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穴 PEEP HOLE3

2012/05/19 Sat 02:10

穴3



午前十一時。小さな庭の縁側で、百円均一で買ったガラスの風鈴がチリチリと優しい音色を奏でていた。
永田のおばさんが路地に並べた植木に水をやり、その路地をヤマギシの移動販売車がゆっくりと通り過ぎ、そしてその移動販売車から流れる不気味なメロディーに、隣りの嶋上さんちの駄犬が狂ったように吠えまくっていた。

この日、いつものように家を出た英樹は、駅前通りをぶらぶらと歩きながら携帯で会社に電話を掛け、熱があるから今日は休ませて欲しいと頼んだ。
妻が十一時にフラワー教室に出掛ける事を知っていた英樹は、その時間を見計らって自宅に帰り、さっそく居間の押入れに自分が入れるだけのスペースを確保した。
押入れの中に座った状態で目線を測り、その目線に沿って襖にアイスピックを突き刺し、そこにボソボソと小さなノゾキ穴を空けた。その穴は襖の上下に二つ空けられ、その光景を上からでも下からでも見えるように工夫されていた。
しかし、その行為が居間で行なわれるとは限らなかった。英樹は、もしかの事を考えて二階の寝室にもノゾキ穴を作る事にした。

寝室の隣りの六畳間を開けると、カーテンが閉めきられた薄暗い部屋には独身男特有の据えた匂いが漂っていた。ここは、昨夜、弟が寝ていた部屋だった。
寝室と六畳間を隔てている壁にアイスピックを突き刺した。壁は思った以上に薄く、尖った先をクリクリと回していると、すぐに直径二ミリ程の穴が空いた。
アイスピックを抜くと、隣の寝室に溢れていた午後の日差しが注ぎ込んで来た。カーテンを閉め切った薄暗い部屋に、レーザー光線のような『光りの糸』がピーンッと張った。
これでは妻に見つかってしまうと焦った英樹は、布団の枕元に転がっていたティッシュでせっせと紙縒りを作り、それをその穴に差し込んだのだった。

居間に戻ると、テレビを見ながらその時が来るのを待った。煙草が無性に吸いたかったが、帰宅した妻に気配を悟られてはいけないと我慢した。代わりに卓袱台の上に置いてあった煎餅を一枚齧りながらテレビを見た。こんな時間に古い『水戸黄門』が再放送されている事を初めて知った。

煎餅をバリボリと齧りながら水戸黄門に見入った。
団子屋の町娘が実は忍びの者だったと判明した瞬間、画面は東京新聞の『ためしよみ』のCMに変わった。
そろそろかな?っと時計を見た英樹は、テレビの音量を消音にすると弟に電話を掛けた。
弟は、今八王子から向かっている途中だから、あと四十分ほどで着くよ、と、なぜか笑いながら答えた。
携帯を切った英樹は同時にテレビも切った。妻が帰って来るまで押し入れの中で寝ていようと思い、自分がここにいた形跡が残っていないかと慎重に確認した後、のそのそと押し入れの中へと潜り込んでいったのだった。

暗闇の中でうとうとしていると、突然、襖の向こうからスーパーの袋がカサカサと鳴る音が聞こえて来た。
来た! と、焦った英樹は慌てて体を起こすと、襖に開けたノゾキ穴の前で片目を瞑った。
台所の奥で冷蔵庫の中にトマトを入れている妻の後ろ姿が微かに見えた。

そのまま妻は台所に立ち続けた。
それから約三十分後、玄関のチャイムが鳴った。「はぁーい」と玄関へと向かう妻は、この日、弟が雨漏り修理に来る事を知らなかった。

驚いた表情で居間に戻って来た妻の後から作業服を着た弟が現れた。そんな弟の両腕には古びた工具箱と短い三脚が担がれていた。
慌ててコーヒーを入れようとする妻に、「こんなの五分もあれば終わっちゃうから」と笑う弟は、さっさと部屋の隅に三脚を立て、カナヅチを握ったまま三脚の上に立った。そんな雨漏り修理は、本当に妻がコーヒーを運んで来る前に終わってしまったのだった。

コーヒーをズズズッと下品に啜る音だけが居間に響いていた。
卓袱台に向かい合わせに座る弟と妻。そんな二人をノゾキ穴から見つめながら、英樹は複雑な心境に包まれていた。
(ヤッて欲しくないが、しかし、ヤって欲しい……)
それは、嫉妬と性的興奮が混ざった歪な感情だった。まるで、ホラー映画が苦手なくせに、わざわざホラー映画をレンタルショップで借りて来ては、その血生臭いシーンに悲鳴をあげたがっている女子大生のような、そんな奇妙な感情だった。

沈黙を破ったのは弟だった。
「二人目の子供はまだ作らないの?」
そう笑いながら妻の顔を覗き込む弟に、その質問は明らかに誘導尋問だと、英樹は乾いた喉にゴクリと唾を飲んだ。
「うん……欲しいんだけどね」
妻は意味ありげにそう微笑むと、「あの人、仕事が忙しいから」と言葉を続け、コーヒーを一口啜った。
妻がそのコーヒーカップを皿の上に置くと同時に、弟がいきなり不敵な笑みを浮かべては、妻をジッと見つめた。
ニヤリと頬を歪ます弟に、妻は少し焦りながらも「え? なに?」と首を傾げて微笑むと、弟はとんでもない事を口にした。
「でも、昨日の晩、あんなに激しいのヤってたじゃん」
その瞬間、妻の顔が一瞬にして真っ赤になった。
改めて告げられたその言葉に、卓袱台の上にサッと目を伏せたまま羞恥に耐えていた妻は、そのまま肉付きの良い下唇をギュッと噛んだ。
「ごめん……覗くつもりはなかったんだけど……義姉さんの声を聞いたらついつい我慢できなくてね……」
弟はそう呟きながら残っていたコーヒーを飲み干した。そして空になったコーヒーカップを摘んだまま妻をジッと見つめると、「だって、ほら、俺はまだ独身だろ……あれはちょっと刺激強すぎるって……」と笑った。それはあたかも、独身の弟が隣の部屋に寝ている事を知っておきながらもセックスをした兄と義姉が悪いんだと責めているような口ぶりだった。

やはり昨夜の弟は幻覚ではなかった。
それを弟が妻に告げたと言う事は、間違いなく今から妻は弟にヤられると英樹は確信した。
英樹は猛烈な嫉妬と興奮に目眩を感じながらも、乾いた唇をペロリと舐めては必死に妻と弟を見つめた。決して妻と弟がヤるのを望んでいるわけではないが、しかしヤるなら早く始めて欲しいと、興奮の汗を額に滲ませる英樹は素直にそう思った。

そう思っている矢先、そんな兄の気持ちが伝わったのか、弟が卓袱台に身を乗り出しながら妻に囁いた。
「ねぇ、義姉さん。お願いがあるんだけど……」
噛んでいた下唇をソッと離した妻は、ゆっくりと視線を上げながら弟を見た。
「義姉さんが今履いているパンティを、ちょっとだけ貸してくれないかなぁ……」
弟のその言葉に、妻とそして押入れから覗いている英樹が同時にギョッと目を見開いた。
「昨日、結局、イッてないんだよ……兄貴に見つかったら大変だと思ってね、途中で部屋に戻ったんだ。だから、昨日からずっとムズムズして堪らないんだよね……」
弟はそう笑いながら作業ズボンの股間をニギニギと握った。
妻は唇をブルブルと震わせながらそんな弟を見つめ、そしてゆっくりと唇を開いた。
「順次さん……悪いんだけど、今日はこのまま帰って……」
「えっ? どうして? 昨日は風呂場で義姉さんのパンティを見てても何も言わなかったじゃん。どうして今日はダメなの?」
やっぱり昨夜の脱衣場でのあのオナニーは、妻に見られている事を知った上での行為だったのかと、弟のその確信的な犯行に英樹は怒りを覚えた。
「ごめんなさい。今日はもう帰って」
そう言いながら立ち上がろうとする妻の手を、弟は素早く握りしめた。
「わかったよ。帰るよ。帰るからさぁ、ちょっとだけ今履いてるパンティを貸してよ」
腕を強く握られた妻は、その強引な弟に、サッと恐怖の表情を浮かべた。
しばらくそんな弟を見つめていた妻だったが、不意に糸が切れたように諦めの表情を浮かべると、ゆっくりと項垂れながら、立ちかけていた膝を再び元に戻した。
震える声で「わかったから手を離して」と小さく呟くと、弟は不敵に笑いながら、握りしめていた妻の手首をソッと離したのだった。

居間の柱時計が十二時半を告げた。
古めかしいボーンっという音が聞こえると同時に、弟が作業ズボンのベルトを外す金属音が響いた。
素直に下着を脱いだ妻をそのまま強姦するつもりだな、と思った英樹は、なんという卑劣なヤツなんだと握りしめた拳をブルブルと震わせた。
が、しかし、その一方では、弟の巨大な肉棒を無理矢理捻り込まれては、快楽に身を捩らせながら畳に七転八倒する妻を見てみたいという異常な願望が、英樹を包み込んでいた。

弟に背を向けながらスカートの中に手を入れていた妻が、背後から聞こえて来るベルトの金属音に慌てて振り返った。
「どうして脱ぐの! 下着をあげたら帰ってくれるって言ったじゃない!」
顔を引き攣らせながらそう叫ぶ妻に、弟は、「ここで抜くから、義姉さん見ててよ」と呟きながら作業ズボンをスルスルと下ろした。そして弟は、五〇〇ミリリットルのペットボトルはあろうかと思われる巨大な肉棒を妻の目前に突き出しながら、「昨日みたいにね」と付け加え、意味ありげにニヤリと微笑んだのだった。

そんな弟の下半身から慌てて顔を背けた妻は、しばらくの間、赤らめた顔を項垂らせていたが、急に何かを思い立ったかのように急いでパンティを脱ぎ始めた。そして脱ぎ取ったパンティの裏側をこっそり確認しようとクロッチを広げた瞬間、妻の肩から弟の手が伸び、素早くそれを奪い取った。
「義姉さんって顔に似合わず地味なパンツ履いてんだね」
そう薄ら笑いを浮かべる弟は、慌てて奪い返そうとする妻の手を払い除けながら、素早くパンティの裏側を広げた。

IMG_09720_convert_20120928131145.jpg

「わっ、凄いねこのオリモノ」
そんな弟の下品な言葉に、たちまち顔をカッと赤らめながら羞恥の表情を浮かべる妻は、小刻みに肩を震わせながら項垂れた。
「ダメだよ義姉さん、ちゃんと見ててくれなきゃ」
弟はニヤニヤと笑いながら、項垂れる妻の顔を覗き込み、わざと妻に見せつけるようにその黄色いオリモノのシミをクンクンと嗅いだ。
「あぁぁぁ……堪んないねこの匂い……発情した中年女独特の変態臭がムンムンしてるよ……」
そう呟く弟は、いつの間にかペニスをシゴキ始めていた。妻の目の前で、妻のパンティのシミを嗅ぎながらシコシコとシゴく弟のその姿は、まさに変態性欲者そのものの奇妙な姿だった。

妻は、奇妙な弟の姿を見つめながら、「やだ……」と眉間にシワを寄せた。そんな妻は、まるで、見知らぬおじさんからいきなり性器を見せつけられた小学生のように脅えきっていた。
弟はハァハァと荒い息を吐きながら、パンティを卓袱台の上に広げた。黄色く染まった恥ずかしい部分が午後の日差しの中に曝け出された。
「あぁぁ、凄く興奮して来たよ」
そう呟きながら、弟は妻の陰部が密着していたその部分にペニスを押し付け、我慢汁が溢れる尿道にその黄色いシミをスリスリと擦り付けた。
それを横目で見ていた妻は、「順次さん……もう許して……」と、今にも泣き出しそうな声で呟いた。
そんな妻をニヤニヤと笑いながら見つめる弟は、急にペニスをシゴく手を早めると、「早く終わらせるからさ、義姉さんのスカートの中を見せてよ」と声を震わせた。
「ダメよ……」
妻は項垂れたまま、首を大きく横に振った。
「どうしてだよ……昨日は自分で開いて見せてくれたじゃないか……凄かったよあのオマンコ。ぐちょぐちょに濡れてたよね……だからさぁ、ちょっとだけだよ、チラッと見せてくれるだけでいいんだよ、そうすればすぐにイクからさぁ」
弟はそんな自分の言葉に興奮しているのか、「あぁぁぁ」と深い唸り声を上げながらペニスをシゴきまくった。
項垂れたまま弟の醜態を横目で見ていた妻は、それが得策だと思ったのか、「本当にすぐにイってくれるの?……」と呟いた。
「ああ、本当だよ……義姉さんの綺麗なアソコを見ながらだったら、ものの数十秒でイッちゃうよ……」
そんな弟の言葉を真に受けた妻は、正座していたスカートを少しだけズラした。スカートの中から真っ白な太ももが顔を出し、それを押入れから見ていた英樹はおもわず股間を握ってしまった。
「そんなんじゃ何も見えないよ……そこにしゃがんで……オシッコする時みたいに、そこにしゃがんで……」
弟は荒い息を吐きながら畳の上にうつ伏せになった。そして畳にペニスを押し付けながら腰を振ると、ザラザラと乾いた音を響かせた。
そんな弟の頭上にゆっくりと立ち上がった妻は、下唇をキュッと噛みながら床に這いつくばる弟を見下ろした。
「本当にすぐに終わらせてね……約束よ……」
そう呟く妻の震える膝がゆっくりと曲った。弟の顔の前にストンっと腰を下ろした妻は、もう一度「約束よ……」と念を押すと、そのしゃがんでいた股をゆっくりと開いたのだった。

ノーパンでウンコ座りした妻の股間を、畳に這いずりながら覗き込んでいた弟は、畳にコキコキと腰を動かしながら「濡れてるね」と一言呟いた。
確かに、妻の陰部は濡れていた。押入れから覗く英樹からも、歪に開いた陰部がキラキラと輝いているのがわかった。
「うわぁ……いやらしい汁が肛門まで垂れて来てるよ……義姉さん、本当はヤりたいんだろ?」
畳に這いつくばる弟は、亀が甲羅から顔を出すように、妻の股間に顔を伸ばしながらそう笑った。
妻は弟の言葉を無視するかのようにスッと顔を背けた。妻の顔が押し入れの中に潜む英樹に向いた。そんな妻の表情は、セックスの時に垣間見せる火照った表情だった。

ハァハァと生温かい息音を立てていた弟は、ペニスをしごきながら首を斜めに傾け、しゃがんだ妻の股間の裏を覗き込んでいた。
「義姉さん……肛門がぷっくりと膨らんでるよ……」
そう笑いながら妻の足の親指の爪先をクンクンと嗅ぐ弟に、妻は露骨に嫌な表情をしながら「早くイッて」と急かした。
「早くイケってさぁ、こんなにヌルヌルに濡らしておきながら良く言うよ……本当はヤリたいんでしょ? この大きなチンチンをぶち込んで欲しいんでしょ?」
弟が体を横に向けながらそう言うと、畳に擦り付けられていたペニスがビョン! と飛び出した。
「ほら、凄いでしょ……ガチガチに固いよ……兄貴のチンポなんて比べ物にならないでしょ……」
弟が太い肉棒を畳にドンドンっと叩き付けると、妻はそれを横目でソッと見た。そんな妻の喉元がゴクリと動くのを英樹は見逃さなかった。
「こんなのをズボズボとされたら堪らなく気持ちいいと思うよ……正直言ってズボズボされたいでしょ?……っていうか、ほら、義姉さんのオマンコから汁が垂れそうだよ。あ、ほら、垂れる」
その瞬間、いきなり舌を伸ばした弟が首をヌッと伸ばした。しゃがんだ妻の股間に顔を押し込んだ弟は、まるでレスリングをしているかのように妻の両脚をガッと押さえ込んだ。
押し入れの中で「あっ」と小さく叫んだ英樹は、おもわずノゾキ穴から顔を背けてしまった。それを期待して押入れに忍び込んだはずなのに、いざそれが始まるとなると、その残酷すぎる光景に気の小さな英樹は目を背けてしまった。
「順次さん、だめ、やめて!」
途切れた妻の声と共に、肉の塊が畳に倒れ込むドスンっという鈍い振動が押入れの襖をゴトンと揺らした。
衣類が畳に擦れるような乾いた音がカサカサと響き、その中にハアハアと湿った息づかいも混じっていた。
その荒い息づかいが明らかに妻のものだとわかった英樹は、押入れの暗闇の中で下唇を強く噛んだ。そんな英樹の脳裏に、昨夜、弟に見られながらも激しく乱れていた妻の痴態が、鮮明に甦ってきたのだった。

(つづく)

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