吐泥(へろど)12
2013/06/13 Thu 00:01
彼女が自動ドアを出て行くのを見届け、そのまま急いで座席に着いた。ペニスを引きずり出し、その妄想を続けながらシコシコと悶えた。やはり私にはレ◯プよりもセンズリの方がお似合いだった。
妄想の中で、泥酔女の巨大な尻にガンガンと腰を打ちつけていた。泥酔女はトイレの給水タンクにしがみつきながら獣のように喘ぎ、そのムチムチとした太ももに大量の小便をダラダラと垂らしていた。
そんな妄想に合わせて手首を動かしていると、早々とイキそうになった。
私は慌てて肉棒から手を離した。肉棒は、ビクン、ビクン、と激しく脈を打ち、今にも爆発しそうな状態だった。しかし私は、せっかくなら彼女の泥酔姿を盗み見しながらこっそり射精したいと思った。だから私は、それをビクンビクンとさせたまま、彼女が座席に戻ってくるのを待つことにしたのだった。
必死に射精を堪えながらソッと天井を見上げた。次々に胸に溢れてくる興奮の塊をフーッと吐き出していると、ふと女の座席の荷物棚にあるルイ・ヴィトンのボストンバッグが目に飛び込んできた。
それを目にした瞬間、新たなる欲望が湧き上がってきた。泥酔女の緩んだ股から顔を出していた下品なパンティーが鮮明に頭に浮かび、私は、(きっと使用済み下着があるはずだ!)と凄まじい興奮に駆られた。
さっそく私は、ヒクヒクと痙攣している一触即発の肉棒を、まるで爆発物処理班の如く慎重に扱いながらズボンの中に戻した。そして座席に隠れながら首だけをヌッと伸ばした私は、まるで巣穴から顔を出すミーアキャットのように車内を伺った。
ドア前の座席に座っている中年サラリーマンのハゲた頭部が見えた。寝ているのか雑誌を読んでいるのか、そのハゲ頭はピクリとも動かなかった。もちろん通路には誰もいなかった。ドアのガラスに目を凝らしても、そこに人の気配は感じられなかった。
いける、と確信した私は、まるでコソ泥のように腰を屈めながら素早く通路を横切った。女の座席から再びミーアキャットのように首を伸ばし、沈黙を続ける車内を慎重に伺いながら、頭上の荷物棚にゆっくりと手を伸ばした。
思った以上に軽いバッグだった。片手で簡単に棚から下ろすことができた。それを女の座席に置き、急いで金色のジッパーを開けると、いきなり大型のドライヤーが現れた。化粧ポーチ、ヘアースプレー、ヴィダルサスーンのトリートメントと続き、やっとその下に、Tシャツやタオルといった衣類が押し込められていた。
とりあえず、そのTシャツを鼻に押し付けた。ユニクロのTシャツとは違い、泡のように滑らかな肌触りをしていた。女はそれを寝巻きに使用していたのか、そこにはボディーソープらしき花の香りが染み込んでいた。
そんなTシャツの脇の下をザラザラと舐めながら、綺麗に折り畳まれたタオルをペロリと捲った。その下にはクルンっと丸められたパンティーが二つ転がっていた。素早くそれを摘み上げ、テラテラと滑るそのサテン生地に鼻を押し付けてみたが、当然ながらそれは未使用であり、そこからは微かな洗濯洗剤の香りしか漂ってこなかった。
(こんなモノは松っちゃんが出演していないダウンタウンDXくらい価値のないモノだ)
そう呟きながらそれをバッグの中に落とした。
それはバッグの黒い底をコロコロと転がった。そこは既に底であり、もはやそれ以上の品は見当たらなかった。
しかし私は余裕だった。なぜなら私は知っていたからだ。旅行中の女は、使用済み下着だけを別に保管する癖があるという事を、私は毎年の社員旅行時の経験により知り得ていたのだ。
隠しても無駄だ……。そう呟きながら更にバッグの中を漁ると、案の定、バッグの右端のポケットに、ローソンのビニール袋が押し込められていた。それをシャリシャリと引きずり出し、緩い結び目を素早くスルスルと解くと、袋の奥には、クシャクシャに丸まったレース生地の物体がボテッと横たわっていたのだった。
素早くそれを袋から抜き取り、ひとまずポケットの中に押し込んだ。
もちろんこれは窃盗罪という立派な犯罪だった。が、しかし、私は余裕だった。なぜなら彼女がそれを盗まれている事に気づくのは、少なくとも家に帰ってからであり、その頃には訴えようにも訴えようがないからである。それを私は、毎年の社員旅行時の経験により知り得ていた。だから私は、堂々とそれを頂戴したのだった。
バッグの中身を元通りにし、急いでバッグを荷物棚に戻した。再びミーアキャットのように車内を伺い、誰にも見られていない事を確認すると、素早く腰を屈めて通路を横切った。
自分の座席に戻ると、さっそくポケットの中から例のブツを取り出した。
それは、手の平の中にすっぽりと収まるほど小さかった。レースのザラザラ感を指に感じながら恐る恐るそれを広げてみると、案の定それは両サイドが紐になった、いわゆる紐パンだった。
全体的に薄いピンクのそれは、正面のフロント部分だけがレースで、尻部分は布のフルバックだった。あの真っ赤な下品なパンティーと比べれば至って普通の下着だったが、しかしそこに漂う卑猥度は、今まで私が社員旅行時に見てきたモノを遥かに超えていた。
その卑猥の原因は、そこら中にくっ付いている毛玉や、プツプツと出ている縫い目のほつれ、そしてゴムの微妙な伸び具合だった。
過去、社員旅行において、数々の女子社員たちの使用済み下着を物色してきた私にとって、この所謂『履き古した下着』は、まさに『お宝』と言えた。私の性癖の範囲では、例えどれだけセクシーなランジェリーであろうと、わざと卑猥にデザインされた大人のおもちゃ屋の穴あきパンティーであろうと、この『履き古した下着』に勝る卑猥下着はなかった。この、何年間も履き続けてボロボロになった自然なフォルムこそが、私にとっては『キングオブ使用済み下着』なのであった。
そんな下着に激しく欲情していた私は、いよいよその核心に迫るべくクロッチの裏側をペロリと捲ってみた。さすがキングオブ使用済み下着だけはあった。そのシミもまた、『ベスト・オブ・シミ』と呼ぶに相応しい最高の汚れだった。

オナニーを目的とした下着のシミというのは、それなりに控えめでなければならなかった。もちろんそれは各個人それぞれの好みに分かれ、一概に全てのマニアたちがそうだとは限らないが、少なくとも私はそうだった。汚れは『多からず少からず』、匂いは『強からず弱からず』、そして味は『濃からず薄からず』。私の場合、シミはそんな塩梅のものでなければならなかったのだった。
最高の下着を手に入れた私は、さっそくその控えめなクロッチをクンクンと嗅いでみた。
薄っすらと甘い香水の香りが漂う中に、所々饐えた匂いが混じっていた。それは、駅の公衆便所の小便器に漂う下品な刺激臭によく似ており、その匂いの原因は、拭き損じた小便の残り汁が乾いたものだと分析できた。
使用済み下着のニオイの中には、恥垢そのものの強烈なイカ臭や、ドリアやチーズといったオリモノ系のモワモワした臭いなど色々あるが、私はこの小便がパリパリに乾いた饐えた臭いが一番好きだった。この臭いは、性器そのものを浮かび上がらせるだけでなく、飛び散る尿までも想像させてくれる、そんな躍動感溢れる臭いなのだ。

大好きな小便臭にクラクラと目眩を感じながら、続いて私はそこに舌を伸ばし始めた。
そのカピカピに乾いた白いシミは、最初は砂のようにザラザラしていたが、しかしゆっくりゆっくり丹念に舌先を動かしていくと、カピカピに乾いたシミは次第にネトネトし始め、オリモノ本来の粘りに戻った。
あの女の陰部から、このヌルヌルとした卑猥な汁が滲み出ていたのだと思いながらペロペロした。不意に女の股の裏に顔を押し付け、そのドロドロに濡れた裂け目を舐めまくる自分の姿が頭に浮かんだ。そして女は、あの気品ある顔を淫乱に歪め、狂ったように喘ぎながら悶えていたのだった。

もう我慢できないと、慌ててズボンからペニスを引きずり出そうとすると、突然背後から自動ドアの開く音が聞こえてきた。
外しかけていたズボンのボタンを再び元に戻した。ソッと通路を覗いてみると、女がこちらに向かってくるのが見えた。女は相当酔いが回っているようだった。その足取りは今にも倒れそうなくらいフラフラしていた。
女は座席に着くなり、髪をバサっと垂らしてクタッと項垂れた。そして黒いワンピースの腹を小刻みに動かしながらスースーと寝息を立て始めた。
秒睡だった。あれだけ酔ってれば……と思いながら、再びズボンのボタンに指をかけた。そして大量の我慢汁を垂れ流しながらギチギチに勃起している肉棒を堂々とそこに引きずり出すと、それを眠った女に見せつけるかのようにして、根元から亀頭の先まで激しく上下にシゴいたのだった。

見ず知らずの女が眠るすぐ横で、その女の下着のニオイを嗅ぎながらオナニーをした。肉体的な快楽だけでなく、このスリリングなシチュエーションに激しい興奮を覚えていた私は、不意に川端康成の小説『眠れる美女』を思い出し、あの作家もとんでもない変態だと改めて思った。
汚れたクロッチに亀頭を当てると、眠る女をソッと見つめた。ネトネトになったオリモノを尿道に擦り付けながら、四つん這いにさせた女の割れ目の表面に亀頭をヌルヌルと滑らせているシーンを想像をした。

(入れて欲しいか……この硬い肉棒を、お前のそのドロドロに濡れたオマンコにヌプッと入れて欲しいか……)
そう呟きながら、我慢汁でヌルヌルになったクロッチを亀頭に被せた。そしてペニス全体を下着で包むと、(ほら……入っちゃったよ……ズッポリと突き刺さってるよ)などと呟き、半開きの目でハァハァと悶えながらそのシーンを頭に思い浮かべた。

肉々しい女の尻に激しく腰が打ち付けられては、黒光りした肉棒が出たり入ったりと繰り返している結合シーンが浮かんだ。それはまるでエロいgifのように、頭の中で何度も何度もリピートしていた。
下着に包んだ肉棒をゴシゴシとシゴきながら悶えていた私は、このままここに中出ししてしまおうか、それとも精液で汚さないまま持ち帰り、家に帰ってからもう一度楽しもうか、と、悩んでいた。
そんな二者択一に迫られながらゴシゴシしていると、不意に女が「んんん……」と唸りながら寝返りを打った。
女は私の座席に体を向けながら横向きになった。頬に乱れる髪。半開きの唇。そして、ぐにゃっと歪んだ大きな胸と、だらしなく緩んだ股。それらを真正面から見る事が出来るようになると、たちまち私の悩みは消え、このまま女の痴態を眺めながら、こいつの下着の中に中出してやろうと決まった。
女はスースーと寝息を立てながらも、時折「んんん……」と唸っていた。その度に私はひやっとし、手首の動きを止めていた。
唸る女を見ながら、恐らく小便がしたいのだろうと思った。勝手にそう思いながら、そこで女が大股を開き、車内に小便を噴き出すシーンを思い浮かべた。

見ないでください……見ないでください……と、今にも泣き出しそうな表情でそう言いながらも、私にそれを見せつけてくる露出狂のマゾ女。
そんなシーンを想像しながら下着をかぶせたペニスをシゴいていた私は、ふと、妻にもそんな露出をさせてみたいと思った。
そう思った瞬間、太ももの内側にゾクゾクとした痺れが走り、ピーンっと伸ばした両足が自然にスリスリと擦れあった。
(そうだ、妻に露出をさせよう)
そんな、京都の観光キャッチコピーのような言葉が頭に浮かぶと同時に、私の尿道から精液がビュッと飛んだ。
あああああああああ、と頭の中で叫びながら、下着に包んだペニスをゴシゴシとシゴきまくった。射精で朦朧とする意識の中、妻が見ず知らずの男に陰部を剥き出している姿が浮かんでは消えた。
(露出だけなら妻も嫌がらないだろう……だから最初は露出だけをさせておき、それが慣れてきたら、徐々にサウナに誘導し……)
そんな事を考えているうちにも精液は女のクロッチに容赦なくドクドクと放出された。それは次第に下着から溢れ出しては、まるで白蛇のように陰毛の中へと滑り込んで行った。
肉棒から下着を慎重に剥がし、それを素早く三つに折り畳んだ。下着の中には精液がたっぷりと包まれており、それはずっしりと重みを増していた。
いつの間にか越後湯沢を過ぎ、気がつくともうすぐ高崎だった。
まだ生暖かいそれを右手に持ったまま窓の外を見ていた私は、早く女がトイレに行かないかとそればかりを待ちわびていた。
もちろんそれは、その下着をそのまま女のバッグの中に戻すためだった。
(つづく)
《←目次》《13話へ→》
妄想の中で、泥酔女の巨大な尻にガンガンと腰を打ちつけていた。泥酔女はトイレの給水タンクにしがみつきながら獣のように喘ぎ、そのムチムチとした太ももに大量の小便をダラダラと垂らしていた。
そんな妄想に合わせて手首を動かしていると、早々とイキそうになった。
私は慌てて肉棒から手を離した。肉棒は、ビクン、ビクン、と激しく脈を打ち、今にも爆発しそうな状態だった。しかし私は、せっかくなら彼女の泥酔姿を盗み見しながらこっそり射精したいと思った。だから私は、それをビクンビクンとさせたまま、彼女が座席に戻ってくるのを待つことにしたのだった。
必死に射精を堪えながらソッと天井を見上げた。次々に胸に溢れてくる興奮の塊をフーッと吐き出していると、ふと女の座席の荷物棚にあるルイ・ヴィトンのボストンバッグが目に飛び込んできた。
それを目にした瞬間、新たなる欲望が湧き上がってきた。泥酔女の緩んだ股から顔を出していた下品なパンティーが鮮明に頭に浮かび、私は、(きっと使用済み下着があるはずだ!)と凄まじい興奮に駆られた。
さっそく私は、ヒクヒクと痙攣している一触即発の肉棒を、まるで爆発物処理班の如く慎重に扱いながらズボンの中に戻した。そして座席に隠れながら首だけをヌッと伸ばした私は、まるで巣穴から顔を出すミーアキャットのように車内を伺った。
ドア前の座席に座っている中年サラリーマンのハゲた頭部が見えた。寝ているのか雑誌を読んでいるのか、そのハゲ頭はピクリとも動かなかった。もちろん通路には誰もいなかった。ドアのガラスに目を凝らしても、そこに人の気配は感じられなかった。
いける、と確信した私は、まるでコソ泥のように腰を屈めながら素早く通路を横切った。女の座席から再びミーアキャットのように首を伸ばし、沈黙を続ける車内を慎重に伺いながら、頭上の荷物棚にゆっくりと手を伸ばした。
思った以上に軽いバッグだった。片手で簡単に棚から下ろすことができた。それを女の座席に置き、急いで金色のジッパーを開けると、いきなり大型のドライヤーが現れた。化粧ポーチ、ヘアースプレー、ヴィダルサスーンのトリートメントと続き、やっとその下に、Tシャツやタオルといった衣類が押し込められていた。
とりあえず、そのTシャツを鼻に押し付けた。ユニクロのTシャツとは違い、泡のように滑らかな肌触りをしていた。女はそれを寝巻きに使用していたのか、そこにはボディーソープらしき花の香りが染み込んでいた。
そんなTシャツの脇の下をザラザラと舐めながら、綺麗に折り畳まれたタオルをペロリと捲った。その下にはクルンっと丸められたパンティーが二つ転がっていた。素早くそれを摘み上げ、テラテラと滑るそのサテン生地に鼻を押し付けてみたが、当然ながらそれは未使用であり、そこからは微かな洗濯洗剤の香りしか漂ってこなかった。
(こんなモノは松っちゃんが出演していないダウンタウンDXくらい価値のないモノだ)
そう呟きながらそれをバッグの中に落とした。
それはバッグの黒い底をコロコロと転がった。そこは既に底であり、もはやそれ以上の品は見当たらなかった。
しかし私は余裕だった。なぜなら私は知っていたからだ。旅行中の女は、使用済み下着だけを別に保管する癖があるという事を、私は毎年の社員旅行時の経験により知り得ていたのだ。
隠しても無駄だ……。そう呟きながら更にバッグの中を漁ると、案の定、バッグの右端のポケットに、ローソンのビニール袋が押し込められていた。それをシャリシャリと引きずり出し、緩い結び目を素早くスルスルと解くと、袋の奥には、クシャクシャに丸まったレース生地の物体がボテッと横たわっていたのだった。
素早くそれを袋から抜き取り、ひとまずポケットの中に押し込んだ。
もちろんこれは窃盗罪という立派な犯罪だった。が、しかし、私は余裕だった。なぜなら彼女がそれを盗まれている事に気づくのは、少なくとも家に帰ってからであり、その頃には訴えようにも訴えようがないからである。それを私は、毎年の社員旅行時の経験により知り得ていた。だから私は、堂々とそれを頂戴したのだった。
バッグの中身を元通りにし、急いでバッグを荷物棚に戻した。再びミーアキャットのように車内を伺い、誰にも見られていない事を確認すると、素早く腰を屈めて通路を横切った。
自分の座席に戻ると、さっそくポケットの中から例のブツを取り出した。
それは、手の平の中にすっぽりと収まるほど小さかった。レースのザラザラ感を指に感じながら恐る恐るそれを広げてみると、案の定それは両サイドが紐になった、いわゆる紐パンだった。
全体的に薄いピンクのそれは、正面のフロント部分だけがレースで、尻部分は布のフルバックだった。あの真っ赤な下品なパンティーと比べれば至って普通の下着だったが、しかしそこに漂う卑猥度は、今まで私が社員旅行時に見てきたモノを遥かに超えていた。
その卑猥の原因は、そこら中にくっ付いている毛玉や、プツプツと出ている縫い目のほつれ、そしてゴムの微妙な伸び具合だった。
過去、社員旅行において、数々の女子社員たちの使用済み下着を物色してきた私にとって、この所謂『履き古した下着』は、まさに『お宝』と言えた。私の性癖の範囲では、例えどれだけセクシーなランジェリーであろうと、わざと卑猥にデザインされた大人のおもちゃ屋の穴あきパンティーであろうと、この『履き古した下着』に勝る卑猥下着はなかった。この、何年間も履き続けてボロボロになった自然なフォルムこそが、私にとっては『キングオブ使用済み下着』なのであった。
そんな下着に激しく欲情していた私は、いよいよその核心に迫るべくクロッチの裏側をペロリと捲ってみた。さすがキングオブ使用済み下着だけはあった。そのシミもまた、『ベスト・オブ・シミ』と呼ぶに相応しい最高の汚れだった。

オナニーを目的とした下着のシミというのは、それなりに控えめでなければならなかった。もちろんそれは各個人それぞれの好みに分かれ、一概に全てのマニアたちがそうだとは限らないが、少なくとも私はそうだった。汚れは『多からず少からず』、匂いは『強からず弱からず』、そして味は『濃からず薄からず』。私の場合、シミはそんな塩梅のものでなければならなかったのだった。
最高の下着を手に入れた私は、さっそくその控えめなクロッチをクンクンと嗅いでみた。
薄っすらと甘い香水の香りが漂う中に、所々饐えた匂いが混じっていた。それは、駅の公衆便所の小便器に漂う下品な刺激臭によく似ており、その匂いの原因は、拭き損じた小便の残り汁が乾いたものだと分析できた。
使用済み下着のニオイの中には、恥垢そのものの強烈なイカ臭や、ドリアやチーズといったオリモノ系のモワモワした臭いなど色々あるが、私はこの小便がパリパリに乾いた饐えた臭いが一番好きだった。この臭いは、性器そのものを浮かび上がらせるだけでなく、飛び散る尿までも想像させてくれる、そんな躍動感溢れる臭いなのだ。

大好きな小便臭にクラクラと目眩を感じながら、続いて私はそこに舌を伸ばし始めた。
そのカピカピに乾いた白いシミは、最初は砂のようにザラザラしていたが、しかしゆっくりゆっくり丹念に舌先を動かしていくと、カピカピに乾いたシミは次第にネトネトし始め、オリモノ本来の粘りに戻った。
あの女の陰部から、このヌルヌルとした卑猥な汁が滲み出ていたのだと思いながらペロペロした。不意に女の股の裏に顔を押し付け、そのドロドロに濡れた裂け目を舐めまくる自分の姿が頭に浮かんだ。そして女は、あの気品ある顔を淫乱に歪め、狂ったように喘ぎながら悶えていたのだった。

もう我慢できないと、慌ててズボンからペニスを引きずり出そうとすると、突然背後から自動ドアの開く音が聞こえてきた。
外しかけていたズボンのボタンを再び元に戻した。ソッと通路を覗いてみると、女がこちらに向かってくるのが見えた。女は相当酔いが回っているようだった。その足取りは今にも倒れそうなくらいフラフラしていた。
女は座席に着くなり、髪をバサっと垂らしてクタッと項垂れた。そして黒いワンピースの腹を小刻みに動かしながらスースーと寝息を立て始めた。
秒睡だった。あれだけ酔ってれば……と思いながら、再びズボンのボタンに指をかけた。そして大量の我慢汁を垂れ流しながらギチギチに勃起している肉棒を堂々とそこに引きずり出すと、それを眠った女に見せつけるかのようにして、根元から亀頭の先まで激しく上下にシゴいたのだった。

見ず知らずの女が眠るすぐ横で、その女の下着のニオイを嗅ぎながらオナニーをした。肉体的な快楽だけでなく、このスリリングなシチュエーションに激しい興奮を覚えていた私は、不意に川端康成の小説『眠れる美女』を思い出し、あの作家もとんでもない変態だと改めて思った。
汚れたクロッチに亀頭を当てると、眠る女をソッと見つめた。ネトネトになったオリモノを尿道に擦り付けながら、四つん這いにさせた女の割れ目の表面に亀頭をヌルヌルと滑らせているシーンを想像をした。

(入れて欲しいか……この硬い肉棒を、お前のそのドロドロに濡れたオマンコにヌプッと入れて欲しいか……)
そう呟きながら、我慢汁でヌルヌルになったクロッチを亀頭に被せた。そしてペニス全体を下着で包むと、(ほら……入っちゃったよ……ズッポリと突き刺さってるよ)などと呟き、半開きの目でハァハァと悶えながらそのシーンを頭に思い浮かべた。

肉々しい女の尻に激しく腰が打ち付けられては、黒光りした肉棒が出たり入ったりと繰り返している結合シーンが浮かんだ。それはまるでエロいgifのように、頭の中で何度も何度もリピートしていた。
下着に包んだ肉棒をゴシゴシとシゴきながら悶えていた私は、このままここに中出ししてしまおうか、それとも精液で汚さないまま持ち帰り、家に帰ってからもう一度楽しもうか、と、悩んでいた。
そんな二者択一に迫られながらゴシゴシしていると、不意に女が「んんん……」と唸りながら寝返りを打った。
女は私の座席に体を向けながら横向きになった。頬に乱れる髪。半開きの唇。そして、ぐにゃっと歪んだ大きな胸と、だらしなく緩んだ股。それらを真正面から見る事が出来るようになると、たちまち私の悩みは消え、このまま女の痴態を眺めながら、こいつの下着の中に中出してやろうと決まった。
女はスースーと寝息を立てながらも、時折「んんん……」と唸っていた。その度に私はひやっとし、手首の動きを止めていた。
唸る女を見ながら、恐らく小便がしたいのだろうと思った。勝手にそう思いながら、そこで女が大股を開き、車内に小便を噴き出すシーンを思い浮かべた。

見ないでください……見ないでください……と、今にも泣き出しそうな表情でそう言いながらも、私にそれを見せつけてくる露出狂のマゾ女。
そんなシーンを想像しながら下着をかぶせたペニスをシゴいていた私は、ふと、妻にもそんな露出をさせてみたいと思った。
そう思った瞬間、太ももの内側にゾクゾクとした痺れが走り、ピーンっと伸ばした両足が自然にスリスリと擦れあった。
(そうだ、妻に露出をさせよう)
そんな、京都の観光キャッチコピーのような言葉が頭に浮かぶと同時に、私の尿道から精液がビュッと飛んだ。
あああああああああ、と頭の中で叫びながら、下着に包んだペニスをゴシゴシとシゴきまくった。射精で朦朧とする意識の中、妻が見ず知らずの男に陰部を剥き出している姿が浮かんでは消えた。
(露出だけなら妻も嫌がらないだろう……だから最初は露出だけをさせておき、それが慣れてきたら、徐々にサウナに誘導し……)
そんな事を考えているうちにも精液は女のクロッチに容赦なくドクドクと放出された。それは次第に下着から溢れ出しては、まるで白蛇のように陰毛の中へと滑り込んで行った。
肉棒から下着を慎重に剥がし、それを素早く三つに折り畳んだ。下着の中には精液がたっぷりと包まれており、それはずっしりと重みを増していた。
いつの間にか越後湯沢を過ぎ、気がつくともうすぐ高崎だった。
まだ生暖かいそれを右手に持ったまま窓の外を見ていた私は、早く女がトイレに行かないかとそればかりを待ちわびていた。
もちろんそれは、その下着をそのまま女のバッグの中に戻すためだった。
(つづく)
《←目次》《13話へ→》
吐泥(へろど)13
2013/06/13 Thu 00:01
二日後、再び私は上越新幹線の中にいた。妻と二人で並んで座りながら、走り去る窓の外をぼんやりと眺めていた。例の計画が実行されるのは、いよいよ今夜だった。しかし私は妻を説得するどころか、そのイベントすら妻に告げることができなかった。だから妻は何も知らなかった。前日の晩、いきなり私は、「ちょっとした契約上の手違いがあってね、明日また新潟に行かなくちゃならないんだ」と嘘をつき、そして「お前も一緒にどうだい。せっかくの休みなんだし、たまには日本海の美味しい魚でも食べに行こうじゃないか」と提案した。妻は乗り気ではなかったが、翌日、渋る妻を私は強引に連れ出した。だから妻は、例の計画を何も知らされないまま、新幹線に乗せられたのだった。
越後湯沢に近づくにつれ、窓の景色がみるみると変わってきた。最初はあまり乗り気じゃなかった妻だったが、しかし、広大な大自然が窓の外に広がり始めると、急に旅行気分が出てきたのか、妻は「新潟に着いたらまずはどこのお店に行こっか」などと浮き浮きし始め、さっそくスマホで『食べログ』などを開き始めた。
越後湯沢駅に到着すると、ホームにはスーツを着たサラリーマンの集団が待ち受けていた。そこで何かの会合でもあったのか、全員同じ形の茶封筒を手にしながらぞろぞろと自由席に乗り込んできた。ガラガラだった車内が一気に人で溢れた。それまで快適だった車内には、安サラリーマン特有のタバコ臭と汗臭と加齢臭がムンムンと充満し、そこらじゅうから、「係長」や「ファンド」や「運営事業」といった言葉が聞こえてきてた。
新幹線が走り出すと、『食べログ』を見ていた妻が、「急に騒がしくなったね」とポツリと呟いた。
「うん。この前、経済新聞に、新潟県が越後湯沢の再開発に乗り出すって記事が書いてあったから、きっとその関係の役所の人たちじゃないのかな……」
そうボソッと答えると、妻はもはやそんな事はどうでもいいかのように、「うわぁ〜この海鮮丼おいしそう〜」と大きな目を餃子のように歪め、それを私に見せようとしてきた。窓に寄りかかっていた私は、「どれどれ」と言いながら体を起こした。そしてスマホを覗きながらも必要以上に寄り添い、妻の髪から漂うリンスの香りを胸深く吸い込んだ。
あと小一時間で終点の新潟だった。そろそろ実行に移らなければならないと焦っていた。計画では、大宮あたりから車内露出を始め、高崎でローターを渡してオナニーをさせ、そして越後湯沢でしゃぶらせるという順序だった。しかしまだ何も実行していなかった。ぐずぐずしているうちに越後湯沢に到着してしまった。しかも大勢の乗客が乗り込んでくるという予想外な展開に見舞われ、私の計画は出だしから躓いてしまっていた。
最初からこの調子では、例の計画など実行できるわけがなかった。焦った私は、今からでも遅くはないと妻に寄り添った。すると勘の良い妻は何かを感じ取ったのか、そんな私から素早く身を引きながら「ほら、こんなに甘エビが入ってるよ」とスマホの画面を私に向け、防御の体制に入った。
それでも私が、「本当だね……これでこの値段はお値打ちだよ……」と更に迫って行くと、妻は引いた目で私を見ながら、「どうしたの?」と首を傾げた。私は素早く妻の肩に頬を摺り寄せた。そしてタプタプの胸を下から持ち上げるように撫でながら、「我慢できなくなってきた……」と呟いた。妻は呆れたように顔を顰めながら、小さな溜息を漏らした。
妻は私の異常性欲を知っていた。それが所構わずいきなり発情するという事も、妻は嫌という程にわかっていた。妻は周囲を見回すと、まるで小便を我慢している子供を宥めるような口調で、「こんな所じゃ無理よ、夜まで我慢して」と小声で囁いた。
「わかってるよ……だからオッパイだけでいいから見せてくれよ……」
そう呟きながら、その柔らかい乳肉をゆっくりと一揉みすると、そのまま上着のボタンを外そうとした。するとその時、いきなり通路に人が現れた。それはスーツを着た四十後半の中年サラリーマンで、私たちの座席の前で足を止めた。私は慌てて妻の胸から手を離した。しかし男の視線は確実にその瞬間を捕らえており、爪楊枝のような細い目が一瞬ギョッと見開いた。
男は、「ここ、空いてますか?」と訝しげに私たちを見下ろしながらそう聞いた。「あっ、どうぞ」と妻は言いながら通路側の座席に置いていたハンドバッグを自分の尻と肘掛の隙間に入れた。「すみません……」と言いながら、男は妻の隣の座席に静かに腰を下ろした。やはりその男も皆と同じ茶封筒を持っていた。
その封筒の帯には長岡市役所とプリントされていた。
(やっぱり役人か……)
私はそう呟きながら窓の外に目をやった。この予想外の邪魔者の出現で計画は完全に頓挫だと、山だらけの風景を見ながら私は小さな溜め息を吐いたのだった。
トンネルを過ぎると、またすぐトンネルだった。その度に景色が遮られる私は、スマホの画面に走る妻の爪の音を聞きながらウトウトしていた。
ふと気づくと、いつの間にか車内は静まり返っていた。今まで騒ついていた役人共の声は消え、所々から微かな寝息が聞こえてきた。
ソッと体を起こして正面の電光掲示板を見ると、『次は長岡』と表示されていた。ついつい眠ってしまっていた私は、もはや猶予がない事に激しい焦りを感じた。
隣りを見ると妻も寝ていた。その隣りのサラリーマンも薄くなった頭をこちらにぐたっと傾けながら寝息を立てていた。みんな寝てしまったのか……と思いながら再びシートに凭れようとすると、ふと、寝ている妻の股が微かに緩んでいる事に気づいた。
出かける直前、ジーンズを履いていた妻を強引に着替えさせた。露出させるためにはスカートでなければダメだと思い、ミニのタイトスカートに履き替えさせていたのだが、それが今、なぜか不自然に太ももまで捲れ上がっているのだ。

(もしかしてこいつら……)と、いきなり私は強烈な嫉妬を覚えた。私が寝ている隙に、二人は何かいやらしいことをしていたのではないかと不審を抱いたのだ。
もちろん、そんな事が現実にあるわけがなかった。そんな事を本気で思ってはいなかった。が、しかし、敢えて私はそう思う事にした。この新潟までの残り少ない時間内に計画を遂行させるために、そんな非現実的な妄想で異常性欲を奮い立たせようとしたのだ。
スースーと寝息を立てている妻の顔をソッと覗き込んだ。既に勃起している股間を握りしめながら、妻の寝顔に(どうせ嘘寝してるんだろ?)と呟いた。そのまま体を傾け、緩んだスカートの中を覗き込んだ。(私が寝ている間に、その隣りの薄汚い親父にアソコを触らせていたんだろ……)と、恥骨に張り付くピンクのクロッチを見つめた。そして生足の膝っ小僧にソッと唇を押し付けると、(オマンコを弄られながら……そいつのペニスをしゃぶっていたんだな……)と、その光景を頭に思い描いた。

ピンクのクロッチには二本の縦皺が浮かんでいた。その皺から妻の陰部を想像し、あの何とも言えない甘い香りと、そこにペニスがヌルヌルと滑る感触を思い出しながら、私は妻の膝っ小僧をチロッと舐めた。その瞬間、妻の目がパッと開いた。妻は別段慌てる事もなく、呆れた顔で「イヤだって……」と小声で呟くと、ゆっくりと股を閉じながら捲れていたスカートを元に戻した。
「どうしてスカートが捲れてるんだよ……隣りの男にオマンコを触らせていたのか……」
そう言いながら妻の頬に顔を寄せると、妻はおもむろに「クスッ」と鼻で笑った。そんな妻は慣れていた。異常性欲者の私の狂った妄想には慣れており、私がどんなに突拍子も無いことを言い出しても、もはや驚くことはなかった。
「な、やっぱりそうなんだろ、隣の親父にオマンコを弄られながらチンポをしゃぶってたんだろ……」
そう妻の耳元に囁きながら私はスカートの中に手を入れた。妻は慌てて私の手首を押さえると、小声で「隣の人が起きるからやめて」と言いながら眉を顰めた。
「嘘をつくな。濡れてるのがバレるからだろ」
「濡れてるわけ無いでしょ」
「じゃあパンツだけでも確認させろ」
一度言い出すとそれをするまで諦めないという私の性格を、妻はよく知っていた。だから妻は面倒臭そうに溜息を吐き、「パンツだけだよ」と、私の手首を握っていた手を緩めた。
私は静かにスカートを捲り上げた。不特定多数の親父たちの寝息が響く車内に、真っ白な太ももが現れた。その異様な卑猥感にムラッと欲情した私は、太ももに押し潰された股の隙間に手を潜り込ませた。寝ていたせいか、そこは明け方の布団の中のように暖かかった。妻は隣で眠る親父を、緊張した表情でチラチラと見ながら、「早くして」と顔を歪めた。
むちむちの太ももを五本の指で押し開き、その奥にあるクロッチに指を伸ばした。ザラザラとしたクロッチを指で撫で、その中に潜む『具』の感触を確かめるかのようにグニグニと撫で回した。もちろんそこは濡れていなかった。
「もういいでしょ」
そう言いながら妻が私の手を押さえた。それでも私は強引に指を動かした。クロッチの奥に潜む穴が愛おしくて堪らず、ムチッと盛り上がった肉の割れ目を指腹で擦りまくったのだった。

「もうイヤ」と、隣の親父を気にしながら囁く妻に、私は「見られてるぞ」と呟いた。
「隣の親父は起きてるよ……さっきからソッと薄眼を開けて、お前のここを見てるよ……」
そんな私のデタラメに妻は動揺しなかった。黙ったまま項垂れ、蠢く私の手を押さえながらギュッと目を閉じていた。
(なぜ妻は動揺しないのか?)
そう思いながら、項垂れる妻の横顔を見つめた。そして、妻が動揺しない理由は、妻自身に隣の親父に見られたいという露出願望があるからに違いないなどと勝手に決めつけ、激しい嫉妬と激しい興奮の渦に巻かれた。
「本当は見られたいんだろ……その隣にいる薄汚い親父に、いやらしいオマンコを見て欲しいんだろ……」
私は、まるで暗示をかけるかのようにして、そう何度も妻の耳元に囁いた。
妻は変態なのだ。表向きは普通の主婦を装っているが、その内面にはドロドロとした変態性欲が潜んでいるのだ。その証拠に、この女は夫の私が見ている前で他人男の肉棒を咥えたことがあるのだ。そしてそれをズボズボと入れられ、夫の私の目前で絶頂に達したという前科があるのだ。
そんな妻が、こんなプレイが嫌いなわけがなかった。私はそう確信しながら、曝け出されたピンクのパンティーの上からクリトリスを見つけ出し、そこを集中的に攻めた。
最初はクニャクニャしていた感触がすぐにコリコリと変わった。全体的にグニャグニャしている中で、そこだけがポツンっと硬かった。それを人差し指でクリクリと捏ねながら、「親父が見てるぞ……クリトリスが転がされるのをジッと見てるぞ……」と、耳元に何度も囁いた。すると、それまで私の手を必死に掴んでいた妻の指の力は抜け、今までぴっちりと閉じていた股が、みるみると緩んで行った。
(こいつ……感じているな……)
そう確信した私は、伸ばした舌先で妻の耳の穴をチロチロと舐めた。妻は全く抵抗しなかった。それどころか、項垂れた口元からハァハァと猥褻な息を吐き出していた。
いけるぞ、と思った私は、クリトリスを捏ねていた指をじわじわと移動させた。そしてクロッチの端にソッと指先を引っ掛けると、「せっかくだから……みんなに見てもらおう……」と囁き、ピタリと陰部に張り付いていたピンクのクロッチを横にずらしたのだった。

(つづく)
《←目次》《14話へ→》
越後湯沢に近づくにつれ、窓の景色がみるみると変わってきた。最初はあまり乗り気じゃなかった妻だったが、しかし、広大な大自然が窓の外に広がり始めると、急に旅行気分が出てきたのか、妻は「新潟に着いたらまずはどこのお店に行こっか」などと浮き浮きし始め、さっそくスマホで『食べログ』などを開き始めた。
越後湯沢駅に到着すると、ホームにはスーツを着たサラリーマンの集団が待ち受けていた。そこで何かの会合でもあったのか、全員同じ形の茶封筒を手にしながらぞろぞろと自由席に乗り込んできた。ガラガラだった車内が一気に人で溢れた。それまで快適だった車内には、安サラリーマン特有のタバコ臭と汗臭と加齢臭がムンムンと充満し、そこらじゅうから、「係長」や「ファンド」や「運営事業」といった言葉が聞こえてきてた。
新幹線が走り出すと、『食べログ』を見ていた妻が、「急に騒がしくなったね」とポツリと呟いた。
「うん。この前、経済新聞に、新潟県が越後湯沢の再開発に乗り出すって記事が書いてあったから、きっとその関係の役所の人たちじゃないのかな……」
そうボソッと答えると、妻はもはやそんな事はどうでもいいかのように、「うわぁ〜この海鮮丼おいしそう〜」と大きな目を餃子のように歪め、それを私に見せようとしてきた。窓に寄りかかっていた私は、「どれどれ」と言いながら体を起こした。そしてスマホを覗きながらも必要以上に寄り添い、妻の髪から漂うリンスの香りを胸深く吸い込んだ。
あと小一時間で終点の新潟だった。そろそろ実行に移らなければならないと焦っていた。計画では、大宮あたりから車内露出を始め、高崎でローターを渡してオナニーをさせ、そして越後湯沢でしゃぶらせるという順序だった。しかしまだ何も実行していなかった。ぐずぐずしているうちに越後湯沢に到着してしまった。しかも大勢の乗客が乗り込んでくるという予想外な展開に見舞われ、私の計画は出だしから躓いてしまっていた。
最初からこの調子では、例の計画など実行できるわけがなかった。焦った私は、今からでも遅くはないと妻に寄り添った。すると勘の良い妻は何かを感じ取ったのか、そんな私から素早く身を引きながら「ほら、こんなに甘エビが入ってるよ」とスマホの画面を私に向け、防御の体制に入った。
それでも私が、「本当だね……これでこの値段はお値打ちだよ……」と更に迫って行くと、妻は引いた目で私を見ながら、「どうしたの?」と首を傾げた。私は素早く妻の肩に頬を摺り寄せた。そしてタプタプの胸を下から持ち上げるように撫でながら、「我慢できなくなってきた……」と呟いた。妻は呆れたように顔を顰めながら、小さな溜息を漏らした。
妻は私の異常性欲を知っていた。それが所構わずいきなり発情するという事も、妻は嫌という程にわかっていた。妻は周囲を見回すと、まるで小便を我慢している子供を宥めるような口調で、「こんな所じゃ無理よ、夜まで我慢して」と小声で囁いた。
「わかってるよ……だからオッパイだけでいいから見せてくれよ……」
そう呟きながら、その柔らかい乳肉をゆっくりと一揉みすると、そのまま上着のボタンを外そうとした。するとその時、いきなり通路に人が現れた。それはスーツを着た四十後半の中年サラリーマンで、私たちの座席の前で足を止めた。私は慌てて妻の胸から手を離した。しかし男の視線は確実にその瞬間を捕らえており、爪楊枝のような細い目が一瞬ギョッと見開いた。
男は、「ここ、空いてますか?」と訝しげに私たちを見下ろしながらそう聞いた。「あっ、どうぞ」と妻は言いながら通路側の座席に置いていたハンドバッグを自分の尻と肘掛の隙間に入れた。「すみません……」と言いながら、男は妻の隣の座席に静かに腰を下ろした。やはりその男も皆と同じ茶封筒を持っていた。
その封筒の帯には長岡市役所とプリントされていた。
(やっぱり役人か……)
私はそう呟きながら窓の外に目をやった。この予想外の邪魔者の出現で計画は完全に頓挫だと、山だらけの風景を見ながら私は小さな溜め息を吐いたのだった。
トンネルを過ぎると、またすぐトンネルだった。その度に景色が遮られる私は、スマホの画面に走る妻の爪の音を聞きながらウトウトしていた。
ふと気づくと、いつの間にか車内は静まり返っていた。今まで騒ついていた役人共の声は消え、所々から微かな寝息が聞こえてきた。
ソッと体を起こして正面の電光掲示板を見ると、『次は長岡』と表示されていた。ついつい眠ってしまっていた私は、もはや猶予がない事に激しい焦りを感じた。
隣りを見ると妻も寝ていた。その隣りのサラリーマンも薄くなった頭をこちらにぐたっと傾けながら寝息を立てていた。みんな寝てしまったのか……と思いながら再びシートに凭れようとすると、ふと、寝ている妻の股が微かに緩んでいる事に気づいた。
出かける直前、ジーンズを履いていた妻を強引に着替えさせた。露出させるためにはスカートでなければダメだと思い、ミニのタイトスカートに履き替えさせていたのだが、それが今、なぜか不自然に太ももまで捲れ上がっているのだ。

(もしかしてこいつら……)と、いきなり私は強烈な嫉妬を覚えた。私が寝ている隙に、二人は何かいやらしいことをしていたのではないかと不審を抱いたのだ。
もちろん、そんな事が現実にあるわけがなかった。そんな事を本気で思ってはいなかった。が、しかし、敢えて私はそう思う事にした。この新潟までの残り少ない時間内に計画を遂行させるために、そんな非現実的な妄想で異常性欲を奮い立たせようとしたのだ。
スースーと寝息を立てている妻の顔をソッと覗き込んだ。既に勃起している股間を握りしめながら、妻の寝顔に(どうせ嘘寝してるんだろ?)と呟いた。そのまま体を傾け、緩んだスカートの中を覗き込んだ。(私が寝ている間に、その隣りの薄汚い親父にアソコを触らせていたんだろ……)と、恥骨に張り付くピンクのクロッチを見つめた。そして生足の膝っ小僧にソッと唇を押し付けると、(オマンコを弄られながら……そいつのペニスをしゃぶっていたんだな……)と、その光景を頭に思い描いた。

ピンクのクロッチには二本の縦皺が浮かんでいた。その皺から妻の陰部を想像し、あの何とも言えない甘い香りと、そこにペニスがヌルヌルと滑る感触を思い出しながら、私は妻の膝っ小僧をチロッと舐めた。その瞬間、妻の目がパッと開いた。妻は別段慌てる事もなく、呆れた顔で「イヤだって……」と小声で呟くと、ゆっくりと股を閉じながら捲れていたスカートを元に戻した。
「どうしてスカートが捲れてるんだよ……隣りの男にオマンコを触らせていたのか……」
そう言いながら妻の頬に顔を寄せると、妻はおもむろに「クスッ」と鼻で笑った。そんな妻は慣れていた。異常性欲者の私の狂った妄想には慣れており、私がどんなに突拍子も無いことを言い出しても、もはや驚くことはなかった。
「な、やっぱりそうなんだろ、隣の親父にオマンコを弄られながらチンポをしゃぶってたんだろ……」
そう妻の耳元に囁きながら私はスカートの中に手を入れた。妻は慌てて私の手首を押さえると、小声で「隣の人が起きるからやめて」と言いながら眉を顰めた。
「嘘をつくな。濡れてるのがバレるからだろ」
「濡れてるわけ無いでしょ」
「じゃあパンツだけでも確認させろ」
一度言い出すとそれをするまで諦めないという私の性格を、妻はよく知っていた。だから妻は面倒臭そうに溜息を吐き、「パンツだけだよ」と、私の手首を握っていた手を緩めた。
私は静かにスカートを捲り上げた。不特定多数の親父たちの寝息が響く車内に、真っ白な太ももが現れた。その異様な卑猥感にムラッと欲情した私は、太ももに押し潰された股の隙間に手を潜り込ませた。寝ていたせいか、そこは明け方の布団の中のように暖かかった。妻は隣で眠る親父を、緊張した表情でチラチラと見ながら、「早くして」と顔を歪めた。
むちむちの太ももを五本の指で押し開き、その奥にあるクロッチに指を伸ばした。ザラザラとしたクロッチを指で撫で、その中に潜む『具』の感触を確かめるかのようにグニグニと撫で回した。もちろんそこは濡れていなかった。
「もういいでしょ」
そう言いながら妻が私の手を押さえた。それでも私は強引に指を動かした。クロッチの奥に潜む穴が愛おしくて堪らず、ムチッと盛り上がった肉の割れ目を指腹で擦りまくったのだった。

「もうイヤ」と、隣の親父を気にしながら囁く妻に、私は「見られてるぞ」と呟いた。
「隣の親父は起きてるよ……さっきからソッと薄眼を開けて、お前のここを見てるよ……」
そんな私のデタラメに妻は動揺しなかった。黙ったまま項垂れ、蠢く私の手を押さえながらギュッと目を閉じていた。
(なぜ妻は動揺しないのか?)
そう思いながら、項垂れる妻の横顔を見つめた。そして、妻が動揺しない理由は、妻自身に隣の親父に見られたいという露出願望があるからに違いないなどと勝手に決めつけ、激しい嫉妬と激しい興奮の渦に巻かれた。
「本当は見られたいんだろ……その隣にいる薄汚い親父に、いやらしいオマンコを見て欲しいんだろ……」
私は、まるで暗示をかけるかのようにして、そう何度も妻の耳元に囁いた。
妻は変態なのだ。表向きは普通の主婦を装っているが、その内面にはドロドロとした変態性欲が潜んでいるのだ。その証拠に、この女は夫の私が見ている前で他人男の肉棒を咥えたことがあるのだ。そしてそれをズボズボと入れられ、夫の私の目前で絶頂に達したという前科があるのだ。
そんな妻が、こんなプレイが嫌いなわけがなかった。私はそう確信しながら、曝け出されたピンクのパンティーの上からクリトリスを見つけ出し、そこを集中的に攻めた。
最初はクニャクニャしていた感触がすぐにコリコリと変わった。全体的にグニャグニャしている中で、そこだけがポツンっと硬かった。それを人差し指でクリクリと捏ねながら、「親父が見てるぞ……クリトリスが転がされるのをジッと見てるぞ……」と、耳元に何度も囁いた。すると、それまで私の手を必死に掴んでいた妻の指の力は抜け、今までぴっちりと閉じていた股が、みるみると緩んで行った。
(こいつ……感じているな……)
そう確信した私は、伸ばした舌先で妻の耳の穴をチロチロと舐めた。妻は全く抵抗しなかった。それどころか、項垂れた口元からハァハァと猥褻な息を吐き出していた。
いけるぞ、と思った私は、クリトリスを捏ねていた指をじわじわと移動させた。そしてクロッチの端にソッと指先を引っ掛けると、「せっかくだから……みんなに見てもらおう……」と囁き、ピタリと陰部に張り付いていたピンクのクロッチを横にずらしたのだった。

(つづく)
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吐泥(へろど)14
2013/06/13 Thu 00:01
既にそこはグジョグジョに濡れていた。剥がされたクロッチの裏は、まるでシロップを垂らしたかのようにヌルヌルと濡れ輝いていた。
妻は抵抗しなかった。その股さえも閉じようとはしなかった。
「すごく濡れてるじゃないか……ほら、こうするとピチャピチャといやらしい音がするよ……」
そう囁きながら、透明の汁がとろとろと溢れる割れ目に指を滑らせると、妻はすかさず私の胸に顔を押し付けながら、「ダメ……声が出ちゃう……」と苦しそうに唸った。
チャンスだった。このタイミングで計画通りにローターを渡してやれば、妻は完全に堕ちるはずだった。が、しかし、今のこの状況は想定外だった。計画では車内がガラガラのはずだったが、現実では満席だった。しかもすぐ隣には人がいた。この状況でローターを使えば、たちまちその振動音が車内に響き、全員に気づかれてしまうのだ。
さすがにそれはまずかった。これがパチンコ店や深夜映画館といった場所で、相手がそれなりの汚れ者達だったら良かったが、しかしここは新幹線の中であり、そして相手は役人だ。ここでローターなど使えば、車掌はおろか警察にまで通報されかねないのだ。
せっかくのチャンスを逃してしまった私は、ソッと奥歯で歯ぎしりをした。しかしここで諦めるわけにはいかなかった。例の計画実行まであと十数時間しかないのだ。その間に妻を性奴隷と化しておかなければ、男性用サウナに連れ込むことなど絶対に不可能なのだ。
焦った私は、ヌルヌルと指を動かしながらクリトリスの皮を剥いた。小豆大のクリトリスがヌルッと顔を出した。痛々しく濡れ輝くそれは、今にもはち切れんばかりに勃起していた。
毎晩ローターを使用しているせいか、妻のクリトリスは異様なほどに大きく、そして極度に敏感だった。そこはまさに妻の弱点だった。セックスの最中に、その巨大化したクリトリスを指でコリコリと転がしてやると、たちまち妻は全身を痙攣させ、大量の小便をダラダラと漏らした。
そんな妻の弱点に指を押し付けてやった。ローターのように指先をブルブルと震わせてやると、いきなり妻は私の腕にガッとしがみ付きながら、苦しそうに「もうヤメて」と哀願し始めた。
しかし妻は、そう言いながらもだらしなく緩んだその股を閉じようとはしなかった。それどころか腰をコキコキと動かしては、陰毛がモサモサする恥骨を突き出したりしていた。
それは、もっと激しく弄って欲しいという意思表示に違いなかった。セックスの時、小便を漏らす直前に見せるいつもの動きと同じなのだ。
ここで小便を漏らされてはまずいと思った私は慌てて指を移動させた。そのすぐ下でぽっかりと口を開いている穴に指を滑り込ませ、指先から根元までネトネトとピストンさせた。

穴の中は焼けるように熱かった。奥からドロドロの液体が次から次へと溢れ出し、それが指をピストンさせる度にピタピタと卑猥な音を奏でていた。
ひとまず弱点を逃れた妻は、私の胸でハァハァと息を整えながら、「本当に無理。もうやめて」と呟いた。
そんな妻の表情にはマゾが浮かんでいた。それは、激しい羞恥と屈辱に与えながらも密かに悦びを感じている変態マゾヒストの顔だった。
その表情に見覚えがあった。あの日、見ず知らずの単独男に犯されながら感じていた妻が、後ろめたそうに私をチラチラと見ていたあの時と同じ顔だった。
(この調子でいけば、妻が性奴隷と化すのは時間の問題だ)
そう確信した私は、穴の中からヌルッと指を抜き取った。指に絡みつく白濁の汁を、項垂れている妻に見せつけてやった。そしてそれをおもむろにクンクンと嗅いでやると、妻は羞恥に眉を顰めながら「いやっ」と、私のその手を引っ張ろうとした。それを素早く避けながら、私は指に絡みつくその三十路女の甘酸っぱい匂いに目眩を感じていた。そして思わず「ハァ……」と興奮の息を一つ漏らすと、その指を下品にしゃぶり始め、羞恥に駆られる妻の耳元に顔を寄せては、「おっぱいを出しなさい……」と命令した。
妻は困惑していた。しかし今の妻には、その困惑は性的興奮の何物でもないことを私は知っていた。
やはり、あの時もそうだった。単独男に、「上に乗ってください」と言われた時も、妻は今と同じ困惑の表情を浮かべていた。
結局妻は、仰向けになった単独男の腰に跨った。大きく股を開き、自ら他人棒を握り、それを自分の穴に向けながらゆっくりと腰を下ろした。そして、それを驚愕しながら見ている私に向かって「見ないで」と声を震わせると、その困惑した表情のまま激しく腰を振り始めたのだった。

妻は、あの時と同じ表情を浮かべていた。私はその困惑した表情にゾクゾクしながら、妻のTシャツの大きく開いた首元にソッと手を差し込んだ。唾液と愛液でネトネトに濡れた指で乳首をコロコロと刺激しながら、もう片方の手を妻の背中に回すと、Tシャツの上から素早くブラジャーのホックを外した。
黙ったまま項垂れている妻の肩からブラジャーの紐を下ろすと、淡いグレーのTシャツの胸に、刺激されて痛々しく勃起した乳首がポツンっと浮かび上がった。それをTシャツの上からコロコロと転がしながら、「早く出しなさい」と囁くと、妻は観念したのかソッと辺りを確認しながら上着の首元に指を引っかけた。そしてゆっくりと首元のゴムを伸ばし、そこに真っ白な肉の塊を曝け出すと、自らの意思で乳首を指で弄り、その柔らかい乳肉をフルフルと揺らしたのだった。

それは一瞬の出来事だった。妻はすぐにその乳肉を元に戻してしまったが、しかしそんな妻の様子は明らかに異常な性欲に取り憑かれていた。激しい羞恥に駆られながらも、欲望を抑えきれずに自ら乳首を指で転がしたその姿は、もはや完全に変態奴隷と化していた。
さすが私の妻だった。さすが毎晩のように変態行為を繰り返されている異常性欲者の妻だけあって飲み込みが早かった。この調子なら計画は成功するだろうと安心した私は、長岡に到着する前に妻をトイレに連れ込み、滅茶苦茶に犯しまくりたい衝動に駆られた。ムチムチの尻に激しく腰を打ち続け、そのドロドロとした卑猥な穴の中に大量の精液を注入したくて堪らなくなった。

当然、妻もそれを望んでいるはずだった。妻もこのシチュエーションで肉棒を入れられたいと思っているに違いなく、今トイレに誘えば涎を垂らして付いてくるだろう。が、しかし、今はそれはできなかった。なぜなら私は、サウナに潜入するまでの間、例え妻が激しくそれを求めてきても、例え私がどれだけ興奮したとしても、絶対に挿入しないと決めていたからだった。
それは、ある意味一つの調教だった。妻の性欲を極限まで高め、肉棒に飢えた変態メス豚にさせるための手段だった。私は考えたのだ。ホテルに到着するまでの間、妻にはあらゆる性的刺激を与え、常に欲情した状態にさせておこうと。そしてホテルに着いていよいよセックスが始まると思った矢先、再びお預けを喰らわしてやろうと。
これは、毎晩嫌という程に肉棒で掻き回されている妻にとっては、気が狂いそうなほどの『焦らし』になるに違いなかった。その焦らしによって妻は、いつもはうんざりしていた肉棒が、この日は欲しくて欲しくて堪らなくなり、結果、その欲望は誰のモノでもいいから入れて欲しいというレベルまで高まるだろうと私は睨んでいたのだ。
そこまで行けばあとは簡単だった。そうなれば、あの獣共が潜むサウナに妻を連れて行くのは赤子の手をひねるようなものだった。
だから私は我慢した。今、トイレに妻を連れ込み、そのグジョグジョに濡れたオマンコにペニスをピストンさせたら最高に気持ちいいだろうと身震いしながらも、必死にそれを我慢していた。
きっと妻も同じ気持ちのはずだった。いや、同じ気持ちでなければ困るのだ。だから私はそれを確認すべく、妻の手をギュッと握りしめた。そしてソッと妻の耳元に唇を這わせながら、「トイレに行こうか……」と囁いてみると、案の定、妻は小さくコクンっと頷いた。
そんな妻の羞恥に満ちた仕草に強烈な興奮を覚えた私は、急いでズボンのチャックを開け、そこから熱り立った肉棒を摘み出した。そしてそれを妻に握らせると、その場でシコシコと手コキさせながら妻の上着を捲り、タプタプの乳肉を露出させた。

妻は隣で眠る男を気にしながらもペニスを上下にシゴいていた。それを握りながら人差し指だけ伸ばし、その指を我慢汁がダラダラと溢れる尿道に這わせてはヌルヌルさせた。
そして妻は、そうしながらも、もう片方の手をソッと自分のスカートの中に忍び込ませ、そこをモゾモゾと弄り始めた。私はゆっくりと体を起こし、前屈みになってスカートの中を覗いた。ピンクのクロッチの上部で妻の細い指が円を描くように動いていた。そこは明らかにクリトリスであり、指はそこばかりを集中的に攻めていた。
私は、スカートの中を覗きながら「もっと股を開いて見せてみろ」と命令口調で言った。妻は半開きの目で私を見下ろしながら、そろりそろりと股を肩幅ほど開いた。
「パンツを捲れ。直接オマンコをヌルヌルしろ……」
声を震わせながらそう言うと、妻は私のペニスからソッと手を離し、大きく開いた股に両手を入れた。左手の指でクロッチをずらし、右手の指で大陰唇をクパッと押し広げた。そして真っ赤に濡れ輝いた粘膜に指をヌルヌルと滑らせながら、そこに卑猥な糸を引かせたのだった。

「トイレでヤって欲しいか?」
私はそう妻に聞きながら再びシートに凭れた。妻は下唇を噛み締めながらコクンっと頷いた。私は、少しでもソッチ系に導いておこうと、「そんなにチンポが欲しいなら、ここで隣の男に入れて貰うかい?」と囁いた。妻はイヤイヤっと小さく首を振ると、「これがいいの……」と再び私のペニスを強く握りしめ、そのまま根元まで激しくシゴき始めた。
凄まじい快楽が太ももから脳天へと走った。思わず射精しそうになったが、それでも必死に堪えながら、今夜のためにもできるだけ妻をソッチのモードにしておきたく、「いいじゃないか……たまには違うチンポも味わってみろよ……あの時みたいに……」と声を震わせた。
が、しかし、妻をその気にさせるつもりで言ったその言葉は、逆に私に襲いかかってきた。さっそく私の頭に、隣の男の膝の上に乗った妻が、大きく股を開きながら腰を振っている姿が浮かんだ。そしてあの時のように、「見ないで……見ないで……」と半泣きになりながらも、自らの意思でその太くて逞しい他人棒を穴の中にヌポヌポさせている妻の姿が鮮明に浮かび上がってきた。

嫉妬と興奮が入り乱れ、ゾクゾクとした絶望に胸を締め付けられた。
本当にそうさせたい。本当に他人棒で乱れる妻を見てみたい。そう思いながらそんな妄想を頭の中に繰り広げていると、脳に溜まっていたドロドロとしたマグマが下半身へと逆流し、自然に私の両足がピーンっと伸びた。
「イクよ……」と、そう唸りながら私は妻の唇に舌を伸ばした。妻は迷うことなく私の舌を口内に受け入れると更に手の動きを早めた。妻の生暖かい舌が口内でヌルヌルと蠢き、私の敏感な脳をくすぐった。朦朧とする意識の中、『まもなく長岡、長岡です。上越線、越後中里行きは——』というアナウンスが聞こえ、それと同時に、激しく上下される肉棒の先から、ビュッ、ビュッ、と精液が発射された。
妻は素早くその精液をもう片方の手の平で受け止めた。その射精の勢いに興奮したのか、妻はいきなり私の口内にハァハァと荒い息を吐きながら猛然と舌を絡めてきた。
激しいキスをしながらも、ふと横目で見ると、妻は精液が溜まったその手を再びスカートの中に忍び込ませた。そしてそれを自身の陰部に塗りたくり、そこにペチャペチャと下品な音を立てた。
(この女は……やっぱり変態だ……)と、そうゾクゾクしながら必死に舌を絡めてくる妻の顔を見ていると、不意に妻はビクンっと腰を跳ね上げ、私の口内で「ウグウグ」と唸り始めた。(イッたな……)と思った私は、激しく絡み付いてくる妻の腕から逃れ、素早く前屈みになった。そしてその瞬間を見てやろうと思い妻の股間を覗いた。
いつの間にかパンティーは太ももへとずり下げられていた。モサモサと生え茂る陰毛の中でベロリと口を開く膣には、私の精液がべっとりと付着していた。それは卑猥を通り越して不気味だった。真っ赤な裂け目からドロリと垂れる精液は、まるでドブ川の排水溝から垂れ流されたへどろのようだった。

(つづく)
《←目次》《15話へ→》
妻は抵抗しなかった。その股さえも閉じようとはしなかった。
「すごく濡れてるじゃないか……ほら、こうするとピチャピチャといやらしい音がするよ……」
そう囁きながら、透明の汁がとろとろと溢れる割れ目に指を滑らせると、妻はすかさず私の胸に顔を押し付けながら、「ダメ……声が出ちゃう……」と苦しそうに唸った。
チャンスだった。このタイミングで計画通りにローターを渡してやれば、妻は完全に堕ちるはずだった。が、しかし、今のこの状況は想定外だった。計画では車内がガラガラのはずだったが、現実では満席だった。しかもすぐ隣には人がいた。この状況でローターを使えば、たちまちその振動音が車内に響き、全員に気づかれてしまうのだ。
さすがにそれはまずかった。これがパチンコ店や深夜映画館といった場所で、相手がそれなりの汚れ者達だったら良かったが、しかしここは新幹線の中であり、そして相手は役人だ。ここでローターなど使えば、車掌はおろか警察にまで通報されかねないのだ。
せっかくのチャンスを逃してしまった私は、ソッと奥歯で歯ぎしりをした。しかしここで諦めるわけにはいかなかった。例の計画実行まであと十数時間しかないのだ。その間に妻を性奴隷と化しておかなければ、男性用サウナに連れ込むことなど絶対に不可能なのだ。
焦った私は、ヌルヌルと指を動かしながらクリトリスの皮を剥いた。小豆大のクリトリスがヌルッと顔を出した。痛々しく濡れ輝くそれは、今にもはち切れんばかりに勃起していた。
毎晩ローターを使用しているせいか、妻のクリトリスは異様なほどに大きく、そして極度に敏感だった。そこはまさに妻の弱点だった。セックスの最中に、その巨大化したクリトリスを指でコリコリと転がしてやると、たちまち妻は全身を痙攣させ、大量の小便をダラダラと漏らした。
そんな妻の弱点に指を押し付けてやった。ローターのように指先をブルブルと震わせてやると、いきなり妻は私の腕にガッとしがみ付きながら、苦しそうに「もうヤメて」と哀願し始めた。
しかし妻は、そう言いながらもだらしなく緩んだその股を閉じようとはしなかった。それどころか腰をコキコキと動かしては、陰毛がモサモサする恥骨を突き出したりしていた。
それは、もっと激しく弄って欲しいという意思表示に違いなかった。セックスの時、小便を漏らす直前に見せるいつもの動きと同じなのだ。
ここで小便を漏らされてはまずいと思った私は慌てて指を移動させた。そのすぐ下でぽっかりと口を開いている穴に指を滑り込ませ、指先から根元までネトネトとピストンさせた。

穴の中は焼けるように熱かった。奥からドロドロの液体が次から次へと溢れ出し、それが指をピストンさせる度にピタピタと卑猥な音を奏でていた。
ひとまず弱点を逃れた妻は、私の胸でハァハァと息を整えながら、「本当に無理。もうやめて」と呟いた。
そんな妻の表情にはマゾが浮かんでいた。それは、激しい羞恥と屈辱に与えながらも密かに悦びを感じている変態マゾヒストの顔だった。
その表情に見覚えがあった。あの日、見ず知らずの単独男に犯されながら感じていた妻が、後ろめたそうに私をチラチラと見ていたあの時と同じ顔だった。
(この調子でいけば、妻が性奴隷と化すのは時間の問題だ)
そう確信した私は、穴の中からヌルッと指を抜き取った。指に絡みつく白濁の汁を、項垂れている妻に見せつけてやった。そしてそれをおもむろにクンクンと嗅いでやると、妻は羞恥に眉を顰めながら「いやっ」と、私のその手を引っ張ろうとした。それを素早く避けながら、私は指に絡みつくその三十路女の甘酸っぱい匂いに目眩を感じていた。そして思わず「ハァ……」と興奮の息を一つ漏らすと、その指を下品にしゃぶり始め、羞恥に駆られる妻の耳元に顔を寄せては、「おっぱいを出しなさい……」と命令した。
妻は困惑していた。しかし今の妻には、その困惑は性的興奮の何物でもないことを私は知っていた。
やはり、あの時もそうだった。単独男に、「上に乗ってください」と言われた時も、妻は今と同じ困惑の表情を浮かべていた。
結局妻は、仰向けになった単独男の腰に跨った。大きく股を開き、自ら他人棒を握り、それを自分の穴に向けながらゆっくりと腰を下ろした。そして、それを驚愕しながら見ている私に向かって「見ないで」と声を震わせると、その困惑した表情のまま激しく腰を振り始めたのだった。

妻は、あの時と同じ表情を浮かべていた。私はその困惑した表情にゾクゾクしながら、妻のTシャツの大きく開いた首元にソッと手を差し込んだ。唾液と愛液でネトネトに濡れた指で乳首をコロコロと刺激しながら、もう片方の手を妻の背中に回すと、Tシャツの上から素早くブラジャーのホックを外した。
黙ったまま項垂れている妻の肩からブラジャーの紐を下ろすと、淡いグレーのTシャツの胸に、刺激されて痛々しく勃起した乳首がポツンっと浮かび上がった。それをTシャツの上からコロコロと転がしながら、「早く出しなさい」と囁くと、妻は観念したのかソッと辺りを確認しながら上着の首元に指を引っかけた。そしてゆっくりと首元のゴムを伸ばし、そこに真っ白な肉の塊を曝け出すと、自らの意思で乳首を指で弄り、その柔らかい乳肉をフルフルと揺らしたのだった。

それは一瞬の出来事だった。妻はすぐにその乳肉を元に戻してしまったが、しかしそんな妻の様子は明らかに異常な性欲に取り憑かれていた。激しい羞恥に駆られながらも、欲望を抑えきれずに自ら乳首を指で転がしたその姿は、もはや完全に変態奴隷と化していた。
さすが私の妻だった。さすが毎晩のように変態行為を繰り返されている異常性欲者の妻だけあって飲み込みが早かった。この調子なら計画は成功するだろうと安心した私は、長岡に到着する前に妻をトイレに連れ込み、滅茶苦茶に犯しまくりたい衝動に駆られた。ムチムチの尻に激しく腰を打ち続け、そのドロドロとした卑猥な穴の中に大量の精液を注入したくて堪らなくなった。

当然、妻もそれを望んでいるはずだった。妻もこのシチュエーションで肉棒を入れられたいと思っているに違いなく、今トイレに誘えば涎を垂らして付いてくるだろう。が、しかし、今はそれはできなかった。なぜなら私は、サウナに潜入するまでの間、例え妻が激しくそれを求めてきても、例え私がどれだけ興奮したとしても、絶対に挿入しないと決めていたからだった。
それは、ある意味一つの調教だった。妻の性欲を極限まで高め、肉棒に飢えた変態メス豚にさせるための手段だった。私は考えたのだ。ホテルに到着するまでの間、妻にはあらゆる性的刺激を与え、常に欲情した状態にさせておこうと。そしてホテルに着いていよいよセックスが始まると思った矢先、再びお預けを喰らわしてやろうと。
これは、毎晩嫌という程に肉棒で掻き回されている妻にとっては、気が狂いそうなほどの『焦らし』になるに違いなかった。その焦らしによって妻は、いつもはうんざりしていた肉棒が、この日は欲しくて欲しくて堪らなくなり、結果、その欲望は誰のモノでもいいから入れて欲しいというレベルまで高まるだろうと私は睨んでいたのだ。
そこまで行けばあとは簡単だった。そうなれば、あの獣共が潜むサウナに妻を連れて行くのは赤子の手をひねるようなものだった。
だから私は我慢した。今、トイレに妻を連れ込み、そのグジョグジョに濡れたオマンコにペニスをピストンさせたら最高に気持ちいいだろうと身震いしながらも、必死にそれを我慢していた。
きっと妻も同じ気持ちのはずだった。いや、同じ気持ちでなければ困るのだ。だから私はそれを確認すべく、妻の手をギュッと握りしめた。そしてソッと妻の耳元に唇を這わせながら、「トイレに行こうか……」と囁いてみると、案の定、妻は小さくコクンっと頷いた。
そんな妻の羞恥に満ちた仕草に強烈な興奮を覚えた私は、急いでズボンのチャックを開け、そこから熱り立った肉棒を摘み出した。そしてそれを妻に握らせると、その場でシコシコと手コキさせながら妻の上着を捲り、タプタプの乳肉を露出させた。

妻は隣で眠る男を気にしながらもペニスを上下にシゴいていた。それを握りながら人差し指だけ伸ばし、その指を我慢汁がダラダラと溢れる尿道に這わせてはヌルヌルさせた。
そして妻は、そうしながらも、もう片方の手をソッと自分のスカートの中に忍び込ませ、そこをモゾモゾと弄り始めた。私はゆっくりと体を起こし、前屈みになってスカートの中を覗いた。ピンクのクロッチの上部で妻の細い指が円を描くように動いていた。そこは明らかにクリトリスであり、指はそこばかりを集中的に攻めていた。
私は、スカートの中を覗きながら「もっと股を開いて見せてみろ」と命令口調で言った。妻は半開きの目で私を見下ろしながら、そろりそろりと股を肩幅ほど開いた。
「パンツを捲れ。直接オマンコをヌルヌルしろ……」
声を震わせながらそう言うと、妻は私のペニスからソッと手を離し、大きく開いた股に両手を入れた。左手の指でクロッチをずらし、右手の指で大陰唇をクパッと押し広げた。そして真っ赤に濡れ輝いた粘膜に指をヌルヌルと滑らせながら、そこに卑猥な糸を引かせたのだった。

「トイレでヤって欲しいか?」
私はそう妻に聞きながら再びシートに凭れた。妻は下唇を噛み締めながらコクンっと頷いた。私は、少しでもソッチ系に導いておこうと、「そんなにチンポが欲しいなら、ここで隣の男に入れて貰うかい?」と囁いた。妻はイヤイヤっと小さく首を振ると、「これがいいの……」と再び私のペニスを強く握りしめ、そのまま根元まで激しくシゴき始めた。
凄まじい快楽が太ももから脳天へと走った。思わず射精しそうになったが、それでも必死に堪えながら、今夜のためにもできるだけ妻をソッチのモードにしておきたく、「いいじゃないか……たまには違うチンポも味わってみろよ……あの時みたいに……」と声を震わせた。
が、しかし、妻をその気にさせるつもりで言ったその言葉は、逆に私に襲いかかってきた。さっそく私の頭に、隣の男の膝の上に乗った妻が、大きく股を開きながら腰を振っている姿が浮かんだ。そしてあの時のように、「見ないで……見ないで……」と半泣きになりながらも、自らの意思でその太くて逞しい他人棒を穴の中にヌポヌポさせている妻の姿が鮮明に浮かび上がってきた。

嫉妬と興奮が入り乱れ、ゾクゾクとした絶望に胸を締め付けられた。
本当にそうさせたい。本当に他人棒で乱れる妻を見てみたい。そう思いながらそんな妄想を頭の中に繰り広げていると、脳に溜まっていたドロドロとしたマグマが下半身へと逆流し、自然に私の両足がピーンっと伸びた。
「イクよ……」と、そう唸りながら私は妻の唇に舌を伸ばした。妻は迷うことなく私の舌を口内に受け入れると更に手の動きを早めた。妻の生暖かい舌が口内でヌルヌルと蠢き、私の敏感な脳をくすぐった。朦朧とする意識の中、『まもなく長岡、長岡です。上越線、越後中里行きは——』というアナウンスが聞こえ、それと同時に、激しく上下される肉棒の先から、ビュッ、ビュッ、と精液が発射された。
妻は素早くその精液をもう片方の手の平で受け止めた。その射精の勢いに興奮したのか、妻はいきなり私の口内にハァハァと荒い息を吐きながら猛然と舌を絡めてきた。
激しいキスをしながらも、ふと横目で見ると、妻は精液が溜まったその手を再びスカートの中に忍び込ませた。そしてそれを自身の陰部に塗りたくり、そこにペチャペチャと下品な音を立てた。
(この女は……やっぱり変態だ……)と、そうゾクゾクしながら必死に舌を絡めてくる妻の顔を見ていると、不意に妻はビクンっと腰を跳ね上げ、私の口内で「ウグウグ」と唸り始めた。(イッたな……)と思った私は、激しく絡み付いてくる妻の腕から逃れ、素早く前屈みになった。そしてその瞬間を見てやろうと思い妻の股間を覗いた。
いつの間にかパンティーは太ももへとずり下げられていた。モサモサと生え茂る陰毛の中でベロリと口を開く膣には、私の精液がべっとりと付着していた。それは卑猥を通り越して不気味だった。真っ赤な裂け目からドロリと垂れる精液は、まるでドブ川の排水溝から垂れ流されたへどろのようだった。

(つづく)
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吐泥(へろど)15
2013/06/13 Thu 00:01
終点の新潟駅に着いたのは二時を少し回った頃だった。改札を出るなり、妻が「漁業組合には何時に行くの?」と聞いてきた。私は「うん……」と曖昧な返事をしながら、宛てもなく駅の中をぐるぐると歩き回っていた。
ここから例のホテルまでタクシーで三十分程度だった。計画では、この後、新潟の町をブラブラしながら妻に露出をさせ、妻の内に秘められている変態性欲を更に高める予定だった。
そうやって今夜のサウナ潜入に備えるつもりだったのだが、しかし妻の変態度は予想を遥かに超えており、既に新幹線内の第一計画だけで充分だった。今の妻なら、そこらのおっさんを捕まえて「こいつとセックスしろ」と言っても素直に従うはずであり、もうこれ以上調教を続ける必要はなかった。
しかし、だからと言ってこのままホテルに直行するというのも、あまりにも妻が哀れに思えた。だから私は駅の中をぐるぐる回りながら、取り敢えず日本海の魚だけでも食べさせてやろうと、それなりの店を探していたのだが、しかし、駅の中にあるのはフランチャイズのファーストフード店ばかりであり、事前に『食べログ』までチェックしていた妻が納得するような店は見当たらなかったのだった。
「ねぇ……さっきから何してるの?」
油の匂いがムンムンと漂うとんかつ屋の前を通り過ぎると、ふと妻がそう私の顔を覗き込んだ。その濃紺の暖簾がぶら下がるとんかつ屋の前を通るのはこれで三度目だ。
「うん……トイレを探してるんだけどね……」
そう誤魔化すと、妻は「トイレならさっきあったじゃない」と驚きながら後ろを振り向き、ドラッグストアの横の通路にぶら下がっていた『WC』のプレートを指差した。
エレベーター横の小さな書店に妻を残し、ワックスでテラテラに輝く通路をぺたぺたと歩きながらトイレに向かった。特に催しているわけではなかったが、そう言ってしまった以上、そこに行かなくてはならなかった。
ドラッグストアの店先に陳列されているトイレットペーパーが、どこか懐かしい甘い花の香りを漂わせていた。通路を曲がるなり、男子トイレの入口に置いてある『清掃中』の黄色い看板が目に飛び込んできた。しかし中を覗くと男が三人いた。一人は洗面所で手を洗い、残る二人は小便器の前で黙々と用を足していた。だから私も看板を無視してトイレに入った。
五台並んだ小便器の手前で、ドクロ柄のTシャツを着た青年が携帯を耳にあてながら用を足していた。便器を一つ挟んだ奥の便器では、ハゲ頭の老年サラリーマンが、まるで黙祷しているかのようにジッと目を閉じたまま突っ立っていた。
そんな二人の背後を横切り奥へと進んだ。最後尾の便器の横にはバケツがすっぽりと入った底の深い流し台があり、そこからモップとデッキブラシの棒が突き出していた。便器の前で足を止めると、背後の個室からカコカコカコっという音が聞こえてきた。チラッと振り向くと、清掃婦のおばさんが洋式便器の中をブラシで必死に擦っていた。
社会の窓からソッとペニスを摘まみ出すと、いきなり小便とは違う液体がドロッと流れ出た。それは、新幹線の中で射精した時の残液だった。今まで尿道に溜まっていたのが、ペニスを解放したと同時に溢れ出したのだ。
便器に垂れたそれは、ニトーっと長い糸を引きながらいつまでもぶら下がっていた。ブルブルっとペニスを振ってもその糸は切れず、慌てた私は横目で隣の老年サラリーマンを見た。

幸いにも、男は未だジッと目を閉じたままだった。恐らく前立腺を患っているのだろう、男は腐った桃のようなペニスを摘んだまま、鼻息をクフクフと鳴らしながら力んでいた。
ツユの糸をぶら下げたまま一気に小便をした。押し出されたゼリー状の残液が便器の底にボタボタと落ちた。それはまるでタピオカのようであり、尿道にゴリゴリとした違和感を感じた。
すると突然、隣の男のクフクフという鼻息がフーッという溜息に変わった。ソッと横目で見てみると、私のびしゃびしゃと放出される音に誘発されたのか、男のペニスからも小便が噴き出していた。

男は目を閉じたままだった。まるでクラッシック音楽に聴き入るかのように、気持ち良さげに目を閉じながら、びしゃびしゃと奏でる自分の小便の音を聞いていた。
それまで腐った桃のように萎れていたペニスは、激しい排尿によって躍動感がみなぎり、みるみる逞しくなってきた。それは私のモノより遥かに太かった。亀頭を形取るカリ首は、まるで彫刻刀で彫り込んだようにくっきりと浮かび上がり、獰猛な爬虫類のエラのようだった。
それを眺めていると、不意に(これを妻にしゃぶらせたい……)という欲望が湧いた。きっと今の妻なら、こんな男のペニスでも喜んでしゃぶるはずだった。この男を個室に誘い込み、そこに妻を連れ込み、私の見ている前で狂ったようにしゃぶらせたいと妄想に耽っていると、ムラムラと溢れてくる欲望で胸が苦しくなってきた。

私の脳は、既にヘドロと化していた。さっき新幹線の中で見た妻の陰部に滴る精液のように、私の脳はドロドロに溶けていた。そんな私は、男の小便が止まるのを息を殺して待っていた。男が小便を終えたら、私の妻にあなたのペニスをしゃぶらせてやってもらえませんかと、そう声を掛けようと本気で思っていたのだ。
男の小便は次第に勢いを衰え、まるで水道の蛇口を閉めたかのようにピタリと止まった。男はボテッと太った肉棒を指で摘みながらユッサユッサと上下に振った。ポタポタと垂れる雫が精液のように見え、それが滴る白い便器が、大きく口を開いた妻に思えた。
男がギギッとチャックを閉めるなり、私はジッと目を閉じている男の横顔に顔を近づけた。そして「あのぅ」と声を掛けようとした瞬間、突然男の目がカッと開いた。男はサッと振り返り私を睨んだ。その物凄い形相に、思わず「えっ」と私が怯むと、男の視線はゆっくりと私の下半身へと下り、そこで再びカッと目を見開いた。

私のペニスは勃起していた。妻がこの男のペニスをジュブジュブと下品にしゃぶる妄想をしていたため、ペニスははち切れんばかりに膨張していた。男はそんな私のペニスを、まるで親の仇でも見るような形相で睨んでいた。そしてその鋭い視線を再び私の顔に戻すと、私の目をジッと覗き込みながら、「バカモノ」とひとこと呟き、そのままスタスタとトイレを出て行ってしまったのだった。
どうやら男は、私がホモだと勘違いしたらしい。男が放ったその「バカモノ」は、私が小六の時、放課後の誰もいない教室で、高橋美優の体育ズボンの股間を嗅いでいるのを教頭先生に見つかった時に言われた「バカモノ」と同じ部類の「バカモノ」だった。
私は変態だがホモではない!
いつしか誰もいなくなったトイレを見つめながら、私はそう心に叫んだ。静まり返ったトイレには清掃婦のブラシの音だけがカコカコと鳴り響いており、まるで、見知らぬオヤジに「バカモノ」呼ばわりされた私を嘲笑っているようだった。
一瞬その音にムカッときたが、しかし、それでも私のペニスはビクンビクンっと波を打ちながら勃起を続けていた。一日に七回もの射精が軽くできるほどの私の異常性欲は、こんな事で治るほどデリケートではないのだ。
カコカコカコっというブラシ音に合わせてペニスをシゴいた。取り敢えず少しだけでも抜いておこうと思い、背後のおばさんを気にしながらこっそりとシコシコしていると、不意にそのカコカコという音がピタリと止んだ。ジャーッと個室便器の水を流す音が聞こえ、焦った私はシゴいていたペニスから慌てて手を離した。すると、それと同時にすぐ隣りの流し台におばさんの姿がヌッと現れ、おばさんはガサガサと音を立てながら汚れたブラシを洗い始めたのだった。
危ないところだった。もう少し遅れていたら、このおばさんにシコシコしている瞬間を目撃されるところだった。そう思いながら慌てて勃起するペニスをズボンに押し込もうとすると、不意にその『シコシコしている瞬間を目撃される』という自分の言葉に突然ムラッと欲情を覚えた。私はその言葉から、見ず知らずの男にオナニーを見せつけられている妻の姿を頭に思い描いてしまったのだ。
激しい興奮に襲われた私は、握っていたペニスからソッと手を離した。そしてそのまま腰を大きく反らし、それをビーンっと突き出しながら、腹筋を使ってそれをヒコヒコと動かし始めた。
それはまるで、揺れ動く張り子の虎の首のようだった。すぐ隣りでビョンビョンとバウンドしているペニスに、おばさんが気づかないわけがなかった。おばさんはモップをジャバジャバと洗いながらチラッとソレを見た。そしてさっきの男と同じようにギョッと目を見開いたのだった。

駅のトイレの清掃婦など、どうせシルバーセンターから派遣された老婆だと思っていた。少なくとも東京駅の清掃婦の感覚でいけばそうに違いなかったが、しかしそのおばさんは違った。四十代前半のパート主婦といった感じの、至って普通のおばさんだった。
全然イケると思った。熟女独特のポチャポチャとした体は胸もそれなりに大きく、尻だって作業ズボンをパンパンにさせるほどにムチムチしていた。恐らく、そんなおばさんの股間は、朝からの労働によってムレムレに蒸れているはずだ。剛毛の奥に潜むキクラゲのような陰唇は汗と小便の残り汁でテラテラに濡れ輝き、それを指でぺろりと捲れば、その中からきっと凄まじい発酵臭が漂ってくるだろう。
そんなことを妄想していると、無性にこのおばさんの股間に顔を埋めたいというマゾ心が生まれ、更に異常な妄想がモワモワと溢れてきた。
妄想の中のおばさんは、私に「そこに座りなさい」と言った。私は素直に便所の床にベタリと尻を下ろすと、作業ズボンを脱ぎ始めたおばさんを見上げながらペニスをシゴき始めた。
下半身裸になったおばさんは、「舐めてもいいわよ」と薄ら笑いを浮かべながら、床に座っている私の顔を跨ぐと、黒いブラジャーから引きずり出したブヨブヨの乳を自分で揉み始めた。そしておばさんは、乗馬するかのように腰をコキコキと動かしながら、その蒸れた股間を私の顔に擦り付けてきた。
タワシのような剛毛が額をゴシゴシし、腐った柿のような陰部が鼻の上をヌルヌルする。私はハァハァと荒い息を吐きながらも、そのドロドロになった割れ目に舌を伸ばし、必死にそこをベロベロと舐め回した。そしてそのチーズ臭い白濁の恥垢から、肛門のティッシュの欠片に至るまで、私はおばさんの恥部を全て味わうのだった。

そんな妄想をしながら、いつしか私はペニスをシゴいていた。
現実のおばさんが、ジッと固まったまま、上下する私の肉棒を黙って見ていた。
「ハァハァ……おばさん……私と個室に行きませんか……おばさんのアソコをイクまで舐めてあげますよ……」
おばさんの目を見つめながらそう唸った。おばさんは身動きしないまま無言で私を見ている。
「入れさせてくださいよ……コレをおばさんのオマンコにズボズボさせて下さいよ……ほら、見てくださいよ、凄くビンビンしてるでしょ……おばさんがイクまでずっと動かし続けますから……だからそのヌルヌルマンコに入れさせてくださいよ……」
そう囁きながらペニスを激しくシゴいた。それでもおばさんは眉一つ動かさず、私のその奇行を黙ってじっと見つめていた。

ペニスをシゴくという肉体的快感と、見ず知らずのおばさんにオナニーを見られているという精神的快感がヘドロ化した脳をドロドロと搔き回し、私の興奮を最高潮まで高めた。
「あっ、イキますよ、あっ、見ててください、あっ、あっ」
そう小さく叫びながら、白い陶器に精液をビュッビュッと飛ばし、快楽に両足をモゾモゾさせながら、はあぁぁぁぁぁぁ……と深い息を吐いた。半開きの目でおばさんの顔を覗き込むと、真っ赤な舌を突き出し、古いイタリア映画のスケベ親父がするように舌をレロレロと動かして見せた。
するとおばさんは真顔でジッと私を見つめながら「バカモノ」と呟き、何事もなかったかのように再びモップをバシャバシャと洗い始た。
そんなおばさんが呟いた「バカモノ」も、やっぱりあの時の教頭先生の「バカモノ」と同じだった。
(つづく)
《←目次》《16話へ→》
ここから例のホテルまでタクシーで三十分程度だった。計画では、この後、新潟の町をブラブラしながら妻に露出をさせ、妻の内に秘められている変態性欲を更に高める予定だった。
そうやって今夜のサウナ潜入に備えるつもりだったのだが、しかし妻の変態度は予想を遥かに超えており、既に新幹線内の第一計画だけで充分だった。今の妻なら、そこらのおっさんを捕まえて「こいつとセックスしろ」と言っても素直に従うはずであり、もうこれ以上調教を続ける必要はなかった。
しかし、だからと言ってこのままホテルに直行するというのも、あまりにも妻が哀れに思えた。だから私は駅の中をぐるぐる回りながら、取り敢えず日本海の魚だけでも食べさせてやろうと、それなりの店を探していたのだが、しかし、駅の中にあるのはフランチャイズのファーストフード店ばかりであり、事前に『食べログ』までチェックしていた妻が納得するような店は見当たらなかったのだった。
「ねぇ……さっきから何してるの?」
油の匂いがムンムンと漂うとんかつ屋の前を通り過ぎると、ふと妻がそう私の顔を覗き込んだ。その濃紺の暖簾がぶら下がるとんかつ屋の前を通るのはこれで三度目だ。
「うん……トイレを探してるんだけどね……」
そう誤魔化すと、妻は「トイレならさっきあったじゃない」と驚きながら後ろを振り向き、ドラッグストアの横の通路にぶら下がっていた『WC』のプレートを指差した。
エレベーター横の小さな書店に妻を残し、ワックスでテラテラに輝く通路をぺたぺたと歩きながらトイレに向かった。特に催しているわけではなかったが、そう言ってしまった以上、そこに行かなくてはならなかった。
ドラッグストアの店先に陳列されているトイレットペーパーが、どこか懐かしい甘い花の香りを漂わせていた。通路を曲がるなり、男子トイレの入口に置いてある『清掃中』の黄色い看板が目に飛び込んできた。しかし中を覗くと男が三人いた。一人は洗面所で手を洗い、残る二人は小便器の前で黙々と用を足していた。だから私も看板を無視してトイレに入った。
五台並んだ小便器の手前で、ドクロ柄のTシャツを着た青年が携帯を耳にあてながら用を足していた。便器を一つ挟んだ奥の便器では、ハゲ頭の老年サラリーマンが、まるで黙祷しているかのようにジッと目を閉じたまま突っ立っていた。
そんな二人の背後を横切り奥へと進んだ。最後尾の便器の横にはバケツがすっぽりと入った底の深い流し台があり、そこからモップとデッキブラシの棒が突き出していた。便器の前で足を止めると、背後の個室からカコカコカコっという音が聞こえてきた。チラッと振り向くと、清掃婦のおばさんが洋式便器の中をブラシで必死に擦っていた。
社会の窓からソッとペニスを摘まみ出すと、いきなり小便とは違う液体がドロッと流れ出た。それは、新幹線の中で射精した時の残液だった。今まで尿道に溜まっていたのが、ペニスを解放したと同時に溢れ出したのだ。
便器に垂れたそれは、ニトーっと長い糸を引きながらいつまでもぶら下がっていた。ブルブルっとペニスを振ってもその糸は切れず、慌てた私は横目で隣の老年サラリーマンを見た。

幸いにも、男は未だジッと目を閉じたままだった。恐らく前立腺を患っているのだろう、男は腐った桃のようなペニスを摘んだまま、鼻息をクフクフと鳴らしながら力んでいた。
ツユの糸をぶら下げたまま一気に小便をした。押し出されたゼリー状の残液が便器の底にボタボタと落ちた。それはまるでタピオカのようであり、尿道にゴリゴリとした違和感を感じた。
すると突然、隣の男のクフクフという鼻息がフーッという溜息に変わった。ソッと横目で見てみると、私のびしゃびしゃと放出される音に誘発されたのか、男のペニスからも小便が噴き出していた。

男は目を閉じたままだった。まるでクラッシック音楽に聴き入るかのように、気持ち良さげに目を閉じながら、びしゃびしゃと奏でる自分の小便の音を聞いていた。
それまで腐った桃のように萎れていたペニスは、激しい排尿によって躍動感がみなぎり、みるみる逞しくなってきた。それは私のモノより遥かに太かった。亀頭を形取るカリ首は、まるで彫刻刀で彫り込んだようにくっきりと浮かび上がり、獰猛な爬虫類のエラのようだった。
それを眺めていると、不意に(これを妻にしゃぶらせたい……)という欲望が湧いた。きっと今の妻なら、こんな男のペニスでも喜んでしゃぶるはずだった。この男を個室に誘い込み、そこに妻を連れ込み、私の見ている前で狂ったようにしゃぶらせたいと妄想に耽っていると、ムラムラと溢れてくる欲望で胸が苦しくなってきた。

私の脳は、既にヘドロと化していた。さっき新幹線の中で見た妻の陰部に滴る精液のように、私の脳はドロドロに溶けていた。そんな私は、男の小便が止まるのを息を殺して待っていた。男が小便を終えたら、私の妻にあなたのペニスをしゃぶらせてやってもらえませんかと、そう声を掛けようと本気で思っていたのだ。
男の小便は次第に勢いを衰え、まるで水道の蛇口を閉めたかのようにピタリと止まった。男はボテッと太った肉棒を指で摘みながらユッサユッサと上下に振った。ポタポタと垂れる雫が精液のように見え、それが滴る白い便器が、大きく口を開いた妻に思えた。
男がギギッとチャックを閉めるなり、私はジッと目を閉じている男の横顔に顔を近づけた。そして「あのぅ」と声を掛けようとした瞬間、突然男の目がカッと開いた。男はサッと振り返り私を睨んだ。その物凄い形相に、思わず「えっ」と私が怯むと、男の視線はゆっくりと私の下半身へと下り、そこで再びカッと目を見開いた。

私のペニスは勃起していた。妻がこの男のペニスをジュブジュブと下品にしゃぶる妄想をしていたため、ペニスははち切れんばかりに膨張していた。男はそんな私のペニスを、まるで親の仇でも見るような形相で睨んでいた。そしてその鋭い視線を再び私の顔に戻すと、私の目をジッと覗き込みながら、「バカモノ」とひとこと呟き、そのままスタスタとトイレを出て行ってしまったのだった。
どうやら男は、私がホモだと勘違いしたらしい。男が放ったその「バカモノ」は、私が小六の時、放課後の誰もいない教室で、高橋美優の体育ズボンの股間を嗅いでいるのを教頭先生に見つかった時に言われた「バカモノ」と同じ部類の「バカモノ」だった。
私は変態だがホモではない!
いつしか誰もいなくなったトイレを見つめながら、私はそう心に叫んだ。静まり返ったトイレには清掃婦のブラシの音だけがカコカコと鳴り響いており、まるで、見知らぬオヤジに「バカモノ」呼ばわりされた私を嘲笑っているようだった。
一瞬その音にムカッときたが、しかし、それでも私のペニスはビクンビクンっと波を打ちながら勃起を続けていた。一日に七回もの射精が軽くできるほどの私の異常性欲は、こんな事で治るほどデリケートではないのだ。
カコカコカコっというブラシ音に合わせてペニスをシゴいた。取り敢えず少しだけでも抜いておこうと思い、背後のおばさんを気にしながらこっそりとシコシコしていると、不意にそのカコカコという音がピタリと止んだ。ジャーッと個室便器の水を流す音が聞こえ、焦った私はシゴいていたペニスから慌てて手を離した。すると、それと同時にすぐ隣りの流し台におばさんの姿がヌッと現れ、おばさんはガサガサと音を立てながら汚れたブラシを洗い始めたのだった。
危ないところだった。もう少し遅れていたら、このおばさんにシコシコしている瞬間を目撃されるところだった。そう思いながら慌てて勃起するペニスをズボンに押し込もうとすると、不意にその『シコシコしている瞬間を目撃される』という自分の言葉に突然ムラッと欲情を覚えた。私はその言葉から、見ず知らずの男にオナニーを見せつけられている妻の姿を頭に思い描いてしまったのだ。
激しい興奮に襲われた私は、握っていたペニスからソッと手を離した。そしてそのまま腰を大きく反らし、それをビーンっと突き出しながら、腹筋を使ってそれをヒコヒコと動かし始めた。
それはまるで、揺れ動く張り子の虎の首のようだった。すぐ隣りでビョンビョンとバウンドしているペニスに、おばさんが気づかないわけがなかった。おばさんはモップをジャバジャバと洗いながらチラッとソレを見た。そしてさっきの男と同じようにギョッと目を見開いたのだった。

駅のトイレの清掃婦など、どうせシルバーセンターから派遣された老婆だと思っていた。少なくとも東京駅の清掃婦の感覚でいけばそうに違いなかったが、しかしそのおばさんは違った。四十代前半のパート主婦といった感じの、至って普通のおばさんだった。
全然イケると思った。熟女独特のポチャポチャとした体は胸もそれなりに大きく、尻だって作業ズボンをパンパンにさせるほどにムチムチしていた。恐らく、そんなおばさんの股間は、朝からの労働によってムレムレに蒸れているはずだ。剛毛の奥に潜むキクラゲのような陰唇は汗と小便の残り汁でテラテラに濡れ輝き、それを指でぺろりと捲れば、その中からきっと凄まじい発酵臭が漂ってくるだろう。
そんなことを妄想していると、無性にこのおばさんの股間に顔を埋めたいというマゾ心が生まれ、更に異常な妄想がモワモワと溢れてきた。
妄想の中のおばさんは、私に「そこに座りなさい」と言った。私は素直に便所の床にベタリと尻を下ろすと、作業ズボンを脱ぎ始めたおばさんを見上げながらペニスをシゴき始めた。
下半身裸になったおばさんは、「舐めてもいいわよ」と薄ら笑いを浮かべながら、床に座っている私の顔を跨ぐと、黒いブラジャーから引きずり出したブヨブヨの乳を自分で揉み始めた。そしておばさんは、乗馬するかのように腰をコキコキと動かしながら、その蒸れた股間を私の顔に擦り付けてきた。
タワシのような剛毛が額をゴシゴシし、腐った柿のような陰部が鼻の上をヌルヌルする。私はハァハァと荒い息を吐きながらも、そのドロドロになった割れ目に舌を伸ばし、必死にそこをベロベロと舐め回した。そしてそのチーズ臭い白濁の恥垢から、肛門のティッシュの欠片に至るまで、私はおばさんの恥部を全て味わうのだった。

そんな妄想をしながら、いつしか私はペニスをシゴいていた。
現実のおばさんが、ジッと固まったまま、上下する私の肉棒を黙って見ていた。
「ハァハァ……おばさん……私と個室に行きませんか……おばさんのアソコをイクまで舐めてあげますよ……」
おばさんの目を見つめながらそう唸った。おばさんは身動きしないまま無言で私を見ている。
「入れさせてくださいよ……コレをおばさんのオマンコにズボズボさせて下さいよ……ほら、見てくださいよ、凄くビンビンしてるでしょ……おばさんがイクまでずっと動かし続けますから……だからそのヌルヌルマンコに入れさせてくださいよ……」
そう囁きながらペニスを激しくシゴいた。それでもおばさんは眉一つ動かさず、私のその奇行を黙ってじっと見つめていた。

ペニスをシゴくという肉体的快感と、見ず知らずのおばさんにオナニーを見られているという精神的快感がヘドロ化した脳をドロドロと搔き回し、私の興奮を最高潮まで高めた。
「あっ、イキますよ、あっ、見ててください、あっ、あっ」
そう小さく叫びながら、白い陶器に精液をビュッビュッと飛ばし、快楽に両足をモゾモゾさせながら、はあぁぁぁぁぁぁ……と深い息を吐いた。半開きの目でおばさんの顔を覗き込むと、真っ赤な舌を突き出し、古いイタリア映画のスケベ親父がするように舌をレロレロと動かして見せた。
するとおばさんは真顔でジッと私を見つめながら「バカモノ」と呟き、何事もなかったかのように再びモップをバシャバシャと洗い始た。
そんなおばさんが呟いた「バカモノ」も、やっぱりあの時の教頭先生の「バカモノ」と同じだった。
(つづく)
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吐泥(へろど)16
2013/06/13 Thu 00:01
慌ててトイレから飛び出した。きっとあのババアは、さっき私があのジジイの言われた「バカモノ」を聞いていたに違いなく、だからあのババアは、私の事をホモで露出狂の変質者だと思っているはずだった。
警察に通報でもされたら厄介だと思った。急いでここから立ち去ろうと妻が待つ書店に向かった。
しかしそこに妻の姿はなかった。書店の隣りにあるCDショップも、そのまた隣りにある文房具店も全て探してみたが、妻の姿はどこにも見当たらなかった。
(逃げた……)
そう愕然とする私は、CDショップの店頭にズラリと並べられている『新潟ロマンスグレー』というCDジャケットを呆然と見つめながら立ち竦んでいた。
妻が逃げるわけがなかった。ましてこんな場所で突破的に逃げるなど考えられなかった。そんな事はわかっていた。わかってはいたが、しかし、今まで自分が妻に対して行ってきた行為があまりにも酷すぎたため、その罪悪感がそんな恐怖を作り出したのだ。
(もしかしたらあいつは、本当は嫌だったのかも知れない……私が勝手にあいつを淫乱だと決めつけていただけで、本当はあいつは、私の変態プレイが嫌で嫌で堪らなかったのかも知れない……)
そう思いながら私は激しい焦燥感に駆られていた。その小さな店の店頭に三百枚近く並んでいる『新潟ロマンスグレー』のCDに不審の念を抱く事もなく、それを歌っている地元演歌歌手が、『田中角斗』という名前だという事にも何の違和感を感じる暇もなく、ただただ妻に逃げられたという恐怖妄想に襲われていた。
『にっ、ににににに新潟ぁ〜♪ 流れ流れて新潟ぁ〜♪』
山積みにされたCDの真ん中に丸型のCDプレイヤーが置いてあり、『新潟ロマンスグレー』が垂れ流しにされていた。どこかで聞いたことのあるそのアップテンポなメロディーは、明らかに何かをパクっているようだった。そんな『新潟ロマンスグレー』のサビが、暗雲立ち込める私の頭の中で延々とリピートされていた。その百姓のような面構えをした『田中角斗』のポスターを見上げていた私は、そこでふと、(もしかしたら妻は誰かに連れて行かれたのかもしれない)という、また新たな妄想を抱き始めた。
確かに今の妻は欲情していた。日頃はセックスに対して消極的だったあの妻が、なんと新幹線の中で「入れて」と要求してくるほどに狂っていたのだ。しかも新幹線でのその行為は中途半端だった。わざと欲求不満にさせようと、意図的に中途半端にしていたため激しく欲情しているはずだった。
今の妻なら、誰が見ても悶々としている事に気付くはずだった。男なら、妻のあのいやらしい胸や尻から溢れる卑猥なフェロモンに気付かないわけがなかった。だから妻は、どこかの男に声をかけられ、フラフラと付いて行ってしまったのかも知れなかった。そして今頃は、既に駅裏辺りの鄙びたラブホに連れ込まれ、複数の男達に陵辱されているのかも知れない……

そのシーンが頭に浮かぶなり、思わず私は「ひっ」と小さな悲鳴をあげて肩を窄めていた。すると、そんな私の一部始終を山積みのCDの裏から見ていた若い女店員が、私と同じように「ひっ」と小さな悲鳴をあげて肩を窄めた。
私はその店員をギロッと睨むと、「キミ」と声をかけた。店員はCDの隙間から恐る恐る私を覗きながら、蚊の鳴くような声で「はい」と返事をした。「妻を探してるんだが……」と言いながらその店員をまじまじと見下ろした。赤い縁のメガネを掛けた丸々と太った女の子だった。その丸いメガネのレンズにはやたらと大きな目が浮かび、まるで昔のTVアニメのアラレちゃんのようだった。
「三十前後で黒い服を着てるんだけど、見なかったかね」
そう聞くと、店員は「黒い服……」と呟きながら首を傾げた。肉まんのような二重あごが右に傾き、ぐにゃっと潰れてはカバの尻肉のように歪んだ。そんな店員の顔は、角度によってはアラレちゃんではなくケント・デリカットに見えた。
そのまま暫く停止していた店員だったが、ふと、顔を傾けている右の通路を見つめながら「あっ」と目を開き、「もしかして……あの人じゃないですか?」と通路の奥を指差した。
慌てて振り返ると、通路の奥にある近畿日本ツーリストのパンフレットラックの前に妻がいた。いつの間にそこに居たのか、妻はスーツを着た男と何やら話し込んでいた。
「あっ、あれだ」と走り出そうとしながらも、私はもう一度店員に振り返った。そして『新潟ロマンスグレー』のCDを指差しながら、「こいつは誰だ」と店員に聞いた。すると店員はCDの隙間から私をジッと見ながら「知りません」と即答した。「知らないのになぜこんなに宣伝している」と矢継ぎ早に聞くと、店員はなぜか自信に満ちた表情を浮かべながら「知りません」とキッパリと答え、突然CDプレイヤーの音量を最大に上げたのだった。
『にっ、ににににに新潟ぁ〜♪ しのびあう恋、新潟ぁ〜♪』
そんな恥ずかしいムード歌謡を背景に私は通路を走り出した。突然鳴り響いた田中角斗の歌声に、妻とその男が同時に振り返った。
妻は私に気付くなり「ねぇ」と手を挙げた。しかし男は複雑な表情を浮かべながら黙って私を見ていた。
そんな男の表情から、この男は妻を誘惑していたに違いないと思うと、不意に『新潟ロマンスグレー』のアップテンポな曲が私に闘志を沸かせ、このままその男に飛び蹴りを喰らわしてやりたくなった。
が、しかし、二人に近づくにつれ、そんな私の闘志はみるみる失せていった。なんとそのスーツを着た男は、さっきトイレで私に「バカモノ」と吐き捨てた男だったのだ。
しまったと思いながらも、慌てて足を止めた。しかし既に私は二人の前に立っていた。チラッと男を見ると、男も私に気づいているらしく不敵に私を睨んでいた。この男とさっきの清掃婦の証言が一致すれば、今夜の私は新潟警察署に宿泊だ。
私は素早く男から顔を逸らし、そそくさと妻に「行くよ」と告げた。
すると妻は「ねぇ、これ見てよ」と言いながら、近畿日本ツーリストのショーウィンドゥに貼ってあるポスターを指差した。
それはホテル日航新潟のポスターだった。そこに『ばかうけ展望室』と書かれており、妻はそれを指差しながら「ここに行ってみようよ」と言っているのだった。
正直、行きたくなかった。展望台から新潟の町など見下ろして何が楽しいのだと激しくそう思った。それに、その『ばかうけ』という名前がまた憎たらしい。田中角斗にしろ、これにしろ、どうして新潟はわざわざ憎たらしいネーミングをつけたがるのだろう。
無性に腹が立ってきた私は、「今夜は別のホテルを予約してるから今度にしよう。さ、行くよ」と妻に言いながら、そそくさとその場を立ち去ろうとした。すると、いきなりそのバカモノ親父が「ここは宿泊客じゃなくても無料で入れますよ」と口を挟んできた。たちまち妻もそれに同乗するかのように、「そうなんだって。だからちょっとだけ行ってみようよ」と私の袖を摘んだ。そしてオモチャをねだる子供のように私の腕をブラブラと振ったのだった。
「わかったよ……」
仕方なくそう頷きながら私は歩き出した。妻も一緒に歩き出しながら振り返り、バカモノ親父に向かって「ありがとうございました」と愛想を振りまいた。ソッと振り返ると、バカモノ親父はいやらしい笑みを浮かべながら妻に手を振っていた。
そんな親父を見た瞬間、ふと、きっとこの親父は、妻のいやらしい体をジロジロと視姦しながら観光案内をしていたんだと思った。妻のその大きな乳肉に顔を埋めている自分を想像しながら、その『ばかうけ展望室』などというどうでもいい観光地を紹介したに違いないと思った。

そう思うなり、そんなスケベ爺にいきなりバカモノ呼ばわりされた怒りが再び蘇った。
カッと頭に血がのぼるなり、私は思わず「あんた!」と叫んでいた。ラックの前にしゃがみながらパンフレットを補充している親父は「ん?」と驚きながら顔を向けた。
私は親父に向かってツカツカと歩きながら、(想像してただろ……想像してただろ……今お前は、くだらない観光案内をしながら、私の妻のアソコの色や匂いや味を想像していただろ……そしてそこに顔を埋めながら、犬のようにそこらじゅうを嗅ぎ回り、そして蛇のようにヌルヌルと舐めるのを想像してただろ……)とブツブツと呟いていた。そして、本当に親父にそうされている妻の姿を妄想し、同時に亀頭をズキンっと疼かせた。

親父の前で足を止めると、親父は不審げな表情を浮かべながらゆっくりと立ち上がり、「何か?」とタバコ臭い息を吐いた。
「実はね、私は聖路加病院の医師なんだよ。だからさっきあんたが小便しているのをジッと見てたんだよ。ズバリ教えておいてあげるけど、あんた、とっても危険だよ。あんたのあの排尿の症状は間違いなく前立腺ガンだ。うん。恐らくステージ4だ。一刻も早く手術しないと手遅れになるぞバカモノ」
咄嗟にそんなデタラメがベラベラと口から出た。
親父はポカンっと口を開けたまま黙って私の話を聞いていた。
言うだけ言うと、そのまま早々と逃げた。走りながら振り返ると、親父は「えっ?」と唸ったまま亀のように首を伸ばしていた。
ざまあみろ。

(つづく)
《←目次》《17話へ→》
警察に通報でもされたら厄介だと思った。急いでここから立ち去ろうと妻が待つ書店に向かった。
しかしそこに妻の姿はなかった。書店の隣りにあるCDショップも、そのまた隣りにある文房具店も全て探してみたが、妻の姿はどこにも見当たらなかった。
(逃げた……)
そう愕然とする私は、CDショップの店頭にズラリと並べられている『新潟ロマンスグレー』というCDジャケットを呆然と見つめながら立ち竦んでいた。
妻が逃げるわけがなかった。ましてこんな場所で突破的に逃げるなど考えられなかった。そんな事はわかっていた。わかってはいたが、しかし、今まで自分が妻に対して行ってきた行為があまりにも酷すぎたため、その罪悪感がそんな恐怖を作り出したのだ。
(もしかしたらあいつは、本当は嫌だったのかも知れない……私が勝手にあいつを淫乱だと決めつけていただけで、本当はあいつは、私の変態プレイが嫌で嫌で堪らなかったのかも知れない……)
そう思いながら私は激しい焦燥感に駆られていた。その小さな店の店頭に三百枚近く並んでいる『新潟ロマンスグレー』のCDに不審の念を抱く事もなく、それを歌っている地元演歌歌手が、『田中角斗』という名前だという事にも何の違和感を感じる暇もなく、ただただ妻に逃げられたという恐怖妄想に襲われていた。
『にっ、ににににに新潟ぁ〜♪ 流れ流れて新潟ぁ〜♪』
山積みにされたCDの真ん中に丸型のCDプレイヤーが置いてあり、『新潟ロマンスグレー』が垂れ流しにされていた。どこかで聞いたことのあるそのアップテンポなメロディーは、明らかに何かをパクっているようだった。そんな『新潟ロマンスグレー』のサビが、暗雲立ち込める私の頭の中で延々とリピートされていた。その百姓のような面構えをした『田中角斗』のポスターを見上げていた私は、そこでふと、(もしかしたら妻は誰かに連れて行かれたのかもしれない)という、また新たな妄想を抱き始めた。
確かに今の妻は欲情していた。日頃はセックスに対して消極的だったあの妻が、なんと新幹線の中で「入れて」と要求してくるほどに狂っていたのだ。しかも新幹線でのその行為は中途半端だった。わざと欲求不満にさせようと、意図的に中途半端にしていたため激しく欲情しているはずだった。
今の妻なら、誰が見ても悶々としている事に気付くはずだった。男なら、妻のあのいやらしい胸や尻から溢れる卑猥なフェロモンに気付かないわけがなかった。だから妻は、どこかの男に声をかけられ、フラフラと付いて行ってしまったのかも知れなかった。そして今頃は、既に駅裏辺りの鄙びたラブホに連れ込まれ、複数の男達に陵辱されているのかも知れない……

そのシーンが頭に浮かぶなり、思わず私は「ひっ」と小さな悲鳴をあげて肩を窄めていた。すると、そんな私の一部始終を山積みのCDの裏から見ていた若い女店員が、私と同じように「ひっ」と小さな悲鳴をあげて肩を窄めた。
私はその店員をギロッと睨むと、「キミ」と声をかけた。店員はCDの隙間から恐る恐る私を覗きながら、蚊の鳴くような声で「はい」と返事をした。「妻を探してるんだが……」と言いながらその店員をまじまじと見下ろした。赤い縁のメガネを掛けた丸々と太った女の子だった。その丸いメガネのレンズにはやたらと大きな目が浮かび、まるで昔のTVアニメのアラレちゃんのようだった。
「三十前後で黒い服を着てるんだけど、見なかったかね」
そう聞くと、店員は「黒い服……」と呟きながら首を傾げた。肉まんのような二重あごが右に傾き、ぐにゃっと潰れてはカバの尻肉のように歪んだ。そんな店員の顔は、角度によってはアラレちゃんではなくケント・デリカットに見えた。
そのまま暫く停止していた店員だったが、ふと、顔を傾けている右の通路を見つめながら「あっ」と目を開き、「もしかして……あの人じゃないですか?」と通路の奥を指差した。
慌てて振り返ると、通路の奥にある近畿日本ツーリストのパンフレットラックの前に妻がいた。いつの間にそこに居たのか、妻はスーツを着た男と何やら話し込んでいた。
「あっ、あれだ」と走り出そうとしながらも、私はもう一度店員に振り返った。そして『新潟ロマンスグレー』のCDを指差しながら、「こいつは誰だ」と店員に聞いた。すると店員はCDの隙間から私をジッと見ながら「知りません」と即答した。「知らないのになぜこんなに宣伝している」と矢継ぎ早に聞くと、店員はなぜか自信に満ちた表情を浮かべながら「知りません」とキッパリと答え、突然CDプレイヤーの音量を最大に上げたのだった。
『にっ、ににににに新潟ぁ〜♪ しのびあう恋、新潟ぁ〜♪』
そんな恥ずかしいムード歌謡を背景に私は通路を走り出した。突然鳴り響いた田中角斗の歌声に、妻とその男が同時に振り返った。
妻は私に気付くなり「ねぇ」と手を挙げた。しかし男は複雑な表情を浮かべながら黙って私を見ていた。
そんな男の表情から、この男は妻を誘惑していたに違いないと思うと、不意に『新潟ロマンスグレー』のアップテンポな曲が私に闘志を沸かせ、このままその男に飛び蹴りを喰らわしてやりたくなった。
が、しかし、二人に近づくにつれ、そんな私の闘志はみるみる失せていった。なんとそのスーツを着た男は、さっきトイレで私に「バカモノ」と吐き捨てた男だったのだ。
しまったと思いながらも、慌てて足を止めた。しかし既に私は二人の前に立っていた。チラッと男を見ると、男も私に気づいているらしく不敵に私を睨んでいた。この男とさっきの清掃婦の証言が一致すれば、今夜の私は新潟警察署に宿泊だ。
私は素早く男から顔を逸らし、そそくさと妻に「行くよ」と告げた。
すると妻は「ねぇ、これ見てよ」と言いながら、近畿日本ツーリストのショーウィンドゥに貼ってあるポスターを指差した。
それはホテル日航新潟のポスターだった。そこに『ばかうけ展望室』と書かれており、妻はそれを指差しながら「ここに行ってみようよ」と言っているのだった。
正直、行きたくなかった。展望台から新潟の町など見下ろして何が楽しいのだと激しくそう思った。それに、その『ばかうけ』という名前がまた憎たらしい。田中角斗にしろ、これにしろ、どうして新潟はわざわざ憎たらしいネーミングをつけたがるのだろう。
無性に腹が立ってきた私は、「今夜は別のホテルを予約してるから今度にしよう。さ、行くよ」と妻に言いながら、そそくさとその場を立ち去ろうとした。すると、いきなりそのバカモノ親父が「ここは宿泊客じゃなくても無料で入れますよ」と口を挟んできた。たちまち妻もそれに同乗するかのように、「そうなんだって。だからちょっとだけ行ってみようよ」と私の袖を摘んだ。そしてオモチャをねだる子供のように私の腕をブラブラと振ったのだった。
「わかったよ……」
仕方なくそう頷きながら私は歩き出した。妻も一緒に歩き出しながら振り返り、バカモノ親父に向かって「ありがとうございました」と愛想を振りまいた。ソッと振り返ると、バカモノ親父はいやらしい笑みを浮かべながら妻に手を振っていた。
そんな親父を見た瞬間、ふと、きっとこの親父は、妻のいやらしい体をジロジロと視姦しながら観光案内をしていたんだと思った。妻のその大きな乳肉に顔を埋めている自分を想像しながら、その『ばかうけ展望室』などというどうでもいい観光地を紹介したに違いないと思った。

そう思うなり、そんなスケベ爺にいきなりバカモノ呼ばわりされた怒りが再び蘇った。
カッと頭に血がのぼるなり、私は思わず「あんた!」と叫んでいた。ラックの前にしゃがみながらパンフレットを補充している親父は「ん?」と驚きながら顔を向けた。
私は親父に向かってツカツカと歩きながら、(想像してただろ……想像してただろ……今お前は、くだらない観光案内をしながら、私の妻のアソコの色や匂いや味を想像していただろ……そしてそこに顔を埋めながら、犬のようにそこらじゅうを嗅ぎ回り、そして蛇のようにヌルヌルと舐めるのを想像してただろ……)とブツブツと呟いていた。そして、本当に親父にそうされている妻の姿を妄想し、同時に亀頭をズキンっと疼かせた。

親父の前で足を止めると、親父は不審げな表情を浮かべながらゆっくりと立ち上がり、「何か?」とタバコ臭い息を吐いた。
「実はね、私は聖路加病院の医師なんだよ。だからさっきあんたが小便しているのをジッと見てたんだよ。ズバリ教えておいてあげるけど、あんた、とっても危険だよ。あんたのあの排尿の症状は間違いなく前立腺ガンだ。うん。恐らくステージ4だ。一刻も早く手術しないと手遅れになるぞバカモノ」
咄嗟にそんなデタラメがベラベラと口から出た。
親父はポカンっと口を開けたまま黙って私の話を聞いていた。
言うだけ言うと、そのまま早々と逃げた。走りながら振り返ると、親父は「えっ?」と唸ったまま亀のように首を伸ばしていた。
ざまあみろ。

(つづく)
《←目次》《17話へ→》
吐泥(へろど)17
2013/06/13 Thu 00:01
信濃川沿いの真新しい道路を進んで行くと、日本海特有の貪よりとした空に聳え立つペンシル型のビルが見えてきた。
タクシーは日航ホテルの駐車場へと滑り込んだ。メーターをギギッと鳴らした運転手が、慣れた口調で「ばかうけのエレベーターはそっちですから」と言った。『ばかうけ展望室』を『ばかうけ』と短縮していう所がいちいち憎たらしく感じた。
タクシーを降りると、いきなり強烈な潮風に吹き飛ばされそうになった。ホテルの脇を流れる信濃川のすぐ先は海らしく、暴風に近い潮風が狂ったようにビュービューと吹き荒んでいた。急いでホテルに避難し、そのままエレベーターに乗った。エレベーターを降りると、建物全体が暴風でゆらゆらと揺れており、このまま倒れるのではないかという恐怖に駆られた。
展望台からは新潟の町が一望できた。貪よりと曇っているくせに日本海はキラキラと輝いていた。妻は子供のようにはしゃぎながら、「見て見てあれが佐渡島だよ」と窓の外を指差していた。そんな妻に、「こんなのいつでもグーグルアースで見れるよ」と水を差す私は、一刻も早くここから立ち去りたかった。
展望台はぐるりと一周できるようになっており、東西南北の景色が眺められるようになっていた。客は見事に一人もいなかった。誰もいない通路を歩きながら、妻は「この景色、貸切だね」と喜んでいた。そんな子供のような妻に、思わず私はゾクッと欲情した。
(ここで少しだけ弄ってやるか……)
そう思いながら私は、本当に誰もいないかもう一度確認した。エレベーター前にある『おみやげコーナー』には若い男の店員が一人いたが、それ以外は誰もいなかった。ただし、所々に防犯カメラが設置されていた。カメラは厄介だぞと思いながら私は、それを一つ一つ確認しながら北側へと向かった。
北側の通路の一番奥は行き止まりになっていた。ここならば『おみやげコーナー』の店員から見られることはなかった。そこに到着すると、妻は、「うわぁ……大っきな港だね……」と言いながら窓の下に広がる港に目を丸めた。
私はすぐさま防犯カメラの死角を探した。そしてカメラの真下なら大丈夫だろうと思い、突き当たりの非常階段側にある窓を覗きながら、「ほら、こっちから見てごらん、船が何隻も見えるよ」と、カメラの死角に妻を誘導した。
「本当だぁ……綺麗な船だね……外国の船かなぁ……」
そう窓の下を覗き込んでいる妻の背後に寄り添った。「ん?」と優しく微笑みながら振り向く妻の左頬に、ソッと右頬を擦り寄せると、柔らかい頬の感触と共に甘い化粧の香りを感じた。
「貸し切りだから誰も見てないよ……」と囁きながら私はスカートの上から妻の尻を撫でた。すると妻は別段嫌がることもなく、再び「んふっ」と微笑みながら、そのまま黙って窓の下を覗き込んだのだった。

ムッチリとした尻肉は、スカートの上からでも十分に楽しむことができた。円を描くように手の平を滑らせ、時折その谷間に指を這わせてはスリスリと擦った。そうしながらも指先を徐々にスカートの裾へと伸ばすと、再度周囲を充分に確認した後、するりとスカートの中に手を滑り込ませた。
妻は「やだぁ」と慌ててスカートの裾を押さえた。そして背後をキョロキョロと見回しながら、「人が来たらどうするのよ」と私の手首を掴み、そこから私の手を抜こうとした。
「大丈夫だって、こんな所、誰も来やしないよ……」
そう言いながら私は、強引に妻の尻肉を鷲掴みにした。焦った妻は、「本当にヤダ、お願いだからやめて」と言いながらスカートの中で必死に私の手を押さえつけた。私はそんな妻の耳元にそっと唇を這わせた。そして「新幹線の中でもそんな事言ってたけど……結局、感じてたじゃないか……」と囁きながら妻の手を振り解くと、そのままその手を素早く腹へと回し、臍の下からパンティーの中へと滑り込ませたのだった。

そこに指が触れるなり、妻は「ハァん」と鼻から息を吐き、腰をカクンっ砕かせた。既にそこは驚くほどに濡れていた。まるでローションを垂らしたかのような割れ目は、軽く指を滑らすだけでヌルリと指を飲み込んだ。
「凄いじゃないか……どうしたんだよこれ……」
そう囁きながらドロドロの水袋を二本の指でグジュグジュに掻き回してやると、妻はゆっくりと背筋を反らしながら私の胸に凭れ、ゾッとするようないやらしい目で私を見た。
「お願い……新幹線の中からずっと我慢してるの……だから触らないで……我慢できなくなっちゃう……」
そう囁く妻の口紅の香りにクラクラと目眩を感じた。ふと、今まで妻は子供ようにはしゃぎながらも、実は内面では疼いていたのだと思った。あの近畿日本ツーリストの男と話していた時も、ここに来るまでのタクシーの中でも妻は悶々としていたのだ。普通の女、普通の妻、それを平然と装いながらも、妻はペニスを入れて欲しくてアソコをヌルヌルにしていたのである。
それを思うと、胸底から激しい興奮が次から次へと湧いてきた。この調子で行けば、妻をサウナに連れ込む事など容易い事だと思ったが、しかし、サウナまではまだ十時間以上も時間があり、それまでの間に妻の興奮が冷める可能性も十分にあった。だから私は、念には念を入れておこうと、更にここで妻を焦らす事にした。
いきなり妻の体を反転させた。正面からパンティーの中に手を入れ、ゴワゴワとした陰毛の奥に指を潜らせた。妻のうなじに唇を這わせながら、「我慢できないなら、ここでヤっちゃおうか……」と囁き、そっとズボンのチャックを開けた。
ガチガチに勃起したペニスの先を妻の太ももにムニムニと押し付けた。弾力性のある太ももは亀頭を跳ね返し、その度に亀頭と太ももの間で我慢汁がニトニトと糸を引いた。そうしながらパンティーを下ろすと、やはりそこでもクロッチの裏側にべっとりと付着していた汁が、ニトニトと糸を引いていた。
そんなパンティーを太ももまで下ろした。卑猥にとぐろを巻いた陰毛がモサッと溢れた。そこに亀頭をジリジリと擦り付けながら「入れて欲しいか」と聞くと、妻は「入れて……もう我慢できない……」と悲痛な声で囁きながらいきなりペニスを握りしめた。
妻は自分の股間を覗き込みながらペニスを陰毛の中に潜り込ませた。そして亀頭をクリトリスに押し付けると、いきなり手首をブルブルと震わせた。

私の亀頭はまるでピンクローターだった。妻はそうしながらも、時折、腰をクイッと突き上げては亀頭を穴の中にヌポッと入れたりしていた。それが穴の中に入る度に、私は「あぁ」と情けない声を出していた。まさに火傷の如く敏感になっていた私の亀頭に、そのヌルッとした粘膜の肉感は、残酷すぎるほどに気持ち良すぎたのだ。
それを何度も繰り返された私は我慢できなくなっていた。焦らすつもりが焦らせてしまい、もはやそんな計画などどうでもいいと思ってしまった。カーッと頭に血が上った私は、いきなり妻の両肩を鷲掴みにすると、乱暴に妻の体を回転させた。そして再び背後から妻を抱くと、素早くスカートを捲り上げ、パンティーを一気に足首まで下げた。
ムチムチとした尻肉を両手で鷲掴みにし、尻の谷間に亀頭を挟んだ。その弾力性のある尻肉を五本の指でグニグニと捏ねながら、割れ目に挟んだ亀頭を圧迫した。谷間の底では、陰毛をウヨウヨさせた大陰唇がプクッと膨らんでいた。尻肉が歪む度に割れ目がネチャッと捲れ、その奥に潜んでいるピンクの穴が、まるで餌を欲しがる鯉の口のようにパクパクしていた。
このまま一気に腰を突き出せば、たちまち私の肉棒は、根元までこの濡れ穴の中に飲み込まれてしまうだろう。そう思いながら、その瞬間の感触を想像しては背筋をゾクゾクさせていた私だったが、しかし、それによって今まで溜まりに溜まっていた妻の性欲がガス抜きされてしまい、今夜の計画が上手くいかないのではないかと、なかなかそのひと突きができずにいた。
そうモジモジしている私に痺れを切らしたのか、妻は突然窓際の手摺りに寄りかかり、おもいきり尻を突き出した。そしてその尻をくねくねと振りながらペニスを探し出し、そのパックリと開いたピンクの濡れ穴に亀頭をネチャネチャと擦り付けてきたのだった。

(つづく)
《←目次》《18話へ→》
タクシーは日航ホテルの駐車場へと滑り込んだ。メーターをギギッと鳴らした運転手が、慣れた口調で「ばかうけのエレベーターはそっちですから」と言った。『ばかうけ展望室』を『ばかうけ』と短縮していう所がいちいち憎たらしく感じた。
タクシーを降りると、いきなり強烈な潮風に吹き飛ばされそうになった。ホテルの脇を流れる信濃川のすぐ先は海らしく、暴風に近い潮風が狂ったようにビュービューと吹き荒んでいた。急いでホテルに避難し、そのままエレベーターに乗った。エレベーターを降りると、建物全体が暴風でゆらゆらと揺れており、このまま倒れるのではないかという恐怖に駆られた。
展望台からは新潟の町が一望できた。貪よりと曇っているくせに日本海はキラキラと輝いていた。妻は子供のようにはしゃぎながら、「見て見てあれが佐渡島だよ」と窓の外を指差していた。そんな妻に、「こんなのいつでもグーグルアースで見れるよ」と水を差す私は、一刻も早くここから立ち去りたかった。
展望台はぐるりと一周できるようになっており、東西南北の景色が眺められるようになっていた。客は見事に一人もいなかった。誰もいない通路を歩きながら、妻は「この景色、貸切だね」と喜んでいた。そんな子供のような妻に、思わず私はゾクッと欲情した。
(ここで少しだけ弄ってやるか……)
そう思いながら私は、本当に誰もいないかもう一度確認した。エレベーター前にある『おみやげコーナー』には若い男の店員が一人いたが、それ以外は誰もいなかった。ただし、所々に防犯カメラが設置されていた。カメラは厄介だぞと思いながら私は、それを一つ一つ確認しながら北側へと向かった。
北側の通路の一番奥は行き止まりになっていた。ここならば『おみやげコーナー』の店員から見られることはなかった。そこに到着すると、妻は、「うわぁ……大っきな港だね……」と言いながら窓の下に広がる港に目を丸めた。
私はすぐさま防犯カメラの死角を探した。そしてカメラの真下なら大丈夫だろうと思い、突き当たりの非常階段側にある窓を覗きながら、「ほら、こっちから見てごらん、船が何隻も見えるよ」と、カメラの死角に妻を誘導した。
「本当だぁ……綺麗な船だね……外国の船かなぁ……」
そう窓の下を覗き込んでいる妻の背後に寄り添った。「ん?」と優しく微笑みながら振り向く妻の左頬に、ソッと右頬を擦り寄せると、柔らかい頬の感触と共に甘い化粧の香りを感じた。
「貸し切りだから誰も見てないよ……」と囁きながら私はスカートの上から妻の尻を撫でた。すると妻は別段嫌がることもなく、再び「んふっ」と微笑みながら、そのまま黙って窓の下を覗き込んだのだった。

ムッチリとした尻肉は、スカートの上からでも十分に楽しむことができた。円を描くように手の平を滑らせ、時折その谷間に指を這わせてはスリスリと擦った。そうしながらも指先を徐々にスカートの裾へと伸ばすと、再度周囲を充分に確認した後、するりとスカートの中に手を滑り込ませた。
妻は「やだぁ」と慌ててスカートの裾を押さえた。そして背後をキョロキョロと見回しながら、「人が来たらどうするのよ」と私の手首を掴み、そこから私の手を抜こうとした。
「大丈夫だって、こんな所、誰も来やしないよ……」
そう言いながら私は、強引に妻の尻肉を鷲掴みにした。焦った妻は、「本当にヤダ、お願いだからやめて」と言いながらスカートの中で必死に私の手を押さえつけた。私はそんな妻の耳元にそっと唇を這わせた。そして「新幹線の中でもそんな事言ってたけど……結局、感じてたじゃないか……」と囁きながら妻の手を振り解くと、そのままその手を素早く腹へと回し、臍の下からパンティーの中へと滑り込ませたのだった。

そこに指が触れるなり、妻は「ハァん」と鼻から息を吐き、腰をカクンっ砕かせた。既にそこは驚くほどに濡れていた。まるでローションを垂らしたかのような割れ目は、軽く指を滑らすだけでヌルリと指を飲み込んだ。
「凄いじゃないか……どうしたんだよこれ……」
そう囁きながらドロドロの水袋を二本の指でグジュグジュに掻き回してやると、妻はゆっくりと背筋を反らしながら私の胸に凭れ、ゾッとするようないやらしい目で私を見た。
「お願い……新幹線の中からずっと我慢してるの……だから触らないで……我慢できなくなっちゃう……」
そう囁く妻の口紅の香りにクラクラと目眩を感じた。ふと、今まで妻は子供ようにはしゃぎながらも、実は内面では疼いていたのだと思った。あの近畿日本ツーリストの男と話していた時も、ここに来るまでのタクシーの中でも妻は悶々としていたのだ。普通の女、普通の妻、それを平然と装いながらも、妻はペニスを入れて欲しくてアソコをヌルヌルにしていたのである。
それを思うと、胸底から激しい興奮が次から次へと湧いてきた。この調子で行けば、妻をサウナに連れ込む事など容易い事だと思ったが、しかし、サウナまではまだ十時間以上も時間があり、それまでの間に妻の興奮が冷める可能性も十分にあった。だから私は、念には念を入れておこうと、更にここで妻を焦らす事にした。
いきなり妻の体を反転させた。正面からパンティーの中に手を入れ、ゴワゴワとした陰毛の奥に指を潜らせた。妻のうなじに唇を這わせながら、「我慢できないなら、ここでヤっちゃおうか……」と囁き、そっとズボンのチャックを開けた。
ガチガチに勃起したペニスの先を妻の太ももにムニムニと押し付けた。弾力性のある太ももは亀頭を跳ね返し、その度に亀頭と太ももの間で我慢汁がニトニトと糸を引いた。そうしながらパンティーを下ろすと、やはりそこでもクロッチの裏側にべっとりと付着していた汁が、ニトニトと糸を引いていた。
そんなパンティーを太ももまで下ろした。卑猥にとぐろを巻いた陰毛がモサッと溢れた。そこに亀頭をジリジリと擦り付けながら「入れて欲しいか」と聞くと、妻は「入れて……もう我慢できない……」と悲痛な声で囁きながらいきなりペニスを握りしめた。
妻は自分の股間を覗き込みながらペニスを陰毛の中に潜り込ませた。そして亀頭をクリトリスに押し付けると、いきなり手首をブルブルと震わせた。

私の亀頭はまるでピンクローターだった。妻はそうしながらも、時折、腰をクイッと突き上げては亀頭を穴の中にヌポッと入れたりしていた。それが穴の中に入る度に、私は「あぁ」と情けない声を出していた。まさに火傷の如く敏感になっていた私の亀頭に、そのヌルッとした粘膜の肉感は、残酷すぎるほどに気持ち良すぎたのだ。
それを何度も繰り返された私は我慢できなくなっていた。焦らすつもりが焦らせてしまい、もはやそんな計画などどうでもいいと思ってしまった。カーッと頭に血が上った私は、いきなり妻の両肩を鷲掴みにすると、乱暴に妻の体を回転させた。そして再び背後から妻を抱くと、素早くスカートを捲り上げ、パンティーを一気に足首まで下げた。
ムチムチとした尻肉を両手で鷲掴みにし、尻の谷間に亀頭を挟んだ。その弾力性のある尻肉を五本の指でグニグニと捏ねながら、割れ目に挟んだ亀頭を圧迫した。谷間の底では、陰毛をウヨウヨさせた大陰唇がプクッと膨らんでいた。尻肉が歪む度に割れ目がネチャッと捲れ、その奥に潜んでいるピンクの穴が、まるで餌を欲しがる鯉の口のようにパクパクしていた。
このまま一気に腰を突き出せば、たちまち私の肉棒は、根元までこの濡れ穴の中に飲み込まれてしまうだろう。そう思いながら、その瞬間の感触を想像しては背筋をゾクゾクさせていた私だったが、しかし、それによって今まで溜まりに溜まっていた妻の性欲がガス抜きされてしまい、今夜の計画が上手くいかないのではないかと、なかなかそのひと突きができずにいた。
そうモジモジしている私に痺れを切らしたのか、妻は突然窓際の手摺りに寄りかかり、おもいきり尻を突き出した。そしてその尻をくねくねと振りながらペニスを探し出し、そのパックリと開いたピンクの濡れ穴に亀頭をネチャネチャと擦り付けてきたのだった。

(つづく)
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吐泥(へろど)18
2013/06/13 Thu 00:01
「早く入れて……」
そう卑猥に尻を振る妻に、もうこれ以上我慢できなかった。そこで私は、ピンクの粘膜にピタピタと押し付けられている亀頭を見下ろしながら、十回だけピストンしようと思った。十回のピストンでピタリと止めてしまえば、それは逆に刺激剤となり、今の妻の性欲を更に高める事に成り得るのだ。そう私は必死に思い込みながらも、その妥協を強引に正当化したのだった。
開いた割れ目に亀頭を押し付けたままペニスの根元を摘んだ。そしてそれをグルグルと回しながら妻の汁を亀頭に満遍なく塗り込むと、ヌルヌルになった亀頭の先を鯉の口のような小さな穴に突き立てながら妻の腰を両手で押さえた。
「入れるよ……」
そう呟いた時、ふと、妻の足元でビーンっと伸びているピンクのパンティーが目に飛び込んできた。これは目立つと思った。もし今、誰かが西側の通路からこの北側の通路に曲がって来たとしても、この離れた距離なら私たちの背中しか見えず、まさか私たちがセックスしているなどとは思わないだろう。が、しかし、この足首に下りているピンクのパンティーが見られたら、その行為をしている事が一目瞭然なのだ。

これは目立ち過ぎると焦った私は、既にカリ首まで沈んでいた亀頭をそこからヌポッと抜き、そのまま妻の足元にしゃがんだ。妻は不満げに表情を歪めながら足元を覗き込み、「どうしたの?」と聞いてきた。私は「これは目立ち過ぎるから脱ごう」と言うと、素早く妻の右足を持ち上げ、そこからピンクのパンティーをスルリと抜き取った。
と、その時、いきなり西側の通路の方から、明らかに団体と思われるガヤガヤとした喧騒が聞こえてきた。私は、「やばいぞ」と小さく叫びながら慌てて立ち上がった。それに合わせて妻も、手摺りに寄りかかったまま片手でサッとスカートを下ろし、そのまま何もなかったかのように平然と窓の向こうの大海原を見つめた。間一髪だった。
団体が一気に押し寄せてきた。中国語が飛び交い、辺りは何とも言えないキツい香辛料の香りに包まれた。バスガイドのおばさんが、「どちらからお見えですか」と妻に話しかけた。「東京です」と笑顔で答える妻のその冷静さに私は激しい疑念を抱いた。
妻はノーパンなのだ。この女は、つい一分前までドロドロに濡れたオマンコを剥き出しながら、「早く入れて」と尻を振っていたのである。なのに今は普通の女だった。つい一分前まで想像を絶する変態女だったのに、今は「東京です」などと、平然と笑顔を振り巻いているのだ。
不意に、サッとスカートを下ろした瞬間の、あの妻の慣れた手つきが頭に浮かんだ。この女はいつもそうしているのかも知れない、と思った。私が会社に行っている時、セールスマンの若い男に玄関でソッとヤらせているのではないかという、そんな過剰な妄想が浮かび上がってきた。

そんな疑念を勝手に抱き、激しい嫉妬に駆られた。バスガイドと話す妻の手を強引に引っ張り、いきなりズカズカとエレベーターホールに向かって歩き出した。妻はそんな私の顔を恐る恐る覗き込みながら「何を怒ってるの?」と聞いてきた。
私は、この女は病気だ、と思った。性欲が制御できず、ヤリたくなったらどこでも誰にでも股を開く病的な変態女だ、と思い込んだ。そう思うことにより、今のこの『普通の妻』に対し、激しい興奮を得ることができた。
通路の角を曲がると、正面におみやげコーナーが見えた。その奥に簡易的なテーブルが並んだ喫茶コーナーがあり、私は「コーヒーを飲んでいこう」と言いながらそこに進んだ。
エレベーターホール前の案内所にいた若い男性店員が私たちに気付いた。案内所のカウンターから喫茶コーナーのカウンターへと慌てて移動した彼は、ぎこちない笑顔で「いらっしゃいませ」と私たちを迎えた。
喫茶コーナーには客は誰もいなかった。それでも私は敢えて一番奥の隅のテーブルに腰掛け、どうでもいい新潟の景色に目をやった。妻は不安げな表情を浮かべながら、「ねぇ、さっきから何怒ってるの?」と私の真正面に座った。「別に怒ってなんかいないよ」と呟き、テーブルの上に灰皿がないかと探していると、妻は唇を尖らせながら「パンツ、返してよ」と、上目遣いで私を見た。
そんな妻の背後に、お冷のグラスを二つ手にした店員が近づいてくるのが見えた。それをチラチラと確認しながら「店員が来たぞ……股を開け……」と呟くと、妻は不安げな目を「えっ」と見開きながら後ろを振り向いた。私は素早くテーブルの下で妻のヒールを靴の先でツンツンと突きながら、「いいから、そのまま股を開くんだ……」と命令した。すると妻はその意味がやっと理解できたのか、ソッと前を向きながら下唇を噛んだ。そして背後に迫る店員の足音に脅えながら、テーブルの下でゆっくりと股を開いたのだった。

「僕はアイスコーヒー。キミは?」と、そう妻に聞いた。妻はカッと顔を赤らめながら、「アイスティー……」と呟き、そのまま下を向いてしまった。
妻は羞恥に駆られていた。新幹線の時よりも緊張していた。もちろんその店員は、まさか妻がテーブルの下で陰部を曝け出しているとは夢にも思っていないはずだ。しかし、そうわかっていても、やはり寝ている者よりも起きている者の前で露出する方が緊張するらしく、妻はあの新幹線で露出していた時とは明らかに違う羞恥の表情を浮かべ、噛み締めた下唇をブルブルと震わせていた。
「アイスコーヒーをお一つと、アイスティーをお一つですね……」
そうモタモタと伝票に書き込んでいる店員は、妙にナヨナヨとした二十代の青年だった。その瘦せこけた体と黒縁メガネはいかにもオタクっぽく、絶対に童貞だと思った。
その真面目そうな青年の顔を見ていると、不意にこの童貞オタク青年に妻のアソコを見せてみたいという衝動に駆られた。貪欲な親父たちに陵辱されて悶えるMな妻も見てみたいが、こんな童貞青年を弄んでいるSな妻も見てみたいと思ったのだ。
彼が立ち去るなり、「あいつ、キミのオッパイばかり見てたね」と笑うと、妻は私のその笑顔が命令の終わりの合図だと思ったのか、テーブルの下で大きく開いていた股を静かに閉じ始めた。「まだ閉じちゃダメだよ。いいって言うまでちゃんと開いておくんだ……」と、そう言いながら慌ててテーブルの下を覗くと、妻は恨めしそうな目で私を見ながら、今閉じたばかりの股を再び開いたのだった。
窓の光に照らされた陰毛が、まるで廃墟の工場に捨てられたエロ本のように卑猥だった。黒光りした小陰唇がだらしなく半開きし、その奥で痛々しい赤肉がテラテラと輝いていた。
私はそこを覗き込みながら、「指で開いてみろ……」とそう命令した。すると、暫くしてタランチュラのように動く十本の指がテーブルの上からゆっくりと降りてきた。二つの手は、そのまま太ももの内側にぺたりと張り付き、親指だけを中心に伸ばした。親指はヌルヌルと滑りながらも、器用にそのどす黒いビラビラを捕らえ、ゆっくりと開いた。透明の汁がネチャっと糸を引き、中から真っ赤に爛れた生肉がヌルっと現れた。それは威嚇するエイリアンのようにグロテスクでもあり、熟した桃のようにエロチックでもあった。

剥き出された赤い穴はヒクヒクと小さなしゃっくりを繰り返していた。その度に透明の汁がタラタラと垂れ、肛門までもテラテラと濡らしていた。私はその穴の中にペニスがヌルヌルと動き回る感触を思い出しながらムラムラと興奮していた。そしてその興奮が暴走し、「あの店員、きっと童貞だぜ……そのいやらしいオマンコ、見せてみるか?」と声を震わせると、いきなり妻は「いやよ」と冷たく答え、素早く股をサッと閉じた。背筋がゾッとした。私はこれが怖かったのだ。この、いきなり妻の興奮がピタリと冷めるという事を、何より私は怯えていたのだった。
そのような状況は過去に何度かあった。私が寝取られに目覚めた頃、妻を熱海の温泉に連れて行ったことがあるのだが、その晩、セックスしながら私は、「ノーブラ、ノーパンの浴衣姿でマッサージしてもらおう」と妻に囁きかけていた。そんな私の囁きに妻は興奮していた。「押入れに隠れながら、キミがマッサージのおじさんにバックからヤられるのを見ているから」と囁きながら腰を振っていると、妻はそのシーンをリアルに想像していたのか、私がそう囁く度に狂ったように悶えていた。

しかし、いざ本当にマッサージに電話をかけようとすると、妻はいきなり素に戻り、「絶対にヤダ」と激しく抵抗した。
同じように、私の実家に帰った時もそうだった。セックス中、隣の部屋で寝ている弟に見せつけてやろうと囁きかけては妻をその気にさせたのだが、しかし、いざ隣の部屋の襖を開けようとすると妻はいきなり激怒し、そのセックスは無残にも途中で中断されてしまったのだった。そんなことが度々あったため、私は今回もサウナの玄関でいきなりドタキャンされるのではないかと怯えていたのだった。
私は(このままではマズイぞ……)と思いながら、慌ててテーブルの下から抜け出した。そして、同じ失敗を繰り返さないためにも、今のうちに徹底的に妻を欲情させておかなければと思いながら、いそいそと妻の隣の席に移動した。
妻はそんな私を訝しげに見ながら「何?」と首を傾げた。「いや……さっき途中で邪魔されただろ……」と言いながらズボンのチャックを開け、そこからギチギチに勃起したペニスを摘み出すと、妻は店内を見回しながら、「こんな所で出さないでよ、店員さんに見つかっちゃうじゃない」と慌てた。「大丈夫よ、まだ来ないよ……シコシコしてくれよ……」と私は妻の手を握った。すると妻は、「早くホテルに行きましょうよ……」と困惑しながらも、私のそれを力強く握った。

妻の手が上下に動き出すと、私の手も自然に妻の股間へと伸びた。最初は「ヤだ」と私の手を振り払っていた妻だったが、しかし私の指先がその巨大に膨張したクリトリスに触れるなり、突然妻は下唇を噛んで俯いてしまった。
その突起物は、まるでロボットのスイッチのようだった。『弱』のレベルで優しくヌルヌルと転がしてやると、妖艶に腰をくねらせながら鼻を「ふん、ふん」と切なく鳴らし、レベル『強』で激しくコリコリと転がしてやると、腰をヒクヒクと痙攣させては私の腕にしがみ付き、顔を苦しそうに顰めては『んん……んん……』と卑猥に唸った。
そんなスイッチの強と弱を交互に繰り返しながら指をじわじわと下ろしていくと、指はドロドロと汁が溢れる裂け目にツルンっと吸い込まれた。穴の中は異様に熱かった。ザラザラとする天井に指腹をヌルヌルと滑らせながら、ゆっくり穴の奥へと指を沈めた。丸いブヨブヨとした壁に突き当たると、不意に、思い出横丁のホルモン屋の、脂がたっぷりと付いた小腸を思い出した。
「あの童貞君に、ここをこうして弄らせてみないか」
そう提案しながら指を回転させ、穴の中を乱暴に掻き回した。ぶちょ、ぶちょ、という下品な音がテーブルの下で響いていた。もはや妻は抵抗する力もなく、その快楽に身を委ねるかの如く、ただただ股をだらしなく緩ませていた。

「もうダメ……早くホテルに連れてってよ……」
そう腕にしがみ付いてくる妻の耳元に、「あの童貞くんも一緒にホテルに連れて行かないか……」と囁いた。妻は黙っていた。答えないまま、鼻を「ふん、ふん」と鳴らし、右手に握った肉棒を突然上下にシゴき始めた。その瞬間、私はイケると思った。この無言の手コキが確固たる意思表示であり、今の妻なら、素直にあの青年とセックスするだろうと確信した。
私は本気で悩んだ。ここであの青年を挑発し、もし青年がその気になればそのままこの全日空ホテルに部屋を取り、そこに青年を連れ込むのだ。サウナまではまだ時間があった。その間、妻にあの童貞青年を性玩具にさせ……
そんな寝取られもなかなか面白いと思った。私は、本気でそれを実行しようかどうしようか悩みながら、童貞青年を性玩具にする妻の猥褻な姿を想像していたのだった。

(つづく)
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そう卑猥に尻を振る妻に、もうこれ以上我慢できなかった。そこで私は、ピンクの粘膜にピタピタと押し付けられている亀頭を見下ろしながら、十回だけピストンしようと思った。十回のピストンでピタリと止めてしまえば、それは逆に刺激剤となり、今の妻の性欲を更に高める事に成り得るのだ。そう私は必死に思い込みながらも、その妥協を強引に正当化したのだった。
開いた割れ目に亀頭を押し付けたままペニスの根元を摘んだ。そしてそれをグルグルと回しながら妻の汁を亀頭に満遍なく塗り込むと、ヌルヌルになった亀頭の先を鯉の口のような小さな穴に突き立てながら妻の腰を両手で押さえた。
「入れるよ……」
そう呟いた時、ふと、妻の足元でビーンっと伸びているピンクのパンティーが目に飛び込んできた。これは目立つと思った。もし今、誰かが西側の通路からこの北側の通路に曲がって来たとしても、この離れた距離なら私たちの背中しか見えず、まさか私たちがセックスしているなどとは思わないだろう。が、しかし、この足首に下りているピンクのパンティーが見られたら、その行為をしている事が一目瞭然なのだ。

これは目立ち過ぎると焦った私は、既にカリ首まで沈んでいた亀頭をそこからヌポッと抜き、そのまま妻の足元にしゃがんだ。妻は不満げに表情を歪めながら足元を覗き込み、「どうしたの?」と聞いてきた。私は「これは目立ち過ぎるから脱ごう」と言うと、素早く妻の右足を持ち上げ、そこからピンクのパンティーをスルリと抜き取った。
と、その時、いきなり西側の通路の方から、明らかに団体と思われるガヤガヤとした喧騒が聞こえてきた。私は、「やばいぞ」と小さく叫びながら慌てて立ち上がった。それに合わせて妻も、手摺りに寄りかかったまま片手でサッとスカートを下ろし、そのまま何もなかったかのように平然と窓の向こうの大海原を見つめた。間一髪だった。
団体が一気に押し寄せてきた。中国語が飛び交い、辺りは何とも言えないキツい香辛料の香りに包まれた。バスガイドのおばさんが、「どちらからお見えですか」と妻に話しかけた。「東京です」と笑顔で答える妻のその冷静さに私は激しい疑念を抱いた。
妻はノーパンなのだ。この女は、つい一分前までドロドロに濡れたオマンコを剥き出しながら、「早く入れて」と尻を振っていたのである。なのに今は普通の女だった。つい一分前まで想像を絶する変態女だったのに、今は「東京です」などと、平然と笑顔を振り巻いているのだ。
不意に、サッとスカートを下ろした瞬間の、あの妻の慣れた手つきが頭に浮かんだ。この女はいつもそうしているのかも知れない、と思った。私が会社に行っている時、セールスマンの若い男に玄関でソッとヤらせているのではないかという、そんな過剰な妄想が浮かび上がってきた。

そんな疑念を勝手に抱き、激しい嫉妬に駆られた。バスガイドと話す妻の手を強引に引っ張り、いきなりズカズカとエレベーターホールに向かって歩き出した。妻はそんな私の顔を恐る恐る覗き込みながら「何を怒ってるの?」と聞いてきた。
私は、この女は病気だ、と思った。性欲が制御できず、ヤリたくなったらどこでも誰にでも股を開く病的な変態女だ、と思い込んだ。そう思うことにより、今のこの『普通の妻』に対し、激しい興奮を得ることができた。
通路の角を曲がると、正面におみやげコーナーが見えた。その奥に簡易的なテーブルが並んだ喫茶コーナーがあり、私は「コーヒーを飲んでいこう」と言いながらそこに進んだ。
エレベーターホール前の案内所にいた若い男性店員が私たちに気付いた。案内所のカウンターから喫茶コーナーのカウンターへと慌てて移動した彼は、ぎこちない笑顔で「いらっしゃいませ」と私たちを迎えた。
喫茶コーナーには客は誰もいなかった。それでも私は敢えて一番奥の隅のテーブルに腰掛け、どうでもいい新潟の景色に目をやった。妻は不安げな表情を浮かべながら、「ねぇ、さっきから何怒ってるの?」と私の真正面に座った。「別に怒ってなんかいないよ」と呟き、テーブルの上に灰皿がないかと探していると、妻は唇を尖らせながら「パンツ、返してよ」と、上目遣いで私を見た。
そんな妻の背後に、お冷のグラスを二つ手にした店員が近づいてくるのが見えた。それをチラチラと確認しながら「店員が来たぞ……股を開け……」と呟くと、妻は不安げな目を「えっ」と見開きながら後ろを振り向いた。私は素早くテーブルの下で妻のヒールを靴の先でツンツンと突きながら、「いいから、そのまま股を開くんだ……」と命令した。すると妻はその意味がやっと理解できたのか、ソッと前を向きながら下唇を噛んだ。そして背後に迫る店員の足音に脅えながら、テーブルの下でゆっくりと股を開いたのだった。

「僕はアイスコーヒー。キミは?」と、そう妻に聞いた。妻はカッと顔を赤らめながら、「アイスティー……」と呟き、そのまま下を向いてしまった。
妻は羞恥に駆られていた。新幹線の時よりも緊張していた。もちろんその店員は、まさか妻がテーブルの下で陰部を曝け出しているとは夢にも思っていないはずだ。しかし、そうわかっていても、やはり寝ている者よりも起きている者の前で露出する方が緊張するらしく、妻はあの新幹線で露出していた時とは明らかに違う羞恥の表情を浮かべ、噛み締めた下唇をブルブルと震わせていた。
「アイスコーヒーをお一つと、アイスティーをお一つですね……」
そうモタモタと伝票に書き込んでいる店員は、妙にナヨナヨとした二十代の青年だった。その瘦せこけた体と黒縁メガネはいかにもオタクっぽく、絶対に童貞だと思った。
その真面目そうな青年の顔を見ていると、不意にこの童貞オタク青年に妻のアソコを見せてみたいという衝動に駆られた。貪欲な親父たちに陵辱されて悶えるMな妻も見てみたいが、こんな童貞青年を弄んでいるSな妻も見てみたいと思ったのだ。
彼が立ち去るなり、「あいつ、キミのオッパイばかり見てたね」と笑うと、妻は私のその笑顔が命令の終わりの合図だと思ったのか、テーブルの下で大きく開いていた股を静かに閉じ始めた。「まだ閉じちゃダメだよ。いいって言うまでちゃんと開いておくんだ……」と、そう言いながら慌ててテーブルの下を覗くと、妻は恨めしそうな目で私を見ながら、今閉じたばかりの股を再び開いたのだった。
窓の光に照らされた陰毛が、まるで廃墟の工場に捨てられたエロ本のように卑猥だった。黒光りした小陰唇がだらしなく半開きし、その奥で痛々しい赤肉がテラテラと輝いていた。
私はそこを覗き込みながら、「指で開いてみろ……」とそう命令した。すると、暫くしてタランチュラのように動く十本の指がテーブルの上からゆっくりと降りてきた。二つの手は、そのまま太ももの内側にぺたりと張り付き、親指だけを中心に伸ばした。親指はヌルヌルと滑りながらも、器用にそのどす黒いビラビラを捕らえ、ゆっくりと開いた。透明の汁がネチャっと糸を引き、中から真っ赤に爛れた生肉がヌルっと現れた。それは威嚇するエイリアンのようにグロテスクでもあり、熟した桃のようにエロチックでもあった。

剥き出された赤い穴はヒクヒクと小さなしゃっくりを繰り返していた。その度に透明の汁がタラタラと垂れ、肛門までもテラテラと濡らしていた。私はその穴の中にペニスがヌルヌルと動き回る感触を思い出しながらムラムラと興奮していた。そしてその興奮が暴走し、「あの店員、きっと童貞だぜ……そのいやらしいオマンコ、見せてみるか?」と声を震わせると、いきなり妻は「いやよ」と冷たく答え、素早く股をサッと閉じた。背筋がゾッとした。私はこれが怖かったのだ。この、いきなり妻の興奮がピタリと冷めるという事を、何より私は怯えていたのだった。
そのような状況は過去に何度かあった。私が寝取られに目覚めた頃、妻を熱海の温泉に連れて行ったことがあるのだが、その晩、セックスしながら私は、「ノーブラ、ノーパンの浴衣姿でマッサージしてもらおう」と妻に囁きかけていた。そんな私の囁きに妻は興奮していた。「押入れに隠れながら、キミがマッサージのおじさんにバックからヤられるのを見ているから」と囁きながら腰を振っていると、妻はそのシーンをリアルに想像していたのか、私がそう囁く度に狂ったように悶えていた。

しかし、いざ本当にマッサージに電話をかけようとすると、妻はいきなり素に戻り、「絶対にヤダ」と激しく抵抗した。
同じように、私の実家に帰った時もそうだった。セックス中、隣の部屋で寝ている弟に見せつけてやろうと囁きかけては妻をその気にさせたのだが、しかし、いざ隣の部屋の襖を開けようとすると妻はいきなり激怒し、そのセックスは無残にも途中で中断されてしまったのだった。そんなことが度々あったため、私は今回もサウナの玄関でいきなりドタキャンされるのではないかと怯えていたのだった。
私は(このままではマズイぞ……)と思いながら、慌ててテーブルの下から抜け出した。そして、同じ失敗を繰り返さないためにも、今のうちに徹底的に妻を欲情させておかなければと思いながら、いそいそと妻の隣の席に移動した。
妻はそんな私を訝しげに見ながら「何?」と首を傾げた。「いや……さっき途中で邪魔されただろ……」と言いながらズボンのチャックを開け、そこからギチギチに勃起したペニスを摘み出すと、妻は店内を見回しながら、「こんな所で出さないでよ、店員さんに見つかっちゃうじゃない」と慌てた。「大丈夫よ、まだ来ないよ……シコシコしてくれよ……」と私は妻の手を握った。すると妻は、「早くホテルに行きましょうよ……」と困惑しながらも、私のそれを力強く握った。

妻の手が上下に動き出すと、私の手も自然に妻の股間へと伸びた。最初は「ヤだ」と私の手を振り払っていた妻だったが、しかし私の指先がその巨大に膨張したクリトリスに触れるなり、突然妻は下唇を噛んで俯いてしまった。
その突起物は、まるでロボットのスイッチのようだった。『弱』のレベルで優しくヌルヌルと転がしてやると、妖艶に腰をくねらせながら鼻を「ふん、ふん」と切なく鳴らし、レベル『強』で激しくコリコリと転がしてやると、腰をヒクヒクと痙攣させては私の腕にしがみ付き、顔を苦しそうに顰めては『んん……んん……』と卑猥に唸った。
そんなスイッチの強と弱を交互に繰り返しながら指をじわじわと下ろしていくと、指はドロドロと汁が溢れる裂け目にツルンっと吸い込まれた。穴の中は異様に熱かった。ザラザラとする天井に指腹をヌルヌルと滑らせながら、ゆっくり穴の奥へと指を沈めた。丸いブヨブヨとした壁に突き当たると、不意に、思い出横丁のホルモン屋の、脂がたっぷりと付いた小腸を思い出した。
「あの童貞君に、ここをこうして弄らせてみないか」
そう提案しながら指を回転させ、穴の中を乱暴に掻き回した。ぶちょ、ぶちょ、という下品な音がテーブルの下で響いていた。もはや妻は抵抗する力もなく、その快楽に身を委ねるかの如く、ただただ股をだらしなく緩ませていた。

「もうダメ……早くホテルに連れてってよ……」
そう腕にしがみ付いてくる妻の耳元に、「あの童貞くんも一緒にホテルに連れて行かないか……」と囁いた。妻は黙っていた。答えないまま、鼻を「ふん、ふん」と鳴らし、右手に握った肉棒を突然上下にシゴき始めた。その瞬間、私はイケると思った。この無言の手コキが確固たる意思表示であり、今の妻なら、素直にあの青年とセックスするだろうと確信した。
私は本気で悩んだ。ここであの青年を挑発し、もし青年がその気になればそのままこの全日空ホテルに部屋を取り、そこに青年を連れ込むのだ。サウナまではまだ時間があった。その間、妻にあの童貞青年を性玩具にさせ……
そんな寝取られもなかなか面白いと思った。私は、本気でそれを実行しようかどうしようか悩みながら、童貞青年を性玩具にする妻の猥褻な姿を想像していたのだった。

(つづく)
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