが終わってしまう。そう思った私は、今からでもまだ遅くないと自分に言い聞かせ、その糸口を必死に探った。
 布団に包まる妻の背中を見つめながら、妻の体はまだ火照っているはずだと自分に暗示をかけた。他人男にあれだけ卑猥に弄ばれながらも、たったの三擦りで終わってしまったセックスで満足出来るはずがない。いや、逆にその三擦りのセックスによって興奮は更に高まり、それが今、どす黒い欲求不満となって妻の陰部をジクジクと疼かせているに違いないと、私は強引にそう思い込んでいた。

 ソッとタバコを唇に挟みながらサイドボードのデジタル時計を見た。緑色の数字が、2、0、5、5、と浮かんでいた。サウナ潜入まで、あと三時間とちょっとしかなかった。とりあえずサウナへ行き、今夜妻をサウナに潜入させる事を、あのネズミ男に伝えておかなければならなかった。
 しかし、この状態で妻をここに置いていくのは危険だった。このまま放置しておけば、妻は本当に寝てしまう可能性があった。寝るというのはシャワーを浴びるよりも気分をリセットさせてしまうものだった。だからここで妻を寝させてしまえば、これまで積み重ねてきた妻の変態性欲は完全に消去されてしまい、そんな寝起きの妻を男性サウナに連れ込む事など、絶対に不可能となるのだった。

 とにかく、今の妻に少しでも残っているヘドロを保持させなくてはならなかった。ヘドロと言うのは、そこに少しでも残ってさえいれば、悪性腫瘍の如く増殖して行くものだった。だからその少量のヘドロを殺してしまわないよう保持しておけば、妻を男性サウナに連れ込める可能性は大いにあるのだ。
 そんなヘドロを保持させるには、妻を一睡も寝かさないようにさせなければならなかった。しかもその間、それなりの性的刺激を与え続けておかなければならなかった。

(どうやって妻に刺激を与えておくか……)

 私は百円ライターを指の中で転がしながら考えた。少なくとも私がサウナに行ってネズミ男と打ち合わせをしている間だけでも、なんとかして妻のヘドロを生かしておかなければならないのだ。
 そう考えていると、ふと、テレビボードの隅に立て掛けてあった、『有料アダルトチャンネル』という広告が目に飛び込んできた。私は吸いかけていたタバコを再び箱の中に戻した。そしてサイドボードに手を伸ばし、テレビのリモコンを手繰り寄せると、テレビのスイッチを押した。
 3チャンネルに入れると、いきなりバコバコとセックスしている映像が飛び出した。驚いた私は、親に内緒でこっそり深夜放送を見ようとしている昭和の少年のように、慌てて消音スイッチを押した。
 しかしそれはサンプル映像だったらしく、三十秒ほどで消えてしまった。一瞬暗くなった画面には早速メニューが映し出された。様々なジャンルに分かれていたが、リアル感を妻に与えようと思い『素人投稿モノ』を選んだ。
 そこから更にジャンルが絞られていた。痴女、人妻、オナニー、野外露出、援交、巨乳、SM、というお決まりのジャンルの中から『乱交』を選び、これから妻が男性サウナで繰り広げようとしているプレイに最も近いタイトルを探し求めた。
 すると、公序良俗に反したタイトルがズラリと並んでいる中、『成人映画館の肉便器妻』という、今まさに私が求めているタイトルを発見した。
 それは、四十分モノで五百八十円もした。恐らく、ネットのエロ動画サイトなら無料で見られる程度の作品だろうが、しかし、今の私には十倍の五千八百円を支払っても惜しくなかった。
 購入ボタンを押すと、いきなり映画館の闇の中でポツンと座っている女が画面に現れた。周囲は薄暗く、顔にはアイマスクがかけられていたため、女の顔立ちや年齢はわからなかったが、しかし、その垢抜けない髪型や地味な服装には、本物の変態人妻らしさが漂っていた。
 目隠しされた女は、ジッと俯きながらスクリーンに反射する光に照らされていた。暫くすると、前後左右の闇から、見るからに下級層な男たちが一人二人と忍び寄り、女はあっという間に取り囲まれてしまった。
 闇の中から次々に無数の手が現れた。その手は、一匹のシマウマに群がるハイエナのように荒々しく、目隠しをされた中年女は、たちまち髪を振り乱して悶え始めた。
 女の履き古した下着が妙にリアルだった。カメラを意識しながら恐る恐る触っている男たちも本物っぽかった。画像は悪かった。しかし、その分モザイクは薄く、濡れた陰部の艶までもがはっきりとわかった。

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 これだからインディーズ系のエロビデオは良かった。人物や背景やストーリーなど一切無視し、いきなりおっぱじめる所が、回りくどくなくて好きだった。
 これならいける。そう確信した私は消音ボタンをもう一度押した。ハァハァと悶える女の卑猥な呼吸と、男たちの下卑た笑い声が静まり返っていた部屋に響いた。それでも妻の体は身動き一つしなかったが、しかし、布団に包まりながら耳を澄まし、ジッと息を潜めている様子はひしひしと伝わってきた。
 そんな妻を見下ろしながら、バッグの中からローターを取り出すと、同時にドレッサーの前に置いてあったティッシュを一枚抜き取った。そのティッシュの端を小指の爪ほどに千切り、それをローターのスイッチの隙間にソッと差し込んだ。こうしておけば、妻がローターを使ったかどうかがわかるのだ。
 それを持って、妻が寝ている側のベッドの隙間に向かった。そして妻の顔の前でゆっくりとしゃがむと、そのトラップが仕込まれたローターを、これ見よがしに妻の枕元に置いた。
 布団の中で胎児のように丸まっていた妻は、一瞬チラッとそれを見たが、しかし、何も興味を示さないまま再び目を閉じた。
 そんな妻の耳元に、「ここの地下にサウナがあるらしいから、ちょっと行ってくるよ」と囁いた。妻は布団に包まったまま無言でコクンっと頷いた。
 静かに立ち上がり、足音を立てずにドアへと進んだ。クローゼットの前でソッと振り返ると、白い布団に包まる妻の膨らみが、ふと繭に包まるカイコに見えた。

 画面の中の中年女は、いつの間にか全裸にされていた。ひっくり返ったカエルのように股を開かされ、その剥き出した股間には、労務者風の薄汚い男がすっぽんのように吸い付いていた。
 ベロベロと動き回る男の舌に、中年女が「あぁーあぁー」と痛々しい声を上げ始めた。すると、それを見下ろしていた男たちが一斉にジャンケンを始めた。
 そんな残酷なビデオを垂れ流しにしたまま部屋を出た。通路を歩く私のペニスは痛いくらいに勃起していた。我慢できなくなった私は、エレベーターに乗り込むなり、ズボンの中からペニスを引きずり出した。そして、映画館で全裸にされながら、見知らぬ男に陰部を舐められている妻の姿を妄想しては、我慢汁が溢れるペニスを上下にシゴいたのだった。

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(つづく)

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変態

吐泥(へろど)28

2013/06/13 Thu 00:01

『サウナキング』と書かれた自動ドアが開くなり、玄関端の小さなカウンターでテレビを見ていたネズミ男が、「おっ」という顔をした。
 相変わらずテレビの音量は大きく、志村けんとマツコデラックスのわざとらしい笑い声が玄関一杯に響いていた。
 背後で自動ドアがゴォォォォと閉まった。「来ましたね」と、ネズミ男が不敵に笑い、私も下品な笑顔を浮かべながら「来ました」と呟いた。
 十二時に妻を連れて来ると伝え、サウナを後にした。そんな十二時までは、まだ三時間近くあった。その間どう過ごそうか考えながらエレベーターに乗り込み、六階のボタンを押そうとしたが、しかし、部屋を出てからまだ十五分しか経っていなかった。
 今頃妻は、恐らくオナニーの真っ最中だった。いくら興奮が冷めてしまったとはいえ、もはやどっぷりとヘドロに浸かってしまっていた妻には、あの状況下でオナニーが我慢できるだけの平常心などあるわけがないのだ。
 そう確信しながら、私は一階のボタンを押した。とりあえずロビーで時間を潰し、部屋に突入するタイミングを見計らおうと思ったのだった。
 
 エレベーターの扉が開いた。既にロビーは照明が消され、無人のフロントだけがダウンライトに照らされながらぼんやりと浮かんでいた。
 田舎のビジネスホテルにはよくある光景だった。こんな田舎で、こんな時間にチェックインする客などおらず、だからこうしてさっさと照明を落としてしまうのだ。
 薄暗い通路にスリッパの音をヒタヒタと鳴らしながらロビーに進むと、道路沿いのショーウィンドウの前に、四脚の応接セットがポツンと置かれていた。
 その応接セットは、まるで昭和のカップル喫茶のように観葉植物で仕切られていた。確か前回のチェックインの際、その花柄模様の応接セットの趣味の悪さと、カラーボックスの中に押し込まれていた百冊以上の『こち亀』に、思わず笑ってしまった場所だった。
 取り敢えずそこで時間を潰そうと思い、観葉植物の隙間からガサッと強引に中に入った。するとそこに真っ赤な豚が一匹いた。豚は携帯電話を耳に当てたまま、突然現れた私にブヒッ!っと鼻を鳴らして驚いたのだった。

 それは豚ではなく女だった。丸々と太った女が、ショーウィンドウから漏れる交差点の赤信号に照らされながら驚いていた。
 慌てて私は女に「失礼……」と小さく呟き、女の真正面の席にソッと腰を下ろした。そしてすぐさまカラーボックスに手を伸ばすと、読みたくもない『こち亀』を一冊取り出したのだった。
 最初は飛び上がらんばかりに驚いていた女だったが、しかし私が、『こち亀』をパラパラし始めると、次第に動揺は落ち着き、再び携帯に向かってコソコソと話し始めた。
 私は『こち亀』をパラパラしながらも、女の話し声に耳を傾けていた。女は、妙に古臭いガラケーをパンパンに膨らんだ頬に食い込ませながら、仕切りに「チェンジ」という言葉を口にしていた。
 ページの端からソッと女を見た。びっくりするくらいのミニスカートを履いており、そこからボンレスハムのような肉の塊が、ボン、ボン、と二つ伸びていた。それは、サイズが小さいのか、それとも元々短いのか、どちらかはわからないが、とにかくそのスカートの短さは一般常識からかけ離れていた。
 私はわざとらしくページの音をパシャリと立てながら、更に女の観察を続けた。女はブスだった。赤塚不二夫の漫画に出てくるような、そんな絵に描いたようなブタ顔だった。そしてその体も、やはりブタだった。ブクブクの巨漢デブという感じではなく、ムチムチの小デブといった感じであり、それが更にブタ感を濃厚にさせていた。
 そんな豚女は、私に聞かれまいと、必死に声を潜めながら電話をしていたが、しかし、この静まり返った空間では、女の声だけでなく相手の声さえも携帯から漏れ聞こえていた。
 相手は男だった。その口調は横柄であり、まるでチンピラのような巻き舌を使っていた。女は何かに怯え、携帯を握るその手は微かに震えていた。

「ぐだぐだ言っとらんと、もういっぺん部屋に行ってこいや!」

 突然男の怒鳴り声が聞こえた。すると豚女は亀のように「ひっ」と首を窄め、今にも泣き出さんばかりの表情で「でも……」と声を震わせた。

「……チェンジって言われて……もっと若くてスタイルのいい子を連れてこいって怒鳴られたんです……だからもう私では……」

「いいからもういっぺん行ってこいや! 土下座して頼み込んでこいや! ええか、その客取るまで迎えにはいかんからな、その客逃したらそこから歩いて帰ってこいや、わかったかボケ!」

 男は一気にそう捲し立てた。そして散々怒鳴った挙句、一方的に電話を切ってしまったのだった。

 その電話の内容とこの極端に短いスカート、そして深夜のビジホのロビーというこの状況から総合して考えると、この女は紛れもなくデリヘル嬢だった。その豚のような醜い容姿から客にチェンジと言われ、それで会社から怒鳴られまくっている惨めな風俗嬢に違いなかった。
 豚女はぐったりと項垂れていた。切られてしまった携帯電話を耳に押し付けたまま愕然と動かなくなった。
 そんな豚女を私はマジマジと観察していた。『こち亀』を膝の上に置きながら、もはや堂々と真正面から豚女の体を観察していた。
 ボテッと垂れた二つの乳の下に、肉付きの良い三段腹が段々畑のように続いていた。尻と太ももは同じ太さであり、くびれが全く見当たらないその体は、まるでドラム缶のようだった。
 携帯を握ったままの脇には汗がじっとりと滲んでいた。黒いTシャツの脇に浮かぶそのシミは、まるで黒いパンティーのクロッチに広がるシミのように、不潔っぽくも卑猥だった。
 短いスカートには、所々に毛玉がくっついていた。素足のくるぶしには、薄っすらと血が滲んだバンドエイドが貼ってあった。長いストレートの黒髪は見た目が重く、妙にじっとりと湿ってはどこか油っぽかった。

(だらしない女だ……)

 そう思いながら、項垂れる女を観察していた。こんな気持ちの悪い女などチェンジされて当然だろう、と思いながらも二本の巨大な太ももの隙間を必死に凝視していると、不意に女が携帯をパシャンっと閉じた。すると、それと同時に女の下半身が微かに歪み、今までピタリとくっついていた太ももの隙間から白いパンティーがチラッと見えた。
 そのムチムチの肉にぴっちりと密封されていたソコは、きっとムンムンに蒸れているはずだった。これほどだらしない女ならば、恐らくソコは、デブ特有の酸っぱい汗と、ちゃんと拭ききれていない小便の残り汁、溜まりに溜まった恥垢と、ダラダラと垂れ流しされたままの濃厚なオリモノ、そして、前の客にベロベロと舐められた唾液や、無残に中出しされた精液といったものが放置され、とんでもない異臭を放っているに違いなかった。
 そんな匂いを想像していると、私の中に潜んでいる異常変態性欲がムラムラと湧き上がってきた。あのムチムチの太ももに顔を挟み、その凄まじい陰部に顔を埋め、舌をレロレロと動かしながらその激臭と腐味に悶え苦しんでみたいという奇怪な欲望に取り憑かれた。

 背筋をゾクゾクとさながらソッと視線を上げた。ふと、項垂れていた豚女と目が合った。豚女は太ももを見ていた私を見ていたのだ。
 思わず私は「こんばんは」と声をかけた。豚女は脅えた目をウルウルさせながら小さくコクンと頭を下げ、それと同時に弛んでいた太ももをピタリと閉じた。
 そのオドオドしさが更に私の変態性欲を掻き乱した。脅えながら股を閉じるその仕草は明らかにMだった。
 デブでブスでバカでだらしないM女。客にチェンジを告げられ、会社に怒鳴られ、行き場を無くした風俗嬢。
 そんな惨めな女に、私は特殊なエロスを感じた。
 例えばこれが、明け方の歌舞伎町の路上や、深夜の道玄坂の風俗案内所といった場所だったなら、きっとここまでのエロスは感じなかったはずだ。これは、地方のビジネスホテルのロビーという薄寂れたシチュエーションが、私をそう感じさせていたのだ。
 因みに私は、新宿の高層ホテルの最上階で、藤原紀香をヌルヌルと抱くよりも、田んぼの隅の農機具小屋で、汗臭い柴田理恵と恥垢だらけの生殖器を擦り合わせる方を選ぶ変態だ。

 豚女は、項垂れたままチラチラと私を見ていた。油っぽい黒髪の隙間から覗くその目には、貪よりとした陰のオーラが漂い、汲み取り便所の底で身を潜めているカマドウマを連想させた。
 そんな豚女に、私は問答無用の鋭い視線を向けていた。ピタリと張り付く太ももをジッと睨みながら、無言の眼力で「股を開きなさい」と念力を送っていた。
 すると、まるでその念力が通じたかのようにその股が一瞬弛み、再び白いパンティーが顔を出した。
 サッと視線を上げると、豚女は脅える目で私を見つめながら、何かを必死に訴えていた。私はその目をキッと睨み返した。そして単刀直入に「いくらですか?」と聞くと、豚女は蚊の泣くような小声で「六十分六千円です……」と答え、まるで獲物を見つけた獣のように、そのボテッと垂れた醜い唇をベロリと舐めたのだった。

 異様に安いデリヘルだと思った。関東辺りのデリヘルでは六十分一万五千円が相場であり、余程なババアでない限り一万円を切ることはまずなかった。
 田舎だからといって半額近くも安くなるものだろうかと不審に思っていると、豚女は私の目をソッと覗き込みながら、「お部屋に……行きますか?」と恐る恐る聞いてきた。

「いや……部屋には妻がいるんだ……」

 そう答えると、すかさず豚女はショーウィンドゥを覗き込み、点滅する赤信号を指差しながら、「この交差点の裏に宿がありますけど……」と呟いたのだった。

 一瞬、『宿』という言葉に心が動いた。
 昭和の高倉健の映画に出てきそうな裏寂れた漁村。舗装されていない湿っぽい裏路地にある廃墟のような木賃宿。二股ソケットの裸電球とブヨブヨに腐った古畳。窓の外では日本海が荒れ狂い、薄氷のような窓を常にカタカタと響かせている。
 そんな宿で、この醜い豚女をじっくり陵辱してみたいと思った。荒縄で縛った豚女を四つん這いにさせ、その不浄な陰部にあらゆる残酷な器具を駆使しては、この醜い豚女を猟奇的に犯しまくりたいと思った。

ウツボ129

 が、しかし時間がなかった。サウナの時間まであと三時間しかないため、その魅力的な宿を諦めざるを得なかった。
 だから私はその場でズボンを脱ぎ始めた。豚女は「えっ?」と驚きながら辺りをキョロキョロと見回し、「ここでですか?」と声を潜めた。
 そんな豚女を無視し、私は全裸になった。花柄のソファーに踏ん反り返りながら、既に勃起しているペニスを突き出すと、愕然とする豚女にそれをヒクヒクと突きつけながら、脱いだズボンのポケットから財布を取り出した。そして意地悪く豚女を睨みつけると、「お前みたいな豚は、ここで十分でしょ?」と唇の端をニヤリと歪ませ、薄い財布をパタパタと振ってみせたのだった。

 豚女は、顔を引き攣らせたまま俯いていた。この女は、見た目は変態豚女だったが、しかしその内面は意外にウブなのかも知れなかった。
 そう思うと、更に私はこの豚女に欲情を覚えた。この惨めな風俗女に、これでもかというくらいの羞恥を与え、その屈辱と快楽によって、泣きながら悶えさせてみたいという、そんな異常な願望を抱いた。
 私は財布から六千円を抜き取った。どうあっても客を取らなければならないという今の彼女の状況を知った上で、それを傲慢にパサパサと振りながら、「どうすんだ豚?」と女の顔を覗き込んだ。
 項垂れた豚女は、バサリと垂れた黒髪の中で下唇を噛んでいた。必死に何かと葛藤していたようだったが、しかし、金を見せられるなりその葛藤は脆くも消え、力んでいた肩からスーッと力が抜けたのだった。

 豚女はゆっくりと立ち上がった。その醜い体を小熊のようにノソノソさせながら私の横にソッと腰を下ろした。一瞬、女のその黒いTシャツから古い油のような匂いがした。
「夕飯は天ぷらか?」と聞きながら、どっぷりと肉付きの良い乳をぐにゃりと鷲掴みにすると、豚女はソッと目を伏せながら「ハムカツです……」と答えた。

「ハムカツなんか食わす店があるのか?」

 そう薄ら笑いを浮かべると、豚女は「いえ……」と小さく首を振りながら、出勤する前、自宅のアパートで子供達に揚げてやったのだと告げた。

 以前私は、駅前の雑居ビルの中にある『凡年堂』という古本屋で、昭和のトルコ風呂経営で莫大な富を得たという社長のビジネス書を立ち読みしたことがあった。その本の中で社長は、『風俗嬢は、客に所帯じみた話しを絶対にしてはならない』と書いていた。それは、そんな話を聞かされた客は興奮が冷めてしまうからという意味であり、この業界では、風俗嬢による、持病、借金、家族についての話は『三大タブー』とされていると書いてあった。
 となると、この田舎の風俗嬢は、そのタブーをいとも簡単に破って見せた。しかもそれは、出勤前に自宅のアパートで子供達にハムカツを揚げてやったなどという、あまりにもリアルな貧乏くさい話であり、プレイ前にそんな話を聞かされれば、プレイ中、ハムカツに食らいつく幼い子供達や、ボロボロに朽ち果てた二階建てアパートなどがチラチラと頭に浮かんでは、その罪悪感から気分もペニスも萎えてしまうに違いなかった。

ウツボ130

 確かに、普通の客からすれば、このハムカツ話は、出てきた風俗嬢が母親に似ていたというくらい大きなダメージに違いなかった。
 が、しかし、私は異常な客だった。逆に、そんなハムカツ話を興奮材料とし、泣き叫ぶ子供達の前で母親を陵辱したいなどと想像してしまうほどの変態だった。
 だから私は、敢えてこの時、その子供達の名前を聞いた。豚女はもじもじしながらも、「女の子が『愛』で……男の子が『勇気』です……」と答えた。
 どうせ無残なキラキラネームだろうと思っていたが、意外にもその名前は古風だった。しかし、すぐにその名前がアンパンマンの歌だという事に気付くと、所詮こんな女の子供はハムカツレベルなんだと悲しくなり、聞かなければよかったと後悔した。

 いつの間にか豚女の手が私の股間に伸びていた。そのヒクヒクと脈を打つペニスをがっしりと握り締め、慣れた手つきでシコシコとシゴいていた。
 私はまだ六千円を握ったままだった。本来なら風俗は前金のはずなのだが、しかし豚女は、その金を受け取らないままシコシコと手コキを始めていた。

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 そんな私のペニスは汚れていた。今日だけでも、数え切れないほど射精していた私だったが、しかし一度もそこを洗ってはいなかった。どす黒い皮が上下する度に、白くドロドロとしたカスが亀頭へと押し出され、それがカリ首の周りで泡状となりヘドロのようにヌメっていた。
 私は、そのタプンっと垂れた乳をムニムニと揉みながら、まるで職人のようにせっせとペニスをシゴいている豚女に「歳はいくつだ?」と聞いた。
 豚女は手首を上下させながらも、カリ首に溜まったヘドロを小刻みに指で救い取っていた。そして、溜まったそれを素早く亀頭に塗り込み、そこに、クチュ、クチュ、と卑猥な音を立て始めると、恐る恐る私の顔を見ながら「三十五です」と答えた。
 すかさず私は、乳を掴んでいた手を豚女の首に移動させた。そのマフラーのように首に巻き付いている二重アゴをムンズと掴みながら、「お前じゃない、そのハムカツ食ってた子供だよ」と怒鳴り、摘んでいたアゴ肉を思い切り引っ張ってやった。
 豚女は、サザエに耳を引っ張られているカツオのように「イタタタッ」と顔を顰めると、そのまま私の太ももの上にバタッと倒れた。そんな豚女の目の前には、白濁のカスにまみれたペニスが、ヌッと天を貫いていた。
 豚女は、そのままハァハァと荒い息を吐きながら、私の太ももを舐め始めた。そして再びペニスを上下させながら、「愛が五歳で、勇気が二歳です……」とポツリと呟き、その舌の先で陰毛をカサカサと鳴らした。

「五歳と二歳か……今、誰が面倒見てるんだ?」

 そう聞きながら豚女の後頭部を押し、早くこれを口に含めと言わんばかりに、亀頭の先を豚女の唇にツンツンと押し付けた。しかし豚女は、「旦那です」と答えながら、それでもそれをしゃぶろうとはしなかった。顔の位置をソッとずらし、太ももに舌先をチロチロと動かしていた。

「旦那の仕事は」

「……無職です……」

「旦那は、お前がこんな仕事をしてることを知ってるのか?」

 豚女は小さく首を振り、一瞬躊躇いながらも、「旦那には……コンパニオンをしてると嘘をついてます……」と答えた。

 その言葉を聞いた瞬間、猛烈な興奮がムラムラと湧き出してきた。
 デブでブスでバカな豚女。あまりの醜さから、客に追い返された惨めなデリヘル嬢。そんな彼女にも、旦那と幼い子供がいた。旦那は、まさか自分の妻が、ここまでバカにされながらも他人男の性器をしゃぶっているとは夢にも思っていないだろう。その子供達も、自分の母親が、ここまで悲惨な目に遭わされながらも、見ず知らずのおじさん達のチンチンを舐めている事など夢にも思っていないだろう。
 この豚女のそんな背景を考えると、私は居ても立っても居られない性的興奮が湧き上がり、クラクラと激しい目眩に襲われた。そんな悲惨な家庭の、そんな哀れな旦那になってみたいと思いながら、異常な欲望をドロドロと渦巻かせていた。
 興奮する私は、声を震わせながら「早くしゃぶれ」と、豚女の後頭部を強く押した。しかし豚女は、またしても顔をずらした。唇に突き刺さる肉棒を上手く躱しながらソッと私の目を見つめ、「尺八だと五千円追加になりますけど……」と恐る恐る呟いた。

 私は素直に驚いた。だからこいつは、なかなかチンポを舐めなかったのか……と、そこで初めて、この低脳女の幼稚な策略を理解した。
 田舎だと思って舐めていた。歌舞伎町じゃああるまいし、まさかこんな田舎のデリヘルで竹の子剥ぎをされるとは思ってもいなかった。
 そう驚きながらも、しかし私は、逆に「よし」と思った。それならそれで、こちらも徹底的に楽しませてもらうぞと、断然闘志が湧いてきたのだ。

 黙って財布の中から一万円札を取り出した。持っていた六千円と足して合計一万六千円を豚女に突き出し、「これで本番まで頼む」と言うと、豚女は貪欲な形相を浮かべながらも、それでも一応マニュアル通りに「本番行為は……」と躊躇うふりをした。
 こいつはアホか、と思いながらも、しかし、そのアホさ加減が面白くてたまらなかった。私は更に財布の中から一万円を取り出し、「これでもダメかね」と笑いながら、それを黒い御影石の床に投げ捨てた。
 一万円札は紙飛行機のようにスッと飛んだ。そのままソファーの下へと滑り込むと、それを目で追っていた豚女はすかさずソファーから飛び降り、慌ててソファーの下に手を突っ込んだ。
 そこから一万円を摘み出した豚女は、溢れ出る欲望を必死に堪えながら、わざとらしい小声で「わかりました……」と呟いた。その瞬間、何故か突然、薄汚い子供達が必死にハムカツに喰らい付いているシーンが頭に浮かび、思わず私は、床に跪いていた豚女の右肩を蹴飛ばしたのだった。

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)29

2013/06/13 Thu 00:01

 深夜のロビーは半分以上の照明が消されていた。薄暗いロビーの中、唯一、無人のフロントだけが煌々と明かりを照らし、まるで『シャイニング』のホテルのような不気味さを漂わせていた。
 そんなロビーの窓際に、観葉植物に囲まれた応接セットが、一つだけポツンと置かれている。そこで私は全裸になっていた。豚のような醜い風俗嬢に、熱り勃つペニスをじゅぼじゅぼとしゃぶらせながら、ソファーに沈んだ生尻を汗でベタベタに濡らしていた。
 豚女のフェラはそれなりに上手かった。容姿が悪い分、テクニックでカバーしているのだろう、繊細な部分にまで丁寧に舌を滑らせながら唇ピストンを続けていた。
 このまま射精するのも悪くないと思った。私は異常なほどの絶倫男であるため、例えこの豚女の口の中に、立て続けに三度射精したとしても、その直後にその腐れマンコの中に五回射精することだってできた。
 しかし、そんな精力はあっても、今の私には時間がなかった。数時間後には、妻を男性サウナに潜入させるという大イベントを控えているため、今ここでこの醜い豚女とゆっくり遊んでいる暇はないのだ。
 とは言うものの、既にこの豚女には二万六千円という大金を支払っていた。ここで楽しまないのはあまりにも勿体ないと思った私は、じゅぼじゅぼと下品な音を立てながら肉棒に喰らい付いている豚女の腹を再び蹴飛ばしてやったのだった。
 豚女は「うっ」と大袈裟に顔を顰めながら、御影石の床に尻餅をついた。スカートが捲れ、女子プロレスラー並みの太ももがフルルンと震えた。そこに曝け出された白いパンティーは質素だった。イトーヨーカ堂の婦人服売り場の店先で、『五枚千円』と書かれたカゴに山積みされているような、そんな貧乏くさい代物だった。

「パンツ脱げ、豚」

 そう冷たく吐き捨ててやった。こんな醜い女に二万六千円も払ってるんだと思うと、自ずと態度が傲慢になっていた。客に追い返され、路頭に迷っていたこの豚女を、そんな破格の値段で買ってやったのだと思えば思うほど、私の態度は傲慢無礼になった。一方の豚女もこの状況を理解しているらしく、そんな私の狼藉には文句一つ言わなかった。
 豚女は、唇に滴る唾液を太い腕で拭うと、何も言わずに床に尻餅をついていた尻を少しだけ浮かせた。そしてその巨大な太ももを片方ずつ上げながら、安物のハンカチのようなパンティーをスルスルと下ろし始めた。
 豚足のような太い足首から、白いパンティーが抜き取られた。汗で湿っているのか、それはまるでティッシュで作った紙縒りのようにクルクルに捩れていた。
 それをいきなり豚女の手から奪い取った。豚女は、一瞬「あっ」という顔をしたが、しかし私がキッと睨みつけると、そのままゆっくりと視線を落とした。
 そんな豚女の気弱な態度にサディズムな興奮を渦巻きながら、私はソファーに腰を下ろした。前屈みに座りながら、そのクルクルに捩れたパンティーを手の中で解すと、尻餅をついている豚女の目の前の床にそれを広げた。

ウツボ132

 黒い御影石の床に、ポツンと白いパンティーが浮かんでいた。広げられたクロッチには黄色いオリモノが染み付き、それはまるで女性器を形取った『マンタク』のように、その形をリアルに浮かび上がらせていた。
 それを見下ろしながら、「汚ねぇな……」と鼻で笑ってやった。それを目の当たりに見せつけられた豚女は、慌ててそれを取り戻そうと一瞬右手を動かしかけたが、しかし私が「触るな!」と言うと、出そうとしていたその右手は、瞬時に石のように固まってしまった。
 豚女のそんな服従に満足しながら、私はそれを指先で摘み上げた。そしてその部分を豚女に見えるように裏返しながら、そこに鼻を近づけた。
 キツいシナモンのような匂いが鼻腔をツンっと刺激した。それは枕に染み込んだ涎のシミのような匂いであり、生ゴミ用のポリバケツの底に溜まる汚水のような匂いでもあった。
 すかさず「くっさ!」と顔を顰めながら、そこから鼻を遠ざけた。それを上目遣いでソッと見ていた豚女は、羞恥と屈辱に顔を赤らめながら、その芋虫のような下唇をキュッと噛んだ。
 もしこのシーンをこいつの旦那が見ていたらと思うと、睾丸から濃厚な興奮がジワジワと湧き上がってきた。そして、是非ともハムカツの子供達にも、この悲惨なママの姿を見せてやりたいと思うと、湧き上がってきたその興奮が脳でグルグルと渦を巻き、思わず私はその黄色いシミに舌を這わせていた。
 その味は、いつも舐めている妻のそれと大して変わらなかった。味は変わらないが、豚女の方が断然に匂いがキツいため、口内に残るその香りは全く違っていた。
 ふと、こんな匂いを下半身にムンムンと漂わせながら、せっせと子供達にハムカツを揚げている女の姿が浮かんだ。子供達は、まさか自分のママの股間がこれほどまでに臭いとは思ってもいないだろう。まして、その数時間後に、見知らぬ男にそれを嗅がれ、「くっさ!」と罵られているなど夢にも思っていないはずだ。
 そんな事を考えながら、唾液でネトネトになったクロッチを亀頭に貼り付けた。薄っすらと残る黄色いシミの部分が尿道に当たるように微調整した。そして肉棒をパンティーで包み込むと、それを激しくガサガサとシゴきながら羞恥に耐える豚女をジッと見つめた。そんな私の性欲は、もはやサディズムを超え、猟奇へと成長していた。

 このまま豚女に見られながら、この激臭パンティーに中出しするのも悪くなかったが、しかしそれよりも、まずはこの強烈な匂いを発している元の部分を直接嗅いでみたくなった。
 そんな衝動に駆られた私は、いきなりソファーを立ち上がった。床で尻餅をついていた豚女の黒髪を鷲掴みにし、そのまま強引にソファーへと引きずり上げると、問答無用の目で豚女を見下ろしながら、「M字になれ」と命令した。
 豚女は、怯えた目をそっと伏せながら、ゆっくりと膝を曲げた。言われた通りに脚でM字を作りながら股を大きく開き、今まで肉に埋もれていたその不浄な生殖器を外部に曝け出した。

ウツボ133

 どす黒い肛門までもが剥き出されていた。世の女性達が最も隠しておきたい部分を、この女はこんな場所で曝け出している。
 豚女は身動き一つせずジッと黙っていた。黒くてぐちゃぐちゃしたそれは、まさにそれこそが汚物そのものだった。ぐにゃりと歪んだワレメは、正体不明の汁でねっちょりと湿り、まるでサラダ油を塗り込んだかのようにテラテラと輝いていた。
 そんな無残な陰部の前にソッとしゃがみながら、私は産婦人科の医師のようにそこを覗き込んだ。ピタリとワレメを塞いでいる真っ黒な小陰唇に指先を伸ばし、それをペロリと捲った瞬間、そこから強烈なイカ臭がプンッと溢れ出し、もろにそれを嗅いでしまった私は思わず「うっ!」と顔を背けた。

(こんなに臭いオマンコでよく商売ができるな……)

 そう驚愕しながら横目でそれを見つめていると、ふとそれが何かに似ていると思った。
 ベロリと捲れたドス黒い小陰唇の裏側は、ざくろのように赤く爛れていた。それが両サイドに捲られ、それまで封印していた肉穴をぽっかりと開いていた。その色、その形に見覚えがあった。その身の毛もよだつような気色の悪さは、忘れもしない、大学生時代に夢の島熱帯植物館で見た、『ウツボカズラ』そのものだった。

ウツボ134

 ウツボカズラは奇怪な姿と不気味な色彩を持っていた。それを初めて見た人のほとんどが、「うわっ」と顔を顰めてしまうほどにグロテスクだった。
 こいつが虫を食う植物だと知った時、その醜い容姿からして「当然だろう」と納得した。巨大化すると、ネズミやコウモリまで食ってしまうと聞かされた時には、もはやこいつは植物ではなく化け物だと本気で思ったりした。
 しかも、こいつの捕獲方法は実に陰湿だった。袋の中に消化液入りの蜜を溜めておき、その甘い蜜の香りで獲物を袋の中に誘い込むのだ。何も知らない獲物は、それがこの世の最後のご馳走になるとも知らず、甘い蜜に酔いしれた。次第に足元からじわりじわりと溶け始め、それが罠だったと気づいた時には、もはや袋の中から出られなくなっているのだった。
 一時の天国を見せておきながら、いきなり真っ逆さまに地獄に落とすというその捕獲方法は、一匹のシマウマに集団で襲いかかるハイエナのそれよりも残酷で卑劣だった。
 大学時代、夢の島熱帯植物館で初めてこの植物の存在を知った私は、激しいショックに襲われた。そのサイケデリックな袋の中でジワジワと溶かされて死んでいくミツバチに感情移入してしまい、そんな死に方だけは絶対にしたくないと背筋を凍らせた。そしてもう二度と駅裏の激安ピンサロには行くまいと心に誓ったものだった(しかしその一週間後には別の駅裏のピンサロに通っていた)。

 豚女の陰部は、あの時私を恐怖のどん底に陥れたウツボカズラと瓜二つだった。
 しかし、あの頃の私は、変態としてはまだまだ未熟だった。大学一年の頃、友人の家の洗濯機から友人の母(五十代後半)の使用済みパンツを盗んだ事があったのだが、その帰り道、ドキドキしながらクロッチを広げて見ると、そこにはペリペリに乾いたウ◯コのスジが幾本も付着しており、それを見て驚愕してしまった私は、慌ててそれをドブ川に投げ捨ててしまった。
 あの頃の私はそんなレベルの変質者だった。変態と呼ぶにはまだまだ感性が足りない未熟者だった。だからウツボカズラごときの低レベルなグロテスクさに恐怖を感じてしまい、せっかく店外デートできそうなムードまで持ち込んだ、新橋駅裏『花の子ルンルン』のみゆきちゃん(推定四十歳)を取り逃がす結果になってしまったのだった。
 しかし今の私は違う。レベルアップした今の私なら、友人の母のウンスジどころか、直接ウ◯コを舐める事も平気だ。ウツボカズラなど、その袋にペニスを突っ込みオナホールにしてしまうであろう。
 だから私は、豚女のそんなグロテスクな陰部に、一ミリも動じる事はなかった。いや逆に、この使い込んだ色艶と、動物的にだらしない汚れと臭いに、異常な興奮さえ感じるほどであった。
 私は迷う事なくそこに舌を伸ばした。恐らくそこには、ありとあらゆる性病の類が潜んでいるに違いないだろうが、しかし、そんな劣悪な陰部を舐めるというその行為そのものが、変態の私にとっては最高のエロスなのであった。

ウツボ135

 舌先で小陰唇をチロチロすると、すかさず頭上から、「まだシャワーを浴びてないから……」という、羞恥に満ちた声が聞こえてきた。
 そんな声に欲情を覚えながら、割れ目にへばり付いている白濁の恥垢をベロリと舐め取った。皮を剥いたぶどうのような塊が舌の上でヌルヌルした。これがこの醜い女の、今日一日の恥ずかしい垢なのだと思いながらゴクリと飲み込むと、それは痰のように喉にくっ付いて離れなかった。
 両手で尻肉を押さえつけた。そして両方の親指で割れ目を大きく広げながら、ヌメヌメと穴の中に舌を滑り込ませた。穴の中は熱を帯びていた。強烈な酸味が舌を襲い、赤錆の味が口内に広がった。
 そのまま舌をヌルヌルとピストンさせていると、豚女がわざとらしい営業声を出し始めた。それは彼女なりの精一杯のサービスなのだろうが、しかし常にリアリティーを求める私は、そのお粗末な喘ぎ声で一気に興醒めてしまった。

「つまらん声を出すな」

 そう見上げると、喉を膨らませているガマガエルのような二重アゴが目に飛び込み、改めてこの女の醜さを思い知らされた。

「二度と声を出すな。ちょっとでも声を出したらこのビラビラを噛み千切るから覚悟しておけ」

 そう言いながら真っ黒な小陰唇を甘噛みすると、豚女はその二重アゴをバウンドさせながらコクリと頷いた。
 豚女は隷属していた。二万六千円で買われたこの女は、もはや完全に私の奴隷だった。
(いい買い物をした……)と思いながら、その小指の先ほどもある巨大なクリトリスを舌でレロレロと転がすと、今度は本当に感じたのか、豚女は凄まじい形相をしながら必死に声を堪えていた。

 そうやってこの醜い女の汚れた陰部を、ベロベロ、チロチロと味わっていると、真っ赤な顔をした豚女が、不意に「あのぅ……」と呟いた。

「なんだ……」

「トイレに行ってきてもいいですか……」

 豚女は、手入れしていない眉を八の字にさせながら、申し訳なさそうにそう言った。「ウ◯コか?」と聞くと、豚女は「いきなりだったから……」と言い訳がましく呟きながら、「シッコです」と答えた。
 私は一呼吸おいて、「いいだろう」と頷いた。そして豚女の太ももを両手でがっしりと押さえつけながら、「ここでしろ」と低く呟いたのだった。

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)30

2013/06/13 Thu 00:01

 一瞬、抵抗の表情を見せた豚女だったが、しかし私のその目つきがあまりにも異常だったことに恐れをなしたのか、豚女はそのまま黙って項垂れてしまった。
 豚女の足首をいきなり掴んだ。股を更に大きく広げさせ、そのまま後ろに倒すと、体勢を崩した豚女は勢いよくソファーの上にひっくり返り、その醜い陰部を天井に向けた。
 豚女は抵抗しなかった。仰向けになったまま身動きせず、半ば諦めたような表情でジッと私を見つめていた。私は豚女の腕を掴み、「ここを持って」と、自分で両足を抱えるよう指示した。豚女は素直にそれに従った。両腕を両膝の裏へと伸ばし、そのまま自分の両足を持ち上げると、そこに肛門までも剥き出しにした。
 私は興奮しながら、「いいぞ、出せ」と尻を引っ叩いた。ピシッという乾いた音と共に、剥き出しにされていた赤黒い粘膜がヒクッと凹んだ。豚女はその醜い顔を更に醜く歪ませながら「出ます」と呟いた。その瞬間、凹んでいた粘膜がゆっくりと元に戻り、それと同時に、そこから黄金色の水がトトトトトッと噴き出したのだった。

ウツボ136

 醜かった。無様だった。まさにそれは、客に追い返された中年風俗嬢の、悲しき成れの果てだった。
 それでも私は、そんな醜さに猟奇的なエロスを感じた。例え金の為だとはいえ、出会って間もない男の目前で小便をするような、そんな女の異常性に強烈な興奮を覚えていた。
 私は「おおお」と唸りながら床に膝を付くと、尿が噴き出している陰部に顔を近づけ、まるで公園の水飲み場で水を飲むかのようにしてそれを口で受け止めた。
 名前も知らない女だった。どんな危険な病気を持っているのかわからない汚い女だった。それでも私は、この醜い女の尿を飲んだ。その臭い性器に唇を押し付け、まだ尿が噴き出している穴を舌で弄りながら、みるみる口内に溜まっていく尿をゴクゴクと飲み干していた。
 相当溜まっていたのか、それはいくら飲んでも止まらなかった。素早く股間から顔を離し、小便が続くそこに亀頭を突き立てた。シューっと音を立てて噴射する尿が私のヘソに当たり、濡れた陰毛がモズクのようになっている。
「入れるぞ」と言うと、豚女は眉間にしわを寄せながら、必死にコクンと頷いた。そのムチムチとした両太ももに体重をかけ、まるでプロレスでカウントを取るかのように豚女の体を押さえつけると、パックリと開いた穴に亀頭がヌプッと突き刺さった。

ウツボ137

 グッと腰を突き出すと、肉棒はいとも簡単にヌルッと滑り込んだ。まだ小便は続いていた。ピストンする度に尿は途切れ、まるで水鉄砲のように、ピュッ、ピュッと噴き出している。
 その穴は思っていた以上にガバガバだった。穴の隙間に尿が入り込み、ピストンする度に、長靴を履いた子供が泥の中を歩き回っているような下品な音を鳴らした。
 ガンガンと攻め立てられる豚女は、眉を八の字に歪めながら変な声を出していた。「あー、あー」と断続的に続くその声は、朝のカラスの鳴き声によく似ており、満更営業用の喘ぎ声ではなさそうだった。
(このバケモノ……本気で感じてるな……)
 そう思いながら、豚女の黒いTシャツを剥ぎ取った。当初は全裸にする予定だったが、しかしその中に着ていた肌色のスリップが妙に貧乏臭く、猟奇的な演出をリアルに醸し出していたため、敢えてそのスリップだけ残すことにした。

 尿が止まると同時にペニスを抜いた。ペニスが抜けると同時に、そのカラスのような不気味な鳴き声もピタリと止まった。
 私の下半身は、豚女の尿でびしょびしょだった。それは靴下も濡らし、靴の中敷さえも湿らせていた。
「チッ」と舌打ちしながら靴下を脱ぎ、靴を床に投げ捨てた。女の黒いTシャツを拾い、それで太ももの尿を拭き取りながらソファーでハァハァしている豚女に「立て」と命令した。

 あれだけの大声を出しておきながらも、フロントは静まり返ったままだった。当初は、見つかったら見つかった時だと覚悟を決めていたが、しかし、フロントには人の気配が全く感じられず、その心配はなさそうだった。
 安心した私は、観葉植物に囲まれた応接コーナーの中から豚女を連れ出した。
 勃起した全裸の男とスリップ一枚の肥満女が、だだっ広いロビーに裸足の足音をヒタヒタと鳴らしながら歩き回っていた。その光景は猟奇でしかなく、唐十郎と寺山修司をこよなく愛する私は、そう歩き回っているだけで一種のエクスタシーを感じていた。

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 エレベーターの前で足を止めた。
 そこは、ロビーの中で唯一照明が照らされている場所であり、最も危険な場所でもあった。
 照明の下で改めて豚女の顔を見た。五月人形のような顔だと思った。
 そんな豚女に、この明るい照明の下でウ◯コをさせてみたいと思った。そしてモリモリとウ◯コが捻り出されている最中の肛門に、ペニスを挿入したいと思ったのだ。
 私は豚女の顔を覗き込み、「ウ◯コ出るか?」と聞いてみた。
 豚女は一瞬首を傾げながらも、「たぶん出ません」と答えた。
「たぶんって事は、もしかしたら出るかもしれないという事かね」
「……はい……でも、ずっと便秘ですから無理だと思います……」
「ずっととはどれくらいだね」
 豚女は、記憶を辿るように首を傾げながら、「一週間です」と答えた。
 私は唐突にムラッと欲情した。この醜い豚女の腹の中には、一週間分のウ◯コが溜まっているのだと想像すると、居ても立っても居られないくらいに興奮した。
 私はハァハァと荒い息を吐きながら豚女の背中を押し、エレベーターの横に置いてあったエアコンの棚に両手をつかせた。アメリカの警察がやる身体検査のように両足を開かせ、立ったまま尻を突き出させると、そのまま豚女の足元にしゃがんだ。
 両手でブヨブヨの尻肉を左右に押し開くと、長年、様々な男たちに散々ほじくられてきた無残なワレメがベロリと口を開いていた。その赤黒いワレメの後部には、溶岩石のようなブツブツとした黒い塊がポコンっと飛び出しており、更に私の興奮は昂まった。

ウツボ138

「イボ痔だな」

 そう聞きながらそこに顔を近づけると、豚女は、悪びれることもなく「イボ痔と切れ痔の両方です」と普通に答えた。
 その溶岩石の塊には腐臭が漂っていた。それはウ◯コのようであり、何かが膿んだような匂いでもあった。こんなモノをぶら下げて、よく今まで商売ができたものだと驚きながら、それでも私は、迷うことなくそこに舌を伸ばし、それをレロレロと舌で転がした。
「痛いか?」と聞くと、豚女は「痛くありません、痒いだけです」と答えた。
「痒いのなら、こうされると気持ちいいだろ」
 そう言いながら更に舌の動きを早めてやると、そのポコンっと膨らんだ水膨れの中から、何やら醤油のような味のする汁がジワジワと溢れ出てきた。
 たちまちピータンのような香りが口一杯に広がり、さすがにこれは危険だと思った。慌ててそれをベッと吐き出すと、床に溜まった白い泡の唾液の中にはピンク色の血が混じっていた。

「痛くないなら浣腸します」

 そう言いながら立ち上がると、そのブヨブヨの尻肉を両手で押さえつけた。唾液で濡れた肛門に亀頭を押し付け、肛門を塞いでいる溶岩石を強引にこじ開けようとすると、さすがにそれは痛かったのか、豚女は下唇を噛みながら「ううううう」と唸り、エアコンの棚にしがみついた。

ウツボ139

 溶岩石は簡単にクリアできたが、しかしそれ以上はピクリとも前に進めなかった。
 当初、その肛門の感触を、オナホールの中に石焼き芋をパンパンに詰め込んだようなものと想像していたが、しかし、一週間も貯蓄されているウ◯コは石のように硬く、亀頭のような柔肉なものでは到底太刀打ちできない壁だった。
 この堅固なウ◯コ壁を破りさえすれば、いよいよフィナーレだった。決壊したダムの如く噴射する下痢ウ◯コと共に、この醜い女の無残な肛門に射精するという、実に華やかなフィナーレだった。
 それを夢見ながら、私はその堅固なウ◯コ壁と格闘していた。石のように硬い真っ黒なウ◯コ壁に、何度も何度も亀頭を打ち付けながら必死に腰を振っていた。
 すると、不意に背後で「チン!」という音が響いた。「えっ!」と振り向いた時には既に遅く、エレベーターのドアはサーッと開いていた。
 エレベーターの中には、ホテルの浴衣を着た男が一人いた。男は、すぐ目の前でまぐわっている私達に気付くと、「わっ」と小さく叫び、口を開けたまま絶句した。
 ここで騒がれてはまずいと思った私は、絶句している男に向かって、「レ◯プとかじゃありませんから」と笑顔で伝えた。そしてすぐさま女の尻から離れると、何もなかったかのように「行くぞ」と女の腕を掴み、そのままそそくさと観葉植物の応接コーナーに向かって歩き始めたのだった。

 応接コーナーの床には衣類が散らばっていた。慌ててそれを搔き集めながら男の気配を気にしていると、その男のスリッパの音は、みるみるこちらに近付いてきた。

「その女、デリヘルっすよね」

 頭上からそう呼びかけられた。ソッと見上げると、さっきの男が観葉植物の上からヌッと顔を出し、衣類を搔き集めている私を見ながらニヤニヤと笑っていた。

「ええ、まぁ……」

 そう曖昧に答えながら急いでトランクスを履いていると、豚女が「私のパンツがないんですけど……」と、その醜い顔を近づけながら聞いてきた。

「そこら辺にあるだろ、自分で探しなさい」

 まるで子供に言うようにそう豚女を突き放しながら、ソファーの下に脱ぎ捨ててあったズボンを手にすると、再び男が「そいつ、さっき僕がチェンジした女ですわ」と話しかけ、人を小馬鹿にするかのように「フン」と鼻で笑った。
 その「フン」が私の感情を逆撫でした。確かに、こんな所でこんな事をしている私たちの方が明らかに間違っているのだが、しかし、それにしてもこの男はデリカシーがなさすぎた。非を認めてさっさと退散しようとしている者を、草木の陰から覗き見しながら「フン」と鼻で笑うなど、憎たらしいにもほどがあるのだ。
 私はせっせとズボンを履きながらチラッと男を見てやった。その態度も憎たらしかったが、やはりその顔も憎たらしかった。特に髪型が憎たらしく、中途半端に伸ばした髪には、似合わないパーマがかけられていた。
 三十代だろうか、背が高く、なかなかがっしりとした体格をしていた。その不敵な目つきとチャラチャラしたパーマから見て恐らく遊び人であろう、ソープの呼び込みやキャバクラの店長にいそうな、そんな部類の嫌な男だった。
 そんな嫌な男は、私と目が合うなり、意味ありげに「凄いっすねぇ」と笑った。サッと目を反らしながら「何がですか?」と聞くと、嫌な男は、「こんな化け物と、よくヤリますねぇ」と笑い、ガサガサと観葉植物の隙間を抜けては、こちら側にやって来た。
 私はこのデリカシーのない男を無視する事にした。実に嫌な男だったが、しかし、あの体格では殴り合っても勝てるわけがなく、かといって馴れ合いたくもなかったため、無視するしかなかったのだった。
 嫌な男はドスンッとソファーに腰を下ろすと、浴衣の袖口からタバコを取り出し、一本口に銜えた。その銘柄はパーラメントだった。ライターも「カキン!」と音の鳴る金ピカの物であり、それを横目で見ていた私は、やはりこいつは水商売だと確信した。
 嫌な男は、タバコの煙をフーッと吐きながら、未だパンツを探し回っている豚女の巨大な尻をスリッパの先でツンツンと突いた。

「おい、化け物。ずーっと待ってんだけど、全然女が来ねぇじゃねぇか。どうなってんだよお前の店は」

 そう言われた豚女は、蚊の鳴くような声で「すみません……」と呟きながら、必死にソファーの下を覗き込んでいる。

「やっぱ田舎はレベル低いねぇ……歌舞伎町だったら秒殺で潰れちまうぜ……」

 そう嫌味っぽく呟きながら煙を吐いている男に、思わず私は「東京ですか?」と聞いてしまった。

「ええ。新宿っすよ。お宅も東京ですか?」

「ええ、まぁ……」

 そう曖昧に答えながらズボンのベルトをカチャカチャさせていると、今度は逆に「仕事ですか?」と聞かれてしまった。
 こんな嫌な男とは一瞬でも関わりたくはなかったが、しかし、なぜか靴が片方だけ見当たらず、すぐにこの場から立ち去れない状況に置かれた私は、再び「ええ、まぁ……」と曖昧に頷いた。

「仕事ですか……大変ですねこんな田舎に……」

 そう言いながら嫌な男は、まだ二口しか吸っていないタバコをクリスタルの灰皿に揉み消し始めた。

「僕も仕事で来たんっすよ。今、新宿で風俗嬢のスカウトマンしてるんですけどね、やっぱ都会の女の子よりも、地方の女の子の方が食い付きがいいですから、だからわざわざこんな田舎までキャッチしに来たんですけどね……でも失敗でした。商店街も駅前も老人ばっかだし、デリヘル嬢を引き抜こうと思ってもこれでしょ……」

 そう苦笑いしながら男は、ソファーの下を覗き込んでいる豚女の尻を思い切り蹴飛ばした。

「やっぱ金沢か富山に行けば良かったなぁ……」

 そう言いながら男はスッとソファーから立ち上がった。

「取りあえず、これからコンビニにでも行って、バカな田舎娘がノコノコやってくるのを網張ってみますわ」

 男は苦笑いしながらそう言うと、不意に私の耳元に顔を近づけ、声を顰めた。

「田舎だからってあんまり無茶しないほうがいいっすよ。田舎のコレは都会のコレよりも厄介ですからね」

 男は、右頬に人差し指を何度も走らせながらそう言った。そして、いきなりパーラメントの箱のビニールに突き刺さっていた名刺を一枚抜き取ると、それを私に突きつけながら、「もし東京で変態したくなったら電話下さい。まだ毛が生えてない子から、棺桶に片足突っ込んだ老婆まで色々取り揃えてますから」と不敵に笑い、そのままスタスタとホテルを出て行ってしまったのだった。

 その名刺には、『八雲芸能プロダクション』と書いてあった。男の名前は八雲潤一郎という、いかにもいかがわしい名前だった。その事務所も歌舞伎町の区役所通りという実にいかがわしい場所にあり、更にその会社のマークも、菱形の中に数字の『8』が入っているという、いかがわしさ極まりないものだった。
 私はそのいかがわしい名刺をすぐに握り潰すと、男がタバコを揉み消していたクリスタルの灰皿の中に捨て、テーブルの上に置いてあった『新潟信用銀行』のマッチで火を付けた。
 薄暗い応接コーナーが、ふわぁっと明るくなった。並んだ観葉植物にメラメラと炎が反射し、まるで海に沈む夕日を見ているようだった。
 そんな炎を見ていると、不意に(まだ毛が生えてない子から、棺桶に片足突っ込んだ老婆まで色々取り揃えてますから……)という八雲の声が蘇り、何とも言えない嫌悪感に胸を締め付けられた。

(嫌だ、嫌だ)

 そう首を振りながら、未だ頭から離れない八雲のあのいやらしい顔を振り払っていると、いきなり豚女が「あった!」と叫んだ。
 豚女のパンツは、私が探していた靴の片方の中に押し込まれていた。何故かそれは、窓際に置いてあったコーヒーの自販機の裏に隠してあった。
 背筋がゾッとした。何者かが意図的にそこに隠したとしか思えなかった。
 いったい誰がこんな所に私の靴を並べ、その中に豚女のパンツを隠したというのだ。しかもそのパンツのクロッチには、明らかにそこに射精したとわかる、生々しい精液がべっとりと付着しているではないか。

ウツボ140

(どこかに変質者がいる!)

 そう慌てた私は辺りを見回した。これは明らかに変質者の仕業だった。変質者が私たちを覗き見しながらセンズリしていたに違いなかった。しかもこの変質者はなかなかのツワモノだ。これだけ醜い豚女の激臭パンツに射精できるなど、もはや私レベルの変質者なのだ。

 私は何度も何度もこの静まり返った薄暗いロビーを見回した。私も変質者だったが、しかし変質者は怖かった。変質者であるがゆえに変質者の奇々怪々な行動が手に取るようにわかり、その分恐怖は倍増した。
 私は背筋をゾッとさせながら一刻も早くこの場から立ち去らねばと焦った。豚女は、パンツに付着している液体が何なのかわかっているらしく、黙ってそれを見つめながら絶句していた。そんな豚女の太い腕を掴み、「行くぞ!」とエレベーターに向かって歩き出した。「どこに行くんですか?」と恐る恐る聞いてくる豚女を、全裸のままエレベーターに押し込み、迷う事なく6階のボタンを押した。
 6階の部屋では、今頃妻がオナニーをしている頃だ。

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)31

2013/06/13 Thu 00:01

 エレベーターの扉が閉まるなり豚女が持っていたパンツを奪い取った。ドロドロの精液が溜まったクロッチを豚女に突きつけ「舐めろ」と言うと、豚女は露骨に嫌な顔をしながら、「誰のモノかわからないのは嫌です……」と恐る恐る私を見つめた。
 エレベーターの照明に照らされた豚女は、相変わらず醜い顔をしていた。ついさっきまでは五月人形に似ていると思っていたが、しかしこうして至近距離でマジマジと見ていると、お笑い芸人の塚地に見えてきた。

「いつも客のチンポをしゃぶってるじゃないか」

「…………」

「その客が誰なのか知ってるのか? どこの誰だかわからないんだろ? じゃあこの精子だって同じじゃないか」

 そう言いながらそれを強引に豚女の唇に押し付けようとすると、不意に頭上でチン!と音が鳴り、エレベーターの扉がサーっと開いた。
 私は豚女の長い黒髪を掴み、六階のエレベーターホールに引きずり出した。いきなり髪を引っ張られた豚女は、そのまま絨毯の床にドテッと倒れた。
 捲れたスリップの裾から黒々とした陰毛が顔を出していた。そんな豚女の横に素早く腰を下ろすと、子供のように体育座りをしながら、股間に豚女のパンティーを押し付けた。
 ドロドロのクロッチに亀頭を這わせ、ヌルヌルと滑らせた。誰のモノかわからない精液をペニス全体に塗り込み、ピチャピチャと音を立てながらそれをシゴいた。「これならいいだろ。ほら、早くしゃぶれ」と言いながら両足を伸ばすと、ピーンっと突き立ったペニスがダウンライトに照らされ、まるでエイリアンのように怪しく黒光りした。
 豚女は恐る恐るそこに手を伸ばし、ヌルヌルのペニスを握った。それをゆっくりと上下させながらそこに顔を近づけると、いつもの癖なのか、まずはその乾いた唇をペロペロと舐めた。
 唾液でギトギトになった唇を縦型に丸く開け、チロチロと舌を動かしながら、ゆっくりと亀頭に迫ってきた。それは五月人形でもなく塚地でもなかった。その顔はまさに、女装した高木ブーそのものだった。

ウツボ141

 最初はチロチロと舌を動かしていただけだったが、しかし私が「しゃぶれ、しゃぶれ」と急かしながら、その巨大な尻をバシバシと叩くと、次第に豚女はそれを根元まで銜え込み、ジュブジュブと下品な音を立てながら必死に頭部を上下させた。

(この化け物には二万六千円もの大金を支払っているんだ……元をしっかり取らなければ……)

 そう思いながら素早く立ち上がると、ペニスがヌポッと抜けた状態で口をぽっかり開けたままの豚女に、「行くぞ。立て」と急かした。
 豚女は上目遣いでソッと私を見ながら、「……どこに……行くんですか……」と恐る恐る聞いた。

「私の部屋に決まってるじゃないか」

「……でも……部屋には奥さんが……」

 そう眉を八の字に下げた瞬間、三段バラが浮き出るスリップの腹をドスッと蹴飛ばした。

「キミは、さっきからいちいち一言多いね。キミのような豚奴隷は黙って私の言う通りにしてればいいんだよ。今後、一度でも『でも』とか『イヤ』とか言ったら、さっきの金、全額返して貰うからね」

 そう言いながら、苦しそうに下唇を噛んでいる豚女の尻を蹴った。そしてそれをサッカーボールのように蹴り転がしながら、妻が待つ部屋へと向かったのだった。

 音を立てないよう部屋のドアを慎重に開けると、奥からアダルトビデオの卑猥な声が聞こえてきた。豚女をクローゼット前の通路に残し、息を殺して通路の壁からソッと部屋の中を覗くと、布団に包まった妻の体がベッドにもっこり膨らんでいた。
 もうオナニーは終わったのだろうか。それともオナニーをしないまま眠ってしまったのだろうか。そう思いながらベッドに足音を忍ばせると、妻は私の気配に気づいたのか、不意に寝返りを打った。
 その乱れた髪から妻の顔がチラッと見えた。妻は明らかに狸寝入りをしていた。閉じた瞼をヒクヒクと痙攣させながら、薄目で私を見ていた。
 わざわざ狸寝入りをするということは、今までこっそりオナニーをしていたに違いないと思った。
 枕元には、出かける前に私が置いたローターが、そのままの状態でポツンと置いてあった。そのローターにはある仕掛けがしてあった。ティッシュの端を小指の爪ほどに千切り、それをローターのスイッチの隙間にソッと差し込んで置いたのだ。
 そのスイッチの隙間にティッシュは見当たらなかった。それは妻がローターを始動させた証拠だった。
 ふとテレビを見ると、一人の中年女を三人の中年男たちが激しく攻めていた。モザイクは薄く、そこを出たり入ったりと繰り返している性器の色形がはっきりと見て取れた。こんな卑猥なビデオを見ながら、妻は一人黙々とオナニーに耽っていたのかと思うと、私は気が狂いそうなほどの激しい興奮に襲われ、今すぐその狸寝入りする妻の顔に精液をぶっかけてやりたい衝動に駆られた。

ウツボ142

 しかし私は、妻の狸寝入りに気づいていないふりをした。というのは、今からここであの豚女を犯すからだ。だから妻にはそのまま狸寝入りを続けて貰いたかったのだ。
 これから始まる無残なショータイムを目の当たりにさせ、とことん妻を狂わせたかった。そしてその狂った状態のままサウナに連行し、妻を完全なる肉便器にしたいと企んでいたのだった。

 私は、狸寝入りする妻の顔を覗き込みながら、ドアの前でジッと身を潜めている豚女に向かって「入って来なさい」と言った。
 その言葉に驚いたのか、一瞬、妻の瞼が開きかけた。しかし、私が妻の顔を覗き込んでいるのを知ると、妻は開きかけた瞼を慌てて止め、再びわざとらしい寝息を立てた。
 そうしながら、妻はジッと様子を伺っていた。しばらくすると、ぐったりと項垂れた豚女がノソノソと部屋に入ってきた。それを薄目で見ていた妻の唇がヒクヒクと震え始めた。
 おそらく妻は、再び私がさっきのタクシードライバーを呼び戻したとでも思っていたのだろうが、しかし、そこに現れたのはスリップ一枚の薄汚いおばさんだった。
 妻は薄眼を開けたまま驚愕していた。そんな妻を横目でチラチラ見ながら、その醜い女をベッドの上に座らせると、驚いた妻が、一瞬「あなた」と言ったが、敢えて私は聞こえないふりをした。
 戸惑う豚女をベッドに寝転がせた。豚足のような太い脚を強引に開き、わさわさと陰毛が轟く股間に顔を近づけながら、改めてもう一度妻を横目で見た。
 妻は布団で顔を半分隠しながら、愕然と私を見ていた。私はそんな妻の目を見つめながら、酷い匂いがモワモワと立ち上る陰部に指を這わせた。そのドス黒く濡れ輝いた臭肉を、指でぐちゃぐちゃと音立てながら、挑戦的な目で妻を見据えてやった。
 いきなりマンコを弄られた豚女は、「んんん……」と唸りながらドラム缶のような腰を捻った。そして恐る恐る私を見ながら「奥さんが……」と小声で言った。

「大丈夫だ。妻はぐっすり寝てるから気がつかないよ……」

 そう言いながらムチムチの太ももの間に顔を埋めると、そのぐにゃぐにゃの臭肉に舌をヌルヌルと回転させた。陰毛越しに妻を見つめながら不敵にニヤリと微笑んでやると、妻は私の意図するところを把握したのか、カッと見開いていた瞼をソッと閉じ、再び薄目に戻ったのだった。

ウツボ143

 他人女の陰部を舐めている所を最愛の妻に見られていた。そう思っただけで全身の産毛は逆立ち、今までにない興奮に襲われた。
 それは、いつも私は見る側の人間であり、これを見ている側の人間の気持ちが痛いほどにわかるからだった。
 今、これを見せつけられている妻の脳は混乱しているはずだった。怒りと嫉妬と恐怖が入り乱れ、この醜い女のアソコを舐めまくっている私に対して吐き気すら感じているはずだった。
 しかしそれは今だけだった。今にそれらは脳の中でジクジクと化膿し、変態的な興奮へと変化していくのだ。
 不思議な事に、その興奮は相手が醜ければ醜いほどに昂まるものだった。仮にその相手が絶世の美女だったとしたら、そこには嫉妬しか残らない。その嫉妬はいずれ怒りへと変化し、妻は性的興奮どころか絶望と悲しみで心を塞ぎ込んでしまう事であろう。
 私自身そうだった。
 私は、妻の相手が醜男でなければ興奮を得られなかった。薄汚い助平親父や社会不適合なオタク青年、加齢臭漂うサラリーマンやアル中のホームレスといった、いわゆるダメ人間に犯されながら悶える妻に私は欲情を感じるのだ。しかし、逆にそれが、手慣れたホストやジャニーズ系の美少年だとしたら、妻は体だけではなく心までも奪われてしまうのではないだろうかという焦りばかりが先立ち、性的興奮どころの騒ぎではなくなってしまうだろう。
 そういった意味でも、この豚女はこのプレイに最適な玩具と言えた。さすがに、これほどまでの醜女は嫉妬の対象にはならないからだ。
 が、しかし、それにしてもこの豚女は酷かった。グニョグニョの陰部の表面にはパルメザンチーズのような強烈な匂いが漂い、そのウツボカズラのような穴の奥からは、魚の腐ったような匂いがムンムンと漂ってきた。
 私はその異様な匂いに、何度も何度も吐きそうになった。それでも私は、一刻も早く妻を興奮させようと、必死に穴の中を舌で掻き回し、その悪性腫瘍のような巨大なクリトリスを人差し指で転がしまくっていた。
 そうしながらも、吹き出物だらけの醜い尻の端からソッと妻を見ていた。妻は薄目で私を見つめながら、眉間にくっきりと皺を寄せていた。その厳しい皺は一向に緩和する気配はなく、それどころかヒクヒクと痙攣させては、発狂寸前の日本猿の眉間のようになっていた。
 怒りと憎しみがくっきりと浮かび上がる眉間を見つめながら、やはり正常人な妻には、この醜くも卑猥な交わりを性的興奮に変化させるだけのイマジネーションはなかったのかと落胆した。あれほど私に調教されていながらも、たかだかこの状況を性的興奮に変えられないような妻は、所詮は正常人なのだと残念に思った。
 そう思うと同時に、私の心にモヤモヤと暗雲が立ち込めた。こんな正常人を、果たしてあの異常者だらけのサウナに連れて行って大丈夫なのだろうかという不安に駆られたのだ。
 しかし、もはやそんな不安に駆られている暇はなかった。時間がなかった。一刻も早くこの軟弱な正常者を狂った異常者に変えなければ間に合わないのだ。
 私は豚女の股からガバッと身を起こした。唇に付着したギトギトの臭汁をワイルドに手の甲で拭いながら、ハァハァとバウンドしている豚女の三段腹を冷血に見下ろした。「入れてやろう……」と低く呟きながら豚女の両足を両手で持ち上げると、妻が隣にいるというこの状況に欲情しているのか、豚女は赤く爛れた膣をヒクヒクさせながら「入れてください……」と悲願したのだった。

(やはりこいつは真の異常者だ)

 そう思いながら、大きく開いた醜い股間に向かって、思い切り腰を打ち付けた。勃起した私の肉棒は、何の障害もなくヌルッと滑り込み、不気味なウツボカズラに根元まで飲み込まれた。しかしその穴は、私の唾液と愛液をたっぷりと含みながら弛緩しており、まるでヘドロの中に挿入したかのように味気のないものだった。

ウツボ144

 それでも私は必死になって腰を振った。弛緩したガバガバの穴にコリコリの肉棒が激しくピストンし、まるで卵を溶いているのような音が部屋中に響いていた。
 ガバガバではあったが、豚女はそれなりに感じているようだった。全身の贅肉をユッサユッサと揺らしながら、まるでトドの出産のように「ああ、ああ」と不気味に喘いでいた。
 そんな豚女の横で妻は布団に包まっていた。いつしか妻の眉間に深く彫り込まれていた皺は緩んでいた。恐らく、その生々しい性交をまともに見せつけられたことにより、今まで彷彿していた怒りが悲しみへと変化したのであろう、今までキッと吊り上がっていた眉も、いつしか八の字に垂れ下がっていた。
 そんな妻の変化をチャンスだと思った私は、天井を見上げながら不気味に喘いでいた豚女の体を素早く裏返しにした。ゴロリとひっくり返った肉の塊を両手で持ち上げようとすると、豚女は自らその巨大な尻をヌッと突き出した。

ウツボ145

 それは凄まじい光景だった。ムチムチの肉の谷間からは痛々しいイボ痔が飛び出し、そこから滲み出た黄色い膿が、ベロリと捲れた割れ目にドロドロと垂れていた。あの強烈な匂いはこれが原因だったのかと思うと、突然激しい吐き気に襲われたが、しかし、目的がある私には、今ここで敵前逃亡するわけにはいかなかった。
 肉厚な尻の谷間を掻き分け、ぽっかりと口を開いた赤穴に肉棒を滑り込ませた。腰を振ると巨大な尻肉は水風船のように波を打った。最初のうちはパンパンっと小気味好い音を鳴らしていた尻肉だったが、しかし私の腰の動きが速くなるにつれ、肉波の反動は大きくなり、いつしかそれは、パコン、パコン、っと重圧な音に変わっていた。
 四つん這いの豚女は、まさに豚そのものだった。私の腰の動きに合わせて、ハァン、ハァン、と喘いでいるその声も、ブヒ、ブヒ、と鳴いているようにしか聞こえなかった。
 
ウツボ146

 腰を振りながらソッと妻を見ると、妻のその表情は、もはや完全に落ちてしまっていた。それは悲しみの淵から奈落の底へと突き落とされた絶望の表情であり、私の経験上、この特殊な絶望の次に異常な性的興奮が訪れるはずだった。
 このまま一気に勝負をつけてしまおうと、私は四つん這いになる豚女の、そのタプタプとした三段腹を両手でがっしりと抱きかかえた。そして結合したまま、ジャーマンスープレックスをかけるように豚女の体をおもいきり持ち上げ、そのまま勢いよく後ろにひっくり返った。
 ブリッヂ状態の私の腹の上に、丸々と肥えた豚女の背中が伸し掛かり、肉付きの良い肩が私の顔面を押し潰した。その肩肉は、中華街の露店で売られている蒸し豚の塊のように弾力性があり、思わず私は、そのままそれをガブリと食い千切りたい衝動に駆られた。
 豚女の右肩からヌッと顔を突き出すと、照明に照らされた豚女の垂れ乳と三段腹と剛毛な陰毛が目の前に現れた。張りがなくブヨブヨとしたそれは、もはや女体というよりも、ひっくり返ったガマガエルの裏側のようであり、醜さこの上なかった。
 そんな私の両足はM字に開いていた。豚女の両足もM字に開いていた。その状態でペニスはズッポリとハマっていた。所謂それは、四十八手でいうところの『撞木反り』という体位だった。

ウツボ147

 そのまま腰を振っていると、大開放された結合部分からは、クチャ、クチャ、と粘った音が鮮明に聞こえてきた。
 そんな結合部分は、狸寝入りをしている妻の顔のすぐ横にあった。当然、その部分は妻から丸見えであり、その粘った音どころか、卑猥な匂いまでも漂うはずの距離だった。
 その部分を妻に凝視されている事を意識しながら、私は腰を動かした。ガンガンと激しく突いたり、根元まで押し込んだままグリグリと掻き回したり、時には、亀頭だけを短くピストンしては、カポ、カポ、と奇妙な音を鳴らしたりした。
 そうやって私は必死にペニスをピストンさせ、その悲惨な部分を妻に見せつけてやった。
 それを続けながら豚女の肩越しに妻の顔をソッと覗くと、妻のその表情は明らかに変化していた。両目をカッと見開きながら、その悲惨な結合部分を見つめるその目は、まるで挑発された闘牛のように血走っていたのだった。

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)32

2013/06/13 Thu 00:01

 恐らく妻は、こんなシーンを見るのは初めてだった。いや、私の持ってる裏DVDで、こんなシーンは何度か見た事があるだろうが、しかし生で見るのは初めてに違いなかった。
 そんな妻は、ついさっきまで見知らぬタクシードライバーのペニスをしゃぶっていたのだ。そして今まで、ポルノ映画を観ながらローターでオナニーをしていたのだ。
 そんな妻が、こんなモノをまともに見せつけられて普通でいられるはずがない。そう確信した私は、腰をコキコキと振りながら掛け布団の端を摘んだ。そして布団の中をソッと覗いてみると、案の定、妻の指は、ぐっしょりと濡れたクロッチをグイグイと押していたのだった。

ウツボ148

 それを目にした瞬間、私は強烈な高揚感に包まれた。
 妻が変態だったという喜びと、自分がオナニーのネタにされているという快楽。そしてこのまま行けば、妻をサウナに連れ込むことができるという興奮が私を激しく歓喜させ、まるで浴槽の湯にバスクリンを入れた瞬間に香り立つ湯気に包まれたような、そんな多幸感が脳に溢れた。

(イけ。イきなさい。夫と他人女の醜いセックスを見ながらイくんだ)

 そう思いながら、妻の淫らな指の動きを布団の隙間から覗く私は、狂ったようにペニスをピストンさせ、そこに激しい粘着音を響かせた。
 すると、そんな私の思いが通じたのか、それまで膝をスリスリと擦り合わせていた妻の両足が、いきなり背伸びをするかのように伸び始めた。
 イきそうだな、とそう読み取った私は、今から訪れる妻の絶頂をより激しく、より劇的なものにしてやろうと思い、その瞬間に合わせて射精してやろうと思った。
 さっそく私は、その古い油のような匂いが漂う豚女の耳に唇を這わせ、「出るよ……出そうだよ……中で出しちゃうからね……」と、わざと妻に聞こえるように囁いた。
 それが私の意図的なセリフだとは知らない豚女は、「ダメ……ダメです……外で出してください……」と激しく首を振った。しかし、そんな豚女の緊迫した仕草と、そのリアリティーあるセリフが、一触即発だった妻のスイッチを押した。
 ピーンっと伸びていた妻の爪先がピクピクと痙攣した。それを見て(イッた!)と確信した私もすかさず射精し、穴に挿入したまま尿道をドクドクさせた。

ウツボ149

 射精に気づいた豚女は、慌てて「あっ! ダメです!」と叫びながら勢いよく腰を上げ、射精中のペニスを抜いた。
 豚女は、プロとしてあるまじき事をしでかした。素人女が無理矢理ナマでヤられていたわけでもあるまいし、最初からナマでヤらせていた玄人女が、既に射精中のペニスを強引に抜くなど、倫理上、絶対にやってはならない行為なのだ。
 が、しかし、今のこの状況では、逆にそれは良い結果となっていた。
 もちろん、射精中の私にとっては、せっかくの快感が半減してしまう結果となってしまったが、しかし、それをこっそり盗み見しながら絶頂に達していた妻にとっては、その生々しい射精の瞬間を目撃する事により、更に絶頂感を昂める事ができたはずだ。

ウツボ150

 そう思った私は、射精中のペニスを慌てて握りしめ、もっともっと妻に楽しんでもらおうと、勢いよくそれをシゴいた。
 びゅっ、びゅっ、と噴き出す精液は、パックリと開いたままの豚女の陰部にビタビタと飛び散った。
 私はネトネトと糸引くペニスをくちゃくちゃと摩擦しながら、しばらくの間、「むふぅぅぅぅぅぅぅ……」と快楽の唸りを上げていた。
 その唸りは、決して豚女との性交が気持ち良かったからではなかった。私のその快楽が長々と持続していたのは、掛け布団の隙間から見える妻の股間のおかげだった。
 なんと妻は、今まで下着の上から局部をクニクニと弄っていた指を、私が射精すると同時に下着の中に潜らせたのだ。そして私の射精シーンを見ながら下着の中をモゾモゾさせ、その静まり返った布団の中にグジョグジョと卑猥な音を響かせていたのだ。

ウツボ151

 そんな妻の秘密めいた行為に、私は妻の本性を見た気がした。異常興奮が次から次へと湧き上がり、本来なら、くすぐったいはずの射精直後のペニスは、どれだけシゴいても快楽が消え失せなかった。
 このまま連射する事も可能だった。いや、滅多にお目にかかれない妻のその動物的な本性はとても貴重であり、これで終わってしまうのは、あまりにも勿体なかった。
 そう思いながら、白いパンティーの中で蠢く妻の指の動きを眺めつつ、連射の態勢を取った私だったが、しかし、ここで思いもよらぬ問題が発生した。
 なんとあの豚女が、グチグチと文句を言い始めたのだ。

 既に私の腹の上から放り出されていた豚女は、ベッドの通路で蹲りながら股間にティッシュを押し付け、必死にウンウンと唸っていた。
 そんな豚女は、未だベッドの上でシコシコを続けている私を恨めしそうに見つめながら、「今日は危険日なんです今日は危険日なんです」と、まるで呪詛を唱えるかのように、同じ言葉をブツブツと繰り返していた。
 このまま連射しようと思っていた私だったが、しかし、こんな化け物に耳元で呪詛を唱えられていては、せっかくのネタも台無しになってしまうと思い、とりあえずこの豚から始末してしまおうと、素早くベッドを降りた。
「来い」と言いながら、通路で蹲っている豚女の手を引いた。「ちょっと待ってください、まだ精子が残ってます」と、再び通路に蹲ろうとした豚女の腕を素早く掴み、そのまま入口ドアまで乱暴に引きずった。
 部屋を出ようとすると、なぜか豚女は激しく抵抗した。膣から精液を絞り出す事などトイレでもできるのに、なぜか豚女は狂ったように抵抗しながら、私の部屋でそれをする事に拘泥した。
 それでも私は強引に豚女を廊下に引きずり出そうとした。閉まりかけたドアに必死にしがみつきながら、「まだ残ってるんです!まだ残ってるんです!」と叫んでいる豚女は、まるで国家権力の実力行使に抵抗している小市民のようであり、思わず笑えてきた。

ウツボ152

 ようやくその手を振りほどき、ひとまず部屋のドアを閉めると、さっそく豚女は廊下にしゃがみ込みんだ。再び陰部にティッシュを押し付け、「今日は危険日なんです今日は危険日なんです」と、またしても同じ呪詛を唱え始めた。
 明らかにそれは、中出しした私から少しでも金をせびろうとしているパフォーマンスに過ぎなかった。
 今までにもこんな修羅場は何度か経験していた。17歳のデリ嬢の肛門を無理矢理犯して二万円の罰金を請求されたこともあれば、人妻ホテトル嬢との性交中、その人妻の携帯をこっそり操作し、『旦那』とインプットされた番号にリダイヤルしてはその喘ぎ声を旦那に聞かせ、五万円の慰謝料を請求されたこともあった。
 今までなら、そんな輩は無視していた。どれだけ厳しく請求されようとも、「警察を呼んで白黒はっきりしようじゃないか」などと逆ギレし、一銭足りともその要求には応じなかった。
 しかし、今は違った。ようやく妻を、あのサウナに連れて行けそうな雰囲気となった今、無用なトラブルは禁物だった。今ここでトラブルを起こせば、投票日を目前にしてスキャンダルをスッパ抜かれた鳥越俊太郎の如く、今までの苦労が水の泡となってしまう可能性があるのだ。
 だから私は、ここは寛大に接することにした。一万円までならくれてやってもいいとラインを引きながら、廊下にしゃがみ込んでいる豚女の顔を覗き込んだ。

「いくら欲しいんだね」

 そう優しく聞くと、豚女は「お金の問題じゃありません」と開き直った。その仕草は、先日、国会前で慰安婦問題に対して座り込みデモをしていた在日のおばさん達によく似ていた。

「金じゃないならどうすればいいんだ。まさか、子供ができたら認知しろとでもいうのかね」

 そう、せせら嗤うと、突然豚女はキッと私を睨みつけ、「じゃあお金でいいです。今すぐ百万円支払ってください」と吐き捨てた。
 そう吐き捨てると同時に、豚女の口から肥満者特有の重たい口臭がモワッと溢れた。その長ネギのような匂いが脳を刺激し、不意にカッと頭に血が上った私は、気がつくと豚女の髪を鷲掴みにしていた。
 掴んだ髪を後ろに引っ張ると、豚女はいとも簡単にゴロンっとひっくり返った。廊下に寝転がった豚女の顔に掌を広げ、それを豚女の鼻に押し当てながら、「私の手はどうしてこんなに臭いかわかるかね」と聞いた。
 豚女は、何も答えないままジッと私を睨んでいた。そんな豚女の三段腹を、もう片方の手でムニュッと摘み、それを思い切り引っ張った。それはゴムのように伸び、途端に豚女は「イタタタタッ!」と叫びながら、団子虫のように丸まってしまった。

「君は、口も臭ければマンコも臭い。まして巨大なイボ痔は化膿し、そこから滲み出る膿汁が、こともあろうか商売道具であるマンコに溜まっていたのだ」

 そう言いながらゆっくりと立ち上がると、蹲った豚女の尻に素足の踵を押し付けた。

「いわゆる君は腐っているのだ。そんな腐った商品を、私は二万六千円と言う法外な値段で無理矢理買わされているわけであり——」

「——違います! あの料金はお客さんが勝手に——」

「うるさいハムカツ!」

 そう怒鳴りながら、尻に押し付けていた足を思い切り押し出すと、団子虫のように丸まっていた豚女の巨体がゴロリと転がった。
 一回転した豚女の背中を更に両手で押すと、豚女の巨体は面白いようにゴロリと転がった。
 思わず興奮した私は、「それ行け!」と言いながら豚女の背中を押しまくった。それはまるで、運動会の大玉転がしのようだった。
 童心に帰った私は、「それ、それ」と掛け声をかけながらそれを転がした。丸まった豚女は、無言で長い廊下をゴロゴロと転がっていたが、しかしその顔が私に向く度、豚女はなんとも言えない不気味な視線を私に突きつけていた。
 エレベーターの前まで転がすと、私はハァハァと肩で息をしながらエレベーターのボタンを押した。すぐに「チン!」というベルが廊下に響き、ザザザザッと扉が開くと、新たな照明が床で丸まっている豚女を煌々と照らした。
 そんなエレベーターの中に、再び豚女を転がした。豚女は、床に転がったままジッと私を睨んでいた。私はエレベーターの中に手を突っ込み、『閉』のボタンを押すと、ザザザザッと閉まるドアの隙間から「イボ痔にはヒサヤ大黒堂の薬が良く効くらしいよ」と告げた。

 グオォォォォォォォォンと動き出したエレベーターの音を背に、妻が待つ部屋に向かってゆっくりと歩き出した。
 長い廊下の絨毯には、白い液体が点々と続いていた。しゃがんで間近で見てみると、それは明らかに吐瀉物であり、転がされていた豚女が断続的に吐いたものに違いなかった。
 その液体を人差し指で掬った。一瞬、絨毯と指とにニュッと糸を引いたが、しかしそれはすぐにプツンっと切れ、まるでスライムのように私の指にブラブラとぶら下がった。
 匂いを嗅いでみたが、ハムカツの匂いはしなかった。
 舐めてみると、ただただ酸っぱいだけだった。

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)33

2013/06/13 Thu 00:01

 部屋に戻ると、妻はさっきと同じ状態でベッドに潜り込んでいた。
 垂れ流しされているエロビデオを横目に、ソッとベッドに腰掛けた。ベッドには異様な残り香がほんのりと漂い、シーツの所々には真新しいシミが点々としていた。
 その幾つかのシミは黄色かった。この黄色いシミは、恐らくイボ痔から滲み出た膿だろうとそう思った瞬間、醜い豚女の乱れた姿が生々しく蘇り、今までそれを舐めていた私は、思わず「オェッ」と嘔吐きそうになった。
 そんなベッドに腰掛けながら隣のベッドを見た。妻は未だ狸寝入りをしていた。布団に身を潜め、息を殺しながら私の様子をジッと伺っているようだった。
 怒っているだろうか。それとも、まだ興奮しているだろうか。
 そう考えながら、私はそのベッドの膨らみに手を伸ばすことに躊躇していた。まだ興奮が冷めていないなら、妻は私の手を素直に受け入れてくれるだろうが、しかし、もし怒っているとなると、当然それは拒否されてしまうからだった。
 時間がなかった。十二時まであと四十分しかなく、もし今ここで拒否されれば、もはや妻の興奮を呼び戻すことは不可能となり、今夜のサウナ計画は諦めざるを得ないのだ。
 もし、あのまま事が上手く進んでいれば、全てが上手く行くはずだった。そう思うと、改めて豚女のあの醜い顔が憎たらしく思えてならなかった。
 あの時妻は、私の射精シーンを見ながらオナニーをしていたのだ。あの時あの勢いのまま妻の布団を剥ぎ、妻のそのヌルヌルに濡れた陰部をネトネトと舐めてさえいれば、その延長戦でサウナに連れ込む事が出来たはずなのだ。
 それなのに、あの豚女はそこに水を差した。せっかく上手く行きそうな雰囲気の中、突如あの豚女は反逆し、せっかくの雰囲気を台無しにしてしまったのだ。
 良かれと思ってした事が仇となった。私と他人女との性交を妻に見せつけ、それによって妻にネトラレの異常興奮を与えておきながら、そのままサウナに連行しようと企んでいた私の作戦は、あの一匹の豚女の反逆によって暗礁に乗り上げようとしていた。
 このままではいけないと焦っていると、ふと、垂れ流しになっていたエロビデオが目に飛び込んできた。
 それは、いわゆる熟女系のレ◯プモノだった。三十半ばと思われる普通の主婦が、近所のおじさんらしき男にズボズボされていた。

ウツボ153

 そのおじさんは、強引に開いた股の中で激しく腰を振りながら、泣き喚く主婦に囁いていた。

『奥さん、あんたホンマはスキモンなんやろ……いつも大人しそうにしてるけど、ホンマはあんた、アレが好きで好きで堪らんのやろ……知ってるでぇ……毎晩毎晩聞こえて来んのや、あんたのいやらしい声がな。昨日もヤっとったやろ、あんた、いくぅ、いくぅ、言うて泣いとったがな。ぜーんぶ聞こえとんのやでぇ……ワシな、あんたのあのいやらしい声聞きながら、いつもセンズリしとんねん。あんたがイク時な、ワシも一緒に射精しとんねん……』

 おじさんはそうブツブツと呟きながら乱れる主婦を見下ろし、「ほれ、ほれ、もっと泣かんかい」と激しく腰を振りまくっていた。
 思わずそのおじさんの演技とは思えぬ卑猥さに見入ってしまっていた私は、いつしか勃起していたペニスを強く握り締めていた。

『あああああ、堪らんわ、奥さんのこのオメコ。突けば突くほどキュンキュンと締め付けてきよるわ……奥さん、あんたホンマもんのスキモンやったな、こないしてオメコをキュンキュンさせるのは、余程のスキモンやないとできへんでぇ……どや、ワシのチンポもなかなかのモンやろ、あんたの旦那はんより大っきいやろ。こんなチンポが欲しかったんちゃうか、ワシみたいな男にこうされたいと、いつも思っとったんちゃうか、知ってるでぇ、わかっとるでぇ……』

 おじさんはそう囁きながらガンガンと腰を振っていたが、しかし、そんな自分の囁きに刺激されたのか、囁きの途中でいきなり「あかん」と顔を顰め、素早くペニスを抜いた。
 おじさんは、ギトギトに濡れ輝く真っ黒な肉棒を慌てて握りしめた。そして、しゃがれた声で「もう我慢でけん、とりあえず一発抜いとくわ」と唸ると、肉棒をシゴきながらペチペチと湿った音を響かせ、そのベロリと捲れた無残な膣に向けて大量の精液を飛ばしたのだった。

ウツボ154

 そんな射精シーンに私はクラクラと目眩を感じた。おじさんの精液は、スキモノ奥さんの膣だけでなく、私の脳にも勢いよく迸っていた。
 私はペニスを握っているだけだった。まだそれをシコシコとシゴいてはいないのに、それでも私は、そのシーンを見ただけでイキそうになっていた。
 私は慌ててペニスから手を離した。超敏感となっていたペニスは、ヒクン、ヒクン、と痙攣し、もはや指先でツンと突いただけで射精しかねないほどに一触即発の状態となっていた。

(治れ、治れ……ここで出してしまうのは勿体ないぞ……あんなおじさんでイクなんて勿体なさすぎるぞ……)

 そう思いながら天井を見上げた。下唇をギュッと噛み締めながら、昨年他界した親父の顔を思い出し、湧き上がるマグマを必死に治めようとしていた。
 すると、ふと横顔に突き刺さるような視線に気づいた。サッと横目で隣のベッドを見ると、掛け布団の隙間からジッと私を見ている妻と目が合った。
 その瞬間、私は反射的に獣と化した。そのシーンを見られていたという恥ずかしさから私は自暴自棄に陥り、お前もあのスキモノ奥さんのようにレ◯プしてやると心で叫びながら妻に襲いかかった。
 ガバッと掛け布団を剥ぐと、その勢いに驚いた妻は、一瞬体をキュッと硬直させた。その乱れた浴衣姿に強烈な欲情を覚えた私は、無意識のうちに妻の細い腕を乱暴に掴み、硬直させている体を強引に開かせようとした。

「イヤッ」

 妻はそう小さく叫びながら、その手を必死に振り払おうとした。

「何がイヤだだ、スキモノ女のくせに」

 まるであのおじさんが取り憑いたかのようにそう唸ると、私は嫌がる妻の浴衣を強引に脱がそうとした。

ウツボ155

 しかし、あのエロビデオのおじさんのように、事は簡単には進まなかった。妻の抵抗は思った以上に激しく、まるで釣り上げられた魚のようにベッドの上を暴れまわった。
 まさかここまで嫌がるとは思ってもおらず、そのあまりの抵抗に思わず怯んでしまった私は、この後のサウナ計画に差し支えてはマズイと思い、慌ててその手を離した。
 妻は半泣きの表情を浮かべながらも、無言でせっせと乱れた浴衣を整え始めた。
 それを無言で見下ろしていた私と妻との間には、重たい空気がどんよりと漂っていた。
 このままでは最悪な状況になる。そう思った私は、一転して表情を和らげると、そっと妻の顔を覗き込みながら「何を怒ってるの?」と猫撫で声で聞いた。
 妻は、サッと私から顔を背けた。そして怒ったような、拗ねたような表情を浮かべながら浴衣の帯をスルスルと腰に回し、「さっきの女の人はどうしたの……」とポツリと呟いた。

「なんだ、あの女のことを怒ってるのか……」

 私はそう微笑みながら、妻のベッドの端に静かに腰を下ろした。

「あれは偶然拾った風俗嬢だよ。ロビーでさ、客に逃げられたから買ってくれってしつこく頼まれちゃってさ、しょうがなく買ってやったのさ……っていうか、そんな事で怒ってるの? 風俗なら浮気してもいいって、いつも言ってるじゃないか」

 すると妻は「そうだけど……」と、一瞬弱気になったが、しかしすぐにキッと私を睨みつけ、「だからと言って、わざわざ私が寝ている横でやらなくてもいいじゃない」と唇を尖らせた。
 そんな妻の顔を見つめながら、(……そう言いながらも、お前は私と風俗嬢のそれを見ながら、こっそりオナニーしていたじゃないか……)と心の中で呟き、フッと鼻で笑った。そして浴衣の裾から伸びる太ももにソッと手を置きながら、「知ってるんだよ」と妻の目を覗き込み、もう一度フッと鼻で笑ってやった。
 そんな私の笑みに何かを察したのか、妻は慌てて私から目を逸らした。動揺しているのか、いきなりベッドの下に落ちていた丹前なんぞを摘み上げ、わざわざそんな物を羽織りながら、「なにを知ってるのよ……」と小声で呟いた。

「オナニー……してたよね……」

 そう笑うと、一瞬妻の顔が真っ赤に火照った。妻は慌てて掛け布団を引き寄せ、それを頭からかぶりながらドサッとベッドに横たわると、その薄っぺらい羽毛布団の中で「わかんない」と答えた。
 そんな妻の羞恥に駆られた姿に、私は堪らなく欲情を感じた。再びヒクヒクと痙攣し始めた肉棒を握りしめ、我慢汁が溢れる尿道に指先をヌルヌルと滑らせながら、もっともっと妻に羞恥心を与えてみたいという突発的な欲望に身震いした。
 もう片方の手を布団の中に潜り込ませた。指先に膝を捕らえ、そこから太ももへとゆっくり指を滑らせながら、「私がいない間、変態ビデオを見ながらローター使ってたよね……」と囁いた。
 指は太ももの付け根に到達した。下着のラインに沿って恥骨へと登ると、そこに指先でゆっくりと円を描いた。
 妻は抵抗しなかった。まるで不審な侵入者にナイフでそうされているかのように、布団の中で身動きひとつせず息を殺していた。
 下着に包まれた恥骨には、短い陰毛がプツプツと突き出していた。そんな恥骨に指で円を描きながら、私はその指を上に進めようか下に進めようか悩んでいた。
 下に行けば、そこは卑猥なヘドロがドロドロと溜まる底なし沼だった。そこに下れば、たちまち私の指はヌルヌルと根元まで引きずり込まれ、更にもう一本、また更にもう一本と、全ての指を飲み込まれてしまうであろう。
 そう思った私は、敢えてその沼を避け、指を上へと進ませた。もう少し妻を焦らしておいてから、その快楽の沼の中にゆっくりと陥ろうと思ったのだ。
 そんな私の指は滑るようにしてヘソを通過した。ブラジャーを優しく剝ぎ、ポッテリと膨らんだ柔肉の上にピーンっと突き出している乳首をキュッと摘むと、まるでトランジスターラジオの音量調整をするかのようにそれをクリクリと回した。

ウツボ156

 クリクリが激しくなるにつれ、妻は腰を捩らせ始めた。一瞬、妻は私の指から逃れようとしているのかと思ったが、しかしそれは、逃れようとして腰を捩らせているのではなく、快楽に身を捩らせているのだと気づいた。
 なぜなら妻は、いつしか布団の中でハァハァと呼吸を荒くし、ギュッと閉じた太ももを、ひっきりなしにスリスリと擦り合わせていたからだった。
 いい具合になってきた。そう細く微笑んだ私は、乳首を摘む指の力を更に強めながら、「私とあのデリヘル嬢がヤッてるのを覗き見してたよね……」と呟いた。

「寝たふりしながら、ペニスがオマンコにズボズボしてるのをソッと見てたよね……ペニスから精液がビュッビュッと飛ぶのも、しっかりと見てたよね……」

 妻は無言のまま布団の中でモゾモゾと身を捩らせていた。

「それを見ながら……どこを触ってた?」

 そう聞くなり、一瞬、モゾモゾしていた妻の動きが止まった。
 今妻が、布団の中でどんな表情をしているのかが手に取るようにわかった。

 確かに、自慰を誰かに目撃されるというのは、この世の終わりだと思うくらいに恥ずかしいことだった。
 実際、私もそうだった。今から三十年前、私もそのシーンを担任の教師に目撃された一人だった。
 それは、誰もいない放課後の5年2組の教室での出来事だった。全裸で水谷昌代の机に座った私は、シコシコとペニスをシゴきながら、「ダメ、やめて、いや」などと、女声で口走っていた。その時点で、すでに担任の男性教諭に見られていたのだが、不覚にも私はそれに気づかなかった。
 まさか担任に見られているとは思ってもいない私は、全裸のまま水谷昌代の机の上に腹這いになった。そして水谷昌代の机の中に転がっていた鉛筆のキャップ(キキララ)を摘まみ出すと、「ダメ、本当にダメ、お願いやめて」などと叫びながらそれを肛門に挿入し、そのまま水谷昌代の机の上に大量の精液を吐き出したのだった。
 例えば、それをこっそり覗き見されていたというだけなら、まだ救いようがあったが、しかしその担任は、それをこっそりと覗くだけには止まらず、まだ私の肛門にキキララが突き刺さっている状態で、いきなり「コラッ!」と怒鳴りながら教室に入ってきたため、これはもう一寸の余地も救いようがなかった。
 あの時の羞恥は、三十年経った今でも忘れることができない羞恥だった。その後も、何度か変態奇行を他人に目撃されたりしてきたが、しかし、あの時の羞恥には足元にも及ばなかった。
 どうしてそれが、これほどまでに私に羞恥を与えたかというと、やはりそれは、そのネタがあまりにも醜かったからだった。
 その水谷昌代という女の子は、はっきり言ってクラスで一番のブスだった。デブでバカで鈍臭く、男子達から、ズバリ『ウ◯コ』とアダ名されていたほどの化け物系だった。
 その当時から、既に変態の兆しが表れていた私は、学校一の美人と言われていた2組の清水恵子よりも、おっぱい星人とアダ名されていたグラマーな加賀優子よりも、その化け物のような水谷昌代にエロスを感じていた。水谷昌代ならば、どんな事でもさせてくれるのではないかというリアルなエロスを感じていたのだ。
 だから当時の私のズリネタは、いつも水谷昌代だった。水谷昌代を犯したり、水谷昌代に犯されたりする妄想を常に抱きながら、高度な自慰に耽っていたのだった。
 そんな水谷昌代を対象とした自慰は、わかる人にはわかってもらえるが、わかってもらえない人には全くわかってもらえないはずだった。その担任教師も、それがわからない部類の正常人であり、だからこそ私は、水谷昌代というゲテモノをネタにしたオナニーを彼に見られた事で、凄まじい羞恥に襲われたのだった。

 きっと、今の妻も、あの時の私と同じ羞恥に襲われているはずだった。オナニーしていた事が私にばれており、しかもそのオナニーのネタはあの豚女だからだ。
 そんな妻の羞恥心を更に引き出すかのように、私は、その動きが止まった布団の膨らみに向け、意味ありげに「ふふふふっ」と笑ってやった。

「どこを触ってたんだ……私とあの化け物のような女がセックスしているを見ながら、お前はどこを弄ってたんだ……」

 そう笑いながら、いきなりその掛け布団を剥いだ。
 ガバッという音と共に現れた妻の顔は、まるで長距離マラソンを完走した直後の選手のように、真っ赤に火照っていた。
 私は、妻の浴衣の裾を素早く捲ると、「ここを弄ってたよな」と言いながら、いきなりクロッチに指を這わせた。
 案の定、クロッチはじっとりと湿っていた。そこに指をぐりぐりと押し付けると、その中に溜まっているヘドロが、グジョグジョと卑猥な音を立てるほどだった。
 そんな指の動きに妻は抵抗しなかった。凄まじい羞恥と、それによって湧き上がる快感に脳を掻き回されてしまった妻は、もはやアウシュビッツの収容所で、陰部を剥き出しにしながら行進しているユダヤ人のように無気力になっていた。
 ぐったりとしたまま天井を見上げている妻に、「全部見てたんだよ」と笑いかけながら、白いパンティーを敢えて片方だけ脱がした。
 左足にぶら下がったパンティーのクロッチがペロリと捲れ、そこに染み付く卑猥な汁がテラテラと濡れ輝いていた。
 力の抜けた太ももをゆっくりと開くと、それと同時に赤黒いワレメがヌチャッと糸を引いて口を開けた。

「凄く濡れてるね……」

 そう笑いながらそのワレメに指を這わすと、妻がハッと息を吸うと同時に、私の指はツルリと飲み込まれた。
 その穴の中は異常なほどに熱く、まるで出来立ての中華飯のあんかけが注入されているようだった。
 その中をクチャクチャと指で掻き回すと、その指の動きに合わせ、妻の呼吸が、ハァ、ハァ、ハァ、と荒くなってきた。
 私は真っ赤に火照った妻の顔をソッと覗いた。
 そして、まるでどこかの性感マッサージ師のように、「ここをこうすると、もっと気持ちいいでしょ」などと、いやらしく微笑み、もう片方の手の指でクリトリスをヌルヌルと転がしたのだった。

ウツボ157

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)34

2013/06/13 Thu 00:01

 さっきまでの反抗的な態度が嘘であったかのように、妻は服従していた。
 私はドロドロに濡れた妻の陰部を大型犬のようにベロベロと舐めまくった。そうしながら熱り立ったペニスを妻の顔に向けてやると、妻もまた大型犬のように舌を激しく動かしながら、狂ったようにそれをしゃぶりまくった。
 いい調子だった。あと三十分この調子が保てれば、妻をサウナに連行できそうだった。
 しかし、油断は禁物だった。どこでどう妻の気が変わるか知れないため、ここで手を抜くのは危険だった。
 だから私は、枕元に転がっていたローターに頼ることにした。妻はローター依存症と呼べるほどにローターが好きなため、ローターさえあれば、三十分でも一時間でも、この状態を維持できるのだ。
 私は妻の股間に顔を埋めながら、枕元に転がっていたローターを摘み上げた。そして静かに電源を入れると、静まり返った部屋にモーター音がヴィィィィィィィィィィィンと鳴り響いた。
 覚せい剤中毒者というのは、病院で注射器を目にしただけでその強烈な快感を思い出すというが、妻も同じだった。そのモーター音を聞いただけで淫らなスイッチが入ったのか、妻は恥骨を突き上げ、早くそれを頂戴とばかりに腰をクイクイと動かし始めた。
 私はコントローラーを持ち上げ、釣り糸のようにコードをぶらぶらさせた。妻の股間にローターのヘッドを垂らし、それがクリトリスに当たるか当たらないかの微妙な位置で止めたりして焦らしてやった。
 妻はローターをそこに当てようと必死に腰をクイクイと突き上げてきた。その度に真っ赤な膣がパクパクと開閉し、不意に祭りの縁日の鯉釣りを思い出した私は面白くなり、「ほれほれ、ほれほれ」と笑いながら、その餌を下ろしたり引いたりと繰り返した。
 そんな焦らしに我慢できなくなったのか、妻はいきなり両膝を立て、下半身を高く突き上げた。ヴィィィィィィィンと音を立てて震えるローターが、そのドロドロに濡れたワレメに接触すると、突然、しゅぶるるるるるるるるるっと湿った振動音に変わった。

ウツボ158

 しかし妻は、それがクリトリスに触れた途端、突然「ひゃん!」とおかしな悲鳴をあげ、突き出していた下半身をストンっと落とした。
 それ以降、それをクリトリスに当てようとすると、妻は真っ赤な顔を顰めながらイヤイヤと顔を左右に振った。ついさっきまでは、自らブリッヂするほどに欲しがっていたはずなのに、今はそれがそこに近づいただけで、まるでスタンガンを突きつけられたかのように慌てて腰を引いていた。
 ほんの一瞬の接触によって、妻は百八十度変化してしまった。
 それもそのはずだった。妻はこの数時間の間に連続してオナニーしているのだ。その際、妻が何度イッたかまではわからなかったが、しかし、そこに飛び出しているクリトリスが、すきやばし次郎の高級イクラのように真っ赤に腫れ上がっているのを見れば、壊れた妻が、猿のそれの如く延々とイキ続けていた事が予想できた。
 当然の結果だった。今日一日、妻は、新幹線で陰部を弄られ、展望台で亀頭だけをヌポヌポされ、同じく展望台で見ず知らずの青年のペニスをしゃぶらされた挙句、初対面のタクシー運転手に、みこすり半のセックスをされているのだ。
 それら全てが刺激的だった。同時に、それら全ては中途半端だった。
 その数々の刺激行為において、妻は一度たりとも満足を与えられていなかった。だから妻はオナニーをするしかなかった。意図的に焦らされ続けた妻は、自らの行為によって悶々と溜まった性欲の決着をつけるしかなく、その結果、妻のクリトリスは、すきやばし次郎のそれのようにパンパンに腫れ上がってしまったのだった。
 
ウツボ159

 そんな痛々しいクリトリスは、既に妻が異常性欲者として完成されている証だった。
 正常な者ならば、どれだけ焦らされようとも、ここまでの自傷行為には発展しないであろう。せいぜい二回のオナニーにより、その溜まりに溜まった性欲を発散することができるはずである。
 しかし妻は違った。クリトリスがこんなに腫れ上がるまでそれを続けていたのだ。恐らく妻は、イッてもイッても性欲が発散される事はなく、寧ろ逆に、それを続ければ続けるほどに性欲が過剰に亢進したのであろう。
 これは、いわゆる色情症の症状だった。止めどなく溢れ出す性欲は制御が効かなくなっており、自傷しながらも自慰を続けていた妻は、まさに私と同じ異常性欲者となっていたのだった。
 そんなヘドロに陥った妻を貪よりと見下ろしながら、私は、限りなく快楽に近い感動に包まれていた。新幹線の中からここに来るまでの間、あらゆる変態行為を仕掛けては妻の欲情を保とうと頑張ってきた私だったが、まさかあの妻が私と同じレベルにまで達してくれるとまでは思ってもおらず、そんな妻に私は、身震いするほどの感動と興奮を覚えていた。
 鼻息を荒くした私は、大きく開いた股に顔を埋めた。イヤっ!と身を捩らせる妻の両太ももを、強引に両手で押さえつけると、プクッと飛び出しているすきやばし次郎を、舌先でチロチロと転がしてやった。

ウツボ160

「ちょっと待って! ダメ! くすぐったい!」

 妻はそう叫びながら、まるでスキーを滑るようにクネクネと腰を左右に捻った。そんな腰を両手でがっしりと押さえ込み、尖った唇でクリトリスを激しく吸引しながら、それを舌先でチロチロと転がしてやった。
 妻は全身を引き攣らせた。「ひぃ」っと悲鳴をあげながら、必死に私の唇から逃れようともがいているが、しかし私は妻の下半身をがっしりと押さえているため、妻は腰から上を捻る事しかできなかった。

「くすぐったいの! お願いだからやめて!」

 そう言いながら、妻が私の背中をパシパシと叩いた。
 私はチュッと音を立てながらクリトリスから唇を離した。そして、それと引き換えに、ドロドロに濡れた穴の中に二本の指をヌルッと挿入すると、「大丈夫だ、このくすぐったさを越えれば、あとは天国だ」と微笑みながら、そこをクチュクチュと掻き回したのだった。

ウツボ161

 クリトリスを攻められた時は必死にもがいていた妻だったが、しかしその指が穴の中へと移動して行くと、妻は蕩けるような目で私を見つめながら、「おチンチン入れて……」と囁いた。
 私はゾッとするほどの興奮を覚えた。
 出来ることなら、このままペニスを挿入し、超敏感になっている互いの生殖器を狂ったように擦り合わせ、二人同時に一気に絶頂に上り詰めたいと思った。
 が、しかし、ここで早々とペニスを挿入してしまうのは勿体ないと思った。ペニスが挿入される事により、それが解熱剤となって、このせっかくの妻のトランス状態を一時の快楽で冷めさせてしまう危険性があるのだ。
 だから、ここで一気に絶頂に上り詰めるのは勿体なかった。まだまだ焦らしてやるべきだった。そのレベルに達するまで徹底的に焦らしてやり、その公序良俗的な正常人の殻を粉々に破壊した後、異常人としての壮絶な快楽を妻に教えてやるべきだった。
 そう思いながら私は、その卑猥に濡れ輝く穴の中に指をテュラテュラと滑らせながら、もう片方の手でズボンのボタンを外し始めた。

 Vの字に開いたズボンから肉棒がビン!っと跳ね上がると、突然妻の黒目がぐわっと広がり、獲物を見つけた獣のように瞳孔が開いた。
 私は急いで上着を脱ぎ始めた。このような怪しい目をした妻を、今までに見たことがなかった私は、あのタクシー運転手に尻を剥き出していた時も、きっとこんな目をしていたのだろうと思い、上着のボタンを外す指を震わせた。
 妻は仰向けになったまま体をずりずりと移動させ、ベッドの端にいた私に擦り寄ってきた。M字に開いた股がずりずりと向かってくるその姿は、子供の頃に見た、汲み取り便所のカマドウマのように不気味だった。
 正座しながら上着を脱いでいた私の太ももに妻の足先が触れた。その瞬間、妻の両足は、まるでカマキリが獲物を捕らえるかのようなスピードで襲いかかり、私の太ももをがっしりと捕らえた。
 太ももの上に這い上がってきた妻の下半身は、まるで私を威嚇するかのように、一瞬性器をクワッと開いた。その真っ赤な膣口には不気味な汁糸が無数に引いており、それはまさに凶暴化したエイリアンが牙を剥き出したようだった。
 ハァハァと荒い息を吐く妻は、性器を突き出したまま私の太ももへと一気に腰を落とした。しかし、ホールインワンとはいかなかった。亀頭は妻の尻肉に一度突き刺さり、そのままズルッとずれて大陰唇の陰毛をジャリっと鳴らした。
 しかし、飢えたエイリアンは、すぐさまその角度を変え、もう一度襲いかかってきた。
 モサモサと陰毛が茂る妻の恥骨に、亀頭がムニュッと押し付けられた。そのまま妻は少しだけ腰を持ち上げ、そのヌルヌルの割れ目に亀頭を滑り下ろした。
 あっ、と思った瞬間、私の亀頭はツルンっと穴の中に飲み込まれた。
 その穴の中は濃厚なシロップを垂らしたかのようにヌルヌルし、そして高熱時の脇の下のように熱を帯びていた。

ウツボ162

 それが突き刺さった瞬間、妻は「ハァン!」と叫びながら腰を跳ね上げた。そしてせっかく捕まえた獲物を逃がしてなるものかと言わんばかりにすぐさまその腰を落とし、肉棒を根元までズッポリと飲み込んだ。
 妻は余程にこれが欲しかったのか、気が触れたかのように腰を振り始めた。結合部分はグチャグチャと下品な音を鳴らし、卑猥な白濁の汁が陰毛に飛び散っていた。それはまるで、猛獣が草食動物のハラワタを貪っているような無残な光景であり、今の妻の獰猛さを物語っていた。
 妻はいきなり上半身を起き上がらせた。両膝を立てながら、私の太ももに尻肉をパンパンと打ち鳴らした。そして大きく開いた股を覗き込み、その卑猥な結合部分を確認しながら、「ハァー! ハァー!」と陣痛のような声を張り上げた。
 妻は大きく目を見開き、鼻の穴を大きく広げていた。顔から首まで真っ赤に火照らせ、息を吸い込む度に喉元が大きく凹んでいた。
 それはまるで号泣しているようだった。半年ほど前、妻が子供の頃から飼っていたトイプードルが車に跳ねられて死んだと、実家から電話で告げられた事があった。あの時、受話器を握りしめたまま崩れ落ちた妻が見せた、あの悲しみを腹の底から絞り出しているような号泣の表情と、今の、この狂ったように腰を振りながら興奮しているその表情は同じだった。
 もはや妻は獣の如く本性を剥き出しにしていた。やっと手に入れた肉棒の摩擦が、膣だけでなく脳までも痺れさせ、あっちの世界へと行ってしまっていた。
 私も同じだった。そのあまりの気持ち良さに、思わず「あぁぁぁぁぁ」と情けない声を漏らしては唇の端に涎を垂らしていた私は、その出たり入ったりと繰り返す醜い結合部分を凝視しながら、まさに精神病院の冷たい隔離病棟で真っ白な世界を浮遊する廃人と化していたのだった。

ウツボ163

 しかし、ここで溺れてしまうわけにはいかなかった。一刻も早くこのヘドロから肉棒を抜き取らなければ、私はこのままヘドロから抜け出せなくなり、今宵の大計画が失敗に終わってしまうのだ。
 そう我に返った私は、すっぽりと割れ目に挟まっていた肉棒をヌルッと抜いた。
 妻はブリッヂの体勢のまま「えっ!」と絶句した。
 そんな妻を強引に起き上がらせ、素早く全裸にした。そのままベッドの横に置いてあった木製チェアーに妻を座らせ、床に落ちていた浴衣の帯を摘み上げた。
 浴衣の帯で右手首と右足首を縛った。同じくもう一本の帯で左手首と左足首を縛ると、おのずと妻の体勢はM字開脚となった。
 妻は何も抵抗しなかった。縛られた両手足がチェアーの肘掛に固定されるのを、ハァハァと荒い息を吐きながら黙って見ていた。
 股をM字に開かされたままチェアーに拘束されると、もはやそれだけで快楽を得てしまっているのか、妻は恍惚とした表情を浮かべながら「早く入れて!」と叫び、その無残に剥き出しにされた陰部をヒクヒクと痙攣させた。

ウツボ164

 そんな妻を見下ろしながら、ベッドの隅でヴィィィィィィンとモーター音を鳴らしたままのローターを摘み上げた。そしてそれを片手にブラブラさせながらチェアーの真横に立つと、妻の唇にペニスを突きつけた。
 その肉棒には、妻のドロドロの汁と、豚女の臭汁がたっぷりと付着していた。にも関わらず妻は、アロアナが金魚をペロリと飲み込むかの如くその汚れたペニスを咥えこみ、何の躊躇いもなく亀頭に舌を走らせた。
 妻の頭部が前後に動き出すと、そのぽってりとした唇から、ブジュ、ブジュ、と下品な音が漏れた。そうしながらも妻は、上目遣いで私をジッと見上げ何かを必死に求めていた。その目は、餌を置かれたまま、飼い主からの「よし!」という返事をジッと待ちわびているゴールデンレトリバーによく似ていた。
 そんな妻の目前に、ヴィィィィィィンと震えるローターをぶら下げた。天井から降りてきた蜘蛛のように、ゆっくりゆっくり焦らしながら下ろして行き、真っ白な乳肉の先でピンっと勃起している乳首にそれを着地させた。
 赤黒い突起物がブルブルと震えた。それと同時に、妻はペニスを咥えたまま「うーうー」と叫び出し、前後させていた頭部のスピードを更に早めた。
 思わずイキそうになった私は、慌てて妻の口からペニスを抜いた。すると、ぽっかりと開いたままの妻の口から唾液が垂れ、それがニトーっと糸を引いた。
 両手両足を縛られ、身動きできない妻は、ブラブラとぶら下がったままの唾液を拭うことができなかった。
 全裸で椅子に拘束され、M字開脚で陰部を剥き出しにされながら涎をブラブラと垂らす妻のその姿は、身震いするほどに美しく、そして古本屋の隅で山積みされているSM雑誌の表紙のように卑猥だった。
 強烈な欲情にクラクラと目眩を感じた私は、M字開脚する妻の目前に素早く腰を下ろした。ベロベロに捲れ上がった割れ目にむしゃぶりつき、まるで急いでラーメンを啜っているかのような下品な音を響かせながら、そこを舐めまくった。
 そうしながらも、床に転がっているローターのコードを手繰り寄せた。激しく振動しているヘッドを指先で摘むと、子供の頃、壁に張り付きながら鳴いている蝉を指で捕まえた時の感触を思い出した。
 舌を大きく突き出し、まるでソフトクリームを舐めるようにしながら、尿道、膣口、肛門と行ったり来たりさせた。敢えてクリトリスを飛び越し、恥骨の陰毛にじゃりじゃりと舌を滑らせながら、左手に摘んだローターをヌルヌルの割れ目に滑らせた。
 それまでヴィィィィィンっという振動音だったのが、ビチャビチャビチャという下品な音に変わった。
 一瞬妻の体が硬直した。それが、敏感なお豆に触れる事に恐怖を感じたのであろう、妻は慌てて私の耳元に「早くおちんちん入れて」と囁いてきた。
 そんな妻の言葉を無視し、ローターをゆっくりと上に進ませた。そして一気にクリトリスにそれを押し付けてやると、妻は拘束された体を必死に引き攣らせながら、「お願いやめて!」と叫んだのだった。

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)35

2013/06/13 Thu 00:01

 それまで窓の下の国道からひっきりなしに響いてきたトラックの騒音は、気がつくと断続的に変わっていた。いつしかアダルトビデオも終了し、その画面には、『引き続き視聴される場合は有料ボタンを押してください』というテロップだけが映し出されていた。
 時刻は十一時四十分を回ったところだった。
 念願のサウナ潜入まで、残すところあと二十分だった。

 M字開脚で椅子に拘束されていた妻は、身動きできない状態のままクリトリスをローターで刺激されていた。

ウツボ165

 しかし、妻のそのクリトリスは、普通の状態ではなかった。連続のオナニーによって、もはや敏感過ぎるほどに敏感になっていたそれは、ほんの少し指先で触れただけでも、まるで電流を流されたかのように全身をビクンと跳ね上げるほどだった。
 そんな一触即発なクリトリスをローターで刺激するというのは、火傷に唐辛子を塗り込むくらいに危険な行為だった。事実、今の妻の状態は、ローターで快楽を得ているというよりも、ローターによって気が狂ってしまったと言っても過言ではなく、その狂気を満ちた乱れ方は、寺山修司の映画に匹敵するくらい猟奇的なものであった。

 一度止めていたスイッチを再び入れると、妻は、それまでぐったりと項垂れていた顔をいきなりガバッと上げた。そして、生気を無くした虚ろな目で私を見つめ、今にも泣き出さんばかりの表情で「いやいやいやいや」と言いながら、激しく首を左右に振った。
 私はそんな妻に微笑んだ。「この一線を超えれば天国だよ」と優しく囁きながら、そのスイッチを『弱』から『強』に変えた。
 振動音が激しくなると同時に、今まで「いやいや」と言っていた言葉が「ひぃぃぃぃ」という悲鳴に変わり、歌舞伎の鏡獅子のように髪を振り乱し始めた。
 乱舞する髪から垣間見える妻のその顔は、久本雅美が若い頃にやっていた『オカルト二人羽織』のように白目を剥いていた。そしてオペラ歌手のように「あああああああああああああああああ」と叫びだすと、そのローターが押し付けられた割れ目の先からは、生温かい尿がドボドボっと溢れ出した。

ウツボ166

 それは、三度目の失禁だった。
 一度目は勢いよく噴射した。イクと同時にシャーっと噴き出し、私の胸や腹に当たっては床をベシャベシャに濡らした。
 二度目はピュッと飛び出した。「あん! あん!」と喘ぐ声に連動しながら、ピュッ! ピュッ! と断続的に飛び出すそれは、量は少ないが勢いは水鉄砲なみだった。
 そして三度目。さすがに三度目になると勢いはなく、量も少なかった。匂いもなければ色も薄く、まるで公園の水飲み場の蛇口を捻ったかのように、ドボドボと溢れる感じだった。
 しかし、失禁の具合は弱々しくとも、絶頂の度合いは凄まじかった。
 まるで、それ専用の薬物を打たれたかのようなトランス状態に陥っていた妻は、チェアーに拘束された身体をビクンビクンっと激しく痙攣させ、身体中からは、汗、涎、尿、涙、愛液といったあらゆる汁を噴き出しながら狂ったように悶えていた。
 もはや妻は一線を超えていた。超敏感となったクリトリスを連続して刺激されることで感情のコントロールができなくなってしまった妻は、正常のボーダーラインを超えて異常の枠に達してしまっていたのだった。
 頃合いだった。今のこの状態ならサウナに連行できるはずだ。
 そう確信した私は、ハァハァと荒い息を吐きながらぐったりと項垂れている妻の顔をソッと覗き込み、両手足を固定している浴衣の帯をスルスルと外し始めた。
 帯が外れると、M字に固定されていた両脚がだらりと垂れた。力の抜けた妻は、チェアーの上でぐったりとしながら、波に打ち上げられたクラゲのように緩んでいた。
 そんな妻を正面から抱きかかえ、その耳元に「ベッドに行こう」と囁いた。妻はフラフラしながらもなんとか立ち上がり、私の肩に弱々しくしがみつきながら、「もう無理……頭がおかしくなっちゃう……」と呟いた。
 そんな妻をベッドにドンっと突き飛ばした。ベッドの上にドサっと尻餅をついた妻に、熱り勃つ肉棒を見せつけながら、「おかしくなったっていいじゃないか」と笑った。
 その肉棒を目の前に突きつけられた瞬間、それまでふわふわと浮遊していた妻の視線が固まった。

(十五回……)

 私はそう頭の中で呟きながら、力の抜けた妻の両足首を掴んだ。そしてその両足を妻の両耳元まで持ち上げ、オムツを取り替える赤ちゃんのように妻の股を大きく開いた。

「もうダメ……」

 妻は弱々しくそう呟くと、パーに開いた手の平を股間に当て、そのパックリと開いた陰部に蓋をした。
 しかし、そんな妻の表情は、確実にアッチの世界の住人だった。もはや異常性欲という化け物に取り憑かれてしまった妻は、その髪の毛一本に至るまで性感帯と化しているはずであり、今、この肉棒をそこに入れたくないわけがないのだ。
 そう確信していた私は、敢えてその手を強制的に取り払うことはしなかった。その蓋は、妻が自主的に開けなければ意味がなく、だから私は妻の股間でゆっくりと腰を動かしながら、妻の手の甲に亀頭をツンツンと押し付けていた。
(十五回だけ……十五回だけ……)と自分に言い聞かせながら根気よくそれを続けていると、次第に妻の指が緩んできた。人差し指と中指の間に微かな隙間ができ、そこから真っ赤に濡れ輝いた粘膜がチラチラと見えていた。
 そこを突破口にしようと決め、その隙間に亀頭を捩じ込もうとした。すると、不意に妻の指がすんなりと開いた。その指の隙間には、穴から溢れ出た潤滑油がヌルヌルしていたため、勢い余った私の肉棒は、いとも簡単にその穴の中にツルンっと滑り込んで行ったのだった。

ウツボ167

 肉棒が入った瞬間、妻は「ハァァァァァァァァァ」と大きく息を吸った。
 そんな妻をゾクゾクした目で見下ろしながら、ゆっくりと肉棒を根元まで突き刺した。

(十五回だぞ……十五回だけだぞ……)

 そう頭の中で呟きながら、根元まで突き刺さった肉棒をグリグリと回転させていると、妻は必死な形相で私を見つめながら、「動かして! 滅茶苦茶にピストンして!」と叫んだ。
 もちろんそうしたかった。異常性欲者と化した妻の淫らな穴の中を、狂ったように突きまくり、彼女の肉体、脳、精神の全てを滅茶苦茶にしてやりたかった。
 しかし、それはできなかった。
 時刻は既に十一時五十分を過ぎていた。あと十分もすれば、この妻の肉体は、他人男たちのものになるのである。
 今ここで、強烈なピストンを加え、妻の中に溜まっている異常性なマグマを噴火させてしまうわけにはいかなかった。
 だから十五回だった。十五回だけピストンしようと決めていた。十五回だけなら噴火する事はなく、逆にそれは刺激となるであろう。その刺激によってマグマは更に巨大化し、サウナで見知らぬ男たちに陵辱された時には、きっと凄まじい大噴火を遂げるに違いないのだ。
 そう信じていた私は、妻の両足を両腕に引っ掛け、くの字に折り曲がった妻の体をがっしりと抱え込むと、肺一杯に息を吸い込んだ。そしてそのまま妻のうなじに顔を埋め、ゆっくりと息を吐き出しながら、一気に(12345——)と、連続十五回のピストンを喰らわせてやったのだった。

ウツボ168

 容赦なくズボズボと繰り返されるピストンに、妻は首に青筋を立てながら「ああああああああああああああああ」と喚き出したが、しかし無情にもそのピストンは、わずか十五回で終わってしまった。
 急いで抜くと、ドロドロの汁を滴らせたペニスが、私の下腹部でピコンっと飛び跳ねた。
 妻が「どうして!」と叫んだ。
 私は無言で妻の細い腕を引き、妻をベッドの下に立ち上がらせると、そのまま浴室へと連行した。
「何をするの?」と、眉を八の字に下げながら脅えている妻を浴槽に立たせた。勢いよくシャワーを捻ると、シャャャャャャッと噴き出した湯が妻の太ももで水銀のように弾けた。

「天国に行こう。だからシャワーで綺麗にお清めしよう」

 そう微笑みながら、背後から妻の細い肩にシャワーを掛けた。妻は「意味がわかんない」と言いながら後ろに振り向こうとしたが、私はそんな妻の背中をゆっくりと押し、バスタブの縁に両手をつかせると、その丸い尻肉の谷間に肉棒を押し付けた。

「何も心配しなくていい。キミは黙ってればいいんだ。黙って私の指示に従ってれば天国に行けるんだ……」

 妻の背中にそう囁きながらも、私は再び頭の中で(十五回だけ……十五回だけ……)と呟いた。
 ここでトランス状態が覚めてしまっては元も子もなかった。だから再び十五回の気合を注入しなければならないのだ。
 私はそのダラダラに緩んだワレメに亀頭をヌルッと差し込んだ。そのままシャワーを妻の股間に向けると、剥き出したクリトリスを水圧で刺激した。

「お願いだからそこはやめて! もう本当に無理だから!」

 妻はそう叫びながら腰をカクンっと落とした。すると、それと同時に肉棒が穴の中にツルンっと滑り込み、思わず私は慌てて腰を引いてしまった。
 これで、その貴重な十五回の一回を、早くも使ってしまった。

ウツボ169

 いよいよ、それを妻に告げる時が来た。既に時刻は十二時を回っており、もはや猶予はなかった。
 しかし、事は慎重に進めなければならなかった。ここで妻に拒否されたら、この作戦は失敗に終わってしまうのだ。
 私は、突き出た尻を両手で固定しながら、ゆっくりゆっくりペニスを前に進ませた。ヌルヌルした穴の中は滑りが良く、すぐに膣壁に到着してしまった。
 ペニスを根元まで突き刺したまま手を伸ばし、そこにタプタプと垂れている乳を手の平の上に乗せた。まるで生卵を扱うように、優しくそれを手の平の上でタポタポさせながら、妻の背中に「動かして欲しいか?」と聞いた。
 バスタブの縁に両手をついていた妻は、尻を突き出しながら首をガックリと項垂らせていた。その体勢で暫く黙っていた妻だったが、しかし私が膣壁を亀頭でツンツンしながら催促すると、妻は無言でコクンっと頷いた。

(234!)

 そう頭の中で数えながら、一気に、パン! パン! パン! と三ピストンしてやると、それまでぐったりしていた妻の身体は、たちまち水を得た魚のように跳ね上がった。
「ああああ」と妻が喘ぎ始めた頃、再びピストンを止め、前屈みになっていた妻の上半身を素早く起こした。背中をがっしりと抱きしめながら、根元まで挿した肉棒をグリグリと回し、そのヘドロが溜まった淫らな穴を掻き回してやった。因みに、グリグリするのはカウントには入らない。
 そうしながら、タプタプと揺れる乳を優しく揉んだ。肩、うなじ、顎、に唇を滑らせながら、ゆっくりゆっくり五回目のピストンをしてやると、ようやく妻の体に『氣』が漲ってきた。

ウツボ170

 ハァハァと荒い息を吐きながら絡んでくる妻に、「さっき……タクシーの運転手の肛門を舐めてただろ……」と聞いた。
 妻はそれを無視し、早く動かしてと言わんばかりに自ら尻をコキコキと振り始めた。
 私は慌ててペニスを抜いた。そして素早くヘソに手を回し、そこから股間に滑り降りては、陰毛の中を指で弄った。
 もずくのようにヌルヌルした陰毛の中に、コリコリとした大きな陰核を発見した私は、それを指で転がしながら、「チンカスだらけの店員のチンポも平気でしゃぶってたよね」と耳元に囁いた。
 クリトリスを責められた妻は、立ったままの腰をコクンコクンと跳ね上げながら、「そこはイヤ」と、必死に私の指から逃れようとしていた。
 そこで私は一気に腰を突き上げ、おもいきりペニスを根元まで突き刺してやった。
 パン! と鳴り響いた六回目のピストンは強烈だった。妻の尻肉が歪むほどの一撃であり、それをいきなり、ズン! と喰らった妻は、爪先を立てながら「ひぃぃぃぃ」と悲鳴を上げた。

「どの舌でペロペロしてたんだ、ほら、その汚い舌を出してみろ」

 そう言いながらゆっくりとペニスを引いた。
 妻は狂乱したかのように「もっと動かして!」と叫んだ。
 ベロベロの小陰唇がギラギラと輝く穴の中に、亀頭だけをヌポッと突き刺した。そして妻の髪を鷲掴みにし、その顔を後ろに向けながら「入れてやるから舌を出せ……見ず知らず親父の肛門を舐めてた舌を見せてみろ」と言うと、妻はヘロヘロになった目で私を見つめながら、舌をゆっくりと突き出した。
 その舌を舐めた。ソフトクリームを舐めるようにして、そのタクシーの運転手や喫茶店の青年の汚いものを舐めていた不浄な舌をベロベロと舐めてやった。
 
ウツボ171

 生温かい二枚の物体がヌルヌルと絡み合った。
 ベプ、ベプ、っという湿った音が浴室に響き、そこに私の荒い息遣いと、妻の「んんん……」という唸りが混じった。
 私は妻の口内に舌を滑り込ませた。妻はその舌を必死に吸いながら、グルグルと回転させた。
 そんな濃厚なディープキスをしながら、私が乳房を揉みしだき始めると、妻は突然「んんん」と顔を背けながら私の舌を口内から追い出し、悲痛な声で、「動かして、動かして」と二回言った。
 ズン! と七回目のピストンを与えながら、再び妻の体を前屈みにさせた。
 妻はバスタブの縁に両手をつきながら、黙って尻を突き出した。そんな妻の右手を、壁に固定されていたステンレス製のパイプに持って行き、「ちゃんと捕まってろよ」と、それを強く握らせた。
 プルンっと突き出された尻の、片方の尻肉を押し広げた。どす黒い小陰唇が糸を引きながらネチャッと開き、ズッポリと肉棒が突き刺さった卑猥な結合部分が剥き出しになった。
 そこを覗き込みながらゆっくりと腰を回転させ、ヌルヌルの肉壷をグチョグチョと掻き回した。

「滅茶苦茶に犯して欲しいか?」

 そう聞くと、妻は左足をバスタブの縁に乗せた。そして、より深く肉棒が挿入するようにと腰をしならせながら、震える声で「滅茶苦茶にして……」と呟いたのだった。

ウツボ172

 片方の尻肉を押し開いたまま、(789!)と三回ピストンしてやった。妻は、ふしだらな乳肉をタプタプと揺らしながら歓びの悲鳴をあげ、汁が溢れる穴からブチョブチョと卑猥な音を鳴らした。
 しかし私は、再びその腰を止めた。
 すると妻は「お願い!」と、気が狂わんばかりの声で叫んだ。妻のその形相は、まさに古い東映映画に出てくる禁断症状に狂ったシャブ中女のようであり、それを目にした私は、いかにこの時間差ピストン攻撃が効いているかを実感した。
 私は、パンパンに腫れ上がった亀頭を、ダラダラに緩んだ膣口にヌルヌルと滑らせた。そうしながら、「心配するな。今から面白い所に行って、好きなだけペニスをくれてやる……」と、妻の背中に囁いた。
 妻はハァハァと肩を揺らしながら振り向き、不安げに私を見上げた。そんな妻が、「どこに……行くの……」と聞いてきた瞬間、残り六回のピストンを一気に喰らわせてやった。
 パンパンパンパンっという乾いた音と共に、妻が獣の如く「あっあっあっあっあっ!」と声を上げた。
 最後のピストンで子宮口をドン! と突き、そのまま一気にペニスを抜くと、「黙ってついて来ればいい」と言いながら、私は素早く浴槽を出た。
 ステンレスのパイプに掴まったまま、ハァハァと荒い息を吐いていた妻は、呆然とした表情で私を見つめていた。
 肉棒が抜かれてすぐの膣は、ぽっかりと口を開いたまま淫らな涎を垂らし、ギトギトとアグレッシブに輝いていた。
 その涎は、限りなくヘドロに近い異常性欲者の慾望汁だった。
 これでこの女をあの魔窟に連れ込むことができる。そう確信した私は、サディスティックな笑みを浮かべながら浴室を出たのだった。

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)36

2013/06/13 Thu 00:01

 頭上でエレベーターのベルがチン!っと鳴った。古ぼけた扉がガガガガガッと開くと、廊下に貪よりと漂っていた湿気とボイラーの音が、狭いエレベーターの中に溢れ込んできた。
「行くよ……」と言いながらエレベーターを出ると、妻も一歩遅れてエレベーターから出てきた。
 妻は警戒していた。まるでお化け屋敷にでも迷い込んだかのように、恐る恐る辺りを見回している。
 薄暗い蛍光灯には、埃だらけの蜘蛛の巣がぶら下がっていた。ゴォォォォォォォっと鳴り続けるボイラーの音はコンクリートの床にまで響き、湿気を含んだ重たい熱気と、バスクリンのような湯気の香りがムンムンと漂っていた。
 そんな廊下の突き当たりに、サウナキングと書かれた黄色い看板がぼんやりと灯っていた。それに向かって、「あそこだ……」と言いながら歩き出すと、妻は黙ったまま私の後をついてきた。
 当初、目的地が男性用サウナだと知った妻は、必死に拒み続けるのではないかと危惧していた。しかし妻は、その看板を驚いた目で愕然と見つめながらも、拒否するほどの抵抗は見せなかった。
 それは、本来ならば成功だった。妻が絶対服従の性奴隷と化すのを私は求めていたからだ。
 が、しかし、そんな妻を見た瞬間、突如私は疑心暗鬼に陥ってしまった。
 妻は、今からここで、見ず知らずの男たちに輪姦される事をわかっているはずだった。そうわかっていながらも、それでも何一つ抵抗を見せない妻に、私は激しい背信と裏切りを感じ、強烈な絶望に襲われたのだ。

(やっぱりこいつは淫乱女だ……男なら誰でもいいんだ……この女は、興奮していたら誰のペニスでも構わず入れさせてしまう淫乱女なんだ……くそっ……)

 私はそう怒りながらも、しかし、いつしかそんな怒りを性的興奮へと変えていた。
 この、寝取られ願望という異常性癖は、複雑過ぎるほどに複雑だった。正常人には決して理解できない特殊な精神構造だった。
 それは、使用済み下着フェチやスカトロマニアといった異常性癖者も同じだ。オリモノやウ○コが臭くて汚いモノだとわかっていながらも、それでも彼らはそれらに対して性的興奮を感じるという、異常な精神構造の持ち主なのだ。
 そんな、正常人ではとても理解できないような複雑極まりない精神構造を、私はいくつも抱えていた。
 寝取られ、下着フェチ、スカトロはもちろんの事、残業OLの蒸れた足、女子便所の汚物入れ、熟年夫婦の使用済みコンドーム、NHKの歌のお姉さん、団地の生ゴミ、女子○生が鼻をかんだティッシュ、主婦の汗、田舎のキャバクラ嬢の太い足、タバコを吸う保母さん、元トルコ嬢のおばさん、中国人女性観光客の股間の食い込み、図書館で勉強している受験生のソックスの毛玉、キモデブ親父と平気で援交する少女、こっそり屁をこいているバスガイド、ママの鼻毛、等々、とても一般人では欲情に値しないようなものに対し、私は異常なる性的興奮を覚える変態であった。
 だから私は、これから見ず知らずの他人男たちに輪姦されようとしている妻に対しても、異常な性的興奮を覚えていた。そこには、嫉妬、恐怖、怒り、絶望は当然あったが、しかし私は、そんな感情さえも性的興奮に変えてしまうほどの異常な感性の持ち主であり、その感情が激しければ激しいほど興奮の度合いも昂まるのであった。

 興奮の鼻息を必死に堪えながら、私は自動ドアの前に立った。
 グォォォォォンっと開いたドアの向こうで、ネズミ男がニヤニヤと笑っていた。

「いらっしゃい。お待ちしてましたよ」

 ネズミ男は、カウンターの中からそう言いながらゆっくりと立ち上がった。
 しかし、そんなネズミ男の余裕の笑みは、私の後ろからソッと現れた妻を見た瞬間、消えた。
「妻です……」
 そう言いながら妻を私の横に並ばせると、ネズミ男は、ノーブラの浴衣からチラリと見える妻の巨乳を見て、喉仏をゴクリと動かした。
 玄関に上がり、スリッパをカウンターの上に置いた。妻にもそう教えると、恐る恐る玄関に上がった妻は、静かに腰を下ろしながら並んだスリッパを摘んだ。
 前屈みになった妻の浴衣の胸元から、白い乳肉がムチッと溢れた。それをカウンターから覗き込んでいたネズミ男は、「驚いたな……こりゃ上玉だわ……」と独り言のように呟き、カウンターの下からロッカーキーを二つ取り出したのだった。

ウツボ173

 ネズミ男は「旦那さんだけ、ちょっといいかな……」と言いながら、カウンターの奥にあるカーテンの中へと消えた。
「ここで待ってなさい……」と妻に言うと、妻は黙ったままコクンっと小さく頷いた。
 妻をその場に残したまま、私はネズミ男の後に続いた。カーテンを潜ると、そこは、先週ネズミ男に尺八された薄汚い小部屋だった。

「まさか、あんなに綺麗な奥さんだとは思いませんでしたわ」

 ネズミ男はそう笑いながら、事務机の上に置いてあったショートホープの箱からタバコを一本摘み出した。そしてそれを唇の端にソッと咥えると、「あれだけの美人だとさ、変態男どもがウヨウヨと群がってくると思うぜ……」と言いながら事務机の引き出しをガガッと開け、そこから『スナック多恋人』とプリントされた百円ライターを取り出した。
 引き出しの中には、ガム、爪楊枝、トランプ、ミニスタンガン、ハサミ等が無造作に放り込まれ、まるでゴミ箱のようにごちゃごちゃしていた。そんな引き出しの奥に、何やら薄気味悪いポラロイド写真が一枚あった。
 ネズミ男は、タバコに火をつけながらそのポラロイド写真を摘み出した。そしてそれを私に渡しながら、「こんな写真とかも、勝手に撮られちゃうかも知れないけど、本当に大丈夫かね?」と、私の顔を覗き込み、卑猥な薄ら笑いを浮かべた。

ウツボ174

 この程度の画像なら、いつもネットで見ていた。だから別段驚くほどのものではなかったのだが、しかし、写真を摘んでいた私の指はブルブルと震えていた。
 タイミングが悪かった。このタイミングで見せられたせいか、その写真は、今までネットで眺めていた画像のような対岸の火事とは思えなかった。今まさに、自分の妻がこんな目に遭わされようとしている私にとってその写真は、あまりにも生々しく、そしてあまりにも残酷なのだ。
 それをジッと見つめていると、いつしか真っ黒なヘドロが頭の中でドロドロと渦を巻き始めた。

(こんな事をさせたら、妻はもう二度と普通の主婦として生きられなくなってしまうかも知れない……)

 一瞬、私はそう怖じ気付いた。やっぱりやめたほうがいい、と、もう一人の正常な自分が必死に囁き掛けてきた。
 しかし、そんな恐怖心が湧き上がると共に、突然ヘドロは凄まじい勢いで回転し始め、私の脳を激しく掻き回した。そして、かろうじて残っていた正常な思考までもドロドロに溶かしてしまい、あっという間にその恐怖は消え去ってしまったのだった。

「大丈夫です……」

 そう深く頷くと、ネズミ男は複雑な表情を浮かべながら、私の指からポラロイド写真をサッと奪い取った。

「そう簡単に言うけどさ、あれだけの美人だと、きっと相当な修羅場と化すぜ……本当に我慢できるの? トラブルは御免だよ」

「はい。大丈夫です。私は医者からもお墨付きを頂いているほどの異常性欲者ですから、妻がどんな目に遭わされようとも辛抱できます」

「違うよ。あんたの事言ってんじゃないよ。奥さんの事を言ってんだよ」

 ネズミ男は呆れたようにそう笑うと、タバコの煙を鼻から吐きながら、「あいにく今夜は、外道が揃ってるしね……」と呟いた。

「ゲドウ?」

「うん。ゲドウ。道を外れると書いて外道」

「……なんですか、その外道ってのは」

「要するに、男でも女でも、何でもヤっちゃう両刀使いの事さ」

 そう言いながらネズミ男は、数回吸っただけのタバコを灰皿に揉み消した。カサカサと鳴る灰皿から細長い紫煙が一本の伸び、まるで一匹の竜のように天井へと昇って行った。

「ここに来る外道ってのはね、決して男が好きっていうわけじゃないんだよ。娑婆では女に相手にされないから、仕方なくここでホモ男を捕まえては、手っ取り早く性処理してるって奴ばかりなんだよ」

「…………」

「あいつらはタチが悪いぜ。射精目的だけにここに来てるような奴らだからさ、マナーは悪いし、ルールも守らない。そこらの公衆便所に潜んでは、夜な夜な汚ねぇ性犯罪を犯してるような、そんな変質者みたいな奴らなんだよ」

 私は、まさに自分のことを言われているような気がした。

「だから聞くんだけどさ、あんたの奥さん、外道相手に本当に耐えられるのかい?」

「…………」

「途中でやめるなんてのは無理だよ。あれだけの上玉だから、外道共は目の色変えて襲いかかってくるだろうからね、一度奴らに捕まったら最後、朝までヤリまくられると覚悟しておいたほうがいいよ……」

 朝までヤリまくられる。その残酷な言葉にクラクラとした目眩を感じた。
 変態男たちに、延々と陵辱され続ける妻の姿が浮かび、同時に、脳で渦巻いていたヘドロが鼻水のようにして鼻腔に垂れてきた。それは口内に溢れ、喉を滑り、内臓に達した。そして悪性の膿のようにジクジクと広がりながら尿道を通過し、トランクスをネトネトに濡らした。

ウツボ175

 ネズミ男は小さな溜息をつきながら事務机に半ケツを乗せると、ジッと黙ったまま項垂れている私を見て言った。

「……正直言ってさ、ウチとしては、途中で逃げ出されるくらいだったら最初から入場して欲しくないんだよね……」

「いえ」と、私は素早く顔を上げ、ネズミ男の顔を見返した。

「大丈夫です。あいつはもう肉便器として調教してますから、途中で逃げ出す事など有り得ません」

「でも、相手は外道だよ?」

「望むところです」

「普通に中出しされるよ」

「平気です」

「アナルとマンコに二本刺しされちゃうんだよ?」

「興奮します」

「…………」

 ネズミ男は、その本心を確かめるかのように私の顔を覗き込みながら、「後でレ○プされたとか訴えない?」と恐る恐る聞いた。
「そんな事しませんよ」と、思わず私が噴き出すと、突然フロントから、「きゃっ!」という妻の小さな悲鳴が聞こえた。
 慌ててカーテンの隙間から覗くと、愕然と立ちすくむ妻の前に、濃紺のジャージを着た太った男が立っているのが見えた。男は、かなりの興奮状態らしく、今にも妻に襲いかからんばかりの形相でハァハァと荒い息を吐いていた。
 なんだこいつは……と一歩踏み出そうとすると、男が右手に握りしめていたものがギラリと光り、私の背筋をゾッとさせた。
 しかし、それはナイフでも包丁でもなかった。男が握りしめていたものは、なんと、我慢汁がテラテラと輝くペニスだった。

ウツボ176

 その薄気味悪い男は、半開きの目で妻をジッと見つめながら、ペニスをゴシゴシとシゴいていた。そうしながらも、「見てください……僕のおちんぽ見てください……」などと小声でブツブツ呟き、その上下に動く青白い肉棒を妻に突きつけたりしていた。
 妻は愕然と立ち竦んだまま、恐怖で顔を引き攣らせていた。黙ったまま震える下唇を噛み締め、オオカミに追い詰められた小鹿のように怯えていた。
 が、しかし、私は見逃さなかった。妻のその怯えた目が、上下に蠢く肉棒をしっかりと捕らえていたことを。

 そんな妻と男を、固唾を飲みながらカーテンの隙間から覗いていると、背後でネズミ男が、「あれが外道だよ……」と呟いた。

「あの人は、週に二回のペースで来てくれてる常連だよ。露出狂らしいんだけどね、小学校の教師だからそこらでホイホイと露出するわけにいかないだろ、それでいつもここに通っては、仕方なく男客相手にセンズリを見せつけてんだよ……」

「小学校の……教師ですか……」

 そう驚きながら呟くと、ネズミ男は爪先立ちでカーテンの隙間を覗きながら、「あいつ、完全にトチ狂っちゃってるね」と小さく笑った。

「まさか、あんな綺麗な女の人がいるとは思ってもいなかったんだろうね、ついさっきサウナで抜いたばかりだっつうのに、もうあんなにコーフンしちゃってるよ、ありゃあ、まるでエテ公だ」

 ネズミ男がそうケラケラ笑い出すと、不意に男の腰がクネクネし始めた。まるで小便を我慢しているかのように両足をスリスリと擦り合わせながら、「出ます……出ますからちゃんと見ててください」と妻に囁き、その上下させている手の動きを速めた。
「イクぞ……」と、ネズミ男が私の耳元で囁くと、男は「んふっ!」と唸った。そして立ったまま両足をピーンっと引き攣らせると、「あぁぁぁぁ」という気の抜けたような声と共に、真っ白な液体を噴射したのだった。

ウツボ177

 ガシガシと激しく上下していた手が一瞬止まった。男はペニスを握る拳を根元まで下ろし、真っ赤な亀頭を拳の中からニョキッと突き出しながら、その長い一射の快感に浸っていた。
 初発が途切れるなり、男の手は再び上下に動き始めた。「あああああああ」っと小さく唸りながら、少量の精液を、びゅっ、びゅっ、びゅっ、と断続的に三回吐き出すと、男は精液が滴るペニスを素早くジャージのズボンの中に戻した。そして、何もなかったかのような素振りでスタスタと玄関に向かって歩き出し、一度も後ろを振り向かないままサウナを出て行ってしまったのだった。
 それら一連の動作は、一瞬の出来事だった。その素早い事後処理に、思わず(常習者だ……)と感心していると、背後でネズミ男が、「浴場には、あんな外道がウヨウヨしてるんだぜ」と呟いた。

「いや、あんなのは、まだまだカワイイもんだよ。そもそもあいつは、見て欲しいだけの露出狂だから、乱暴な事はしないからね。でも、今、中にいる奴らはあんなもんじゃないよ。病的なサディストもいれば、先月懲役から出てきたばかりのゴーカン常習犯もいるし、そりゃもう、外道の名にふさわしい強烈な変態共がウヨウヨしてるよ」

「…………」

「それでも、奥さんを連れて行くかい?」

 私は、そんなネズミ男を無視してカーテンを出た。
 立ち竦んだままの妻にソッと寄り添うと、無言で浴衣の裾をかき分け、そのノーパンの茂みの中に指を押し込んだ。
 ついさっきシャワーで洗い流したばかりなのに、そこは既にヌルヌルになっていた。熱を帯びた割れ目からは大量の汁が溢れ出し、それが太ももの内側にまでタラタラと垂れていた。

(この女は……あの変質者のセンズリを見て興奮していた……)

 そう思うなり頭にカッと血が上り、目眩を感じるほどの嫉妬に駆られた。
 ハァハァと熱い息を吐きながら妻の肩を抱き、その真っ白なうなじに「それじゃあ……サウナに行こうか……」と囁いた。
 妻は下唇を噛んだまま、ソッと視線を落とした。
 そんな妻の視線の先には、あの男の精液でベトベトに汚された妻の足が、怪しくテラテラと輝いていたのだった。

ウツボ178

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)37

2013/06/13 Thu 00:01

 ぐったりと項垂れた妻の手を引きながら、バスクリンの匂いが漂う廊下を進んだ。廊下の突き当たりには『ロッカールーム』と書かれたプレートがぶら下がっており、そこには、その奥にある淫窟を隠すかのように分厚いカーテンが引かれていた。

(この中に一歩足を踏み入れてしまったら……もう二度と……)

 そう躊躇いながらソッと横目で妻を見ると、はだけた浴衣から、卑猥な柔肉がタプタプと揺れているのが見えた。

ウツボ179

(この身体が……私の大切なこの身体が、今から見ず知らずの男たちに汚される……)

 クラクラとした目眩と共に、居ても立っても居られない恐怖と怒りが湧き上がってきた。
 やっぱりやめよう。そう怖気付く自分と、早く行けと急かす自分。そう心の中で葛藤しながら恐る恐るカーテンを開けると、薄暗い蛍光灯に照らされたグレーのロッカーが薄ら寂しく並んでいた。
 そこには、濃度の高い淫臭が漂っていた。それは、深夜の公衆便所や、駅裏のオールナイト映画館に漂う匂いによく似ており、決して正常者の嗅覚では感じ取れない特殊な淫臭だった。
 
ウツボ180

 そんな淫臭に脳を侵された私は、もはや怖気付くどころか、異常な性的興奮に包まれていた。
 私という異常者は、この淫臭を嗅ぎ分ける嗅覚に優れていた。だから私は、エロ本やAVと言った直接的なものよりも、ラブホの廃墟や、使用禁止となった公衆便所、神社裏の荒れ果てた雑木林と言った、そんな殺伐とした場所に欲情を感じた。この不思議な感覚は、場所だけでなく『人』に対しても同じであり、綺麗なOLやモデルのような女子大生よりも、スーパーで万引きを繰り返すスッピンの若妻や、豚顔したヤリマン保母さんと言った、いわゆる『壊れた女』の方がより欲情するのであった。
 だから私は、この薄暗いロッカールームを見ただけで興奮してしまった。夜な夜な変態共が、異常な欲望を胸に秘めながらここで服を脱いでいるのかと想像すると、それだけで私は異常な興奮に包まれ、一刻も早くこの不浄な場所で愛する妻が犯されるのを見てみたいと思うのであった。

 私は、一番奥のロッカーへと妻を連行した。
 妻は終始無言だった。部屋を出た時もエレベーターに乗った時も一言も口をきかず、ジッと黙ったままどこに行くのかすら聞いてこなかった。
 そっと足を止め、ロッカーの扉を開けた。ロッカーの中には、新宿中央公園に放置されているホームレスの毛布のような匂いが漂っている。
 黙ったまま俯いている妻の浴衣の帯を解いた。スルッと帯を抜くとパラッと浴衣がはだけ、タプタプの乳肉が飛び出した。
 股間にぐっしょりとシミを作るほどに湿ったパンティーをスルスルと下ろすと、ポッコリと膨らんだ恥骨にとぐろを巻く陰毛がモサッと溢れた。

 妻をその状態で放置し、私は浴衣を脱いだ。
 浴衣をロッカーに押し込んでいる間、いきり立ったペニスが股間でピコピコしていた。しかし妻はそれには目もくれず、まるで叱られた子供のようにジッと黙って項垂れていた。
 私は、そんな妻の目線にペニスを突き出した。そしてそれをシコシコとシゴきながら、「さっきの男……キミを見ながらこうやってたね」と笑った。

ウツボ181

 しかし妻はクスリとも笑わなかった。笑うどころか、眉間に皺を寄せながら嫌悪の表情を浮かべている。

「嫌なのか?」

 そう聞きながら、閉じた股間の陰毛の中に指を差し込んだ。
 ジャリっとする陰毛の中にヌルッとする汁が溢れ、それがネトネトと指に絡みついてきた。指と指の隙間に小陰唇を挟みヌルヌルと滑らせていると、その指先がクリトリスに触れ、途端に妻は「スッ」と息を吸い込みながら慌てて股間をぎゅっと締めた。
 私はペニスをシゴきながら、項垂れる妻の耳元に「股を開きなさい……」と囁いた。すると妻は、またしても嫌悪の表情は浮かべながら、イヤイヤと小さく首を左右に振った。
 私はもう一度クリトリスに指を這わせた。そして、「言うことを聞きなさい」と言いながらその突起物をヌルヌルと転がすと、妻は腰をカクカクさせながらも、素直に股を開いたのだった。

ウツボ182

 その穴は、もはやグジョグジョになっていた。このままここにペニスを滑り込ませたいと思いながら、その穴の中を指で掻き回していると、不意に、休憩室と繋がっている通路のカーテンがフワッと動いた。
 カーテンから出てきたのは、二十代の若い男だった。青年は私たちを見るなり、一瞬「あっ」と足を止めたが、しかし、それでも私がそれを止めないでいると、青年は気まずそうにしながらも、恐る恐るロッカールームに入ってきたのだった。
 その青年が、ネズミ男の言う外道なのかどうかはわからなかった。ただ、その青年はスタイルも良く、いわゆるジャニーズ系と呼ばれるような美男子だったため、恐らく正統なゲイに違いなかった。
 この際、ゲイでも構わなかった。彼が例えネコであったとしても、とにかく他人に妻のこの卑猥な姿を見てもらいたかった。
 だから私は、更に激しく穴の中を掻き回し、わざとそこにブチョブチョと下品な音を立てた。そうしながらも妻の耳元に「人が見てるよ……」と囁き、妻の内部に潜んでいるマゾ心を刺激してやった。
 さっそく羞恥に駆られた妻は、必死に顔を伏せながら、ハン、ハン、と鼻から声を漏らし始めた。そんな妻の顔を強引に持ち上げ、三台隣のロッカーの前で立ち竦んでいる青年に向けた。

「見てみなさい……若くてカッコイイ男の子だよ……」

 青年はチラチラと私たちを見ながらも、丸まった白いブリーフを必死に解いていた。そんな青年の顔は、まるで長時間逆立ちをしているかのように真っ赤に火照っており、私は、そのおどおどした仕草と、そのビキニタイプのブリーフから見て、彼がネコである事を確信した。
 私は、そんな彼を見ながら、面白い、と思った。日頃、変態男たちにズボズボと犯されている青年に妻をヤらせるのも、ある意味陵辱っぽくてなかなか面白そうだと思った。
 さっそく私は、妻の浴衣を剥ぎ取った。全裸されて戸惑う妻を壁に向かせ、そのムチムチとした丸い尻をピシッと叩きながら、わざと青年に聞こえる声で「尻を突き出せ」と命令した。
 妻は壁に両手をつきながら、素直に尻を持ち上げた。

「そのままオマンコを指で開いて見せろ」

 妻は恐る恐る両足を広げた。そして腹から恐る恐る手を伸ばし、手探りで陰毛の茂みを掻き分けると、そこに這わせた二本の指をピースさせながら黒光りしたヒダヒダをネチャと開いた。

ウツボ183

 尻の谷間から、テラテラと濡れ輝く卑猥な割れ目が顔を出していた。それを確認しソッと振り返ると、サテン生地のビキニブリーフを履こうとしながらも、そのままの体勢でジッとこちらを見ていた青年と目が合った。
 青年はギョッと目を開いた。慌てて私から目を反らすと急いでブリーフに足を入れようとした。

「あ、ちょっと待って」

 そう止めると、青年は片足を上げたまま、「えっ?」と振り返り、私を見ながら「僕ですか?」と小さく首を傾げた。

「ええ、キミです」

「……なんでしょう……」

 青年は、そう狼狽えながらも一気にブリーフを履こうとしたため、私は再び、「だから、それ、ちょっと待ってよ」とブリーフを指差した。
 青年は不思議そうな顔で私を見ながら、「これ……ですか?」と、履きかけていたブリーフを摘み上げた。
 私はコクンっと頷くと、怪しまれないよう笑顔を取り繕いながら青年に近づいた。
 単刀直入に、「キミ、ゲイだよね」と尋ねると、青年は少し戸惑いながらも「はぁ……」と頷いた。

「やっぱりネコだよね? つまりヤられる側だよね?」

「……そ、そうですけど……何かご用ですか?」

 そう訝しがる青年に、「いやね……」と呟きながら、青年のそのか細い肩に腕を回すと、壁に両手をついたまま尻を突き出しにしている妻を目で指し、「あの女とヤリませんか……」と、池袋のポン引きのように囁いた。
 青年は「えっ……」と戸惑いながらもソッと横目で妻を見た。
 突き出た尻からは、陰部だけでなく肛門までが剥き出しになっていた。今まで指で掻き回されていた陰部はだらしなく口を開き、そこから覗く真っ赤な粘膜がいやらしい汁でテラテラと輝いていた。
 薄暗いロッカールームの奥で、丸い尻だけがポコンっと浮かんでいるその光景は、先日、二次元エロサイトで見た、『尻だけ肉便器・御自由にどうぞ』というエロ漫画のワンシーンのようだった。

ウツボ184

「なかなかいいケツしてるでしょ……オマンコもキュッキュッと締まって最高だよ」

「……でも、僕は……」

「だよね、キミはヤられる側だもんね」

「…………」

 反論しない彼に、私は「でもさ……」と言いながら視線を下ろした。そして、無数の血管を浮かび上がらせながら膨張している肉棒を見つめながら、「キミ、勃ってるよ……」と笑ったのだった。

ウツボ185

 それは、太さも長さも私のモノを遥かに超えていた。そのカリ首の張り具合と勃起の角度には底知れぬ若いパワーが漲っており、ヤられる側にしておくのには勿体ないほどに立派な肉棒だと思った。
 それを見た私はすぐさま嫉妬した。それを見ただけなのに、もう既に嫉妬に駆られ、怒りが脳みその中をぐるぐると回っていた。
 それは、自分よりも立派なペニスを持っている彼に対してではなく、この若い男の巨大なペニスを突き刺されて歓びに狂う妻の姿を想像して湧き上がった、実に自己中心的な怒りだった。
 私は、怒りのこもった深い息をゆっくりと吐き出しながら、その化け物のようなペニスを握った。

ウツボ186

「あっ」と戸惑う青年の目を見つめ、「ヤられるキミは、いつも最後はどうやって射精してるの」と聞いた。
 青年は、がっしりと握られた自分のペニスをジッと見つめながら、蚊の泣くような声で「手か口でイかせてもらってます……」と呟いた。
 私は「そうか……」と頷きながら、ペニスを握ったまま歩き出した。まるで青年と手を繋いでいるようにして進み、尻を突きだす妻の背後で足を止めた。

「キミは女をヤった事があるか」

 青年はモジモジしながら、「一度だけ……」と答えた。

「いつ?」

「十六歳の時ですから……十年くらい前です」

「って事は……その十年間、ずっと男たちに掘られてきたのか?」

「はぁ……」

「もったいない!」

 私はそう叫びながら、いきなり彼のペニスを上下にしごいた。

「キミのように若くてイケメンなら女とヤりたい放題だろ。しかもこれほどの巨チンだ、こんな化け物をぶち込んでみろ、女は面白いように狂喜乱舞するぞ!」

 そう叫びながら、いきなり私は妻の尻肉に両手を押し付けた。そしてゆっくりと尻の谷間を広げると、そこにベロリと顔を出した陰部の両端を両手の親指で押さえながら、それをおもいきりくぱぁっと開いてやったのだった。

ウツボ187

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)38

2013/06/13 Thu 00:01


「それだけのイチモツを持っておきながら、女の良さを知らないまま親父になるなど愚か過ぎるにもほどがある」

 そう言いながらポッカリと開いた妻の穴を見せつけてやった。
 そしてゆっくりと立ち上がりながら、「キミは若いんだ。まだまだ人生をやり直せるんだ。さぁ、入れろ。遠慮せずに好きなだけ入れまくれ。この穴の中にヌルッと入れて男になるんだキミ!」とそう叫ぶと、青年は私のその馬鹿げた鼓舞激励にまんまと奮いたち、「本当にいいんですか」と喉仏をゴクリと鳴らした。

「ああ、いいとも! 男になれ! 女の味を知って男になるんだ! ヤれ! ヤっちまえ! ぶち殺しちまえ!」

 そうトチ狂いながら妻の尻をパシッと叩くと、青年は目を血走らせながらハァハァと荒い息を吐き、そのド太い肉棒の先を妻の穴に向けた。
 青年は、「本当に入れちゃっていいんですね……」と私を横目で見ながら、そのぽっかりと開いた穴に巨大イチゴのような亀頭をカポッとハメた。
 すると、そこでまた、私は新たな絶望に襲われた。今まで、ヤれヤれぶち殺しちまえなどと散々ケシかけておきながらも、いざその巨大な肉棒が妻の内臓をえぐる瞬間になると、たちまち怖じ気づいてしまった。

(や、やめてくれ……)

 そう嘆く私の目の前で、穴に突き刺さった巨大な肉棒がゆっくりと進み始めた。
 やはりそれは相当太いのか、私の時のようにヌルリとは滑り込まず、まるで膣壁をギシギシと押し開くようにしながらゆっくりと進んでいた。
 それが根元まで突き刺さると、青年は腰を止め、そのまま固まってしまった。そして、一仕事終えたかのように「はぁぁぁ」と深い溜息をつきながら、ソッと私に振り向いた。

「す、凄いですね……温かくて柔らかくてヌルヌルしたこの感触は、男の肛門とは全然違います……あああ、こうしてるだけでイッちゃいそうですよ……」

 青年は、快楽に満ちた笑みを浮かべながらそう呟くと、今度は根元まで突き刺していた肉棒をゆっくりと引き始めた。
 真っ黒な肉棒に絡みついた白濁の液が糸を引き、まるで納豆を掻き混ぜているようなネチネチとした粘った音を鳴らした。
 穴から抜け出るその長い竿は延々と続いた。こんなに奥まで入っていたのかと驚きながら、そこに顔を近づけて見ていると、ようやく紫色の亀頭が現れ、その大きく開いたカリ首が真っ赤な膣口にキュッと挟まった。

ウツボ188

 そんなカリ首には白濁の液が溜まっていた。
 そのカリ首が、妻の膣内に溜まっていたカスやオリモノやいやらしい汁など、全て掻き出しているのだろうと思うと、不意に、孫の手で背中を掻いたときの気持ち良さを思い出した。
 きっとこのカリ首は、孫の手のようにして妻の膣壁をガリガリと掻いていたのだ。そう思いながらソッと妻の顔を覗き見ると、案の定妻は眉を八の字に下げ、唇を半開きにし、その快楽をひしひしと脳で感じていた。
 ふと、そんな妻と目が合った。妻は即座にその快楽を表情から消し、今にも泣きそうな顔をしながら「もうやめて……」と呟いた。
 瞬時に変化した妻に、背筋がゾッとした。

(妻は私を騙している……今、妻は……咄嗟に誤魔化した……)

 そう思うなり、途端に妻が一匹の変態肉便器女に見えた。二年前、赤坂のマンションの一室で開かれていたイベントで見た、あの時の変態肉便器女と今の妻が重なった。

ウツボ189

 激しい焦燥を感じた。自らの意思で妻と自分をこの状況に導いておきながらも、激しい焦燥感に駆られていた。
 このままでは妻は……このままでは妻は……このままでは妻は……
 そう頭の中で繰り返すリズムに合わせ、青年の腰が動き出した。それはまるで蒸気機関車が発車する時のような、ゆっくりとした動きだった。
 長い肉の棒が、一定のリズムで行ったり来たりと繰り返していた。それを滑らせていた淫らな汁が、熱した天ぷら油のように、ピチ、ピチ、と音を立て、その音が私の脳髄を掻き乱しては、今、命よりも大切なものを他人に汚されているという現実と絶望を思い知らされた。
 青年の腰は徐々にスピードを増していった。いつしか、ピチ、ピチ、という音は、ぐちゅ、ぐちゅ、という音に変わっていた。
 そこまで行くと、当然、妻にも変化が現れてきた。
 ピチ、ピチ、の時には、かろうじて下唇を噛みながら必死に耐えていた妻だったが、しかし、それが、ぐちゅ、ぐちゅ、となると、さすがの妻でも限界だった。
 増してこの時の妻は、散々私に焦らされていた。もはや一触即発の状態であり、そんな状態で、この巨大な肉棒によって、ぐちゅ、ぐちゅ、とされれば、例え目の前に夫がいようと乱れてしまうのは当然の結果だった。
 コンクリートの壁に頬を押し付けていた妻の口から、はぁ、はぁ、という息が漏れ始めた。
 青年は、そんな妻の背中を優しく抱きしめた。そして、妻の耳元に「ほっぺが痛いでしょ」と囁くと、結合したまま妻の体をロッカーの前へと移動させた。
 タプタプと揺れる妻の大きな乳房がロッカーの扉に押し付けられた。妻は自らの意思で腰を反り曲げ、これでもかというくらいに尻を突き出しながら青年を奥深くまで受け入れていた。
 青年は、そこにコキコキと腰を動かしながら、「凄いです……凄いです……」と唸っていた。青年が腰を振る度にロッカーの扉が、ガシャン、ガシャン、と音を立て、その扉にしがみついた妻が淫らに蠢いていた。

ウツボ190

 青年の腰は更にスピードを増した。妻の尻肉と青年の太ももが衝突し、卑猥な破裂音が、パン、パン、と響いていた。
 妻は髪を振り乱し、夫の私がすぐ真横で見ているにもかかわらず、「あぁん! あぁん! 」と獣のように喘ぎまくっていた。
 そんな残酷なシーンを目の当たりにしながら、私はウォッカを一気飲みしたかのようにカッカッと熱くなっていた。
 それは、私がマゾからサドへと変貌した瞬間だった。
 妻が必死に耐えていた時までは、かろうじてマゾだった私だが、しかし妻が、その巨大な他人棒に翻弄され、私という存在を忘れてしまった時点で、今までの私の悲しみは怒りへと変わり、猟奇的な性的興奮を抱き始めた。
 
(お前は肉便器だ……変態男たちに中出しされまくる、薄汚い肉便器だ……)

 そう投げやりに思いながらそこにしゃがみ込むと、グジュ、グジュ、と卑猥な音を立てている結合部分を下から覗き込んだ。
 激しく交わる醜い生殖器に、クラクラとした目眩を感じながらペニスをシゴきまくった。青年が射精すると同時に、その結合部分に精液をぶっかけてやろうと咄嗟に思い、妻の穴の中で、他人の精液と自分の精液が混じり合うシーンを想像しながら、その瞬間を悶々と待ちわびていた。
 すると、不意に青年と目があった。青年は私をジッと見つめながら何やらブツブツと呟いている。
 私はゆっくりと立ち上がると、訝しげに青年を見つめながら、「何だ……」とその口元に耳を傾けた。

「入れてください……僕の肛門にそれを入れてください……」

 青年はコソコソ声でそう囁くと、いきなり私の耳をベロリと舐めた。
 驚いた私が「わっ」と顔を上げると、青年は今にも泣き出しそうな表情で私を見つめ、「我慢できません、今すぐ入れてください」と、必死に腰を振っていたその尻を大きく突き出した。
 一瞬、頭の中が真っ白になった。
 が、しかし、妻を犯す男を犯す、という、数珠繋ぎになった三人の滑稽な姿が頭に浮かび、すぐさま(面白い)と思った。
 私は素早く青年の背後に移動した。そして、コキコキと動きながら激しく妻を攻めている青年の尻を見下ろした。
 凸たり凹んだりと繰り返すその尻は、まるで女のように綺麗だった。さすがはネコだけあり、その尻はゆで卵のようにツルンっと輝き、妙な色っぽさを漂わせていた。
 しかし、その谷間から見え隠れする肛門は違った。随分と使い込まれたと思われる穴はだらしなく緩み、まるで死んだ鯉の口のようにポッカリと口を開いては、紫色の内部を醜く曝け出していた。
 一瞬、(エイズ)という言葉が頭を過ぎり、生で挿入する事に躊躇いを感じた。
 が、しかし……と私は思った。もしこの青年がエイズだとすれば、この青年と生で性交してしまっている妻は既に感染してしまっているわけであり、となれば、遅かれ早かれ自分も感染するのだ、と。
 そう思うなり、その躊躇いは一瞬にして消え去った。自暴自棄な欲情がムラムラと沸き上り、今までに増した異常性欲がヘドロとなって渦巻き始めると、私は左手でペニスを固定し、右手で肛門を開いたのだった。

ウツボ191

 男の肛門は、見るも触れるも初めてだった。もちろん挿入するのも初めてであり、私はその未知の極地に恐怖と興奮を感じていた。
 ペニスの根元を摘み、肛門に亀頭を押し付けた。その女性器とは違う感触に、ふと、さっきの豚女とのアナルセックス未遂が頭を過ぎった。
(ローションとか塗らなくても入るのだろうか……)
 そう心配しながら肛門に亀頭をヒタヒタと押し付けていると、みるみる肛門から透明の汁が滲み出し、それが亀頭に付着してはネバネバと糸を引き始めた。
 恐らくそれは、サウナでホモ男たちに中出しされた残液だった。事実、亀頭で肛門の襞を押し開くと、それと思わしき白い液が、穴の奥からトロトロと溢れ出てきた。

 その無残な穴を目にした瞬間、不意に、妻が単独男に中出しされたシーンが頭に蘇った。
 あの時、単独男は腹出しするつもりだった。契約ではそうなっていた。しかし、初めての寝取られにトチ狂ってしまった私は、突然、射精寸前の単独男に中出しを悲願した。
 最初、単独男は、「マジっすか」と躊躇っていたが、あまりにも私が執拗に頼み込むため、渋々それを承知してくれた。
 が、しかし、そんな私と単独男のやり取りに気づいた妻は、「中で出さないで!」と叫びながら必死に抵抗し始めた。
 結局、妻は中出しされた。激しくピストンする結合部分には白濁の精液が溢れ、ブチュ、ブチュ、と卑猥な音を奏でた。
 それを目の当たりにしていた私は、そのあまりの興奮と絶望感でその場に崩れ落ちた。そしてベッドの下に無残に横たわりながら、自らの手で絶頂に達したのだった。

ウツボ192

 あの時の異様な興奮が蘇った。
 ムラムラと胸を熱くさせた私は猛然と腰を突き出し、そのぽっかりと口を開いた紫の穴の中に亀頭をのめり込ませた。
 しかし、ヌルヌルに濡れた女のアソコのように、スムーズにはいかなかった。穴の先端は精液で湿っていたが、穴の中はまるで乾いたゴムのように滑りが悪く、そのため、半分まで突き刺さった竿は『く』の字に曲がり、途中で止まってしまったのだ。
 青年が慌てて振り返った。切羽詰まった形相で自分の尻を見下ろしながら、「唾を垂らしてください」と、私を急き立てた。
 私は「わかった」と頷きながら、恐る恐る腰を引いた。穴から出てきた亀頭は、肛門の圧力により、潰れた紀州梅のように変形していた。
 私はペニスの根元を握りながら、亀頭に目掛けて唾を垂らした。肛門に亀頭を宛てがい、その泡状の唾液を肛門に塗りたくると、改めてもう一度腰を突き出したのだった。

ウツボ193

 濡れた亀頭はツルンと滑り込んだ。そのままゆっくりと腰を押し出して行くと、亀頭はキュンキュンに締まった肉をメリメリと掻き分けながら進んだ。 
 すぐに肉棒の根元まで潜り込んでしまった。
 そのギシギシと締め付けてくる肉圧は、今までに感じたことのない凄まじい快感だった。学生の頃、トイレットペーパーの芯の筒の中にちぎったコンニャクを詰め込み、そこにペニスを挿入したことが何度かあったが、この肛門の肉圧は、あの時の具合によく似ていた。
 これは凄いぞ……と、その締まり具合に身悶えながら腰を振り始めると、青年は快楽に満ちた表情で天井を見上げ、女のように「あん」と声を上げた。
 私は腰を振りながら、青年の背中に、「入れる方と入れられる方とどっちが気持ちいい?」と聞いた。
 すると青年は、妻の尻にスコスコと腰を振りながら、「わかりません。チンポもアナルも、どっちも気持ちいいです」と答え、まるで淫乱女のように激しく悶え始めた。
 異常な3Pだった。私は強烈な肉圧に悶え、青年は刺しつ刺されつ悶え、妻は巨大なペニスに悶えていた。
 その異様な快感は生殖器を伝って連鎖し、繋がる三人を同時に悶えさせていた。私の腰が速くなれば、青年の腰も速くなり、それによって妻が悶え始めれば、それを見ていた私の腰は更に速度を速めた。
 そんな刺激的な3Pは、当然のことながら長くは続かなかった。
 早々と音をあげたのは青年だった。青年は、二つの生殖器で二倍の快楽を得ていたため、絶頂に達するのも早かったのだ。
 青年は、急いで私に振り返ると、「もう無理です、イキそうです」と顔を顰めた。そして、両手で押さえていた妻の柔らかい尻肉に、十本の指を食い込ませながら、「このまま中で出しちゃってもいいですか?」と聞いてきた。

ウツボ194

 こんな場所に妻を連れて来ている以上、当然そうなる事は覚悟の上だった。逆に、妻が見知らぬ男たちに散々中出しされまくる願望を抱いているほどだった。
 が、しかし、改めて「中で出してもいいですか?」と聞かれると、そんな覚悟や願望は一瞬にして消え去った。その言葉により現実に戻された私は、妻のその悲惨な姿を目の当たりにされ、途端に激しい恐怖に襲われた。

「や、やめろ!」

 思わずそう叫んでしまった。
 青年は慌てて妻の尻から腰を引いた。
 ヌルッと抜けたペニスは、ヒクン、ヒクン、と脈を打ち、亀頭は今にも射精せんばかりに真っ赤に腫れ上がっていた。
 青年は、そんな一触即発のペニスをがっしりと握り締めた。そして、未だ彼の肛門に挿入したままの私に振り返りながら、「抜かないでください! そのまま! そのままでお願いします!」と叫ぶと、そのドロドロに濡れたペニスを、自らの手でシゴき始めたのだった。

ウツボ195

 そんな青年の肛門の中を、肉棒で掻き回してやった。
 青年は「あーっ」と声を上げながら尻を振り、「もっと滅茶苦茶にしてください」と唸っていた。
 ふと見ると、妻が床にへたり込みながらハァハァと肩で息をしていた。恐らくイッていないのだろう、そんな妻の表情には、未だ欲望の熱がメラメラと浮かんでおり、今ならば、ホームレスであろうと醜いデブ親父であろうと、誰でもすんなりと受け入れるに違いなかった。
 そんな妻に、敢えてそれを見せつけるかのように、私は青年の尻に激しく腰を打ち付けた。
 ペニスがヌポヌポとピストンする度に、青年は「あっ、あっ」と女のような声をあげ、汁でドロドロに濡れたペニスをグジュグジュとシゴいた。

「イキそうです! 出ちゃいます! もっと! もっと激しくお願いします!」

 そう叫ぶ青年のペニスは、床にへたり込んでいる妻のすぐ目の前にあった。妻は、欲情に満ちた目でそれを黙って見つめている。
 私は、青年の背中に向かって、「その女にぶっかけろ! そいつの顔にぶっかけてやれ!」と唸りながら、壊れた機械のように滅茶苦茶に腰を振りまくった。
 すると青年は、「あぁぁぁぁ! イク、イク、イキます!」と悲痛な声で叫び、両足の膝をスリスリと擦り合わせると、いきなり「んんっ!」と呻きながら、今度はその両足をピーンっと引き攣らせ、妻の顔に目掛けて大量の精液を放出した。
 と、その瞬間、私は目を疑った。
 なんと妻は、自らの意思で口を大きく開いていたのだ。私が何も指示していないのに、妻は密かにそこから噴き出す精液を口内で受け止めようとしているのだ。

ウツボ196

 プシュという発射音が聞こえた気がした。実際には、そんな音は鳴っていないのだろうが、私にはそう聞こえた。
 精液は妻の頬をかすめた。残念ながら妻は、それを口で受け止めることはできなかった。
 妻は、その瞬間を私に見られていた事も知らず、何もなかったかのようにソッと項垂れていた。
 そんな妻を見ていると、さっきまでの恐怖が、沸々と怒りに変わってきた。

(この女は……私に内緒で、見ず知らずの男の精液を飲もうとしていた……)

 そう思えば思うほどに激しい嫉妬が沸き上り、この青年共々、この場で撲殺してやりたい殺意を覚えた。
 私は青年の尻に腰を振りながら、床で項垂れている妻に「おい……」と声をかけた。
 恐る恐る顔を上げた妻のその表情は、まさに万引きGメンに連行される、惨めな主婦のようだ。

「先に浴場に行ってろ」

 私は憎しみを込めてそう言ってやった。この裏切り者の羊を狼の群れの中に放り込み、滅茶苦茶にしてやりたいと本気で思ったのだ。
 すると妻は、今にも泣き出しそうな表情を浮かべながら、「……私一人で……行くの?」と呟いた。
 そんな妻が、先日、エロ動画サイトで見た、夫に隠れて不倫しまくっている淫乱女に見え、更に怒りを覚えた私は、「早く行け変態女!」と、狂ったように怒鳴った。
 妻はゆっくり立ち上がった。髪は乱れ、大きな乳肉はだらしなく歪み、陰毛には白濁の汁がねっとりと付着していた。その姿は、今まで激しいオマンコをしていましたと言わんばかりに堕落していた。
 立ち竦む妻は、項垂れたままソッと私を見た。乱れた前髪越しに見える妻のその目には、恨みと悲しみと恐怖が入り乱れ、まさに絶望に満ち溢れていた。
 妻はソッと私に背を向けると、そのままフラフラした足取りで、浴場へと続く廊下に向かって歩き出した。それはまるで、絶望に駆られた女が、暗黒の海に向かって入水自殺しようとしているようであり、ふと私は、このまま妻が私の元から消えてしまうのではないかという焦燥感に駆られた。
 思わず「待て」と呼び止めようとした。するとその瞬間、不意に青年が、「……アウトだ……」と呟いた。
 私は、青年の肛門に滑らせていたペニスを止め、「どう言う意味だ?」と聞いた。

「だって今夜は……たちの悪い客が多いですから……」

 途端に背筋がゾクゾクしてきた。ネズミ男が言っていた、(一度奴らに捕まったら最後、朝までヤリまくられると覚悟しておいたほうがいいよ)という言葉が頭をかすめ、それまで悲観的に見えていた妻の背中が欲情的に見えてきた。
 異常な興奮に包まれた私は腰の動きを早めた。
 再び喘ぎ始めた青年の背中に、「そいつらは、そんなに酷いのか?」と聞くと、青年は、女のように「あん、あん」と喘ぎながら、「あの人、肉便器にされちゃいますよ」と呟いた。
 肉便器という言葉が脳をクラッとさせた。同時に胸に熱いものがムラッと込み上げ、不意にリビングで掃除機をかけている普段の妻の姿が脳裏に浮かんだ。

ウツボ197

(妻が……私の大切な妻が……見知らぬ男たちに肉便器にされる……)

 そう呟くなり、居てもたっても居られなくなった私は、すかさず「おい!」と妻を呼び止めた。
 暗幕カーテンを開けようとしていた妻が、ビクッと肩を跳ね上げながら足を止めた。

「いいか、約束しろ。絶対に中出しだけはさせるな。それだけは絶対に拒否しろ。いいな。約束だぞ……」

 声を震わせながらそう言うと、妻は振り向きもしないまま、黙って暗幕カーテンの中に消えていった。

 拒否しようとすれば拒否できたはずだ。抵抗しようとすれば抵抗できたはずだ。なのに妻は、自ら淫窟に吸い込まれていった。
 そんな妻に異常興奮した私は、青年の尻に激しく腰を振りまくった。半ば自暴自棄になりながら、その不浄な穴にこの不浄なペニスを、狂ったようにピストンした。
 青年は「あっ、あっ、凄い」と悶えながらも、ソッと私に振り返った。

「中出しさせないなんて……そんなの無理に決まってるじゃないですか……」

 そう不思議そうに眉を顰める青年に、私は震える声で答えた。

「わかってるよ……」

 そう確信的に呟いた私は、雪見大福のような青年の尻を鷲掴みにした。そして妻の名前を、蚊の泣くような小声で何度も呟きながら、青年の直腸に大量の精液を吐き出したのだった。

ウツボ198

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)39

2013/06/13 Thu 00:01

 浴場へと続く薄暗い通路には、どこか荒んだ空気が漂っていた。それは、廃墟と化したボウリング場や、深夜の公衆便所、オールナイトの地下映画館といった場所に漂う陰気な空気によく似ており、こんな不気味な通路を妻は全裸のまま一人で進んだのかと思うと、それだけで私は射精しそうなほどの興奮に襲われた。
 そんな通路の突き当たりを右に曲がると、『ジャングル大浴場・サウナ』と書かれた浴場のドアが現れた。そのドアの前には、オレンジ色のバスタオルとサウナ用のトランクスが収納された棚あり、その横には巨大なランドリーボックスが置かれていた。
 その棚の中からタオルを一枚取り出そうとすると、不意にランドリーボックスの中から、生乾きの洗濯物のような嫌な臭いが漂ってきた。
 見ると、獣たちの汗と汁でぐっしょりと湿った使用済みのトランクスやタオルが大量に放り込まれていた。そこには、丸めたティッシュも混じっており、中には血のようなシミが付いた物も見受けられた。
 背筋をゾッとさせながらも、猥褻な好奇心に駆られた私はその丸めたティッシュの中で一番大きな物を摘み上げた。
 その、まるでテルテル坊主のように丸められたティッシュをゆっくりと解すと、案の定、中から使用済みコンドームが出てきたのだった。

ウツボ199

 強烈な焦燥感に駆られた。こんなモノが普通に捨ててある物騒な場所に、全裸の妻を一人で潜入させてしまった事に、今更ながら激しい焦りを感じた。
 
(今頃妻は……もう妻は……)

 そう呟く私の手は震え、同時に摘んでいた使用済みコンドームがプルプルと揺れた。
 不意に、薄汚い外道共が妻の裸体に群がるシーンが頭に浮かんだ。
 大きく股を開かされた妻の内臓を貪り食う外道共は笑っていた。両手に肉棒を握らせ、股座の二つの穴に肉棒をピストンし、巨大な肉棒を咥えさせている外道共は、皆、薄ら笑いを浮かべていた。
 そんな無残な光景が次々に頭に浮かぶと、それまで胸を締め付けていた焦燥感は次第に性的興奮へと変化し、私の思考は再び寝取られ願望の域に達した
 
(もっとヤってくれ……私の大切な妻を、もっともっと滅茶苦茶にしてくれ……)

 妄想する私の乾いた唇から、ハァハァと荒い息が漏れた。ついさっき射精したばかりのペニスは、はち切れんばかりに勃起し、まるで蜂に刺されたかのように真っ赤に腫れ上がった亀頭は、ズキンズキンと波打ちながら疼いていた。
 それを左手でがっしりと握り、ああああああ……と頭の中で悶えながらシゴいた。シゴきながらも右手に摘んでいた使用済みコンドームを目の前に突きつけた。
 その先には、カルピスの原液のような精液がタプンっと溜まっていた。怪しくテラテラと輝く表面はウ○コそのものの臭いが漂い、輪ゴムのような根元部分には、パリパリに乾いたそれらしき茶色い液体が付着していた。
 それは、かなり危険度の高い感染性廃棄物だった。廃棄物処理法で言えば、特別管理廃棄物に区分されるレベルの、とても危険な汚物だろう。
 そうとわかっていても、それでも私はそれを亀頭にあてがった。輪っかをカリ首に引っ掛け、ペリペリとゴムを引っ張りながら、その中にペニスをすっぽりと被せ、異様な興奮に身震いした。
 その異常な行為は、決して血迷ったからではなかった。それは、妻に対する贖罪の念に駆られての行為だった。今頃、きっと妻の膣にも誰の物かわからない精液がドロドロと溜まっているだろうと思うと、そうせずにはいられなかったのだった。

ウツボ200

 ゴムの上からシコシコとシゴいた。見ず知らずの男の精液が亀頭をヌルヌルと滑らせていた。
 薄いゴムの中でコリコリしている肉棒の感触は、まるで他人のペニスをシゴいているようだった。今頃妻も、こうして他人棒をシコシコしているのだろうかと想像すると、自然に手首の動きが早くなってきた。
 そんなゴムの中は、他人の精液でヌルヌルしていたが、しかし表面は、既に乾いてしまっていたため、それがシコシコされる度に、乾いたゴムがペリペリと独特な音を鳴らした。
 卑猥な音を立てながら、立ったままシゴきまくった。中腰になり両足をスリスリと擦り合わせながら悶えていると、ふと、休憩室へと続く廊下の角から、そんな私の痴態をジッと観察している男がいることに気づいた。
 男は私を見つめながら笑っていた。しかし、笑っているのは口元だけで、目は狂人のようにギラギラと光っていた。
 その異様な目の輝きは、明らかに私を獲物として捉えていた。
 ゆっくりと近づいてくる男に危険を察知した私は、一刻も早くこの場から立ち去らなければと焦ったが、しかし、その男の鋭い眼光から発せられる異様なパワーに圧倒されてしまい、まさに蛇に睨まれたカエルの如く、足が竦んで動けなくなってしまった。
 それでも私は、恐る恐るコンドームの先を引っ張り、それを引き抜こうとした。私はソッチ方面の変態ではないという事を男に知らせるためにも、一刻も早くこの変態行為を中止するべきだと思ったのだ。
 ビューンっと伸びたコンドームがチュポンっと音を立てて抜けた。丸いピンクのゴム輪から前者の精液がトロッと溢れ、それが使い古されたカーペットの上にボトッと落ちた。
 それをランドリーボックスの中に投げ捨てると、既に男は、私の目の前に立ちはだかっていた。
 恐らく四十代だった。一見、普通のサラリーマンにも見えたが、しかし、その狂気に満ちた表情とガタイの良い体格は、まさにグラディエーター的なホモだった。
 男は、無言で私を見つめながらニヤニヤと口元を歪めていた。いきなり腰に巻いていたオレンジ色のバスタオルを剥ぎ取り、それをランドリーボックスの中に放り込むと、ピンっと勃起したペニスを私に見せ付けてきた。

(怖っ……)

 咄嗟にそう思いながら、早々とその場から立ち去ろうとした。
 すると、背後で男がポツリと呟いた。

「それ……さっき俺が使ってたゴムだよ……」

 ゾッとしながら足を止めた。恐る恐る振り返ると、グラディエーターは不敵に私を見つめながら自分のペニスをシコシコとシゴいていた。

ウツボ201

 グラディエーターは、もう片方の手でいきなり私の手首を握ると、物凄い力で私をグイッと引き寄せた。そして私のうなじに、「仮眠室に行こうか……」と囁くと、そのまま強引に歩き出そうとした。
 一瞬、そのイカツイ肉棒でメリメリと引き裂かれる肛門が頭を過ぎった。ゾッとしながら慌ててその手を振り解き、「違うんです」と足を止めた。
 グラディエーターは「何が?」と首を傾げながら私の顔を覗き込んだ。

「いや、私にはソッチの趣味はありませんので……」

「じゃあ、何で俺のコンドームを——」

「——失礼します」

 私はそう早々と告げると、まだ何か言いたそうなグラディエーターを無視して浴場の扉を開けた。そして溢れ出る湯気に包まれながら、もう一度「失礼します」と小さく頭を下げると、そのまま後ろも振り向かないまま扉を閉めたのだった。

ウツボ202

 焦っていたため、何も考えないまま飛び込んでしまった浴場だったが、しかし、濡れたタイルを足の裏に感じた瞬間、妻の顔が頭に浮かび、急速に現実に引き戻された。
 慌てて湯気の中に目を凝らした。
 浴場には三人の男がいた。
 一人は、ほぼスキンヘッドに近い坊主刈りの若者で、水風呂の前のタイル床にべたりと胡座をかいていた。
 もう一人の男は、三十代と思われる色白の茶髪男で、浴槽の縁に座りながら足だけ湯に浸かっていた。
 そして、最後の一人は、五十代と思われるムッチリと太った中年親父で、サウナ横の洗い場の椅子にどっしりと腰掛けていた。
 と言っても、このムッチリ親父は体を洗っているわけではなく、髪を洗っているわけでもなかった。ムチムチとした二重アゴを歪に曲げながら顔だけを横に向かせ、露天風呂の方をジッと見つめていた。
 そんなムッチリ親父の視線の先に妻がいた。浴場の一番端の洗い場でジッと蹲りながら、真っ白な湯気に身を潜めていた。
 そんな妻の細い背中を見た瞬間、まだヤられていなかったという安堵感と、このままではヤられてしまうという焦燥感が複雑に絡み合った。ヤられる妻が見たい為に、わざわざ妻をここに連れてきたはずなのに、それでもまだヤられていないと知るなり、(引き返すならまだ間に合う)などという、往生際の悪さが出てきた。
 浴場の三人は見るからに外道だった。湯気に身を隠しながら妻の様子をジッと伺うその姿は、まさにサバンナの茂みの中でインパラを狙う肉食獣そのものであり、ふとしたタイミングで一斉に襲いかからんばかりの、そんな唯ならぬ気配を漂わせていた。
 実際、洗い場の椅子に腰掛けているムッチリ親父の股間には、真っ黒な極太肉棒がヌッと反り立っていた。

ウツボ203

 水風呂前のタイル床で胡座をかいているスキンヘッドの股間からも、真っ赤に腫れ上がった亀頭が顔を出し、浴槽の縁に腰かけている茶髪男などは、あたかもそれを妻に見せつけるかのように大きく股を開き、その天狗の鼻のように勃起したペニスを大胆に露出していた。
 そんな一触即発な状況の中、入り口のドアの前に立ち竦んでいた私は、(引き返すならまだ間に合う、引き返すならまだ間に合う)と何度も呟きながら、汗で湿った拳を握りしめていた。
 やはりネズミ男が言うように、素人の妻には、ここは早すぎた。つい昨日まで普通の主婦として生活してきた妻のレベルなら、オールナイトの映画館か、もしくは安全な単独男を集めての乱行パーティーからデビューするのが順序であり、いきなり外道共が蠢くサウナに全裸で放り出すというのは、あまりにも無謀過ぎた。
 やっぱり連れて帰ろう。そう思いながら妻に向かって歩き出した。すると、ふと、浴槽の縁に座っていた茶髪男が、その天狗の鼻のようなペニスをシコシコとシゴき始めたのが目に飛び込んできた。

ウツボ204

 外道はこの三人だけではない。恐らく、サウナの小窓からも露天風呂の向こう側からも、外道共が妻の様子を伺っているに違いなかった。
 外道共は警戒しているのだ。デブやブスやババアといった変態女ならまだしも、妻のような美女が、こんな所に一人ポツンといるのは明らかに不自然であり、それで外道共は二の足を踏んでいるのだ。
 しかし、誰かが先陣を切れば、外道共は雪崩を打って襲いかかってくるに違いなかった。その一番槍が、今そこでペニスをシゴき始めた茶髪男となるのだろうかと思うと、あの天狗鼻の肉棒が、ヌルヌルに濡れた妻の蜜穴を行ったり来たりしているシーンがリアルに浮かびあがり、突然の興奮に襲われた。
 胸底から熱いモノがムラムラと湧き上がってきた。
 再び私の中で絶望と欲望が葛藤し始め、それらはドロドロと混ざり合っては、真っ黒なヘドロと化して私の脳を汚染した。
 私は、妻の背後で足を止めた。
 そこに呆然と立ち竦みながら、妻のツルンっと輝く丸い尻を見下ろしていると、不意に、私が先陣となり、外道共が見ている前で、この変態女を滅茶苦茶に犯してやりたい衝動に駆られた。

ウツボ205

 私がそこで足を止めた瞬間、それまでこっそり妻の様子を伺っていたスキンヘッドの若者とムッチリ親父と茶髪男が、慌ててこちらを見た。三人揃って首を伸ばしているその姿は、ミーアキャットのように滑稽でもあり、不気味でもあった。
 妻には一切話しかけなかった。まるで他人のように妻の存在を無視しながら、洗い場に置いてあった風呂桶にドボドボと湯を溜め始めた。
 それは、ここにいる外道共には、この女が私の妻であると言う事を知られたくなかったからだった。この女は、露出狂で淫乱でリンカン願望を持つ変態女であり、あくまでもこのサウナには、自分の意思により一人でやってきたという事にしておきたかったのだ。
 その理由は、そうしたシチュエーションにしておいた方が、外道共の本領が発揮されると思ったからだった。寝取られ願望の夫に無理やり連れてこられた女よりも、自らの意思でここにやって来たリンカン願望女と言うことにした方が、外道共のモチベーションは向上し、躊躇なく妻を陵辱しまくれると思ったからだった。
 当然、妻に対しても同じだった。
 この場に私がいれば、妻も本性を曝け出せれないであろう。その一部始終を夫に見られていては、内面に隠し持っている淫乱性欲を存分に吐き出す事ができず、常に受け身のまま、ただただマグロとなってダラダラと犯されるだけになってしまうのだ。
 私は、今夜妻が淫獣と化すのを望んでいるのだ。夜な夜な異常性欲者の夫に散々弄ばれながらも、ピンクローターでしか自分を慰められない可哀想な妻を、今夜ここで解放してやりたいのだ。溜めに溜め込んだその淫らなストレスを、野獣のような外道共の肉棒によって全て発散し、自らも淫獣と化して欲しいのだ。
 だから私は、わざと風呂桶に湯など溜めながらも、妻の背中にソッと呟いた。

「私は先に部屋に帰ってるから……キミはサウナにでも入ってゆっくりして来なさい……」

 すると妻は、私のその残酷な言葉に別段驚く事もなく、黙ったままソッと横目で私を見た。妻のその表情は怯えていた。そして、明らかに私を非難していた。
 私はそんな妻の視線からソッと目を逸らしながら、意味もなく桶に溜まった湯を床にザァーっと流した。
 そうしながらチラッと三人の男たちを見ると、それまでミーアキャットのように伸びていた首はいつしか元に戻っていた。
 私が妻にこっそり囁きかけた事に不審を抱いたのか、そんな彼らの表情には警戒心が浮かんでいた。
 これではマズイと思った。このまま立ち去れば、彼らはこれが美人局か、若しくはAVの隠し撮りではないかと疑い、スムーズに事が進まない恐れがあった。
 そこで私は、妻とは何の関係もない、通りすがりの変態のふりをする事にした。
 私は、わざと彼らに聞こえるくらいの声で、妻に向かって「おい、変態女、オマンコを見せてみろよ」と言った。そして、既に勃起しているペニスを妻に突きつけ、わざと彼らに見えるようにしながらそれをシコシコとシゴき始めたのだった。

 いきなり豹変した私を、妻は戸惑いながらジッと見ていた。
 そんな妻に、私は低く呟いた。

「黙って言う通りにしろ……奴らに私たちが夫婦だという事がバレたら……生きてここから出られないぞ……」

 そう脅してやると、妻はそれを本気に受け取ったのか、ビクビクしながら辺りを見回した。そして、浴槽の縁に座りながらセンズリしている茶髪男を見つけては、その大きな目を更にギョッと見開いた。

「早くしろ……こっちを向いてそこにしゃがむんだ……」

 茶髪男のセンズリが効いたのか、そんな私の命令に妻は素直に従い、恐る恐る椅子から尻を下ろすと、こちらを向いてしゃがんだ。

「そのまま股を開け! そのいやらしい穴を見せてみろ!」

 わざと大きな声でそう言いながら、しゃがんだ妻の両太ももを、肩幅まで開かせた。
 そこが開くなり、三人の男の首が一斉に傾いた。水風呂の前で床に胡座をかいていたスキンヘッドの男などは、そのままべたりと床に寝そべり、直下から、しゃがんだ妻の股の裏を覗き込んでいた。
 そんな男たちの露骨な行動に、目眩を感じるほどの興奮に襲われた私は、咄嗟に、「しょ、しょうべんをしろ! そこにビシャビシャとしょうべんするんだ!」と叫んでいた。
 私の叫び声が浴場に響くと、同時にスキンヘッドの若者がケラケラと笑いだした。その笑い声は、明らかに妻を屈辱しており、途端に私の胸は締め付けられたが、しかし、そんな屈辱感は、寝取られマゾの私の興奮を更に扇動した。
 妻はジッと俯きながら下唇を噛んでいた。その表情には羞恥と屈辱が垣間見れたが、しかしそれは、見ようによっては快楽とも受け取れた。
 暫くして、突然妻の陰部がプクッと膨らんだ。それと同時にそこから黄金色の水がシューッと吹き出し、薄く湯が張ったタイル床に円形状の波紋が広がった。

ウツボ206

 スキンヘッドの若者が更に声を高めて笑った。茶髪男は激しくペニスをシゴき、ムッチリ親父は、勃起した肉棒に激しく噴き出すシャワーの湯を掛けながら、小便が噴き出す妻の股間を覗き込んでいた。
 そんな彼らを横目で見ながら、ひとまず彼らが私に抱いていた警戒心は消えたと思った。
 妻の真正面に立つと、生温かい小便が右足の甲にシュッーと吹き掛かった。妻を見下ろしながら、そこにポテンっと垂れ下がる乳肉に向けてペニスをシゴき始めると、不意に妻と目が合った。
 妻は悲しそうな目をしていた。まるで捨てられた子犬のように、寂しさと悲しみが宿っていた。
 私はそんな妻の目に、更に追い討ちをかけるかのようにして、その乳肉に向けて射精してやった。ビュッ!と飛び出した精液に、妻が慌てて顔を背けると、背後でスキンヘッドの甲高い笑い声が響いた。
 コリコリの乳首に亀頭を押し付け、肉棒を回転させながらそこに精液を塗り込んだ。亀頭がヌルヌルと滑り、乳首がネチャネチャと音を立てながら回転した。

ウツボ207

「朝までには帰って来るんだぞ……」

 そう小声で囁きながらソッと妻の顔を見た。
 すると、妻の目には、先ほどの悲しみはもう宿っていなかった。
 まるで廃人のように浮遊したその目は、二年前、赤坂のマンションで見た、あの時の変態肉便器女と同じ目だった。

(遂に妻も……ヘドロに汚染された……)

 そんな恐怖と絶望に襲われた私は、慌てて妻に背を向けた。そして、逃げるようにして足早に歩きながら、脳に焼きついた妻の目を必死に振り払った。

(私は……私は……取り返しのつかないことをしてしまった……)

 そう下唇を噛みながら必死に歩いていると、不意にムッチリ親父とすれ違った。(えっ!)と慌てて振り返ると、茶髪男が湯の中をゆっくりと進みながら、まるでジョーズのように妻に迫ろうとしていた。
 それを見るなり、それまでの恐怖と絶望は欲情へと変わった。
 それは、私の脳髄に沈殿していたヘドロが、再び動き出した瞬間だった。

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)40

2013/06/13 Thu 00:01

「昨夜未明、昭和町二丁目のコンビニエンスストアで、男性従業員に『呪い殺すぞ』などと脅して陰部を露出したとして、自称・占い師の70才の男が逮捕されました——」

 サウナの重い木扉を開けると、そんなニュースキャスターの声と共に、生温い空気がモワッと溢れた。
 ここのサウナは決して熱くなかった。常にコタツ程度の生暖かさに保たれていた。
 当然、サウナを楽しみに来た客には物足りない温度だろうが、しかし、ここに来る客の半分以上はサウナ以外の目的があり、そんな客にとっては、この生温かい温度は適温なのであった。

 サウナには、四十代と思われる短髪の中年男が一人いた。そのがっしりとした体格と異様な毛深さは、まさにサムソンの表紙に描かれているイラストのようであり、妙にソワソワしながら私の裸体をチラチラ見ているその仕草からしても、明らかにこの男はホモだった。
 そんなサムソンの視線を気にしながら、私は右側の窓の席へと進んだ。
 因みに、このサウナには、アクリル板で仕切られたハメ殺しの窓が左右に一つずつあった。右側の窓からは大浴場が見る事ができ、左側の窓からは露天風呂が見ることができた。いずれもサウナには必要性のない窓であり、一体何のために作られた窓なのかは定かではないが、恐らく、このサウナの性質上、覗いたり覗かれたりして楽しむ窓ではないかと予想できた。

ウツボ208

 そんな窓から大浴場を見ると、三匹の外道に囲まれながら怯えている妻の姿が見えた。
 床に蹲る妻の正面にはムッチリ親父がしゃがんでいた。その右肩はコキコキと小刻みに動いており、妻にセンズリを見せつけているようだった。
 妻の横には茶髪男がいた。茶髪男は勃起したペニスを妻の太ももにスリスリと擦りつけながら、何やら妻の耳元に話しかけていた。
 そして妻の背後にはスキンヘッドの若者がいた。彼は違法なドラッグでもやっているのか常にケラケラと笑っており、この時もまた狂ったようにケラケラと笑いながら、蹲る妻の顔を背後から覗き込んだりしていた。
 非常に危うい状況だった。今まさに、獣たちが獲物に襲い掛からんとしている一触即発の状況だった。
 そんな状況をサウナの中から見ていた私は、まるでサファリパークのバスの中で、ライオンが肉の塊を貪り食っているのを見ているようだった。

「——公然わいせつ罪の疑いで逮捕されたのは、自称・占い師の織田喜一郎容疑者70才で、織田容疑者は、八日午前三時半頃、昭和町二丁目のコンビニに押し入り、突然店内で陰部を突き出しながら、『触らないとお前の家族全員を呪い殺すぞ』などと男性従業員を脅した疑いがもたれています。調べに対し、織田容疑者は容疑を否認しておりますが、このおおよそ一時間前にも、事件現場から二キロ離れた路上で、織田容疑者とみられる男が全裸で奇声をあげているのが目撃されており、警察では事件との関連性を調べています」

 アクリル板で仕切られたテレビで、ニュースキャスターの籠った声がボソボソと響いていた。いかにもローカル局らしい男性キャスターは寝癖がひどく、背景のセットは昭和を彷彿させるほどに古臭かった。
 そんなニュースをジッと見ていたサムソンが、突然、溜め息混じりにポツリと呟いた。

「ノブナガさん、とうとう捕まっちゃいましたね……」

 それは、明らかに私に語りかけていた。
 こんな所でこんな男とそんな会話はしたくはなかった。
 が、しかし、ここで私が何か答えなければ、気まずい雰囲気になるのは必然であり、とりあえず私は、「お知り合いですか?」と聞いてやった。
 するとサムソンは「え?」と振り向き、「ノブナガさんを知らないんですか?」と、驚いた表情で聞いていた。
 知るわけがない。
 そう心で呟きながら「はぁ」と頷いた。
 するとサムソンは突然声を潜めながら、「もしかして、ここ、初めてですか?」と聞いてきた。

「二回目ですけど……」

「ここには、出張か何かでいらっしゃってるんですか?」

「ええ……まぁ、そんなようなものです……」

 そう頷くなり、サムソンは「それは失礼」と小声で呟き、慌てて私から視線を逸らした。
 そんな仕草から、サムソンは生粋のホモだろうと思った。恐らくサムソンは、私がその目的でここにやってきた同類ではなく、何も知らない堅気の一般客だと思ったのだろう、だから彼は素早く身を引いたのだ。
 さすが、生粋のホモはマナーが良かった。神聖なハッテン場を汚さぬというその姿勢は、どこか礼節を重んじる武道に通じるものがあり、私はそんなサムソンに、密かに清々しい好感を抱いた。
 それに比べて外道は違った。誰彼見境なく性欲を放出しようとする外道は、まさに餓えた野獣であり、礼節どころかレ○プも辞さぬ狼藉ぶりだった。
 そんな外道に取り囲まれた妻をアクリルの窓から覗くと、外道共は妻をどこかに連行しようとしているのか、しゃがんでいた妻を強引に立たせようとしていた。
 茶髪男が妻の右手首を掴み、ムッチリ親父が妻の左手をグイグイと引っ張っていた。妻は、まるで散歩を嫌がる犬のように必死に抵抗していたが、しかし、二人の男の力には勝てず、遂にしゃがんでいた腰を浮き上がらせてしまった。
 それでも妻は、中腰の姿勢のままイヤイヤと首を振り、必死に抵抗を続けていた。そんな中、妻の背後にいたスキンヘッドの若者だけは、中腰に屈んだ妻の尻の裏を覗き込みながらニヤニヤと笑っていたのだった。
 
ウツボ209

 茶髪男は妻の右手を引っ張りながら、もう片方の手を露天風呂へと続くサッシに伸ばした。
 そこがガラガラっと開かれ外気が雪崩れ込んできた。外気は一気に真っ白な湯気となり、広い浴場は一瞬にしてホワイトアウトと化した。
 妻の姿を見失った私は焦った。慌てて立ち上がると、露天風呂が覗ける窓側に向かって走り出した。
 そんな私の突然の慌て様に、驚いたサムソンが、「地震ですか!」と、トンチンカンな事を聞いてきた。
 私はそんなサムソンを無視し、アクリル窓の真横の席に腰を下ろした。そして窓に顔を押し付け、薄暗い露天風呂に目を凝らした。
 窓には張り紙がべたりと貼り付けられていた。そこには、サムソンの「地震ですか!」よりもトンチンカンな事が書かれており、私は必死に窓を覗き込みながらも、思わず「アホか」と笑ってしまった。

ウツボ210

 そんな窓の向こう側に妻が現れたのは、それから三分ほどしてからだった。
 その三分の間、窓に顔を押し付けながら沈黙していた私の心臓は、まるで壊れた玩具のように激しい鼓動を打っていた。
 両手を拘束されながら連行される妻は、庭石で囲まれた露天風呂の縁に座らされた。
 そこは、丁度このアクリル窓の真正面だった。今から始まる残酷ショーを鑑賞するには、ここは最高の場所だったが、しかしそれは、逆に考えれば妻からも私が丸見えということでもあった。
 自分の存在を妻に隠しておきたかった私は、慌ててサウナの壁に身を寄せ、恐る恐る窓の端からソッと覗いた。
 露天風呂の縁に座らされた妻は、再び三人の外道に囲まれていた。三人は、ニヤニヤと不敵な笑顔を浮かべながら妻に何かを話しかけていたが、しかし妻は、浴槽の湯をジッと見つめたまま黙っていた。
 そんな妻の顔からは表情が消えていた。その顔は人形のように動かず、その目は幽霊のように冷たかった。
 これほど過酷な状況の中、そのような無表情でいられるというのは、妻が完全に堕ちたという証だった。
 去年の暮れ、小金井の廃墟屋敷で開催された、『2015村井コレクション』の会場において、SM界の巨匠・村井法善次時常が語っていたことだが、村井曰く、「真のマゾヒストというのは、羞恥、苦痛、屈辱に対して、やたらとギャーギャー騒がない」らしく、「被虐の快楽を悟った者は、廃人の如く静かにその絶望を楽しむものである」らしい。
 事実、その会場では、村井が調教した奴隷女が披露されたが、その女は、大勢のギャラリーが見ている前で緊縛され、浣腸の挙句に汚物を吹き出したが、それでも顔色ひとつ変えなかった。更に、屈強な黒人男性四人に取り押さえられ、目を背けたくなるような陵辱を受けては、その剥き出された秘部に残虐な危害を散々加えられていたが、しかし女は、終始、人形のように表情を消し、唸り声ひとつ上げないまま、その羞恥、苦痛、屈辱の全てを受け入れていた。

ウツボ211

 あの時の奴隷女の冷たい顔と、今の妻の人形のようなその顔は同じだった。
 かといって、妻はあの奴隷女のように、まだ完全に悟ったわけではない。現時点では絶望の谷底に堕ちたというだけであり、被虐の快楽を悟るまでには至っていなかった。
 しかし、妻がそんな悟りを開くのも時間の問題だった。
 それは、今回の調教が、今までのような甘いものではないからだ。
 ここはまさに、血肉を貪り食う外道共が蠢く強欲地獄だった。例え膣が裂けようとも、例え肛門が破裂しようとも、外道共は己の欲望が尽きるまで妻の内臓を貪り食うであろう。
 それほど過酷な調教は、早々と妻を変えてしまうはずだった。
 なぜならこの女は、異常性欲者の夫を持つ妻だからだ。普通の妻として生きながらも、しかしその内面には、私と同じヘドロのような変態性欲が潜んでいるからだった。

 そんな事を考えながら、氷のように固まった妻の顔を見ていた。その氷が溶けた時の妻の変貌を楽しみにしながら、アクリル窓の隅でジッと身を潜めていた。
 三人の外道は、相変わらず下衆な笑みを浮かべながら、何やら必死に妻に話しかけていた。
 そんな外道に取り囲まれていた妻は、左腕で乳首を隠し、右手で股間を隠すという全く無駄な防御をしながら、ジッと黙って項垂れていた。

ウツボ212

 三人の外道は、まだ誰も妻の体には触れていないようだった。妻の緊張を解そうとしているのか、三人は必死になって妻に話しかけていた。
 しかし、三人の視線は妻の身体中をいやらしく舐め回していた。恐らく三人は、どうでもいい事を妻に話しかけ、そうしながらも密かに妻を視姦し、プレイ前の高揚感を高めているに違いなかった。
 だから、私も負けずに妻を視姦した。
 妻の柔らかい体を押し広げ、妻の陰部に漂う甘い香りを存分に嗅ぎ、そしてそこからヌルヌルと溢れる甘蜜をテロテロと舐めるといった、そんな妄想を悶々と繰り広げた。
 しかし、そう視姦しながらも、あのクラゲのような妻の柔肌を、今から実際にあの三人が弄ぶのかと想像すると、たちまち私の全身の毛が逆立った。あの、私しか知らない妻の陰部の甘い香りや、ヌルヌルと舌に絡みつく甘蜜の感触を、今からあの外道共も愉しむのだろうと思うと、強烈な嫉妬が湧き上がり、凄まじい焦燥感に駆られた。
 再び絶望の底に突き落とされた私は、またしても、(今なら間に合う、今なら間に合う)と繰り返し呟きながら、あの状況からどうやって妻を救い出そうかと考えていた。
 しかし、そう焦りながらも私のペニスは狂ったように勃起していた。焦れば焦るほどペニスはヒクヒクと痙攣し、その度に、股間に掛けていたタオルが、糸で引っ張られているかのようにツンツンと跳ねた。

ウツボ213

 ふと見ると、いつの間にかムッチリ親父の手が、妻の太ももの上にあった。まるでどこかのスケベ社長が、「この後、メシでも食いに行かないか」と、若いキャバ嬢を誘っているかのように、そこをスリスリと摩っていた。
 それに合わせ、スキンヘッドの指が妻の乳房に伸びた。スキンヘッドは、項垂れる妻の真正面に立ち、勃起したペニスを妻の顔に突きつけていた。ニヤニヤと笑いながら妻を見下ろし、人差し指の先で妻の乳首をコリコリと転がしていた。

(来るぞ……いよいよだぞ……)

 そう覚悟を決めながら、カラカラに乾いた喉に唾をゴクリと飲み込むと、妻の背後でしゃがんでいた茶髪男が、いきなり妻の後頭部を撫で始めた。まるで子供の頭を『いいこ、いいこ』と撫でるかのようにしながら、妻の耳元に何かコソコソと囁き始めた。
 しかし、よく見ると、それは囁いているのではなかった。茶髪男は妻のうなじに顔を埋め、妻の耳や首筋に真っ赤な舌をチロチロと這わせていたのだ。
 そのうち、髪を撫でていたその手が、妻の肩へと滑り降りた。それと同時に、茶髪男の舌がうなじから顎へと移動し始めた。

(やめろ……それだけはやめてくれ……)

 そう茶髪男に呟いた。
 キスだけは耐えられなかった。それは、ペニスを舐めさせられるよりも、中出しされるよりも辛かった。
 しかし、茶髪男は、そんな私を嘲笑うかのように、妻の肩をソッと回しながら妻の顔を後に向かせようとした。

(ダメだ! 拒否するんだ! 早く顔を背けろ!)

 そう妻に必死に念力を送るが、しかし、そんな願いも空しく、妻の顔はゆっくりと後に向いた。
 茶髪男の唇が妻の唇に触れた。一瞬妻は戸惑い、そのまま顔を下に向けようとしたが、しかし茶髪男は妻の顔を強引に上に向かせ、妻の唇にその下品な唇を押し付けた。
(くそっ!)と、下唇を噛んだ。
 激しい嫉妬に目眩を感じながら、汗ばむ拳を握りしめていると、次の瞬間、更なる衝撃が襲いかかり、一瞬にして私の脳を破壊した。
 それは、想像を絶するほどの残酷なシーンだった。
 なんと妻は、茶髪男の唇に向けて、自ら舌を伸ばしていたのだった。

ウツボ214

 妻の真っ赤な舌が、茶髪男のカサカサの唇の中でレロレロと動いていた。
 茶髪男の舌が妻の口内を掻き回しているのならまだしも、妻の舌が意欲的に動いているというのは、あまりにも残酷すぎる現実だった。
 それまでの、怒り、嫉妬、恐怖は、一瞬にして消え去り、絶望感だけが脳に真っ黒な渦を巻いていた。

 いつの間にか私は、その残酷な現実を見つめながらペニスを握り締めていた。
 心の中で(あぁぁぁ……)と深い溜息をつきながらそれを上下させると、心地よい快感と共に真っ黒な渦はたちまち液状化し始め、それがヘドロとなって重圧な渦を巻き始めた。
 それは、絶望が快楽へと変わった瞬間だった。
 ほんの数秒前までは、自殺したくなる程に追い込まれたシーンだったが、しかし今では、その卑猥に絡み合う舌と舌は、私の異常性欲をどんどんと昂らせ、気がつくと私は、タオルの上から、その熱り勃った肉棒を上下にシゴいていた。

 と、その時、突然、私のすぐ真横で低い声がボソボソっと聞こえた。

「……逮捕された織田さんってのはね、ここではノブナガさんと呼ばれてたんですよ……」

 ハッと慌てて振り返ると、いつの間にかサムソンが私のすぐ隣に座っていた。

「ノブナガさんは常連歴三十年のベテランでしてね……いつも、今あなたが座っているその席で、私たちにしゃぶらせてくれてたんですよ……」

 サムソンはそう呟きながらジッと正面を向き、壁に埋められているテレビを見ていた。
 サムソンの毛深い左手が私の太ももの上を蛇のように這い、股間に掛けていたタオルの中へと忍び込んできた。
 ごつい指が私の肉棒をがっしりと握りしめた。画面では、いかにもローカルの深夜といったパチンコ店のCMばかりが垂れ流されていたが、それでもサムソンは瞬き一つせぬままそんなテレビをジッと見つめ、私の肉棒を握りしめていたのだった。

ウツボ215

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)41

2013/06/13 Thu 00:01

 サムソンは、握りしめた私の肉棒を、亀頭から根元まで、ゆっくりゆっくり丁寧に上下させ始めた。
 突然のことで驚いてはいたが、しかし、妻の裏切り行為を目の当たりにされ、激しい異常性欲に駆り立てられていた私は、その慣れた手の動きに抵抗することもできず、素直に快感を得ていた。
 恐らく妻も、今の私と同じ感覚だろうと思った。頭では今のこの状況が非常に危険だとわかってはいるが、しかし肉体は外道たちの愛撫を更に求め、もはやそこから逃れられなくなってしまっているのだ。
 これは、明らかに異常性欲者の症状だった。異常性欲というのは、一度発症してしまうと、例えどんな状況であろうと自分の意思では止められなくなり、とことんまで堕ちてしまうものだった。
 そんな女を以前私は見たことがあった。
 それは三年前、痴○ン常習者たちで結成される『埼京線倶楽部』のイベントに参加した時のことだった。

 そのイベントというのは、二十人近くの痴○ン男達が一車両に同時に乗り込み、一人の女を全員で陵辱してしまうという、実に卑劣なイベントだった。
 その日のターゲットは、なんと婦人警官だった。痴○ンを取り締まる為に、乗客を装いながら車内で目を光らせている、いわゆる痴○ンGメンと呼ばれる四十歳くらいの女だった。
 そんな危険なターゲットは事前に決まっていた。イベントの数日前、埼京線倶楽部のリーダーの秘密のツイッターにこう書いてあった。

『次のイベントのターゲットは、Gメンの真野ちゃんに決定です。皆さんも御存知のように、いつも真野ちゃんは痴○ンを覗き見しては悶々としているスケベな女です。次回のイベントでは、そんな真野ちゃんを皆さんでたっぷりと可愛がってあげましょう』

 そのツイッターを見て、私は三万円という高額な参加費を払う決心をした。現役の婦人警官であり、ましてやそれを専門に取り締まっているGメンの女が、日頃敵視している男達に痴○ンをされ、果たしてどんな風に乱れるのかを見てみたいと思ったからだ。
 そんな動機から、私は二十人近くの埼京線倶楽部の会員と車内に潜伏した。
 運良くも私の二列前に真野ちゃんはいた。真野ちゃんに触れるまでは近くはないが、しかし、その一部始終を観察するのにはベストポジションだった。
 真野ちゃんと呼ばれるGメンは、まさか自分がターゲットにされているとは知らず、獲物を狙う黒豹のような目で辺りを監視していた。
 しかし、そんな彼女を、鉄砲隊と呼ばれる先発隊が既に取り囲んでいた。
 鉄砲隊のその手際は見事なものだった。一瞬にして真野ちゃんを拘束すると、あっという間にスカートを捲り、ブラをずらして乳房を曝け出し、そしてパンティーの中に手を突っ込んでは陰部を直に弄りまくったのだった。

ウツボ216

 当然、真野ちゃんは激しく抵抗した。腰から引き千切られ、床に投げ捨てられたインカムを必死に目で追いながら、「やめなさい! 警察です!」と叫んでいた。
 しかし、プロ集団は容赦しなかった。乳首を舐めまくり、尻に顔を埋め、パンティーの中を乱暴に弄った。
 それでも真野ちゃんは必死に抵抗しながら、床に転がるインカムを取ろうと前屈みになった。すると突然プロレスラーのような屈強な男が現れ、そのブヨブヨに熟れた尻の割れ目に巨大な肉棒を「ドン!」っと突き刺した。
 真野ちゃんは悲痛な叫び声をあげ、狂ったようにもがき始めた。
 が、しかし、そこで私は不可解な事に気付いた。なんとあれだけ巨大な肉棒が、何の障害もないままスムーズにピストンしているのである。
 例えペニスにローションを塗りたくっていたとしても、この状況でのあのサイズは挿入さえも困難なはずだ。にも関わらずその巨大なペニスは、まるで泥の中のウナギのように、その穴の中を優雅に泳いでいるのである。
 という事は、既に真野ちゃんは濡れていたと考えられた。あの石焼き芋のような巨大な肉棒がスムーズにピストンするほどに、真野ちゃんのアソコはヌルヌルに濡れていたのだ。
 恐らく、常日頃から痴○ンシーンばかり見ている真野ちゃんは、いつしかその願望を抱いていたのかも知れない。
 麻薬取締官がドラッグに手を出してしまったり、暴力団担当刑事が暴力団のような風体になってしまうように、痴○ンGメンの真野ちゃんもまた、密かに痴○ンに欲望を感じていたのであろう。
 それを証明すべく、その後の真野ちゃんの乱れようは凄まじかった。男達に代わる代わる犯されながら潮を吹きまくり、まさに痴女の如く淫らな声で喘ぎまくっていた。
 男たちは、そんなシーンをスマホで撮影し、「これを公にしたら写真をネットにばらまくからな」と脅していたが、しかし、今更そう脅すまでもなく、既に真野ちゃんはメス豚と化していた。
 武蔵浦和駅に着くまでのそのわずかな時間に、十三人の男たちが真野ちゃんの穴の中に精液を放出した。
 さすがに私は、婦人警官にインサートまでする勇気はなく、こっそりと伸ばした手で、かろうじてそのブヨブヨの垂れ乳に触れただけだったが、しかしそれは、陵辱された現役婦人警官の生乳という非常に貴重な感触であり、三万円に充分値するほどの素晴らしい興奮を与えてくれたのだった。

ウツボ217

 このように、ヘドロに侵された女というのは、いかなる状況であろうと、どんな立場であろうと、一度その異常性欲に火がつくと自分を見失ってしまうものだった。
 あの時の婦人警官は、無意識のうちにヘドロに侵されていたのだ。
 職務により、日々、痴○ンされる女と痴○ンする男の卑猥な部分を見続けているうちに、心のどこかで自分もそうされてみたいという願望を抱いていたのだ。
 その願望はいつしかヘドロと化し、それが知らず知らずのうちに脳の奥に蓄積されていたのだ。だから彼女は、満員電車で痴○ン行為を発見する度、婦人警官としての正義感とヘドロの疼きを同時に感じていたに違いない。
 このタイプのヘドロは非常に危険だった。ストレスと同じで自覚症状がほとんどないため、本人も気づかない内に大量のヘドロを溜めてしまい、ふとした事で異常性欲を発症させてしまうのだ。
 それは、まさに今の妻と同じだった。
 妻も、異常性欲者の夫に夜な夜な調教され、知らず知らずのうちにヘドロに侵されていたのだ。
 そんな妻と、あの時の婦人警官が重なった。そして同時に、ホモ男に股間を弄ばれながら不気味なエロスに身悶えている今の自分とも重なった。
 私は、頭の中にドス黒いヘドロの渦を巻きながら、恐る恐るサムソンに「あのぅ……」と話しかけようとした。
 するとサムソンは、そんな私の言葉を遮るかのように、すかさず「初心者ですか?」と聞いてきた。

「初心者というか……そっちの趣味はないんですが……」

 私はそう答えながらも、それでもサムソンの手から逃れようとはせず、されるがままでいた。
 サムソンはそれには何も答えず、私の肉棒をシゴきながらソッと窓の外を覗いた。そして、もはや三人に身体中を嬲られ始めている妻を見ながら、「あの人……もしかして奥さんですか?」と聞いてきた。
 私は咄嗟に、「いえ、知らない人です」と答えた。するとサムソンは、あたかも疑っているような目で私を見ながら「そうなんですかぁ……」と呟くと、意味ありげに微笑みながらゆっくりと腰を上げた。
 サムソンは私の正面に立った。そしてそのまま私の足元に腰を下ろすと、私の両太ももをこれでもかというくらいに開き、その中心でヌッと突き立つ肉棒を握った。
 サムソンは、無言でそれをシコシコとシゴいていた。正座した背筋をピンッと伸ばし、ひたすらそれをシコシコしているその姿は、まるで職人のようだった。
 そんなサムソンを見下ろしながら、再び「あのぅ……」と話しかけようとすると、サムソンは私の言葉を遮るかのように、「私のことはお構いなく」と呟いた。そして上下させる手の動きを更に巧妙にさせながら、「どうぞ、私のことは無視して、あの女の人を見ててください」と微笑んだのだった。

ウツボ218

 不思議な感覚だった。
 外道共に嬲られる妻を見ながらホモ男に手コキされるその感覚は、どちらかといえば快感だった。男には全く興味がない私だったが、しかし、例え男と言えど、やはり他人の手によってシゴかれるというのは、それなりに気持ちの良いものなのだ。
 そんな快感を受けながら窓の外を見ていると、それまで背後から妻にキスをしていた茶髪男が立ち上がり、そのまま露天風呂の中に入って行くのが見えた。
 スキンヘッドは相変わらずニヤニヤと笑いながら、妻の乳肉をタプタプと弄んでいた。ムッチリ親父は妻の太ももに自分のペニスを擦りつけながら、妻の耳元に何かボソボソと囁いていた。
 ジャバジャバと音を立てて浴槽に入った茶髪男は妻の真正面に立った。そしてそのまま腰まで湯に浸かり、目の前にある妻の膝っ小僧に両手を掛けると、まるで財宝が隠された岩戸を開くかのようなオーバーリアクションで、妻の股間を大きく押し開いた。
 そこが開帳されるなり三人の男たちが一斉にそこを覗き込んだ。そのギラギラと輝く目は、まさに戦後の焼け野原で銀シャリを目の当たりにした傷痍軍人の如く狂気に満ち溢れていた。
 そんなシーンを見つめる私は、複雑な興奮に襲われていた。本来、夫である私しか見ることのできない秘部が他人に見られているという怒りと、その秘部が下衆な男たちによって好奇の目に晒されているというマゾ的な快感が、複雑に混ざり合っては私に異様な興奮を与えていたのだ。
 そして何よりも私の興奮を激化させたのが、その時の妻の様子だった。
 妻は、通りすがりと言っても過言では無いほどの見知らぬ男に、いきなり股を開かされたのだ。そして名前も素性もわからない三人の男たちに、女性が他人に最も見られたくない性器を、まじまじと見られているのだ。
 普通ならば必死に抵抗するだろう。正常な女ならば、もがき、泣き叫び、暴れまくるであろう。
 しかし妻は違った。かろうじてその顔には羞恥の表情を浮かべてはいたが、抵抗まではしていなかった。むしろ、その羞恥に性的興奮を感じながら、男たちにそこを見せつけているかのようだった。

ウツボ219

(私が見ていないと思って……)

 そう怒りに震えながら拳を握りしめていた私は、同時に、(やはりあいつは変態だった)と確信し、強烈な異常興奮に脳を破壊された。
 クラクラとした激しい目眩を感じながらそんな残酷なシーンを見つめていると、不意に、私の股間で正座していたサムソンが、「顔射して欲しいんですよ。僕の顔にね、シャーっとぶっかけて欲しいんです。ダメですか?」と聞いてきた。
 見ると、サムソンはハァハァと荒い息を吐きながら、卑屈な笑みを浮かべていた。
 すると突然、テレビからピーピピピッという緊急地震速報の報知音が流れた。チラッとテレビを見ると、カンニング竹山の頭上に、『午前2時20分頃、中国・九州地方で震度3の地震がありました』というテロップが出ていた。
 しかしその報知音が二回続いても、サムソンは何も動じなかった。さっきあれだけ地震に脅えていたはずなのに、もはやサムソンはテレビに振り向こうともしなかった。
 それだけ彼が欲情しているということだった。彼はあれだけ脅えていた地震に目もくれず、私の返事を待ちわびていたのだった。

 私はソッと視線をサムソンに下ろした。「ぶっかけてもいいんですか?」と聞くと、サムソンはさも嬉しそうに「ぶっかけてもいいんです」と頷いた。
「わかりました……」と呟き、再び窓の外に視線を向けた。
 両手を後ろに回しながら股間を男たちに向けている妻の腹が、大きく上下しているのが見えた。それは余程激しい呼吸らしく、二つの乳までもがタプタプと揺れていた。
 そんな妻の激しい呼吸に連動し、茶髪男の右肩がユサユサと揺れていた。すかさず私は亀のように首を伸ばし、今、妻の股間で何が起きているのか確かめた。
 茶髪男の手首がウネウネと蠢いているのが見えた。綺麗に並んだ二本の指は、まるで地面に穴を掘るショベルカーのように、妻の穴の奥から卑猥な汁をせっせと掻き出していた。

ウツボ220

 それを目にした瞬間、私の頭の中でピーピピピッという緊急地震速報が鳴り響いた。闇の中で(あっ、イキそうだ)という自分の声が聞こえ、私は下唇をギュッと噛みながら股間のサムソンを見た。
 それを察知したサムソンが、ペニスをシゴく手の動きを更に早めながら、「イってください。僕の顔にシャーっとぶっかけてください」と、その異様にまつ毛が長い瞼をギュッと閉じた。
 と、その瞬間、いきなりサウナの扉がガバッと開いた。太ももの内側まで迫り上がっていた欲望は瞬時に鎮圧され、まるで潮が引くかのようにザーッと失せた。
 ズカズカとサウナに入ってきた男は、林家木久蔵によく似た薄汚い中年男だった。木久蔵は興奮した面持ちでサウナの中を見渡すと、顔見知りなのかサムソンに向かって、いきなり「女はどこだ!」と聞いた。
 サムソンはギュッと閉じていた目を少しだけ開けると、せっかくの顔射を邪魔された事に不満を漏らすかのように、「露天風呂だよ」と刺々しく吐き捨てた。
 しかし木久蔵は、典型的な空気の読めない親父だった。そんなサムソンを逆撫でするかのように、「どんな女だ! どんな女だ!」と興奮しながら私とサムソンの間にズカズカと入り込み、通路で正座していたサムソンを押し退けた。
「チッ」と舌打ちするサムソンの前で木久蔵はアクリル窓を覗いた。

「マジかよ……すげぇ美人じゃねぇか……」

 そう声を震わせながら妻を見つめる木久蔵の右手には、ハンカチのような白い布キレが握られていた。
 それはテラテラと輝くサテンの生地だった。どこか見覚えがある生地だぞと思いながらそこに顔を近づけて目を凝らして見ると、やはりそれは妻の物だった。
 まさに、ついさっきまで妻が履いていた、あの卑猥なヌルヌル汁がたっぷりと染み込んだパンティーに間違いなかった。

ウツボ221

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)42

2013/06/13 Thu 00:01

「あの女は誰と来たんだ……」

 そう言いながら窓を覗く木久蔵は、通路に正座しているサムソンの肩を右足の膝でドンっと突いた。

「知らないよ……知らないうちにあそこにいたよ……」

 サムソンはソッと私を見上げ、意味ありげに小さく笑った。

「高田のおっさんか?……おっさんがまた出会い系で捕まえてきたのか?」

 そう言いながらも木久蔵は「いや」と首を傾げ、「あのドケチ親父があんな上玉を連れてくるわけがねぇわな」と、勝手に一人で納得した。

「じゃあ、やっぱり店長か。店長だろ。また例の施設から連れてきたんだろ。な、そうなんだろ」

 そう言いながら、再び木久蔵が右足の膝でサムソンの肩をドンっと突くと、「だから知らないって言ってるだろ」とサムソンが木久蔵の尻を思い切り叩き、乾いた音をサウナに響かせた。

「いや、絶対そうだって。店長に間違いないって。ほら、先月の終わり頃にさぁ、店長がツイッターで呟いてたじゃねぇか、『新入りが入所しました』って。あれだよあれ、あん時、コメントの最後に『近日ゲスト予定』って書いてあったじゃねぇか」

 木久蔵は、一人でそう興奮しながら、サムソンに叩かれた尻をボリボリと掻いた。
 するとサムソンは、呆れたように笑いながら、「違うでしょ……」と呟いた。

「どうしてだよ。店長のツイッターに『ゲスト予定』って書いてあったの、お前も見ただろ?」

「見ましたよ。見ましたけど、違うと思いますよ……」

「どうしてそう言い切れるんだよ」

 そう木久蔵がムキになると、サムソンは「フン」と鼻で笑った。そして、再び私のペニスをシコシコとシゴき始めながら、「だってあの時のツイッターには、『十七歳の新人』って書いてありましたよ。あの女の人、どう見ても十七歳には見えないでしょ」と呟き、あたかも木久蔵をバカにするかのように、もう一度「フン」と鼻で笑った。
 しかし、それでも木久蔵は、あの女は店長が連れてきたんだと言い張った。店長でなければ誰があれほどのいい女をこんな所に連れてくるんだと言いながら、窓の向こうで三人の男たちに嬲られる妻を爛々とした目で見つめていた。

「——いずれにせよあの女は、店長が『クルクルパー』から連れてきたゲストだよ……そうだよ、そうに違いねぇ……」

 そう呟きながら木久蔵は握っていた妻のパンティーを鼻に押し付けた。
そのまま深呼吸するかのように妻の陰部の匂いを思い切り吸い込むと、「それにしても、いい女だなぁ……」と言いながら荒い息を吐き、恍惚とした目で妻を見ていた。

ウツボ222

 私のすぐ目の前で、妻の下着が他人に嗅がれていた。薄っすらと黄色いシミが浮かんだクロッチに鼻を押し当てた木久蔵は、その私しか知り得ない妻の匂いを存分に嗅ぎまくっていた。
 それを目の当たりにされながらサムソンにペニスをシゴかれていた私は、このままでは射精してしまうと焦り、慌てて木久蔵から目を逸らした。
 すると、足元で正座しているサムソンと目が合った。ニヤリと笑ったサムソンのその目は、あの女が私の妻だという事を疑っていた。
 それを悟られまいと、すかさず私はサムソンに聞いた。

「クルクルパーって何ですか?」

 サムソンは、私のペニスをゆっくりと上下させながら小さく笑った。

「ここの店長が役員をしている障害者施設のことですよ。正式には『しらゆりホーム』って言うんですけどね、ここの常連たちは、みんな『クルクルパー』って呼んでます」

 ひどい差別用語だと思った。差別される者が自分たちよりも困窮している者を差別する時その差別は更に毒念が増す、というが、まさにこれは、そのケースそのものだった。
 そう思いながらも、不意に記憶が蘇った。初めてネズミ男に会った時、確かにネズミ男は、『知的障害者福祉司』と書かれたカードを自慢げに見せびらかしていた。

「もしかして……その施設から女性障害者をここに連れてきたりしてるんですか?」

 私は恐る恐るサムソンに聞いた。
 するといきなり木久蔵が、私と窓の隙間に無理矢理割り込んできた。そして強引に窓際の席を奪い取ると、「あんた新規さんか」と話しかけてきた。

「ええ……」

 そう頷くと、突然木久蔵は妻のパンティーを両手で摘み、クロッチを大きく広げた。そして、薄っすらと汚れた部分に舌を伸ばし、そこを舌先でチロチロと舐めながら、「店長曰く、これが本当のボランティアなんだってさ」と笑った。

「ボランティア?」

 そう首を傾げるなり、サムソンが「極論ですよ」と呆れたように笑いながら言葉を続けた。

「障害者も変態セックスしたいはずだ。これが店長の持論なんです。男性障害者の中にはホモもいるだろうし、女性障害者の中にだって密かに淫乱性欲を抱いている者は沢山いるはずだ、って店長はいつもそう言ってるんです。だから店長は『しらゆりホーム』から知的障害者たちを定期的にここに連れてきては、常連客たちと変態セックスさせてるんです」

 そう平然と話すサムソンに、思わず私は、「そんな事して警察に捕まらないんですか!」と声を荒げていた。
 すると、隣で妻のパンティーをベロベロと舐めていた木久蔵が、「本人たちがそうされて喜んでるんだから捕まるわきゃねぇだろ」とジロリと私を見た。

「まぁ、確かにそうなんですよね。倫理的には絶対に許されない事でしょうけど、実際には、ここに連れて来られた障害者たちは、みんな変態セックスを楽しんでるんですよね……だから、店長のやってる事は、ボランティアと言えばボランティアになるんでしょうけどね……」
 サムソンは複雑な笑みを浮かべながら私を見てそう言った。

(狂ってる……)

 そう呟きながら私は、ここは私の異常レベルを遥かに超えていると思った。こんな狂気が平然と横行している場所に妻を連れてきてしまった事に、今更ながら背筋をゾッとさせていると、不意に木久蔵が「だからあの女もクルクルパーだべ」と呟いた。

「きっと、オマンコしたくてしたくてウズウズしてる変態クルクルパーだからよ、みんなでボランティアしてあげなくちゃな……」

 そう笑いながら木久蔵は、そのパンパンに腫れ上がった亀頭に、妻の恥ずかしいシミが浮かんでいるクロッチをピタリと被せた。
 そして肉棒全体をパンティーに包み込みながら、それをゴシゴシとシゴき出し、「待ってろよ……もうすぐこのオチンチンを、お前のヌルヌルマンコにぶち込んでやるからなぁ……」と唸り始めたのだった。

ウツボ223

 愛する妻が、この薄汚い変態親父に変態クルクルパーと呼ばれていた。
 なんとも幼稚臭く、実に侮辱に満ちた言葉だったが、しかし、もはや寝取られマゾにどっぷりと陥ってしまっていた私は、そんな侮辱もエロスとして受け入れていた。
 ついさっきまで妻の股間にピタリと張り付いていた布切れが、今は見ず知らずの親父の性器にピタリと張り付いていた。それだけでも狂いそうなほどに感じているというのに、窓の外では、いよいよ三匹の外道どもが、妻を手篭めにしようとしていた。
 それまで妻の股間に張り付きながら、せっせと指マンをしていた茶髪男は、いつしか露天風呂の真ん中で仰向けになりながらポカリと浮いていた。タプタプと波打つ湯にはペニスがヌッと突き出し、まるで湖から顔を出すネッシーのようだった。
 そうしながら茶髪男は、露天風呂の岩の上で項垂れていた妻に向かって「おいで、おいで」と手招きしていた。
 妻の背後にいたスキンヘッドが、「早く行けよ」と言わんばかりに妻の背中を押していた。
 それでも項垂れたまま動こうとしない妻の耳元に、右隣にいたムッチリ親父が何かを囁いた。まるで脅しているかのように妻を睨みつけながらヒソヒソと囁き、そうしながらも妻の左の乳を乱暴に揉みしだいていた。


「ヤっちゃえよ片桐さん……そんな変態クルクルパー女、そこでズボズボとヤっちゃえばいいんだよ……」

 そのムッチリ親父は片桐という名なのか、木久蔵はそうブツブツと呟きながら、妻のパンティーを狂ったように犯していた。
 そんな残酷な言葉と汚される妻のパンティー。そして、あまりにもスリリングな窓の外のリアルな風景。それらが私の頭の中をグルグルと回り、思わず私は、シコシコと上下するサムソンの手の動きに欲望のリズムを合わせていた。
 そのリズムが一致した瞬間、まるで『ところてん』が押し出されるかのような快感を感じた。その快感は太ももからジワジワとせり上がり、それが睾丸に到着すると、そのまま尿道に向かって一気に流れた。
 思わず「あっ!」と声を漏らすと、それを待ちわびていたサムソンが、まるで看護婦さんのような優しい口調で、「大丈夫ですよ、シャーっとぶっかけて下さいシャーっと」と呟き、亀頭の先を自分の顔に向けた。
(イクッ!)と頭の中で叫ぶと、同時に隣で木久蔵が、「あああああ、イクよ、イクよ、中で出しちゃうからね」と情けない声を出し、ピーンっと伸ばした両足をスリスリと擦り合わせた。
 それをまともに見た私の亀頭から、快楽の塊がビュッ!と飛び出した。そのビュッという快感に顔をだらしなくさせながら、改めて木久蔵の股間を見ると、妻のパンティーの中に木久蔵の精液がドクドクと溜まっていくのが見えた。
 サムソンは微妙な速度でペニスをしごきながら、もう片方の手で睾丸を優しく握りしめた。さすが同性だけあり、サムソンは射精時のコツを熟知していた。
 すかさず尿道に二軍がせり上がり、私は「んふっ!」という唸り声と共に二射目を飛ばした。それを顔で受け止めていたサムソンは、顎に精液を青っ洟のようにブラブラと垂らしながら、恍惚とした表情でニヤリと笑っていたのだった。

ウツボ224

 木久蔵が「おぉぉぉ……」と低く唸りながら、ペニスからパンティーを剥いだ。クロッチには黄ばんだ精液がポテポテと溜まっており、それを見た瞬間、ラブホテルで単独男に中出しされた時の妻の姿が蘇ってきた。
 ほんの数秒前に射精したばかりだというのに、既に私の中には新たなるヘドロが湧き出していた。
 このヘドロが脳から枯渇せぬ限り私は絶倫だった。肉棒は萎むことなく勃起を持続させ、射精はまるで水道と連結させた水鉄砲の如く永遠にビュッビュッと飛ばすことができた。
 そんな私のいきり勃つペニスを見ながら、木久蔵が、「シャブか?」と聞いてきた。そして精液をたっぷりと包み込んだ妻のパンティーを、無残にも屑篭の中にボテっと投げ捨てながら、「シャブなら俺にもくれ」と迫ってきた。

「シャブじゃないです……これは……ヘドロです……」

「ヘドロ?」

 木久蔵はそう首を傾げながらも、「まぁ、なんでもいいや、その薬、俺にも売ってくれよ」と言った。
 私は「ふん」と鼻で笑いながらゆっくりと席を立つと、屑篭に投げ捨てられた妻のパンティーを摘み上げた。そして、そこに溜まった精液が溢れないように恐る恐るそれを広げると、「ヘドロは薬じゃないですよ……自然に脳に溜まる澱(おり)ですよ……」と言いながら、そのまま妻のパンティーをスルスルと履いた。
 そんな私を薄気味悪そうに見つめながら、木久蔵が「澱ってなんだよ……」と聞いてきた。
 私は恍惚とした表情を浮かべながらパンティーの両端を摘んだ。そしてそのままパンティーの端を思い切り引っ張り、クロッチを睾丸にキュッと食い込ませると、「ヘドロと呼ばれる澱は……変態性欲者だけの脳に沈殿している危険な本能なのです……」と囁きながら、パンティーから顔を出す肉棒をシコシコとシゴき始めた。
 そんな私を、ゾッとした目で見ていた木久蔵は、恐る恐る自分の頭に人差し指を向け、それをクルクルと回し始めた。そして、サムソンに向かって「あかん……こいつ完全にイッとるわ」と呟くと、そのまま「キモッ……」という捨て台詞を残してサウナから出て行ってしまったのだった。

 サウナのドアがガバッと閉まるなり、私はパンティーの上から股間に指を這わせ、ハァハァと荒い息を漏らしながら股間を弄った。
 二つの睾丸が生温かい精液の中をヌルヌルと滑った。そこにぐちょぐちょと卑猥な音を立てていると、いつしかクロッチの隙間から精液が溢れ、太ももの内側にドロリと垂れた。
 その生温かい感触が脳を刺激した。刺激された脳は更にヘドロをドクドクと放出し、たちまち私をドス黒い渦の中に引きずり込んだ。
 しかし、そんな黒い渦はいつもと違っていた。それはナポリタンとボロネーゼほどの微妙な違いだったが、いつもの黒い渦にどっぷりと浸かっていた私は妙な違和感を感じた。
 と、その時、いきなりサムソンの手が私の尻に触れた。サムソンは、妻のパンティーに包まれた私の尻をいやらしく撫で回しながら、「わかってますよ……」と、意味ありげに囁いた。
 そんなサムソンに「やめろ」と言いながら、その手から逃れようとした私だったが、しかし、尻を撫で回していた手がゆっくりと移動し、精液でグジョグジョになった股間を弄り始めると、途端に体が硬直し、私は身動きができなくなってしまった。
 
「わかってますよ……わかってますから、心配しないでください……」

 サムソンはそう囁きながら、妻のパンティーの中で木久蔵の精液にまみれた睾丸を、ヌルヌルと転がし始めた。

「な、何を、わかってると言うんですか……」

 声を震わせながらそう聞くと、「フッ」と鼻で笑ったサムソンの表情が突然変化した。それまでホモそのものの弱々しい表情をしていたサムソンの顔が、いきなり三国志の武将のようなイカツイ顔に変わったのだった。

「いいから黙ってろよ」

 言葉遣いまでも変わってしまったサムソンは私の股間を乱暴に弄った。
 そして、いきなり私をドンっと突き飛ばして椅子に座らせると、私の両足首を掴み、強引に股を開かせた。

「いきなり何をするんですか!」

 豹変したサムソンに恐怖を感じた私は、そう怒鳴りながら慌てて起き上がろうとした。
 しかしサムソンは掴んだ足首を離そうとはしなかった。恐ろしい力で両足を押さえつけながら、妻のパンティーを履いた私の股間に顔を押し付けた。

「わかってたんだ、最初からわかってたんだよ奥さん……だからジダバタするなよ、大人しくしろよ、ほら、奥さんのオマンコ、もうこんなにヌルヌルに濡れてるじゃないか……」

 サムソンはそう言いながら、木久蔵の精液でグジョグジョになったクロッチをベロベロと舐め始めた。

 奥さん。
 今、確かに私はそう呼ばれた。
 一瞬妻の顔が頭に浮かび、私の体から一気に力が抜けた。
 クロッチから這い上がってきたサムソンの舌が亀頭をコロコロと転がした。その舌感が、クリトリスを舐められながら悶えている妻の姿を浮かび上がらせ、私は異様な興奮に襲われた。
 私は、女のように「あん、あん」と悶えていた。
 その喘ぎ方は、明らかに妻を意識していた。
 いつしか私は妻になっていた。その喘ぎ方も、感じる仕草も、そしてクンニされている時に天井の一点をジッと見つめるあの癖さえも、それら全て妻の真似だった。
 そう妻に成り切りながら、ふと窓の外を見ると、湯船の中で尻を大きく開かれた妻が、背後から陰部をベロベロと舐められていたのだった。

ウツボ225

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)43

2013/06/13 Thu 00:01

『奥さん』と呼ばれた事により、突然私は『妻』へと変貌してしまった。
 今までにも、妻に成り切りながらオナニーした事は何度もあった。巨大ディルドをしゃぶってみたり、乳首専用ローターを乳首に装着してみたり、又はピンクローターを亀頭に押し付けては、女のように悶えた事がある。
 妻の下着を着用するのは日常茶飯事で、ある時など、妻のTバックを履いて出勤し、満員電車の中でこっそり射精した。女子トイレの和式便器にしゃがみ、Tバックを履いたまま『おもらし』した事もあれば、公園のホームレスに妻のパンティーを履いた下半身を露出しながらオナニーした事もあった。

ウツボ226

 それら全て妻に成り切っての変態オナニーだった。妻だったらどうするだろう、妻だったらきっとこうするだろうと、常に妻の心理を想定し、悶々と妻を演じていた。
 私がそうする理由は、妻にそうして欲しいという願望があったからだった。そうした時の妻の心理や行動を考えると、たちまち異常な興奮が湧き上がり、居ても立っても居られなくなってしまうのである。
 だから想像だけでなく、実際に自分が妻を演じる事でその異常興奮を治めていたのだが、しかしそう考えると、いきなり私を『奥さん』呼ばわりして襲いかかってきたサムソンは、そんな私の内面に潜む異常な願望に気づいていたのかも知れなかった。
 事実サムソンは、私に襲いかかる前、「わかってますよ」と何度も言っていた。そして私に襲いかかってきた後も、「最初からわかってたんだよ」と乱暴に怒鳴っては、私を『妻』として扱った。

(この男は……一体何者なんだ……)

 そう怯えながらも、しかし私は、この正体不明の男に『妻』として愛撫される事に激しい欲情を感じていた。
 私は異常性欲者だが、男には全く興味はない。元々私にホモ的な要素はないはずなのに、しかし今、こうして男に嬲られながら女声で喘いでいる私は完全なるホモだった。
 そういえば、さっき木久蔵が汚した妻のパンティーを私が履いた瞬間、大量のヘドロが脳にドス黒い渦を作ったが、あの時私は、そのドス黒い渦にいつもと違う違和感を感じていた。
 あの違和感は、新種のヘドロに違いなかった。
 異常性欲者の私は、寝取られ願望というヘドロを筆頭に、使用済み下着フェチ、スカトロ、レ○プ、露出、獣姦、SM、痴○ン、乱交、等々、様々なヘドロを脳に溜めていた。
 が、しかし、何度も言うが、その中にホモというヘドロは一滴足りとも存在しておらず、という事は、ここに来て私は、新たにホモという新種のヘドロに感染してしまったのだった。

 そんな新種のヘドロは猛威を振るっていた。
 サムソンに乱暴なクンニをされていた私は、同じく、窓の向こう側でクンニされている本物の妻に感情移入しようと、必死に今の妻の気持ちを想像した。
 もちろん、今の妻は一刻も早くペニスを挿入されたいと思っているに違いなかった。ここに来る前、あれだけ私に事前調教されていたため、恐らく今の妻は、もはや誰のペニスでも構わないはずだった。
 しかし、この状況だと、それほど慌てる必要はなかった。ここまで来てしまえば、今から嫌という程にペニスがぶち込まれる事を、妻はわかっているはずなのだ。
 そう考えると、恐らく今の妻は、セックスされる前にフェラチオを望んでいるに違いなかった。というのは、いつも私とセックスをする時、妻はインサートされる前に、必ずフェラチオをする習慣があったからだった。
 その事前フェラは、いつも妻が自ら望んでするものだった。妻は自分の気を昂めるために、ねっとりとした濃厚なフェラをじっくりと時間をかけてする癖があった。
 実際、フェラをする前はカラカラに乾いていた妻の膣は、フェラをしている最中にじっとりと潤み始め、フェラを終了した後には、いつもローションを垂らしたかのようにヌルヌルに濡れていた。
 そんな妻の癖を知っていた私は、今の妻はフェラチオを求めているはずだと確信した。
 そう確信しながら窓の外を見ていると、不意にサムソンが私の股間から顔を上げ、ゆっくりと立ち上がった。

「ここに座れ……」

 サムソンは、今まで自分が座っていた床を指差しながら私にそう言った。その口調はまるで命令であり、妻も同じように外道共から命令されているのかと思うと、私はそこに座らずにはいられなかった。
 床に正座すると、今まで私が座っていた椅子にサムソンが座った。私のすぐ目の前に、サムソンの肉棒がヌッと突き出していた。それは、ゴツゴツとした血管が無数に浮き出し、まるで生まれたばかりの子馬のようにヌルヌルしていた。
 
ウツボ227

「舐めたいんだろ……」

 サムソンは不敵な薄ら笑いを浮かべながらにそう言った。
 私は、(冗談じゃない……そんな気持ち悪いもの……)と思いながら、素早くペニスから顔を背けた。

「わかってんだぞ……あの女、あんたの女房なんだろ……」

 サムソンが呟いた。それがどうしたって言うんだ、と思いながらサムソンをキッと睨むと、サムソンは勝ち誇ったような表情で窓の外を指差しながら、「あっちは始まってるよ」と笑った。
 慌てて視線を窓の外に向けた。露天風呂の湯に、妻の丸い尻がポッカリと浮かんでいた。妻は露天風呂の中で四つん這いになり、仰向けで湯に浮かんでいる茶髪男の下半身にしがみついていた。
 ドキドキしながら亀のように首を伸ばした。それでも見えなかったため、両膝を立てて浴槽の中を覗くと、妻は茶髪男のペニスをフェラチオをしていたのだった。

ウツボ228

 予想通りだった。妻は湯からヌッと突き出しているペニスを握り締め、まるでソフトクリームを舐めるかのようにペロペロと舌を這わせていた。
 最初からわかっていた事だった。わかってはいたが、しかし実際にそれを目の当たりにすると、激しい嫉妬と興奮で気が狂いそうになった。
 妻の舌は献身的だった。尿道口、カリ首の裏、竿の裏筋にチロチロと舌先を走らせ、まるで商売女のように丁寧に舐めていた。茶髪男から指示や命令をされぬとも、彼が感じる部分を自主的に探し出しているようだった。
 それだけでも激しい目眩を感じていた私だったが、しかし、いよいよ妻の唇が大きく開かれ、今まさにそれを口に含もうとするのを見てしまった瞬間、(もうやめてくれ!)と、そう心の中で叫び、慌てて目を閉じてしまった。
 たちまち脳の奥がクラクラっと揺らぎ、そのまま私はその場にベタッとへたり込んでしまった。
 グタッと項垂れたままジッと目を閉じていると、不意に、新幹線の中で『食べログ』を見ながら、「ここの海鮮丼美味しそうだよ〜」と笑っていた妻の顔が浮かんだ。
 妻は、元々こんな女ではなかった。真面目で大人しく、結婚当初は、AVにさえ嫌悪を示すほどの潔癖な女だった。
 なのに妻は、今、見ず知らずの他人の性器を平気でしゃぶっている。しかも、相手をより感じさせようと積極的に舌を動かしているのだ。
 それを思うと、妻が愛おしくて堪らなくなり、この現実に耐えきれなくなった。
 私はそっと目を開けた。妻のパンティーからはみ出す亀頭には、既に大量の我慢汁が溢れ、まるでフレンチドレッシングを垂らされたプチトマトのように輝いていた。
 今すぐそれを狂ったようにシゴきまくり、他人棒を咥える妻を見ながら大量のヘドロを放出したい衝動に身震いしていると、頭上から「おい……」というサムソンの声が聞こえた。
 恐る恐る見上げると、すぐ目の前にサムソンのペニスが突き立てられていた。

「お前もしゃぶれ……あの女みたいにしゃぶってみろ。きっと楽になるぞ……」

 そんなサムソンの声は催眠術のようだった。ヘドロが渦巻く頭の中に、「楽になるぞ……楽になるぞ……」というサムソンの声が延々と木霊し、その声と共に唇をゆっくりと開いていた。
 丸く開いた口に、紫色の亀頭が迫ってきた。下唇に亀頭が触れ、我慢汁がヌルヌルした。パンパンに腫れた亀頭は、巨大なグミのような感触だった。

ウツボ229

 恐る恐る舌を伸ばすと尿道に触れた。ジッと目を閉じながら、『人』という字に舌先を滑らせていると、そこからみるみる我慢汁が溢れ出し、まるで納豆を食べているかのように口内がネバネバになった。
 初めて舐めた我慢汁の味は、鼻水のように塩っぱかった。
 その生温かい我慢汁に舌先を滑らせながら、先程の妻の真似をしてカリ首の裏や裏筋へと舌を伸ばした。妻もこうしていたのかと、そればかりを想像しながら舌をチロチロと動かし、自分のペニスをシコシコとシゴいた。
 そうしていると、突然サムソンは私の後頭部に手を当てた。私の頭部が逃げないように右手で固定し、ゆっくりと腰を突き出してきた。
 私の口内にコリコリとした肉の棒が滑り込んできた。それを根元まで押し込まれると、そこで初めて強烈な生臭さを感じ、私はそれを咥えたまま「おぇっ」と嘔吐いてしまった。
 すると嘔吐く口内の感触が気持ち良かったのか、サムソンは「んんん……」と唸りながら腰を振り始め、私の口内にそれをヌポヌポとピストンし始めたのだった。

 口内を犯される私は、そのコリコリとした肉棒にいつしか感じてしまっていた。まるで頬の裏に性感帯があるかのように、その出たり入ったりと繰り返す肉棒の感触は不思議な快感を与えてくれた。
 その快感は、妻を演じる事により更に激しくなった。今頃妻も、こうやって他人棒を咥えながら悶えているのかと想像すると、不意に私は自分の意思でそれを根元まで飲みこみ、狂ったようにしゃぶりまくったのだった。

ウツボ230

「おぉぉぉ……凄いじゃないか奥さん……いつもそうやって旦那のペニスをしゃぶってるのか……あぁぁぁ……いいぞ……いいぞ……もっと激しくしゃぶってくれ……あぁぁぁ……」

 サムソンにそう奥さんと呼ばれる度に私は身震いした。恐怖と快感に身震いしながら、汗臭い陰毛をジャリジャリと鼻に擦り付けた。
 そうしていると、不意にサムソンが「おい……見てみろよ……いよいよ始まったぜ……」と笑った。
 私は頭部を前後に動かしながらソッと横目で窓の外を見た。
 湯に浮かんだ妻の真っ白な体に三匹の外道が群がっていた。外道共は妻にペニスをしゃぶらせ、必死にペニスを咥えている妻の尻に指を挿入し、そしてタプタプと揺れる乳房にしゃぶりついていた。

ウツボ231

 まさにそれは、スカパーのアニマルプラネットで見た『サバンナの掟』のワンシーンだった。ジャッカルの群れに襲われたインパラが、無残に貪り喰われて行くあのシーンそのものだった。
 妻は、これでもかというくらいに尻肉を押し広げられていた。その押し広げられた谷間に指を入れられ、浴槽の湯が激しくポチャポチャと波打つほどにピストンされていたが、それでも妻は抵抗する事なく、むしろ、もっとそこを穿って欲しいかのように尻を突き出していた。
 サムソンもそれに気づいていたのか「あの女……ケツに入れられたくてウズウズしてるみたいだな……」と笑った。
 何気にそう呟いたサムソンだったが、しかしその言葉は、もはや完全に妻に成り切っていた私の胸を残酷に抉った。
 まるで夢遊病者のように何が何だかわからなくなった私は、ペニスをゆっくり口から抜いた。そして、いつも妻がそうしているようにカリ首の裏や竿をピチャピチャと舐めながら、震える指で恐る恐るパンティーを脱ぎ始めた。
 膝までパンティーを下ろすと、木久蔵の精液でドロドロに汚れたクロッチが目に飛び込んできた。それを見るなり、まるで自分が汚したかのような感覚に陥った私は、(こんなに濡れてれる……)と呟きながら妻を演じ、木久蔵の精液がドロドロと付着する睾丸を指で弄った。
 そんな精液は肛門にまで達していた。肛門は、まるで下痢を漏らしたかのようにドロドロに濡れていた。
 そこに人差し指をヌルヌルと滑らせながら尻を突き出し妻を演じた。早く入れて、早く入れて、と心で何度も呟きながらペニスにしがみつき、その無数に血管が浮き出る竿にベロベロと舌を這わせた。

ウツボ232

 そんな私にサムソンが気づいた。サムソンは、パンティーを半分までずらしながら肛門を愛撫している私に気付くと、「お前も入れて欲しいのか」と、嬉しそうに笑った。
 私は必死に妻を演じた。こんなモノを入れられたら肛門が裂けてしまうと怯えながらも、それでも妻に成り切りたかった私は、恐る恐るコクンっと小さく頷いた。

「よし。いいだろう。奥さんにも入れてやるよ。ケツをこっちに向けろ……」

 サムソンはそう言いながら、伸ばした右足で私の尻をドンっと突いた。
 無理だ、絶対に無理だ。そう心で叫びながらも私は立ち上がった。そしてドキドキしながらサムソンに背を向けると、ゆっくりと前屈みになり尻を突き出した。
 サムソンは尻の丸い部分をスリスリと手の平で摩りながら、「これじゃあ穴が見えないぞ……自分で尻を開いて見せてみろ」と笑った。私は両手で尻肉を押さえながら、言われるがままにそこを開いた。
 開かれた谷間に木久蔵の精液が糸を引くのがわかった。それを見たサムソンは、「なんだこれ、ヌルヌルじゃねぇか」と笑った。

 ふと窓の外を見ると、湯船にポッカリと浮かぶ妻の尻が見えた。肛門を丸出しにした妻の尻を外道の手がスリスリと撫でていた。

ウツボ233

 同じように尻を撫でられていた私は、たちまち妻に感情移入した。きっと妻は、そこに入れられたくて疼いているはずだと思うと、自然に私の両手に力が入り、更に尻の谷間を大きく開いていた。

「可愛い肛門してるね奥さん……」

 そう笑いながら、サムソンは私の肛門に人差し指を突きつけた。
 そして木久蔵の精液を潤滑油にしながら、剥き出された肛門に人差し指をヌルヌルと滑らせると、低い声で「こんなにヌルヌルに濡らして……奥さん……あんた変態だろ……」と呟き、その未開発の穴の中に指をヌルッと入れたのだった。
 
ウツボ234

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)44

2013/06/13 Thu 00:01

 剥き出した尻の中心で、指がグニグニと蠢いていた。第一関節しか入っていないせいか痛みは感じなかったが、しかし、それが根元まで入れられと思うと、歯医者で奥歯をガリガリと削られているような精神的恐怖に襲われた。

「こうやって、ゆっくりゆっくり括約筋を解していけば痛くないから……」

 サムソンそう言いながら、左手の指をグニグニと回していた。そして私の睾丸に付着している木久蔵の精液を右手の指で掬い取りながら、それを肛門の結合部分に塗りたくっていた。
 そんなサムソンの人差し指は、少しずつ少しずつ確実に前進していた。時折感じるコリッとした異物感は恐らく第二関節の骨であり、その「コリッ」を感じる度に恐怖心は益々募ってきた。
 まるで肛門科の医師に、ジクジクに膿んだイボ痔を診断されているようだった。両膝に両手を付きながら尻を突き出していた私は、いつ強烈な痛みが襲ってくるのかという恐怖ばかりが先立ち、この行為にエロスを感じる事は一向になかった。

 そうしていると、突然サウナのドアがガバッと開いた。
 湯けむりの中に、キュッと体の引き締まったスポーツマンタイプの青年が立っていた。
 恐らく彼も常連なのであろう、ドアを開けた瞬間、すぐ目の前に、肛門を弄られながら顔を顰めている中年男がいても全く驚かなかった。
 青年は、この光景がさも普通であるかのように平然としながら、テレビの前に腰掛けた。「フーッ……」と深い息を吐きながらテレビを見上げ、若手お笑い芸人のくだらないコントをぼんやり見つめた。

 そんな彼に気を取られている間に、サムソンの指は第二関節まで収まっていた。指はグニグニと蠢きながら微妙にピストンしていた。

(ウ○コが漏れそうだ……)

 そう額に脂汗を浮かべる私は、気を紛らわせようと、慌てて窓の外を見た。
 湯の中に座っている妻が見えた。妻の目の前にはムッチリ親父が立ち塞がり、ゴツゴツとした黒肉棒を妻に咥えさせていた。
 そんな妻の背後には新たな男が潜んでいた。その、どこか小島よしおに似た男は、妻の背中にぴったりと抱きつきながら、お湯に浮かんだ妻の豊乳をタポタポと弄んでいた。

ウツボ235

「どうだ……だんだん気持ち良くなってきただろ……」

 いきなり背後から抱きついてきたサムソンが私の耳元でそう囁いた。
 全く気持ちよくなかった。気持ちよくはなかったが、突然背中に抱きつかれた事により、窓の外で小島よしおに背中を抱かれている妻と自分とが重なってしまい、気がつくと私はサムソンの囁きにコクンっと頷いていた。
 サムソンは、「フフフフフッ」と得意げに笑った。そして、私の耳に唇を押し付けながら、「チンポも入れて欲しいだろ?」と囁いた。
 一瞬背筋がゾッとした。第二関節だけでも苦痛なのに、ペニスなど入れられたら肛門がざっくりと裂けてしまうと背筋が凍った。
 が、しかし、窓の向こうで男たちに嬲られている妻を見ていると、そんな恐怖はたちまち不思議な感覚へと変わった。
 もはや今の妻には一切の抵抗権はないのだ。逃げ場もなく、助けを乞う事もできないまま、朝まで外道共の肉便器として使われるのだ。
 そう思うと、それまで頭の中でとぐろを巻いていたヘドロが竜巻のように荒れ狂った。
 そんな私のヘドロをサムソンは気付いているようだった。まるで私が妻を演じようとしている事を知っているかのように、「奥さん……早くチンポを入れて欲しいだろ?」などと囁き続けている。
 そう囁きながらサムソンは、私を背後から抱きしめながら私の尻の谷間にペニスを擦りつけてきた。そして右手で私の乳首をコリコリと弄りながら、ペロペロと私のうなじを舐め始めた。

ウツボ236

 サムソンの舌がナメクジのように這い上がってきた。
 私の唇の上をヌルヌルと滑りながら、唇の隙間に潜り込んできた。
 その舌は、ギッと閉じられていた前歯をグイグイと押しながら、そこをこじ開けようとしていた。
 冗談じゃない、と、必死に前歯を閉じていた私だったが、しかし、サムソンの指が私のペニスを摘み、それをゆっくり上下させ始めると、不意に私は女のように「はぁぁ……」と吐息を漏らしてしまい、自ずとその不気味な舌を受け入れてしまった。
 口内に滑り込んできた舌は、ゴボゴボと凄まじい音を立てながら暴れまくった。今まで女の小さな舌しか受け入れたことがなかった私は、男の舌はこんなに大きくて獰猛だったのかと思い、改めて男の野蛮さに気付かされた。
 サムソンは、私の口内にレロレロと舌を動かしながら、「入れて欲しいんだろ奥さん」と聞いてきた。舌を挿入した状態で喋られ、生温かい口臭をもろに受けた。サムソンは胃でも悪いのか、その口臭は、『寝起きの犬』のように生臭かった。
 吐き気を催した。茶髪男にキスをされていた妻も、こんな気色悪さを感じていたのだろうかとふと思った。
 が、しかし、あの時の妻は、自らの意思で茶髪男の唇に舌を伸ばしていた。
 それを思い出すなり、一瞬はサムソンの口臭によって正常になりかけていた脳はすぐさま異常性を取り戻し、再び私は妻へと変身したのだった。

 散々私の口内を舐めまわしたサムソンの舌がヌルッと抜かれた。気が狂ったかのように興奮していた私は、「はぁはぁ」と荒い息を吐きながら、「入れてください……」と声を震わせていた。
 その瞬間、テレビの前に座っていた青年がムクッと立ち上がった。
 青年は、突然両手を天井に伸ばすと、「んんんんん……」と唸りながら背伸びを始めた。
 そして私たちの会話に聞き耳を立てていたのか、堕ちた私を蔑んだ目で見下ろした。 
 そんな青年の股間には、AV男優並みの巨大なペニスがヌッと勃起していた。サムソンに愛撫される私を見て興奮していたのか、そのヒクヒクと痙攣している亀頭の先には、テラテラと光る我慢汁が溢れていたのだった。

ウツボ237

 サムソンは、突然現れた青年に私を盗られてなるものかと思ったのか、再び私の口内に舌を滑り込ませてきた。それは、この男は俺の物だ、と青年に見せつけるかのような濃厚なディープキスだった。
 そんなサムソンの愛撫は、さっきと違って随分と荒々しかった。引きちぎらんばかりに私の乳首を引っ張ったり、握り潰さんばかりに私の尻肉を鷲掴みにしたりしていた。
 サムソンは明らかに焦っていた。青年の引き締まったボディーや、若々しい肌、そしてその巨大なペニスなど、自分の劣ったモノと見比べては、私という獲物がこの青年に盗られてしまわないかと焦っているようだった。
 そう感じた私は、キスをされながらも横目で青年をジッと見ていた。わざとサムソンにわかるようにしながら、青年のペニスに熱い視線を向けたりしてやった。
 それは、今の私が妻に嫉妬しているように、サムソンにも私と同じ嫉妬を与えてやろうと思ったからだった。
 つまり、今の私が妻であるなら、今のサムソンはこの私なんだとそう設定した私は、もう一つの寝取られ劇場をここで繰り広げようとしていたのだった。
 だから私は、サムソンに愛撫をされながらも視線は常に青年に向けていた。
 そんな私の視線に焦ったサムソンは、必死になって私の肛門に亀頭を捩じ込もうとしていたが、しかし、未開発の私の肛門はよほど堅固らしく、すんなりとソレを受け入れようとはしなかった。
 それでも強行突破しようとするサムソンのペニスは、突撃する度にツルンっと尻の谷間を追い出され、まるで地上に打ち上げられたイルカの如く、私の尻肉の上で跳ねていたのだった。

ウツボ238

 そんなサムソンを更に狂わせてやろうと思った。
 私はサムソンに尻を弄られた状態のまま右手を青年の股間に伸ばした。
 石のように硬いペニスをがっしりと握り締めると、青年は無表情のまま、唇だけをニヤリと歪ませた。その冷血な笑みにマゾ心を掻き乱された私は、外道共に弄ばれている妻を必死に演じながら、ゆっくりとそれを前後に動かし始めた。
 それに気付いたサムソンが、背後で「チッ」と舌打ちした。そしてすかさず私の耳元に、「やめろ」と耳打ちした。
 しかし私は止めなかった。私自身、今まで妻が嬲られるのを目の当たりにしながら、必死に、やめろ、やめろ、ともがき続けてきた。だから私は、今のサムソンにもあの屈辱感と嫉妬感をたっぷりと味わってもらい、『私』になって欲しかったのだった。
 私はサムソンの言葉を無視しながら青年のソレをシゴき続けた。わざと左手で睾丸を揉んだりしながら官能的にシゴいてやった。
 青年はそんな私を見下ろしながら、不敵に唇を歪めていた。そしてゆっくりと右手を私の頬に伸ばし、まるで子犬を撫でるかのようにそこを優しく摩りながら、無言でペニスを私の唇に突きつけてきたのだった。

「おい……ルール守れよ……」

 私の肛門に必死に亀頭を押し付けながらサムソンが言った。
 しかし青年はそんなサムソンをチラっと見ただけでそれを止めようとはしなかった。止めるどころか、まるでサムソンを小馬鹿にするかのように鼻で「ふん」と笑い、更に亀頭を私の唇に押し付けてきた。
 そんな青年の態度に、サムソンは相当頭に来ているようだった。しかし、だからと言ってサムソンは彼に何をするわけでもなく、ただただ私の耳元に、「相手にするな……こいつは外道だ……しかもゆとり世代だ……」と囁き続けるだけだった。
 サムソンのそんな気弱なところも私によく似ていた。だから私は、何もできないサムソンの今の気持ちが痛いほどわかり、それによって妻の気持ちもわかった気がした。 

(妻は、被害者のふりをしながらも、わざと私に見せつけていたのではないだろうか……そして私を嫉妬させ……それを楽しんでいたのではないだろうか……)

 そう勝手に妻の心境を予想しながら、私も背後の『私』を嫉妬で狂わせてやろうと思った。
 やめろ、やめろ、と、必死に耳元で囁く『私』を無視しながらゆっくりと唇を開くと、肉の塊が口内にズルズルっと侵入してきた。
 舌を滑り、喉を突き、苦しいほどに頬を拡張させた。
 明らかにそれはサムソンのモノよりも逞しかった。若いせいか、サムソンのモノとは比べ物にならないくらいに硬く、そして、そこに漂う恥垢臭もサムソンの比ではなかった。

ウツボ239

 わざと、ブチャ、ブチャ、と下品な音を立てながらしゃぶってやった。
 背後でサムソンが「くそが……」と吐き捨てた。サムソンは、自分のペニスにべちょべちょと唾液を垂らし、必死になって私の肛門にソレを入れようとしているが、堅固な私の肛門は、なかなか門戸を開こうとはしなかった。
 すると、それを私の頭越しに覗き込んでいた青年が、「おっさんのチンポ、柔らかいんじゃね?」とポツリと呟いた。
 すかさずサムソンが顔を上げ、「なんだとこの野郎」と険しい顔で青年に凄んだ。
 しかし、ゆとり世代の青年は、そんなサムソンに全く怯まなかった。怯むどころか、更にサムソンの怒りを逆撫でするかのように、「俺が貫通させてあげよっか?」と、余裕の笑みを浮かべた。
 何も反論できないサムソンは、「ゆとりめが……」と一言呟いたっきり、そのまま下を向いてしまった。
 そう諦めたサムソンは、まるで自分自身を客観的に見ているようだった。
 見知らぬ男たちに妻を陵辱され、何もできないままひたすら嫉妬に狂っている私は、まさに今のサムソンそのものだった。
 
 三人が、それぞれそんな不浄な念を抱きながら絡み合っていると、ふと青年が窓の外を見ながら、「あれは誰?」と言った。
 青年は、そこで初めて妻の存在に気づいたようだった。
 サムソンは、「どっかの変態奥さんだよ……なかなかの上玉だ……」と答えた上で、「お前、相当自分のチンポに自信があるみたいだからよ、あっちに参加して、その御自慢のモノを披露してきた方がいいんじゃねぇか?」と、あたかも嫌味ったらしくそう言った。
 すると青年は、苦笑いしながら「無理無理」と言った。「どうして無理なんだよ」とサムソンが聞くと、青年は「ふん」と鼻で笑いながら窓の外を指差した。

「あれ新日鉄の吉本さんでしょ。さすがの俺でも、吉本のさんのオバケちんぽの後では無理っすよ。ほら、見て下さいよあの女、吉本のさんのオバケちんぽをズボズボされて、もう完全に狂っちゃってるじゃないですか」

 青年のその言葉に、私は慌てて窓に振り向いた。
 湯煙の中、小島よしおに似た男が妻の尻にガンガンと腰を振っていた。
 既に妻の膣には、見ず知らずの男の性器がピストンしていた。確かに青年が言うように、バックから犯される妻のその悶え方は、尋常ではなかった。

ウツボ240

 犬のように四つん這いにされている妻は、自らもその腰を振っていた。吉本さん、と呼ばれる、その小島よしおに似た男の股間に尻を押し付けながら、まるでレゲェダンスを踊っているかのように腰を振りまくっていた。
 垂れた乳がタプタプと揺れていた。ムチムチの尻が水風船のようにポタポタとバウンドしていた。

「あの女、あれだけ吉本さんにズボズボされてたら、産後みたいにガバガバっすよ。それに、まだまだ外道たちが後に控えてるじゃないっすか、あの人たちの後じゃ、もう使い物にならないっすよ……」

 青年はそう言うと、窓の外を見ながら呆然としている私の頬をパンパンと叩き、「ほら、何ぼんやりしてるんだよ、ちゃんと舌を動かさなきゃダメだよ」と笑ったのだった。

 気が狂いそうだった。陵辱されながらも自ら腰を振っている妻のその姿は、あまりにもショックだった。
 それでも私は青年のペニスをしゃぶった。気が狂いそうになりながらも必死に舌を動かし、窄めた唇でペニスの皮を前後にシゴきまくった。
 そうしながら、横目で窓の外を見ていた。
 妻の首に幾本の青筋が立っているのが見えた。その声は窓に遮られて聞こえなかったが、しかし、大きく口を開けながら、そこから涎をダラダラと垂らしているその姿からして、妻が相当大きな喘ぎ声を出しているのが予想できた。
 涎を垂らすほどに喘ぐ妻を今まで見たことがなかった。私は凄まじいショックに目眩を感じながらペニスをしゃぶっていると、四つん這いの体勢で項垂れていた妻がいきなり顔を上げ、天を見上げて喘いだ。
 そんな妻の口からは大量の涎が溢れ、それが顎を伝っては湯の中にポタポタと垂れていた。
 その尋常な量ではない涎に不審を抱き、私はそこに目を凝らして見てみた。

 それはヨーグルトのように白く、ドロドロとした液体だった。
 まさにそれは口内射精された誰かの精液らしく、そのあまりにも残酷なシーンをまともに見てしまった私は、もはや完全に自分を見失ってしまったのだった。

ウツボ241

 青年のペニスを激しくしゃぶりながら、私は「うぐっ……うぐっ……」と悶えていた。
 妻はよくフェラをしながら悶えた。フェラの最中に乳首を転がしたり、クリトリスを弄ったりしてやると、妻はペニスを口一杯に咥えたまま、苦しそうに悶えた。
 そんな妻を真似しながら必死にしゃぶっていると、突然青年が「あぁっ」と唸り、その筋肉質な太ももを更に硬直させた。
 青年のペニスが口内でピクンッと跳ね上がった。
 下唇で締め付けていた尿道に液体が走るのを感じた。
 来るぞ、と思った瞬間、いきなり精液がビュッと飛び出し、水鉄砲のような勢いで軟口蓋に直撃したのだった。

 当然の如く、精液を口で受け止める事など初めての経験だったため、一瞬頭の中が真っ白になってしまった私だったが、しかしすぐに気を取り直し、未だ射精し続けるペニスに慌てて舌を絡めた。私が口内射精した時、いつも妻がそうしてくれていたように、ドクドクと精液を吐き出している亀頭に舌を回転させてやった。
 それが余程気持ち良かったのか、青年は恍惚とした表情で「あぁぁぁぁぁぁ」と唸り出し、両手で私の頭部を固定すると、自らそこにスコスコと腰を振り始めた。
 私の口内を、石のように硬い肉棒が行ったり来たりと繰り返した。たちまち唇の端から精液が溢れ出し、ぶちょ、ぶちょ、という卑猥な音を立てながら、それが私のペニスにボタボタと垂れた。

「あんた、上手いなぁ……本当に初心者かよ……」

 青年はそう薄ら笑いを浮かべながらペニスを抜いた。私は黙ったまま口内の残液を恐る恐る味わい、そのあまりの苦さと生臭さに顔を顰めた。
 すかさずサムソンが、「終わったんなら、早くどっか行けよ……」と背後でそう言った。
 青年は、そんなサムソンに、「ふん」と鼻で笑った。そして、「まだ入らないんっすかぁ」と小馬鹿にしたように吐き捨てると、亀頭の先に精液をぶらぶらさせたまま、ズカズカとサウナを出て行ったのだった。

 青年が出て行くなり、サムソンが私の耳元で囁いた。

「あんた、あいつのチンポしゃぶりながら感じてただろ……」

 サムソンのその口調は明らかに嫉妬していた。
 そう嫉妬するサムソンは『私』だった。見ず知らずの男に口内射精された妻を見て嫉妬に狂っている『私』そのものだった。
『妻』の私は、そんな『私』に応えてあげなければならなかった。このままでは、あまりにも『私』が惨めすぎるのだ。
 私は、恐る恐る両手を後ろに回した。そしてその手を、自分の尻肉の両サイドにソッと置いた。
 尻肉の谷間には、まるでホットドックのようにサムソンのペニスが挟まっていた。ペニスが肛門に入らないため、仕方なくサムソンは尻の谷間にペニスを擦りつけていたのだ。
 私は、「入れてください……」と小声で呟いた。そして両手で尻肉を思いきり広げ、自ら尻を移動させながら、その剥き出しになった肛門に亀頭をムニムニと押し付けた。
 これなら入れれると思ったのか、サムソンは慌ててそこに唾液を垂らした。そしてペニスの根元を摘み、それをグニグニと回しながら肛門に唾液を広げ、亀頭で肛門の襞をゆっくりゆっくり捲った。
 すかさずサムソンは床に落ちていた妻のパンティーを拾い上げた。
 そのパンティーのクロッチには、未だドロドロしている木久蔵の精液がたっぷりと溜まっていた。
 サムソンはその精液を丁寧に指で掬うと、内部がベロリと剥き出された私の肛門に、それを塗りたくった。
 剥き出しにされた肛門は敏感だった。生温かい唾液と精液でヌルヌルと滑る亀頭の感触は、私に恐怖と興奮を交互に与えた。
 それに刺激された私は、思わず「早く……早く入れて」と女声で喘いでしまった。
 するとサムソンは、私の背中に「はぁ、はぁ」と荒い息を吐きながら「行くぞ奥さん……」と呟き、そのまま一気に腰を突き上げたのだった。

ウツボ242

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)45

2013/06/13 Thu 00:01

 ヌルッとした異物が肛門をヌポヌポしていた。
 サムソンは私が処女だということを知っていたため、亀頭だけを挿入し、それをヌポヌポとピストンさせているのだ。
 だから痛みはほとんど感じなかった。痛みよりも、むしろ異物感の方が酷く、それを出し入れされる度にゾワゾワとした便意を催した。
 木久蔵の精液が潤滑油となり、肛門の入り口を亀頭がヌルヌルと滑っていた。「痛くないか……」と、そう何度も聞きながら、サムソンは亀頭だけを恐る恐るピストンさせていた。
 さすがサムソンは本物のホモだった。これが外道ならば、私の肛門が裂けようがどうなろうがお構いなしに、己の欲だけで根元までガンガンと突っ込んでくるだろうが、しかしサムソンは違った。生粋のホモであり、ましてやここの常連でもあるサムソンは、そこらへんのルールはちゃんと弁えているのだった。

 そんな紳士なサムソンに肛門をヌポヌポと掘られながら、私はソッと窓の外を見た。
 さっきまで犬のように後背位で攻められていた妻が、今は湯の中でしゃがんでいた。
 そのしゃがんだ湯の中には若い男がブリッヂしていた。妻はその若い男の上に乗りながら激しく腰を振り、浴槽にチャプチャプと波を立てていた。
 そして、そんな妻の背後には、ブヨブヨの体をした醜い親父が潜んでいた。その醜い親父は、不安定な体勢で腰を振っている妻の体を両手で支えながらも、時折、背後から乳を揉んだり、妻の背中をペロペロと舐めたりしていたのだった。

ウツボ243

 彼らは、またしても新たな男だった。
 いつしか、茶髪男もスキンヘッドもムッチリ親父も消えていた。妻を背後から犯していた小島よしおの姿も見当たらず、露天風呂を取り囲むギャラリーの顔ぶれはガラリと変わっていた。

(茶髪男達は……イッたのだろうか……)

 そう思うと、妻は彼らに、どのようにして犯されたのだろうかと妄想が膨らんだ。そして、いったい彼らは、妻のどこにそれを放出したのだろうかと思うと、妻の口内や膣の中で、ヘドロの如くドロドロと溜まっている精液が脳裏に浮かび、思わず私は失神しそうなほどの目眩を感じた。
 妻が露天風呂に連行されてからのわずか三十分の間に、少なくとも四人の男が妻に放出しているはずだった。それは、セックスをしたのか、それとも手コキやフェラだけだったのかは定かではないが、この短い時間内に妻が四本のペニスと戯れたのは紛れもない事実だった。
 もはや妻は、完全なる肉便器だった。命よりも大切な私の妻が、醜い外道共の精液専用肉便器と化していた。
 そうなる事は最初からわかっていたことだった。いや、そうさせようと私が自ら仕向けたことだった。
 にも関わらず私は、凄まじい絶望に陥っていた。罪悪感と背徳感、そして、見知らぬ男の腹の上で悶えている妻への嫉妬と怒りと悲しみが、それら一つとなって巨大な絶望感を作り上げていたのだった。

 私は、肛門に亀頭をヌポヌポされながら、鋭い爪で胸を掻き毟られるような絶望に耐えていた。
 が、しかし、そんな絶望も束の間だった。今、腰を振っている妻の性器にも、私と同じように肉棒がピストンしているのだろうかと想像していると、次第にそのヌポヌポ感が脳を心地よく刺激し始めたのだ。
 新たなヘドロを放出した私は、いつしか自らの意思で腰を振っていた。ぎこちなく腰を振りながら、窓の外の妻を必死に演じていた。
 そんな私に、サムソンは、「おお、凄いぞ……もっと、もっと激しくやってくれ」と嬉しそうに笑い、揺れる私の尻をパンパンと叩いた。そしてハァハァと臭い息を吐きながら悶え始めた。
 そんなサムソンを更に興奮させてみたいと思った。
 背面騎乗位で腰を振っていた私は、サムソンの両太ももに乗せていた右手を股間の中にソッと潜らせ、恐る恐る結合部分に指を伸ばした。
 ヌルヌルの肛門の入り口で、コリコリとした亀頭がヌポヌポとピストンしていた。それを指で確かめながら、見知らぬ男と妻と結合部分を思い浮かべ、そして女声で、「あぁぁん、あぁぁん」と悶えて見せた。
 そう変貌した私に、たちまちサムソンは欲情を増した。「気持ちいいか、気持ちいいか」と私の耳元に何度も囁きながら、徐々に挿入を深めてきた。
 亀頭がすっぽりと中に納まり、いよいよ肉棒が入り込んできた。今までツルツルとしていた感触が、ゴリゴリとした感触へと変わり、肛門の表面にピリピリとした痛みが走り始めた。
 裂ける、裂ける、と怯えながらも、それでも我慢して腰を振っていた私だったが、しかし次の瞬間、私のその腰は凍りついたように停止してしまった。
 それは、窓の外の光景が変わったからだった。

 それまで浴槽の中で腰を振っていた妻は、いつしか浴槽から出ていた。
 浴槽の中で妻と交わっていた若い男は、露天風呂の縁に腰掛けていた。既に射精したらしく、そのペニスはだらりと萎れていた。
 妻を浴槽の外に連れ出したのは三十代の男だった。モテなさそうなその不細工な顔は、一時期『生キャラメル』で一世を風靡した田中義剛にどことなく似ており、いかにも駅裏の薄汚いピンサロ通いをしてそうな、そんな暗い男だった。
 男は洗い場の石タイルの床の上に発泡素材のバスマットを敷くと、露天風呂の湯を桶で掬い、そこにバシャバシャと湯をかけ始めた。それを怒ったような顔で何度も何度も繰り返し、いよいよバスマットに湯気が立ち上がると、鈍い動作でそこに仰向けに寝転がりながら、獰猛に勃起したペニスを夜空に向けて反り勃てた。
 天は二物を与えぬというがまさにその通りだった。その醜い体と不細工な顔に比例し、その男のペニスは、まるで『大人のおもちゃ』のように、見事なまでに立派だった。

ウツボ244

 そのペニスを見た瞬間、強烈な恐怖に襲われた。さっきの小島よしおに似た男の巨大ペニスよりも一回りも大きく、あんな化け物のようなペニスを入れられたら、妻の肉体と精神はたちまち破壊されてしまうのだ。
 男は、洗い場の隅で立ち竦む妻に、おいで、おいで、と手を振っていた。そして、これ見よがしに凶暴なペニスを突き出し、それをシコシコとシゴいていた。

(行くな……あんな化け物チンポはやめておけ……マンコも脳もぶっ壊れてしまうぞ……)

 私は必死にそう念じた。行くな、行くな、と念じながら下唇を噛み締めていた。
 確かに、あの化け物ペニスで狂いまくる妻の姿を見てみたいという願望はあった。が、しかし、それはあくまでも願望であり、実際にそれを目の当たりにされると、そんな願望よりも妻の肉体と精神が心配になり、たちまち私は怖じ気付いてしまった。
 しかし、今更怖気付いても遅かった。既に妻はヘドロに侵されているのだ。
 妻をそう仕向けたのは誰でもなく自分自身だった。妻がそうなる事を何よりも望んでいたのは自分自身であり、今更それに怖気付いても、もはやそれは自業自得だった。

 再び私は絶望へと突き落とされた。
 妻は、催眠術にかけられたかのようにフラフラしながら、おいで、おいで、と手招きする男に向かって歩き出していた。
 しかし、(やめろ、行くな、やめろ)と、必死に念じるのも虚しく、妻は横たわる男の足下にソッと腰を下ろした。そして、いきなりその化け物のようなペニスにバグッと喰らい付くと、ゆっくりと頭部を前後に動かし始めたのだった。
 
ウツボ245

 気が触れたかのようにそれをしゃぶりまくる妻には、もはや肉棒しか見えていないようだった。たとえ相手が醜い男であろうと、たとえ汚い男であろうと、いや、極論で言えばそれが父親であったとしても、そこに肉棒があれば妻は迷わずそれを咥えるであろう。
 そう思いながら、その残酷なシーンを見ていると、背後でサムソンが、「どうした、ほら、もっと動かしてみろ」と私の尻を叩いた。
 もう何もかもが嫌になっていた私は、もはや尻を振る気力は失せてしまっていた。できる事ならこの場で潔く切腹し、この不浄なる人生を終わらせてしまいたいほどだった。
 しかし、何度も言うが私は異常性欲者だった。この死にたいくらいに残酷な現実をも、性的興奮に変えてしまうほどの異常者だった。
 だから私の胸を締め付けているこの絶望が、いずれ快楽へと変わるのは時間の問題だった。
 が、しかし、というのであれば、こうして何度も何度もしつこく絶望する必要はないだろうと誰もがそう思うだろうが、しかしそれは違った。それは寝取られ地獄というヘドロを知らない正常人の考えである。
 異常者は違った。寝取られ地獄に陥った異常性欲者というのは、その絶望が深ければ深いだけ喜びを得るものだった。そして、その深い絶望を何度も何度も繰り返すことにより、快楽を巨大化させていくという、実に気色の悪い生き物なのであった。

 再びサムソンが私の尻を叩いた。半分まで埋まってしまったペニスを、肛門の中でヒクヒクと痙攣させながら、早く動かせと催促していた。
 私は、深い深い絶望の谷底でのたうち回りながら、叩かれる尻の痛みを感じていた。
 そんな私が再び絶望から這い上がり始めたのは、妻が巨大なペニスをしゃぶり終えた直後だった。
 なんと妻は、男が何も命令していないにもかかわらず、自らの意思でフェラチオを終え、そのまま仰向けに寝転がる男の体の上に跨り始めたのである。
 それを目にした瞬間、私の絶望はみるみると快楽へと昇り始めた。そして妻が男の股間にしゃがみ、その化け物のようなペニスをいやらしく握り締めながら、自ら膣に入れようとしているそのシーンを見た瞬間、私の絶望は快楽へとぶっ飛んだ。

 妻は、男の股間の上に大股開きでしゃがみながら、掴んだ化け物ペニスをくねくねと動かしていた。恐らく、この巨大な肉棒はスムーズに入らないと思ったのであろう、指でベロリと開いたワレメにその握り拳のような亀頭をヌルヌルと擦り付け、そこから溢れ出る汁を亀頭に満遍なく塗りたくっているのだ。 

ウツボ246

 そうしながら妻は、恍惚とした表情で男を見下ろしていた。恐らく妻は、亀頭を膣にヌルヌルと滑らせながら、同時にクリトリスを捏ねくり回しているに違いなかった。
 妻はクリトリスが弱かった。散々犯しまくった後でも、クリトリスをちょっと弄ってやれば、まるでスイッチを入れられたロボットのようにすぐに股を開いた。
 そんな妻が、今、自らクリトリスを刺激していた。誰かに強制的に弄られているわけでもなく、偶然そこに触れたわけでもなく、明らかに自分の意思でそうしているのだ。
 それは、妻がこの『狂気の宴』に、どっぷりとハマってしまっている証拠だった。
 それを知った私は、たちまち強烈な嫉妬に駆られた。強引にヤられているというのならまだしも、妻があの醜い男のペニスで感じていると知った瞬間、私の胸で強烈な嫉妬が燃え上がり、すぐさまそれが凄まじい性的興奮となって脳をグラグラと揺らした。
 何が何だかわからないくらいに興奮してしまった私は、「もっと! もっと奥まで入れてください!」と叫びながら、尻をグイグイと突き出した。まるでスクワットをするかのように両膝を屈伸させ、肛門に突き刺さるサムソンのペニスを激しく摩擦し始めると、サムソンが、「おい、いきなりは危険だぞ」と慌てて私の腰に手をあて、その動きを止めようとした。
 しかし私はそんなサムソンの手を振り解いた。そして、「いいんです! もうどうなってもいいんです! お願いします、滅茶苦茶にしてください!」と狂乱しながら、強引にそれを根元まで入れようとした。
 すると、再び窓の外の妻の動きが変化した。
 それまで男の股間の上でしゃがんでいた妻が、今はその尻を男の股間にストンっと落としていた。そして腰をコキコキと動かしながら尻をそこにグイグイと押し付け、巨大な乳をタプタプと揺らしていたのだった。

ウツボ247

 妻は腰を振りながら男の顔をじっと見ていた。半開きのその目はとろりと垂れ下がり、まるで夢遊病者のようにふわふわと浮いていた。
 それは私の知らない妻だった。今まで私とのセックスで、そのような表情を一度たりとも見せたことはなく、かろうじてローターでイク瞬間にそれらしき表情を見せるくらいだった。
 今妻は本気で感じているのだ。自ら腰を動かし、化け物のようなペニスで膣内を掻き回しながら、その初めての快楽に酔いしれているのだ。
 それを思うと、急に妻が愛おしくなってきた。
 今まで妻は、異常性欲者の私に変態的なセックスばかりを強要され、自分の快楽はというと、その変態セックスの間のインターバルに、こそこそとローターで得ているという有様だった。
 そんな妻が、自らの意思でペニスをしゃぶり、自らの手でそれを陰部に挿入し、そして脳が蕩けんばかりの表情で悶えていた。しかも相手は見ず知らずの醜い男であり、そんな相手にわざわざ演技する必要はないため、その『悶え』は本物と言えた。
 そう考えると妻は、日頃の私の理不尽なセックスに不満を抱いていたのかも知れない。元々妻は、狂った妄想を耳元で囁かれながらピストンされたり、その妄想に基づき、深夜の公衆便所でレ○プごっこをしたりするといった、そんな私の変態じみたセックスが嫌いだったのかも知れない。
 そんな事を思っていると、途端に妻が可哀想に思えてきた。そして無性に妻が愛おしくなり、激しい切なさに胸が締め付けられた。

 仰向けに寝転がっていた男の手が、タプンタプンと跳ねている妻の巨乳を鷲掴みにした。
 真っ白な乳肉に男の太い指がグニョグニョと蠢き、それと同時に妻の腰の動きが激しくなってきた。
 もはや妻の体はぴょんぴょんと飛び跳ね、まるで正座したままトランポリンに乗っているようだった。あれだけ体が大きく跳ね上がるということは、股間でもそれだけ肉棒が大きく上下しているという事であり、あんな化け物のようなペニスが妻の穴の中を激しくズボズボしているのかと想像していると、なぜか(私も頑張らなければ)という変な対抗意識が涌き上がり、私はサムソンのペニスを根元まで捩じ込もうと、おもいきり尻を押し付けた。
 ピリッという感触と共に強烈な痛みが肛門に走った。「うっ!」と下唇を噛みながら慌てて尻を引くと、サムソンは宙に浮いた私の尻を覗き込みながら、「ほらみろ」と心配そうに呟いた。

「初めてなんだから焦っちゃダメだよ。焦って強引に入れて救急車で運ばれた人もいるんだぜ。これはね、要するにウ○コと一緒なんだよ。ほら、カチカチの巨大ウ○コを一気に捻り出そうと踏ん張ると肛門が裂けちゃうだろ。あれと同じだよ。ウ○コを出すのも、チンポを入れるのも、焦らず慌てず、ゆっくりゆっくり時間をかけて肛門を解す事が大事なんだ……」

 そう物知り顔で語るサムソンを横目で見ながら、(お前のチンポはウ○コか)と呟くと、それでも私は強引に尻を押し付けてやった。強烈な痛みを我慢しながら、金髪ダンサーのブライベートダンスのように尻を『の』の字に回転させたり、尻を上下にユッサユッサと揺すってやったりした。
 サムソンはそんな私の尻を両手で押さえつけ、それ以上の挿入を必死に食い止めようとしていた。
 しかし、そうしながらもサムソンは、急に弱々しい口調で「やめてくれ……」と呟いた。そしていきなり私の腰にしがみつくと、「そんなに激しくするとイッてしまうからやめてくれ……」と、情けない声で白状したのだった。

 要するに彼は、イキそうだから私に尻を振って欲しくないだけだった。いきなりは危険だぞ、などと先輩風を吹かし、わざわざ最もらしいウ○コ話まで持ち出しながらも、結局は自身が早漏なだけであった。
 とりあえず私は腰の動きを止めてやった。
 ソッと股間を覗くと、肛門にはペニスが半分だけ突き刺さり、まさに途中で止めたウ○コが、ぶらぶらとぶら下がっているようだった。
 私はゆっくりと顔を上げた。ペニスは肛門の中でビクビクと痙攣し、一触即発の状態だった。
 だから私は、身動きせぬままサムソンのマグマが治まるのを待ってやった。

 そうしている間に、妻の腰の動きは激しさを増していった。妻は男の腹の上で、まるでバランスボールに乗りながらジャンプしているかのように、その大きな尻をバンバンと跳ね上げていた。
 男は苦しそうな表情を浮かべながら、しきりに妻の太ももをパンパンと叩いていた。恐らくそれはイキそうだというサインなのであろう、この男もサムソンと同じ早漏だった。
 それでも妻は容赦なく腰を振った。巨大な二つの乳肉をポテポテとバウンドさせながら、機械のようにコキコキと腰を振りまくった。
 すると、いきなり男の体が硬直した。ピーンと伸ばした両足を、打ち上げられたカツオの尾のように、ピクピクピクと痙攣させ始めた。
 瞬間、私の脳裏に、大量の精液をビュッビュッと噴き出している化け物ペニスの姿が浮かんだ。と同時に、まともに中出しされながら平然と悶えている妻に対し、激しい嫉妬の念が湧き上がった。
(くそっ……)と、そう下唇を噛みしめていると、腰を振っていた妻が突然空を見上げた。そして、狼が遠吠えするかのように夜空に向かって激しい喘ぎ声を発した。
 恐らく妻は、男のその激しい中出しに触発されたのであろう、膣内で弾ける精液と共に絶頂に達した。
 そんな他人棒でイク妻の姿を、私は震えながら最後まで見ていたのだった。
 
ウツボ248

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)46

2013/06/13 Thu 00:01

 肛門の入り口で亀頭がコリコリしていた。
 射精しそうなために身動きできないサムソンは、私の腰が動かないよう両手でしっかりと押さえつけながら、その湧き上がるマグマを必死に治めようとしていた。
 フーフーと背後で響くサムソンの深呼吸を聞きながら窓の外を見ていると、半分萎れた化け物ペニスをブラブラさせた男がゆっくりと立ち上がるのが見えた。
 そのペニスは萎れてもいても巨大だった。毒リンゴのような色をした亀頭の先からは精液がネトネトと糸を引き、その真っ黒な竿には妻の物だと思われる汁が、卑猥にテラテラと輝いていた。

 そのまま男は、妻に振り向きもせず大浴場へと消えていった。残された妻はバスマットにへたり込んでいた。虚ろな表情で露天風呂の湯を桶で掬い、その湯を自分の下半身にダラダラと流しながら、太ももに押し込んだ手をモゾモゾと動かしていた。
 恐らくそれは陰部を洗っているのであろうが、しかし、膣内に中出しされた精液が、あのようないい加減な洗い方で流れてくれるはずはなかった。
 そんな事は妻も知っているはずだった。実際妻は、いつも私が中出しした後は、風呂場でしゃがみながらウンウンと力み、精液をドボドボと吐き出しているのだ。
 なのに妻は、気怠そうにバスマットにへたり込みながら、いつまでもそうやってダラダラしていた。
(これは何かおかしいぞ……)
 そう不審に思っていると、不意に露天風呂の入り口で、数人の男たちがジャンケンしているのが目に飛び込んできた。
 それを目にした瞬間、恐らく妻は、まだまだこれから大量に中出しされるだろうと予想し、それでわざわざ精液を洗い流さないでいるのだろうと思った。

 そんな妻を見ていると、数年前、新宿中央公園で買った薄汚い中国女をふと思い出した。
 あれは、西新宿の取引先からの帰り道の出来事だった。
 都庁に向かって新宿中央公園内の細道を歩いていると、突然、草むらの中から中国人らしき男が現れ、片言の日本語で呼び止められた。
 男はニヤニヤと笑いながら私に近寄り、「サンゼンエン、サンゼンエン」と言いながら三本立てた指を草むらの中に向けた。
 見るとその先には、モゾモゾと蠢く二匹の動物がいた。まだ午後二時を過ぎたばかりだというのに、その二匹の動物は堂々と下半身を丸出しにしながら、コキコキと交わっていたのだった。

ウツボ249

 白昼堂々、この大都会の真ん中でそれは繰り広げられていた。私はとんでもない変態ではあるが、しかし、そんな私の目にも、その光景は異常過ぎるほど異常に映った。
 胸底からムラムラとしたものを湧き上がらせながら、私は財布を取り出した。そしてそこから千円札を三枚抜き取りながら、「いくつですか?」と女の歳を聞くと、中国男は「いくつ? 三つでいい」と、笑顔で勘違いしながら、その三千円を必死に受け取ろうとしていた。
 とりあえず私は、この中国男に三千円を渡した。そして細道の隅にある擬木のベンチに腰掛けながら先客が終わるのを待つことにした。
 暫くすると、杖をついた老婆がヨボヨボと坂道を上がってきた。老婆は、そのすぐ横の草むらで醜い男と汚い女の性器が激しく交わっているなど夢にも思わぬまま、平然とそこを通り過ぎて行った。
 老婆の姿が消えるなり、薄汚い中年男が草むらの中からゴソゴソと出てきた。男はスーツの上着を羽織りながらも作業ズボンを履いていた。その奇妙な格好と、そのボサボサの髪と異様に日焼けしている顔色などから、この男がホームレスである事がすぐにわかった。
 男は草むらから出てくるなり、歩道の縁石の上に置いてあった飲みかけのワンカップを手にした。そしてそれを美味そうにゴクリと一口飲みながら、そのドロドロに濁った目玉をゆっくりと私に向け、「は、は、八王子には三年前にいたよ」と、突然意味不明な言葉を発した。

 そんな男を無視し、私は草むらの中に入った。蜘蛛の巣だらけの小枝を掻き分けながらガサガサと奥へ進んで行くと、そこには下半身を剥き出しにした二十歳くらいの女が、広げた段ボールの上でぐったりと寝転がっていた。
 女は、未だハァハァと荒い呼吸をしながら、腹を上下に動かしていた。そして私に気付くなり、無言で股をゆっくりと開き、その中出しされた直後の汚れた陰部を剥き出したのだった。

ウツボ250

 私は無言で女を見下ろしながらズボンを下ろした。そして、勃起したペニスをピコピコと揺らしながら女の股座に恐る恐る潜り込むと、その若い肉体に体を乗せた。
 女の乳首やうなじには、様々な男たちの唾液臭が漂っていた。ギラギラと脂ぎった髪は獣臭く、グレーのユニクロのTシャツからも、何やらキツイ香辛料のような刺激臭がムンムンと漂ってきた。
 それでも私は、その汚れた体を舐めた。コロコロに勃起した乳首を舌で転がし、脇腹からヘソにかけて舌をダラダラと走らせた。そんなヘソ周辺には、誰かが腹出ししたと思われる精液の形跡が残っていた。既にそれはカピカピに乾いていたが、しかし恐る恐るそこに舌先をチロチロさせてみると、その白いカスはまるでオブラートが溶けていくかのようにすぐにトロトロになり、独特な苦味が口内に広がった。

 そうやって女の上半身を隈なくペロペロしている私を、女は乱れた髪の隙間からジッと見ていた。
 ふと目が合い、「中国人か?」と聞いてみると、女はソッと目を逸らしながら小さくコクンっと頷いた。
 女の膣に指を這わすと、そこには大量の精液が溜まっていた。軽く指で開いただけでドロドロと溢れ出てくるその量からして、あのホームレスの精液だけではない事は確かだった。
 見知らぬ国で、見知らぬ男たちに、次から次へと精液を注入されている女。そんな女に異様な興奮を覚えながら、私はそこにペニスをツルンっと挿入した。
 もちろんナマだった。性病は怖かったが、しかし、この異常興奮には勝てなかった。
 結合部分は、ブジョ、ブジョ、と不気味な音を立てていた。ピストンする度に精液は押し出され、それが尻に敷いた段ボールに黒いシミを作っていた。
 女は全く感じていなかった。早く終わってくれと言わんばかりに時折私を睨みながら、気怠い溜息を何度も漏らしていた。
 しかし私は感じていた。この破滅した女と、この狂気のシチュエーションが異常性欲を激しく掻き立て、私は不気味にすすり泣きながら、女のその汚物入れにドクドクと射精したのだった。

ウツボ251

 あの時の薄汚い中国女と今の妻が重なった。
 見知らぬ男に中出しされながらも、その精液を放置したまま次の男を待っている妻に対し、改めてここまで我が妻を堕としてしまったかという罪悪感に胸を締め付けられたが、しかしそれは、すぐに異様なエロスへと変わり、更に私を異常興奮させた。

 ふと気がつくと、サムソンの腰の動きが再開していた。いつしかサムソンのペニスは根元まで埋まり、私の肛門をヌポヌポとピストンしていたが、しかし痛みはほとんどなく、むしろその異物感に不思議な性的快感が生まれ始めていた。
 
 窓の外を見ると、新たなる外道が妻の背後に迫っていた。
 その男は三十代後半と思われた。ニコニコと笑うその恵比寿顔と、小熊のようなぽっちゃりチビのその体型は、いかにも人の良さそうなお坊ちゃんタイプであり、凶暴な外道の仲間には見えなかった。
 しかし彼は、そんな笑顔の裏に、もう一つの冷血な顔を持っていた。
 彼はニコニコと笑いながら、バスマットにへたり込んでいる妻をそこに四つん這いにさせた。そして、他のギャラリーに向けて尻を突き出させると、「放流しまーす、放流しまーす」と戯けながら妻の陰部を指で開き、そこから真っ白な精液をダラーンっと垂らしたのだった。

ウツボ252

 その残酷な汁を見せつけられた私は、思わず「んんん……」と唸っていた。
 あまりの怒りと嫉妬と興奮にもはや言葉も浮かばず、ただただ胸に溢れてくる熱いものを吐き出すしかなった。

「すっごい量ですね〜」

 坊ちゃんはそこを覗き込みながらそう笑っていた。するとそれを見ていたギャラリーたちもヘラヘラと笑いだし、一変してその空気がサディスティックに変わった。
 坊ちゃんは、その可愛らしい顔に似合わず残酷だった。その言葉使いこそ優しかったが、しかしその内容は酷く妻を侮辱しており、四つん這いで性器を曝け出されている妻に激しい屈辱を与えていた。
 坊ちゃんはそのまま露天風呂の縁に腰掛け、妻にペニスをしゃぶらせた。四つん這いでペニスをしゃぶる妻の尻を、濡れたタオルでピシャピシャと叩きながら、坊ちゃんはギャラリーたちに向かって、「この女の人、頭おかしいっすよ」と笑い、そこにブラブラと垂れている巨乳を足の裏で蹴飛ばしていた。
 命よりも大切な妻が、あんなバカ坊ちゃんのような小僧に嬲られていた。
 激しい屈辱感に胸を締め付けられた私は、今すぐに妻の元へ駆けつけ、あのふざけた小僧の頭を露天風呂の岩に叩きつけてやりたい衝動に駆られた。
 と、その時、坊ちゃんは妻にペニスをしゃぶらせながら、何かボソボソと話しかけた。妻は唇に肉棒をズルズルと滑らせたままソッと坊ちゃんを見上げ、時間をかけてコクンっと頷いた。
 坊ちゃんが妻に何を聞いたのかはわからない。妻が何に対して頷いたのかもわからない。
 が、しかし、妻が頷くと同時に坊ちゃんが立ち上がり、四つん這いになった妻の尻の後ろで両膝をついた所を見れば、それがどんな話だったかは一目瞭然だった。恐らく坊ちゃんが「入れて欲しい?」と聞き、それに対して妻がコクンっと頷いたのだ。
 そうだ、そうに決まっている。あれほどの屈辱を受けながらも、妻はぼっちゃんの肉棒が欲しかったのだ。それをわかっていながらも、坊ちゃんはわざとそれを妻に聞き、妻自身に奴隷としての敗北感を植え付けたのだ。
 坊ちゃんは妻の背中を見つめながらニヤニヤと笑い、丸い尻肉の谷間に真っ黒な肉棒を突き立てた。そして両手でその尻肉を押し広げながら、そこに剥き出された淫らな穴に向けて一気に腰を突き上げた。

ウツボ253

 いきなり肉棒を突き刺された妻は、まるでヨガの『猫のポーズ』のように背中と首を弓なりに反り上げ、発情した猫の如く夜空に向かって激しく喘ぎ始めた。
 余程にそれを求めていたのだろう、妻は四つん這いのまま自ら腰を振り始めた。豊満な乳や尻や太ももが卑猥にタプタプと揺れ、まさにそれはセックスだけを目的としたマシーンのようだった。

 そんな淫らな妻を見ていると、肛門を擦れる肉棒の感触が、いよいよ気持ち良く思えてきた。今の妻の膣にも、こうして他人棒がズボズボとピストンしているのだろうと思っていると、私も今の妻と同じように喘ぎ声を張り上げていた。
 息を吹き返したサムソンは、インターバル前よりもアグレッシブになっていた。私の背中に、「ほら、ほら」と息を吐きながらそのリズムに合わせて腰を突き出し、私の直腸にズブズブとペニスをピストンさせていた。

 悶える妻の真似をしながらふと窓の外を見ると、四つん這いで犯されていた妻に、また別の男がペニスを咥えさせていた。妻はいわゆる串刺しにされていたのだが、しかしそんな陵辱を受けながらも、妻は気が狂ったようにペニスをしゃぶりまくっていた。
 その新たな男は、まだ二十歳を過ぎたばかりの若者だった。坊ちゃんと同様、見た目はいかにも草食系といった大人しそうな若者だったが、しかし、ニヤニヤと笑いながら妻を見下ろしているその目はどこか冷たく、恐らくその内面には、人を平気で虫けらのように扱う冷酷さが潜んでいるように思えた。
 案の定、しばらくするとその若者は、必死にペニスをしゃぶっている妻の頭部を両手で固定した。そして妻の喉の奥にまで強引にペニスを押し込み、ゴボゴボともがき苦しむ妻をニヤニヤと笑いながら見下ろしていた。
 イラマチオされる度に、背後で腰を振っていた坊ちゃんが悶えていた。恐らく、イラマチオされる事によって妻の膣の締まりが良くなるのであろう、坊ちゃんは妻がゴボゴボともがき苦しむ度に、「スゲェー、スゲェー」と騒ぎながら腰を振りまくっていた。
 そんな二人は、明らかにゆとり世代だった。
 そう言えばさっき、青年が私に迫ってきた時、サムソンは私に、「相手にするな、ゆとり世代だ」と注意を促していた。
 ふとそれを思い出した私がソッと後ろを振り向くと、腰を振りながら窓の外を眺めていたサムソンが、「あんたの奥さん、大丈夫かね……」と、心配そうにポツリと呟いた。

「ゆとり世代の外道はさ、自分のことしか考えてないから滅茶苦茶やるんだよ。あいつら、ゲームで人殺しばかり繰り返してるだろ、だから現実でも人間を人間と思ってないんだよ……」

「…………」

「あのガキ共はさ、この間も、店長がゲストとしてここに連れてきたクルクルパーの女を壊したばかりなんだよ。マンコの中に固形石鹸を五個も入れたりさ、女の口の中に直接ウ○コしたりして滅茶苦茶やったんだよ。もし店長が途中で止めなかったらさ、あいつらあのまま女の子を殺してたぜきっと……」

 背筋が凍った。一瞬にして現実に引き戻された。私は、まるで震度五強の地震にいきなり襲われたかの如く、何が何だかわからないくらいに狼狽えてしまった。
 が、しかし、坊ちゃんが、妻の尻にしがみつきながら射精しているシーンを目の当たりにした瞬間、それまでの背筋が凍るほどの恐怖は一瞬にして快楽へと変わった。
 それは、中出しされている妻が、「もっとして!」と叫んでいる声が聞こえたからだった。なんと妻は、精液をドクドクと注入している坊ちゃんに向かって、もっとペニスを動かして欲しいと必死に乞うていたのである。
 それに気づいた瞬間、濃厚なヘドロが私の正常な脳細胞を破壊し、私の中のサドとマゾとの比率が大きく変わった。たちまち私は、あのゆとり世代のガキ共よりも冷酷となり、妻を見殺しにするかの如く、(お前のような淫乱女は殺されてしまえ!)と心の中で何度も叫びながら、狂気のエロスに取り憑かれた。
「助けに行かなくてもいいのか?」と心配そうに聞いてくるサムソンを無視し、私は狂ったように腰を振り続けた。
 妻にペニスをしゃぶらせていた若者が、坊ちゃんに少し遅れて射精した。イラマチオのまま射精された妻は、絞殺寸前の真っ赤な顔でもがいていた。そしてペニスを抜かれるなりその場に崩れ落ち、唇に大量の精液をブラブラと垂らしながら激しく咳き込んだのだった。

 二人の若者は、散々妻をボロ雑巾のように扱った挙句、ニヤニヤと笑いながらその場を去った。
 すると、必死に咳き込んでいる妻の背後に、またしても新たなる男が現れた。

 その男は、まるで公衆便所の小便器の前で順番待ちしていたかのように普通に現れた。
 平然と妻の前に立ち、咳き込んでいる妻の後頭部に手を当て、その顔を上に向けた。そして、それがさも当然であるかのように妻の唇に亀頭を押し付けると、そのままペニスを妻の口内に滑り込ませた。
 それまさに公衆便所の小便器で小便をしているような残酷な光景だった。それを見ていた私は、いよいよ妻が外道共の肉便器と化したのだと思い、快楽と絶望に身震いしたのだった。

ウツボ254

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)47

2013/06/13 Thu 00:01

 妻は、新たに現れた男のペニスを苦しそうに咥えていた。恐らく、前の若者の精液がまだ喉に引っかかっているのであろう、妻はそれをしゃぶる事なく、ただただ咥えているだけだった。

 男は三十代と思われた。どこにでもいるサラリーマンっといった普通の男であり、町ですれ違っても、誰も彼を変態だとは思わないだろう。
 男はジッと妻を見下ろしたままコキコキと腰を振り、黙って妻の口内にペニスを滑らせていた。その妙に冷めた雰囲気は明らかにサドであり、さっきの若者たちとは違うまた別の危険性を秘めているように思えた。
(こんな普通の男が……ワイドショーで騒がれるような凄惨な事件を起こすんだろうな……)
 そんな事を思いながら、私はサムソンの太ももの上で必死に腰を振っていた。

 暫くすると、突然男が妻の髪を鷲掴みにした。そして無言で妻の髪を引っ張ると、バスマットの上に妻を突き倒した。
 男は無表情だった。朝の満員電車の吊革にぶら下がるサラリーマン達のように無表情だった。
 バスマットに倒れた妻が慌てて起き上がろうとすると、男はそれを冷静に見下ろしながら、妻の股に右足をねじ込んだ。そして、床の何かを踏みにじるかのように右足をグイグイと動かしながら妻の股を開かせようとしていた。
 そうされながらも妻は必死に起き上がろうとしていた。
 すると、いきなり男は豹変した。
 突然赤鬼のような形相となり「殺すぞ!」と叫ぶと、その右足で妻の太ももを踏み付けた。そして勃起したペニスをシコシコとシゴきながら、猛禽類のような声で「ケケケケケケケ」と笑い出したのだった。

 妻は愕然としていた。私も愕然としてしまった。しかし、もっと驚いたのは、奇妙な声で笑い出した男が、わずか数秒でまた無表情に戻ってしまった事だった。
 男は、何もなかったかのように静かになると、そのまま無言で妻の真正面に腰を下ろした。そして、体育座りをしていた妻の両膝に両手を置くと、ゆっくりと妻の股をM字に開かせた。
 無表情のまま妻の股に潜り込んできた。押された妻の上半身がゴロリと後ろに倒れると、男は素早くバスマットに両手をつき、妻の体を動けないよう固定した。
 それは四十八手でいう、『だるま返し』という体位だった。
 男はそうやって妻の体を固定しながら、妻の股間でくねくねと腰を回し始めた。
 恐らく、今まで巨大ペニスを咥え込んでいた妻のアソコは、未だぽっかりと口を開いたままだったのであろう、手を使わずとも腰を動かしただけで男のペニスはすんなりと挿入され、次第に妻はハァハァと荒い息を吐きながら喘ぎ始めたのだった。

ウツボ255

 男はゆっくりと腰を振りながらも、何やらずっと妻の耳元に囁いていた。何を話しているのかは聞こえなかったが、男は囁きながらも突然笑い出し、突然怒り出し、そして突然泣き出したりしていた。
 男は完全に病んでいた。その喜怒哀楽の移り変わりはあまりにも激しく、しかもその持続性は極端に短かった。笑い出したかと思うと急に泣き出し、泣いているのかと思うと突然怒り出す。そんな感情が起伏する間隔はわずか数分足らずであり、それを延々と繰り返しながら、男はせっせと腰を振っていた。
 そんな男は明らかに狂っていた。キチガイゆえ、阿部定の如く絶頂と共に妻の首を締めたりする可能性もあった。
 そう焦りながら窓の外を見つめていると、そんな私の恐怖心に気づいたのか、背後でサムソンが、「あいつはヤマピーっていうんだ……」と語り始めたのだった。

「あの男は、店長が障害者施設から連れてきたクルクルパーだよ。重度の精神分裂病らしくてさぁ、もう完全に宇宙人だよ」

 そう鼻で笑うサムソンに、私は慌てて振り返りながら「危険性はないんですか」と聞いた。

「危険だよ。危険に決まってるじゃないか宇宙人なんだから。あいつは、ここの外道たちの中でもトップクラスの危ない奴だよ。なんてったって二人も人を殺してるからね……しかも妊婦を」

「…………」

「五年くらい前だったかな、あいつは、河川敷を散歩していた妊娠五ヶ月の女を藪の中に引きずり込んでさぁ、滅茶苦茶にレ○プしちゃったんだよ。で、終わったら妊婦を川の中に放り込んでさぁ、そのまま腹の子供ごと殺しちゃったんだ。当時はテレビなんかでも随分と騒がれてたぜ」

「そ、そんな男は死刑でしょ!」

 そう慌ててツッコむと、サムソンは顔を顰めながら「だよな」と呟き、薄ら笑いを浮かべたまま言葉を続けた。

「普通なら死刑だけど、あいつは普通じゃないからね……精神鑑定で分裂病が認定されて、そのまま国立の精神病院に四年ぶち込まれて、それで終わり。その後、ここの店長が身元引き受け人になって、今は『しらゆりホーム』で保護されてるんだけど、まぁ、見ての通り、いつもああやって自由にしてんだから事実上は無罪だよな……」

 そんなサムソンの話を聞きながら、私は顔面を引き攣らせていた。
 背筋を走る寒気が収まらず、私は慌てて窓の外を見た。
 男は妻の体をバスマットに押し倒し、がっぷりと抱きついてた。そして狂ったように腰を振りまくっていた。
 今、妻の体内に、妊婦を惨殺した凶暴なペニスが出たり入ったりしているのかと想像すると、妻の下腹部が鋭利な刃物でメッタ刺しされているような、そんな恐怖に駆られた。

(こ、このままでは殺されてしまう……)

 本気でそう焦った私だったが、しかし、滅茶苦茶に犯されまくっている妻を見ていると、次第にそんな焦りが性的興奮に変わってきた。
 なぜなら妻は、そんな危ない男の激しい腰の動きに感じていたからだった。自らも男の体にがっぷりとしがみつき、その男の耳元で「イクッ! イクッ!」と喘ぎながら感じていたのである。

ウツボ256

 もちろん妻は、あの男がそんな凶悪犯だという事を知らない。
 が、しかし、誰が見てもあの男は重度の精神異常者であり、もはや常識の通じる相手ではない事くらいわかるはずである。
 にも関わらず妻は、今、そんな男のペニスで絶頂に達していた。「イクッ! イクッ!」と叫びながら男の耳にしゃぶりつき、自らも激しく腰を振りながら、更なる快楽を求めようとしていた。

 それを見た私は、たちまち猟奇的なエロスに襲われた。あのまま妻が惨殺されていくシーンが浮かび、不気味な興奮が湧き上がってきた。
 私はハァハァと荒い息を吐きながら激しい目眩に襲われていた。
 ふと気がつくと、私は無意識のうちに、それまで床に下ろしていた足を、ゆっくり片方ずつ椅子の上に乗せていた。ペニスを肛門に挿したままサムソンの太ももの上にしゃがみ、大きくM字開脚をしていたのだ。
 股が大きく開かれると同時に尻肉も限界まで開いた。サムソンのペニスは更に深く挿入し、私の直腸を乱暴に掻き回していた。
 そんな私に欲情しながらも、サムソンが「大丈夫か?」と聞いてきた。私はそれに答える代わりに、自ら腰を激しく振った。
 そうしながらM字に開いた股を覗くと、真っ黒な肉棒が肛門の中を出たり入ったりと繰り返していた。
 今頃は妻のマンコにも……と、そう思いながら窓の外にソッと目をやると、男は妻の体に抱きついたまま全身をヒクヒクと痙攣させていたのだった。

(イッたな……)

 それに気づいた瞬間、男の不浄な精液が、妻の膣内にドクドクと注入されるシーンが頭を過ぎった。
 それは、人殺しの精液だった。妊婦とその腹の子供を無残に殺した凶悪犯の、穢れた精液だった。
 もしそれで子供ができてしまったらという恐怖が、更に私の異常性欲に拍車をかけ、私は「あーん! あーん!」と女のように叫びながら、しゃがんでいる尻を上下に振りまくってしまった。
 肛門に肉棒がグサグサと突き刺さり、強烈な痛みと快楽がヘドロとなって私の脳を汚染した。
 その直後、背後でサムソンが「無理だ」と苦しそうに叫んだ。そしてその数秒後、まるで注射器で熱湯を注入されたような感覚が直腸に広がったのだった。

 妻もこんな風にあの男の精液を受け止めていたのかと思いながら、その熱い精液の感触を肛門で感じていた。激しい興奮で脳をクラクラさせられながら、サムソンの精液を全て絞りだそうと、肛門をギュッギュッと締めていた。
 すると、不意に私のペニスから、真っ白な精液がピッュ! と飛び出した。
 なんと、シゴいてもいない私のペニスから、自然に精液がピュッピュッと飛び出したのだ。
 それは、学生時代に一度だけ経験したことのある『夢精』のような気持ち良さだった。
 ペニスに触れる事なく自然に射精した私は、本物の女になった気分だった。
 が、しかし、やはりそこは女とは違った。初発の射精は良かったものの、ペニスをシゴかなければ快楽が持続できないのだ。
 だから私は、ドクドクと精液が溢れるペニスを握り締めた。そして狂ったようにペニスをシゴきまくり、肛門で蠢く肉棒の感触と、肛門からドロドロと溢れ出てくる精液の滑りをひしひしと感じながら、今までにない快楽に酔いしれたのだった。

ウツボ257

 背後でサムソンが深い溜息を漏らした。
 ふーっ……と長い溜息と共に、肛門に突き刺さっていたペニスがヌルッと抜かれ、濡れた肉棒が下腹部に当たる「ペタッ」という音が聞こえた。

 私とサムソンと宇宙人。三人がほぼ同時にイッた。
 見ると、宇宙人が妻の股座からモソモソと起き上がろうとしていた。
 宇宙人はゆっくりと立ち上がると夜空を見上げた。
 そしていきなり「6時55分! 6時55分!」と二度叫ぶと、そのまま凄い勢いで露天風呂を出て行ったのだった。

 その奇怪な後ろ姿を呆然と見ていると、私の隣でサムソンが、「めざましテレビの真似ですよ」と笑った。
 そう微笑むサムソンのその表情はいつしか穏やかになっており、私に対する言葉遣いも敬語に変わっていた。

「クルクルパーたちはね、何かというとすぐに『6時55分! 6時55分!』って叫ぶ癖があるんです」

 サムソンはゆっくりと立ち上がりながらそう言った。

「……どうして『6時55分』なんですか?」

「どうしてかはわかりませんけど……ただね、しらゆりホームの朝食は患者全員がホールに集まって食べるんですけどね、その時はいつも、『めざましテレビ』が垂れ流されてるんですよ。ほら、あの番組って、6時55分になると『6時55分! 6時55分!』ってアナウンスが流れるでしょ。あれが流れるとね、それに連動してクルクルパーたちも、『6時55分! 6時55分!』って一斉に叫び出すんです。九官鳥みたいにね」

 そう笑うサムソンをソッと見上げながら、私は恐る恐る聞いた。

「……随分と……お詳しいんですね……」

「はい。私も先月までお世話になってましたから」

 サムソンは、唾液と精液とウ○コの汁でドロドロになったペニスをブラブラさせながらそう微笑んだ。

「私もヤマピーと同じで、精神鑑定で無罪放免されてるんですよ。まぁ、私の場合、ヤマピーのように重症じゃありませんでしたから、『責任無能力』とまでは鑑定してもらえず、ギリギリ『限定責任能力』でしたけどね。おかげで精神病院に措置入院させられて五年間も医療観察されましたよ。そこから更に『しらゆりホーム』に一年間も強制入院させられて、結局六年近くも拘束されてしまいましたよ。オカマを一人殺しただけなのにね……」

 そうブツブツと呟きながらサムソンはサウナを出て行った。
 私は、背筋をゾッとさせながらその場に固まっていた。
 不意に肛門からドロッと精液が溢れた。それをソッと指で掬うと、その精液はイチゴミルクのように赤かった。

 私も妻も殺人者に犯された。
 きっと今頃は、妻の膣からも穢れた精液が溢れているはずだ。
 そう思いながら窓の外を見ると、そこに妻の姿はなかった。
 慌てて窓に顔を押し付けると、また違う男に手を引かれながら、露天風呂を出ようとしている妻の後ろ姿が見えた。
 私は焦った。もしかしたらあの男は、妻をこのサウナに連れて来ようとしているのではないかと焦った。
 今ここで妻と顔を会わせるわけにはいかなかった。私の存在がバレれば、妻は本性を現さなくなるのだ。
 急いで立ち上がると、いきなり肛門に激痛が走った。必死に尻を庇いながらサウナのドアを開け、浴場に飛び出した。
 湯煙の中、男に連行されながら露天風呂のドアを出てくる妻の姿が見えた。
 妻は、まるで泥酔しているかのようにぐったりと項垂れていた。
 そんな妻の肩を抱きながら歩く男は普通の中年男だった。あたかもこれは俺の獲物だぞと言わんばかりに、「ほらほら、滑らないように気をつけてね」などと、浴場に響き渡るような大きな声で妻に話しかけながら、濡れたタイル床の上を恐る恐る連行していた。

 私は、妻にばれないうちに浴場を出なければと焦った。
 慌てて出入口のドアに向かって歩き出すと、突然そのドアがガバッと開き、銀縁メガネをかけた六十代のメタボ親父がノソノソと浴場に入ってきた。
 親父は私に向かって歩いてきた。いきなり私の行く手を遮り、ガマガエルのような太鼓腹を突き出しながら私の真正面に立ちはだかると、「あの女か」と低い声で言った。
 親父は、連行されている妻を横目でジッと見ていた。
 そんな親父の息は仁丹の匂いがした。まるで日曜朝の政治討論番組に出てきそうな気難しい顔をしていた。
 一瞬、こいつは刑事なのではないだろうかと思った。今の妻なら、間違いなく公然猥褻罪で現行犯逮捕だと焦った私は、その場に立ち竦んだまま下を向いてしまった。
 が、しかし、親父は私の肩越しに妻を見つめながら、「ほぅ……なかなかの上玉じゃないか……さすが店長が太鼓判を押すだけはあるな……」と低く呟いた。
 その言葉から、この親父が刑事ではない事がわかり、ひとまず安心した私だったが、しかし、ジッと項垂れたままの私には、それとは違うまた別の新たな不安に駆られていた。
 それは、項垂れた私の眼下で勃起している親父のペニスだった。
 白髪だらけの陰毛の中でピコンっと勃起しているそれは、太さも長さも普通のサイズだったが、しかし、その紫色の亀頭には酒粕のような恥垢がびっしりと溜まっていた。
 明らかに仮性包茎だった。妻の裸体に反応し、ムクムクと勃起したため、自然に皮がベロベロと剥けたのだ。
 私は、その醜い物体をジッと見つめながら、きっとこの親父はこの汚いペニスを妻にしゃぶらせるに違いないと思った。そう思うと、今までにない奇妙な焦燥感に駆られた。

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 確かに私は、妻が醜い男に陵辱される事に興奮を覚える変態だった。が、しかし、こうしていても饐えた臭いがプンプンと漂ってくるほどの恥垢だらけのこのペニスは、そんな変態的な欲望を著しく低下させ、強烈な嫌悪感を募らせた。さすがの私でも、居酒屋のポリバケツの底に溜まる黄ばんだ汁を妻に舐めさせて興奮するわけがないのだ。
 そんな怒りを覚えていると、頭上で親父が、「おっ」と言った。

「あいつら、サウナに入ろうとしているな……」

 親父は、銀縁眼鏡をギラリと輝かせながらそう言うと、すかさず私に、「キミはもう終わったのかね」と聞いてきた。

「いえ……」

 そう私が答えると、親父はまるで代議士が秘書に命令するかのように、「じゃあキミも一緒に来なさい」と言い残し、そのままノソノソとサウナに向かって歩き出したのだった。

 親父がサウナの扉を開けるのを私は愕然と見ていた。
 親父は、あれほどの恥垢を溜めたままサウナに消えた。シャワーで股間を流すこともなく、そこに汗とクソと恥垢を蓄積させたまま、堂々とサウナに入っていった。
 あの汚れたペニスをしゃぶらされている妻の姿が不意に浮かび、背筋がゾッと寒くなった。
 と、その時、私のすぐ背後で、「サウナに入ろうね」という男の声が聞こえた。それはまるで子供に話しかけているような猫なで声であり、それが妻に向けて話しかけられている言葉であることがすぐにわかった。
 振り向かないまま横目で後ろを見ると、ぐったりと項垂れたまま連行される妻の白い肌が視野に映った。
 慌てた私は、すぐ目の前にあった水風呂に飛び込んだのだった。
 
ウツボ258

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)48

2013/06/13 Thu 00:01

 妻がサウナの中に連行されても、しばらく私は水風呂の中に沈んでいた。
 氷のような冷水は、肛門のヒリヒリとした痛みを幾分か和らげてくれたが、同時に脳も冷やされ、今自分が犯している罪の重さを改めて思い知らされた。
 冷水の中で息を吐き出すと、ボコボコと溢れる気泡が顔面を打った。不意に、クローゼットの中を覗き込みながら、「明日、何着て行こっかな……」と首を傾げていた昨夜の妻の顔が浮かび、強烈な切なさに胸を締め付けられた。

 まるでクリオネのようにゆらゆらと浮かびながらブクブクと泡を吐いていた。このまま泡のように消える事ができたらどれだけ楽だろうと思いながら、肺に溜まる空気をゆっくりゆっくり全て吐き出した。
 限界まで我慢してガバッと顔を上げた。あまりの苦しさに、思わずブバァァァァという唸り声をあげると、洗い場で体を洗っていた客が慌てて振り返った。
 相手も驚いたようだが、しかし私の方がもっと驚いた。
 それはその客が、明らかに未成年だとわかる少女だからであった。

ウツボ259

 冷たい水風呂の中で体育座りする私は、凍ったように固まっていた。冷水から半分だけ顔を出しながら少女の背中をジッと見つめ、そのままカニのようにブクブクと泡を吹いていた。
 少女は一度振り返っただけだった。それっきり私の事など忘れたかのように、平然と体を洗っていた。
 その堂々とした姿は尋常ではなかった。彼女は少女と言えど、もはや十八歳は過ぎているであろう年頃の娘である。そんな娘が、深夜の男性専用サウナ風呂で、一人平然とで体を洗っているその光景は、まさに異常としか思えなかった。

(やっぱりあの子も……クルクルパーなのだろうか……)

 そう思いながら彼女見ていると、ふと、さっきサウナで木久蔵が言っていた話を思い出した。
 あの時木久蔵は、露天風呂で犯されている妻を見ながら、(あの女は店長が連れてきた女だろ)と言った。
 そしてサムソンに、(ほら、先月の終わり頃にさぁ、店長がツイッターで呟いてたじゃねぇか、『新入りが入所しました』って。あれだよあれ、あん時、コメントの最後に『近日ゲスト予定』って書いてあったじゃねぇか)と自信満々に言った。
 するとサムソンは、木久蔵にこう答えた。
(あの時のツイッターには、『十七歳の新人』って書いてありましたよ。あの女の人、どう見ても十七歳には見えないでしょ)と……。
 その言葉を思い出すなり、水風呂の中でカチカチに凍えていたペニスにグングンと血が通った。『十七歳の新人』という言葉を繰り返し呟きながらその幼い背中を見ていると、梅の種のように縮こまっていた亀頭がズキンズキンと疼いてきた。

(知的障害の十七歳……)

 私の頭の中で、真っ黒なヘドロがドロドロととぐろを巻き始めた。
 危険だった。その二つのキーワードは絶対的なアンタッチャブルであり、その一線を越えれば、殺人に値する長期刑を喰らうであろう。
 私はカニのようにブクブクと泡を吐きながら、(ヤバいぞ……あれはヤバ過ぎるぞ……)と呟いていた。しかし、そう自分を戒めながらも、その若鮎のような美しい背中を見ていると、禁断の妄想が次々に繰り広げられ、気がつくと私は冷水の中でペニスをシゴいていた。

(待て……落ち着け……冷静になるんだ……)

 そう思いながらもう一度水の中に潜り、限界まで息を止めた。そして再びブバァァァァという唸り声をあげながら立ち上がると、そのまま水風呂を飛び出し、少女に向かってズカズカと歩き出した。

(違うぞ……ヤリに行くんじゃないぞ……私はただ体を洗いに行くだけだ……当然だ、ここは男湯なんだから堂々としてればいいんだ……)

 そう自分に言い聞かせながら、少女の隣りの席にスッと腰を下ろした。
 一瞬、少女は横目で私をチラッと見たが、しかし少女は、何ら驚く事も怯える事もなく、再び平然と体を洗い始めた。
 何一つ動じない少女を横目で見ながら、(やっぱりこいつはクルクルパーだ……)とそう確信した私は、今までにない不気味なヘドロに侵されていた。
 それは、妻が他人棒で悶え狂うシーンを見たり、薄汚い熟女の洗っていない性器を無理やりクンニさせられるといったドロドロ系のヘドロよりも濃厚だった。高学歴の美人OLの激臭おりものシートを嗅いだり、真面目な看護婦さんの夜勤明けの肛門を嗅いだりといったニオイ系よりも強烈で、又、満員電車の中で処女の女学生に指マンしたり、眠っている乳飲み子の横でそのお母さんを松葉くずしで攻めまくるといった鬼畜系よりも残酷だった。
 私の脳にはあらゆるヘドロが潜んでいるが、これほど不気味でこれほど薄気味悪いヘドロは初めてだった。何がそんなに不気味なのかはさっぱりわからなかったが、しかし、平然としながら黙々と体を洗っている少女を見ていると、まるで昭和四十年代のアート・シアター・ギルドの芸術映画を見ているような薄気味悪さが漂ってくるのであった。
 しかし、そんな不気味なヘドロではあったが、私は異常なほどに興奮していた。つい五分前に、ペニスを肛門に捻じ込められながら射精したばかりだというのに、既に私のペニスはこの不気味なヘドロによって、はち切れんばかりに勃起していた。

 椅子に座ったまま、下半身だけをそっと少女に向けた。
 やめろ、やめろ、と必死に自分に言い聞かせながらも、私はペニスを少女に向けたままシコシコとシゴき始めた。
 幸いにも浴場には誰もいなかった。さっきまで浴槽に中年男が一人だけいたが、きっと彼も妻を目当てにサウナに行ったのだろう、誰もいない浴場は静まり返っていた。
 私はペニスをシゴきながら少女の裸体を観察した。
 その若い肌はイルカのようにピチピチしており、水を弾いてはいくつもの水滴を作っていた。胸は貧乳だったが、しかし乳首はチョコレート色に黒ずみ、ソープ嬢のおばさんレベルにピコンっと飛び出していた。
 その乳首から見て、彼女が相当遊んでいるのがわかった。いや、この場合、遊んでいるというよりも遊ばれているというのが本当であろう、恐らく彼女は、既にあの店長から性玩具にされているのだ。
 そんな勝手な想像を膨らませながら、私は勃起したペニスにボディーソープを二度プッシュした。そしてそれをグジュグジュとシゴきながらそこに泡を立て、この幼気な性玩具のアソコも見てみたいとムラムラしていた。
 すると、そんな私の気配を感じたのか、いきなり少女が私に振り向いた。真正面からジッと私を見つめ、おもむろにズズッと鼻を啜った。
 すっぴんだった。まるで寝起きのようなぼんやりとした顔をしていた。決して美人ではなかったが、ぬいぐるみのような可愛らしさが浮かんでいた。
 しかし目だけは違った。ぼんやりとしながらも異様にギラギラしたその目は、まるで夏の朝日に照らされた湖のように輝き、可愛らしいどころが不気味だった。
 その目は、明らかに精神を病んでいた。以前、近所のコンビニの駐車場で、クレヨンをボリボリと食べている狂った老婆を見たことがあるが、この少女の目はあの時の老婆と同じ目の輝きをしていた。
 私は、そんな少女のギラギラした目を見つめながら、とりあえず、「一人で来たの?」と聞いてみた。
 すると少女はそれには答えず、無言のまま立て続けに二回鼻を啜った。
 絶対バカだ。間違いなく店長が連れてきたクルクルパーだ。
 鼻を啜る彼女を見つめながらそう思った私は、相手がバカならどんな変態もできると思い、異常な焦燥感に駆られた。
(滅茶苦茶に犯してやる……たっぷりと精液をつぎ込んでやる……)と、心の中で繰り返し唱えながら彼女を見ていると、ふと、ここの外道たちもこんな風に妻を見ていたのだろうと思い、そこで初めて自分も外道だったということに気づかされた。

 気がつくと私は少女の太ももにソッと手を伸ばしていた。
 少女は抵抗することもなく、それがさも当然のことであるかのように、泡でヌルヌルと滑る私の手を平然と見ていた。

「体……洗ってあげるから……そこに立ちなさい……」

 そう言う私の声は震えていた。過去に、ゴールデン街の路地で泥酔していた老婆の陰部を舐めた事のあるツワモノな私だったが、しかし、もしこれがバレれば目ん玉の飛び出るような懲役を喰らうと考えると、さすがの私もビビってしまっていた。
 しかし、そんな私の震える声に、彼女はまるでロボットのようにスクッと立ち上がり、その泡にまみれた体を何の躊躇いもなく私に向けては、無言で私をジッと見下ろした。
 ツルンっとしたイルカのような体は白く輝いていた。下腹部には、その美しい体に不釣り合いな陰毛がモサモサと茂り、それが余計卑猥感を醸し出していた。
 彼女の両太ももに両手を当て、舐めるようにして両手をゆっくりと上下させると、ヌルヌルと滑るボディーソープがピチピチといやらしい音を立てた。
 そのまま徐々に両手を移動させ、そのやたらと乳首ばかりが大きいAカップの膨らみに到達した。揉めるほど肉がないため、そこにヌルヌルと手の平を滑らせながら、コリコリとした大きな乳首を手の平の下で転がしていた。
 暫くそれを続けていると、それまで閉じていた彼女の唇が微かに開き、そこから「はぁ、はぁ」という息が漏れ始めた。

(感じている……クルクルパーの少女が感じている……)

 そうゴクリと息を飲みながら左手だけを下腹部へと滑らせた。そして、ギラギラと輝く少女の目をジッと見つめながら、泡にまみれた陰毛の中に指を滑り込ませたのだった。

ウツボ260

 陰毛の奥はヌルヌルしていた。それは石鹸のヌルヌル感とは明らかに違い、『めかぶ』のような滑らかなヌルヌル感だった。
 指は、陰唇の隙間や陰核の包皮といった細部にまでヌルヌルと滑り込んだ。包皮の奥にあるコリコリとした陰核に触れると、その度に少女の腰がカクンと跳ね、ぼんやりと開いた唇の隙間からは、スタッカートな息が、「はっ」と漏れた。
 私は素早く立ち上がり、その微かに開いた唇に舌を伸ばした。
 これが正常な女ならば、今の私が何をしようとしているのかをすぐに察知し、目を閉じたりアゴを突き出したりとしてくるはずなのだが、しかし、彼女は異常者であり、そんな空気も読めぬまま、そのギラギラした目で私をジッと見つめていた。
 それでも私は、舌を出したまま顔を近づけた。彼女の柔らかい唇にチロチロと舌を滑らせ、その微かな隙間を徐々に広げていった。
 
ウツボ261

 唇はそれなりに開いたが、しかし前歯が邪魔をしていた。それでも私は強引に舌を押し込んだ。前歯で舌を噛み千切られるのではないかという恐怖に怯えながらも、無我夢中で舌で前歯をこじ開けた。
 その瞬間、彼女の小さな舌が私の舌に獰猛に絡みついてきたのだった。

 ヌルヌルの穴の中を指でグチョグチョと掻き回しながら、濃厚なディープキスをした。
 その生温かくも柔らかい口内の感触を脳を痺れさせながらも、互いにウグウグと舌を絡ませていると、不意にサウナの中から「あぁぁん!」という妻の喘ぎ声が聞こえ、たちまち私は現実に引き戻された。
 彼女の口からねっとりと舌を抜き、ソッとサウナに振り返った。サウナ室の横壁に嵌め込まれたアクリル窓の向こうには、さっき私が肛門を犯されていた時と同じ茶色い電気がぼんやりと灯っていた。
 今頃あの中で、妻がどのようにしてあの男たちに陵辱されているのかと思うと、このままタイル床にこの少女を押し倒し、そのヌルヌルに濡れた淫穴にペニスをピストンさせたい衝動に駆られた。
 が、しかし、ふと私は、犯される妻を見ながらこの少女を犯してやろうと思い、その衝動を堪えた。今までは妻に成り切りながらサムソンに肛門を犯されていたが、今度は外道に成り切り、この少女を妻に見立てて犯してやろうと思ったのだ。

 そう思うなり、さっそく私は少女の細い手を掴み、サウナのアクリル窓に向かって歩き出した。
 少女は抵抗することなく歩き出した。まるでさっき連行されていた妻のようにぐったりと項垂れながら、とぼとぼと私の後をついてきた。
 アクリル窓の前に少女を立たせた。私は、中の妻に見つからないように少女の背中に身を伏せていた。
 中から妻の卑猥な喘ぎ声が聞こえてきた。グロテスクな妄想だけが脳を駆け巡り、我慢できなくなった私は、彼女の背中に頬を滑らせながらゆっくりゆっくり体を起こした。
 少女のか細い肩に隠れながら恐る恐るサウナの中を覗くと、仰向けに寝転がっている男の顔の上で、真っ白な尻がくねくねと妖艶に蠢いているのが目に飛び込んできた。
 それは、いわゆるシックスナインだった。中年男の顔に跨がる妻は、剥き出した陰部をペロペロと舐められていた。そして自身も男の股間に顔を埋め、頭部をユッサユッサと上下に動かしていた。

ウツボ262

 妻が頭部を上下させる度に、男の腹の上でグニャグニャと潰れる巨乳が見えた。
 残酷だった。目の前で我が子がトラックに跳ねられるのを目撃するくらい、その光景は残酷だった。
 脳がクラクラするほどの激しい嫉妬に駆られながら、私は少女の耳元に囁いた。

「あれは私の妻なんだ……私の妻は変態でね……ああしていつも知らない男の人とエッチな事ばかりしてるんだよ……」

 そう囁きながら私はペニスをシゴいた。少女の尻肉に亀頭をグイグイと押し付けながら、ガチガチに硬くなった肉棒をシコシコとシゴいた。

「見てごらん……男の人の舌が、ヌルヌルと穴の中を出たり入ったりしてるだろ……あの穴はね、本当は私だけのものなんだよ……だから、誰もあの穴の中に舌を入れたり、チンチンを入れたりしちゃダメなんだけどね……でも、あの女の人は変態だからしょうがないんだよ……ああやっていつも私に内緒で、知らない男の人に穴を舐めさせたり穴に入れさせたりしてるんだよ……」

 私はデタラメに囁いていた。この頭のおかしい少女になら、日頃自分が描いている異常な願望や妄想を素直に打ち明ける事ができた。
 少女はそう私に囁かれながら、アクリル窓の向こうで淫らに交わる妻と中年男を真剣に見つめていた。
 そんな少女の耳元に「ちゃんと見てるんだよ……」と囁くと、私はそのまま少女の背中を滑り、立ち竦む少女の足元にしゃがんだ。
 私の真正面には、水に濡れた少女の陰毛が迫っていた。両手で少女の尻を固定しながらそこに舌を這わせると、ゴワゴワとした陰毛がジリジリと音を立てた。
 陰毛の中に舌を潜り込ませていくと、ジリジリとした感触が突然ヌルヌルとした感触へと変わった。
 少女の陰部には、例の『めかぶ』のような滑らかなヌルヌル汁が大量に溢れていた。その量はさっきとは明らかに違っており、今この少女が妻の淫らな姿を見て興奮している事を証明していた。

ウツボ263

 少女を立たせたまま陰部を舐めた。舌で陰唇を掻き分けると、中から大量の粘液が溢れ、それが動き回る舌にネトネトと絡みついた。
 そんな汁は、次から次へと穴の中から溢れ出てきた。相当濡れやすい体質なんだと思いながらベロベロと舌を動かしていると、不意に通常の愛液では感じられない苦味を覚え、(まさか!)と思い慌てて舌を引っ込めた。
 それは、さっきサウナの中で口内射精された時と同じ苦味だった。
 確かに、少女の穴の中から溢れ出ている汁をよく見てみると、それはカルピスの原液のように白く、スライムのようにドロドロとした液体だった。

 おそらく少女は、既に何人かに中出しされていたのであろう、そこには大量の精液が溜まっていた。
 それを知らず、私は少女の愛液だと勘違いしてそれを舐めていたわけだが、しかし、不思議とそれは気持ち悪くはなかった。むしろ、今の妻の穴の中にも、こんな風にして大勢の精液が溜まっているのだろうかと想像し、異常な性欲がムラムラと湧き出てくるくらいだった。

 唇でネトネトしている精液を腕で拭いながらゆっくりと立ち上がった。
 そのままソッとアクリル窓を覗くと、いつの間にか寝転がっていた二人の向きが変わり、妻の顔がこちらに向いていた。
 ヌポヌポとペニスをしゃぶる妻の顔が細部まで観察できた。唇でそれを亀頭から根元まで上下させていた妻は、まるで口内にも性感帯があるかのように恍惚とした表情を浮かべていたのだった。

ウツボ264

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)49

2013/06/13 Thu 00:01

 妻は見ず知らずの男に陰部を舐められていた。そして見ず知らずの男のペニスを口内に行ったり来たりさせていた。
 その尺八は、いつも私にしてくれるそれよりも激しく、そして濃厚だった。私は強烈な嫉妬に目眩を感じながらも、その残酷な光景に異様なエロスを感じていたのだった。

 そんな妻を、さっきの銀縁眼鏡の親父が見ていた。椅子にふんぞり返る親父は、ヴクヴクとペニスをしゃぶる妻の顔や、男の顔を跨いでいる妻の尻の裏を覗き込んだりしながら、あの恥垢だらけのペニスをシコシコとシゴいていた。
 実に不潔で、実に気色の悪い光景だった。
 深夜の男性サウナで、見知らぬ変態男とシックスナインをする変態人妻と、それを見ながらセンズリをしている変態親父。
 これはまさに、丸尾末広の『無残絵』に匹敵するほどに気色の悪い地獄絵図だった。

ウツボ265

 私は少女の耳元にソッと唇を寄せた。そして、「あの女は私の妻です……」と、胸を掻き毟られるような声で囁いた。

「あいつはね、いつもは真面目で大人しい女なんですよ……酒もタバコもパチンコもやらないし、浮気なんて絶対にしない。ゴミの日だってちゃんと守る、近所では有名な美人奥さんなんですよ……」

 そう囁きながらも、いつしか私はペニスをシゴいていた。

「そんな真面目な女をね、あんな風にしてしまったのは私なんです……私はね変態なんですよ。お医者さんからも異常性欲者だって診断されるくらいの変態なんです。なんてったって、子供の頃、飼っていた猫にチンチンを入れようとしたくらいですからね私は……そんな変態男と結婚しちゃったから、あの女はあんな風になっちゃったんです……だから全部、私のせいなんです……」

 少女の耳元でそう囁きながら、シゴくペニスの先を少女の陰毛にジャリジャリと擦り付けていた。溢れる我慢汁が陰毛にネトネトと糸を引き、まるで『もずく』のようになっていた。
 少女は平然としていた。例のぼんやりしながらもギラギラと輝く不思議な目で、醜い大人たちの淫らな光景をジッと見つめながら、マネキン人形のように突っ立っていた。
 そんな少女の顔を覗き込み、「キミも病気なんだろ?……」と聞いた。
 しかし少女は何も答えず、表情一つ動かさないまま窓の中を見つめていた。

「しらゆりホームだったかな、キミもその施設に入院してるんでしょ?」
 
「…………」

「何とか言いなさいよ。それとも喋れないの?」

 そう聞いても何も動じない少女に、もしかしたら彼女は聴覚障害者なのかも知れないと思い、焦った。
 例えばこれが、薬物等により精神に異常をきたしたとか、引きこもりの末に狂ってしまったといった、そんな自業自得的な精神障害というのであれば少しも心は痛まぬが、しかしこれが、目や耳が不自由だとか脳性麻痺といった病気だったとしたら、さすがの私でも彼女を性の対象にするのには気が引けた。
 そこで私は、彼女が聴覚障害者かどうなのか、それを確かめるべく彼女の耳元に例の言葉を囁いてみた。

「……6時55分……」

 一瞬、今まで焦点のあっていなかった彼女の目が、まるでカメラレンズのピントを合わすかのように動いた。
 私はもう一度、「6時55分」と呟いた。今度ははっきりとした口調で「6時55分」と言ってみた。
 すると、それまでぼんやりしていた少女の目がクワッ! と開いた。そしてその瞬間、まさに九官鳥の如く、「6時55分! 6時55分!」という甲高い声が大浴場に響き渡ったのだった。

(よし、耳も聞こえるし、言葉も喋れる)

 そう確信した私は、もはや躊躇う事なく彼女の細い肩を鷲掴みし、強引にその場にしゃがませた。
 そして、しゃがんだ彼女を見下ろしながら、「私の妻と同じ事をしなさい」と、勃起した肉棒を顔に突きつけてやった。
 少女は、臆する事なく平然と肉棒を握った。そしていかにも慣れた手つきでそれを上下にシゴき始めると、ダラダラと我慢汁が溢れる尿道にブチュっと唇を押し付け、そこを舌先でチロチロと舐め始めたのだった。

ウツボ266

 それはまるで洗脳された信者のようだった。
 肉棒を目の前に突き出されるなり、彼女は何の疑いもなく、何の嫌悪も示さず、素直にそれに吸い付いた。その姿は、二十年ほど前に騒がれていたあのカルト教団の信者が、一切の疑いを持つ事なく教祖の言うがままに動いていたあの不気味な姿によく似ていた。
 しかし、そこで私は、さっき木久蔵が言っていた、『新入りが入所しました』、『近日ゲスト予定』、『十七歳の新人』というツイッターの言葉をふと思い出した。これほど手馴れているにもかかわらず、これで新入りだというのはあまりにも不自然なのだ。

(もしかしたら、そのツイッターの娘とは別の子かもしれない……)

 そう思っていると、突然背後から「どうですか」と声をかけられ、私は慌てて少女の口から肉棒を抜いてしまった。

「いやいや、そのままそのまま。私の事は気にせずに続けてくださいな」

 そう笑っていたのは、この狂気のサウナの店長でありながらも、障害者施設『しらゆりホーム』の役員という肩書きを持つネズミ男だった。

「奥さんはどんな感じですか……盛り上がってますかな?……」

 そう笑いながら、ネズミ男はアクリル窓をソッと覗いた。

「ほほう……美人だけあって、さすがに体もいいねぇ……おっぱいがブルンブルンと揺れてるじゃないですか」

 慌てて窓を見ると、いつしか妻は男の腹の上で腰を振っていた。
 切なく髪を振り乱し、大きな乳肉を激しくバウンドさせながら、自ら腰を振っていた。

ウツボ267

 そんな妻を愕然と見ていると、再び亀頭にヌルヌルとした滑りを感じた。
 見ると少女は自らそれを握り、パンパンに腫れ上がった亀頭のカリ首に舌をチロチロと滑らせていた。

「この子、なかなかいいでしょ」

 ネズミ男は、子猫のようにペニスを舐めている少女を見ながら自慢げにそう笑った。

「この子は……あなたが連れてきたんですか……」

 そう聞くと、ネズミ男は悪びれることなく「ええ」と頷き、そのまま「失敗しましたよ」と苦笑いした。

「失敗?」

「ええ、今夜連れてきたのは失敗でした。だって、まさか本当に、お客さんが奥さんを連れてくるなんて思ってもいませんでしたからね、しかもあんな綺麗な奥さんを……」

 ネズミ男は、そう「ふふふふ」と笑うと、「おかげでこの子、誰にも遊んで貰えないんです。奥さん綺麗だから、みーんな奥さんの方に行っちゃって誰にも相手にされないんです」と言いながらペニスを舐めている少女を見下ろし、「淋しいねぇ」と少女の頭を優しく撫でた。

 すかさず私は、「でも……」と少女を見た。

「この子のアソコにはセイシがいっぱい溜まってましたけど……」

「ああ、それはね、ここに来る前に臨海公園に行ってたからですよ。あなたが綺麗な奥さんを連れてきてくれたから、ブッキングしないようにって臨海公園で時間を潰させてたんですよ」

「という事は、その臨海公園で……」

「ええ。ヤらせてました。今夜は五人だったかな? 土曜日だから夜釣りしてる人が多くてね、この子、大声出してヤられまくってましたよ」

 そう自慢げに笑うネズミ男に、私はゾクゾクとするエロスを感じながら、恐る恐る聞いた。

「この子ってのは……やっぱり、その……あっちの施設の子なんですか……」

「あっちの施設?……『しらゆりホーム』の事ですか?」

 戸惑いながら頷くと、ネズミ男は平然としながら「ええ、そうですよ」と答えた。

「引きこもりですよ。重度の統合失調症で——」

「——いえ、それ以上は結構です」

 私は慌ててネズミ男の言葉を遮った。それは、ここで下手に彼女の年齢や病名を詳しく聞くよりも、妄想を抱いた方が興奮できると思ったからだった。
 事実、私は激安風俗で醜い中年女とプレイする時も、その興奮の半分は妄想による自家発電だった。妄想狂の私は、相手がどれだけ劣悪な醜女だったとしても、そこで自分好みの妄想を抱く事によって、それなりの興奮を得ることができるという変態だった。
 だから私は、敢えてここで少女の事実を聞かなかった。もしその事実が思っていた以上に普通だったら、つまらないからである。
 さっそく私は、微かに聞き取れた、『引きこもり』と『重度の統合失調症』というキーワードをネタに妄想を繰り広げた。少女が引きこもっている間にオナニーを覚え、家庭内にあるあらゆる異物を挿入しては、一人黙々と性欲を発散させているシーンを悶々と思い浮かべた。

ウツボ268

 ありとあらゆる変態妄想を抱き始めた私は、ネズミ男が目の前にいることも忘れ、激しく欲情した。ペロペロと亀頭を舐めていた少女の口内に、強引にペニスを滑り込ませ、「んんん……」と唸りながら腰を動かした。
 いきなり興奮し始めた私を、ネズミ男は、「ほほほほほほ」と麻呂のように笑いながら見ていた。そして、そんな私の興奮に拍車をかけるかのように、「もっと乱暴にしてやって下さい、この子は真性のMですから滅茶苦茶にされるのを望んでいるんです」と、嬉しそうに囁いたのだった。

 私は少女の両頬を両手で支えていた。そして、まるで尻に打ち込んでいるかのように激しく腰を振った。
 ガポッ、ガポッ、ガポッ、という残酷な音が少女の口で響いていた。少女は苦しそうに顔を顰めていたが、しかし、ネズミ男の言うように『真性のM』なのであろう、そうされながらも彼女は必死に舌を動かし、ズボズボとピストンする私のペニスの肉感を味わっていた。
 そんな少女に対し、私の興奮がレッドゾーンに達してきた頃、私は妄想から現実へと戻ってきた。そして、はぁ、はぁ、と荒い息を吐きながら、「この子は、さっきまで見知らぬ釣り客の親父たちにヤられまくってたんですか……」と声を震わせて聞くと、そんな私の絶頂の兆しを察したネズミ男が、「凄かったですよ、まるで肉便器みたいに、みんなこの子のオマ○コの中にびゅっ、びゅっ、と射精してましたよ」と輪をかけた。

ウツボ269

 そんなシーンがリアルに頭に浮かんだ。それと同時に、さっき舐めた精液の苦味が舌に蘇り、私は見ず知らずの親父たちの精液を舐めていたのだという現実に身震いした。

「感じてましたか……この子、そんな親父たちに肉便器にされて感じてましたか……」

 そう聞きながら私は、その小さな胸の膨らみに手を伸ばした。そして、微かな盛り上がりを手の平に包み込み、ポコンっと飛び出した乳首をクリクリと回した。

「感じてましたよ……元々この子は複数に犯されるのが好きな子なんですよ……ですから、次から次へと男たちにペニスを入れられて、小便ちびりながら悶えてましたよ……」

「しょ、小便を漏らしてたんですか……あああああ……小便漏らして感じてたんですか……」

「ええ、びしょびしょに漏らしてましたよ……おっさんたちのでっかいペニスをピストンされながら、ブシュ! ブシュ! って小便を噴き出してましたよ……ほら、今のあんたの奥さんみたいにね……」

 その言葉で一瞬にして現実に引き戻された。
 背筋をゾッとさせながら恐る恐る横目でネズミ男を見ると、ネズミ男はニヤニヤと笑いながらアクリル窓を指差していた。
「はっ!」と振り返った。少女にペニスをしゃぶらせたままアクリル窓を覗いた。

 見知らぬ男の上で妻がウ○コ座りをしていた。男に背中を向け、背面騎乗位で腰を振りまくっていた。
 アワビのようなグロテスクな穴の中に、真っ黒な肉棒がヌポヌポと出入りしているのが見えた。その結合部分では、妻の尻が上下に動く度に大量の液体が飛び散り、男の腹の上には黄色い液体が水溜りを作っていた。
 その液体は明らかに小便だった。
 妻は見知らぬ男の肉棒に自ら腰を振りながら、そのあまりの気持ち良さに小便を漏らしていたのだ。

ウツボ270

「凄いねぇ、あんたの奥さん……あんなに上品な顔してるのに、下半身は下品だねぇ……」

 ネズミ男は、見ず知らずの男に妻を寝取られている私を嘲笑うかのように、「ひひひひひっ」と声を出して笑った。
 さすがネズミ男はこの淫窟のボスだけはあり、寝取られたい願望の男の性感帯を知り尽くしているようだった。そんなわざとらしいネズミ男の笑い声は、私に強烈な屈辱感を与え、同時に凄まじい興奮を与えてくれた。

「あれだけの淫乱は管理が大変でしょ……ましてやあんなに綺麗なんだし、あんたの知らないところでも相当ヤってるんじゃないですか……」

 その言葉に、私は寝取られ願望本来の快感に身震いしながら、「いや、それはないです」と首を振った。

「妻は普段はとても大人しいんです……私がこう言った変態行為を仕掛けなければ、絶対に他人の男なんかと——」

「——みんなそう言いますよ。浮気されてる夫ってのは、みんな決まってそう言うもんですよ……」

「いや、私の妻は違います、これは本当です、私が仕掛けさえしなければ、妻は普通の女なんです」

「普通ねぇ……あれが普通なんですかね……ほら、見てみなさいよ、また漏らしてますよ……あれは、どー見ても重症の色情症ですね……『しらゆりホーム』にも沢山いるんですよ、あんたの奥さんみたいな人……普段は至って正常なのに、一度欲情すると気が狂ったみたいに淫乱になる異常な人がね……」

「やめろ!」と私は叫んだ。私を喜ばせようとして、ネズミ男が敢えてそう言っている事はわかっていたが、それでも私はそんなネズミ男の残酷な言葉に耐え切れず、「もう、やめてくれ!」と叫んでいた。
 そんな私の叫び声が浴場に響くと、ネズミ男は満足そうに微笑んだ。そして、素早く私の耳元に顔を寄せると、まるでその世界のインストラクターのように、「今です、イクなら今ですよ」とアドバイスし、そのまま浴場を出て行ったのだった。

 ネズミ男の言葉に挑発された私は、脳みそをグルグルさせながら、引きこもりの少女を見下ろした。
 少女は、私の肉棒を口一杯に頬張りながら、まるでロボットのように顔を前後に動かしていた。

「イクぞ……一滴も漏らさずに飲み込みなさい……」

 そう呟くと、少女はそれを理解したのか、握っていた根元をシコシコとシゴき始めた。
 精神異常者でありながらそれが理解できるということは、こんな経験を相当熟しているという証だった。
 彼女は肉便器なのだ。引きこもりという影を背負う彼女は、薄汚い公衆便所の黄ばんだ便器なのだ。
 そう思った瞬間、精液が尿道をビュビュっと走った。
 少女の口内で、肉棒が、ドクン、ドクン、と二度跳ね上がると同時に脳が痺れ、射精の快感が下半身を走った。
 噴き出る精液と共に少女の頭部が前後し始め、口内に、ブジュ、ブジュ、と不気味な音を立てていた。

 全てを出し尽くすと、少女の頭部はゆっくりと動きを止めた。
 ヌポッと口から抜いた肉棒には、精液がドロドロと絡み合っていた。
 そんな精液だらけの肉棒に少女は再び舌を這わせると、敏感になっていた亀頭に真っ赤な舌を官能的に滑らせ、丁寧に丁寧に精液を嘗め尽くしてくれたのだった。

ウツボ271

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)50

2013/06/13 Thu 00:01

 丸く開いた少女の口内には、あんかけのようにドロドロとした私の精液が溜まっていた。
 気怠い溜息を吐きながらアクリル窓を覗くと、既に中出しされた妻が、尻から大量の精液を垂らしながら床に横たわっていた。

(私は……今日だけで既に何回射精しているのだろうか……)

 そう思うなり、一気に疲れがドッと来た。
 しかし、体は疲れ切っていても、脳はギンギンに冴えていた。
 私は、医師さえも匙を投げた異常性欲者なのだ。
 私にとってこの狂気の宴は、まだまだ始まったばかりなのだ。

 リフレッシュしようと、再び水風呂に飛び込んだ。
 バシャッ! とダイナミックに水が跳ね、そこにしゃがんでいた少女が「キャッ」と小さく叫んだ。
 頭から水をぶっかけられた少女だったが、それでもその場を動こうとはしなかった。ベロリと剥き出した陰部を私に向けてしゃがみながら、排水口へと流れていく床の水をジッと見ていた。

(どうしてこの子はここにいるんだろう)

 そう思いながら水に顔を沈めた。
 水中に響くコポコポという音を聞きながら溺死体のように浮かんでいると、ふと、この子はセックスをして欲しいんだという事に気付き、ゆっくりと顔を上げた。
 顔を上げるなり、まるで大蛇が威嚇しているような、シャーッ……という音が耳に飛び込んできた。
 なんだ? と思いながら水風呂の縁に掴み、その音が聞こえてくる床を覗こうとすると、そこにしゃがんでいた少女の股間から小便が噴き出しているのが見えた。
 きっと、私が水に潜っている隙に小便をしてしまおうと思っていたのだろう、それが私に見つかってしまった少女は、恥ずかしそうにソッと顔を伏せながら下唇を噛んでいた。

ウツボ272

 そんな少女の恥ずかしそうな仕草に、たちまち私は欲情した。
 ネズミ男の、「この子は真性のMですから」と言っていた言葉が拍車をかけ、つい二分ほど前に射精したばかりの私はペニスは、いとも簡単に蘇った。
 シャーと噴き出していた小便がチロチロと変わり、それが小さな尻の曲線に伝っては床にポタポタと垂れていた。
 それを間近にジッと覗き込んでいても、少女はそこを隠そうとはしなかった。むしろ私をその穴に誘っているかのように、剥き出された赤い粘膜をヒクヒクと動かしたりしていた。
 項垂れた少女の顔をソッと覗き込みながら「ヤリたいのか?」と聞いた。
 すると少女は、何も答えないまま、まだ小便がタラタラと垂れている割れ目に指を這わせた。そしてそこに指をヌルヌルと滑らせながらハァハァと息を吐き、上目遣いで私の目を見つめながら二本の指を挿入したのだった。

ウツボ273

 それが少女の返事だった。引きこもりで統合失調症で肉便器の少女が、無言で割れ目に指を出し入れしながら、見ず知らずのこの私に早くペニスを入れてくれと頼んでいるのだ。
 ザバッと激しい水飛沫と共に水風呂を飛び出した。
 胸に溢れる興奮を鼻でスースーと吐き出しながら少女の真正面にしゃがみ、そのまま少女をタイル床に寝転がした。
 少女は抵抗することなく、自らその細い足を大きく開いた。素早く私はその股の間に下半身をはめ込むと、正常位の体勢で少女を見下ろしながら、その幼気な乳をスリスリと撫でた。
「入れて欲しいのか? ん? 入れて欲しいのか?」と、まさにトチ狂ったスケベ親父の如く何度も何度も同じことを聞きながら、コリコリに硬くなった肉棒を割れ目に沿って滑らせた。
 少女の割れ目には、精液とは違う純粋な粘液が溢れていた。その透明の粘液が、グロテスクな黒いヒダヒダと神秘的な赤い粘膜をテラテラと輝かせていた。
 ペニスの根元を摘み、それをグルグルさせながら亀頭で陰部の表面を搔き回した。次から次へと溢れ出てくる透明の粘液が潤滑油となり、まるでソープランドのマット洗いをしているような、ペティ、ペティ、という音が鳴り出した。
 ヌルヌルと滑る亀頭が、割れ目の先端でプクッと膨れている包皮を捲ると、そこからピンクのクリトリスがポロンっと顔を出した。それを亀頭の裏でクリクリと転がしてやると、そこで初めて少女が「んんん……」と声を出し、苦しそうに悶える少女は、早く入れとばかりに腰を突き上げた。
 恥骨をツルンっと滑った亀頭は、いとも簡単に穴の中に滑り込んだ。
 さすが若いだけあり、その穴は非常に狭かった。ヌルっと入るなり肉壁がペニスをギュッと締め付け、ピストンする度にコリコリとした筋肉感が亀頭を刺激した。
 
ウツボ274

「おっ、おっ、凄い、凄く締まってるよ」

 そう唸りながら少女の体をユッサユッサと揺らす私は、まさに駅裏のラブホテルで援交娘を貪り食う変態親父だった。
 この時点で既に五年の実刑は確実だったが、しかし、この穴の具合の良さはそれに価する価値は十分にあった。
 日頃、熟女ばかりを好んで食していたせいか、こうして久々に少女を食べてみると、その鮮度の良さがよくわかった。
 例えるなら、熟女の穴が、『北の国から』や『池中玄太80キロ』といった『昭和のドラマ』で、少女の穴は、『半沢直樹』や『下町ロケット』といった『現代のドラマ』だった。
 つまりそれは、熟女のドロドロとした柔らかい穴は、昭和のドラマのように脳をジワジワと蕩けさせてくれるが、少女のコリコリとした穴は、現代ドラマのように直接的な刺激をズキズキと与えてくれるという意味である。

 数回肉棒を擦っただけで早くもイキそうになってしまった私は、自ら腰を振り始めた少女を慌てて制止し、素早くペニスを引き抜いた。
 ビコンっと飛び出したペニスには、穴の奥に潜んでいた男たちの精子がドロドロと絡みつき、残酷な卑猥感を醸し出していた。

「立ちなさい……」
 
 少女にそう言いながら私も立ち上がった。
 ふらふらしながら少女が立ち上がると、アクリル窓のすぐ横の壁に両手をつかせ、その小さな尻を突き出させた。
 尻の谷間がパックリと開き、陰毛の奥でベロリと捲れている割れ目が照明に照らされた。ついさっきまで、大勢の男たちが取っ替え引っ替えこの幼い穴の中に欲望を迸らせていたのかと思うと、それが酷く不潔に思えた。
 が、しかし、その反面、『肉便器にされたマゾ少女』という、何やら一昔前のSM雑誌のグラビアタイトルのような言葉がムラムラと浮かびあがり、たちまち猟奇的なエロスに包まれた私は、荒い息を必死に堪えながらその肉便器に肉棒を突き刺したのだった。

ウツボ275

 そんな淫穴に根元までペニスを突き刺しながら、そっとアクリル窓を覗いてみた。
 乱れ髪の妻が、崩した正座でぐったりとしながら、ハァハァと肩を揺らしていた。
 床に敷かれた黄色いバスタオルには小便のシミが飛び散り、その壮絶な交わりを無残に物語っていた。
 そんな妻の横では、騎乗位で散々妻をイかせた男がゴロリと横になっていた。男は何やらニヤニヤと笑いながら、その奥に座っている銀縁眼鏡の親父と話をしていた。
 何を話しているのかは聞こえなかったが、しかし、その素振りから見て、二人が妻について話し合っているのは確かだった。
 男は時折、「あはははは」と大きな声で笑いながら、タポンっと垂れた妻の大きな乳房を爪先で突いたりしていた。そして、妻の正座する尻を突然ペシペシと叩いたり、その尻の谷間を指で乱暴に弄ったりしながら、銀縁眼鏡の親父と笑っていた。
 二人は明らかに妻を嘲笑していた。百姓丸出しの中年男と、ガマガエルのように醜い親父が、まるでそこらの淫売婦を見るような目で妻を見下し、足で蹴ったり、尻を叩いたりしながら嘲笑していた。
 本来なら、あんな百姓男やこんな醜い親父など、妻の指先に触れることすら無理であろう。
 東京では、誰もが口を揃えて妻のことを綺麗だと言ってくれた。スタイルも良く、センスも良く、上品でお淑やかで美形な妻は、東京の街を歩けば、まるで芸能人のように一目置かれる存在なのだ。
 にも関わらず、ここ新潟では、妻は家畜だった。このど田舎の下品な醜男たちに雌豚のように扱われていた。
 男は、下品な笑みを浮かべながら右足を妻の尻に伸ばし、その尻肉の谷間を掻き分けた。正座していた妻の足は徐々に崩れ、斜めに歪んだ体勢で前屈みになると、「入れてください」と言わんばかりに自ら尻を突き出した。
 尻の中心にぶら下がっている二枚の陰唇は、まるで中華飯のキクラゲのように黒く濡れ輝いていた。そんな陰唇の隙間から飛び出しているクリトリスは、痛々しいほどに巨大化しており、見るからに超敏感そうだった。
 そこを男の足の親指がグチョグチョと弄り始めた。中出しされたばかりのワレメからは次々に白い液体が溢れ出し、それが官能的に太ももの裏へとトロトロ垂れていた。
 前屈みで項垂れる妻は、剥き出した尻を足指で弄られながらハァハァと荒い息を吐いていた。
 そんな妻のすぐ目の前で、銀縁眼鏡の親父が椅子にふんぞり返っていた。ドロドロとした目で悶える妻を見下ろしながら、あの恥垢だらけの汚いペニスをシゴいていたのだった。

ウツボ276

 さっき、サウナの前であの親父に話しかけられた時、彼の洗っていない股間から漂ってきた、『さきいか』そのものの強烈な恥垢臭をぷーんっと嗅がされた。あの時の恥垢臭が不意に鼻孔の奥で蘇り、きっと今の妻もあの『さきいか』のような恥垢臭を嗅がされているのだろうと思うと、不思議な興奮がムラムラにと湧いて出てきた。
 愛する妻が、薄汚い百姓男に足指で性器を弄られ、醜い親父の強烈な恥垢臭を嗅がされているという屈辱は、私の異常性欲をぐるぐると掻き回し、それが強烈な興奮となって少女の幼気な膣を虐待した。
 少女のその小さな尻にバンバンと激しく腰を打ちつけながら、(あんな田舎者共に妻が……)と心の中で憎しみを抱き、その憎しみを少女の膣で快楽に変えていた。
 立ちバックで犯される少女は、そんな私の激しい腰の動きに対し、獣の如く本性を剥き出していた。少女は余程にセックスをして欲しかったのであろう、ズボズボと激しくピストンされる肉棒に何度も崩れ落ちながら、「もっとして下さい! もっとして下さい!」と、悲痛な叫びを浴場に響かせていたのだった。
 
ウツボ277

 そんな、壊れた少女に刺激を受けた私は、少女の膣内に何度も何度も射精しながらピストンを続けていた。それは渾身の射精とは違い、少量の精液を、チロッ、チロッ、と分割して垂らすという、ほんの一瞬の快感だった。
 これは、立て続けに射精した時などに起きる現象だった。射精の量は少なく、その分快感も短かったが、しかし、わずかな間隔で一瞬の快楽を連続して感じられるため、これはこれで気持ち良かった。
 そんな、『抜かずの射精』を少女の膣に繰り返しながら、まるで洋モノポルノの金髪親父のように「オォォ、アウゥゥ」と大袈裟に悶えていると、それまで崩れた正座でぐったりと項垂れていた妻が、のそりのそりと動き出すのが見えた。腕立て伏せのような体勢で、床を這いながらゆっくり動き出した妻は、まるでコモドオオトカゲのようだった。

 そんな妻が目指している先は、椅子にふんぞり返っている銀縁眼鏡の親父の足元だった。
 それまで親父は、ニヤニヤと笑いながら妻を見下ろし、黙ってペニスを弄っているだけだった。そんな親父が妻を呼び寄せたり、また、妻の陰部を足指で弄っていた百姓男が、妻に親父の所に行けなどと命令した形跡はなく、妻が親父に向かって進み始めたのは、明らかに妻の意思によるものであった。
 そんな妻をアクリル窓越しに見ていた私は目を疑った。というのは、妻はわりと潔癖症なところがあり、セックスの最中でも、私のペニスが少しでも臭うものならフェラを拒否し、わざわざ「シャワーを浴びてきて」と言うくらい臭いには敏感だったからだ。
 なのに妻は、今、あの強烈な悪臭漂う恥垢だらけのペニスを目指していた。しかもそれは自らの意思であり、誰に命令されたものでもなかった。
 信じられなかった。あの潔癖症の妻が、まさかあんなペニスを、と、トカゲのように這いながら進む妻の尻を愕然と見ていた。
 一歩一歩進む度に、そのムチムチとした尻が淫らに歪み、谷間から垂れる精液が真っ白な太ももに一本の線を作っていた。
 そんな卑猥な尻を見つめながら、(どうしてだ……)と愕然としていると、不意に、このホテルに来る前、妻が私に隠れてタクシー運転手の肛門を舐めていたことを思い出した。

(やっぱり妻は変態だったんだ……夫の私には普通でも、他人に対してはその本性を現すという、隠れ変態だったのだ……)

 そう思っていると、遂に妻が親父の足元に辿り着いた。勃起した恥垢だらけのペニスを目の前にして、妻は静かにそこに正座した。
 そんな妻に、親父はただただニヤニヤと笑っているだけだった。「しゃぶれ」と言葉にしたり、また、ソレをしゃぶらせようとする動きは一切見せず、まるで妻が自主的にそうするのを待っているかのように、黙って妻を見下ろしていた。
 卑劣な親父だった。妻がソレを欲しがっているのをわかっているくせに、敢えて何も言わずに勃起したペニスを妻の目の前に突き出している親父は、計算高いサディストだった。

(やめろ……そんな汚いモノに触れるな……病気になるぞ……)

 そう心で必死に念じていた私だったが、しかしそんな念も虚しく、妻は大股開きになっている親父の股間にゆっくりと顔を近づけると、その恥垢だらけの亀頭をベロリと舐めたのだった。

ウツボ278

(つづく)

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変態

吐泥(へろど)51

2013/06/13 Thu 00:01

 あの潔癖症の妻が、自らの意思で見ず知らずの親父のペニスを舐めていた。
 夫である私のペニスが少しでも匂えば、「シャワーを浴びてきて」とフェラを拒んでいたあの妻が、今は、『さきいか』のような強烈な臭いを発し、酒粕のような恥垢がびっしりとこびりついている亀頭を、何の躊躇いもなくペロペロと舐めていた。
 私に隠れてタクシー運転手の肛門を舐めていた事や、私に見られているとも知らず、この恥垢だらけのペニスを平気で舐めている事などから見て、妻が『隠れ変態』である可能性は高かった。
 つまりこの女は、夫の前では本性を隠しているが、しかし相手が見ず知らずの他人だと、その変態性を剥き出しにするという危ない女なのだ。
 確かに、私にもそんな性癖は少なからずもあった。出会い系で知り合った女に、日頃妻にはできないような残虐なSM行為をした事は何度もあった。又、二度と会うことはないであろう風俗嬢に排泄行為を見せつけたり、突然バブバブと赤ちゃん返りをしてみたりと、とても妻には見せられないような痴態を晒す事は多々あった。
 が、しかし、私は男であり、妻は女である。男の隠れ変態は趣味や嗜好としてみなされるが、女のそれは明らかに病気だ。ましてやそれが、日頃は上品でお淑やかな人妻となれば、それは病気よりも更に悪化した狂気であり、まさに多重人格を持つ色情症と言えた。

 そう考えてみると、確かに妻には怪しげな行動が幾つかあった。
 それは、今から三ヶ月ほど前のことだった。その日、取引先を回っていた私は、たまたま自宅の近くを通りかかったため、ちょっと一服していこうと自宅に立ち寄る事にした。
 門扉のチャイムを鳴らしたが、しかし妻の対応はなかった。いつも家にいるはずなのに変だなと思いながら門扉を開けた。
 玄関扉のノブを回してみると鍵は掛かっておらず、開いた扉の向こうには、玄関の上がり框で並んで座っている妻と若い男がいた。
 その若い男は、ここ数週間前からちょくちょくセールスにやって来る保険屋だった。妻は、保険に加入する気などなかったが、「隣の松崎の奥さんの紹介だから話だけでも聞いてあげないと」と言い、その男が訪ねて来る度に、渋々話を聞いてやっていたのだった。
 私が玄関の扉を開けるなり、二人が一斉に振り返った。妻が、「あら、こんな時間にどうしたの?」と私を見て驚くと、男が、「いつもお世話になっております」とお辞儀をした。
 二人は、突然の私の登場に別段慌てている様子はなかった。が、しかし、私は動物的直感で、何やら二人が焦っているような感じがした。
 二人の衣類が乱れているわけでもなく、玄関マットがズレているわけでなく、スリッパも綺麗に並べられていた。そこに、二人がいかがわしい行為をしていたらしき形跡は何一つ見当たらなかったが、しかし私は、この昼下がりの玄関で妻と若い男が並んで座っているという光景に、ドロドロとした背徳的なエロスを感じていた。
 そう感じた一番の理由は、妻が、日頃は絶対に履かないようなミニスカートを履いていた事だった。しかも、いつも家にいる時は簡易的な化粧だけなのに、その時の妻はくっきりとアイラインを引き、グロスの入った口紅までつけていたのだ。
 それらと、門扉のチャイムを鳴らしても対応しなかった事が重なり、即座に私は、妻と若い保険外交員との昼下がりの情事を想像してしまった。
 但し、その時の私は、本心では妻がそんな事をするわけがないと思っていた。私は異常妄想狂であるがゆえ、すぐにそんな想像を膨らませてしまうのだが、実際には妻が裏切るわけがないと信じていた。
 しかし、今、あの色情狂とも思えるような妻の貪欲な姿を見れば、あの時、あの狭い玄関で、若い保険屋と獣のように交わっていた可能性はあり得ると確信できた。

ウツボ279

 またある時など、こんな事もあった。
 それは、妻が大学時代の同級生の結婚式に出掛けた時のことだった。
 その日、妻が帰ってきたのは深夜二時を過ぎていた。三次会まで付き合わされた妻は、大学時代の同級生達にかなり飲まされたらしく、一人でタクシーを降りられないくらいの泥酔状態だった。
「ごめんなさい、飲みすぎちゃった」と何度も謝る妻を抱え、やっとの思いで寝室へと連れて行くと、ベッドに寝かせるなり妻はグーグーと鼾をかきながら寝てしまった。
 取り敢えずコートだけでも脱がそうとすると、突然コートのポケットの中で妻のスマホが鳴った。取り出して見てみると、『佐伯君』という者からメールが届いていた。
『君』と登録されている以上、こいつは男だった。恐らくこいつは、今まで飲んでいた大学時代の同級生の一人であり、泥酔した妻が無事に家に辿り着けたかどうかを確認するため、みんなを代表してメールを送ってきたのであろう、この手の、飲み会好きなバカ共がやりそうな事だった。
 そうとはわかっていても、しかし、相手が男であるせいか、そのメールが気になって仕方なかった。
 そこで私はぐったりとした妻の手を持ち上げ、人差し指をスマホに押し当てて指紋認証し、そのメールを開いた。

『今夜は楽しかったぜ! またみんなで飲もうぜ!』

 メールにはそう書かれているだけだった。泥酔した妻の安否を気遣う事もなく、まるで高校生が合コンした後のメールのような稚拙なメールだった。
(アホか)と思いながらスマホを閉じた私だったが、しかし、そのあまりにも幼稚臭い内容が逆に私を焦らせた。

(こんな幼稚なバカ共が、酒を飲めない妻を泥酔させるほどに飲ませた……こんな奴らが、泥酔状態の妻に何もしないはずはない……)

 そう思うなり、いつもの如く異常な妄想が掻き立てられた。

 二次会後、帰ろうとしていた妻を呼び止めた佐伯は、「俺たちだけで三次会やろうぜ」、などと妻を誘った所からその妄想は始まった。
 妻は既に酔っ払ってしまっていたため、軽い気持ちでそのバカ男達と共に駅裏のカラオケボックスに行く事にした。
 三人のバカ男共が下手くそな歌を歌いまくっていた。その間、妻は取っ替え引っ替えやってくる男達に酒を飲まされ続け、ふと気がつくとブラジャーが外されていた。
 エグザイルの新曲がメロディーだけ流れていた。
 いつの間にか乳房を曝け出されていた事に妻が驚くと、佐伯がいきなりキスをしてきた。酒臭い息を吐きながら、狂ったように口内に舌を動かしてきた。
 突然の出来事に、妻は(ダメ! ダメ!)と佐伯の口の中で叫びながら必死にもがくが、しかし、隣の席に座っていた男に「大っきなおっぱいだね」と耳元で囁かれながら豪快に乳房を揉まれると、途端に全身の力が抜けた。
 佐伯の獰猛な舌に口内を掻き回されながら、もう一人の男に胸を揉みほぐされていた妻は、大量のアルコールと思わぬ衝撃により、脳味噌がグルグルと回っていた。
 すると、そんなどさくさに紛れ、また別の誰かが足元に忍び寄ってきた。  
 その男は、「こんな所でヤっちゃって、本当に大丈夫のかなぁ……」と心配しながらもスカートのホックを外し始めた。
 朦朧とする意識の中、「大丈夫だよ、さっさとヤッちゃおうぜ」という佐伯の声が聞こえた。
 慌てた妻が必死に「いや!」と叫ぶと、まるで口を塞がれるかのように、再び佐伯が酒臭い舌を口内に潜り込ませてきた。
 狂ったように動き回る佐伯の舌に、「うぐ! うぐ!」と必死にもがいていると、男は素早くスカートを下ろし、すぐさまストッキングとショーツを同時に下ろした。そしてそれを足首から抜き取ると強引に太ももを押し広げ、洗っていない汚れたままの陰部にむしゃぶりついてきたのだった。

ウツボ280

 そんな妄想を悶々と繰り広げていた私は、いつしか泥酔した妻の寝顔を見ながらペニスをシゴいていた。
 そんな三流エロ漫画のような出来事が本当にあるわけない事はわかっていた。しかし、そんな願望を常に抱いていた私は、今までに一度も見た事のない、この泥酔した妻の姿に異様な欲情を覚え、妄想と手淫に耽らずにはいられなかったのだ。
 恐る恐るスカートを捲ると、真っ白な下腹部に、黒いパンティーに包まれた恥骨がポコンっと盛り上がっていた。ゆっくりゆっくり足を開かせると、それまで太ももに圧迫されていたクロッチが現れ、すかさず私は麻薬探知犬のようにそこをクンクンと嗅ぎまわった。
 妻の股間には、全体的にバラのような甘いコロンの香りが漂っていた。しかし、そんなコロンの香りの中、ただ一点だけ、クロッチだけが饐えた匂いを発していた。
 長時間そこにピタリと密着していた布切れには、蒸れによる汗と小便の残り汁が乾いた匂いが漂っていた。幸か不幸か、そこには精液の匂いや、コンドームのゼリーの香りは全く感じられず、私は安心すると共に落胆した。
 しかし私は見逃さなかった。そんな真っ黒なクロッチの中に、ジメッと湿った一点のシミがテラテラと輝いていた事を。
 その一点に指を這わしてみると、そのシミは鼻水のようにヌルヌルしており、ほんのりと温かかった。
 その部分が白く浮き上がっていないところから見て、オリモノではないことは確かだった。又、糸を引くほどに粘着性があるところからして小便でもなかった。という事は、性的興奮による膣分泌液としか考えられなかった。
 たちまち興奮した私だったが、しかしそれと同時に疑問が湧いた。どうして前後不覚の泥酔女が、クロッチから染み出るほどにアソコを濡らしているのかと。
 そう思うと、やはり妻は、あの佐伯とかいう男に何かされたのではないかと疑ってしまった。
 それは、妄想していたような大袈裟な出来事ではなく、例えば、居酒屋のトイレで酔い潰れていた妻を介抱するふりをして、こっそり妻の体に悪戯するといった、そんな卑劣なセクハラ行為である。

ウツボ281

 そんな新たなる妄想を抱きながら、私はその見たこともない佐伯とかいう男に激しい怒りを感じた。そして、その一方でゾクゾクするエロスを感じ、どんな風に妻はアソコを見られたのか、恥ずかしい肛門まで見られてしまったのだろうかなどととあれこれ妄想しては、大量の我慢汁をシーツに垂らしていた。
 そう興奮しながらも、もちろん、そんな事が現実にあるわけないとは思っていた。あれこれと妄想をしながらも、心のどこかでは妻を信用していた。
 が、しかし、現実に妻のアソコは濡れていた。前後不覚に泥酔している妻のアソコが、これほどまでに濡れているというのは明らかに不自然なのだ。
 現実と妄想の間で悶えていた私は、ならば現物を見れば一目瞭然だろうと思い、ハァハァと荒い息を吐きながら黒いパンティーの両端を摘んだ。
 もし肉棒を挿入されていたり、指で弄られていたとすれば、そこはそれなりに汚れているはずであり、乾いた汁でバリバリになった陰毛には、白い粉が吹いていてもおかしくなかった。
 私は、もし本当にそこがそんな風になっていたらどうしようと脅えながらも、パンティーを太ももにズラした。
 妻は全く気づかなかった。ひたすら一定の寝息をスースーと立てていた。
 そんな妻の寝顔を覗き込みながら、妻の両足首を片手で掴んだ。そしてその両足を高く掲げ、オムツを取り替える赤ちゃんのような体勢にすると、妻の股間にピッタリと張り付いているそのクロッチを恐る恐る剥がしたのだった。

ウツボ282

 クロッチの裏側と縦一本線のワレメに、粘着力のある汁が長い糸を引いていた。それは、濁り一つない透明の美しい液体であり、まさに妻の膣内から分泌された、混じりっけなしの純正汁と言えた。
 陰毛はサラサラしていた。カピカピに乾いた白粉は一つも見当たらず、蟻の門渡りや肛門にもそれらしき汁の形跡は全くなかった。
 肝心のワレメは、半焼けのカルビのような色をした二枚の小陰唇がピタリと重なり合い、その口を固く閉ざしていた。
 そんな小陰唇をペロリと捲り、その内部を探った。鮮やかなピンク色をしたその粘膜は、胃カメラを飲んだ時に見せられたモニター画像のように美しく、そこに白濁の残液など欠片も見当たらなかった。

 あの時、それを見た私は正直安心した。願望では、そこを開いた瞬間、中出しされた大量の精液がドロドロと溢れ出して欲しかったが、しかし現実では、それを目の当たりにする勇気など私にはさらさらなかった。もし本当にそんなことがあったなら、恐らく私は強烈な嫉妬にトチ狂い、妻をそのまま殺してしまうか、もしくは私が、ガレージの奥でテルテル坊主のようにぶら下がっていたであろう。
 あの時私は、(妻が濡れているのは泥酔しているせいだろう)という、何の医学的根拠もない結論により自分を納得させた。
 あの時はそう自分に言い聞かせ、ひとまず安堵した私だったが、しかし、今となってみれば、あの透明の液体は明らかに怪しかった。
 今、見知らぬ親父の恥垢だらけのペニスを、自らの意思で舐めまくている妻のあの姿を見れば、やはりあの時妻は、その佐伯とかいう男と背徳的な性行為を行っていたに違いないと確信できた。
 陰部が汚れていなかった事や、陰毛にラブホのボディーソープの香りが漂っていなかった事などからして、二人はセックスまではしていないとは思うが、しかし、帰りのタクシーの中で、佐伯が酔った妻の体に悪戯した可能性は大いに考えられた。そして妻も、酔った勢いで佐伯に体を預け、その淫らな行為に興奮していたのであろう、でなければ、これほどまでにアソコを濡らして帰って来るはずがないのだ。
 
ウツボ283

 アクリル窓の向こう側で、薄汚いペニスを必死に舐めている妻を見ていると、そんな過去の怪しい出来事が、今、確信へと変わった。

(やっぱりあいつは、あの時あの若い保険屋と玄関でヤッていたんだ……そしてあの晩、あの佐伯とかいう男に、タクシーの中でオマンコを弄らせていたに違いない……)

 そう脳味噌をグルグルさせながら、私は少女の膣の中にペニスを激しく擦りつけていた。連続して狂ったように腰を振りまくる私に、少女は悲鳴に近い喘ぎ声を発し、それを誰もいない大浴場に響かせていた。

(多重人格の色情狂……夫の前では本性をひた隠し、夫の見ていない所では獣と化す淫乱女……)

 そんな事をブツブツと呟きながら、少量の精液を少女の膣に吐き出していると、それまで恥垢だらけの亀頭にチロチロと舌を動かしていた妻が、そこからソッと顔を上げた。
 妻は、椅子にふんぞり返る親父の股の中で正座していた。親父は股をガバッと開き、そこに正座する妻をニヤニヤしながら見下ろしていた。
 そんな二人に言葉なかった。二人の口元は微動だにせず、口を噤んだまま無言で見つめ合っていた。

(妻は……何をしようとしているんだ……)

 そう思った瞬間、一瞬、妻が微笑んだ。微笑むと同時に妻はソッと下を向き、そのタプンと垂れている大きな乳を両脇から両手で押さえた。
 見ると、ムニュッと歪んだその真っ白な乳肉の中に、真っ黒な肉棒が挟まれていた。

(パイズリだ……)

 そう気づくなり、いきなり、ドーン! っという重い衝撃が脳を襲った。
 それはまるで、『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造に呪文をかけられたかのような衝撃であり、愕然とする私は、そのままその場に崩れ落ちてしまったのだった。

ウツボ284

(つづく)

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変態
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