泥亀沼2
2011/11/26 Sat 12:00
雑草の中から顔を出したおばさんは、「あっちの沼地でね、旦那の靴がハマっちゃって取れなくなっちゃったの……」と言いながら、困った顔をして僕を見つめた。
「あ、はい……」
僕はそう言いながらゆっくりと起き上がると、ビニ本で隠した股間の中にそっと手を入れては、剥き出しになっていたチンチンを急いでズボンの中に押し込んだ。
「悪いけど、手伝ってくれる?」
おばさんは真っ赤な唇を尖らせながら首を斜めにした。
「わかりました」
僕がそう言って立ち上がると、おばさんは「ごめんね」と柔らかく微笑みながらも、ふとそこに散らばるエロ本や女性のパンツなどに目をやった。
慌てた僕が雑草の中に潜り込むと、後から付いて来たおばさんが「あれはあのままにしておいてもいいの?」と聞いて来た。
「いえ、僕のじゃありませんから……」
そう僕がキッパリと答えると、おばさんは意味ありげに「ふふふっ」と笑ったのだった。
雑草を掻き分けながら山道に出た。その小道は僕達が立ち入り禁止地域と指定している泥亀沼へと向かう小道だった。
少し遅れて小道に出たおばさんは「誰もいないし困っていたの」と微笑みながら、ワンピースに付いた葉っぱをパラパラと払い始めた。
「そうしたら急にこの薮の中から声が聞こえて来るでしょ、私はてっきり木こりさんが作業してるんだと思ってね、ふふふふふ」
おばさんのその最後の「ふふふふふ」っが、僕の羞恥心を煽り立てた。
恥ずかしい。死ぬほど恥ずかしい。このまま走って逃げようか。と僕は何度もそう思った。しかし、このおばさんはあくまでも僕のその行為を知らんフリしてくれていた。僕がオナニーをしていたのを確実に目撃しているにもかかわらず、そうとぼけているのだ。
だから僕も、ま、いっか、という気についついなってしまったのだった。
泥亀沼に行くと、おじさんがポツンと片足で立っていた。
僕を見るなり「悪いねぇ」と爽やかな笑顔で笑った。
おじさんの革靴は、泥亀沼の真ん中で靴底を向けながらプカプカと浮いていた。
「この沼に近付こうとしたらいきなりズボボボって足を取られちゃってね、慌てて沼地から飛び出したんだけど、靴だけは取られてしまったよ」
おじさんは悔しそうに笑った。
「なんとか取れないかしら、あの靴……」
おばさんはそう言いながら僕の真後ろにソッと立ち、僕の肩に両手を置いた。一瞬、おばさんの香水らしきイイ香りがフワッと僕の鼻を過った。
「ほら、あそこに船着き場のような所があるじゃない」
おばさんはそう言いながら、板でできた出っ張りを指差した。
それはまだこの沼にスッポンがいる頃、そこから網にかかったスッポンを引き上げていたのではないかと思われる出っ張りで、それは既にボロボロに朽ち果てていた。
「なんとかしてあそこから取れないかなぁ……」
おばさんはそう前屈みになりながらそこを指差し、無意識に僕の背中に身体を押し付けて来た。
不意に柔らかいものが僕の背中でムニュッと潰れた。前屈みのおばさんは僕の肩から顔を付き出し、「ほら、あそこ、あそこ」と朽ち果てた出っ張りを必死で指差している。そうする度に、僕の背中ではおばさんの柔らかいものがムニュッと潰れたり、またはフルルンっと揺れたりと繰り返した。
僕の脳裏に、あのビニ本の大っきなオッパイのおばさんが甦る。
このおばさんは、あのビニ本のおばさんよりもずっと若くて綺麗だった。それになにやらいい匂いもする。こんなおばさんでも、やっぱりあのビニ本のおばさんのように、おじさんのチンチンをフェラチオするのかなぁ……などと考えていると、チンチンがムズムズして来た。
「どう? 取れそう?」
いきなりおばさんが僕に顔を向けた。おばさんの大きな目がすぐ僕の目の前に迫っていた。化粧品の匂いと髪のリンスの匂いが僕の顔を優しく包み込む。
「大丈夫ですよ。あんなの簡単です」
急に恥ずかしくなった僕は、そう言いながら慌てておばさんから顔を反らした。
そして、そこらに転がっている石をいくつか拾うと、それを靴がプカプカと浮かぶ沼に向かっていくつもいくつも投げつけた。
ボトン、ボトン、と投げ込められる石は水面に波を作った。その波に揺られたおじさんの靴は、そのままプカプカと浮きながら岸に向かって近付いて来る。
「なるほど……」
おじさんは感心しながら何度も頷いた。
靴が岸部に近付くと、長い木の枝でそれをヒョイっと引っかけ、そのまま岸に向かって釣り上げた。おじさんの靴が宙に舞い、ゴボッと音を鳴らしながら地面に転がった。
「すごいわ!」
おばさんが大きな目を更に大きく開かせながら叫んだ。
「いえ、いつもボールがこの沼に落ちた時にはこうしてますから……」
僕がそう照れ笑いをしていると、ケンケンしながら靴を拾いに行ったおじさんが「何か御礼をしなくちゃ」と言いながら、靴の中からゴボゴボゴボっと泥水を出して笑ったのだった。
「冷たい紅茶があるから」っと言われ、おじさんとおばさんは泥亀沼の奥にある休憩所へ僕を連れて行った。
その休憩所というのもやはり朽ち果てていた。昔、スッポンを捕まえに来た人達が休憩していた場所らしく、まるで落ち武者が潜んでいそうなボロ小屋だ。僕達も何度かこの小屋の中で遊んだ事がある。が、しかしあまりにも荒れ果てたその小屋は異様に不気味であり、僕達はその小屋を幽霊小屋と呼んでは、最危険場所として認定していたのだった。
そんなボロ小屋の中に2人は平然と入って行った。そんな2人の後を恐る恐る付いて行った僕は、小屋の中を見て驚いた。
なんとその中には撮影機材が並んでいた。三脚のビデオカメラや照明器具、大きな望遠カメラのような物まで置いてある。
「すげぇ」
目を丸めた僕がそう聞くと、おばさんは紙コップに入った冷たい紅茶を「はい」と僕に渡しながら、「撮影よ」と微笑んだ。
撮影はわかる。これだけの機材を見れば撮影だという事くらいさすがの僕でもわかるが、しかし、こんな泥だらけの沼で、この人達はいったい何を撮影しているというのだ?
僕がそう不思議そうな顔をしていると、おじさんとおばさんが紙コップの紅茶をチュルチュルと啜りながら、なにやらヒソヒソと話し合っている。
おばさんはニヤニヤしながらおじさんの耳元にコショコショっと何かを囁き、おじさんはおじさんで「へぇ~」とニヤケながら僕を見た。
その時僕は、おばさんのコショコショっと喋る小声の中に、はっきりと「ビニ本」という言葉を聞き取った。
その言葉が聞こえるなり僕の顔は真っ赤になった。もしかしたらおばさんは、僕があの雑草の中でビニ本を見ながらオナニーしていた事をおじさんに話しているのかも知れないと思うと、恥ずかしくて堪らなくなって来た。
2人のコソコソ話が終わった。おじさんがニヤニヤしながら僕に近付いて来た。そんなおじさんの手にはビデオカセットが握られていた。
「御礼に、今から凄いモノを特別に見せてあげるよ……そのかわり、これは誰にも内緒だよ」
おじさんの言っている意味がわからなからず、僕は「えっ?」と答えた。
するとおじさんは怪しく笑いながら、「まぁ、いいからそこに座りなよ」と、僕にススだらけの一斗缶を椅子代わりに使うよう薦めたのだった。
僕が恐る恐る一斗缶に腰を下ろすと、すぐさまおばさんが僕の隣に小さな折りたたみ式の椅子を持って来て座った。
おばさんは椅子に座るなり僕を見て、また「ふふふふっ」と嬉しそうに笑った。そんなおばさんの目はひっくり返った餃子のようだった。
おじさんは手早くそのカセットテープをビデオカメラの中にセットした。そしてボロボロの机の上に置いてある小さなモニターのスイッチを入れる。
薄暗い小屋の中に、青い画面がぼんやり浮かび上がった。おじさんが僕の横にビールケースを転がし、そそくさとそこに座る。僕はおばさんとおじさんに挟まれた状態で座りながら、その怪しく光る小さなモニターをジッと見つめていたのだった。
画面にはいきなり泥亀沼が映し出された。
泥亀沼の全体の映像がゆっくりと流れ、沼の入口にある『立ち入り禁止』の看板や、沼の奥に放置されている錆だらけの軽自動車、そして、泥の中でニョキッと首を伸ばす亀などが単発的に映し出された。
そのビデオの雰囲気は、決して観光地を紹介するような明るいものではなかった。かといって、泥だらけの亀の生態記録を撮っているようなそんな理科実験的な雰囲気でもない。
それは、まるでアメリカのB級ホラー映画のオープニングのような、暗くて不気味な雰囲気が貪よりと漂っていたのだった。
隣のおばさんに「いったいこれは何の撮影ですか?」と聞こうとそっと隣に目をやると、いきなりおばさんと目が合った。
なんとおばさんは、今まで画面を見ておらず僕の顔ばかりをジッと見ていたのだ。
いきなり目が合った事で僕が「びくっ」と驚くと、おばさんはまた逆さ餃子のような目で優しく微笑み、真っ赤な唇から白い前歯をチラッと覗かせたのだった。
画面には色々な角度から撮られた泥亀沼が映し出されていたが、しばらくすると、泥亀沼の畔を歩くおばさんの姿が現れた。
おばさんは白いワンピースを風にヒラヒラと靡かせながら沼の畔をブラブラと歩いていた。そしてしばらく行くといきなりその場にしゃがんだ。おばさんの足下では泥だらけの亀がヌッと首を突き出している。
と、その時、なんと、しゃがんでいるおばさんの白いワンピースの奥に黒い下着が見えた。
一瞬僕のチンチンがズキン!ときた。
カメラは更にワンピースの中へとズームアップして行く。
ズームアップされると同時に、しゃがんでいたおばさんの股がだらしなく緩み、白いムチムチの太ももがフルフルと揺れては、その太ももに挟まれた黒い布生地に一本の縦線をくっきりと浮かび上がらせた。
僕はドキドキしていた。ドキドキし過ぎて時折クラクラと目眩がした。そんな状態でソッと隣を見ると、またしてもおばさんと目が合った。おばさんは真っ赤な唇を大きく歪ませ、怪しくニヤリと笑った。
すると突然画面が切り替わった。
ドタバタと足音が響き画面が揺れる。どうやらカメラは三脚に固定されている最中らしく、グラグラとブレまくる画面には何が何だかわからない物が映っていた。
やっとカメラが固定されブレていた画面のピントがピタリと治まると、そこにはこの小屋の中が映し出されていた。
小屋の中でポツンと立っていたおばさんの背後に、いきなり現れたおじさんが静かに寄り添った。
なんとおじさんは、おばさんのワンピースを静かに脱がし始めた。
その時点で、僕は今から何が始まるのかをやっと理解したのだった。
この時代、ビデオデッキというものがまだ一般家庭には普及されていない時代だった。当然、僕の家にもビデオは無く、こうしてビデオを見るというのはこの時が生まれて初めてだった。
しかしこのようなエロいビデオが存在する事は知っていた。近所で唯一ビデオデッキを持っていた床屋のおっさんが「アメリカモノはスゲェからな」といつも僕達の頭をバリカンで刈りながら話していたからだ。
画面では、ワンピースから零れ落ちるおばさんのすこぶる大きなオッパイがボヨヨンっと揺れていた。
カッと顔が熱くなり、同時にチンチンも瞬間冷凍のように固くなった。
「三十才にしてはイイ身体してるよ、うん」
画面を見つめるおじさんが、まるで映画監督のようにそう頷きながら煙草に火を付けた。
三十才。僕のお母さんが確か四十才だから、このおばさんは僕のお母さんより十才年下なのか……と思いながらも横目でおばさんを見ると、やっぱりおばさんはまだ僕をジッと見ていた。
「エッチだね」
おばさんはいきなり僕に微笑みかけながらそう聞いた。
僕は慌てておばさんから目を反らし、俯いたまま目をパチパチさせた。
おばさんはクスッと小さく笑うと、すかさず「ほら、ちゃんとテレビ見て」と、僕の耳元で囁く。
僕が恐る恐る顔をあげると、画面には、恍惚とした表情のおばさんが、おじさんのズボンの中から石焼きイモのように大きなチンポを捻り出しているシーンが映し出されていたのだった。
(3へ続く)
<<目次へ 3へ進む>>
「あ、はい……」
僕はそう言いながらゆっくりと起き上がると、ビニ本で隠した股間の中にそっと手を入れては、剥き出しになっていたチンチンを急いでズボンの中に押し込んだ。
「悪いけど、手伝ってくれる?」
おばさんは真っ赤な唇を尖らせながら首を斜めにした。
「わかりました」
僕がそう言って立ち上がると、おばさんは「ごめんね」と柔らかく微笑みながらも、ふとそこに散らばるエロ本や女性のパンツなどに目をやった。
慌てた僕が雑草の中に潜り込むと、後から付いて来たおばさんが「あれはあのままにしておいてもいいの?」と聞いて来た。
「いえ、僕のじゃありませんから……」
そう僕がキッパリと答えると、おばさんは意味ありげに「ふふふっ」と笑ったのだった。
雑草を掻き分けながら山道に出た。その小道は僕達が立ち入り禁止地域と指定している泥亀沼へと向かう小道だった。
少し遅れて小道に出たおばさんは「誰もいないし困っていたの」と微笑みながら、ワンピースに付いた葉っぱをパラパラと払い始めた。
「そうしたら急にこの薮の中から声が聞こえて来るでしょ、私はてっきり木こりさんが作業してるんだと思ってね、ふふふふふ」
おばさんのその最後の「ふふふふふ」っが、僕の羞恥心を煽り立てた。
恥ずかしい。死ぬほど恥ずかしい。このまま走って逃げようか。と僕は何度もそう思った。しかし、このおばさんはあくまでも僕のその行為を知らんフリしてくれていた。僕がオナニーをしていたのを確実に目撃しているにもかかわらず、そうとぼけているのだ。
だから僕も、ま、いっか、という気についついなってしまったのだった。
泥亀沼に行くと、おじさんがポツンと片足で立っていた。
僕を見るなり「悪いねぇ」と爽やかな笑顔で笑った。
おじさんの革靴は、泥亀沼の真ん中で靴底を向けながらプカプカと浮いていた。
「この沼に近付こうとしたらいきなりズボボボって足を取られちゃってね、慌てて沼地から飛び出したんだけど、靴だけは取られてしまったよ」
おじさんは悔しそうに笑った。
「なんとか取れないかしら、あの靴……」
おばさんはそう言いながら僕の真後ろにソッと立ち、僕の肩に両手を置いた。一瞬、おばさんの香水らしきイイ香りがフワッと僕の鼻を過った。
「ほら、あそこに船着き場のような所があるじゃない」
おばさんはそう言いながら、板でできた出っ張りを指差した。
それはまだこの沼にスッポンがいる頃、そこから網にかかったスッポンを引き上げていたのではないかと思われる出っ張りで、それは既にボロボロに朽ち果てていた。
「なんとかしてあそこから取れないかなぁ……」
おばさんはそう前屈みになりながらそこを指差し、無意識に僕の背中に身体を押し付けて来た。
不意に柔らかいものが僕の背中でムニュッと潰れた。前屈みのおばさんは僕の肩から顔を付き出し、「ほら、あそこ、あそこ」と朽ち果てた出っ張りを必死で指差している。そうする度に、僕の背中ではおばさんの柔らかいものがムニュッと潰れたり、またはフルルンっと揺れたりと繰り返した。
僕の脳裏に、あのビニ本の大っきなオッパイのおばさんが甦る。
このおばさんは、あのビニ本のおばさんよりもずっと若くて綺麗だった。それになにやらいい匂いもする。こんなおばさんでも、やっぱりあのビニ本のおばさんのように、おじさんのチンチンをフェラチオするのかなぁ……などと考えていると、チンチンがムズムズして来た。
「どう? 取れそう?」
いきなりおばさんが僕に顔を向けた。おばさんの大きな目がすぐ僕の目の前に迫っていた。化粧品の匂いと髪のリンスの匂いが僕の顔を優しく包み込む。
「大丈夫ですよ。あんなの簡単です」
急に恥ずかしくなった僕は、そう言いながら慌てておばさんから顔を反らした。
そして、そこらに転がっている石をいくつか拾うと、それを靴がプカプカと浮かぶ沼に向かっていくつもいくつも投げつけた。
ボトン、ボトン、と投げ込められる石は水面に波を作った。その波に揺られたおじさんの靴は、そのままプカプカと浮きながら岸に向かって近付いて来る。
「なるほど……」
おじさんは感心しながら何度も頷いた。
靴が岸部に近付くと、長い木の枝でそれをヒョイっと引っかけ、そのまま岸に向かって釣り上げた。おじさんの靴が宙に舞い、ゴボッと音を鳴らしながら地面に転がった。
「すごいわ!」
おばさんが大きな目を更に大きく開かせながら叫んだ。
「いえ、いつもボールがこの沼に落ちた時にはこうしてますから……」
僕がそう照れ笑いをしていると、ケンケンしながら靴を拾いに行ったおじさんが「何か御礼をしなくちゃ」と言いながら、靴の中からゴボゴボゴボっと泥水を出して笑ったのだった。
「冷たい紅茶があるから」っと言われ、おじさんとおばさんは泥亀沼の奥にある休憩所へ僕を連れて行った。
その休憩所というのもやはり朽ち果てていた。昔、スッポンを捕まえに来た人達が休憩していた場所らしく、まるで落ち武者が潜んでいそうなボロ小屋だ。僕達も何度かこの小屋の中で遊んだ事がある。が、しかしあまりにも荒れ果てたその小屋は異様に不気味であり、僕達はその小屋を幽霊小屋と呼んでは、最危険場所として認定していたのだった。
そんなボロ小屋の中に2人は平然と入って行った。そんな2人の後を恐る恐る付いて行った僕は、小屋の中を見て驚いた。
なんとその中には撮影機材が並んでいた。三脚のビデオカメラや照明器具、大きな望遠カメラのような物まで置いてある。
「すげぇ」
目を丸めた僕がそう聞くと、おばさんは紙コップに入った冷たい紅茶を「はい」と僕に渡しながら、「撮影よ」と微笑んだ。
撮影はわかる。これだけの機材を見れば撮影だという事くらいさすがの僕でもわかるが、しかし、こんな泥だらけの沼で、この人達はいったい何を撮影しているというのだ?
僕がそう不思議そうな顔をしていると、おじさんとおばさんが紙コップの紅茶をチュルチュルと啜りながら、なにやらヒソヒソと話し合っている。
おばさんはニヤニヤしながらおじさんの耳元にコショコショっと何かを囁き、おじさんはおじさんで「へぇ~」とニヤケながら僕を見た。
その時僕は、おばさんのコショコショっと喋る小声の中に、はっきりと「ビニ本」という言葉を聞き取った。
その言葉が聞こえるなり僕の顔は真っ赤になった。もしかしたらおばさんは、僕があの雑草の中でビニ本を見ながらオナニーしていた事をおじさんに話しているのかも知れないと思うと、恥ずかしくて堪らなくなって来た。
2人のコソコソ話が終わった。おじさんがニヤニヤしながら僕に近付いて来た。そんなおじさんの手にはビデオカセットが握られていた。
「御礼に、今から凄いモノを特別に見せてあげるよ……そのかわり、これは誰にも内緒だよ」
おじさんの言っている意味がわからなからず、僕は「えっ?」と答えた。
するとおじさんは怪しく笑いながら、「まぁ、いいからそこに座りなよ」と、僕にススだらけの一斗缶を椅子代わりに使うよう薦めたのだった。
僕が恐る恐る一斗缶に腰を下ろすと、すぐさまおばさんが僕の隣に小さな折りたたみ式の椅子を持って来て座った。
おばさんは椅子に座るなり僕を見て、また「ふふふふっ」と嬉しそうに笑った。そんなおばさんの目はひっくり返った餃子のようだった。
おじさんは手早くそのカセットテープをビデオカメラの中にセットした。そしてボロボロの机の上に置いてある小さなモニターのスイッチを入れる。
薄暗い小屋の中に、青い画面がぼんやり浮かび上がった。おじさんが僕の横にビールケースを転がし、そそくさとそこに座る。僕はおばさんとおじさんに挟まれた状態で座りながら、その怪しく光る小さなモニターをジッと見つめていたのだった。
画面にはいきなり泥亀沼が映し出された。
泥亀沼の全体の映像がゆっくりと流れ、沼の入口にある『立ち入り禁止』の看板や、沼の奥に放置されている錆だらけの軽自動車、そして、泥の中でニョキッと首を伸ばす亀などが単発的に映し出された。
そのビデオの雰囲気は、決して観光地を紹介するような明るいものではなかった。かといって、泥だらけの亀の生態記録を撮っているようなそんな理科実験的な雰囲気でもない。
それは、まるでアメリカのB級ホラー映画のオープニングのような、暗くて不気味な雰囲気が貪よりと漂っていたのだった。
隣のおばさんに「いったいこれは何の撮影ですか?」と聞こうとそっと隣に目をやると、いきなりおばさんと目が合った。
なんとおばさんは、今まで画面を見ておらず僕の顔ばかりをジッと見ていたのだ。
いきなり目が合った事で僕が「びくっ」と驚くと、おばさんはまた逆さ餃子のような目で優しく微笑み、真っ赤な唇から白い前歯をチラッと覗かせたのだった。
画面には色々な角度から撮られた泥亀沼が映し出されていたが、しばらくすると、泥亀沼の畔を歩くおばさんの姿が現れた。
おばさんは白いワンピースを風にヒラヒラと靡かせながら沼の畔をブラブラと歩いていた。そしてしばらく行くといきなりその場にしゃがんだ。おばさんの足下では泥だらけの亀がヌッと首を突き出している。
と、その時、なんと、しゃがんでいるおばさんの白いワンピースの奥に黒い下着が見えた。
一瞬僕のチンチンがズキン!ときた。
カメラは更にワンピースの中へとズームアップして行く。
ズームアップされると同時に、しゃがんでいたおばさんの股がだらしなく緩み、白いムチムチの太ももがフルフルと揺れては、その太ももに挟まれた黒い布生地に一本の縦線をくっきりと浮かび上がらせた。
僕はドキドキしていた。ドキドキし過ぎて時折クラクラと目眩がした。そんな状態でソッと隣を見ると、またしてもおばさんと目が合った。おばさんは真っ赤な唇を大きく歪ませ、怪しくニヤリと笑った。
すると突然画面が切り替わった。
ドタバタと足音が響き画面が揺れる。どうやらカメラは三脚に固定されている最中らしく、グラグラとブレまくる画面には何が何だかわからない物が映っていた。
やっとカメラが固定されブレていた画面のピントがピタリと治まると、そこにはこの小屋の中が映し出されていた。
小屋の中でポツンと立っていたおばさんの背後に、いきなり現れたおじさんが静かに寄り添った。
なんとおじさんは、おばさんのワンピースを静かに脱がし始めた。
その時点で、僕は今から何が始まるのかをやっと理解したのだった。
この時代、ビデオデッキというものがまだ一般家庭には普及されていない時代だった。当然、僕の家にもビデオは無く、こうしてビデオを見るというのはこの時が生まれて初めてだった。
しかしこのようなエロいビデオが存在する事は知っていた。近所で唯一ビデオデッキを持っていた床屋のおっさんが「アメリカモノはスゲェからな」といつも僕達の頭をバリカンで刈りながら話していたからだ。
画面では、ワンピースから零れ落ちるおばさんのすこぶる大きなオッパイがボヨヨンっと揺れていた。
カッと顔が熱くなり、同時にチンチンも瞬間冷凍のように固くなった。
「三十才にしてはイイ身体してるよ、うん」
画面を見つめるおじさんが、まるで映画監督のようにそう頷きながら煙草に火を付けた。
三十才。僕のお母さんが確か四十才だから、このおばさんは僕のお母さんより十才年下なのか……と思いながらも横目でおばさんを見ると、やっぱりおばさんはまだ僕をジッと見ていた。
「エッチだね」
おばさんはいきなり僕に微笑みかけながらそう聞いた。
僕は慌てておばさんから目を反らし、俯いたまま目をパチパチさせた。
おばさんはクスッと小さく笑うと、すかさず「ほら、ちゃんとテレビ見て」と、僕の耳元で囁く。
僕が恐る恐る顔をあげると、画面には、恍惚とした表情のおばさんが、おじさんのズボンの中から石焼きイモのように大きなチンポを捻り出しているシーンが映し出されていたのだった。
(3へ続く)
<<目次へ 3へ進む>>