射精症候群
2013/04/27 Sat 00:58
今から二十年ほど前、私がまだ少女だった頃、近所の駄菓子屋に、ゴム風船の中にバニラアイスが入った『たまごアイス』というものが売っていた。
まだ小学生の低学年だった私は、高学年のお姉ちゃん達に混じりながらそれをチューチューと吸っていた。
でも、私はチューチューするのがヘタクソだった。いつも途中でゴムがプチンっと弾け、飛び散る白いバニラアイスで顔面をネトネトにしていた。
いつもみんなに笑われていた私は、なんとか『たまごアイス』を上手にチューチューできるようになろうと、お小遣いを全て『たまごアイス』に注ぎ込み、公園の奥の薮の中で一人こっそり『たまごアイス』をチューチューしていた。
そんなある時、いつものように公園の薮の中に入ろうとすると、見知らぬおじさんに声を掛けられた。
おじさんは、いつも私がこの公園で『たまごアイス』をチューチューしていたのを見ていたらしく、「キミは本当にそのアイスが好きなんだね」と笑った。
まだ無知だった私は、そんな見知らぬおじさんに理由を説明した。
私の話を聞いて、おじさんは可笑しそうに笑った。でも、ケラケラと声を出して笑っていたおじさんの目は全然笑っていなかった。
おじさんは、上手なチューチューのやり方を教えてあげよう、と、私を公衆便所に連れて行った。
そこは、いつもの女子便所ではなく、臭い男子便所だった。
おじさんは私を個室の中に入れると、ガチャンっと鍵をした。
私が持っていた『たまごアイス』の袋をガサガサと開けながら、「これは噛んじゃいけないんだよ。噛むとプチッとゴムが破けてしまうから、最初は舌で優しくペロペロと舐めて、ゴムが柔らかくなったら歯でプチッと噛み千切るんだ」と、袋から出した『たまごアイス』を私の唇に押し付けた。
なんだそうだったのか、と嬉しくなった私は、おじさんの言う通りに、『たまごアイス』の先でプクッと膨らんでいるゴムをペロペロと舐めた。
これでお姉ちゃんたちを見返してやれるぞ、とワクワクしながらそれを舐めていると、いきなりおじさんがズボンの中から大きなチンチンを出した。
そのチンチンは今でもはっきりと覚えている。弟のユウキのチンチンなんか比べ物にならないくらい大きかった。石みたいにゴツゴツとしていて、焦げたヤキイモみたいに真っ黒だった。
私は、チンチンを出したおじさんがおしっこをするのかと思っていた。しかし、おじさんは一向におしっこをせず、『たまごアイス』を舐める私をジッと見ながらチンチンを上下に動かしていた。
「おしっこしないの?」
私がそう聞くと、おじさんはニヤニヤ笑いながら、「これはチンチンじゃないよ、これは『大人のたまごアイス』なんだよ」と言った。
それが『たまごアイス』じゃない事くらい、幼い私でもわかっていたが、しかし、『おとな』という言葉が付け加えられた『たまごアイス』に妙に興味を覚えた。私を散々馬鹿にしたお姉ちゃん達を見返してやりたいという一心から、『おとな』という言葉に急速に惹かれたのだ。
「じゃあ、それはどうやって食べるの?」
私はおじさんを見上げながら聞いた。
「それと一緒だよ、ペロペロと舐めれば中からアイスが出てくるよ」
「うそだぁ」
私はニヤニヤ笑った。
「嘘じゃないよ、本当だよ。嘘だと思うなら舐めてごらん」
おじさんはそう言いながら私の顔にチンチンを突き付けた。
真っ赤なトマトのようなチンチンの先からプ〜ンと変な匂いがした。それはいつもパパがお酒を飲む時に食べているスルメと同じ匂いがして、もしかしたらパパも、『大人のたまごアイス』をこっそり食べていたんじゃないだろうかと思った。
そう思うと、お姉ちゃん達よりも先に、『大人のたまごアイス』を食べるべきだと思った。そしてお姉ちゃん達に、『大人のたまごアイス』を食べた事をおもいきり自慢してやりたいと思った。
私は何の躊躇いもなく、その真っ赤なトマトをペロッと舐めた。
おじさんは、急にハァハァと荒い息を吐き出すと、「もっとペロペロしなきゃアイスは出て来ないよ」と、チンチンを上下に擦りながら言った。
「こお?」
私はそうおじさんの目を見ながら、無我夢中でペロペロと舐めた。
塩っぱい味がした。舐めれば舐めるほどおじさんはハァハァとかあぁぁぁぁと声を上げ、もっともっと早くチンチンを上下に擦った。
「ぜんぜんアイスが出て来ないね」
私がそう顔を傾けた時、いきなりチンチンの先からアイスが飛び出した。
「あっ!」と思った瞬間、私の口の中にアイスが飛び込み、なんとも言えない生臭さと、強烈な苦味が口の中を襲った。
「うぇっ」と言いながらおもわずそれを吐き出すと、おじさんのチンチンから次々に飛び出すアイスは、私の顔や髪の毛にビュッビュッと飛び散った。
慌てて顔を伏せていた私が、「もう、やだぁ〜」と言いながら顔を上げると、おじさんは凄く焦りながらドアの鍵を開け、バイバイも言わずに個室の外に飛び出して行ったのだった。
そんなおじさんの遠離って行く靴音を聞きながら、私は顔じゅうに飛び散ったベトベトのアイスをトイレットペーパーで拭き取った。
そして、やっぱり失敗してしまった、と落胆しながら、この事はお姉ちゃん達には内緒にしておこうと思った。それを話せば、どうせお姉ちゃん達はまた私を馬鹿にするに違いないからだ。
そんな『大人のたまごアイス』が、精液だった事に気付いたのは、私が中学に入ってからだった。
その頃、性に目覚め始めていた私は、夜中にリビングのパソコンを立ち上げ、こっそりアダルトサイトなどを見ていた。
そこで男性の射精というものを知った。画面に映し出された『顔面シャワー』の画像は、あの時、私がされたそれと全く同じものだった。
おもいっきり性的悪戯をされていた事に気付いた。
真っ暗なリビングの壁に、あの時のおじさんの顔が鮮明に浮かび上がり、今更ながら凄まじい恐怖に襲われた。
だけど、私の指はマウスを放さなかった。背筋をゾクゾクさせながら、『顔面シャワー・動画』とキーワードを打ち込むと、大量の動画を検索していた。
ずらりと並ぶ卑猥なタイトルの中からひとつ選び、それを再生した。
目も背けたくなるようないやらしい動画が始まり、それを見ていると、次第にあの時の感触が甦って来た。
生臭い香りに苦い味。舌に飛び散った精液の勢いと、顔中をネトネトにしたあの粘着力。シコシコと上下に動くおじさんのチンチンが卑猥に浮かび上がり、リビングの暗闇の中から、今にもおじさんのハァハァという荒い息が聞こえて来るような気がした。
それらを鮮明に思い出していると、ふと、パンツが冷たくなっている事に気付いた。
生理が始まったのかと慌ててパンツの中に指を入れて見ると、おしっこを洩らしたように性器が濡れていた。
それは生理の血でもおしっこでもなかった。濡れるという感覚をまだ知らない私は、なにがなんだかわからなくなり、小さなパニックを起こした。
すると、パソコンの画面に、髪を茶髪に染めたおばさんが、開いた性器の中に指を入れながらぐちょぐちょと掻き回し、気持ち良さそうに「あーあー」と喘いでいるシーンが映った。
そんなおばさんの性器も、今の私と同じようにぐっしょりと濡れていた。
私は、おばさんの真似をしてアソコに指を這わせてみた。そして、そこをくちゅくちゅと弄ってみると、ゾクゾクとした気持ち良さが太ももに走った。
どれだけ弄っていてもずっと気持ち良かった。かさぶたが取れかかった傷口を指でガリガリと掻いたときのような、その気持ち良さが延々と続いていた。
動画の中で、おばさんが弄っている突起物を私の陰部からも見つけ出すと、それを指先でクリクリと転がした。おばさんと同じ、いやらしい声が私の口からも洩れ、二階で寝ているパパ達にバレないかとひやひやしながら声を押し殺した。
奇妙な快楽に包まれながら、いつしか私は、あの時のおじさんの手の動きを思い浮かべ、そこから精液が飛び出す瞬間を待っていた。
パソコンの机にしがみつきながら、「早く、早くアイスをぶっかけて」、と声に出して言うと、突然、今までに感じた事のない衝撃が脳を貫き、たちまち全身がシュワーッと溶けて行くような快感に包まれた。
私はパソコンの机にしがみつきながらおしっこを洩らしてしまっていた。それが、私の初めてのオナニーであり、そして初めての絶頂だった。
それからというもの、私はオナニーに耽った。夜中になると足音を忍ばせながらリビングへ行き、Googleで『射精・動画』を検索した。
白人男が激しく精液を飛び散らす射精動画を見ながら、私は何度も何度も絶頂を感じた。
そんな私が処女を失ったのは、中学二年の夏休みだった。
塾の帰り道、高速道路の下の真っ暗な細道を歩いていると、前に止まっていた車のドアが開き、おじさんがヌッと顔を出した。おじさんは車のシートに座ったまま私を呼び止めると、「ここから一番近いコンビニはどこですか?」と聞いて来た。
やたらと髭の濃いおじさんだった。怖くなった私が「あっちにファミマがあります」と後を指差しながら立ち去ろうとすると、再び「ねぇ」と呼び止められ、振り向くと、「ほら」と笑いながらペニスを見せつけられた。
おじさんは愕然と立ちすくむ私を見つめながら、大きくなったペニスをシコシコとシゴいていた。なにやら意味不明な言葉をブツブツと囁きながら、私に向かって「おいでおいで」と手を振っている。
逃げなきゃ、と思いながらも完全に足が竦んでいた。まるで夢の中で魔物に追い掛けられてる時のように、身体が全く動かない。
そのうち、おじさんは車から降り、ペニスを突き出したまま私に近付いて来た。
おじさんは私の手首を痛いくらいに握り締めると、凄い力で私の手を引っ張った。
あっという間に、私は車の後部座席に押し込められた。
抵抗しようと思えば出来たかも知れなかった。だけど私はおじさんに引きずられるまま車の後に乗込んだ。
今、思えば、あれは、私の意思で車に乗ったのかも知れない。
おじさんは、私の制服のスカートを乱暴に捲り上げると、ハァハァと荒い息を吐きながら太ももに顔を押し付け、そこをレロレロと舐めながらパンティーを引きずり下ろした。
陰毛の中に指を入れたおじさんは、一瞬ピタリと動きを止め、ソッと私の顔を見上げた。
「ヌルヌルじゃねぇか……」
高速道路の街灯に照らされながら笑うおじさんの前歯は虫歯だらけだった。
おじさんは私の性器を散々舐めまくった。初めて経験する舌の感触に、私は狭い後部座席で淫らに身を捩りながら、いやらしい声を出した。
おじさんは「最近の中学生は大胆だな」と笑うと、ノソノソと座席に座り直し、ズボンを脱ぎ始めた。
おじさんの太ももの間から、細くて長いキリンの首のようなペニスがヌッと突き出た。
「舐めてみる?」
おじさんはボロボロに腐った歯をニッと出しながら笑った。
私はそんなペニスを恐る恐る握った。そして、いつも動画で見ているようにそれを上下にシゴくと、紫色の亀頭に舌を押しあてた。
ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ、っといういやらしい音が車内に響いた。
おじさんは、座席の下に足をピーンッと伸ばすと、「しゃぶって、そのままパクッとしゃぶって」と唸りながら、私の後頭部をグイグイと押した。
長いペニスを口の中に含んだ。スティック糊のように細かったが、リコーダーのように長かった。
おじさんが私の後頭部を押す度に、尖った亀頭が喉をグイグイと押した。ペニスを根元まで飲み込まされると、陰毛から漂ってくる咽せ返すような汗臭さに、猛烈な吐き気を覚えた。
ハァハァと息が荒くなったおじさんは、いきなり私の口からペニスを抜き取った。
そして、目玉を異様にギョロギョロと輝かせながら、「やるぞ、やっちまうぞ」と唸り、私の両脚を持ち上げると股をカエルのように開かせた。
私の股の間におじさんが潜り込んで来た。ほとんど膨らんでいない胸を制服の上から必死に揉みながら、開いた私の股の中にペニスを突き刺して来た。
まるで膣のひだひだをペンチで抓られたような痛みが走った。おじさんが腰を動かす度にその痛みは増して行き、天井に足が付くくらいに股を広げられてズボズボと激しく入れられた時は、あまりの痛さに叫び声を上げてしまったほどだった。
おじさんは私の身体に抱きつきながら「いく、いく、いく」と私の頬に臭い息を吐いた。
その瞬間、おもわず私は叫んでしまった。
「口の中で出して下さい! 飲ませて下さいお願いします!」
おじさんは頬を引き攣らせながら、慌ててペニスを抜いた。そして座席の上に寝転がる私の顔にめがけてシコシコとペニスをしごき始めた。
上下に摩擦するペニスで私の汁らしきものが、ぺちゃ、ぺちゃ、と音を立てた。
私が大きく口を開けると、おじさんは「ああああああ」と情けない声を出しながら、凄まじい量の精液を飛ばした。
精液は私の口の中に溢れ、唇の端からドロドロと滴り落ちては、白蛇のように黒い制服へとヌルヌル滑り落りて行った。
私は迷わずおじさんの精液をゴクリと飲み込んだ。そんな私を見つめながらペニスをシゴくおじさんの指には、私の処女膜を引き裂いた真っ赤な血が白い精液と混じり合っていた。ふと、先週、海の家で食べたイチゴミルクのかき氷を思い出した。
そんな強姦まがいの初体験を終えた私は、十四才にして射精の魔力に取り憑かれた。
あの、射精する寸前の亀頭が愛おしくて堪らず、クワッと開いた尿道から精液がシュプッと飛び出す瞬間を思い出すだけで、私の性器はハチミツの瓶をひっくり返したようにトロトロに濡れた。
中三で携帯を持った私は、当然の如く出会い系サイトにハマった。
エロサイトの無料動画では物足りなかった。水鉄砲のようにシュッと飛び出る射精の勢いが忘れられなかった。
射精を感じさせてくれるなら、デブでもオタクでも親父でも変態でも誰でも良かった。
だから私は無料でヤらせた。素晴らしい射精には、私がお金を払いたいくらいだった。
高校生になると彼氏ができた。出会い系で知り合った、ガソリンスタンドで働く二十歳の男だった。
本気で好きというわけではなく、付き合ってくれとしつこく迫られたから、なんとなく付き合った。
セックスは下手だった。精力も弱く、一日一発が限度だった。
そのうち、欲求不満が溜って来た私は、彼氏の友達とセックスするようになった。その男は、彼氏のアパートによく遊びに来ていた。三人でお酒を飲み、酒の弱い彼氏が酔い潰れてしまうと、いつも寝ている彼氏の隣りで、その男に精液をかけられた。
友達だけでなく、彼氏が働くガソリンスタンドの店長たちともヤッていた。
学校の帰り道、私はいつも彼氏が働くスタンドに立ち寄っていた。彼氏が配達に出て行くと、店長はすぐさま私を奥のロッカー室へと連れ込み、学校帰りの私のアソコを犬のように舐めた。
店長は四十を過ぎた親父だったため、ペニスで私をイカせる体力は無く、いつも舌でイカせてくれた。
そのスタンドでは、店長だけでなく二人の従業員ともヤっていた。
二人はいつも一緒に私を犯した。彼氏の目を盗んで三人でラブホへ行き、二人の男から同時に精液をかけられた。私はそこで初めて性的失神を知ったのだった。
そんな彼氏ともいつしか別れ、高校を卒業すると同時に東京に出た。新宿の美容院で働きながら美容師の専門学校へ通った。
しかしすぐに学校を辞め、美容院も半年持たなかった。
その原因は、やはり私の変態性欲だった。
地元の田舎と違い、新宿にいれば、男達がいくらでも声を掛けて来るため、勉強や仕事などアホらしくてしてられなかったのだ。
そんな新宿の街で射精を求めて彷徨い続け、遂にその街で自分の居場所を見つけた。
それは街角で自分を売る事だった。
それは、まさに私の天職だった。
客の精液は一滴残らず飲み干してやった。
身体中に射精させ、もちろん中出しもさせた。
無料で本番をやらせる事も多かった。
ゴム無しでアナルセックスまでさせていたせいか、私はマニアックな客によく売れた。
一晩に平均十本の客を取り、年収は軽く三千万を超えていた。
しかも、私はお金を使わなかった。洋服やバッグやアクセサリーなど全く興味なく、ホストやギャンブルにもハマらなかった。家賃六万円の新大久保のワンルームマンションに住みながら、朝から晩まで射精の事ばかり思い続けていた。
気が付けば、私は三十を超えていた。
結婚するような相手はいないが、三菱東京UFJ銀行の通帳には一億以上の金が眠っていた。
そんな私は、今、とっても幸せだった。
金の苦労もする事無く、大好きな射精を毎日浴びながら暮らしている。
それもこれも、全てあの公園で『大人のたまごアイス』に出会ったおかげだと、今、あの時のおじさんに心から感謝している。
※
雨上がりのモーテル街は、金魚鉢をひっくり返したような生臭さが漂っていた。
昼間だというのに立ちんぼの姿が目だった。
そこで初めて、今日がゴールデンウィークの初日だと言う事に気が付いた。
初めて見る顔の男が声を掛けて来た。
背が高くて太っていて威張った中年男だった。
男は、私の体をレインコートの上から物色しながら、「いくらだ」と聞いた。
「気持ち良くさせてくれるなら……いくらでもいいです」
男は私を見下ろしながら「ふん」と鼻で笑った。
その鼻息に、私は男の射精を見た気がした。
追伸
先日、築地の聖路加病院に行ってきました。
検査の結果は、やはり陽性でした。
でも、私はHIVなんかには負けません。
これからも新宿の街角に立って、頑張って働きます。
約束の八千万円は、昨日あなたの通帳に振り込んでおきました。
汚れたお金ですが、どうか被災地の復興のために役立てて下さい。
では、さよなら
(射精症候群・完)
《←フェチ特集の目次に戻る》