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牛乳は2



 その女は全体的に柔らかそうな女だった。決してぽっちゃりではなかったが、胸が大きかった分、柔らかいぽっちゃり体型に見えた。
 大きな目に大きな黒目。黒目がやたらと大き過ぎるせいか、どこか鹿の目を連想させ、その常に潤んだ気の弱そうな目は、どこを見ているのか何を考えているのかわからないといった不気味さと可愛さが入り交じっていた。
 真っ白な巨乳の女。
 きっとその乳首は目を見張るようなピンク色をしているのだろうと思いながら白い家具を運んでいると、部屋の中をウロウロしていた女が「私の携帯知りませんか?」と、スタッフ達に聞いて回っていた。バイトの山下が「さぁ……」と首を傾げると、女はまたウロウロと携帯を探し始め、そしてやっとキッチンに積まれていた段ボールの上に置いてあった携帯を見つけると、女は「あった!」と大きな声で叫び、嬉しそうに飛び跳ねていた。
 その後もこの女は、わずか一時間の間に二回も携帯を紛失した。その度に部屋中をウロウロしては、荷物を運ぶスタッフ達に「私の携帯知りませんか?」と引っ越しの邪魔をしていた。
 いわゆる、この女はバカなのだ。
 ドジでマヌケで、常にどこかが弛んでいる女なのだ。実際、引っ越しの契約書の職業欄にキャバクラと書くほどの世間知らずであり、又、引っ越し中にミニスカートでウロウロしては、何度もパンチラをスタッフ達に目撃されるほどにだらしない女なのだ。

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 頭も股も弛んだ巨乳のキャバクラ嬢。
 そう思いながら、あの女ならブログに自撮りエロ画像を載せかねないと克彦は思った。そしてあの女の手首に付いていたパワースートンのブレスレットを思い出し、この画像の女のパワースートンのブレスレットと見比べながら、これは池尻大橋の女に間違いないと、改めて確信したのだった。

 蛍光灯がひとつ切れかかっている薄暗い部屋は、怖いくらいに静まり返っていた。住宅街のこの辺りは、夜の九時ともなれば死街のように静まり返り、時折、遠くの方から犬の遠吠えか救急車のサイレンが微かに聞こえて来るくらいだった。溜め息混じりに煙を吐きながら、中学時代から愛用している『LARK』のアルミ缶灰皿を見ると、そこには大量の吸い殻が溢れていた。
 くわえ煙草で灰皿の蓋を開けた。吸い殻がパンパンに詰まっている灰皿をコンビニの袋の中にソッとひっくり返した。バサバサバサという音と共に灰が舞い、慌てて袋の口を閉めようとすると、その灰の奥に白い袋がポツンとあるのが見え、しまった! と思った。その白い袋の中には、夜食で食べようと思って買って来た井村屋のあんまんが入っていたのだ。
 慌てて吸い殻の中からあんまんの袋を取り出した。しかし、あんまんの白い生地には既に煙草の吸い殻の匂いが染み付き、顔を近づけただけで吐き気がした。さすがに、中の『あんこ』は大丈夫だろうと、丸いあんまんの両端を持ったまま恐る恐る裂いてみた。白い皮がピリピリと破れ、真っ白な生地の真ん中に7センチほどの裂け目ができた。
 裂け目から生温かい湯気が「ほわっ」と上がり、何ともいえない甘い香りが鼻孔をくすぐっては、舌の両サイドに唾液をジワッと溢れさせた。そんな裂け目の奥には真っ黒な『あんこ』がウニウニしていた。びっしりと詰まった粒あんがテラテラと輝き、それがまるで欲情した中年女の膣の内部のように見えた克彦は、そんな裂け目に興奮を覚えてしまった。

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 以前にも同じような事があった。
 それは、会社の事務所で同僚達と昼食を取っている時の事だった。
 皆が弁当を食べ終わろうとしていた頃、それを見計らってかいきなり社長の奥さんが現れ、「デザートにどうぞ」と言いながら、従業員達に柿をひとつずつくれた事があった。しかし、その柿はかなり熟しており、果物ナイフで切れ目を入れただけで中から熟した汁がジワッと溢れた。皆は「こんなの食べれねぇよ」とぼやいていた。
 そんな裂け目を違う目で見ていた克彦は、不意に欲情を覚えた。克彦は、他の従業員に見つからぬようその柿をこっそりトイレに持ち込むと、熟した汁が溢れる切れ目をチロチロと舐めながら奥さんの醜いオマンコを想像した。そしてペニスが勃起して来ると、「奥さん……もう我慢できません……入れますよ……」と唸りながらそこに亀頭を刺した。そのまま柿を上下に動かし、社長の奥さんと性交するシーンを思い浮かべながら、そのまま大量の精液を柿の中に注入したのだった。

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 このように、克彦という男は、性欲が溜まっていると何でも性的なモノに捉えてしまう癖があった。三日射精していないと、ハンバーガーからはみ出ているレタスが小陰唇のビラビラに見え、五日射精していないと母親がラーメンを啜っているだけでバキュームフェラを想像し、そして一週間も溜まっていると、鼻をかんだティッシュを見ただけで誘発され、射精したくて気が狂いそうになるのだった。
 だからこの時も、そのあんまんの裂け目を見て欲情してしまったのだった。真っ白なあんまんの生地とあの女の真っ白な肌が頭の中で重なり、あんまんの裂け目から見える赤黒いあんこが女の陰部を連想させた。不意に、体育座りをしながら両手で陰部を開いている女の姿が頭に浮かんだ。女は白痴のように目を輝かせながら「私の携帯知りませんか?」と微笑み、克彦に向かって膣の粘膜を剥き出して来た。

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 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……と深い息を吐いた克彦は、そのまま急いでズボンのボタンを外すと、中から木刀のように硬くなったペニスを引きずり出した。
 あの女とヤリてぇ、あの女とヤリてぇ、あの女とヤリてぇ、と、長渕剛風に唸りながらペニスをシゴき、もう片方の手でぱっくりと割れたあんまんを手にした。
 裂け目の赤黒い内部はテラテラと輝いていた。それを見つめながら、もう濡れてるじゃねぇか、と呟き、早くもイキそうになったペニスの動きを慌てて止めた。
 びくん、びくん、と脈打つペニスを放置したまま、「入れて欲しいのか? 中でビュッと出して欲しいのか?」と、そう言葉に出して高揚感高めた。その結果、ペニスに触れていなくとも絶頂感が涌き上がり、もはやペニスは一触即発の状態で尿道をヒクヒクさせていた。

(もう無理だぞ!)

 そう自分に言い聞かせた克彦は慌ててペニスを握り、あんまんの裂け目にめがけて亀頭を一気に突き刺すと、凄まじい熱さが亀頭全体に走った。
「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」という叫び声をあげて椅子から飛び跳ねた。あまりの熱さに驚いた克彦の顔は、まさにムンクの叫びを二倍速したような形相であり、その叫び声はまるで肛門に火鉢を突っ込んだかのような壮絶な叫び声だった。
 しかも運の悪い事に、椅子から立ち上がると同時にヘッドホンのコードがスポッと抜け、先ほどからPCの中で垂れ流しにしていた『無修正・M女OLの異物オナニー』というFC2のアダルト動画の音声が静まり返った部屋に響き渡った。
 焦りに焦った克彦だったが、しかしペニスはその刺激によって真っ白な精液をびゅっと噴き出した。一瞬克彦は、PCの音声を消音にするのが先か、それとも取りあえずこの快楽を終わらせてしまうべきかと悩んだ。すると隣の姉の部屋から「ドン!」と壁を叩く音が響き、階下から聞こえて来る老いた母の「ナンミョウホウレンゲーキョー」の声が急に激しくなった。

(俺は不幸だ!)

 咄嗟にそう思った克彦は、PCの画面をおもいきり蹴飛ばしてやりたい衝動に駆られながらも、急いでPCの音声を消音にした。ぴゅっぴゅっと飛び出す精液はマウスパッドを汚し、そしてPCの画面にも飛び散った。
 ふと見ると、画面に映っていた池尻大橋の女の画像に精液が迸っていた。それを見ながら克彦は「白痴女め」と吐き捨てた。そしてティッシュの箱から気怠そうに数枚のティッシュを引き抜きながら、「おまえのマンコにもぶっかけてやるから覚悟してろよ」と呟き、画面の精液をティッシュでせっせと拭き始めたのだった。

淫石7

(つづく)

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