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八月の懺悔6

2012/03/30 Fri 13:06

   八月6



—14—

 奥田が公衆便所から出ると恵子の姿が消えていた。
 奥田は焦った。あの自白剤が効いている状態で出歩くのは非常にマズい。正直すぎる程に正直になっている為、腹が減ったら平気で店先のパンでもかっぱらってしまうのだ。
 恵子が万引きなどで逮捕されては、刑事としての自分の立場も危うくなり、しかも、尿検査などされようものなら自白剤の存在がバレてしまう。
 そう焦った奥田が「恵子!」と呼びながら遊歩道を走り出そうとすると、不意に公衆便所の横の茂みの裏から、ガサッという音がした。
 奥田は慌ててその茂みの裏を覗いた。するとそこには、グレーのスーツを着たサラリーマン風の中年男が、ぼんやりと項垂れる恵子の腕を掴んだまま突っ立っていた。
 中年男は、奥田を見るなり慌てて恵子から手を離した。そして奥田を見つめ「えっ?」と言った。
「そいつは俺の妻だけど……何の用だ……」
 奥田は眼光を鋭くさせながら中年男に歩み寄る。実際、奥田は剣道2段、空手3段の猛者であり、それなりに迫力がある。
 そんな奥田に恐れをなした中年男は慌てて踵を返し、公園の暗闇の中へと走り去って行ったのだった。
「あいつと何やってたんだ」
 奥田は項垂れる恵子の顔を覗き込んだ。薮の隙間から洩れる水銀灯にボンヤリと照らされる恵子の顔は、ゾクっと寒気がする程に美しく、奥田は改めて自分の妻を綺麗だと思った。
「ごめんなさい……」
 恵子は、まるでウクライナの美少女のような大きな瞳をウルウルとさせながら答えた。
「ごめんなさいじゃわからないだろ。どうしてあいつとココにいたんだ」
「……あの人が……いきなり私に『乳首が透けてるよ』と話し掛けて来たんです……だから私が『はい』と返事をすると……あの人が『パンツは履いてるの?』と聞いてきたんです……」
「で、何と答えたんだ」
「履いてませんって言いました……」
 自白剤の効いている恵子は、悪びれる事も無く淡々と答えた。そんな恵子を見ていた奥田は、とたんにムラムラと欲情してきた。そんな奥田のギラギラする目からソッと目を反らしながら恵子は言葉を続けた。
「そうしたら、あの人は『じゃあ見せて』と言いながら私をココに連れて来たんです……」
「……見せたのか?」
 恵子はゆっくりと頷きながら「ごめんなさい」と呟いた。
「見せただけか?」
 興奮気味に奥田が聞くと、恵子は少し唇を尖らせながら首を左右に振った。
「何をされた?」
「指でアソコを触って、『ヌルヌルだね』と笑いました……そして、近くのラブホに行こうと私の手を引っ張りました……」
 表現できないくらいに複雑な性的興奮が奥田に襲いかかった。
 一瞬、あの中年男を追い掛け、恵子をラブホテルに連れて行かせようかとさえ思った。
 ムラムラと欲情する奥田は、恵子の細い体を腕の中に抱きしめると、その行き場のない興奮を恵子に打つけた。ガチガチと前歯が衝突する程の激しいディープキスをし、ミニスカートの中に手を入れた。
 そんな恵子の性器はびっくりする程に濡れていた。性器から溢れ出た汁が太ももにまで垂れては、そこらじゅうをネチャネチャにしていた。
「あの男とセックスしたかったか?」
 奥田はヌメリの中でコリコリと勃起するクリトリスを転がしながら、恵子の耳元に囁いた。
 恵子は細いうなじを妖艶に伸ばしながら、ハァハァと荒い息と共に「はい」と返事をしたのだった。
 見知らぬ通行人にアソコを見せた女。全く見ず知らずの男なのに、性器に指を入れさせ、尚かつ、そいつとセックスしたいと言いきる女。
 そんな恵子の本性は、やはり被虐性淫乱症の変態なのだ。
 武田からあらゆる被虐的な行為を受け、変態メス豚として調教されてしまった恵子は、もはやノーマルな性行為では満足できなくなってしまっているに違いない。
 奥田はそんな事を思いながら、恵子のヌルヌルに滑るワレメに指を這わせ、そして恵子の耳元に「チンポ、入れて欲しいか?」と聞いた。
 奥田の腕の中で小さな体を震わす恵子は、「入れて」と呟きながら奥田の指に恥骨を擦り付けて来た。
 奥田はリンスの香りが漂う恵子のウナジに顔を埋めながら聞いた。
「俺のチンポとさっきの男のチンポとどっちがいい?」
 恵子が喘ぎながら答える。
「……どっちでもいい……早く入れて……お願い……」
「どっちでもいいって事は、誰でもいいって事か?」
「あぁぁん……チンチンが欲しいの……誰のでもかまわない、早く入れて欲しいの……」
「じゃあ、大っきいチンポと小さいチンポなら、どっちがいい?」
 奥田は、武田のあのイボイボの巨大ペニスを思い出しながら聞いた。
「ハァハァハァ……大っきいのがいい……」
 恵子は奥田の指の動きに合わせて腰を振りながら答えた。
 そんな恵子に、奥田は嫉妬でクラクラと目眩を感じながら「武田みたいに大っきいのが欲しいのか?」と聞く。
「欲しい! 武田の大っきなチンチンを入れて欲しいの!」
 そう喘ぐ恵子を腕の中から突き飛ばした。
 ヨロヨロッと後退りした恵子は、「はっ」と我に返ったかのように、その表情にいつもの暗い陰をサッと曇らせながら、「ごめんなさい……」と頷いた。
 そんな恵子を冷静に見つめる奥田は、「いいんだよ恵子……」と優しく囁きながら恵子の細い肩をソッと抱いた。
 そしてそのまま公衆便所に向かって歩き出しながら、「武田の大っきなチンポが忘れられないのか?」と、その小さな小顔を覗き込みながら聞いた。
 恵子は、ほんの少し垣間見る『理性』により、そんな夫の質問に下唇をギュッと噛み締めるが、しかし自白剤で『本能』を曝け出されているが為、しばらくすると素直にコクンと頷いた。
「そうか……それじゃあ仕方がないな……悔しいけど武田よりも大っきなチンポをあげよう……」
 奥田は顔を引き攣らせながらそう笑うと、公衆便所の前で足を止めたのだった。

 2人の頭上で、一匹の蛾が狂ったように蛍光灯に体当たりしていた。
 そんな狂った蛾に煽られながら、奥田は恵子に濃厚なキスをした。
(あいつは危険すぎる……でも、おまえがあいつに滅茶苦茶にされるのを、俺は堪らなく見たいんだ……)
 そう思いながら、恵子の口内からゆっくりと舌を抜いた奥田、もう一度、恵子の顔を見つめながら確認した。
「本当に武田みたいな大っきなチンポを入れて欲しいのか?……」
 恵子は奥田からサッと目を反らせると、静かにコクンと頷いた。
「どうしても入れて欲しいんだな?」
 もう一度聞く奥田に、恵子は表情に暗い陰を浮かばせながら、「ごめんなさい……我慢できないの……」と呟いた。
 奥田は、その『我慢できない』という言葉で踏ん切りがついた。
「おまえ、今すぐオシッコ出るか?」
 奥田が聞くと恵子は少し戸惑いながらもコクンと頷いた。
「じゃあ、ここのトイレでオシッコして来なさい。俺は外で待ってるから……」
 そう言いながら恵子の体を優しく抱くと、そのまま体を男子便所に向けた。
 すると突然、恵子の体がキュッと硬直した。そしていきなり「イヤ」と呟いた。
 恵子は元々勘の良い女だ。そんな恵子の勘が、薄汚い男子便所になにやら危険信号を発しているらしく、恵子は「怖い」と呟きながら奥田の手から逃れようとした。
 そんな恵子の手を掴み、「早く行け……」と強引に恵子の背中を押した。しかし、それでも逃げようと恵子がもがいた為、奥田は恵子の頬をおもいきり引っ叩いた。
 静まり返った公園に、乾いた音が一瞬響いた。
 頬を叩かれた恵子はとたんに大人しくなり、何やら呆然としながらもいきなり腰をモジモジと動かし始めた。
「入れて下さい……」
 恵子は自らミニスカートを捲り上げ、真っ白な尻を露出させながら便所の入口の壁に手を付いた。
「お願いします……早く……」
 尻の谷間から剥き出されたワレメが、ドロドロと汁を垂らしながらヒクヒクと動いていた。
 そんな急変した恵子を見て奥田はすぐに気付いた。そう、これが武田の調教なのだと。
 嫉妬と興奮に包まれた奥田は、そんな恵子の丸い尻を引っ叩いた。ビクン!と尻を跳ね上がらせた恵子は更に欲情し、ゆっくりと両手を尻に回した。
 そしてその小さな手で尻肉をおもいきり押し広げ、ワレメを無惨にパックリと開きながら「入れて下さい……」と、まるで夢遊病者のような口調で呟いた。
「よし、わかった。武田のよりも大きいのを入れてやろう……」
 奥田はそう言いながら、完全に壊れてしまった妻を静かに抱きしめた。
 そして再び恵子の体を男子便所に向けると、その耳元に囁いた。
「一番奥の個室に入ってオシッコをするんだ……」
 恵子はボンヤリと男子便所を見つめながら「チンチンを入れて下さい……」と熱い息を吐いた。
「わかってる。入れてやる。だから一番奥の個室でオシッコしろ。そうしたら大っきなチンポをココに入れてやる……」
 そう言いながら、背後から恵子のワレメにヌルッと指を入れる。
「あぁぁん……本当ですか……」
 恵子の細い体が奥田の腕の中で撓った。
「ああ、本当だ……だから早く行きなさい……」
 奥田はそう言いながら恵子の背中をソッと押した。
 恵子はゾンビのようにフラフラしながら男子便所に向かって歩き出した。
 そんな恵子の華奢な背中を見つめる奥田は、(いったい俺は何をやってるんだ!)と自分を激しく責めながらも、しかし、異常な欲望に犯されてしまった奥田は、恵子を止める事は出来なかった。
 バタバタと蛾が飛び交う男子便所へ、恵子の体はフラフラと進んでいった。恵子の体が男子便所の奥へ消える瞬間、不意に恵子が足を止めソッと後に振り返った。
 奥田を見つめる恵子の目は、まるで死人のように暗い目だった。そして、そんな恵子の表情には、いつもの暗い陰が貪よりと広がっていたのだった。


—15—

 恵子の姿が男子便所に消えるなり、奥田は急いで恵子の後を追った。
 男子便所の入口まで行くと、ペタン、ペタン、という恵子のサンダルの足音が響いているのが聞こえて来た。
 奥田は壁に隠れながらそんな足音が響く男子便所を覗く。夢遊病者のようにフラフラと歩く恵子が、ヤツが潜んでいる真ん中の個室を通り過ぎ、一番奥の個室に入ろうとしていた。
 奥田は、恵子が一番奥の個室に入るのと同時に、一番手前にある個室に忍び込んだのであった。
 一番奥の個室のドアがバタン! と閉まる音が響き、同時にカタン! と鍵が閉まる音が響いた。
 素早く奥田は、壁のノゾキ穴からヤツが潜んでいる隣りの個室を覗いた。
 案の定、ヤツは恵子が入った個室を、壁のノゾキ穴からさっそく覗いていた。
 男は隣りの個室に入ったのが女だと知ると、急にソワソワし始めた。ノゾキ穴を覗いたり、自分の個室内をキョロキョロと見回したりと、何度も同じ仕草を繰り返していた。
 しばらくすると、恵子の個室から「シャァァァァ」っという小便の音が聞こえて来た。その音と同時に男はいきなり床に顔を押し付ける。そして、和式便器にしがみつくようにしながら床の隙間から恵子の放尿シーンを覗き見し始めた。
 それを確認した奥田は、静かに個室を出ると、そのままその隣りにある清掃道具が入っている小さな扉に身を隠した。
 刑事稼業の長い奥田には犯罪者の心理が手に取るようにわかっていた。だからヤツが次にどう動くかを知っていた奥田は、わざわざこの小さな清掃道具の中に隠れたのだ。
 そんな奥田の勘は当たった。
 男はいきなり個室から飛び出すと、今まで奥田が潜んでいた個室を覗いた。そして、おたおたと慌てながら便所を飛び出し、その付近を必死になって見回している。そう、この男はあの女に男のツレがいないかを確かめているのだ。
 そんな男の行動を先読みしていた奥田は、アンモニア臭の漂う清掃道具に埋もれながら息を殺していた。そして、もし男がこのドアを開けたら、素直にこの計画を諦め、その場で男を半殺しにして逃げようと思っていた。
 しかし男は奥田が潜んでいるドアを開けなかった。
 辺りを見回し、恵子にツレがいない事を確認した男は、そのまま奥田が潜むドアの前をスタスタと通り過ぎると、ハァハァと荒い息を吐きながら恵子の個室へと向かったのだった。
「ドンドンドン!」
 個室のドアを激しく叩く音が便所内に響き渡った。
「開けなさい! 警察だ!」
 このバカ男はよりにもよって警察を装った。
 そんな馬鹿な男に苦笑しながら奥田はソッとドアを開け、その隙間から便所内を覗いた。
「早く開けなさい! そこに隠れているのは知ってるんだぞ!」
 男は恵子の個室のドアを激しく叩きながら、ニヤニヤと笑っていた。
 しばらくすると、そんな恵子の個室のドアの鍵がカタン! という音を立てて開いた。その音を聞いた男は、嬉しさのあまりに堪え切れなくなったのか、いきなり「ぎひひひひひひっ」と笑い声をあげると、そのまま「警察なんだぞ!」と叫びながら、恵子がいる個室に乱入して行ったのだった。
 男が恵子の個室に消えるのを確認した奥田は、素早く道具入れから飛び出した。そして、足音を忍ばせながら、今まで男が潜んでいた個室へ潜り込んだ。
 男がいた個室の床には、女子便所から盗んで来た生理用品が散乱し、何とも言えない不気味な臭いが漂っていた。
 そんな生理用品を素早く靴の爪先で蹴散らしながら、壁に寄り添うと、そこに開いていたノゾキ穴から恵子の個室を覗いた。
 恵子がブルブルと体を震わせながら呆然と立ちすくんでいた。男は慌てて個室のドアの鍵を閉めると、そんな恵子に振り向きながら「俺は警察だ」と告げていた。
 恵子をジッと見つめていた男は、その目を恵子の胸元で「ギョッ」と止めると、Tシャツから透ける乳首を見つめながらニヤニヤと笑い出した。
「ブラジャーはどうしたんだよ……」
 男は薄汚れた唇をネチネチと歪めながら恵子に聞いた。
 恵子が小さな声で「忘れました……」と答えると、男は「こっちもか?」と言いながら、恵子のミニスカートをペロリと捲った。
 寒々とした蛍光灯の灯りに、恵子の淫らな下腹部が照らし出された。
「なんで、パンツ履いてねぇんだよ……」
 男は恵子の陰毛を見つめながらそう声を震わせた。そしてゆっくりと恵子の顔を見上げると「おめぇ、変態か?」と語りかけるように聞いた。
 男は恵子の返事を聞かぬまま、そのワサワサと茂る陰毛に、真っ黒に汚れた指を恐る恐る伸ばした。そして、その股間の奥にスッと指を入れた瞬間、男は恵子のヌメリを感じ取ったのかニヤリと笑った。
「おめぇ、もうヌルヌルに濡れてるけど……ココでヤって欲しいんか?」
 男はヒソヒソと声を潜めながら恵子に顔を近づけた。
 そんな男の問いに、自白剤が効いている恵子は嘘を付けなかった。
 恵子がコクンっと頷くと、男は嬉しそうにデヘデヘと笑いながら、「やっぱり変態かよ」と恵子の胸をTシャツ越しに鷲掴みしたのだった。
 そんな2人を隣りの個室から覗く奥田の体は、まるで寒さに凍えるようにガクガクと震えていた。
 立ちすくむ妻の股間の隙間に男の真っ黒な指が差し込まれ、ジョリジョリと陰毛が擦れる音が響く。男の指のその真っ黒な汚れは、きっと奥田の足下に散乱している汚れた生理用品の血が乾いたものに違いなかった。
「後向いて尻見せろ……」
 男はニヤニヤと笑いながら、個室の隅に立っている恵子を反対に向かせた。そして恵子の体を前屈みにさせ、その両手を落書きだらけの壁につかせると、ゆるりと股を開かせながら尻を突き出させた。
 真っ白な肌と真ん丸な曲線。薄暗い蛍光灯に照らされる恵子の尻は、まるで子鹿のように綺麗だった。
 が、しかし、その美しい尻の中心に蠢いてい女陰は違った。真っ黒な陰毛がウヨウヨと蠢き、赤黒いビラビラがダラリンと垂れては淫らなヨダレでテラテラと輝いていた。
 男はそんな恵子の足下にしゃがみ込むと、その淫らな局部を覗き込んだ。そして何やら意味不明な言葉を呟きながら、恵子の肛門やワレメに鼻を近づけてはいやらしく匂いを嗅いでいた。
 他人の男に妻の陰部の臭いを嗅がれる。目眩を感じるほどの屈辱だった。しかも相手は痴漢常習犯のホームレスである。刑事という立場の奥田にとっては、これほどまでの苦痛は無かった。
「昭和四十三年茨城県つくば市の東南しかし昭和五十五年福井県若狭湾に五十二才の私と八十九才の母を苦しめて来たばかりか食料配給がいかに大切かを身を持って知らしめられ……」
 男は意味不明な言葉を延々と呟きながら、恵子の尻に無精髭だらけの頬を擦り寄せていた。そしてその奇妙に輝く目玉をギョロリとひん剥き、指を出し入れするワレメをギトギトと覗き込んでいる。
 男の精神はかなり壊れていると奥田は思った。その意味不明な言葉とその猟奇的な表情は、汚れた生理用品をペニスに擦り付けていた時よりも更に狂って見えた。
 そんな男の指が激しくピストンし始めた。
「ふあっ……」
 恵子が壁に顔を押し付けながら唸ると、男はハァハァと荒い息を吐きながらも「感じてるのか?」と聞き、更に指のスピードを速めた。
「痛い!」
 恵子が突然尻を引っ込めた。きっと男の伸びきっていた爪が膣壁を擦ったのだろう。
 すると男は突然「痛くない!」と叫び返した。そして恵子のその小さな尻を腕の中にがっしりと固定すると、「痛くない! 痛くない!」と叫びながら更にもう一本指を増やした。
「イヤ! やめて!」
 恵子が激しくもがき始めた。男は「昭和二十八年水戸市の農家の井戸水の中に毒物が混入され」などと、またしても意味不明な言葉を叫びながら、指を押し込んだ穴に舌を伸ばした。
 男の紫色した舌が、恵子の開かれた穴の周りをレロレロと這い回った。興奮しながら舌を回す「はらららら、はらららら」という男の呻き声と、ピタピタピタっという男の舌と恵子のビラビラが触れる音、そして激しく指がピストンする濁音が狭い個室に響き渡った。
「痛い!」
 再びそう叫んだ恵子が男の腕の中からすり抜けた。
 男の指が恵子の穴からヌトっと抜けた。
 壁に頬を押し付ける恵子が、ハァハァと荒い息を吐きながらズルズルとその場にしゃがみ込んだ。
 踞った恵子の小さな体からすすり泣きが聞こえ始めた。
 男はそんな恵子を見下ろしながら、ドロドロに糸を引く指を見つめた。そしてその指先をクンクンと嗅ぎながら、「ズーズー弁を使うと教養のない者として昭和三十九年那賀小学校グラウンドに植えられた天皇陛下の……」とブツブツ呟き、真っ黒に汚れる作業ズボンのベルトを外し始めた。
 ニョキッと凶暴なペニスが突き出された。ゴロッと太く、そして長い。まるで獰猛な獣のようだ。
 紫色の亀頭は野球ボールほどに膨れ上がり、日焼けをしたかのように所々の皮がカサカサに剥けていた。そしてその熊毛のようなゴワゴワとした陰毛の中には、白いティッシュのカスや毛玉などが無数に付着していた。
「しゃぶれ……」
 項垂れる恵子の頭上にソレを突き立てながら男はそう言った。
 恵子はグスングスンと鼻水を啜りながら、恐る恐る顔をあげた。
「どうだ……立派だろ……俺は馬ともヤった事があるんだ……」
 男は誇らしげにそう微笑みながら恵子の目の前でペニスをシゴく。上下に摩擦されるペニスからは、乾燥した皮がまるでフケのようにパラパラと舞い散っていた。
 そんな巨大ペニスに引き寄せられるかのように、瞳をウルウルさせる恵子の顔が少しずつペニスに近付いて行く。
 奥田は(やめろ恵子……)と呟きながら、自分の足下に散乱する汚れた生理用品を見た。そのナプキンの血塗られた部分には、男のペニスが擦り付けられた形跡が残っている。という事は、男のあのペニスには、この誰の物かも知れない汚れた血が塗り込められているのだ。
(あんなモノを口に含めば……病気になるぞ……)
 奥田は焦った。が、しかし、今更どうする事も出来なかった。
 それは、奥田は妻がソレをしゃぶるシーンをムラムラと想像しては、激しい欲情に駆られていたからだ。
 そんな奥田の品粗なペニスの先からは大量の我慢汁が溢れ出していた。奥田はトランクスの中に溢れるネトネトを指先に感じながら、被虐性淫乱な自分を激しく恨んでいたのだった。


—16—

 恵子の細い指が男の巨根の根元を固定していた。
 子猫のように小さくて真っ赤な舌が、紫色の亀頭をチロチロと這い回っていた。
 男は凶暴な表情をしながら恵子を見下ろし、「郵便局員と淀嶋町の真鍋の娘がデキていた事くらい村のみんなは知ってたさ」と意味不明な言葉を呟いていた。
 愛する妻が狂ったホームレスの汚れたペニスを舐めている。
 そんな三流ポルノ雑誌的なセリフが奥田の脳裏を何度も過り、奥田はそんなセリフと共にノゾキ穴を覗きながら我慢汁でネトネトになった陰茎をシゴいていた。
 舌を突き出す恵子は、亀頭の裏にある尿道をチロチロと舐めながら、そのピンク色に輝く美しい唇をゆっくりと開いた。
 巨大な亀頭と同じくらいに口を開いた恵子は、迷う事無くソレを口内へ滑り込ませた。そんな恵子の左手は、しゃがんでいる股間の中でモゾモゾと蠢き、そのヌルヌルに濡れた性器に指を這わせていたのだった。
 恵子の小顔が動くと同時に、ぷちゃ、ぷちゃ、ぷちゃ、っという小気味良い音が響き出した。顔を振りながらゆっくりと目を綴じる恵子は、巨大なソレを口内で感じようとしているようだった。
「あぁぁぁ!」
 突然男が唸った。恵子の髪を鷲掴みにし、「あぁぁ! あぁぁ!」と獣のような唸り声をあげながら、恵子の口内をピストンするシーンを覗き込んでいる。
「スケベだなおめぇは……どうしょうもねぇ変態だな……」
 男はそう呟くと、いきなり恵子の体をドン! と突き飛ばした。
 後の壁に背中を衝突させた恵子は、ハァハァと荒い息を吐きながら男を見上げた。そして男を見つめながら、座り小便するようなポーズで股を開くと、ドロドロに濡れた性器を剥き出しにしてはそこに指をヌポヌポと入れ始めた。
「入れて……おちんちん入れて……」
 そう喘ぐ恵子を見下ろしながら、男は唾液で濡れたペニスを突き出すと、「これを入れて欲しいのか?」と笑った。
 恵子はコクンと頷くと、壁に背中をあてたままズルズルと起き上がった。そして自分でミニスカートを腰までたくし上げ、その子鹿のようにスレンダーな下半身を曝け出しながらゆっくりと後ろを向いた。
「後から入れて下さい……」
 壁に手を付きながら恵子が尻を突き出したのだった。

 奥田は、ここまで我妻が狂っていたとは思っていなかった。もう少しこの男に対し抵抗するものだと思い込んでいた。
 しかし、これが恵子の本性なのだ。自白剤という催眠系の薬を飲まされた恵子は、もはや理性は無くした本能を剥き出しにした一匹の獣なのだ。
(これがこいつの願望だというのか……こいつは今までこんな薄汚いセックスを求めていたというのか……)
 奥田は切なさに包まれながらも、いつもの寝室で、ペニスを舐めてくれと頼んだ時に垣間見せる、恵子のあの貪よりとした陰の表情を思い浮かべていた。
(そうか……あの表情は決して嫌がっていたんじゃないんだ……そうだ、あの陰のある表情は被虐性淫乱症としてのマゾの表情だったんだ……そうだ、あれはきっと、武田のマインドコントロールが利いていた現れだったんだ……)
 あんなチンピラ男に、愛する妻が性的なマインドコントロールをされていたのである。そう気付いた奥田は、狂いそうなほどの嫉妬に襲われた。
(くそう……武田の野郎……)
 奥田の目からジワジワと涙が溢れた。それが頬を伝い、ポタッと革靴の先に落ちた瞬間、隣りから「お願いします……ハァハァ……入れて下さい……」という恵子の震える声が奥田の耳を突き刺した。
 猛烈な怒りの中に、卑猥な欲望が芽生えた。
 奥田は慌ててノゾキ穴を覗いた。
 そんな奥田は、この俺までも武田にマインドコントロールされてしまっているようだ……と呟くと、我慢汁でヌルヌルに濡れたペニスを強く握り、シコシコと上下に摩擦し始めたのだった。

 男は恵子の尻肉を両手で押し開くと、剥き出しになった陰部をジッと見つめながら、何故か「オリエンタル中村!」と意味不明な言葉を叫んだ。
 石焼きイモのようにゴツゴツとした巨大ペニスが、開かれた恵子の陰部の前でピコピコと揺れていた。男は恵子の肛門やワレメのヒダなどを指でグリグリと弄りながら、亀頭をワレメに押し付けた。
「温けぇ汁でヌルヌルだなぁ……」
 男は日本昔話的にそう呟くと、その真っ黒の手の平で恵子の細い肩を固定し、「入れるぞ」と笑った。
 ヌルッと亀頭が刺さった。男がゆっくりと腰を突き上げて行くと、太い肉棒がメリメリメリっと沈んで行く。
「あぁぁぁ……大っきい……」
 冷たいコンクリート壁に顔を押し付ける恵子が唸った。その言葉はまるで、自分のお粗末な陰茎が非難されているような気がして、奥田は悲しいくらいに嫉妬した。
 男の巨大なペニスは、ズッポリと根元まで突き刺さっていた。ホームレスと妻が完全に合体しているその姿は、強烈な絶望感を奥田の精神に与える。
 男は恵子の細い腰を両手で押えながらゆっくりと腰を引いた。ペリペリペリっという粘着性のある音が流れ、真っ黒な肉棒が再び姿を現せた。そしてまたすぐに、男はソレを元に戻す。
 男は快感を味わうかのように、ゆっくりとリズミカルにペニスをピストンさせていた。そして、その結合部分をギラギラと不気味に輝く目でジッと見つめていた。
 そんなピストンが次第に早くなって行くと、それにあわせて恵子の声にも拍車がついた。
 ペニスが根元まで突き刺さる度に、「あぁ! あぁ! あぁ! あぁ!」という動物的な声を上げる恵子は、コンクリート壁の『小学生とヤリたい』と書かれたイラスト付きのラクガキに顔を押し付けながら、気持ち良さそうに目を瞑っていた。
(気持ちいいか恵子……大っきいちんぽは気持ちいいか恵子……)
 嫉妬混じりにそう呟きながら、品粗なペニスをシコシコとシゴいていると、ふと背後に人間の気配を感じ、奥田は慌てて振り返った。

 そこには十代と思われる少年がポツンと立っていた。その肌は女のように白く、スラリと痩せた腰つきもどこか歌舞伎役者を思わせる軟弱さだった。
 奥田は慌ててペニスを隠すと、そのフワフワとした妖精のような少年に「なんだ」と睨んだ。
 少年は大きな目で奥田を見つめながら「僕がしてあげる」と呟いた。そして、一歩奥田に近寄るとそのまま奥田の足下にスっとしゃがんだ。
「な、なんだおまえは、ホモか」
 奥田は手の平で股間を隠しながら戸惑った。
「いいから、おじさんはそのまま覗いてて……」
 少年は震える声でそう言うと、股間を押しあてていた奥田の手の平をゆっくりと剥がし始めた。
 奥田は背筋がゾッとした。過去に何度か同性愛者を取り調べた事もあり、まんざらその世界の知識がなかったわけではないが、しかし実際にこうして体験するのは始めてである。
 奥田は男には全く興味がない。いや、そういった嗜好の者達を気持ち悪いと思うほどである。
 が、しかし、この時の奥田は、妻がホームレスに犯されているという異常な興奮の渦中にあり、その精神状態は普通ではなかった。
 奥田の足下にしゃがんだ少年。そんな少年の茶髪からほんのりとココナッツミルクの甘い香りが漂ってきた。
 みるみると力が抜けていく奥田の手を、股間からソッと離した少年は、そこにピコンっと現れた奥田のペニスを見つめ、乾いた唇を静かに舐めた。
 そんな少年の大きな目がいきなり奥田を見上げた。
「おじさん……濡れてるよ……」
 そう柔らかく微笑む少年は、気味が悪いくらいに美しかった。
「キミは……いくつだ……」
 奥田はそんな少年の美しく透き通る目を見つめながら聞いた。
「16才だよ……」
 少年はジャニーズ的な笑みを浮かべながらそう答えると、ふいにゆっくりと目を綴じた。そして奥田の腰にソッと手を回し、腰に抱きつくようにしながらヘソに頬を押しあてると、「おじさん……早く隣りを覗いてよ……」と、照れくさそうに腹部で呟いたのだった。
 少年のその言葉で奥田は現実に戻った。今まさにこの隣りの個室で、愛する妻が変態ホームレスに犯されているのだ。
 奥田は慌ててノゾキ穴を覗き込んだ。
 恵子の小さな体がガクガクと激しく揺れていた。男は突き出した恵子の尻をパシパシと叩きながら、その尻の谷間にズボズボと巨大陰茎を出し入れしていた。
「変態女め……ぶっ殺してやる……牝豚の淫乱女め……」
 男はそう呟きながら恵子の尻をおもいきり叩いていた。恵子の真っ白な尻肉は、まるで東北の少女のリンゴ病の頬のように真っ赤に充血している。
「あぁぁん!……もっと叩いて!……あぁぁん!」
 パシン! という乾いた音と同時に、恵子は泣きながら叫んでいた。そんな恵子は今までに見た事の無い恍惚とした表情をしており、奥田は一瞬、別人なのではないかと目を疑ったほどだった。
 すると、ふいに奥田の陰茎に快感が走った。
 ノゾキ穴からソッと顔を起こし、静かに視線を股間へと下ろす。
 ぷちょ、ぷちょ、ぷちょ、という卑猥な音と共に、陰茎を銜えた少年がリズミカルに顔を動かしていた。
 奥田はそんなシーンに背筋をゾッとしながらも、しかし、今までに感じた事のないその凄まじいテクニックに、とたんに酔いしれた。
 口内で蠢く少年の舌は、亀頭のあらゆる部分を這い回っては敏感な亀頭に刺激を与えていた。そして、唇をキュッと窄めながら肉棒をヌポヌポとピストンさせている。
 そんな舌と唇を器用に使い分ける少年は、奥田のペニスを銜えながら、自分のペニスをシコシコとシゴいていた。剥き出しになった少年のペニスは陰毛が全て剃られツルンとしていた。それは、まるでシャウエッセンのソーセージのようだった。
「大っきい! 凄い! イッちゃう!」
 いきなり恵子の叫びが隣りから聞こえて来た。恵子が「大っきい」という言葉を口にする度に心を痛めていた奥田は、少年をソッと見下ろしながら聞いてみた。
「おい。正直に答えてくれ。俺のチンポはそんなに小さいか?……」
 ユッサユッサと動いていた少年の顔が静かに止まった。ゆっくりと口を開き、その口内で舌をレロレロと動かしながら亀頭を転がす少年は、白い歯を輝かせながらふいに「あはっ」と笑った。
「な、なにが可笑しい……ちゃんと答えろ……」
 奥田が真っ赤な顔をして睨むと、少年はペニスに吸い付き、チュポッと音を立てながらソレを口から引き抜くと、再びニヤリと笑って奥田の顔を見た。
「凄く小ちゃい。こんなに小ちゃいの始めてだよ」
 そう微笑む少年を見つめる奥田は、そのままぶん殴って和式便器の中に押し込んでやろうかと、一瞬そう思った。
「こんなに小さいと、女の人は全然感じないんじゃない?」
 少年は唾液で光るペニスをシコシコと手コキしながら呟いた。
 怒りと絶望が奥田を襲った。今、隣りの個室では、妻が巨大なペニスを入れられては何度も絶頂に達している真っ最中なのだ。
「イクぅ! イクぅ! イっちゃう!」
 隣りから聞こえて来る妻の声を聞きながら、今まで1度も妻をイカせた事のなかった奥田は今にも泣き出しそうな表情で少年を見た。
 そんな奥田をニヤニヤと見つめる少年は、クチャクチャとシゴくペニスを唇にソッとあてながら「ねぇ、顔に掛けてよ」と目を輝かせた。
 奥田はそんな少年を無視して、ノゾキ穴をソッと覗いた。
 いつの間にか恵子は正面を向かされていた。立ったまま壁に背中を押し付けられ、右足を男の腕に抱えられながら、その開いた股間に巨大なペニスをズボズボと入れられていた。
 それは、ホモ少年に「小さいペニス」と笑われた奥田にとっては残酷すぎるほど残酷な体位だった。過去に奥田は、何度かその体位を試そうとした事があるが、しかし、ペニスが短すぎる為にすぐにヌポッと抜けてしまっていたからだ。
 男は壁に押し付けた恵子のTシャツを乱暴に捲り上げた。釣り鐘型のオッパイがタプンタプンと激しく揺れ、男はその中にハァハァと荒い息を吐きながら薄汚い顔を埋めた。
「あぁぁ! もっと!」
 細いうなじに青筋を立てながらそう叫ぶ恵子と、ふと目が合った気がした。そんな恵子が笑っているかのように見えた。
 再び少年が奥田のペニスをしゃぶり始めた。
 ホームレスに犯される妻を見ながら、ホモ少年にペニスをしゃぶられる。この強烈な変態シチュエーションは、被虐性淫乱症の奥田にとって凄まじい興奮を与えてくれた。
 恵子のワレメに巨根がピストンされるグチョグチョという音と、少年にペニスをしゃぶられるペポペポという音が奥田の脳内で混ざり合い、奥田をみるみる蕩けさせた。
(あぁぁ、イキそうだ……)
 奥田がそう思った瞬間、隣りからも「おお、イキそうだ!」という男の野太い声が聞こえた。
 そう叫んだ男は、いきなり恵子にキスを迫った。
 タチマンで激しく攻められながら強引なディープキスを迫られる妻。そんな悲惨な妻の姿が更に奥田を興奮させ、奥田は足下の少年に「イクぞ」と合図をおくった。
 少年は素早くペニスを口から抜き取ると、唾液でヌラヌラに濡れたペニスを激しく手コキしながら「顔に掛けて」と、ペニスの先を自分の顔に向けた。
 恵子の唇からブチュッと舌を抜いた男が唸り始めた。
「イクぞ、中で出すぞ変態女! あああ、堪らん!」
「あぁぁん! いっぱい出して! あぁぁんイクぅ!」
 奥田はホームレスに中出しされながら悶える妻をジッと見つめながら、「くふっ!」と深い息を吐いた。
 尿道にニュルニュルっと精液が走る。とたんに、ニキビを潰して膿を出した時のような開放感に包まれ、奥田は「あぁぁ!」と背伸びしながら足下の少年を見た。
 ピュッ! ピピュっ! と精液が迸った。それが少年の美しい顔を卑猥に汚して行く。
 少年は精液を噴き出すペニスをシゴきながら舌を大きく伸ばした。少年の赤い舌に真っ白な精液がドロドロと塊を作って行った。
 奥田はモヤモヤとした余韻を感じながら、再び隣りの個室を覗いた。
 男は中出ししたにも関わらず、未だ腰の動きを止めていなかった。
 ふと見ると、そんな男の右手には、剥き出しにされた鋭いナイフが重く輝いている。
 奥田はギョッ! としながら慌てて覗き込む体勢を直し、目を凝らした。
「おまえみたいな変態女はな……ズタズタに切り刻んで豚の餌にしてやるから……いひひひひ……」
 男はガンガンと腰を振りながら、恍惚とした表情の恵子の胸にナイフを向けた。
「乳首から……切りますよ……」
 ナイフの刃が横を向き、そこに蛍光灯の光りがキラリと光った。
 奥田は言葉にならない叫び声をあげると、目の前の壁をおもいきり殴ったのだった。

(続く)

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