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変態管理人10



薄暗い脱衣場にはミント系の歯磨き粉の匂いが充満していた。
奥にあった洗濯機の蓋を開けると、思った以上に洗濯物は無く、ドラムの底の方に湿った衣類がペシャリと転がっているだけだった。

そんな少量の洗濯物だった為、パンティーを発見するのは容易かった。
天草は恐る恐るその黒いパンティーを摘まみ上げた。黒い生地の端に赤いレースが縫い付けてあるという、なかなか可愛いパンティーだった。

そんなパンティーをゆっくりと開きクロッチを露出する。そこには黄色が掛かった真っ白なオリモノが、まるで膝っ小僧の擦り傷のようにガサッ!と激しく染み付いていた。

一瞬、さっき寝室で嗅いだ据えたニオイを思い出した。このオリモノもあんな匂いがするのだろうか……と、恐る恐るクロッチを鼻に近付ける。
鼻先に乾いたオリモノが触れるガサッとした感触を感じた。天草はビビりながらもゆっくりと鼻で息を吸い込んだ。

モワッと濃厚な陰部の香りを感じた。それは不潔なイカ臭や、小便の残り汁が発酵したチーズ臭ではなく、ズバリ牝豚の匂いだった。
牝豚の匂いとは、つまり「ヤリマン」の匂いという事だ。そう、このクロッチに濃厚に漂っている香りは、興奮時に溢れてくる性的分泌物の香りであり、それは純粋に女の性器から滲み出た愛液の匂いなのだ。

(昨日……オナニーしたんだろうなきっと……)

そう思いながらクロッチのシミを嗅いでいると、なぜか無性にあの風船少女が愛おしくなって来た。

(あいつも年頃の女の子だもんな……たまにはエッチな気分になってオナニーしちゃう事だってあるさ……)

天草は勃起したペニスを剥き出しにすると、それを激しくシコシコとシゴきながら、牝豚の香り漂うクロッチをザラザラと舐めた。
乾いたオリモノが天草の口内で溶け、まるでオブラートを口内で溶かしたようなヌトヌト感が口の中に広がった。ペチャ、ペチャ、と濃厚に糸を引く舌を蠢かせながら、風船少女のオマンコを舐めるシーンを想像し、そのままトボトボと寝室へと向かった。

まるで少女の体をベッドに押し倒すかのように、ベッドの上に唾液で濡れたパンティーを叩き付けた。そしてベッドにうつ伏せになると、そのパンティーにペニスを擦り付けた。

「おら……おら……気持ちいいか……」

ベッドに広げたパンティーに腰をクイクイと振りながら呟く。唾液でふやけたオリモノが、天草の亀頭にヌルヌル感を与えた。

「ほら、もっと感じてみろ基地外……恥ずかしがらなくてもいいんだ、気持ち良かったら声を出してもいいんだぞ……」

恥ずかしがる少女の白い肉の中に、ペニスをヌポヌポとピストンさせるシーンを想像しながら、天草は激しく腰を振る。

(オナニーしてたんだ、あの変態少女は、このベッドの上でエッチな気分になりながらオナニーしてたんだ……)

ハァハァと荒い息を吐く天草は、不意に「うっ!」と枕を鷲掴みにした。そして、そのままベッドに広げたパンティーに射精してしまおうと、猛烈に腰を振りながら「イクッ!」と叫んでは「うっ!」と顰めた顔をあげた。
ベッドの上に広げられたパンティーに「ドピュ!」と精液が豪快に発射された。それと同時に、真正面に貼ってあった教祖の仮性包茎が天草の目に飛び込んで来た。
「くそっ!」と叫びながら慌てて目を反らしたが、しかしせっかくの射精快楽は、目の前の教祖のお粗末な仮性包茎のおかげで全く得る事ができなかったのだった。




その日から、天草は毎晩監視モニターとニラメッコしていた。
確かにその画面には毎晩ホームレスが映っていた。毎晩九時になると五十半ばの薄汚い親父がそこにやって来ては朝方までポツンと座っていた。
しかしそれはただ座っているだけであり、弁当を食い散らかしたりビールを飲んだりもしない。ただただ朝方までボーッと一人で座っているだけだから、当然セックスなど有り得なかった。

「なんだこの乞食野郎。いつになったらオマンコすんだよ!」

まるで浦安のストリップ小屋でなかなか女陰を開張しない事に腹を立てる土木作業員のようにそう吐き捨てた天草は、オマンコしないならとっとと追い出してやると金属バットを手にして立ち上がった。
と、その時だった。画面の右端に映っていた非常口のドアが、いきなりギギギっと音を立てて開いたのだ。

バットを手にしたままの天草は「ん?」と首を傾げてモニターを覗き込む。そのドアはマンションの内側からしか開かないドアであり、そこを開けられるのはマンションの住人しかいないのである。

「誰だ?……こんな時間にこんな場所に来るのは……」

時刻は深夜十一時。しかもそこにはホームレスが潜んでいる。これは危ないぞと思いながら素早く現場へ向かおうとした瞬間、モニターの小さなスピーカーから「待たせてゴメンね」という声が聞こえて来たのであった。

モニターに映るその女は、紛れもなく五〇一号室の風船少女だった。少女は真夏だというのに真冬のコートを着込み、そして両手にはコンビニの袋を抱えていた。少女はその袋から弁当やビールを取り出すと、それをニヤニヤと笑うホームレスに手渡し、「最近色々と忙しくて来れなかったの。ごめんね」などとほざいている。

「このバカ……ホームレスを餌付けしてるよ……」

天草は呆然としながらそう呟くと、そのままストンと事務椅子に腰を下ろし、呆れ顔で画面を見続けた。
ホームレスは何やら意味不明な言葉を呻きながら、震える手で缶ビールをグビグビと飲みまくっていた。そして獣のようにガツガツと弁当を貪り喰うと、少女に向かって「煙草をくれ」と抜けた前歯でニヤリと笑った。

「煙草はいけません。煙草はマンニナーバのエネルギーを著しく消失します」

少女はホームレスにピシャリとそう言うと、そのまま、折った割り箸を爪楊枝代わりにしているおっさんホームレスの肩を優しく擦りながら「さあ、マンニナーバ。共に祈りましょう」と微笑んだ。

それから二人の奇妙な踊りが始まった。狂った少女と薄汚いホームレスはまるで太極拳のような踊りを舞い、そして時折、「ホンマニナーナ、サラマンラピー」という奇声を発していた。
そんな二人を見て、天草は素直に爆笑した。そこが非常階段の踊り場だけに、「踊り場で踊りを踊る馬鹿二人」と腹を抱えながらゲラゲラと笑った。
が、しかし、そんな天草の笑いはいきなり「ヒクッ」と喉を鳴らしたまま急停止した。
それは、少女が踊りを舞いながら冬物のコートのボタンを一つ一つ外し、その中から真っ白な裸体をチラチラと覗かせ始めたからだった。

そんな少女のコートの中は明らかに全裸だった。タプタプと白い乳が揺れ、剛毛な陰毛がチラチラと顔を出していた。そんな少女の足下にホームレスが平伏し、非常階段の縞鋼板に顔を押し付けてはコートの下から中を覗いていた。
少女はコートのボタンを全て外し終えると、足下のホームレスを見下ろしながら「マンニナーバに教祖様のエネルギーをお分け致しましょう」と呟いた。彼女のその時のその目は、まるで覚醒剤中毒者のように異様にギラギラと輝き、それまでの風船のようなフワフワとした感じは微塵も消えていた。

そんな少女は非常階段の踊り場の床に静かに腰を下ろした。そしてハァハァと目を血ばらせるホームレスの前で、股を大きくM字に開いたのであった。

「こ、これは……スゲェ……」

天草は慌ててモニターの録画スイッチを入れた。宗教に狂った少女とホームレス信者の非常階段セックス。これはそこらのエロ動画サイトではなかなかお目にかかれないシチュエーションだと激しく興奮した。

少女は赤く痛々しいワレメをパックリと開きながらホームレスを見つめていた。
ホームレスは非常階段の床に顔を押し付けながら少女のワレメを覗き込み、そして泥に汚れた作業ズボンから真っ黒なペニスを突き出してはそれをシコシコとシゴいていた。

「舐めでもええが?」

顔面を汚れた脂でダラダラに光らせたホームレスが少女に聞いた。

「私のココを舐めたいのマンニナーバ」

少女はギラギラした瞳のままそう聞く。どうやらこのホームレスはマンニナーバというホーリーネームを授かっているようだ。

ホームレスは少女の了解を得ぬまま少女の股間に顔を埋めた。
「待ってマンニナーバ、その前にお祈りを――」と少女が叫ぶのを無視して、ホームレスは少女の細い両足を両腕でガッチリと固定した。
「ベプベプベプ……」という卑猥な音がモニターの小さなスピーカーから洩れ、そのシーンを見れない天草の想像を激しく掻き立てた。

座っていた少女は仰け反り、両太ももをヒクヒクと痙攣させながらハァハァと荒い息を吐く。
ホームレスは少女の股間の中で激しく顔を左右に揺らし、それと同時にどす黒いペニスを己でシゴいていた。
すると、突然そこにもう一人のホームレスがノソッと現れた。少女の股間に顔を埋めていたホームレスが、その男に向かって「あっぢいげ!」と、まるで餌を横取りされそうになった高崎山の猿のように叫ぶ。
そんな新規のホームレスに向かって少女が言った。

「あなたは新入りね。名前は?」

少女は股間のホームレスを突き飛ばしながらそそくさと立ち上がると、階段の上部から新入りホームレスを見下ろしそう聞いた。

「お、俺は、荒谷和男、茨城出身、昭和三十二年七月四日生まれ、無職……」

男は少し脅えながらボソボソッと呟いた。

「そう。荒谷君ね。じゃあアナタには『マーリーキナバーヤ』という名前を授けます。明日の十一時、もう一度ここに来なさい。その時、あなたに教祖様のパワーを授けましょう」

少女は男を見下ろしながらそう告げた。
男は少女の剥き出しになった股間をチラチラと覗きながら「わかりました……」と頷き、そのまま静かに階段を降りて行ったのだった。

「は、はやぐ、サせてくでよ……」

男の足音が階段の底に消えて行くと同時に、もう一人のホームレスがそう唸りながら少女の腕を掴んだ。そんなホームレスはいつのまにか全裸になっていた。

「慌てないでマンニナーバ!」

少女はそう叫びながらホームスの腕をピシャリと払った。
そしてホームレスの目をジッと見つめながら「慌てる乞食は貰いが少ない。この言葉をよ~く覚えておきなさい」と諭すように呟くと、そのままゆっくりと背を向け、ホームレスに向けて大きな尻を突き出したのだった。

ホームレスはそんな少女のプヨプヨの尻に貪りついた。握ったペニスを少女の尻の谷間に擦り付け、ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ、という卑猥な音を立てた。そして少女の腰を両手でしっかりと固定すると、ホームレスはそのままおもいきり腰を突き立てたのだった。

それはまるで獣の如く凄まじいセックスだった。
ホームレスが激しく腰を振る度に少女は泣きわめき、挙げ句の果てにはビシャビシャと小便を洩らしては、黄金色の液体を足首にまで垂らしていた。

ホームレスは少女の尻からペニスをスポンっと抜くと、その開いたままのワレメを指で乱暴にほじったり、ベロベロと舐めたりして、またソコにヌルッとペニスを挿入した。
そのうち少女は床に押し付けられ、強引な正常位で激しく攻められた。非常階段の床がバコバコと音を立て、少女が悲鳴をあげた。

「待ってマンニナーバ! 背骨が痛いわ!」

少女のその声に、モニターを見ていた天草は爆笑した。
マンニナーバと呼ばれたホームレスはそれでも容赦なくガンガンと腰を打ち付けて来る。

「待ちなさいマンニナーバ。ここでは私のパワーが失われてしまうわ。だから私の部屋に行きましょう」

少女が必死にそう叫ぶと、そこで初めてマンニナーバの腰はピタリと止まったのだった。

その後、二人はマンションの中へと消えて行った為、天草はその続きを見る事ができなかった。
しかし、彼女の部屋にも盗撮カメラは仕掛けてあるため、なんとか画像だけは見れそうだと、天草は誰もいなくなった非常階段の監視モニターのスイッチを切った。

シーンと静まり返った深夜の管理人室で、天草は煙草の煙をくねらせた。監視モニターに映っていたあの獣のような凄まじいセックスがボンヤリと浮かび、少女の荒々しい息づかいが甦った。
天草は勃起したペニスをズボンから捻り出した。そして我慢汁が溢れるソレを、くちゅ、くちゅ、とシゴきながら、やっぱりあの子は狂っている……と、つくづくそう思ったのだった。




翌朝、専門学校へ向かう風船少女を管理人室の前で呼び止めた。

「ちょっと聞きたいんだけど……」

そう言いながら、小窓から少女の顔を覗き込むと、少女はいつものふわふわとした表情のまま「西城秀樹の事ですか?」と首を傾げた。

「あ、あぁ、うん、まぁ、そうなんだけど……」

少女からその怪しい宗教の実態を聞き出そうとしていた天草だったが、しかし不意に少女の口から飛び出た「西城秀樹」という言葉に、気を飲み込まれてしまい、そう返事するしかなかった。

「西城秀樹は四年後、アメリカの大統領に選ばれます」

少女は柔らかそうな唇をポニョポニョとさせながら奇怪な事を言いきった。

「で、でも……西城秀樹はアメリカ人じゃないよね?」

天草がそう言いながら少女の表情を伺うと、少女はクスッと微笑みながら「オバマだって朝鮮人じゃないですか」と呟き、そのままスタスタと去って行ってしまった。
天草はそんな少女の後ろ姿を見つめながら(あのレベルは半端じゃねぇぞ……)と呟いた。
警察官時代に数々の危ないヤツラを見て来た天草だったが、少女のその奇怪な言葉と、あの冷静な表情、そして昨夜のあの狂った行動から見ても、これはオウムを軽く超えるサイコパスだと身震いした天草は、一刻も早く少女の部屋に家宅捜査しなければとエレベーターに飛び乗ったのだった。

そんな少女の部屋は、いつもと何ら変わりない雰囲気のままシーンと静まり返っていた。
ただ、寝室のベッドからは相変わらず死体のような異臭が漂い、過去に何度か腐乱死体を見た事のある元警察官の天草は、その異臭に唯ならぬ不安を覚えていたのだった。
が、しかし、その異臭の原因はすぐに判明した。それは、寝室の天井に仕掛けていた偽火災報知器の盗撮カメラが、その証拠をしっかりと捉えていたからだ。

ベッドで少女と交わっているその男は、明らかに昨夜のホームレスだった。
少女の両足を高く掲げさせ、根元までブスリとペニスを突き刺しながら腰を振るその姿は、実に気持ち良さそうだった。
このベッドに漂う異臭がこのホームレスの体臭である事は間違いなかった。この匂いは明らかに彼らが持つ体臭であり、隅田川のビニールシートでムンムンと籠っているあの強烈な悪臭と全く同じなのである。

天草はそんなベッドにゆっくりと腰掛けながら、しかしよくもまぁあんな臭い男と……と、改めて少女の異常性に戦慄した。
そして一応、少女のパンティーも確認しておこうと、脱衣場へ行き洗濯機を開けた。
洗濯機のドラムの中には毛玉だらけのピンクのパンツがバサッと転がっていた。クロッチには激しい黄色いオリモノが付着し、匂いを嗅ぐと鼻がひん曲がりそうなくらいのスルメ臭がツーンと漂っていた。
それは、前回に見たパンティーのシミとは明らかに違っていた。確か、前回のパンティーにオリモノはほとんど無く、その代りに性的分泌物と思われる愛液がべっちょりと付着していたはずだった。
あの時、天草はその芸術的な汚れに感激し、そのいやらしい匂いが漂うシミを全て舐め尽くしてしまっていたはずなのである。

(こんなに違うとは……体調でも悪いのか?……)

そう思った瞬間、あの時の愛液は、もしかしたらホームレスの精液だったのかも知れない、という嫌な予感が頭を過り、瞬く間に天草の背筋をゾゾッと凍らせた。
とたんに気分を害した天草は、そのスルメ臭いパンティーでヌく気にもなれず、何もせずまま少女の部屋を後にしたのだった。

管理人室へ向かうエレベーターの中、天草はふと考える。

(あんな薄汚いホームレスにタダでヤらせるくらいだから、あの子はかなりのスキモノなんだろうな……)
 スキモノという言葉を素早く「変態」と変えながらも、天草は(ならば俺だってあの子とセックスできるかも……)

凄まじい欲望が膨らんだ。
しかし、元警察官という性質は必要以上に警戒心が強かった。もしあの子に手を出した事がマンション中の噂となり、結果、この天国のようなマンションの管理人職を手放す事になるのではないかという恐怖に駆られ、天草は仕方なくそのドロドロと溢れる欲望を諦めざる得なかったのだった。

そんな天草が残念そうにエレベーターを下りると、管理人室の前に一人のホームレスがポツンと立っていた。
「なんか用か」とそのホームレスに迫って行くと、なんとそれはホームレスでなく電気工事のおっさんだった。

「なんだよ、あんまり汚ねぇ服着てるから、てっきりホームレスかと勘違いしちゃったぜ」

そう言いながら天草が笑うと、電気工事のおっちゃんは「そうなんだよ、屋根裏に入ってたからさぁ作業着が埃だらけになっちまったんだよ……」と悲しそうに笑い、作業服の埃をパタパタと叩いた。
そんな汚れた作業着を見ていた天草の脳裏に、なにやら凄まじい閃きがピピピーンっと走った。
「これ、定期点検の控えだから」と管理人室のカウンターに書類を置く電気工事のおっちゃんに「ああ、了解了解、そこに置いといてくれ」と慌てて返事をした天草は、そのまま何かを追い求めるかのように急いで奥の自室へ飛び込んだ。
そして部屋の奥のクローゼットを開けると、中から大量の衣類をバサバサと引きずり出し、何かを探しまくった。

「あった!」

そう叫びながら天草が取り出したものは、ボロボロに破れた作業服であった。





深夜十一時。マンションの非常階段の下の暗闇の中に、まるで蛍のようにポツンと煙草の光りが赤く灯っていた。
そんな煙草の灯りの前を一人の男がそそくさと通り過ぎようとしていた。

「おい。待たんかい」

そう唸る男が、煙草を地面にバチっと叩き付けた。
煙草の火がパラっと散り二人の男の足下を一瞬赤く輝かせた。

「な、なんですか……」

呼び止められた男は、脅えながら暗闇の男に振り向いた。

「俺はこのマンションの管理人だ。てめぇ、この看板が見えねぇのか?」

天草はホームレスの襟首を鷲掴みし、非常階段の入口に掲げられていた『立入禁止』の看板に顔を押し付けた。

「す、すみません……」

ホームレスは生ゴミのような息を吐きながら逃げようとした。そんなホームレスの襟首を更に強く握りながら天草は言った。

「いいか。二度とここに来るんじゃねぇぞ。今度見つけたら不法侵入で訴えるからな。てめぇの仲間にもそう言っておけ」

そう言いながら襟首を突き放すと、栄養不足のホームレスはドテッと地面に尻餅を付き、「あわわわわ」と慌てながら走り去って行ったのだった。

ホームレスの姿が完全に消えると、天草は急いで管理人室に戻った。そして五階に設置しておいた監視カメラのモニターを見つめながら、慌てて服を脱ぐ。

「俺の名前はマーリーキナバーヤ……マーリーキナバーヤ……マーリーキナバーヤ……」

天草はその覚えにくい名前を必死に暗記しながら、ボロボロになった作業服に着替えた。そして髪の毛をくしゃくしゃにし、顔中に薄茶色の靴墨を薄く塗り付けると、台所にあった生ゴミの袋に滴る臭汁を手の平に掬い、それをボロボロの作業服に塗りたくった。

「俺はマーリーキナバーヤ。本名は荒谷和男、茨城出身、昭和三十二年七月四日生まれの無職」

昨夜録画していたホームレスの言葉を完全に暗記した天草は、自分のその薄汚い姿を窓ガラスに写しては「完璧だ」と呟いた。

その時、不意にモニターから「ガチャ」というドアが開く音が聞こえた。
慌ててモニターを見ると、今まさに五〇一号室のドアが動いた形跡がそこに見えた。
天草は「来たぞ、来たぞ」と興奮しながら、急いでモニターの画面を切り替えた。
小さなモニターに非常階段へと続く屋内階段がボンヤリ映し出された。そこには、真っ赤な網タイツを履き、スケスケのキャミソールに黒いTバックを浮かび上がらせた風船少女が、ゆっくりと非常階段へと向かう姿が映し出されていた。

「よし! マーリーキナバーヤの出動だ!」

そう叫んだ天草は管理人室を飛び出したのだった。






女だけが住む女性専用マンション。
このハーレムなマンションで管理人を勤める天草松夫。
彼の欲望は尽きる事なく、更に更に新しい快楽を求めようとこのハーレムに潜み続ける。
そんな彼のその卑劣で卑猥な破廉恥行為は、今、始まったばかりだった。


(変態管理人・完)

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