2ntブログ
??????????????°????1_convert_20100121234300




               1

飯村喜八郎43歳独身。
25年間勤めた会社を突然解雇された飯村は、4年前、遺産相続で手に入れた土地にラブホテルを建設し、そこのオーナーとなった。
飯村がラブホテル経営を始めたのには理由があった。
そう、それは飯村が変態だったからである・・・・・。

喜八郎は相変わらず働き者だった。
全23室ある部屋の清掃から部屋の修理全般、フロント作業からルームサービスの仕入れや調理に至まで、喜八郎は全て1人でこなしていた。

なぜ1人なのか?
ケチだからか?それともこんな変態野郎の所には誰も働き手がいないからか?
いや違う。
それは、喜八郎がこのラブホテルの全室に盗撮カメラを仕掛けたり、ルームサービスの食品に精液をぶっかけたり、はたまた客室に忍び込んでは客のパンツを物色したり等々、あらゆる犯罪行為を行なっているため、それらの犯罪行為が従業員に発覚されるのを怖れていたのである。
だから喜八郎は、この広いラブホで1人せっせと働いているのであった。
(喜八郎の過去を知りたい方は「ラブホ経営者・喜八郎の失態(フェチ編)」を御覧下さい)


そんな喜八郎の所に、ある日突然、親戚のタヨコおばちゃんが尋ねて来た。
この伯母さんは喜八郎の父の妹なのだが、性格は貪欲で実に金に汚い老婆だ。喜八郎とは4年前の父の葬式の席で、遺産相続を巡ってかなり醜い争いをしたことがある。

父の葬式以来タヨコとは顔も合わさぬ仲だったのに、何を今更ノコノコ現れたのか。
タヨコの、あの動物園の檻の中で恨めしそうに人間を眺めているタヌキのような目付きをふと思い出し、喜八郎は「あーやだやだ」と体をブルブルっと震わせながら、タヨコが待つ事務所へと仕方なく向かったのであった。

「なんだよタヨコおばちゃん・・・急にこんなトコへ来て・・・」
喜八郎はお茶なんて出さないからね、といった感じで、事務所に入るなりドスンとソファーに腰を下ろし、迷惑そうにジロッとタヨコを見た。

「あのさぁ、ちょっとキーちゃんに頼みたい事があってね・・・」
タヨコは、今年43歳になる喜八郎をキーちゃんと呼びながら、目以外の顔のパーツをニヤニヤと笑わせた。

喜八郎はこの歳になってキーちゃんと呼ばれるのが一番イヤだった。
8人の若い女性を次々にレイプし殺してしまった昭和の連続強姦殺人犯・大久保清は、36歳になっても母親から「ぼくちゃん」と呼ばれていたらしいが、43歳の変態親父・喜八郎が家族の者達からキーちゃんと呼ばれているのと、どこか似ている。
いつもそう思っていた喜八郎は、この「キーちゃん」という呼ばれ方がとても嫌だったのだった。

「先に断っておくけど金ならないよ」
喜八郎は先制攻撃した。
「違うわよ、お金なんてアンタ、別にアタシャ困ってないわよ」
タヨコが大袈裟に笑いながら手を振った。しかしやっぱり目は笑っていない。

「じゃあなんだよ」
喜八郎は大きな溜息を付きながら煙草に火を付けた。
「アタシの近所に大森さんっていう家があんだけどね、そこの次女で久美子って娘がいるんだけど、この娘がね、ここだけの話しなんだけどさ、実はニーチェなんだよ・・・」

喜八郎はゆっくりと煙草の煙を吐きながらタヨコの顔を見つめた。
そして、呆れた目付きで「その娘は思想家なのか?」と聞いてやった。

「あらやだ、ニーチェじゃないわよ、ほら、なんだっけ、あの働かない若者の・・・」
「ニートだろ」
喜八郎がそう言うと、タヨコは「そうそうニート、ニート。それだそれ」と入れ歯を剥き出しにして馬のように笑った。
これだから団塊の世代は嫌いだ。入れ歯が妙に臭そうだ。

「でね、その久美子ちゃんは働き場所がないからって事でずーっと家に籠りっぱなしでさぁ、なんか顔色も悪くってね、昔は元気な明るいコだったんだけどね・・・うん」
「・・・それがどうしたんだよ」
「でね、大森さんとこのバァちゃんが心配しちゃってさぁ、ほら、あのバァちゃん昔っから心配性だろ、孫が病気になってしまうぅぅぅて騒ぐんだよね、うん」
「だからそれがどーしたのって聞いてんの」
「だからキーちゃんにそれを頼んでるんじゃない」
「頼むって?」
「久美子ちゃんをココで働かせてやってくれって事よ」

喜八郎はすかさず「無理無理」っと鼻で笑ってやった。
この婆ぁを困らせるのが何よりの快感だと思っている喜八郎が、そう簡単にタヨコの言葉に首を縦に振るわけがない。たとえ巨大台風が接近している豪雨の時に「凄い雨だねぇ」と言われても、「いい天気だけど何か?」と答えかねない喜八郎は、タヨコに対して徹底的に全否定の姿勢なのだ。

「そこをなんとか頼むよ、ね、社長さん」
タヨコは恐ろしくピンク色した歯茎を剥き出しにして、まるで蝿のように両手をスリスリと擦り合わせた。

あの時と一緒だ、と喜八郎は、そんなタヨコの態度を見て胸糞悪くなった。
あの時とは、このラブホテルが完成したばかりの4年前、どこの馬の骨かもわからないような保険セールスマンをタヨコが連れて来た事があるのだが、当時ホテル経営について何も知らなかった喜八郎は、タヨコ達の巧妙な話術に乗せられ、挙げ句の果てにはあらゆる保険に加入させられた。
結局、毎月の保険料だけで50万円近く払わされていた喜八郎だったが、数ヶ月後、ひょんな事からその50万円のうちの約半分がタヨコのマージンになっているという事を知り、激怒した喜八郎は慌てて全ての保険を解約したのだが、その時の保険をセールスしていた時のタヨコの態度というのが、今のその「スリスリ蝿」と同じだった。

「死んでも無理」
喜八郎はタヨコの顔にフーっと煙を吹き掛けた。
「でも・・・久美子ちゃん。かなりの美人だよ・・・」
タヨコは喜八郎の煙をサラリと除けながらポツリと言った。
「・・・・・・」
黙る喜八郎。

「歳は23才。今までにバイト程度の経験しかないからさぁ、手取り足取り教えてあげなくっちゃなんないだろうけど、でもスッゴイ美人だよ」
タヨコは「手取り足取り」という言葉を強調して言った。
実際、喜八郎も「手取り足取り」という言葉に心を動かされた。

「・・・・・・・」
無言で煙草を吹かす喜八郎。

「ま、何年間も無職でさ、家にばっかり籠ってた娘だからさ、そりゃあ仕事が上手くできるかどうかはわかんないけどね、ただ、性格はとっても素直な子だからね、キーちゃんの言う事はなんでも聞くと思うよ・・・それに、彼氏いないし」
タヨコは「なんでも言う事を聞く」という言葉を更に強調して言った。
実際、喜八郎も「なんでも言う事を聞く」という言葉に、更に心を動かされた。

「・・・で、給料は・・・いくら欲しいんだ・・・」
喜八郎はタヨコから視線を反らしたまま、天井に向かって煙を吐きながらそう呟いた。

「まぁ、時給2000円ってトコが相場じゃないの・・・あんまり環境の良い職場とは言えないしね・・・」
さっそく釣られた喜八郎に、タヨコは強気の姿勢で出た。

じ、時給2千円!キャバクラ嬢でさえ今日日は時給1800円だぞ!
そう叫びそうになった喜八郎だったが、しかし彼の頭の中には「なんでも言う事を聞く」というタヨコの言葉がまだ響いている。慌てて言葉を呑み込んだ。

「・・・取りあえず、面接してやるよ。返事はそれからだね」
喜八郎はその娘が時給2000円に値する女かどうかを見極めようと話しを切り上げた。

「わかった。明日にでもさっそく面接に行くようにって久美子ちゃんに言っておくよ・・・・で、相談なんだけどさぁ」
「なんだよ、まだあるのかよ」
「その時給の2000円。久美子ちゃんには1000円って事にしてさぁ、半分をアタシの口座に振り込んで欲しいんだよね」
「なに?!」
「当たり前じゃないか、アタシも慈善事業でやってんじゃないんだよ、あれだけの美人な娘さんをこんなエロホテルに紹介してやんだからさ、それなりの紹介料ってのを貰ってもバチは当たんないよ」

喜八郎は拳をブルブル震わせながら、「くっ・・・」と息を吐く。
この場でこの婆ぁのそのムキ出した出っ歯を叩き割ってやってもいいのだが・・・・しかし、「何でも言う事を聞く美人ニート23歳」を一目見てからでもそれは遅くはない、と思った喜八郎は、その怒りをグッと堪え、「とりあえず面接してから返事するよ」と、言葉を残し席を立ったのであった。


               2


翌日、いつもよりオシャレをした喜八郎は、10年前に丸井で買ったスーツにメタボな脂肪をグイグイと押し込みながら、鏡の前でモガキ苦しんでいた。
パンパンに膨れている腰回りに上着のボタンをひとつひとつ慎重に嵌めながら、まだまだ着れるじゃないか・・・と呟く喜八郎のズボンは、下っ腹に飛び出した脂肪でボタンは外れたままで、かろうじてベルトで押さえているという実に無惨なものだった。

ピチピチというよりパンパンという感じでそのサイズの合わない小さなスーツを無理矢理に着た喜八郎は、そんな醜い姿を鏡に映しながら「モード系・・・」とポツリと呟いた。

ズボンの尻が破けないようにと慎重に椅子に座った喜八郎は、面接時間が近付くにつれソワソワしながらもモニターを見つめていた。

モニターには、ホテルの正面にポツンと立っている1人の女が映っていた。
「デリヘルの待ち合わせか?」
と思いながら、何げなくその女をボンヤリ眺めていた。

しかし、その女の客は一向に現れる気配もなく、又、女も客を待っているという素振りでもない。
女はかれこれ20分、ホテルの前で立ったままだ。
ラブホテルの入口に若い女が立ち続けてるなんて、これは立派な営業妨害だ。それに、もしかしたらどこぞのデリヘル嬢が客引きしているという可能性もある。

「実に誠にけしからん!」
喜八郎は女に文句を言ってやろうと、フロントを出て入口に向かった。

廊下を歩きながら、「ま、結構可愛い娘だったし、それほど客に困っていると言うなら買ってやってもいいけどな・・・」などとムフムフ考えていた喜八郎だったが、しかし、久美子の面接時間まであと1時間しかないため、その考えは諦めた。

外に出ると、彼女がチラッと喜八郎に振り向いた。
その顔を見て喜八郎は、とっても目の大きな小動物的な女だとふと思った。

「そんなトコ突っ立ってられると営業の邪魔なんだけどな・・・」
喜八郎は少し離れた場所から女に声を掛けた。

「あのぅ・・・」
女はそう言いながら恐る恐る入口に向かって来る。

(そうだ、こいつはリスに似てるんだ!)
女を見ながらそう思った喜八郎は、(面接までにはまだ時間があるから・・・30分くらいならチンポ舐めさせてやってもいいな・・・)と、下半身をドキドキさせ、そしてこっちに向かって来る女に「いくらだ」と不意に聞いた。

「えっ?・・・何が・・・ですか?」
女は玄関の石畳の上でピタッと足を止めた。
「だから・・・30分いくらだよ」
喜八郎は、こんなカワイイ子なら多少のチップを弾んでもいいと考えていた。

「あのぅ・・・飯村社長さん・・・ですか?」
女は大きな目をクリクリさせながら喜八郎の顔を覗き込んだ。

「・・・・誰だアンタ・・・」
「あ、私、タヨコおばさんから紹介してもらった原田久美子です」
女は小さな八重歯をチラッと見せながらペコッと頭を下げると、長い髪を掻き分けながらニコッと微笑んだ。

その瞬間、喜八郎のパンパンに膨れ上がった尻のズボンがビリリリッと破れたのであった。


               3


タヨコが言うように、久美子はとんでもない美人だった。
これほどの美女なら、わざわざこんな所で働かなくとも他に職はいくらでも見つかるだろう、と、久美子と向かい合って座る喜八郎がそれらしい事を久美子に尋ねてみると、久美子は「えぇ・・・」と表情を曇らせた。

「対人恐怖症・・・って御存知ですか?」
久美子は綺麗に磨いた爪をモジモジと弄りながら静かにそう呟いた。
「・・・なんだかわかんないけど、なんとなくはわかります」
喜八郎はちょっとインテリぶって、全然インテリじゃない答えを返した。

「大勢の人と接するのが苦手なんです・・・・だから、接客業とか大きな会社だと全然ダメで・・・」
久美子はピンク色に塗られた小さな唇をゆっくりと動かしながら、ポツリポツリと語り始めた。

そんな久美子がどこか苦しそうに見えた喜八郎は、一刻も早くこの美女を楽にしてやりたいと思い、「わかりました」と、途中で言葉を止めさせた。

「・・・やっぱり・・・ダメ・・・ですか?」
言葉を遮られた久美子は、悲しそうな表情で喜八郎を見つめる。

「いえ、採用です」
喜八郎がそう答えると、「えっ!」と久美子は急に顔を明るくさせた。

「この仕事は、いわゆる裏仕事です。接客も一切ありませんしお客様と顔を合わせる事すらございません。ですから貴女の御病気は何も差し支えないでしょう」
喜八郎は北の国から的な温かい表情で久美子を見つめると、静かに微笑みながらそう言った。

「ありがとうございます!」
久美子はサッとソファーを立ち上がり、喜八郎に深々とお辞儀した。

「但し、この仕事はとても特殊ですから色々とキツいですよ。辛抱できるかな?」
調子に乗ってそう社長ぶる喜八郎に、久美子は「頑張ります!」と真っ白な歯を見せながら笑う。
喜八郎はそんな久美子の笑顔を見てタンポポのような娘だと、なぜか文学的にそう思ったのだった。


               4


原田久美子23歳。
最終学歴は都内の女子校で、それ以後、履歴書は真っ白だった。
どうして久美子が対人恐怖症になったのか、そんな事は履歴書には書いてない。
あと、男関係も当然の事ながら履歴書には書いてなかった。

学歴や職歴や趣味など、喜八郎にはどーでもいい事だった。
そんな事よりも、今までに何人の男とセックスしたとか、オナニーは週に何回だとか、バックと正常位はどっちが好きかとかを書いてくれたらいいのに、と、何の役にも立たない履歴書をポイッと机の引き出しに投げ捨てると、「プルップルップルッ・・・・プルップルップルッ・・・・」と、フロントの客室電話が鳴りだした。

いつもなら一日の大半を盗撮モニターがズラリと並ぶフロントで過ごしている喜八郎だったが、しかし久美子にフロントの秘密を知られては困ると思った喜八郎は、久美子が働いている時間帯はできるだけ事務所を使うようにしていた。

「電話・・・どうしましょう?」
久美子はフロントのドアの前で足を止め、喜八郎に振り向いた。
久美子にはフロントは立ち入り禁止だと言ってあるからだ。

「私が出るからいいよ」
喜八郎はそう言いながら立ち上がると、スタスタとスリッパを鳴らしフロントに入って行った。




電話を切った喜八郎がフロントから出てくると、事務机にボンヤリと座ったまま大きなアクビをしていた久美子は、慌てて口を閉じた。

「ふふふ。暇かい?」
「・・・いえ、すみません」
大アクビによって瞳をウルウルさせる久美子が苦笑いする。

「さっそくだが仕事だよ。201号室、チェックアウトしたから清掃に行こう」
喜八郎がそう言うと、やっと初仕事だ、とばかりに微笑んだ久美子は、「はい!」と元気よく立ち上がったのだった。


201号室のドアを開けると、とたんにモアッとする独特な温もりが溢れて来た。
喜八郎は久美子をベッドルームへと連れて行き、つい今まで男と女が死闘を繰り広げていたその悲惨な状況を見せつけてやった。

「まずはベッドメーキングから教えよう。いいかい、まず最初にシーツにシミがないかを確認するんだ・・・」
喜八郎はそう言いながら、まるでアリの巣を探す子供のようにシワだらけになったシーツに顔を近づけると、ジロジロとシーツに目を走らせる。さっそく久美子もそれを真似してシーツに顔を近づけた。

一戦交えた後のシーツからは女のキツい香水が漂っていた。
その匂いに耐えられないのか、久美子は手の平で鼻と口を塞ぎながらシミを探している。

「見なさい。コレがシミだ」
喜八郎が指差す先には、パリパリに乾いた500円硬貨ほどの丸いシミがあった。

シーツのシミを見て「へぇ・・・」と感心する久美子は、「社長、これは?」と、ベッドの端の10円硬貨ほどの丸いシミを指差した。

「それは違う。それは恐らく入浴後の水滴か何かだろう、こっちのシミと触って比べてごらん、違うから」
喜八郎がそう言うと、久美子が10円シミを指でサラサラっと触り、続いて500円シミを恐る恐る指で触った。
「ホントだ、違う・・・・」
「そっちの小さなシミはサラサラしてるが、こっちの大きなシミはパリパリっとしてるだろ。このパリパリってのが、いわゆる・・・その・・・・」
喜八郎は急に顔を赤らめた。
喜八郎のそんな表情に気付いた久美子もポッと顔を赤らめながら、「・・・なんとなくわかります」と恥ずかしそうにそう答えた。

「このパリパリのシミを発見したら、このスプレーをシミに向けて・・・」と言いながら、喜八郎はアルコール消毒液をシュッシュッシュッ!とそのシミに吹き掛け、「このくらいぶっかけてくれ」と実際にやって見せる。
久美子は「ふんふん」と頷きながらそれを真剣に見ていた。

「どうしてわざわざこんな事をするのかというと、このシミがシーツの下のマットにまで達している事があるからなんだ。だからここで大切なのは、まず最初にシーツを剥がす前にシミチェックを必ずするという事だ。シーツを剥がしてしまってからではシミの位置がわからなくなってしまうからね」
久美子はそんな喜八郎に「なるほど・・・」と感心するように頷いた。

そして久美子は「あ、ここにもパリパリがある・・・」と、ベッドの端にある10円玉ほどのシミを見つけ、それを爪先でカリカリと確認しながら「これもそうですか?」と喜八郎に聞いた。

「・・・匂いを嗅いで確認してごらん・・・」
喜八郎はそう言いながらも自分の言葉にムラッと興奮した。

「えっ・・・匂いですか・・・・」
久美子は恐る恐るそのシミに鼻を近づける。なんという純粋な娘なのだろう。

そのほんのりと黄ばんだシミが精液である事を、喜八郎は知っていた。
女性の愛液の場合、ほとんどがベッドの中心である。しかし、時々ベッドの端にもそれらしきシミが発見される事があるのだが、そのほとんどが、射精後に浴室へ向かう男のペニスからダラリと垂れた「残液」である事を、喜八郎は経験上知っていた。

久美子はその残液と思われるシミを、真面目にクンクンと嗅いでいる。
「・・・どんな匂いがする?」
喜八郎は、ベッドの上で四つん這いになりながら、犬のようにクンクンと匂いを嗅いでいる久美子の尻から太ももをいやらしく眺めながらそう聞いた。

「・・・なんか・・・消毒液みたいな・・・・」
久美子は首を傾げながら更にクンクンと嗅いだ。

「舐めてみろ」と言いそうになって慌てて口を閉じる喜八郎は、あらゆる妄想の中で既にビンビンに勃起していた。

「なんらかの匂いがある場合は水ではないだろう。ジュースかも知れないしアレかも知れない。だから必ず匂いを確認して、匂うシミにはスプレーを掛けてくれ。但し、匂わないシミにはスプレーは掛けないで欲しい、このスプレーは結構高いからね」
喜八郎がそう言うと、久美子は素直に「はい」と返事をした。


               5


「次に・・・・」と、喜八郎はベッドの横に置いてあるクズカゴを手に取った。

「必ずクズカゴの中はチェックして欲しい。というのは、麻薬や覚醒剤といったドラッグを使用していないかを確認する為だ。これは、風俗営業法で『チェックアウト後のクズカゴの確認』と定められている事だから、これは絶対に忘れないように」

もちろんデタラメだ。

「えっ?・・・そんな法律があるんですか?」
久美子は大きな目をクリクリとさせてそう言った。

「ある。ラブホテルというのはとても規制が厳しいんだ。毎回それらをチェックして生活安全課に書類を提出しなければならないからね。よく覚えておいてくれよ」
喜八郎がそうデタラメを言うと、無知な久美子は「わかりました」と素直に返事をした。

「よし。じゃあクズカゴの中をチェックしてみろ」
喜八郎がそう言いながらクズカゴを久美子に手渡すと、クズカゴの中を覗いた久美子が「うわっ」と顔を顰めた。

久美子は使用済みのコンドームを避けながら、丸まったティッシュをひとつひとつ摘んではクズカゴの中身を床に取り出した。

丸められたティッシュとダラダラに萎れた使用済みコンドームから異様な香りが漂って来る。
実にいやらしい匂いだ、と思いながらも、喜八郎はそんな香りを今目の前で嗅がされている久美子を見て激しく欲情していた。

「ティッシュしか見当たりませんが・・・・」
コンドーム以外を全てクズカゴから取り出した久美子は、明らかに怪訝な表情をしながらゆっくりと喜八郎を見上げた。

「それじゃあ・・・」と言いながら、喜八郎は久美子の横にしゃがんだ。
「次は精液チェックをしてもらおう」
そう言いながら喜八郎が使用済みコンドームをヒョイと摘まみ上げると、久美子は後に仰け反りながら「えっ!」と絶句した。

「これは厚生省からの規制でね、コンドームに残った精液からエイズの調査をしなければならないんだよ・・・・」
喜八郎はそうデタラメを言うと、手術室で使われるようなシルバーの皿を床に置き、その皿の上にコンドームに溜っていた精液を搾り出した。

「こうやって精液を皿の上に取り出して・・・・精液の中にこうして指を入れながらプチプチとした物体がないかを探して欲しいんだ・・・・」
喜八郎はドロドロの精液の中に人差し指を入れ、ネチャネチャと精液を掻き回した。

「・・・プチプチって・・・なんですか・・・・」
真っ青な顔をした久美子が表情を固めたままそう聞く。

「うん。カズノコの粒みたいなモノらしいんだけどね・・・それが精液に交じっているとエイズの可能性が高いらしいんだよ・・・実はまだ私もそのプチプチは発見した事はないけどね・・・・」
喜八郎はそうデタラメを言いながら、クチュクチュと音を立てながら他人の精液を掻き回した。

「そんな事までしなくちゃならないんですね・・・・」
「うん。エイズは深刻な問題だからね・・・・出会い系なんかで簡単にセックスできる時代だから、厚生省もフリーセックスによるエイズ早期発見に全力を注いでいるようだね・・・」
喜八郎は、自分のあまりのデタラメな言葉におもわず吹き出しそうになっていた。

「じゃあ、もうひとつのコンドームを使ってやってみて」
喜八郎がもうひとつコンドームが捨ててあったクズカゴを久美子の目の前に差し出した。

「・・・・はい・・・・」
久美子は意を決したかのように、覚悟を決めてコンドームを摘んだ。

もう1枚のシルバー皿の上に使用済みコンドームを逆さまにし、萎れたゴムを指で搾る。
ボトボト・・・・っと白濁の精液がシルバー皿の上に滴り落ちた。

(この娘は、今までいったい何人の男の精液を見て来たのだろう・・・・)
喜八郎はそう思いながら、しゃがむ久美子の後にそっと下がり、久美子にバレないようにズボンの上からペニスを揉んだ。

久美子の白魚のような細い指が精液の中にヌチャッと入った。
「うわっ・・・・」
久美子は梅干しを食べた時のような表情で唸った。

「・・・どうだい?」
背後から喜八郎がソっと聞く。
「・・・とっても冷たい・・・」
久美子は精液をネトネトと捏ねくり回しながら呟いた。

(この娘は、精液の温もりを知っているのだろうか・・・・)
喜八郎は、ズボンにくっきりと浮かび上がっている勃起したペニスを密かに揉みながら、そんな久美子の指の動きをジッと眺めていたのだった。


               6


ベッドメーキング、トイレ掃除、浴室掃除、アメニティーの補充、と、ひととおりの作業を教えた喜八郎は、「それから・・・」と言いながら、冷蔵庫の中にあった透明の筒を取り出した。
その筒には「無料貸し出し」というパッケージステッカーが貼られていた。

「これは、お客さんに無料で自由に使ってもらうグッズなんだけど、コレの消毒を絶対に忘れないで欲しいんだ」
喜八郎はそう言いながら、妙にリアルな巨大ディルドを久美子に手渡した。

色、形、感触と、まるで本物そっくりのディルドをいきなり手渡された久美子は、とたんに顔をパッと赤くさせた。

「不特定多数の客が使用するグッズだからね、性病とかが付着してたら怖いんだよね。だからコレで丁寧に洗って欲しいんだ・・・」
喜八郎はそう言いながら「手に優しい性病消毒オイル」と、ヘタクソな字で手書きされたビニール容器を渡した。
当然、それの中身はただの「ペペローション」だ。

「・・・どうやってやれば・・・」
リアルなディルドを手にしたまま、久美子は困惑していた。

「簡単だよ。そのオイルを手に垂らして、後は丁寧に擦るだけさ。ちょっとやってごらん」
喜八郎がそう言うと、久美子は「・・・はぁ・・・」と戸惑いながらもビニール容器の蓋を開けた。

「その消毒オイルをたっぷりと手の平に垂らすんだ」
久美子は喜八郎に言われるまま、手の平に大量のローションを垂らした。

「そのままグッズを握って擦るだけだよ」
久美子はテラテラに輝く手の平で、巨大なディルドを包み込んだ。
そしてそのままゆっくりと手を上下に動かす。

クチャッ・・・ピチャッ・・・・という卑猥な音が部屋に響いた。
どうやら久美子も何かを想像しているらしく、恥ずかしそうにぎこちない動作でゆっくりと動かしている。

「細かい所まで丁寧に頼むよ。ほら、その、へこんだ部分とかあるでしょ、そういう所に性病が潜んでいるらしいから・・・」
喜八郎は、まるで松茸のようにカサを開いた亀頭の裏を指差してそう言った。

「・・・こんな・・・感じですか?・・・・」
ローションだらけの指を亀頭の裏に沿ってクチュクチュと擦らせた。

喜八郎は久美子のいやらしい指の動きを見つめながら、久美子が本物のペニスをシコシコと手コキするシーンを想像し、ハァァァァ・・・と熱い吐息をこっそり洩らした。

「性病はなかなか頑固らしいからね。たとえ使用していないモノであっても約15分くらいは擦ってくれ」

喜八郎の言葉に、俯き加減の久美子は「・・・はい・・・」と小さく返事をしたのだった。



清掃を全て終え、事務所に帰った2人はコーヒーを飲みながら今日の作業に付いて話し合っていた。

「どうだい、仕事は続けられそうかい?」
喜八郎はズルズルズルっと音を立ててコーヒーを啜った。
「・・・はい。色々と難しそうですけど、頑張ります」
久美子はピンク色のリップクリームを輝かせながらニコッと笑った。

「じゃあ、今日はもう帰っていいよ。明日からは昼の1時までにホテルに入ってくれればいいから」
喜八郎は久美子のコーヒーカップが空になるのと同時に笑顔でそう言った。

「はい。今日は色々とありがとうございました」
スクッと立ち上がった久美子はそう言って深々と頭を下げた。
近頃の若者にしては礼儀正しい娘だ。

「あ、そうそう、言い忘れてたんだけど・・・」
喜八郎は、立ち去ろうとする久美子を呼び止めた。
「・・・はい」
「これもさぁ、厚生省からの規制なんだけどね、ラブホテルで働く清掃員は、仕事後にシャワーを浴びて体を消毒してから帰らないといけないキマリになってるんだよ・・・・」
喜八郎はまたしてもデタラメを吐いた。

「・・・はぁ・・・・家に帰ってからではダメなんでしょうか?・・・」
久美子が不思議そうな表情で喜八郎を見る。
「それがさぁ、ホテルを出る前にホテルで消毒してから帰らなきゃなんないってキマリなんだよね・・・もし伝染病なんかが体に付いてたりするとそれが町中に広がるとか言ってね、これが厳しいんだよ・・・」
「・・・はぁ・・・・」
「ま、お役所が決めた事だからさ、面倒だけど、パッパと簡単にシャワー浴びてってよ。規制違反とかになると営業停止とかってややこしくなるからさぁ・・・・」
喜八郎はそう言いながら立ち上がると、「シャワー室はこっちだから」と事務所の裏へとスタスタと消えて行ったのだった。


               7


「従業員用シャワー室」とヘタクソな字で手書きされたそのシャワー室は、従業員用にしてはなかなか豪華なシャワールームだった。

シャワー室の隅に置いてあったビニール容器を手にした喜八郎は、「この消毒石鹸で体を洗えばいいから」と、またしてもヘタクソな手書きで「帰る前に必ず消毒石鹸」と書かれたソレを久美子に渡した。

「手に優しい性病消毒オイル」といい、「従業員用シャワー室」といい、「帰る前に必ず消毒石鹸」といい、これら手書きのサインは、全て喜八郎が昨夜マジックで書いたものだった。
そう、喜八郎はこれら全てを昨夜のうちに計画していたのである。


久美子を残しシャワー室から出た喜八郎は、事務所のクズカゴに蹴躓きながらも急いでフロントへと駆け戻った。
当然、久美子が使用するシャワー室にも盗撮カメラは仕掛けられているのだ。

フロントに飛び込むなり、パチッ!パチッ!パチッ!と急いでモニターのスイッチを入れると、「従業員シャワー室」と書かれたボタンを押した。
モニターに、ガサゴソと服を脱ぐ久美子の姿がゆっくりとフェードインしてきた。
喜八郎はハァハァと熱い息を吐きながら、ズボンからペニスを取り出したのであった。

(やっぱりニート娘だけあって、地味なパンツを履いてるなぁ・・・・)
喜八郎は薄いベージュのパンティーを眺めペニスをシコシコさせながら、先程、コーヒーを飲みながら雑談していた会話を思い出していた。


「彼氏とかはいるの?」
そう聞く喜八郎に、久美子はコーヒーカップを口につけながら「いません・・・」と笑った。
「ずっといないの?」
喜八郎は久美子の性歴を知りたいばかりに、そうジワリジワリと質問した。
「高校の時には付き合ってた人がいたんですけど・・・卒業してからは・・・・」
「どんな人?」
別に昔の男の話しなど聞きたくもないが、ま、一応流れとして聞いておかなければいけないだろうと、喜八郎は森田健作のようにお兄さんぶった口調でそう聞いた。
「どんなって・・・普通の人ですよ」
久美子はそう答えて「クスッ」と笑った。

「じゃあ高校を卒業してからはボーイフレンドとかいなかったんだ・・・」
「・・・はい。高校を卒業してからすぐに対人恐怖症になっちゃったから、人と知り合う事がなくって・・・」
「そっかぁ・・・そりゃあ淋しいねぇ・・・・」
喜八郎はまたしても森田健作のようなインチキ臭い顔をして、わざとらしく、気難しそうに、「うんうん」と静かに頷いた。

「高校以来、ずっと家に引き蘢ってて、人と話す機会も全然なかったから・・・・だから私、今日はとっても楽しかったんです」
久美子は大きな目を爛々と輝かせながら嬉しそうに笑った。

高校以来、男がいないという事は、今、久美子は23歳だから・・・・と、喜八郎はテーブルの下で指折り数え、約5年間チンポ触ってないのか・・・・と思いながらも、「そっかぁ・・・そりゃあよかった」とニンマリ微笑みそう答える森田健作もどき。

「で、いつも家では何してたの?」
喜八郎は何げなく聞いた。

「・・・う~ん・・・本を読んだり通信教育の勉強してたりしてましたけど・・・・でもほとんどネットかな・・・」
久美子は小さな唇をキュッと窄めながら、大きな瞳だけで「うふふっ」と微笑んだ。

「そっかぁ、ネットを見てたのか・・・・」
そう答えながらもこの似非森田健作は、どうせHなネットばかり見てはオナヌーばかりしてたんだろこの変態娘が!と、己の世界観で物事の判断をしていたのだった。



久美子とのそんな会話をふと思い出していた喜八郎は、久美子のそのやたらと地味なパンティーが納得できた。

「あんなにエッチな体をしておきながらも、5年間もチンポを喰わえ込んでいないとは・・・・さぞかしオマンコが疼いている事だろうよのぅ桔梗屋・・・・」
喜八郎は悪代官のような口調でそう呟いていると、スルスルスルっとパンティーが下ろされ、プルンプルンの尻がモニターに映し出された。

「おおおっ・・・」
喜八郎はモニターに顔を押し付けながら、そこに映る久美子の尻をベロベロと舐めた。

モニターに付いていたホコリが舌にガサガサっと付く。慌てて「ぺっぺっ」とツバを吐いていると、モニターの久美子はブラジャーを手早く外し、ポヨン~としたお椀型おっぱいを零した。

思った以上に乳首は黒かった。
そんな久美子の黒ずんだ乳首を見て、「やっぱり・・・」と呟く喜八郎は、これは久美子がエロサイトを見てはオナヌーばかりしていたという確固たる証拠です裁判官!と、勝手にそう思い込んだ。

パンティーを下ろすと濛々と茂る陰毛が顔を出した。
純粋なニート美少女・久美子には似合わない卑猥な剛毛だ・・・・と、またしても喜八郎は、久美子のエロサイトオナヌー説を引き合いに出しては、この剛毛もオナヌーばかりしていたという証拠ですよ検察官!と、更に妄想を暴走し始めたのであった。


               7


シャーッ・・・・と激しいシャワーが吹き出すのを確認すると、喜八郎はいてもたってもいられなくなった。
ペニスをシコシコとシゴきながらシャワー室の盗撮映像を携帯に転送すると、それを確認しながらフロントを飛び出す喜八郎。

途中、事務所のテーブルの上に置いてあった久美子が飲んだコーヒーカップを手にすると、ピンク色のリップクリームが微かに付いたその部分に亀頭を擦り付けた。
(しゃぶれ!ほらもっとしゃぶれ!男が欲しいんだろ!チンポが欲しいんだろ!)
そう心で叫びながら、コーヒーカップの飲み口を、まるでノコギリで擦るかのように激しく亀頭に擦り付けていると、不意に喜八郎の尿道のワレメの中にコーヒーカップの飲み口が「スッ!」と入り、あまりの痛さに「ぎゃあぁぁぁぁぁ!」とひっくり返った。

床にひっくり返りながらも携帯画面を覗く。
早くしないと、久美子がシャワー室から出て来てしまうのである。

「時間がないんだ馬鹿野郎!」と、コーヒーカップに怒鳴りつけると、喜八郎は慌てて立ち上がり、そして腰を屈めながらシャワー室へと入って行った。

シャワー室のガラスドアに自分の姿が映らないよう気を付けながら、喜八郎は忍者のように壁に背を合わせてはジワリジワリと進んだ。

洗面所の前に置いてある脱衣カゴの中には、ほんの数分前に脱ぎ捨てられたばかりの久美子の衣類が押し込められていた。

うっ・・・・
その衣類を見た喜八郎はあまりの興奮に、それを見ただけでイキそうになり、慌ててシコシコとする手を止めた。

シャワー室の中からは久美子の鼻歌が聞こえて来た。盗撮映像を転送した携帯画面を見ると、久美子は喜八郎がデタラメに作った「性病消毒石鹸」を体に垂らしている。
ちなみに、その「性病消毒石鹸」は薬用石鹸ミューズの液体の中に喜八郎の小便を混ぜたモノである。

久美子がまだシャワー室から出て来ない事を確認すると、喜八郎はその衣類が押し込められている脱衣カゴの前にゆっくりと腰を下ろした。

一番上に置いてあったバスタオルを静かに捲る。

とたんに喜八郎は「うっ!」と絶句した。
なんと、たっぷりとシミの付いたパンティーがカゴの一番上に、しかもクロッチをパックリと開いて、まるで「見て下さい!」といわんばかりに置いてあるではないか!

(さすが人間界から遠離っていたヒキコモリだぜ・・・・危機管理ってのがまるでなっちゃいねぇ・・・)
このままシャワー室に乱入して「ヤらせろ!」と言ったら、こんな馬鹿女ならいとも簡単にヤらせてくれるのではないだろうかと、喜八郎はふと思う。

喜八郎は脱衣カゴの前に四つん這いになると、久美子のパンツ以外の衣類を犬のようにクンクンと嗅ぎ始めた。
ほんのりと安物の香水の香りが全体に漂い、ブラジャーからは洗濯洗剤の庶民的な香りがプンプンと匂っていた。
ニートな彼女はきっとお母さんに洗濯してもらっているのであろう、古臭い洗濯洗剤を今だ頑に使い続けているお母さんのパンツも、彼女と同じこの洗濯洗剤の匂いがプンプンしているに違いない。
そしてこの安物の香水も、ニートな娘の晴の初仕事のお祝いにと、きっとお母さんがマツモトキヨシで購入して来たものであろう。

「いいお袋だ・・・・」と、勝手に妄想を膨らませた喜八郎はグスンと鼻をすすった。

しかしそんな感傷に浸っている暇はない、早くしなければ彼女がシャワーを終えてしまうのだ。

喜八郎はすぐさま目的のブツに鼻を近づけた。
地味なベージュのパンティーには、土色をしたシミがしっかりと染み込み、彼女の今日一日の歴史を物語っていた。

美少女ニート・久美子の膣からジワリジワリと滲み出た分泌物。
それを愛おしむかのように鼻先を近づけた喜八郎は、ゆっくりと鼻の息を吸い込んだ。

キューン!と来る刺激臭が鼻から脳に伝わった。
臭い。何の匂いかわからないほど臭い。
汗と小便とイカとチーズとほんのりウンコが交じり合い、それをお母さんの洗濯洗剤で優しくコーティングしたような、そんな複雑な刺激臭である。

喜八郎はとたんに欲情した。
あんなに激カワな美少女がこんなに複雑な刺激臭を股間から放出しているというそのギャップに堪らなく欲情した。

(秘密のニオイ・・・ニート娘の秘密のニオイ・・・・)
喜八郎は意味不明な言葉で更に気持ちを高ぶらせながら、その過激に汚れたクロッチに舌を伸ばした。

舌先にザラザラとした感触が伝わる。カリカリに乾いた分泌物の舌触りというのは実にイイものだ。
ハァハァと息を荒くした喜八郎は、おもいきりベロリ!と舌腹で舐めてやった。
かなりの塩分だ。近所のヤブ医者から塩分を控えなさいと言われているメタボな喜八郎にとって、これほどの塩分は体に毒だが、しかし今更ドクターストップを掛けられた所でヤメられるはずはなかった。

犬のように四つん這いになり、カゴの中のパンティーに付着するガサガサのシミを舌腹でベロベロと舐め、我慢汁をグチュグチュさせてはペニスをシゴく喜八郎。
ガサガサのシミが喜八郎の唾液で溶かされ、シミ本来の醤油のようなニオイに変化し始めた時、いきなりシャワー室からシャワーの音が消えた。

マズイ!
喜八郎は慌ててカゴの上にバスタオルをガバッと被せると、四つん這いのままトコトコと脱衣場を脱出した。
喜八郎が廊下に出ると同時にシャワー室のドアがガラガラっと開ける音が聞こえて来た。
(危ねぇー・・・)と、ヒヤヒヤしながら事務所まで戻り、慌ててパンツとズボンを履いた。

不完全燃焼。
射精できなかった喜八郎のムラムラ感は治まりがつかない。
携帯画面に映る、彼女の着替えシーンを眺めながら抜いてしまおうかと考えるが、しかしこの興奮はそんな事では治まってくれそうにない。

どうする・・・と、事務所のデスクに腰を下ろしたまま頭を悩ませていると、シャワーを終えた久美子の足音がスタスタと近付いて来た。

(よし、こうなったら一か八かだ・・・・)
喜八郎はデスクの下で勃起したペニスをニョキっと取り出すと、今にも爆発しそうなそれをシコシコとシゴきながら久美子を待った。

「・・・ありがとうございました・・・・」
毛先を少し湿らせた久美子が事務所に現れ、デスクでセンズリをこいている喜八郎に向かってニッコリと微笑んだ。
まさか喜八郎がデスクの下でセンズリをしているなど久美子は夢にも思っていない。

「それじゃあ失礼します・・・」と、帰ろうとした久美子を呼び止めた。

「これ、このホテルの設計図なんだけど、非常階段とか色々書いてあるから、家に持ち帰ってよく見ておいてくれ・・・」
喜八郎はそう言いながらデスクに設計図を広げた。

「はい」と、返事をしながら久美子がデスクに近付く。
喜八郎のシコシコ速度はスピードを速めた。

「ここが現在地なんだけど・・・わかるかな?」
喜八郎は設計図を指差しながら久美子に聞いた。
「・・・はぁ・・・なんとなく・・・・」
久美子はそう言いながら設計図を覗き込む。

薬用石鹸ミューズの香りがほんのりと漂って来た。
喜八郎のすぐ目の前に、あのとんでもなく臭いパンティーの持ち主が何食わぬ顔をして立っている。

(かわいい顔して・・・・臭ぇオマンコしやがって・・・・)
喜八郎はそう思いながら、久美子の大きな瞳を見つめながら射精した。

「さっきのお部屋はココですか?」
精液が飛び出したと同時に久美子がそう聞いて来た。
イッた瞬間に彼女の声が聞けたのはラッキーだったが、しかし答えなければならない。
イッてる最中に私語は厳禁なのだ。

「うぅ~ん・・・・そうだよ~ん・・・・」
と、ヘンテコな返事をしながら、喜八郎は精液でビトビトになっているペニスをゆっくりとシゴき、その余韻を精一杯に感じた。

そんな喜八郎の様子を見て、不思議そうな表情をした久美子は小動物のように首を傾げ、そして意味ありげに「クスっ」と笑ったのだった。


               8


仕事してない歴5年というブランクを持っている久美子だったが、喜八郎のラブホテルではとてもよく働いてくれた。
時給は叔母のピンハネ分も含めると少々高かったが、しかし、若くて働き者で性格も良く、ましてすこぶるカワイイ。派遣村で「鳩山がどーのこーの」と文句ばかり垂らしている糞共を雇うくらいなら、多少は時給が高くとも久美子のような「ヤルキ」のある若者を雇っていた方がどれだけましかと、喜八郎は朝のワイドショーの「派遣村特集」を見ながらつくづくそう思っていたのだった。

「コーヒー、ここに置いておきますね」
久美子はコーヒーカップをカチカチと音立てながら、いつも喜八郎が朝のコーヒーを飲んでいる窓際の席に、挽き立ての香り漂う熱いコーヒーを静かに置いた。

「ありがとう・・・」
喜八郎はデスクから立ち上がると、コーヒーの湯気が立ち上る窓際の席にゆっくりと腰を下ろした。

「しかしアレだね・・・・」
喜八郎がズルズルズルっとコーヒーを啜りながら喋る。
「派遣村のヤツラも死ぬ気になって仕事を探せばいいんだよね・・・・そもそも人に雇ってもらおうと思っている魂胆がいけない。自分でアルミ缶拾ったり段ボール集めたりさ、銭が欲しいならなんだってできるじゃないか、それをやろうともせずして国や政治ばかりに頼って、しかも文句ばっかり言いやがって・・・・」
喜八郎は社会派の似非評論家のような口調でそう言うと、またズズズッとコーヒーを啜った。

そんな喜八郎を眺めながら、デスクの上を拭いていた久美子が「でも・・・」と口を開く。
「働きたくても働けない人ってのもいるんですよね・・・」
久美子は淋しそうに微笑んだ。

喜八郎は「ん?」と久美子を見た。

「社長さんはバイタリティーのある人だから自分の力で仕事ができるけど、世の中にはバイタリティーのない人も沢山いるんですよね・・・・そんな人でも生きて行かなくっちゃならないから、誰かに頼ってしまうんでしょうね・・・・」
久美子は、まるで自分の事を言っているかのように、淋しそうにそうポツリと呟いた。

喜八郎はとたんに焦った。
派遣村の住人を敵に回すのは屁でもないが、しかし久美子を敵に回すのは・・・今はマズい。

なぜマズいのか?
それは、久美子を嫁に貰おうというとんでもない計画を、喜八郎は密かに企んでいたからである。

(これはマズいぞ・・・このままだと私は、ただの冷たい銭ゲバ野郎だと思われてしまう・・・ここで彼女に嫌われたら結婚の夢が・・・)
そう考えた喜八郎は、デスクの花瓶に水を入れようとしていた久美子に向かって「それ!それなんだよ久美子ちゃん!」といきなり叫んだ。

「人を雇える力のある者が人を雇う。これなんだよ!派遣村の人々は、人を雇える余裕のないところばかりに雇ってくれと頼むからいけないんだ!・・・ま、私の所に来たらば出来る限りは雇ってやりたいとは思っているのだが、しかし、なんせウチは風俗営業だしね・・・風俗は嫌だ、水商売は嫌だ、なんてね、職を選ぶ馬鹿野郎がいるわけで・・・そんな怠け者なヤツラを私はケシカランと思うわけで・・・・」
喜八郎は自分でも何を言っているのかわからなくなりながらも、必死に自分は冷血な経営者ではないんだ、という事をアピールしようとしていた。

そんなシドロモドロになっている喜八郎を見て、久美子がまた「クスッ」と笑った。
そして花瓶に新たな花を生けながら、「みんな、社長さんに頼って来たらいいのに・・・」と独り言のように呟き、「ねっ」と笑った。

そんな久美子のマリア様のような微笑みに激しく照れながらも、「そうなんだよ。うん。みんな私の所に来たら雇ってあげるのに、うん・・・」と顔を真っ赤にさせたのであった。


               9


その翌日、本当に1人の青年が雇って欲しいとホテルにやって来た。

喜八郎だけだったら「出てけ馬鹿野郎!」と塩でもぶっかけて追い出す所なのだが、しかし、その時は運悪く久美子が居合わせたため、無下に断る事も出来ず、喜八郎は青年の履歴書なんかをわざとらしく眺めたりしていた。

「僕、ホテルマンの経験はありませんが、でも一生懸命頑張ります!」
青年はキリリッと太い眉にグッと力を込めてそう言った。
「まぁ、ホテルマンって言っても・・・ウチは見ての通りラブホテルだしね・・・仕事はキツいし汚いし・・・キミの希望に添えられるかどうか・・・」
喜八郎はなんとかして彼に諦めてもらおうと悪い部分を強調した。
「いえ、キツくても汚くても何でもします!給料なんかも喰って行ける分だけ頂ければそれでいいです!ですから、どうか雇って下さい!お願いします!」
青年はスクッとソファーを立ち上がると、喜八郎に向かって深々と頭を下げた。
「・・・しかし・・・・」と、困った表情で喜八郎が久美子を見ると、久美子は大きな瞳をウルウルさせては同情の視線を青年に向けていたのだった。

結局、この青年を雇う事にした。
いや、久美子との結婚を考えると、雇わなければならなくなったのだ。


笠原淳二27歳。元派遣社員として働いていた彼は、去年の暮れに突然派遣切りに遭い路頭に迷った。
妻と子供を実家に預けたままの笠原は、一日も早く家族3人で暮らせるように働き口を探していたのだった。

喜八郎はそんな彼が嫌気を差して辞めるようにと、スカトロ掃除や放尿プレイの後始末などわざと酷い仕事ばかりを与えたが、しかし彼はそんな作業に嫌な顔ひとつ見せず、「女房と子供の為ですから」とセッセと一生懸命働くのであった。

青年が働くようになったせいで、喜八郎が唯一楽しみにしていた、バイト後にシャワーを使う久美子の「下着チェック」ができなくなってしまった。
又、事務所にはデスクが2つしかないため、その2つのデスクを久美子と青年が使うようになり、喜八郎はまた元のフロントへと追いやられてしまい、久美子と語らえるひとときの時間を失うはめとなった。

フロントで1人淋しく盗撮モニターを眺める喜八郎は、青年の藁人形を作ろうと考えたが、しかし藁人形の作り方がわからず、とりあえず10年前にUFOキャッチャーで取ったアンパンマンのぬいぐるみに「笠原」と青年の名前を書き込み、それを朝昼晩と3回にわけて踏みつぶした。

(なんとかして久美子との二人きりの時間を作らなければ・・・・)

アンパンマンを床でググッと踏みつけながら喜八郎は焦っていた。

(早く例の作戦を実行し久美子を嫁に貰わなければ・・・間に合わない・・・)

例の作戦。
それは、久美子を欲情させた上で手篭めにし、「愛してるよ・・・愛してるよ・・・」と呟きながらガンガンと腰を振り、「あぁぁん!」と久美子が感じて来た所ですかさずプロポーズをする、という、今日日の磯野カツオでさえそんな程度の低い作戦は考えないだろうと思うような低レベルな作戦ではあるが、しかし喜八郎にとってはこれほどにはない高レベルな作戦なのであった。

そして「間に合わない・・・」とは、6月に間に合わないという意味だ。
喜八郎は、結婚式は6月と決めていた。
どうして6月なのかは本人もいまいち理解していないが、「6月に結婚した夫婦は幸せになれる」と、あるテレビ番組で見たその日から、結婚式は6月にしようと決めていたのであった。

6月までもう時間がない。
一日も早く作戦を実行しなくては・・・と、焦る喜八郎は、とりあえずアンパンマンを尻の谷間へと押し込み、「ぷっすぅ~」という実に臭そうな放屁を喰らわせてやったのだった。

(←目次へ)(後編へ続く)

エロFC2ランキング

↓おもしろい!!と思ったら拍手で教えて下さい!!今後の参考にさせて頂きます!!
変態

FX
ブログパーツ アクセスランキング