銀座の変な物語2
2011/08/19 Fri 10:34
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11時30分。銀座が最も華やいでいる時間帯だ。
僕は、お店にメイサが出勤している事を電話で確認すると、そのまま八丁堀のマンションへと車を走らせた。
15階建てのそのマンションは、銀座の売れっ子ホステスにお似合いのゴージャスなマンションだった。
マンションから少し離れた路上に車を止めた僕は、メイサのキーケースから無断で作った合鍵をポケットの中で握りしめ、暗い裏路地をジリジリと小石を踏みしめながら歩いた。
誰が見ても100%の確立で「綺麗」、「可愛い」、「美人」と唸り、おもわずポッとなってしまうほどに美しいメイサ。しかも銀座の売れっ子ホステスだ。そんな彼女に男がいないわけがない。
僕はビルの隙間からメイサのマンションをソッと見上げた。
瞬間、男がいたらどうしよう・・・っという恐怖で僕の足の指がキュッと縮まる。
僕はビルの上にポッカリと浮かぶ満月を見つめながら、メイサのあのエキゾチックな瞳を思い浮かべる。そして、メイサの華奢な肩と細い首筋、長い脚とあの黒いパンティーに包まれたゴム毬のような美尻を思い浮かべ、その恐怖を掻き消した。
(もし、男がいたら逃げればいいんだ・・・・)
心でそう呟きながら再び歩き出すと、民家の塀の隅から僕をジッと見つめていた野良猫が、妖気漂う声で「ナーゴ」と鳴き、真っ赤な舌を輝かせながら牙を剥き出しては威嚇したのだった。
マンションの1階フロアに行くと、近未来的な光を輝かすオートロックが僕を待ち構えていた。
しかし大丈夫。こんな物では部屋の合鍵を持っている僕を制止する事は出来ない。
それに、このオートロックは今の僕には逆に好都合だ。ここで部屋のチャイムを鳴らせば、今メイサの部屋に男がいるかどうかを確認する事ができるのだ。
僕は、前回このマンションに醤油を配達した時と同様に、オートロックのプッシュを『906』と押した。
「プル、プル、プル、プル・・・」
インターホンの小さなスピーカーからベルが鳴り響いた。僕は自動ドアの上に付いている監視カメラから意図的に顔を背けながら、誰も出ないでくれ、と祈ってはスピーカーを見つめていた。
果たしてそのベルは一向に鳴り止まず、今メイサの部屋には誰もいないという確認が取る事が出来た。
僕は監視カメラを意識しながら、わざとらしく「ちぇっ」と舌打ちをひとつすると、「あいつ、どこ行ったんだよ・・・」と独り言を呟いては、ポケットから鍵を取り出した。
そんな僕の手には2つの鍵が握られていた。その鍵がこのマンションの鍵かどうかはまだわからない。僕はドキドキしながら大きいほうの鍵をソッとオートロックの鍵穴に差し込んだ。
その鍵は、何の抵抗もなくズズッと押し入ってくれた。一気に叫び出したいほどの嬉しさが込み上げて来るが、しかし監視カメラがジッと僕を見つめている為、ここは不審な行動は控えなければならない。
込み上げて来る嬉しさを必死で堪えながら嗅ぎを回す。
その瞬間、重厚な自動ドアが「ズイィィィィィ」という大袈裟な音を立てて開いたのだった。
オートロックという第一関門を難なく突破した僕は、そのまま平然を装いながらエレベーターに乗込んだ。しかしまだまだ油断は禁物だ。ここでも監視カメラがジッと僕を捕らえているのだ。
9階でエレベーターを降りると、9階の通路から都会の夜独特の乾いたコンクリートの匂いが漂って来た。
そんな埃っぽい通路に出ると、生温かい突風に吹かれながら906号室へと向かう。
その通路からは、夜空に銀座の華やかなネオンがモワッと輝いているのが見えた。しかしそんな景色を眺めている余裕は僕にはなかった。遠くから聞こえてくる救急車の音を微かに聞きながら、僕はまるで刑務所の看守のように無表情で通路をひたすら歩いていたのだった。
906、とプレートが掲げられているドアの前で静かに足を止めた僕は、ここが1番厄介な関門だと恐怖に満ちた深い溜息を履いた。
そう、たとえマンション玄関のオートロックで誰も対応しなかったと言えど、だからと言ってこの部屋に絶対に誰もいないとは限らないのだ。
僕は酒屋の配達をしているからよく知っているが、最近は怪しげな訪問販売が多いためインターホンですら対応しない家庭が多くなっている。
しかも今は深夜だ。こんな時間にインターホンを鳴らす者は怪しい人物に違いない。間違っても宅配便やNHKの集金係はこんな深夜にはやって来ないのだ。
そう考えると、この部屋に潜んでいるかもしれない者が、あえてインターホンに対応しなかったという可能性は無きにしも非ずなのである。
だから僕は、ここが最も難解な関門だと腹を括った。
深く深呼吸しながらドアの横にあるチャイムを鳴らした。ドアの向こうに「ピンポーン」っという音が響いているのが聞こえて来た。
もし、ここで男が「誰だ」とインターホンに出たらば、迷う事なく猛ダッシュで逃げようと考えていた僕は、通路の突き当たりにある非常階段に体を向けている。
静まり返ったドアの向こうに向けて、もう1度チャイムを押してみる。
しかし3回押してもドアの向こうで人の動く気配は感じられなかった。
時刻は11時50分。このマンションに着いてからかれこれ20分が過ぎていた。
もう一度チャイムを押して誰も出て来なかったら突入しよう。
破裂しそうなくらいに心臓をドキドキさせながら、恐る恐るチャイムを「ピンポーン」と押した瞬間、いきなり「ガタン!」という音が聞こえた。
音が聞こえた瞬間に息が止まった。頭の中が真っ白になり、ついさっきまで非常階段へ逃げ出そうなどと考えていた計画は瞬く間に消去され、思考停止してしまった僕はまさしく蛇に睨まれたカエル状態となった。
すると、ドアの前で固まってしまっていた僕の視野に、不意に通路をスタスタと歩いて行く人影が飛び込んで来た。慌てて横に振り向くと、スーツ姿のおっさんが通路をヨタヨタと歩いているのが見えた。
そう、さっきのガタン!という音は、このおっさんがエレベーターから降りて来た時の音だったのだ。
(驚かすなよ・・・・)と、思った瞬間、一気に力が抜け、もうこのまま帰ってしまいたいと無性にそう思った。
しかしそんな考えはすぐさま消えた。
4回チャイムを押しても何の反応もないというのは、ほぼ100%誰もいないと考えても良いからだ。
そんな自信に満ち溢れた僕の横で、通路の一番向こう側にある角部屋のドアの鍵をスーツ姿のおっさんが「グググッ」と音を立てて開けた。おっさんはドアノブを捻ると同時にチラッと僕を見た。とたんに怪しまれる!と思った僕も、平然を装いながら906号室のドアの鍵穴に合鍵をブスッ!と差し込んだ。
その瞬間、スーツ姿のおっさんは僕に向かってペコッと頭を下げると、そのまま部屋の中へと消えて行った。だから僕も一応おっさんに向かって会釈しながらも、遂に禁断のメイサの部屋のドアをソッと開けたのだった。
4
ドアを開けた瞬間、その部屋の奥からはメイサの甘い香水の香りが溢れて来た。
部屋は真っ暗だった。ドアの隙間からマンション通路の照明がぼんやりと注ぎ込み、玄関に綺麗に並べてある黒いサンダルがテカテカと輝いていた。
そこに人の気配は感じられなかった。
しかし油断は禁物だ。もしかしたらメイサの男は寝ているのかも知れない。
それに、もしかしたらメイサの男は指名手配中の犯人で、今、この暗闇の中で必死に気配を消しながら潜んでいる可能性もないとは言い切れないのだ。
僕は静かにドアを閉めながら、部屋の奥に向かって「すみません・・・」っと声を掛けてみた。
静まり返った部屋はそんな僕の声を吸い込んで行くだけだった。
僕はとりあえず玄関の壁にある照明のスイッチを押した。
茶色い照明がパッ!と点くと、白と焦げ茶のシックな玄関がぼんやりと浮かび上がった。
すぐに下駄箱の中を調べる。玄関にも下駄箱の中にも男物の靴はなく、これで「男が寝ている」という可能性は消えた。
あとは、「指名手配の男が隠れている」という可能性だけだ。だから僕は「おい、警察だ」と薮から棒に声を掛け、そして「そこに隠れているのはわかってるんだぞ」などと暗闇に向かって呟いてみた。
しかし、いくらそんな所でそんな事を叫んでいても埒があかない。とにかく部屋の中を全て見ない事には始まらないのだ。
だから僕は「キミは完全に包囲されている・・・」などと呟きながら靴を脱ぎ、静かに廊下を進んだのだった。
このマンションは、いわゆるワンルームマンションだった。
但し、ワンルームといっても貧乏予備校生が住んでいるような高田馬場にある六畳一間のちっぽけなマンションとは程遠く、さすが銀座のトップクラスのホステスが住んでいるワンルームマンションだけあり、その部屋の広さは優に30畳はあろうかと思われる巨大なワンルームだった。
廊下からそんな巨大な部屋を覗き込みながら、僕は再び暗闇に向かって「おい、小池!そこにいるのはわかってるんだぞ!」などと叫んでみる。
そうやって叫びながら壁を手探りし、指先に触れたスイッチをパチッと押すと、不意に目の前に広がるなんともゴージャスな空間に、僕はおもわず「うわぁ・・・」っと声を上げてしまった。
そのクリーム色に輝く空間は、まさしく銀座のトップホステスと呼ばれる女の住処だった。
「スゲェなぁ・・・まるでホテルみてぇだ・・・」
そう呟く僕は、そのキラキラと輝く焦げ茶色したフローリングをヒタヒタと歩きながら、部屋の真ん中にドカンっと置いてある真っ白なソファーの柔らかい皮の感触におもわず頬擦りしたくなった。
しかし、部屋の奥に置いてある大きなベッドの真正面に巨大なクローゼットがある事に気付いた僕は、再びそこに指名手配中の男が隠れている妄想に脅かされ、慌てて身構えた。
すかさず僕は、スルスルと滑るフローリングを汚れた靴下で滑りながらクローゼットに近付くと、その扉越しに「おい、小池!」と叫んでみる。
そして恐る恐るその扉を開くと、中から、より濃厚なメイサの香りが溢れ出して来た。
そのクローゼットは2段になっており、下には掃除機や除湿器などが並び、そして上には大量のドレスがズラリと並んでいた。
そこにある禁断の引き出しを開けたい衝動に駆られながらも、まずはとにかく部屋中を確かめることにした僕は、トイレや浴室、バルコニーからキッチンの棚まで、そこらじゅうを「おい、小池!」と叫びながら覗き込み、徹底的に調べ上げた。
そうしてこの部屋に完全に誰もいない事を確認した僕は、やっとひと安心して上質な革張りソファーの上にゆっくりと腰を下ろすと、今のこの自分の置かれた立場というものに、改めて悦びと興奮が漲って来たのだった。
そんな幸せを噛みしめる僕は、いつもメイサはどんな風にこのソファーで過ごしているんだろう、などと考えながら大きなソファーにゴロリと横になった。
煙草が吸いたい気分だったが、しかしこの部屋には煙草の気配はまるで感じられない。ここで煙草を吸うのはマズいなと素直に煙草を諦めた僕は、壁に掲げてある時計にふと目をやった。
時刻は0時30分。車を降りてからたったここまで来るだけで1時間も費やしてしまっていた。
メイサの店が閉店するのはいつも2時だ。その後、メイサは常連客達と寿司を喰いに行ったりする『アフター』というサービスをしているから、彼女がいつも部屋に帰って来るのは大概4時近くだった。
この1週間、僕はこの部屋に侵入する為にメイサの行動を調査していた。だからメイサの帰宅時間を予想する事が出来るのだが、しかし、この1週間の間にアフターをせずにいきなり帰宅した事が1度だけあった。
そう考えると、やはり店が閉店する2時少し前にはこの部屋を出たほうが無難かもしれない。
となると、この部屋で過ごす時間はそれほど残されていない。
少し焦った僕は、のんびりしている暇はなく、一刻も早く目的を達成させなければと、ゆっくりとソファーから起き上がったのだった。
この部屋に侵入した僕の最大の目的は、メイサの使用済み下着だった。
今まで妄想の中だけで、メイサの汚れたパンティーを嗅いだり舐めたり、はたまたそれをチンポに被せてシコシコしたりとしていた下着フェチの僕にとって、その現物というのは、まさしく『幻』と呼んでも過言ではないくらい、それほど貴重な物だった。
そんな幻のメイサのパンティーが、今僕の手に入ろうとしているのだ。
浴室へと向かう僕の口から、無意識に熱い息がハァハァと洩れて来た。大きな等身大の鏡に映るそんな僕の姿は、まるで試合終了後の気怠いプロレスラーのようだ。
浴室のドアを開けると、ひんやりとした冷たい空気と同時に、洗濯洗剤とボディーソープと歯磨き粉が入り交じった、スーパーの洗剤売場のような匂いが僕を包み込んだ。
僕は迷う事なく洗濯機の蓋に手を伸ばした。ガタン!という音を立てながらその蓋を開けると、残念な事にそこには銀色のドラムだけが寒々と輝いていた。
(くそっ・・・)
少し焦った。ここまで危険を犯してまで潜入したのに、目当てのブツが手に入らなかったとなるとなんとも無念だ。
僕は祈る気持ちでその脱衣場を見回す。
すると、洗濯機の横のバスタオル等が積んである棚の下に、さりげなく押し込まれているカゴが見えた。
間違いなくそれは、洗濯物を入れておく脱衣カゴであろう。
僕は、今すぐにでもそのカゴを取り出したい衝動に駆られたが、しかし、もしそこが空っぽだったらという最悪の状況を不意に想像してしまい、なかなかそのカゴに手を伸ばす勇気が出て来なかった。
しかし、今までの調査からすると、メイサが出勤するのは大体6時である。店には8時に出勤するのだが、ほぼ毎日のように同伴出勤しているメイサはいつも6時にはマンションを出て行くのだ。
という事は、恐らく、いや、100%メイサは出勤前に風呂に入って行くはずだから、そのカゴの中にはその時履いていたパンティーがある可能性は高いのだ。
(銀座のホステスは出勤前に洗濯なんかしないぞ!)
そう気合いを入れた僕は、「お願いします!」と叫びながら一気にそのカゴを棚の下から引きずり出した。
「よし!」
カゴの中のブツを見て、おもわず僕はそう叫んでいた。
カゴの中には、バスタオルやTシャツが入り乱れ、そこに下着と思われるカラフルな布がチラホラと見え隠れしているのだ。
絶叫したいほどにハイテンションなった僕は、カゴをそのまま脱衣場の床の上にひっくり返した。
パンティーと思われるブツは2枚あった。
それを素早く摘まみ上げると、残りの洗濯物をカゴに戻した僕は、颯爽と脱衣場を出たのだった。
5
さっそくベッドに潜り込んだ僕は、ベッドの中に溢れているメイサの香りを思う存分味わった。
枕を抱きしめ、枕に顔を埋め、そこに染み付くメイサの香りを感じながら、メイサ・・・メイサ・・・と唸っては布団の中で服を脱ぎ始めた。
全裸になった僕は、勃起したペニスをシーツに擦り付けた。
過去、このベッドでどれくらいメイサが男と交わったのかとその光景を想像しながら、ベッドのマットをメイサに見立てた僕はそこにペニスを擦り付けた。
そんな事をしながら、だんだんと気分が昂って来た所で、いよいよ戦利品を取り出した。
使用済み下着は2枚あった。
その2枚の柄からして、恐らく、1枚はお店の営業中に履いていた勝負パンティーで、そしてもう1枚は店から帰って来てから就寝時に着用していた素のパンティーだろうと予想できた。
まずは素のパンティーから楽しもうと、何の変哲もない赤いパンティーを手に取り、ソッと広げて見た。
真っ赤なクロッチに、少し黄ばんだシミが擦り付けられるように付着しているのが見える。
しかし残念な事にそのシミは非常に少ない。
帰宅してから寝ている間に履いていたと思われるパンティーだから仕方ないのだろう、強烈なシミを期待していた僕は少しがっかりした。
しかし、そうは言ってもこのパンティーは紛れもなく僕の憧れのメイサが履いていたパンティーなのだ。そしてそこに付着する微かな小便の残りカスも、僕の大好きなメイサのワレメから滲み出た物には間違いないのだ。
そう思うととたんに欲情した僕は、鼻を豚のようにヒクヒクさせながらその微妙なシミが付着するクロッチに鼻を近づけた。
メイサの甘い香水の中に、微かに汗のような違う匂いが感じられた。
(この部分は、ついさっきまでメイサのワレメにピッタリと付いていた部分なんだ・・・)
そう思いながらクロッチを鼻に押しあて、ギンギンに勃起したペニスを激しく扱く。そしてそのままパンティーをベッドの上に広げると、まるでクンニするかのように四つん這いになりながらクロッチの匂いを嗅ぎ、伸ばした舌の先でチロチロと優しく舐めた。
ピリっとした塩っぱい味が舌の先に広がった。
その塩っぱさを感じると共に、今僕は憧れのメイサのパンティーのシミを舐めているんだという実感が沸いて来た。
ハァハァと激しく興奮して来た僕は、続いて、店で履いていたと思われるピンクのゼブラ柄のパンティーを手にした。
そのパンティーは赤い素のパンティーと比べるとかなり小さく、デザインもスタイルもかなり派手だ。
然るに、店で着用しているパンティーというのは本来あまり期待できる物ではない。
というのは、営業中のホステスたちはオリモノシートを装着している可能性が多いからだ。
なぜ僕がそんな事を知っているかと言うと、それは僕が銀座を縄張りにする酒屋のアルバイトだからである。
つまり、店の合鍵を預かっている酒屋の僕は営業前のキャバクラやクラブに入る事ができるからだ。その場合、店には大概まだ誰も来ていない事が多く、だから僕は思う存分にキャバ嬢のロッカーを物色したり、従業員用の女子トイレの汚物入れを物色する事ができるのである。
そうやって、毎日のように様々な店のホステス達のロッカーや汚物入れを物色している僕だから、大勢のホステス達が営業中にオリモノシートを使っているという確かなデーターを持っているのだ。
まぁ、店の汚物入れに捨ててあるオリモノシートなんかは、その時の僕にしたらそれはそれで嬉しい事なのだが、しかし、今のメイサの部屋に侵入し、メイサの営業中のパンティーを物色している僕にして見たら、それはそれでとっても悲しい事だ。
オリモノシートを装着していた使用済み下着なんてのは、タレが付いていないうなぎの蒲焼きのような物であって、そんなのは何の愉しみも見出さないのである。
だから僕は、お店用と思われるこのピンクのゼブラ柄パンティーには最初から期待していなかった。
まぁ、この後、トイレの隅に置いてあった汚物入れの中からメイサのオリモノシートを持って来るから、こんな店用パンツなんてどーでもいいけどね・・・などという、実に投げ遣りな気持ちでそのパンティーをパラリっと開いたわけだが、しかしそのクロッチを目にしておもわず僕は「うっ!」と絶句してしまった。
それはまさしく「パンティーのシミ」と呼ぶに相応しい、正統的な「汚れ」だった。
黒いクロッチにベシャ!と殴り書きされたその白いオリモノは、あの強烈に美人なメイサからは想像も付かない汚れようだ。
このギャップが堪らない。
使用済み下着を見る一番の愉しみというのは、その持ち主とその汚れのギャップが堪らないのだ。持ち主が綺麗な女性であればあるほど、クロッチの汚れも悲惨であってほしいと思うのが下着マニアの悲しい性なのである。
思わぬお宝を発見してしまった僕は、その興奮が覚めやらぬうちにとさっそくその汚パンティーに愛撫を始めた。
まず匂い。
これは強烈だった。いや、汚パンティーによくありがちな「イカ臭」や「チーズ臭」といったスタンダードな匂いではなく、このメイサの営業用パンティーのシミは、ただひたすらに酸っぱい匂いで溢れていた。
さすが銀座の売れっ子ホステスが営業中に履いていたパンツのシミだけはある。その酸っぱさは、指名指名で忙しく動き回る最中に滲み出た『汗』であり、そして忙しさのあまりトイレもゆっくりできず、小便が滴るアソコを綺麗に拭けなかったという証拠の『小便の残り汁』なのである。
あれだけルックスの良いメイサも、超売れっ子というあまりの忙しさから、ついつい股間に油断してしまった結果であり、これは、彼女にとっては最も恥ずかしく、又、最も誰にも見られたくない部分なのである。
そんなメイサの秘密を今僕はこうして暴いている。
僕一人しか知らないこの秘密に、僕は強烈に高揚する。
メイサが働く銀座の『C'est La Vie』という店は、席に座っただけでテーブルチャージが2万円掛かる。そこに酒代とサービス料、そしてメイサの指名料をプラスすれば、たった1時間程度飲んでただけで目ん玉が飛び出るような金額を請求される高級クラブだ。
ましてメイサを独り占めしたいとなれば、同伴やアフターとこれまたとんでもない金が掛かる。
当然、メイサと楽しく過ごしたければ、それなりのプレゼントも必要だ。メイサレベルのホステスになると、そこらの安キャバ嬢にあげるようなありきたりなプレゼントではダメだ。やはり銀座の高級クラブの超売れっ子ホステスにはそれなりのプレゼントでなければダメなのだ。
そうやってメイサに金を惜しげなく注ぎ込んでいるヤツラが、今夜も銀座にはウヨウヨと溢れている。
彼らはメイサに多額の金を注ぎ込みながらも、しかしメイサの手すら握る事も出来ず、ただメイサのあの美しい瞳に見とれているだけだ。
しかし僕は違う。
ヤツラのように、メイサに高級外車や毛皮のコートやダイヤモンドは買ってやれないけど、しかしこうして僕は今、メイサの股間の秘密を独り占めしているのだ。
「ざまぁみろ・・・」
僕はおもわずそう呟きながら、クロッチに染み付いた白いオリモノを人差し指で触れてみる。
それはきっちりと乾いており、指で擦るとカサカサっと乾いた音がした。そのオリモノはかなりの粘着力があったのか、まるでボンドのように固まっていた。
それをゆっくりと鼻に押し付ける。
甘い香水の香りと仄かな酸っぱい香り。イカやチーズが匂わないという事は、それだけ彼女がソコを清潔にしていると言う証拠だ。
「あぁぁ・・・メイサ・・・」
僕は変態的に呟きながら、そんな酸っぱいシミに舌を突き出す。
舌の先にメイサのオリモノがザラザラと擦り付く。
匂いも酸っぱいが、しかし味もすこぶる酸っぱい。
まるでアソコを舐めるように舌の先をチロチロと動かすと、クロッチからは乾いたオリモノが粉になってパラパラと剥がれ落ちた。
僕はもうひとつの赤い素のパンツを広げると、そこに足を入れた。僕の少しメタポ気味な下半身にメイサの素パンツがギュッと食い込む。
赤いパンツを履いたままベッドに横たわり、酸っぱいパンツのクロッチをレロレロと舐めてはペニスをシゴいた。
強烈な快感が僕の脳と下半身に襲いかかる。僕はハァハァと荒い息を吐きながら、我慢汁が溢れるペニスをクチュクチュとシゴき、そしてメイサの股間を頭の中で想像した。
黒いストッキングを膝まで降ろし、スラリと長い脚をゆっくりと開らいてしゃがむメイサが、僕の耳元に囁きかける。
「舐めて・・・」
僕はしゃがんだメイサの股間の中に顔を埋め、そのレースのパンティー越しにグニグニと蠢くオマンコのヒダの感触を顔に感じる。
そんなメイサのしゃがんだ股間を尻の穴まで存分に嗅ぎ回った僕は、舌を蛇のように動かせながらパンティーの隙間にヌメヌメと押し込んで行く。
「あぁ・・・メイサのココ、もうヌルヌルだね・・・とっても酸っぱいよメイサ・・・」
僕がそう唸ると、メイサは恥ずかしそうに「いや・・・恥ずかしいわ・・・」っと言いながらも、僕の顔の上で細い腰を品やかに振ったのだった・・・・
そう官能的に想像していると、とたんに絶頂が押し寄せて来た。
まだイってしまうには勿体無い気もするが、しかし合鍵を持っている以上、これからは毎日こうやって楽しめるのだ、だから我慢する事はない。
「ふうっ!」と、スタッカートな息を吐くと、同時にペニスから「プシュ!」と精液が飛び出した。
ピーンと伸ばした自分の足を見つめながら、そこに張り付く真っ赤なパンティーを同時に見る。
「あ、あ、メイサ・・・・」
激しくシゴかれるペニスから、ぴゅっぴゅっぴゅっと元気よく迸った精液は、僕の腹の上に白くてトロトロな水溜まりを作ったのだった。
(3話に続く)
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