堕落のアッコちゃん(3)
2013/05/30 Thu 17:30
(ヌルヌルだったくせに……)
松崎から受けた屈辱が引き金になり、あの夜に見た昌史伯父さんの射精シーンと、初めて知った自慰の快楽を鮮明に蘇らせた。
放課後のグラウンドを足早に通り抜けた。部活の準備をしている運動部の下級生達が明子に振り向いた。女子達は「さようなら」と頭を下げ、男子達は照れくさそうに慌てて目を反らした。
容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群。
性格は明るく真面目で、いつも微笑んでいるその顔はマリア様のように優しかった。
八頭身のスタイルは、細身ながらもそれなりに発達し、細く長い脚と、程よく膨らんだ柔らかそうな乳と尻が目を引いた。真っ白なその肌はバニラアイスのように透き通り、ペロリと舐めれば甘く、そしてすぐにトロっと溶けてしまいそうな感じがした。
そんな明子は、誰もが認める学園のアイドルだった。
しかし今の明子の股間は、まるで男に飢えた変態中年女のように、グロテスクに濡れていたのだった。
家に帰ると、「ただいま」も言わず二階へ駆け上った。
階段の下から、良枝が「塾は?」と聞いて来たが、明子は「頭が痛いから今日は休む」とだけ残し、そのまま自室のドアを閉めた。
ドアの鍵をカチャっと掛けると、一瞬にして静けさに包まれた。
明るい日差しが差し込む窓に青い遮光カーテンを引くと、その静けさはより一層深くなり、部屋の中はまるで深海のように群青色に染まった。
良く晴れた昼間にカーテンを閉めるというのは、何かとってもいけない感じがした。不潔で卑猥でそして病的な空気が部屋に漂い、松崎から受けた屈辱が、明子の胸の中でより濃厚に渦巻いた。
ベッドの脇に立ったまま、乾いた喉にゴクリと唾を飲み込んだ。右手で左の胸をソッと掴み、あの時の松崎はもっと強かったと思いながら更に強く握った。
わざと乱暴に揉みしだいた。制服の胸がカサカサと鳴り、「ふっ」と小さな鼻息が漏れた。
音もなくベッドの上に座った。
膝をすっぽりと包み込んだ黒いニーソックスと、短いスカートの隙間から見える白い太ももにソッと指を置いた。
(ダメ……)と呟きながらもその指をスカートの中に忍び込ませた。ピタリと太ももを閉じたまま、ヘソの下のコットン生地を指腹でスリスリと撫でた。
昌史伯父さんのオナニーを目撃してしまったあの日、初めてのオナニーで三度もアクメを経験した明子は、事後に襲い掛かって来た嫌悪感に徹底的に苛まれ、もう二度とオナニーはしないと心に誓っていた。
事実、あれから二ヶ月間、一度もオナニーをしていなかったし、又、したいとも思わなかった。
しかし、松崎のあの(ヌルヌルだったくせに……)という言葉がスイッチとなり、今再び淫らな黒煙が明子の胸の中でウヨウヨと渦を巻いていた。やはり、好きな男にズバリ言われたあの一言は、初心な明子にとっては相当なダメージであり、人格さえも変えてしまうほどの威力を持っていたのだった。
コットン生地の下にあるゴワゴワとした陰毛を指先に感じながら、明子は静かに股を開いた。
(ダメ……ダメ……)と何度も呟きながら股を大きく開き、ヘソ下で戸惑っていた指をゆっくりと下ろした。
いきなり指先に異様なヌメリを感じた。下着の上からでも、そのヌメリがはっきりとわかった。
ここまで酷い事になっているとは思ってもいなかった明子は、(うそ……)と下唇をギュッと噛みながら、その異様なヌメリを指先で確認した。
明子の指先がおもしろいように滑った。まるでクロッチに蜂蜜をヒタヒタに浸したかのようにヌルヌルしていた。
円を描くようにして膣周辺を滑っていた指が、不意に硬い突起物を捕らえた。それが指腹の下でコロンっと転がった瞬間、肛門から脳にかけて凄まじい寒気がゾゾゾっと走り、おもわず明子は深い溜め息を漏らした。
明子は慌ててその突起物から指を離した。
あの日、初めてのオナニーで三度もアクメに達したのは、この突起物を弄ったからだった。
ここに触れるとたちまち理性を失ってしまう事を知っていた明子は、その突起物が危険なスイッチでもあるかのように、そこだけは慎重に避けるようにした。
クロッチの中心部に押し付けた指を、まるで子供が赤トンボを捕まえる時のようにクルクルと回した。ヌルヌルした汁がネトネトと糸を引き、ピタピタといやらしい音を奏でた。
不意に昌史伯父さんの勃起したペニスが頭に浮かんだ。黒くて太い肉の棒はカミツキ亀のように獰猛で、黒い皮をゴシゴシと上下に擦られながら、真っ赤な亀頭をクワっと開いて威嚇していた。
あんな恐ろしい物が、この穴の中に出たり入ったりするのかと思いながら、突き立てた人差し指でその穴をグイグイと押してみた。
痺れるような心地良さが下半身を包み込んだ。仰け反った明子はそのままベッドにバサッと倒れた。
そこを押せば押すほど、クロッチに遮られている穴が、もっと奥まで指を入れて欲しいとせがんだ。クロッチにおもいきり指を突き刺し、凹んだ上部の恥骨部分に指を引っかけた。そのまま、まるで大きな魚を釣り上げるようにグイグイと恥骨を引っ張ると、蕩けるような痺れがジワーッと全身に広がった。
目を半開きにさせながら仰け反ると、壁に貼ってあった『東大合格』の文字が薄らと見えた。こんな事をしていたら東大には絶対に合格できないと思いながらも、指は止まらなかった。
恥骨に引っかけていた指を今度は押した。奥に溜まっていたいやらしい汁がクロッチにジワっと染み出した。
また恥骨を引っぱった。そしてまた押した。引いて押して引いて押してと何度も繰り返していると、唇がわなわなと震えてきた。
その唇から荒い息が漏れ始めた。静まり返った部屋に、はぁはぁはぁはぁと淫らな呼吸が響くと、それに混じっていやらしい声が漏れ始めた。
(ダメ……下にはお母さんがいる……)
慌てて下唇を噛むと、偶然にも、階段の下から良枝の声が聞こえて来た。
「アッコちゃ〜ん! お母さん、買い物行って来るからね〜!」
ふと明子は、これは神が与えてくれたチャンスだと思った。
明子は必死に「はぁーい!」と声を振り絞ると、玄関ドアがガチャンと閉まる音と同時にパンティーを脱いだ。
もはやグジョグジョになっている性器に直接指を這わせると、中指が穴の中にツルンっと滑り込んだ。
今までとは違う興奮が脳をかき乱した。中指を穴の中でヌルヌルと滑らせながら、もう片方の手の指で、その禁断の突起物に触れた。
そこに触れた瞬間、腰がピクンっと跳ね上がった。
「うっ!」と顔を顰めながら、その米粒ほどの突起物を汁でヌルヌルと滑らせた。
クリクリと弄る度に、強烈なくすぐったさが襲い、まるで電流を流されているかのように腰が飛び跳ねた。しかし、そのくすぐったい感覚が性的快感なのだという事を明子は知っていた。あの時、このくすぐったさの後、三度も立て続けに凄まじい快感に襲われたのだ。
あの快感が欲しかった。もう一度あの強烈な快感で脳を溶かして欲しかった。
(ヌルヌルだったくせに……)
松崎の声を思い出しながら股を大きく開いた。陰毛も膣も肛門も、陰部を全て曝け出してやった。
生温かい汁をトロトロと垂らすワレメを、両手でおもいきり開いていると、不意に、思ってもいない言葉が口から飛び出した。
「見て……ほら……アッコのここ、ヌルヌルよ……」
そう声に出すと同時に、いやらしい声が堰を切ったように溢れ出した。それは赤ちゃんの泣き声のようだった。そんな声を部屋に響かせながら、ベロリと開いた穴の粘膜を指腹でヌルヌルと擦り、そして同時に皮が剥けた突起物を指で転がすと、再び、意志に反した言葉が自然に口から漏れた。
「あぁぁぁぁ……入れて……昌史伯父さん、おちんちん入れて……」
その言葉と同時に、おびただしい量の精液を排出していた昌史伯父さんの姿が頭に浮かんだ。
「入れて、その肉の棒で滅茶苦茶に掻き回して!」
思ってもいない言葉が次々に口から飛び出した。
そんな言葉を客観的に聞きながら、明子は、既に自分の理性は崩壊していると思った。
不意に『東大合格』の張り紙が頭を過った。すると、それを皮切りに、四時五十分を指す安田講堂の時計が浮かび、塩化ストロンチウムの匂いが漂い、黒板に立つ青島先生の、「よって、各点での力学的エネルギー = K H + U H = K + U = K O + U O = mghつまり一定です」という声が聞こえた。
明子は小豆ほどに膨らんで来た突起物を指で摘んだ。
そして、きっとあのSTAP細胞の小保方晴子ユニットリーダーだって、こうして一人でクリトリスを弄りながら悶えた事があるはずだと思った瞬間、脳に強烈な電流が走り、明子は両脚をピーンと伸ばしながら失禁してしまったのだった。
(つづく)
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