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吐泥(へろど)47

2013/06/13 Thu 00:01

 妻は、新たに現れた男のペニスを苦しそうに咥えていた。恐らく、前の若者の精液がまだ喉に引っかかっているのであろう、妻はそれをしゃぶる事なく、ただただ咥えているだけだった。

 男は三十代と思われた。どこにでもいるサラリーマンっといった普通の男であり、町ですれ違っても、誰も彼を変態だとは思わないだろう。
 男はジッと妻を見下ろしたままコキコキと腰を振り、黙って妻の口内にペニスを滑らせていた。その妙に冷めた雰囲気は明らかにサドであり、さっきの若者たちとは違うまた別の危険性を秘めているように思えた。
(こんな普通の男が……ワイドショーで騒がれるような凄惨な事件を起こすんだろうな……)
 そんな事を思いながら、私はサムソンの太ももの上で必死に腰を振っていた。

 暫くすると、突然男が妻の髪を鷲掴みにした。そして無言で妻の髪を引っ張ると、バスマットの上に妻を突き倒した。
 男は無表情だった。朝の満員電車の吊革にぶら下がるサラリーマン達のように無表情だった。
 バスマットに倒れた妻が慌てて起き上がろうとすると、男はそれを冷静に見下ろしながら、妻の股に右足をねじ込んだ。そして、床の何かを踏みにじるかのように右足をグイグイと動かしながら妻の股を開かせようとしていた。
 そうされながらも妻は必死に起き上がろうとしていた。
 すると、いきなり男は豹変した。
 突然赤鬼のような形相となり「殺すぞ!」と叫ぶと、その右足で妻の太ももを踏み付けた。そして勃起したペニスをシコシコとシゴきながら、猛禽類のような声で「ケケケケケケケ」と笑い出したのだった。

 妻は愕然としていた。私も愕然としてしまった。しかし、もっと驚いたのは、奇妙な声で笑い出した男が、わずか数秒でまた無表情に戻ってしまった事だった。
 男は、何もなかったかのように静かになると、そのまま無言で妻の真正面に腰を下ろした。そして、体育座りをしていた妻の両膝に両手を置くと、ゆっくりと妻の股をM字に開かせた。
 無表情のまま妻の股に潜り込んできた。押された妻の上半身がゴロリと後ろに倒れると、男は素早くバスマットに両手をつき、妻の体を動けないよう固定した。
 それは四十八手でいう、『だるま返し』という体位だった。
 男はそうやって妻の体を固定しながら、妻の股間でくねくねと腰を回し始めた。
 恐らく、今まで巨大ペニスを咥え込んでいた妻のアソコは、未だぽっかりと口を開いたままだったのであろう、手を使わずとも腰を動かしただけで男のペニスはすんなりと挿入され、次第に妻はハァハァと荒い息を吐きながら喘ぎ始めたのだった。

ウツボ255

 男はゆっくりと腰を振りながらも、何やらずっと妻の耳元に囁いていた。何を話しているのかは聞こえなかったが、男は囁きながらも突然笑い出し、突然怒り出し、そして突然泣き出したりしていた。
 男は完全に病んでいた。その喜怒哀楽の移り変わりはあまりにも激しく、しかもその持続性は極端に短かった。笑い出したかと思うと急に泣き出し、泣いているのかと思うと突然怒り出す。そんな感情が起伏する間隔はわずか数分足らずであり、それを延々と繰り返しながら、男はせっせと腰を振っていた。
 そんな男は明らかに狂っていた。キチガイゆえ、阿部定の如く絶頂と共に妻の首を締めたりする可能性もあった。
 そう焦りながら窓の外を見つめていると、そんな私の恐怖心に気づいたのか、背後でサムソンが、「あいつはヤマピーっていうんだ……」と語り始めたのだった。

「あの男は、店長が障害者施設から連れてきたクルクルパーだよ。重度の精神分裂病らしくてさぁ、もう完全に宇宙人だよ」

 そう鼻で笑うサムソンに、私は慌てて振り返りながら「危険性はないんですか」と聞いた。

「危険だよ。危険に決まってるじゃないか宇宙人なんだから。あいつは、ここの外道たちの中でもトップクラスの危ない奴だよ。なんてったって二人も人を殺してるからね……しかも妊婦を」

「…………」

「五年くらい前だったかな、あいつは、河川敷を散歩していた妊娠五ヶ月の女を藪の中に引きずり込んでさぁ、滅茶苦茶にレ○プしちゃったんだよ。で、終わったら妊婦を川の中に放り込んでさぁ、そのまま腹の子供ごと殺しちゃったんだ。当時はテレビなんかでも随分と騒がれてたぜ」

「そ、そんな男は死刑でしょ!」

 そう慌ててツッコむと、サムソンは顔を顰めながら「だよな」と呟き、薄ら笑いを浮かべたまま言葉を続けた。

「普通なら死刑だけど、あいつは普通じゃないからね……精神鑑定で分裂病が認定されて、そのまま国立の精神病院に四年ぶち込まれて、それで終わり。その後、ここの店長が身元引き受け人になって、今は『しらゆりホーム』で保護されてるんだけど、まぁ、見ての通り、いつもああやって自由にしてんだから事実上は無罪だよな……」

 そんなサムソンの話を聞きながら、私は顔面を引き攣らせていた。
 背筋を走る寒気が収まらず、私は慌てて窓の外を見た。
 男は妻の体をバスマットに押し倒し、がっぷりと抱きついてた。そして狂ったように腰を振りまくっていた。
 今、妻の体内に、妊婦を惨殺した凶暴なペニスが出たり入ったりしているのかと想像すると、妻の下腹部が鋭利な刃物でメッタ刺しされているような、そんな恐怖に駆られた。

(こ、このままでは殺されてしまう……)

 本気でそう焦った私だったが、しかし、滅茶苦茶に犯されまくっている妻を見ていると、次第にそんな焦りが性的興奮に変わってきた。
 なぜなら妻は、そんな危ない男の激しい腰の動きに感じていたからだった。自らも男の体にがっぷりとしがみつき、その男の耳元で「イクッ! イクッ!」と喘ぎながら感じていたのである。

ウツボ256

 もちろん妻は、あの男がそんな凶悪犯だという事を知らない。
 が、しかし、誰が見てもあの男は重度の精神異常者であり、もはや常識の通じる相手ではない事くらいわかるはずである。
 にも関わらず妻は、今、そんな男のペニスで絶頂に達していた。「イクッ! イクッ!」と叫びながら男の耳にしゃぶりつき、自らも激しく腰を振りながら、更なる快楽を求めようとしていた。

 それを見た私は、たちまち猟奇的なエロスに襲われた。あのまま妻が惨殺されていくシーンが浮かび、不気味な興奮が湧き上がってきた。
 私はハァハァと荒い息を吐きながら激しい目眩に襲われていた。
 ふと気がつくと、私は無意識のうちに、それまで床に下ろしていた足を、ゆっくり片方ずつ椅子の上に乗せていた。ペニスを肛門に挿したままサムソンの太ももの上にしゃがみ、大きくM字開脚をしていたのだ。
 股が大きく開かれると同時に尻肉も限界まで開いた。サムソンのペニスは更に深く挿入し、私の直腸を乱暴に掻き回していた。
 そんな私に欲情しながらも、サムソンが「大丈夫か?」と聞いてきた。私はそれに答える代わりに、自ら腰を激しく振った。
 そうしながらM字に開いた股を覗くと、真っ黒な肉棒が肛門の中を出たり入ったりと繰り返していた。
 今頃は妻のマンコにも……と、そう思いながら窓の外にソッと目をやると、男は妻の体に抱きついたまま全身をヒクヒクと痙攣させていたのだった。

(イッたな……)

 それに気づいた瞬間、男の不浄な精液が、妻の膣内にドクドクと注入されるシーンが頭を過ぎった。
 それは、人殺しの精液だった。妊婦とその腹の子供を無残に殺した凶悪犯の、穢れた精液だった。
 もしそれで子供ができてしまったらという恐怖が、更に私の異常性欲に拍車をかけ、私は「あーん! あーん!」と女のように叫びながら、しゃがんでいる尻を上下に振りまくってしまった。
 肛門に肉棒がグサグサと突き刺さり、強烈な痛みと快楽がヘドロとなって私の脳を汚染した。
 その直後、背後でサムソンが「無理だ」と苦しそうに叫んだ。そしてその数秒後、まるで注射器で熱湯を注入されたような感覚が直腸に広がったのだった。

 妻もこんな風にあの男の精液を受け止めていたのかと思いながら、その熱い精液の感触を肛門で感じていた。激しい興奮で脳をクラクラさせられながら、サムソンの精液を全て絞りだそうと、肛門をギュッギュッと締めていた。
 すると、不意に私のペニスから、真っ白な精液がピッュ! と飛び出した。
 なんと、シゴいてもいない私のペニスから、自然に精液がピュッピュッと飛び出したのだ。
 それは、学生時代に一度だけ経験したことのある『夢精』のような気持ち良さだった。
 ペニスに触れる事なく自然に射精した私は、本物の女になった気分だった。
 が、しかし、やはりそこは女とは違った。初発の射精は良かったものの、ペニスをシゴかなければ快楽が持続できないのだ。
 だから私は、ドクドクと精液が溢れるペニスを握り締めた。そして狂ったようにペニスをシゴきまくり、肛門で蠢く肉棒の感触と、肛門からドロドロと溢れ出てくる精液の滑りをひしひしと感じながら、今までにない快楽に酔いしれたのだった。

ウツボ257

 背後でサムソンが深い溜息を漏らした。
 ふーっ……と長い溜息と共に、肛門に突き刺さっていたペニスがヌルッと抜かれ、濡れた肉棒が下腹部に当たる「ペタッ」という音が聞こえた。

 私とサムソンと宇宙人。三人がほぼ同時にイッた。
 見ると、宇宙人が妻の股座からモソモソと起き上がろうとしていた。
 宇宙人はゆっくりと立ち上がると夜空を見上げた。
 そしていきなり「6時55分! 6時55分!」と二度叫ぶと、そのまま凄い勢いで露天風呂を出て行ったのだった。

 その奇怪な後ろ姿を呆然と見ていると、私の隣でサムソンが、「めざましテレビの真似ですよ」と笑った。
 そう微笑むサムソンのその表情はいつしか穏やかになっており、私に対する言葉遣いも敬語に変わっていた。

「クルクルパーたちはね、何かというとすぐに『6時55分! 6時55分!』って叫ぶ癖があるんです」

 サムソンはゆっくりと立ち上がりながらそう言った。

「……どうして『6時55分』なんですか?」

「どうしてかはわかりませんけど……ただね、しらゆりホームの朝食は患者全員がホールに集まって食べるんですけどね、その時はいつも、『めざましテレビ』が垂れ流されてるんですよ。ほら、あの番組って、6時55分になると『6時55分! 6時55分!』ってアナウンスが流れるでしょ。あれが流れるとね、それに連動してクルクルパーたちも、『6時55分! 6時55分!』って一斉に叫び出すんです。九官鳥みたいにね」

 そう笑うサムソンをソッと見上げながら、私は恐る恐る聞いた。

「……随分と……お詳しいんですね……」

「はい。私も先月までお世話になってましたから」

 サムソンは、唾液と精液とウ○コの汁でドロドロになったペニスをブラブラさせながらそう微笑んだ。

「私もヤマピーと同じで、精神鑑定で無罪放免されてるんですよ。まぁ、私の場合、ヤマピーのように重症じゃありませんでしたから、『責任無能力』とまでは鑑定してもらえず、ギリギリ『限定責任能力』でしたけどね。おかげで精神病院に措置入院させられて五年間も医療観察されましたよ。そこから更に『しらゆりホーム』に一年間も強制入院させられて、結局六年近くも拘束されてしまいましたよ。オカマを一人殺しただけなのにね……」

 そうブツブツと呟きながらサムソンはサウナを出て行った。
 私は、背筋をゾッとさせながらその場に固まっていた。
 不意に肛門からドロッと精液が溢れた。それをソッと指で掬うと、その精液はイチゴミルクのように赤かった。

 私も妻も殺人者に犯された。
 きっと今頃は、妻の膣からも穢れた精液が溢れているはずだ。
 そう思いながら窓の外を見ると、そこに妻の姿はなかった。
 慌てて窓に顔を押し付けると、また違う男に手を引かれながら、露天風呂を出ようとしている妻の後ろ姿が見えた。
 私は焦った。もしかしたらあの男は、妻をこのサウナに連れて来ようとしているのではないかと焦った。
 今ここで妻と顔を会わせるわけにはいかなかった。私の存在がバレれば、妻は本性を現さなくなるのだ。
 急いで立ち上がると、いきなり肛門に激痛が走った。必死に尻を庇いながらサウナのドアを開け、浴場に飛び出した。
 湯煙の中、男に連行されながら露天風呂のドアを出てくる妻の姿が見えた。
 妻は、まるで泥酔しているかのようにぐったりと項垂れていた。
 そんな妻の肩を抱きながら歩く男は普通の中年男だった。あたかもこれは俺の獲物だぞと言わんばかりに、「ほらほら、滑らないように気をつけてね」などと、浴場に響き渡るような大きな声で妻に話しかけながら、濡れたタイル床の上を恐る恐る連行していた。

 私は、妻にばれないうちに浴場を出なければと焦った。
 慌てて出入口のドアに向かって歩き出すと、突然そのドアがガバッと開き、銀縁メガネをかけた六十代のメタボ親父がノソノソと浴場に入ってきた。
 親父は私に向かって歩いてきた。いきなり私の行く手を遮り、ガマガエルのような太鼓腹を突き出しながら私の真正面に立ちはだかると、「あの女か」と低い声で言った。
 親父は、連行されている妻を横目でジッと見ていた。
 そんな親父の息は仁丹の匂いがした。まるで日曜朝の政治討論番組に出てきそうな気難しい顔をしていた。
 一瞬、こいつは刑事なのではないだろうかと思った。今の妻なら、間違いなく公然猥褻罪で現行犯逮捕だと焦った私は、その場に立ち竦んだまま下を向いてしまった。
 が、しかし、親父は私の肩越しに妻を見つめながら、「ほぅ……なかなかの上玉じゃないか……さすが店長が太鼓判を押すだけはあるな……」と低く呟いた。
 その言葉から、この親父が刑事ではない事がわかり、ひとまず安心した私だったが、しかし、ジッと項垂れたままの私には、それとは違うまた別の新たな不安に駆られていた。
 それは、項垂れた私の眼下で勃起している親父のペニスだった。
 白髪だらけの陰毛の中でピコンっと勃起しているそれは、太さも長さも普通のサイズだったが、しかし、その紫色の亀頭には酒粕のような恥垢がびっしりと溜まっていた。
 明らかに仮性包茎だった。妻の裸体に反応し、ムクムクと勃起したため、自然に皮がベロベロと剥けたのだ。
 私は、その醜い物体をジッと見つめながら、きっとこの親父はこの汚いペニスを妻にしゃぶらせるに違いないと思った。そう思うと、今までにない奇妙な焦燥感に駆られた。

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 確かに私は、妻が醜い男に陵辱される事に興奮を覚える変態だった。が、しかし、こうしていても饐えた臭いがプンプンと漂ってくるほどの恥垢だらけのこのペニスは、そんな変態的な欲望を著しく低下させ、強烈な嫌悪感を募らせた。さすがの私でも、居酒屋のポリバケツの底に溜まる黄ばんだ汁を妻に舐めさせて興奮するわけがないのだ。
 そんな怒りを覚えていると、頭上で親父が、「おっ」と言った。

「あいつら、サウナに入ろうとしているな……」

 親父は、銀縁眼鏡をギラリと輝かせながらそう言うと、すかさず私に、「キミはもう終わったのかね」と聞いてきた。

「いえ……」

 そう私が答えると、親父はまるで代議士が秘書に命令するかのように、「じゃあキミも一緒に来なさい」と言い残し、そのままノソノソとサウナに向かって歩き出したのだった。

 親父がサウナの扉を開けるのを私は愕然と見ていた。
 親父は、あれほどの恥垢を溜めたままサウナに消えた。シャワーで股間を流すこともなく、そこに汗とクソと恥垢を蓄積させたまま、堂々とサウナに入っていった。
 あの汚れたペニスをしゃぶらされている妻の姿が不意に浮かび、背筋がゾッと寒くなった。
 と、その時、私のすぐ背後で、「サウナに入ろうね」という男の声が聞こえた。それはまるで子供に話しかけているような猫なで声であり、それが妻に向けて話しかけられている言葉であることがすぐにわかった。
 振り向かないまま横目で後ろを見ると、ぐったりと項垂れたまま連行される妻の白い肌が視野に映った。
 慌てた私は、すぐ目の前にあった水風呂に飛び込んだのだった。
 
ウツボ258

(つづく)

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