吐泥(へろど)8
2013/06/13 Thu 00:01
常識的に考えて、あんな事を客が勝手にできるはずがなかった。もしこれが客が勝手にやった事なら、彼らはとっくに店側から訴えられ、ブログのあの記事も削除されているはずなのだ。
しかし彼らは、未だ堂々とあの記事をブログにアップしている。という事は、店側は彼らのあの行為を黙認していたに違いなく、店側はそれを知ってて彼らに場所を提供した可能性は非常に高いのだ。
しかし、それでもネズミ男は、「知らないねぇ……」とシラを切った。
きっとネズミ男は、あれが公然猥褻罪という違法行為になる事を知っているのだ。そしてそれを店側が黙認していたとなると、店側も何らかの罰則を受ける可能性がある事もネズミ男は知っているのだ。だからネズミ男は、一見の客である私を警察か何かと勘違いし、警戒しているのだった。
(やはり、頻繁に通って常連にならなければ情報は得られないか……)
そう諦めると、不意にカウンター裏のカーテンがサッと開いた。そこから顔を出したのは例の掃除のおばさんだった。
おばさんは、「店長、明日のシフトなんですけど……」と言いながらチラッと私を見た。そして私を見るなりギョッと目を見開き、慌ててネズミ男の耳元に顔を近づけたのだった。
おばさんは、私を横目で睨みながら何やらコソコソと話していた。ネズミ男は「ウンウン」と小さく頷きながら、意味ありげに私をジッと睨んでいた。
おばさんが私の事を話しているのは一目瞭然だった。恐らく、私がセンズリを見せつけた事を告げ口しているのだ。
(マズいぞ……)
そう思いながら早々と店を出ようとした。
するとネズミ男は、「わかった、わかった」と言いながらおばさんの顔を引き離した。そして「もう上がっていいから」と、さっさとおばさんをカーテンの裏へと追いやると、店を出ようとしていた私を、いきなり「あんた」と呼び止めたのだった。
「誤解です、あれはあのおばさんに見せつけるつもりじゃなかったんです」
振り向きざまにそう言い訳した。実際、あれは意図的に見せたのではなく、偶然に見られたのだ。まして相手は毒虫のような顔をしたおばさんであり、どちらかといえば、見られた私の方が被害者なのだ。
そう必死に言い訳しようとすると、ネズミ男はテレビをジッと見つめたまま、突然「どっちですか」と聞いてきた。
「どっち?……って何が?」
「参加する方か、参加させる方か、どっちです」
「…………」
一瞬その意味がわからなかったが、しかしすぐに理解できた。
恐らくネズミ男は、私があのおばさんに射精シーンを見せつけた事を知り、私が警察関係者ではないと思ったのだろう。それで私を信用し、自分がそのプレイに参加したいのか、それとも妻をプレイに参加させたいのかと、そう聞いているのだ。
すかさず私は「参加させる方です」と答えた。ネズミ男はジロッと私を見つめながら「奥さんかね」と聞いた。私がコクンっと頷くと、ネズミ男は再びテレビに視線を戻し、静かにチャンネルを変えた。
『羽鳥慎一モーニングショー』でも蛭子能収似の犯人が取り上げられていた。こちらは『スッキリ』とは違い、犯人が知的障害者の女性を施設から連れ出そうとしている監視カメラの映像が繰り返し流されていた。
ネズミ男は、そんな映像を見ながら自分の股間をスリスリと撫で始めた。そしてジャージに浮かんだ肉棒をグイグイと握りながら、「知的障害者の女ってのは凄く乱れるんだよ……あいつら本能で生きてるからね、ズボズボとチンポをピストンしてやると、獣みたいな声を出してヨガるんだな……」と呟き、いやらしい目をして微笑んだ。
「……障害者とヤッたことあるんですか?」
恐る恐るそう聞くと、ネズミ男は財布の中から一枚のカードを取り出した。そしてそれを自慢げに私に見せびらかしながら、「こう見えても私は、こんな資格を持ってるのだ」と笑った。そのカードには、『知的障害者福祉司』と書いてあった。それを見た瞬間、(こいつは本物だ)と息を飲んだ。そしてその公序良俗に反した凄まじい光景を想像しては背筋を震わせたのだった。
「で、あんたの奥さんの歳はいくつだい」
ネズミ男は、そのいやらしい目で私を見たまま言った。
不意にネズミ男に滅茶苦茶に犯される妻を想像してしまった私は、複雑な気持ちで「三十です……」と答えた。
「三十ですかぁ……おいしい年頃だな……」
「…………」
「寝取られの経験は?」
「……一度だけ……」
そう答えると、ネズミ男は嬉しそうに目を丸めながら「一回ってか!」と身を乗り出した。
「はい……一度だけネットで募集した単独さんと……」
「……そりゃあ、ほとんど素人ですなぁ……」
ネズミ男はそういやらしく笑うと、独り言のように「なかなか面白そうだ……」と呟いた。そしてカウンターの上に置いてあったセブンスターの箱にソッと指を伸ばすと、「深夜0時以降なら……ホテルの客も一般客もほとんどいませんから……大丈夫ですよ」と、意味ありげに笑った。
「12時を過ぎれば、妻もここに入れるということですね」
身を乗り出してそう念を押すと、ネズミ男は唇の端をいやらしく歪めながら「但し、火曜日はダメですよ。私は毎週火曜日が休みですから」と呟き、カサカサと音を立てながらセブンスターの箱の中を指で弄った。
煙草をつまみ出そうとするネズミ男の指の動きと、あの時の単独男の指の動きが、不意に私の頭の中で重なった。
ラブホテルのベッドの上で、妻は四つん這いにされていた。
黒いブラジャーがずらされると豊満な乳肉が溢れ出し、それがひょうたんのように垂れてタプンっと波打った。黒いパンティーがずらされると、真っ白な肌にウヨウヨと生える陰毛がモサッと顔を出し、その中心にある一本線の裂け目がクニャッと見えた。
妻の真後ろに腰を下ろす単独男は、そのムチムチとした尻肉をいやらしく撫でながら、ソッと尻の裏を覗き込んだ。そして卑猥に黒ずんだ部分を犬のようにクンクンと嗅ぎながら、「人妻の匂いがしますね……」と微笑んだ。
妻は、今にも泣き出しそうな目で、ベッド脇のソファーに腰掛ける私をじっと見ていた。そして震える声で「やっぱり無理……」と何度も呟くが、しかし私はそれを無視し、その悲惨な妻の姿を見ながら無言でペニスをシゴいていた。
しばらくすると、尻肉を撫でていた単独男の指が、大きく開いた尻の谷間に下りていった。二本の指はゆっくりと肛門を通過すると、ピタリと口を閉じていた二枚の陰唇の隙間にネチャッと滑り込んだ。
灰色の陰唇が捲られ、テラテラと濡れ輝くピンク色の内臓が剥き出された。そこに男の指がヌルヌルと滑り始めると、それと同時に妻はサッと私から顔を背け、枕に顔を押し付けた。
指の動きが早くなるにつれ、枕に顔を埋める妻の呼吸はゴール直後のマラソン選手のように早くなっていた。
しばらく表面をヌルヌルと滑っていた指だったが、しかし遂に小さな穴を指先に捕らえると、男は躊躇うことなく、指を根元までヌルリと滑り込ませた。
妻の呼吸はたちまち悲鳴へと変わった。指は穴の中を滅茶苦茶に掻き回し、そこにクタクタと卑猥な音を鳴らした。穴から溢れ出た透明の汁が男の手首を伝わり、ベッドのシーツにポタポタと垂れていた。
妻は枕に押し付けていた顔をイヤイヤと左右に振りながら、その垂れ下がった豊満な乳肉をタプタプと激しく揺らした。
すると男はそんな妻の体をいきなり反転させ、わざと私に見せつけるかのようにして、仰向けに寝転がした妻の穴に更に二本の指を挿入した。
ドロドロに濡れた穴の中に四本の指をピストンさせながら、男はソッと妻の耳元に唇を這わせた。「旦那さんが見てますよ」と野太い声で囁くと、我に返った妻は赤子のような泣き声で喘ぎ出し、「見ないで、見ないで」と必死にもがき始めた。
しかし男の指は今までになく激しくピストンされ、グチャグチャという卑猥な音でそんな妻の声を掻き消した。すると突然、そんな妻の声がピタリと止まり、それと同時に妻の下半身がビクンっと跳ね上がった。
一瞬の沈黙の中、穴に突き刺さった四本の指の隙間から、いきなり透明の液体がビュッと飛び出した。それは男の指の動きに合わせ、ビュッ、ビュッ、と断続的に噴射した。そんな妻は、まるでくしゃみを我慢しているような顔をしながら、ヒクヒクと全身を痙攣させていたのだった。
ネズミ男がセブンスターの箱を弄る指の動きを見ていると、そんな残酷な光景が鮮明に蘇ってきた。
胸に次々と熱いものが込み上げ、それをゆっくりと吐き出していると、いきなりカウンターから身を乗り出したネズミ男が私の股間を指差し、「大丈夫かね」と笑った。
見ると、肌けた浴衣のブリーフには激しく勃起した肉棒の形がくっきりと浮かび上がっていた。しかもブリーフの一部はじっとりと湿り、卑猥にテラテラと輝いていた。
慌てて浴衣を元に戻した。すると、それを覗き込んでいたネズミ男が突然私の手首を掴み、「ちょっと、休んでいきませんか」と意味ありげに笑ったのだった。
カウンターの裏にある煙草臭い小部屋に連れて行かれた私は、まるで操り人形のようにソファーに座らされ、ブリーフを足首まで下ろされた。
ネズミ男は、「カチカチですね」と笑いながら私の足元にソッとしゃがんだ。そしてそれを根元からギュッと握ると、「奥さんが、見ず知らずの男のペニスをこうする所を見たいんですか」と囁き、それをゆっくりとシゴき始めた。
「……はい……見たいです……私の妻を滅茶苦茶に犯して下さい……」
そう声を震わせると、ネズミ男は不敵にニヤリと笑いながら、「私に任せなさい」と頷き、そのまま私のペニスをペロリと口に含んだ。そして、まるで欲情した女のように目を半開きにさせながら、顔を前後に振り始めた。
男にしゃぶられたのは初めてだった。私は異常性欲者だったがその趣味だけはなかった。
しかし、ジュルジュルと音を立てながらそれをしゃぶるネズミ男を見ていると、不意にそれが妻に見えてきて、妻もこうして見ず知らずの男たちのペニスをしゃぶるのだろうかと想像していると、たちまち尿道の底からゾクゾクとしたものがこみ上げてきた。
私は両足をピーンっと伸ばした。そしてネズミ男の薄くなった頭部を優しく撫でながら、「ゆきこ……」と囁くと、彼の生暖かい口内に欲望の塊を吐き出した。
朦朧とした意識の中、醜い中年男がペニスを咥えたままゴクリと喉を鳴らすのを見た。
その瞬間、不意に、何故カトパンは『めざまし』を卒業したのだろうかという、どうでもいい事が頭に浮かんだ。
(つづく)
《←目次》《9話へ→》
しかし彼らは、未だ堂々とあの記事をブログにアップしている。という事は、店側は彼らのあの行為を黙認していたに違いなく、店側はそれを知ってて彼らに場所を提供した可能性は非常に高いのだ。
しかし、それでもネズミ男は、「知らないねぇ……」とシラを切った。
きっとネズミ男は、あれが公然猥褻罪という違法行為になる事を知っているのだ。そしてそれを店側が黙認していたとなると、店側も何らかの罰則を受ける可能性がある事もネズミ男は知っているのだ。だからネズミ男は、一見の客である私を警察か何かと勘違いし、警戒しているのだった。
(やはり、頻繁に通って常連にならなければ情報は得られないか……)
そう諦めると、不意にカウンター裏のカーテンがサッと開いた。そこから顔を出したのは例の掃除のおばさんだった。
おばさんは、「店長、明日のシフトなんですけど……」と言いながらチラッと私を見た。そして私を見るなりギョッと目を見開き、慌ててネズミ男の耳元に顔を近づけたのだった。
おばさんは、私を横目で睨みながら何やらコソコソと話していた。ネズミ男は「ウンウン」と小さく頷きながら、意味ありげに私をジッと睨んでいた。
おばさんが私の事を話しているのは一目瞭然だった。恐らく、私がセンズリを見せつけた事を告げ口しているのだ。
(マズいぞ……)
そう思いながら早々と店を出ようとした。
するとネズミ男は、「わかった、わかった」と言いながらおばさんの顔を引き離した。そして「もう上がっていいから」と、さっさとおばさんをカーテンの裏へと追いやると、店を出ようとしていた私を、いきなり「あんた」と呼び止めたのだった。
「誤解です、あれはあのおばさんに見せつけるつもりじゃなかったんです」
振り向きざまにそう言い訳した。実際、あれは意図的に見せたのではなく、偶然に見られたのだ。まして相手は毒虫のような顔をしたおばさんであり、どちらかといえば、見られた私の方が被害者なのだ。
そう必死に言い訳しようとすると、ネズミ男はテレビをジッと見つめたまま、突然「どっちですか」と聞いてきた。
「どっち?……って何が?」
「参加する方か、参加させる方か、どっちです」
「…………」
一瞬その意味がわからなかったが、しかしすぐに理解できた。
恐らくネズミ男は、私があのおばさんに射精シーンを見せつけた事を知り、私が警察関係者ではないと思ったのだろう。それで私を信用し、自分がそのプレイに参加したいのか、それとも妻をプレイに参加させたいのかと、そう聞いているのだ。
すかさず私は「参加させる方です」と答えた。ネズミ男はジロッと私を見つめながら「奥さんかね」と聞いた。私がコクンっと頷くと、ネズミ男は再びテレビに視線を戻し、静かにチャンネルを変えた。
『羽鳥慎一モーニングショー』でも蛭子能収似の犯人が取り上げられていた。こちらは『スッキリ』とは違い、犯人が知的障害者の女性を施設から連れ出そうとしている監視カメラの映像が繰り返し流されていた。
ネズミ男は、そんな映像を見ながら自分の股間をスリスリと撫で始めた。そしてジャージに浮かんだ肉棒をグイグイと握りながら、「知的障害者の女ってのは凄く乱れるんだよ……あいつら本能で生きてるからね、ズボズボとチンポをピストンしてやると、獣みたいな声を出してヨガるんだな……」と呟き、いやらしい目をして微笑んだ。
「……障害者とヤッたことあるんですか?」
恐る恐るそう聞くと、ネズミ男は財布の中から一枚のカードを取り出した。そしてそれを自慢げに私に見せびらかしながら、「こう見えても私は、こんな資格を持ってるのだ」と笑った。そのカードには、『知的障害者福祉司』と書いてあった。それを見た瞬間、(こいつは本物だ)と息を飲んだ。そしてその公序良俗に反した凄まじい光景を想像しては背筋を震わせたのだった。
「で、あんたの奥さんの歳はいくつだい」
ネズミ男は、そのいやらしい目で私を見たまま言った。
不意にネズミ男に滅茶苦茶に犯される妻を想像してしまった私は、複雑な気持ちで「三十です……」と答えた。
「三十ですかぁ……おいしい年頃だな……」
「…………」
「寝取られの経験は?」
「……一度だけ……」
そう答えると、ネズミ男は嬉しそうに目を丸めながら「一回ってか!」と身を乗り出した。
「はい……一度だけネットで募集した単独さんと……」
「……そりゃあ、ほとんど素人ですなぁ……」
ネズミ男はそういやらしく笑うと、独り言のように「なかなか面白そうだ……」と呟いた。そしてカウンターの上に置いてあったセブンスターの箱にソッと指を伸ばすと、「深夜0時以降なら……ホテルの客も一般客もほとんどいませんから……大丈夫ですよ」と、意味ありげに笑った。
「12時を過ぎれば、妻もここに入れるということですね」
身を乗り出してそう念を押すと、ネズミ男は唇の端をいやらしく歪めながら「但し、火曜日はダメですよ。私は毎週火曜日が休みですから」と呟き、カサカサと音を立てながらセブンスターの箱の中を指で弄った。
煙草をつまみ出そうとするネズミ男の指の動きと、あの時の単独男の指の動きが、不意に私の頭の中で重なった。
ラブホテルのベッドの上で、妻は四つん這いにされていた。
黒いブラジャーがずらされると豊満な乳肉が溢れ出し、それがひょうたんのように垂れてタプンっと波打った。黒いパンティーがずらされると、真っ白な肌にウヨウヨと生える陰毛がモサッと顔を出し、その中心にある一本線の裂け目がクニャッと見えた。
妻の真後ろに腰を下ろす単独男は、そのムチムチとした尻肉をいやらしく撫でながら、ソッと尻の裏を覗き込んだ。そして卑猥に黒ずんだ部分を犬のようにクンクンと嗅ぎながら、「人妻の匂いがしますね……」と微笑んだ。
妻は、今にも泣き出しそうな目で、ベッド脇のソファーに腰掛ける私をじっと見ていた。そして震える声で「やっぱり無理……」と何度も呟くが、しかし私はそれを無視し、その悲惨な妻の姿を見ながら無言でペニスをシゴいていた。
しばらくすると、尻肉を撫でていた単独男の指が、大きく開いた尻の谷間に下りていった。二本の指はゆっくりと肛門を通過すると、ピタリと口を閉じていた二枚の陰唇の隙間にネチャッと滑り込んだ。
灰色の陰唇が捲られ、テラテラと濡れ輝くピンク色の内臓が剥き出された。そこに男の指がヌルヌルと滑り始めると、それと同時に妻はサッと私から顔を背け、枕に顔を押し付けた。
指の動きが早くなるにつれ、枕に顔を埋める妻の呼吸はゴール直後のマラソン選手のように早くなっていた。
しばらく表面をヌルヌルと滑っていた指だったが、しかし遂に小さな穴を指先に捕らえると、男は躊躇うことなく、指を根元までヌルリと滑り込ませた。
妻の呼吸はたちまち悲鳴へと変わった。指は穴の中を滅茶苦茶に掻き回し、そこにクタクタと卑猥な音を鳴らした。穴から溢れ出た透明の汁が男の手首を伝わり、ベッドのシーツにポタポタと垂れていた。
妻は枕に押し付けていた顔をイヤイヤと左右に振りながら、その垂れ下がった豊満な乳肉をタプタプと激しく揺らした。
すると男はそんな妻の体をいきなり反転させ、わざと私に見せつけるかのようにして、仰向けに寝転がした妻の穴に更に二本の指を挿入した。
ドロドロに濡れた穴の中に四本の指をピストンさせながら、男はソッと妻の耳元に唇を這わせた。「旦那さんが見てますよ」と野太い声で囁くと、我に返った妻は赤子のような泣き声で喘ぎ出し、「見ないで、見ないで」と必死にもがき始めた。
しかし男の指は今までになく激しくピストンされ、グチャグチャという卑猥な音でそんな妻の声を掻き消した。すると突然、そんな妻の声がピタリと止まり、それと同時に妻の下半身がビクンっと跳ね上がった。
一瞬の沈黙の中、穴に突き刺さった四本の指の隙間から、いきなり透明の液体がビュッと飛び出した。それは男の指の動きに合わせ、ビュッ、ビュッ、と断続的に噴射した。そんな妻は、まるでくしゃみを我慢しているような顔をしながら、ヒクヒクと全身を痙攣させていたのだった。
ネズミ男がセブンスターの箱を弄る指の動きを見ていると、そんな残酷な光景が鮮明に蘇ってきた。
胸に次々と熱いものが込み上げ、それをゆっくりと吐き出していると、いきなりカウンターから身を乗り出したネズミ男が私の股間を指差し、「大丈夫かね」と笑った。
見ると、肌けた浴衣のブリーフには激しく勃起した肉棒の形がくっきりと浮かび上がっていた。しかもブリーフの一部はじっとりと湿り、卑猥にテラテラと輝いていた。
慌てて浴衣を元に戻した。すると、それを覗き込んでいたネズミ男が突然私の手首を掴み、「ちょっと、休んでいきませんか」と意味ありげに笑ったのだった。
カウンターの裏にある煙草臭い小部屋に連れて行かれた私は、まるで操り人形のようにソファーに座らされ、ブリーフを足首まで下ろされた。
ネズミ男は、「カチカチですね」と笑いながら私の足元にソッとしゃがんだ。そしてそれを根元からギュッと握ると、「奥さんが、見ず知らずの男のペニスをこうする所を見たいんですか」と囁き、それをゆっくりとシゴき始めた。
「……はい……見たいです……私の妻を滅茶苦茶に犯して下さい……」
そう声を震わせると、ネズミ男は不敵にニヤリと笑いながら、「私に任せなさい」と頷き、そのまま私のペニスをペロリと口に含んだ。そして、まるで欲情した女のように目を半開きにさせながら、顔を前後に振り始めた。
男にしゃぶられたのは初めてだった。私は異常性欲者だったがその趣味だけはなかった。
しかし、ジュルジュルと音を立てながらそれをしゃぶるネズミ男を見ていると、不意にそれが妻に見えてきて、妻もこうして見ず知らずの男たちのペニスをしゃぶるのだろうかと想像していると、たちまち尿道の底からゾクゾクとしたものがこみ上げてきた。
私は両足をピーンっと伸ばした。そしてネズミ男の薄くなった頭部を優しく撫でながら、「ゆきこ……」と囁くと、彼の生暖かい口内に欲望の塊を吐き出した。
朦朧とした意識の中、醜い中年男がペニスを咥えたままゴクリと喉を鳴らすのを見た。
その瞬間、不意に、何故カトパンは『めざまし』を卒業したのだろうかという、どうでもいい事が頭に浮かんだ。
(つづく)
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