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吐泥(へろど)24

2013/06/13 Thu 00:01

 狭い車内には、三匹の獣の淫らな欲望がムンムンと立ち込めていた。
 肉棒を剥き出した一匹のオスは、精液を放出したくてムラムラしていた。
 自ら己の性器を弄る一匹のメスは、その肉棒をそこに入れたくてハァハァと悶えていた。
 そしてそんな二匹を後部座席から見ていたもう一匹のオスは、二匹が淫らに交わる姿を見たくて、頭をクラクラとさせていた。

「早く……シコシコしてあげなさい……」

 再度そう妻に囁くと、妻は私の目を見ないまま、無言で性器から指を抜き取った。性器を掻き回していたその指には、風邪を引いた時に出る鼻水のような透明の汁がドロドロと絡みついていた。その指が運転席へとゆっくり伸びていくと、それに合わせて運転手の呼吸は荒くなり、その表情は、まるで長距離マラソンを走り終えたランナーのように、だらしなく緩んでいた。
 妻の指がカチカチに固まった肉棒を摘んだ。そのままゆっくりと妻の手首が動き出すと、同時に肉棒の茶色い皮が上下にピストンし始め、すかさず運転手が、「んんんん……」と唸った。

ウツボ106

 そんな運転手の耳元に「まだイっちゃダメですよ……」と囁きながら、運転手の肩をポンポンっと叩いた。そして「今からもっともっと色んなことをして楽しみましょうよ……」と、不敵に笑いながらソッと妻を見ると、妻は下唇を噛みながらジッと項垂れていた。
 そんな妻からは、性奴隷が強制的にそうさせられているような雰囲気が漂っていた。私はその悲観的なマゾのエロスに背筋をゾクッとさせたが、しかし、よく見ると、妻はペニスを上下させながらも、指に絡みついていた自身の汁を亀頭にヌルヌルと塗り込んでいた。
 それは、明らかに自分の意思による行為だった。それを目にした瞬間、性奴隷が強制的にさせられているような悲観的なエロスは消え、欲情した淫乱女が他人棒を弄んでいるエロスへと変わった。
 自分のいやらしい汁を潤滑油にしながら他人男の肉棒をシゴく人妻。そう思っていると、不意に妻が妻でなくなり、ただの変態中年女に見えてきた。こんな女、どうなってもいい、という投げ遣りな感情が生まれ、そしてその感情が、また新たなる性的欲情を湧き上がらせた。

(この変態女を……この見ず知らずの男と二人で……)

 妻を滅茶苦茶にしてやりたいと思った。運転手と二人して妻を陵辱し、肉便器と化した妻の精神と肉体を徹底的に破壊してやりたいと思ったのだ。
 そう思った瞬間、運転手のペニスと自分のペニスが、同時に妻の二穴を塞いでいるシーンが頭に浮かんだ。ヌルヌルに濡れ輝く二匹のウナギが、妻の二つの穴を出たり入ったりと繰り返していた。上から突かれ、下からも突かれ、同時に二穴を激しく摩擦される妻は、今までにない叫び声をあげながら悶え狂っていた。

ウツボ107

 そんなシーンが鮮明に頭に浮かぶと、思わず私は運転手の肩を掴み、「トンネルを出たらどこかで止めてくれ!」と叫んでいた。
 トンネルを抜けると、海沿いに続く鬱蒼とした森林をオレンジ色の水銀灯が照らしていた。「五分ほど行けばコンビニがありますが……」と恐る恐る聞いていた運転手に、「そこらの空き地でいいから早く止めてくれ!」と怒鳴ると、運転手は慌てて大通りを逸れた。
 タクシーが滑り込んだのは、静かな住宅街の中にあるホームセンターの駐車場だった。百台近く駐車できそうなだだっ広い巨大駐車場だったが、止まっているのはわずか十台程度で、しかもそれらは全て店の前に並んでいた。
 そんな駐車場の一番奥の隅にタクシーを向かわせた。わざわざ外灯のあたらない薄暗い場所を選んでいる時点で、恐らく妻も運転手も、これから何が起きようとしているのか感づいているはずだった。
 タクシーが止まると、私は助手席に手を伸ばし、妻が座っているシートのスイッチを下げた。電動シートは、ヴィィィィィンと音を鳴らしながら後部座席に倒れてきた。
 戸惑う妻の顔を覗き込んだ。ブヨブヨの乳肉を揉み解しながら、「股を開きなさい」と囁くと、妻は私からそっと目を背け、恐る恐る肩幅程度に股を開いた。

「それじゃあダメだよ……脚をM字に曲げて、両手で両足を抱えるんだ……」

 そう言うと、妻は背けていた目をゆっくりと元に戻し、私の目をジッと見上げながら「運転手さんに……ヤらせるの?」と聞いてきた。
「ダメか?」と優しくそう聞くと、妻は再び目を背けながら「……こんな所じゃイヤ……」と言った。
 こんな所……。私はそう呟きながら、(じゃあ、ホテルのベッドだったらヤらせてもいいのか)と思い、激しい嫉妬と怒りに襲われた。

「どうせヤリたくてヤリたくて気が狂いそうになってんだろ変態女……だったら場所なんてどこでもいいじゃないか……ほら、早く両脚を抱えて股を開けよ、ここであのチンポをズボズボしてもらうんだよ……」

 そう言いながら、私は妻の脚を強引に曲げさせた。妻は今にも泣き出さんばかりの顔で「いや……」と首を振ったが、しかし、それ以上の抵抗をすることはなく、結局、嫌がりながらも私の指示に素直に従ったのだった。

ウツボ108

 遠くで輝くサーチライトの灯りが、妻の股間を残酷に照らしていた。ベロリと捲れた小陰唇の隙間からはピンク色の粘膜が剥き出され、それが卑猥にテラテラと濡れ輝いていた。

「どうです……人妻の性器は……いやらしい色と形をしてるでしょ……」

 そう運転手の耳元に囁くと、それを横目でジッと見つめていた運転手は、まるで悪質なポン引きに捕まった安サラリーマンのように「は、はい……」と頷いた。

「使い熟された変態人妻の性器ってのは、味も匂いもスケベですからね……ほら、そこに垂れてる汁をペロッと舐めて御覧なさい、たちまち脳が蕩けてしまいますから……」

「…………」

「どうぞ……」

 私はそう囁きながら、捲れあがったワンピースの裾で妻の顔を隠した。そして、「この女の事は何も考えなくて結構ですから、存分にその味を堪能して下さい」と妖しく微笑み、戸惑う運転手のシートベルトをカチャッと外した。
 シートを最大まで下げると、助手席の足元に人が一人入り込むだけのスペースができた。運転手は、運転席からそのスペースに移動した。勃起したペニスをヒコヒコさせながらその狭いスペースに潜り込み、シートの上で両足を抱えている妻の股間の前にしゃがみ込んだ。
 いよいよ妻の性器が、見ず知らずの親父に舐められると思うと、覚悟していたはずの欲望が歪み、激しい嫉妬へと変わった。それを望んでいるはずなのに、いざそれを目の当たりにすると、たちまち泣き出しそうなほどに心が締め付けられた。
 ドロドロに濡れた割れ目を目の前にして、運転手が「ほ、本当に舐めるんですか……」と声を震わせた。すかさず私は、「あんた、本当は妻のそこを舐めたくて仕方ないんでしょ?」と意地悪く聞いてやった。すると運転手は濁り目をギョロギョロさせながら、「そ、それは……」と言葉を詰まらせた。そんな運転手のしゃがんだ股間には、張り子の虎のようにヒコヒコと動くペニスがヨダレを垂らしていた。

「早くして下さい……この状態じゃ妻も可哀想です……ほら、まずはそこの匂いを嗅いでやって下さい……」

 そう言うなり、運転手の顔が恐る恐る妻の陰部に迫った。ペロリと捲れた割れ目の前で運転手の鼻がクンクンと動く度に、私の心境は複雑に揺れ動いた。赤の他人に妻の股間の匂いを嗅がれるというのは、目の前で妻がレ◯プされているのを見せつけられるよりも精神的に辛かった。しかしその辛さが私の惨めなマゾ心をジワリジワリと締め付け、みるみる私は寝取られの渦に巻き込まれていった。
 剥き出された性器に運転手の荒い鼻息を感じていた妻も、激しい羞恥に駆られているようだった。顔はワンピースの裾で覆われていたが、しかしそこから聞こえてくる荒い息遣いは、明らかに羞恥によって興奮させられているものだった。
 MとMの夫婦。そんな惨めな夫婦は、この薄汚い一人の中年男によって激しい羞恥を与えられ、そして同時に快楽を得ていた。性器の匂いを嗅がれながら悶えている妻の髪を、私は左手で優しく撫でながら、右手でズボンのボタンを外した。
 ビンビンに熱り立つ肉棒を握りしめた。それを上下に動かしながら妻の股間を覗くと、ふと、運転手の鼻頭と小陰唇の間に透明の糸が引いているのが見えた。それを目にした瞬間、強烈な興奮が湧き上がってきた。思わず悲痛な声で「早く舐めてやってください!」と叫ぶと、運転手は戸惑いながらも舌を伸ばし、慌ててそのドロドロに濡れた割れ目をベロリと舐めたのだった。

ウツボ109

 運転手は、割れ目に沿って大きく舌をベロベロと動かした。それはまるで、喉が渇いていた大型犬が水を飲んでいるようであり、静まり返った車内にはぺシャぺシャと下品な音が響いていた。
 シートの上で、妻はウゥゥゥゥゥンと唸りながら上半身を仰け反らせていた。そんな妻の顔からいきなりワンピースの裾を剥ぐと、「見ろ。知らないオジさんにオマンコが舐められてるぞ」と囁き、そこが見えるように妻の顔を持ち上げた。
 ハァハァと荒い息を吐きながら、驚愕した目でそこをジッと見つめていた妻だったが、しかし、裂け目を上下する運転手の舌がコリコリのクリトリスを捕らえた瞬間、突然妻はすすり泣きのような声をあげながら上半身を仰け反らせた。

ウツボ110

 イヤイヤと激しく首を振る妻の妻の上半身を押さえ付けた。そうしながら素早く後部座席に両膝を付くと、妻の股間に顔を埋める運転手を見下ろしながら、「入れたいですか?」と聞いた。
 運転手の舌の動きがピタリと止まった。運転手はそこに顔を埋めたままソッと私を見上げると、「い、いいんですか……」と声を震わせた。私は左右に動く妻の顔を両手で押さえつけながら、「今までに、3Pしたことありますか?」と聞いた。すると運転手はすぐさまブルブルっと首を横に振り、蚊の鳴くような声で「女房以外の女は……知りません……」と答えた。
 予想していた通りの男だった。私はこんな男を求めていたのだ。浮気をしたこともなければ、風俗にも行ったことがない、そんな真面目な男こそが、私が求める最高の性奴隷になってくれるに違いなかった。
 そんな運転手を見下ろしながら、私はもう一度、「この女と本当にヤリたいんですね?」と念を押した。すると運転手は、今度ははっきりと「ヤらせてください」と即答したのだった。

 見ず知らずの赤の他人から、最愛の妻を「ヤらせて下さい」と頼まれた。普通の夫ならば激怒するところだが、しかし異常な夫である私は、その残酷な言葉に身震いするほどの欲情を覚えていた。
 私は、両手で押さえ付けていた妻の顔を覗き込むと、「この人、お前とヤリたいらしいよ……どうする?」と聞いた。しかし妻は、無言で私の目を見つめたまま何も答えなかった。イエスともノーとも答えないまま、ただひたすらに眉を八の字に下げながら私をジッと見つめていた。
 実際、そんな答えなどどちらでも良かった。もし、答えが『イエス』であっても、私は妻のその背信的な言葉に激しく身悶えるだろうし、例え『ノー』だったとしても、私は嫌がる妻のその姿を見ては、同じく激しく悶えるであろう。だから今の私にとってその答えはどちらでも良かったのである。
 いずれにせよ、この薄汚い中年男に妻をヤらせるのは決まっている事だった。だからわざわざそれを妻の口から言わせる必要などなかった。が、しかし、私はそれを執拗に妻に問い質していた。今の妻に選択権などないにもかかわらず、それでも私は、敢えて「本当にこの男にヤらせてもいいのか?」と問い質していた。
 その理由は、妻に罪悪感を植え付けるためだった。
 因みに、私が理想とする『寝取られ』というのは、裏切られた事により湧き上がってくる絶望感が快楽へと変わっていくという、実に特殊なプレイだった。決して、そこいらのブログで紹介されているような、明るく楽しく安全な社交プレイなどではなかった。
 だから妻には罪悪感が必要だった。妻には、旦那が見ている目の前で他人棒に悶えるという事は、決して健全なプレイではなく背徳行為だという事を認識してもらわなければならなかった。常に罪悪感に苛まれながらも、密かに快楽に溺れる。そんな、暗くてジメジメとした残酷性がなければ、私が理想とする寝取られプレイは成り立たないのだ。

 黙り込んでいる妻の頬にペニスを食い込ませた。そして「どっちなんだよ……このままヤらせちゃってもいいのか? それともダメなのか? ちゃんと自分のこの口で答えろよ……」と、罪悪感を植えつけながら、その柔らかい唇に亀頭をグイグイと押し付けてやった。
 するとその瞬間、妻の唇がゆっくりと開いた。そしてパンパンに腫れ上がった私の亀頭に妻の舌がヌルヌルと絡みついた。それが答えだった。無言で亀頭をベロベロと舐め始めたその行為こそが、罪悪感に苛まれた『イエス』の意思表示だった。

ウツボ111

 たちまち私は絶望に陥った。やっぱりこの女は変態だった、と、その残酷な意思表示を見下ろしながら、私はショックに打ちひしがれていた。
 しかし、これこそが私が求めていた残酷な寝取られだった。名前すら知らない行きずりの男のペニスを、「入れて欲しい」と旦那に意思表示している妻のこの裏切り行為こそが、最も私の異常性欲を高ぶらせてくれる瞬間だった。
 私は運転手を横目で見た。そして、「こんな女、好きなようにして下さい」と、投げ遣りに呟いた。それまで妻の股間で身を潜めていた運転手がサッと顔を上げ、「本当にいいんですね」と念を押した。

「結構ですよ……どうやら私の妻は本物の色情狂のようです……どうぞ、思う存分、ヤリまくって下さい……」

 そう告げるなり、妻はゆっくりと私のペニスを吐き出した。そしてソッと私から顔を背けながら、「お願いだから見ないで……あなたは車から出てて……」と小さな声で呟いた。

 妻のその残酷な言葉に、思わず声を出して「あああああ……」と身震いした。たちまち真っ黒な悪魔が私の心臓を鷲掴みした。ナイフのような鋭利な爪がドクドクと鼓動する心臓に食い込み、ヘドロのような汚れた血がドロドロと溢れ出した。
 異様な快感に脳をクラクラさせながらドアノブに指を引っ掛けると、運転手が「あのぅ……」と私を呼び止めた。

「コンドームは……」

 そんな運転手を無視して、無言でドアを開けた。途端に生温い潮風が顔面に襲いかかってきた。そのイカ臭い潮の香りに、激しい吐き気を催した。

(つづく)

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