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今夜は踊ろう(後編)

2011/10/29 Sat 15:39

    今夜は踊ろう2


 いつの間にか磨りガラスの窓がぼんやりと青く染まっていた。
 ゆっくりと仰向けにされた修司は、薄暗い天井を見つめたまま、足下でゴソゴソと動くボンちゃんの気配に叫び出したいくらいに脅えていた。
「シュウちゃんのペニス、凄く大っきいねぇ……」
 ボンちゃんはそう言いながら「ふふふふふ」っと嬉しそうに笑った。
 確かに修司のペニスは大きかった。以前、部活の皆とシャワー室で勃起比べをした事があるが、その時修司は断トツの1位だった。
 そんな大きなペニスに自信を持つ修司は、彼女や複数のヤリ友とセックスする時は、必ず「どうだ、大っきくて気持ちいいだろ」と耳元で囁いたりしていたが、しかし彼女達のほとんどが「痛いよぅ」と顔を顰めるだけで、あまり反応はよろしくなかった。
 そんな自慢の巨大ペニスが、今、ホモ親父に喜ばれているなんて全く皮肉な物だと、修司は苦々しく思いながら天井を見つめていたのだった。
 ボンちゃんは、仰向けに寝かせた修司のペニスをヌメヌメと弄っていた。
「こんなに立派なのに皮カムリなんて勿体無いよ……神奈川クリニックで仮性包茎の手術をしたほうがいいよ……」
 そんなボンちゃんの独り言に、大きなお世話だと不貞腐れていると、不意に太ももに生温かい物を感じた。
 いったいこの変態親父は何をやってるんだと、必死で目玉を動かすがしかし首が動かない修司はそれを見る事が出来ない。
 くそっ! と思いながらそれを諦めると、ふと修司の目に脂肪だらけの親父が踞っている姿が飛び込んできた。
 それは部屋の隅に置いてある鏡台のカガミだった。部屋が明るくなってきた事により、そのカガミにはボンちゃんの姿が鮮明に映っていたのだ。
 修司はその醜い行為を目にして改めて戦慄を覚えた。
 太った親父は、修司の太ももを犬のようにペロペロと舐め、そして時折、修司の仮性包茎のペニスの先をクンクンと匂いを嗅いでいたのだ。
「シュウちゃん汗臭いよぅ……ちゃんとお風呂に入らなきゃダメだよ……」
 ボンちゃんはそう呟きながら修司の両膝を曲げ始め、そして赤ちゃんがオシメを取り替えるように大きく股を開かせた。
(やめろ!)
 鏡に向かって唸る修司。しかしボンちゃんはニヤニヤと笑いながら「さすが高校生だ、綺麗なお尻の穴してるねぇ」と呟き、修司の股の中に顔を埋めたのだった。
 鏡に映るそれは、まるで豚がトリュフを探しているようなそんな光景だった。修司の開かれた尻肉の間をボンちゃんの鼻がクンクンと音を立てながら這い回っている。
「お尻の穴がウ○コ臭いよシュウちゃん……」
 そんな声が股間の奥から聞こえて来た。ボンちゃんの鼻頭が肛門に押し付けられる感触が気持ち悪くて堪らない修司は、(お願いだからもうやめましょうよ!)と叫んでいた。
 ボンちゃんの舌が修司の肛門をチロチロと舐め始めた。
 強烈なくすぐったさが修司を襲い、修司は意識の中で悶え苦しむ。
 そのうちその舌が肛門をベロベロとダイナミックに舐め始め、唾液でヌルヌルになった肛門を、固くなった舌先がこじ開けようとしていた。
 ふは、ふは、っという荒い鼻息が金玉の真下を通過して行った。このままでは本当に肛門を犯されてしまうと恐怖を覚えた修司だったが、しかしその反面、ボンちゃんの濃厚な舌ワザになにやら違う感情が芽生えて来た。
(嘘だろ……何考えてんだよ俺は……)
 そう思う修司は、素直に気持ちイイとは認めたくなかった。それを絶対に認めたくないと思っていた修司だったが、しかし、ボンちゃんのその一言でそれは脆くも覆された。
「ふふふふふ。勃起してるねシュウちゃん」
(嘘だ!)
 そう叫ぶ修司だったが、しかし、カガミに映る自分のペニスは今にもはち切れんばかりに勃起し、肉棒のそこらじゅうにピクピクと青筋を立てていた。
「窮屈だろ、今、皮を剥いてあげるからね……」
 ボンちゃんはそう言いながら、修司のピクピクと勃起するペニスをやんわりと握った。
 ペニスに顔を近づけるボンちゃんの姿がカガミに映った。ボンちゃんの口の回りは唾液に濡れてテラテラと輝いている。
 メリメリメリ……っと修司の股間に心地良い感触が走った。制圧されていた皮から亀頭が顔を出し、修司はたちまち開放感に包まれた。
「さすが高校生だね、新陳代謝が活発だから凄く汚れてるよシュウちゃんのおちんちん……」
 ボンちゃんはそう言いながら修司のペニスに熱い息を吹き掛けると、大きく舌を付き出し、まるでソフトクリームを舐めるかのように修司の汚れた亀頭を舐めた。
 凄まじい快感が修司の全身に走った。それは今までに感じた事の無い快感だった。
 その快感の理由は、恐らく、皮を剥かれていきなり舐められたからだろうと修司は思った。いつも彼女やヤリ友とセックスする時は、事前にシャワーを浴び、チンポの皮を捲ってはボディーソープでゴシゴシと洗っていたが、しかし今は洗っていない。そう、自分の亀頭が今日初めて触れたのはこの変態親父の生温かい舌だったのだ。
 だからいつもより快感が増したのだろうと修司は分析した。そしてこれからは、彼女やヤリ友とセックスする時には絶対にチンポを洗わないでしようと、こんな状況でありながらもふと思ってしまった。
 ボンちゃんはそんな修司の敏感なペニスを飲み込んだ。口の中で亀頭にヌチャヌチャと舌を這わせ、そして唇で竿を締め付けては、ぷちょ、ぷちょ、と卑猥な音を出して上下させた。
 最高に気持ち良かった。ボンちゃんのその舌ワザは、今までヤってきた女達がまるでダッチワイフのように思えるくらい、そのくらい濃厚な快感を与えてくれた。
(あぁぁ……このままイっちゃいたい……)
 修司がそう思ったとたん、それを察知されたのかいきなりボンちゃんは口からペニスを抜き取った。
 そしてブヨブヨの脂肪を揺らしながら、仰向けに寝転がる修司の体に抱きついて来た。
 ボンちゃんは「ハフハフ」と豚のような鼻息を鳴らしながら、修司の首筋や腋の下を嗅ぎ回り、そして舐めた。
 身体中のあらゆる部分を舐めながら、唾液に濡れた修司のペニスを絶妙に上下させた。
「もっともっと気持ちいい事シテあげるからね……」
 修司の耳元でそう囁いたボンちゃんは、修司の股間で腰をモゾモゾと動かした。
 ボンちゃんの小さな亀頭が修司の尻肉にのめり込み、肛門をツンツンとノックする。
(や、や、やめろ! それだけはイヤだ!)
 ボンちゃんは布団の横に転がっていた筒のような物を手にした。そしてそれを修司のケツの谷間に向け、プチプチプチっという音を立てながら、ローションのような液体を大量に垂らした。
 それを修司の尻の周りに塗り込み、そして指の先を修司の肛門にヌポッと差し込みながら「怖がらなくても大丈夫よ、痛くしないから」とボンちゃんは笑った。
 恐怖のあまり修司の思考回路がショートした。何も抵抗できない修司は、もはや完全に諦めるしかなかったのだ。
 修司の肛門の入口で太い指がウネウネと動き出した。ピリっとした痛さと共に軽い便意が下っ腹に芽生えた。
 その指は徐々に奥へと入り込んできた。あっ、これは第二関節だな、と修司はそのゴツゴツとする刺激をぼんやりと感じていると、いきなりその指がヌポッと抜かれた。
 カガミをそっと見ると、大きな下っ腹を突き出したボンちゃんが、修司の股の中で項垂れていた。
 肛門にコリコリとしたペニスの感触が走る。どうやらボンちゃんは自分の亀頭を肛門に塗り込んでいるようだ。
(いよいよ、来るな……)と、修司が思った瞬間、ピリピリピリっという激痛が肛門に走った。
 が、しかしその痛みはほんの一瞬だけのものであり、すぐに消えてなくなった。
 肛門に不気味な異物感だけが残っていた。
 ボンちゃんがハァハァと言いながら腰を振り出し、その度に、くちゃ、くちゃ、というローションが擦れる音が部屋中に響き渡った。
(これがアナルセックスというヤツなのか……)
 痛みを感じる事も無く、また快感を得る事も無く、修司は冷静な気持ちのまま鏡に映るボンちゃんを見つめていた。
「あぁぁ、凄いよシュウちゃん……キュンキュンと締ってるよ……」
 荒い息を吐きながらそう囁くボンちゃんは、まるで女とセックスしているようにパンパンと激しく腰を振っていた。
 そんなボンちゃんが腰を振りながら、例のローションの筒を手に取った。そして、それを修司の勃起するペニスに向けながら、タラタラとローションを垂らした。
 ひんやりと冷たい感触が股間に走った。ボンちゃんはローションを修司のペニスにクジョクジョと塗り込むと、そのままゆっくりと上下にシゴいた。
「あぁぁぁ……」
 強烈な快感におもわずそう唸った修司は、自分のその唸り声が今ハッキリ聞こえたと驚いた。
「ふふふふ。気がついたかショウちゃん」
 目の前に迫るボンちゃんがそう言ってニヤリと笑った。
「あ、あ、あのぅ」
 何かを言おうとするが、しかし修司の頭には何も言葉が浮かんでな来ない。
「いいよシュウちゃん、今は黙って目を瞑ってればいい」
 ボンちゃんはそう言いながら修司のペニスを更に激しくシゴいて来た。
 修司はその今までと違う快感に、「あっ、あっ、あっ」とおもわず声を洩らしていた。それはいつもヤっているヤリ友のヨウコのようでなにかとってもイヤだったが、しかし、その声は修司の意志に反して自然に出てしまう。
「どうだい、気持ちいいだろ……ほら、ちゃんと目を瞑って肛門に神経を集中させるんだ……凄く気持ち良くなって来るから……」
 修司はボンちゃんの言われるがままに目を綴じ、肛門に神経を集中させてみた。修司の肛門の中でボンちゃんの固い肉棒が行ったり来たりと動き回り、その動きがだんだんと修司に安らぎを与え始めていた。
(な、なんだこれ……なんか凄く気持ちいい……)
 そう思い始めた時、不意にボンちゃんが修司の首に太い腕を回して来た。
「ほら、見てごらんシュウちゃん……シュウちゃんのおちんちん、凄く感じてるから……」
 ボンちゃんがそう言いながら修司の顔をムクリと起こした。
 全裸にされた修司の腹の上で、強烈に勃起されたペニスがボンちゃんの太い指でシゴかれていた。
「ほら、また出たよ、あっ、ほら見て」
 ボンちゃんはそう言いながら修司のペニスから手を離した。
 ローションでダラダラになった修司のペニスがピクピクと痙攣し、その先から、ピュッと少量の精液が飛び出した。
「ね、シュウちゃんのココ、凄く感じてるだろ、ふふふふ、肛門におチンチン入れられながら射精するなんて、シュウちゃんは変態だねぇ……」
 そう囁くボンちゃんは、自分の言葉に欲情したのか、そう言うなり更に腰の動きを早めた。
 シュッポン! シュッポン! シュッポン! シュッポン! と変な音が部屋中に響いていた。
 ボンちゃんは、汗で湿った修司の腋の下を弄りながら「あぁ、あぁ、我慢できないよ、あぁ、イキそうだ」と修司の顔を見つめながら唸った。
 そして修司のペニスを再び握りしめると、それをシコシコと大きく上下させながら「一緒にイこうシュウちゃん!」と、泣きそうな顔でそう叫んだ。
 修司にもその前兆が現れた。今までにないムラムラとした感情の中、修司は女のように「あんあん」と叫び声を上げながら、心の中でもっともっと滅茶苦茶にして欲しいと思っていた。
「気持ちいいかシュウちゃん、気持ちいいなら気持ちいいって言ってごらん」
 ボンちゃんは修司の右足を天井に高く掲げ、少し斜めになりながら修司の尻に腰を叩き付けていた。そして、もう片方の手で修司のペニスをシコシコとシゴき、「ほら、気持ちイイって言ってごらん、気持ちイイって言ってごらん」と何度も囁きながら、修司の唇を舌でベロベロと舐めた。
 もう我慢できなかった。凄まじい快感が修司の脳天を貫き、修司は女の悲鳴のように「気持ちいいです! あぁ! 出ちゃう!」と叫んだ。
 びゅっ! びゅびゅびゅびゅっ。
 濃厚な精液が修司のペニスから飛び出した。
 射精するペニスを愛おしそうにシゴくボンちゃんは、まるでくしゃみを我慢しているような表情をしながら「あっ、あぁぁぁ」っと唸り、同時に修司の肛門の奥に熱い精液を迸ったのだった。


         ※


「ちょっとシュウちゃん」
 銜え煙草のマスターが厨房の暖簾から顔を出し、カウンターの修司を小声で呼んだ。
 閉店間近のスナックには、いつもの常連が2人と新規の客が1人ポツンとカウンターの隅に座っていた。
 修司は常連のグラスの水滴をおしぼりで拭きながら「そう考えると原発って怖いですよね……」と頷き、そのままグラスをカウンターに静かに置くと「ちょっと失礼します」と常連に微笑み、急いでマスターが待ち受ける厨房へと向かった。
 ゴキブリホイホイが散乱する狭い厨房の奥で、マスターは煙たそうに煙草を吸っていた。
 修司が来るなりマスターは「あのさぁ」と言いながら、短くなった煙草をシンクの三角コーナーに投げた。
「あのカウンターの奥にいる新規の客、どう思う?」
 マスターのその言葉に、修司は暖簾の隙間からソッと店内を覗き、「なんかあったんですか?」と聞いた。
「うん。いきなりシュウちゃんと遊びたいって言いだしたんだよね。なんかさぁ、四丁目のオカマバーでシュウちゃんの噂聞いたらしくてね、それでこの店に来たって言うんだけど……」
 修司はマスターの言葉を聞きながらもう一度暖簾の隙間からその男を見た。
 うらぶれたサラリーマンだった。いかにも肝臓が悪そうなどす黒い顔色をし、長いボサボサのマユゲが老犬を連想させた。
「別に、僕はいいですよ」
 修司はゆっくりとマスターに顔を戻した。
「うん。だけどさぁ、俺の経験上、アレ系の男ってのは変態が多いんだよな。まぁ、ホモなんてのはみんな変態なんだけど、あいつはそんな変態とは違う、サディストっていうかなんていうか、そんなイヤな予感がしてね、シュウちゃんとあいつをホテルに行かせるのは心配なんだよね……」
 修司は困惑した。先週も、強引な変態親父に特大バイブを押し込まれ、死ぬほど痛い思いをしたばかりだったのだ。
「かといって、このまま断るのもアレだろ。シュウちゃんももうすぐ夏休みが終わっちまうんだし、今たっぷりと稼いどかなきゃならねぇしな……」
 マスターの言葉に修司は素直に頷いた。

 ボンちゃんの件があって以来、修司の人生は大きく変わった。そう、高校生の修司は男の味を知ってしまい、それ以来、男根に目覚めてしまったのだ。
 しかも、男根により自己の性的欲求を満たした上に、収入は今までの十倍にも跳ね上がった。人気者の修司は一日に何本もの男根で満たされながらも、高校生には考えられないような高額な利益を上げていたのだ。
 そんな修司は、この夏休みが終わるまでに百万円貯めようという目標を持った。それをマスターに告げると、シュウちゃんが百万稼ぐって事はウチの店もそれなりに儲かるって事だ、と大喜びし、修司の目標には全面的に協力すると言ってくれた。
 だからいよいよ夏休みが終わろうとしている今、まだ目標を達していない修司は焦っていたのだ。

「だからどうだい、変なリスクを背負うのもなんだから、今日の所は『今夜は踊ろう』にしてみたら」
 マスターは油だらけの換気扇をバスン! と閉じながら言った。
「でも、それであのお客さんは納得してくれますかね……」
 修司が心配そうに言うと、マスターは、それで納得しなかったら塩巻いて追い出してやるさ、とケラケラと笑ったのだった。

 そんなマスターが例の客と交渉を始めた。それを厨房の暖簾の隙間から心配そうに覗いていた修司に、カウンターの常連が気付き、「どうしたの?」と聞いて来た。
 修司が常連に答えようとした瞬間、いきなりマスターが大声を上げた。

「イッツ・ショーターイム!」

 交渉成立を告げるマスターの叫び声と共に店内の照明がいきなりグワワワンっと落ちた。天井の中型のミラーボールがゆっくりと回り始め、安っぽい輝きが店内をキラキラと光らせた。
 2人の常連が「おお!」と歓声を上げながら手を叩き始め、そんな拍手を聞きながら、修司は狭い厨房で慌てて服を脱ぎ始めた。
 狭い店内に大音量のカラオケが流れた。
 曲は、荒木一郎の『今夜は踊ろう』で、唄うのはもちろんマスターだ。
 曲の伴奏に合わせて、小さなブリーフ姿の修司が厨房から出て来た。常連達が千円札のチップを修司に向かって振り始めると、強烈にエコーの効いたマスターの歌声が店内に響き渡った。
 まるで霊界から聞こえて来るようなエコーの効いたマスターの歌声を背景に、修司はチップを振る常連の横に立った。
 常連がブリーフの中に千円札を押し込もうと修司のブリーフを引っ張る。引っ張られたブリーフの中には、陰毛を綺麗に剃り落したツルツルの巨大ウィンナーが歪に曲っていた。
 チップを払った常連は、修司の乳首に吸い付きブリーフの中の巨大ウィンナーをゴネゴネと弄った。修司の細い腕が常連の股間へと伸び、そこでコリコリになっている肉棒を優しく上下した。
 そうやって2人の常連から三千円のチップを稼いだ修司は、いよいよ本命の新規客へと足を向けた。
 その客は近くで見るとドラキュラのような顔をしていた。確かにマスターの言う通り、どこか危ない感じのする男だった。
 男はカウンターの椅子に座ったまま修司の細い腰に手を回すと、そのまま修司の細い体を力強く引き寄せた。
 ブリーフの上から股間を弄り、半立ちになっているペニスを確認した。その時の男の表情は、まるで何かに取り憑かれたかのようにハァハァと異常興奮し、濁った目を凶暴にギラギラと輝かせていた。
 男は焦りながらも財布の中から一万円札を取り出した。そしてそれを修司のブリーフの隙間に差し込みながら「スペシャルで頼むよ」と低く唸った。
 修司はコクンと頷き、静かに男の腕を引っ張った。そのまま店の奥にあるソファーが一つだけの狭いボックスに男を案内する。
 男がソファーにふんぞり返ると、修司は薄いレースのカーテンをシャカシャカシャカっと閉めた。白いレースのカーテンは天井のブラックライトが発光し、その部分だけ幻想的な空間を作り上げた。
 男の足下にしゃがんだ修司が男のベルトを外そうとすると、男は修司の手を押しのけ、自ら慌ててベルトを外した。
 ボテッと太いペニスが男の股間で突き立てられていた。竿は真っ黒で亀頭もそれに近い黒紫だった。
 修司がおしぼりでソレを拭こうとすると、男はカミソリのような冷たい目で修司を見下ろしながら「このまましゃぶれ」と呟いた。
 冗談じゃない、と修司は思った。その亀頭の周囲にはブラックライトで発光する白い埃が点々と付着し、また、そこから発せられるアンモニア臭も半端ではなかったからだ。
「ほら、早くしろって」
 男はいきなり修司の髪を掴み、強引に股間へと引っ張った。
 怖かった。怖かったが、しかし修司は少し興奮した。
 意識がフラフラ状態でレ○プされ、それで男を知った修司には、こんなシチュエーションが堪らなく興奮する事が時々あった。見知らぬ誰かにいきなり路地裏に連れ込まれ、悪臭漂うポリバケツの横で野良猫のように犯されるシーンを思い浮かべてはオナニーする事さえあった。
 ふいに興奮を覚えた修司は、ハァハァと小刻みな呼吸をしながら、男の太い男根にむしゃぶりついた。
「舌使え、舌を……あぁぁ……」
 頭上で男が唸り、その男の要求通り修司は口内の男根に激しく舌を絡めた。
 男の乱暴な手がしゃがむ修司のブリーフをずり下げた。
「立ってるのか?」
 男はそう言いながら体を屈め、修司のペニスを握った。
「ビンビンじゃねぇか……おまえマゾだろ?」
 男はそう言いながら修司をその場に立たせた。男の目の前にツルツルに毛を剃った巨大なウィンナーがピーンと反り立った。
 男は自分のペニスを自分でシゴきながら、修司のペニスを飲み込んだ。
 じゅぶ、じゅぶ、という乱暴な音が、マスターの唄う『今夜は踊ろう』のリズムに乗って響いていた。
 修司はそんな乱暴な尺八に、「うっ」と顔を天井に向けながらも、ホモのマゾってのは末期ガンの患者が盲腸の手術を受けなければならないくらい、そのくらい悲惨な状態だよな、と、ふと思った。
 ペニスを獰猛にしゃぶる男を見下ろすと、男がシコシコとシゴくペニスは今にも爆発しそうなくらいに亀頭がパンパンに腫れていた。
 このまま射精されてしまったら不完全燃焼になると思った修司は男の耳元に囁いた。
「入れて下さい……」
 ペニスをシゴく男の手が止まった。男はゆっくりと修司のペニスを口から抜きながら「本番は禁止じゃないのか?」と首を傾げた。
「そうなんですけど、でも……」
 修司は男の冷酷な目を見つめながら腰を小さくくねらせた。
「でもここじゃマズいよ。マスターがさっきからこっちをチラチラ見てる」
 男はそう言いながら、財布の中から一万円札をそっと取り出した。
「俺が店を出た後、煙草買って来るとか嘘付いて出て来るんだ。近くのホテルで入れてやるから」
 男はそう言いながらそそくさとズボンを履き始めた。そしてカチカチとベルトを締めながら「いいか、裏切るんじゃネェゾ……」と修司を睨んだ。
「だったら」と慌てて修司はその場にしゃがんだ。そして男の太ももに手を起きながら男を見上げた。
「なんだよ」
「……この路地の突き当たりに小さなゴミ捨て場があるんです。このお金はいりませんから、そこで僕を乱暴に犯してくれませんか……」
 男はしばらく修司の顔を見つめた後、「ふっ」と鼻で笑った。
「ホモでマゾのレ○プ願望か……おまえ、可愛い顔してるのにとんでもねぇ変態だな」
 男はそう笑うと、修司が返した一万円を素早く奪い取り、そのままレースのカーテンをそそくさと出て行った。
 ホモでマゾのレ○プ願望……。修司はマスターの唄う『今夜は踊ろう』のサビの部分を聞きながら、それはきっと末期ガンの患者が盲腸の手術中に虫歯が痛くなるくらい最悪な状態なんだろうな、と思い、どうして僕はこんな変態になっちゃったんだろうと不意に可笑しくなって来た。
 レースのカーテンをシャカシャカと引きながら1人クスクスと笑った。男が修司から奪い取った一万円札をカウンターに投げ、そのまま店を出て行った。
 マスターは『今夜は踊ろう』のリズムのまま、店を出て行く男の背中に「毎度どうもー」とマイクで叫んだ。そんなマスターの、まるで霊界からの声のような不気味なエコー声は、いつまでもいつまでも店内に響いていたのであった。

(今夜は踊ろう・完)



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