卑猥な害虫1
2013/05/30 Thu 17:30
ここがいいね、ここにしようか、と、康夫は勝手にそう言いながら、国道沿いにある古びたパチンコ店の駐車場に車を滑り込ませた。
ノロノロと徐行しながら駐車場を二周回り、そこに誰もいない事を確認すると、不自然にもパチンコ店の入口から一番離れた場所にひっそりと車を止めた。
「想像しただけで濡れちゃってるんだろ」
そう鼻で笑いながら車のエンジンを止めた康夫は、ゆっくりと左手を貴子の太ももの上に置くと、まるで子供の頭を撫でるかのように数回手の平をスリスリと鳴らし、そのままスカートの中に潜り込ませた。
「こんな所でヤダ……」
貴子は慌てて康夫の腕を押さえた。しかし康夫は、「本当はこんな所が好きなんだろ」と、笑いながらパンティーのゴムを指で掻き分け、既にヌルヌルに濡れている貴子の膣に指を這わせたのだった。
「ほら見ろ、凄く濡れてるじゃん。やっぱさ、おまえにはそっちの気があるんだよ……」
康夫は、貴子の目を覗き込みながら意味ありげにニヤリと笑った。
貴子は抵抗しないまま「やめて……」と呟き、そのままガクンっと項垂れては、声が漏れないようにと下唇をソッと噛んだ。
康夫の指が、濡れたワレメを滑らかに動き回っていた。
パンティーの中では、クチャ、クチャ、といやらしい音が鳴り、そこから溢れる汁が肛門に垂れていった。
そんな康夫の指が、敏感になっているクリトリスを捕らえた。
その小豆のように膨らんでいる巨大なクリトリスを、指腹でコリコリと転がされると、ギュッと噛んでいた貴子の唇から「んん……」と声が漏れ、無意識に腰が、ヒクッ、ヒクッ、と動いた。
すると康夫は、そんな貴子の反応にニヤニヤと笑いながら「なっ、やっぱりそうじゃん」と得意げに呟くと、そのまま貴子のうなじに顔を埋め、耳元にソッと唇を這わせた。
「おまえはさ……自分で気付いていないだけで、本当はこういうのが好きなんだよ……こんな所でこうやって嬲られて感じる変態なんだよ……MだよM……イジメられて興奮するマゾってやつさ……」
そう囁く康夫は、ヌルヌルと滑る小陰唇を指で掻き分け、いやらしい汁が溢れる穴の中に人差し指を入れて来た。
「んんん……」と唸りながら貴子が顔を上げると、すぐ目の前で、目玉をギラギラと輝かせた康夫が笑っていた。
康夫は、脅える貴子の目をジッと見つめながら指をピストンさせた。そして、「誰かに見られてるかも知れないぜ……」と、いやらしく囁きながら、二本、三本、と指を徐々に増やしていき、大きく開かされた貴子の股間に、ぐちゅ、ぐちゅ、と卑猥な音を鳴らした。
「あぁぁん……もうヤメて……」
貴子は康夫の腕を掴むと、慌てて股を閉じた。
康夫は左手を股に挟まれながらも、右手でパンティーを摘んだ。
そして素早く股の間から左手を抜くと、そのままパンティーを足首までスルリと下ろした。
貴子は更に大きく股を広げさせられた。
三本の指に無惨に抉られる陰部を、昼間の駐車場が映るフロントガラスに向けて曝け出されると、それだけで貴子は尿が漏れそうなほどの快楽に襲われた。
「こうされて、本当は感じてるんだろ……隠したってダメだぜ、結婚して五年間、散々お前とオマンコして来た俺だ、おまえが隠れマゾだって事くらい全てお見通しさ……」
得意げにそうニヤけると、康夫はもう片方の手で自分のズボンのボタンを外し、中から勃起した肉棒を引きずり出した。
そして貴子の後頭部に手をあてると、「ほら……しゃぶれよマゾ女……」と呟きながら、自分の股間に向けて貴子の頭部を押した。
一瞬抵抗した貴子だったが、しかし康夫のその力は強かった。
太ももに倒れ込むと、青筋を立てたペニスが目の前に突き立っていた。
モサモサと生える陰毛は汗臭く、汗ばんだ睾丸からは饐えた匂いが漂ってきた。
「おまえ、こんな所でしゃぶりたかったんだろ……全部知ってんだからな……」
康夫はそう笑いながら、前屈みになっている貴子のスカートを捲り上げ、ツルンっと飛び出した丸い尻をスリスリと撫で始めた。
そしてその尻肉をペシペシと叩きながら、「本当は誰かに見られたいんだろ」と囁くと、それを合図に貴子はペニスを握り、亀頭の鈴口に舌を這わせながら、口の中に含んでいったのだった。
子猫がミルクを飲むような、そんな、ぺちゃ、ぺちゃ、とした舌音がハンドルの下で響いていた。
因みに、そんな康夫のペニスは妙に細長く、最大勃起時でも十センチに満たないという、見るに無惨な粗チンだった。
しかも、勃起しただけでは剥けない程の頑固な仮性包茎であり、わざわざ指で皮を捲らなければならないという不便利なものだった。
この粗チンを見る度、貴子は朱色の色鉛筆を思い出した。
結婚当初から、この貧弱なペニスに不満を抱いていた貴子だったが、しかし結婚して五年も経ってしまうと、いつしかそんな粗チンにも慣れてしまい、もはや元彼の逞しいペニスの感触などすっかり忘れてしまっていたのだった。
そんな貴子と康夫が結婚したのは、今から五年前の、二人が二十五歳の時だった。
一応、恋愛結婚だった。
康夫は印刷会社で営業をしており、貴子も同じ印刷会社で事務の仕事をしていた。
最初は、顔を合わせば挨拶する程度の仲だったが、しかし、その年の忘年会で、隣同士に座った事がきっかけとなり、その二ヶ月後にはスピード結婚という運びとなった。
このスピード結婚は、決して熱愛が生じた結果というわけではなく、ただ単に二人が結婚に焦っていたからに過ぎなかった。
だから二人は、結婚後すぐに子作りに励んだ。
三十才になる前に二人の子供を儲けたいと計画していた二人だったが、しかし計画は順調に進まず、結局一人も子供を授からないまま、二人は三十を迎えてしまったのだった。
康夫はつまらない男だった。
家柄、学歴、職業、容姿、性格、と全てが平均で、平凡、一般、普通という言葉がよく似合う、毒にも薬にもならない男だった。
一方の貴子も、つまらない女だった。
可愛くもなく、ブスでもなく、デブでもなければ痩せてもいない、これまた毒にも薬にもならない容姿の女だった。
そんな極々平凡な夫婦だったから、やはりその生活も絵に描いたように平凡だった。
結婚二年目にして、立川市の多摩川沿いにある築六年の中古一戸建て住宅を購入し、毎日、薮蚊と害鳥に悩ませられながらひっそりと暮らしていた。
贅沢でもなければ質素でもなく、節約もしなければ無駄遣いもしない、実につまらない毎日だった。
二人の共通の楽しみと言えば、毎晩近所のTSUTAYAから借りて来る海外ドラマのDVDを観る事くらいだった。
個人の楽しみと言えば、もっぱら康夫はPCでアダルトサイトを閲覧し、貴子は図書館から借りて来た古いフランス文学を読み漁る事だった。
そんな二人だったため、当然、週に二回と決めていたセックスも、実につまらないものだった。
全裸になって、抱き合って、入れて、擦って、出す。そんな味気ないセックスには刺激など欠片もなく、当然、快楽などというハイカラなものも、決して求める事はできなかった。
そんなつまらないセックスだったが、それでも二人はこれを定期的に繰り返していた。
まるでそれ専用の機械のように、スコスコ、スコスコ、と腰ばかりを動かし、決まって八分後には康夫だけが一方的に果てた。
それが終われば、互いにベッドの隅で項垂れ、濡れた陰部をカサカサと拭き取り、そしてそのまま何もなかったかのように普通に戻るのだった。
子作りの為だけに腰を振る男と、人形のように股を開いている女。
それはまさに家畜の種付けのようだった。
それでも二人は、この作業のようなセックスを、黙って五年間も続けてきた。
しかし、それが突然、今になって方向性が変わって来た。
それは、今まで機械のように腰を振っていただけの康夫が刺激を求めてきたからだった。
しかもその刺激は、いきなりアブノーマルだった。愛する妻の裸体を他人に見せたり、他人のペニスを妻に舐めさせたり、そして場合によっては妻と他人と交わらせてみたいという、実に変態的な願望なのであった。
どうしてそのような不浄な願望が突然涌き上がったかというと、それは今から一週間前、会社から帰宅した康夫がPCを立ち上げた事が切っ掛けだった。
その晩、風呂上がりの康夫は、いつものようにトランクス一枚でPCの前に座ると、ビールを飲みながらエロサイトを開いた。
さっそく、昨夜観ていた素人投稿動画サイトの『激カワJCと朝までハメまくり』の続きを観ようと思い、昨夜の履歴からサイトを探そうとした。
すると履歴には、康夫が観た覚えのないサイトがズラリと並んでいた。
『新・SM小説書庫』(SMサイト)
『M女専用掲示板』(画像掲示板)
『愛する妻を露出させる変態夫の日記』(寝取られブログ)
『マゾ妻とサド夫』(SMブログ)
『変態M女の野外乱交』(投稿動画)
『虐めて縛って犯して下さい』(SMサイト)
『夫が見ている目の前で』(寝取られサイト)
『妻と十三人の男達』(AVサンプル動画)
『今すぐセックス』(出会い系サイト)
『また妻を寝取られてしまいました』(寝取られブログ)
『他人棒で狂わされる人妻』(投稿動画)
そのおどろおどろしい履歴に、おもわず康夫は息を飲んだ。
閲覧した日付は今日だった。
しかし康夫は、今日初めてPCを開いた。
と言う事は、これらのサイトを観ていたのは、専業主婦で一日中家にいる貴子としか考えられなかった。
何を考えてるんだあいつは……と、愕然としながらそのサイトを一つ一つ開いてみた。
何とも凄まじいサイトばかりだった。そのほとんどが、M女が旦那の見ている前で他人に寝取られるといった内容ばかりだった。
貴子がこっそり見ていたとされるそれらの画像や動画には随分と驚かされた康夫だったが、しかし、そんなサイトの中には、出会い系サイトや変態男と交流する画像掲示板などが含まれていたため激しい焦燥感に駆られた。
(まさかあいつは浮気するつもりなのか……しかもこんなド変態男達と……)
そう思うと居ても立ってもいられなくなり、おもわず康夫は、貴子が入っている風呂場に向かって走り出してしまったのだった。
(つづく)
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