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妻の本能3

2012/11/17 Sat 04:25

妻の本能jpg




『三十三間堂を見物して、そのまま八坂神社に来ました。奥さんが今夜は酒を飲みたいと言いますので、この後、奥さんを先斗町に案内しま〜す』

 私は、吉村から次々に送られて来るメールを見ながら、関西人のこの図太い神経に悉く打ちのめされていた。
 一方の由貴からも、いくつかメールが送られて来た。そこには、千葉のお爺ちゃん達と楽しそうに遊んでいる子供達の画像などが添付され、必死なアリバイ工作をしていた。
 よっぽど、入院している伯父さんの画像も送ってくれと、反撃メールを返してやろうかと思ったが、しかし、憔悴しきっていた今の私にはそんな元気も湧いて来なかった。

 シーンっと静まり返ったリビングで、ひたすら時計の針の音を聞いていた。
 ふと時計を見ると、時刻は六時半を過ぎていた。一日中、ソファーに座っていた私は、そこで初めて異様な空腹を覚え、とりあえずコンビニで弁当でも買って来ようとソファーを立ち上がると、今まで立ちっぱなしだったペニスの先から、我慢汁がヌルッと溢れた。

 コンビニで、スキヤキ弁当とミネラルウォーターと成人雑誌を数冊買い込んだ。
 再びソファーに腰掛け、テレビを付けようとすると、再びメールの着信音が鳴り響いた。
 メールを開くと、和と洋が調和したモダンなレストランで、楽しそうに笑いながら食事をしている由貴と吉村の画像がアップされていた。
 吉村は、律儀にもコースの一品一品をカメラに収め、それを私に送りつけて来た。私は、そんな料理を一品一品みつめながら、冷めたスキヤキ弁当をかっ込んだのだった。

 次にメールが届いたのは、既に一一時を過ぎた頃だった。

『今夜はここに泊まりまっせぇ〜』

 そう書かれたメールに添付された画像は、『日本の故郷・京都』には相応しくない、ヨーロピアン調の外観をしたラブホテルだった。

 いよいよか……と、私は下唇を噛み締めながらソファーを立ち上がった。
 そのままスリッパを鳴らして浴室へと向かい、脱衣場の電気を付けた。脱衣場には洗濯洗剤の匂いが籠っており、私は冷たいバラの香りに包まれた。
 洗濯機の蓋を開けると、銀色に輝く洗濯槽の隅に、随分と履き古された赤い下着が一枚、ペラッと横たわっていた。それは、今朝、由貴がシャワーを浴びた時に履き替えた下着だった。

(まさか、このボロボロの赤い下着で、浮気旅行はできないだろう……)

 私はそう笑いながら、その下着を洗濯機の中から摘み出し、それを持って再びリビングへと向かった。

 次のメールはなかなか届かなかった。時刻は既に午前零時を回っている。
 あの気色の悪いラブホで、由貴は今、吉村に何をされてどうなっているのだろうか。
 そんな事をあれこれと考えていると、おどろおどろしい妄想が次々に浮かび上がり、我慢できなくなった私は慌てて全裸になった。せっかく誰もいないのだから、全裸になっておもいきりオナニーしてやろうと思ったのだ。
 冷たいソファーの上にトドのように横たわりながら、さっきまで履いていた由貴の下着をソッと開いた。
 履き古した赤い下着の真ん中には、子供の鼻水が乾いたような白いシミが、性器の形を型取っていた。

妻の本能3_convert_20131026163628

 そこに鼻を近付けると、汗と小便が混ざり合ったような饐えた匂いがプ〜ンと漂って来た。今頃吉村も、この匂いを嗅いでいるのかと思うと、私は更にそれをクンクンと嗅ぎながらペニスをシゴかずにはいられなかった。

 イキそうになる度に手を止めた。妻の下着を嗅ぎながら、以前、吉村が撮った妻のフェラ画像を眺め、静かにペニスをシゴいた。しかし、またすぐにイキそうになり、慌ててそこから手を離すと、粗挽きソーセージレベルのペニスがピクンピクンと淋しく脈を打った。

 するとそこにメールの着信音がけたたましく鳴り出した。
 私は(来た!)と心の中で叫びながらも、しかし、すぐには携帯を開かなかった。
 せっかくこれだけのリスクを背負って手に入れた最高のネタだ、ここは慌てず、じっくりと楽しまなければ損だと思ったのだった。

 ゆっくりとソファーに置き上がると、両脚を大きく開いては、だらしなく座った。
 勃起したペニスを赤い下着で包み込み、我慢汁の溢れる尿道に由貴の白いシミを擦り付けながら静かにシゴいた。
 ザラザラとした感触が亀頭を刺激し、私はハァハァと荒い息を吐きながら、そこでようやく携帯を開いた。

 長々と書かれた文書が目に飛び込んで来た。凄まじい画像が私の脳を激しく掻き回した。
 私は、呼吸困難になったかのように息を荒くさせながら、画像と文書に交互に目を走らせた。

『でっかいバイブを使うてやりましたら、奥さん、メチャクチャ濡れてはりましたわ。四つん這いでバイブを突っ込んだまま、自分で腰を振りまくりです。ベッドがギシギシと鳴りまくって、もう、うるそうてかないませんわ(笑)この人、やっぱり飢えてたんですね。いやらしい汁がオメコん中に一杯溜ってはりましたよ。これでもう4回も潮噴いてまっせ〜』

 その残酷な画像に愕然とする私は、吉村のその憎たらしい文書に、激しい怒りを感じていた。

 そんな画像では、由貴は黒いストッキングと黒いガーターベルト、そして黒いスケスケの穴開きパンティを身に付けていた。
 こんなものをいつの間に買ったんだと、更に激しい怒りを感じた私は、全裸でソファーの上をのたうち回り、その残酷な画像に脳味噌をグイグイと締め付けられながら、由貴の赤い下着の中に大量の精液を放出した。

 それは、今までにない快感だった。精液が尿道を通過する度に腰がピクンピクンっと跳ね上がり、おまけに情けない声まで唸らせてしまった。
 最高のオナニーだった。さすが、愛する妻を犠牲にしただけの事はあると、素晴らしい爽快感に包まれながら浴室へと向かった。

 精液でドロドロに汚れた由貴の下着を洗面所で水洗いし、それをそのまま洗濯機の中に投げ捨てた。
 浴室に入り、精液がネトネトと絡み付くペニスに熱いシャワーを吹き掛けた。指先にヌルヌル感を感じながら、亀頭をコロコロと転がして洗った。
 そして、まだ尿道に溜っている精液を搾り出そうと、小便を力んだ瞬間、突然、頭の中が空っぽになり、いきなり激しい嫌悪感に襲われた。
 とたんに今までの爽快感は消え失せ、もう何もかもが嫌になった。
 私はシャワーを出しっぱなしにしたまま、床にベタンっと尻餅を付いた。そして、降り注ぐシャワーを顔面に浴びながら、なぜか突然、「ほぉしの〜流れに〜身を占ってぇ〜」と、『星の流れに』を、哀愁漂わせながら口ずさんだ。
 が、しかし、その歌は、その出だし部分と、最後の「こぉんなぁ〜女にぃ〜だぁれがした〜」しか知らず、その哀愁はほんのひとときで終わってしまった。

 浴室から出ると、バスタオルに包まりながらソファーで缶ビールを飲んだ。
 由貴のあんな画像を見てしまった今、明日からどうやって生きて行けばいいのかと、路頭に迷っていた。

 世の中には、『寝取られ』という歪んだ性癖の持ち主が大勢いるようだが、その人達は、この事後の嫌悪感をどうやって乗り越えているのだろうと、ふと思った。
 確かに『寝取られ』は魅力的だった。愛する妻が他人の肉棒で汚され、そして妻は、夫にも見せた事のないような本能を他人に見せながら悶え狂う。
 実に官能的で実にスリリングなプレイだと心からそう思う。
 が、しかし、所詮その興奮はプレイ中だけのものであり、その事後はいったいどうなるのか? 夫婦生活はうまく行くのか?
 きっと寝取られた夫というのは、事後に襲い掛かってくる強烈な嫌悪感に苦しめられているに違いない。グツグツと煮えたぎる嫉妬の渦の中で孤独に悶え苦しみながら、あの時に見た妻の淫らな本能に心から後悔しているはずだと、私はそう思った。

「こうなった以上、由貴とは、もう、まともな夫婦の関係ではいられないな……」

 そう、声に出して呟いた時、再びメールの着信音が静まり返ったリビングに響き渡った。
 私は躊躇った。射精する前だったら、この着信音は快楽に導かれるメロディーだったに違いないが、しかし、欲望を放出してしまった今、この着信音はただの不快感でしかなかった。

 私は小さな溜息をつきながらも、それでも一応、メールを開いてみた。

 SM風のチェアーに、全裸の由貴が拘束されていた。両手を固定された由貴はバンザイの状態で仰け反り、そこに吉村が腰を打ち付けていた。

『堪りませんわこの奥さん。チンポがギュンギュンに締め付けられて、もうヒリヒリですわ。奥さん、バッシバシに本能剥き出してはりますよ。チンポをズボズボ入れられながら、「旦那と別れるぅぅぅ」って叫んでまっせ。何や知らんけど、木原さんとはきっぱり別れて、私の愛人になる言うてますわ(笑)どないします? やっぱりこんなメス豚は、もっともっとお仕置きせなあきまへんか? っという事で、この後、アナルを攻めてやろう思うとります。ケツの穴ほじられて失神してるあんたの奥さんの画像、乞うご期待!』

 私は二度目の溜め息と共に、静かに携帯を閉じた。
 画像も然ることながら、この文書がどうにも気に入らなかった。どうしてメールになるとわざわざ関西弁を使うのか? そして、どうしてわざわざこんな馬鹿みたいな書き方をしてくるのだろうか?
 私は、そんな吉村に対し、嫉妬を通り越して殺意を覚えた。自ら吉村に持ち掛けた計画だったが、しかし、ここまで憎たらしいメールを送られると、もはやそんな事はどうでも良くなっていた。

 閉じた携帯をジッと見つめている自分が、漆黒の闇に包まれたサッシ窓に反射して映っていた。
 そんな私の目は、つい先日最終話を迎えたばかりの人気ドラマの主人公の目によく似ていた。

 このメールを大切に保管しておこう……
 そして、後日、吉村から奥さんのメルアドを上手く聞き出し、こっそりこの画像付きメールを吉村の奥さんに送ってやろう……

 私は、携帯をソファーの上にポンっと投げ捨てると小さく呟いた。

「倍返しだ」

(妻の本能・完)

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