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夢見る少女4

2012/01/22 Sun 03:35




「グズグズしてねぇでテメェも早く脱ぐんだよ!」
 キツネ目の男はそう怒鳴りながら、子豚娘のTシャツの襟首を鷲掴みにした。そんな彼女の襟首は、ここに来るまでに何度も掴まれたのだろうか、まるでケンカをした後のようにダラダラに伸びていた。
 キツネ目がそう怒鳴ると、子豚娘はグスンと鼻を啜って泣き出した。
「また泣くのかよ……勘弁してくれよ、さっきちゃんと『頑張ります』って言ったじゃねぇかよ……」
 キツネ目は呆れたようにそう言いながら、子豚娘のパンパンに膨らんだ頬をパンパンと2度叩いた。
「まぁまぁいいじゃない岸田ちゃん、僕は全然かまわないから」
 嶋田はペニスをブラブラとさせたまま、そうキツネ目を宥めた。
「そう? 悪いねぇ、いつもいつもこんなのばっかりで」
 キツネ目はそう笑いながらベッドで布団に包まる私を見つめ、「やっぱ嶋ちゃんは上手だねぇ~ちゃんと手なづけちゃってるもんねぇ」と笑い、そしてそのままズボンのベルトをカチカチと外し始めた。
「風呂、入んなくていいよね」
 キツネ目はズボンを下ろしながら嶋田に聞いた。
「いいけど、でも、僕はもうズボズボとヤッちゃってるぜ。彼女だけでもシャワー浴びさせたらどうだい」
「いやいや、何を言ってんですかアニキ。親の血を引く兄弟よりも固い契りの穴兄弟ってね、サブちゃんも歌ってるじゃない、俺は嶋ちゃんの精液ダクダクのマンコで結構ですよ」
 そう笑いながらキツネ目は私のベッドにスタスタと近付いて来た。
 ベッドの脇に立ち、ジッと私を見下ろすキツネ目は、蛇のように舌をペロペロさせては乾いた唇を舐めていた。
 私を見つめたままワイシャツのボタンをひとつひとつゆっくりと外しはじめたキツネ目は、「でも嶋ちゃん、そいつは風呂に入れた方がいいよ……さっき俺、上野公園の公衆便所で中出ししちゃってるから……」と、呟いては不敵にニヤリと笑ったのだった。

 ようやく私はこの事態が飲み込めて来た。
 今まで散々私を犯して来た嶋田はあの子豚娘を、そしてこのキツネ目は私を、それぞれ交換しようとしているのだ。

「んじゃ、僕達はお風呂場に行こうか……」
 そう優しく囁きながら、嶋田はいやがる子豚娘を浴室へと連れ込んだ。
 背筋をゾッとさせる私は、ワイシャツのボタンを外しているキツネ目に、「あ、あのぅ……私、そろそろ……」とシドロモドロになりながら言った。
 するとキツネ目は「そろそろ、なんだよ……」と言いながらバサッと音を立ててワイシャツを脱ぎ捨てた。そんなキツネ目のガリガリに痩せた体には、大きく口を開けて吠えている龍が、そこらじゅうにウヨウヨと描かれていたのだった。
 抵抗するのは完全に不可能だった。
 恐らく抵抗した子豚娘は、散々乱暴された挙げ句、公衆便所で犯されたのだろう。それを考えると、どうせヤられるのなら下手に抵抗して乱暴されるだけ損だと思ったのだ。
 全裸になったキツネ目は、床に立ったままベッドの私にペニスを突き付け、「しゃぶれ」と凄みの利いた声で唸った。
 そんなキツネ目のペニスは、嶋田のモノよりもひと回り小さかった。しかし、サイズは小さいが、何やら肉棒の中にボコボコと無数の玉が埋め込まれている。
 私は恐る恐るそんなペニスをソッと握った。すると突然キツネ目が私の髪を乱暴に鷲掴みし、私の顔を自分の股間に押し付けた。

「ちょ、ちょっと待って下さい! ちゃんとヤリますから乱暴はしないで下さい!」

 私は必死にそう叫ぶが、しかしキツネ目は「なに言ってんだヤリマンがぁ、ぶっ殺すぞガキ」などと、病的にブツブツと呟きながら一向に乱暴をヤメようとしなかった。

 そんなキツネ目のイボイボだらけのペニスを口に入れると、キツネ目は「おらおらおらおら」と叫びながら、私の口の中でペニスを激しく動かした。そして、私の頭をがっちりと固定したまま、私の喉の奥にまでペニスを押し込んできた。
「ガブォ!」
 猛烈に咽せた私は、鼻水と涙を垂らしながら必死に抵抗した。息ができなくて死にそうだったのだ。
 しかしキツネ目はそれをヤメようとはしなかった。それどころかこの男は、苦しそうに咽せている私の頬を、おもいきり何発も叩いた。
 息ができない私は、いきなり与えられた恐怖と苦しさで,一瞬フッと記憶が飛んだ。その瞬間、キツネ目は掴んでいた私の髪を離し、ベッドにドン! と突き飛ばした。
 ベッドに仰向けに倒れた私は、「ブベッ!」と大量の唾液を吐き出した。
 私はベッドでのたうち回りながら、両手で喉を掻きむしってはゲホゲホと激しい咳をした。
 そんな私の上に、キツネ目は容赦なく飛び掛かって来た。
「股開けコラぁ、本当に首締めて殺しちまうぞ」
 そう言いながらキツネ目は私の両足を乱暴に抱え、イボイボのペニスをグイグイと押し込んできたのだった。

 そんなキツネ目のセックスは、嶋田など問題にならないくらいの猟奇的なものだった。
 正常位でガンガンと腰を打ち付けられながら、顔に唾をビッビッと吐きかけられ、後背位で攻められながら尻や背中をおもいきり叩かれた。そして四つん這いにされたまま、首に浴衣の帯びを引っ掛けられ、それを馬の手綱のようにグイグイと引っ張りながら、私の肛門に強引に指を押し込んだ。
「アイドルなんてのはヤリマンばっかりなんだよ……」
 キツネ目は私を窓に押し付けながら背後からボソボソと呟き始めた。窓に身体を押し付けられる私は、外を歩く人に見られるのでないか震えていた。
「下戸彩だってよ、今じゃCMの女王だなんて言われてっけど、あいつだって若い頃は俺にココを弄られてヒーヒーとヨガってた変態なんだぜ……」
 キツネ目は私の肛門に亀頭をグイグイと押し付けながらボソボソと呟く。
 肛門だけはイヤだった。たとえ下戸彩がそこを感じていたと言われたって、そこだけはどうしても怖かった。だから私は亀頭が肛門を捉えると、さりげなく尻を動かしては位置をズラしていた。
「宮崎あいおだってそうだよ……今じゃ高感度ナンバーワンなんて言われてるけどよ、あいつは男の小便を飲むのが好きなんだぜ。へへへへ、信じられるか? あんな可愛い顔してよ、おっさん達の小便をゴクゴクと飲んではテメェーでオナニーしてんだぜ」
 キツネ目はそう言いながら、逃げる私の肛門を遂に捉えた。
 槍のように尖った亀頭が、先っぽだけヌプっと肛門に突き刺さった。そこにキツネ目はブジュブジュと下品な音を立てながら唾を大量に垂らしている。
「だからオメェもよ、ここできっちりと変態に調教されてれば、将来は下戸や宮崎みたいな大スターになれるかもしれねぇぜ……」
 そうキツネ目がひひひひひっと笑った瞬間、私の肛門に激痛が走った。
「うぎゃ!」
 そう悲鳴をあげ床に崩れ落ちると、キツネ目は、倒れる私の髪を掴みながら「とりあえず第1関門は突破したから、心配しなくてもあとは痛くねぇよ。今からは気持ちいいばっかりだぜ」と笑い、そのままベッドへと私を引きずっていったのだった。

 ベッドでうつ伏せに寝かされた私は、キツネ目に延々と肛門を犯され続けた。今からは気持ちいいばっかりだとキツネ目は言ってたが、しかしキツネ目が腰を振る度にその痛さは益々増していくばかりだった。
 ふん、ふん、ふん、ふん、と、キツネ目の腰の動きに悲痛な鼻息を発しながら、私は無性に嶋田が恋しくなった。
 あのまま、このキツネ目がこの部屋にやって来なかったら、今頃、私は嶋田からボディチェックの合格を言い渡されていたかも知れないのだ。
 そんな嶋田は、今頃、浴室であの子豚娘を抱いているのだろうかと思うと、強烈な嫉妬に駆られた。そして同時に、このままでは子豚娘だけがオーディションに合格してしまうのでないかという恐怖に襲われた。
 子豚娘が憎かった。確かに、本当に憎むべき相手はこのキツネ目なのだろうが、しかし、今の私はあの子豚娘にアイドルの座を奪い取られたような気がして、彼女が憎くて憎くて堪らなかった。

 そう思っていると、やっとキツネ目が私の肛門の中で果てた。
 あれだけサディスティックだったキツネ目は、射精した瞬間に妙に優しくなり、私のお尻を優しく撫でながら「痛かった? ごめんね」などと猫撫で声でそう言った。
 私は、モゾモゾと布団の中に潜り込みながら、肛門から溢れる精液をティッシュでソッと拭き取った。
 そんなティッシュには、生理の時のようなドス黒い血がベットリと付いていた。そんな血の中に混じるキツネ目の白い精液は、まるで血の海を泳ぐ白魚のようだった。

 私がベッドの中でモゾモゾとしていると、鼻歌混じりでやって来たキツネ目が、私の枕元にアセロラ・ドリンクをポンっと置いた。
「ありがとうございます……」
 そう呟きながら私がソレを手にすると、キツネ目はニヤニヤと笑いながら「それのCMに出てる女。あいつもとんでもねぇ変態でさぁ、まだガキの癖に5人の男と乱交してさぁ、そんでマンコにバイブを3本も入れられて、ビュービューと潮噴いてんだから、やっぱスゲェよな……」と、妙に感心するように呟いた。
 そんなキツネ目は、そのまま浴室へと向かった。そして浴室のドアの前で「嶋ちゃ~ん、どうだい豚娘の具合はぁ~」とふざけて言った。
 しかし、浴室の中からは何の返事もない。
「お~い、嶋ちゃ~ん」
 もう一度そう言いながらキツネ目はドアをトントンっとノックする。
 私は、床に散らばった衣類をベッドの中から次々に拾い集めると、布団の中で急いで服を着た。
「お~い、嶋ちゃん、どうしたの、開けるよ……」
 そう言いながらキツネ目がドアをガチャッと開けた。

 ドアを開けたと同時に、中から嶋田がノソッと出て来た。
 腰にタオルを巻いた嶋田は、まるで死人のような目をしては、無言のままノソノソと窓際まで行くとそのままストンっと椅子に座った。

 キツネ目が浴室の中をソッと覗いた。
 とたんにキツネ目は目を泳がせ、意味不明に「ははは……ははは……」と笑った。

「まぁ、その、とりあえず……その、なんだ、いわゆるお互い快楽を得れた事だし、ね、嶋ちゃん」

 ソワソワしながらそう嶋田に語りかけるキツネ目は、やたらと嶋田に愛想笑いを振り撒きながら、なにやら慌てて服を着始めた。
「まぁ、その……あれだね……」
 何かを必死に喋ろうとしているキツネ目の様子は明らかにおかしかった。
 キツネ目は「今度の土曜日の、ほら、水浦千秋の記者会見、嶋ちゃんも出席するんだろ」などと汗だくになりながら嶋田に話し掛け、急いでワイシャツを羽織った。
 そして、テーブルの上に置いてあった自分の時計と携帯を鷲掴みにすると、「とにかく、また後で電話するよ」と言い残し、慌てて部屋を飛び出していったのだった。

 廊下に響くキツネ目の足音が遠離っていくと、とたんに部屋の中はシーンと静まり返った。
 椅子にぐったりと腰を下ろす嶋田は、何やら真っ青な顔をしたままハァハァと肩を揺らしていた。
「あのぅ……」と、私は布団の中から恐る恐る嶋田に声を掛けた。
 絨毯の床をジッと見つめていた嶋田は、ジロッと私に目を向けた。そんな嶋田の目が一瞬マネキン人形の目に見えた。

「私も、そろそろ帰りたいんですけど……オーディションの結果は……」

 すると嶋田はそこで初めて口を開いた。

「まだだ……キミのオーディションはまだ終わっていない……」

 嶋田はそう呟くと、右手で額の汗を拭った。そんな嶋田の右手の指先が妙に黒かった。それはまるでミキプルーンの瓶の中に指を突っ込んだ時のような気味の悪い黒さだった。
 そんな嶋田を見つめながら(これは危険だ)、と私の中で警鐘が鳴り始めた。
 私は、そんな危険な嶋田に今ここで逆らうのは危険すぎると思いながら、ソッとベッドから抜け出すと、「じゃあ……もう一度服を脱ぎますから……すぐにオーディションを始めてもらえますか……」と、静かにブラウスのボタンを外し始めた。

 嶋田はそんな私を再びマネキン人形のような目で見つめると、不意に何かを口ずさみ始めた。
 私はそんな嶋田の鼻歌を聴きながらブラウスのボタンを外す。最後のボタンを外した瞬間、嶋田が口ずさんでいるその歌が、キョンキョンの『なんてったってアイドル』だと気付いた瞬間、背筋にゾゾゾっと冷たいモノが走った。

 ブラウスを脱いだ私は、そこで初めて自分の右目のツケまつげが取れてしまっている事に気付いた。さっきキツネ目に散々頬を叩かれた時に取れてしまったのだろう。
 私はバッグの中から新しいツケまつげを取り出すと、「ちょっとお化粧直して来ます……」と言いながら浴室へ向かった。

 クローゼットへ向かった私は、開きっぱなしの浴室のドアの前で足を止め、中にいる子豚娘に「入っていい?」と声を掛けた。
 しかし、浴室は静まり返ったままで、子豚娘の返事どころかその気配すら感じない。

 変だぞ……と思いながら浴室をソッと覗き込んだ私は、一瞬にして凍り付いた。
 浴槽の中から子豚娘の腕がブランっと垂れ下がっていた。浴室の床には、なにやらオレンジ色の液体が点々と滴り、そして嘔吐物らしき物体が大量に吐き散らかされては酸っぱい臭気をムンムンと漂わせていた。

「おい……」
 いきなり背後から嶋田が私を呼んだ。
 はっ! と振り返ると、部屋の奥で椅子にぐったりと座った嶋田が、マネキン人形のような目でジッと私を見つめていた。

「キミは……本当に……アイドルになりたいのかい……」

 嶋田は、まるでスロー再生されたDVDのような重い口調でそう呟いた。
 私は乾いた喉にゴクリと唾を飲み込んだ。
 浴室に溢れる猛烈な臭気が容赦なく襲い掛かって来た。そんな臭気に包まれながら呆然と立ちすくんでいると、嶋田は、マネキン人形のような目を突然ギラギラと輝かせながら、腰に巻いていたタオルをソッと外した。
 剥き出された嶋田のペニスは恐ろしいほどに勃起していた。そんなペニスと太ももの周囲には、浴室の床に滴っている液体と同じオレンジ色の液体がベットリと付着していた。

「それじゃあ、オーディションの続き……始めようか……」

 嶋田がそう呟きながら立ちかけた瞬間、私は叫び声すらあげれぬ勢いで部屋から飛び出したのだった。

       ※

「はい! メグミさんそろそろ本番はいります!」
 そんなスタッフの声が楽屋に響くと、鏡の前でメイクするバックダンサー達の手が一斉にスピードを増した。
 私は鏡を見つめながらメイクの篠山さんに「もう少しアイラインを長めに引いて」と告げると、銜えていた煙草を灰皿に押し付けた。
 灰皿の中でくすぶっていた煙草の火が完全に消えた頃、再びスタッフの声が楽屋に響いた。
「メグミさん、お願いします!」
 その声と同時に、私と、そして4人のバックダンサーが一斉に立ち上がった。
 ステージ裏の通路に出ると、既に伴奏が響いていた。
 私は喉に絡んだ痰を「んんんんん」っと咳払いすると、そのまま緞帳裏に控えていたスタッフからマイクを受け取りステージに飛び出した。
 バーン! と巨大バックライトが光り、客席のファン達が登場した私のシルエットに一斉に声援をあげた。
 私は無数のピンスポットに照らされながら歌いそして踊った。全世界の男達が一斉に注目しているような気がした。そんな私は完全にトランス状態だった。

 楽屋に戻ると、店長が私にタオルを渡しながら「6番テーブルと、8番テーブル、そしてVIPルームから指名入ってるから」と、嬉しそうに笑った。
「VIPは誰が来てんの?……」
 私は腋の下の汗を拭いながら店長に聞いた。
「東洋産業の島津社長が、ずっとメグミちゃんの事を待ちぼうけしてるよ」
 店長はそう笑うと、衣装を着替え始めた私の背中に向かって「じゃあ、ヨロシクね」と軽快に告げ、そのままホールへと戻っていった。
 島津社長は私にとっておいしいスポンサーだった。
 
 新宿でトップクラスのショークラブ『BLACK&SS』。
 私はあの事件があった直後に高校を辞めた。そして15才年上のパチプロと同棲を始め、無職の男を養う為に年を誤魔化してヘルスで働き始めた。
 しかし、私はどうしてもアイドルの夢を諦め切れなかった。だけど、あんな恐ろしい経験をしてしまった今、それはあくまでも夢に過ぎなかった。
 そんな私は、あるとき、ぼんやり深夜放送を見ていて、『ショークラブBLACK&SS』を知った。
 そこはショーを披露しながらも、裏では客に性的なサービスを提供するお店だった。
 しかし、同じ風俗でも、今のヘルスとは大違いだった。その店にはショータイムという華があり、まさに私が憧れていた照明がキラメくステージがあったのだ。
 さっそく私はヘルスを飛び、『BLACK&SS』の面接に行った。今までアイドルを目指していた私には、歌も踊りもそしてルックスにもそれなりに自信があった。
 私は、ものの5分もしないうちにその店に雇われた。そして気が付くと、私はその店でナンバーワンのダンサーになっていたのだった。

「島津社長、また来てますね」
 ユリがそう言いながら私の隣にちょこんっと座った。
「いいなぁ、メグミさんには島津社長みたいな大スポンサーが付いてて。私にも誰かいいスポンサー付かないかなぁ……」
 ユリはそう唇を窄めながら、ドレッサーの前に置いてあった『ウマい棒』をガシガシと齧り始めた。
「そんなのばかり食べてたら、いつまで経ってもいいスポンサーなんて付かないわよ。頑張ってダイエットしなきゃ」
 そう笑うと、ユリは不貞腐れながらも楽屋のテレビのスイッチを入れた。
 テレビの画面には大量のフラッシュが忙しそうにパシャパシャと発光する、大規模な記者会見が映し出されていた。
 なにやら、関西の大物お笑いタレントが、暴力団と密接な関係だったという事が発覚し、引退するらしい。

『巷では、かなりの数の芸能人が暴力団と関係を持っていると囁かれていますが、そこの所、どうお考えですか?』

 芸能レポーターがそう聞くと、すかさずお笑いタレントは『他の人の事は知りません』と不貞腐れたように答えた。
 私はファンデーションを直しながら、そんなテレビにチラッと目をやる。

『時間ですので終わらせて頂きます! これで記者会見を終わりです!』

 そのお笑い芸人の事務所の社長らしき男が、そう叫びながら画面の中央に現れた。
 それでもレポーター達は質問を止めず、退場しようとするお笑い芸人に向かって一斉にドッと質問を浴びせかけた。
 挙げ句の果てには、そんなお笑い芸人をガードする事務所の社長にもレポーター達は容赦なくマイクを向けた。

『事務所が個人的に暴力団と付き合いしていたという事実はなかったんですか!』

 そんなレポーターの質問に、事務所の社長が『あるわけないでしょう!』といきなりキレた。

 そう怒鳴った事務所の社長は、まさしく嶋田だった。

 画面に映る嶋田を見つめていると、私の脳裏にあの時の不気味なマネキン人形のような目が甦って来た。
「やっぱり、芸能プロダクションとかってヤクザ絡みが多いのかなぁ……」
 ユリがウマい棒をバリバリと齧りながら呟いた。
 私は画面に映る嶋田から慌てて目を反らした。
 そして2本目のウマい棒を食べようとするユリの耳元に、「芸能界にはね、ヤクザなんかよりももっともっと怖いヤツラがウヨウヨしてるよ……」と囁いてやったのだった。

(夢見る少女・完)

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