群がる蟻
2013/06/15 Sat 22:31
せんずり電話1
2013/06/15 Sat 00:02
斜め前のテーブルで、カレーライスを平らげたサラリーマンが席を立った。
昔ながらのカレー皿は底が深くて和式便器のようだ。そこにやたらと黄色いカレールーの残汁がこびりつき、ましてや口を拭いたナプキンが、その皿の横にくしゃくしゃになって置いてあると、それはもう便器以外の何物でもなかった。
さっそくウェイトレスがそのテーブルにやって来た。
その下品な皿の中に卑猥に汚れたナプキンを投げ入れ、それを銀色のお盆の上に乗せると、その横に空のグラスと吸殻二本の灰皿を素早く置いた。
ウェイトレスは黒いミニスカートを履いていた。歳は三十手前で、なかなか色気の漂う足をしていた。
そんなウェイトレスの足や尻をいやらしく眺めていると、ふと、カウンターにいたマスターらしき男が私を睨んでいる事に気づいた。
ウェイトレスはテーブルの上をせっせと拭き始めた。
ウェイトレスの尻が、私の目の前でユッサユッサと揺れていた。
私はそれを見ながら、その黒いミニスカートをペロリと捲り、そこに顔を埋める妄想をした。
暫くすると、ウェイトレスはその丸いテーブルの反対側に移動した。今まで背中を向けていたウェイトレスが正面を向いたため、今度はそのたわわとしたおっぱいを拝む事が出来るようになった。
テーブルを拭く度に、その豊かな柔肉はフルフルと揺れていた。
それをドキドキしながらチラチラと見ていると、不意にその柔肉の先に小さな突起物が薄っすらと浮かんでいる事に気付いた。
(もしかしてノーブラか……)
私はゴクリと唾を飲み込みながら、もう一度それを確かめた。
確かにその突起物は乳首だった。時々、ブラジャーのシワが乳首のように浮かんでいる女を見かけたりする事があるが、しかし、今、目の前にいるこの女のそれは、明らかに乳首以外のなにものでもなかった。
その証拠に、女のTシャツにはブラジャーのラインが浮かんでいなかった。しかも、その柔肉のフルフルとした揺れ方は、まるで水風船をぶらぶらとぶら下げてさせているような動きをしており、どう見てもノーブラとしか思えなかった。
私はそれを確かめるべく、女に「すみません」と声をかけた。
女は、「はい」と言いながらテーブルを拭く手を止めた。
「ここも拭いてもらえますか」
私は、自分のテーブルを指差して言った。そこにはアイスコーヒーから垂れた水滴が岐阜県のような形を作っていた。
女は「あっ、はい」と返事をしながら私の席に向かってきた。チラッと横目でカウンターを見てみると、マスターの表情は酷く焦っていた。
通路側に座っていた私の真横で女は足を止めた。寝起きのような小声で「失礼します」と呟きながらテーブルに台拭きをソッと置き、微かに前屈みになった。
女の胸がすぐ目の前にあった。台拭きを持つ女の右腕が動くなり、ボテっと垂れた乳肉がフルッと揺れた。
やはりその突起物は乳首だった。その形、その位置からして、乳首以外には考えられなかった。
女がテーブルを拭く度に、たわわな乳房が私の目の前でフルフルと揺れた。それが揺れる度に、その突起物もTシャツにスリスリと擦れているのではないかという妄想が膨らみ、思わず亀頭がビクンと疼いた。
残念な事に、岐阜県のような水溜りは一瞬にして台拭きに吸い込まれてしまった。女は小声で「失礼します」と呟くと、そそくさとカウンターに向かって歩き出した。
私は亀頭をジクジクと疼かせながら、去って行く女の尻を目で追っていた。すると再び突き刺さるような視線を感じ、慌てて視線を上げてみると、やっぱりマスターがカウンターから私を睨んでいた。
そんな二人の関係は恐らく夫婦だった。詳しいことはわからないが、しかし、二人の会話やその仕草から見て、二人が夫婦以外の関係であるとは考えにくかった。
私がこの店に来たのは偶然だった。
この日、出張で福井に来ていた私は、取引先との商談を終えた帰り道、たまたまホテルの裏にあったこの喫茶店に一人で立ち寄った。
そこは初めて入った店だった。福井には何度も出張で来ており、その度にこのホテルを利用していたが、今までこの喫茶店の存在は知らなかった。
どこの町にでもある普通の喫茶店だった。カフェのように小洒落てなく、ホテルのティーラウンジのように気取っていないその雰囲気は、四十を目前にした安サラリーマンの私でも気軽に入ることができた。
ドアを開けると、ドアにぶら下がっていた銅のカウベルがカランコロンと牧歌的な音を鳴らした。
店内にはナポリタンスパゲティーの香りがモワモワと漂い、カウンターでコーヒーカップを磨いていたマスターが小さく会釈をした。そんなマスターの頭上には小さなテレビがぶら下がり、夕方のニュースが垂れ流しにされていた。
その昭和的な雰囲気に安堵を覚えながら、私は窓際のテーブルに腰を下ろした。
座るなり手書きのメニューを手にした。そこには、オムライス、海老ピラフ、サンドイッチ、カレーライスと、コレ系の店の定番軽食が並んでいた。裏を見ても、コーヒー、ココア、クリームソーダ、と、親父の私にでもわかりやすいメニューばかりだった。
とかく最近の喫茶店というのは、カフェラテ、エスプレッソ、カプチーノと、意味不明なメニューが多かった。先日も、若い部下達に昼食を誘われ、会社の近くのカフェに連れて行かれたのだが、案の定、何がなんだかわからないメニューばかりだった。
しかしそこで「わからない」というのはあまりにも恥ずかしく、だから私は、別段食べたくもなかったが、その中でも唯一理解できるタコライスを注文した。
料理が出てくるまでの間、緊張を誤魔化すために私は、必死に部下達に能書きを垂らしていた。タコライスは本場兵庫の明石が一番うまい、や、関西に出張に行くと必ず私は『ひっぱりだこ』の駅弁を買うなど、散々言いまくっていた。
が、しかし、出てきたそのタコライスに蛸の姿は微塵もなかった。てっきりタコライスを『たこめし』だと思っていた私は思い切り恥を掻き、まさに茹で蛸の如く真っ赤な顔をしながらそれを急いで平らげたのだった。
そんな私だったため、この喫茶店の雰囲気やメニューに、たちまち私は癒された。これで綺麗なウェイトレスでもいてくれたら申し分ないなどと思いながら窓の外をぼんやり眺めていると、そこに例の女がお冷を持ってやってきた。
決して若くはないが、妙に色気のある女だった。ミニスカートがそう思わせたのか、真っ赤な口紅がそう思わせたのかわからないが、とにかく私はその中年女に性的な魅力を感じた。
まさかその時、この女がノーブラである事など、夢にも思っていなかった。
わざと乳首を見せつけているのか、それともブラジャーを着け忘れたのか。
そんなことを考えながら、丸みを帯びた柔肉のラインや、コリコリとした突起物を思い出していた。
もう一度見たいと思いながらアイスコーヒーを手にし、ストローを唇に挟みつつカウンターにソッと視線を向けた。
一瞬にしてマスターと目が合った。マスターは、人の女房をいやらしい目で見るなと言わんばかりの攻撃的な目つきで私を睨んでいた。
しかし、いくら睨まれても仕方なかった。突然目の前にたわわな乳をフルフルとさせたノーブラ女が現れ、しかもその先には乳首のような突起物が浮かんでいるとなると、これは「見るな」という方がおかしいのだ。
この状況は、それを凝視していた私が悪いのではなく、そうしている女が悪いのであって、私は何も非難される筋合いはないのだ。
だから私はマスターを睨み返してやった。そして堂々と、カウンターの中でグラスを拭いている女の胸を見つめてやった。
すると、何故か突然、それまで鋭かったマスターの目が急に弱々しくなった。その表情は、まるでウ○コをしている柴犬のようであり、見ないで下さいと必死に乞うているようだった。
そんなマスターの突然の変化に違和感を感じた。ノーブラの妻の胸を客に見られたくないのなら、何故マスターは妻にブラジャーを着けさせないのか、そんな疑問が湧いた。
私は思った。もしかしたらあの女は露出狂のサディストなのかも知れないと。だからマスターがブラを着けてくれと悲願しても、あの女はそんなマスターの惨めな姿にサド心がくすぐられ、更に客に恥部を見せては快楽を得ているのではないのかと。
しかし、そんな考えはすぐに消えた。それは、その女の表情に陰りがあったからだ。
女は何かに怯えていた。マスターの隣で黙ってグラスを拭きながらも、その表情には、万引きをした直後の少女のような焦りと怯えが浮かんでいたのだ。
その怯えた表情からして、女は明らかにマゾだった。あの気弱そうな女が、自ら率先して露出しているとは思えなかった。
となると、マスターが妻に露出させているとしか考えられなかった。サディストなマスターは妻に露出を強要し、羞恥に駆られる妻を見て喜んでいるとしか思えなかった。
が、しかし、それも違った。なぜならマスターは、私が女を凝視している時、凄まじい形相で怒りを露わにしていたからだ。
もしマスターが妻に露出を強要するようなサディストなら、そこで怒りを感じるはずがなかった。むしろ、もっと見てくれと言わんばかりに不敵に微笑むはずだった。
しかしマスターは、そんな私に怒りを露わにさせながらも、今度は一転して「もう見ないで下さい」と言わんばかりの情けない表情を見せたりしていた。これはどう考えてもサディストではなく、どちらかといえばマゾヒストなのだ。
(一体これはどういう事なんだ……)
変態の世界を知らない私は、何が何だか分からなくなった。
マゾの夫とマゾの妻。そんな夫婦が、何を目的にしてこんな露出をしているのだろう。
そんな事をぼんやり考えていると、不意にスーツの内ポケットでスマホがヴィィィン、ヴィィィンと震え出した。
電話は部長からだった。
「はい、村山です」と慌てて電話に出ると、部長はいきなり「どこにいる」と不機嫌そうな声で聞いてきた。
喫茶店にいますと言えない小心者の私は、「あっ、はい、その」と焦りながらも、「ホテルに向かっている途中です」と嘘をついた。
「今、先方から連絡があって、お前が出した発注書の数が間違っていると指摘された。すぐに書き直せ」
「す、すみません。大至急書き直して送るようにします」
慌ててそう言うと、部長は「アホが」と捨て台詞を残し、そのままプツっと電話を切ったのだった。
伝票を鷲掴みにし、慌ててレジへと向かった。
レジには、例のノーブラ女が待ち構えていた。
そこに進みながらカウンターをチラッと見ると、マスターは今にも泣き出しそうな表情でレジの女を心配そうに見ていた。
Tシャツから浮き出た乳首を見つめながら、レジカウンターに伝票を置いた。
女はレジを打ちながら「四百円です……」と呟いた。
そんな女の顔には明らかなる羞恥が浮かんでいた。その表情からして、この女の露出は確信犯であることが窺い知れた。
私はポケットから小銭を出しながらも、敢えて堂々とその乳首が浮かんだ胸をジッと見つめてやった。
女は見られている事に気付いているのか、恥ずかしそうに俯きながら尻をモジモジさせた。マスターもエプロンの端をギュッと握りしめながら、必死な形相でこちらを見ていた。
(こいつら……一体何なんだ……)
そう思いながら五百円玉をキャッシュトレイに置いた。
女は「五百円お預かりします」と言いながら、レジの中からお釣りの百円玉を取り出した。
しかし女は、摘んだその百円玉をレジカウンターの裏に落としてしまった。
チャリン、という音と共に女が「すみません」と肩を竦めた。そしてそのままスッとレジカウンターの下にしゃがんでしまった。
女はなかなか出てこなかった。私はそのままそこに足止めを食らっていた。
小さな溜息を吐きながらチラッとマスターを見ると、なぜかマスターの顔は真っ赤に火照っていた。ハァハァと荒い息を吐きながら、マスターはギョッと開いた目でレジカウンターの裏を見つめていた。
んっ? と不思議に思いながら、私もそのレジカウンターの中をソッと覗いてみた。
その瞬間、私の顔もカッと火照り、半開きの唇がわなわなと震えた。
なんとレジカウンターの裏では、女が股を大きく開きながらしゃがんでいた。しかも女はパンティーを履いておらず、赤く爛れたワレメが私に向かってベロリと捲れていたのだった。
(つづく)
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せんずり電話2
2013/06/15 Sat 00:02
不意に私は女性器を見せられた。しかもその女は全く見ず知らずの他人で、それを見せられた場所は喫茶店だった。
その色と形は、喫茶店を出てからも頭から離れなかった。ホテルに戻る途中に立ち寄ったコンビニでも、常にその穴は私の頭の中でヒクヒクと蠢いていた。
ムラムラしながら弁当コーナーへと向かった。せっかく福井くんだりまで出張に来たのだから、夕食くらいは地元の美味しいものを食べたかったが、しかし今の私にはそんな余裕はなかった。
それは金の事ではなく精神的な問題だった。
一刻も早くホテルに戻りたかったのだ。あの女の陰部が頭の中に鮮明に残っているうちにオナニーがしたかったのだ。
そう焦りながら、いつもの唐揚げ弁当を手にした。
すると、ふとその横に置いてあった『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』が目に飛び込んできた。
イカ、エビ、カニ、タコ。真っ赤なマグロとオレンジ色のイクラが、いかにも新鮮そうにテラテラと輝いていた。
(せっかく福井まで来たんだから……)
そう思いながら二百六十八円の唐揚げ弁当を元に戻し、四百九十八円のそれを手にした。
そのままレジに向かったが、レジには会社帰りのOLやサラリーマンが列をなしていたため、落ち着くまで立ち読みでもしておこうと、雑誌コーナーへと向きを変えた。
しかし、そこも人で溢れていた。この近くに専門学校でもあるのか、雑誌コーナーは大勢の若い女の子たちで占領されていた。
そんな中、唯一、ガラガラだったのが成人雑誌コーナーだった。店内は会社帰りのサラリーマンで溢れていたが、さすがにこの状況でエロ本は買えないと思ったのか、サラリーマンたちはそこを横目で見つつも、素通りしていた。
しかし、余所者の私には関係なかった。私は堂々と女の子達に並び、『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』を片手に、堂々と成人雑誌を物色してやった。
ラックには、『ニャン2倶楽部』や『ザ・ベスト』といった定番の雑誌が並んでいた。しかし私は、それらには目もくれず、もっとマイナーでもっとマニアックな、『やりまん四十路妻情報』や『素人のナマ下着』といった変態系雑誌を目で追っていた。
そんな中、素人投稿系雑誌に書いてあった、『深夜の公園に出没する露出夫婦』という文字が目に飛び込んできた。その文字と同時に、さっきのウェイトレスの濡れた陰部が蘇り、思わず深い鼻息をスーッと吐いてしまった。
そんな私のすぐ隣には専門学生風の女の子がいた。一般雑誌のラックから押し出され、ほぼ成人雑誌のラックに割り込んでいた。
そんな女の子の視線を気にしながら、恐る恐る雑誌をラックから抜いた。雑誌の表紙を『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』で素早く隠し、そそくさとその場を立ち去ろうとすると、不意に、隣で立ち読みしていた女の子の巨大なおっぱいが目に飛び込んできた。
擦れ違いざまにその胸を思い切り凝視してやった。その女のタポタポと揺れる真っ白な乳肉を妄想しながら、一刻も早くホテルに帰ってヌキたいという焦燥感に駆られていたのだった。
ホテルの部屋に入るなり急いでズボンを脱いだ。ヌルヌルに湿ったトランクスは気持ちが悪く、早くそれを脱ぎたかったのだ。
スルッとトランクスを太ももまで下げると、半勃ちのペニスがだらりと顔を出した。今までにない強烈な刺激を受けたそれは驚くほどに大量な我慢汁を垂れ流し、トランクスの裏面をぐっしょりと濡らしていた。
(あいつらは……一体何者なんだ……)
そう思いながら、未だドキドキしている自分を落ち着かせようとした。
バサバサと乱暴に抜き取ったティッシュをペニスに押し付け、冷蔵庫からミネラルウォーターを一本取り出した。股間に大量のティッシュを挟んだままその蓋をベキベキッと回し、取り敢えずパソコンを立ち上げた。
ペットボトルの口にチュルチュルと音を立て、乾いた喉に徐々に水を流し込んだ。面白いように喉が、ゴク、ゴク、と鳴った。気がつくと一気に半分以上も飲み干しており、急に怖くなって慌ててペットボトルの口を唇から抜いた。
『六甲のおいしい水』のおかげで、ひとまずドキドキとした鼓動は治まった。
しかし、亀頭の先を濡らす汁をティッシュでカサカサと拭き取っていると、そのうちムラムラとした興奮が胸底から湧き上がり、再びあの濡れた割れ目が鮮明に蘇ってきた。
むちむちとした白い太ももの奥に真っ黒な物体が潜んでいた。
乱雑に伸びまくる陰毛はウヨウヨと肛門にまで逹し、綺麗に整えられたそれよりも、より一層卑猥感を漂わせていた。
そのモサモサとした陰毛の中では、キクラゲのような二枚の黒いビラビラがベロリと捲れ、真っ赤に爛れた粘膜が剥き出されていた。
テラテラと濡れ輝く粘膜の中心には、小さな穴がぽっかりと口を開いており、まるで餌を欲しがる鯉の口のようにヒクヒクと痙攣しては、そこから透明の汁をタラタラと垂らしていた。
そんな卑猥な女性器を思い出しながら亀頭をティッシュで拭いていると、今まで半勃ちだったそれは、いつしかフランクフルトのようにビンッと勃起していた。
ヤリたい。そう思いながらそれを上下にシゴき、もう片方の手でマウスを握った。発注書のひな形を開くと、シコシコしながら急いで発注書を書き直し、それを先方のアドレスに送信した。
すぐさま先方の会社に電話をかけ、書き直した発注書をメールで送ったことを伝えた。そうしながらも私は、ずっとペニスをシゴき続けていたのだった。
電話を切るなり、一刻も早くエロ本で抜こうと思った。
あんなモノをいきなり見せつけられ、このまま正常でいられるはずがないのだ。
コンビニの袋を取ろうとベッドサイドテーブルの上を手探りしていると、不意にスマホが指先に触れた。
その瞬間、ふと面白そうな考えが浮かんだ。
それは、さっきの喫茶店に電話を掛け、あの変態女に卑猥な言葉を囁きながら射精しようという陰気な企みだった。
さっそく私はグーグルマップを開いた。喫茶店の店名がわからなかったため、このホテルをグーグルマップで開き、そこから喫茶店に辿ろうと思ったのだ。
福井市片町で検索し、このホテルを見つけた。そのすぐそばにコーヒーカップのマークが表示されており、そこに『リペア』と書かれていた。
電話番号をメモに控えながら、もう片方の手で勃起しているペニスを握り締めた。そして、こちらの番号がわからないよう最初に『184』をプッシュし、非通知で電話をかけた。
プルルルルル、プルルルルル、とコールが続いた。女が出てくれ、女が出てくれ、と祈りながらペニスを上下にシゴいた。8コールめでやっと電話に出た。受話器の向こうから「はいリペアです」と聞こえてきたその声は、紛れもなくさっき私に性器を見せつけてきたあの女の声だった。
一瞬心臓が飛び跳ね、思わず電話を切ってしまいそうになった。
そのまま私が黙っていると、女は「もしもし?」と何度も言った。その甘ったるい声が脳を掻き回し、あの濡れ輝いた穴や剛毛な陰毛がメラメラと蘇ってきた。
私は声を震わせながら、「あのぅ……」と呟いた。
女は、何の疑いもなく、「はい、リペアでございます」ともう一度店名を繰り返した。
女は普通だった。つい三十分ほど前、見ず知らずの客に陰部を露出していたとは思えない、平然とした口調だった。
私は、そんな女の、まるで何もなかったかのような二重人格性に狂気を感じた。そして同時に、こんな狂った女ならば、誰にでもヤラせてくれるのではないだろうかと思った。
激しい興奮に胸を押し潰されながら、何かに取り憑かれたかのようにペニスをシゴきまくった。気がつくと、スマホに向かって「ハァ、ハァ」と荒い息まで吐いていた。
しかし女は電話を切らなかった。女は受話器の向こうでジッと身を潜め、私の卑猥な呼吸を黙って聞いていた。
明らかに猥褻な悪戯電話であるにもかかわらず、それでも電話を切らないまま、その「ハァ、ハァ」という卑猥な息づかいにジッと耳を傾けているということは、女はそれを受け入れているという証拠だった。
あの女は、見ず知らずの一見の客に陰部を露出するほどの変態なのだ。あんな事を平気でするくらいだから、私以外の客にもそれらしき事をしている可能性は非常に高く、だからこんな悪戯電話はよく掛ってくるのかも知れなかった。
そう思うと、今頃あの変態女は、ノーパンのスカートの中に手を忍ばせているかも知れないと思った。私のこの卑猥な荒い息づかいを聞きながら、あのドロドロに濡れたワレメに指をヌルヌルと滑らせながら、オナニーしているのかも知れないと想像した。
そんな想像と共に更に欲情した私は、遂に女に話しかけた。声を震わせながら「あなたのアソコを舐めさせて下さい……」と囁いた。
女は黙っていた。
すぐさま私はスマホに向かって舌を出し、そして、わざと下品にべちゃべちゃと舌を鳴らした。
「今からそちらに行きます……あなたのアソコを舐めさせてください……肛門まで綺麗に舐めますから僕のチンポも舐めてください……」
そう震える声で囁きながらペニスをシゴいた。
今まで、他人に向かってそんな卑猥な言葉を囁いた事はなかった。満員電車の中や、歩道ですれ違う女に、心の中でそんな事を囁いた事は何度もあったが、しかし、それを声に出して言ったことは一度もなかった。
そんな自分の言葉に激しく興奮した私は、本気であの女とヤリたいと思った。
実際、今からあの喫茶店へ行き、「あなたの奥さんとヤらせて下さい」とマスターに交渉してみるのも一つの方法だった。又、ホテルの部屋番号を教え、「夫婦で来てください」と言ってみるのも一つの手だった。
もしかしたら上手く行くかもしれなかった。あの夫婦は明らかに寝取られ趣味があるか、もしくは露出狂だ。誰にでもヤらせるレベルの変態であり、そんな夫婦なら、もしかしたらその誘いに乗ってくるかもしれなかった。
が、しかし、頭ではそう思っていても、では実際にそんな事が私にできるかと言えば答えはノーだった。
というのは、私は女に対して極度に臆病だからだ。私という男は、親子ほど歳の離れた年下の風俗嬢に対しても敬語を使うほどに気が小さいのだ。
そんな私が女を誘えるわけがなかった。例え相手が誰にでもヤらせる変態女であっても、私のような小心者が公然と女を誘うことなど絶対にありえず、仮に、誘うことができて本当にあの夫婦が部屋にやって来たとしても、恐らく私はドアを開けないであろう。
だから私のような陰気な変態には、こうして悪戯電話でシコシコしている方が性に合っているのである。
気がつくと、私は自分のスマホをベロベロと舐めていた。
そこをベロベロしながら、黒いミニスカートを腰までたくし上げた女の股間に吸い付く妄想を描いていた。
妄想の中の女の陰部はトロトロに濡れ、鼻をくすぐる陰毛は汗臭かった。
女はカウンターに凭れながらハァハァと荒い息を吐き、股間に吸い付く私をジッと見下ろしていた。
カウンターの奥に旦那がいた。他人男に陰部を舐められている妻の姿を複雑な表情で見つめながら、自分のペニスをシゴいていた。
そんな妄想を繰り広げながら、「オマンコ汁が肛門まで垂れてますよ……」とスマホに囁いた。
「肛門も舐めてあげますから、私の顔にお尻を突き出してください……」
そう言いながらペニスをシゴきまくり、スマホにハァハァと熱い息を吐きかけた。
女は黙っていたが、しかし電話を切ろうとはしなかった。ジッと息を潜めたまま、私が囁く卑猥な言葉を聞いていた。
(電話を切らないということは……この女は欲情している……)
そう確信しながら、私は女の尻に顔を埋める妄想をしていたのだった。
(つづく)
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せんずり電話3
2013/06/15 Sat 00:02
センズリ電話は、その電話を切るタイミングが最も難しかった。
それは、相手がいつ電話を切ってしまうかわからないからだった。
センズリ電話というのは、あらかじめ交渉していた相手と電話を通じてプレイするようなテレホンセックスとはわけが違った。
何も知らない相手に不意打ちに電話をかけ、一方的に猥褻な言葉を吐き、そしてさっさと射精してしまうという、実に陰気で実に悪質な犯罪行為だった。
だから、すぐに電話を切られてしまう恐れがあった。
だから、電話を切るタイミングが最も重要だった。
そのタイミングを一歩間違えると、プープーっという切断音を聞きながら射精しなければならず、その精液と興奮の全てを台無しになってしまうのであった。
その点、この女は脈があった。
電話を切る気配は全く感じられず、じっと息を潜めながら、私の『ひとりよがり』を聞いてくれているのだ。
最も、この女は元々そういう女なのだ。見ず知らずの客に、濡れた陰部を見せつけてくるような変態性欲者なのだ。
そんな女は電話を切らない。
私はそう確信していたため、いつものセンズリ電話のように早々と射精せず、じっくりとタイミングを見計らってゆっくりと射精しようと、余裕をかましていたのだった。
「奥さん……ハァハァ……今、私の舌が、奥さんの肛門の中にヌルヌルと入ってますよ……」
女は黙っていた。黙ってはいるが、しかし、女の鼻息は微かに感じ取れた。
「ああああ……オマンコがもうビチャビチャですよ……真っ赤な穴の中からいやらしい汁がトロトロと溢れてますよ……」
私はペニスをシゴきながらそう唸ると、素早くスマホを肩に挟み、コンビニの袋が置いてあるサイドボードに手を伸ばしたのだった。
ガサガサとコンビニの袋を漁り、中から夕食用に買っておいた『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』を取り出した。
「オマンコの中にも舌を入れて欲しいですか……ヌルヌルの穴の中を舌でドロドロに掻き回して欲しいですか……」
そう言いながら寿司の蓋をカパッと開けた。マグロの握りのマグロだけをシャリから捲り取り、それを二つ折りにすると真っ赤な割れ目が出来上がった。
それを二つの枕の間に挟み、割れ目を上に向けてしっかりと固定した。そのままうつ伏せになり、そこにゆっくりと顔を近づけながら、「オマンコを舐めますよ……」とスマホに囁いた。
舌先をチロチロ動かしながら割れ目をこじ開けた。少々生臭かったが、それがよりリアルだった。その舌触りも、かなり小陰唇に近いものがあった。
それをベロベロと舐めながら、うつ伏せでペニスをシゴいた。「奥さんのビラビラが……」とか、「あああ生臭い……」などと呟きながら、本当にあの女の、あの濡れた陰部をペロペロと舐めているシーンを、必死に頭に描いていた。
そんな割れ目に舌を強引にねじ込むと、二つ折りにされていたマグロがサクッと割れた。
勿体ないからそのまま食べた。醤油をつけていないため少々血生臭かったが、それを奥歯でくちゃくちゃと咀嚼しながら再び仰向けになった。
「奥さん。今度は私のペニスを舐めてもらえますかね……」
そう言いながら再び『日本海特選にぎり寿司盛り合わせ』に手を伸ばし、イカの握りのイカだけをシャリから捲り取った。
しかし、その真っ白なイカはパサパサに乾いていたため、このままでは使い物にならないと思い、一度口内に入れて唾液で湿らせることにした。
ツルツルとしたイカの表面に舌を滑らせながら、「奥さん……もう我慢できません……早く、ビンビンに勃起した私のペニスをしゃぶって下さい……」などと囁き、唾液でべっとりと濡れたイカを口からヌルっと取り出した。
「あああ……奥さんの口の中……とっても温かいですよ……」
そう囁きながら、イカを亀頭にペタリとくっ付けた。そしてそれをカリ首の裏や尿道にヌルヌルと滑らせながら、「ああああ、そんなところまでペロペロされたらイッちゃいそうです」などと悶えていると、突然スマホから、「あのぅ……」という男の野太い声が聞こえ、驚いて飛び起きた私は、一瞬にして現実へと引き戻されたのだった。
(しまった……やはりさっきのマグロクンニの時点で射精しとくべきだった……)
そう顔を顰めながら後悔していると、いきなり男が、「さっきのお客さんですよね?」と聞いてきた。
答えられなかった。声が出なかった。いつからこの男は私の話を聞いていたのだろうかと思うと、あまりの恥ずかしさと恐怖で脳が固まってしまったのだ。
私は息を殺しながら、そのまま何も答えず黙っていた。すると男は、「やっぱりさっきまで店にいた方ですね」と勝手に決めつけ、意味ありげに「ふっ」と鼻で笑った。
その、人を小馬鹿にしたような鼻笑いに、一瞬、(この野郎……警察に通報する気か?)と焦ったが、しかし男は、そんな鼻笑いを小刻みに続けながら、「どうでしたか妻のアソコは。興奮しましたか?」と言い出したのだった。
男のその言葉により状況が急展開した。
やはりあいつらは夫婦であり、そして変態だった。あのノーブラや陰部の露出はあの女が勝手にやっていたことではなく、夫であるこの男の指示により女がやらされていたに違いなかった。
そう確信した私は、とりあえず警察に通報される事はないだろうとひとまず安心し、羞恥と恐怖で固まっていた脳をゆっくりと和らげた。
それでもそのまま黙ったままでいると、男は、一人静かにボソボソと語り始めた。
「この女は色情狂なんですよ……いつでもどこでも誰の肉棒でも欲しがるという厄介な病気なんです……」
その内容はともかく、ここでわざわざ『肉棒』などという言葉を使うところが実に胡散臭かった。そんな言葉が普通に出てくるという事は、今までにもコレ系のプレイを相当熟してきているという証拠であり、その言葉から私は、この夫婦は熟練した『寝取られマニア』だと感じ取った。
「実はね、今も私の肉棒にしゃぶりついているんですよ……あなたが、『私のペニスをしゃぶって下さい』なんて言うもんですから、妻は欲情してしまいましてね……ほら、聞こえますか? 肉棒をしゃぶるいやらしい音が聞こえるでしょ?」
男は受話器をそこに向けたのか、いきなりスマホから、べちょ、ぶちょ、という卑猥な音が聞こえてきた。
子供の頃から幾度となくセンズリ電話をしてきた私だったが、しかしこんなことは初めてだった。まさかセンズリ電話で、生のフェラチオの音を聞けるとは思っていなかった。
クラクラと目眩を感じるほどに興奮した私は、その音に合わせてイカを亀頭にヌルヌルと滑らせた。そして、営業中のカウンターの裏で、マスターのペニスをしゃぶりまくっている女の姿を想像した。
いくら男が話しかけてきても、私は何も喋らなかった。無言で妄想しながらシコシコとシゴいていた。
だから男は一方的に話していた。今、女の舌がどのように蠢いているとか、しゃがんだ女の股間から見える陰部はどうなっているかなど、まるで解説者のように事細かく教えてくれた。
そんな中、不意に男の、「よし……もういいぞ……」という声が聞こえた。それと同時に、まるで排水溝に溜まった水が消える瞬間のような音が響き、いかに女が激しくバキュームしていたかを物語っていた。
「入れて欲しいか?」
男は女にそう聞いた。
女の返答は何も聞こえなかったが、しかしその直後に、「それじゃあ、そこに手をついて尻を突き出せ」という男の声が聞こえてきたため、女がそれを望んでいるのがわかった。
そこに手をつけ、というのは、恐らく私に陰部を露出していたレジカウンターだった。確かあの台の上には電話が置いてあったため、その台に間違いなかった。
という事は、二人は店の入り口でセックスをする気なのだ。
(客は、誰もいないのだろうか……)
そう心配していると、いきなり男が「もしもし」と言った。
「今ね、肉棒をしゃぶらせてたんですけどね、だけどこいつ、オマンコの汁を床にポタポタと垂らすくらい興奮しちゃってるんですよ。だからね、そろそろ入れてやろうと思うんですけど、どう思います?」
なぜか男は私にそう聞いてきた。
それでも私が黙っていると、男は、「あれ? 切られたのかな? もしもし? 聞いてますか?」と焦りながら確認してきた。
ここで電話を切られてはまずいと思った私は、慌てて「聞いてます」と答えた。
「ああ、まだ繋がってた、よかったよかった」
そう笑う男は、私が初めて応えたことに実に満足そうだった。
「もう肉棒を入れちゃいますね。スカートもパンツも脱がせて、下半身だけスッポンポンにして、バコバコに犯してやりますわ」
そう言いながら男がガサゴソし始めると、私は恐る恐る「あのぅ……」と口を開いた。
「……その場所って……もしかして、入口にあるレジカウンターの裏ですか?……」
「そうです。さっきあなたが妻のオマンコを見てた所です」
「……そんな所でヤッて、大丈夫なんですか?……」
「大丈夫ですよ。いつもここでヤッてますから」
男がそう笑うと、不意にその笑い声の背後で、女が「はあぁぁぁぁ……」と深い息を吐くのが聞こえた。
「ははは。マンコに亀頭を擦り付けただけで失禁しちゃってますよ……ホント、こいつは変態なんですよ、この店の常連さんたちも、みんなそう言ってますわ」
みんながそう言っているということは、その常連たちは、既にあの女とヤッてしまっているという事だった。
それが事実なら、この夫婦はとんでもない変態だと驚きながらも、私は、偶然にもこの出張の地で、こんな素敵な変態夫婦を発見できた事に激しい喜びを感じていた。
「それじゃあ入れますから、妻に電話を渡しますね。ちゃんと、さっきみたいにエッチな事を言ってやって下さいよ、その方が妻も私も燃えますから」
男はそう言うと、すぐさま受話器を女に渡したらしく、スマホから、女の荒い呼吸が聞こえてきた。
最初のうちは、ハァ、ハァ、という荒い呼吸音だけが聞こえたが、しかし途中からは、それが、「あん! あん!」という激しい喘ぎ声に変わってきた。
そんな声に興奮した私は、さっそく「気持ちいいですか? 旦那さんのペニスは気持ちいいですか?」と聞いてみた。
女は、男の腰の動きに合わせながら「ふん、ふん」と切なく鼻を鳴らすと、蚊の鳴くような声で「気持ちいいです……」と答えた。そして、そう答えると同時に、「もっと! もっとエッチなこと言って下さい!」と、まるで気でも狂ったかのように叫び始めた。
そんな叫び声に挑発された私も、狂ったようにペニスをシゴきまくった。
「あなたは変態です……他人に性器を見せつけたり、セックスの声を他人に聞かせてヨガリまくっているあなたは変態性欲者です……ほら変態女、私のペニスもしゃぶりたいですか?」
「しゃぶりたい……お客さんのオチンチンしゃぶりたい……しゃぶらせて下さい」
「ならば口を開けなさい……ほら、入りましたよ……あぁぁぁぁ……もっと奥まで咥えなさい、根元まで咥えなさい、そしてその可愛い唇でペニスを擦るんです、ほら、もっと顔を動かして」
「んぐっ……んぐっ……」
女は、ペニスの代用品らしき物を実際にしゃぶっているのか、そう喉を鳴らしながら、じゅぽっ、じゅぽっ、と、リアルな唾液音を奏でた。
そんな唾液音に混じって、男の、「いいぞ……もっともっとしゃぶってあげなさい」という声が聞こえた。その背後では、男の太ももと女の尻が激しくぶつかり合う衝撃音が、パン、パン、パン、と、ひっきりなしに響いていた。それらの卑猥な音を聞きながらペニスをシゴいていると、この男と二人して、その妻を串刺しにしている姿が鮮明に浮かびあがり、何やら本当にこの夫婦と交わっているような感じがしてきた。
(ヤってみたい……リアルでこんな変態夫婦とドロドロに交わりあってみたい……)
突然私は、そんな期待を抱き始めた。
今まで私は、自称人妻の風俗嬢とは何十人となくプレイしてきたが、しかし、素人の人妻とは一度も交わった事がなかった。三人プレイも未経験で、ましてやその相手が夫婦で、その旦那と一緒に妻を攻めるなど想像すらしたことがなかった。
もともと私は陰湿な性格をしており、悪戯電話で一人シコシコと性欲を発散したり、コンビニや電車の中で手当たり次第に女を視姦しては、後にセンズリのネタにするような、そんな小心者の変態男だった。
そんな私が複数プレイなどできるはずがなかった。ましてや夫の目の前で、その妻を寝取ることなどできるわけがないのだ。
が、しかし、今は違った。こうして電話で三人プレイをしていたら、この夫婦とならできるかもしれないという、変な自信が湧いてきたのだ。
(誘ってみるか……今から三人で会いませんかと言ってみるか……)
そう思いながら、スマホの向こうで「はぁん! はぁん!」と喘いでいる女の声を聞いていた。どのタイミングで誘おうか、どうやって誘おうかと、焦燥感に駆られながらペニスを激しくシゴいていた。
しかし私は、所詮、小心者で根暗で陰湿な変態男だった。
センズリ電話や視姦だけで満足できる妄想狂だった。
実際に、「今から三人で会いませんか」と、そう誘った時の事を考えるだけで、もはや強烈なエクスタシーに包まれてしまっていた。
と、その時、不意にスマホから女の喘ぎ声が消え、代わりに男の激しい息づかいがハァハァと聞こえてきた。
男は、荒い呼吸と共に、「もしもし……」と言った。
「どうですか……今から三人で会いませんか……」
男のその言葉に胸が飛び跳ねた。
「僕と一緒に……妻を犯しませんか……」
男のその言葉と共に、女のプリプリとした胸やムッチリとした尻、そしてあのパックリと口を開きながらテラテラと輝いていた赤黒い性器が鮮明に蘇ってきた。
「ホテルにしますか……それとも店でヤリますか……どっちでもいいですよ……」
あの店のカウンターの中で、女の大きな尻にスコスコと腰を振っている自分の姿が浮かび上がってきた。
「もし、僕の事が気になるのなら妻だけでもいいですよ……場所を言ってもらえれば、妻を一人でそこに行かせますから……」
あの女をこの部屋に呼ぶ。
あの女をこのベッドの上で滅茶苦茶に犯す。
「中出ししても構いませんよ……こいつ、肉便器ですから……」
そう男が笑った瞬間、あの女の腹の上で、両足をピクピクと引き攣らせながら中出ししている自分の姿が浮かんだ。
それと同時に、シゴいていたペニスの尿道がドクンっと波を打った。
あっ、という小さな叫びと共に、ペニスの先から大量の精液が凄まじい勢いでビュッ!と吹き出した。
その精液は、ビュッ! ビュッ! ビュッ! と三回吹き出した。
それに合わせて、ハウッ! ハウッ! ハウッ! と、まるでトドのような呻き声を上げた。
痺れるような快感に脳をぐるぐるさせていた私は、気がつくと唇の端から大量の涎を垂らしていた。
「ウチの店のすぐ近くに、『ラヴィアンローズ』ってラブホがあるんですけど、そこでどうですか? そこにSMの部屋がありますから、そこで妻を虐めてやってくださいよ」
男はまだ話し続けていた。
私がそれを妄想しただけで放出してしまったことなど知らず、男は必死に私を誘っていた。
所詮私は、小心者で根暗で陰湿な変態男だった。
センズリ電話や視姦だけで満足できる妄想狂だった。
話し続ける男を無視し、そのまま静かに電話を切った。
ふーっ……と溜息をつきながらゆっくりと起き上がり、陰毛に絡みつくドロドロの精液をティッシュで拭き取った。
どこかで救急車のサイレンが鳴っていた。
遠ざかっていくサイレンの音を聞きながら、丸めたティッシュを屑篭に投げた。しかしティッシュは壁に当たり、そのままカーペットの上をコロコロと転がった。
ふと見ると、サイドテーブルの上に、夕食用に買っておいた寿司がそのまま放置されていた。
既に寿司ネタはカピカピに乾いており、とてもではないが食べられるような状態ではなかった。
それを恨めしそうに見つめながらベッドを降りた。
そのまま浴室へと向かった。安いカーペットにスリッパをヒタヒタ鳴らしながら、「勿体ないことしたな……」と呟いた。
もちろんそれは、寿司の事ではなく、あの女の事だった。
(せんずり電話・完)
《←目次》
わけあり1
2013/06/15 Sat 00:01
奈良に出張に来た。田舎への出張ほどつまらないものはないが、検索ボタンを押すと、スマホの画面には若くて綺麗な女の子の写真がドッと現れた。
奈良は田舎だ。しかしデリヘルの検索結果は山のような数だ。そこには若くて綺麗な女の子の写真ばかりが掲載されている。
が、しかし、どれだけ若かろうと、どれだけ綺麗であろうと、私はそれらに全く興味を感じなかった。
それは私が変態だからだった。癖のある変態だからだった。
若くて綺麗な風俗嬢よりも、デブでもブスでも普通の主婦が良かった。旦那や子供のいる主婦に羞恥と屈辱を与えてやりたい。
それが、私の何よりもの悦びなのであった。
さっそく、サイトの上にある『好みのタイプ絞り込み』の欄に、『熟女・主婦』と二つのキーワードを入力してみた。
すると、今まで若くて綺麗な女の子の写真がズラリと並んでいた画面が一転し、豚のようなおばさん達がズラリと映し出された。
しかし、検索されたそのほとんどがSMプレイを主体とした店だった。
『好みのタイプ絞り込み』に違うキーワードを入力し直した。今度は、『素人・主婦』と入れてみた。
すると、さっきの豚おばさん達よりはマシな普通のおばさん達がズラリと現れた。
しかし、二百枚以上の写真を一つ一つ見ていくのは大変だった。
そこで私は、取り敢えずどこでもいいから電話してみようと思った。
丁度、サイトの一番上に『ワケあり主婦専門店』という、私好みの名前の店が掲載されていた。
ワケあり主婦。実に興味をそそられる響きだった。どうせ本物のワケあり主婦などいないであろうが、ひとまずその店に電話をしてみることにした。
「お電話ありがとうございます『ワケあり主婦専門店』です」
そう電話に出た男の声は、まるで寝起きのようだった。
恐らく、まだ二十代の若い男であろう、妙に脱力感のある気怠い喋り方だった。
「新大宮駅の近くのビジネスホテルなんですが、今すぐイケますか?」
「大丈夫です」
「三十代の人妻がいいんですけど……」
「大丈夫です」
「できれば気の強い人じゃなくて大人しい人が——」
「——大丈夫です」
「…………」
「大丈夫です」
「本物の主婦なんですよね」
「大丈夫です」
「完全な素人とまでは言いませんけど、できればそれに近いような……」
「大丈夫です」
「料金は、六十分一万四千円って書いてあるんですけど」
「大丈夫です」
「チェンジは無料でできると書いてありますが」
「大丈夫です」
「しつこいようですけど、本物の主婦なんですよね?」
「大丈夫です」
「本番は」
「大丈夫です」
「…………」
「大丈夫です」
全て「大丈夫」だった。何を言っても、気怠く「大丈夫」と返された。
結局私は、その「大丈夫」という返答だけでホテルの部屋番号を告げてしまった。
電話を切ってから、あの気怠そうな「大丈夫」が少し不安になったが、しかし、正直に言って田舎の風俗など最初から期待はしておらず、かろうじてセンズリの代用品になればいいというくらいにしか思っていなかったため、そんな不安はすぐに消えた。
我慢汁でヌルヌルに湿ったトランクスを履き替え、飲みかけの水を一気に飲み干した。
女が来るまでの間に興奮を昂めておこうと思った。もし化け物のようなおばさんがやって来ても、それはそれでそれなりに楽しめるよう、今のうちに脳を活性化しておこうと思ったのだ。
ベッドにゴロリと横になり、ベッドサイドテーブルに置いてあった有料アダルトビデオのメニューを眺めた。
巨乳、OL、人妻、SM、ギャル、ぽっちゃり、オナニー、乱交、盗撮、と、様々なカテゴリがズラリと並んでいた。その中に『メス豚』というカテゴリがあり、そこを開いてみると、いきなり醜い肥満女が鼻フックをされながら吐瀉物を吐いているという凄まじいパッケージ画像が映し出された。
(これくらい強烈なヤツを事前に観ておけば、どんなババアがやってきても対応できるだろう……)
そう思いながらテレビのリモコンを操作し、三百七十円のそれを購入したのだった。
黒い画面から、『変態メス豚女・優里香・28歳・主婦』という白い文字がフェードインし、それが五秒ほど静止した後、ゆっくりとフェードアウトしていった。
それがタイトルだったのか、いきなりラブホの室内が映し出された。見るからに馬鹿そうな中年デブ女が、ベッドの上で正座しながら項垂れていた。
ストーリもなく、セリフもなく、照明もなければ映像も乱れていた。延々とハンディカムで撮影されているところから見て、恐らくそれはインディーズビデオに違いなかった。
全裸となった中年デブ女が、醜い乳房を曝け出しながらオナニーを始めた。ボカシはいたって薄く、真っ黒な小陰唇まではっきりと見ることができた。
ビデ論を無視したインディーズビデオというのは、映像も悪く女優も悪かったが、しかし、逆にそれがリアリティーを増し、独特な卑猥感を醸し出していた。
中年デブ女が指オナニーで絶頂に達すると、すぐさまガリガリに痩せた中年男が現れ、そのムチムチとした女の体に黙々とロープを巻き始めた。そうされながらも中年デブ女は、ガリガリ男の股間に向かって首を伸ばし、そこに反り勃つ肉棒を下品にしゃぶりまくっていた。
亀甲縛りにされた中年デブ女の体に、ガリガリ男が卑猥な落書きを始めた。『淫豚』、『家畜』、『公衆便所』などとマジックを走らせながら、ガリガリ男は中年デブ女の淫穴に反り勃つ肉棒を挿入した。
ガリガリ男が腰を振る度に、中年デブ女は豚のように鳴いた。後背位で突かれながら肛門にバイブを入れられると、中年デブ女は狂ったように喚きながら失禁し、花柄の羽毛掛け布団をベシャベシャに濡らした。
そのうち中年デブ女は「出ちゃう、出ちゃう」と泣き始めた。ガリガリ男が肛門のバイブをピストンさせる度、中年デブ女は必死になってそう喚いていた。
そんな中年デブ女に、突然ガリガリ男はアイマスクを装着させた。そしてチェーンの付いた革のマスクで口を塞ぐと、そのままトイレに連行した。
中年デブ女は便器に座らされた。そんな中年デブ女の耳元に顔を寄せたガリガリ男が、「今から調教して貰うからね……」と囁くと、突然焦り始めた中年デブ女が、革マスクの中で「ウーウー」と唸り出したのだった。
そんな中年デブ女をトイレに一人残し、ガリガリ男はトイレを出た。
するといつの間にか、部屋には二人の男が待ち受けていた。
「私の妻は変態メス豚女です。マンコとアナルに同時に中出ししてやって下さい」
ガリガリ男は二人の男にそう告げた。そしてそのまま部屋の隅の椅子にソッと腰掛けると、二人の男は無言で服を脱ぎ始めた。
一人の男の背中には中途半端な観音様の刺青が彫られ、もう一人の男の腹には40センチほどの手術創が浮かんでいた。
リアルだった。二人の男には、AV男優にはない危険な素人感がムンムンと漂っていた。
(そっか……あのデブ女房は、今からこの二人の男にヤられる事を知らされていなかったんだな……)
なかなか手の込んだ寝取られビデオだと思った。
しかし、それを夫から告げられた時の中年デブ女の焦りようや、それを二人の男たちに告げた時のガリガリ夫の絶望的な表情は、とても演技には見えなかった。
もしかしたらこれは実録かもしれない。変態夫が妻を騙し、他人男達に陵辱されるシーンを撮影し、それをインディーズの会社に投稿してきたものなのかも知れない。
そう思いながらそれを見ていると、激しい興奮が下腹部から湧き上がってきた。
革マスクの中で泣き叫ぶ中年デブ女がトイレから引きずり出され、ベッドに投げ出された。二人の男達が、まるで家畜を扱うように中年デブ女を陵辱し始め、それを見ていたガリガリ夫がセンズリを始めた。
私もセンズリしていた。両足をピーンと伸ばしながらペニスを上下にシゴき、醜い中年デブ女が二つの穴を塞がれるのを真剣に見ていた。
と、その時、突然部屋のチャイムが鳴り響いた。
慌ててテレビを消した。
ベッドから飛び降り、急いでクローゼットへと向かうと、取り敢えずそこにぶら下がっていたバスローブを羽織った。
ペニスは勃起したままだった。しかも射精寸前の状態であり、黒いトランクスの股間は我慢汁のシミでじっとりと湿っていた。
とにかく勃起を治めなければとドアの前で深呼吸した。いくら相手が風俗嬢と言えど、勃起したまま出迎えるというのはあまりにも恥ずかしいのだ。
しかし、ペニスは一向に治る気配を見せなかった。あの中年デブ女の刺激が相当効いているのか、ペニスは勃起が治るどころかジンジンと疼いていた。
このままでは女が帰ってしまうと焦りながらも、とりあえずドアスコープを覗いてみる事にした。あまりにも酷いようなら、このままチェンジすればいいのだ。
そう思いながら恐る恐るドアスコープを覗き込むと、髪の長い痩せた女が項垂れていた。項垂れているため顔は見えなかったが、何やら貪よりとした暗い陰を背負った女だった。
しかし、そのスタイルや雰囲気からして、思っていたほど醜い女ではなさそうだったため、取り敢えずこの女に決める事にした。
勃起したペニスを腹に押し当て、硬い肉棒をトランクスのゴムに挟んだ。そのままバスローブで前を隠し、これなら大丈夫だろうと入り口にあった等身大の鏡で股間を確認しながらドアを開けた。
「こんばんは……『ワケあり主婦』から来ましたミズキです……」
女は上目遣いでソッと私を見上げながら、蚊の泣くような声で呟いた。
「おっ」と思うほどの、なかなかの美形だった。スッと鼻筋が通り、切れ長の目は大きく、どことなく若い頃のいしだあゆみに似ていた。
スタイルも良かった。足も細く、腰もくびれ、全体的にスレンダーだったが、しかし、胸や尻にはそれなりの肉は付いていた。
女は、長い髪を垂らしたまま黙ってその場で項垂れていた。見た目はなかなかの美人だが、そこに漂う雰囲気はまるで幽霊のように薄暗かった。
「チェンジは……よろしいでしょうか……」
女は、長い髪の隙間から恐る恐る私を見上げながらそう聞いた。
そこから漂ってくる絶望感というかどん底感は、まさに店名通りの『ワケあり主婦』そのものだった。
「とりあえず、どうぞ」と私はドアを大きく開いた。
女は妙にオドオドしながら、「失礼します……」と一歩部屋の中に入った。
「歳はいくつですか?」
部屋の入り口に立ったままそう聞いた。
「……三十四歳です……」
そう答えるなり、女の背後でドアがカチャっと閉まった。
「子供はいますか?」
「……はい……」
「旦那さんは?」
「います……」
「この仕事は長いんですか?」
「いえ……四回目です……」
女がそう答えるなり、私は女の白いブラウスのボタンにそっと指を伸ばした。
静かにボタンを外し始めると、一瞬女は戸惑いながら私の目を見上げた。が、しかし、私が優しく微笑みかけると、女はその目に恐怖を浮かべながらゆっくりと視線を戻した。
(気の小さな女だ……)
そう思いながら、「本当にワケありですか?」と聞いた。
女は項垂れたまま「はい……」と答えた。
「どんなワケですか?」
女は、少し間を置いた後、「借金です……」と小さく答えた。
「そっか……借金か……」
そう言いながら、私はブラウスの胸元をソッと開いた。
白い乳肉がポテンッとしていた。決して大きくはなく、少し垂れ気味ではあったが、しかしそれは主婦の乳らしく、生クリームのように柔らかそうだった。
女は抵抗しなかった。文句一つ言わなかった。恥ずかしそうにジッと俯きながら下唇を甘噛みしていた。
そんな、被虐的なワケあり主婦に異様な興奮を覚えた。
私はその温かくも柔らかい乳肉をソッと掌に包み込むと、彼女の耳元で「どうぞ……」と囁きながら、彼女のその細い腕を静かに引いたのだった。
(つづく)
《←目次》《2話へ→》
奈良は田舎だ。しかしデリヘルの検索結果は山のような数だ。そこには若くて綺麗な女の子の写真ばかりが掲載されている。
が、しかし、どれだけ若かろうと、どれだけ綺麗であろうと、私はそれらに全く興味を感じなかった。
それは私が変態だからだった。癖のある変態だからだった。
若くて綺麗な風俗嬢よりも、デブでもブスでも普通の主婦が良かった。旦那や子供のいる主婦に羞恥と屈辱を与えてやりたい。
それが、私の何よりもの悦びなのであった。
さっそく、サイトの上にある『好みのタイプ絞り込み』の欄に、『熟女・主婦』と二つのキーワードを入力してみた。
すると、今まで若くて綺麗な女の子の写真がズラリと並んでいた画面が一転し、豚のようなおばさん達がズラリと映し出された。
しかし、検索されたそのほとんどがSMプレイを主体とした店だった。
『好みのタイプ絞り込み』に違うキーワードを入力し直した。今度は、『素人・主婦』と入れてみた。
すると、さっきの豚おばさん達よりはマシな普通のおばさん達がズラリと現れた。
しかし、二百枚以上の写真を一つ一つ見ていくのは大変だった。
そこで私は、取り敢えずどこでもいいから電話してみようと思った。
丁度、サイトの一番上に『ワケあり主婦専門店』という、私好みの名前の店が掲載されていた。
ワケあり主婦。実に興味をそそられる響きだった。どうせ本物のワケあり主婦などいないであろうが、ひとまずその店に電話をしてみることにした。
「お電話ありがとうございます『ワケあり主婦専門店』です」
そう電話に出た男の声は、まるで寝起きのようだった。
恐らく、まだ二十代の若い男であろう、妙に脱力感のある気怠い喋り方だった。
「新大宮駅の近くのビジネスホテルなんですが、今すぐイケますか?」
「大丈夫です」
「三十代の人妻がいいんですけど……」
「大丈夫です」
「できれば気の強い人じゃなくて大人しい人が——」
「——大丈夫です」
「…………」
「大丈夫です」
「本物の主婦なんですよね」
「大丈夫です」
「完全な素人とまでは言いませんけど、できればそれに近いような……」
「大丈夫です」
「料金は、六十分一万四千円って書いてあるんですけど」
「大丈夫です」
「チェンジは無料でできると書いてありますが」
「大丈夫です」
「しつこいようですけど、本物の主婦なんですよね?」
「大丈夫です」
「本番は」
「大丈夫です」
「…………」
「大丈夫です」
全て「大丈夫」だった。何を言っても、気怠く「大丈夫」と返された。
結局私は、その「大丈夫」という返答だけでホテルの部屋番号を告げてしまった。
電話を切ってから、あの気怠そうな「大丈夫」が少し不安になったが、しかし、正直に言って田舎の風俗など最初から期待はしておらず、かろうじてセンズリの代用品になればいいというくらいにしか思っていなかったため、そんな不安はすぐに消えた。
我慢汁でヌルヌルに湿ったトランクスを履き替え、飲みかけの水を一気に飲み干した。
女が来るまでの間に興奮を昂めておこうと思った。もし化け物のようなおばさんがやって来ても、それはそれでそれなりに楽しめるよう、今のうちに脳を活性化しておこうと思ったのだ。
ベッドにゴロリと横になり、ベッドサイドテーブルに置いてあった有料アダルトビデオのメニューを眺めた。
巨乳、OL、人妻、SM、ギャル、ぽっちゃり、オナニー、乱交、盗撮、と、様々なカテゴリがズラリと並んでいた。その中に『メス豚』というカテゴリがあり、そこを開いてみると、いきなり醜い肥満女が鼻フックをされながら吐瀉物を吐いているという凄まじいパッケージ画像が映し出された。
(これくらい強烈なヤツを事前に観ておけば、どんなババアがやってきても対応できるだろう……)
そう思いながらテレビのリモコンを操作し、三百七十円のそれを購入したのだった。
黒い画面から、『変態メス豚女・優里香・28歳・主婦』という白い文字がフェードインし、それが五秒ほど静止した後、ゆっくりとフェードアウトしていった。
それがタイトルだったのか、いきなりラブホの室内が映し出された。見るからに馬鹿そうな中年デブ女が、ベッドの上で正座しながら項垂れていた。
ストーリもなく、セリフもなく、照明もなければ映像も乱れていた。延々とハンディカムで撮影されているところから見て、恐らくそれはインディーズビデオに違いなかった。
全裸となった中年デブ女が、醜い乳房を曝け出しながらオナニーを始めた。ボカシはいたって薄く、真っ黒な小陰唇まではっきりと見ることができた。
ビデ論を無視したインディーズビデオというのは、映像も悪く女優も悪かったが、しかし、逆にそれがリアリティーを増し、独特な卑猥感を醸し出していた。
中年デブ女が指オナニーで絶頂に達すると、すぐさまガリガリに痩せた中年男が現れ、そのムチムチとした女の体に黙々とロープを巻き始めた。そうされながらも中年デブ女は、ガリガリ男の股間に向かって首を伸ばし、そこに反り勃つ肉棒を下品にしゃぶりまくっていた。
亀甲縛りにされた中年デブ女の体に、ガリガリ男が卑猥な落書きを始めた。『淫豚』、『家畜』、『公衆便所』などとマジックを走らせながら、ガリガリ男は中年デブ女の淫穴に反り勃つ肉棒を挿入した。
ガリガリ男が腰を振る度に、中年デブ女は豚のように鳴いた。後背位で突かれながら肛門にバイブを入れられると、中年デブ女は狂ったように喚きながら失禁し、花柄の羽毛掛け布団をベシャベシャに濡らした。
そのうち中年デブ女は「出ちゃう、出ちゃう」と泣き始めた。ガリガリ男が肛門のバイブをピストンさせる度、中年デブ女は必死になってそう喚いていた。
そんな中年デブ女に、突然ガリガリ男はアイマスクを装着させた。そしてチェーンの付いた革のマスクで口を塞ぐと、そのままトイレに連行した。
中年デブ女は便器に座らされた。そんな中年デブ女の耳元に顔を寄せたガリガリ男が、「今から調教して貰うからね……」と囁くと、突然焦り始めた中年デブ女が、革マスクの中で「ウーウー」と唸り出したのだった。
そんな中年デブ女をトイレに一人残し、ガリガリ男はトイレを出た。
するといつの間にか、部屋には二人の男が待ち受けていた。
「私の妻は変態メス豚女です。マンコとアナルに同時に中出ししてやって下さい」
ガリガリ男は二人の男にそう告げた。そしてそのまま部屋の隅の椅子にソッと腰掛けると、二人の男は無言で服を脱ぎ始めた。
一人の男の背中には中途半端な観音様の刺青が彫られ、もう一人の男の腹には40センチほどの手術創が浮かんでいた。
リアルだった。二人の男には、AV男優にはない危険な素人感がムンムンと漂っていた。
(そっか……あのデブ女房は、今からこの二人の男にヤられる事を知らされていなかったんだな……)
なかなか手の込んだ寝取られビデオだと思った。
しかし、それを夫から告げられた時の中年デブ女の焦りようや、それを二人の男たちに告げた時のガリガリ夫の絶望的な表情は、とても演技には見えなかった。
もしかしたらこれは実録かもしれない。変態夫が妻を騙し、他人男達に陵辱されるシーンを撮影し、それをインディーズの会社に投稿してきたものなのかも知れない。
そう思いながらそれを見ていると、激しい興奮が下腹部から湧き上がってきた。
革マスクの中で泣き叫ぶ中年デブ女がトイレから引きずり出され、ベッドに投げ出された。二人の男達が、まるで家畜を扱うように中年デブ女を陵辱し始め、それを見ていたガリガリ夫がセンズリを始めた。
私もセンズリしていた。両足をピーンと伸ばしながらペニスを上下にシゴき、醜い中年デブ女が二つの穴を塞がれるのを真剣に見ていた。
と、その時、突然部屋のチャイムが鳴り響いた。
慌ててテレビを消した。
ベッドから飛び降り、急いでクローゼットへと向かうと、取り敢えずそこにぶら下がっていたバスローブを羽織った。
ペニスは勃起したままだった。しかも射精寸前の状態であり、黒いトランクスの股間は我慢汁のシミでじっとりと湿っていた。
とにかく勃起を治めなければとドアの前で深呼吸した。いくら相手が風俗嬢と言えど、勃起したまま出迎えるというのはあまりにも恥ずかしいのだ。
しかし、ペニスは一向に治る気配を見せなかった。あの中年デブ女の刺激が相当効いているのか、ペニスは勃起が治るどころかジンジンと疼いていた。
このままでは女が帰ってしまうと焦りながらも、とりあえずドアスコープを覗いてみる事にした。あまりにも酷いようなら、このままチェンジすればいいのだ。
そう思いながら恐る恐るドアスコープを覗き込むと、髪の長い痩せた女が項垂れていた。項垂れているため顔は見えなかったが、何やら貪よりとした暗い陰を背負った女だった。
しかし、そのスタイルや雰囲気からして、思っていたほど醜い女ではなさそうだったため、取り敢えずこの女に決める事にした。
勃起したペニスを腹に押し当て、硬い肉棒をトランクスのゴムに挟んだ。そのままバスローブで前を隠し、これなら大丈夫だろうと入り口にあった等身大の鏡で股間を確認しながらドアを開けた。
「こんばんは……『ワケあり主婦』から来ましたミズキです……」
女は上目遣いでソッと私を見上げながら、蚊の泣くような声で呟いた。
「おっ」と思うほどの、なかなかの美形だった。スッと鼻筋が通り、切れ長の目は大きく、どことなく若い頃のいしだあゆみに似ていた。
スタイルも良かった。足も細く、腰もくびれ、全体的にスレンダーだったが、しかし、胸や尻にはそれなりの肉は付いていた。
女は、長い髪を垂らしたまま黙ってその場で項垂れていた。見た目はなかなかの美人だが、そこに漂う雰囲気はまるで幽霊のように薄暗かった。
「チェンジは……よろしいでしょうか……」
女は、長い髪の隙間から恐る恐る私を見上げながらそう聞いた。
そこから漂ってくる絶望感というかどん底感は、まさに店名通りの『ワケあり主婦』そのものだった。
「とりあえず、どうぞ」と私はドアを大きく開いた。
女は妙にオドオドしながら、「失礼します……」と一歩部屋の中に入った。
「歳はいくつですか?」
部屋の入り口に立ったままそう聞いた。
「……三十四歳です……」
そう答えるなり、女の背後でドアがカチャっと閉まった。
「子供はいますか?」
「……はい……」
「旦那さんは?」
「います……」
「この仕事は長いんですか?」
「いえ……四回目です……」
女がそう答えるなり、私は女の白いブラウスのボタンにそっと指を伸ばした。
静かにボタンを外し始めると、一瞬女は戸惑いながら私の目を見上げた。が、しかし、私が優しく微笑みかけると、女はその目に恐怖を浮かべながらゆっくりと視線を戻した。
(気の小さな女だ……)
そう思いながら、「本当にワケありですか?」と聞いた。
女は項垂れたまま「はい……」と答えた。
「どんなワケですか?」
女は、少し間を置いた後、「借金です……」と小さく答えた。
「そっか……借金か……」
そう言いながら、私はブラウスの胸元をソッと開いた。
白い乳肉がポテンッとしていた。決して大きくはなく、少し垂れ気味ではあったが、しかしそれは主婦の乳らしく、生クリームのように柔らかそうだった。
女は抵抗しなかった。文句一つ言わなかった。恥ずかしそうにジッと俯きながら下唇を甘噛みしていた。
そんな、被虐的なワケあり主婦に異様な興奮を覚えた。
私はその温かくも柔らかい乳肉をソッと掌に包み込むと、彼女の耳元で「どうぞ……」と囁きながら、彼女のその細い腕を静かに引いたのだった。
(つづく)
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