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旦那の寝息を1




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「夫婦のお客様なのですが、9時頃に2人お願いできますか」

ホテルマンの流暢な言葉に、「みんな出ちゃってるから2人は無理だねぇ。1人だったら9時に行けるんだけどねぇ」と、受付のおばちゃんはテレビのクイズ番組をチラ見しながらボソっと答えた。

「それでは9時に1人回して下さい。お部屋は605号室ですので」

ホテルマンがそう言うと、おばちゃんは「あいよ。9時に605だね。あいよ」と、「あいよ」を2回繰り返しながら電話を切り、すかさずテレビの音量を上げた。

「メソポタミア文明!」
小さなブラウン管のテレビから、現在ドラマで活躍中の元アイドル歌手の叫び声が聞こえ、瞬時にブブー!という不正解音が鳴った。
「バッカだね・・・」
自分も答えがわからないくせに、おばさんはさも答えを知っていたかのようにそう毒づくと、おばさんの後のソファーで週刊誌をパラパラと眺めていた青年に「青葉さん、9時にマルタンホテルの605、2人、夫婦モンだってさ」と呟き、すぐにまたテレビに目を向けた。

「シュメール文明」
週刊誌をパラパラと捲る青年が呟く。
「あ?」
おばさんが青年に振り返ると同時に、テレビから「正解はシュメール文明でした」という司会者の声が聞こえた。

青葉は得意気な表情で微笑むと、読んでいた週刊誌をパサッとテーブルの上に置いた。

「あんだって?」
おばさんが振り向いたまま、顔を半分シワクチャにしながらまだ青葉の顔を見ていた。
「いや、だから正解はシュメールって・・・・」
「あ?なんだいそのシューメーってのは?私はマルタンホテルって言ったんだよ、駅裏のマルタン」
「わかってますよ」
「今あんたシューメーって言ったじゃないか」
「だからそれは・・・・」
と、言い掛けて、青葉は「もういいです。行ってきます」とソファーを立ち上がったのだった。


青葉がマルタンホテルに着いたのは8時50分だった。
青葉が在籍している「東マッサージ」から、駅裏にあるマルタンホテルまで歩いて15分ほどだった。
8時に東マッサージの詰所を出た青葉は、途中の牛丼屋でいつもの大盛りツユダクをペロリと平らげ、そこからのんびりと時間調節しながらマルタンホテルにやって来た。

「東マッサージですが」
フロントに声を掛けると、いつもの支配人が奥からノソッと現れた。
「あぁ、どーもどーも、605号室、9時、2名様、ね」
支配人はフロントに置いてあるボードを確認しながら青葉にそう言うと、チラッと青葉の目を見上げ、「なんかさぁ、旦那さんの方、ちょっと酔ってるみたいだし、よろしくね」と申し訳なさそうな顔をした。

すかさず青葉は「わかりました」とゆっくり頷く。
ホテル出張マッサージを初めてまだ3年という新米マッサージの青葉だったが、その手の客にはもう馴れっこになっていた。

高校を卒業してからすぐに「あん摩マッサージ指圧師」というなにやら難しい国家資格を取った青葉だったが、しかし、そんな国家資格を取っては見たものの、働き口はホテルの出張マッサージしかなかった。
青葉は温泉街や観光地などのホテルマッサージ派遣会社を転々としながら2年くらい全国を旅していたが、この度、地元に落ち着くという意味あいで、地元の「東マッサージ」に籍を落ち着かせる事にした。
26歳独身。取りあえず地元の東マッサージでコツコツと腕を磨き、30歳には自分の店を持ちたいという夢を抱いていた青葉は、ホテルの様々な客を相手にしながら頑張っていたのだった。

「では、行ってきます」
フロントの支配人にそう挨拶をした青葉は、丁度1階ロビーに降り立ったエレベーターに素早く乗り込み、6階のボタンを静かに押した。

(酔っぱらいか・・・ヤだな・・・)
エレベーターのドアが閉まり、フロントの支配人が見えなくなった瞬間、青葉はフーっと不安の溜息を付いた。

青葉は歳も若く、その顔立ちとスタイルはホテルのマッサージにしておくにはもったいないほどのなかなかの美男子だった。
そんなジャニーズ系の青葉は、マッサージ中によく中年親父達から誘われる事がある。

「3千円出すから手でヤってくれないか・・・」
2週間前、ビジネスホテルでマッサージ中に、出張中のサラリーマンにそう言われいきなり手を握られた事がある。
又、5日前の観光ホテルでは、忘年会後の中年サラリーマンから、「キミのチンポを舐めさせてくれ」と抱きつかれた事もあれば、もっと凄いのは、昨日の客で、「見ててくれるだけでイイから・・・」と言うや否や、浴衣から勃起したペニスを突然取り出し、唖然としている青葉の目の前でいきなりオナニーをしてみせ、ものの数秒で青葉の白衣に大量の精液を掛けた。

青葉はホモではない。ホモではないが、しかしこの業界では基本的に「同性が揉む」という決まりがある事から、青葉の客はいつも男性であり、その分、ホモに狙われる確立が高いのだ。

それら、いわゆるホモ客は、ほとんどの客が中年で、そして決まって酔っぱらっていた。

青葉はエレベーターが上って行く点滅を見上げながら(酔っぱらってるみたいだし・・・またホモだったらヤダな・・・・)と思いながらも、(でも夫婦らしいから、ま、大丈夫だろう)、と、自分に言い聞かせていたのであった。


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605号室のチャイムを鳴らすと、すぐに部屋の中から「はーい」という女性の声が響いて来た。
スタ、スタ、スタ、っというスリッパの足音が聞こえ、カチャッとドアが開いた。

「マッサージです」
すかさず青葉はお辞儀をした。
「どうぞ」
ドアノブを握ったまま顔を出した女性は、青葉に向かってニコッと微笑みかけた。

キレイな女性だった。
歳は30代前半、小さな顔に大きな目、小柄で細く、すらりと伸びた手足がリカちゃん人形のように均等が取れていた。

「あなた・・・マッサージの方がおみえになったわよ」
スタスタと部屋に入って行った彼女は、ベッドに向かってそう呟いた。

「あん?マッサージ?・・・・ったく、面倒クセェなぁ・・・・」
旦那らしき男がベッドの上でバタバタっと布団を蹴飛ばした。
「面倒臭いって、あなたが呼んだんじゃない・・・」
ベッドの下に落ちた布団を拾いながら、彼女が小声で囁いた。

入口のクローゼットで白衣を着用する青葉は、奥のベッドルームから聞こえて来るそんな物音に、内心、(ヤだな・・・)と思いながら唇を尖らせた。

「失礼します・・・」
白衣を着た青葉が、そう言いながらベッドルームに行くと、ベッドの上で大の字に寝転がった浴衣着の親父が「おう」と低く唸った。
そして、青葉をジロッと見るなり、「なんだよ、えらく若いんだな・・・」と呟き、隣りのベッドに座っていた奥さんを険しい目でジロッと睨んだ。

「・・・なに?」
奥さんは青葉を気遣いながらも、戸惑うようにして旦那にそう答えた。
「ふん・・・これがおまえの趣味か・・・」
旦那は太々しくそう言うと、ゴロンと体を横向きにし、青葉に向かってバブッ!と放屁した。

「・・・ごめんなさいね・・・ちょっと酔っぱらってますから・・・」
奥さんが申し訳なさそうに青葉の顔をみながら小さく詫びる。
奥さんのその声が聞こえたのか、旦那は「全然、酔ってない!」と、ロレツの廻らない舌でそう叫ぶと、またしてもバスッ!とパンチの効いた放屁をした。

放屁くらいなら全然平気だった。
昨日、精液をぶっかけられた事を思えば、放屁をぶっかけられるくらい可愛いものだ、と、青葉は思いながら、ゆっくりと旦那のベッドに上がった。
横向きに寝ている旦那の肩に、ソッと日本手拭いを掛けながら、(それに・・・)と青葉は隣りのベッドの奥さんを視野に感じながら思う。

(それに、こんなに綺麗な奥さんを、この後に揉む事ができるんだし・・・親父の屁なんて、屁のカッパだ・・・)

そう思いながら、旦那の肩をグイグイと揉み、そしてチラッと奥さんを見る。

隣りのベッドの奥さんは単行本を読んでいた。
チラッと目を向けた青葉に気付いたのか、奥さんも単行本からチラッと視線を青葉に向けた。

突然、奥さんと目が合った青葉は「あっ」と言ったまま止まってしまった。
そんな青葉を見て、奥さんは「ごめんなさいね・・・テレビ、うるさいでしょ・・・」と小声で言いながらクスッと笑い、ベッドの枕元にあるテーブルのリモコンを取ろうとした。

「いえ・・・」と言い掛けた青葉の視線の先には、リモコンを取ろうとする奥さんのミニスカートから伸びる、恐ろしく綺麗な二本の脚が輝いていた。
ゴクッ・・・と唾を飲みながら、そのまま黙って奥さんの脚を見つめる青葉。
「テレビ、消しますから・・・」と言いながら、テーブルの上のリモコンに手を伸ばす奥さんのミニスカートから、真っ白なパンティーが顔を覗かせていたのだった。


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「ったく、もうちょっとよ・・・強く揉めって・・・言ってるだろ・・・」
浴衣を開けた親父が、酒臭い息を吐きながら呟いた。

「しかし、お酒を飲んでる時は、あまり強いマッサージは良くないんですよ・・・・」
青葉が苦笑いしながらそう答えると、親父は「若造のくせに・・・知ったような事・・・言ってんじゃねぇよ・・・」と、ヨダレを垂らしながらブツブツと呟いた。

かなり飲んでいると思われる旦那は、グカッ!と鼾をかいだと思ったらふと目を覚まし、そしてまたゴワッと鼾をかいだと思ったらまた毒づき、そんな事ばかりを繰り返しながら、もう既に虫の息だった。

青葉は、親父の腰をサワサワと触る程度で揉むフリをしていた。
こんな酔っぱらいにどれだけ真剣にマッサージしたって何の意味もない。そう思った青葉は、コッソリと手抜きをしながらも、隣りのベッドの奥さんばかりに気を取られていた。

「・・・おまえがね・・・そんな裏切り者だとは・・・思ってもいなかったんだよ俺は・・・・」
枕に大量のヨダレを垂らしながら、まるで夢遊病者のように旦那が呟いた。

奥さんはそんな旦那を完全に無視しながら、ペシャリ、っと単行本のページを捲った。

「・・・何の不満がよ・・・あるって言うんだよ・・・ったく・・・エステだって行かせてやってんじゃねぇか・・・バーロー・・・・」

眠っているのか起きているのか、枕に顔を押し当てたままの親父は蚊の飛ぶような小さな声でそう呟く。
しかし、テレビが消され、青葉のマッサージするリズミカルな音だけが響いている静かな部屋には、そんな親父の小さな呟きでさえ、はっきりと聞き取る事ができるのだった。

「・・・俺への当てつけか!・・・ったくぅ、何が出会い系サイトだっつーの・・・」
青葉は親父の口からはっきりと「出会い系サイト」という言葉を聞き取った。

「・・・旦那の出張中に・・・若い男と遊びやがって・・・」
親父がそう呟いた時、奥さんのページを捲る手が途中でピタッと止まった。

条件反射で、つい、青葉は奥さんを見てしまった。

ふいに青葉と目が合った奥さんは、一呼吸追いてから「フッ」と鼻で笑うと、「すみません・・・酔っちゃってますから・・・」と、引き攣った笑みを浮かべながら、また単行本に視線を戻した。

(・・・若い男とって事は・・・・この奥さんが出会い系で浮気したって事か?・・・)

とたんに青葉の妄想が膨らんで来た。
この綺麗な奥さんが、旦那の出張中に、出会い系で知り合った若い男と激しく乱れ狂う・・・・。

そんな妄想にムラムラしていると、いきなりブッ!という小さな爆発が親父の尻で起きた。
音は小さいながらも、その屁はとんでもなく臭い。
(・・・浮気されて当然だろ・・・こんな屁コキ親父・・・)
青葉は親父の生暖かい屁の香りに顔を背けながらそう思う。

すると、顔を背ける青葉の視線に、またしても奥さんの白い肌が飛び込んで来た。

ベッドに座り、真剣に単行本を読んでいる若妻。
ムチムチの白い肌はゴムボールのように弾力性がありそうだ。
ポテッと膨らんだ胸は、まるでノーブラであるかのように、その谷間を露出していた。

青葉は、(もしかしてホントにノーブラか?)と激しく興奮すると、体勢を変えるフリをしながらソッと膝を立て、ベッドに座る奥さんを見下ろすような角度に位置した。

鼻の下をゆっくりと伸ばしながら、奥さんの頭越しに谷間を覗き込む。

それは明らかにノーブラだった。
惜しい事に乳首までは見えなかったが、しかしそのタプタプと柔らかそうな谷間をモロに見た青葉は、そう確信した。

もう少しだけ背を伸ばせば乳首まで見える・・・と、青葉が中腰で立とうとした時、「俺は許さんぞ・・・若い男と出会い系サイトで・・・」と、再び親父が寝言を言い始め、それに反応した奥さんが旦那の寝言を掻き消すかのようにパタン!と大きな音を出して本を閉じた。

慌てて元の状態に戻る青葉。

「あのう・・・」
そんな青葉に奥さんが声を掛けた。
「はい」
青葉は奥さんには目を向けず、親父のトドのような脂肪だらけの腰を見つめたまま返事をした。

「お風呂に入って来たいので・・・この人、酔っぱらってますけど、お願いできますか?」
奥さんは申し訳なさそうにそう呟いた。

「あ、はい。結構ですよ。旦那さん、このまま寝ちゃいそうですから・・・・」
青葉はそう言うと、それまで奥さんが本を読んでいた為に最大にしてあったベッドの横のスタンド照明を軽く搾り、部屋の灯りをボンヤリと薄暗くすると、「これでゆっくりおやすみになれると思います」と笑顔でそう答えた。

「あと、どのくらいでしょうか?」
奥さんは甘いコロンの香りをホンワリと漂わせながらベッドを降りた。
「はい、まだ30分程ございますから、ごゆっくりどうぞ」
青葉がそう答えると、「あいつは若い男とヤリまくってたんだバーロ・・・」と、旦那がムニャムニャとロレツの曲がらない口調で寝言を言う。

そんな旦那の寝言を否定するかのように、奥さんは慌てて「酔ってますので・・・」と、青葉に笑いかけると、「それじゃあお願いします」と、スタスタとバスルームへと向かったのだった。


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しばらくすると、バスルームの方からスルスルっと服を脱ぐ音が聞こえて来た。

そう言えば、このホテルの浴室は異常に小さく、脱衣する場所ってものがないんだった・・・
ふとそう思った青葉は、その音が、浴室前にあるクローゼットの前で服を脱いでいる音だという事に気付いた。

(奥さんの着替えシーン・・・見たいなぁ・・・)と、思いながら、静かに後を振り向く青葉。
すぐ2、3歩先の、通路をヒョイと覗けば、奥さんの着替えシーンが見られる。そう考えると、青葉はいてもたってもいられない興奮に襲われた。

バスルームの方に振り向きながら、通路の壁をジッと見つめ耳を澄ましていると、なんと、通路の突き当りに置いてある「消されたテレビの画面」に、奥さんの生着替えシーンが反射しているのが見えるではないか。

それは、ベッドルームの照明がボンヤリと薄暗い分、明るいバスルームをくっきりと映し出していたのであった。

青葉は、ゴクッ、と乾いた喉に唾を飲み込みながら、その真っ黒な画面にクッキリと反射する、奥さんの着替えシーンを見ていた。
奥さんの胸は思った以上に貧乳ではあったが、しかし、そのスレンダーな体には均等の取れた丁度いい大きさだった。

まさか見られているとは思っていない奥さんは、何の躊躇いもなく白いパンティーをスルスルっと下ろした。
真っ白な肌にモジャっとした薄い陰毛が不釣り合いで、なぜかやたらと卑猥に見えた。

奥さんはパンティーをクルッと手の中で丸めると、それをクローゼットの中に置いてあるカゴの中にポイッと投げ捨てた。
そして小ぶりな尻を、プルッ、プルッと揺らしながら浴室へと消えて行ったのであった。

浴室のドアがカチッと音を立てて閉まると、青葉は今まで止めていた息を「フーッ・・・」と静かに吐いた。
青葉のペニスは破裂しそうな程に膨れ上がり、我慢汁が溢れているのかパンツの股間部分がなにやらネチャネチャしていた。

浴室からボーンというボイラーの音が響くと、すかさずシャーっというシャワーの音が聞こえて来た。
そのシャワーの音は、シャバシャバと不定期な音で鳴り響き、奥さんがシャワーを体に当てながら、その部分を洗っているのが窺えた。

(奥さんの下着・・・見たい・・・・)
そう思うと、青葉の心臓がドクドクと音を立て始めた。

酔っぱらった旦那はスースーと一定の寝息を立て始めている。
奥さんは既にシャワーで身体を濡らせている。
これはチャンスだった。

青葉はベッドをソッと降りると、そのまま腰を屈め、クローゼットへと向かった。
浴室のドアの前に来ると、奥さんがタオルを泡立てるシャカシャカシャカという音が間近に聞こえて来た。

身体中が泡だらけになれば・・・余程の事がない限りドアを開けたりしないだろう・・・
そう安心した青葉は、開けたままのクローゼットに忍び寄った。

クローゼットのカゴの中には、奥さんが着ていたキャミソールとミニスカート、そして白いパンティーが乱雑に置かれていた。
素早くキャミソールを手にした青葉は、それを顔面に押し付けた。
先程からベッドルームに漂っていた、甘いバニラのような香水の香りが青葉の顔一杯に広がる。
「うぅぅぅ・・・」と青葉は呻きながら、勃起しているペニスをズボンの上からグリグリと乱暴に揉む。

いきなりドアが開けられたら一巻の終わりだと思った青葉は、カゴの隅に転がっていたパンティーを摘まみ上げると、そのままベッドルームへと引き返した。
ベッドの上では旦那がグーグーと鼾を掻き始めていた。

旦那のベッドの間にしゃがみこんだ青葉は、ハァハァと息を漏らしながらパンティーを開き、ボンヤリとしたスタンドの灯りにパンティーを照らした。

クロッチには、少し湿った黄色いシミが輝いていた。
青葉は、彼女のマンションのベランダに干してあるパンティーは見たことがあるが、使用済みパンティーというモノを見るのは初めてである。
はっきり言って、今までそんなモノにはまったく興味のなかった青葉だったが、しかし、あの奥さんの股間に今までピッチリと密着していたモノ、と考えると、驚くように興味が湧いて来た。

(この黄色いのは・・・おしっこだろうか・・・)
オリモノという存在を知らない青葉は、その黄色いシミに恐る恐る鼻を近づけてみた。

ツーンとしたアンモニアのニオイと、汗のような酸っぱいニオイが漂って来た。
(学校の便所みたいな匂いがする・・・・)

青葉はパンティーのシミを嗅ぎながら、ベッドでグーグーと鼾をかいでいる旦那を見つめた。
(あんたの奥さんのパンティーだよ・・・・)
青葉は、その嫉妬深そうな旦那を見つめながら、優越感に浸っていた。

ガタン!という音が浴室で響き、とたんに今まで鳴り響いていたボイラーの音がゆっくりと消えて行く。
どうやらシャワーを止めたらしい。
慌てた青葉は、忍者のようにスススッ!と壁を横切ると、クローゼットのカゴの中に、元通りの状態のままでパンティーを戻した。

そして再びスススッとベッドに戻ると、ゆっくりとベッドに上がり、旦那の腰に手をあてた。

「・・・どこ行ってたんだ・・・」
目を覚ました旦那が、枕に顔を押し付けたままいきなり青葉に話し掛けた。
「え?」
瞬間に額に汗を滲ませた青葉が言葉を詰まらせる。
「だから、今、おまえどこ行ってたって聞いてるんだよ・・・」
旦那のその声は、あきらかに寝言ではなく意識はハッキリしているようだ。
「いえ、ちょっとテレビを付けようかと思いまして、リモコンを・・・・」
焦ってそう答えると、旦那は「付いてねぇじゃないか・・・テレビ・・・」とムクッと顔を起こし、青葉の顔を見た。

「・・・・・」
真っ赤な目をしてジッと青葉を見つめる旦那。
「・・・いえ、リモコンが見当たらなかったので・・・・」
そう誤魔化す青葉に、旦那は「誰だあんた?」と目を凝らして青葉を見つめた。
「あ、マッサージです・・・・」
「あぁ、マッサージか・・・・あれ?女房は?」
旦那はムクッと顔を起き上がらせ隣りのベッドを見た。
「奥さんなら、シャワーを浴びてますが・・・」
薄暗い部屋をキョロキョロと見回す旦那に青葉がそう言うと、旦那は「あっ、そう・・・」と言い、またガクンと枕に顔を埋めると、「また若い男と遊びに行ったのかと思ったよ・・・」と独り言のように呟いたのであった。


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「・・・寝ちゃいましたか?・・・」
床の絨毯にスリッパをスタ、スタ、スタ、っと擦りながら奥さんが近付いて来た。
とたんにボディーソープの香りが青葉を包み込んだ。

「はい、一度、お目覚めになられましたが、すぐに・・・」
青葉はそう答えると、旦那の乱れた浴衣をサッサと整え、そして奥さんに「終わりました」と告げた。

いよいよ奥さんの番だ・・・と、青葉はワクワクしながら旦那のベッドを静かに降りると、「どうぞ・・・」と、奥さんが「お~いお茶」を青葉に差し出した。

「え、いや・・・」と青葉が戸惑っていると、奥さんは窓際のソファーのテーブルの上にお茶を置き「疲れてるでしょ。一服して下さい」とニコッと笑った。

3年間、ホテル出張マッサージをしていて、こんなに優しくしてもらったのは初めてだった。今まで文句を言われたり変態行為を迫られたりした事は何度もあるが、優しくされた事は一度だってなかった。
青葉は、ジーンと感動しながらも、「では、お言葉に甘えて・・・」と静かにソファーに腰を下ろした。

カチッ!とペットボトルの蓋を開け、チュルルルルルッと最小限に音を抑えながらお茶を飲んでいると、奥さんは大きな鏡台の前に座り、ペチャ、ペチャ、と音を立てながら化粧水を顔に付けていた。

よく見ると、奥さんはスッピンになっていた。
しかし、そのスッピンは化粧をしていた時よりもどこか美しく、まるであどけない少女のような純粋な顔になっていた。

(この人が出会い系サイトで・・・・・信じられないなぁ・・・・)
青葉はそう思いながらも、チュルルルルルっと茶を啜る。

「・・・今、おいくつなんですか?・・・」
ピンクの女性用浴衣をまとった奥さんが、鏡を見つめながら青葉にそう話し掛けた。

「あ、26です」
慌てて答えた青葉の唇から、プチュっと少しだけお茶が洩れた。

「へぇ~お若いんですねぇ~」

「はぁ・・・まぁ・・・・」と、答えながらも、青葉は心の中で「若い男が好きなんでしょ・・・」と奥さんに問い質した。

「このお仕事、長いんですか?」
奥さんは耳の裏からウナジにかけてパタパタと化粧水を付けながらそう聞いた。

青葉は、やけに念入りに化粧水を付けているな・・・と思いながらも「3年目です」と答えた。

「へぇ~3年目にしては、上手そうですね」
奥さんはそう言って意味ありげにクスッと笑った。

「セックスがですか?」
と、聞いたらなんと答えるだろうか、などと想像しながら「いえいえ、まだまだです」と答えた。

そのまましばらく沈黙が続いた。
青葉はお茶を飲みながら、こっそりと横目で奥さんのスレンダーな身体を見つめていた。
奥さんが今着ている、ピンク色した女性用浴衣は、すぐにパラリと開けてしまうという、マッサージ師にとってはとても優れた逸品である。
先日も、このホテルで女性客をマッサージしている最中に、ふいに浴衣がパラリと開け、女性客のおっぱいがおもいっきり露出された。
ただし、その客は70を過ぎた老人で、その露出されたおっぱいは生クリームを搾る時に使うようなアレにそっくりで、それを見せつけられた青葉のほうが恥ずかしくなってしまったほどだった。

しかし、今夜は違う。
今夜は、あのピンクの浴衣には存分に機能を発揮してもらわなければならないのである。
青葉はそんな事を思いながら、鏡台に座る奥さんの後ろ姿を眺め、妙にワクワクしていたのであった。


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「最初はうつ伏せでお願いします・・・・」
青葉がそう言うと、奥さんは「・・・はい・・・」と小さく返事をしながら、ベッドにゆっくりとうつ伏せになった。
奥さんがうつ伏せになろうとした時、ピンクの浴衣が少しだけ乱れ、奥さんのムチムチの太ももを拝む事が出来た青葉は、ベッドにうつ伏せになっている奥さんを見下ろしながら、まだどこにも触れていないというのに既にハァハァと熱い息を洩らしていた。

青葉は「失礼します・・・」と呟きながら奥さんの細い肩に手をあてる。
肩を揉み始めると奥さんの髪の毛が青葉の腕にサラサラと触れた。

「痛くないですか?」
青葉の声に、奥さんは枕に顔を押し当てたまま「はい」と返事をした。

奥さんの柔らかい体に触れながら、青葉は奥さんのあの黄色いシミを思い出していた。
そして同時に、旦那が寝言でしきりに言っていた「出会い系サイトで知り合った若い男」と、この奥さんとのドロドロとした変態行為をアレコレと想像する。

青葉のトランクスの中は、既に奥さんのパンツを盗み見した時からヌルヌルになっている。
そのヌルヌルとなったトランクスに青葉が体を動かす度に固くなった肉棒が滑らかに擦れ、刺激を受けた肉棒からは更にヌルヌルとした液体が放出されていた。

神経を尖らせた青葉の手の平は肩から腰へと移動した。
このキュッと引き締まった腰は、かなりの「くびれ」になっているだろうと、そのプロポーションの良さを浴衣越しに感じる。

腰を揉みながら、奥さんのその丸い尻を眺める。
腰をグイグイと押す時、わざと手の平をおもいきり開くと、ほんの少しだけ小指の先に奥さんの尻の膨らみが触れた。
わざと腰を左右に振ってみる。
プリプリとした丸い尻が、悩ましく「クイッ、クイッ」と揺れ、おもわず尻のワレメに顔を押し付けたい衝動に駆られる。

「腰が少し冷えてるようですね・・・」
青葉はデタラメにそう言いながら、腰全体を手の平で擦るようにして、ついでに丸いお尻もスリスリと擦ってやった。
モチモチとした尻の感触が青葉の手の平に伝わって来る。

「私、冷え性なんです・・・」
奥さんがポツリと呟いた。
「冷え性はよくありませんね・・・女性のホルモンバランスが崩れてしまいますからね・・・」
青葉はもっともらしい事をほざきながら、「失礼ですが、お子様は?」と聞く。

「いえ、まだです・・・」

「だったら尚更、冷え性は直しておくべきですね・・・」

「冷え性に効くお茶を飲んだりと色々してるんですけど・・・なかなか効かなくて・・・」

「でしょうね。奥さんの場合、これだけ冷たくなってますから、お茶くらいでは治らないでしょう。やっぱり、こうやって皮膚を擦って温めるとか、ぬるま湯に長時間浸かるなどの直接的な治療が必要だと思いますよ・・・」

青葉はそう言うなり、ここぞとばかりに奥さんの腰を激しく擦った。
薄暗い部屋の中で、旦那の鼾と、そして青葉が奥さんの浴衣を擦る音だけが響いている。

「ホントだ・・・なんか温かくなって来た・・・」
枕の顔をスッと横にした奥さんは、横で体を擦っている青葉に向かってクスッと笑った。

「ほら、寒い時なんか、よく両手をスリスリと擦り合わせたりするじゃないですか。あれと同じですよ。擦る事によって血行を良くし体を温めるというのは、東洋医学の基本ですからね」

青葉はまたしてもデタラメを言った。
そう、揉むよりも擦った方がその感触をより感じられると考えた青葉は、恐れ多くも東洋医学の基本さえもデッチあげてしまったのだった。

ノリに乗った青葉の手の平は、そのまま奥さんの裏太ももまでスリスリと滑り降りて行った。

このホテルの女性用浴衣は、膝上丈タイプの物で、まるでミニスカートのように丈が短い。
必然的に青葉の手の平は、奥さんの生肌をスリスリとする事となる。

奥さんの引き締まった太ももの裏に青葉の手の平がスルリと滑り込むと、さすがの奥さんも少し動揺したのか、半開きになっていた股を慌ててキュッと閉じた。
浴衣の下から股間を覗き込もうとしていた青葉は心中で(くそぅ・・・)と呟く。

しかし、奥さんの生肌に触れられるだけでも儲けものだ。
奥さんのその弾力性のあるピチピチとした裏太ももをいやらしく擦りながら、青葉はもう一方の手で自分の股間を弄っていた。

ツルンと輝くふくらはぎをスリスリと擦りながら、浴衣の中を覗き込む。
しかし、奥さんの太ももはぴしゃりと閉じられたままだ。
なんとか太ももに隙間を作りたいと、青葉は奥さんの足を引っ張ったりと色々試してみるが、しかし太ももは閉じられたままだ。

もしかしたら奥さんは意識して太ももを閉じているのか?・・・・・

今まで、ホテル出張マッサージ師として、痴漢行為を受けたのは数あれど、痴漢行為を一度もした事のない小心者の青葉は、自分のスケベ心が奥さんに見透かされているのではないかととたんに怖くなった。

もうヤメておこう、これ以上わざとらしい事してるとホントにバレちゃうよ・・・・
と、青葉が諦めかけた時、枕に顔を押し付ける奥さんが突然口を開いた。

「爪先が特に冷えるんですよ・・・」

そう言われて青葉が奥さんの足の指に手をやると、なるほど、そこはまるで氷水に浸けていたかのようにヒンヤリと冷たかった。

「これはかなりの冷え性ですね・・・・」
奥さんの小さな足の指を両手で包み込みながら、蝿のようにスリスリと両手を擦った。

「これは血液の流れが悪い証拠ですね・・・こうやってよく擦って、血管とリンパの流れをスムーズにしてあげないといけません・・・・」
そう言いながら青葉は、奥さんの足を掴んだまま膝を曲げさせた。

膝が曲げられると、ピタッと閉じていた太ももに少しだけ隙間が開いた。
浴衣の奥の股間部分に奥さんのパンティーがチラチラと見え隠れしている。
堪らなくなった青葉は、奥さんの股間を覗きつつ、ズボンから破裂しそうなくらいに腫れ上がっているペニスをソッと取り出した。

うつ伏せになった状態で枕に顔を埋めている奥さん。そして隣りのベッドでグーグーと鼾をかいでいる旦那さん。
そんな夫婦をベッドの上から見下ろしながら、青葉は堂々とペニスを剥き出しにしてオナニーをした。

(凄い・・・滅茶苦茶コーフンするよ・・・・)
青葉はそのシチュエーションに堪らなく興奮していた。
このまま奥さんの足にぶっかけて射精してしまいたいくらいだと、激しく悶えながらペニスをシゴくのだった。

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「それでは次は仰向けになって下さい」

奥さんが髪を乱しながらベッドの上でゴロリと体を動かした。
乱れた浴衣から、チラッとほんの少しだけ胸の膨らみが見えた。

もうそこにはいつもの好青年・青葉君の姿はない。
そこにいるのはエロマッサージ師・青葉なのである。

「冷えを直すには下半身を重点的に摩擦し、血行を良くしていかなければなりません・・・」

青葉は奥さんを横向きに寝かすと、左足をグイッと持ち上げ、おもいきり股を開かせた。
左足の膝を曲げさせ、足の裏から膝までの間を手の平でスリスリと摩擦して行く。

青葉の位置からアソコにピタリと吸い付いているパンティーが丸見えだった。
奥さんの脹ら脛をプルプルプルっと揺らしながら、鼻の下を伸ばしては股間をジロッと覗き込む。

奥さんは枕に顔を埋めながらも、ソッと下半身に手を伸ばし、浴衣の裾で股間を隠そうとし始めた。

奥さんは、真剣にマッサージをしている青葉を傷つけないようにと思っているのか、あくまでもさりげない仕草で浴衣を股間に引っ張っては、ソコを隠そうとしていた。

(恥ずかしいのか?・・・・出会い系で若い男とヤリまくっているガバガバのマンコを見られるのが恥ずかしいのかい奥さん・・・・)
青葉は心中でそう呟きながら、さりげなく抵抗する奥さんを無視して、更に股を開かせた。

そして、左足を高く持ち上げ、ほとんど尻に近い太ももの裏から脹ら脛まで、手の平でスリスリと擦りながら往復させた。

股間を浴衣で隠そうと必死になっていた奥さんの胸が開けていた。
真っ白な乳房の先の茶色い乳首が、薄暗い部屋の中でもはっきりと見えた。

青葉はクラクラと目眩を覚えながら、太ももの裏を擦る手を更に濃厚にして行く。
丸い尻を円形状に擦りながら、広げた手の平の親指をわざとワレメに押し当てた。

普通の肌とは違う感触が親指に伝わる。
そのままグリグリと押していると、居たたまれなくなった奥さんが「・・・あのぅ・・・」と何か言おうとした。
「ここには生理不順のツボがあるんです。まだ子供をお産みになってらっしゃらない女性は、ここを重点的に温める事が大切なんです」
青葉は奥さんに言葉を挟ませないように、すかさずそう答えた。

太ももの裏をスリスリと擦る青葉の親指は、容赦なく奥さんのクリトリスをも同時に擦っていた。

枕に押し付けられている奥さんの表情を上からソッと覗く。
奥さんは眉間にシワを寄せ、苦しそうな表情をしていた。
それは、気持ちイイからなのか、それとも恥ずかしいからなのか、どちらの気持ちからそんな苦しそうな表情をしているのかはわからない。
しかし、奥さんの半開きになっている唇から「ハァ・・・ハァ・・・・」という熱い息が密かに漏れているのを青葉は発見し、感じてるんだな・・・と、確信した。

再び奥さんの片足を天井高く持ち上げた。
奥さんの浴衣が開け、パンティー1枚だけの下半身がおもいきり露出された。
しかし奥さんはもう、浴衣で股間を隠そうとはしなかったのだった。

(つづく)

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