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 西山動物園は車で三時間くらいかかる場所にあった。そのうちの二時間は高速道路だったが、しかし、残りはスカイロードという険しい山道で、常に体が左右に揺れているという過酷な一時間だった。

 俺が運転し、妻と中村さんが子供を抱いて後部座席に乗った。俺はできるだけ丁寧に運転しながらも、後ろの妻たちに「子供たち、車酔いしてない?」と何度も確認した。
 最初のうちは大丈夫だと言っていた妻たちだったが、しかし、スカイロードを上り始めて二十分も経った頃、急に中村さんが気分が悪いと言い出した。

 丁度、前方に『チェーン脱着場・二百メートル先』と書かれた看板が見えた。俺は少しスピードを上げながら、「そこで車を止めますから」と後部座席を見た。
 ハンカチを口に当てた中村さんが「すみません」と頭を下げた。そんな中村さんの胸の谷間が目に飛び込み、おもわず俺はそのままカードレールに突っ込みそうになったのだった。

 車を止めると、妻と中村さんが外に出て行った。大した事は無いらしく、しばらく外の空気を吸ってれば直りますからと中村さんは運転席の俺に何度も頭を下げていた。
 後部座席では二人の娘がぐっすりと眠っていた。煙草を一服したかったが、しかし後ろで子供が寝ていてはそう言うわけにもいかない。
 俺は外で煙草を吸おうと車を降りた。むむむむむ、と唸りながら背伸びをすると、そこに妻がやって来た。

「中村さん、すぐに車酔いしちゃうんだって。だから助手席に乗せてあげて」

 俺はポケットの中から取り出したタバコを再びポケットに戻しながら「いいよ」と頷いた。

 さっそく俺はトランクの中からチャイルドシートを取り出した。それを後部座席に取り付けると、そこに中村さんの娘を静かに寝かせてやった。
「助手席でのんびりするといいわ」と、中村さんに笑う妻を俺は横目で見ながら、ふと、クラスの席替えで好きな女の子と隣同士になった時のような、そんな時めきを感じた。

 再び車を走らせると、明らかに今までと違う状況に、俺は少し緊張した。中村さんと俺の距離は非常に近く、中村さんの微かな呼吸さえも聞き取れた。
 そのまま暫く走っていると、後部座席から妻の鼾らしきものが聞こえて来た。ソッとバックミラーを覗いてみると、妻は娘を抱いたまま、ぐったりと寝てしまっていた。

「奥さん、疲れてるみたいですね」

 不意に中村さんが話しかけて来た。
 俺は慌ててバックミラーから視線をそらすと、「いや、あいつは暇さえあれば寝ている、のび太みたいなヤツですから」と吐き捨ててやった。
 中村さんは、そんな俺に「クスっ」っと小さく微笑みながらも、「奥さんが羨ましいわ。こんなに優しい旦那さんがいて」とポツリと呟いた。

 よくあるパターンだった。このシチュエーションは、古い昭和の金曜夜のドラマなんかによくある、不倫に突入して行くパターンだと思った。
 俺はドキドキしながらも、「そんな事ないですよ……」と呟いた。そんな俺の口調は、明らかに中井貴一を意識していた。

 それをきっかけに、俺は中村さんと子供の話をした。保育園の話、予防接種の話、ベビー服の話、夜泣きや乳吐きの話。それらはほとんどが中村さんが喋り、俺は「そうですよね」などと、その都度相づちを打っているだけだった。

 そんな話の中、俺はこっそりと中村さんの体を見ていた。うん、うん、と頷きながらも横目で助手席をチラチラと見ては、スカートから伸びる細い足や、キュッと引き締まった腰などをいやらしく舐め回した。

 そのうち、よからぬ妄想がムラムラと湧いて出て来た。中村さんの真っ白な胸元に手を入れ、その柔らかくも生暖かい乳をむにゅむにゅと揉みしだいているシーンが俺の頭に鮮明に浮かび上がって来た。

 下腹部がゾクゾクし始めた。勃起した肉棒が太ももの間で歪に折り曲がり、俺はペニスの場所移動をしたくてウズウズしていた。

「でも、やっぱり一番怖いのは夜中の急な発熱ですよね。この間もいきなり三十八度の熱が出たんですよ。それで慌てて救急車に電話したんですけど、そしたら救急隊の人に『それくらいで救急車を呼ばないで下さい』って叱られちゃいました」

 そう笑う中村さんの横顔は少女のように可愛かった。俺はそんな中村さんの唇をいやらしく見つめながら、心の中で(しゃぶれよ……)と呟いた。
 妄想の中の中村さんは(でも奥さんが……)と戸惑いながら後部座席の妻を見た。俺はそんな中村さんの細い手をソッと掴み、(大丈夫だよ。あいつはのび太みたいな女だから、一度寝たらなかなか起きないから)と囁きながらその手を引っ張った。
 中村さんの上半身が俺の太ももの上にドサッと倒れた。俺は左手でハンドルを握りながら右手でズボンのチャックを開けた。
(旦那がいなくて淋しいんだろ……)
 そう囁きながら勃起したペニスを中村さんの顔の前にヌッと突き出した。中村さんは潤んだ目で一度俺を見上げた。そしてそのままゆっくりと目を伏せると、ピンクの唇から舌を官能的に突き出し、まるで子犬が自分の陰部を舐めるようにペロペロと亀頭を舐め始めたのだった。

 そんな妄想を繰り広げていると、たちまち脳がクラクラしてきた。
 フーっと溜め息をつきながら座席に後頭部を凭れかけると、「疲れましたか?」と中村さんが言った。
「あ、いえ」と笑いながらシートから頭を上げると、中村さんは首を傾げたまま「大丈夫ですか?」とクリクリとした大きな目で俺の顔を覗き込んで来た。
 滅茶苦茶カワイイと思った。別れた旦那はこんなカワイイ妻をよく捨てれたもんだ、俺だったら毎日でもヤリまくってマンコもチンポもヒリヒリにしてやるのに、と、思いながら再び大きな溜め息をついた。

「いえね、さっきタバコを吸いそびれちゃって……ははは、それで禁断症状が出てるんですよ、きっと……」

 そう誤魔化すと、いきなり中村さんが「あっ、あそこ」とフロントガラスに向かって指差した。
 鬱蒼とした緑の中に、『トイレ休憩所』という看板がポツンっと立っていた。
「ああ、大丈夫ですよ」と俺が笑うと、中村さんは「いえ、休憩して下さい」と言い、そして「それに私もおトイレに行きたかったんです」と恥ずかしそうに笑ったのだった。

 車はそのまま駐車場に滑り込んだ。
 駐車場には一台も車が止まっていなかった。車が五台も停まれば一杯になってしまう程の小さな駐車場だった。
『頂上まで2キロ』と書かれた大きな看板の裏に、コンクリートブロックで積み重ねられた公衆便所がひっそりと佇んでいた。

ママ友5

 看板の前で車を止めると、中村さんは「すみません」と小さく会釈をしながら車を降りて行った。
 同時に俺も車を出た。後部座席では妻と二人の子供が、まるで無理心中したかのようにぐったりと眠っている。

 トイレへと向かう中村さんのサンダルの音を聞きながら、俺はタバコに火をつけた。
 すぐ目の前に、『山火事注意! タバコのポイ捨て厳禁!』と書かれた看板があった。その看板には『千葉スペクター参上』という、古めかしいスプレーの落書きが殴り書きされ、看板の下には山のようなタバコの吸い殻と数冊のエロ本が捨ててあった。
 そんな看板といい、あの古ぼけた公衆便所といい、まるで昭和にタイムスリップしたようだな、と思いながら苦い煙を吐き出していると、不意に俺の頭に『昭和の公衆便所』が浮かび上がって来た。

 昭和の公衆便所というのは和式便器だった。しかも、個室の仕切りの下には決まって隙間があった。
 俺は小学生時代、近所の悪ガキ達と、よく児童公園の女子トイレを覗いていた。今のように携帯で盗撮されるリスクの無かったあの時代の公衆トイレというのは、今の中国の公衆便所のように開放的だったのだ。

(きっとあのトイレも……昔のまんまなんだろうな……)

 そう思った瞬間、俺は居ても立ってもいられなくなった。こんなチャンスは二度とないと思うと、俺の煙草を吸うスピードは機械のように早くなった。
 しばらく我慢していたが、しかし(ああ、もう我慢できない!)と思った瞬間、おもわず俺はタバコをアスファルトに踏みつぶした。
 後部座席を覗くと、妻は唇の端に微かな涎を光らせながら、死んだように眠ったままだった。
 俺は迷う事無く公衆便所に向かって進んだ。早く、早く、早くしないと終わっちゃうぞ、と、焦りながら、まるで古いチャップリンの映画のように早足で進んだのだった。

 女子トイレの入口で足を止めた。
 中に個室は二つしか無く、奥の個室のドアだけが閉まっていた。
 俺は辺りをきょろきょろと見回しながら前屈みになると、息を止めたまま女子トイレに忍び込んだ。

 足音を忍ばせながら素早く手前の個室に入った。案の定、便器は和式で、個室の仕切りの下には十センチ程の隙間があった。
 すぐにでも床に這いつくばって隙間を覗き込みたい所だったが、しかし、俺が忍び込んだ個室の便器は入口側の壁に向かっていた。という事は、中村さんが入っている個室の便器はこちらを向いているという事になり、この状態で下手に隙間を覗き込めば、便器にしゃがんでいる中村さんに真正面から見られてしまう恐れがあった。

 これは非常に危険だった。もちろん、後ろから尻を覗くよりも、真正面から股を覗く方が良かったが、しかし、正面からだと発見される確率も非常に高いのだ。

 ハイリスク・ハイリターン。
 まさにこの言葉がぴったりな状況だった。
 覗きたい、でも見つかったら大変な事になる。
 そう迷っているうちに、隣りの個室からカサカサカサっという音が聞こえ、サンダルが便器の端でギュッと軋む音が聞こえた。

 いよいよだ、と俺は胸を高鳴らせた。
 いきなり、シュッ、という音が聞こえた。それはまるで蛇が威嚇するような音であり、すぐさまドボボボボっという音が谺した。

 俺は焦りながらも、生で覗けないなら携帯で撮るか、と、慌ててポケットの携帯を握りしめた。
 しかし、こんな所でシャッターを押せば、シャッターの疑似音でバレてしまう。これが見知らぬ人ならシャッターを押しまくって、一目散に逃げればいいが、しかし、相手は妻のママ友で、しかも、このあと車に同乗する相手なのだ。

 俺は携帯を諦めた。そして、このまま音だけ楽しもうと思った。
 が、しかし、この状態で我慢できるわけが無かった。今、この落書きだらけの壁の向こうでは、あの綺麗な中村さんが大きく股を広げ、そのグロテスクな陰部を曝け出しながら放尿しているのだと思うと、俺はもう居ても立ってもいられなくなってしまった。

 一か八かだ、とヤケクソになった。そして遂に俺は、この薄汚れた床に頬を押し付けたのだった。

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 おもいっきり中村さんの陰部が見えた。わさっと生えた陰毛の中、ベロリと捲れた赤黒いワレメから透明の小便を勢い良く噴射していた。

 堪らなかった。つい数分前、すぐ隣りの助手席で笑っていたあの中村さんが、今、俺の目の前で醜い陰部を曝け出しながらビシャビシャと放尿しているのだ。
 そんなシーンをまともに見てしまった俺は、正直言って堪らなかった。このまま個室に乱入して犯してしまいたい、あのパックリと口を開いた赤黒いワレメにしゃぶりつき、あの穴の奥の奥まで舐めまくってやりたい、と本気でそう思った。

 そう思いながら勃起したペニスをズボンの上から握りしめていると、いよいよ陰部から噴き出す小便の勢いがみるみる衰えて来た。
 チョロ、チョロ、チョロ。陰部はヒクヒクとヒクつきながら小便を切った。頭上からカラカラカラっとトイレットペーパーが回る音が聞こえた。
 このまま一発抜いておきたかったが、これ以上ここにいるのはマズいと思った。
 俺は、後ろ髪を引かれながらもソッと体を起こそうとした。すると、綺麗に折り畳まれたトイレットペーパーがわさわさの陰毛の中でカサカサと動くのが見えた。

 もう少し、あともう少しギリギリまで見たい。そう思いながら、未練がましく床に頬を押し付けていると、陰部に押し付けられていたトイレットペーパーがゆっくりと離れた。

 すると、そこで俺は凄い光景を見てしまった。なんとそのトイレットペーパーには透明の汁がニュッと糸を引いていたのだ。

(嘘だろ……)

 愕然としている俺の目の前で、中村さんは再びトイレットペーパーをカラカラと巻き始めた。
 再びトイレットペーパーが剥き出しになったワレメにカサカサと擦り付けられた。そしてそれを陰部から離すと、またしても透明の糸がニュッと伸びた。

 中村さんは、そのトイレットペーパーを便器に捨てた。俺はソッと顔を上げながら便器の底を見た。トイレットペーパーは、陰部を拭いた側が上を向いたまま便器の底にペタっと張り付いていた。そこにはテラテラと輝く透明の汁がねっとりと付いていたのだった。

 慌てて車に戻ると、俺は運転席のドアに凭れながら、何食わぬ顔でタバコに火をつけた。
(どうして中村さんは濡れていたんだろう……)
 そんな事を考えながら煙草を吹かしていると、ハンカチで手を拭きながらトイレから出て来た中村さんが、「待たせてごめんなさい」と言いながら車に駆け寄って来た。

 二人して車に乗り込むと、後部座席では妻の鼾が響いていた。
 中村さんがシートベルトをカチャっとはめたと同時に、俺は車を発進させた。
 なぜか車内は重たい空気に包まれていた。沈黙が続く中、中村さんは黙ったまま窓の外を見つめ、俺は緩いカーブでも大袈裟にハンドルを回していた。

 暫く行くと、『これより下り坂』という看板がようやく見えて来た。
 あと数十分で目的地の西山動物園に到着だ。
 下りのヘアピンカーブに差し掛かると、いきなり後部座席から「あぶぶ」という唾液混じりの声が聞こえた。
 中村さんがサッと後ろを向いた。チャイルドシートで寝ていた中村さんの娘が、中村さんの顔を見た瞬間「きゃっきゃっ」と飛び跳ねて笑い出した。

「起きちゃいました」

 俺の右腕すれすれに顔を寄せながら、後部座席の我が子を優しく見つめる中村さんが、俺をソッと見上げながら微笑んだ。
 その瞬間、車は緩いカーブに差しかかった。一瞬、俺の右肘に中村さんの柔らかい頬が触れた。
 その柔らかい感触を腕に感じると、突然俺の脳裏に中村さんの赤黒い陰部がパッと浮かんだ。そして噴き出す小便とネトネトに濡れたトイレットペーパーが浮かび、俺は再び激しい興奮と目眩を感じたのだった。

(つづく)

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