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月経前症候群

2012/12/01 Sat 00:55

月経前症候群

《あらすじ》
普段は普通なのに、生理が近付くにつれ精神状態が狂っていく主婦の変態異常行動を描いた問題作。



今朝の朝刊で、パチンコ店駐車場に乳児を置き去りにし熱中症で死亡させてしまった母親のニュースを見た。
死んだのは六ヶ月の女児だった。ウチの香織璃も六ヶ月だった。
保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された母親は二十六才だった。私と同い年だった。

私は義母さんに香織璃を預けるために夫の実家へ向かった。
老後に社交ダンスを始めた義母さんは、今香織璃を預けられると近所のダンススクールに行けなくなると玄関先で露骨に嫌な顔をした。
しかし、そのスクール代さえも私達夫婦に頼っている義母さんに選択権はなく、私は強引に香織璃を義母さんに押し付けバスに飛び乗ったのだった。

私は極々普通の主婦だった。
セールスマンの旦那を持ち、子供は母乳で育て、2LDKの賃貸マンションに住み、三日に一度は地域の子育て教室に顔を出し、初対面の人からは雰囲気が石原さとみに似てますねと言われる、そんな極々普通の主婦であり、決して子供を炎天下の車の中に放置しパチンコにうつつを抜かすような馬鹿ではなかった。

しかし、子供を殺してまでもパチンコがしたかった二十六才の母親の気持ちは痛いほどわかった。それは、例え普通の主婦であっても、その一線を我慢できずに超えてしまう時があるからだ。
普通の主婦か、普通じゃない主婦かの違いは、その一線を越そうとする瞬間に一度立ち止まるかどうかで決まる。と、私は思う。
パチンコで子供を殺してしまった主婦も、その一線を越す前に今一度振り返り、ガスの元栓は締めたか、トイレの電気は消したか、子供は大丈夫か、旦那にはバレないか、と再度確認さえしていれば、いくらその一線を越したとて普通の主婦でいられたのだ。と、常日頃から私はそう思っている。


亮真学園前のバス停で降りた私は、そのまま目の前の大型スーパーマーケットへと向かった。
一階の婦人服売場をぶらぶらと歩き回り、エレベーターで一階と屋上を三往復し、地下の食料品売り場で雪印の『さけるチーズ』を三本万引きした。

二階の婦人用トイレの個室に籠った。生理はまだ来ていなかった。とたんに子宮がウズウズとむず痒くなり、頭の中のモヤモヤが更に大きく膨れ上がった。万引きした『さけるチーズ』をタイル床に叩き付け、ヒールの踵でブチブチと潰してやった。ほんの少しだけ気分が和らいだ。

煙草を吸いながらスマホで2ちゃんねるを開き、地元のスレに『昭和町の仲井ふさは重度の水虫です』と三十回書き込んだ。仲井ふさというのは、今さっき香織璃を預けた義母の名前だった。次に義父の孝重も老人のくせに真性包茎だと書き込もうとした時、ふと、便器の横の壁に卑猥な落書きが描かれているのに気付いた。

それはシャープペンの先のような物で削り書きされていた。目を凝らさないと見えない程に薄く描かれている。
その落書きはあまりにも下品なイラストだったが、しかし女が書いたものに違いないと確信した。陰部の結合部分が非常に繊細に描かれており、ペニスの裏に滴る汁などは女目線でなければわからないほどにリアルだったからだ。

私はその落書きを眺めながら、これを書いた女も、きっと私と同様に生理前だったのではないかとふと思った。
スーパーの公衆便所に忍び込み、一人カリカリと壁に卑猥な落書きを彫り続ける変態女。恐らくこの女は中年の性的欲求不満者であり、きっとこれを壁に彫りながらそのシーンを生々しく思い出し、陰部をぬるぬると濡らしては獣のような自慰に耽っていたに違いないはずだ。
この女は、三十を過ぎても恋人の一人も出来ず、毎晩出会い系サイトで男を漁っては、見知らぬ男に猟奇的に犯される快楽に目覚めた悲しい変態女だ。醜い体は水牛のように太り、脂肪ばかりの巨乳には焦げたドーナツのような乳首が浮き上がり、ぽっこりと突き出した下っ腹には剛毛な陰毛がウヨウヨと渦を巻いている。年に一回しか美容院に行かない黒髪は針金のように固く、その貧乏臭い眼鏡は、十二年前、三流の短大に入学した時に『自分へのプレゼント』として新宿マルイで買った安物の眼鏡だ。

そんな女が、今、私が座っているこの便座の上で大股を開き、生理前の陰部のイカ臭をムンムンと発散させながら何度も何度も絶頂に達していたのかと思うと、とたんに私の全身が痒くなって来た。

慌てて個室から飛び出した私は、携帯用の薬用石鹸ミューズで指の間まで五十回擦って洗い流すと、そのまま駐車場に出た。巨大な駐車場には百台以上の車が止まっていた。私は指先に漂うミューズの匂いを嗅ぎながら、車内にぐったりしている幼児はいないかと覗いて回った。その幼児を発見すれば、町内の奥さま仲間での自分の地位は確実に上がると期待に胸を膨らませながら、一台一台覗いて歩き回った。

駐車場の奥にある巨大な貯水タンクの横に一台の白い車が止まっていた。その車は、裏の神社の大きな杉の木の日陰に隠れるように止まっている。その車内に人影を見たような気がした私は、急ぎ足で奥へと向かった。近付くとフロントガラスに大きな足の裏が張り付いているのが見えた。

明らかに大人の素足だった。しかもまるで猿人のように黒く汚れガサガサしていた。幼児ではなかったが、しかし、もしかしたらその人は運転席でうとうとしているうちに脱水症状となり、生死を彷徨っているかも知れないと妄想を抱いた。
大人であろうが子供であろうが人命救助で表彰されれば、605号室の橋下の奥さんのハワイ旅行なんかよりもずっと注目を浴びる事が出来る。そう思った私は助手席の窓から車内を覗き込んだのだった。

四十才くらいの大きな男が運転席のシートでゴロリと横になっていた。見るからに荒々しい肉体労働者で、まるで野武士のような無精髭を頬一面に伸ばしていた。車内も荒れ方も凄まじく、灰皿からは煙草の吸い殻が溢れ、助手席には成人男性用の週刊誌が卑猥なグラビアを開いたまま転がっていた。座席の下には汁の垂れたカップラーメンの空箱や食べかけの弁当の空が散乱し、後部座席には大量の衣類と薄汚い毛布が押し込まれては、まさに河原に並ぶブルーシート小屋の中のような惨状だ。

その男の風体と車内の荒れようから、私はこの男が車上生活者であると判断した。車内を覗き込んでいた私は、一刻も早くこの場から立ち去るべきだと思い、慌てて屈んでいた腰を起こそうとした。するとその時、私はその貪よりと黄色く濁った目玉にジロリと睨まれてしまったのだった。

男に見つめられる私は、まさに蛇に睨まれたカエルとなり、助手席のドアの横で前屈みになったまま、身動きできない状態になっていた。男はゆっくりとシートから起き上がると、私に向かって「なんだ」と言った。車内から聞こえて来る籠ったその声は、まるで駅裏の赤ちょうちんでダミ声をあげている親父のようだった。

返事も出来ないまま膝をガクガクと震わせていると、男は突然助手席のドアを開け、再び「なんだ」と私を睨んだ。そんな男のドアを掴む指は、春先の車のホイールのように黒く汚れていた。

ドアが開いた車内からは、新型インフルエンザが含まれているような、そんな危険な空気が漂っていた。吸ってはいけない、この空気を吸ったら危険だ。そう思いながら必死に息を止める私に、男は突然口元をダラリと緩め、ネズミ色した分厚い舌でカサカサの唇をペロリと舐めた。

突然男は「乗れ」といやらしく笑った。私の心臓は、剥き出しになったオペ中の心臓のようにドンドンと激しく鼓動する。

「早よ乗れ」

男がそう語気を荒めると、いきなり私の腰の力が入らなくなり、その場にへなへなとしゃがみ込みそうになった。いきなり腹痛を覚え、膝がガクガクと震え、そして、だらりと緩んだ尿道からはタラッと尿が洩れた。

私はこのままこの汚い車の中で殺されてしまうのだろうか。助手席に引きずり込まれ、その黒く汚れた手で首を絞められ、足をバタバタさせながら白い泡を吹いて絶命すると、バッグの中の五千六百円を奪い取られた上、この裏の神社の雑木林の中に捨てられてしまうのだろうか。

そんな考えが一瞬のうちに頭を駆け巡った。
とたんに、ナフタリン臭い喪服を着た義母の笑顔が浮かんだ。それは、祭壇に飾られた私の遺影写真を背後に、町内会の老人相手に次のカラオケ大会では『矢切の渡し』で優勝を狙うんだとはりきっている歪んだ笑顔だった。
焼香台の前では、お香の香りに負けないくらいの香水をプンプンさせた橋下の奥さんが、低所得家庭の宮下の奥さんに「これ去年香港で買ったシャネルなの」と黒いスーツを自慢し、ボケた義父が寺の裏庭で香織璃を抱きながら『赤とんぼ』を唄い、香織璃のオムツの中に指を入れては幼気な蕾を弄り、そして葬儀場の前では、ちんちくりんの喪服で項垂れる旦那がワイドショーのレポーター達に囲まれながら、しきりに夫婦仲を問い詰められては、あたかも『夫が犯人だった』というストーリーに持ち込まれそうになっている。

そんな生々しい妄想が一瞬のうちに脳に広がり、いつも詰まっている右側の鼻穴の通りがスーッと良くなると、なぜか無性に東京ディズニーランドに行きたくなった。小学生の時、父と母の離婚が正式に決定したあの日、生まれて初めて家族旅行した東京ディズニーランドの、あのポップコーンの甘い香りをこの薄汚い車の車内に感じたのだ。

私の体は、まるで何かに吸い寄せられるように、次第に助手席のシートに傾いて行った。
意識が朦朧とする私の中では、ダメ、危ない、殺されるわ、と警鐘が鳴る一方で、この得体の知れない醜男に陵辱されてみたいというマゾ心が、夜の港でちゃぷちゃぷと鈍い音を鳴らす漆黒の海のように深く重く蠢いていた。

一度絡まったら死ぬまで抜け出られない蜘蛛の巣。その太い蜘蛛の糸の一線を超えてはいけないと知りながら、自らそこに絡まりたくなるマゾヒズム。
私は駐車場に女児を残したままパチンコ店へと向かう主婦の後ろ姿に叫ぶ。もう一度冷静になって確認して、と。
しかし欲望に取り憑かれた主婦の心は、これで育児という地獄から解放されたと浮遊したまま、その後の更なる地獄を考えぬまま欲の渦へと巻かれて行く。
私は馬鹿じゃない。私はそんな馬鹿主婦じゃないと必死に叫びながらも、気がつくと私は、カップラーメンの残り汁が染み込む助手席に座っていたのだった。

「秋に発生するカメムシは、その発生量によってその冬の積雪が占えるのさ」

男はバックミラーにぶら下げられた天神様の御守りを指先でピンピンと弾きながら、意味不明な言葉を呟き始めた。車内にはゴミ収集車のニオイが漂い、呟く男の口からも下水道のようなニオイが漂っていた。

「今、麻原が死刑になると、百年後には麻原が伝説となり今のキリストのようになっているという説があるがね。ふふふふふ。湯豆腐にはしょうが醤油と決まってるのさ、ポン酢をかけて食べるなんてのは邪道だよ」

そう支離滅裂な事をブツブツ呟きながら、男はそのガサガサの手を私の太ももの上にソッと置いた。
いつもの凄まじい恐怖が私を包み込んだ。これ系の無法者に身体を弄ばれる時は、いつも最初は凄まじい恐怖に襲われた。しかし、その恐怖はすぐさま強烈な快感に変わっていく事を、私は長年の経験から知っていた。安全地帯のラブホのベッドで、人畜無害のサラリーマンにネチネチと愛撫を受けるよりも、いつ殺されてもおかしくないこの状況で、生ゴミのようなニオイを発する獣に辱められるほうが、肉体的にも精神的にも後に得る快楽は数倍も違うのだ。

私はシートに深く腰掛けながら、スカートの上を這い回る指を目で追っていた。その指が太ももから膝へ降りて行くと、とたんに膝っ小僧がガクガクと震え始めた。指は一度脛まで降りると、スカートの丈を摘みながら再び這い上がって来た。

「牛も豚も最近は高過ぎる。肉屋の下衆共は、高ければ安心できるという消費者の気持ちを上手く利用してるのさ。あんな物、中身は一緒さ、安い肉を高く売ったって貧乏人にゃ味なんかわからないさ。そんなイカサマ肉を高い金を出して食うくらいなら犬を食った方がいい。犬には等級がないからどれも同じ味さ」

完全にスカートが捲られた。白い太ももの谷間に白いショーツが剥き出されれた。見ず知らずの、しかもホームレスのような男にスカートを捲られ、何の抵抗もしないまま、ほんのりと陰毛が透ける部分をマジマジと見られている私は、ついに一線を越えた。何の心構えもせぬまま一線を越えてしまった。そう、今の私は、炎天下の車内で我が子を蒸し殺しにした主婦と、なんら変わりないのだ。

男は私の太ももを優しく開いた。男の汗ばんだ手が太ももを鷲掴みにした瞬間、一瞬にして太ももに鳥肌が立った。
男は開いた股間を覗き込みながら、ふーっと深い溜息をついた。虫歯臭のキツい口臭が、地面から噴き出る地下鉄の風のように沸き上がって来た。
男は真剣な表情をしながら、人差し指をクロッチに突き立てた。真っ黒な爪先が、ワレメの縦筋を沿うようにゆっくり上下に動き出した。その爪先は、ワレメの頂上へと来ると、プクッと突起している豆を一度だけ転がし、そのまま素早く下がって行った。それを転がされる度に私は、船上に打ち上げられた魚のように太ももをピクンッと跳ね上げた。

「コウモリは口から超音波を発して獲物の位置を確認してるんだ。凄いだろ。実際、凄いぜ。俺はもし次に生まれ変われるとしたらコウモリになりたいと思ってるくらいさ」

男はそう呟きながら、私の太ももの付け根に五本の爪を立て、円を描くようにしていやらしくくすぐった。
くすぐったさに堪えきれず、おもわず下半身をクネクネさせると、男は私の顔を覗き込みながら「感じているのか?」と聞いて来た。上目遣いで私の顔を覗き込む男の目は、水中から浮かび上がったワニの目のように不気味だった。

私は下唇を噛んだまま黙りこくった。男はワニ目で私を見つめながらショーツのサイドに指を引っかけ、股間にショーツを食い込ませようとグイグイと引っぱった。

「感じてるなら舐めてやる。感じてないなら舐めてやらん。イエスかノーか。ふたつにひとつだ。どっちだ?」

私は即答で「結構です」と断った。そして慌てて太ももを閉じようとすると、男は突然「嘘だ」と大きな声を出しながら、いきなりショーツの中に手を突っ込んで来たのだった。

一瞬にして男の指が私のワレメを捕らえた。指は素早く小陰唇を左右に広げると、剥き出しにされた粘膜部分を指先で上下に擦りながら、「ぬるぬるだ」と感無量に呟いた。

「こんなに感じているのにどうして嘘を付いた」

男は凶暴な目で私を睨みながら指を押し込んだ。自分でもびっくりするくらい濡れていた私の性器は、何の抵抗も無く男の指を根元まで飲み込んだ。男はハァハァと臭い息を規則的に吐きながら、「嘘をつくと大灼熱地獄に落ちるそうな」と、まるで日本昔話しのように囁いた。

膣内で蠢く指のリズムが脳味噌に伝わって来た。ショーツの中から、くちょっ、くちょっ、という吸盤のような音が洩れ、私は恥ずかしさのあまり「いやっ」と呟きながらそこから顔を背けた。

窓から駐車場が見えた。買い物カートをガラガラと押す主婦たちが、マイカーに向かって黙々進んでいるのが見えた。いつも主人とここに来る時は私もそうしていた。レジを終えた商品をカートに乗せ、主人が待つ車までカートを押して行った。主人は商品を面倒臭そうにトランクの中に押し込んだ。後部座席ではチャイルドシートに乗った香織璃がすやすやと寝息を立てていた。

男はショーツの中から手を抜くと、今まで膣内で蠢いていた中指をマジマジと見つめた。テラテラと輝く男の中指には、まるでヨーグルトの蓋の裏に付着しているカスのような、白濁の液体がドロドロに絡み付いていた。男は指先をくんくんと嗅いだ後、不敵にニヤッと笑いながら私の鼻先に指を突き付けて来た。

「おめぇ、もうすぐ生理だな」

男はひっひっひっと引き攣ったように笑うと、「鉄サビ臭せ」と呟いた。その指から私が顔を反らすと、男はいきなりグロープのような大きな手で私の髪の毛を鷲掴みにした。

「生理は子宮の血反吐だ! 人体で最も不浄な分泌物だ! 生理はおまんこの血の池地獄なんだ、わかってるのかこの馬鹿野郎め!」

いきなり興奮しだした男は物凄い力で髪を引っ張り、キッキッキッと奇声を発しながら私の顔を運転席へと引き込んだ。作業ズボンの股間に私の顔を押し付けた。土埃で汚れた作業ズボンにはオイルの匂いが漂っていた。男は震える指で作業ズボンのファスナーをギリギリと下ろし始めた。病的な早口で「しゃぶれ、チンポしゃぶれ、変態まんこヌルヌルの生理女め、チンポしゃぶりやがれ」と呟いては、唇の端から垂れそうになる涎を何度も啜っていた。

目の前にピーンと突き出されたペニスは正常の域を越えていた。ピンポン玉ほどの亀頭は紫色に変色し、我慢汁がダラダラと垂れる尿道は皮膚病のように赤く爛れ、カリ首にはカサカサに乾いた恥垢が蓄積されては、まるで首にコルセットをはめている人間のようだった。
そんな亀頭を「早よ、早よ」と額に押しつけられた。目の前にゴワゴワの陰毛が迫り、陰毛の中でティッシュのカスや乾いた恥垢がフケのように散らばっているのが見えた。

亀頭が唇に押し付けられると、そこで初めて強烈な生ゴミ臭が鼻をつんざいた。それは、ゴミ収集車が去った後の、ゴミ置場の地面を濡らしている黄色い汁のようなそんな匂いだったが、しかし、そんな下劣な匂いが生理前の私を激しく刺激した。

ハァッと短い息を吐き出した私は、一気に亀頭を銜え込んだ。唇でしっかりと肉棒を挟み込み、口内でれろれろと激しく舌を動かした。男は「あぁぁぁぁ」と唸りながら作業ズボンを足首まで下げると、毛深い太ももをスリスリと擦り合わせながら悶え、私の胸を乱暴に弄った。

口内ではあらゆるカスが蠢いていた。濃厚に舌を這わせながら、これは恥垢、これは糸クズ、これはティッシュのカス、と、ひとつひとつ舌で分別しては、唾液と共に飲み込んだ。

「はぁはぁ……つぼ八は八坪しかない小さな店からスタートしたから……はぁはぁ……『つぼ八』という名になったというが……はぁはぁ……しかしその説は、ホルモンは元々『放る物』だったからホルモンと呼ばれるようになったというくらいに……はぁはぁ……嘘臭い……」

男は、はぁはぁと呻きながらブツブツと呟いていた。私の乳首を乱暴に摘みながら私の舌の動きに身を捩らせていた。私はそんな男を無視しながら一心不乱に舌を動かし、カリ首に蓄積された恥垢を舌先で捲り剥がそうとしていた。

しばらくすると、唾液でふやけた恥垢がポロッと剥がれた。それはまるで奥歯の銀歯がスポッと外れたようなそんな脆い感触だった。それを口からペっと吐き出すと、男の太ももでバウンドしたそれはそのままカラカラとプラスチックのような音を立てながらサイドブレーキの奥へと転がって行った。一瞬しか見えなかったが、それは子供の頃によく食べた『カルミン』のようだった。

病んだ4

恥垢が除去されたカリ首の周辺はそこだけ色が違っていた。生々しくも痛々しい赤色だった。そこに舌を這わせながら再び肉棒を銜え込んだ。どうして私はこんな男の汚れたペニスをしゃぶっているのだろうと疑問を抱きながらも、そのまま頭部を上下に動かし、じゅぷ、じゅぷ、と湿った音を立てた。

男は両脚をピーンッと伸ばしながら、「効くぞ、効くぞ」と唸った。そして私の下半身に手を伸ばすと乱暴にショーツの中に指を入れ、至る部分を指探りした。

「ドロドロだ。おまえのアソコはドロドロに濡れてるぞ。どれ見せてみろ、そのドロドロが不浄な血かどうか調べてやる」

男は私を助手席に突き飛ばすと、いきなり私の両脚をダッシュボードの上に乗せた。そして唾液だらけのペニスを自分でシゴキながら私の股間を覗き込んだ。

そんな男を見下ろしながら、いったい私はこんな所で何をやっているんだと冷静に自分に問い質した。早く香織璃を迎えに行かないと囲碁道場から義父が帰って来てしまう。義母さんは香織璃を義父に預けてカラオケに行ってしまうに違いなく、そうなれば義父と香織璃は二人っきりになってしまうのだ。
不意に、義父のゴツゴツとした指が香織璃のオムツの中に入って行く光景が目に浮かんだ。頭の中で「やめて!」と叫びながらも、しかし私は自らの意思でクロッチを横にズラしていた。

股間を覗き込む男の熱い息が太ももにあたっていた。男は開かれた性器に目を凝らし、「魚のはらわたを抉ったみてぇだ」と呟きながら、物凄い勢いでペニスをシゴいてはピュッピュッと少量の精液を飛ばしていた。

しかし何度精液を発射させても男のペニスが衰える事は無かった。私は、ぴゅっ、ぴゅっ、とシートに飛び散る白い液体を指先で掬い取ると、それをクリトリスに塗り込んだ。精液の潤滑油で滑りが良くなったクリトリスをクリクリと転がしながら、「好きにして下さい」と呟いた。

ぐしょぐしょに濡れた私の性器に男がむしゃぶりついた。ジュブルルルルルっと醜い音を立てながら、膣から溢れる汁を唇で吸い込み、肉の裂け目に太い舌を押し込んできた。生理前の敏感な膣内で不潔な舌がウナギのように暴れ回っていた。

そんな男の舌が肛門を舐め始めた時、私は我慢の限界に達していた。男の肩を突き飛ばし、その醜い体をシートに押し倒した。男は素直に仰向けに寝転がると、口の回りをテラテラと輝かせながら天井に向かって「へへへへへ」と怪しく笑っていた。

毎月第三日曜日の夜しか私を抱かない夫。しかもそれは義務的で、犬のようにただ腰を振っては射精するだけのつまらないセックス。そんなセックスしかしてくれない夫が全て悪いんだと、夫に責任をなすり付けながら男の腰に跨がった。素早く背後に手を回し、お尻から手を突っ込んでは男の太い肉棒を握った。あんかけの中の鶏肉を箸で摘むような、そんなトロトロとコリコリの感触が指に伝わった。

義父に抱かれながら火が付いたように泣いている香織璃が目に浮かんだ。そんな罪悪感と戦いながらも、私が悪いんじゃない、毎月襲って来る生理がいけないんだ、と自己弁護しながら亀頭を膣の入口に挟み、腰を怪しく振りながらくちゅくちゅとイヤらしい音を立てた。

「焦らすな。早く奥まで入れてくれ」

そう囁く男の口元が目前に迫っていた。ドス黒い歯茎は糸を引き、二本しか無い前歯は虫歯で黄色く腐っていた。
私は男の口内に迷う事無く舌を滑り込ませた。そんな男の口内は、先月、隅田川沿いのビニールテントで交わったホームレスの老人と同じメチルタンガスの匂いがした。

男は気が狂ったかのように興奮し、私の舌を必死に吸いまくった。男の背中にしがみつく私は、男のネバネバとする舌を口内に感じながらゆっくりと腰を下ろした。

ぬぷぬぷぬぷ……
穴に沈んで行くペニス。互いに深い息を吐きながら目を閉じた。私は今、この快楽をこの薄汚れた乞食男と共有しているのだと思うと、私の中で激しい嫌悪感と凄まじい性的興奮が複雑に入り乱れた。

男は必死に私の尻を鷲掴みしながら唸っていた。五回ほど連続で激しく腰を振ってやると、男は私の耳元で「あっ、あっ」と情けない声を出した。恐らく膣内でぴゅっぴゅっと射精しているのだろうが、そんな事どうでもよかった。

「いい匂いだ……柔らかい尻だ……あぁぁ、堪んねぇ……」

シートをのたうち回る男を見下ろしながら、私は優越感に浸っていた。クソのような夫と、死神のような義母、そして腐りきった義父の顔が順番に浮かび上がり、その度に私はこの醜い男の肛門を舐め回したい衝動に駆られた。

これはある意味、復讐だった。私の一度しかない人生を、これほどまでにつまらないものに変えてしまったあの親子三人への復讐なのだ。
自虐。それが今私に残された最大の武器だった。あいつらに使い古した雑巾のようにボロボロにされる前に、自らボロボロになってやることがあいつらへの一番の攻撃だと私は本気で思っていた。

「あっ、あっ、また出る、また出るぞ」

男がそう唸った瞬間、私は素早く腰を上げてペニスを抜くと、そのままシートの下へと滑り降りた。そして目の前でピクピクと痙攣する亀頭に舌をテュルッと這わせながら、「飲ませて下さい」と囁いた。

「はぁっ!」とスタッカートな声で唸った男は、足下の私を見下ろしながら目をうつろにさせた。ペニス全体がピクンッ! と大きく脈を打ち、尿道から白く濁った精液がトピュッと飛び出した。
私は慌ててペニスを口内に滑り込ませた。ペニスがドクドクと振動し、大量の精液が喉ちんこに飛び散った。

ざまぁみろ、と誰彼無く呟きながら精液の塊を飲み込んでやった。これだけの精液を放出しても男のペニスは全く衰える事なく、まるで少年のようにピンピンと固まっていた。そんなペニスを執拗に舐めまくり、陰毛の奥へと垂れて行った精液まで一滴残らず舐め尽してやった。

「俺は今でも東条英樹は無罪だと信じているよ。あの戦争は正しかったんだっていつも自分に言い聞かせているんだ俺は。いくらアメリカが彼を戦犯として罰しても、俺の中では東条はいつまでも英雄さ。小林旭も石原裕次郎も彼の前では三下の脇役さ」

男は再び意味不明な言葉を呟き出した。そして灰皿の中で山のように積まれている吸い殻を一本摘まみ上げると、それを唇の端に銜えた。

私はそんな男を無視しながら助手席に這い上がった。そしてそこに両手を付いて男に向けて尻を突き出すと、無言で膣をゆっくりと開いた。

「ま、まだ欲しいのか……」

背後から聞こえて来る男の声は震えていた。灰皿に吸い殻を戻す音が聞こえ、男の汗ばんだ手が私の尻肉にペタリと張り付いた。

「柔らかい肌や……この柔らかい肉の塊に、ビンビンのチンポを突っ込んでズボズボと……あぁぁ堪らん……」

男はそう呟きながら腰を突き出した。ニュルッと固い肉棒が膣口に滑り込み、膣壁をメリメリっと広げながら押し入って来た。一番奥に行き当たると、子宮の壁をドンっと突かれた。「ひっ!」と腰を引くと、男は私の尻肉をペシペシと叩き始めた。

「おまえ、赤ちゃんがいるな?」

男は私の腹を指で擦りながら聞いた。ふと見ると、乳首から溢れた母乳が、腹から太もも、そしてシートにまでだらだらと垂れていた。

「浮気か。乳飲み子がいるというのに、貴様は見知らぬ男とこんな所でオマンコしてるのか。えっ。えっ。ほら、なんとか言ってみろ淫乱お母さん」

男はそう呟きながら、乱暴に腰をガンガンと突いて来た。肉棒が膣壁を激しく摩擦し、コリコリとした肉棒が行ったり来たりする感触に酔いしれた。埃っぽいシートに顔を押し付けながら、「もっと滅茶苦茶にして」と訴えると、男はシャーシャーと乳を搾りながら「殺してやろうか」と笑った。

私は思わず「殺して!」と叫んでいた。シートに噛みつきながら、「あーあー」と獣のように悶えていると、四つん這いになった膝元に何かがタラタラと垂れる感触を感じた。

タプタプと揺れる乳の隙間から膝元をソッと覗き込むと、太ももに垂れる生温かい液体は、真っ赤な生理の血だった。
血を見て更に興奮を覚えた私が、四つん這いになった尻をくねくねさせながら「中で出して!」と叫んだ。男は「しもにてなくまのり」と意味不明な言葉を延々と唸りながら、生温かい精液を膣の中にトプトプと注入したのだった。



              



「しかしあれだね、最近はこんな馬鹿親が多いよな……」

夫はそう呟きながら新聞をテーブルの上に置くと、細い目を更に細くさせながら、湯気の立ち上がるコーヒーをズズズッと下品に啜った。

レースのカーテンが風でふわっと揺らめき、水を撒いたばかりの中庭から朝の爽やかな風がキッチンを通り抜けて行った。対面式キッチンに立つ私は、香織璃の離乳食を作りながらダイニングテーブルに広げられた新聞をチラッと見た。テレビでは『いないいないばあっ!』が始まり、香織璃はきゃっきゃっと喜びながら、オープニング曲に合わせて紅葉のような手をパンパンと叩いていた。

『二歳の女児、五日間放置され死亡 逮捕された二十五才の母親はホストと旅行に行っていたと供述』

そんな記事を目で追いながら離乳食を作り終えると、夫が内ポケットからセブンスターの箱を取り出しながら「まぁ、あれだね……」と私の顔を見た。

「キミの場合はしっかりしてるから、こんな事は絶対にないだろうけど、しかし、こんな女房を持った旦那は本当に不幸だね……」

そう頷きながら煙草に火を付けようとする夫に、「パパ、煙草はお庭でお願い」と私が言うと、香織璃も私の真似をして「おえない」と呟き、赤いリボンの付いた小さな頭をペコッと下げた。

朝のキッチンに夫と私の笑い声がパッと弾けた。それは幸せをたっぷりと含んだ笑い声だった。こんな華やいだ笑い声がいつまでも続けばいいと心の底からそう思った。生理さえ来なければこの笑い声は永遠に続くのにとそう思った。

(月経前症候群・完)



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