複雑なともだち4
2012/12/02 Sun 00:00
部屋には、互いの陰部を舐め合う粘着力のある湿った音が響いていた。
ベッドの端にそっと腰掛けると、ベニヤ板の上に乗っている煎餅布団が微かにずれた。
ビールケースを八個並べてベニヤ板を置いただけのベッドは異様に狭く、三人がそこでプレイをするのには実に窮屈そうだった。
身動きできない僕は、ベッドの端に座ったまま絡み合う二人を見ていた。
二人は横向きに寝転がっていた。しかし、互いに反対方向を向き、そして互いに股間に顔を埋めていた。
いわゆるシックスナインだった。
それを初めて見る僕は、激しい好奇心と奇妙な性的興奮に脳をかき乱されていた。
目眩を感じながらも加藤の顔を覗き込むと、同時に真奈美の陰部と肛門が見えた。
ベロリと捲れたワレメの表面を、加藤の真っ赤な舌が行ったり来たりと走り回っていた。
女性器というのはいったいどんな味がするんだろうと思いながら見ていると、チラッと加藤が横目で僕を見ながら言った。
「ここを舐めると女は喜ぶんだ……ほら、ここ、プクって膨らんでるマメみたいなのがあるだろ、これだよ」
そう言いながら加藤は、陰毛の中から桜のつぼみのような豆粒を摘まみ出し、それを舌先でチロチロと転がしたのだった。
それがクリトリスというモノだというくらい、童貞の僕でも知っていた。
しかし、それを舐められた瞬間、真奈美の様子が急変したのにはさすがに驚いた。
そんな小さな豆粒みたいなモノを舐められただけなのに、真奈美は「ひっ!」と体を引き攣らせ、加藤のペニスを銜えたまま「うぅぅぅぅぅぅ」と激しく唸り始めたのだ。
「な、凄いだろ。特に真奈美はここを攻められるのが好きなんだ。多分、オナニーのやり過ぎでここが異常にデカくなってるからだよ」
「オナニーすると女はそこが大きくなるのかい?」
僕はおもわずそこを覗き込みながら聞いた。
「わかんないけど多分そうだよ。この前、ピンクローターを使ってオナニーした次の日は、学校行く時にクリトリスがパンツに擦れて痛いって言ってたもん」
加藤がそう言うと、真奈美はプッと加藤のペニスを吐き出し、「変な事言わないでよ」と笑った。
しばらくの間、そんなシックスナインを観察していた。
すると加藤がムクっと起き上がり、口の周りを光らせている様々な液をティッシュで拭き取りながら言った。
「吉本も舐めてみる?」
加藤の顔は笑っていた。
僕が「でも……」と戸惑っていると、加藤は真奈美のパンパンの尻をスリスリと撫でながら「な、いいだろ真奈美」と聞いた。
真奈美はプチュっと加藤のペニスを口から抜き取ると、そのまま枕に顔を埋め「知らない……」と呟いた。
真奈美の「知らない」は、いわゆる「好きにして」という意味に受け取れた。
加藤はニヤニヤと笑いながら起き上がると、「よっこいしょ」と言いながら真奈美の体を仰向けにさせた。
大きな乳肉がタプタプと揺れながら、水揚げされた巨大クラゲの頭のように潰れていた。
真奈美は「ふん」とソッポを向きながら、天井をジッと見つめていた。
加藤は真奈美の股を開かせると、僕に向かって「召し上がれ」と笑った。
パックリと口を開いた性器は、加藤の唾液と真奈美の性的分泌物でテラテラと輝いていたのだった。
僕がそこに顔を埋めると、加藤はそのまま枕へと這い上がり、横に並んだ真奈美にキスを始めた。
真奈美の性器は異様な匂いが漂っていた。
さっきのパンティーには汗と小便が乾いたような酸っぱい匂いが漂っていただけだったが、現物からは何やら異様に生臭い饐えた匂いがぷんっと漂ってきた。
まぁ、もちろんそこは股間なわけであって、股間というのは様々な汚物を放出する場所でもあるわけだから、それなりの匂いは覚悟しなくてはならないだろうと僕は腹を括ってそこに唇を近づけたわけだが、しかしその生臭い匂いの原因が加藤の歯槽膿漏の唾液にあると気づいた時には、さすがの僕も興醒めした。
しかし、だからといってそこを舐めなかったわけではない。
僕は真奈美のムチムチの太ももを両手で押さえながら舌を伸ばし、サーモンピンクの生肉をじっくりとテイストした。
それはマグロの刺身を舐めているような感触だった。
ワレメから溢れる汁が口内でまとわりつき、まるでオブラートを舌の上で溶かしたようなペトペトとした粘り感に包まれた。
すると、そこに真奈美の指が滑り降りて来た。
真奈美の指は僕の舌を押しのけ、そのワレメを指でパックリと開いて見せてくれた。
キスに没頭している加藤は、またしてもそれに気づいていなかった。
真奈美は、僕にサービスしているつもりなのか、僕の目の前でオナニーを始めた。
生まれて初めて見る他人のオナニー。しかもそれは女。
僕はそんな真奈美の指の動きをジッと見つめながらペニスをシゴいた。
我慢できなくなった僕は再びそこに舌を這わせた。
真奈美の指に参戦し、一緒にワレメを攻めていると、不意に真奈美の指が僕の舌をきゅっと摘んだ。
真奈美の細く長い指が僕の口内に滑り込み、僕の舌や歯茎を悩ましく愛撫した。
不思議な興奮に包まれた僕は、まるで犬のようにして真奈美の指を舐めまくっていたのだった。
キスを終えた加藤は、そのまま真奈美の耳元で何かを囁いていた。
きっと次の作戦の仕込みをしているのだろう。
そんな加藤は真奈美への内緒話を終えると、いきなりムクリと起き上がり、「吉本」と、真奈美の股間に踞る僕を呼んだ。
それと同時に、それまで悩ましいオナニーショーを見せてくれていた真奈美の手がサッと引いた。
「なに?」と僕が顔を上げると、加藤はニヤニヤと笑いながら「いいことしてやるから、そこに仰向けになって寝転んでみろよ」と言った。
僕はいよいよだな、と思いながら加藤の言われるまま、加藤達に足を向けて寝転がった。
するといきなり、僕の体の上を真奈美が這い上がって来た。
きた! と身構えると、真奈美は僕のペニスをガシっと握り、そのままソレをペロリと呑み込んでしまったのだった。
それはいきなりの快感だった。
突然ペニスを生暖かい口内に包まれ、ヌルヌルとした舌が絡み付いて来た。
「あっ、ああああっ」
おもわず僕が変な声を出すと、加藤がケラケラと笑いながら「めっちゃ気持ちいいだろ」と言った。
ムクッと顔を起こして加藤を見ると、加藤はニヤニヤしながらも真奈美の尻を両手に抱えていた。
いつの間に真奈美の穴の中にペニスを入れたのか、加藤は四つん這いになった真奈美の尻でせっせと腰を振っていた。
真奈美の細い体は小刻みに揺れ、巨大な乳肉がゆっさゆっさと揺れた。
その揺れが僕にまで伝わり、銜えられている僕のペニスは上下にピストンされたのだった。
僕と加藤は顔を見合わせ、真奈美にバレないようにアイコンタクトをとっていた。
しかし、そんな加藤は僕を見る時には笑っているが、僕のペニスにしゃぶり付く真奈美を見る時はどこか寂しげな表情を浮かべた。
当然だろう、今、目の前で愛する彼女が友達のペニスを必死にしゃぶっているのだから。
僕はそんな加藤の心情を察した。
いくら加藤から言い出した事とはいえ、やはりこの光景はあまりにも残酷すぎるのだ。
僕はそんな加藤に、このゲームの終わりを告げるべく小声で言った。
「もう無理だよ。イキそうだよ。これで終わろう。勘弁してくれ」
僕のその言葉には、最後の一線を超えないようにしたいと思う牽制の意味合いが含まれていた。
しかし加藤はそんな僕の心遣いを拒否した。
無言で首を左右に振りながら、ギッと僕を睨んだのだった。
しばらくこの体勢が続いた。
僕のペニスをしゃぶる真奈美の様子は、明らかに加藤の小さなソレをしゃぶる時の様子とは違っていた。
焼き芋を頬張るように大きく口を開け、亀頭の先から根元まで激しくピストンしながら、大きく頭を振っていた。
音も違った。加藤のペニスの時は、ちゅるちゅるっという、ラーメンを啜るような音だったのに、僕の時は、まるで泥沼の中を長靴で歩くような、ブジュッ、ブジュッ、という音だった。
そんな違いに、加藤は少なからずも嫉妬しているようだった。
真奈美の尻に腰を振りながら、「どうだ学校一のデカチンは。俺のしめじチンポと違って食べ応えがあるだろ」などと、実に嫌みっぽく聞いたりしていた。
そんな加藤を真奈美は無視していたが、しかし、僕はそうはいかなかった。加藤に申し訳ない気がして、かなり凹んでしまっていたのだった。
そんな気まずい空気の中、いよいよ加藤が僕のペニスをしゃぶる真奈美の動きを止めた。
ヌポッと僕のペニスを吐き出した真奈美は、もはや体だけでなく脳までも溶けて欲情しているのがわかった。
そんな真奈美を静かに抱きしめた加藤は、僕が見ている目の前で真奈美に聞いた。
「こいつのチンポ、入れて欲しいだろ?」
「………………」
真奈美は黙ったまま項垂れていた。
「拒否しないという事は……入れて欲しいという事だな?……」
加藤は真奈美の顔を覗き込んだ。
僕はこの気まずい雰囲気に「もうやめよう!」と叫び出したくなった。
項垂れる真奈美に向かって(断れ、断るんだ)と必死に念力を掛けていた。
しかし、真奈美は最後まで返事をしなかった。
やりたい、とも言わなければ、やりたくない、とも言わなかった。
加藤は、そんな真奈美に「やりたいんだろ。無理すんなよ。俺に遠慮しなくていいよ」と笑いながら、真奈美の体を抱きかかえ、仰向けに寝転がる僕の体の上に押し倒した。
真奈美の大きな乳が、僕の胸で歪に潰れた。
真奈美の大きな目が至近距離から僕をジッと覗き込んだ。
そんな真奈美の顔は鳥肌が立つほどに美しかった。
「ほら、ヤリたいんなら自分でチンポ握って自分で入れろ」
加藤は投げやりにそう言いながら真奈美の尻をペシャンっと叩いた。
ジッと僕を見つめていた真奈美の大きな目が、一瞬反れた。
それと同時に僕の腹の上を真奈美の細い手がモゾモゾと下っていき、細い指がビンビンに勃起している僕のペニスをキュッと摘んだ。
「入れるの?」
思わず僕は真奈美にそう聞いてしまった。
真奈美は右に垂れた黒髪をソッと掻き分けながら僕を見つめると、「えっ?」と首を傾げた。
そんな真奈美の唇から漏れる息に、ストロベリーガムの香りを感じた僕はきゅんっと胸を締め付けられた。
「本当に入れちゃっていいの?」
僕はもう一度愚かな質問を繰り返した。
真奈美は恥ずかしそうに小さく微笑むと、ゆっくりと僕から目を反らし、そのまま腰を下ろしたのだった。
亀頭がプスっと突き刺さった感触に、おもわず僕はギュッと目を閉じた。
いよいよ僕は童貞とおさらばできるわけだが、しかし、足下でその結合部分をジッと覗き込んでいる加藤の気持ちを考えると非常に複雑な気分だった。
亀頭だけを穴の中に突き刺したまま、真奈美は悩ましく腰を蠢かせた。
真奈美の細い体が動くと同時に、僕の胸の上で潰れていた乳肉がぐにょぐにょと蠢き、なんとも心地良い感触を与えた。
「おおお……すげぇよ……こんなでっけぇチンポがヌルヌルと入って行くよ……」
足下から加藤の震える声が聞こえた。
加藤はかなりの至近距離で見ているらしく、彼の荒い鼻息が僕の金玉をスースーと通り過ぎていた。
真奈美はゆっくりゆっくり腰を下ろしていった。
痛いのか、時折ピタっと動きを止めては、きゅっと眉間にしわを寄せたりしていたが、しかし、そんな真奈美の唇からは、明らかに性的興奮した吐息がハァハァと漏れていた。
遂に僕のペニスは根元まで呑み込まれてしまった。
真奈美は僕の体にしがみつき、まるで何かに脅える幼児のように体を震わせていた。
「どうだ……俺のチンポだとユルユルだけど、こいつのチンポだとキツキツだろ」
加藤が真奈美にそう聞くと、真奈美は下唇をギュッと噛みながらコクンっと小さく頷いた。
そして、ゆっくりと体を起こすと、背後の加藤に振り向き、「これじゃあ痛くて動かせないよぅ」と甘えた声で言った。
体を起こした真奈美の胸には、巨大な水風船のような乳肉がタプタプと揺れていたのだった。
そんな真奈美の申し出により、急遽体位が変更された。
今度は真奈美が仰向けに寝転がり、僕が正常位で攻めるという事になった。
加藤は、寝転がろうとする真奈美の体を支え、正座している自分の股に真奈美の上半身を挟んだ。
そして真奈美の顔を上から覗き込みながら「興奮してんだろ?」と聞いた。
僕はそんな二人の会話が聞こえない振りをしながら、真奈美の細い脚を両腕に抱え、ゆっくりと股を開かせていた。
「怒ってない?……」
真奈美が甘えるようにして加藤に聞いた。
「怒ってないよ……怒るわけないじゃないか……真奈美が気持ち良くなれば、その分、俺も気持ち良くなれるんだ……」
加藤は、なんだか訳がわからない事を言いながら、真奈美の大きな乳を両手でぐにゃぐにゃと揉み解した。
そんな二人を無視したまま、僕は真奈美のワレメに亀頭を擦り付け、そこに溢れる汁を亀頭全体にヌルヌルと塗り込んだ。
するとそんな僕の亀頭が、真奈美の最も感じると言われるクリトリスに触れたらしく、真奈美は加藤と話しの途中であるにもかかわらず、いきなり身をよじらせた。
サッと顔を上げた加藤と目が合った。
「入れてもいいか……」と僕が言うと、加藤は「頼む」と頷いた。
そんな僕と加藤の関係は、なにやらとっても変な関係だと思った。
僕は腰を突き上げた。
さっきとは違い、モロに亀頭にヌルっという感触が走り、そのままペニスは穴の中に滑り込んでいった。
「んんんんんんんんんん……」
真奈美は閉じた口の中で奇妙な唸りを上げていた。
今まで見て来たAVや、ネットの官能小説だったら、この場合、女は「ああああああああああああああああん」と激しく喘ぎ、狂ったようにヨガリまくるはずだった。
が、しかし真奈美は、猫のように喉を鳴らしただけで、あとは人形のようにぐったりとしているだけだった。
(気持ちよくないんだろうか?……)
そんな不安が僕の頭を過った。
僕はそれを確かめようと必死になって腰を動かした。
巨大なペニスがぐちょぐちょに濡れた穴の中を激しくピストンし、その結合部分をモロに見てしまった僕は、おもわずイキそうになってしまった。
慌てて腰の動きを止めた。
すると加藤が「なんだよ。さっき一発抜いてるってのに、もう限界か?」と笑って来た。
「いや……っていうか……僕のチンコで感じてないんじゃない?」
僕は思い切って聞いてみた。
すると加藤は「ふふふふ」っと笑った。
サザエさんがカツオの悪戯を見破った時のように「ふふふふ」と不敵に笑った。
「おまえ、AVの見過ぎだよ。もしかして、いきなり女が『ああん、いやん、やめてぇ、いくぅぅぅぅぅぅ』って叫ぶとでも思ってたんだろ? それってド三流の官能小説の世界だけだよ」
加藤はニヤニヤと笑いながらそう言うと、真奈美の顔を覗き込みながら「なっ」と同意を求めた。
真奈美はチラッと加藤を見上げ、そして僕をチラッと見た。
そのままプイッと横を向くと、小さな声で「ばか」と呟いた。
「心配すんな。こいつ、おまえのチンポに滅茶苦茶感じてるよ。彼氏の俺がそう言うんだから間違いないって」
そう言いながら加藤は、そっぽを向いたままの真奈美の髪を優しく撫でた。
「ま、いきなりチンコ入れられてヨガル奴も中にいるけどさ、それってシャブ中女か、蜘蛛の巣張ったババアか、もしくは風俗嬢の演技だよ。AVで、わざとらしくぎゃーぎゃーと騒いでる嘘女とか、安物官能小説で『いや、だめ、あん、いくぅ』っていうの見てセンズリばっかしてっから変な勘違いしちゃうんだよね。ま、吉本は童貞だからしょうがねぇけどな」
加藤がそうケラケラと笑い出すと、ソッポを向いていた真奈美が「さっき、こいつとヤる女はみんな潮噴くって言ってたくせに」と呟いた。
その真奈美の言葉に更に加藤が笑い出した。それに釣られて僕も笑い出すと、すかさず真奈美がキッと僕を睨みつけ「どうでもいいけど早くヤってよ」と唇を尖らせたのだった。
そんな笑い声で、今まで張りつめていた重い空気は消え去り、部屋は何やら柔らかい雰囲気に包まれた。
僕の不安と緊張も一気にほぐれ、それまでビビっていたペニスも、まるでお気に入りの動画サイトでセンズリしている時のように生き生きとしていた。
腰を振る度に、真奈美の股間が、ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、っといやらしい音を鳴らした。
その度に真奈美は、小さな顔を左右に振りながら「ふん、ふん、ふん」と切ない声を出していた。
今まで、ネットの動画でしかセックスする女を見た事がなかった僕は、そんな控えめな真奈美の様子を見て逆に激しい興奮を覚えていた。
加藤はそんな真奈美の頭部を、正座する膝の上から静かに下ろすと、「俺のもシゴいてくれよ」と笑った。
真奈美は僕の腰の動きに喉をヒクヒクと鳴らしながらも、加藤の小さなペニスをギュッと握ると、そのままソレを上下にシゴき始めた。
「どうだ。なかなか魅力的な女だろ」
加藤は自慢げに僕を見つめながら言った。
「ああ。好きになっちゃいそうだよ」
僕がそう笑うと、真奈美はまた「ふん」とソッポを向いた。
すると加藤が「いい事教えてあげよっか」とニヤニヤと笑いながら僕の顔を見た。
「なんだよ……」
「さっきも言ったけどさ、その毛の中でプクっと腫れてるソレ、ソレを指で弄ってみろよ。こいつ、そこが一番感じる所だからさ、チンポを出し入れしながらそこを弄れば、きっと三流官能小説みたいになると思うぜ」
加藤がそう言うなり、真奈美の表情が急に弱々しくなり、「やだぁん」と甘ったるい声を出した。
そんな真奈美の表情に興奮した僕は、ズコズコと腰を激しく振りながら、その桜のつぼみのようなクリトリスを人さし指で転がしてみた。
「あぁぁぁぁん!……いや!……ダメだって!」
加藤の言った通りだった。
突然叫び出した真奈美は、AV女優のように悶え狂った。
腰の動きに合わせながら「あんっ! あんっ! あんっ!」と叫ぶ真奈美は、今までのクールな態度とは違い、まさに本性を剥き出しにした獣のように激しかった。
「凄い……まるで何かのスイッチみたいだな……」
僕は大きく腫上がったクリトリスを人さし指の指腹で押しつぶしながら加藤を見た。
「な、女っておもしろいだろ」
加藤は目をギラギラと輝かしながら笑った。
「あん……はぁん……人をオモチャみたいに言わないでよ……あん!」
真奈美は必死にそう呟くと、そのまま下唇をぎゅっと噛み締めながら僕を見てニヤッと笑った。
「なぁ吉本。こうやって真奈美も満足してるみたいだしさぁ、これからも、時々こうやって三人で楽しまないか?」
加藤は真奈美の乳首をぎゅっぎゅっと摘みながら言った。
「そりゃあ、僕にしたらそんな嬉しい事はないけど……でも……」
そう戸惑いながら真奈美をソッと見ると、真奈美はいきなりムクッと起き上がり、そのまま体をクルリと加藤に向けた。
すっぽりと入っていたペニスがヌポッと抜け、白濁の汁にまみれた肉棒がテラテラと蛍光灯に照らされた。
突然の真奈美のその態度に、僕が呆気に取られていると、真奈美は四つん這いになった尻を僕に突き出した。
「今度は後ろからシテ……」
いきなり加藤が笑い出した。
「な、こいつもおまえの事を気に入ってるんだって。だからさ、これからも三人で大いに性春を楽しんでいこうぜ」
僕は、トロトロと汁が垂れる真奈美の性器を見つめながら「うん」と大きく頷いた。
「ねぇ……どうでもいいけど……早く入れてよ……」
そう呟きながら、真奈美が大きな尻をいやらしくくねらせた。
加藤の笑い声は更に激しくなった。
僕も苦笑しながら、慌てて真奈美の穴の中にペニスを突き刺したのだった。
※
そんな僕たち三人は、その後も、この非常に複雑な友達関係を続けていたが、しかし高校卒業と同時にこの複雑な友達関係はピリオドを打った。
僕は大学に進学し、加藤は父親が経営するプラスチック工場で働き始めた。
真奈美は横浜にあるミッション系のお嬢様大学に進学した。
真奈美が横浜に行ってからも、加藤は真奈美と連絡を取っていたが、しかし、半年もすると真奈美に新しい彼氏ができたらしく、それっきり真奈美は僕たちの前から消えた。
大学を卒業した僕は小さな出版会社に就職した。
二年経ち、三年経ち、五年経った頃、ようやく弱小雑誌の編集長に昇進できた。
それをきっかけに僕は、同じ会社の二つ下の智子と結婚をした。
しばらくして、駅前の居酒屋でばったり加藤と出会った。
工場の社員を大勢連れて飲みに来ていた加藤は、父親の跡を継いで社長となっており、すっかり貫禄もついていた。
僕と加藤は久しぶりの再会を喜び、二人だけで近くのホテルのバーに行く事にしたのだった。
気が付くと、僕たちはもうすぐ三十歳になろうとしていた。
しかし、「先月、三人目のガキができちゃってさ」と、そう笑う加藤の笑顔は、あの時「女っておもしろいだろ」と笑っていた笑顔と何も変わっていなかった。
「そう言えば、真奈美はどうしてる?」
僕は、昔のエロ本をタンスの引き出しから引っ張り出すようにしてそう笑った。
「あいつ、親父さんの命令で、横浜の大きなパチンコチェーンの御曹司と結婚させられてさぁ、今では二人の子持ちだよ」
「へぇ……戦略結婚なんて今時珍しいねぇ……」
「ま、あっちも在日みたいだからさ、しょうがねぇんじゃねぇのあっちの世界は……」
僕は「ふぅん……」と頷きながら、妙に着色料の強いカクテルを飲んだ。
東京の夜景が見渡せるホテルのバーには、聞いた事のあるジャズが静かに流れていた。
右側の大きなショーウィンドゥにはキラキラと輝く東京スカイツリーが浮かび、左側の大きなショーウィンドゥには真っ赤な東京タワーが浮かび上がっていた。
両方のタワーを交互に見ていると、ふと『現代と過去』という言葉が頭に浮かんだ。
過去の東京タワーと現代のスカイツリー。
東京タワーはスカイツリーに比べて随分と衰えて見えた。
が、しかし、真っ赤に輝く東京タワーはどこか懐かしく、そして奇妙な興奮を与えてくれた。
それはまるで、子供の頃、いつも土曜の夜に見ていた『オレたちひょうきん族』のオープニングが始まった時のような、そんなワクワクした感覚だった。
「なぁ……」
僕は加藤に振り向いた。
「ん?」
加藤は三杯目のカクテルをペロリと舐めながら僕を見た。
「今から真奈美に電話してみないか……」
加藤は「ふふふふ」っと笑った。
それは、あのときに見せた、サザエさんがカツオの悪戯を見破った時のような「ふふふふ」だった。
「電話してどうするの?」
「うん……久しぶりに三人で会いたいね……」
「………………」
加藤はバーのムードもそっちのけで大きなあくびをした。
そして、「今夜は土曜の夜か……」と独り言を呟きながら東京タワーを見つめ、ポケットの中から携帯を取り出した。
「……嫌か?」
「………………」
「やっぱ嫌だよな、真奈美はおまえの元カノなんだもんな……」
すると加藤は、突然ニヤリと笑いながら「嫌なわけないだろ。あれは俺から誘ったんだぜ」と言うと、『真奈美』と表示された携帯のディスプレイを僕に見せた。
「久しぶりにヤっちゃうか」
不敵に笑いながら加藤は通話ボタンを押した。
12年後の土曜の夜。僕たちの複雑な友達関係が、今、再開しようとしていた。
(複雑なともだち・完)
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