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ピンサロ1




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私の妻はピンクサロンで働いております。
もちろん、金の為です。

一昨年の夏。我家は、私の不祥事により破滅寸前に陥りました。
元タクシー運転手36歳。妻32歳、小学生の子供が2人。借家の家賃と水道代二ヶ月分滞納。消費者金融等の借金多々ありの現在無職の仮性包茎。

不景気、リストラ、派遣切り・・・。
いやいや、私の場合、そんなハイカラな理由で解雇されたのではなく、ただ単に事務員に対するセクハラ行為が発覚した為、会社を追放されただけであり、世の中が悪いとか行政が悪いなどと言える立場ではございません。

そんな私がセクハラした女性というのは、タクシー会社の事務員を務めるKさん42歳独身。
彼女は、綺麗でもなく目立つタイプの女性ではございません。いやむしろ目立たないブスといった感じの熟女です。今更ながらこう言うのもなんですが、はっきりいって気持ちの悪い水膨れババアです。
だから私は彼女を狙いました。。

そうです。私は、42歳という高齢で男の1人もいないKさんなら、もうアソコはムンムンと蒸れ、いつでもどこでも誰とでも確実にヤらせてくれると思ったのです。
しかしそれが甘かった。
ある夜、誰もいない事務所の片隅。残業で残っていたKさんにソッと近寄った私は、Kさんに「この領収書、お願いします」と言いながら、領収書と同時にビンビンに勃起したペニスを突き出しました。
そして「誰もいないから遠慮するな。さぁ、思う存分しゃぶるがいい」と、黒目を寄り目にさせながら、舌を大きく突き出し、彼女の目をジッと見つめながら「ウラウラタムタム!ベッカンコー!」と暗示を掛けてやったのです。
この「暗示」というヤツは、某アダルトサイトにその暗示方法が詳しく記されていたのでそれを実行してみたのですが、あれはいけません、まったくのデタラメです。おかげでえらい目に遭いました。

暗示がかからなかったKさんはキチガイのように暴れ出しました。きっと日頃のストレスからホルモンバランスを崩していたのでしょう、その暴れようと言ったら、まるでスティーブン・キングのミザリーそのものです。
たちまち私はこの42歳のミザリーに追い込まれ、10年間、死に物狂いで勤めた会社をいとも簡単にクビにされたのでした。

まぁ、そんな事はどうでもいいのです。
ホルモンバランスの崩れたミザリーの話しなんて皆さん誰も興味がない事は承知しております、これを読んでいる皆様は、「私の妻」に興味があるんですよね?

わかっております。
心配しなくても大丈夫ですよ片山さん、これからじっくりとその「私の妻」について話させて頂きますからふふふふふ。



私の妻はロリコン系の中年女です。
全体的に肉付きの良いポッチャリ型です(デブではありません)。
乳はそこそこ大きいです(バスト何センチとかそーいう事は面倒臭いので省きます。勝手に想像して下さい)。
見た目はとても幼く、誰が見たって20代前半、32歳にはとてもとても見えません。
どちらかというと、綺麗というより可愛いというタイプですね。
そう、例えて言うなら70年代のアイドル歌手。
若い頃の浅田美代子に良く似た、そんな普通系の可愛い女なのです。

しかし、そんなロリコン系のくせに、アッチの方は凄いです。
自分の妻の事をこんな風に言うのもあれですが、正直言って変態です。

過去に、そんな妻とはあらゆる変態プレイをしてきました。
深夜のコンビニへノーパンで行かせた事もありますし、隣の家のマルチーズのロンちゃん(半年後死去)に、バターをたっぷりと塗り込んだ妻のマンコを舐めさせた事もございます。
SMだってやりましたよ。ただ、本格的なSMグッズを買う金が無かったものですから、ガムテープでグルグル巻きにして仏壇用のローソクを垂らしたり(火傷しました)、深夜の公園のベンチで放尿させたりといったその程度のレベルなんですけどね。

このように、過去に色んな変態プレイをやってきた私たち夫婦でしたが、しかし、スワッピングというプレイだけは、私は断固として受け入れませんでした。
あれは危険です。
100%、妻を奪われます。
というのは、私に問題があるからです。
そう、私のチンポは極度に小さく(何センチとかは省きます。大きなお世話です)、しかも、限りなく真性に近い仮性包茎です(そんな親父の極小包茎ペニスを見て発狂したミザリーの気持ちもわからないでもないです)。
そして何よりも問題なのが、私は究極の早漏なのです。
センズリですら40秒と持たない記録を保持している私ですから、セックスなんて五擦り持てばいいほうで、通常ならば3擦りで果てる事ができるのです。
早漏のプロ。
もし、早漏と言うオリンピックの種目があれば私は間違いなく金メダリストです、又、もし早漏と言う仕事があったなら、私は誰が何と言おうと早漏の達人です。
そのくらいプロの早漏なのです。
但し、これだけはハッキリ言っておきますが、早漏ではあるものの回復は早いです。
いわゆる精力絶倫というヤツですか、赤ひげ薬局からCMのオファーが来そうなくらい、そのくらい私は絶倫種馬野郎なのです。

しかし早漏。嗚呼短小。おまけに包茎です。
そんな悩みを下半身に持つ私ですから、スワッピングなどというプレイは自滅行為に繋がる恐れが非常に高いのです。
私のペニスよりも立派なペニスの味を、あの変態妻が知った時が、それが破滅に繋がるのです。

しかも私は極度の「嫉妬狂」でございます。例え、妻がクロネコヤマトの宅急便と話していただけでも、嫉妬の渦に巻き込まれては嫉妬地獄で悶え苦しむほどの精神的社会不適合者です。
そんな私は、基本的に妻を信用しておりません。
あの変態女は、いつか私の目を盗んで、どこかの男の松茸のような立派なペニスを銜え込むであろうと、私はいつもいつもそう思っています。ですから余計、嫉妬深くなってしまうのです。

これらの理由から、スワッピングや乱交、又は「妻貸し」と呼ばれる寝取られプレイなどは、過去、某サイト等でかなりの申し込みがございましたが一切断って来たのでございます。

しかし・・・・
背に腹は変えられませんでした。
金が無いのです。米びつの米がいよいよ底をついたのです。
2人の幼い子供が羅生門の下で腹を空かせて泣き叫ぶのです。
ですから、妻はピンクサロンと呼ばれる破廉恥な店で働く事になったのです。

当然、嫉妬深く神経質な私にとってそれは毎日が地獄でございます。
確かに、妻のピンサロ勤めによって生活は幾分か楽になりました。妻がピンクサロンで働いてくれるおかげで、子供達を近所のガストに連れて行ってやる事もできますし、私も深夜のジャパネットタカタで高画質デジタルカメラ4点セットを衝動買いするといったお大臣生活を送らせてもらっております。

しかし地獄です。
毎晩、妻が出勤した後には想像を絶するような嫉妬と恐怖が私に襲いかかるのです。

随分と前置きが長くなってしまいましたが、そんな私の地獄の日々を、今日はここに赤裸々に語らせて頂きます。
実にケチ臭い男の悲しい告白ではございますが、不景気のこの世の中、私と同じ苦しみを持つ方は大勢いる事と御察し致します。
そんな方々と、少しでもこの苦悩を分かち合える事ができればと、恥を忍んでここに告白させて頂きます。


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妻が働いているのは、駅裏にある小さなピンサロでした。
その店は、この業界のパイオニアとも呼べる、全国に63店を持つ老舗のチェーン店でございました。
妻が働くのは駅裏にある3号店。
時給2000円。指名料2000円。妻は毎日2万円ほど稼いでおりましたから、我家は毎月60万円もの収入を獲ておりました。
しかしその60万円も毎月の消費者金融への返済や、子供の養育費、あと家賃や光熱費といった出費により、全て消えてなくなりました。

さて、その店は「ハッスルパブ・モミモミ3号店」という、実にわかりやすくもワビサビの欠片も感じさせない無粋な名前でございました。
それは、今から二十年ほど前のバブル全盛期時代、深夜のテレビで流れていた「おっぱいモミモミ!元気はつらつ!」という過激なCMを、私も何度か耳にした事のある有名店です。

妻が駅前で貰ってきたポケットティッシュの裏に、その「モミモミ」の求人広告が載っておりました。
その広告には、「本番行為厳禁!フェラ等一切のワイセツ行為禁止!ただオッパイを揉み揉みさせるだけで月収100万!」と、デカデカと表示されていたのでした。
尚、妻がピンサロで働くについては、毎晩夫婦で散々話し合い決めた事でありますから、ここではその醜い話し合い風景は省かせて頂きます(大きなお世話です。プライバシーの侵害です)。

さて、始めての水商売。ましてやいきなり風俗店という世間知らずの32歳の妻に、私は神経を衰弱するほど心配しましたが、しかし女は強い。まして2人の子を持つ母親です、妻は本当に強かった。
初出勤の時も、部屋中をウロウロとしているだけの私を見て、「行って来るね」と強く微笑んで出て行った妻。
そんな頼もしい妻ではございましたが、しかし、明らかに妻は精神的に参っているようでした。
男にしたら、たかが胸を揉まれるくらい・・・と思うでしょうが、しかし、揉まれる女にしてみたら、それは途方もなく精神的苦痛なのでございましょう。

そんな妻とは、セックスの回数が激減しました。
以前のような変態プレイはおろか、フェラや手コキといったソフトプレイまでも、妻は拒否るようになってしまったのです。
当然、胸も揉ませてくれません。
「痛いからやめて・・・」と言うのです。
ある時、風呂上がりの妻の乳首を見たのですが、毎晩幾人ものスケベ親父達に弄られている妻の乳首はまるで茹でタコの吸盤のように腫れ上がっておりました。

妻は、指名が増えれば増えるほど稼ぎが良くなっていきました。しかし、その反面、稼ぎが良くなれば良くなるほど私との夫婦間は離れていきました。
それに、指名が多かった日の妻の乳首と言うのは・・・まさしく、生まれたばかりのハムスター程に腫れ上がり、痛々しくて見てられません。
当然、そんな痛々しい妻を抱く気にはなれません(っというか、ヤラせてくれません)。
そんな事から、妻の稼ぎのおかげで私たち家族の生活が安定すると共に、私たち夫婦の間には目に見えない溝が出来上がってしまっていたのでした。

しかし、私の妻に対する気持ちは変わる事はありませんでした。
毎晩、見知らぬ男に胸を弄られ汚されていようとも、私にとって妻は最愛の女です。
ですから、そんな妻への募る思いは、妻の下着で発散しておりました。

毎日家でゴロゴロしている無職の私は、炊事洗濯といった家事担当でございましたから、当然、妻の下着も洗濯しておりました。
はっきり申しまして、私の妻は、いわゆるクサマンです。
夫の私がここでこんな事を公表するのも変な話しですが、しかし、読者の皆様には我妻をよりリアルに感じて頂きたいため、あえて真実を書かせて頂きます。
私の妻のアソコはいつもエッチな匂いが漂っております。
これを世間ではクサマンと呼びますが、しかし私には妻のその匂いは決して臭くはなく、むしろ欲情をソソル匂いでございます。
いや、貴方も実際に私の妻のアソコをクンクンと嗅いでみたら、きっと「うん。凄くエッチな匂いだね」とそう言うでしょう。

私は、妻のそんな「エッチな匂い」を、毎日、使用済みの下着から嗅ぎっとっていたのですが、しかし、店で働き始めてから数週間が過ぎた頃からでしょうか、そんな妻の「エッチな匂い」に変化が現れたのです。

妻は、プライベートの下着と店用の下着と使い分けておりました。
プライベートの下着と言うのは、昔から履いている毛玉だらけの木綿パンツ。
一方、店用の下着と言うのは、赤やピンク、紫や黄色といった感じでやたらと派手派手しいカラーで、又、生地もテラテラのサテン生地であったりスケスケのレースであったりと、それはまるで寂れた温泉街の大人のおもちゃ屋で売っているような下品で古臭いシロモノでした。

そのような破廉恥な下着を履いて、妻は夜な夜なスケベ親父達に接客をしているわけですが、その店用の下着のシミが、ある時から突然変化し始めたのです。

まず、一番の変化は匂いでした。
今までのような「エッチな匂い」とは違い、そこにシミ付く匂いは「いやらしい匂い」なのでございます。
「エッチな匂い」と「いやらしい匂い」の違い、おわかりいただけるでしょうか?
「エッチな匂い」は、まあ、つまり、純粋なクサマン、とでも言いましょうか、妻の体内から必然的に滲み出た匂いなのです。
一方、「いやらしい匂い」というのは、ズバリ言って「不純」です。それは、何者かによって妻の体内から意図的に滲み出された匂いなのです。
つまり、妻は客に「感じさせられている」と考えられる、そんな匂いなのです。

その「いやらしい匂い」は、週末にかけて激しくなります。
クロッチに染み付く色や形も、週末になると激しくなり、平日では縦筋の黄色いオリモノが1本だけなのが、週末になると、まるで子供の枕カバーのヨダレのシミのように、辺り一面をぐっしょりと汚している、そんな酷い汚れなのです。

まあ、確かに風俗店は週末が書き入れ時でございますから、「忙しいから」と言われればそれまでなのですが、しかし、「忙しい」という理由だけであれほどの汚れと、あれだけの「いやらしい匂い」を発していたら、世の中の繁盛店と呼ばれる店の売り子達はどうなりましょうか。行列のできるラーメン屋の女店員のパンツなんて、毎日毎日凄まじい臭さと汚れで大変なのでございます。
ですから、「忙しいから」などというのは口実です。あのシミと匂いは、あきらかに、妻が性的に感じているという、確固たる証拠なのです。

私は、そんな妻の汚れた(汚された)下着を見る度に、激しい嫉妬と、そして妻を奪われるのではないかと言う恐怖と不安に襲われます。
しかし、そんな恐怖と嫉妬の中で、いつも私は何故だかとてつもなく欲情してしまい、妻の下着の汚れをベロベロと舐めながらオナニーをしてしまいます。
妻が客にどんな風に弄られたのか、妻は客の膝の上でどうやって悶えていたのかを、その下着のシミと匂いから想像し、猛烈な精液を妻の下着に迸るのです。

そんな私の不安は、妻の下着に射精すると言う変態行為によって一時的に解消されますが、しかし、それはあくまでも対処法でありまして解決法ではございません。
ですから、射精後、数時間もすると、またしても私の心を嫉妬と恐怖が襲いかかるのです。

私はもう我慢の限界でした。
一刻も早く、妻をあの店からヤメさせたい。
そう思ってはいても、しかし、そうなれば残された道は一家心中しかございません。
妻の稼ぎなくては、もはや家族揃って大量の睡眠薬を飲むしかないのです。
そんな事ばかり考えていると、私の苦悩は更に大きく膨れ上がり、このままでは私の精神は病んでしまいます。

そこで私は決心しました。
妻のあの下着の汚れの原因をこの目でハッキリと確かめてやろうと。
そして、私が想像しているように妻が客に対して性的感情を抱いているようであるならば、それはもう一家心中も仕方がないと・・・。

私はタンスの引き出しに隠してある、妻のヘソクリ2万円をソッとポケットにしまい、子供達の寝顔を確認すると、夜の町に飛び出しました。
雨上がりの夜でした。歩道の水たまりに夜のネオンが怪しく反射し、遠くから救急車のサイレンがまるで女の悲鳴のように聞こえて来ます。
「どうか神様、妻が裏切ってませんように」
そう何度も何度も呟きながら雨上がりの夜空を見上げ、私は妻が働く駅裏の「モミモミ3号店」へとゆっくり向かったのでございました。


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妻が働くピンクサロン。
その店の前に立つ私は、(いまならまだ間に合う・・・)と、その禁断の地への一歩を躊躇っておりました。

派手なネオン管がチカチカと点滅する店の壁には、出勤している女の子たちの名札がズラリと並んでおりました。
カオリちゃん、ミサキちゃん、アケミちゃん、マサミちゃん・・・。
さすがは夜の街のゴミ捨て場と呼ばれるピンサロです、オシャレなキャバクラでは考えられぬようなダサい源氏名ばかりが並んでおります。
私はそんな昭和臭い源氏名が並ぶ表札の前で、我妻「アキコ」という、これまた実に貧乏臭い源氏名を必死に探しました。

ありました。
しかもなんという事か、アキコと書かれた表札の上には「当店人気ナンバー2!」と大きく書かれているではありませんか。
それが嬉しいやら悲しいやらなんとも複雑な気分です。
まるで、二年前の息子の授業参観日の時、皆が居並ぶ教室にて、「お宅のタケシ君は、テストの点数は最下位ですが、しかし体育ではいつもトップですし、給食も人一倍モリモリ食べてとっても健康ですよ」と、先生から言われ、喜んでいいのか悲しんでいいのかわからなかった、あの時の複雑な心境と同じでございます。

(当店人気ナンバー2と言う事は・・・相当なお客の数をこなしているんだろうな・・・)
私は、赤やピンクのネオン管に照らされながらその場に立ちすくみ、タコの吸盤のように腫れ上がった乳首を激しく弄られる痛々しい妻の姿を想像しながらも、「そんな妻の姿をおまえは本当に見たいのか?」と、何度も何度も自分に問い質しておりました。
そして、そんな妻の姿を見ても今までのように妻を愛する事はできるのか?とも・・・・

そうやって、禁断の地への一歩を戸惑っていた私に、いきなりチョビ髭のおっさんが声を掛けて来ました。
いわゆる「呼び込み」というヤツです。

「あら、いらっしゃい!」
先程から店前の看板の裏で私をジッと見ていたくせに、その呼び込みはあたかも今私に気付いたかのような振る舞いで、わざとらしく私に近付いて来ました。
「誰かお気に入りの子はいますか?」
チョビ髭は、呼び込み特有の揉み手をしながら、私の隣にソッと寄り添いました。
正面に立つのではなく横に並ぶというのが、彼ら呼び込みのテクニックです。つまり、私の行く手を塞いでしまおうという魂胆なのです。

私は「お気に入りはいないが、妻ならいる」と、どれだけ言ってやろうかと思いましたが、しかしそんな事を言えばせっかくの潜入捜査は台無しです。

私は、偶然ここを通りかかった通行人になりすましながら、ぼんやりと表札を眺めてはチョビ髭に尋ねました。
「サービスしてくれる子がいいんだけど・・・」
私のそんな愚問に、チョビ髭は待ってましたとばかりに「当店の女の子は全員大サービスですよ」と嬉しそうに笑った。
「特にサービスしてくれる子ってのはどの子かな?」
「特に?・・・う~ん・・・まぁ、ウチは全員が特にサービスのいい子ばかり集めてるんですが、あえてその中でズバ抜けてサービス精神旺盛な子って言われれば・・・やっぱりトキコちゃんですかね・・・」

私は妻の名前が出なかった事にひとまず安心した。

「じゃあさ、一番カワイイ子ってのはどの子かなぁ・・・」
安心した私は更に愚問を続けた。
「可愛いって言えば、そりゃあ当店ナンバー2のアキコちゃんでしょうね。性格も明るいし、サービスもいいし、それにオッパイなんてプリンプリンしてますよ」
チョビ髭は、プリンプリンという表現と共に、なぜか関係のない尻をフリフリと振った。
そんなチョビ髭をおもいきり蹴飛ばして、目の前のドブ川に叩き落としてやりたい衝動に駆られましたが、しかし、まぁ、ブスだ気持ち悪いと言われるよりは、まだましです。
「そのアキコって子、いくつ?」
いきなりの私の問いに、チョビ髭は一瞬目を泳がせました。
「アキコちゃんですか?・・・アキコちゃんはアレですよ、ほら、24。うん、確か今年24歳になったばかりですよ、ピチピチギャルです、はい」

なにがピチピチギャルだ、いったいオマエはいつの時代の化石なんだ馬鹿野郎。
それにどーして私の妻が24なんだ、アホ。あいつは来月の誕生日で33歳になるババアじゃねぇか!10歳もサバを読むなんてそれではまるで年齢詐称の詐欺ではないか!

私はなぜかやたらとこのチョビ髭に無性に腹が立って来ました。
そんな時です。いきなり私の後から「毎度!」という軽快な声が飛び出して来ました。

「あぁぁ!どうもどうも前田様!今夜は遅いご出勤で!」
チョビ髭の態度が一変しました。
後を振り向くと、そこにはいかにもスケベ面をした薄汚い親父がポツンと立っていました。
この男は、常連なのでございましょう、呼び込みから「前田」という名字で呼ばれるとは、かなりこの店に通い詰めていると思われます。

「あぁ、今日は工場の残業だったからね」
前田と呼ばれる男は、180センチはあろうかと思われる大きな図体を中腰にさせながら、青々としたカビのような無精髭をザラザラと撫で回しました。
「で、あのコ、すぐ行ける?」
前田はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら、チビのチョビ髭を覗き込みました。
「はい、いつものアキコさんですね。さっきから前田様の事が待ち遠しいらしくてソワソワしておりましたよ」

一瞬、目の前がクワン・・・っと暗くなりました。
いきなり胃がムカムカして、瞬間に私の額は脂汗でドロドロになりました。

「しかし残念!アキコちゃん、今、ハッスルの真っ最中なんですよね・・・もうそろそろ終わる時間ですから、もう少しだけ待ってて下さいませませ」

下さいませませ。
パニックを引き起こした私の頭の中で、チョビ髭のその「ませませ」が何度も何度もリピートします。

「あのコ、本当にサービスいいよ。うん。おっさんの言う通り、ミサキから乗り換えて正解だったよ」
前田は、そう言いながらキリンのような巨大な顔でモソモソと笑い始めた。
「そうでしょう!僕もね、アキコちゃんなら個人的にアッチッチしてもいいと思うくらいですからね、僕が客だったら迷わずアキコちゃんですよ、ふへへへへ」

アッチッチ・・・。
私の脳裏から「ませませ」は消え、今度は「アッチッチ」という言葉が蔓延りました。

「あれ?どうしたの部長。なんか顔が真っ青だけど、具合でも悪いの?」
チョビ髭は、日本脳炎に掛かったような私の顔をそう言いながら覗き込みました。
口が臭い!しかも私は部長ではない!
そう叫びたいのを堪えながら、私は「いや、大丈夫」と、薄汚れた電信柱に寄り添いながらウンウンと頷きました。

すると、店の入口から「おうおう髭親父!」という、なにやら乱暴な声が響いて参りました。
入口から出て来たのは、黒沢監督「隠し砦の三悪人」に出て来そうな薄汚れた無法者。
男は泥で汚れた作業服の肩を怒らせながら、ノッソノッソとチョビ髭に近付いて来ました。

「あらら!親方!おかえりなさいませ!」
チョビ髭は小さな体を更に小さくさせながら、その無法者に揉み手をしました。
サラリーマン風には部長。作業員風には親方。この男は客を見て声色を変えるゴマスリ野郎です。

「おう、あの娘、なかなかいいじゃねぇかぁ・・・げへへへへへ」
熊五郎のような髭を生やした無法者は、チョビ髭の小さな肩をその大きな手でパンパンと嬉しそうに叩き、満足そうに大笑いしました。

「でしょ?だから僕は嘘はつきませんって言ったじゃないですかぁ」
チョビ髭は小さな体でグッと胸を張りました。

(頼む!・・・・)
私はすかさず心で祈りました。
頼むからその無法者の口からアキコという名前が出ない事を、必死で祈ったのです。

「顔もスタイルも申し分ねえ。それにアッチの方も・・・ぎひひひひひひ」
無法者はそう笑いながら、右手の人差し指をチョビ髭の鼻先にピーンと伸ばしました。
チョビ髭は無言でその指をクンクンと嗅ぎます。まるで日暮里をウロつく野良犬のように大きな鼻をヒクヒクと動かしています。
「うひゃあ~たまらんねイカ納豆!こりゃあドスケベイ女の匂いですぞ親方!」
チョビ髭は大袈裟にそう叫びながら、なぜか嬉しそうにその場でピョンピョンと飛び跳ねました。

無法者がチョビ髭に嗅がせたその指の意味が、なんとなくわかります。
本来ならば、この店はオッパイをモミモミする事しかできないのです。そんな店から出て来た男が自慢げに差し出す二本の指。その指を嗅いで「イカ納豆」などと下品な表現をする呼び込み。
この2人のその仕草は、今の私には虫歯の奥歯でアルミホイルをギュッと噛み潰すような、そんな辛さでございました。

「んじゃ、また来るわ!」
無法者は満足げに店を後にしました。擦れ違い様に彼の足下を見ると、真っ赤なニッカポッカの裾から泥だらけの地下足袋が覗いているのが見えました。
結局、無法者が指を入れた女が誰であるのかはわからずじまいでした。
わからないほうがいいのです。男の口からもしアキコという名前が飛び出そうものなら、私はきっと三軒隣の寿司屋に飛び込み、そこのカウンターから刺身包丁を奪い取ってはその無法者を斬り付けていた事でしょう。
しかし、わからないまま、というのは、これまた余計辛いものかもしれません。想像してしまうのです。
もしかしたらあの無法者の泥で汚れた太い指が、妻の女性器にグニグニと押し込まれていたのではないかと、誠にリアルな想像が私の頭を駆け巡るのです。

しかし、まさか妻がそんな事をするはずがありません、好きな男のタイプがスマップの草薙という妻が、あんなゴロツキ肉体派の熊五郎のような無法者に、そうやすやすと大事なオメコを触らせるはずがございません。
ああ見えても妻はなかなかの面食いなのです。いくら金のためとは言え、まさかあんな汚い男に・・・・
と、必死になってプラス思考を湧かせておりますと、いきなりチョビ髭が「ではでは前田様お待ちどうさまでした!」と、築地の魚河岸の長靴親父のような声で叫びました。

前田と呼ばれた男は、キリンのような口をモグモグさせながら、嬉しそうに「むふふふふふふ」と笑うと、店内に消えて行くチョビ髭の後に付いてモゾモゾと歩き出しました。
小さなチョビ髭とノッポの前田。
そんな2人の後ろ姿は、「世界びっくり人間」に出てくる、世界一のチビ男と世界一のノッポ男を見ているようでございました。

そんな奇怪な2人の背中を見つめながら、私の中でよからぬ想像がまたしても湧いて出て来ました。

無法者が店から出てきた矢先に、妻を指名していた前田が案内された・・・・
チョビ髭は、ついさっき前田に、妻は今、ハッスル中だと言っていた・・・・
なのに前田は案内された・・・・
まるで無法者と入れ替わるように・・・

私はもう立ってはいられなくなりました。
この店にはアキコしかいないのかバカ野郎!他の女達、もうちょっと頑張れよなアホ!
私は、お門違いではありましょうが、無性に、カオリちゃん、ミサキちゃん、アケミちゃん、マサミちゃん・・・と書かれた名札を見つめながら、それらの女達の不甲斐なさに腹が立って来ました。

「あれれ?大丈夫かい部長」
そう叫びながらチョビ髭が帰って来ました。チョビ髭は、店の前でしゃがみ込んでいる私を心配ではなく迷惑そうに見つめております。

「で、どうすんのよ部長。遊んでく?それとも遊んでいかない?どっち?」
チョビ髭は、そこでそうやってしゃがまれたままでいると営業妨害だから、といった感じで、私を見下ろしています。

「遊んでいきます・・・・」
私はやんわりとそう答えながら、心の中では(あぁ!遊んでいくとも!)とヤケクソに叫んでいたのでございました。


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店内に案内された私は、その派手な喧噪にとたんに度肝を抜かれました。
天井では赤青黄色のネオンが激しくグルグルと回り、緑色のレーザー光線が狭い店内をアチコチと走り回っておりました。
音楽は狂ったような大音量でした。なぜか西城秀樹のヤングマンがガンガンに鳴り響いております。そのヤングマンの音楽に合わせ、蝶ネクタイのボーイ達がタンバリンをバシャバシャと激しく叩いております。
まるで、東南アジアのどこかの小さな国のお祭りのような、そんな下品な喧噪でした。

四十坪ほどの真四角な店内には、2人用のソファーが、同じ方向に向かってズラリと並んでおりました。
そのソファーの間には不潔な観葉植物が置かれ、かろうじて客のプライバシーを守っているようでした。

私は、蝶ネクタイをした出目金のようなボーイに連れられ、通路を奥へ奥へと進みます。
私はすかさず出目金の肩をポンポンと叩き、呼び止めました。
スピーカーから溢れるヒデキの声がデカすぎるため、普通に呼びかけても聞こえないからです。
通路の真ん中で足を止めた出目金は、「ん?」という感じで振り向きました。
「悪いけど・・・一番後の席にしてくれるかなぁ」
私は出目金の耳元に口を近づけ、そう叫びました。

そうです。私はこの破廉恥な店に破廉恥を求めてやって来たのではございません。
私の役目は、潜入捜査員。
この店で妻が客に感じさせられてはいないかを確認する任務があるのです。
ですから私は、店内を見渡せる後部座席に座らねばならなかったのです。

出目金は、そんな私にうんうんと頷きました。この出目金、どこか頭がおかしいのでしょうか、突き出た両目は覇気がなくボンヤリとし、唇の端にはヨダレが輝いております。
しかし、そいつがアホであろうがなんだろうがそんな事はどーでもいい事です。私は、この店で妻の実態さえ確認できればそれで満足なのです。

私はそう思いながら、そんなアホ的な出目金に案内され、一番後の席を確保する事に成功したのでございました。


さっそく妻の姿を探しました。
店内には3組の男女が縺れ合っております。
そのうちのどれかが、最愛の我妻なのです。

ある1組は真ん中の席にいました。
ハゲた親父のハゲ頭に赤や青のネオンが反射し、まるで舞台照明のように輝いています。
ハゲ親父は、大きなデブ女を膝の上に乗せ、必死になってその巨大な垂れ乳にむしゃぶりついておりました。かなりの巨乳です。かなりの垂れ乳です。ちらりと見えた乳輪はまるでヒマワリのようにパッと花を咲かせていました。
あきらかに妻ではありません。妻はあんなバケモノのような乳はしていません。

続いてそのすぐ真後ろにいるカップル。
女の金髪がバサバサと激しく乱れております。
妻ではございません、妻ではございませんが、しかし、彼女はあんなに髪を振り乱して何をやっているのでしょう。
しばらくすると、今度は男の頭がニョキッと座席の背もたれから出て来ました。そして今度は女の金髪が座席の背もたれに消えて行きます。
短髪の男は先程の金髪と同じようにガクガクと体を震わせ始めました。
それは、あきらかにセックスをしているようなそんな動きでございます。

(まさか・・・)
私は背筋をゾッとさせながらもそれでも短髪男の動きに注目しております。
するとそこに、ポチャっとほどよく肉付きの良い女が、縦一列に並ぶ座席の間の通路をスタスタと歩いて来ました。
(あっ!)
まさしく妻です。我愛しの妻でございます。

妻は乳首が透けて見えるほどのスケスケのネグリジェを羽織っていました。白いレースのネグリジェの中には真っ赤なパンティーが輝いています。先日、私が精魂込めてペロペロと舐めた赤いパンティーに違いありません。

おもわず私は妻の名前を叫びそうになりました。
しかし、私は潜入捜査の身。今、妻に正体がバレようものなら私の任務は失敗に終わるのです。
私は、観葉植物の葉っぱの影にサッと顔を隠しました。
妻は、そんな私が見ているとは夢にも思っていないでしょう、私が座っている2つ前の席で足を止めた妻は、そこに座っている前田を見て静かに微笑むと、前田の隣にゆっくりと腰を下ろしたのでした。

(←目次へ)(2へ続く→)


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