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うなぎの穴(5)

2013/05/30 Thu 17:39

うなぎの穴・5



 天井にぶら下がる裸電球がぶらぶらと揺れていた。今までどこに潜んでいたのか、手の平ほどもある大きな蛾が電球の周りを狂喜乱舞し、吊られた裸電球をぶらぶらと揺らしていた。
 乞食女にペニスをしゃぶられている間、僕の中で快楽と恐怖が入り乱れていた。乞食老人が戻って来たらどうしようという恐怖が常につきまとい、一刻も早くここを逃げなければと焦ってはいたが、しかし、このフェラチオの快楽は、そんな恐怖とは裏腹に僕を一歩も動けなくしてしまっていたのだった。

 快楽と恐怖。このどちらを選ぶかで正常か異常かがわかる。上空四千メートルから飛び降りるというスカイダイビングに恐怖を感じる人は正常だが、それに快楽を感じる人は明らかに異常だ。時速三百キロで走るF1マシンのスピードに恐怖を感じる人は正常だが、しかしそのスピードに快楽を感じているレーサーは、どう見ても異常だ。
 僕は今、正常か異常かの分岐点に立たされていた。もしここにあの乞食老人が帰って来たら、僕は間違いなくそのまな板の上の出刃包丁で刺されるだろう。きっと僕は殺されるのだ。殺される可能性は非常に高いのだ。
 だけど僕は動けなかった。この変態メス豚女の生温い口内に脳も蕩けるような快楽を感じていた僕は、例え殺されようとも更なる快楽を求める異常者だった。

 乞食女は僕のペニスをしゃぶりながら自分の性器に指を入れていた。しゃがんだ腰を妖艶にくねくねとくねらせながらペニスを咥えて喘ぐ醜い女は、日活ロマンポルノにはないエロスだった。
 そんな乞食女の口から強引にペニスを引き抜いた。脅えた目で僕をソッと見上げた乞食女は、今まで亀頭をこねくり回していた舌で唇の涎をベロリと舐めた。

「そこに寝ろ」

 僕は座敷の上で敷きっぱなしになっていたボロボロの煎餅布団を指差し言った。乞食女は、四つん這いで座敷に這い上がると、その豚のような裸体を汚れた布団にゴロリと横たえた。乞食女の足下に腰を下ろした僕は、無言で彼女の両足首を掴み、赤ちゃんがオムツを交換するように股を開かせた。
 太ももの谷間の中心でテラテラに輝いていた裂け目が、足が曲がると同時にぐにゃりと歪んだ。キクラゲのような二枚のビラビラの隙間から、うなぎが潜り込んでいた真っ赤な穴が微かに顔を出していた。

 そこを見つめながら僕は、舐めようかどうしようか悩んでいた。うなぎさえも平気で挿入してしまうこの変態女は、いったいどんな病気を持っているのかわからず、舐めるのはあまりにも危険すぎた。
 乞食女は、当然風呂に入っていなかった。小便をしても陰部さえ拭かなかった。もちろん、乞食老人とのセックスは中出しであり、この穴には蓄積された精液のカスがこびりついているに違いなく、しかもその穴の中には、ついさっきまで天然のうなぎが潜んでいたのだ。

 そんな乞食女の陰部には凄まじい匂いが溢れていた。独特な生臭さと脳を刺激する恥垢臭、そして尻の谷間からは、猫のウンチのような匂いがプ〜ンと漂ってきた。
 ふと、数ヶ月前に見た11PMで、大橋巨泉が『キスやクンニリングスでも性病は感染する』とキッパリ言い切っていたのを思い出した。が、しかし僕は、大橋巨泉と松岡きっこの顔を頭に浮かべながらそこに舌を伸ばした。異様な性的衝動を抑えきれない僕は、やっぱり危険を顧みない異常者なのだ。

 キクラゲのようなビラビラを舌で掻き分け、その奥にある真っ赤な粘膜に舌を這わした。乞食女は「はっ」と短く息を吐くと更に股を開いた。そして、もっと舐めてくれと言わんばかりに、両手で裂け目を押し開き、小指の先ほどもある巨大なクリトリスを僕の目の前に突き出した。
 その突起物を舌で転がした。乞食女は日本脳炎のように全身を引き攣らせながらヒィヒィと泣き出し、ベロリと開いた粘膜の中から、少量の小便をぴゅっぴゅっと飛ばした。
 腐った畳に腹這いになりながら、畳にペニスをズリズリと擦り付けた。無我夢中で穴の中に舌を回していると、穴から吐き出されるドロドロとした臭い汁が舌を伝って口内へと流れ込んできた。これを飲んだら死ぬぞ、と自分に言い聞かせながらも、それでも僕はそれを飲み込んだのだった。

 しばらくすると、畳の上でのたうち回る乞食女が、うわ言のように「入れて」と唸り始めた。童貞だった僕はその言葉に脳を刺激された。中三の時、高橋たちと忍び込んだダイエー横の日活劇場で見た、『団地妻・昼下がりの情事』に出ていたおばさんが、『入れてぇ〜早よ入れてぇなぁ〜』と尻を振りながら悶えるシーンが不意に蘇った。

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 それを思い出した僕は、関西弁で「入れたる」と呟いた。そして腐った畳から素早く起き上がり、乞食女の股に向けてペニスを突き出した。
 乞食女は、脂肪でブヨブヨになった腹をハァハァと上下させながら、飛び出す僕のペニスにギラギラと目を輝かせていた。あの巨大うなぎよりも僕のペニスの方が一回り大きく、これにこの変態女が目を光らせないわけがないのだ。
 僕はそんなペニスの先をドロドロに濡れた裂け目にヌルヌルと擦らせた。上下する亀頭がクリトリスに触れる度に乞食女はピクンっと腰を跳ね上がらせ、早く入れてと言わんばかりに「あぁぁぁぁぁぁぁ」と気味の悪い声で唸った。
 ヌルヌルと上下させる亀頭を止め、ぽっかりと開く穴に焦点を当てた。いよいよ童貞とはおさらばだと思うと、不意にB組の吉原恭子を思い出した。

 僕は吉原恭子が好きだった。吉原恭子は僕の事なんてなんとも思っていないと思うが、僕は常日頃から吉原恭子で男になりたいと勝手に思っていた。
 しかし、この乞食女のドロドロと絡み付くような卑猥感は吉原恭子にはなかった。野口五郎とスヌーピーが好きなテニス部の吉原恭子には、恥垢の匂いも猫の糞の匂いもうなぎの生臭さも似合わなかった。今の僕は、野口五郎よりもうなぎになりたかった。うなぎになって卑猥な穴の中を狂ったように暴れ回りたかったのだ。
 心の中で(ごめん)と吉原恭子に呟くと、僕は深い井戸の中に飛び込むような気持ちで乞食女の穴の中にペニスを捻り込んだのだった。

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 ペニスが根元までツルンっと滑り込むなり、乞食女は両脚を更に広げた。そして豚のような太ももをヒクヒクさせながら「はぁぁぁぁぁぁ!」と声を上げた。
 無我夢中で腰を動かした。乞食女の体が揺れた。大きな乳がゆっさゆっさと上下に揺れ、野球グローブのように皮の厚い乳首が右往左往に動き回った。腹、頬、太ももの脂肪も醜くブヨブヨと震え、脂ぎった髪からは、小学校の校庭の隅にあったウサギ小屋のような匂いが漂って来た。
 
 そんな乞食女は顔を横に向けていた。ボロボロの布団に噛みつき、ペニスが出入りする度に、うぅぅぅ、うぅぅぅ、と獣のように唸りながら前歯で布団の綿を引きずり出していた。
 そんな獰猛な乞食女をゾッとしながら見下ろしていた僕は、その視線を股間の結合部分に移動させた。茶色い肉の棒がドス黒い裂け目の中を出たり入ったりしていた。ヌルヌルした汁はピタピタと音を立て、ペニスを抜く度にイカ臭が漂って来た。

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 膣壁がキュンキュンと僕のペニスを締め付け、亀頭をザラザラと刺激した。ペニスは白濁の汁でドロドロに汚れていたが、ピストンする度にキクラゲのようなビラビラが白濁の汁を掬い取ってくれた。
 その結合部分は、童貞の僕にはあまりにもグロテスク過ぎて刺激が強かったが、しかし、そのグロさが僕の変態性欲を更に掻き立て、脳が蕩けるほどに気持ち良かった。

 乞食女……。
 僕は腰を振りながら心でそう呟いた。
 この汚い女とヤリたいと思う人は、この世の中にいったい何人くらいいるのだろうと、ふとそう思った。
 少なくとも僕の周りには一人もいないだろうと思った。
 例えば、この女を風呂に入れ、体の隅々を綺麗に洗い、それなりの服装とそれなりの化粧をさせて街角に立たせておけば、それなりの男達がそれなりにヤリたがるだろう。こいつは、顔はブスだがスタイルはなかなかいいからだ。
 しかし、僕だったらそんな女は嫌だ。この女は乞食女だからこそいいのであり、これが普通の女だったらただのブスに過ぎないのだ。
 この女の魅力というのは、この薄汚さと異様な匂いと潰れかけの小屋にあると僕は思う。キチガイじみた老人と河原の廃屋に住み、昼は段ボールや空き缶を拾い集め、夜になると真っ暗な大和田川に忍び込んではヘドロ臭いうなぎを密猟する。楽しみと言えば老人とのセックスか、うなぎを使った変態オナニーしかなく、その破滅的な生活の中で飢えた獣の如く生きているというこの事実が乞食女のエロスであり、僕を異常欲情させる基盤なのだ。
 だから僕は、乞食女の脂臭い頭皮の匂いが好きだった。ペニスを抜く度にプ〜ンっと漂うイカ臭も、メス豚のように悶えているその醜い顔も、僕を異常に興奮させてくれた。
 そんな僕はやっぱり変態なのだ。あえて汚物に欲情するという特殊な男子高校生なのだ。
 そう自覚した瞬間、睾丸の裏の辺りがジンジンと痺れ出し、僕は精液を吐き出したい衝動に駆られたのだった。

 僕は脳をクラクラさせながら乞食女のブヨブヨの乳を鷲掴みにした。そして悶える女に向かって「イクぞ」と低く呟いた。
 乞食女は何も答えず、顔をくしゃくしゃにさせながら「はぁぁぁ! はぁぁぁ!」と喘いでいた。
 そんな乞食女の顔に、僕は無言で「びゅっ!」と唾を吐きかけた。口内に唾を溜め、唇を尖らせては何度も何度も乞食女の顔面に唾を吐きかけてやった。
 乞食女は、顔中に唾液の泡をぷつぷつさせながら、自ら結合部分に手を伸ばした。そして巨大なクリトリスを弄り始めると、まるで僕の唾に反撃するかのように、黄色い小便を「ビュッ! ビュッ!」と何度も飛ばし、僕の陰毛をベタベタにした。

 こんなセックスがしたかった。僕はこんなセックスで童貞を失くしたかったのだと感激した。
 僕は野口五郎ではない。秀樹でもなければヒロミでもない。僕は変態だ。スヌーピーなんて糞食らえだ。真っ白なハイソックスなんて精液で汚してやる。いや、その前にお前を強姦してやる。部活帰りの吉原恭子を自転車ごと土手の下に突き飛ばし、この荒んだ廃屋に引きずり込んでは、その部活で蒸れたチーズ臭いオマンコをベロベロに舐めまくってやる。

 そう思うと、とたんに今までにないムラムラとした感情がマグマのように涌き上がって来た。思わず「うぅぅぅぅぅぅ」と唸ると、クリトリスを指で転がしながらピュッピュッと小便を飛ばしていた乞食女が「中で出してぇ〜」と泣き出した。
 その泣き顔は、まるでゲゲゲの鬼太郎の子泣き爺のようだった。その顔を見た瞬間、こんな女に中出しをして、もし子供が出来たらどうするんだという恐怖に襲われた。
 僕は「うっ!」と下唇を噛みながらも、子泣き爺のような顔をした乞食の子供の顔を思い浮かべた。
 ふと、お母さんがその醜い子供を抱きながら、「達夫! どうしてこんな風になっちゃったのよ!」と泣き叫ぶ声が聞こえ、僕は慌ててペニスを抜いた。
 ドロドロに濡れたペニスを握った直後、元気の良い精液がピュっと飛び出した。その精液は乞食女の陰毛へと飛び、まるで前衛的なアート作品のような一本の白い線を作り上げたのだった。

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(つづく)

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