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汚れし者7



 部屋の窓から覗けば青一色の幻想的な風景も、実際に外に出てみれば、真っ白な霧に包まれただけの極ありふれた朝の風景でした。
 外見と中身が違うのはよくある事です。橋の上から見ればエメラルドグリーンだった海も、実際に潜ってみればヘドロにまみれた汚染水だったり、麓から見れば絶景の富士山も、実際に登ってみたらゴミとウンコと中国人観光客だらけだったなど、傍から見るのと中から見るのとでは全く違うというのはよくある話です。
 そういう私も同じでした。
 見た目は普通の主婦です。顔もスタイルもルックスも、どこにでもいる三十路の女です。ママ友と遊びに行く事もなく、ネットショップにハマる事もなく、いつも家事と子育てに追われ、常に夫の健康を気遣う貞淑な妻です。
 しかし、中身は違います。実際、私の中に入れてみればわかると思いますが、私は変態なのです。肉棒をピストンされている時の私は母でもなければ妻でもなく、一匹の獣なのです。ひたすら欲望を追い求め、その欲望を得る為なら立場もプライドも平気で捨て、誰にでもヤらせてしまう愚かな牝なのです。

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 早朝五時。私は、ぐっすりと寝入っている夫と子供達を残し、マンションを抜け出しました。
 こんな時間に外を歩くのはOL以来でした。あの頃、明け方の渋谷の町を一人で歩いた事が何度かありましたが、しかしそれは道玄坂のラブホテルの帰り道でしたので、そこに朝の清々しさは欠片もなく、ただただ二日酔いの不快感と股間の異物感しか感じられませんでした。
 早朝に対しては、子供の頃からあまりいい思い出がありません。夏休みのラジオ体操、遠足、マラソン大会、部活の朝練など、低血圧な私には最悪な行事ばかりであり、あの時の早朝の気怠さと胃のむかつきを思い出すだけで鬱に入ってしまうほどでした。

 そんな忌々しい早朝の香りに嫌悪感を覚えながら公園へと向かっていますと、不意に背後から何やらガラスがぶつかり合うような音がカランカランと近付いて来ました。小さく振り返ると、自転車に乗った牛乳配達のおばさんがこちらに向かってきました。おばさんは私と目が合うなり「おはようございまーす」とソプラノに近い高音で挨拶をしてきましたが、しかし私は、見知らぬ人に対しても挨拶をするという昨今の風潮がどうも苦手だったので、おばさんの声は聞こえなかったふりをして公園に逃げ込んだのでした。

 早朝の公園には、見事に誰もいませんでした。今まで毎朝ここでゲートボールをしていた老人達は、昨年完成した『すずらんふれあい広場』のゲートボール場に移動してしまいました。又、いつもここをジョギングしていた人々も、『すずらんふれあい広場』の陸上競技場が早朝解放されている事から皆さんあちらに移動したらしく、今ではこの公園で朝のジョギングしている人は、すっかり見掛けなくなりました。

 そんな誰もいない公園には朝靄が立ち籠め、夜露に湿った芝生が濃厚な緑の匂いを発していました。白みかかった東の空を数羽のカラスが飛んで行き、静まり返った朝の公園に不気味な鳴き声を響かせていました。
 私は何かに吸い寄せられるようにして、白く煙る朝靄の中に入って行きました。ゲートボールの老人がいなくなっても、ジョギングの人々がいなくなっても、必ずあいつはこの公園のどこかに潜んでいるはずだとそう信じながら、湿った芝生の上をひたすら徘徊したのでした。

 芝生の広場を二周した頃、アスレチック広場の横にある公衆便所付近からピシャピシャと水が跳ねる音が微かに聞こえた気がしたため、おもわず私は足を止めました。
 そのまま息を殺して公衆便所の方へと向かいました。舗装されたサイクリングロードを横切り、『←お手洗い』と表示されたゴミ箱の横に立っている巨大な公園見取り図にソッと寄り添った私は、恐る恐る見取り図の裏を覗いてみました。
 するとそこには一人の男がいました。水飲み場の水道に屈みながらバシャバシャと顔を洗っています。
 そのヨレヨレの青っぽいTシャツとグレーのジャージのズボンに見覚えがありました。そう、それはまさしく、昨日ベンチの下に潜っていたあの男と同じなのです。
 あの男に間違いありませんでした。濡れた顔を上げ、唇をしゅぶるるるるるっとさせながら水しぶきを飛ばしているあの顔は、私に精液をぶっかけ、私のスカートの中を覗いていたあの男に間違いないのです。
 やはりあの男は、栗原さんのメールに書いてあった通り早朝に活動していたのです。きっと深夜に動き始め、早朝まで闇に紛れて違法活動をしているのでしょう、その風体はまさに夜行性の獣のようでした。
 私はドキドキしながら男を観察していました。公園見取り図の看板に身を潜めながら恐怖と興奮に襲われていました。
 確かに私はこれを期待していました。こうして男と出会う事を期待しながら、眠る夫と子供を残して早朝の公園に来たわけですが、しかし、心の底ではまさか本当に男と出会うとは思っていなかった私は、この期に及んで足が竦んでしまったのでした。
 顔を洗い終えた男はサンダルを脱ぎ、真っ黒になった靴下を抜き取りました。そして出しっ放しの水道に右足の裏を当て、両手の指で足指の隙間をジャバジャバと洗い始めました。
 足を洗うと続いてTシャツを脱ぎました。持っていた黄ばんだタオルを水に浸し、それで体をゴシゴシと拭き始めました。
 朝靄に包まれながらのそれは、実に滑稽な風景でしたが、しかし彼の早朝の体洗いは理にかなっていました。昼の公園には人が大勢いますから昼間にこんなことはできませんし、これが夜だと、確かに人はいませんが体を洗うには暗すぎます。この公園の外灯は、東日本大震災後から夜の八時に消されるようになり、夜ともなると漆黒の闇に包まれてしまうのです。

 だから男は早朝に体を洗うのです。

 そう納得しながら、私は男の裸体に熱い視線を向けていました。
 そんな私の陰部は既に濡れていました。辺りを見回し、あの男以外に誰もいない事を確認すると、私は見取り図の看板に凭れたままスカートの中に手を忍ばせました。そしてパンティーの端を指で摘むと、左足をフラミンゴのように曲げ、素早くパンティーを抜き取ったのでした。
 スカートの中に朝の冷気が吹き込んできました。寒くはありませんでしたが、その冷気は剥き出しになった陰部を冷たく撫で回し、その無防備さが恐怖に変わりました。
 ノーパンで野外にいると言うだけで、凄まじい興奮が襲ってきました。陰部には触れていないというのに、ただそこにいるだけでハァハァといやらしい息が漏れてきました。
 我慢できなくなった私は、見取り図看板に体を押し付けながらスカートの前をたくし上げました。
 白く煙った朝靄の中で曝け出された陰毛は、あまりにも卑猥すぎました。真っ白な下腹部に伸ばした指を這わせ、そのまま黒々とした陰毛の中へとゆっくり下ろして行くと、ジャリジャリとした感触の後、トロっと生温い感触が指を包み込みました。
 ヌルヌルと滑る肉を掻き分け陰部を開きました。もちろん外でこんな事をするのは初めてであり、私は異様な興奮に包まれていました。

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 肉に挟まれたクリトリスを探し当て、皮をヌルヌルと捲って行くとコリッと硬い豆粒が顔を出しました。剥き出されたクリトリスを指腹で転がすと私の両膝がガクンっと折れ、おもわず「あぁぁん」と声が漏れました。
 その声が男に聞かれたのではないかと焦った私は、そのまま身動きせず息を潜めました。そして数秒後、恐る恐る見取り図の看板からソッと裏を覗くと、男は薄汚れたジャージを足首までズルッと降ろしたのでした。

 男は背中を向けていたため肝心なペニスは見る事が出来ませんでした。ジャージを足首から抜き取り、それを水飲み場のコンクリート台の上にポンっと置きました。脱いだジャージには、同時に脱いだ白いブリーフもくっ付いており、ブリーフの裏側がお空に向かって広げられていました。
 ブリーフのその部分は、見るも無惨に汚れていました。白い綿の生地は、その部分だけに『すり下ろし林檎』の汁を垂らして乾かしたかのように黄ばみ、その中心には、明らかにウンチと思われる焦げ茶色した汚れが、まるで小筆でスッと線を引いたようにして擦りついていました。
 男はそのブリーフをジャージのズボンから抜き取ると、その汚れた部分を鼻先でクンッと一度嗅ぎました。恐らく相当臭かったのでしょう、男は「けっ」とスタッカートに吐き捨てると、地面に転がっていた『キレイキレイ・薬用液体ハンドソープ』を手にし、その部分に液体をクチュクチュと二度プッシュしたのでした。

 それは、公園の各公衆便所の手洗い場に備え付けられていたハンドソープでした。今から三年程前、この地域でノロウィルスが大流行した時、自治会が公園の各公衆便所に寄付した物でしたが、結局誰も使わない為、未だに放置されている物でした。
 あの誰も使わないハンドソープはこんな使われ方をされていたのかとちょっと驚きました。
 あれを寄付した時、自治会はわざわざ地域住民を公園に集め(暇な主婦と老人だけですが)、ラジオ体操広場の指揮台の上に『自分たちの手で危険なウィルスから子供達を守ろう!』などと大袈裟に書かれた弾幕を掲げては、決起集会じみた事をやらかしました。
 丁度その頃、東北地方では市民団体による原発反対運動が盛んに行われていましたから、恐らく自治会の橋本さん達はそれに影響され、それで突然そのような馬鹿げた事をしたのだろうと思われますが、しかしそんな大袈裟な決起集会のわりにはそのテーマがあまりにも所帯染みていたせいか今いち盛り上がりに欠け、結局、LIONの広報の方が『ハンドソープの正しい使い方』を説明しただけで終わるというお粗末な集会になってしまったのでした。

 そんなハンドソープを、男はブリーフの裏全体に指で伸ばし、そこにベチャベチャと水っぽい泡を立てていました。
 そうしながらふと男が体勢を変えると、突然、巨大なドス黒い物体が私の目に飛び込んできました。
 それはまるでスリランカ辺りに生息する巨大コウモリが股間にぶら下がっているかのような、そんな黒くて大きくて不気味な物体なのでした。

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 ブリーフを必死で擦っている振動が下半身へと伝わり、黒い肉の塊は重くブラブラと揺れていました。
 それはナマコのようにぐったりと項垂れ、焼死体のように焦げた黒い皮の先からは紫色の亀頭が顔を出していました。その皮は亀頭を八分ほど覆っていたため、その全貌は明らかではありませんでしたが、しかし、その状態でも既に夫の勃起したペニスの二倍はあり、もしあれが勃起したらと想像すると、私は更に激しい恐怖と興奮に襲われたのでした。

 男はブリーフの泡を水で流し終えると、パン! パン! と破裂音を鳴らしながらそれを広げました。ビニールが剥がれた針金だけのハンガーにブリーフを引っかけ、それを『WC』と書かれた看板にぶら下げました。
 ブリーフを干し終えると、男は全裸のまま再び水飲み場へと戻り、水道を捻りました。先ほどのように豪快に水を噴き出さず、ハンドルを微調整しながらチョロチョロチョロと水を出しました。
 そんな水道の前で男はペニスを摘みました。そして、立ち小便をするような体勢で項垂れると、自分の股間を覗き込みながらペニスの皮をベロリと捲りました。
 ブヨブヨとした黒い肉魂の先に、真っ赤な亀頭がテラテラと輝いているのが見えました。皮を剥かれた亀頭は生傷のように痛々しく、そして強烈に臭そうでした。

 過去に吉村さんという包茎の男と寝た事があった私は、それを見た瞬間、あの時の何ともいえない饐えた臭いが脳裏に蘇りました。そして、そんな異臭と共に、吉村さんがそれを舐められながら異様な悶え方をしていた事をふと思い出しました。
 その吉村さんと言うのは、OL時代に一度だけ体を許した人でした。私が勤めていた食品会社に出入りしていた乾物屋の業者さんで、私よりも十歳も年上の妻帯者でした。
 あの時吉村さんは、「包茎は亀頭が敏感だから、いきなり激しく舐められるとくすぐったくなっちゃうんだよね」と恥ずかしそうに笑いながら、上下に動く私の頭部を必死に押さえつけていました。しかし、それでも私が強引にそれを続けていると、吉村さんは、ものの数秒で私の口の中に射精しました。そして「だから言ったじゃないか、敏感だから激しいのはダメだって……」と、今にも泣きそうな声でそう言うと、両脚をスリスリさせながら快楽の渦に飲み込まれたのでした。

 私は男のズルムケペニスを見つめながら、きっと男のあの部分も吉村さんみたいに異常敏感なんだろうと想像し、それを口に含みながらレロレロと舌を動かす感触を思い出していました。
 すると、あの包茎独特のイカの珍味のような臭いが口に広がってきました。そして、ミスドの『ココナツチョコレート』を食べた後に残るあの乾燥ココナツのような恥垢の食感が蘇り、それに異常興奮した私は、おもわず陰部に指を入れ、クチャクチャといやらしい音を立てながら陰部を掻き回してしまったのでした。

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(つづく)

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