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眠れない夜8

2013/05/30 Thu 18:04

眠れない夜8




 深夜二時。
 いつもの児童公園のベンチで、一人私はポテトサラダを貪り食っていた。

「自律神経のバランスが狂い交感神経の緊張が異常に興奮しているのです」

 精神科の医師にそう診断された私は、随分長い事不眠症を煩っていた。
 眠れない。
 眠れないのは非常に辛い。
 それがわかっているから夜が怖く、だから私は、いつもこうして誰もいない深夜の児童公園を眺めていた。
 しかし今夜の私はいつもの私とは違っていた。
 そう、今現在、私の家では、妻が部下に寝取られている最中なのである。
 確かに、いつもの私は、精神科の医師が診断したように、「自律神経のバランスが狂い、交感神経の緊張が異常に興奮していて眠れない」のであろう。
 が、しかし今夜の私は、「精神のバランスが狂い、妻を他人に与えた事による異常興奮」で目が冴え、それで眠れないのである。

 漆黒の闇に包まれた公園の奥では、錆びたブランコが夜風に吹かれては、ギコギコと耳障りな音を鳴らしていた。
 鬱蒼とした森林は夜風でザワザワと靡き、まるで八十年代のゾンビ系B級ホラー映画のワンシーンのようだ。

 そんな不気味な深夜の公園で、一人ポテトサラダを黙々と貪り食っていた私は、それでもしっかり勃起していた。
 ぐにゃぐにゃのポテトサラダを口一杯に頬張りながら、若い片桐に激しく突かれまくっては、ひぃーひぃーと乱れている妻の姿を想像し、嫉妬と興奮に悶えていたのだった。

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 ふと、セックス時の妻の荒い息づかいを思い出し、私は都会の生温い夜風に吹かれながら「殺してやる」と拳を握った。
 かと思えば、今頃、動物のように本能だけで喘いでいる妻に異様な興奮を覚え、ズボンの上から勃起するペニスを握りしめたりしていた。

 そんな、嫉妬と興奮を繰り返す私は、明らかに精神が破壊されていた。
 私はベンチの上で四つん這いになりながら、そこに置いたポテトサラダを犬のようにペロペロと舐め始めた。片桐にクンニされている妻の姿を想像し、口の周りをベトベトにさせて舐めまくった。
 そして、口内に溜めたクリーム色のポテトサラダを地面にブチョっと吐き出すと、口内射精された妻が精液を吐き出すシーンを思い浮かべた。
 更に欲情した私は、地面に滴る液状化したポテトサラダを眺めながらベンチに股間を擦り付けた。まるで発情した犬のようにハァハァと息を吐く私は、ベンチに腰を振りながら馬鹿みたいに悶え狂っていたのだった。

 完全なる変態性欲者と化した私は、ポケットの中から妻の下着を取り出した。
 それは、さっき妻の下着を脱がした時に、こっそりと持ち出して来た代物だった。
 下品な笑顔を浮かべながら下着を開くと、水銀灯の灯りにテラテラと輝く卑猥なシミが映し出された。

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 ジーンズを脱がし始めた時点で、既にこれだけ濡れていたと言う事は、やはり妻は最初から目を覚ましていたに違いなかった。
 という事は、妻は片桐の前で服を脱がされる事に欲情していたのだ。若い男に性器を見られたいと密かに興奮し、そして若い男の前で私に性的悪戯されながら、密かに感じていたのだ。
 そんな妻の淫乱性に、メラメラと怒りを感じると共にムラムラと興奮した。
 今から家に引き返し、二人のセックスに乱入しては、その妻のヌルヌルと滑る膣の中に射精したい衝動に駆られた。

 我慢できなくなった私は急いでズボンのチャックを開けた。包茎が捲れた真っ赤な亀頭を夜風に晒すと、ネバネバする恥垢はすぐさま乾き、まるで鳩の糞のようにカピカピになった。
「あぁぁぁぁぁぁ……」と呻きながらそれをシゴき、妻の下着の湿ったシミを鼻に押し付けた。
 熟れた中年女の饐えた陰部の臭いが脳を刺激し、おもわずそこをペロペロと舐めてしまっていた。
 このまま下着に射精したいと思った。
 ベンチの上にそれを広げると、素早く地面に両膝をついた。下着の湿った部分に亀頭を向けながらシコシコとシゴき、カリ首の下に張り付いていたカピカピのカスを、消しゴムのカスのように丸めてやった。

 狂ったようにペニスをシゴいていると、ふと、片桐が、あの巨大なペニスを妻の穴の中にヌルヌルと滑らせているシーンが頭を過った。

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 私はヒステリックな女のように「ひぃー」っと悲鳴を上げて嫉妬すると、その後にすぐさま迫り来る快楽に「あっ、あっ、あっ」と情けない声を出して悶えた。
 すると、すぐ後ろの歩道を自転車が走り去っていった。
 幸いにも、自転車を運転していたおっさんは、変態オナニーをしている私には全く気付かなかったため良かったが、しかし、酷く焦った私は急いでペニスをズボンの中に押し込み、慌てて辺りを見回した。
 こんな所を誰かに見られたら、即刻通報されるのは火を見るよりも明らかだった。
 私はベンチに広げていた下着を素早く鷲掴みにすると、それを拳の中に隠しながら公園の奥へと歩き出した。
 私が気付かなかっただけで、もしかしたら見られていたかも知れないと思うと、急に、さっきの自転車の男が「曙公園に変質者がいますよ」と携帯電話に話し掛けているシーンがリアルに浮かび、闇に向かって歩く私の足は、壊れたロボットのようにスピードを増したのだった。

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 ふと気が付くと、私は森の中を彷徨っていた。
 この児童公園には夜な夜な訪れていた私だったが、しかし、ここまで公園の奥深くまで来た事は一度も無く、改めてこの公園がこんなに大きかったのかと驚かされた。
 いつも入口の端の小さなベンチで、一人眠れない夜を悶々と過ごしていた私は、もっと早くにこの素敵な遊歩道に気付いていれば不眠症も治っていたかも知れないと思うと、今までの夜が無性に腹立たしく思えてならなかった。

 これだけ広い公園なら、誰にも知られずにゆっくりと射精できるだろうと、悶々としながらその場所を探していると、ふと、遊歩道の外れに、いかにも日活ロマンポルノに出てきそうな卑猥感漂う公衆便所がポツンと佇んでいるのが見えた。

(あんな荒んだ公衆便所で、妻が変態男達に輪姦されるのを見てみたい……)

 そう思った途端、背筋がゾクっと震えた。

(自分が妻になってあのトイレに行こう。そして、そこで変態男達に犯される妻に成り切って……オナニーしまくろう……)

 私は居ても立ってもいられなくなった。
 ハァハァと荒い息を吐きながら遊歩道の脇の茂みに潜り込むと、ベルトの金具をカチャカチャと鳴らしながら急いでズボンを脱いだ。そしてブリーフを脱ぎ捨てると妻の小さな下着を無理矢理履き、股間に浮かび上がる自分の硬い肉棒を見て、なんとも複雑な熱い溜め息を吐き出した。

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 例え人気がないとはいえ、さすがにこの格好で出歩くのはまずいと思い、取りあえずパンティーの上からズボンを履いた。
 そのままトイレに向かって歩き出すと、下着のクロッチが睾丸に食い込み、実に歩き辛かった。まして、そのクロッチは、妻の汁と私の唾液でじっとりと湿っているため、なにやらムズムズとした不快感に襲われた。
 しかし、いつも妻はこうしてパンティーをワレメに食い込ませながら歩いているのだろうかと思うと、また違った感じの興奮が涌き上がって来た。
 スーパーに買い物に行く時も、保険外交員の男と玄関で話している時も、いつもこうしてマンコにクロッチを食い込ませながら、そのジメジメと湿った不快感を感じているのかと考えていると、その不快感はマゾヒズム的な快感へと変わって来たのだった。

 一歩進む度に湿ったクロッチが睾丸や肛門に食い込んだ。私は、不自然に股間をモゾモゾさせながら、悶々とした気分で公衆便所の前で立ち止まった。

 その公衆便所は、まるで要塞のように周囲を植木で囲まれていた。
 水銀灯に照らされた植木の細い通路を潜って行くと、公衆便所の入口に立て掛けられた『夜間使用禁止』の看板が目に飛び込んで来た。

 確かに、最近の公衆便所は夜になると使えなくなる所が多かった。
 私が勤めている会社の近くの公園の便所も、夜の八時を過ぎるとドアに鍵がかけられ、電気も消されてしまっていた。
 そこは、盗撮や痴漢を防ぐという目的と、少年犯罪の温床となるのを防ぐ目的でそうしていたらしいが、やはりこの公園の公衆便所もそんな目的で封鎖しているのか、『夜間使用禁止』の看板の横には、『警察官重要巡回指定区域』と、まるで脅迫しているかのように厳めしく書かれていた。

 が、しかし、ここの公衆便所は矛盾していた。そんな看板を真正面に立て掛けているにも係らず、便所内の電気は煌煌と照らされ、出入口は堂々と解放されているのだ。
 これでは、せっかくのこの看板も逆効果だった。こんな看板を入口に立てていれば一般人は誰も便所に入っては来れず、となれば、変態も不良少年も誰に気兼ねする事無く無人の公衆便所で悪事を働けるのである。

(相変わらず役所というのは馬鹿だな……)

 そう呆れながら私は、夜間使用禁止の公衆便所に侵入した。
 アンモニア臭の強烈な男子トイレをソッと覗くと、いきなり凄まじい光景が目に飛び込んで来たのだった。

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 全裸の男が、労務者風の中年男のペニスを咥えていた。そしてその全裸の男の尻では、サラリーマン風の中年男がコキコキと腰を振っていた。
 やはり私の予想は当たっていた。
 夜間の使用を禁止した事で、もはやこの公衆便所は無法地帯と化していたのだ。

 労務者風の男がジロッと私を見ると、腰を振っていたサラリーマン風の男もチラッと後ろに振り返った。
 恐怖で背筋をゾッとさせながらも、しかし身動きできなかった。
 それは、今ここで逃げ出せば二人が追いかけてくるような気がしたからだった。体力に自信の無い私に逃げる勇気はなく、足が竦んでしまっていたのだ。
 しかし、二人の中年男は私をジロッと見ただけで、そのまま知らんぷりした。
 特に私を邪魔扱いするわけでなく、危害を加えるような気配もなかった。
 だから私は、そこにジッと立ち竦んだまま、そのおぞましい行為を黙って見ていたのだった。

 もちろん、男と男のプレイを生で目の当たりにするのは初めてだった。
 ネットのエロ動画サイト等で、間違えてソレ系の動画を開いてしまう事は多々あったが、しかし、そんな動画は五秒経たずにすぐさま飛ばした。
 ソッチ系には全く興味が無いのだ。いや、むしろソッチ系には嫌悪感すら感じるほどだった。
 なのに今の私は、目の前で繰り広げられているその不浄な行為を息を飲んで見つめていた。
 男が男の性器を口で愛撫するその光景は妙に生々しく、アナルを肉棒でほじくられるその光景は背筋が寒くなるほどに痛々しかった。
 自身が男なだけに、攻める側にも攻められる側にも感情移入する事ができ、男の肛門にペニスを挿入する感触やペニスを舐める舌感などリアルに想像する事が出来た。

 攻める男と、攻められる男。
 そんな両方の快楽を想像しながらも、しかし私は、密かに第三の目で彼らを見ていた。
 その第三の目とは、二人の男に犯されているあの男を妻に置き換える妄想だった。
 肛門をズボズボと犯されながらも、必死にペニスをしゃぶっている男のその口元をソッと覗き込み、この男が妻だったらと想像しては身震いしていたのだった。

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 そんな第三の目で見ていると、今まで恐怖で萎れていたペニスがムズムズと疼き始め、妻のパンティーから突き出た亀頭がズボンの生地を突っ張らせた。

(果たして妻は、このような凄まじい状況でも感じるだろうか……)

 そんな事を考えていると、ふと、さっき玄関で盗み聞きした、妻の「うふふっ」という笑い声が鮮明に蘇り、私の思考は急速に現実に引き戻された。
 あの時の笑い声は、同意を意味しているのだ。あの、媚びたような笑い方は、夫に内緒でヤらせてあげるという背信的な意味が含まれているのだ。

 私は、たちまち怒りと悲しみに襲われた。
 あの淫乱女は、この状況でも、きっと「うふふっ」と笑うはずだ。見ず知らずの変態男達に取り囲まれながらも、もっと激しく犯してとばかりに尻を振っては、「うふふっ」と笑うのだと思いながら、握った拳をブルブルと震わせた。
 が、しかし、毎度の事ながら、そんな怒りと悲しみはすぐさま性的興奮へと変わり、更に大きなうねりとなって私を包み込んだ。

 薄汚い公衆便所で、変態男達に取り囲まれながら喘ぐ妻の姿が頭に浮かんだ。
 妄想の中の妻は、変態男達に代わる代わる輪姦されていた。全裸でアンモニアの漂う小便器にしがみつきながら、「もっと! もっと!」と狂ったように悶えていた。

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 ズボンの生地に頭を押さえ付けられたペニスが、ムズムズと刺激を欲しがっていた。
 ズボンの上から亀頭に手の平を押し付けると、ヒクヒクと痙攣しながらネトっと我慢汁を吐き出した。
 下半身をムズムズさせながらも、このままここでペニスを引きずり出し、おもいきり上下にシゴきまくりたい、という異常な衝動に駆られていると、不意に、男にフェラをさせていた労務者風の男と目が合った。

 私は目を反らさなかった。
 いや、正確には、恐怖で目を反らせられず、ただ呆然と男を見つめたまま、半開きの唇から「はぁはぁ」と熱い息を吐いているだけだった。

 すると、労務者風の男は、私を見つめたまま男の口からヌポッとペニスを抜いた。
 そして、勃起したペニスを、まるで張り子の虎の首のようにピコピコと跳ねさせながら、私に向かって歩いて来た。

 男は、野太い声で「こんばんは」と不敵に笑いながら、私の前でソッと足を止めた。
 そんな男のペニスは、わずか十センチにも満たないお粗末なモノだった。
 それでも男は全く恥じる事無く、寧ろソレを堂々と私に見せつけるようにして不敵に微笑んでいたのだった。

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(つづく)

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