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亀のあくび2

2013/06/08 Sat 00:00

亀のあくび4




 ここのコンビニに真夜中やって来る客と言うのは、そのほとんどがまともな人間ではなかった。いかにもヒキコモリらしき夜行性の男や、いかにもノイローゼっぽい病的な女。水商売に風俗嬢にヤクザに暴走族。シャブ中にコソ泥に変態にホームレス。汚れたフィリピン女や荒んだ中国人など人種も多種多様で、中には意味不明な言葉をブツブツと呟いている宇宙人までもいた。まともなのはタクシーの運ちゃんか長距離トラックの運転手くらいで、それ以外の客は、ほとんどが心を病んだコウモリ人間であった。
 そんな中、時折、パジャマ姿の女子高生や、いかにも風呂上がりと言った無防備な主婦など、近所の客がひょっこり現れる事があった。その度に俺は、そいつらをレジ裏の更衣室に引きずり込んでは、やっつけてしまいたいという衝動に駆られ、いつもその欲望を抑えるのに一苦労していたのだった。

 その晩も、いつものようにみゆきのロッカーを物色していた。しかし、ロッカーの中には、何故かアイマスクが一枚ポツンっと置いてあるだけで、オナニーのネタになるような物は何もなかった。
 空振りした俺は、ムラムラしたままさっき届いたばかりのエロ雑誌をパラパラと眺めた。しょうがねぇから今夜はこれで抜くかと思っていると、この時間には珍しくも来客チャイムが鳴り出した。
 やって来たのは、近所のマンションに住んでいる二十代後半のOLだった。ブラジャーが透けた白いキャミソールに、マンスジをくっきりさせたスパッツという姿だった。
 深夜二時だった。客は誰もおらず、来る気配もなかった。OLは携帯を耳にあて、同僚らしき相手と上司の悪口などを話しながら冷蔵ケースのスイーツを覗き込んでいた。
 そんなOLのムチムチの尻を見ながら、(チャンスだ)と思うと、いきなり胸底からムラムラしたものが涌き上がり、頭の中で何者かが「早くしろ、早くしろ」と急かし始めた。
(本当にヤっちゃうか?)と自分に問い質していると、OLは、深夜二時だと言うのにバターたっぷりの濃厚なショコラを手にした。
 それを持ってレジに向かって来た。途中、「それじゃあ明日ね」と言いながら携帯を切り、脇に挟んでいたルイヴィトンの財布を抜き取りながらレジの前で足を止めた。
 受け取ったショコラにピッと鳴らしながら、目の前のマンスジをチラッと見た。その薄いスパッツをパンティと一緒に剥ぎ取るだけでいいんだ、と自分に言い聞かせた。露となった淫らな茂みの中に肉棒を押し込み、「大人しくしてねぇと、ぶっ殺すぞ」と何度も囁きながら腰を振っていれば、こんな堕落したOLなんぞすぐに股を開くだろうと勝手にそう思い込んだ。

「二百三十円です……」

 そう告げながらも亀頭を擦り付けている女の茂みを想像し、俺はその一瞬のうちにあれこれと妄想を始めた。
 肉棒が擦れるOLの陰毛がガシガシガシと鳴っていた。獰猛な亀頭に陰核が刺激され、ワレメはみるみる濡れ始めた。両脚を両手に抱え込み、股を大きく開いて再びそこに肉棒を擦り付けると、一瞬のうちに肉棒はその生温かい穴の中にヌルっと飲み込まれてしまった。俺は無我夢中で腰を振りまくった。すると、それまで必死に抵抗していた女がたちまち卑猥な喘ぎ声をあげ始め、遂には、自らの意思で俺の顔を両手で押さえつけると、真っ赤な舌を蛇のように突き出しては濃厚なディープキスをしてきたのだった。
 そんな妄想を頭に描きながらお釣りの七十円を渡そうとしていた。指が震え、重ねていた十円玉がサカサカと鳴った。俺は、(本当にヤっちゃうんだな?)と、もう一度自分に問い質しながら、目の前に突き出されている女の細い手首を掴む事を考えていた。
 と、その時、頭上で『ピポピポ〜ン』という来客チャイムが鳴った。慌てて妄想から抜け出した俺が横目で入口を見ると、そこには何故かみゆきがポツンっと立っていたのだった。

「なんだテメェは……」

 おもわずそう小声で呟きながら、入口に突っ立ったままのみゆきを睨んでいると、OLが「早くしてよ」と不機嫌そうに呟きながら、俺の手から七十円を引ったくった。そんなOLの息は腐った魚のように生臭かった。その顔も改めて見ると凄まじく、剝げたマスカラのシミかと思っていた目の下の黒ずみは病的なクマだった。
 早まらなくて良かったと思った。こんな薄気味悪い女で一生を棒に振らなくて良かったと、心からそう思った。きっとあの女の陰部には、茹でた越前蟹が入っていた発泡スチロールのような臭いが漂っているはずであり、そして行為後にはペニスの皮膚がヒリヒリと痛痒くなっては、翌朝にはネズミ色した膿が尿道からニュルっと出てるに決まっているのだ。
 危なかった……とそう思いながらも、店を出て行く女の後ろ姿をぼんやり見ていると、ふと、スボーツ新聞のラックの横に立ち竦んでいるみゆきと目が合った。
 俺のペニスはまだ勃起したままだった。一触即発だったムラムラ感も未だ胸底で燻り、それがいつ爆発してもおかしくない状態だった。
 そんな俺のギラギラした目に何かを感じとったのか、みゆきは妙におどおどしながら「あのぅ……」と声を震わせた。

「なんだ」

「ロッカーに忘れ物をしたんです……」

 おもわず「アイマスクか?」と言いそうになりながらも、「っんなもん、勝手に持ってけばいいじゃねぇか……」とぶっきらぼうに答えた。
「はい……」と、そう小さく頷きながら、みゆきはレジの前を恐る恐る横切った。いったいこんな時間までそんな格好で何をしていたのか、みゆきは生足にヒラヒラのミニスカートを履き、後部に束ねていた髪もだらしなくほつれていた。
 レジの前に立ったままそんなみゆきを見ていると、ふと、大きく開いたTシャツの襟口に盛り上がっている真っ白な肉の谷間が目に飛び込んで来た。乳肉全体が水風船のようにたぷんたぷんと揺れていた。その谷間は皿の上にひっくり返したゼリーのようにフルフルしており、瞬間、俺の胸底で燻っていたムラムラが猛烈に涌き上がって来た。

(もう、こいつでいいや……)

 素直にそう思った。犬のように四つん這いにしてヤれば不細工な顔は見なくても済むだろうと勝手な事を思った。後背位で攻められながら、タプン! タプン! と跳ね上がる巨乳を頭に描きながら、みゆきの後に付いていこうとすると、不意に薄暗い駐車場の隅にソッと隠れながら店内をジッと見ている人影が、俺の目に飛び込んで来たのだった。

 それは見覚えのある男だった。そいつは看板の影に身を隠しながら、ロッカー室へと消えて行くみゆきの姿を必死に目で追っていた。
 慌ててみゆきに振り返り、「あいつ……」と言いかけたが、しかし既にみゆきはロッカー室に入ってしまっていた。
 もう一度、駐車場に振り返った。すると男の姿は消えていた。しかし、よく見ると看板の下から男の足が伸びていた。
 あの男は、明らかにみゆきを待っているようだった。みゆきが今まであの男と一緒だった事は明白だった。みゆきは、こんな時間まであんな男といったい何をやっていたんだろう、と、思っていると、ふと、みゆきのロッカーの中に、ポツンっと落ちていたアイマスクが目に浮かんだ。あんな物をわざわざこんな時間に取りに来たのかと思うと、これからそれを使おうとしているその用途と、看板の裏に隠れているあの男の怪しい存在が、ピンク色した泥沼のような妄想を掻き立てた。
 その男は看板の影から俺を見ていた。男のその目は、あの時、レジに立ち竦んでいた俺に向かって「トイレは常に綺麗にしとくように」と吐き捨てた時のように、異様にギラギラと輝いていたのだった。


 みゆきは、わずか一分足らずで更衣室から出て来た。俺と目を合わせないように俯きながらレジ前を横切り、蚊の鳴くような小声で「お先に失礼します……」と呟いた。さっき胸の谷間をジッと見ていたのがバレていたのか、そんなみゆきの大きな胸には白いトートバックが抱きしめられていた。
 みゆきが店を出て行くなり、男も看板からヌッと姿を現した。男は、とぼとぼと駐車場を歩くみゆきに近付くと、いきなりみゆきの髪の毛を掴み、生足の臑を革靴の先で蹴飛ばした。男は何やら酷く怒っていた。怒りながら何かをみゆきに指示すると、そのままさっさと闇の中に消えていったのだった。
 恐らく男は、みゆきがアイマスクを忘れた事に怒っているんだろうと思った。それは、そんな二人の関係が、見るからにSとMだからだった。
 そのアイマスクが、今の二人にとってどれだけ必要な物かは知らない。果たしてどうやってあれを使うのかさえ、あくまでも俺の妄想に過ぎない。だから一概にはそう言い切る事は出来ないが、しかし、あの異様にヒステリックな男の態度を見ていると、その原因はやはりロッカーに忘れていったアイマスクなのではないかと思った。というのは、以前俺にも同じような経験があったからだった。それは三年程前、当時阿佐ヶ谷のアパートで一緒に暮らしていた女とセックスしていた時の事だった。なんと、ここぞという時に突然ピンクローターの電池が切れ、しかも、電池のストックが一本もなかったのである。あれにはさすがにぶち切れた。なぜ買い置きしておかないんだと女を怒鳴り散らし、ゲンコツで女の頭をスカンっと叩いた。それでも気が治まらない俺は、散々女を貶した。鼻がゴリラみたいだとか、寝顔がルー大柴に似ているとか、挙げ句の果てにはその女の名前の名字が変だなどと、そこまで関係のない事に八つ当たりしては怒りまくった事があった。
 その癖はガキの頃から一貫していた。俺は、楽しみにしていた事が阻止されると、例えそれがどんな些細な事であっても狂ったように怒りまくるという実に心の狭い子供だった。あれは中学三年生の時だった。毎年我が家は元旦になると母方の実家に行く事になっていたのだが、その際、いつも留守番をしていた父方の祖母に『新春かくし芸大会』の録画をお願いしておいた。が、しかし、既にその頃祖母はボケていたのだろう、翌日ビデオを見てみると、そこには『必殺仕置人』が録画されていた。しかもそれは新春特番らしく、藤田まこと演じる中村主水が女物の晴れ着姿でヘンテコな踊りを踊るという、常連視聴者しか喜ばぬようなサプライズ的なオープニングが画面に映し出されており、それを見た瞬間、俺は迷わずテレビを床に叩き落とし、正月早々、ブラウン管が「ボン!」と破裂する物騒な音を我が家に響かせてやったのだった。
 そんな俺だったから、この時の男の怒りが手に取るようにわかった。きっと男は、そのアイマスクを使ってみゆきに特別な事をしようとしていたのである。そしてそれを深夜まで楽しみにしていたにも係らず、それをみゆきがまんまと職場に忘れてきた為ぶち切れたのであろう。

 そんな事を考えながら、闇に消えて行くみゆきの白いTシャツを見ていると、不意に(尾行しなくては)という焦燥感に駆られた。例え二人を尾行しても、ラブホにしけ込まれてしまってはそれまでなのだが、しかしその時の俺は、何故か妙に焦り、異様にワクワクしていた。
 慌てて制服を脱ぐと、それをレジ裏の床に叩き付けた。商品の『超立体・花粉用マスク』の袋を開け、商品の黒いキャップを深々と被った。そう変装しながらポテトチップスの段ボールの蓋を一枚引き千切った。そこにマジックで『ちょっと留守にします』と書こうとしたが、しかし、留守という字の『守』をド忘れしてしまい、仕方なく『ちょっと留スにします』とそこだけカタカナにして殴り書きした。それをガムテープで入口ドアにペタリと張り付けると、俺は鍵もかけないまま一目散に店を飛び出したのだった。

 静まり返った駐車場に漂う深夜二時の空気は、まるで森の中にいるかのように澄んでいた。そんな空気を腹一杯に吸い込みながら、俺は二人が消えて行った闇に向かって走り出した。二人の後ろ姿はすぐに発見できた。
 二人が入って行ったのは公園だった。ラブホにしけ込まれなくて良かったと思いながら、俺もその公園の闇に潜り込んだ。
 その公園は鬱蒼とした森林に囲まれていた。北側に公民館、南側にゲートボール広場、そして東側にはアスレチック遊具があった。
 二人はアスレチック広場の通路を抜け、公園の西側にある楕円形の芝生広場に出た。そこはベンチや水飲み場や公衆便所が集まっている公園のメイン広場であり、どこかのイカれた芸術家が作ったとされるワケのわからぬオブジェが所々に展示されていた。
 闇に紛れながら二人を尾行していると、並んで歩く二人は、闇の中で唯一爛々と輝いている公衆便所の前で足を止めた。俺は慌てて巨大なオブジェに身を潜めた。それは、人間の顔をしたヤリイカが踊っている意味不明な石像だった。
 公衆便所の入口の蛍光灯には、多種多様な夜蟲が狂喜乱舞していた。手の平サイズの巨大な蛾が蛍光灯に何度も追突しては、不快な粉をパラパラと舞い散らしていた。
 その下で二人は揉め始めた。男がみゆきをトイレに連れ込もうとし、それをみゆきが拒否したのだ。項垂れたままイヤイヤと首を振るみゆきの背中を、男はドンっと突き飛ばした。そして体勢を崩したみゆきのTシャツの袖を素早く鷲掴みすると、男は何やらブツブツと呟きながら袖を強引に引っ張り、そのままみゆきを公衆便所の中に引きずり込んだ。それはまるで、散歩を嫌がっている犬と、「早く行くぞ」と怒りながら鎖を引っ張っている飼い主のようだった。
 そこは男子トイレだった。恐らく男は、そこの個室にみゆきを連れ込み、その荒んだ雰囲気の中でズボズボとヤりたかったに違いない。お化けイカの影に身を潜める俺は、男のそんな気持ちが何となくわかった。
 つまり奴はサディストなのだ。綺麗な女と夜景の綺麗なホテルでヤるよりも、ブスな女を荒んだ場所で犯したいと思う狂気に満ちた変態性欲者なのだ。
 俺もそうだった。横浜のグランドインターコンチネンタルホテルのスイートルームで、シャネルの香りを漂わせた網タイツの米倉涼子と交わるよりも、田舎の国道沿いにあるボウリング場の廃墟で、荒縄で吊るした森三中の黒沢を無惨に犯しまくりたいタイプだった。だから俺は、奴が、あの時も、そして今も、トイレにこだわる気持ちがわかった。みゆきという巨乳のブス女は、汚れたトイレが異様に似合う女なのだ。

 俺はお化けイカのオブジェの裏でゾクゾクしながら、いつあの便所に忍び込もうかと考えていた。深夜二時の薄汚れた公衆便所で、頭の悪い巨乳女をズボズボと犯している中年サラリーマンの姿が見たくて堪らなかったのだ。
 が、しかし、そんな俺の予想は大きく外れた。なんと、突然男だけが公衆便所から出て来たのだ。
 男は妙にソワソワしながら一人で出て来ると、そのまま便所の横の雑木林の闇に潜り込んだ。そしてそこにソッと身を隠しながら、まるで夜蟲が蜘蛛の巣に引っかかるのを待つ蜘蛛のように息を殺していた。

(これはいったいどーいう事だ……)

 この予想外の展開に困惑しながら、俺はお化けイカのオブジェの裏から、薮の中で目を光らせている男と公衆便所を交互に見ていた。
 不意に一匹の薮蚊が俺の耳元を通り過ぎて行った。そのブーンっという音を聞いた瞬間、ふと、何年か前にこの辺りの公園が一斉に閉鎖された事を思い出した。それは、蚊からデング熱という恐ろしい病気が感染するとテレビのニュースで大騒ぎされたからだった。さっそくこの公園も閉鎖され、連日公園には、まるで爆弾処理班のような重々しい格好をした役人たちが集まり、虫取り網片手に殺虫剤を噴射しまくっていた。
 しかしいつの間にか公園は開放されていた。今ではデング熱などという名前すら聞かなくなった。いったいあれは何だったんだろうと思いながらも、あの時の役人達のバカさ加減を思い出しては「ふん」と鼻で笑っていると、突然、アスレチック広場の闇の中から一人の男が現れた。
 その男はスタスタと公衆便所に向かって歩いて来ると、その入口で足を止めた。夜蟲が群がる蛍光灯が男を照らした。七三に分けた髪のポマードがテラテラと輝き、痩せこけた頬骨が浮かび上がっていた。
 深夜の公園には不釣り合いなスーツを着ていた。定年間近の冴えないサラリーマンっといった感じの貧そな男だった。男は、まるでコソ泥のように辺りをキョロキョロと見回すと、素早く男子トイレの中へと入って行ったのだった。

 明らかに挙動不審な男だった。しかし、藪の中に潜んでいる男は身動きひとつしなかった。その男子トイレの中には、みゆきが一人ポツンと取り残されているはずなのに、それでも男は動こうとはしなかった。それどころか男は、ソッと藪の中で立ち上がると、男子トイレの横の壁にある小窓から中を覗き始めたのだ。
 そんな男の不審な行動を、一部始終見ていた俺は全てを悟った。なぜ深夜の公衆便所なのか、なぜみゆきが嫌がったのか、そしてなぜ男がみゆき一人をトイレに残して薮に潜んでいたのか、全て察しが付いた。

(それでアイマスクが必要だったんだな……)

 そう納得した俺は、もはやこの薄気味悪いお化けイカのオブジェに隠れている必要はなかった。俺は堂々とそこから抜け出した。そして堂々と公衆便所に向かって歩き出した。
 夜露で湿った芝生がカシュカシュと小気味良い音を立てた。夜空を覆う鬱蒼とした森林が夜風に吹かれ、まるで巨大な化け物の如くザワザワと蠢いていた。
 公衆便所に近付いて行くと、薄暗い藪の中に浮かぶ男の姿がはっきりと見えて来た。男は左手で窓の桟に捕まり、爪先立ちしながら覗いていた。その右手は規則的に動き、それに合わせて腰がカクカクと動いていた。
 公衆便所の前で立ち止まると、そこで初めて男は俺の存在に気付いた。男は慌てて右手の動きを止めると壁に顔を押し付けた。まるでイモリのように便所の壁に張り付きながら必死に息を殺していた。
 噴き出しそうになるのを堪えながら、俺はそんな男の存在に気付かないふりをした。そしてわざとらしく携帯を弄りながら壁に張り付いたままの男をソッと見ると、壁に密着している男の下半身の横から、勃起したペニスがニョキッと飛び出しているのが見えた。それは、思わずハッと息を飲むほどに立派なペニスだった。がっしりと太く、異様に長いそれは、まさにFC2動画で見た黒人のペニスのようだった。

(みゆきはあんなモノをズボズボと……)

 そうゴクリと唾を喉に押し込むと、不意にコンビニのトイレでソレをズボズボされている巨乳女の姿が頭に浮かんだ。たちまち俺は、居ても立ってもいられない興奮に襲われた。
 トイレの中では、カサカサカサと衣類が擦れる音と、ハァハァと断続的に続く荒い呼吸が響いていた。脳がクラクラし、乾いた唇から生温かい息が漏れた。俺はそこに漂う不潔な空気を胸一杯に吸い込みながら腹を決めた。
 そして、深夜二時の男子トイレの門を恐る恐る潜ったのだった。

(つづく)

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