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(解説)

度重なる六助からの変態的な指令に、いよいよ直美のM心は熱く騒ぎ始めた。
まだ見ぬ六助の指令を素直に従っていた直美は、いつしかヒキコモリの世界から脱出し始めていた。
そんな直美に与えられた次の指令、それは何も知らない整体師を誘惑するという、「恥骨マッサージ」だった。




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マンションに戻るなり、「どーして俺はいつもホモばっかなんだ!」と大声で怒鳴った六助は、直美が住む1階に向かって、踵でドン!ドン!ドン!と大きく床を踏みつけた。

すかさず窓の外から「うるせぇキチガイ!」という声が飛び込んで来た。
「なにぃ!」と目を吊り上げた六助は、リングのロープに投げられるプロレスラーのように凄い勢いでベランダへと飛び出すと、「上等だコラぁ!ぶっ殺してやるから出て来いこの野郎!」と叫んだ。
マンションの下を歩いていた親子連れが「ひっ!」と飛び上がり、慌ててその場を立ち去った。

どうにもやるせない六助は、ヘタヘタとその場にしゃがみ込んだ。「もうなにもかもイヤんなった・・・」と呟きながら、ベランダの床に書かれた大きな看板を見つめる。

『非常用はしご/非常の場合はこの蓋を開けて階下へ脱出して下さい』

六助はその看板を3度繰り返し読み、そして今こそが「非常」なのではないかとふとそう思った。
(このままだと俺は川俣軍司のようにそこらの通行人を無差別に刺し殺しかねねぇ・・・一刻も早くこの非常な時から脱出しねぇと、大変な事になっちまう・・・・)
そう考えながら、六助は非常用はしごの蓋に手を掛けた。
(このまま下へスルスルっと降りて、あの腐れ変態女をズボズボに犯してやるんだ・・・)
アルミの大きな蓋をゆっくりと持ち上げた時、マンションの下からキキキーッ!と自転車が止まる音が聞こえて来た。

「おい!」
ブレーキの音とほぼ同時に、威圧的な声が響いて来た。
非常用はしごの蓋を元に戻し、ベランダの柵から下を覗き込むと、そこには1人のお巡りが立っていた。

「おまえか叫んでるのは!」
そう威圧的に怒鳴るお巡りは、まだ23、4の子供だった。
「・・・なんの用だ小僧」
六助は唇を歪めながらそう呟くと、ベランダの柵に凭れ掛かりながらお巡りを睨んだ。
「交番に通報があったんだよ。キチガイが叫んでるってな」
「・・・どうしてキチガイが俺だってわかるんだよ」
六助は、カーッと喉を鳴らし、階下のお巡りに向かってペッ!と痰を吐いた。
「おまえのその格好を見ればわかるだろ・・・とにかく、その、チンコを隠せ」
お巡りの、その「チンコ」という言葉が妙におかしく、六助はプッと吹き出した。

「・・・おまえは・・・長岡六助だな。そんな事やってるとまた中に入れられるぞ・・・」
お巡りは自転車から取り出したファイルを見つめながら、六助に向かって薄ら笑った。
どうやらそのファイルには、ここらの住人の前科前歴などがびっしりと書き連ねてあるようだ。
身元がバレているのならこれ以上悪態を付くのは損だと思った六助は、「うるせぇセンズリ野郎」と、階下のお巡りにそう捨て台詞を吐くと、そのままノッシノッシと部屋の中へと入って行ったのだった。


1階のベランダのカーテンの隙間から、路上で二階を見上げている若いお巡りと2階に住む親父のやり取りを盗み聞きしていた直美は、やっぱりこの上に住んでる人は頭がおかしいんだ、と、思いながら、静かにカーテンの隙間をシュッと閉めた。

「また中に入れられるぞ・・・」
直美は若いお巡りの言葉をオウム返しに口ずさみながら、パソコンの前の椅子にゆっくりと腰を下ろした。
(中っていったいどこの事だろう・・・・刑務所?それとも精神病院?・・・・)
直美はそんな事を考えながら、妙に“二階に住んでるおかしな人”が気になった。

冷やしておいたココアを冷蔵庫から取り出す。それは、昨日お母さんに電話をした時、新製品のアイスココアが発売されているから買って来て、とお願いしていた物だった。
最近の直美は、お母さんと電話で話すようになっていた。それまでは買い出しの品を交換日記によって注文していたのだが、例の痴漢電車の時に、母親に「制服を持って来て欲しい」と頼んでからというもの、それから母親とは電話でやり取りをするようになっていた。
一般常識では「母親と電話で話す」など当たり前な事ではあるが、しかし今までの直美にはそれが当たり前ではなかった。直美は、たとえ肉親であろうと言葉が交わせないくらいの重症なヒキコモリだったのだ。
そう思えば、こうして母親と電話で話せるようになったのも、大沼公園や満員電車で“人と接した事”が原因であり、とすれば、これは全てこのきっかけを作ってくれた毒蛇さんのおかげなのだと、直美はまだ見た事もない毒蛇に対し、密かに感謝していたのであった。

そんな毒蛇から新たなコメントが届いた。
とりあえず直美はアイスココアを一口飲むと、次はどんな指令が出されているのか内心ドキドキしながらコメント欄を開いた。

『整体しろ。整体師に恥骨とオッパイが痛いと言え。で、恥骨を治療してる最中に、オシッコ出る所から汁が出るんですって言え。ちなみに恥骨ってのは“恥ずかしい骨”と書いてマンコの骨って事だから間違えるなよバーカ』

そんなコメントのすぐ後に、立て続けに「ヘンタイのバーカ」というコメントが10回続いた。



六助は、「たまごかけごはん」にコメントを入れるなり、何かを思い立ったかのようにフルチンのまま部屋中を漁りまくった。
この男は、部屋中に散らばるコンビニ弁当の空箱とエロ本を掻き分けながら紙とペンを探しているのだが、しかし元々そんな物がこの部屋にあるわけがない。元々、字を書くという習慣のない六助には紙とペンは必要ないのだ。
部屋中を散々掻き回してから、これまでにペンという物を買った記憶がない事に気付いた六助は、隣の204号室へ紙とペンを借りに行く事にした。

ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!
6回立て続けに204号室のチャイムを鳴らす。六助は沢山チャイムを鳴らせば鳴らすほど相手は早く出てくるものだと思い込んでいるのだ。
一呼吸置いてもまだ隣人はドアに出て来なかったため、次は連続20回に挑戦だとチャイムに指を当てた時、カチャッ!っとドアの鍵が開いた。

ドアの隙間から老人がソッと覗いた。チェーンロックは掛かったままだ。
老人はドアの隙間から無言でジッと六助を見つめていた。
「・・・紙とペン貸して欲しいんだけど・・・」
六助の言葉を聞いて、とたんにカッ!と顔を赤らめた老人は、何かを言おうとしていたようたが、しかしそれが上手く言い出せないらしく、口をモゴモゴとさせながらマラソン中の選手のようにフーフーと腹式呼吸しては興奮している。
六助はその老人を見つめマントヒヒのようだと思った。
老人は、何か言いたそうにフーフーと臭い息を吐きながらもふいに視線を下げ、そして突然「ギョッ!」と目を開いた。
六助はフルチンだった。しかも亀頭の先からはニトーッと透明の汁が糸を引いている。
「だから、紙とペンを貸してくれって言ってんだよボケ爺、わかるか?俺の言ってる事?」
六助は悪質ヘルパーのような口調で老人の顔を覗き込んだのだった。

老人が貸してくれたのは、筆ペンと破れたノート1枚だった。
六助はその破れたノートに筆ペンを走らせた。

『板橋整体からのお知らせ』

そう殴り書きすると、立ち上がって遠目で眺め、「うん」と頷いてはまた筆ペンを持った。

『毎度お世話になってます板橋整体です。このたび、出張サービスをする事にしました。だから今回は特別に無量サービスにします。電話番号は090-3521-08××です。24時間やってます』

また立ち上がって遠目で眺める。「無量」の「量」という字に違和感を感じ、携帯で調べてみたらやっぱり間違っていたため、量の部分を筆ペンで塗り消し、「料」と書き加えた。危ない所だった(しかし、サービスをサーズヒと書いてしまっている事には気付いていない)

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山のように積まれた衣類の中からジャージのスボンを引きずり出し、それをノーパンの上から乱暴に履くと、そのチラシを手に部屋を飛び出した。
いつもの非常階段を駆け下りると、103号室の前で急に足を忍ばせる。なぜか息を止めたままこっそりドアポストにそのチラシを差し込み、そしてまた非常階段を駆け上がろうとした。
すると、マンションの駐車場にさっきのお巡りがいるのが見えた。お巡りは白い自転車に片寄りながら、204号室のマントヒヒ老人から何かを聞いている。
直感的に自分の事を探られていると気付いた六助は、非常階段の上から「おい!」と2人に声を掛けた。
老人はその声に気付かないようだったが、若いお巡りは一瞬辺りをキョロキョロとしてからすぐに非常階段の六助に気付いた。
「金貸せよ、金」
六助のその声に若いお巡りは一瞬「きっ!」と睨んだが、しかし、老人が必死でモゴモゴと話し掛けて来る為、仕方なく老人に「うんうん」と頷いていた。

部屋に戻ると、老人から借りた筆ペンを半分にへし折り、中から溢れてきたインクでヌルヌルになったそれを204号室のドアポストに叩き込んだ。
そしてまた部屋に戻ると携帯電話を開く。まだ直美からの連絡はないようだ。

備え付けのクローゼットを開くと、段ボールに入った大量の裏ビデオ(VHS)が山積みになっていた。ヤクザの知り合いから「1本500円で売って来い」と言われて預かっている物だが、しかし今時「裏ビデオ」を買うヤツなどいるわけがない。六助は一度も売り歩く事もせず預かったその日からクローゼットの中に押し込んだままだった。
裏ビデオが詰まっている段ボールの下から小さなバッグを引きずり出した。
大量のホコリが宙を舞い、たちまちクローゼットの中はホコリの妖精達のお祭り騒ぎとなった。
口の中に入ったホコリをペッペッとしながらバッグを開ける。中からは、錆びた刺身包丁1本と磨ぎ石、白い板前甚平、前掛け、日本手拭い、など、板前グッズが出て来た。

白い甚平をバタバタと叩いては広げると、とたんにプ~ンと酢の匂いが部屋中に漂った。
それに袖を通し、浴室に備え付けてある等身大の鏡に自分を映す。

「ま、整体師に見れねぇ事もねぇだろ・・・」

どうやら六助は、この酸っぱい香り漂う板前時代の白甚平を白衣にして、整体師になりすますつもりらしい。


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酸っぱい板前衣装に身を固めた六助は、布団を2つに折り畳んだ物を直美の体に置き換え、ネットで「整体の基礎知識」を読みつつ整体の練習をしていた。

かれこれ、直美の部屋にチラシを入れてから3時間が過ぎようとしている。
六助は何度も何度も携帯を開いては、電波が悪いのか?などと独り言を呟いては部屋の中をウロウロしているのだが、しかし直美からの電話は一向に掛かって来る気配を見せなかった。


その頃直美は、板橋駅の近くにある「金森カイロプラクティックセンター」の前でモジモジしていた。
この「金森カイロプラクティックセンター」は、ネットで調べると直美のマンションから一番近い場所にあった。だから直美はそこに足を運んだのだが、しかし、そこは巨大な3階建てのビルで、1階の駐車場には溢れかえるように自転車が並び、2階の受付には待合室から溢れた患者達が、いたたたたっ・・・などと腰を屈めては並んでいるのだ。
(こんな所で恥骨が痛いなんて・・・・)
直美は行列を作る患者達を呆然と見つめながら既に足は竦んでいた。

「金森カイロプラクティックセンター」に怖じ気づいた直美は、トボトボと駅裏方面へと歩いて行った。
しかしながら、こうして昼の町をあの重度のヒキコモリだった直美が堂々と歩けるなど、数週間前の直美には考えられない事だ。
そんな直美は最近はコンビニにも入れるようになった。店員が手際よくピッピッピッとレジを打つ仕草にはまだ少し恐怖があったが、しかし、それを除けばコンビニなど全然平気になっていた。

そうやってブラブラと駅裏の商店街を歩いていると、ちょっとした細い路地の奥に「整体」という看板があるのを発見した。
ここなら・・・と、思いながら直美がその路地に入ると、そこに潜んでいた3匹の猫がいきなりザワザワっと走り出し、おもわず直美は「ひやっ!」と声をあげてしまった。

簡易的な箱形のその家の前には、白いトタン看板に「整体・花村」とだけ書かれていた。
人のいる気配がまったくしない。
普通なら、こんな人気のない整体には来ないのだが、しかしこの時の直美は普通ではない。毒蛇から淫らな指令が出されている直美には、こんな人気のない静かな所がなによりも好都合なのだ。
意を決した直美は恐る恐るドアを開ける。猫の額ほどの玄関があった。そこには患者の靴らしき物はひとつも見当たらず、下駄箱の中には古ぼけたスリッパがズラリと並んだままだった。

恐る恐る中に進むと、そこはシーンと静まり返りかえっていた。薄暗い待合室の奥に貼ってあった筋肉を曝け出した人体図のポスターだけがやたらと不気味に目立っていた。
受付の小さな窓の前に「御用の方はこちらでお呼び出し下さい」と書かれたプレートが立てかけてあり、その横には家庭用の玄関チャイムが設置されていた。

(ここなら恥骨でも大丈夫そうだわ・・・)

直美は自分にそう言い聞かせると、細い指で玄関チャイムを押したのだった。


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やって来た男は神経質そうな男だった。歳は30前後、髪は綺麗に7・3に整えられ、理数系らしき銀縁眼鏡をやたらとコキコキと動かした。

「どうなさいましたか?」

白い布カバーが掛けられた椅子に直美が座るなり、理数系男は静かにそう呟いた。
「・・・はい・・・腰が・・・」
いきなり「恥骨が」とも言い出せなかった直美は、取りあえず腰に手を当ててそう呟いた。

「突然ですか?」
「・・・はい・・・」
「いつから?」
「・・・今朝から・・・」
「今朝の何時頃?」
「・・・8時・・・か、9時頃・・・」

理数系男は矢継ぎ早に質問してきた。しかし、その間、一度も直美の目を見る事はなく、なにやら机の上でカリカリとボールペンを動かしている。

「その時、つまりその朝の8時から9時の時間帯、あなたは何をしていましたか?」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」

直美が天井をジッと見つめながら考えていると、理数系男は「まぁ、いいでしょう」と、一方的に言葉を切った。

「じゃあ、診察しますので、そちらに治療着がございますからそれに着替えて下さい」

理数系男は机で何かを書きながら、左手だけを診察ベッドの方に向けた。
理数系男が指差した先には、診察ベッドを仕切るパーティションが立ててあり、そのパーティションにはクリーニングのビニールに包まれたままの治療着がハンガーに吊るされていた。

理数系男がカリカリと机に向かっている真後ろで、ソッと治療着を手にした直美は、理数系男の痩せ細った背中を見つめながら治療着をビニール袋から取り出した。

「・・・あのぅ・・・これは服の上から羽織ればいいんですか?・・・」
治療着を手にしたままの直美が恐る恐る理数系男の背中にそう聞くと、理数系男は「服は脱いで下さい」と面倒臭そうに言った。

しばらく沈黙が続いた。直美はそのピンク色した治療着を手にしたまま立ちすくみ、どこからか聞こえて来るカチカチカチという時計の針の音を数えていた。

「・・・あのぅ・・・下着は脱がなくてもいいんですよね・・・」

沈黙を破るかのように直美が恐る恐るそう尋ねると、理数系男はペンのスピードをカリカリと早めながら「当たり前でしょう」と、まるで怒っているかのように答えた。

理数系男の「当たり前でしょう」と言った、その冷たい口調が妙に直美を興奮させた。

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理数系男の冷たい背中をチラチラと見ながら服を脱いだ。上着を脱ぐとノーブラの巨乳がブルルっと揺れながら溢れた。
ストッキングだけは残したまま、そそくさと治療着を羽織った直美は、そのまま静かにベッドの上に座り、黙ったまま理数系男の背中を見つめていた。

結構な時間が過ぎた。静まり返った診察室には時計の針の音と理数系男が走らせるボールペンの音だけが小刻みに響き渡っている。

しばらくすると、理数系男の背中がピタッと止まった。
そして「ん?」といいながら理数系男がクルッと振り返った。

「・・・・あんた何やってんの?」
「・・・・・えっ?」
「着替えたんなら着替えたって言いなさいよ・・・」

理数系男はフーッと不機嫌そうな溜息を漏らすと、持っていたボールペンを投げ捨てるかのように机の上に放った。そして気怠そうに立ち上がると、健康サンダルをペシャ、ペシャと言わせながらベッドに近付き「寝て」と神経質そうにそう言ったのだった。

うつ伏せに寝転んだ直美は、腰をグリグリと弄る理数系男のそのあまりにも細い指にベビーキャロットを連想した。
「今までに腰を痛めた事は?」
理数系男はまるで物を扱うかのように淡々と直美の腰を指で押しながらそう聞いた。
「今までって・・・いつからですか?・・・」
「いつからとかそー言う事を聞いてるんじゃなくて、今までにって聞いてるんですよ」
理数系男は神経質そうな銀縁眼鏡をコキコキとあげながら、やたらと何かにイライラとしていた。
「・・・今までには・・・ないです・・・」
「初めてなの?」
「・・・はい」
理数系男は「チッ」と小さく舌打ちをした。今までに腰を痛めた事のなかった直美は、なにかとても悪い事をしたような気分になった。

「とりあえず、今日の所は一般的なマッサージをしておきますから。それでもまだ痛いようだったら、どこかの大きな病院でレントゲンとか撮ってもらったほうがいいと思いますよ」
理数系男は投げ遣りにそう告げると、ベビーキャロットのような指を腰から肩へと移動させ、直美の肩を機械的に揉み解し始めた。

(恥骨が痛いんですけど・・・)
毒蛇の指令であるその言葉をいつ言い出そうかと迷っていた。
そんな事をこの神経質そうな男に言えば、たちまち面倒臭そうに「大きな病院行けば?」と言われそうで怖かった。
いつ言おうかと直美が焦っていると、理数系男が「次、上向いて」と溜息混じりに言った。

仰向けに寝転がると、理数系男の様子がつぶさに観察する事が出来た。うつ伏せで見えない状態よりも、このほうが幾分か言いやすいと直美は少しホっとする。
腕をモサモサと揉まれている時、なにげに理数系男と目が合った。
なぜか理数系男は挑戦的な目で直美を見返す。直美は、狂った犬と目を合わせてしまった時のように、慌てて理数系男から目を反らすと、そのままゆっくりと目を綴じたのだった。

しばらくの間、機械的なマッサージが続いていた。その間、誰一人としてここを訪れる者はいなかった。
理数系男のベビーキャロットが直美の太ももに移った時、ふと理数系男が呟いた。
「ここへは誰かの紹介できたの?」
「・・・・いえ・・・たまたま通りかかって・・・・」
「たまたま通りかかったって・・・腰が痛いのに?」
「・・・は、はい・・・・」
理数系男のその納得の行かない聞き方に、直美はなぜか酷く動揺した。毒蛇の指令を実行しようと企んでいるのがバレるのではないかと焦ったのだ。
しかし理数系男は「ふーん・・・」と投げ遣りに言っただけで、それ以上深くは追及して来なかった。

しかし、それにより、(恥骨が痛いんです)と、余計言いにくくなった。この状態で恥骨などという言葉を、ヒキコモリで小心者の直美が言い出せるはずがなかった。
しかし、直美はなんとしても毒蛇の指令は遂行したかった。このヒキコモリの世界から完全に脱出する為には毒蛇の無謀な指令をなんとしてもクリアしなければならないのだ。

直美はギュッと強く目を綴じた。
どうしよう・・・どうしよう・・・・
暗闇の中で何度もそう呟く。
子供の頃、真夜中におしっこがしたくなった直美は、真夜中に便所に行くのが怖かった為、一晩中布団の中でトイレに行こうかどうしようかと悩んでいた事がある。そんな夜が続いたある日、我慢出来なくなった直美は、布団の中でそのままおしっこをしてしまった。その時の開放感といったら空を飛ぶような気分だった。それは、溜っていたおしっこを放出したという開放感ではなく、もうトイレに行こうかどうしようか悩まなくてもいいという開放感だったのである。

あの時の開放感を直美はふと思い出した。
(そうだ・・・言ってしまえばいいんだ・・・)
そう決心した瞬間、直美はゆっくりと目を開き、直美の脹ら脛を機械的に揉んでいる理数系男に向かって「あのぅ・・・」と声を掛けた。

「なんですか」
やはり理数系男はイライラしていた。とたんに直美は怖じ気づいたが、しかしあの時のおしっこを放出してしまった時のように、もうどうにでもなれ!と言葉を続けた。

「実は・・・恥骨が・・・痛いんです・・・」

理数系男の手がピタッと止まった。

「・・・・・・・・・」

理数系男は微妙に顔を斜めにしながら「恥骨?」と聞き直した。

「はい・・・ち、恥骨です・・・」

恥ずかしそうに顔を赤らめながら呟く直美に、理数系男は神経質そうな眼鏡をコキコキと動かしながら、「恥骨?」ともう一度聞き直しながら不思議そうに直美の顔を見たのだった。



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その頃六助は、板前の白甚平を小粋に羽織りながらも、薄汚い取調室で屈強な男達に囲まれていた。

「だからシャブやってねぇって言いきるんなら小便取らせろって言ってんだよ!小便をよぉ!」
異様に額の狭いドングリ親父が六助の目の前の机をドンドンドン!と3回叩きながら怒鳴った。
「小便小便ってうるせぇヤロウだなぁ、テメーら変態か!」
六助も負けずに噛みついた。

六助の容疑は「器物損壊」。隣の老人の筆ペンを破壊したという事で、例の若いお巡りから交番まで任意同行を求められたのだが、しかしいきなり発狂した六助が、老人をぶっ殺すと暴れ出したため慌ててパトカー3台が駆けつけるという騒ぎに発展してしまったのだった。

「なぁ長岡よぉ・・・・」と、妙に物わかりの良さそうなスマートな刑事が、怒り狂うドングリ刑事の後ろからパイポを前歯でカリカリさせながら出て来た。
きっとこいつはキャリア組だな、っと六助はそのスマートな刑事をジロッと睨んだ。
「・・・一応、これも俺達の仕事なんだよな、わかってくれや・・・おまえが覚醒剤をやってないっていうなら、その証拠を俺達に見せてくれればいいんだよ、そうすればすぐに帰れるんだから・・・な?」
スマート刑事はそう微笑みながら、黒いスーツの内ポケットからセブンスターを取り出すと、さりげなくそれを六助に勧めた。
パイポを齧っていながらも懐に商売用の煙草を仕込ませておくとは、やっぱりこいつはキャリアだな、と、そう思いながらも六助は3本まとめて煙草を抜き取った。

「・・・まぁ、別に小便くらい取らしてやってもいいんだけどよ、たださぁ、筆ペンを壊しちまったくれぇでいきなり本署に連行してよ、頭ごなしに『シャブ喰ってるだろ!』ってのは、ちょっとやりすぎじゃねぇのか?おかしいだろ?」
六助がスマート刑事にそう言うと、ドングリ刑事がメラメラと真っ赤な顔をして「変態のくせに調子に乗ってんじゃねぇ!強制採尿するぞコラぁ!」と六助の机をおもいきり蹴飛ばす。すかさずスマート刑事が「まぁまぁまぁまぁ・・・」とドングリ刑事を宥めながら、六助に向かって「わかった、わかった。それは俺達が謝るからさ、だからさっさと尿だけ検査して早く帰ろ、な?」と、余裕の笑みを浮かべた。

もし、これで尿から覚醒剤反応が検出されたら、確実に六助はこのスマート刑事の奴隷にされるであろう。つまり「警察の犬」というヤツだ。キャリアはこんなテクニックを良く使う。わざと情を掛けながら、冷静に被疑者をジワリジワリと追い込み、がんじがらめに縛り付けては、自分の出世の為に「汚れ者たち」を利用するのである。
そんなキャリアの手口を嫌というほど知り尽くしていた六助だったが、しかし今回の六助はこのキャリアの手口にハマっても何も問題はなかった。そう、六助は覚醒剤を買う金すらなく、ここ何年もシャブを打っていないからだ。だから六助の小便をどれだけ検査しても、甘党の六助の小便からは尿糖くらいしか検出されないのである。

「よし、じゃあアンタの顔に免じて、素直に小便くれてやるよ」
六助も恩着せがましくスマート刑事にそう言うと、スマート刑事は「そうか、悪いねえ」と笑いながら、すぐさまドングリ刑事を尿検査の準備に取り掛からせた。

「ところでアンタ・・・・」
六助は奪い取った煙草の1本に火を付けながらそう言うと、おもむろにスマート刑事の顔を覗き込んだ。
そして、スパっと一服吸ってから「俺とどっかで会った事ねぇか?」と、ゆっくりと煙を吐いた。
「ん?」とスマート刑事も六助の顔を覗き込む。しかしスマート刑事はすぐに「いや、知らないねぇ」と首を傾げた。
「アンタ元々防犯かい?」
六助はギィギィとうるさい椅子に凭れながら聞いた。防犯とは、今で言う生活安全課の事だ。
「そうだよ。まぁ刑事なんてみんな同じような顔さ」
スマート刑事はハハハハハと爽やかに笑いながら話しを逸らしてしまったが、しかし、六助はこのスマート刑事のニヤけたスケベ面を絶対にどこかで見ていると確信する。しかし、それがどこで見た顔なのかをなかなか思い出せない六助は、自分の最近の物忘れの激しさに、密かに恐怖を感じていたのであった。


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「恥骨ってのは・・・この辺りの事を言うんだけど・・・」
不思議そうな表情をした理数系男は、「ちょっと失礼」と言いながら直美の盛り上がった下腹部に静かに手を置いた。

理数系男のベビーキャロットのような細い指が直美の土手の上でサワサワと蠢いている。
直美は恥ずかしさと興奮に包まれながら、おもわず両目をギュッと瞑ってしまった。

「そんなに痛いの?」
そんな直美の表情を見下ろす理数系男は、神経質そうな眼鏡をクイッと上げながら慌てて土手から手を引いた。
「・・・はい・・・」
「だったら大きな病院で診て貰った方が・・・」
「いえ、診て貰いました」
咄嗟に嘘を付く直美。
「・・・で、どうだったの?」
「はい・・・お医者さんには、これは整体師さんに診て貰いなさいって言われました・・・」

そんな直美のデタラメに、理数系男は疑う事もなく「ふぅ~ん・・・」と返事をしながら、再び直美の土手をワサワサと揉み始めた。

「どこがどんな風に痛いの?・・・もっと詳しく教えて貰えるかな・・・」

直美は目をギュッと瞑ったままソロリソロリと下半身に手を伸ばし、浴衣を静かに捲り上げると、ストッキングに包まれた下腹部を露出しながら説明を始めた。
「ここの骨と・・・」と、直美は恥骨を指差し、そしてゆっくりと股の中へと指を下ろして行き、股間の太ももの付け根のスジを指差しながら「ここのスジがズキズキと痛むんです」と、必死に説明した(さすがに、毒蛇の指令にある『おしっこでる所から汁が出るんです』までは言い出せなかった)。

理数系男は、いきなり露にされた直美の下半身に明らかに動揺していた。しかし、すぐに冷静さを取り戻した理数系男は、「太ももの付け根だったら座骨神経かも知れないなぁ・・・」と独り言を呟きながら、ストッキングがムチムチに張り付いている直美の太ももに静かに手を置いた。

理数系男の手の温もりを太ももに感じた直美は、おもわず声を洩らしそうになった。理数系男のその細い指は、あの満員電車で悪戯された時の痴漢達の手の温もりと同じだったのだ。
理数系男はそんな直美の様子に気付く事なく、自然にその細い指を股間の中へ差し込み、そして太ももの付け根のスジをコリコリと触った。

無意識に直美の太ももがギュッと閉じる。いきなり太ももに挟まれたその細い指は、太ももに圧迫されながら直美のクロッチ部分に触れた。
「ちょっと力を抜いて・・・・」
直美のクロッチ部分に指が触れたにも関わらず、平然とそう言いながら直美の股を開こうとする理数系男。
その理数系男の冷静さが更に直美の欲情をそそった。

「これ、痛い?」
理数系男は太ももの付け根をコリコリとしながら聞いて来た。
「・・・少し・・・」
「じゃあコレは?」
理数系男の指がスジを通って膣に近付いて来た。
「・・・もっと右のほうが・・・痛いです・・・」
「右?・・・この辺?」
更に奥へと移動した理数系男の細い指は、あと数センチで膣に到着する。
「・・・もう少し・・・右です・・・」
「・・・・・・」

理数系男の人差し指は、直美の膣のヒダヒダを押し付けていた。
不思議そうな表情の理数系男が、確認するかのようにもう一度ソコをコリコリと動かすと、おもわず直美は「あぁん・・・」という声を洩らしてしまった。

サッと理数系男が手を引いた。
沈黙が続く。
おもわず声を出してしまった直美は、理数系男を怒らせてしまったに違いないと、怖くて目が開けられないままその沈黙の中で静かに息を殺していた。

かなりの時間、沈黙が続いていた。
ベッドの横に理数系男の気配はあるものの、しかし理数系男は無言のままピクリとも動かないでいる。
直美は、鬼のような形相で直美を睨んでいる理数系男の顔を想像し、あまりの恐ろしさに瞳をブルブルと震わせながら薄目を開けた。

ボンヤリと理数系男の白衣が見えた。しかし、そこにあるはずの理数系男の顔がない。
視界をブルブル震わせながら更に目を開く。理数系男の屈んでいる腰が見えて来た。
「え?」と思いながら、見やすいように枕から少しだけ頭を浮かし、ベッドに横たわる自分の足下を見た。

理数系男が直美の股間に顔を近づけていた。理数系男は神経質そうな眼鏡を指で摘んだまま、ストッキングに包まれた直美の股間をジッと見つめていたのだ。

直美の視線に気付いた理数系男は、一瞬ギョ!っと直美を睨んだが、しかし、すぐさま冷静な表情に戻ると、ゆっくりと顔を上げながら「椎間板ヘルニアの疑いも無きにしもあらず・・・」と、独り言のように呟き、そして「そのままちょっと待ってて・・・」と言いながらサンダルをスタスタと言わせては隣の部屋へと消えて行ったのだった。


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理数系男が隣の部屋に消えてから5分程経過していた。直美が寝ている診察ベッドからは、壁に掲げられた丸い時計と、ガイコツのイラストが描かれる人体図のポスターが真正面に見えた。
カチカチと音を立てて時を刻む時計の針を見つめながら、直美はこっそり下半身に指を這わせてみた。
ストッキング越しにネチャッとした感触が伝わる。直美の性器から溢れ出したいやらしい汁は、パンティーを通過しストッキングまでもヌルヌルと濡らしていた。
(濡れてるのを見られてた・・・・)
直美の胸はドキドキした。パンティーとストッキングに滲んだ大きなシミを、理数系男がジッと覗いていたのを思い出すと、あまりの恥ずかしさに胸の鼓動が時計の針のように大きく鳴り出した。
ハァハァと熱い息が直美の唇から溢れて来る。このままここでオナニーしたいと素直に思った。

奥の部屋からは微かな音が聞こえて来た。
それは理数系男がペンを走らせるあの音ではない。それとは明らかに違う、何やら唯ならぬ雰囲気が漂う「音」が微かに聞こえて来た。

直美は何かに取り憑かれたかのようにゆっくりとベッドを起き上がると、フローリングの床にストッキングの裏を滑らせながら静かに理数系男のいる部屋へと忍び寄る。
「事務室」とプレートが貼ってあるドアの前で足を止めた直美は、理数系男が入ったっきり出て来ないその部屋を、壁に顔を押し当てながらソッと覗いた。

黒いソファーが向かい合わせて並んでいる前に、白衣を着た理数系男が立っていた。
理数系男は立ったまま体を小刻みに上下に揺らし、目をギュッと瞑ったまま天井を見上げていた。
理数系男の半開きの唇から、ハァハァという荒い息が洩れているのが直美の脳味噌をクラクラとさせた。

きっとこの真面目な理数系男は、自分の理性を失わない為にもその本能を放出しようとしているのだろうと、直美はその姿を見てそう思った。しかし、ここで本能を失われては、せっかくの直美の作戦は失敗となってしまう。直美は、もう既に絶頂を迎えそうな理数系男のその表情に危惧し、慌ててベッドへと戻ると、いきなり「すみません・・・」とドアの向こうへ声を掛け、その絶頂の邪魔をした。

「・・・はい」
一呼吸置いて返事が帰って来た。慌ててベルトを締めようとするカチカチという金属音も同時に聞こえて来る。
しばらくすると、スタッスタッスタッ・・・というスリッパの音が近付いて来て、理数系男の「どうしたの?」という声が、目を閉じている直美の頭の上で響いた。

「・・・あのぅ・・・実は、胸も痛いんです・・・」
直美はギュッと目を閉じたまま毒蛇のもうひとつの指令を遂行した。
「・・・胸?」
「・・・はい・・・」

理数系男は明らかに固まってしまっていた。直美はそんな理数系男を挑発するかのように、目を閉じたままで治療着のヒモを探り当てると、それをゆっくりと引いてはノーブラの胸を全開させたのだった。

「む、胸って・・・胸のどの辺?・・・」
理数系男は、曝け出された直美の巨乳を見つめたままシドロモドロにそう答えた。
「・・・わかりません・・・わからないけど、なんか苦しくて・・・・」
「く、苦しい?・・・」
「はい・・・・あぁぁ・・・・」
見られる事に感じ始めた直美は、腰をエビ反りにさせながら乾いた息を苦しそうに吐く。

「ど、どの辺かな・・・」
そう言いながら、つい今までペニスをシゴいていた理数系男の細い指が、直美のマシュマロのように柔らかい乳肉に触れた。その指は小刻みに震え、明らかに理数系男が欲情している事がわかった。
「うぅん・・・・」
目を閉じたままの直美は、半分脱ぎかけの治療着で両腕を拘束されながら体を捩った。両手を不自由な物にしているその治療着が、まるで縛られているかのような感覚へと変わり、Mっけのある直美は更に欲情する。
そんな大胆な直美を見下ろす理数系男も次第に大胆になってきた。

「胸が痛いのは、もしかしたら座骨神経からきているのかも知れない・・・・」
そう独り言を呟きながら、直美の巨乳を両手で鷲掴みにし、それを激しく揉み始めた。

理数系男のその乱暴な揉み方に、直美は、この男は女に馴れていない、と、すぐに読み取った。
今まで直美の体に群がって来た男達。海の家の若者、大沼公園の親父、そして満員電車の痴漢達。そんな彼らと比べると、この理数系男はまるで子供のようだと、直美はそのぎこちない胸の揉み方から素直にそう感じ、とたんに母性本能をくすぐられた。

理数系男は直美の頭上へと移動すると「座って」と、目を閉じる直美に囁きかけた。
直美はいったい何をされるのかとドキドキしながらゆっくり体を起こす。
理数系男はベッドに座る直美の背後にピタリと寄り添いながら立った。そして背後から静かに手を伸ばし、ボテッと重い直美の巨乳をゆっくりと揉みしだいたのだった。

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               29


背後から伸びる理数系男の両手は、円を描くようにして直美の巨乳を愛撫した。
直美の背中に固くてコリコリしたモノが押し付けられている。そんなシチュエーションに、直美はいやらしい汁が溢れ出している壷を弄りたくて弄りたくウズウズしていた。

理数系男は胸を大きく揉みながらも、時折、わざとらしく人差し指を乳首に押し付けたりとしていた。その度に「あぁぁん・・・」と声を洩らしてしまう直美に、理数系男は「ここが痛いのかな?」などと、まるで昭和のエロトピアのようなセリフを恥ずかしげもなく平気で吐き、そしてとぼけながらも小刻みに乳首を転がした。
その度に大胆な声をあげる直美だったが、しかし、その目を開く事はまだできなかった。


そんな恥ずかしそうに悶える直美に、「・・・楽になって来た?」と、理数系男が背後から直美の首筋にそう語りかけて来た。
「・・・はい・・・」
必死にそう答える直美は下唇の端を前歯でキュッと噛む。

「一応、キミの治療はこれで終わりなんだが・・・もしキミさえ良かったら、このあと、私の家で個人的に治療を続けてやってもいいけど・・・・どうする?時間はある?」
理数系男は直美の首筋に微かに唇を触れさせながら、いやらしくそう囁いた。
確かに、このままではどうにも治まりのつかなかった直美はこのままこの男に犯されてもいいとさえ思っていたが、しかし、この男にどこか違う場所に連れていかれるのは少し怖かった。
それに・・・毒蛇の指令はそこまで書いていないのだ。

「でも・・・・・」
俯いたまま直美がそう答えると、理数系男は急に口調を変え「どうしてだ」と乱暴に聞いて来た。
とたんに直美は恐怖を感じた。あの事務室と呼ばれる部屋で、患者に隠れてこっそりオナニーをしていた変質者ぎみのこの理数系男を、直美は素直に怖いと感じた。

「せっかく無料で治療してやろうと言ってるんだ。私だって暇じゃないんだよ、わかるか?」
理数系男はそう言いながら、直美の乳首を凄い力でギュッ!と摘んだ。

「うっ!」と体を丸める直美を睨みながら「アッチが痛いコッチが痛いと、勝手な事ばかり言いやがって・・・」と呟き、理数系男はベッドの横にやって来た。
「本当はどこが痛いの?えっ?どこが痛いのか言って見なさいよ!ほら、ここか!それともここか!」
理数系男は猟奇的にそう叫び始めると、直美の乳首を摘んだり、横腹の肉を摘んだりとしながらハァハァと荒い息を吐いた。
そして、ベッドの上で踞っては脅えている直美の股間に手を押し込むと、「ここだろ!ここを一番治療して欲しいんだろ変態!」と叫び、直美をベッドに押し倒すとアソコに指をグリグリと押し付けて来た。

「イヤ!」
ベッドに仰向けになった直美は、両手で顔を塞いだ。
理数系男はハァハァと荒い息を吐きながら、「恥骨の治療をしてやるから・・・大人しくしてろ・・・」と苦しそうに吐き捨て、そして直美の股を押し広げるとその中へ顔を押し込みながら性器の部分をグリグリと指で押し続けた。

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クリトリスを指で抓られ、全身に激しい電気を走らせた直美は、そのまま理数系男のなすがままとなった。
理数系男はストッキング越しに直美のアソコに鼻を押し付け「クセぇんだよヤリマン・・・」とブツブツ呟きながら、まるで豚のようにクンクンと匂いを嗅いだ。

身を捩らせながら直美が薄目を開ける。
直美の股間に鼻を押し付ける理数系男の眼鏡はズレ、その奥で異様にギラギラと輝いているその細い目は、とても猟奇的だった。

「キチガイになるくらい犯してやる糞ヤリマン女・・・・」
理数系男がそう呟きながらストッキングに手を掛けた時、ふいに受付の方からガラガラガラっとドアの音が聞こえた。

直美の股間の中で、眼鏡をズラしたまま「ちっ!」と舌打ちをする理数系男。

「ごめんくださーい・・・・」
恐らく豚のようにブヨブヨに太っているだろうと想定出来る、おばさんの野太い声が治療室に響いた。

直美の股からゆっくりと顔を出した理数系男は、ベッドの上で脅えている直美に「そのまま動くなよ・・・」と言い捨てると、不貞腐れたようにスリッパをパシャパシャと鳴らしては受付に向かった。

「あら先生どーも」
きっと豚のような体だろうと想像出来るおばさんの、妙に弾んだ声が聞こえて来た。
「また膝が痛いのよ・・・」
きっと太り過ぎで膝が悲鳴をあげているのだろうと、ふとそのおばさんの豚のような体型を想像した直美は、ベッドの上でクスッと笑った。

いきなり待合室のテレビが付けられた。再放送されている時代劇のチャンバラの音が、キーン!カキーン!と響き、「おぼえてろよ!」という声と共にザッザッザッザッ!と逃げて行く刺客達の足音が遠離って行くのが聞こえた。

しばらくして理数系男が戻って来た。
焦った表情の理数系男は、ベッドの上でハァハァと荒い息を吐いている直美に、「明日、もう一度来なさい」と鋭い目を向けると、小さな声で「早く服を着ろ」と篭の中から直美の上着を取り出し、それを直美の下半身にパラリと掛けた。

そんな、急に脅え始めた理数系男が無性に可愛く思えた直美は、立ち去ろうとする理数系男の腕をギュッと掴んだ。
無言でキッと直美を睨む理数系男。
直美は、ベッドから半身だけ体を起こすと、カチカチと音を立てて理数系男のベルトを外し始めた。
(やめなさい!)
慌てた理数系男が無言で叫ぶ。

理数系男が抵抗しようとした時には、既にズボンはベルトの重みでストン!と足首にまで落ちていた。
(待て!)
そう制止する理数系男を無視して、直美は大胆にも理数系男のトランクスをズリ下げた。
ダランと項垂れたペニスの先からは、大量の我慢汁が糸を引きながら輝いている。
直美は理数系男の腕を掴んだまま体を移動させ、その勢いで、その萎れたペニスをツルン!と口の中へ吸い込んだ。

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「あっ!」
おもわず声を上げる理数系男。しかしその声は、待合室から聞こえて来る「御用だ!御用だ御用だ!」という岡っ引きの声に掻き消され、待合室まで届く事はなかった。

直美の生暖かい口内で、萎れたペニスがコロコロと舌で転がされている。
仮性包茎の皮を舌で器用に捲る。ヌルンと捲れた皮の裏から溢れて来た違う味がする汁を舌先に感じながら、直美はゆっくりと顔を上下に動かした。

「はぁぁぁぁ・・・・・」
抵抗を諦めた理数系男は、上下される直美の頭部に軽く手をあてながら深い溜息を洩らす。
唇に摩擦されたペニスは、直美の口内でグングンと膨らんで来た。直美はそのコリコリと固くなったモノをまるでアイスキャンディーをしゃぶるかのように美味しそうに舐めまくった。

待合室からおばさんの咳払いが聞こえた。診察室と待合室にはベニヤ板のような薄い壁が1枚あるだけで、耳を澄ませば互いにどちらの様子も一部始終伺う事ができる。
理数系男はそんな待合室を気にしながら、ペニスを頬張る直美の頬を優しく撫で、そして寝言のような小さな声で「イクぞ・・・」と囁いた。

理数系男がそう囁いてから、3秒後、直美の口の中に熱い汁が激しく飛んだ。その精液は、センズリを途中で邪魔されたせいか、もの凄い勢いで飛び出し、そして直美の喉ちんこに激突した。口の中で何度も破裂を繰り返すペニスを必死になってウゴウゴと上下させ最後の1滴までも吸い取ろうとする直美。

「・・・いいか・・・ちゃんと明日も来るんだぞ・・・・明日はたっぷりと治療してやるから・・・いいな・・・わかったな・・・・」
理数系男は半目をうつろに開かせながら、精液をクチュクチュと吸う直美を見下ろしそう呟く。
最後の1滴まで愛おしそうに吸い尽くした直美は、ペニスを喰わえたまま上目遣いに理数系男を見上げ、ニコッと微笑んだ。
微笑んだ直美の唇の端から白濁の汁がヌルッと溢れた。
その後、直美がこの理数系男と会う事は二度となかった。

(第6章/寝取られの章へつづく)


(たまごかけごはん/目次)
第1章/下着泥の章 
第2章/洗脳の章 
第3章/強姦の章  
第4章/痴漢の章  
第5章/恥骨マッサージの章
第6章/寝取られの章
最終章/天誅の章 

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