吐泥(へろど)4
2013/06/13 Thu 00:01
ダメだダメだ。ダメだダメだ。とそう何度も自分に言い聞かせながらも、肛門へと垂れ落ちる精液を唇の先で捕らえ、まるで痰を啜るかのようにズズズッと吸い取った。青汁のような苦味と臭味を口内に感じながら、見ず知らずの男の精液を飲み込む自分に興奮を覚えた。
舌を勃起した男根のように固め、精液だらけの女の裂け目をそれで掻き回した。女は震えているだけで抵抗しなかった。完全に無抵抗だった。ここまで打ちのめされてしまった女というのは、夕刻の海岸沿いに浮かんでいるクラゲのように弛く、もはやなんでも受け入れてしまうのだ。
まるで納豆を食べているように口内をネトネトさせながら、「大丈夫ですよ、大丈夫ですよ」と呟く私は、その場にゆっくりと立ち上がると、便座の上でぐったりしている女の両足をM字に開いた。両腕で女の足を固定しながら女の顔を真正面から覗き込み、「大丈夫ですから」ともう一度そう呟くと、ダラダラになった裂け目に硬くなった肉棒の先をヌルヌルと擦り付けた。
![ウツボ7_convert_20160422173559](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/2016042219055566a.jpg)
女の喉元がゴクリと上下に動いた。女は悲観した目で私を見つめているだけで、その目に抵抗する意思は見られなかった。
ここまで本能の赴くままに動いていた私だったが、しかし、女のその目をまともに見た瞬間、突然理性が目覚めた。
この人は奥さんなんだ。きっと今頃、旦那や子供達は、「お母さん遅いね……」と言いながら時計ばかりを見つめ、それぞれに最悪な状況を思い浮かべては密かに神に祈っている事であろう。
そう思うと凄まじい恐怖が襲いかかり、この場に及んで私はビビってしまった。そんな旦那や子供たちが想像している最悪な状況を、今私は現実にしようとしているのだ。私ごときの愚かな人間が、一つの家族の運命を左右してしまうなど許される事ではなく、もし私がこの一線を越えてしまえば、今後とんでもない罰が下るのではないかとビビってしまったのだった。
しかし、そんな理性は一瞬にして消えた。裂け目の表面をヌルヌルと上下していた亀頭が、ぽっかりと口を開いていた小さな穴の中にヌルッと滑り込んでしまうと、そんな安っぽい理性は瞬く間に消え去った。
見ず知らずの女の膣に亀頭が突き刺さっていた。見ず知らずの男たちの精液が亀頭に絡みついてきた。頭の中で何かがパンっと破裂した。私は猛然と女の肩に抱きつき、その震える唇に吸い付いた。そして硬い肉棒を根元まで押し込み、そのヌルヌルとした生温かい穴の感触に身震いすると、嫌がる女の口内を舌で滅茶苦茶に掻き回しながら、私は狂ったように腰を振り始めたのだった。
![ウツボ8](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190557bd3.jpg)
出来心だった。レ○プされた直後の女ならレ○プしてしまってもいいだろうと思った。どうせこの女は既に二匹の猛獣に食い荒らされているのだから、今更私がその残骸を貪ったところで何も変わりはしないだろうと思った。そんな自己中心的な考えから、私は無抵抗な奥さんの膣内に三回射精し、口内に一回ぶちまけ、肛門にまでそれを注入した。
その翌日、私は酷い鬱に落ち込んだ。自分が犯したその非道な行いに、改めて凄まじい嫌悪感と罪悪感に襲われた私は、あの時便所の床で無残に潰れていた『おかめ納豆』のパックが頭から離れず、徹底的に苦しめられた。
しかし私は、あの残酷な光景を思い出しながら何度も自涜した。奥さんのあの脅えた目や、唇を噛み締めながら震えていたすすり泣き、そして、私の腰の動きが早くなる度に時折漏らした、「あぁぁ」という淫らな喘ぎを鮮明に思い出しながら、あの時と同じ不浄な液体を手の中に放出していた。
そのうち、妻を攻めている最中も、あの時の奥さんを思い出すようになった。悶える妻をそっと見つめながら、もしあの時、便所でレ○プされていたのが妻だったらと想像しては、その恐怖に背筋を凍らせた。
しかしそんな恐怖は次第に欲望へと変わり、せっせと腰を振っている私の脳裏に背徳的な妄想を巡らせた。
それは、買い物帰りの妻が、あの獰猛な男たちにラブホテルに連れ込まれるというものだった。妻は全裸にされ、手首を縛られ、他の男たちに見下ろされながらズボズボと犯されていた。あの時の奥さんのようにすすり泣きしながらも、密かにバスローブの紐で猿轡された口から卑猥な呼吸を漏らしていた。
![ウツボ9_convert_20160422173821](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190558d2d.jpg)
揺れ動く巨乳を見つめながら、私はそんな淫らな妻の姿を想像していた。
異常な興奮に駆られた私は、他人に陵辱される妻が果たしてどう乱れるのかを確かめたいと思った。そして、夫の私にも見せた事のない淫らな姿を他人に曝け出している妻を、本気で見てみたいとそう思った。
私は凄まじい背徳感に襲われながらも、妻のヌルヌルの穴の中に肉棒を激しくピストンさせていた。そして他人男に妻をヤらせてみたいという欲望を常に漲らせながら、その穴の中に幾度も幾度も不浄な精を放出していたのだった。
私はあの公衆便所で人間としての第一線を超えてしまった。
それ以来私は、妻に対する愛情が特殊なものへと変化した。
確かに私は妻を愛していた。自分の命よりも大切な人だと本心からそう思っていたが、しかしその反面で、私は妻に対して破滅的な妄想を抱き始めた。
そんな私は、いつしかあの公衆便所の男たちと同じヘドロと化していたのだった。
(つづく)
《←目次》《5話へ→》
舌を勃起した男根のように固め、精液だらけの女の裂け目をそれで掻き回した。女は震えているだけで抵抗しなかった。完全に無抵抗だった。ここまで打ちのめされてしまった女というのは、夕刻の海岸沿いに浮かんでいるクラゲのように弛く、もはやなんでも受け入れてしまうのだ。
まるで納豆を食べているように口内をネトネトさせながら、「大丈夫ですよ、大丈夫ですよ」と呟く私は、その場にゆっくりと立ち上がると、便座の上でぐったりしている女の両足をM字に開いた。両腕で女の足を固定しながら女の顔を真正面から覗き込み、「大丈夫ですから」ともう一度そう呟くと、ダラダラになった裂け目に硬くなった肉棒の先をヌルヌルと擦り付けた。
![ウツボ7_convert_20160422173559](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/2016042219055566a.jpg)
女の喉元がゴクリと上下に動いた。女は悲観した目で私を見つめているだけで、その目に抵抗する意思は見られなかった。
ここまで本能の赴くままに動いていた私だったが、しかし、女のその目をまともに見た瞬間、突然理性が目覚めた。
この人は奥さんなんだ。きっと今頃、旦那や子供達は、「お母さん遅いね……」と言いながら時計ばかりを見つめ、それぞれに最悪な状況を思い浮かべては密かに神に祈っている事であろう。
そう思うと凄まじい恐怖が襲いかかり、この場に及んで私はビビってしまった。そんな旦那や子供たちが想像している最悪な状況を、今私は現実にしようとしているのだ。私ごときの愚かな人間が、一つの家族の運命を左右してしまうなど許される事ではなく、もし私がこの一線を越えてしまえば、今後とんでもない罰が下るのではないかとビビってしまったのだった。
しかし、そんな理性は一瞬にして消えた。裂け目の表面をヌルヌルと上下していた亀頭が、ぽっかりと口を開いていた小さな穴の中にヌルッと滑り込んでしまうと、そんな安っぽい理性は瞬く間に消え去った。
見ず知らずの女の膣に亀頭が突き刺さっていた。見ず知らずの男たちの精液が亀頭に絡みついてきた。頭の中で何かがパンっと破裂した。私は猛然と女の肩に抱きつき、その震える唇に吸い付いた。そして硬い肉棒を根元まで押し込み、そのヌルヌルとした生温かい穴の感触に身震いすると、嫌がる女の口内を舌で滅茶苦茶に掻き回しながら、私は狂ったように腰を振り始めたのだった。
![ウツボ8](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190557bd3.jpg)
出来心だった。レ○プされた直後の女ならレ○プしてしまってもいいだろうと思った。どうせこの女は既に二匹の猛獣に食い荒らされているのだから、今更私がその残骸を貪ったところで何も変わりはしないだろうと思った。そんな自己中心的な考えから、私は無抵抗な奥さんの膣内に三回射精し、口内に一回ぶちまけ、肛門にまでそれを注入した。
その翌日、私は酷い鬱に落ち込んだ。自分が犯したその非道な行いに、改めて凄まじい嫌悪感と罪悪感に襲われた私は、あの時便所の床で無残に潰れていた『おかめ納豆』のパックが頭から離れず、徹底的に苦しめられた。
しかし私は、あの残酷な光景を思い出しながら何度も自涜した。奥さんのあの脅えた目や、唇を噛み締めながら震えていたすすり泣き、そして、私の腰の動きが早くなる度に時折漏らした、「あぁぁ」という淫らな喘ぎを鮮明に思い出しながら、あの時と同じ不浄な液体を手の中に放出していた。
そのうち、妻を攻めている最中も、あの時の奥さんを思い出すようになった。悶える妻をそっと見つめながら、もしあの時、便所でレ○プされていたのが妻だったらと想像しては、その恐怖に背筋を凍らせた。
しかしそんな恐怖は次第に欲望へと変わり、せっせと腰を振っている私の脳裏に背徳的な妄想を巡らせた。
それは、買い物帰りの妻が、あの獰猛な男たちにラブホテルに連れ込まれるというものだった。妻は全裸にされ、手首を縛られ、他の男たちに見下ろされながらズボズボと犯されていた。あの時の奥さんのようにすすり泣きしながらも、密かにバスローブの紐で猿轡された口から卑猥な呼吸を漏らしていた。
![ウツボ9_convert_20160422173821](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190558d2d.jpg)
揺れ動く巨乳を見つめながら、私はそんな淫らな妻の姿を想像していた。
異常な興奮に駆られた私は、他人に陵辱される妻が果たしてどう乱れるのかを確かめたいと思った。そして、夫の私にも見せた事のない淫らな姿を他人に曝け出している妻を、本気で見てみたいとそう思った。
私は凄まじい背徳感に襲われながらも、妻のヌルヌルの穴の中に肉棒を激しくピストンさせていた。そして他人男に妻をヤらせてみたいという欲望を常に漲らせながら、その穴の中に幾度も幾度も不浄な精を放出していたのだった。
私はあの公衆便所で人間としての第一線を超えてしまった。
それ以来私は、妻に対する愛情が特殊なものへと変化した。
確かに私は妻を愛していた。自分の命よりも大切な人だと本心からそう思っていたが、しかしその反面で、私は妻に対して破滅的な妄想を抱き始めた。
そんな私は、いつしかあの公衆便所の男たちと同じヘドロと化していたのだった。
(つづく)
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吐泥(へろど)5
2013/06/13 Thu 00:01
ふと気がつくと私は闇の中にいた。
静まり返った暗黒を見つめながら、(ここはどこだ?)と一瞬考えたが、すぐにここが新潟のホテルだという事に気づいた。
いつの間にか眠ってしまっていた。シャワーを浴びた後、全裸のまま眠ってしまったのだ。
スポンジのような硬いベッドに寝転んだまま頭上に手を伸ばした。ビニールシートのように硬い暗幕カーテンを開けると、シャッという音と共に、国道に並んでいる外灯が部屋をオレンジ色に染めた。
むくりと起き上がり窓の外を見てみると、すぐ目の前で漆黒の海がうねうねと風に揺れていた。それはまるでどこかの地獄のように不気味であり、慌てて私はまたカーテンを閉めたのだった。
サイドボードに手を伸ばし、テレビのリモコンを鷲掴みにした。一番大きなボタンを押すと、カチッという音と共に銀色の光が溢れ、安っぽいバラエティー番組の嘘くさい観客の笑い声が部屋に響いた。
このまま寝てしまおうかどうしようか考えながらスマホを見た。なんとまだ七時だった。あまりの静けさにてっきり深夜だと思っていた私は、改めて田舎の閉塞感に恐怖を感じ、慌てて部屋中の電気を全て灯したのだった。
煙草を立て続けに二本吸いながら、くだらないバラエティー番組をぼんやり眺めていた。確かその番組は、東京では誰も見ていないような深夜に放映されていたが、しかしここではゴールデンタイムだった。途切れ途切れに流れるCMも、解像度の低い静止画を背景に不気味なアナウンスが流れるだけといった昭和の時代を感じさせるものが多く、たかだかテレビで都心と地方の格差を思い知らされた。
微かな空腹を覚えながらも三本目の煙草に指を伸ばした。狭い部屋の中は、既に真っ白な煙が充満しており、ふと年末のNHK特番で観た『検証・ホテルニュージャパン火災』のワンシーンが頭を過ぎった。
天井の火災報知器が反応するのではないかと慌てて三本目の煙草を諦め、代わりに電話の受話器を握った。ルームサービスなどあるわけがないと思いながらも、電話に出たフロントの男に、何か食べるものはないかと聞いてみると、地下のサウナにカップラーメンの自販機があると教えてくれた。
浴衣に着替えて部屋を出た。
そのサウナは別会社が経営しているため、本来なら九百円の入場料がいるらしい。しかしこのホテルとは契約しているため、宿泊客はルームキーをサウナのフロントに預ければ何度でも無料で入場できるのだと、フロントの男は少し威張ってそう言った。だから私は財布もスマホも持たないまま、煙草と三百円とルームキーだけを持って部屋を出た。
地下一階でエレベーターを降りた。狭いエレベーターホールにはボイラーの音がゴォォォォォォォと響き、人工的な生暖かい湿気が漂っていた。
ビールケースが積み重ねられた通路の奥に、『サウナキング』と書かれた自動ドアが見えた。その自動ドアをくぐると、すぐ左手に七十年代のボウリング場を思い出させる古びたフロントがあり、その中で中日阪神戦を見ていたネズミ顔の親父がジロッと私を見た。
「お願いします」とルームキーを出した。ネズミ顔の親父は無言でそれを受け取ると、それと交換に『6番』とマジックで書かれたロッカーキーをくれた。
通路には趣味の悪い赤い絨毯が敷き詰められていた。その通路の奥に、『ロッカールーム』と書かれたプレートがぶら下がっていた。
分厚いカーテンを開けると、細い通路の両サイドに縦長のロッカーがずらりと並んでいた。そのロッカールームはなぜか妙に薄暗く、まるで映画館のようだった。6番のロッカーを開けると、地下鉄の階段で寝ているホームレスの匂いがした。
全裸になった私は、まずは腹ごしらえだと、ロッカールームの隅に積んであった貸し出し用のトランクスを摘み上げた。オレンジのボーダー柄のトランクスはなぜかLLしかなく、サイズの合わないそれを履くと、まるでサーカスの団長のようだった。
休憩室にはソープランドの待合室によく似たシャボンの匂いが漂っていた。客は一人だけだった。ずらりと並んだリクライニングソファーの端に、半裸の中年男がトドのようにぐったりと横たわっていた。
そんな男を横目に、奥の自販機コーナーへ行くと、そこには日清のカップヌードルと天ぷらうどん、そしてハンバーガーの自販機があった。
どれも懐かしい自販機ばかりだった。カップヌードルと天ぷらうどんで随分と悩んだが、結局ハンバーガーにした。なぜならカップヌードルも天ぷらうどんも、どちらも売り切れだったからだ。
自販機の前のリクライニングソファーに腰掛けながらハンバーガーを囓った。懐かしい味がした。鍵っ子だった私は、土曜の昼は団地の裏の環八沿いにあるドライブインへ行き、よく一人でこれを食べていた。
ケチャップまみれの萎れたキャベツをぺちゃぺちゃ味わっていると、不意に、そのドライブインのトイレが脳裏に蘇った。
子供の頃、よくそのトイレでオナニーをした。卑猥な落書きやボットン便所の糞尿の匂い。そんな汚くて臭くて荒んだ雰囲気に猟奇的なエロスを感じていた私は、土曜の昼はいつもそのトイレに篭り、壁に描かれた女性器の落書きに向けて精液を飛ばした。
![ウツボ10](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190600deb.jpeg)
閑散とした休憩室には中日阪神戦のナイター中継が垂れ流されていた。ハンバーガーを食べ終えた私は、ケチャップだらけの紙を箱に押し込み、それを自販機の隙間に置いてある屑かごに捨てた。
リクライニングソファーに凭れて煙草に火をつけた。ふーっと煙を吐きながらナイター中継に目をやった。野球には興味がなく、これの何が楽しいのか全くわからない。そんな画面を見ながら立て続けに煙を吹かしていると、ふと、視野に異様な光景が映った。えっ? と思いながら眼球だけをそこに向けた。休憩室の隅のシートで横たわっていた男が、いつの間にか全裸になっていた。
![ウツボ11](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190639989.jpg)
私と目が合うなり、男はこれ見よがしに股を開いた。ウヨウヨと生える陰毛の中に、外来種のキノコのような真っ赤な亀頭がポコンっと顔を出しているのが見えた。
男の顔は、微笑むでもなく恥ずかしがるでもなく無表情だった。まるで蝋人形のようにジッと身動きせぬままそれを曝け出していた。
(ホモだぞ)と自分に警鐘を鳴らし、慌てて目を逸らした。異常性欲者の私ではあったが、さすがに男には欲情しなかった。欲情どころか吐き気さえ感じた。
急に怒りを覚えた私は、吸ったばかりの煙草を乱暴に灰皿に押し潰した。嫌悪をあらわにしながら立ち上がると、そのままスタスタと男に向かって歩き出した。
男は何を勘違いしたのか、フェラ後の淫乱女のような恍惚とした表情を浮かべ、不気味に潤んだ目で私を見ていた。半開きの唇からはハァハァと荒い息を吐き出し、その見苦しい太鼓腹を大きく揺らしていた。
男の前を通り過ぎる瞬間、おもむろにキッと睨みつけてやった。いつの間にかキノコは膨張し、陰毛の底からカリントウのような黒棒がヌッと伸びていた。真っ赤な亀頭はヒクヒクと痙攣し、『人』という字の尿道口には淫らな汁がテラテラと輝いていた。そんなキノコは同情に値するほどに小さかった。
これだから地方のサウナは嫌いなんだよ。
そう呟きながら脱衣場へと向かい、ストライプのトランクスを脱衣籠の中に投げつけた。籠の横に積まれていたオレンジのタオルで股間を隠し、『ジャングル大浴場・サウナ』と書かれた分厚いガラスのドアを開けた。
ジャングルと書かれている割には、鉢植えに入った安っぽい観葉植物がそこらじゅうに置かれているだけだった。大浴場と書かれている割には、町の銭湯ほどに小さな浴場だった。正方形の浴槽と小さな水風呂と丸いブクブクしている浴槽が三つ並び、それらが不潔っぽい観葉植物にぐるりと取り囲まれていた。
取り敢えずブクブクしている浴槽に足を入れた。タイルの浴槽縁に腰掛け、オレンジのタオルを太ももに広げた。お湯は大量のバスクリンで緑色に染められ、ブクブクしている足元からは安っぽい匂いがムンムンと立ち上ってきた。しばらく緑の湯をぼんやり眺めていたが、どれだけ考えてもその気色の悪い湯に浸かる気が起きなかった。
浴場の奥にログハウス調の扉があった。その扉の小窓の上に、『サウナ室』と書かれた表札が打ち付けてあった。そこに向かいながら、きっとこの重い扉を開ければ猛烈な熱気がムワッと溢れ出すだろうと予想した私は、途中の水風呂でタオルを浸し、ポタポタと水滴が垂れるそれを口にあてながら扉を開けた。しかし予想は外れた。溢れ出てきたのは強烈な熱風ではなく生暖かい温風だった。
中は思っていたよりも広かった。十五畳ほどの長方形の空間に、オレンジ色のバスタオルが敷き詰められたひな壇が二段並んでいた。
先客が四人いた。一人は沖縄系の青年だった。扉の前の下段に腰掛け、足元にポタポタと汗を垂らしながらジッと項垂れていた。一人はサラリーマン風の男だった。真ん中の上段で大きく股を開き、せっせと開脚前屈している。そしてあとの二人は、見るからにホモだった。神田の古本屋に山積みされているゲイ雑誌のグラビアに出てきそうな、『専務』と『熊』だった。二人はサウナの奥の突き当たりの上段で、寄り添うように並んで座っていた。
私は一段上がり、入口前で項垂れている沖縄青年の背後にソッと腰を下ろした。しかし、上段に座っても一向に熱さを感じなかった。
まるでコタツの中に潜っているような、そんなじんわりとした生暖かさが漂っているだけなのだ。
もしかしたらここは低温サウナなのだろうかと不審に思いながら辺りを見回すと、ふと、扉の前に置いてあった屑篭の中が目に飛び込んできた。
そこには、オレンジ色のキャップを被った『ぺぺローション』の空容器が転がり、そしてその容器に、コンドームらしきグリーンの物体がベタリと張り付いていた。
嫌な予感がした。あの休憩室の露出男といい、この異様に生温いサウナといい、何か無性に嫌な胸騒ぎがした。
よく見れば、目の前に座っている沖縄青年の背中や腰のラインは妙に女っぽかった。そして、私の隣りでせっせと開脚前屈しているサラリーマン風の男も、いかにもそのナマコのような巨大ペニスをアピールしているかのように、それを卑猥に剥き出していた。
(間違いない……ここはハッテン場だ……)
そう気付くなり、私は凄まじい恐怖に襲われたのだった。
(つづく)
《←目次》《6話へ→》
静まり返った暗黒を見つめながら、(ここはどこだ?)と一瞬考えたが、すぐにここが新潟のホテルだという事に気づいた。
いつの間にか眠ってしまっていた。シャワーを浴びた後、全裸のまま眠ってしまったのだ。
スポンジのような硬いベッドに寝転んだまま頭上に手を伸ばした。ビニールシートのように硬い暗幕カーテンを開けると、シャッという音と共に、国道に並んでいる外灯が部屋をオレンジ色に染めた。
むくりと起き上がり窓の外を見てみると、すぐ目の前で漆黒の海がうねうねと風に揺れていた。それはまるでどこかの地獄のように不気味であり、慌てて私はまたカーテンを閉めたのだった。
サイドボードに手を伸ばし、テレビのリモコンを鷲掴みにした。一番大きなボタンを押すと、カチッという音と共に銀色の光が溢れ、安っぽいバラエティー番組の嘘くさい観客の笑い声が部屋に響いた。
このまま寝てしまおうかどうしようか考えながらスマホを見た。なんとまだ七時だった。あまりの静けさにてっきり深夜だと思っていた私は、改めて田舎の閉塞感に恐怖を感じ、慌てて部屋中の電気を全て灯したのだった。
煙草を立て続けに二本吸いながら、くだらないバラエティー番組をぼんやり眺めていた。確かその番組は、東京では誰も見ていないような深夜に放映されていたが、しかしここではゴールデンタイムだった。途切れ途切れに流れるCMも、解像度の低い静止画を背景に不気味なアナウンスが流れるだけといった昭和の時代を感じさせるものが多く、たかだかテレビで都心と地方の格差を思い知らされた。
微かな空腹を覚えながらも三本目の煙草に指を伸ばした。狭い部屋の中は、既に真っ白な煙が充満しており、ふと年末のNHK特番で観た『検証・ホテルニュージャパン火災』のワンシーンが頭を過ぎった。
天井の火災報知器が反応するのではないかと慌てて三本目の煙草を諦め、代わりに電話の受話器を握った。ルームサービスなどあるわけがないと思いながらも、電話に出たフロントの男に、何か食べるものはないかと聞いてみると、地下のサウナにカップラーメンの自販機があると教えてくれた。
浴衣に着替えて部屋を出た。
そのサウナは別会社が経営しているため、本来なら九百円の入場料がいるらしい。しかしこのホテルとは契約しているため、宿泊客はルームキーをサウナのフロントに預ければ何度でも無料で入場できるのだと、フロントの男は少し威張ってそう言った。だから私は財布もスマホも持たないまま、煙草と三百円とルームキーだけを持って部屋を出た。
地下一階でエレベーターを降りた。狭いエレベーターホールにはボイラーの音がゴォォォォォォォと響き、人工的な生暖かい湿気が漂っていた。
ビールケースが積み重ねられた通路の奥に、『サウナキング』と書かれた自動ドアが見えた。その自動ドアをくぐると、すぐ左手に七十年代のボウリング場を思い出させる古びたフロントがあり、その中で中日阪神戦を見ていたネズミ顔の親父がジロッと私を見た。
「お願いします」とルームキーを出した。ネズミ顔の親父は無言でそれを受け取ると、それと交換に『6番』とマジックで書かれたロッカーキーをくれた。
通路には趣味の悪い赤い絨毯が敷き詰められていた。その通路の奥に、『ロッカールーム』と書かれたプレートがぶら下がっていた。
分厚いカーテンを開けると、細い通路の両サイドに縦長のロッカーがずらりと並んでいた。そのロッカールームはなぜか妙に薄暗く、まるで映画館のようだった。6番のロッカーを開けると、地下鉄の階段で寝ているホームレスの匂いがした。
全裸になった私は、まずは腹ごしらえだと、ロッカールームの隅に積んであった貸し出し用のトランクスを摘み上げた。オレンジのボーダー柄のトランクスはなぜかLLしかなく、サイズの合わないそれを履くと、まるでサーカスの団長のようだった。
休憩室にはソープランドの待合室によく似たシャボンの匂いが漂っていた。客は一人だけだった。ずらりと並んだリクライニングソファーの端に、半裸の中年男がトドのようにぐったりと横たわっていた。
そんな男を横目に、奥の自販機コーナーへ行くと、そこには日清のカップヌードルと天ぷらうどん、そしてハンバーガーの自販機があった。
どれも懐かしい自販機ばかりだった。カップヌードルと天ぷらうどんで随分と悩んだが、結局ハンバーガーにした。なぜならカップヌードルも天ぷらうどんも、どちらも売り切れだったからだ。
自販機の前のリクライニングソファーに腰掛けながらハンバーガーを囓った。懐かしい味がした。鍵っ子だった私は、土曜の昼は団地の裏の環八沿いにあるドライブインへ行き、よく一人でこれを食べていた。
ケチャップまみれの萎れたキャベツをぺちゃぺちゃ味わっていると、不意に、そのドライブインのトイレが脳裏に蘇った。
子供の頃、よくそのトイレでオナニーをした。卑猥な落書きやボットン便所の糞尿の匂い。そんな汚くて臭くて荒んだ雰囲気に猟奇的なエロスを感じていた私は、土曜の昼はいつもそのトイレに篭り、壁に描かれた女性器の落書きに向けて精液を飛ばした。
![ウツボ10](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190600deb.jpeg)
閑散とした休憩室には中日阪神戦のナイター中継が垂れ流されていた。ハンバーガーを食べ終えた私は、ケチャップだらけの紙を箱に押し込み、それを自販機の隙間に置いてある屑かごに捨てた。
リクライニングソファーに凭れて煙草に火をつけた。ふーっと煙を吐きながらナイター中継に目をやった。野球には興味がなく、これの何が楽しいのか全くわからない。そんな画面を見ながら立て続けに煙を吹かしていると、ふと、視野に異様な光景が映った。えっ? と思いながら眼球だけをそこに向けた。休憩室の隅のシートで横たわっていた男が、いつの間にか全裸になっていた。
![ウツボ11](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190639989.jpg)
私と目が合うなり、男はこれ見よがしに股を開いた。ウヨウヨと生える陰毛の中に、外来種のキノコのような真っ赤な亀頭がポコンっと顔を出しているのが見えた。
男の顔は、微笑むでもなく恥ずかしがるでもなく無表情だった。まるで蝋人形のようにジッと身動きせぬままそれを曝け出していた。
(ホモだぞ)と自分に警鐘を鳴らし、慌てて目を逸らした。異常性欲者の私ではあったが、さすがに男には欲情しなかった。欲情どころか吐き気さえ感じた。
急に怒りを覚えた私は、吸ったばかりの煙草を乱暴に灰皿に押し潰した。嫌悪をあらわにしながら立ち上がると、そのままスタスタと男に向かって歩き出した。
男は何を勘違いしたのか、フェラ後の淫乱女のような恍惚とした表情を浮かべ、不気味に潤んだ目で私を見ていた。半開きの唇からはハァハァと荒い息を吐き出し、その見苦しい太鼓腹を大きく揺らしていた。
男の前を通り過ぎる瞬間、おもむろにキッと睨みつけてやった。いつの間にかキノコは膨張し、陰毛の底からカリントウのような黒棒がヌッと伸びていた。真っ赤な亀頭はヒクヒクと痙攣し、『人』という字の尿道口には淫らな汁がテラテラと輝いていた。そんなキノコは同情に値するほどに小さかった。
これだから地方のサウナは嫌いなんだよ。
そう呟きながら脱衣場へと向かい、ストライプのトランクスを脱衣籠の中に投げつけた。籠の横に積まれていたオレンジのタオルで股間を隠し、『ジャングル大浴場・サウナ』と書かれた分厚いガラスのドアを開けた。
ジャングルと書かれている割には、鉢植えに入った安っぽい観葉植物がそこらじゅうに置かれているだけだった。大浴場と書かれている割には、町の銭湯ほどに小さな浴場だった。正方形の浴槽と小さな水風呂と丸いブクブクしている浴槽が三つ並び、それらが不潔っぽい観葉植物にぐるりと取り囲まれていた。
取り敢えずブクブクしている浴槽に足を入れた。タイルの浴槽縁に腰掛け、オレンジのタオルを太ももに広げた。お湯は大量のバスクリンで緑色に染められ、ブクブクしている足元からは安っぽい匂いがムンムンと立ち上ってきた。しばらく緑の湯をぼんやり眺めていたが、どれだけ考えてもその気色の悪い湯に浸かる気が起きなかった。
浴場の奥にログハウス調の扉があった。その扉の小窓の上に、『サウナ室』と書かれた表札が打ち付けてあった。そこに向かいながら、きっとこの重い扉を開ければ猛烈な熱気がムワッと溢れ出すだろうと予想した私は、途中の水風呂でタオルを浸し、ポタポタと水滴が垂れるそれを口にあてながら扉を開けた。しかし予想は外れた。溢れ出てきたのは強烈な熱風ではなく生暖かい温風だった。
中は思っていたよりも広かった。十五畳ほどの長方形の空間に、オレンジ色のバスタオルが敷き詰められたひな壇が二段並んでいた。
先客が四人いた。一人は沖縄系の青年だった。扉の前の下段に腰掛け、足元にポタポタと汗を垂らしながらジッと項垂れていた。一人はサラリーマン風の男だった。真ん中の上段で大きく股を開き、せっせと開脚前屈している。そしてあとの二人は、見るからにホモだった。神田の古本屋に山積みされているゲイ雑誌のグラビアに出てきそうな、『専務』と『熊』だった。二人はサウナの奥の突き当たりの上段で、寄り添うように並んで座っていた。
私は一段上がり、入口前で項垂れている沖縄青年の背後にソッと腰を下ろした。しかし、上段に座っても一向に熱さを感じなかった。
まるでコタツの中に潜っているような、そんなじんわりとした生暖かさが漂っているだけなのだ。
もしかしたらここは低温サウナなのだろうかと不審に思いながら辺りを見回すと、ふと、扉の前に置いてあった屑篭の中が目に飛び込んできた。
そこには、オレンジ色のキャップを被った『ぺぺローション』の空容器が転がり、そしてその容器に、コンドームらしきグリーンの物体がベタリと張り付いていた。
嫌な予感がした。あの休憩室の露出男といい、この異様に生温いサウナといい、何か無性に嫌な胸騒ぎがした。
よく見れば、目の前に座っている沖縄青年の背中や腰のラインは妙に女っぽかった。そして、私の隣りでせっせと開脚前屈しているサラリーマン風の男も、いかにもそのナマコのような巨大ペニスをアピールしているかのように、それを卑猥に剥き出していた。
(間違いない……ここはハッテン場だ……)
そう気付くなり、私は凄まじい恐怖に襲われたのだった。
(つづく)
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吐泥(へろど)6
2013/06/13 Thu 00:01
休憩室での遭遇には怒りをあらわにした私だったが、しかしこの密室での遭遇は、間違えてライオンの檻に迷い込んでしまったような、そんな逃げ場のない恐怖を感じた。
一刻も早くここから出たいと思った。しかし、入ってすぐに出るというのもそれなりの度胸が必要であり、気の小さな私には容易ではなかった。
仕方なく顔を隠すように項垂れた。弛んだ腹を見つめながら、こんなサウナなんかに来なければ良かったと何度も何度も呟き、熱さから出た汗とは違う嫌な汗を脇の下からタラタラと垂れ流していたのだった。
テレビは壁に埋め込まれていた。やはりここでもナイター中継が放映されていたが、しかしそれは分厚いアクリル板に仕切られていたため、ボソボソと篭る解説者の声は雑音でしかなかった。
そんなテレビから、突然、「ボーボバン! ボーボバン!」と叫ぶ解説者の篭った声が騒がしく響いた。上目遣いでそっとテレビを見てみると、画面には『ホームラン』という白い文字が浮かび、その背後では、黒いストライプのユニームを着た若い選手が、まるでグリコの看板のようなポーズを取りながら走っていた。
隣の男が開脚前屈を止めた。じっと画面を見つめながら「六対三か……」と吐き出すように呟いた。その声を聞き、ふと私は、この喧騒に乗じようと思った。あたかも中日ファンであるかのように、「チッ」と舌打ちしながら出て行こうと思ったのだ。
が、しかし、そう思って腰を上げようとした瞬間、突然奥からチューチューという奇妙な音が聞こえ、私は出鼻をくじかれた。
それはネズミの鳴き声のようだった。
その異音につられて振り向くと、そこには、今までに見たこともないようなおぞましい世界が広がっていたのだった。
![ウツボ12](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190640365.jpg)
巨大な熊が、ピンっと勃起した専務のペニスの先にチューチューと吸い付きながら、自分のペニスをシコシコとシゴいていた。
一瞬にして体が固まり、全身から汗が噴き出した。もちろんサウナによる発汗ではなく恐怖による冷や汗だった。
しかし私は、その醜い光景に釘付けになっていた。それは、あの公衆便所で主婦が二人の男に陵辱されているのを目撃した時と同じだった。スリルとエロスが脳内で複雑に混じり合い、まるで、初めて『家畜人ヤプー』を読んだ時のような猟奇的な異常興奮に駆られてしまっていたのだった。
嫌な沈黙の中、チューチューという音だけが響いていた。ドキドキしながらその音に耳を傾けていると、突然その音はチューチューからチュプチュプへと変化し、そしてそれは次第に速度を速めてはジュプジュプと変わった。
そんな下品な音が響く中、不意に「んっ」という男の声が聞こえ、思わず私は横目で奥を見てしまった。
ペニスをベロっと吐き出した熊が、慌てて専務の足元に跪いた。専務はハァハァと荒い息を吐きながら熊の唾液でネトネトになった自身のペニスをしごき、その先を熊の唇に向けた。
熊の恍惚とした顔に、濃厚な精液が、びゅっ、びゅっ、と飛び散った。専務は、みるみる汚れていく熊の顔を冷淡な目で見下ろしながら、震える声で「ほれ、ほれ」と呟いていたのだった。
![ウツボ13_convert_20160422173851](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/201604221906427cb.jpg)
そんな凄まじい光景がすぐ真横で繰り広げられているにもかかわらず、サラリーマン風の男は平然とテレビを見ながら開脚前屈を続けていた。下段で項垂れている沖縄青年も全く微動だにしなかった。
しかし私は気づいていた。開脚前屈している男の股間が徐々に変化していることを。そして、すぐ目の前に座っている沖縄青年の右肩が、先ほどから微妙に揺れている事を。
このままではマズい。そう思うと同時に、不意に開脚前屈している男が「おたくは中日ファンですか?」と私に話しかけてきた。
私は無言で男を見た。男の大きく開脚された股間の真ん中からは、既に弓のようにしなった肉棒がニョキッと突き出ていた。それはまるで別の生き物のようにヒコヒコと動き、獰猛に腫れ上がった亀頭が張り子の虎のように揺れていた。
それを目にした瞬間、私はそれを妻にしゃぶらせたいと思った。そして、それを妻の穴の中に挿入させ、内部でヒコヒコと動く肉棒に密かに感じている妻の背信的な姿を見てみたいと思った。
その光景を想像するなり、激しい嫉妬と興奮が凄まじい勢いで湧き上がってきた。カッと頭に血が上った私はズカズカと扉へと進み、飛び出すようにしてそこから脱出したのだった。
すぐ目の前の洗い場に腰を下ろした。頭上のシャワーをひねり、熱い湯を頭から浴びた。
危ないところだった。あのまま行けば私は妻と化し、妻を演じながらあの男の肉棒を咥えてしまうところだった。
頭を冷やそう。そう思いながらシャワーの温度を下げ、項垂れた後頭部にキンキンの冷水を浴びせた。しかし、項垂れると同時に熱り立った自身のペニスが目に飛び込み、その異常興奮は冷めるどころか更に奮い立った。
頭上から顔に垂れてくる冷水を、ブシュルルルルル、ブシュルルルルル、と唇で鳴らしながら肉棒を握りしめた。それをゆっくりと前後させながら、この洗い場でさっきの男の肉棒を咥えさせられている妻の姿を思い浮かべた。
![ウツボ14_convert_20160422173911](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190643ed8.jpg)
妻はタイル床に正座させられていた。男は妻に「手を使うな」と言い、口だけをぽっかりと開けている妻の口内に、反り立つペニスをヌポヌポと出し入れしていた。
男は、「おお……凄いよ奥さん……」と唸りながら、妻の顔に向けて更に激しく腰を振っていた。男の腰が動く度に妻の大きな乳肉がタプンタプンっと揺れていた。
そんな妄想をしながらペニスをしごいていると、そこで初めて隣の洗い場に人がいることに気づいた。
慌てて手を止めたが、しかし、その人はもはや七十近いお爺ちゃんであり、私のその行為に気づかないまま髭を剃っていた。
私は横目でそのお爺ちゃんを見ながら再びペニスをしごいた。こんな老人ともヤらせて見たい。あの萎れた尻肉の谷間に顔を入れさせ、年季の入った肛門や睾丸を妻に舐めさせてみたい。そんな事を想像しながら私はペニスをシゴいた。
![ウツボ15](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190645202.jpg)
ふと気がつくと、そんな私をジッと見つめている二人の男がいた。一人はさっきの開脚前屈の男で、すぐ横の水風呂に浸かりながら私の行為を観察していた。そしてもう一人は休憩室にいた露出男だった。彼はおもむろに私の真正面に立ちながら、上下に動く私のペニスをジッと見つめていた。
驚いた私は一瞬その手を止めたが、しかし、もはや異常性欲のスイッチが入ってしまっていた私の手はすぐに動き出した。その恥ずかしい行為を見てくれと言わんばかりに、大胆にそれを剥き出しながら大きくしごき始めた。
本来なら、このような姿を同性に見られるのは耐えられない屈辱のはずだ。
しかし私は屈辱を感じるどころか快楽を感じていた。
なぜなら、今の私は妻だからである。
私の脳内で今のこの状況は、卑猥極まりないハッテン場でオナニーしている妻が、変態男たちに見られているという状況なのである。
妻になりきった私は、椅子に腰掛けていた右足をわざと爪先立たせ、男たちに尻の裏までも見せつけた。(見ないで……見ないでください……)と羞恥に満ちた妻の声を蘇らせながら股の裏にボディーソープを塗りたくると、緩んだ肛門に人差し指を第一関節まで差し込み、ヌポヌポしてやったのだった。
二人の男は、そんな私の股の裏を無言で覗いていた。露出男は勃起し、開脚前屈の男は右手をリズミカルに動かしながら、水風呂の水をタプタプと揺らしていた。
ふと私は、今からこの二人をホテルの部屋に連れて行きたいと思った。そして二人して、妻を演じる私を嬲りものにして欲しいと本気で思った。
![ウツボ16_convert_20160422173933](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190734fa9.jpg)
しかし、そんな狂気の願望が湧き上がると同時に、その無残な光景がリアルに浮かび上がり、それに刺激された私のペニスの先から大量の精液が飛び出した。
すると、すかさず露出男が「あっ」と叫び、慌てて私の足元に跪いた。そして上下する私の亀頭に向かって大きく口を開けると、吹き出す残液を一滴残らず口内で受け止めた。
露出男は、恍惚とした表情で口をぺちゃぺちゃさせた。そして自分のペニスを狂ったようにしごきながら私のそれを飲み干すと、奇妙な声で悶えながら私の太ももに向けて精液を飛ばした。
そんな露出男の顔はナマズのようだった。腰をヒクヒクさせながら射精するその姿は、まさに泥水の中でのたうち回っている大ナマズのようだった。
そう思った途端、急に私は吐き気を感じた。そこに射精後の嫌悪感も合併し、今までの興奮は突然怒りに変わった。
そんなナマズを冷たく見下ろしながら、淡々とシャワーで股間を洗い流した。そしてさっさと出口に向かって歩き出すと、心の中で(腐れ外道どもが)と捨て台詞を呟きながら、最後にもう一度振り返った。
ナマズ顔の男がこっちを見ていた。
よく見るとその顔は、ナマズというより石破茂だった。
(つづく)
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一刻も早くここから出たいと思った。しかし、入ってすぐに出るというのもそれなりの度胸が必要であり、気の小さな私には容易ではなかった。
仕方なく顔を隠すように項垂れた。弛んだ腹を見つめながら、こんなサウナなんかに来なければ良かったと何度も何度も呟き、熱さから出た汗とは違う嫌な汗を脇の下からタラタラと垂れ流していたのだった。
テレビは壁に埋め込まれていた。やはりここでもナイター中継が放映されていたが、しかしそれは分厚いアクリル板に仕切られていたため、ボソボソと篭る解説者の声は雑音でしかなかった。
そんなテレビから、突然、「ボーボバン! ボーボバン!」と叫ぶ解説者の篭った声が騒がしく響いた。上目遣いでそっとテレビを見てみると、画面には『ホームラン』という白い文字が浮かび、その背後では、黒いストライプのユニームを着た若い選手が、まるでグリコの看板のようなポーズを取りながら走っていた。
隣の男が開脚前屈を止めた。じっと画面を見つめながら「六対三か……」と吐き出すように呟いた。その声を聞き、ふと私は、この喧騒に乗じようと思った。あたかも中日ファンであるかのように、「チッ」と舌打ちしながら出て行こうと思ったのだ。
が、しかし、そう思って腰を上げようとした瞬間、突然奥からチューチューという奇妙な音が聞こえ、私は出鼻をくじかれた。
それはネズミの鳴き声のようだった。
その異音につられて振り向くと、そこには、今までに見たこともないようなおぞましい世界が広がっていたのだった。
![ウツボ12](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190640365.jpg)
巨大な熊が、ピンっと勃起した専務のペニスの先にチューチューと吸い付きながら、自分のペニスをシコシコとシゴいていた。
一瞬にして体が固まり、全身から汗が噴き出した。もちろんサウナによる発汗ではなく恐怖による冷や汗だった。
しかし私は、その醜い光景に釘付けになっていた。それは、あの公衆便所で主婦が二人の男に陵辱されているのを目撃した時と同じだった。スリルとエロスが脳内で複雑に混じり合い、まるで、初めて『家畜人ヤプー』を読んだ時のような猟奇的な異常興奮に駆られてしまっていたのだった。
嫌な沈黙の中、チューチューという音だけが響いていた。ドキドキしながらその音に耳を傾けていると、突然その音はチューチューからチュプチュプへと変化し、そしてそれは次第に速度を速めてはジュプジュプと変わった。
そんな下品な音が響く中、不意に「んっ」という男の声が聞こえ、思わず私は横目で奥を見てしまった。
ペニスをベロっと吐き出した熊が、慌てて専務の足元に跪いた。専務はハァハァと荒い息を吐きながら熊の唾液でネトネトになった自身のペニスをしごき、その先を熊の唇に向けた。
熊の恍惚とした顔に、濃厚な精液が、びゅっ、びゅっ、と飛び散った。専務は、みるみる汚れていく熊の顔を冷淡な目で見下ろしながら、震える声で「ほれ、ほれ」と呟いていたのだった。
![ウツボ13_convert_20160422173851](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/201604221906427cb.jpg)
そんな凄まじい光景がすぐ真横で繰り広げられているにもかかわらず、サラリーマン風の男は平然とテレビを見ながら開脚前屈を続けていた。下段で項垂れている沖縄青年も全く微動だにしなかった。
しかし私は気づいていた。開脚前屈している男の股間が徐々に変化していることを。そして、すぐ目の前に座っている沖縄青年の右肩が、先ほどから微妙に揺れている事を。
このままではマズい。そう思うと同時に、不意に開脚前屈している男が「おたくは中日ファンですか?」と私に話しかけてきた。
私は無言で男を見た。男の大きく開脚された股間の真ん中からは、既に弓のようにしなった肉棒がニョキッと突き出ていた。それはまるで別の生き物のようにヒコヒコと動き、獰猛に腫れ上がった亀頭が張り子の虎のように揺れていた。
それを目にした瞬間、私はそれを妻にしゃぶらせたいと思った。そして、それを妻の穴の中に挿入させ、内部でヒコヒコと動く肉棒に密かに感じている妻の背信的な姿を見てみたいと思った。
その光景を想像するなり、激しい嫉妬と興奮が凄まじい勢いで湧き上がってきた。カッと頭に血が上った私はズカズカと扉へと進み、飛び出すようにしてそこから脱出したのだった。
すぐ目の前の洗い場に腰を下ろした。頭上のシャワーをひねり、熱い湯を頭から浴びた。
危ないところだった。あのまま行けば私は妻と化し、妻を演じながらあの男の肉棒を咥えてしまうところだった。
頭を冷やそう。そう思いながらシャワーの温度を下げ、項垂れた後頭部にキンキンの冷水を浴びせた。しかし、項垂れると同時に熱り立った自身のペニスが目に飛び込み、その異常興奮は冷めるどころか更に奮い立った。
頭上から顔に垂れてくる冷水を、ブシュルルルルル、ブシュルルルルル、と唇で鳴らしながら肉棒を握りしめた。それをゆっくりと前後させながら、この洗い場でさっきの男の肉棒を咥えさせられている妻の姿を思い浮かべた。
![ウツボ14_convert_20160422173911](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190643ed8.jpg)
妻はタイル床に正座させられていた。男は妻に「手を使うな」と言い、口だけをぽっかりと開けている妻の口内に、反り立つペニスをヌポヌポと出し入れしていた。
男は、「おお……凄いよ奥さん……」と唸りながら、妻の顔に向けて更に激しく腰を振っていた。男の腰が動く度に妻の大きな乳肉がタプンタプンっと揺れていた。
そんな妄想をしながらペニスをしごいていると、そこで初めて隣の洗い場に人がいることに気づいた。
慌てて手を止めたが、しかし、その人はもはや七十近いお爺ちゃんであり、私のその行為に気づかないまま髭を剃っていた。
私は横目でそのお爺ちゃんを見ながら再びペニスをしごいた。こんな老人ともヤらせて見たい。あの萎れた尻肉の谷間に顔を入れさせ、年季の入った肛門や睾丸を妻に舐めさせてみたい。そんな事を想像しながら私はペニスをシゴいた。
![ウツボ15](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190645202.jpg)
ふと気がつくと、そんな私をジッと見つめている二人の男がいた。一人はさっきの開脚前屈の男で、すぐ横の水風呂に浸かりながら私の行為を観察していた。そしてもう一人は休憩室にいた露出男だった。彼はおもむろに私の真正面に立ちながら、上下に動く私のペニスをジッと見つめていた。
驚いた私は一瞬その手を止めたが、しかし、もはや異常性欲のスイッチが入ってしまっていた私の手はすぐに動き出した。その恥ずかしい行為を見てくれと言わんばかりに、大胆にそれを剥き出しながら大きくしごき始めた。
本来なら、このような姿を同性に見られるのは耐えられない屈辱のはずだ。
しかし私は屈辱を感じるどころか快楽を感じていた。
なぜなら、今の私は妻だからである。
私の脳内で今のこの状況は、卑猥極まりないハッテン場でオナニーしている妻が、変態男たちに見られているという状況なのである。
妻になりきった私は、椅子に腰掛けていた右足をわざと爪先立たせ、男たちに尻の裏までも見せつけた。(見ないで……見ないでください……)と羞恥に満ちた妻の声を蘇らせながら股の裏にボディーソープを塗りたくると、緩んだ肛門に人差し指を第一関節まで差し込み、ヌポヌポしてやったのだった。
二人の男は、そんな私の股の裏を無言で覗いていた。露出男は勃起し、開脚前屈の男は右手をリズミカルに動かしながら、水風呂の水をタプタプと揺らしていた。
ふと私は、今からこの二人をホテルの部屋に連れて行きたいと思った。そして二人して、妻を演じる私を嬲りものにして欲しいと本気で思った。
![ウツボ16_convert_20160422173933](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190734fa9.jpg)
しかし、そんな狂気の願望が湧き上がると同時に、その無残な光景がリアルに浮かび上がり、それに刺激された私のペニスの先から大量の精液が飛び出した。
すると、すかさず露出男が「あっ」と叫び、慌てて私の足元に跪いた。そして上下する私の亀頭に向かって大きく口を開けると、吹き出す残液を一滴残らず口内で受け止めた。
露出男は、恍惚とした表情で口をぺちゃぺちゃさせた。そして自分のペニスを狂ったようにしごきながら私のそれを飲み干すと、奇妙な声で悶えながら私の太ももに向けて精液を飛ばした。
そんな露出男の顔はナマズのようだった。腰をヒクヒクさせながら射精するその姿は、まさに泥水の中でのたうち回っている大ナマズのようだった。
そう思った途端、急に私は吐き気を感じた。そこに射精後の嫌悪感も合併し、今までの興奮は突然怒りに変わった。
そんなナマズを冷たく見下ろしながら、淡々とシャワーで股間を洗い流した。そしてさっさと出口に向かって歩き出すと、心の中で(腐れ外道どもが)と捨て台詞を呟きながら、最後にもう一度振り返った。
ナマズ顔の男がこっちを見ていた。
よく見るとその顔は、ナマズというより石破茂だった。
(つづく)
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吐泥(へろど)7
2013/06/13 Thu 00:01
スマホのアラーム音にびっくり仰天した。
緊急地震速報の受信音によく似たアラーム音には一向に慣れることができなかった。だから私の心臓は、毎朝目覚めと共に激しく鼓動していた。だったらアラーム音を変えればいいじゃない、と妻は言ったが、しかし、音を変えたら今度は起きられないのではないかという不安に駆られ、結局この二年間、毎朝私はそのアラーム音に仰天し続けている。
バサッと起き上がると、急いでサイドテーブルの上のスマホを鷲掴みし、その忌々しいアラームを止めた。テレビのスイッチを入れ、再びベッドにドスンッと崩れ落ちると、眠い、寝たい、眠い、寝たい、と頭の中で繰り返しながら、必要以上にフカフカなホテルの枕に頭部を埋めた。
テレビから『めざましジャンケン』が聞こえてきた。
私の朝の楽しみは、『めざまし』のカトパンを見ながら朝立ちした陰部を弄る事だった。全裸で四つん這いになったカトパンが、三宅アナにクタクタと指マンされながらシャーシャーと潮を吹き、そうされながらも、あのポッテリとした唇で軽部アナの巨大な包茎ペニスにしゃぶりついては悶えているといった、そんな妄想と共にカトパンを楽しんでいた。
しかし、そんなカトパンが突然『めざまし』から姿を消した。
だから私は、さっそくNHKの『おかさんといっしょ』に乗り換え、たくみお姉さんの見事な美脚にシコシコとよからぬ妄想を抱いていたのだが、しかし不運にも、そのたくみお姉さんも、この春『おかさんといっしょ』を卒業してしまい、朝の私の楽しみは尽く潰されてしまったのだった。
漁業組合には十時に伺う事になっていた。まだ三時間近くも時間があった。
煙草で黄ばんだ天井を見つめながら微睡んでいると、寝惚けた脳に昨夜の記憶がぼんやりと浮かんできた。
あれは夢だったのだろうか?
そう思いながら記憶を辿っていくと、次第にサウナ室の汗臭さやナイター中継の篭った音、専務のペニスをしゃぶる熊の姿や、私の精液を口で受け止めるナマズの顔などが鮮明に蘇ってきた。
快感と不快感が交互に襲ってきた。あの状況で、妻になりきって射精したのは今までにない快楽だったが、しかし元々男に興味がないせいか、あの男たちのスネ毛や吹き出物だらけの尻を思い出す度に怒りと吐き気を覚えた。
そんな複雑な心境で勃起したペニスを弄っていると、ふと、もしあのまま、妻になりきった私が本当に彼らをこの部屋に招いていたらどうなっていただろうかと、そのおぞましい光景をリアルに想像してしまった。
するとその想像は、いつしか妻があの醜い男たちに無残に嬲られているシーンへと変わった。四つん這いにされた妻が、開脚前屈の男に巨大な肉棒をズボズボとピストンされていた。そして同時にナマズ男の肉棒を咥えさせられながらウグウグと唸っていた。
そんな妻の陰部はドロドロに濡れていた。妻の汁によってその結合部分がブチャブチャといやらしい音を奏でいた。
妻は後ろめたそうな目で私をジッと見ていた。それはあの時と同じ目だった。そんな目で私を見つめながら、妻は密かに何度も絶頂に達していたのだった。
![ウツボ17_convert_20160422173953](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190735c27.jpg)
気がつくと、私は発情した男子学生のようにペニスをしごきまくっていた。そう気づいた時には既にイキそうになっており、このまま掛け布団の裏側に発射してしまおうかどうしようかと悩みながら、その手の動きと快感を微調整していたのだった。
しばらく考えた後、私はある決心をした。今からもう一度あのサウナへ行きそこで射精しよう、と。
一触即発の肉棒からパッと手を離し、その手でスマホを掴んだ。サウナの営業時間を調べようと思い、グーグルで『新潟 サウナキング』と検索すると、『温泉情報ガルバー』というサイトがトップに表示された。そこには施設情報とアクセスと口コミが書かれていた。
サウナキングは二十四時間営業だった。入浴料は千八百円で、零時を過ぎると深夜料金となり二千五百円に跳ね上がっていた。口コミは一件だけだった。タイトルには「キモい!」と書かれ、コメントには「最悪です」とだけ書かれていた。当然、星はひとつだった。
この口コミを書いた人は、きっと至って正常な人だったんだろうなと思いながらスマホを閉じようとすると、ズラリと並んだ検索結果の中に『ハッテン場』という文字を見つけ、不意に指が止まった。
それは、『ミーコとケンヤの全国露出旅』というブログだった。露出趣味のあるカップルが全国を露出しながら旅するという実に馬鹿げた内容で、その中の『まさかのハッテン場に潜入!』という記事にサウナキングのことが書かれていた。
記事には、『さすがは信越最大のハッテン場です、男性専用サウナなのに女性の私でも普通に入場させてくれました』と書いてあり、その女が見知らぬ一般の客と性器の洗い合いをしている画像がアップされていた。
![ウツボ18_convert_20160422174012](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190737cf5.jpg)
その画像に強烈な衝撃を受けた私は、もしそれが本当に可能であるのなら、昨夜私が抱いていた変態願望も夢ではないと鼻息を荒くした。
それを確かめようと、私は早々とベッドから飛び起きた。プラスチック棒のルームキーを鷲掴みにし、乱れた浴衣を整えながら部屋のドアを開けると、静まり返った朝の廊下にスタスタとスリッパの音を鳴らしたのだった。
エレベーターを降りると、早朝だというのにボイラーの音が響いていた。こんな時間にも客がいるのだろうかと思いながら恐る恐る自動ドアを開けると、赤い絨毯の通路に掃除機を持ったおばさんが立っていた。
カウンターに昨夜の親父の姿はなかった。掃除のおばさんが、「ホテルのお客さんだね」と確認しながら面倒臭そうにカウンターにやってきた。
あの親父になら、本当にこのサウナであのブログのような出来事が可能なのかどうか確認できそうだったが、しかし、さすがにこのおばさんにはそれを確認することはできないと思った。
私は小さく舌打ちしながらルームキーをカウンターの上に置いた。五十を過ぎたおばさんはそれを素早くカウンター裏の木箱に落とすと、馬のような出っ歯を剥き出しにしながら、「浴場は八時から掃除に入るからサウナはストップだよ」と呟いた。
浴場には数人の先客がいた。昨夜は先客達のいやらしい視線を痛いほどに感じたが、しかし今朝は私をそんな目で見る者は一人もいなかった。
見るからにノーマルな人達ばかりだった。恐らく彼らは、ここがどんな所なのか何も知らないホテルの宿泊客だろう。
そんな先客を横目に、私は昨夜と同じ洗い場に腰を下ろした。白いボディーソープを手の平にピュッピュッとプッシュすると、不意に、あの男の精液を手の平に吐き出していた妻の姿を思い出した。
途端にムラムラと欲情した私は、手の平に溜まったボディーソープを身体中に塗りたくった。既にビンビンに反り立っていたペニスにも、それをゆっくりと塗り込んだ。
背後の洗い場では二人の男が体を洗っていた。その男たちを鏡で観察しながら腰を浮かし、股の裏に手の平を滑り込ませた。
男性サウナの洗い場で変態男たちに尻を嬲られている妻。
そんな設定で妻になりきった私は、背後の男たちに向けてソッと尻肉を開いた。剥き出された肛門に指腹をヌルヌルと滑らせながら、「やめて下さい」と妻の声真似をして呟いてみると、男たちのヌルヌルした指の動きにジッと耐えている妻の姿がリアルに浮かんできた。
![ウツボ19_convert_20160422174030](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/201604221907384c3.jpg)
そんな妄想にクラクラと目眩を感じながらペニスをシゴきまくった。ボディーソープがくちゃくちゃといやらしい音を立て、背後の男たちに気付かれるのではないかとヒヤヒヤしながらシゴきまくっていた。
妄想の中では、変態男たちが代わる代わる妻に精液をかけていた。顔、胸、背中、尻。その屈辱的な液体を全身に吹きかけられながらも、それでも妻はジッと耐えていた。
しかし私は知っていた。妻は密かにそんな陵辱に悦びを感じている事を。
あの時もそうだった。あのラブホテルの赤いソファーの上で、見ず知らずの単独男にユッサユッサと体を揺さぶられていた時もそうだった。
あの時妻は、それを黙って観察していた私に、「もうイヤ」と呟いた。しかし私がトイレに行くふりをして、こっそりクローゼットの隅から覗いていると、妻は自らの意思でキスを迫り、その見ず知らずの薄汚い中年男の舌に激しく舌を絡めながら、自ら腰を振りまくっていた。
![ウツボ20_convert_20160422174045](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/2016042219074069b.jpg)
妻はそんな女なのだ。元々は性には疎い純粋な女だったが、しかし夫の私が異常性欲者だったため、知らず識らずのうちにそこまで開発されてしまっていたのだ。
そんな妻の内面に隠された変態性欲を思い出しながら、更に激しくペニスをシゴいていると不意に真正面にある扉がギィッと開いた。
扉の向こうから出てきたのはさっきの掃除のおばさんだった。勃起したペニスをシゴいている私の姿をいきなり真正面から見せつけられたおばさんは、たちまちデッキブラシを片手に持ったままその場に固まってしまった。
それでも私は行為を続けた。わざとおばさんに見せつけるようにしながら、大きく股を開いてシゴいて見せた。
ソッとおばさんの顔を見てみると、おばさんはギュっと顔を顰めながら、まるで生ゴミに湧いたウジ虫を見るような目で私を見ていた。
そんなおばさんの冷たい視線が更に私の異常性欲を刺激した。堪らず私はおばさんに向かって「出ます……見ててください……」と呟くと、尿道から勢いよく噴き出した真っ白な精液を、目の前に置いてあったアロエのボディーソープのペットボトルにぶっかけたのだった。
![ウツボ21_convert_20160422174100](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/201604221908132fe.jpg)
浴場を出ると、腰にバスタオルを巻いたまま休憩室へと向かった。寝ているうちに溜まった精液を吐き出した私の足取りは妙に軽かった。
『とくダネ』が垂れ流しにされている無人の休憩室で無料のミネラルウォーターを一気に飲み干した。その紙コップを屑篭に捨てると同時に、腰に巻いたバスタオルを脱衣カゴに投げ捨て、そのままロッカー室へと向かった。
浴衣を羽織って暗幕カーテンを開けると、フロントには昨夜のネズミ男の姿があった。
ネズミ男は、カウンターに寄りかかりながら『スッキリ』を見ていた。私に気付くと、テレビをジッと見たまま「こいつは悪い奴だよ」と独り言のように呟きながら、私のルームキーを木箱から取り出した。
そんなテレビに映っていたのはトトロのような顔をした太った中年男だった。画面のテロップには『知的障害のある女性ばかりを狙った犯行』と表示されていた。
話のきっかけを作るチャンスだと思った私は、「何やったんですかコイツ」と言いながらテレビを覗くと、ネズミ男はなぜか自慢げに、「障害者をヤっちゃったらしいよ」と答えた。
「そんな女とヤって楽しいんですかね……」
私はそう呟きながらルームキーを摘んだ。
「楽しいんだろうね。世の中には変な趣味な奴がいっぱいいますからね」
そう苦笑いするネズミ男を、「ところで……」と横目で見つつ、私は玄関に並べてあったホテルのスリッパを履きながら、「このサウナって女性でも入れるんですか?」と単刀直入に聞いてみた。
ネズミ男は、「え?」と私の顔を見た。
私は手に持っていたスマホを見せつけながら、「いえね、さっきこのサウナの営業時間を調べたくてネットを見てたら、女性がこのサウナに入ってるブログを見つけましてね……」と、唇の端をいやらしく歪ませた。
一瞬、ネズミ男の目が鋭くなった。私はカウンターに身を乗り出した。そしてネズミ男の耳元に、「私もそっちの趣味があるんです。ですから——」と声を潜めると、ネズミ男は微かに右眉を吊り上げながら「知らないねぇ……」と小さく頷いた。
それでも私は、更に「いや、ですから、このブログに……」と言いながら、さっきのブログを開こうとすると、ネズミ男は私を無視するかのように再びテレビに目をやった。そしてその蛭子能収のような顔をした犯人を見つめながら、「こいつは本物の悪党だよ……」と呟いたのだった。
(つづく)
《←目次》《8話へ→》
緊急地震速報の受信音によく似たアラーム音には一向に慣れることができなかった。だから私の心臓は、毎朝目覚めと共に激しく鼓動していた。だったらアラーム音を変えればいいじゃない、と妻は言ったが、しかし、音を変えたら今度は起きられないのではないかという不安に駆られ、結局この二年間、毎朝私はそのアラーム音に仰天し続けている。
バサッと起き上がると、急いでサイドテーブルの上のスマホを鷲掴みし、その忌々しいアラームを止めた。テレビのスイッチを入れ、再びベッドにドスンッと崩れ落ちると、眠い、寝たい、眠い、寝たい、と頭の中で繰り返しながら、必要以上にフカフカなホテルの枕に頭部を埋めた。
テレビから『めざましジャンケン』が聞こえてきた。
私の朝の楽しみは、『めざまし』のカトパンを見ながら朝立ちした陰部を弄る事だった。全裸で四つん這いになったカトパンが、三宅アナにクタクタと指マンされながらシャーシャーと潮を吹き、そうされながらも、あのポッテリとした唇で軽部アナの巨大な包茎ペニスにしゃぶりついては悶えているといった、そんな妄想と共にカトパンを楽しんでいた。
しかし、そんなカトパンが突然『めざまし』から姿を消した。
だから私は、さっそくNHKの『おかさんといっしょ』に乗り換え、たくみお姉さんの見事な美脚にシコシコとよからぬ妄想を抱いていたのだが、しかし不運にも、そのたくみお姉さんも、この春『おかさんといっしょ』を卒業してしまい、朝の私の楽しみは尽く潰されてしまったのだった。
漁業組合には十時に伺う事になっていた。まだ三時間近くも時間があった。
煙草で黄ばんだ天井を見つめながら微睡んでいると、寝惚けた脳に昨夜の記憶がぼんやりと浮かんできた。
あれは夢だったのだろうか?
そう思いながら記憶を辿っていくと、次第にサウナ室の汗臭さやナイター中継の篭った音、専務のペニスをしゃぶる熊の姿や、私の精液を口で受け止めるナマズの顔などが鮮明に蘇ってきた。
快感と不快感が交互に襲ってきた。あの状況で、妻になりきって射精したのは今までにない快楽だったが、しかし元々男に興味がないせいか、あの男たちのスネ毛や吹き出物だらけの尻を思い出す度に怒りと吐き気を覚えた。
そんな複雑な心境で勃起したペニスを弄っていると、ふと、もしあのまま、妻になりきった私が本当に彼らをこの部屋に招いていたらどうなっていただろうかと、そのおぞましい光景をリアルに想像してしまった。
するとその想像は、いつしか妻があの醜い男たちに無残に嬲られているシーンへと変わった。四つん這いにされた妻が、開脚前屈の男に巨大な肉棒をズボズボとピストンされていた。そして同時にナマズ男の肉棒を咥えさせられながらウグウグと唸っていた。
そんな妻の陰部はドロドロに濡れていた。妻の汁によってその結合部分がブチャブチャといやらしい音を奏でいた。
妻は後ろめたそうな目で私をジッと見ていた。それはあの時と同じ目だった。そんな目で私を見つめながら、妻は密かに何度も絶頂に達していたのだった。
![ウツボ17_convert_20160422173953](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190735c27.jpg)
気がつくと、私は発情した男子学生のようにペニスをしごきまくっていた。そう気づいた時には既にイキそうになっており、このまま掛け布団の裏側に発射してしまおうかどうしようかと悩みながら、その手の動きと快感を微調整していたのだった。
しばらく考えた後、私はある決心をした。今からもう一度あのサウナへ行きそこで射精しよう、と。
一触即発の肉棒からパッと手を離し、その手でスマホを掴んだ。サウナの営業時間を調べようと思い、グーグルで『新潟 サウナキング』と検索すると、『温泉情報ガルバー』というサイトがトップに表示された。そこには施設情報とアクセスと口コミが書かれていた。
サウナキングは二十四時間営業だった。入浴料は千八百円で、零時を過ぎると深夜料金となり二千五百円に跳ね上がっていた。口コミは一件だけだった。タイトルには「キモい!」と書かれ、コメントには「最悪です」とだけ書かれていた。当然、星はひとつだった。
この口コミを書いた人は、きっと至って正常な人だったんだろうなと思いながらスマホを閉じようとすると、ズラリと並んだ検索結果の中に『ハッテン場』という文字を見つけ、不意に指が止まった。
それは、『ミーコとケンヤの全国露出旅』というブログだった。露出趣味のあるカップルが全国を露出しながら旅するという実に馬鹿げた内容で、その中の『まさかのハッテン場に潜入!』という記事にサウナキングのことが書かれていた。
記事には、『さすがは信越最大のハッテン場です、男性専用サウナなのに女性の私でも普通に入場させてくれました』と書いてあり、その女が見知らぬ一般の客と性器の洗い合いをしている画像がアップされていた。
![ウツボ18_convert_20160422174012](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190737cf5.jpg)
その画像に強烈な衝撃を受けた私は、もしそれが本当に可能であるのなら、昨夜私が抱いていた変態願望も夢ではないと鼻息を荒くした。
それを確かめようと、私は早々とベッドから飛び起きた。プラスチック棒のルームキーを鷲掴みにし、乱れた浴衣を整えながら部屋のドアを開けると、静まり返った朝の廊下にスタスタとスリッパの音を鳴らしたのだった。
エレベーターを降りると、早朝だというのにボイラーの音が響いていた。こんな時間にも客がいるのだろうかと思いながら恐る恐る自動ドアを開けると、赤い絨毯の通路に掃除機を持ったおばさんが立っていた。
カウンターに昨夜の親父の姿はなかった。掃除のおばさんが、「ホテルのお客さんだね」と確認しながら面倒臭そうにカウンターにやってきた。
あの親父になら、本当にこのサウナであのブログのような出来事が可能なのかどうか確認できそうだったが、しかし、さすがにこのおばさんにはそれを確認することはできないと思った。
私は小さく舌打ちしながらルームキーをカウンターの上に置いた。五十を過ぎたおばさんはそれを素早くカウンター裏の木箱に落とすと、馬のような出っ歯を剥き出しにしながら、「浴場は八時から掃除に入るからサウナはストップだよ」と呟いた。
浴場には数人の先客がいた。昨夜は先客達のいやらしい視線を痛いほどに感じたが、しかし今朝は私をそんな目で見る者は一人もいなかった。
見るからにノーマルな人達ばかりだった。恐らく彼らは、ここがどんな所なのか何も知らないホテルの宿泊客だろう。
そんな先客を横目に、私は昨夜と同じ洗い場に腰を下ろした。白いボディーソープを手の平にピュッピュッとプッシュすると、不意に、あの男の精液を手の平に吐き出していた妻の姿を思い出した。
途端にムラムラと欲情した私は、手の平に溜まったボディーソープを身体中に塗りたくった。既にビンビンに反り立っていたペニスにも、それをゆっくりと塗り込んだ。
背後の洗い場では二人の男が体を洗っていた。その男たちを鏡で観察しながら腰を浮かし、股の裏に手の平を滑り込ませた。
男性サウナの洗い場で変態男たちに尻を嬲られている妻。
そんな設定で妻になりきった私は、背後の男たちに向けてソッと尻肉を開いた。剥き出された肛門に指腹をヌルヌルと滑らせながら、「やめて下さい」と妻の声真似をして呟いてみると、男たちのヌルヌルした指の動きにジッと耐えている妻の姿がリアルに浮かんできた。
![ウツボ19_convert_20160422174030](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/201604221907384c3.jpg)
そんな妄想にクラクラと目眩を感じながらペニスをシゴきまくった。ボディーソープがくちゃくちゃといやらしい音を立て、背後の男たちに気付かれるのではないかとヒヤヒヤしながらシゴきまくっていた。
妄想の中では、変態男たちが代わる代わる妻に精液をかけていた。顔、胸、背中、尻。その屈辱的な液体を全身に吹きかけられながらも、それでも妻はジッと耐えていた。
しかし私は知っていた。妻は密かにそんな陵辱に悦びを感じている事を。
あの時もそうだった。あのラブホテルの赤いソファーの上で、見ず知らずの単独男にユッサユッサと体を揺さぶられていた時もそうだった。
あの時妻は、それを黙って観察していた私に、「もうイヤ」と呟いた。しかし私がトイレに行くふりをして、こっそりクローゼットの隅から覗いていると、妻は自らの意思でキスを迫り、その見ず知らずの薄汚い中年男の舌に激しく舌を絡めながら、自ら腰を振りまくっていた。
![ウツボ20_convert_20160422174045](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/2016042219074069b.jpg)
妻はそんな女なのだ。元々は性には疎い純粋な女だったが、しかし夫の私が異常性欲者だったため、知らず識らずのうちにそこまで開発されてしまっていたのだ。
そんな妻の内面に隠された変態性欲を思い出しながら、更に激しくペニスをシゴいていると不意に真正面にある扉がギィッと開いた。
扉の向こうから出てきたのはさっきの掃除のおばさんだった。勃起したペニスをシゴいている私の姿をいきなり真正面から見せつけられたおばさんは、たちまちデッキブラシを片手に持ったままその場に固まってしまった。
それでも私は行為を続けた。わざとおばさんに見せつけるようにしながら、大きく股を開いてシゴいて見せた。
ソッとおばさんの顔を見てみると、おばさんはギュっと顔を顰めながら、まるで生ゴミに湧いたウジ虫を見るような目で私を見ていた。
そんなおばさんの冷たい視線が更に私の異常性欲を刺激した。堪らず私はおばさんに向かって「出ます……見ててください……」と呟くと、尿道から勢いよく噴き出した真っ白な精液を、目の前に置いてあったアロエのボディーソープのペットボトルにぶっかけたのだった。
![ウツボ21_convert_20160422174100](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/201604221908132fe.jpg)
浴場を出ると、腰にバスタオルを巻いたまま休憩室へと向かった。寝ているうちに溜まった精液を吐き出した私の足取りは妙に軽かった。
『とくダネ』が垂れ流しにされている無人の休憩室で無料のミネラルウォーターを一気に飲み干した。その紙コップを屑篭に捨てると同時に、腰に巻いたバスタオルを脱衣カゴに投げ捨て、そのままロッカー室へと向かった。
浴衣を羽織って暗幕カーテンを開けると、フロントには昨夜のネズミ男の姿があった。
ネズミ男は、カウンターに寄りかかりながら『スッキリ』を見ていた。私に気付くと、テレビをジッと見たまま「こいつは悪い奴だよ」と独り言のように呟きながら、私のルームキーを木箱から取り出した。
そんなテレビに映っていたのはトトロのような顔をした太った中年男だった。画面のテロップには『知的障害のある女性ばかりを狙った犯行』と表示されていた。
話のきっかけを作るチャンスだと思った私は、「何やったんですかコイツ」と言いながらテレビを覗くと、ネズミ男はなぜか自慢げに、「障害者をヤっちゃったらしいよ」と答えた。
「そんな女とヤって楽しいんですかね……」
私はそう呟きながらルームキーを摘んだ。
「楽しいんだろうね。世の中には変な趣味な奴がいっぱいいますからね」
そう苦笑いするネズミ男を、「ところで……」と横目で見つつ、私は玄関に並べてあったホテルのスリッパを履きながら、「このサウナって女性でも入れるんですか?」と単刀直入に聞いてみた。
ネズミ男は、「え?」と私の顔を見た。
私は手に持っていたスマホを見せつけながら、「いえね、さっきこのサウナの営業時間を調べたくてネットを見てたら、女性がこのサウナに入ってるブログを見つけましてね……」と、唇の端をいやらしく歪ませた。
一瞬、ネズミ男の目が鋭くなった。私はカウンターに身を乗り出した。そしてネズミ男の耳元に、「私もそっちの趣味があるんです。ですから——」と声を潜めると、ネズミ男は微かに右眉を吊り上げながら「知らないねぇ……」と小さく頷いた。
それでも私は、更に「いや、ですから、このブログに……」と言いながら、さっきのブログを開こうとすると、ネズミ男は私を無視するかのように再びテレビに目をやった。そしてその蛭子能収のような顔をした犯人を見つめながら、「こいつは本物の悪党だよ……」と呟いたのだった。
(つづく)
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吐泥(へろど)8
2013/06/13 Thu 00:01
常識的に考えて、あんな事を客が勝手にできるはずがなかった。もしこれが客が勝手にやった事なら、彼らはとっくに店側から訴えられ、ブログのあの記事も削除されているはずなのだ。
しかし彼らは、未だ堂々とあの記事をブログにアップしている。という事は、店側は彼らのあの行為を黙認していたに違いなく、店側はそれを知ってて彼らに場所を提供した可能性は非常に高いのだ。
しかし、それでもネズミ男は、「知らないねぇ……」とシラを切った。
きっとネズミ男は、あれが公然猥褻罪という違法行為になる事を知っているのだ。そしてそれを店側が黙認していたとなると、店側も何らかの罰則を受ける可能性がある事もネズミ男は知っているのだ。だからネズミ男は、一見の客である私を警察か何かと勘違いし、警戒しているのだった。
(やはり、頻繁に通って常連にならなければ情報は得られないか……)
そう諦めると、不意にカウンター裏のカーテンがサッと開いた。そこから顔を出したのは例の掃除のおばさんだった。
おばさんは、「店長、明日のシフトなんですけど……」と言いながらチラッと私を見た。そして私を見るなりギョッと目を見開き、慌ててネズミ男の耳元に顔を近づけたのだった。
おばさんは、私を横目で睨みながら何やらコソコソと話していた。ネズミ男は「ウンウン」と小さく頷きながら、意味ありげに私をジッと睨んでいた。
おばさんが私の事を話しているのは一目瞭然だった。恐らく、私がセンズリを見せつけた事を告げ口しているのだ。
(マズいぞ……)
そう思いながら早々と店を出ようとした。
するとネズミ男は、「わかった、わかった」と言いながらおばさんの顔を引き離した。そして「もう上がっていいから」と、さっさとおばさんをカーテンの裏へと追いやると、店を出ようとしていた私を、いきなり「あんた」と呼び止めたのだった。
「誤解です、あれはあのおばさんに見せつけるつもりじゃなかったんです」
振り向きざまにそう言い訳した。実際、あれは意図的に見せたのではなく、偶然に見られたのだ。まして相手は毒虫のような顔をしたおばさんであり、どちらかといえば、見られた私の方が被害者なのだ。
そう必死に言い訳しようとすると、ネズミ男はテレビをジッと見つめたまま、突然「どっちですか」と聞いてきた。
「どっち?……って何が?」
「参加する方か、参加させる方か、どっちです」
「…………」
一瞬その意味がわからなかったが、しかしすぐに理解できた。
恐らくネズミ男は、私があのおばさんに射精シーンを見せつけた事を知り、私が警察関係者ではないと思ったのだろう。それで私を信用し、自分がそのプレイに参加したいのか、それとも妻をプレイに参加させたいのかと、そう聞いているのだ。
すかさず私は「参加させる方です」と答えた。ネズミ男はジロッと私を見つめながら「奥さんかね」と聞いた。私がコクンっと頷くと、ネズミ男は再びテレビに視線を戻し、静かにチャンネルを変えた。
『羽鳥慎一モーニングショー』でも蛭子能収似の犯人が取り上げられていた。こちらは『スッキリ』とは違い、犯人が知的障害者の女性を施設から連れ出そうとしている監視カメラの映像が繰り返し流されていた。
ネズミ男は、そんな映像を見ながら自分の股間をスリスリと撫で始めた。そしてジャージに浮かんだ肉棒をグイグイと握りながら、「知的障害者の女ってのは凄く乱れるんだよ……あいつら本能で生きてるからね、ズボズボとチンポをピストンしてやると、獣みたいな声を出してヨガるんだな……」と呟き、いやらしい目をして微笑んだ。
「……障害者とヤッたことあるんですか?」
恐る恐るそう聞くと、ネズミ男は財布の中から一枚のカードを取り出した。そしてそれを自慢げに私に見せびらかしながら、「こう見えても私は、こんな資格を持ってるのだ」と笑った。そのカードには、『知的障害者福祉司』と書いてあった。それを見た瞬間、(こいつは本物だ)と息を飲んだ。そしてその公序良俗に反した凄まじい光景を想像しては背筋を震わせたのだった。
![ウツボ22_convert_20160422174114](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190815f8d.jpg)
「で、あんたの奥さんの歳はいくつだい」
ネズミ男は、そのいやらしい目で私を見たまま言った。
不意にネズミ男に滅茶苦茶に犯される妻を想像してしまった私は、複雑な気持ちで「三十です……」と答えた。
「三十ですかぁ……おいしい年頃だな……」
「…………」
「寝取られの経験は?」
「……一度だけ……」
そう答えると、ネズミ男は嬉しそうに目を丸めながら「一回ってか!」と身を乗り出した。
「はい……一度だけネットで募集した単独さんと……」
「……そりゃあ、ほとんど素人ですなぁ……」
ネズミ男はそういやらしく笑うと、独り言のように「なかなか面白そうだ……」と呟いた。そしてカウンターの上に置いてあったセブンスターの箱にソッと指を伸ばすと、「深夜0時以降なら……ホテルの客も一般客もほとんどいませんから……大丈夫ですよ」と、意味ありげに笑った。
「12時を過ぎれば、妻もここに入れるということですね」
身を乗り出してそう念を押すと、ネズミ男は唇の端をいやらしく歪めながら「但し、火曜日はダメですよ。私は毎週火曜日が休みですから」と呟き、カサカサと音を立てながらセブンスターの箱の中を指で弄った。
煙草をつまみ出そうとするネズミ男の指の動きと、あの時の単独男の指の動きが、不意に私の頭の中で重なった。
ラブホテルのベッドの上で、妻は四つん這いにされていた。
黒いブラジャーがずらされると豊満な乳肉が溢れ出し、それがひょうたんのように垂れてタプンっと波打った。黒いパンティーがずらされると、真っ白な肌にウヨウヨと生える陰毛がモサッと顔を出し、その中心にある一本線の裂け目がクニャッと見えた。
妻の真後ろに腰を下ろす単独男は、そのムチムチとした尻肉をいやらしく撫でながら、ソッと尻の裏を覗き込んだ。そして卑猥に黒ずんだ部分を犬のようにクンクンと嗅ぎながら、「人妻の匂いがしますね……」と微笑んだ。
妻は、今にも泣き出しそうな目で、ベッド脇のソファーに腰掛ける私をじっと見ていた。そして震える声で「やっぱり無理……」と何度も呟くが、しかし私はそれを無視し、その悲惨な妻の姿を見ながら無言でペニスをシゴいていた。
しばらくすると、尻肉を撫でていた単独男の指が、大きく開いた尻の谷間に下りていった。二本の指はゆっくりと肛門を通過すると、ピタリと口を閉じていた二枚の陰唇の隙間にネチャッと滑り込んだ。
![ウツボ23_convert_20160422174131](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190816e1e.jpg)
灰色の陰唇が捲られ、テラテラと濡れ輝くピンク色の内臓が剥き出された。そこに男の指がヌルヌルと滑り始めると、それと同時に妻はサッと私から顔を背け、枕に顔を押し付けた。
指の動きが早くなるにつれ、枕に顔を埋める妻の呼吸はゴール直後のマラソン選手のように早くなっていた。
しばらく表面をヌルヌルと滑っていた指だったが、しかし遂に小さな穴を指先に捕らえると、男は躊躇うことなく、指を根元までヌルリと滑り込ませた。
妻の呼吸はたちまち悲鳴へと変わった。指は穴の中を滅茶苦茶に掻き回し、そこにクタクタと卑猥な音を鳴らした。穴から溢れ出た透明の汁が男の手首を伝わり、ベッドのシーツにポタポタと垂れていた。
妻は枕に押し付けていた顔をイヤイヤと左右に振りながら、その垂れ下がった豊満な乳肉をタプタプと激しく揺らした。
すると男はそんな妻の体をいきなり反転させ、わざと私に見せつけるかのようにして、仰向けに寝転がした妻の穴に更に二本の指を挿入した。
ドロドロに濡れた穴の中に四本の指をピストンさせながら、男はソッと妻の耳元に唇を這わせた。「旦那さんが見てますよ」と野太い声で囁くと、我に返った妻は赤子のような泣き声で喘ぎ出し、「見ないで、見ないで」と必死にもがき始めた。
しかし男の指は今までになく激しくピストンされ、グチャグチャという卑猥な音でそんな妻の声を掻き消した。すると突然、そんな妻の声がピタリと止まり、それと同時に妻の下半身がビクンっと跳ね上がった。
一瞬の沈黙の中、穴に突き刺さった四本の指の隙間から、いきなり透明の液体がビュッと飛び出した。それは男の指の動きに合わせ、ビュッ、ビュッ、と断続的に噴射した。そんな妻は、まるでくしゃみを我慢しているような顔をしながら、ヒクヒクと全身を痙攣させていたのだった。
![ウツボ24_convert_20160422174203](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/2016042219081858c.jpg)
ネズミ男がセブンスターの箱を弄る指の動きを見ていると、そんな残酷な光景が鮮明に蘇ってきた。
胸に次々と熱いものが込み上げ、それをゆっくりと吐き出していると、いきなりカウンターから身を乗り出したネズミ男が私の股間を指差し、「大丈夫かね」と笑った。
見ると、肌けた浴衣のブリーフには激しく勃起した肉棒の形がくっきりと浮かび上がっていた。しかもブリーフの一部はじっとりと湿り、卑猥にテラテラと輝いていた。
慌てて浴衣を元に戻した。すると、それを覗き込んでいたネズミ男が突然私の手首を掴み、「ちょっと、休んでいきませんか」と意味ありげに笑ったのだった。
カウンターの裏にある煙草臭い小部屋に連れて行かれた私は、まるで操り人形のようにソファーに座らされ、ブリーフを足首まで下ろされた。
ネズミ男は、「カチカチですね」と笑いながら私の足元にソッとしゃがんだ。そしてそれを根元からギュッと握ると、「奥さんが、見ず知らずの男のペニスをこうする所を見たいんですか」と囁き、それをゆっくりとシゴき始めた。
「……はい……見たいです……私の妻を滅茶苦茶に犯して下さい……」
そう声を震わせると、ネズミ男は不敵にニヤリと笑いながら、「私に任せなさい」と頷き、そのまま私のペニスをペロリと口に含んだ。そして、まるで欲情した女のように目を半開きにさせながら、顔を前後に振り始めた。
男にしゃぶられたのは初めてだった。私は異常性欲者だったがその趣味だけはなかった。
しかし、ジュルジュルと音を立てながらそれをしゃぶるネズミ男を見ていると、不意にそれが妻に見えてきて、妻もこうして見ず知らずの男たちのペニスをしゃぶるのだろうかと想像していると、たちまち尿道の底からゾクゾクとしたものがこみ上げてきた。
私は両足をピーンっと伸ばした。そしてネズミ男の薄くなった頭部を優しく撫でながら、「ゆきこ……」と囁くと、彼の生暖かい口内に欲望の塊を吐き出した。
朦朧とした意識の中、醜い中年男がペニスを咥えたままゴクリと喉を鳴らすのを見た。
その瞬間、不意に、何故カトパンは『めざまし』を卒業したのだろうかという、どうでもいい事が頭に浮かんだ。
![ウツボ25](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/2016042219081928f.jpg)
(つづく)
《←目次》《9話へ→》
しかし彼らは、未だ堂々とあの記事をブログにアップしている。という事は、店側は彼らのあの行為を黙認していたに違いなく、店側はそれを知ってて彼らに場所を提供した可能性は非常に高いのだ。
しかし、それでもネズミ男は、「知らないねぇ……」とシラを切った。
きっとネズミ男は、あれが公然猥褻罪という違法行為になる事を知っているのだ。そしてそれを店側が黙認していたとなると、店側も何らかの罰則を受ける可能性がある事もネズミ男は知っているのだ。だからネズミ男は、一見の客である私を警察か何かと勘違いし、警戒しているのだった。
(やはり、頻繁に通って常連にならなければ情報は得られないか……)
そう諦めると、不意にカウンター裏のカーテンがサッと開いた。そこから顔を出したのは例の掃除のおばさんだった。
おばさんは、「店長、明日のシフトなんですけど……」と言いながらチラッと私を見た。そして私を見るなりギョッと目を見開き、慌ててネズミ男の耳元に顔を近づけたのだった。
おばさんは、私を横目で睨みながら何やらコソコソと話していた。ネズミ男は「ウンウン」と小さく頷きながら、意味ありげに私をジッと睨んでいた。
おばさんが私の事を話しているのは一目瞭然だった。恐らく、私がセンズリを見せつけた事を告げ口しているのだ。
(マズいぞ……)
そう思いながら早々と店を出ようとした。
するとネズミ男は、「わかった、わかった」と言いながらおばさんの顔を引き離した。そして「もう上がっていいから」と、さっさとおばさんをカーテンの裏へと追いやると、店を出ようとしていた私を、いきなり「あんた」と呼び止めたのだった。
「誤解です、あれはあのおばさんに見せつけるつもりじゃなかったんです」
振り向きざまにそう言い訳した。実際、あれは意図的に見せたのではなく、偶然に見られたのだ。まして相手は毒虫のような顔をしたおばさんであり、どちらかといえば、見られた私の方が被害者なのだ。
そう必死に言い訳しようとすると、ネズミ男はテレビをジッと見つめたまま、突然「どっちですか」と聞いてきた。
「どっち?……って何が?」
「参加する方か、参加させる方か、どっちです」
「…………」
一瞬その意味がわからなかったが、しかしすぐに理解できた。
恐らくネズミ男は、私があのおばさんに射精シーンを見せつけた事を知り、私が警察関係者ではないと思ったのだろう。それで私を信用し、自分がそのプレイに参加したいのか、それとも妻をプレイに参加させたいのかと、そう聞いているのだ。
すかさず私は「参加させる方です」と答えた。ネズミ男はジロッと私を見つめながら「奥さんかね」と聞いた。私がコクンっと頷くと、ネズミ男は再びテレビに視線を戻し、静かにチャンネルを変えた。
『羽鳥慎一モーニングショー』でも蛭子能収似の犯人が取り上げられていた。こちらは『スッキリ』とは違い、犯人が知的障害者の女性を施設から連れ出そうとしている監視カメラの映像が繰り返し流されていた。
ネズミ男は、そんな映像を見ながら自分の股間をスリスリと撫で始めた。そしてジャージに浮かんだ肉棒をグイグイと握りながら、「知的障害者の女ってのは凄く乱れるんだよ……あいつら本能で生きてるからね、ズボズボとチンポをピストンしてやると、獣みたいな声を出してヨガるんだな……」と呟き、いやらしい目をして微笑んだ。
「……障害者とヤッたことあるんですか?」
恐る恐るそう聞くと、ネズミ男は財布の中から一枚のカードを取り出した。そしてそれを自慢げに私に見せびらかしながら、「こう見えても私は、こんな資格を持ってるのだ」と笑った。そのカードには、『知的障害者福祉司』と書いてあった。それを見た瞬間、(こいつは本物だ)と息を飲んだ。そしてその公序良俗に反した凄まじい光景を想像しては背筋を震わせたのだった。
![ウツボ22_convert_20160422174114](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190815f8d.jpg)
「で、あんたの奥さんの歳はいくつだい」
ネズミ男は、そのいやらしい目で私を見たまま言った。
不意にネズミ男に滅茶苦茶に犯される妻を想像してしまった私は、複雑な気持ちで「三十です……」と答えた。
「三十ですかぁ……おいしい年頃だな……」
「…………」
「寝取られの経験は?」
「……一度だけ……」
そう答えると、ネズミ男は嬉しそうに目を丸めながら「一回ってか!」と身を乗り出した。
「はい……一度だけネットで募集した単独さんと……」
「……そりゃあ、ほとんど素人ですなぁ……」
ネズミ男はそういやらしく笑うと、独り言のように「なかなか面白そうだ……」と呟いた。そしてカウンターの上に置いてあったセブンスターの箱にソッと指を伸ばすと、「深夜0時以降なら……ホテルの客も一般客もほとんどいませんから……大丈夫ですよ」と、意味ありげに笑った。
「12時を過ぎれば、妻もここに入れるということですね」
身を乗り出してそう念を押すと、ネズミ男は唇の端をいやらしく歪めながら「但し、火曜日はダメですよ。私は毎週火曜日が休みですから」と呟き、カサカサと音を立てながらセブンスターの箱の中を指で弄った。
煙草をつまみ出そうとするネズミ男の指の動きと、あの時の単独男の指の動きが、不意に私の頭の中で重なった。
ラブホテルのベッドの上で、妻は四つん這いにされていた。
黒いブラジャーがずらされると豊満な乳肉が溢れ出し、それがひょうたんのように垂れてタプンっと波打った。黒いパンティーがずらされると、真っ白な肌にウヨウヨと生える陰毛がモサッと顔を出し、その中心にある一本線の裂け目がクニャッと見えた。
妻の真後ろに腰を下ろす単独男は、そのムチムチとした尻肉をいやらしく撫でながら、ソッと尻の裏を覗き込んだ。そして卑猥に黒ずんだ部分を犬のようにクンクンと嗅ぎながら、「人妻の匂いがしますね……」と微笑んだ。
妻は、今にも泣き出しそうな目で、ベッド脇のソファーに腰掛ける私をじっと見ていた。そして震える声で「やっぱり無理……」と何度も呟くが、しかし私はそれを無視し、その悲惨な妻の姿を見ながら無言でペニスをシゴいていた。
しばらくすると、尻肉を撫でていた単独男の指が、大きく開いた尻の谷間に下りていった。二本の指はゆっくりと肛門を通過すると、ピタリと口を閉じていた二枚の陰唇の隙間にネチャッと滑り込んだ。
![ウツボ23_convert_20160422174131](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/20160422190816e1e.jpg)
灰色の陰唇が捲られ、テラテラと濡れ輝くピンク色の内臓が剥き出された。そこに男の指がヌルヌルと滑り始めると、それと同時に妻はサッと私から顔を背け、枕に顔を押し付けた。
指の動きが早くなるにつれ、枕に顔を埋める妻の呼吸はゴール直後のマラソン選手のように早くなっていた。
しばらく表面をヌルヌルと滑っていた指だったが、しかし遂に小さな穴を指先に捕らえると、男は躊躇うことなく、指を根元までヌルリと滑り込ませた。
妻の呼吸はたちまち悲鳴へと変わった。指は穴の中を滅茶苦茶に掻き回し、そこにクタクタと卑猥な音を鳴らした。穴から溢れ出た透明の汁が男の手首を伝わり、ベッドのシーツにポタポタと垂れていた。
妻は枕に押し付けていた顔をイヤイヤと左右に振りながら、その垂れ下がった豊満な乳肉をタプタプと激しく揺らした。
すると男はそんな妻の体をいきなり反転させ、わざと私に見せつけるかのようにして、仰向けに寝転がした妻の穴に更に二本の指を挿入した。
ドロドロに濡れた穴の中に四本の指をピストンさせながら、男はソッと妻の耳元に唇を這わせた。「旦那さんが見てますよ」と野太い声で囁くと、我に返った妻は赤子のような泣き声で喘ぎ出し、「見ないで、見ないで」と必死にもがき始めた。
しかし男の指は今までになく激しくピストンされ、グチャグチャという卑猥な音でそんな妻の声を掻き消した。すると突然、そんな妻の声がピタリと止まり、それと同時に妻の下半身がビクンっと跳ね上がった。
一瞬の沈黙の中、穴に突き刺さった四本の指の隙間から、いきなり透明の液体がビュッと飛び出した。それは男の指の動きに合わせ、ビュッ、ビュッ、と断続的に噴射した。そんな妻は、まるでくしゃみを我慢しているような顔をしながら、ヒクヒクと全身を痙攣させていたのだった。
![ウツボ24_convert_20160422174203](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/2016042219081858c.jpg)
ネズミ男がセブンスターの箱を弄る指の動きを見ていると、そんな残酷な光景が鮮明に蘇ってきた。
胸に次々と熱いものが込み上げ、それをゆっくりと吐き出していると、いきなりカウンターから身を乗り出したネズミ男が私の股間を指差し、「大丈夫かね」と笑った。
見ると、肌けた浴衣のブリーフには激しく勃起した肉棒の形がくっきりと浮かび上がっていた。しかもブリーフの一部はじっとりと湿り、卑猥にテラテラと輝いていた。
慌てて浴衣を元に戻した。すると、それを覗き込んでいたネズミ男が突然私の手首を掴み、「ちょっと、休んでいきませんか」と意味ありげに笑ったのだった。
カウンターの裏にある煙草臭い小部屋に連れて行かれた私は、まるで操り人形のようにソファーに座らされ、ブリーフを足首まで下ろされた。
ネズミ男は、「カチカチですね」と笑いながら私の足元にソッとしゃがんだ。そしてそれを根元からギュッと握ると、「奥さんが、見ず知らずの男のペニスをこうする所を見たいんですか」と囁き、それをゆっくりとシゴき始めた。
「……はい……見たいです……私の妻を滅茶苦茶に犯して下さい……」
そう声を震わせると、ネズミ男は不敵にニヤリと笑いながら、「私に任せなさい」と頷き、そのまま私のペニスをペロリと口に含んだ。そして、まるで欲情した女のように目を半開きにさせながら、顔を前後に振り始めた。
男にしゃぶられたのは初めてだった。私は異常性欲者だったがその趣味だけはなかった。
しかし、ジュルジュルと音を立てながらそれをしゃぶるネズミ男を見ていると、不意にそれが妻に見えてきて、妻もこうして見ず知らずの男たちのペニスをしゃぶるのだろうかと想像していると、たちまち尿道の底からゾクゾクとしたものがこみ上げてきた。
私は両足をピーンっと伸ばした。そしてネズミ男の薄くなった頭部を優しく撫でながら、「ゆきこ……」と囁くと、彼の生暖かい口内に欲望の塊を吐き出した。
朦朧とした意識の中、醜い中年男がペニスを咥えたままゴクリと喉を鳴らすのを見た。
その瞬間、不意に、何故カトパンは『めざまし』を卒業したのだろうかという、どうでもいい事が頭に浮かんだ。
![ウツボ25](https://blog-imgs-87-origin.2nt.com/g/u/j/gujin0281/2016042219081928f.jpg)
(つづく)
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