旦那の寝息を聞きながら(後編)
2010/02/26 Fri 09:44
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パンティーが丸出しになっているその姿を、さもそれが普通の事であるかのように、青葉はそれを知らん顔して淡々とマッサージを進めた。
あえてその現状に何も触れて来ない青葉に対し、奥さんも又、何も抵抗する事もなく、ただ恥ずかしそうに枕に顔を埋めているだけだった。
しかし、この現状に、「見て見ぬ振り」を決め込んでいる2人だったが、青葉の股間は今や爆発寸前に膨れ上がり、又、奥さんの体もみるみると火照り、白い肌がホンワカと桃色に変色して来ているのだった。
「かなり血行が良くなって来ましたね・・・体が温かくなってきましたよ・・・」
そう呟く青葉に、奥さんはただジッと枕に顔を埋めるだけで何も返事をしなかった。
(どうせ出会い系なんかでオトコ漁りしてる奥さんなんだから・・・ちょっと触ったくらいでギャーギャー騒がないだろう・・・・)
日頃は小心者の青葉だが、そう思う度に大胆になる。
この後、1階ロビーの男子トイレでオナニーをする予定の青葉は、もっともっとオナニーのネタを集めておこうと、更にキワドいマッサージを始めた。
「血行が良くなって来たら次はリンパの流れを良くして行きましょう・・・」
そう尤もらしい能書きを垂らしながら、青葉は奥さんを正面に向かせると太ももの付け根に静かに手を置いた。
一瞬、ピクッと右足を動かした奥さんだったが、しかし、仰向けになったままその目は固く閉じられたままだった。
スリスリと奥さんのきめ細やかな肌を擦る。青葉の指は太ももの付け根から股間へとジワリジワリと下がって行った。
「・・・最近はダイエット効果だとかいって、リンパマッサージが流行ってましてね・・・特に女性の方にはとても好評なんですよ・・・」
青葉は、新大久保のフィリピンマッサージ嬢から怪しげなリンパマッサージをされた事はあるが、しかしリンパマッサージをするのは今まで一度もない。
「奥さんの場合、スタイルがとてもよろしいので、ダイエットなんて関係ございませんけどね・・・」
などとほざきながら、青葉は奥さんの両膝をゆっくりと立てた。
パンティーを丸出しにして、まるでお産をする時のような格好をさせられた奥さんは、そのまま青葉に太ももの付け根を弄られる。
青葉はモチモチの肌を擦りながら、M字に開かれた奥さんの股間にコッソリ目を凝らした。
スタンドから洩れる微かな照明だけの薄暗い部屋の中で、奥さんのパンティーの中心部分がジットリと濡れているのがハッキリとわかった。
(マジかよ・・・・どうしよう・・・・)
なぜか青葉は焦った。
もはやこれは、オナニーのネタにしようというレベルの問題ではなくなってきているのだ。
奥さんのパンツのシミを見て、とたんに怖じ気づいてしまった青葉だったが、しかし、ここでいきなりヤメたら余計怪しまれる。そう思った青葉は、出来るだけ股間を避けて太ももの方へと手の平を移動させた。
しかし、そんな青葉の行動とは裏腹に、奥さんは自ら大きく股を開き、まるでそのパンティーのシミを強調するかのように大胆になって来た。
(ヤベェよ・・・ソノ気になってきてるよ・・・)
隣りのベッドでは強面の旦那がグーガーと大きな鼾を立てている。もしここで彼が目を覚まし、この状況を見たらば、確実にぶっ殺されるだろう・・・・
額にジトッと嫌な脂汗が滲む。
青葉は太ももの手をそのままスルスルと足首に移動させようとした。
と、その時だった。
移動を始めた青葉のその手を、なんと奥さんがキュッと握ったのだ。
「えっ?」と、戸惑う青葉。
奥さんは黙ったまま、青葉の手をソッと股間に持って行った。
「・・・いや、しかし・・・」と、焦った青葉が小声でそう言うと、奥さんは黙ったままジッと青葉の目を見つめ、そしてゆっくりとまた目を綴じたのであった。
9
奥さんの股間は驚く程濡れていた。
パンティーの上からそのシミを作っている部分を軽く押してみると、中に溜っている液がプチュと音を立てる程、そのくらい濡れていた。
(・・・どうしよう・・・・やっぱマズイよ・・・・)
小心者の青葉は、奥さんに導かれるまま奥さんの股間をパンティーの上から撫でていたが、しかし隣りで寝ている旦那の事が気になって仕方がない。
チラチラと隣りの旦那を見ながら股間を触る青葉。奥さんも同じように隣りの旦那をチラチラと見ながら、ゆっくりと浴衣の紐を解いだ。
小ぶりながらも形の整った奥さんのおっぱいがポロンと溢れ、先っぽのチョコレート色した乳首が照明に照らされ輝いている。
奥さんは無言のまま青葉のもう片方の手を握ると、それをおっぱいへと誘導したのであった。
チョコレート色した奥さんの乳首は、ピーンと天井を向き固くなっていた。
それを指でコロコロと転がしながら、同時にクリトリスを人差し指の先でカリカリと小刻みに弄る。
「う、う~ん・・・」
奥さんがそう唸りながら体を捻る。
慌てて隣りのベッドの旦那を見た青葉は、とたんに「ひぃ」と首を窄めた。
そう脅えている青葉を見て、奥さんがニヤッと笑った。
笑いながら奥さんは青葉の股間に手を伸ばして来た。
奥さんの細く長い指が「ジジジ・・・」とズボンのチャックを開けた。
「・・・いや・・・それは・・・・」と、小声でモジモジしている青葉は、5秒に1回の割合で隣りのベッドの旦那を確認している。
奥さんの品やかな指によってズボンから解放された青葉のペニスは、尿道からニトーッ・・・とだらしない我慢汁を垂らしながら、まるで、首を振る「張り子の虎」の人形のようにブランブランと動いていた。
我慢汁でテカテカに輝く青葉のペニスを、奥さんは何の躊躇いもなく静かに握ると、ゆっくり上下にシゴき始めた。
(あぁぁぁぁぁ・・・・・)
青葉は心中でそう呻きながら、奥さんの股間をパンティーの上からグイグイと押した。
ピチ、ピチ、と我慢汁が摩擦する音が部屋に響き渡ると、いきなり隣りのベッドの旦那が寝返りを打った。
慌ててサッ!と腰を引く青葉に、チンポをギュッと握っては逃がさないようにする奥さんは、親指の腹で尿道をクニクニと弄って来た。
(ヤバいっすよ・・・ホント、マズイっすよ・・・)と、奥さんに口パクで訴えながら、ペニスを握る奥さんの手を離そうとモガいていると、いきなり「・・・おい・・・・」という旦那の声が部屋に響いた。
青葉の心臓はとたんに凍り付いた。まるで蝋人形のようにピタリと停止したままの青葉は、そのまま小さな鼻の穴からかろうじて微かな息をするだけで精一杯だった。
「おい」ともう一度旦那の声がすると、奥さんはペニスを握ったまま「はい・・・」と返事をした。
「・・・今、何時だ・・・」
旦那は目を瞑ったまま、まるで演歌歌手のような低音でそう聞いた。
奥さんが少しだけ体を起こし、ベッドの間に置いてあるテーブルの時計を見た。
「10時40分よ」
青葉は、奥さんの体に布団をソッと掛け、その乱れた姿を素早く隠すと、自分の存在が旦那に気付かれる前に気付いてもらおうと、わざとらしく音を立てながら奥さんの肩を揉み始めた。
「・・・ん?」
青葉の物音に気付いた旦那が、枕からムクッと顔をあげた。
「・・・なんだ、マッサージの兄ちゃんまだいたのか・・・・」
旦那はそう呟くと、再び頭を枕に戻し、「ふーっ・・・」という大きな溜息を付いた。
「アナタ、凄いイビキだったわよ・・・疲れてるのね、きっと・・・・」
奥さんは隣りのベッドにそう呟きながら、布団の中にスルスルと忍び込み、再び青葉のペニスをシコシコとシゴき始めた。
「あぁ・・・ここ最近、残業が続いていたからな・・・・」
まだ少しロレツの曲がらない口調で旦那がそう呟くと、奥さんは布団の中でスルスルとパンティーを下ろしながら「ゆっくり休むといいわ・・・」と囁いた。
(いったい何考えてんだこの女!)
布団の中でモゾモゾとする奥さんをコッソリと見つめながら青葉が心で叫ぶ。
旦那は「あー・・・頭痛ぇ・・・・」と唸りながら腕を組み、体を横に向ける。
こっちのベッドに向いた旦那と、一瞬目が合ったような気がした青葉は、「はい?」と旦那を見直すと、旦那は腕を組んだままジッと目を瞑り、スースーと寝息を立てていた。
しかし、寝ているとは言え、旦那はこっちのベッドに向いたままの姿勢である。
何かの拍子でパチッと目を開ければ、一巻の終わりである。
ここが潮時だ、と思った青葉は、布団の中でモゾモゾとしている奥さんに「それではお時間ですので・・・」と声を掛けた。
と、その瞬間、なにやらニュルッ!という感触が青葉の股間に広がった。
(まさか!・・・)
慌てた青葉が静かに布団の中を覗くと、なんと奥さんは、青葉のペニスを口に含んでいたのだった。
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ヌルヌルと生暖かい舌が、青葉のペニスを優しく包み込んでいる。
その舌は、亀頭の裏をくすぐり、尿道をチロチロと刺激し、そして竿をゆっくりと上下していた。
いつ何時、隣りのベッドでこっちを向いて寝ている旦那がパチッと目を開くかわからない。そんな危険に晒された青葉は、声を出す事もできないまま、ひたすら腰を引いては逃げようとしていた。
「大丈夫よ・・・あの人、酔っぱらってると何もわからないから・・・」
布団の中から奥さんの籠った声が聞こえて来た。
奥さんは静かに布団を剥ぐと、その布団で壁を作り、隣りのベッドから見えないようにした。
いつの間に脱いだのか、奥さんは全裸になっている。
「んふっ」と鼻息と共に笑った奥さんは、布団の壁に身を隠すようにして、再び青葉のペニスにしゃぶり付いた。
「うっ・・・・」
奥さんのその悩ましく動き回る舌におもわず声を出しそうになった青葉は、いきなり旦那が目を開けてもいいようにと、横にした枕をモミモミと揉み始めては、あたかもマッサージしているフリをしながら、奥さんの舌ワザに身を委ねた。
奥さんの舌は、竿の根元までリロリロと降りて来ると、そのまましゃがんでいる青葉の股の中に入り込んで行く。ダランと垂れ下がった金玉をスポッと口の中に吸い込み、口の中で優しく玉を転がすそのテクニックは、さすが人妻だと青葉は密かに感動していた。
青葉の金玉から太ももまでをギトギトにするほど舐めまくった奥さんは、唇の回りに付いている唾液を手の甲でスっと拭いながら、そのままゴロリとベッドに仰向けに寝転んだ。
そして奥さんは瞳に怪しげな光を放ちながら「最近、腰が凄く痛いんですぅ・・・」とわざとらしく呟き、そして青葉の手をグイッと引っ張った。
「あ、はい・・・・」
ペニスを出したままの青葉は、奥さんに引っ張られたままベッドの中心に来た。
正常位の体勢でM字に股を開く奥さんを目の前にして、青葉はタジタジになりながら隣りの旦那を見た。
スースーという寝息の途中で、突然「クガッ!」と大きな鼾をかく旦那。その「クガッ!」が「コラっ!」に聞こえる青葉は、その度に身が縮む思いだった。
奥さんは青葉のペニスを摘むと、ソレを自分の股間に引き寄せる。
(さすがにココで本番ってのはちょっと・・・・)
無言でそう拒否る青葉を無視して、奥さんは青葉の手を強く引っ張った。
青葉がズズッと前のめりになると、ペニスの先にヌルヌルの感触が広がった。
奥さんは摘んだペニスをグニョグニョと回し、そのヌルヌルの場所に亀頭を激しく擦り付ける。
(あ、あ、あぁぁ・・・凄く、気持ちいい・・・・)
青葉はペニスの先に感じる、そのヌルヌル感と、熱いくらいの温もりに、身が蕩けて行くようだった。
「・・・入れて・・・」
布団の壁に寄り添って寝転ぶ奥さんが、切ない表情で青葉を見つめながらそう呟く。
(もう、もう、どうにでもなれ・・・・)
やけくそになった青葉が腰をクイッと突き出すと、ペニスはいとも簡単にニュルッと奥さんの中へと入って行った。
「うぅぅぅ!」
奥さんは眉間にシワを作りながら、壁にしていた布団に噛みついた。
青葉は、そんな奥さんと、隣りでスヤスヤ寝ている旦那を交互に見つめながら、ゆっくりと腰を動かした。
ピチャ、クチャ、っという、爺さんがぜんざいを喰っている時のような音が、静まり返った部屋に響き渡った。
奥さんは、信じられない程、キュンキュンにアソコを締め付けて来た。
ヌルヌルの膣壁が青葉のペニスをコリコリと刺激する。
奥さんの膣の中で、うなぎ取りの名人が隠れていては、そいつがペニスをニュルニュルと握っているのではなないかと思うくらい、そのくらい巧妙なテクニックだった。
堪らなくなった青葉はスースーと鼻息を荒くさせながら、腰をコキコキと小刻みに振った。
3度に1回の割合で、「これでもか!」と奥までペニスをぶち込んでやると、奥さんは「あぁん!」と声を出してエビ反りになる。
その度に青葉はピタリと腰を止め「声を出さないで下さい!」と泣きそうな顔で囁き、そして旦那を見つめるのであった。
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奥さんは、青葉のペニスをまるでディルドかバイブを使っているかのように、ヌポヌポとアソコに入れながら楽しんでいる。
奥さんにとって、それは、まるでオナニーのようであり、青葉という人間そのものよりも、その若く逞しいペニスを重視しているようであった。
ヌポヌポと激しく出入りするペニスの上で、奥さんはプクッと膨れ上がったクリトリスをコロコロと転がしている。
声を洩らさないようにと枕に口を押し付けながら、ベッドの上で細い体をグニグニとくねらせていた。
「うぅぅぅん・・・・」
突然、隣りの旦那が寝返りを打った。
(わあ!)と、焦った青葉が腰を引こうとしたが、奥さんは両足で青葉の腰をカニ挟みし、青葉が逃げれないように押さえつけた。
旦那はグルリと反対側に寝返ると、プスッとカワイイ屁をこいた。
そして腕を組んだままのその状態で、「おい・・・」と再び低い声で唸った。
「・・・はい」
見知らぬマッサージ師にペニスをぶち込まれたままの奥さんは、白々しくそう返事をする。
焦った青葉は、ペニスを入れた状態で、マッサージをしているかのように両腕をグイグイと動かし、奥さんの胸を揉んだ。
「なんか・・・腹減っちゃったな・・・・」
壁を向いたまま寝転がる旦那がそう呟く。
「さっき食べたばかりじゃない・・・」
奥さんはそう答えながら、ゆっくりと腰を動かし始めた。
(何もこんな時に動かさなくても!・・・・)
青葉はそう思いながら懸命にペニスを抜こうともがく。
しかし、もがけばもがく程、奥さんの膣筋はキュンキュンとペニスを締め付け、逃がさないようにする。
「ルームサービス・・・まだ持ってくるかな・・・・」
まさか、すぐ隣りのベッドで愛する妻が若いマッサージ師のペニスを喰わえているとも知らず、旦那は、壁に向かってポツリと呟く。
奥さんはゆっくりとクリトリスを転がしながら「・・・ルームサービスは11時までだから・・・無理だわよ・・・」と、喉をヒクヒクさせながら答えた。
「う~ん・・・困ったな・・・腹減った・・・」
旦那の声に合わせ、奥さんが腰をコキコキと動かしながらクリトリスを激しく転がす。
青葉はマッサージをするフリをしながら鷲掴みにする奥さんの胸を揉み、奥さんの腰の動きに合わせてはペニスを突き上げた。
「・・・この近くにコンビニあったっけ・・・・弁当でも買ってこようかな・・・」
旦那の呟きを無視した奥さんが、ベッドの上で腰をエビ反りにしながら口パクで何か青葉に訴えていた。
(えっ?・・・何?)と、青葉も口パクでそう答える。
(イク、イクわよ・・・・)
眉間にシワを寄せた奥さんは、泣き出しそうな表情をしながら、青葉に向かってそう無言で囁いた。
「でもなぁ・・・この時間に食うと太るしな・・・・」
旦那がそう呟いた瞬間、奥さんはギュッ!と目を閉じ、人差し指にガシっと噛みついた。
ベッドの上でクニャ~っと堕ちていく奥さんは、まるで、ストローの紙をクルクルと捻りながら紙縒りにし、そこに水滴をポタッと垂らしたような、そんな不思議な動きで絶頂に達した。
そんな実にいやらしい姿を目の当たりにした青葉が、そのまま我慢できるはずがなかった。
下半身にゾクゾクっと快感を感じた青葉は、グッタリと力の抜けた奥さんのオマンコから素早くヌポッとペニスを抜くと、ペニスの先を奥さんの太ももに押し当てながらギュッ!と目を瞑った。
すると、素早く奥さんの手が青葉のペニスをキュッと掴み、実にリズミカルに優しく上下にシゴいてくれた。
ピュッ!ピュピュッ!
と、大量の精液が奥さんの陰毛に降り掛かる。
奥さんは青葉の目をジッと見つめたままペニスをシコシコと上下させ、そしてニコッと笑った。
「・・・なんかさぁ、ナポリタンスパゲティーが無性に食いたいんだよな・・・オマエは?」
旦那のそんな声を聞きながら射精している青葉。
「アタシはいらないわよ・・・それに、アンタ、夕食にナポリタン食べたばかりじゃない・・・」
奥さんはそう答えながら、青葉の尿道から1滴残らず精液を搾り出してくれたのだった。
12
「はい、終わりました・・・・」
青葉が奥さんの腰をパン!と叩いて、大きな声でマッサージの終わりを告げた。
既に奥さんは浴衣に着替え、陰毛に飛び散った精液も綺麗サッパリ拭き取ってしまっている。
「えっ?」と、隣りのベッドの旦那が慌てて振り返った。
「なんだよ、お兄ちゃん、まだいたのかよ」
旦那は目を丸くさせながら驚いた表情で青葉を見ている。
「はい。ちゃんと膣外射精にしておきましたから御心配なく」
などと、口が裂けても言えない青葉は、「はぁ、長々と失礼しました・・・」と恐縮しながら苦笑いをした。
「あぁ~スッキリした。ありがとう、おいくらかしら?」
奥さんはしらじらしく青葉にウィンクすると、クローゼットに置いてあるバッグに向かってスタスタと歩き始めた。
旦那に向かって「ありがとうございました・・・」と頭を下げる青葉は、奥さんの後ろに付いて入口へと歩き始めた。
「おい」
ベッドの上で寝転がる旦那が突然青葉を呼び止めた。
ビクッ!と足を止めた青葉は、まるで陸軍兵士のように「はい!」と気を付けの姿勢で返事をした。
そんな青葉を上目遣いにギロッと睨む旦那。
(やっぱりバレてたのか・・・・)
青葉はすかさず土下座をして謝ろうかどうしようか迷った。
「あのさぁ・・・この辺に、ナポリタンスパゲティーの美味い店はないかい?」
旦那はベッドに寝転がったまま、ゆっくりとそう呟いたのだった。
「チーン!・・・・・・」
エレベーターが1階に到着したベルを聞き、青葉はそこで初めて我に返った気がした。
マッサージ代金を受け取り、605号室の部屋を出た瞬間から、青葉は何かに追われているような気がして、酷く焦っていたのだった。
エレベーターの扉がゆっくりと開き始めると、まだ開ききっていないにも関わらず、青葉はその隙間からエレベーターを這い出した。
逃げ出すようにしてロビーの通路を早足で歩いていると、フロントから「どうだった?」という声が聞こえた。
振り向くと、そこには支配人がポツンと立っていた。
「あ、どうも・・・」
仕方なく足を止める青葉。
「あの夫婦はウチのホテルの常連さんなんだよ。旦那さんはちょっと強面だけどね、根はとってもいい人だから」
支配人はそう言って意味ありげにウフフフフっと笑うと、「奥さん、凄いべっぴんさんだろ」とフロントのカウンターに肘を立てた。
「はい。でも、ちゃんと膣外射精いたしましたから御安心なく」
とでも答えようものなら、恐らくこの業界では二度とメシを喰って行けないだろうと思いながらも、青葉は「・・・そうですね」と、笑っていいとものような返事をした。
そんな青葉を見て、支配人はまた「ムフフフフフ・・・」と意味ありげに笑う。
「・・・なにか?・・・」
青葉が支配人の顔を覗き込むかのようにそう聞くと、支配人はもったいぶった表情をしながら「金玉。パクッ!ってバキュームしてもらった?」とニヤニヤしながら聞いた。
「!・・・・・」
「ふふふふふ。いいよ、いいよ、隠さなくたって。あの夫婦、いつもそうなんだから・・・・」
支配人は、中学生の男子生徒が女子生徒にナプキンを見せつけた時のような、そんないやらしい笑顔を浮かべながら青葉の顔を覗き込む。
「・・・ど、どーいう事ですか?」
「私もね、この間、いきなり夜中に部屋に呼び出されたんだよ。何事かと思って慌てて部屋に行くとね、セックスするから見ててくれ、なんていきなり旦那さんが言うんだよね。で、私が困ってると、奥さんが急に服を脱ぎ始めて旦那さんの上に乗ってさ、アレをおっぱじめるだろ、そりゃあ私も最初は驚いたよふふふふふふふ」
支配人はそう笑うと、キョトンと立ちすくんでいる青葉に向かって、「コーヒー入れるから飲んでかないかい。詳しい話、聞かせてやるよ」とフロントの奥の事務室を指差してそう言った。
呆然としながら、フロントの奥に消えて行く支配人の後ろ姿を見つめていた青葉はふと気付いた。
(そっか、確か四丁目のあのBRAのナポリタンは最高に美味かったんだよ・・・)
青葉は、持っていたカバンをフロントのカウンターの上にドカンと置くと、慌てて玄関に向かって走り出した。
「おいおい、どこ行くんだよ!」
フロント裏の事務室から顔を出した支配人が、走り出す青葉を呼び止める。
「すぐ戻って来ま~す!」
青葉は、広いロービーにそう声を響かせると自動ドアを飛び出した。
四丁目ならここからひとっ走りすれば5分の距離だ。
もう一発、ヤらせてもらう時間はあるだろう・・・
青葉は、再び勃起しかける股間を押さえながら、ナポリタン目指して夜の街を走り出したのだった。
(旦那の寝息を聞きながら・おわり)
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