2ntブログ

青春の罰ゲーム5

2012/11/23 Fri 13:03





 番台から身を乗り出すアキラが、脱衣場に向かって、「皆さん、ちょっといいですか」と声を掛けると、脱衣場にいた男達が一斉に番台に振り向いた。
 脱衣場には三人の客がいた。夜の七時といえば大衆浴場が最も混み合う時間帯ではあるが、この銭湯には三人しかいなかった。彼らはいつもこの時間にやって来る常連客ばかりで、この銭湯の唯一の客だった。

「こちらのお客様なんですが、実はニューハーフらしいんです。いくら体は女だといっても法律上は男ですから、ウチとしましても、男性のお客様を女湯に入れるわけにはいかないわけでして……というワケで、こちらのお客様には男湯に入って貰う事になりましたので、皆さん、何卒御了承下さい……」

 アキラはそう言いながら、番台の下で震えている千夏を見下ろし、「では、どうぞ……」とわざとらしく微笑んだ。
 千夏は項垂れたままコクンっと頷いた。そして足音も無く恐る恐るロッカーに向かって歩き始めると、床に敷いたゴザで、ぐったりとあぐらをかいていた田野倉が、「わわ」っと慌てて股間をタオルで隠したのだった。

 この田野倉という頭のハゲた親父は、バス停前の小さな居酒屋の二階に住んでいた。去年、どこからかフラリとこの町にやって来て、突然居酒屋の二階に住み着いた三十代後半の流れ者だった。
 旦那に先立たれた居酒屋の女将とは愛人関係にあるらしいが、しかし、女将は既に六十才を過ぎていた。だから近所の人達は、田野倉は女将の財産目当てに愛人をしているんだと、いつも噂していたのだった。

 そんな田野倉があぐらをかいている目の前で、千夏は服を脱ぎ始めた。ブルブルと震える指でブラウスのボタンを外し、下唇をギュッと噛みながらブラウスをゆっくりと下ろすと、蛍光灯の光に真っ白な肩を輝かせた。
 千夏の隣りのロッカーで服を脱いでいた長友が、露になった千夏の白い肌にギョッとした。まるで幽霊を見たかのように凍りつき、太ももまで下ろしかけていたズボンを持ったまま一時停止していた。

 この長友という四十代の男は、近所の電子部品工場で働く独身男だった。すぐ裏にある共同アパートに住んでおり、月に二、三回、少ない給料から激安のデリヘル嬢を呼ぶような男だった。
 胃腸が悪いのか凄まじい口臭で、それは、強いて例えるなら、擦り潰したスルメと練り潰した猫の糞をヘドロだらけの排水溝に流し込み、その管の下からドライヤーで熱風を吹き出したような、そんな激臭だった。
 そんな長友は、いつもデリヘルを呼ぶ度に、その結果報告を番台のアキラにしてきた。『マドンナ』の詩緒里は三千円でヤらせてくれたが毛ジラミをウツされたとか、『ニナリッチ』のミズキは巨乳だが乳輪がヒマワリのようだったとか、事細かく報告して来るのだが、しかしアキラは、その凄まじい口臭に耐えきれず、いつも途中で気絶しそうになっていたのだった。

 そんな長友に至近距離で疑視されながら、千夏はブラジャーに手を掛けた。途中、何度か奇妙な臭いを感じ、不思議そうに小さな鼻をクンクンさせていたが、しかしまさかその臭いが隣のおっさんの口臭だとは思ってもいないはずだ。
 そんな千夏の肩紐を下ろす指が躊躇っていた。ホックを外す指が何度も止まり、その度に千夏は泣き出しそうになるのを必死に堪えていた。
 そうしながらも、やっとブラジャーを外し、素早く両腕の中に真っ白な肉の塊を隠した。両腕からは、柔らかそうな乳肉がプヨプヨと溢れ出ていた。それを目の当りにした加賀は、既にジャージに着替えて帰ろうとしていたにも関わらず、番台の前でジッと立ち止まったまま、そこを動こうとはしなかった。

 加賀という男は、隣町に住む二十代の派遣社員だった。いわゆるキモオタと呼ばれる人種で、毎日、仕事が終わると秋葉原に出掛け、その帰り道にここに立ち寄っていた。
 ブヨブヨに太った体にAKBのTシャツを堂々と着ているその姿はあまりにも痛々しく、いつもアキラは、そんな彼の芋虫のような包茎チンポを番台から盗み見てはクスクスと笑い、それを写メで盗み撮りしてはみんなに画像を送ったりしていた。

 そんな強烈なる常連客が、脅える千夏を見つめていた。それはまるでジャッカルに追い詰められたウサギのようであり、それをアキラは、溜飲が下がる思いで番台から眺めていた。

 何もかもが全てアキラの計画通りだった。ファイナルラウンドに千夏が苦手な砂漠コースを選んだのも、イカサマサイコロを使って千夏をピーチ姫にしたのも、そして、わざと雄太が千夏を庇い、最下位になる事まで全て計算していた。
 アキラは、この時間に彼らがここにやって来る事を知っていた。そして彼らが、幼女であろうとオカマであろうと、何の躊躇いもなく強姦をしてしまうような外道だという事を、アキラは知っていたのだ。

(ざまあみろ……こいつらは、人生の底辺に生きるゴミ人間だ……おまえは今からこのゴミ人間たちに、ボロ雑巾のようにズタズタに犯されるんだ……これが、俺様をフッた罰ゲームだ……)

 元々Sっ気の強いアキラは、そう呟きながら番台の中で勃起したペニスを握り締めていた。
 濡れたタオルを首からぶら下げ、その端をモジモジと弄っている加賀に「もうひとっ風呂浴びてけば」とアキラが笑うと、加賀は激しい興奮で鼻息を荒くさせながら「いいの?」と聞いた。そんな包茎青年の細い目の端には、今風呂に入ったばかりだというのにカリカリの黄色い目糞が付いていた。

 千夏は、項垂れた顔をギュッと顰めながら、恐る恐るスカートに右手を掛けた。乳肉を隠していた右腕が離れると、左腕でムニュッと押し潰された歪な乳肉が蛍光灯に照らされた。一段高い番台のアキラからは、その真っ白な肉の中に、ほんのりとピンク色に染まる乳首まで見る事ができ、おもわずペニスを握っていた手を上下に動かしていた。

 千夏は一気にスカートを脱いだ。真っ白なパンティーに包まれた丸い尻がポロンッと飛び出すと、床に座っていたハゲ頭の田野倉の首が亀のように伸びた。
 千夏は、観念したかのように両手の指を白いパンティーの端に引っ掛けた。外した左腕からお椀型の乳がポロンっと零れ、パンティーを脱ぐために前屈みになった千夏の胸でぷるぷると震えていた。
 脱衣場は水を打ったように静まり返り、そこにいる誰もが息を飲んでいた。恐る恐るパンティーを下ろす千夏の細い指だけがジワリジワリと動き、皆はその瞬間を見逃さまいと、そこに目をギラギラと輝かせていた。
 白いパンティーが丸い尻肉の上をスルッと滑った。ポテッとした幼児体型の尻が飛び出し、柔らかそうな肉がプルンっと波打った。
 屈んだ尻肉の谷間が少しだけ開き、そこからチョコレート色した陰部がチラッと見えた。それを目の当りにしたゴミ人間達は、全員が蝋人形のように固まってしまっていたのだった。

 そこで、すかさずアキラが口火を切った。

「皆さん……そのお客さんにも色々と事情があるでしょうし、ジロジロ見るのはやめましょうよ……でないと、もしこの人が女性だって事になれば、即刻女湯に移動して貰わなくちゃならなくなりますし……」

 アキラのその一言で、脱衣場の空気が一変した。その一言で、こいつは女だ、と皆は全てを察したのだ。

 ズボンを脱ぎかけたまま止まっていた長友が、素早くズボンを脱ぎ始めた。番台の前で立ちすくんでいた加賀が、慌ててジャージのファスナーをギギギッと鳴らすと、床に座っていた田野倉も、「俺も、汗かいちゃったし、もう一回入ろっかな」などと、顔を引き攣らせながら、にゃはははははっとバカみたいに笑った。

 そんな男達の合間を縫って、全裸の千夏が浴場へと一気に駆け抜けた。柔らかそうな乳肉と尻肉をポテポテと揺らしながら駆けて行くその姿は、まるでふさふさの毛をした血統書付きの高級ウサギのようであり、おもわず追い掛けてしまいそうになるくらい可愛かったのであった。

 千夏が浴場へと消えて行くと、全裸の三人が一斉に番台を見た。三人のその目は、この銭湯を支配しているアキラの言葉を求めているようだった。

「あの女の子、犯しちゃってもいいですよ」

 三人がそんな言葉を期待している事をアキラは肌で感じていた。しかし、例えアキラ自身がそれを望んでいても、さすがにそこまで露骨には言い出せなかった。
 アキラは三人の熱い視線をひしひしと感じながら、ゆっくりと番台を下りた。番台の横で大きく背伸びをしながら、「あ〜あ」とあくびをひとつすると、わざとらしく拳で肩をトントンと叩きながら、「今夜も暇ですね……」と、皆に向かって苦笑いした。

 皆は無言でアキラをジッと見ていた。アキラは、皆の視線を背中に浴びながらガラガラっと戸を開けると、シーンっと静まり返った下駄箱に向かって、「いくら待ったってお客さんなんて誰も来やしねぇよ……」と、あたかも独り言のように呟き、いきなり戸上に掛けてあった『男湯』の暖簾をカサッと外した。
 アキラはその暖簾を戸の内側に掛けると、静かにみんなに振り返った。

「もう閉めます。今夜はみなさんの貸切りです。ですから、遠慮せずに御ゆっくりと楽しんでって下さい」

 意味ありげにそう呟きながら卑猥な笑みを浮かべると、三匹の獣達はサッとアキラから目を反らし、そそくさと浴場に向かって歩き出したのだった。

(つづく)

《←目次へ》《6話へ→》

66センチ白枠愛欲小説66センチ白枠FC2バナー166センチ白枠

変態

FX
ブログパーツ アクセスランキング