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内緒ごっこ4

2011/03/18 Fri 10:35

内緒ごっこ4




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 夜のスーパーのお客様用トイレは、まるで廃墟のように静まり返っていた。
 そんな不気味なトイレの個室で、わざわざ女子校の制服に着替えさせられた京美は、糞尿の漂う和式便器に跨がりながらスルスルとパンティーを下ろした。
 従業員用のトイレを使わず、どうしてわざわざお客様用トイレを使ったかというと、そこがまだ和式便器だからだった。

 パンティーを下ろした京美は、前の個室の床の隙間から店長が覗いている事を意識しながら、ゆっくりと股を開いた。
 京美が悩ましく股を開いた瞬間、隣の個室から、カタカタカタっという揺れが聞こえて来た。その音を聞き、きっと店長がセンズリを始めたんだと感じ取った京美は、迷う事なく和式便器の底に放尿した。

 シャーッ・・・・という小気味良い音が、京美の尿道から響いていた。
 おしっことウンコをするだけで1万円。こんな割りの良すぎるバイトは他にない、と、京美は自分に言い聞かせる。そうしないと、プライドの高い京美は、この屈辱に耐えられないのだ。
 京美のおしっこの勢いが増して来ると、隣の個室の床の隙間から、ふいに店長の手がスルスルと這い出して来た。
 店長の手は、金隠しの横から便器の中央へと伸びて来る。京美は、きっと店長がおしっこシャワーを浴びたいのだろうと察し、伸びる店長の手におしっこをぶっかけてやった。
「あぁぁぁ・・・温かいよ京ちゃん・・・・」
 隣の個室から聞こえる店長の声が、廃墟のようなお客様用トイレに響き渡った。

 小便でベタベタに濡れた店長の指は、小便が噴き出す京美のアソコに伸びて来た。
 小便が噴き出る尿道を確認するかのように指で触れ、そしてその指はそのまま穴のほうへと滑り落ちて行った。
 小便が潤滑油となり、店長の指はすんなりと京美の膣の中へ入る事が出来た。
 店長は、小便が噴き出る女子高生のオマンコをグチュグチュと掻き回しながら、満足そうに「あぁぁぁ・・」と歓喜の唸りをあげた。

 しばらくすると、小便の威力がみるみると衰えて行った。
 小便を切るために、しゃがんでいた京美が膣に力を入れると、隣の個室から「アソコがヒクヒクしてるよ」という声が聞こえて来た。

 まずは小便は終了した。残るは問題の大便だ。
「大丈夫?・・・ちゃんと出る?」
 店長はそう呟きながら、京美の肛門を指でツンツンと触った。
 ここでなんとしても出さなければ、バイト料は半分の5千円しか貰えない。
 京美は、店長の指先でツンツンされながらも、グッと肛門に力を入れた。

「プスッ・・・」
 京美の肛門から、ほんの少しだけガスが漏れた。突然噴き出したガスに、店長の指がビクッと狼狽する。
 股間を覗き込んでいた京美は、そんな狼狽する店長の指を見て、笑いを堪えるのに必死だった。

 隣の個室の店長はというと、薄汚れた個室の床にうつ伏せに寝転んだまま、京美がしゃがむ便器に手を伸ばしては、京美のウンコを今か今かと待ちわびていた。
 店長のワイシャツは、床にしたたる魑魅魍魎とした水により、グッショリと湿っていた。
 しかし店長にはそんな事はおかまいなしだった。夢の女子高生のウンコシーンが見れるのであれば、こんなリスクなど屁のカッパなのだ。
(現役女子高生のウンコ・・・あぁぁ・・・ウンコ・・・・)
 店長は、ウンコの登場が待ち切れず、早くもイキそう寸前なペニスをシコシコとシゴいていた。
 床にうつ伏せになっている店長のペニスは、当然の如く、和式便器に密着していた。
 最初のうちは、便器に付いている大腸菌がペニスに付き、なにかとんでもない病気になるのではないかという恐怖があったが、しかし、自分が包茎だという事にふと気付き、そうだこの皮が雑菌から守ってくれるじゃないか!と、なんだか最もらしくも馬鹿げた解釈をしては安心を得ていた。

 リキむ京美は、肛門の先に異物感を感じた。どうやら、今度はガスではなく身らしい。
「丸ちゃん・・・出そうだよ・・・」
 京美は、わざと可愛こブリッコした声を隣の個室に投げ掛けた。
「あぁぁ。いいよ、そのまま僕の手の中にして・・・」
 店長のその言葉に、京美は背筋をゾクっと寒くさせた。
 しかし、こんな所でゆっくりしている暇はない。早いとこウンコを出して、そして同時に店長の精液も出してしまわないといけないのだ。

 京美は腹を決めた。グッと腹に力を入れ、肛門を押し出すように括約筋を搾った。
「ムニムニムニ・・・・」
 いきなり京美の肛門から、バナナのようなウンコが飛び出して来た。
 バナナウンコはそのまま店長の手の平の上に滑り込むと、ニョロニョロとヘビのように蠢いた。
「あぁぁぁ・・・温かい・・・」
 隣から、まるで温泉に入っているかのような声が聞こえて来た。
「いや・・・恥ずかしい・・・見ちゃいや・・・」
 京美はワザとらしい声をあげた。そんな言葉が店長はなによりも好きだと言う事を京美は知っているのだ。

 京美のバナナウンコはまだまだ伸びて行った。女子高生があまりにも長いウンコをしては、これを読んでいる読者の皆さんも興醒めするだろうと思った京美は、括約筋をヒクッと動かし、その長い長いバナナウンコをプツンと切り落した。
 隣から聞こえて来るカタカタカタカタっというセンズリ振動が激しくなって来た。
 そろそろフィニッシュだな、と、京美は読んだ。
「やだぁ・・・恥ずかしいから、早く捨てて下さい・・・」
 京美は、まだバナナウンコを大切に手の平に乗せている店長に向かって、羞恥の声を張り上げる。
 そんな声が店長は堪らないのだ。

 店長は、京美のそんな嘆きをもっと聞きたいと思ったのか、「ほら・・・・よく見るんだ・・・」と言いながら、バナナウンコを手の平の中で握り潰した。
 店長の指の隙間から、ムニムニムニっと京美のウンコが溢れ出て来る。
 そんな握り潰されたウンコを見て、京美はふと、ウンコを客に向かって投げると言う動物園のゴリラを思い出し、その時のゴリラの手の平もこんな感じなんだろうなぁ・・・と、なぜか妙に見入ってしまった。
 しかし、そんな事をしている暇はなかった。店長を射精させるのは今しかないのだ。もし、この瞬間を逃してしまえば、今度は「死体ごっこをしよう」などと言い出しかねないのである。

「いや・・・恥ずかしい・・・お願い、もうヤメて!」
 京美はとびっきりアニメチックな声で、隣の店長に訴えた。
「恥ずかしいか京美・・・どうだ、恥ずかしくて堪らないだろ京美・・・・」
 恥ずかしいのはオマエだ!と、心の中でツッコミを入れながらも、「あぁぁぁん!もうイヤ!ヤメて!」などと叫びまくっていると、やっと隣から「うぅぅぅっ!」というフィニッシュのうねり声が聞こえて来た。
「あぁぁぁぁ・・・・・」
 店長はそう叫びながら、糞まみれの手を天井に向けた。
 危うく、その手がしゃがんでいた太ももに当たりそうになった京美は、慌てて便器から立ち上がると、まるで便器の底からニュッと出て来たようなその糞だらけの手を見下ろし、ふと、深夜放送で見たゾンビのワンシーンを思い出したのだった。


               14


 何の警戒心もない天使のような微笑み。
 友梨の太ももに顔を埋めていた鏡田は、顔をゆっくりとあげるとそんな友梨の顔と出会した。
(この娘は・・・本物の天使だ・・・)
 そう思う鏡田の脳裏に、高校生になったばかりの長女と、来年中学生になる次女の、2人の娘の顔がふいに浮かんだ。
 鏡田の2人の娘達は、父である鏡田をバイキン扱いし、今や口さえも聞いてくれない。
 そんな鏡田の淋しさを、友梨はその天真爛漫な笑顔で癒してくれた。

「お父さんは?」
 栗色の髪をツインテールに縛った友梨は、微かに首を傾げながら鏡田にそう聞いた。
「・・・ちょっと・・・お散歩に・・・・」
 鏡田はゴクリと生暖かい唾を飲み込みながら友梨の目を見据えた。
 鏡田はそのまま友梨のTシャツの胸に手をあてた。顔は幼くとも、友梨の体は十分に発達していた。
 鏡田はそんな友梨の発達した胸肉を優しく揉み解しながら、もう一度、ソッと友梨の目を見た。
 友梨は、不思議そうに鏡田の顔をジッと見つめていた。そして鏡田と目が合うなり、「えへっ」と恥ずかしそうに微笑んだのだった。

 友梨の微笑む唇から真っ白な前歯が溢れる。それを見た瞬間、鏡田の中で、今まで躊躇っていたものがプツリと切れた。
 鏡田は無言で友梨のTシャツを脱がせた。Tシャツの中から、真っ白な乳房が揺れながら零れ出て来た。
「あぁぁぁ・・・」と深い息を吐きながら、鏡田はその柔らかな乳肉に顔を埋めた。脂ぎった鏡田の頬で、まるで生クリームのように柔らかい友梨の乳肉がポテポテと揺れていた。

 鏡田は、薄ピンクの乳首に真っ赤な舌をヘビのように這わせた。
「くすぐったい・・・」
 そう呟いた友梨の口から、チューインガムの甘い香りが漂って来た。
 乳首をレロレロと舐めながら、座ったままの友梨のミニスカートを脱がす。
 そして、あえて白いハイソックスだけを残し、鏡田自身も服を脱ぎ始めた。

 鏡田のペニスは猛烈に勃起していた。
 これほどまでに勃起したのは、4年程前、浜松へ取り立てに行った際に、利息代わりに抱いた団地の奥さん以来だった。
「すごい・・・おじさんの大っきいね・・・」
 鏡田のペニスを目の当たりにした友梨は、そう言いながらとたんに目を丸くした。
 そう、鏡田の前任だった衣笠も、甚助と同じ短小包茎だったからだ。

「・・・触ってみろ・・・」
 鏡田は、乱暴な口調でそう言いながら、友梨にペニスを突き出した。鏡田の紫色した亀頭の先は、既に我慢汁でヌルヌルに輝いていた。
 友梨は、初めて目にした巨大ペニスを珍しそうに覗き込みながら、指先で亀頭をツンツンと突いた。そして楽しそうに「エヘへへへ」と友梨が笑うと、我慢の限界に達した鏡田は、そのままペニスを友梨の唇に押し当てた。
「さぁ、舐めるんだ・・・早く・・・」
 鏡田は友梨のツインテールを単車のハンドルのように握りながら、友梨の顔を自分の股間に固定する。
 しかし友梨はまだ一度もフェラをした事がなかった。包茎だった甚助や衣笠は、コンプレックスである包茎を友梨に見られるのが恥ずかしく、フェラまではさせていなかったのだ。

「うぅぅん!・・・」
 驚いた友梨がペニスから顔を背ける。欲情した鏡田は既にブレーキが利かず、嫌がる友梨の頭を乱暴に押さえ込んでは「大人しく舐めるんだ・・・」と、友梨の唇にペニスをグイグイと押し付けた。
「嫌だぁ・・・臭いよぅ・・・」
 顔を顰めた友梨が強引に顔を背けた。

(臭い・・・・)
 それは鏡田がいつも娘達に罵られている常套文句だった。鏡田は家のどこにいても2人の娘達から「臭い臭い」とバカにされ続けていたのだ。
 鏡田は絶望した。こんな頭の弱い小娘にまで俺は馬鹿にされなければいけないのか・・・・
 そう思った瞬間、鏡田の胸に熱いモノが込み上げて来た。脳味噌がクラクラと回り始め、娘達の「臭い臭い」と罵る声がエコーのように鳴り響き、頭から離れなくなった。

「糞ガキ!」
 鏡田はそう怒鳴りながら友梨を畳の上に突き飛ばした。「きやっ」と倒れた友梨の太ももがM字に開かれる。
(どうせ利息の肩代わりだ、思う存分犯してやる!)
 鬼の形相となった鏡田は、友梨の開かれた股間に顔を押し込んだ。友梨のワレメのヒダヒダが鏡田の鼻を包み込み、鏡田は一心不乱に友梨のアソコを舐めまくった。
「ヤダぁ!・・・・」
 怯えた友梨が足をバタバタとさせては暴れ出した。しかし、血迷った鏡田は、そんな友梨に容赦する事なく、友梨のオマンコからアナル、クリトリスに至まで、狂ったように舐めまくった。

(こりゃ・・・ちょっとマズいなぁ・・・)
 廊下からこっそり様子を伺っていた甚助が、友梨のその暴れようを見て不安になって来た。
 鏡田のあんなでっけぇペニスを乱暴にぶち込まれたら、友梨のアソコは完全に裂けてしまうよ・・・そうなったらおネェちゃんの京美にバレてしまうじゃないか・・・・
 そう焦る甚助だったが、しかしこうなってしまってはもうどうすることもできない。廊下から覗く甚助は、ただただ親指の爪をカリカリと噛みながら、オロオロと焦っているだけだった。

 顔中を唾液でタラタラに輝かせた鏡田は、嫌がる友梨の体を畳に押さえ付け、強引に友梨の股の間に下半身を潜り込ませた。
 友梨の体の上に乗った鏡田は、「いやいやいや」と叫ぶ友梨を見下ろしながら、下半身でビーンと反り立つペニスを友梨の股間に乱暴に突き刺した。
 20センチ近くはあろうかと思われる鏡田のペニスは、友梨のアナルや太ももをグイグイと突き刺した。友梨が暴れるため、鏡田のペニスは友梨の穴を捕らえられなかったのだ。

 しかし、何度も何度も腰を突き立てていると、鏡田はふいに確かな手応えを感じた。
 鏡田の亀頭にヌルヌルとした生温かい感触が伝わったのだ。
(ここだ!)
 鏡田は友梨の太ももを両腕で抱えては大股開きにすると、一気にソコへ腰を突き立てた。
 ニュッ!という滑り込む感触が鏡田の亀頭を包み込むと、友梨が「痛いっ!」と腰を反らした。
 どうやら亀頭は無事に入った。鏡田は友梨が身動きできないようにガッツリと四つに組むと、泣き叫ぶ友梨の顔を見下ろしながら、一気にペニスを根元まで押し込んだのだった。


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 廊下から覗く甚助の目に、鏡田の巨大ペニスが友梨の小さな穴にヌポヌポとピストンする結合部分が残酷に映っていた。友梨の穴は見事に裂け、友梨の尻の谷間に真っ赤な血が滴り落ちていた。
 
「どうだ・・・お父さんのよりも気持ちいいだろ・・・」
 鏡田は、友梨の穴を巨大ペニスで掻き回しながら、下でグスングスンと泣いている友梨を見下ろしてはそう呟いた。友梨は下唇を噛みながらも、時折、「お姉ちゃん痛いよぅ・・・」と小さな言葉を発していた。

 鏡田は友梨のポニョポニョの体の上をトカゲのように這い回りながら腰を振る。
 友梨のそのあまりの可愛さに、鏡田は、友梨の耳や唇、そして大きな目までもレロレロと舐めまくった。
「すげぇシマリがいい・・・最高だ・・・顔もカワイイし、スタイルもいい・・・たまらん・・・」
 鏡田は何度も射精しかけては腰の動きを止めていた。これほどの上玉は、たっぷりと味わってからではないと勿体無いと思っているのだ。

 しかし、その反対に甚助は焦っていた。
 そろそろ京美がバイトから帰って来る時間なのである。
「ちっ・・・スケベ爺め・・・早くしねぇとヤベぇんだよ・・・」
 覗いていた甚助がそう呟くと、ふいに甚助の横から「何が?」という声が聞こえた。
「何がってさぁ、あのオヤジ、ちょっとのんびりしすぎじゃねぇか?こっちの都合も考えてもらわなくっちゃ困るってもんだよな・・・」
 と、甚助は呟いてから、「はっ!」と横を振り向いた。

 そこには京美がポツンと立っていた。
 とたんに甚助は一時停止されたDVDのように、体の全ての機能が停止した。
 そんな甚助を不審そうに見つめながら、京美は「何がヤバいんだよ・・・」とマネキン人形のように固まっている甚助をどかせ、窓から部屋を覗いた。

「お姉ちゃん・・・痛いよぅ・・・」
 友梨の声が京美の耳に飛び込んで来ると同時に、獣のように腰を振る鏡田の薄汚い尻が京美の目に飛び込んで来た。
 京美はおもいっきり息を吸い込んだ。
 そしてその息をギュッと止めると、強烈な怒りと悲しみが京美の小さな体の中でボワっ!と燃えた。

 その怒りをまだ吐き出さず、胸に溜めたままの京美は、廊下の隅に置いてあった消化器を手にすると、そのまま部屋のドアを静かに開けた。
 土足のまま部屋に上がり、まだ京美の出現に気付いていない男の背後でゆっくりと足を止めた。

「中でたっぷりと出してやるからな・・・ハァハァハァ・・・ほら、もっと泣いたり叫んだりしてみろ・・・」
 何も知らない鏡田は、そう呟きながら腰の動きを早め、そして友梨のマシュマロのような頬を鷲掴みにした。

 消化器を手にする京美は、どの部分で殴ったら一撃でこの腐れ外道を殺せるかと、冷静に消化器を眺めていた。消化器をひっくり返すと、底の角が微妙に尖っていた。この部分をこの腐れ外道の脳天に叩き付ければイチコロだろう。
 そう思った京美は、その尖った部分を男の後頭部にあわせ、ゆっくりと消化器を振り上げた。
 仰向けに寝転んでいた友梨が、そんな京美に気付き、「お姉ちゃん!」と顔をクシャクシャにさせながら叫んだ。
 京美は、そんな友梨に「ただいまっ」と明るく微笑みかけながら、鏡田の禿げ上がった後頭部に真っ赤な消化器を振り下ろしたのだった。


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 京美は、その日の明け方には取調室から解放された。
 取調べの女性警察官は明らかに京美の味方であり、現在も意識不明の重体である鏡田を腹の底から憎んでいた。
「鏡田は意識が戻り次第、逮捕するから・・・あなた達姉妹の仇は私がきっと取ってやるから心配しないで待ってなさい・・・」
 1階へ下りる階段で、女性取調官はそう力強く言いながら京美の肩に優しく手を掛けた。
「東野はどうなるんですか?」
 京美が女性取調官にそう尋ねると、「お父さんも・・・当分、出れないと思うわよ」と女性取調官は爽やかな笑顔で笑った。
「じゃあ、あいつは?」
 ふいに足を止めた京美は、階段の途中で女性取調官に振り返って聞いた。
 女性警察官はそんな京美の怒りに燃える目をジッと見つめながら、「大丈夫。2、3日中には逮捕するから」と、熱い眼差しを京美に返したのだった。

 1階に下りると、交通課の隅のベンチに、友梨と福祉施設の松雪さんが座っているのが見えた。
 階段を降りて来た京美に気付いた友梨が、「あっ!」と叫びながら立ち上がり、「お姉ちゃーん!」と嬉しそうに駆け寄って来た。
 その後から松雪が「京美ちゃん!大丈夫かい!」と心配そうに走って来た。
 京美は「うん」と頷くと、飛び込んで来た友梨の小さな体を思い切り抱きしめたのだった。

 警察署を後にした3人は、まだ薄暗い明け方の歩道を歩いていた。
 まだ眠りから覚めていない静まり返った町に、ゴミ収集車の走り去って行く音だけがうるさく響いていた。

 京美と松雪が並んで歩く先を、友梨は子供のようにはしゃぎながら走り回り、道端に咲いている花の匂いを嗅いだりとしていた。
「友梨ちゃんもね、警察から色々と嫌な事を聞かれたみたいでね・・・」
 福祉施設の松雪がそんな友梨を見つめながら、哀れむようにポツリと呟いた。
 この松雪と言うのは、友梨が通う職業訓練学校の男性教員で、特に友梨を可愛がってくれていた。
「まぁ、幸いにもあの子は、何が起きたのかわかっていないから、今回の事件をそれほど重くは受け取っていないようだけど・・・それでも、あまりにも酷すぎるよね・・・」
 憤りを感じる松雪は、甚助と鏡田のそのあまりにも惨い犯行を思い出すかのように、握り拳をワナワナと震わせながら呟いた。

「それじゃ先生、私たちはこっちですから・・・」
 小さな路地の前で立ち止まった京美は、松雪にペコリと挨拶をすると、歩道の先にいた友梨に「友梨!こっちだよ!」と路地を指差して叫んだ。

「これから・・・どうするんだい?」
 松雪はマユゲを八の字に下げながら京美の顔を覗き込んだ。
「・・・はい。もう少しバイトを頑張ってお金を貯めます・・・東野が出て来るまでには引っ越ししたいと思ってますから・・・」
 京美が松雪にそう答えると、手に一杯の雑草を掴んだ友梨が、「これ先生にあげる」と、その雑草を松雪に差し出した。

「しかし、その間、バイトはどうするんだい?・・・友梨ちゃん1人をアパートに残して残業と言うのは、ちょっと心配だな・・・」
 松雪は、友梨から雑草を受け取りながら、心配そうに京美を見つめそう助言した。
 そして、しばらく考えた後、松雪はこう提案した。
「なんなら、キミがバイトに行っている間、私がアパートにいてやってもいいですよ」

 京美は、松雪のその提案に、静かに首を振りながら、「いえ、これからは姉妹2人で生きて行かなくちゃなりませんから・・・今のうちにそんな生活に馴れておかないと」と、指を雑草の汁で緑色に染めた友梨を優しく見つめながら微笑んだ。
「そうか・・・しかし、もしも何か困った事があったらすぐに言うんだよ」
 松雪が心配そうにそう言うと、京美は友梨の手を握りながら、「ありがとうございます」と頭を下げ、松雪にゆっくりと背を向けたのだった。

「お姉ちゃん・・・お父さんは?」
 京美と友梨が手を繋いで歩き出すと、繋いだ手をブラブラと振り始めた友梨が京美に聞いた。
「お父さんは・・・お仕事に行ったよ」
「お仕事?・・・どこへ?」
「・・・う~ん・・・遠い所」
「ふ~ん・・・そこでお父さんワンカップ飲める?」
「・・・ワンカップは・・・たぶん飲めると思うよ」
「じゃあ良かったね」
 友梨は安心したのか、いつも天真爛漫な笑顔で京美に振り返った。

 新聞配達のオートバイが、玄関ポストの前で止まっては進み、また隣の玄関ポストの前で止まっては進みと、繰り返していた。
 町にはうっすらと霧がかり、遠くの空に高層ビルがぼんやりと浮かび始めた。
「友梨、眠たいよぅ・・・」
 雑草の緑汁が付いた指で、友梨が目を擦り始めた。
「早くおウチに帰っていっぱい寝ようね」
 京美が笑うと、友梨は「でももうすぐ学校だよ」と唇を尖らせた。
「いいよ。今日は休んじゃお」
「ほんと!」
「うん!」
 京美は、喜ぶ友梨の手をギュッと握った。
 京美の手の中で、あっけなく潰される友梨の小さな手を見つめながら、これからは、どんな事があってもこの小さな手は絶対に離さないと京美は心に誓った。

 それから3日後、長期に渡り友梨に性的悪戯を繰り返していたとして、障害者用職業訓練学校教員の松雪が、児童福祉法違反と強制わいせつ罪の罪で逮捕された。

(内緒ごっこ・完)

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