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入院している下着

《解説》
妻が足を骨折して入院した。
妻と同室だったのは綺麗な音楽教師だった。
私は音楽教師が部屋から出て行ったのを見計らい、汚れた下着に射精した。





 日本橋大学病院の西口でタクシーを降りると、不意に玄関前のベンチに座っている幼児を抱いた女性に挨拶をされた。一瞬、その女性が誰だかわからなかった。

 あと二年で定年を迎えようとしている私は、最近特に物忘れが酷く、人の顔と名前は全く覚えられなくなってしまっていた。が、しかし、彼女の左足首に固定されたギプスに見覚えのあるアンパンマンのシールが貼ってあるのを見て、彼女が妻と同室の奥さんだと言う事に気付いた。

「いいお天気ですね」

 そう私が挨拶を返すと、奥さんの隣りに座っていた旦那さんが、「いつも妻がお世話になっております」と小さくお辞儀をした。私は、いえいえこちらこそ、と笑いながら二人に近付き、奥さんの胸でスヤスヤと眠る幼児をそっと覗き込んだ。

「かわいいですね、おいくつですか?」

「二歳と十ヶ月です」

 そう微笑みながら幼児の顔を見つめる奥さん。私はそんな幼児を見つめるふりをしながら、奥さんのその白くて柔らかそうな胸の谷間を密かに見ていたのだった。


              ※


 実に爽やかな夫婦だと思いながらエレベーターに乗った。奥さんはまだ二十代中頃だろうか、いつもポニーテールに束ねた髪には清潔感が漂い、歯並びの良い真っ白な前歯がとても印象的な美人だった。

 確か、中学校の音楽教師をしているはずだった。先週の日曜日には、生徒たちが千羽鶴を沢山持って見舞いに来ていたと妻が言っていた。やはり旦那も教師なのだろうか。旦那のあの人の良さそうな笑顔を思い出しながらエレベーターを降りると、いきなり妻と出会した。

「あら」と驚いた妻は、「こんな時間に面会なんて珍しいわね」とギプスで固定された足を止めた。妻は半月ほど前からこの日本橋大学病院に入院していた。階段を掃除中、足を踏み外してしまった妻は、買ったばかりのダイソンの掃除機と共に八段も転がり落ち、左足を骨折してしまったのだ。

「これから検査なの。三十分くらいで終わるらしいから病室で待ってて」

 慣れない松葉杖をぎこちなくカクカクさせながら歩き出した妻は、よく肥えた看護婦と共にエレベーターの中へと消えて行ったのだった。


              ※


 病室は二人部屋だった。全開された窓から春の爽やかな風が注ぎ込み、白いカーテンをふわふわ踊らせていた。

 窓際のベッドが音楽教師の奥さんで、ドア側のベッドが妻だった。誰もいない病室で、一人ポツンとパイプ椅子に腰掛け、さてテレビでも見ようと思ったが、しかしそこのテレビは有料で、しかもそれは硬貨投入型ではなくプリペイドカードが必要だったため諦めるしかなかった。

 こんな事なら文庫本でも持ってくれば良かった、と、ひとりごちながら窓際へと進み、三階の窓から身を乗り出した。前方にえんぴつほどのスカイタワーがうっすらと見えた。その銀色に輝くハイグレードな姿を聳え立たせるスカイタワーの周辺には、赤や青の妙に見窄らしいトタン屋根がバラックのように広がり、思わぬ所で東京の現実を見た気がした。

 ふと、一階のベンチに、さきほどの若い夫婦が座っているのが見えた。爽やかな緑の中で若い親子が笑っている姿は、まるで創価学会のパンフレットのように実に微笑ましかった。

 が、しかし、次の瞬間、おもわず私は、ふわふわと靡く白カーテンに身を隠してしまった。なぜなら、そのとき私の目に、いきなり音楽教師のたわわな胸が飛び込んで来たからだった。

 私はカーテンに身を隠しながらソッと携帯を取り出した。いつも荒川の土手でバードウオッチングしている私の携帯には、バードウオッチング用の望遠カメラアプリがあるのだ。

 窓の端から携帯を覗かせ、ベンチに座る音楽教師の胸元をカメラに捉えた。カチカチカチっとズームしていくと、携帯の画面には若い音楽教師の清楚な胸の谷間がくっきりと映し出された。

 彼女の、顔、胸、指先、足、とあらゆる部分をカメラに収めた。スカートではなくジャージのスボンを履いていたため、残念な事に脚の生肌は撮れなかったが、しかし、このアングルからだとジャージが股関節にキュッと食い込んでいるシーンが撮れ、それなりに満足できた。

 ふと気が付くと、私の股間は硬くなっていた。五十を過ぎてからというもの、勃起するなどと言う事はほとんどなく、夜中に尿意を催した際に魚肉ソーセージほどに硬くなっている程度だった。

 これほどまでに硬く勃起する事は本当に久しぶりだった。私は硬くなった肉棒を握りながら素直に射精したいと思った。既に、射精の快楽などすっかり忘れてしまっていた私は、その硬い肉棒を握った瞬間に甦った、あのセンズリに狂った学生時代の快楽を思い出し、ここぞとばかりに射精してみようと思ったのだった。


              ※


 窓際の音楽教師のベッドに腰を下ろした。妻の検査は三十分ほどかかると言っていたから、まだ時間はたっぷりあった。それに、窓から音楽教師の姿が見える為、注意して監視しておけば彼女がいきなり部屋に入って来るという心配も無い。

 更に私は、妻のベッドと彼女のベッドの間のカーテンを引いた。これで、いきなり看護婦が部屋のドアを開けたとしても、直視されるのを阻止できるのだ。

 ズボンを膝まで下げ、そのまま音楽教師のベッドに横になった。彼女の枕には、うっすらとリンスの香りが漂っていた。そんな枕に顔を埋めながら、あの白い胸元を思い出してペニスをシゴき始めたのだった。

 久しぶりのセンズリはすこぶる気持ち良かった。学生時代に戻り、シコシコと久々の快感に身悶えていた私だったが、しかし、突然ある事に期待を抱いた。それは、もしかしたらあのクローゼットの中に音楽教師の使用済み下着があるかも知れない、と思ったのだ。

 私の鼻息は途端に荒くなった。あの清楚な音楽教師が、いったいどれほど下着を汚しているのかと想像すると、それだけで射精しそうになった。

 急いでベッドから下りると、窓際の壁に備え付けられていたクローゼットの扉を開けた。そこには教員らしい淡いグレーのスーツがハンガーに掛けられ、その下に白いボストンバッグがポツンと置いてあった。

 勃起したペニスを剥き出したままそこにしゃがみ、ボストンバッグのジッパーをギギギッと開けた。丁寧に畳まれた衣類が几帳面に積み重ねられていた。それを崩さぬよう、恐る恐るバッグの奥を覗き込むと、底の隅に白いコンビニの袋が、まるで隠してあるかのように押し込まれていたのだった。

 間違いなくこれだと確信した私は、慎重にソレを取り出した。硬く結んである袋口を爪先でこじ開け、鼻息荒く中を覗くと、案の定、そこには音楽教師の使用済み下着が無造作に押し込められていた。

 叫び出したいほどの興奮に包まれながらブツを袋から取り出した。袋の中にはハンドタオルと靴下もあったが、白いブラジャー一枚とグレーのパンティー一枚だけをベッドの上に並べ、それを何枚も撮影した。

入院奥さん_convert_20130802144258

 その淫らな汚れを携帯のカメラに収めると、さっそく実食に取り掛かった。

 ブラもパンティーも肌触りの良い綿だった。グレーのパンティーのクロッチには、ほんのりと黄みがかかったオリモノがカリカリに乾涸びていた。

 縦線のシミを指先でなぞった。明るく真面目な美人音楽教師の陰部を、ワレメに沿って指先でなぞるシーンを想像しながら、そのカリカリに固まった分泌物の感触を指先で味わった。

 オリモノの匂いは強烈なイカ臭だった。それは、入浴ができないため仕方がない事なのだろうが、しかし、あれほど綺麗で清楚な音楽教師が、こんな強烈な不潔臭を陰部に蓄えているのかと思うと、幻滅する半面、そのギャップの凄さに異様な興奮を覚えた。

 私は、そんな不潔なシミを迷う事無く舐めた。彼女のベッドに横たわり、彼女の布団に包まれながら、彼女のパンティーに染み付くオリモノを舐めまくった。

 携帯を開き、盗み撮りした画像の中から、彼女の笑顔を画面にアップした。それを眺めながら、臭いクロッチを鼻に押し付けペニスをシゴきまくる。

「恥垢女め……クサマン音楽教師め……」

 そう声に出して呟くと、ふと、春の風が注ぎ込む爽やかな音楽室の黒いピアノが頭に浮かんだ。

 私はそんな妄想の中で音楽教師を犯した。ピアノの下で四つん這いにさせた音楽教師の陰部を舐め、指で掻き回し、そして驚くほどに硬いペニスをヌプヌプとピストンさせては、音楽教師を乱れ狂わせていた。


 すると、懐かしい快感が尿道の奥からムズムズと沸き上がって来た。私はすぐさまペニスにティッシュを被せた。カサカサカサッと懐かしい音が室内に響き、不意に、あの頃、いつも父親の寝室からこっそり持ち出していた『平凡パンチ』のサイケな表紙が鮮明に甦った。

 自然に両足がピーンッと伸びた。ビュッと精液が噴き出した瞬間、「はふっ」と唸り声をあげた。
 私は身悶えながらも音楽教師のクロッチを顔面に擦り付け、数十年ぶりの射精に激しい感動を覚えていたのだった。

              ※

 それから十分後、妻が病室に戻り、その五分後に音楽教師が旦那と共に病室に戻って来た。私達は、二つのベッドを挟みながら和気藹々とお喋りした。

 私が持って来たリンゴをお裾分けすると、お返しにと相手の旦那が持って来たブドウを頂いた。音楽教師はリンゴをサクっと齧りながら、終始、清楚な笑顔で微笑んでいた。

 しかし私は知っている。清楚な彼女の陰部には、恐ろしく臭い恥垢の香りがムンムンと漂っている事を。

 私は、そんな音楽教師の横顔をソッと見ながら密かに微笑んだ。

 そしてこれからは、毎日妻の面会に来ようと心に誓ったのだった。

(おわり)

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