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愛と青春のポルノ映画館8

2012/04/01 Sun 01:01

   愛と青春の8

《解説》
ポルノ映画館で援交するミカと、その用心棒のケンジ。そんな高校生の二人にドス黒い大人たちの汚れた手が忍び寄る。



《本編》
 ケンジとミカが二度目にポルノ映画館に行ったのは再び土曜の夜だった。
 二度目という事もあってか、ケンジとミカは随分と慣れた調子で場内の中央の座席を陣取ると、さっそくケンジは場内の暗闇に目をやった。
「お客になりそうな人、いそう?」
 一番後の立ち見場に目を凝らすケンジの耳元に、ミカが唇を近づけながらソッと囁く。
 先週からこの一週間、いつもミカの事を思い出してはオナニーばかりしていたケンジは、そんなミカの甘ったるい囁きにゾクゾクっと背筋をくすぐられた。

「うん……先週よりも客は多そうだな……」

 ミカの甘いオーラに包まれながらケンジがそう呟くと、ミカはケンジの肩に顔を傾けながら、「今夜はどうしても10万円必要なの。だから頑張っていっぱいお客さん連れて来てね」と甘く囁いた。
 そんなミカにおもわず勃起しそうになってしまったケンジは、「うん、頑張ってみるよ」とそう言いながら慌てて席を立つと、そのまま後も振り向かず立ち見場の暗闇へと向かったのだった。

 スクリーンの光りが反射する一般席から、一歩立ち見場へ踏込むと、一瞬にして暗闇に包まれた。
 そんな暗闇を掻き分けながらケンジはふと思う。
 俺はミカの事が好きになってしまった、と。
 そんな感情を持つ自分に、果たしてミカのポン引きが務まるのだろうかと、ここ一週間ずっと不安になっていたケンジだったが、しかしやっぱりその予感は的中した。
 立ち見場にはそれなりに客になりそうな男達がウヨウヨと蠢いているのに、なぜかケンジはその客を捕まえる気が起きてこないのだ。
 そんなケンジは、立ち見場の暗闇の中、そこに蠢く男達をジロジロと物色しながらも(こんなヤツにミカを汚されたくはない)と、いちいち客を選んでしまい、なかなか客に声を掛ける事が出来なかったのだった。

 ケンジは、中央の座席から何度も後を振り返っては客が来るのを待っているミカを立ち見場から見つめながら、こんなバイト、もうミカにさせたくないと下唇を噛んでいた。
 しかし、さっきミカが今夜どうしても10万円が必要だと言っていたのをケンジはふと思い出した。
 10万円といえば、最低でも10人くらいの客を取らなければならない。いや、自分の30%の取り分を貰わなかったとしても、7人は相手にしなくてはならないのだ。
 そう思ったケンジは、このままではミカは汚れてしまうだけでなく壊れてしまうと気が焦り、彼女の背後で糸を引いていると思われる、その『先輩』というヤツに無性に腹が立って来た。

 ミカはその先輩と言うヤツに借金をしているのだろか?……
 そんな事を、立ち見場のポールに寄り添いながらボンヤリ考えていると、ケンジは不意に後から声を掛けられた。
「兄ちゃん……」
 ケンジが振り向くと、そこにはびっくりするくらいジーンズの似合わない、恐ろしくマユゲの太い小男が立っていた。
 小男はケンジの隣りにソッと寄り添うと、スクリーンの方をジッと見つめながら「いくら?」と聞いて来た。
 そんな小男の見つめる先には、座席に座ったミカが何度も何度もキョロキョロと後ろを向いていた。
 ケンジはそんな小男の頭を見下ろしながら、こいつは絶対にカツラだな、と確信した。
 チビでカツラでゲジゲジまゆげなジーパンの似合わない男。
 ケンジはそんな男を『鮫肌男と桃尻女』に出て来た我修院達也みたいだと思った。

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 こんな男がミカのような可愛い女子高生を抱けるんだとその矛盾さをヒシヒシと感じたケンジは、それならばおもいっきりボッタくってやれとばかりに「5万円」とポツリとそう告げた。
 するとその小男は、いきなり「高っ!」と叫んだ。
 そしてゲジゲジのマユゲを微妙に上下に揺らしながら、「もちろん本番アリだよね?」と聞いて来た。
 ケンジは、どうせこいつはそんな大金を払う気はないだろうと思いながら、「もちろんバコバコの本番アリです。しかもバリバリの処女です」とデタラメを言ってやった。
 小男は、小さな子供が動物園の檻の前で必死にライオンを見ようとしているかのように、そのポールに必死に背伸びをして凭れ掛かりながら、「処女とバコバコかぁ……」と、噛み締めるようにブツブツと呟いた。

 そんな小男におもわず噴き出しそうになっていたケンジだったが、しかしいきなりその小男が「よし。買った」と呟きながらポケットから財布を取り出すのを見ると、さすがのケンジの顔から笑みが消えた。
「ほ、本当に?」
 ケンジがそう言いながら小男の顔を覗き込むと、小男は「どこでヤる」と言いながら財布から5万円を取り出し、それをケンジに突き付けた。
「ば、場所は座席で……」
 ケンジは、こいつバカか?と思いながらも、初客で今夜のノルマの半分をクリアしてしまった事に素直に喜びを隠し切れず、おもわず笑いながらその5万円を受け取ると、「座席か。まぁいいだろう。じゃあ行こう」と小男は呟きながらケンジの手を引っ張った。
 ケンジの手を引く小男は、そのまま座席の細い通路にチョコチョコと進むと、ふいにピタリと足を止め、「ここにするか」と言いながら、誰もいない座席の列に入って行った。
「あ、いや、女の子はアッチですが……」
 慌ててケンジが足を止めると、小男はクルッとケンジに振り向きながら「女の子?」と首を傾げた。
 そこでケンジは初めて気付いた。そう、このゲジゲジまゆげの小男は、ミカではなく自分を買ったのだと。
「女の子ってなんだ?」
 小男は顔よりも遥かに大きなカツラを歪に傾けながらケンジの顔を見た。
 そんな奇怪な小男を見つめながら、ふとケンジは思った。
(俺がこいつにヤられれば……ミカはヤられなくて済む)
 ケンジはそう思いながらその小男を見下ろし、そして心の中で思った。
(こいつは5万円だ。こいつは5万円なんだ……)と自分に暗示を掛けた。
 すると小男は、「なにやってんだ?」とニヤニヤ笑いながら、そのまま座席にドスンっと腰を下ろしたのだった。

「まずは軽くしゃぶって貰おうかな……」

 まるで居酒屋のカウンターで呟くかのようにそう言いながら小男は、ガサゴソとジーンズのボタンを外し始めた。
 そんな小男を(5万円だ……こいつは5万円なんだ……)と見つめながら、ケンジはそっと隣りの席に腰を下ろした。
 小男の隣りに座るなり、いきなり小男の腋の下から漂う強烈なワキガの洗礼を受けたケンジは、おもわず「うっ」と息を飲みながら顔を背けてしまった。
(とんでもなく臭ぇ!)
 そう驚いているケンジの目に、数列先の座席で不安そうにキョロキョロしているミカの姿が見えた。
(ミカはこんな臭いヤツだって我慢して相手にしてたんだ……)
 そう思うケンジはミカの姿に勇気づけられ、息を止めたままソッと小男に振り向いた。
 するといきなりケンジの目に、ツチノコのような形をした小さな物体が飛び込んで来た。

「俺、悪いけどホーケー。うん、はっきりいってホーケー。でも、ここにはシャワーないし、しょうがないよね」

 小男は、水谷豊の口マネでもしているのか妙にリズミカルにそう言うと、その皮の被ったツチノコをケンジに向けながら、意味もなく「うん」と頷いた。

 それにしても同情してしまいそうなくらいに悲惨なチンポだった。
 包茎だけならまだしも、それは小指ほどに小さい。
 こんなチンポならケツの穴に捩じ込まれたって座薬みたいなものだろうと、とたんに嬉しくなったケンジは、その猛威を振るうワキガの匂いもすっかり忘れ、小男の体にソッと体をすり寄せた。
「あのぅ……俺、初めてなんです。だからどうやっていいのか……」
 ケンジがそう告げると、小男は嬉しそうに笑いながらケンジの体をググッと引き寄せた。
「まずは指でシコシコとシゴくんだ。ほら、いつもキミがオナニーしているのと同じようにすればいいんだよ」
 小男はそう言うと、まるで陰毛が植え付けられているかのような毛もじゃらな手でケンジの手をムンズと掴み、それを凄い力で自分の股間へと引っ張った。

 ムニュっという何とも言えない感触がケンジの手の平に伝わった。
 それは異様に温かく、そして柔らかかった。
 いつも自分でオナニーしているように親指と人差し指でソレを摘み、そのままウニウニと静かに上下させる。
 が、しかし、一瞬その指をどこまで下げていいものかと悩んだ。無理矢理その皮を捲ってこの小男が叫んだりしたら大変なのだ。

 するとそんなケンジに気付いたのか、小男は「ハァハァ」という虫歯臭い息をケンジの首筋に履きかけながら「剥いちゃっても大丈夫よ」と囁いた。
「ほ、本当に剥いてもいいんですね?」
「あぁ。いいよ。ベロリンと剥いちゃってくれ」
 ケンジは小男のその言葉を聞くと、そのままペニスの根元まで指を下ろした。
 被っていた皮の中から、まるでところてんが搾り出されたように、真っ赤なプチトマトが顔を出した。
 それと同時に、猫の糞のような香りのする強烈なチンカス臭が、2人が座る座席の足下にモワーっと広がって行った。

 そんな皮を剥かれたチンコは、ケンジの指の中でみるみると膨張して来た。
 筋肉がコリコリと固くなり、血管がゴリゴリと動いた。いつも自分のチンポばかり弄っているケンジは、その肉棒の感触に違和感はなかった。
 がしかし、みるみると大きくなっていくそのチンコは留まる事を知らず、まるで『ジャックと豆の木』の豆の木のようにグングンとその身を天に向けて伸びて行くのである。

(う、嘘だろ?!)

 おもわず摘んでいたその手を離してしまったケンジに、小男はニヤニヤと笑いながらケンジの顔を覗き込むと「な、だから5万円なの。ふふふふ。こんなにデカいとさ、肛門が裂けちゃうからって誰も相手にしてくんないんだよね」と呟き、呆然としているケンジの唇にチュッとキスをしたのだった。

「こ、こんなの絶対に無理です!」
 ケンジが声を震わせてそう言うと、小男はポケットから携帯用のミニローションを取り出し、「大丈夫よ、これがあるから」とゲジゲジまゆげをピコピコと動かせた。
 と、その時、不意に数列前の座席から「ヤメて下さい!」というミカの声が聞こえた。
 ケンジが慌ててミカの座席を見ると、ミカの座席の隣りにおっさんのハゲ頭がテラテラと輝いているのが見えた。

(マズい、痴漢だ!)

 そう思ってケンジが立ち上がると、いきなり小男が凄い力でケンジの腕を掴み、「キサマ、敵前逃亡するのか!」と裏声で叫んだ。
 そんな小男の裏声と同時に「ヤダぁ!」というミカの泣き声が重なる。
 ケンジはポケットの中から5万円を鷲掴みにすると、それを小男の顔目掛けて投げつけた。
 小男が「うわ!」と怯んだ瞬間に小男の手を振り払ったケンジは、小男に向かって「あんた、沖縄出身だろ?」と尋ねた。
「ど、どうして知ってる!」
 小男が巨大ペニスを突き出したまま狼狽えた。
「俺は何でも知っている。おまえがカツラだと言う事もな」
 ケンジは小男にそう捨て台詞を残すと、ミカの座席へと走った。
 ケンジの背後で、小男が裏声で「ちがう!」と叫ぶ声が悲しく響いていたのだった。

(続く)

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