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濡れてる女・前編

2013/05/30 Thu 15:38

濡れてる女1



 その白いトタンの看板には、黒字で『マッサージ』と書かれていた。店名もマッサージの種類も書かれていないのに、なぜか看板の下の隅に『交通安全』と小さく書かれていた……

 私は火災保険の外交員だった。その日はたまたま隣の県からこの町にセールスに来ていた。お得意先の中古車販売店に御挨拶に行き、そこから紹介してもらった会社を三社ほど回った。
 どこも話はまとまらず、かといって手ぶらで帰るわけにはいかなかった。だからそのまま飛び込みで数社回ってみたのだが、しかしそれでも手応えはなかった。
 帰りの国道でコンビニに立ち寄り、缶コーヒーを買った。
(この町はダメそうだな……)と小さな溜め息をつきながら車に乗ろうとすると、ふとコンビニの数軒先に『マッサージ』という看板を見つけた。ここ最近、常に肩がこっていた。去年まではそれほどでもなかったのだが、しかし、今年三十を迎えたとたん、いきなり腰と肩に来たのだ。
 これから一時間近くも車に乗らなければならないのかと思うと、ジクジクと疼いていた肩こりが更に酷く感じた。
 私は、迷う事なくその薄汚れた看板に引き寄せられてしまったのだった。

 看板の下まで来ると、その奥に続く細い路地の真ん中に、『中川治療院』と書かれた看板を掲げるプレハブの建物が見えた。
『定休日・日・祝』とカッティングされたガラス戸を開けると、お香のような匂いがムワッと漂って来た。
 猫の額ほどに狭い玄関には明らかに老婆だと思われるサンダルが一足並び、小さな下駄箱にはトイレでよく見る緑のビニールスリッパが綺麗に並べられていた。
 磨りガラスの引き戸をガラガラガラっと開けると、誰もいない六帖ほどの待合室の奥に、『受付』という文字が見えた。
 シーンっと静まり返った待合室と、切り取った画用紙にマジックで書かれた『受付』という文字。待合室の本棚には『サザエさん』の漫画がびっしりと詰まっていた。
 私は受付の前に置いてある呼び鈴を「チン」と鳴らした。
 奥から出て来たのは、やたらと胸の大きい三十半ばの黒髪の女だった。
 受付の女は私を上目遣いでチラッと見ると、「初めての方ですか?」と、蚊の鳴くような小さな声で聞いた。顔とスタイルは悪く無いのに、どこか陰のある無愛想な女だった。

 そのまま奥の部屋へと案内された。
 八帖ほどの部屋には頭部に穴の空いたベッドが二つ並んでいた。
 そのひとつのベッドに薄汚い老婆が仰向けに寝転がっていた。膝でも悪いのか、骨と皮だけの細い足には三角に盛られたお灸がブスブスとくすぶり、そこに白い煙がいくつも立ち上っていた。まるでガンジス川に放流される死体のようだ。
 女は老婆に「大丈夫ですか?」と声を掛けながら、素早く白いカーテンをザザザっと引いた。そして私を奥のベッドへと案内すると、ベッドの下に置いてあったカゴの中からタオルケットを取り出し、「今日はどうなさいましたか?」と聞いて来たのだった。

 私は、この女は先生だったのかと思いながら、「肩こりが酷くて……」と右の肩をポンポンと叩いた。
 先生は「ああ、わかりました……」と曖昧に頷くと、合皮のベッドにタオルケットを敷いた。そしてベッドの下からカゴを取り出すと、「上着はそちらのハンガーに掛けて、ズボンはこちらに入れて下さい」と素っ気なく言い、そのままカーテンを出て行ったのだった。

 強烈なお灸臭が漂うカーテンの中、私は戸惑っていた。
 今まで数々のマッサージ店に行った事のある私だったが、ズボンを脱げと言われたのは、駅裏のいかがわしい中国マッサージだけだった。
 が、しかし、よくよく考えればそれも不思議ではなかった。今の私はスーツを着ているのだ。
 そうかそうかと頷きながら上着脱いだ。
 そしてそれをハンガーに掛けようとした時、ふと、ネクタイにワイシャツ姿でマッサージと言うのも変だろうと思い、ついでにそれも脱ぐ事にした。
 YGの半袖肌着と青と白のチェック柄のトランクス、そして脹ら脛まで伸びる黒いナイロンソックスという、まさに帰宅後の寛ぐお父さん姿となった私は、ベッドに腰掛けながら先生が来るのを待っていた。

 隣の老婆のお灸が終わったらしく、「あいあとうございました、あいあとうございました」という老婆のしゃがれた声と、老婆が着物を直すシャカシャカした音がカーテンの向こうから聞こえて来た。
「次回の予約はどうしますか?」と老婆に尋ねる先生の声を聞きながら、私はベッドの顔の部分に開いている丸い穴を見ていた。
 この穴の中に、隣の老婆のような老人達が何度も何度も顔を入れているのかと思うと、その穴の縁に老人達の脂汁が染み込んでいるような気がして、ゾクゾクする嫌悪感に襲われた。

 しばらくすると先生がやって来た。
 先生は、肌着にトランクスに黒いナイロンソックスというマヌケな姿でベッドに座っている私を一瞥すると、「その穴に顔を入れてうつ伏せになって下さい」と言いながら、ベッドの枕元に低い椅子をポツンっと置いた。
 ゆっくりと体勢を反転させる私は、先生がその椅子に腰掛けると同時にその不快な穴に顔を入れた。
 すると、穴の真下に先生の白いスカートと、そこから顔を出す膝が見えた。なんと、椅子に腰掛けた先生の生足がすぐ目の前に迫っているのだ。
 先生はストッキングを履いていなかった。
(これはなんともいい景色だ……)
 私はそう思いながら、白いスカートからチラチラ見える太ももをドキドキしながら見ていた。この穴に対する嫌悪感は既に消え失せていた。

 先生の細い指が、鉄板のような私の肩に食い込んだ。
「相当こってますね……」
 頭上から先生の声が聞こえて来た。
「はぁ……営業で車ばかり乗ってますから、肩も腰もガチガチで……」
 私は床に向かってそう答えながら、この薄いペラペラのスカートのすぐ下はパンティーなんだと思っていると、不意に先生の股間に漂う饐えた匂いを嗅いだ気がした。

 先生の左膝にある五ミリほどの古い傷跡を見ながら、肩に溜まった悪いモノがジワジワと揉み解されていく快楽に身悶えていた。
 そうしながらも、なんとかスカートの中が見れないかと私は企んでいた。穴の中におもいきり顔を押し込み、目玉をこれでもかというくらいに上げている私は、まるで失神した親父のような顔で先生の太ももの隙間を睨んでいた。
 肩を揉んでいる先生の手がモゾモゾと移動し始め、肩甲骨へと伸びた。先生の指は、背骨と肩甲骨の間に潜んでいるしこりを見つけ出し、それをひとつひとつ指でゴリゴリとやっつけながら「疲れも相当溜まってますね……」と呟いた。
 と、その時、肩甲骨に手を伸ばす先生の体勢が変わった。それは椅子に座る先生の尻がほんの少しだけズレただけだったが、しかし、そのほんの少しのズレが今の私に幸福をもたらした。
 白いスカートが斜めに傾き、そこに微かな隙間ができていた。
 不自然に私の顔が穴の中にグググっと沈んだ。今にも穴の向こう側に顔をポコンっと飛び出してしまいそうな勢いで顔を押し込み、もはや白目にひっくり返ってしまうほどに目玉を上げると、遂にその隙間から、三角形の淡いブルーのレース生地が見えたのだった。

マッサージ1_convert_20140719101347

 カッと涌き上がる興奮を押さえるべく、私は乾いた喉にゴクリと唾を飲み込んだ。穴の縁に押さえつけられていた喉仏が、窮屈そうに上下した。
 先生は肩甲骨のしこり退治で必死だった。まさかパンチラを見られているとは思ってもいないだろう。
 私は肩甲骨をゴリゴリされる度に、わざとらしく、「あぁぁ」とか「うぅぅ」と唸りながら、スカートの奥の三角形を必死に見つめていたのだった。

 そんな三角形のレースには、ほんのりと黒い陰毛が透けて見えた。
 この女性とは、出会ってまだ数十分しか経っていない。なのに私は今、この女性のパンティーだけでなく、陰毛さえもこれほど間近に見ている。
 女性が最も隠したい部分。女性が最も見られたく無い部分。そんな部分をいきなり見てしまった私は、その希少価値におもわず「はぁぁぁぁ」っと深い息を吐き、この蒸れた股間に顔を埋めたいと素直にそう思った。
 すると先生は、そんな私の深い溜め息に何を勘違いしたのか、「背中もカチカチですね」と呟きながら、その手を更に奥へと伸ばし、腰をクイクイと押し始めた。
 すると前屈みになった先生の尻が椅子から浮き上がり、惜しくもパンチラは見えなくなってしまったのだった。

(腰なんてどうでもいいんだよ!)
 私は心でそう叫びながら、一刻も早く先生が椅子に座ってくれる事を祈った。
 が、しかし、不意に受けた後頭部の感触に、そんな私の叫びはピタリと止まった。
 何かが頭にムニュっと押し付けられていた。先生の体が揺れる度に、それが後頭部で、ムニュ、ムニュ、と蠢いていた。
 この柔らかい重量感は乳肉以外のなにものでもなかった。なんと、先生のあの妙にタプタプしていた胸元が、今、私の頭に触れているのである。

 私は、穴の中に押し込んでいた顔をモゾモゾと抜いた。さっきは必死に押し込んでいた顔を、今度は必死に持ち上げようとしているのだ。
 ゴホン、ゴホン、とわざとらしい咳をしながら、少しずつ少しずつ顔を上げた。ゆっさ、ゆっさ、と揺れている先生の乳は私の後頭部を擦り、その度に先生のTシャツがサカサカと鳴った。
 三度に一回、先生は私の尾てい骨にまで手を伸ばした。その時にムニュっと押し付けられる柔らかい感触は、私の淫らな想像力を最大限に掻き立て、もはや私の股間を取り返しのつかない状態にしてしまった。
 先生の手が腰にグイグイと食い込む度、トランクス一枚の勃起ペニスがベッドにグリグリと押し付けられ、むず痒い快感が股間をムズムズさせた。
 わざと痛いフリをして海老反ってやろうかと思った。三度に一回のタイミングを狙い、「うっ」と頭をあげて仰け反れば、先生の乳は私の後頭部で激しく潰れるはずだ。

マッサージ2

 そんなタイミングを見計らっていたが、しかし先生はいきなり椅子にストンっと腰を下ろしてしまった。
(ちっ!)と心の中で舌打をした。見ず知らずの女の乳肉の感触を逃したショックはかなり大きい。
 が、しかし、そんなショックは違う形で私の脳に襲い掛かって来る事になった。
 なんと、再び腰掛けた先生の股は、まるで猛暑に喘ぐ真夏の女子高生のように弛み、青いレースのパンティーが丸見えになっていたのである。

 先生は両足首を椅子の下でクロスさせていた。ムチムチした太ももはベタっとだらしなく横たわり、青いレースのパンティーに包まれた恥骨がモッコリと膨らんでいるのが見えた。
 先生は再び肩を揉み始めた。パンティーが丸見えになっているとも知らず、グイグイと揉み始めた。
 そんな先生の体が動く度に股はみるみる弛んだ。そして遂には太ももの奥にあるクロッチがチラチラと見え始め、そこに私を釘付けにした。

 私の腰は微妙に動いていた。肩を揉まれる振動に合わせ、密かに腰を動かしていた。
 そうしながらベッドにペニスをコリコリと押し付けていると、私の肩を揉む先生の手の動きが速くなって来た。
 椅子がギシギシと軋み、先生はそれを支えるようにして両脚で踏ん張った。
 すると先生の股はパックリと開き、股間が丸見えになった。

 股間に青いクロッチがピタリと張り付いていた。
 そこに目を凝らした瞬間、一瞬、私の呼吸が止まった。

 なんと先生のクロッチの中心は濡れていた。
 テラテラと輝く生々しいシミが、まるで天井の雨漏りのようにジワッと滲み出ていたのだった……

マッサージ3_convert_20140719101417

(つづく)

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