悪趣味
2012/11/17 Sat 04:25
深夜二時。自宅の書斎で、これまで私が入院患者を盗撮してきた画像をあれこれと見つめていた。
それは私の特権だった。女性患者の病室にいつでも自由に出入りできるという医師としての特権だ。
そんな特権を利用し、過去に女性入院患者の様々な卑猥な画像をデジカメに収めて来た。
もちろん、それらの撮影は患者達には内緒である。
主に昏睡状態にある患者ばかりを狙っている為、眠っている患者は撮影に全く気付いていないのだ。
私が入院患者を撮影するようになったのは、かれこれ二年ほど前からだった。
最初の頃は主に陰部だけを撮影していた。
眠っている患者の下着を恐る恐る脱がせ、閉じた股間の陰毛の奥に潜む裂け目を、静かにズームアップしていただけだった。
それがいつしか患者の身体に触れるようになった。
小陰唇をソッと指で開き、桃色の内部を剥き出しては撮影するようになった。
そうなると私の変態性欲は更に膨れ上がった。
そのうち患者の身体に悪戯するようになり、卑猥な玩具などを使用してはそのシーンを撮影した。
そんな私の変態性欲は益々エスカレートしていくばかりだった。
しかし、なんといっても相手は昏睡状態の患者であり、そして私はその患者を受け持つ担当医である。
しかもその場所は、私と患者以外は誰もいない完全密室だ。
そこで私が患者に何をしても、それが公に発覚する事はまずないのだ。
例え、いきなり目を覚ました患者に悪戯している所を見つかったり、夜勤の看護婦にその瞬間を見られたとしても、その患者の担当医である私ならなんとでも誤魔化す事が出来るのだ。
だから私はヤリたい放題に趣味を楽しむ事が出来たのだった。
そうやってあれこれと撮影して来た画像の数は今や数千枚に及び、盗撮した患者の数は八十人を超えていた。
もはや私のPCはそんな卑猥な画像と動画でパンク寸前だった。
そんな莫大な量の画像を、毎晩書斎で一人こっそりと整理するのは実に楽しいものだった。そしてそんな画像を一通り眺めた後は、決まって私はまたいつものように悪い趣味に走るのだった。
マンションを出ると、深夜の独特な静けさが私を不気味に包み込んだ。
四十三才。未だ独身の私は、こうして深夜にふらりとマンションを出て行っても誰に咎められる事はなかった。
勤務する病院までは徒歩十分だった。
救急の時はタクシーに乗るが、急いでない時はこうしてのんびりと景色を眺めながら徒歩で病院へ向かった。
但し、景色を眺めるといっても今は深夜。狭い路地に寝静まった住宅が密集し、とぼとぼと歩く私にドス黒く迫って来るその様は、さながら廃墟が連なる軍艦島を探検しているような気分にさせた。
そんな路地を一人ポツンと歩いていると、誰かが後から追って来るような気がしてならなかった。その度に背筋を寒くさせる私はいつも早歩きで路地を抜け、水銀灯が輝く病院の裏通用口が見えて来るとホッと安心しながら芝生の裏庭に飛び込むのだった。
どこかの新興宗教の建物のような巨大な病院に入ると、真っ先に当直室へ向かった。
当直室では直江先生が深夜テレビを見ながらカップラーメンを啜っていた。そんな直江先生の白衣にはドス黒い血がカリカリに乾いて付着したままだった。
「凄い交通事故だったよ」
直江先生は私を見ながらそう笑った。
「患者は?」と聞きながら私は自分のロッカーを開けた。
直江先生は「うん」と頷きながら麺をズルズルっと啜り、それをぐちゃぐちゃと咀嚼した。
「十八才の少年。国道をバイクでぶっ飛ばして、交差点のカーブを曲りきれず、反対車線にあった『すき家』のショーウィンドゥにドカーン。内臓破裂、頭蓋骨パックリ、うんちと脳を『すき家』のカウンターに撒き散らして即死ぃ〜」
麺をひっきりなしにズルズルと啜りながらそう呟いた直江先生は、「当分、夜食は『吉野家』になりそうだね」と笑ったのだった。
白衣に着替えた私は、当直でもないのに深夜の病棟へと向かった。
そんな私を直江先生は、「担当医は大変だね」と意味ありげに微笑みながら見送った。
その笑顔が妙に気になった。
もしかしたら、直江先生は私の趣味を知っているのかもしれないと思うと背筋がゾッとした。
エレベーターを降りると、すぐ真正面にあるナースステーションの奥で包帯を整理していた看護婦が私に会釈した。
私は看護婦に笑い掛けながらそのまま足下灯が反射する廊下をスタスタと進んだ。
607号室の前で足を止めた。
この部屋には、ホウレン草の収穫中に機械に手を挟んで手首の骨を折ってしまった農家の若奥さんが入院していた。
もちろん個室だった。
ドアを静かに開けると、スタンドライトがぼんやりと灯る薄暗い部屋の奥から微かな寝息が聞こえて来た。
ベッドをソッと覗き込む。ぽちゃぽちゃとした肉付きの良い農家の嫁が軽い鼾をかいでいた。
私はその田舎臭い寝顔を見つめながら、白衣のポケットから携帯用のネプライザー(オムロン)を取り出した。
ネプライザーというのは薬液を霧状に変える器具で、主に喘息患者などに使われる吸入器だ。
その吸入器の中に、ある特殊な薬品をポツンっと一滴垂らした。
その薬品は実に優れた催眠効果を持っていた。
これをネプライザーで噴霧して患者に吸わせれば一時的な昏睡状態に陥らす事ができるのだ。
しかも、その昏睡時間は小一時間と短く、全身麻酔のように長時間眠り続ける事がない為、昏睡させられた事は誰にも気付かれない。
又、クロロホルムのような危険な麻酔とは違い、副作用もなく、後遺症が出る事もない為、とても安全なのだ。
残念ながら、その薬品名をここでは公表できない。この薬品とネプライザーを悪用すれば、女の体を奪えるだけでなく、金、人命、はたまた国家を奪う事さえも過言ではなく、それほど危険な薬品だからだ。
私は、そんな秘密兵器にノズルを繋ぎ、その先に酸素マスクを取付けると、それを農家の嫁の口元にソッとあてた。
スースーと寝息を立てていた嫁は、モクモクと噴霧する悪魔の霧を肺一杯に吸い込んだ。まさか自分が今昏睡させられようとしているなど知る由もなく、深い深い眠りへと落ちて行ったのだった。
薬が完全に効くまでの間、とりあえずパジャマのボタンを外し、乳を曝け出した状態にして、静かにこの農家の嫁を観察した。
大野平(おおのだいら)友子、27才、一児の母。
まるで田舎のスキー場のような名前だった。
身長160センチ、体重65キロ。
いかにも石焼き芋が好きそうなポチョポチョ系のぽっちゃり型だ。
この体型からして、恐らく彼女はホウレン草畑では馬車馬のようによく働く嫁だろうと察した。
お世辞がうまく、馬のように辛抱強いため、姑や親戚や御近所との関係は常に良好。気が良くて、愛想が良くて、人懐っこいこの嫁は、きっと誰からも愛される『柴犬』のような女だろう。
そんな彼女の自慢は、去年、『田舎に泊まろう』という番組で、カルーセル麻紀という男だか女だかわからないタレントを実家に泊めた事だ。
最後のお別れでは狂ったように泣きじゃくり、上腕二頭筋がつるほどに手を振りまくっては村人達に感動を与えた(放送ではそのシーンがカットされていた)、などと勝手に想像しては、私は密かにプッと吹き出した。
そんな、村人達から『村一番の器量良し』などと持て囃される大野平家の御自慢の嫁だが、しかし、悲しいかな女としての色香は既に色褪せていた。
だが、こんな女に限ってセックスにおける性器の具合は良いものだ。
過去に八十人近くの患者に悪戯して来た私だったが、『セックスしたくなるようなイイ女』よりも、コレ系の、『セックスの対象にならない醜女』のほうが、快感を得る確率は圧倒的に高かった。
だから私は、今、ベッドに横たわる醜女のポチョポチョの裸体を目の当たりにして、早くも射精してしまいそうなくらいに興奮していたのだった。
五分が経過すると、ネプライザーから噴霧されるミストが薄くなって来た。
酸素マスクをソッと外し、鼻と上唇の間にある中央の凹みを指でグイグイと押しながら「奥さん」と呼びかけた。ここは『人中』というツボで、気絶した人を呼び起こす『気付けのツボ』としてよく知られている。
それを何度繰り返しても農家の嫁は目を覚まさなかった。目を覚ますどころか、豚のようにグーグーと鼻を鳴らしては鼾をかく始末だった。
農家の嫁は完全に昏睡状態に陥っていた。
私は素早くパジャマのズボンを脱がし、豊満な下半身を包み込んでいるパンツをスルスルと下ろした。
それは徹底的に履き古した木綿のパンツだった。恐らく中学時代から履き続けているだろうと思われる年代物のパンツだ。
そんなパンツのクロッチは、案の定、汚れており、そこにべっとりと付着するカピカピに乾いた黄色いオリモノからは、『スルメイカ』そのものの香りがメラメラと漂ってきた。
下品な香りに私はたちまち欲情した。
変態性欲者の私は、着飾った美人の無臭オマンコより、農家の嫁の恥垢漂う激臭オマンコのほうが断然好きだった。そっちのほうが遥かに興奮した。
というのは、意識不明の女とヤルにはそれなりのリアリティーが必要だからだ。
『匂い』というのは現実感を与えてくれる大切なスパイスであり、『匂い』のない意識不明の女をいくらヤっても、まるでダッチワイフを抱いているように味気ないのだ。
興奮した私は、農家の嫁の大根のように太い足首を掴むと、そのまま股をM字に広げた。
陰部には剛毛な陰毛がトグロを巻いていた。その奥には、まるで盛岡の牛タンのような大きな小陰唇がダラリと垂れていた。
彼女が住んでいる豪雪地帯の農村では、冬になると酒を飲むかセックスするしか楽しみがないらしい。
だからこの村の男衆は、冬になると一日中酒を飲みまくり、女衆も又、いつでも男衆に応えられるようにと一日中ノーパンで過ごしているらしい。
嘘か本当か定かではないが、彼女と同じ村に住んでいた看護婦が面白可笑しくそう話しているのを聞いた事がある。
確かに、目の前で蠢いている性器はズボズボに使い古されていた。
子供を産んでいるからという意味ではなく、明らかにそれは激しいセックスの末に変形した代物だった。
左右大きさの違う小陰唇と、弄り過ぎて肥大化した陰茎。そして膣穴は常にポッカリと口を開け、その穴の周囲はマジックで塗り潰したかのように黒ずんでいた。
そんな醜い性器に、私はおもわず目眩を感じ、ハァハァと荒い息を吐いて興奮した。
これが40を過ぎた中年女ならこれほどまでに興奮しない。
20代という若さだからこそ、この使い古したグロテスクさが魅力なのだ。
私は、下腹部に溜る脂肪と貧弱な乳肉を同時に揉みしだきながら、彼女の股間にソッと顔を埋めた。
(あぁぁ……臭い……凄く汚い……)
スルメイカの香りがムンムンと漂う陰部に舌を伸ばしながら、感極まった私はそうポツリと呟いたのだった。
ジメジメと湿った陰部をチロチロと舐めながら、ズボンのベルトを外した。
ドクドクと脈打つペニスは、既に我慢汁をダラダラと垂らしていた。
それをシコシコとシゴキながら、イカ臭いヒダヒダをベロベロと舐めた。
不意に口の中に異物感を感じ、それを手の平の上にペッと吐き出すと、丸まったティッシュのカスだった。
肥大化した陰茎を舌先で転がしていると、明らかに性的分泌物と思われるヌルヌルした液が膣から溢れて来た。
例え意識はなくとも性器は反応するものだ。それは女だけでなく、男でも昏睡状態で勃起するケースは多く、手術中に不意にそれを見せられて戸惑う若いナースは多い。
濡れた膣穴に指を入れると、穴の奥にはヌルヌルの液体が溜っていた。指を動かすとグジュグジュと鳴った。それはまるで蓄膿症の鼻の穴をほじったような音だった。
その汁を指ですくい、陰部の表面に塗り込んだ。ビラビラの小陰唇が水を得た魚のように指の隙間を滑って行った。
満遍なく塗り込むと、そこに卑猥な玩具を押しあてた。それは全長20センチもある巨大なバイブだった。
バイブの先で裂け目をこじ開けた。中からトロトロと溢れ出た汁がバイブの先をテラテラと輝かせた。
以前、女子高生にこのバイブを使って膣が裂けた事があった。
あれは大失態だったが、しかし、ヤリマンの彼女ならこの巨大バイブでもすんなりと飲み込んでしまうだろう。
そう安心した私は、バイブをクネクネさせながらゆっくりと膣に挿入した。
もちろん、バイブがヌプヌプと膣に沈んで行くそのシーンを撮影したのは言うまでもない。
ひたすらバイブをヌポヌポさせていると、バイブを飲み込んでは吐き飲み込んでは吐くその膣の動きにおもわず感情移入してしまった。
一刻も早くその感触を味わいたいと焦った私は、ハァハァと荒い息を吐きながら女に抱きついた。
彼女の股間の中で、ポニョポニョする柔らかい胸に顔を押し付けながらペニスを握った。
もちろんコンドームはしない。私はいつも中出しだ。
パックリと口を開いた膣に、真っ赤に充血した亀頭を挟んだ。
そのまま身体を起き上がらせ、白衣とTシャツを脱ぎ捨てた。
亀頭をワレメに挟んだまま、改めて農家の嫁を見下ろした。
何度見ても醜い女だった。
ゆっくりと腰を沈ませた。
生温かい汁がペニスの表面に絡み付き、内部の膣壁がペニス全体をキュッキュッと締めた。
睨んだ通り、この女の性器の具合は最高だった。
押せば絡み、引けば吸い付く名器だ。
そんな名器の感触をじっくりと味わいながら腰を振った。
パイプ椅子がギシギシと軋み、結合部分がグチョグチョと餅つきのような音を奏でた。
そうしながらも、ふと、この女と同じ村出身の看護婦の言葉を思い出した。
「冬眠中、村の既婚者達は『嫁貸し』ってのをしてるんです。業界用語でいうスワッピングってやつですね。それをしないと夫婦関係がダメになるらしいんですよ。ほら、一冬の間、毎日毎日奥さんばかりとやってたら飽きちゃうでしょ、それで春になると離婚する夫婦が多いらしいんです。だから『嫁貸し』は村公認なんです。離婚による過疎化を防ぐ為にみんなで嫁さんを交換し合おうって、村長さんが本気で演説してました」
そうケラケラと笑った看護婦の言葉を思い出しながら、この嫁なら、『嫁貸し』ではさぞかし人気があるだろうなと頷いた。
薄汚い百姓親父達にヤリまくられる嫁の姿を想像しながら、激しく腰を振った。
柔らかい乳はタポタポと揺れ、同時に腹の脂肪もタプタプと揺れていた。
両膝を両手でしっかり固定しながら、激しいピストンを繰り広げる結合部分を覗き込んだ。
真っ赤な膣肉が亀頭に吸い付いていた。ヌルヌルに濡れた互いの陰毛はモズクのようだった。
(あぁぁぁ、いくっ!)
尿道に精液が走り、快感が脳に走った。
ズブズブの膣の中に濃厚な精液がドクドクと注がれ、その快楽に深い溜息をひとつ洩らすと、いきなり私の背後から声が聞こえて来た。
「うわぁ……見事な中出しだね……こりゃあ気持ち良さそうだ」
おもわず「わっ!」と叫んだ私は、慌てて後を振り向いた。
そこには当直の直江先生がニヤニヤと笑っていたのだった。
「以前からキミが担当患者をアレで眠らせてレイプしてたのは知ってたよ」
直江先生はそう笑いながら、ぐったりと横たわる農家の嫁の顔を覗き込んだ。
「しかし、こりゃ酷いね……酷すぎるよキミ。これだけのリスクを背負ってんだし、もっとマシなのを選んだら? ほら、キミが担当してるあの女子高生、あの子なんて板野友美みたいで可愛いじゃん」
そうケラケラと笑う直江先生は、精液がドロドロと溢れる農家の嫁の陰部を覗き込みながら、小さな声で「イカ臭っ」と呟いた。
私は焦っていた。
濡れたままのペニスをズボンの中に押し込み、震える手でカチャカチャとベルトを締めた。
そんな私を横目に、直江先生はベッドの下に脱ぎ捨てられた私の白衣を拾った。
「心配しなくてもいいよ。この事は誰にも言わないよ。だって僕も同じ事してるんだから……」
直江先生はそう微笑みながら、私に白衣を渡した。
「……ほ、本当……ですか?」
恐る恐る直江先生の顔を見上げると、直江先生はまるで財前五郎のような不敵な表情でゆっくりと頷いた。
そしてニヤッと顔を綻ばせながらベッドの枕元に転がっているネプライザーを摘まみ上げた。
「しかし、こんな物を使って、おもしろいのかね……患者が寝てたら人形とヤってるみたいでつまんなくない?」
直江先生は不思議そうに顔を傾けた。
「……じゃあ、直江先生はいつもどうやってヤってるんですか?」
私は素早く白衣を羽織りながら聞いた。
「僕はそのまんまヤっちゃうよ。そっちのほうが断然燃えるからね」
「でも、それだと騒がれるでしょ?」
直江先生は意味ありげに微笑みながら私の顔を見ていた。
そして何かを吹っ切るように、「うん」と頷くと、私の顔を覗き込んでこう呟いた。
「どうだい……僕の患者と、キミの患者を、交換してみないか?……」
そんな直江先生の言葉に、ふと、私の頭に『嫁貸し』が浮かんだ。
「それはいいですけど……でも、昏睡していない患者をヤるとなると……」
「心配しなくていいよ。とにかくこれから僕の患者の所へ遊びに行こうじゃないか」
直江先生はそう笑うと、早く証拠隠滅しなよと私を急かした。
私は半信半疑のまま、ベッドに転がるバイブやデジカメを白衣のポケットに入れ、農家の嫁の衣類を素早く元に戻したのだった。
病室を出ると、そのまま直江先生が担当する患者の病室へと向かった。
直江先生の後を歩きながら、恐らく直江先生のいうその患者というのは援交系だろうと思った。
きっと直江先生は、ヤリマン女子高生なんかに小遣いをあげ、商談成立の上で正々堂々と肉体関係を結んでいるのだろう。
(そんなのは私の趣味じゃない……)
私は直江先生の大きな背中を見つめながら鼻で笑った。
そもそも私の性癖というのは、生活臭漂う一般患者を昏睡状態にさせて悪戯したいのだ。それが魅力なのだ。そのスリリングなセックスが異常性欲を昂らせてくれるのだ。
鼻っから商談成立したセックスならば、わざわざこんな危ない橋を渡らずとも風俗に行った方がマシではないか。
ふん。まだまだ青いね直江先生は。
そうニヤケながら廊下を進んでいると、いきなり直江先生が足を止めた。
そこはICUだった。
いわゆる集中治療室と呼ばれる、重篤な患者を二十四時間体勢で管理する病室だった。
「ま、まさか……」
焦って直江先生の顔を見ると、直江先生はニヤニヤと笑いながらICUの扉を開けた。
病室の中には全身を包帯で包まれた患者が、まるでエジプトのミイラのようにベッドに寝ていた。
直江先生はそんなミイラ患者に「よっ、まだ生きてるか」と声を掛けると、そのままベッドの脇に立ち患者を見下ろした。
「もしかして、この患者を……」
さすがの私も息を飲まずにはいられなかった。
「そうだよ。驚いた? 彼女はね、22才のOLさん。不倫してたおっさんに別れ話を持ち掛けられて焼身自殺してやろうと思ったんだね、で、灯油を頭から被って火を付けたんだってさ。しかし、バカだよね。ガソリンにすれば良かったのに、灯油なんかにするもんだから、半生のレアになっちゃった」
直江先生はそう笑いながら患者の両脚を強引に開いた。
患者は包帯の隙間から私達を睨み、「ぐぅぅぅぐぅぅぅ」と狂犬のように唸っていた。
「でもね、全身半生状態で焼けちゃったけど、大事な所は助かってるの。ほら見て、結構綺麗なモノ持ってるでしょ彼女」
そう言いながら直江先生は股間に掛けていた白いガーゼを剥がした。
グルグルに巻かれた包帯が、その部分だけすっぽりと開いていた。
そこから顔出す陰部は、なるほど新鮮な魚の腹をかっ捌いたかのように美しかった。
「どうだい。試してみるかい……。この味を一度知ったら、昏睡女なんてアホらしくて食えなくなるよ……」
直江先生はそう不敵に微笑みながら、患者の陰部に指を入れた。
患者が凄まじい目で私を睨んだ。
その目には、憎しみ、悲しみ、恨み、が入り乱れる激しい憎悪が燃え滾っていた。
そんな患者の目に私は素直に興奮した。
こんな目に睨まれながら中出しするなんて、想像するだけで身震いした。
「まだ、できるでしょ? お試ししてみたら?」
直江先生はそう笑いながら、患者の膣を指で開いた。
ヒクヒクと痙攣するピンク色の粘膜と、憎しみの籠った患者の目が私の脳を刺激した。
この日を境に、これまでの私の趣味は悪趣味へと変わったのだった。
(悪趣味・完)
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