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牛乳は6



 洗濯機の中身は空っぽだった。
 しかし克彦は落胆していなかった。
 それは、深夜に帰って来たキャバ嬢が明け方に洗濯をするなど考えられず、洗濯物は脱衣カゴの中には必ず眠っていると確信していたからだった。
 それでも克彦は、前戯の如く洗面台の鏡棚を開き、歯ブラシやベラ磨きなどちゅーちゅーと吸ったり、壁にぶら下がっていたハンドタオルを頬擦りしたりと繰り返していた。ペニスは痛いほどに勃起していた。既に我慢汁が溢れ、トランクスの所々には冷たいシミをこしらえているほどだった。
 そんな前戯により充分な興奮を得た克彦は、いよいよ脱衣カゴに手を伸ばした。棚の下で二つ並んでいるひとつをガサっと引き出すと、そこにはベッドのシーツらしき大型洗濯物が詰まっていた。ここにお宝はないと察した克彦は、すぐにそれを元に戻し、もうひとつのカゴをガサっと引き出した。

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 乱雑に投げ込まれた衣類が目に飛び込んで来た。脱衣カゴの奥で、だらしなく脱ぎ捨てたジーンズの裏地と、裏返しになった黒いキャミソールの胸パットが、実に艶かしい卑猥感を漂わせていた。
 あまりの興奮に、貧血に近い目眩に襲われ、おもわずその場にしゃがんでしまった。
 ハァハァと荒い息を吐きながらズボンのボタンを外し、中で歪に折り曲がっていたペニスをすぐさま解放してやった。
 ビンっ! と飛び出したペニスは石のように硬く、緩やかに反り返っていた。亀頭は溢れる我慢汁でテラテラと輝いていた。皮がベロリと剥かれた無惨な部分には、酒粕のような白い恥垢がべっとりとこびりつき、異様な臭いをモワモワと涌き上げていた。

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 そんなペニスをシコシコとシゴいた。今まで塞き止められていた肉体的快感が一気に流れ出し、下半身から脳へと上流しては地平線の向こうまで飛んでいった。
 ジーンズを摘まみ上げ、股間の裏地に鼻を押し付けた。そこには部屋に漂っていた甘い香水の香りがしっかりと染み付き、プライベートな香りは微塵も感じられなかった。
 牝臭の漂わぬ洗濯物には興味はなかった。摘んでいた指を離すと、重いジーンズはそのままドサッとカゴの底に落ちた。いつもなら、物色した形跡がバレぬよう慎重に洗濯物を漁るのだが、しかしこの時は、あのだらしないキャバ嬢がいちいち脱衣カゴの中身を覚えているとは思えず、乱雑に事を進めていた。
 続いて黒いサテンのキャミソールを摘まみ上げ、そのツルツルした感触を頬で感じた。両手でTシャツを抱きしめ、そこから漂う香水を胸一杯に吸い込んだ。
 毛玉だらけの靴下のゴム口に、スルスルとペニスを差し込みながらゴシゴシとシゴいた。そしてヨレヨレのストッキングをペニスに絡めると、ストッキングのザラザラ感を亀頭に感じながら、キャバ嬢に足コキされている妄想を繰り広げたのだった。

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 そんな脱衣カゴの中には、お宝が二枚眠っていた。
 履き古した水玉パンティーと紐のように細い黒いTバックが、他の洗濯物に紛れながら、それらとは明らかに違う卑猥なオーラをムンムンと醸し出していた。
 その二枚を摘まみ出しながら、衣類は一組しかないのに何故下着だけ二枚あるのだろうと不思議に思った。
 しかしその謎はすぐに解けた。履き古した水玉パンティーは出勤前に履いていたプライベート用の下着で、もう一枚の黒いTバックはお店用の下着なのだ。
 そう勝手に想像しながら、取りあえず水玉パンティーを広げてみた。
 黒いクロッチには白いシミが点々と付いていた。そこに鼻を近づけ、ソッと匂いを嗅いでみると、ほんのりとした汗臭さの中に、微かな恥垢臭がツンっとスパイスされていた。
 克彦は、まるで何かの研究生のようにそのシミを指腹でザラザラと擦りながら、この白いシミは恐らく小便の残り汁が乾いた物だろうと、小さく頷いたのだった。

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 この水玉パンティーにはシミもニオイも少なく、いつも姉の強烈なシミに慣れていた克彦には少々物足りない気がした。
 やはり使用済み下着には、べっとりと染み付いた大量のオリモノと、鼻から脳天に突き抜けるような強烈なニオイがなければ面白くなかった。それが危険を犯してまで手に入れた使用済み下着の醍醐味というものなのだ。
 そう思いながらもう一枚に期待して、黒いTバックを摘まみ上げた。
 しかし、すぐにはクロッチの裏側を捲らなかった。これは最後の一枚であり、実に貴重な一枚なのだ。
 克彦は、フロントのレース部分を見つめながら、(頼むぞ……)と念じた。
 そう念じる克彦には、過去にも似たような苦い経験があった。
 それは一年ほど前、鈴村の家に同僚達が集まり、皆で酒を飲んでいる時の事だった。鈴村の奥さんは、熟女の色気が漂う三十半ばの美人妻だった。腰つきが妙に色っぽく、乳も尻もたぷんたぷんと程よく熟れた、いかにも好きそうな奥さんだった。
 克彦は、酒をちびりちびりと舐めながら、そんな奥さんばかりを見ていた。料理を運ぶ奥さんの胸元をソッと覗き、台所に立つ尻を舐めるように眺め、いやらしい奥さんを存分に視姦しまくってやった。
 飲み会が盛り上がる頃には、克彦の欲情も限界に達していた。トイレをお借ります、と呟きながら、ひとり席を立った克彦は、そのまま脱衣場へと向かった。
 もし誰かに見つかったら、酔って間違えた事にすればいいと思いながらそこに忍び込んだ。
 壁の向こうから聞こえて来る同僚達の笑い声に耳を傾けながら、急いで洗濯機の蓋を開けた。運のいい事に、奥さんの下着は洗濯物の一番上にポツンと置いてあった。
 しかし、そこにシミらしきシミは全く見当たらなかった。クロッチに鼻を押し付けても、微かに人間臭が漂うだけで、ダイレクトな陰部の香りは漂って来なかった。
 克彦は激しく落胆した。せっかく解雇を覚悟でこれを手に入れたというのに、そこにはニオイもシミも何もなかったのだ。
 きっと奥さんはオリモノシートを使っていたに違いない。そう思った克彦は、ガクリと肩を落としながらそれを洗濯機の中に投げ捨てた。そして、この世にオリモノシートなどという夢のない物を売り出した小林製薬を激しく恨みながら、まるでポリバケツの蓋を閉めるように洗濯機の蓋を閉めたのだった。

 過去にそんな苦い経験をしていた克彦だったため、この時もオリモノシートの恐怖に襲われていた。なぜなら、勤務中にオリモノシートを使用しているキャバ嬢が多い事を、克彦は知っていたからだった。
 五反田の奈津子に騙されてキャバクラに通っていた頃、克彦はキャバ嬢専用の女子トイレにいつも忍び込んでいた。そこの汚物入れの中身は、ほぼ100%がオリモノシートだった。そんな大量のオリモノシートをいつも見ていたため、勤務中のキャバ嬢のオリモノシート使用率が非常に高い事を、克彦は知っていたのだ。
 クロッチマニアの克彦にとってオリモノシートは天敵だった。小林製薬などぶっ潰れてしまえばいいんだと本気で思うほどオリモノシートを恨んでいた。
 克彦は必死に念じながら黒いTバックを広げた。もしシミが付いていてくれたら寿命を三年間減らしてもいいなどと、妄想の悪魔と馬鹿げた取引をしながら、恐る恐るクロッチの裏側を捲ったのだった。

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 その見事なシミを目にした瞬間、なぜか無性にあの白痴的なキャバ嬢の事が愛おしくて堪らなくなった。
 やっぱりあの娘はいい子だ、などと勝手な事をほざきながらクロッチを指で広げ、その汚れた部分に鼻を近づけた。しかし、残念な事にそのシミのニオイは、甘い香水の香りに掻き消されてしまっていた。
 それでも克彦は満足だった。ニオイはなくともその無惨なシミを目で楽しむ事が出来たからだ。
 そんなTバックを床に広げ、クロッチを正面に向けた。恥ずかしいシミを携帯の写メで数枚撮影した後、犬のように四つん這いになりながらクロッチに顔を近づけペニスをシゴいた。
 真っ白なキャバ嬢の尻に食い込む黒いTバックを想像した。薄暗い店内の片隅で、スケベな客達に卑猥な言葉を浴びせられながら働くキャバ嬢の白くて大きな尻が、克彦の脳裏に鮮明に浮かび上がって来た。

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(食い込んでるじゃないか……黒いTバックがオマンコの中にいやらしく食い込んじゃってるじゃないか……)

 そう呟きながら犬のようにシミをクンクンと嗅いでいる克彦の頭の中には、五反田のキャバクラの店内風景がぼんやりと浮かんでいた。あの黒い皮のソファーにキャバ嬢を座らせ、嫌がるキャバ嬢の黒いドレスのスカートの中を覗き込んでいる自分の姿が脳内に浮かんでいた。
 そんなキャバ嬢は、「いや、いや」と首を振りながらも、それでも自ら股を開いて来た。黒いTバックのクロッチがワレメに食い込んでいた。食い込むクロッチはテラテラと怪しく輝き、いやらしい汁がジワジワと滲み出ていた。

(お客さんに何かいやらしい事されたのか? 煙草臭い指でココを弄られたりしたんじゃないのか?……だってほら、見てみろよ……食い込むクロッチがこんなにヌルヌルに濡れてるじゃないか……)

 そう呟きながら乾いたシミを指腹でカサカサと擦り、妄想の中のキャバ嬢のクロッチをソッと指でズラした。小陰唇がベロリと捲れたオマンコから、白濁の汁がドロリと垂れている光景が鮮明に浮かんだ。そんな妄想に「おおお……」と深い息を吐くと、ペニスをシゴいている克彦の手がスピードを増した。

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 犬のようにそこを嗅ぎ回っていると、いつしか鼻が香水の香りで麻痺してきた。すると、その奥に隠れていた本来のシミのニオイが、微かに嗅ぎ分けられるようになってきた。
 それは彼女の陰部のニオイだった。長時間、押し付けられたり歪んだりしながら陰部に張り付いていたクロッチは、彼女の秘部のニオイを鮮明に蘇らせてくれた。
 股関節の汗と小便の残り汁。ビラビラの隙間に溜まった恥ずかしい垢と、粘膜から滲み出たオリモノ。それらが複雑に混じり合い、密封されたクロッチの中で長時間蒸され、そしてパリパリに乾いて出来上がったのが、この饐えた臭いだった。赤の他人の恥ずかしいニオイだった。見ず知らずの女の股間に漂う淫媚なニオイだった。そんな貴重なニオイを必死に嗅ぎながら、更に興奮を得た克彦は震える舌をそこに伸ばしたのだった。

(舐めて欲しいんだろ……ここをベロベロと舐めまくって欲しいんだろ……)

 半開きの目でそう囁きながら、克彦はそのカピカピに乾いたシミに舌をザラザラと走らせた。
 強烈な酸味が舌先をピリピリと襲った。姉のシミは塩っぱいだけのつまらない味だったが、しかし、彼女のシミは、まだ若いせいか妙に甘味を感じさせた。
 ベロベロと舐め、そして口内に溜まった唾液をゴクリと音を立てて飲み込んだ。彼女の不潔な体液が、自分の体内に溶け込んでいくのを思うと、克彦は更に彼女を愛おしく感じた。
 舌の動きが早くなるにつれ、ペニスをシゴく動きも速くなってきた。何度もいきそうになり何度も手を止めた。その度に舌の動きも止まり、妄想の中の彼女が「ああん」と残念な声を出した。
 妄想の中で克彦は、彼女をまんぐり返しの体勢にしながら陰部を舐めていた。ウサウサと陰毛が生え茂る股間に顔を埋め、赤貝のようなワレメを舌先でチロチロと舐めながら、眉を顰めて悶える彼女の顔を見下ろしていた。
 妄想の中の彼女は、「もっともっと」と言いながら、更に股間を克彦の顔に押し付けて来た。そのヌルヌルに濡れた妄想のオマンコに舌を這わせながら、「もうすぐ本物のオマンコをペロペロしてやるからね」と呟き、そこにこびり付くシミを狂ったように舐めまくったのだった。

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(つづく)

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