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堕落のアッコちゃん(8)

2013/05/30 Thu 17:30

●8アッコちゃんタイトル



 割れたガラスの破片をガリガリと踏みながら便所に入った。便所の奥の個室に、中年男が蠢く気配を感じた。このまま逃げようと思えば、こっそり抜け出す事はできた。しかし明子の足は、出口ではなく個室へと向かっていた。

 決してお金が欲しいわけではなかった。一万五千円など、お母さんに参考書を買うからと言えばすぐに手に入る金額だった。なのに明子を個室に向かわせたのは、黒い魔物が脳の中で再び渦を巻き始めたからだった。

 明子は、人形のように無表情のまま、三つ並んだ個室の通路を進んだ。汲取式便器の個室には独特な消毒液の匂いが漂っていた。これはウジ殺しの為の白い消毒液の匂いに間違いなかった。小学生の頃、お父さんが軽井沢のキャンプ場に連れて行ってくれた事があったのだが、その時明子は、そこでこの白い消毒液を汲取式便器の穴の中に入れているのを見た事があったのだった。
 その匂いを嗅いだ瞬間、ふと、アメリカにいるお父さんの顔が浮かび、一瞬足が止まりかけた。しかし、明子の足は止まる事はなかった。明子の脳で渦巻く魔物は、もはや大好きなお父さんの思い出でも止める事はできなかったのだった。

 奥の個室に近付くと、カサカサカサカサっと衣類が擦れる音が聞こえて来た。
 聞き覚えのある音だった。このリズムは忘れようにも忘れられない音だった。そう、あの日、深夜の脱衣場で昌史伯父さんが鳴らしていたリズムと同じなのだ。

 手前の個室で足を止めた。真ん中の個室の壁には『ビックリマンチョコ』のシールが何百枚も貼り巡らされ、白い便器はスプレーで赤く塗られていた。木製ドアの内側には、何故か『私は泣いています』という鉛筆で書かれた文字が、まるでお経のようにびっしりと書き並べられ、独特な薄気味悪さを漂わせていた。

 そんなドアにソッと手を当てながら、隣の個室を覗いてみた。
 カサカサカサカサと鳴り続く音とウジ殺しの消毒液の匂い。そんな中で中年男は、明子のパンティーをペニスに被せてオナニーをしていた。

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「ああああ……ほら、御覧なさい……あなたのオマンコにぴったりと張り付いていた布が私のチンポを包み込んでますよ……あああ……あなたのオマンコから滲み出た分泌物が、私の尿道を伝って私の体内に浸透して行く……もう、私とあなたは他人ではないのです……」

 中年男はそう唸りながら、ワンピースから伸びる明子の脚を舐め回すように見回した。
 そんな中年男のいやらしい視線に、おもわず明子は欲情した。ワンピースを捲り上げ、指で開いた陰部を中年男に見せつけながら、ヌルヌルに濡れたクリトリスをコロコロと転がしてやりたい衝動に駆られたのだ。

 しかし、それをやれば、本当にここで犯されてしまうと思った。犯されたいと言う願望は強かったが、しかしこの男に犯された場合、その後に殺される可能性が高かった。明子はそれを肌で感じていた。この中年男は完全に狂っているのだ。

 すると中年男は、まるでそんな明子の心を見透かしているかのように、いきなり「セックスはしませんよ……」とニヤリと笑った。

「私が、あなたの体にちょっとでも触れればアウトなんです。私にはやっかいな前科がありますから、あなたとセックスしてしまうと一生出られなくなってしまうのです。だから、いくらあなたがせがんでも、それだけは無理なのです」

 中年男は明子の目をジロッと睨んだ。そしてハァハァと犬のような息を吐きながら、ニヤニヤと笑い出した。

「ふふふふふ……そうでしょう、そうでしょう。あなた、エッチな事をして欲くなったんでしょ? この肉棒でオマンコの中をグリグリと掻き回して欲しくて堪らなくなってるんでしょ?……ふふふふふ……静香ちゃんもそうでした。『入れて、入れて』と泣いてましたよ静香ちゃんも……ちょうど今、あなたが立っているその場所でね……」

 そう言いながら中年男は、パンティーを被せたペニスを更に激しくシゴきだした。

 突然、明子の脳裏に、『四組の上原静香ちゃん』という言葉が浮かんだ。(そうだったのか……)と絶句すると、その言葉が脳の黒い渦に巻き込まれて行った。
 膝がガクガクと震えてきた。奥歯がガチガチと鳴り出した。
 二年生の時、いつも持っていた手提げ鞄のイラストがいきなり蘇った。
 二年生の時、この公衆便所に行こうとしたら「アッコちゃんダメ!」と怒ったお母さんの顔が蘇った。
 そして、やはり二年生の時の、あの寒い体育館のステージの上で「四組の上原静香ちゃんが悲しい事になってしまいました」と泣いていた校長先生の痩せこけた顔が蘇った。
 あの時、体育館に響いた「黙祷!」という叫び声と、そしてその後に体育館を包み込んだ静寂が、不気味にひしひしと蘇り、明子は再び(そうだったのか……)と呟きながら、汗の滲んだ拳を握った。

「あぁぁぁぁ……イキそうです……出そうです……おっぱいを見せて下さい……見るだけなら仮釈は取り消されませんから……」

 そう唸る中年男はカサカサカサとシゴいていたリズムを、ザッザッザッザッと力強く速めた。
 膝をガクガクと震わせる明子は、恐怖の渦に巻かれながらもワンピースの肩紐を片方ずつ下ろした。奥歯をガチガチと鳴らしながらも、まるで催眠術にかけられたように、ブラジャーのフォックを外した。

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「あああああ……綺麗だ……」

 中年男は明子の剥き出された胸を見ながらそう言うと、足下にポッカリと開いている便器の穴の中に視線を落とした。そして、まるで誰かに話しかけるかのように、「静香ちゃんの肌のように白いですよ……」と、小声で呟いた。

 そんな中年男は、ザッザッとペニスをシゴきながら「ああああ、ああああ」と唸った。立ったまま壁に凭れ、腰をカクンカクンと動かし、首をイヤイヤと左右に振った。壁に凭れたまま背筋をピーンっと伸ばした。そして明子を横目で見ながら、「中で出しますよ」と囁き、そのまま明子のパンティーの中にドクドクと射精したのだった。

 中年男は、ハァハァと肩を揺らしながら股間からパンティーを剥ぐと、そのまま床にボトっと落とした。床で開いたパンティーの中には大量の精液が溜まり、それが換気扇から注ぎ込む光りに照らされテラテラと輝いていた。

 ペニスをぶらぶらさせたまま、中年男は脱ぎ捨てていたズボンのポケットの中から財布を取り出した。そこから二千円取り出し、それを明子に突き付けながら「残りは明日支払いますから、御勘弁下さい」と深々と頭を下げた。
 お金などどうでも良かった。しかし、ここで彼の機嫌を損ねさせては危険だと思い、明子は黙ってそれを受け取った。

 中年男は無言で公衆便所を出て行った。さっきのハイテンションはどこに消えたのか、ぐったりと項垂れながらのそのそと出て行った。
 中年男が出て行くと、明子の震えは更に増し、静まり返った便所にガチガチと奥歯の音が鳴り響いた。
 震えながら個室を眺めていた。隣の個室に書き並べられていた『私は泣いています』の落書きが、こっちの個室にも続いていた。
 ここで四組の上原静香ちゃんを……と思うと、この落書きを書いたのは上原静香ちゃんの霊魂なのではないのかという恐怖に取り憑かれ、背筋にゾゾッと寒気が走った。

 精液で汚された明子のショーツが無惨な姿で横たわっていた。私もこんな風に殺されていたかも知れないと思うと、立っていられないくらい膝が震えた。
 そんな個室の隅に、ふとペニスの形をしたオモチャが転がっているのを発見した。誰が何の為にそれをここで使ったのかわからないが、それはボロボロになった古い週刊誌と一緒に捨てられていた。
 明子は迷う事なくそれを手にした。そして無惨に汚されたショーツをソッと摘まみ上げ、中に溜まった精液が垂れないように丁寧に畳むと、その二つを手提げ鞄の中に入れたのだった。



 それを家に持ち帰った。ショーツに付着した精液が乾いてしまわないようショーツをビニール袋の中に入れ、そのままベッドの下に深く押し込んだ。
 机に座りネットを開いた。『田添神社』と『上原静香』を打ち込み検索すると、すぐさまヒットした。
『田添神社女児殺人事件』という文字がズラリと並んでいた。今から十一年前の事件なのに、随分と詳しい内容が書かれていた。
 その中で、犯人の顔写真が掲載されているサイトを発見した。その写真は中学の卒業アルバムから取ったものだったが、しかし、そのギロリと向き出した目玉はあの中年男の目に間違いなかった。

 そのサイトには、『田添神社女児殺人事件』の判決文も掲載されていた。
 中年男の名前は加藤光雅。犯行当時二五才の派遣工員だった。
 判決文には犯行の様子が克明に描かれていた。
 犯行の動機について加藤は、『昼休みに児童公園で休憩していると、突然、上原静香が滑り台の上からわざと下着を見せつけ挑発してきた。その後、まるで私を誘うかのように田添神社の公衆便所へと入って行ったため、私も便所に入り、そして犯行に及んだ』と供述していた。

 当時、上原静香は、明子と同じ小学二年生だった。わずか八歳の女児が成人男性を挑発し公衆便所に誘うなど、誰が聞いても信じられるわけがなかった。

 便所に入った加藤は、そのまま上原静香が入っている個室のドアをよじ登り、用を足していた個室に飛び込んだ。
 上原静香は驚き泣き叫んだ。加藤は誰かに聞かれたらマズいと思い、慌てて「泣かないでくれ」と頼んだが、しかし上原静香は必死に泣き叫び、個室のドアを足で蹴り始めた。
 ドンドンドンと響く音に加藤は焦った。これがバレたら工場を解雇されてしまうと焦った。だから加藤は上原静香の首を絞めた。彼女を静かにさせようと思い、彼女の細い首を両手で絞めたのだった。

 殺すつもりはなかったと供述していた。あくまでも静かにして欲しいという気持ちから首を絞めたのだと、加藤は一貫して殺意を否認している。
 しかしその後、加藤はぐったりとした上原静香を全裸にした。便器の横の床にうつ伏せに寝かせ、尻肉を押し開き、陰部の写メを撮った。そしてそこを舐め、唾液で充分に湿らせると背後からペニスを挿入した。

 その時点では上原静香はまだ生きていたらしい。
 ペニスを挿入された痛みで気を取り戻した上原静香が再び叫び始めたのだ。
「おかあさん! おかあさん!」と叫ぶ上原静香に焦った加藤は、尻に腰を振り続けながらも、上原静香が履いていた下着を彼女の口に押し込み、声が漏れないようにした。
 しかし、それでも上原静香の泣き声は便所に響いた。怖くなった加藤は再び上原静香の首を背後から絞めた。「お願いだから静かにしてくれ」と囁きながら両手で力一杯首を絞めた。
 すると上原静香は全身を痙攣させながらニワトリのような鳴き声を上げた。そのニワトリのような鳴き声と共に上原静香は息絶え、それと同時に加藤は射精したのだった。

 これでも加藤は「決して殺すつもりはなかった」と殺意を否認していた。そう否認しながらも、犯行後加藤は、ぐったりとする上原静香の死体を汲取式便器の穴の中に押し込み、上原静香の死体が詰まったその穴に大便をしていた。

 判決は無期懲役だった。明子は、この凶悪犯がわずか十一年足らずで仮釈放されてしまう現実に恐怖を覚えた。そして、もしかしたら自分も上原静香のように殺されていたかも知れないと思うと、その恐怖は倍増した。

 読後、明子は凄まじい嫌悪感に包まれていた。この嫌な気分は、別の判例サイトで『女子高生コンクリート殺人事件』の判決文を読んだ時以来の気分の悪さだった。

 どっぷりと凹んだ気分でパソコンを落とした。ブゥゥゥゥゥン……と落ちて行くパソコンの音を聞いていると、ニワトリのように叫びながら死んでいったという上原静香を思い出し、怖くなってベッドに潜り込んだ。

 まだ外は明るかったが、もうこのまま寝てしまいたいと思った。ぐっすりと寝て全てを忘れてしまいたいと思ったが、しかし、そうやってベッドの中で息を潜めていても、明子の脳で渦を巻いている黒い魔物は力を弱めず、確実に渦を広げていた。

 暫くすると、携帯のメール着信音が鳴った。ベッドに潜りながら携帯を開くと、メールは一階にいる母からだった。

『美容院に行ってきます。夕食までには帰ってきます。勉強頑張って下さい』

 最近、母とは、いつもこうしてメールでやり取りしていた。言葉を交わす時は食事の時くらいだった。しかもそれは母が一方的に話すだけで、明子はそれに頷いているだけだった。

『いってらっしゃい』

 そうメールを返信すると、その数秒後に玄関のドアが閉まる音が聞こえた。きっと母は玄関で携帯を握りしめながら二階の様子を伺っていたのだろうと思うと明子の心は痛んだが、しかしそんな事では脳の渦は消えてはくれなかった。

 母が家を出て行くと、明子はヌッと布団から顔を出した。誰もいない部屋をキョロキョロと見回し、まるで藪の中から這い出す蛇のようにベッドから滑り抜けた。
 そのまま床にペタリと座り込むと、ノーパンの股間がフローリングに張り付いた。
 明子はベッドの下に手を入れた。硬いゴムの感触が指先に触れ、同時にビニール袋がガサっと音を鳴らした。
 加藤に汚されたショーツと、便器の隅に転がっていたペニスのオモチャをベッドの下から引きずり出した。
 蛍光灯に照らされるペニスのオモチャは怖いくらいにリアルだった。
 オモチャの底には何故か吸盤がついていた。何の為にその吸盤がついているのかわからなかったが、それがある以上きっと何かがあるはずだと思い、取りあえず手鏡に吸盤を張り付けてみた。

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 おもわず背筋がゾッとした。そのあまりのリアルさにたちまち加藤のペニスが頭を過り、昌史伯父さんの射精シーンが蘇った。

 コレを壁や鏡に張り付け、そのまま膣に挿入させるのだと思った。その為にこの吸盤があるのだと気付いた瞬間、それをやりながら悶える自分の姿が頭に浮かび、胸が激しく圧迫された。

 次々に熱いものが胸に込み上げてきた。それをゆっくりと吐き出すとハァハァと荒い息が漏れた。
 床にぺたりと座っていた太ももが震えた。床に張り付いていた膣からはいやらしい汁が溢れ、陰部全体がフローリングにヌルヌルと滑った。

(私なんて殺されてしまえばいいんだ……)

 明子はソレを見つめながらそう自分を責めた。あの残酷で悲惨な判決文を読んだばかりだと言うのに、もう淫らな気分になっている自分が許せなかった。

 しかし黒い渦は、既に明子の理性を木っ端微塵に破壊してしまっていた。どう自分を責めようと、どう自分を罵ろうと、正常な明子は戻って来なかったのだった。

(つづく)

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