香典泥棒3
2013/05/30 Thu 15:37
卓袱台の下から這い出した老人は、明日の葬儀で使用する座布団を畳の上に並べ始めた。それは町内会から借りた座布団で、妙に柄の古臭い座布団カバーには、『千鳥町公民館』と黒いマジックで書かれていた。
せっせと座布団を一列に並べている老人の股間では、黒光りする肉棒が滑稽に揺れていた。それは、反り立つように勃起しているため、体が動く度に肉棒の付け根だけがコキコキと揺れ、まるで『張り子の虎』の首のように動いていた。
祭壇の前に座布団を並べ終えると、老人は卓袱台の前で項垂れている少女に言った。
「痛くしないから心配しなくていいよ。ほら、早くこっちにいらっしゃい」
そんな老人の言葉に、少女は髪を乱しながら「いやいや」と首を左右に振った。
しかし老人が「じゃあ警察を呼ぶかい?」と顔を覗き込むと、少女は暫く間を置いた後、素直に言う事を聞いたのだった。
座布団の上に寝かされた少女は、制服を一枚一枚脱がされた。
プクっと膨らんだ乳房と桜色した乳首が、祭壇の黄色い灯りにぼんやりと照らされていた。
部活動で鍛えられているのか、そこに贅肉は一切見当たらず、その見事な腰のラインはイルカのように美しかった。
スカートをゆっくりと脱がしていくと、傷ひとつない真っ白な下腹部にふわふわと靡く栗毛色した陰毛が現れた。
ふと老人は、この幻想的な体に、この現実的な陰毛は不釣り合いだと思ったが、しかし、更にスカートを下ろして行くと、陰毛の奥で蠢く醜い陰部が現れ、それを見た瞬間、その美しさとこの卑猥さの融合に激しい欲情を掻き立てられた。
そんな少女の裸体には、完成した女の色気こそなかったが、しかし、触れては行けない禁断のエロスのようなものがメラメラと漂っていた。
老人は、座布団の上で横になっている全裸の少女と、そのすぐ隣りで同じように横になっている妻の遺体を見比べた。
妻の遺体の横で女子中学生を犯す。
そう心で呟いた老人は、自分は間違いなく地獄に落とされるだろうと思った。
しかし、この老人の凶行を止める事は、例えあの世の閻魔様でも無理だった。全裸で横たわる少女を見下ろしながら、黒光りする肉棒を自ら右手で摩擦している老人は、もはや血の池地獄でも針山地獄でも覚悟の上なのであった。
老人は醜い肉棒をシゴきながら、少女の顔の前にゆっくりとしゃがんだ。
「こんな風になってるオチンチンを見るのは初めてだろ?」
そう言いながら、少女の顔に亀頭を突きつけシコシコと上下した。
それを間近に見せられる少女は、大きな瞳に恐怖を浮かべながらも、「それ、閉めて下さい……」と老人に言った。
「それ? それってなんだい?」
老人が首を傾げると、少女は無言で棺桶を指差した。
妻の棺桶の蓋を閉めた老人は、再び少女の顔に亀頭を突きつけながら肉棒を摩擦した。少女は必死に顔を背けるが、その度に老人は少女の顔を元に戻した。
老人は、少女の頬や首筋に亀頭を押し付けた。少女の白い頬に紫色の亀頭が食い込み、その度に少女は露骨に嫌な顔をした。
そんな少女の唇に亀頭を押し付けると、少女は「わっ」と驚き、まるで苦い物でも食べたかのように慌てて唇を腕で拭った。
どうやら少女は、口で男性器を愛撫するという行為を知らないらしい。
そう思った老人は、少女のさくらんぼのような唇を指で優しく撫でながら、「オチンチンを舐める事を尺八っていうんだよ……大人なら誰でもやってることさ……キミのお父さんやお母さんもね」と、微笑んだ。そしてその指でゆっくりと少女の唇を開くと、別の指で真っ白な前歯をこじあけ、そこに亀頭を差し込もうとした。
「嫌です!」
少女はそう叫びながらきっぱりと拒否した。
老人はグッと少女を睨みながら、「言う事がきけないのか?」と声を低めた。
すると少女は、今にも泣き出しそうな目で老人を見上げながら、「だって……変な臭いがするんだもん……」と顔を顰めた。
その言葉に、おもわずカッと来た老人は、少女の股間に腕を突っ込んだ。そして中指で裂け目を乱暴に一撫ですると、その指を少女の鼻に突きつけながら「おまえもだろ!」と怒鳴った。
少女は老人の指に付着する自分の臭いに顔を顰めた。そして顰めた表情のまま、「だからわざわざそんな所を舐めなくてもいいじゃない……」と泣き出したのだった。
ついつい怒鳴ってしまった老人は、自分のそのあまりにも大人げない行動に反省した。というよりも、事が事なだけに、そのあまりの馬鹿さ加減にどっぷりと凹んでしまった。
少女の言う事は正しかった。どうして人間はわざわざそんな汚くて臭い部分を舐め合うのだろうかと、老人は改めて考えさせられた。
しかし老人は、すぐにそれはその快楽を知らない者達の言い分だと思った。確かにそれは、最も不潔な部分を舐め合うという実に動物的な愚かな行為だったが、だからこそ快楽が得られるのであり、理性のある人間が犬畜生のように本能を剥き出し合うからこそ、興奮が高まるものなんだと、老人は心の中で頷いた。
しかしそれを、経験のない少女にどれだけ説明しても無理だと思った。説明するよりも実際にその快楽を教えてやったほうが早いと思った老人は、グスグスと泣いている少女の足下に腰を下ろすと、その長い脚を強引に開いたのだった。
「いや、いや」と泣きながら、脚をペダル漕ぎ運動して抵抗する少女の膝を強引に曲げた。
股をざっくりとM字に開かせると、「私はキミのアソコがどれだけ臭くとも全然平気だ」と、実にバカバカしい捨て台詞を吐き捨て、そのまま少女の陰部にむしゃぶりついた。
濃厚に蠢く老人の舌が、ピタリと閉じていた少女の裂け目を乱暴に開き、その奥に隠れていた桜色の生肉を剥き出しにした。
そこには、まるで痰のようにネバネバとした白濁の分泌物が付着し、ベロベロと舌を動かす度にそれが舌に絡み付いてきた。
少女の性器には、スルメのような刺激臭と、小便の残り汁と汗とが醗酵したかのような据えたニオイがムンムンと溢れていた。
それでも老人は、その若いニオイにムラムラと興奮を覚えながら舌をくねらせ、そして、遂にクリトリスの皮を舌先で向いたのだった。
ピンク色に輝く少女のクリトリスは、まるで米粒のように小さかった。やはり皮を剥いたクリトリスにも白い恥垢が溜まっていたが、それでも老人は迷う事なくそれを舌で転がした。
クリトリスを刺激されると、さすがの少女も「んんんん……」と唸りながら身を捩った。
「どうだ、気持ちいいだろ」
舌をレロレロと動かしながら老人が聞くと、少女は腰をヒクヒクさせながら「くすぐったい」と一言呟いた。
「そのくすぐったさを超えると気持ち良くなるんだ。だからもう少し我慢しなさい」
そう言いながら老人が更に激しく舌を動かすと、突然少女はケラケラと笑い出し、「無理です!」と叫んだ。
こうなってしまっては快楽は得られないと思った老人は、舌をクリトリスから膣へと素早く移動させた。そして同時に少女の胸に手を伸ばし、穴の中を舌で掻き回しながら乳首を指で転がした。
すると、乳首に触れられた瞬間、それまで蛇のようにくねっていた少女の体が突然動きを弱めた。ふと少女を見上げると、少女は老人の指で転がされる自分の乳首を恥ずかしそうに見つめながら、さくらんぼのような唇を半開きにさせていた。
そうか……と老人は気づいた。彼女は熟練した人妻でもなければ、援交慣れした茶髪の女子高生でもないんだ。この娘は処女なんだ。生まれてこの方、お父さんのオチンチンしか見た事がないというウブな少女で、そんな処女に尺八を求めたり、クリトリスを激しく攻めても無駄なんだ、と、老人はそこで初めて気づかされた。
老人は、少女の股の中からゆっくりと起き上がった。そして唾液に濡れた口元を痩せ細った腕で拭いながら、白魚のような少女の細い体を優しく抱きしめた。
白いうなじに顔を埋め、耳たぶの裏にチロチロと舌を這わせた。そして乳首を指で転がし、もう片方の手で引き締まった腰を優しくくすぐった。
少女は、それがくすぐったかったのか、それとも性的に感じたのか、その半開きになっていたさくらんぼのような唇から「んふっ」と息を吐いた。
そんな吐息に興奮した老人は、蠢く舌を首筋から鎖骨へとゆっくり移動させた。そして桜のツボミのような乳首に到達すると、そのシーンを少女に見せる為にわざと大きく口を開け、真っ赤な舌をツンっと突き出しながら、それをコロコロと舌で転がしたのだった。
アゴを引きながらその瞬間をジッと見ていた少女だったが、乳首がコロコロと回転し始めると、いきなり顔をサッと横に背けた。
老人はそんな少女を上目遣いに見つめながら、もう一方の手の指で、もうひとつの乳首を優しく転がした。
少女の顔が、まるで赤ちゃんがイヤイヤをするようにして左右に動き出した。自分の人差し指の爪を前歯で噛みながら、必死で何かを堪えている。
老人はもう片方の乳首に舌を移動させた。そして今まで舐めていた乳首を指で転がすと、唾液まみれの乳首は非常に滑りが良く、今までコロコロと転がされていたのがヌルヌルへと変わった。
すると少女は、顔を左右に振りながら、「あん、あん」と小さな声で喘ぎ始めた。
その声を聞いた瞬間、老人は、今までにない達成感に包まれたのだった。
かなり長い間、老人は少女の乳首ばかりを攻めていた。
今や少女は堂々と喘ぎ、「あん、あん」という可愛い声を、狭い六畳間に響かせていた。
そんな少女の細い腰が撓りを作り始めたのは、老人の手が少女の丸い尻を撫で始めた直後だった。
老人は乳首に吸い付きながらも、その浮いた腰の隙間に左手を入れ、少女の細い腰をがっちりと抱いた。
そしてもう片方の手を太ももへと滑らせ、キュッと閉じていた脚を五本の指でジワリジワリと開かせた。
少女は全く抵抗しなかった。というより、自らの意思でそうしているかのように、閉じていた股間をゆっくりと弛めた。
ふわふわの陰毛の中に老人の指がジワジワと潜り込んだ。太ももに手を挟まれながらソッと陰部に触れると、その指先にヌルっとした感触が絡み付いた。
老人は手応えを感じた。娘はセックスして欲しくなっていると確信した。老人は、もう大丈夫だと自分に言い聞かせながら、少女の股を大きく開かせたのだった。
少女のワレメからはネトネトの汁が溢れ出していた。まるで大量のシロップを垂らしたかのようにワレメはヌルヌルだった。
そのヌルヌルの汁を潤滑油にしながら、性器のあらゆる部分を愛撫した。小陰唇をビラビラと転がし、クリトリスを皮の上から優しく刺激し、そして穴の中に指の第一関節まで入れては、それをゆっくりとピストンさせたりした。
老人はハァハァと荒い息を吐きながら少女の股の中に潜り込んだ。少女の細い右脚を左腕に抱えながら少女の顔を見下ろした。
そんな老人の右手には黒光りする肉棒が握られていた。
少女は親指の爪を噛みながら、その黒い獰猛な生き物をジッと見ていた。
「大丈夫。心配しないで。痛いのは最初だけだから、力を抜いてなさい……」
そう言いながら老人は、少女の性器の裂け目に沿って亀頭をヌルヌルと擦り付けた。
裂け目が捲れ、その奥にあるサーモンピンクの生肉をペロリと剥き出した。老人の亀頭は少女の汁でテラテラに輝いていた。
老人は少女の右脚を腕に抱えたまま少女の体に覆い被さった。桜のツボミのような少女の乳首に、老人の真っ黒な乳首から伸びる乳毛が触れた。
シミだらけの醜い肉体と、真っ白な美しい肉体とが重なり合うその光景は、サバンナの荒野でトムソンガゼルの子供がハイエナに襲われている光景に良く似ていた。
老人は少女のうなじに顔を埋め、舌先で耳たぶをチロチロと転がし始めた。そして肉棒の根元を摘むと、ワレメに這わせていた亀頭をクリトリスへと移動させた。
亀頭を巧みに動かしながらクリトリスの皮を剥いだ。コリッと硬くなった突起物に尿道をヌルヌルと擦り付け、そしてすぐにまたワレメに戻っては、ワレメの入口を亀頭でグジュグジュと掻き回した。
それを何度も続けた。裂け目の一本線をゆっくりゆっくり何往復もしていると、次第に息が荒くなって来た少女が、突然、「あぁぁぁん」と身を捩らせながら、老人の細い肩にしがみついて来た。
今だ、と思った老人は、すかさず少女の耳元に「入れるよ……」と呟いた。
一瞬、少女の目に恐怖の色が浮かんだが、しかし少女は何も言わずに静かに目を閉じた。
少女は老人の頬に自分の頬を静かに押し当てると、老人の首に腕を回した。
そして急に大人びた口調で、「はい」と小さく囁いたのだった。
※
台所のテーブルの隅に置いてあった、『なごやん』という茶菓子をひとつ摘むと、老人は居間に向かった。
北向きの薄暗い台所から南向きの居間に入ると、中庭から差し込む太陽の光がいきなり目の前にパッと広がった。それはまるでトンネルを抜け出した時のようであり、老人はいつもこの瞬間が堪らなく好きだった。
乾いた新畳に湿った足の裏が吸い付き、ヒタヒタと心地良い音を立てた。
老人は「よっこらせ」と唸りながら縁側に腰を下ろすと、中庭に干していた洗濯物に向かって「おいで」と声を掛けた。それはまるで、迷い猫を呼ぶようなそんな感じだった。
柑橘系の香りが混じった春風が、小さな中庭をふわっと通り過ぎた。死んだ妻が大切に育てていた洋木の葉がサラサラと音を立て、物干竿に吊るしていた数枚の肌着が旗のように靡いた。
そんな肌着の後ろから少女がスッと現れた。少女は無言で縁側に上がると、そのまま居間の隅の日陰で体育座りをし、縁側の老人をジッと見つめた。
「随分と御無沙汰だったね」
老人はそう言いながら、タンスの下に転がっていたテレビのリモコンを足で手繰り寄せ、足の親指で赤いボタンを押した。
「パッ」という電波の音が、静まり返った居間に走った。真っ黒だった画面に、見覚えのあるジャニーズ事務所のタレントの顔が映し出された。一昔前の彼はスマップを追い抜くほどの人気アイドルだったが、しかし今では、三流のお笑い肥満タレントと汗だくになりながら、吉祥寺のラーメン店で激辛ベトコンラーメンにチャレンジしていた。
ソッと後ろを振り返った老人は、「おたべ」と言いながら、部屋の隅で体育座りをしている少女に『なごやん』を転がした。
ビニールのパッケージをパサパサと音立てながら転がる『なごやん』が、少女の白いハイソックスの爪先に当たって止まった。
「また誰か……死んだのかね……」
老人がそう聞くと、少女は無言で『なごやん』のビニールのパッケージを開きながら「二丁目の堀田の婆ちゃん」と呟き、小さな口で『なごやん』をパクっと齧った。
「あらららら……あの婆ちゃん、死んじゃったのか……ついこの間まで元気にゲートボールをやってたのに……」
眉を八の字に下げた老人が、やたら「うん、うん」と頷きながらそう言うと、少女は「まずっ」と呟きながら、一口齧っただけの『なごやん』をビニールの中に戻した。
「で、通夜は?」
「……二丁目の公民館だって」
「公民館か……できるのか?」
「うん。あそこの公民館なら、何回かヤった事あるから大丈夫よ」
「そっか……で、私は何をすればいい」
「いつもと同じでいいよ」
「って事は、通夜が終わったと同時に慌てて駆けつければいいんだな」
「うん。ただ、公民館の場合だと、すぐに遺族が香典を持っていっちゃうから、例の手を使った方がいいかも知んない」
「……そうか……またあれをやるのか……」
曇った表情でそう呟く老人に、少女は「くすっ」と笑った。
少女のいう『例の手』というのは、通夜終了と同時に慌てて駆けつけた老人が、祭壇の前に座った瞬間、心臓発作を起こすフリをするというものだった。式場が騒然としている隙に少女が香典を盗むというありきたりな手口だったが、しかし、二人はこの方法で何度か成功していた。
葬儀場で、七十を過ぎた老人と制服を着た女子中学生を怪しむ者は誰もいなかった。
だから二人は捕まらなかった。
今や二人は、関東全域で荒稼ぎする香典泥棒の最強のコンビになっていたのだ。
「最近……あの演技しているうちに本当にこのまま死んでしまうんじゃないかと思うんだよ……それが怖くてね……」
老人はそう笑いながらズボンのベルトをカチャカチャと外し始めた。
少女は、そんな老人に首を傾げながら、「やるの?」と聞いた。
「ダメかい? ここ最近、ずっと御無沙汰だったじゃないか……」
そう言いながらズボンとトランクスを同時に下ろした老人の股間には、熱り立ったペニスが春の陽に照らされながら黒光りしていた。
少女は、「放課後、ホームルームがあるから早くしてね」と言いながら、体育座りのままスルスルとパンティーを下ろしたのだった。
その晩、二丁目の公民館で老人は心臓発作を起こした。
その隙に、少女はまんまと香典を盗んだ。
しかし、老人はそのまま帰らぬ人となった。
演技の心臓発作が本当になってしまったのだ。
老人の葬儀は、妻と同様、長屋で執り行われた。
もちろん、その香典は全て少女に盗まれた。
(香典泥棒・完)
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