大雪の夜の夢3
2012/11/17 Sat 04:25
恥骨マッサージ
大量に放出した精液を、少女の尻に満遍なく塗り込んだ。
そしてそのまま少女の股間へと指を滑らせ、ヌルヌルの精液を少女の性器に塗り付けてやった。
初めてまともに少女の性器に触れた。少女の性器は、もはや取り返しのつかないくらいに濡れており、精液にまみれた私の指を必要以上に滑らせた。
直接性器に触れられた事で、少女は慌てて股を閉じた。まるで小動物が寒さに凍えるようにして、小さな肩をブルブルと震わせていた。
私は、少女の尻に挟まったままの手を無言で抜き取ると、その指にねっとりと付着した少女の汁をペロリと舐めた。
心なしか、それはミルキーのように甘かった。
もう我慢できなかった。今度こそ、ペニスを入れてやろうと思いながら、勃起したペニスをズボンの中に押し込んだ。
短時間で二度も射精した私だったが、これほどの可愛い女子高生の濡れた陰部に触れた今、過去の射精が嘘のように興奮が甦っていた。
「それじゃ、仰向けになってもらおうかな……」
うつ伏せのまま固まっていた少女は、黙ったままゆっくりと体を起こした。少女のTシャツには乳首が透けて見えた。ポテッと柔らかそうな乳肉の先に、うっすらと透けた桜貝色の乳首がツンと尖っていた。
性器を触られたという気まずさからか、少女は終始無言で、私と目を合わせようとはしなかった。
黙って仰向けになった少女の顔に、私はソッと白いタオルを掛けた。いきなり視界を遮られた少女は、一瞬脅えたようなそぶりを見せたが、しかし、それに対して何も言おうとはしなかった。
(もしかしたらこの子は、私にヤラれるのを求めているのかも知れない……)
そう思いながら、陰毛を曝け出した少女を見下ろしていると、今までとは違う感情がムラムラと沸き上がってきた。
その感情は、今度こそ、この少女とセックスができるかも知れないと言う、実にリアルな感情だった。
整体ベッドの上で、少女の小さな体をがっつりと押さえ込みながら、濡れた穴の中にヌルヌルとペニスを出し入れする感触が、私の亀頭にリアルに伝わって来たのである。
私は目眩を感じるほどに興奮しながら、少女の閉じていた足をゆっくりと開いた。
一瞬、少女は股に力を入れたが、しかし、私が「恐らく、尾てい骨と同様に恥骨もずれちゃっているだろうから、ちょっと調べてみようか……」と、少女の耳元に優しく囁くなり、まるで風船の空気が抜けるかのようにスーッと股の力を抜いた。
少女は耳に弱いのか……
そう知った私は、少女の下腹部にゆっくりと指を下ろしながら、まるで息を吹き掛けるようにして、再び少女の耳元にいやらしく囁いた。
「ちょっと変な事を聞くけど……これはあくまでも治療の上で聞く事だから誤解しないでね……」
生温かい息で耳をくすぐられた少女は、微かに背骨をエビ反らせながら、「はい……」と小さく頷いた。
「キミはセックスの経験はあるのかい?……」
囁く私の指は、栗毛色したふわふわの陰毛を優しく掻き分け、大の字に開かれた股の間に滑り降りて行った。
「いや、セックスをしているとね、少なからずも恥骨は歪んでいるものなんだよ……まぁ、言いにくい事だろうけど、誤診してしまうといけないから正直に答えて欲しいんだ……今までにセックスした事はあるの?」
そう尋ねる私の指はクリトリスの直前で止まった。
掌でふわふわの陰毛を包み込みながら、そこにポコンッと飛び出した恥骨をグイグイと押し、人差し指と中指でVサインを作っては、わざとクリトリスを避けた。
少女の、白いタオルからはみ出ていた耳が真っ赤になっていた。
少女は、恥ずかしそうにベッドに敷かれたバスタオルの端を指でモゾモゾと弄りながら、蚊の鳴くような小さな声で「あります」と答えた。
「それはいつ頃の事かな?……一年前とか、一ヶ月前とか、それとも昨日とか……」
「……半年くらい前です……」
少女が答えると、私はすかさず「半年も前の事なら恥骨の歪みは関係なさそうだね」と言い、更に手の平で恥骨をグイグイと押した。
陰毛のジャリジャリと擦れる音が響いていた。そんな音に、少女は恥ずかしそうに顔を横に向けた。
その瞬間、少女の耳元に顔を近づけていた私の唇に、少女の真っ白なうなじがスッと触れた。
そのまま、その白いうなじにむしゃぶりつきたい衝動を必死に堪えながら、私は更に少女に尋ねた。
「じゃあ、もうひとつ聞くけど、これも診察の上で聞く事だから正直に答えてね……オナニーってしたことある?」
そんな質問に、少女は私から顔を背けたまま固まってしまっていた。
しかし、根が真面目なのだろう、少女はすぐに無言でコクンっと頷いた。
「それはいつ?」
「……三日くらい前だったと思います……」
少女は恥ずかしそうに答えた。
こんなに可愛い顔をしながらも、この少女は三日前、オナニーをしていたのかと思うと、あまりの興奮で目の前が真っ暗になった。
「……三日前か……それはどうやってやったのかなぁ……例えば、指でやったとか、それとも何か器具を使ったとか……」
「指です」と少女は即答した。
「そっか、指か……で、それはどうやってやったの?……」
少女は訝しげに首を傾げた。
「……うん、ははははは、ごめんね変な事ばかり聞いちゃって。でもね、指を性器に入れると、やっぱり少なからずも恥骨は歪んじゃうものなんだよね、だから指を入れたのか、それとも違う場所を弄ったのかを知りたいんだ……ホント、変な質問ばかりでゴメンね」
ははははははは、とわざとらしく笑う私に、少女は小さく首を振りながら「指は入れてません」とキッパリ答えたのだった。
少女がクリトリス派だという情報を得た私は、それ以上は聞かなかった。
もはや、何も聞く事は無かった。それだけで私のペニスははち切れんばかりに勃起し、二度も射精をしているというのに、精液を出したくて出したくてウズウズしていた。
私は少女の耳元に、恥骨の歪みというのは、生理不順や冷え性を引き起こし、挙げ句の果てには不妊症になってしまうほど恐ろしいものなんだと出鱈目を囁きながら、恥骨の上に生える陰毛を掌でジャリジャリと音を立てていた。
そうしながらも、じわりじわりと指を移動させては、ワレメの上にコロッと顔を出す突起物にさりげなく触れた。
少女のクリトリスは明らかに硬くなっていた。
クリクリと硬くなったその突起物に親指の付け根をわざと押し付けながら、円を描くように掌を回していると、不意に少女は「くしゅっん」と小さなしゃみをした。
風邪でも引かせてしまったかと思いながら、そっと横目で少女の顔を見ると、なんと少女は自分の指をギュッと噛み、必死に声を堪えていたのだった。
それは『くしゃみ』ではなかった。ハァハァと小さく息を吐きながら顔を顰めている少女は、堪えきれずにいやらしい声を洩らしてしまっていたのだ。
少女は明らかに感じていた。
私の親指の付け根がクリトリスに触れる度に、「うっ」と小さな呻きを吐きながら、声が洩れないようにとおもいきり指を噛むその姿は、性的に感じている以外のなにものでもなかった。
私は、必死に堪えている少女のその声が聞いて見たいと思い、円を描くように回していた掌をそのまま下げた。
今まで陰毛をジョリジョリと回していた掌に、コリコリとしたクリトリスがくるくると回り始めた。
少女は、一瞬「ふっ!」と大きく息を吐いたが、それでも声を押し殺し、慌てて開いていた股を閉じた。
私は「大丈夫よ……」っと優しく囁きながら、少女のぴっちりと閉じている太ももをジワリジワリと開かせた。
しかし、それでも少女はギュッと力を入れるため、私は少女の耳元に「力を抜かないと治療ができないよ……」と囁いた。
耳に熱い息を吹き掛けられた少女は、とたんにへなへなと股の力を弛めた。
その隙に私は、膝を立てていた少女の足を左右に押し倒し、股間を菱形の形に開かせると、まるでノコギリで切られたかのようにぱっくりと口を開いた性器に指を這わせた。
「先生……」と、少女がうわ言のように呟いた。
「大丈夫よ。そのまま目を閉じてなさい……」と、私は少女の耳に熱い息を吹き掛けた。
少女の性器は、ハチミツを垂らしたかのようにドロドロに濡れていた。小さな肉ヒダを指で掻き分けながら穴の中に指を入れると、ぐじょぐじょに汁が溢れた穴の中は、火が付いているかのように熱かった。
「膣の中がこれだけ熱いという事は、やっぱり、キミの恥骨はかなり歪んでいるようだね……早くこの炎症を和らげてあげないと、明日の発表会は……」
私はそう囁きながら、三本の指でワレメをヌルヌルと擦った。
少女は「んんんん……」と喉を鳴らしながらゆっくりと首を左右に動かし、そしてピンクの唇をゆっくりと開いては、遂に「あぁぁん……」と可愛い声を洩らしたのだった。
本当に大丈夫さ
ヌルヌルのワレメの中に二本の指を挿入した。
指が根元まで飲み込まれると、少女は自分の指を噛みながらクンクンと子犬のように鼻を鳴らした。
丁度、Gスポットがある膣の天井部分を二本の指腹でグイグイと押しながら、「ここが恥骨だよ」と囁くと、少女は上目遣いでジッと私を見つめながら、「先生……恥ずかしいよぅ……」と、今にも泣きそうな表情で呟いた。
「恥ずかしい事なんてないさ……これは治療なんだから仕方ないよ……」
私はそう言いながら、ヌルヌルの中にもザラザラする膣壁を指で擦りながら微笑んだ。
しばらく穴の中を指で掻き回していた。指を立てながらゆっくりと出し入れすると、少女は両脚をピーンッと伸ばしながら、背伸びをするかのように身体を突っ張らせていた。
私はもう片方の手で少女のTシャツを脱がせた。少女は抵抗する事なく黙ったまま目を閉じていた。Tシャツを頭から抜くと、プニプニの少女の乳肉がプルンっと揺れた。
少女の裸体は、まるでイルカのように美しかった。贅肉ひとつない全身には、『花』のような香りが微かに漂っていた。
右手で性器を弄りながら、左手で少女の胸にオイルを垂らした。「冷たい」っと恥ずかしそうに肩を窄める少女に、私は、おもわず威きり立ったペニスを握らせてみたいという衝動に駆られた。
硬くなった乳首を指先でコロコロとオイルマッサージしながら、性器を弄っていた指をゆっくりと抜き取った。
蛍光灯に照らされた指は少女の汁でテラテラと輝き、指の根元には白濁の汁がべっとりと付着していた。
私は、少女に見られないようにソッと指の匂いを嗅いだ。指には、さっきのパンティーのシミによく似たおしっこらしきアンモニア臭が、ツーンッと漂っていた。
「やっぱり恥骨がずれてるみたいだから、骨盤を矯正する前に恥骨の歪みを直す事から始めよう……」と、そう言いながら少女の体をそのまま横に向けさせた。
少女は、微かな『花』の香りを漂わせながら、沈黙のまま身体を横に向けた。そんな少女の背後からゆっくりと手を回した私は、オイルでヌルヌルする少女の右足をゆっくりと曲げさせた。
ベッドに這い上がった私は、少女の足下に胡座をかきながら、開かれた陰部から顔を出している歪んだワレメにソッと指を這わせた。
ワレメを二本の指でペロンッと開くと、桜貝色した生肉が顔を出し、透明の涎をトロリと肛門へと垂らした。
「恥骨ってのはね、すごくデリケートな骨なんだ……」
そう言いながら、ズボンのボタンをソッと外した。
「だから、恥骨の歪みを直すにはね、外部からではなく内部から慎重にやらなくちゃならなくてね、これが結構難しいんだよ……」
素早く脱いだズボンをソッと床に置こうとすると、不意にベルトの金具がチャリッと音を立てた。
その瞬間、少女の大きな瞳がパッと開いた。
少女は横向きのまま黙って目を開き、右の壁に貼ってある背骨のポスターをジッと見つめていた。
私は息を殺したまま少女を見下ろし、身動きできないままジッと固まっていた。
すると、ポスターを見つめていた少女の大きな黒目が、ゆっくりと私に向かって移動して来た。
子猫のように大きな黒目は、勃起したペニスを剥き出しにしている私を捕らえるなり、ギョッと瞳孔を開いた。
まずいと思った私は、素早く少女の身体を押さえつけた。
焦った少女が「せ、先生」と言いながら起き上がろうとした。
そんな少女の体を強引に押さえつけながら、「デリケートな恥骨矯正にはペニスが一番いいんだよ」と呟くと、そのまま少女の尻の谷間にペニスを突き刺した。
ペニスは、見事にワレメの中に滑り込んだ。
「うっ!」と呻きながら、少女は細い体をねじ曲げた。
そんな少女の腰を両手で押え付けながら、ペニスを根元まで押し込みコキコキと腰を振り始めた。
少女は「やだ、やだ」と呻きながら、ベッドに敷いていたバスタオルを鷲掴みにした。今まで経験した事のない強烈な膣筋が私のペニス全体を激しく締め付けた。
少女を仰向けにさせ、正常位の体勢にさせた。
少女は「やだ……」と呻きながら顔を顰めた。
私は「大丈夫よ……本当に大丈夫だから……」と意味不明な言葉を囁きながら、その狭い穴の中にヌルヌルとペニスを滑らせた。
「何が大丈夫なの?……」
少女は目に涙を浮かべながら私を見た。
少女のその表情には、怒りと恥ずかしさと、そして快楽が浮かんでいた。
「大丈夫。もう何も心配しなくていいから……」
私はそう誤魔化しながら腰のスピードを上げていった。
「本当に大丈夫?」
少女は不思議そうに首を傾げた。
少女の大きな瞳から、大粒の涙がツッと溢れた。
「本当に……大丈夫よ……」
私は少女の華奢な体にしがみつくと、真っ白なうなじに唇を押し付けながら、深い溜息と共にそう囁いた。
三度目の大波が沸き上がった。
少女から漂う『花』のような匂いに包まれながら、私はその細く狭い穴の中に欲望を吐き出したのだった。
大雪の夜の夢
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……という地響きと共に、ぐわん、ぐわん、ぐわん、ぐわん……という、巨大なエンジン音が響いた。
それはまるで地震だった。窓のサッシがガタガタと揺れ、棚に並べてあったワンピースのフィギアが、次々に床に落ちて行った。
それが除雪車だという事は、しばらくの間気付かなかった。
それが接骨院の前を通り過ぎて行き、再び海の底のような静けさに包まれた時に、初めて今夜が大雪だった事を思い出し、今の轟音が市の除雪車だった事に気付いたのだった。
右手が酷く痺れていた。デスクに顔を伏せたまま眠っていたため、椅子の肘掛けに乗せたままの右手がジンジンと痺れていた。
(いつの間にか眠ってしまったんだ……)
そう思いながらデスクの上を見ると、広げたままの金田光雄さんのカルテに乾いた涎がオーストラリア大陸のようなシミを作っていた。
時刻は既に二時を回っていた。小さなあくびをしながら、静まり返った診察室にソッと振り返った。
いつしか石油ストーブは消え、寒々とした蛍光灯が無人の整体ベッドを淋しく照らしていた。
それにしても凄くリアルな夢だった。
そう思いながら、ヌルヌルに濡れた尿道をティッシュで拭いた。
夢で我慢汁を出したのは初めてだった。
夢精は高校生の頃に一度だけ経験した事があった。それは、大学受験でオナ禁していた時の事で、早朝の四時半にいきなり夢精した私は、まだ夜が明けきらぬ薄暗いベッドの中で強烈な快楽に襲われながら悶えていた事を今でもハッキリ覚えている。
(あんな夢を見るなんて、もしかして溜ってるのかなぁ……)
確か、私が最後に射精したのは、まだ妻とセックスレスになる前の、今から二年ほど前に旅行した伊豆の温泉ホテルだった。
あの時、マンネリしたセックスをなんとか打開しようと、私は妻にアイマスクを装着させ、浴衣の紐で手足を縛った。
そんな妻の姿にさっそく欲情した私は、妻を乱暴に犯し、その勢いに乗って妻の顔に精液をぶっかけた。
そもそも、それがセックスレスの原因だった。
精液をぶっかけられた妻は、紐やアイマスクから解放されるなり狂ったように泣き出した。あなたのような変態とは離婚します、とマントヒヒのようなヒステリーを起こしながら、鼻にダラリと垂れ下がった精液を、まるで鼻水のようにブラブラとさせていた。
あれから二年経っていた。その間、私は一度も射精していなかった。だから、まぁ、溜っていると言えば溜っているのだが、それが原因で、あれほどのリアルで濃厚な夢を誘発したのかと思うと、いかに射精というものが、肉体的にも精神的にも必要だという事を思い知らされた。
そんな事を考えながら、ダラリと萎れたペニスをクニクニとシゴいてみた。溜っているのなら、とっとと抜いてしまったほうがいいと思った。夢ならまだしも、本当に性犯罪に走ってしまったら大変なのだ。
しかし、夢の中ではあれほど反り起っていたのに、今では、どれだけシゴこうとも、ペニスはうんともすんともいわなかった。
パソコンの電源を落とし、デスクに散らばっていたカルテを棚に戻すと、素早く診察室の戸締まりを確認した。
飲みかけのコーヒーをシンクの三角コーナーに流し、マグカップを手早く洗った。
ふーっと溜息をつきながらタオルで手を拭き、ふと、ポケットの中の携帯を取り出すと、パカッと開いた。
二時二十五分という時刻が目に飛び込んで来た。着信もメールの受信もなかった。
こんな大雪の日に、主人がこんな時間まで帰って来ないというのにあいつは心配じゃないのだろうか、と、今頃大鼾で寝ているだろうと思われる妻の顔を思い出しながら、もう一度溜息を付いた。
裏口の小さな玄関で靴を履くと、裏口の壁に設置してあるブレーカーを落とした。
カタンっという音と共に一瞬にして漆黒の闇に包まれた。
ドアを開けると、いつしか雪は止んでいた。雪に包まれた深夜の住宅街は、まるでハリウッドのパニック映画のラストシーンのように静まり返っていた。
裏口の階段を下りると、凍った雪がバリバリと小気味良い音を立てた。そのまま駐車場へ向かおうとした瞬間、暗闇の背後に視線を感じた。
背筋をゾッとさせながら慌てて振り返ると、そこには、二体の雪だるまが、寄り沿うようにして並んでいた。
その一体は、さっき私が叩き潰そうとした雪だるまだった。
しかし、もう一体は、こんな夜中に誰が作ったのか、新しい雪だるまだった。
こんな大雪は十年に一度だろうな、と思いながら車に積もった雪をスコップで落とし、冷凍庫のように冷えた車内をエアコンで温めた。
ガリガリと凍った雪を踏みしめながら駐車場を出ると、道路はまるでスケート場のようにツルツルに凍っていた。
ゆっくりと車を走らせると、いきなり前方の薄暗い道路の隅で、誰かがドテッと転ぶのが見えた。
こんな夜中に、新聞配達のおばちゃんだろうか、と思いながら、雪に埋もれた歩道に車を寄せ、開けた窓から「大丈夫ですか?」と声を掛けた。
雪の中から「う〜ん……」という唸り声が聞こえて来た。
慌てて車から降り、歩道にできた雪の穴の中を覗いた。
雪の中には女子高生が寝転がっていた。その顔は、まさに夢で見た少女と瓜二つだった。
「腰をぶつけちゃって……立てないんですぅ……」
今にも泣き出しそうな表情で助けを求める少女に、おもわず私は聞いた。
「キミは、もしかしたら茶道部か?」
少女は、不思議そうにコクンっと頷くと、「どうして知ってるんですか?」と目を丸めた。
深夜二時。この大雪の中を女子高生が歩いているはずが無かった。
私は、頬を抓ろうとしたが、慌てて止めた。
もう一度……と、ニヤリと微笑みながら少女を雪の中から救出した。
「私の接骨院はすぐそこなんだ。ぶつけた腰を診てあげるよ」
そう告げると、少女は嬉しそうに微笑みながら車に乗込んだ。
再び接骨院に戻り、駐車場に車を停めた。
足下が滑るから気を付けろよ、と少女に言いながら、今出て来たばかりの裏口へと進んだ。
裏口では、雪だるまが私達を出迎えてくれた。が、しかし、不思議な事にさっきまで二つあったはずの雪だるまは一体しかなかった。
「えっ?」と驚きながら、足を止めた。
私の背後で少女がニヤッと笑った。
(大雪の夜の夢・完)
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