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番台から愛をこめて1

2010/01/01 Fri 23:38

番台1





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風呂屋の番台。
男なら誰もが一度は座ってみたい夢の箱・・・

・・・だったのは昭和の時代の話しで、今の時代に銭湯の番台に座りたいというヤツは、余程の熟女マニアかモーホー系といった、いわゆる変態さん達だけであろう。

というのは、もう銭湯の花形時代というのは完全に終わってしまっているからだ。
今の時代、ほとんどの家庭には風呂は付いているものであり、今、銭湯にやって来るという人は、まぁ一部の本当に家に風呂が無い人を除いては、銭湯&昭和マニアの人だったり温泉気分を味わいたい人だったり、特殊なのになるとホモだったりホームレスだったりと、そんな人達が多いからだ。

「昔はよぉ、この近所にゃ学生の下宿が多かったからよ、女子大生のお姉ちゃんなんかが毎晩わんさかと来たりしてさ、そりゃあ俺達のような丁稚にしてみたら番台は夢のような場所だったさ」

13歳の時からこの亀の湯で働いているという勝爺は、手の甲で足れた鼻水をグィっとねぐりながらそう昔を懐かしみ、また黙々と薪を割り始めた。

僕がこの亀の湯にアルバイトに来たのは今から半年程前の事だった。
1年前、勝手に高校を中退してしまった僕は、親からも勘当同然の扱いを受け、この大都会東京の片隅でひとり淋しく暮らしていた。
まだ車の免許も持っていない僕は、コンビニやファーストフードなどを転々とするいわゆるフリーターという人種となり、極貧ながらもなんとか生計を立てていたのだっが、しかしそれまで親の仕送りにより借りていた学校の近くのワンルームマンションは、親の仕送りがなくなると同時に無惨にも解約されてしまった。
まぁ親としたら、学校を辞めたのなら潔く都落ちして田舎に帰って来い、という意味で、僕に実家に帰って来て欲しいがためにそんな酷い仕打ちをしたのだろうが、しかし僕は今更この東京を離れあの死んだ魚の目をしたようなヤツラがウヨウヨといる田舎になんかに戻りたくはない。
だから住み込みで雇ってくれる仕事は無い物かと、アレコレと捜し回っていたら、この「亀の湯」を発見したのだった。

亀の湯は下町の寂れた商店街の裏にひっそりと佇んでいた。
とにかく歴史の古い銭湯らしく、そこで古くから働いている勝爺いわく「軽く150年は超してるよ。なんたってあの西郷隆盛がよく湯に入りに来たっていうんだから」と自慢げに言うが、しかしそんな証拠はどこにもなく西郷どんが本当に来たかどうかは定かではないが、ただ、歴史が古いという事だけはこのオンボロな建物を見れば一目瞭然だった。

住み込む部屋は、通称「薪小屋」と呼ばれている薪が山のように積まれている倉庫の二階で、8畳一間に裸電球がぶら下がっているだけの、まるで「アンネの日記」に描かれているような薄ら淋しい隠れ家のような部屋だった。
月給10万円。そこから家賃の3万円を差し引かれ、僕の手元には7万円が入った。
まぁ給料は安いがそれなりに仕事も楽で、浴場や脱衣場の掃除をパッパッパッと済ませ後は勝爺がコツコツと割ってくれた薪を釜に放り込み、営業が終わるまでのんびりと火の番をしていればいいだけだ。
薪割りというのはすこぶる重労働だが、しかし薪割りは勝爺が全部やってくれた為、僕の仕事と言ったら実に楽な物ばかりだった。

そんな僕に新たなる仕事のポジションが与えられた。
なんとそれは番台である。

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長年この銭湯の番台を守っているのはここの女将の婆さんだったが、しかし、婆さんは持病のリウマチが悪化したとかで隣町の鍼灸院に通い始めることになり、婆さんが鍼灸院に行ってる間の2時から3時までの間だけ番台を僕に座って欲しいという事だった。

僕は飛び上がらんばかりに喜んだ。そりゃあ当たり前だ、オンナの裸がタダで、いや金を貰って見放題なのである。
僕はこの銭湯に来て本当に良かったとスキップしながら薪割り小屋へと急ぎ、大喜びでそれを勝爺に告げると、勝爺は大して驚くふうも無くヒヒヒヒヒと意味ありげにいやらしい笑いを見せ、そしてポツリと「ぬか喜びだぜ」と呟いた。
「・・・どうしてです?」
「ったりめぇだ、2時から3時と言ゃあ、暖簾をあげたすぐじゃねぇか、そんな時間にゃ萎れた婆さんしか来ねぇよ。それとも何かい、おめぇさんは婆さんみてぇなのが趣味なのかい?」
「・・・・・・・」
「ま、いいさ。若けぇ頃に婆様の裸をよく見とくのも悪かねぇ。将来オンナにウツツを抜かして蹴つまづかねぇように、今のうちに婆様達の萎れた油揚げみてぇな体をしっかりと拝んでおくこった」
勝爺はそう言うとケケケケケと笑いながらまた薪割りを始めたのだった。

確かに、そう言われてみればそうだった。
この鶴の湯はいつも暖簾をあげたと同時に、一番風呂を目指した近所のお年寄り達が2、3人ゾロゾロと入って来るだけで、それ以外の客はほとんど0に等しかった。
まぁ時々それ以外の客もいたにはいたが、しかしそれはほとんどが男湯で、会社をサボっているサラリーマンか若しくは近所の公園に住んでいるホームレスがフラッと現れる、そんな程度だった。

銭湯の番台に夢とロマンとはちきれんばかりのエロスを思い描いていた僕は、現実を知ってがっくりと肩を落としたのであった。


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「あら?・・・今日はサエさんはどうしたの?」
本日3人目のお客さんに同じ事を3回聞かれた。

「ええ、リウマチの治療に行ってまして代りに僕が・・・」
この言葉も3度目だ。
もう面倒臭いから、番台の後に掲げてある「水曜定休」の札の裏に「婆さんはリウマチ治療です」と書いておこうかと真剣に考えながら、僕は老婆から450円を受け取った。

しかし、勝爺が言った通り、この時間の銭湯というのはまるで老人ホームのようだ。
ジジイとババアしかやって来ない。
しかもいつも顔ぶれは決まっている。近所の蕎麦屋の御隠居とペンキ屋の親父。乾物屋の婆さんと裏の長屋に住む婆さん。いつもこの4人しかこの時間には来ないのだ。
それ以外にきたと言えば、そーいえば変な野郎が1人いた。
そいつは40歳くらいのメタボ親父で、なんかやたらと番台の僕にいろいろ話し掛けて来るから、こいつもしかして女湯を覗きたいのか?と思い、ま、こんな老婆ばかりですがどうぞ遠慮なく、ってな感じで僕も適当に相手をしていたのだが、しかしその野郎は女湯を覗くふうも無く、僕の歳はいくつだとか体重はどれだけあるとか、そんな事ばかりを聞いて来る不気味な親父で、よく見るとその親父のチンポは勃起してた。
結局そのホモ親父は、僕が番台に座るようになってから鶴の湯の常連になったわけだけど、番台の僕にわざとらしく勃起したチンポを見せつけたりして、なんとも気味の悪い親父なのである。

そんなこんなで僕が番台に座るようになって半月が過ぎた頃、いよいよ僕も「番台天国」と呼ぶに相応しい恩恵をこうむる出来事が起きた。

あれは暖簾をあげて30分も経った頃だったろうか、いつもの老人達が一番風呂を上がり始めた頃、春の穏やかな温もりを感じさせる笑顔と共に彼女は亀の湯にふらりと現れた。

番台の僕は、彼女のあまりの美しさに一瞬「どっきりカメラか?」と疑ってしまった。
そのくらい彼女は美しかった。
いや、正確に言うと多分それほどびっくりするような美人ではないと思う。いつも婆様ばかりを相手にしている僕だったから、いきなり現れた若くて明るくてニコニコとした彼女がとびっきりの美女に見えたのかも知れない。

歳は23、4といった所だろうか、Tシャツにジーンズといったラフな格好をして(銭湯にわざわざオシャレしてくるヤツはいねぇだろ)、履き古した健康サンダルなんかを履いている庶民的な女で、顔も、よくよく見ればそれほど驚くような美形でもなく、いつも化粧気はまったくないノーメイクで(風呂入るんだから当たり前だろ)、ただ、いつもニコニコと笑っている明るい笑顔だけが取り柄のようなそんな女だった。
僕はユッキーナのような派手な女がタイプだったからか、そんな彼女が妙に地味に見えてしょうがない。
芸能人に例えるなら蒼井優という感じだろうか、パッと見て「わあ!可愛い!」というのではなく「なかなか個性的だね」って感じがするお姉さん。良く言えば個性的な美女で悪く言えばつかみ所の無いフツーの女、彼女はそんなイメージの女だった。


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地味なTシャツに履き古したジーンズを履いた彼女は、なぜか番台の僕に「ふうっ」と笑いかけると、素足を板の間にペタペタさせながらロッカーへと向かった。

番台の僕はドキドキしていた。
そりゃあユッキーナみたいな派手な女じゃないのは残念だったけど、しかし今まさに僕の目の前で赤の他人の若い女が全裸になろうとしているのだ。
これがドキドキせずにいられるか!

彼女は「いろはにほへと」と番号札が並ぶロッカーの「に」を選んだ。
持って来たお風呂セットを板の間の床に置き、「に」のロッカーを開けると、Tシャツの裾を両手で掴んだ。

(いよいよだ・・・・)
僕は番台の前に吊るされているテレビから再放送されている、実に古臭い「大岡越前」をジッと見つめながら、視野にはちゃっかりと彼女を入れている。
彼女がTシャツをグッと上にあげて彼女の顔が隠れた瞬間、おもいっきりガン見してやろうと密かに企んでいた。

僕の視野の中で彼女のTシャツが半分まであげられた。
(来るぞ!)
と、思った瞬間、いきなり男湯から例のメタボホモ親父が「カミソリちょうだ~い」と番台の僕に声を掛けた。
親父はいつもの如く、どこかのバーのカウンターに寄り添うような感じで、番台にその醜い裸体をドテッと擦り寄せていた。

「はい」
と、僕は親父の顔を見ず、カタン!と素早くカミソリを番台の上に置いた。
そして首をコキコキするフリをして彼女を見る。
彼女は細い体に大きな胸をタプタプとさせながら、今まさにブラジャーを取ろうとしている。

「え~・・・T字じゃなくてさぁ、いつもの一枚刃頂戴よぉ~」
ホモ親父がまるで女子高生のような甘えた声でそう言った。
「はい」
と、これまた電光石火に一枚刃のカミソリを番台の上にカタン!と置いた僕は、一度も親父の顔を見る事無くわざとらしく首をコキコキとさせていた。

彼女が後手でブラジャーをプチッと外し、それをサッと「に」のロッカーの中へと放り込む。
ぷるるん♪・・・と、そんな効果音がしたような感じのオッパイだった。
肌が白いせいか、やたらと乳首が黒く感じたが、しかしそれはまぎれもなく美乳と呼べるシロモノだ。

彼女は前屈みになりジーンズのボタンを外し始める。前屈みのその美乳は、誠に柔らかそうな物体をタランと下に垂らしている。
(揉みてぇ~!・・・・・)
僕は大岡越前を見るフリをしながら、小さな番台の中で悶え苦しんだ。

いよいよ下半身だ。
ピタピタのジーンズを彼女は脱ぎにくそうにズルズルと下げ始めている。
番台の横でホモ親父が何かアレコレと喋り掛けているが、僕にはもう大岡越前もホモ親父も見えなくなっていた。

白い小さなパンティーが丸くて大きな尻を必死になって包んでいた。
尻のワレメが少しだけ顔を出すような、そんな小ちゃなパンティーは、地味そうな彼女にしてはなかなかイケてるパンティーだった。

やっとジーンズを脱ぎ終えた彼女は、ジーンズを簡単に畳むとドカッとロッカーの中に押し込んだ。
さてさていよいよメインイベントである。
僕は勃起するペニスを膝掛け毛布の上からさりげなくグイグイと押しながら、テレビを見るフリをして彼女の後ろ姿をチラ見した。

彼女の手がピチピチのパンティーに掛かった。
(いよいよ脱ぐぞ・・・・・)
と、その瞬間、いきなり彼女がパッと番台を見た。
テレビを見るフリをしながらも横目でジッと見ていた僕の目と彼女の目が合う。
僕はあまりにも急な出来事に、ついつい目を反らし損ね、なんと、彼女とそのまま見つめ合ってしまった。

どのくらい見つめ合っていただろうか、少なくとも大岡越前の悪役がひとセリフを言い終わるまでの間は横目の僕と彼女は見つめ合っていた。
しばらく見つめ合った後、いきなり彼女が「うふっ」と意味ありげに笑った。
彼女のその「うふっ」で正気に戻った僕は、(しまった!)と、慌てて目玉を男湯に向けた。
「・・・だからさ、いっその事、ここの毛を全部剃っちゃおうと思ってるんだよね・・・」
慌てて男湯に目を向けると、まだ番台の横でダラダラとしていたホモ親父と目が合った。
「はぁ?」
「だからぁ、いくら手入れしててもすぐにボーボーと伸びてきちゃうから、いっその事、コレ全部剃っちゃおうかって相談してんだよ・・・」
ホモ親父はそう言いながら僕に陰毛ボーボーの下半身を見せつけた。
勃起したペニスの先からはテラテラと輝く我慢汁らしきモノが輝いていた。

「か、勝手に剃ればいいじゃないですか!」
僕は気持ちが悪くなって慌てて親父の下半身から目を反らした。

ガラガラ・・・ピシャン・・・
目を背けた僕に女湯の脱衣場から音が聞こえた。
はっ!と顔をあげると、時既に遅し、なんと彼女は浴場へと入って行ってしまった後だった。

(くっそう!肝心な所を見れなかった!)
悔しさと怒りが込み上げて来た僕は「くそう・・・」と小さく呟きながら何気なく男湯を見る。
ホモ親父が番台の前に置いてある体重計の上に乗ったまま、爪先をブルブルと震わせながら僕に向かって尻を突き出していた。

「・・・尻にも毛がボーボーなんだよね・・・誰が剃ってくれる人がいたらいいんだが・・・・」
番台の僕にケツを向けるホモ親父は、ケツ毛ボーボーの肛門を剥き出しにしながら独り言のようにそうポツリと呟いたのだった。


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番台から浴場の中というのは、結構見えるようで見えないものだった。
特に僕がいた時間帯というのは、勝爺がワンサカと薪を釜に放り込み、ガンガンと湯を熱くしている時間だった為か、浴場の中は湯気でモクモクとしており肝心の彼女の入浴シーンをバッチリと拝む事はできなかった。

しかし、いずれは彼女も浴場を出て来るのだ。
その時には今度こそバッチリと彼女の裸を目に焼き付けてやろうとワクワクしていると、こんな時に限って「イテテテ・・・」と腰を庇いながらも女将が番台に帰って来やがった。

結局その日は彼女の裸を見る事はできなかったのだが、しかし、いつもはプルルンどころかグジョグジョな干し柿のような婆乳ばかり見ているのだ、彼女のあのプルルン♪とした柔らかそうなオッパイを見れただけでもラッキーなのだ。
そう思いながら僕は、釜の前で汗だくになっている勝爺を横目にさっそく二階の部屋へと駆け上がると、彼女のあのプルルン感を思い出しながら実にハードボイルドな自慰を繰り広げたのであった。


翌日、いつものように大岡越前をBGMに番台で携帯をカチカチと弄っていた僕は、昨日彼女が亀の湯にやって来た2時15分になるのを今か今かと待ちわびていた。

2時半を過ぎると彼女が亀の湯に現れるという可能性は非常に低い。
なぜかというと亀の湯から徒歩5分程の所に「スーパー銭湯・孫悟空」という現代的なスパがあり、そこの営業開始は2時半からだからである。
たとえ彼女がこの近くに引っ越して来たばかりだったとしても、あれだけデカデカと看板が出ていればスーパー銭湯の存在に気付くはずだ。
若い女なら100人中100人がこの亀の湯よりもスーパー銭湯を選ぶに違いない。

ならば、なぜ彼女は昨日「亀の湯」に来たのか?
答えは簡単である、昨日はスーパー銭湯が定休日だったからである・・・。

男湯で全裸のままラジオ体操をしている露出狂のホモ親父をボンヤリと眺めながら、僕はもう二度と彼女には会えないのかも知れない・・・と、時計の針が動く度に肩を落としていた。

そんな時、あれは2時半を少し回った頃だったろうか、スーパー銭湯の営業開始時間を過ぎたと同時に絶望を感じた僕だったが、しかしホモ親父の全裸ラジオ体操の次に始まった「全裸ヨガ」に我慢できず、番台に顔を隠しながら涙を流してゲラゲラと笑っていると、ふいに女湯の戸がカラカラカラ・・・と開いた。

僕はヒーヒーと涙を流しながら必死に番台から顔を上げ「っらっしゃい」と女湯に向かって言うと、そこにはなんと彼女がニコッと微笑んでいた。

(わぁぁぁぁ!マジかよぉぉぉぉ!)
その嬉しさと言ったら、近所のゴミ捨て場に捨ててあった大量の「行け!稲中卓球部」を発見した時など比べ物にならないくらい嬉しかった。

「なにがそんなにおかしいの?・・・」
彼女は財布の中から小銭を出しながら、笑顔でそう僕に話し掛けた。

「いえね、ちょっと見てやって下さいなアレを・・・酷いもんでしょ。あのメタボ親父は慢性のホモなんですがね、ああやっていつもヘンテコリンなポーズをしたりして僕の気を引こうとしてるんですよ・・・ヤツにしてみたらあんなヘンテコリンなポーズでも求愛のつもりなんでしょうがね、僕にしてみたらありゃ水族館のトドが餌欲しさに芸をしているようにしか見えねぇんですよね・・・・」
そう言いながら、ポッコリと腫れた肛門を突き出して猫のポーズをしているメタボ親父を彼女に見せてやろうかと思ったが、まさかそんな事はできるわけもなく、僕は恥ずかしそうに照れ笑いしながら「いえ・・・」と誤魔化した。

そんな僕を見て彼女はまたうふっと笑った。

彼女が番台を離れようとした時、おもわず僕は彼女に話し掛けてしまった。
「あのぅ・・・」
「・・・ん?」
そう言って振り返る彼女。まったく化粧をしていないスッピンの彼女はある意味妙にエロかった。
「・・・この近所に、引っ越してこられたんですか?・・・」
僕は慌てて彼女から目を反らしながらアタフタになってそう聞いた。
「うん」

彼女はそう返事をすると、また「うふっ」と笑顔を見せ、それ以上は何も答えず昨日と同じ「に」のロッカーを開けた。

彼女が脱衣状態に突入した以上、もうこれ以上は声を掛ける事はできなかった。
本当は、どこに住んでるのか?そこに風呂はないのか?どーしてスーパー銭湯に行かないのか?歳はいくつなのか?彼氏はいるのか?正常位で足の指を舐められるのは好きか?・・・などなど質問したい事は山ほどあったのだが、しかしもう彼女がロッカーを開けた今、もうそれは聞けなかった。
というか、たとえ時間があったにしろ、そんな質問を内気な僕がアレコレとできるわけないが・・・・

僕はゆっくりと大岡越前に目を移しながら、今度こそは彼女のマン毛をバッチリと目に焼き付けてやる、と意気込んでいたのであった。


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彼女は僕にチラ見されているのに気付いているのだろうか、時折、僕の方に振り返っては「うふっ」とあの意味ありげな笑顔を見せながら、Tシャツと短パンをスルスルっと簡単に脱ぎ捨てた。

その日のパンティーは真っ赤なサテン生地のパンティーだった。
パンティー1枚の姿でオッパイをプルプルとさせながら足下に置いてあった紙袋の中から洗顔クリームなどを取り出している。
僕は思いもよらなかったそのド派手なパンティー姿を後からこっそりとチラ見しながら、膝掛け毛布の中で勃起したペニスをモミモミと揉んでいた。

シャンプーや洗顔クリームなどを取り出した彼女は、しゃがんだままの姿勢でスルスルっと器用にパンティーを脱いだ。
やはり僕がチラチラと見ているのを知っていたのだろうか、肝心な中心部を隠すようにしてしゃがんだままタオルを股間にあてた。

しかしながら「頭隠して尻隠さず」とはまさしくこのことだ。
彼女は前を隠そうと必死になっているためか、なんとも尻は無防備なのである。
クイッと尻を突き出してしゃがんでいる彼女の尻の谷間から、なにやら赤黒い肌が一瞬だけ見えたような気がした。それが肛門なのかオマンコなのかはこの際どっちでも良かった。その肌とはあきらかに違う色をした部分が見えただけで僕はもう満足だった。

膝掛け毛布の中で、我慢汁を亀頭全体に擦り込むように愛撫していた僕は、いっその事、この場でイッてしまおうか?という衝動に駆られた。

と、その時だった、いきなりロッカーの前の彼女が「わっ!」と立ち上がったのである。
その声におもわず僕は条件反射で彼女に顔を向けた。

真っ白な細い体に青いタオルがくっきりと浮かび上がっていた。
彼女は青いタオルで胸と股間を隠しながら、「は」のロッカーの中を恐る恐る覗き込んでいる。

たとえ胸と陰毛を隠されようとも、彼女のそのヴィーナスのような姿はあまりにも刺激が強すぎた。
僕は目を伏せたまま「どうかしましたか?」と脱衣場の彼女に声を掛ける。

「・・・うん・・・このロッカーになんか変な物が・・・」
彼女は眉毛を八の字にさせながら困った表情で番台の僕を見た。
「変な物?・・・」
僕は彼女から慌てて目を反らし、視線を床に向けながらそう答えた。
「・・・うん・・・たぶんコレ、オシメじゃないかな・・・ロッカーの中でベタベタに濡れてるよ・・・」

オシメと聞いてすぐにピーンと来た。
そう、いつも開店と同時に亀の湯にやって来る乾物屋のお婆ちゃんだ。
あのボケ婆さんはよくロッカーの中に汚物まみれのオシメを捨てて行く。わざとなのか本当にボケているのか知らないが、糞まみれのオシメをロッカーの中に入れっぱなしで帰ってしまう事がこれまでにも何度かあったのだ。

「申し訳ありません。すぐに片付けておきますので・・・・」
僕は板の間の床を見つめたまま、そう答えると、彼女はまた「うふっ」と微笑み、大きなお尻をプリンプリンさせながらガラガラガラ・・・とドアを開けて浴場へ入って行ったのであった。

僕はニトニトと糸を引く我慢汁を膝掛け毛布で拭き(女将さんの私物)、まだギンギンに勃起したペニスをジーンズの中に押し込むと、パタンと番台の扉を開け女湯の脱衣場へと向かった。

もう少しで彼女のプリプリのお尻を見つめたままイク事ができたというのに・・・・・
僕はオナニーを中断されたイライラ感とモヤモヤ感を複雑に交差させながら汚物用の青バケツを持ってロッカーへと向かった。

「は」のロッカーを恐る恐る開ける。
匂いは無いが、そこはババアのオシメから滲み出る小便でベタベタに濡れていた。
ウンコでなくて良かった・・・・
数日前、このババアのウンコが大量に詰まったオシメを撤去したときの事をふいに思い出した。
あの時も確か「は」のロッカーだった。
「は」のロッカーから異臭がする!と番台からの通報を受けたボイラー室の僕は、ゴールデンタイムの女湯に胸をトキメかせながら出動した。
ハァハァと女湯に行ってみればそこにいたのは猛烈デブ熟女と鶏ガラ的老婆の2人しかいなかった。
「は」からはモロ人糞の匂いがメラメラと漂っていた。女将はその中のブツが何であるかは大体の察しは付いていたらしく「早く捨てておしまい!」と僕に命令を下した。
バスタオルで醜体を隠す猛烈デブ熟女などは「この中に赤ん坊が死んでるんじゃないの?」と小錦を彷彿とさせる脂肪を揺らしながら叫んだ。
コインロッカーベイビーじゃあるまいし・・・と思いながらも僕が「は」を開けると、脱衣場にいたデブ熟女や鶏ガラ的な吉本新喜劇に出て来そうな親父婆さん(名前がわからない)が一斉に悲鳴をあげた。
そう、「は」の中にはウンコの固まりがドテッと置いてあったのだ。それは「ウンコ付きオシメ」ではなく「オシメ付きウンコ」と呼んだ方が似合いそうな、絶対的にウンコの方が主役となっているブツだった。
僕は汚物入れバケツの中にソレをベチョベチョと流し込むと、安全地帯の番台で鼻を摘みながら様子を伺っていた女将の所にソレを持って行き、「コレ、忘れ物カゴに入れときましょうか?」と言ってやったが、しかし、誰一人としてソレに笑う者はいなかった。

そんな嫌な思い出を思い出しながら、今回は本当に小便だけで良かった・・・とオシメの端を掴み、ソレをバケツの中にボテッと落とすと、中から肉団子のようなモノがコロリンと転がり出て来た。
(やっぱりオマケ付きか・・・)
この肉団子のようなウンコを男湯のホモ親父のロッカーの中にある白いブリーフの中にこっそり置いていたらどうなるだろうか?
そんな事をひとり妄想しながら僕は必死で笑いを堪えながらロッカーの掃除をしていた。

すると、そこから女湯の浴場がバッチリと覗ける事にふと気付いた。
慌てた僕はロッカーの中を雑巾で拭きながら曇ったガラス越しに浴場の中を覗いた。
シャワーの前にしゃがみながらタオルを泡立てている彼女が見えた。
ムチムチだ。湯気の中にボンヤリと浮かび上がる彼女の白い肌は、ここから見たってムチムチなのである。

(糞ババアよくやった。これも、キミがココにオシメ爆弾を仕掛けておいてくれたおかげだ・・・)
僕はロッカーの中の小便を拭き取りながら彼女の裸体を見つつ、そして密かに糞婆に感謝した。

と、その時だった。
「は」のロッカーをゴシゴシと磨いていると、その振動からか他のロッカーの扉がパタパタと動き始めた。
なにぶん、西郷隆盛も使ったと言われる古いロッカーだ、それはかなりガタが来ておりちょっとした振動でもガタガタと全体を揺らした。
全てのロッカーの扉がまるでB級ホラー映画のポルターガイスト現象のように一斉にパタパタさせ始めると、ふと僕の目に、中身がごっそりと詰まった「に」のロッカーが飛び込んで来た。
そう、それは紛れもなく彼女の衣類が押し込められたロッカーであった・・・・


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「に」と筆で書かれたロッカーの扉に鍵は掛かっておらず、「に」の扉はまるで僕を挑発するかのようにパタパタと動き回っていた。
扉のパタパタという動きが団扇の役目となり、ロッカーの中の衣類の匂いがプ~ンと漂って来るような気がする。
僕は、まるで「のんベぇ横丁」のヤキトリ屋から団扇でパタパタと煽られる匂いに釣られる会社帰りのサラリーマンの如く、そのロッカーから漂う「オンナの香り」に釣られ、フラフラと「に」のロッカーへと近寄った。

つい数分前まで彼女の下半身にぴったりと吸い付いていた真っ赤なパンティーが、詰め込まれる衣類の上に無造作に転がっていた。
見たい嗅ぎたい舐めたい!
変態三欲が僕の心を襲う。

僕は浴場の彼女をこっそりと見た。
彼女は今から髪を洗おうとしているのか、長い黒髪に少しずつシャワーを当てていた。
女湯には彼女以外誰もいない。この後、僕の番台勤務が終わるまでは客は誰も来ないと予想される。

ふと、長渕剛の「西新宿の親父の唄」が僕の頭の中で流れ始めた。
変態三欲の誘惑と戦う僕の頭の中で、深夜の歌舞伎町で絶対に出会いたくない男ナンバーワンの長渕剛が、「♪やるなら今しかねぇ~♪やるなら今しかねぇ~♪」と喉よ裂けよとばかりに叫び始め、ついでに北の国からの黒岩五郎もひょっとこのように唇を尖らせながら「♪やるなら今しかねぇ~♪」と僕を煽った。

いちいちおまえらに言われなくても・・・やるよ・・・・

僕はそう決心すると、彼女がシャワーの中に頭を突っ込むのを見計らった。
それまでの間、彼女の裸体を目に焼き付けておこうと、僕は彼女の尻から太ももにかけての見事なラインをじっくりと堪能する。
ムチムチだ。あの、水をも弾く、夏の資生堂CMのようなピチピチの肌、実に弾力性がありそうで且つ包容力がありそうな温かな柔らかみを帯びていた(包容力ってこんな使い方だっけ?・・・ま、いっか)。

しゃがんでいる彼女がシャワーを捻ろうと前屈みになった。
大きな尻の中心部に黒いモジャモジャとした黒岩五郎的な物体がチラリと見えた。
僕は今、つい数分前まであの部分にピッタリフィットしていたブツを、見て嗅いで舐めようとしている・・・・・

彼女が滝のように流れ出した湯の中に頭を入れた。
今だ!オマエがヤレー!オマエがヤレー!オマエがキャプテンシップだ!
電信柱に小便をひっかけながら親知らずをガリガリさせた長渕剛が喉よ裂けよとばかりにそう叫んだ。

僕はロッカーからサッと赤いパンティーを抜き取ると、ソレを手の平の中でギュッと握り隠しながら番台へと向かったのであった。


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番台の中の僕は、膝掛け毛布の上に彼女の赤いパンティーを広げていた。

赤いサテン生地のパンティーにはピンクのレースが施されていた。
そんな赤系一色の中に、まるで少年の頃にグラウンドで膝っ小僧をスリ剥いた時のようなガサツな汚れがザッとシミ付いていた。

そのシミは白くもあり黄色くもあった。黄色いシミと白いシミが見事なコントラストを描いている(コントラストってこんな使い方で良かったんだったけ?・・・ま、いっか)。
彼女のアソコ、つまり彼女の膣から排泄された分泌物。
僕は初めて目にする「パンティーのシミ」というものに多少なりとも狼狽していた。

僕は堂々と言わせてもらうが生粋のドーテーである。
高校時代に彼女はいたが、その彼女はジャッキー・チェンをこよなく愛するオタク系女子で、そんな彼女は「結婚するまで処女でいたいの」と、岡村に眼鏡を取られ怒り狂う光浦のような顔をしながらそう言った。
「じゃあ今すぐ結婚しよう」と、サカリの付いた僕が勃起したペニスを押さえつつそう言うと、彼女は、ロンブーのアツシに「これはどっきりです」と告げられた時の光浦のような表情で「あなたはジャッキーではないわ」と絶望的なことを言った。
そのまま首を絞めてやろうかとさえ思ったが、しかし僕は彼女を諦めた。
そう、僕はどう逆立ちしてもジャッキーにはなれないし、それにあんな鼻の大きな男にはなりたくもなかった・・・・。
あれから3年。
ドーテー喪失期を逃してしまった僕は、今だ清い体のままでいる。
1年前の正月、地元に帰った僕はそんな彼女を見かけたが、同じく処女喪失期を逃してしまった彼女は、あの頃に増して光浦臭が更にキツくなっていたようだった。
しかし、今だドーテーな僕も、今、番台の上でロッカーから盗んだ客のパンティーを広げている・・・。
拝啓、光浦様、お元気ですか・・・あの時はお互いに失敗しましたね・・・・・敬具



ドーテーの僕にとって、このパンティーのシミというモノは刺激的ではあるがしかし不安でもあった。
彼女のプリプリの尻を包んでいたパンティー自身に興味はあるが、しかし、そのシミには興味よりも恐怖が付きまとった。
ましてや、たった今、老婆の使用済みオシメを撤去したばかりである。
オシメにヒタヒタと滲んでいた老婆の小便と、彼女のパンティーにカリカリと付着している黄色いシミが、どうしても同じに見えてしまった。

あれだけ長渕剛に励まされながらも「見てぇー!嗅ぎてぇー!舐めてぇー!」と喉が裂けるほどに叫んでいた僕だったのに、今こうして実際手にしてみると、ソレは何かとってもバッチイ物でしかなかった。

しかしそんな事に迷っている暇はなかった。
直ぐにでも実行に移さなければ時間がない。
僕は男湯と女湯の脱衣場に誰もいない事をもう一度確認すると、意を決してそのシミの部分をクンクンと嗅いでみた。

爽やかな香水の中にツーンとしたイカ臭が微かに漂っていた。
僕の記憶が正しければ・・・確かこの匂いは、僕の包茎の皮の中と同じ匂いである・・・・・
そっか・・・みんなココは同じ匂いがするのか・・・・
安心した僕の心の中で、「♪い~い~なぁ♪い~い~なぁ~♪人間ってい~い~なぁ~♪」という日本昔話しのエンディングテーマが一瞬流れた。

ほのぼのとした気持ちの中から、再びムクムクと性的興奮が甦って来た。
僕は手の平の中にパンティーを包み込み、それを鼻に押し付けながらスースーとおもいきり嗅いだ。
これが彼女のアソコの匂いなんだ・・・・
膝掛け毛布の中でシコシコとペニスを激しくしごく。
彼女のイカ臭が僕の前頭葉を刺激し、その勢いに乗った僕はカリカリに乾いたシミをペロッと舐めた。
舌先がピリっとした。

そして、膝に掛けていた毛布を広げ、ビンビンに勃起したペニスを露出すると、パンティーのシミを僕の亀頭にザラザラと擦り付けた。
間接セックス。
リアルドーテーの僕はその疑似性行為によって、少し大人になったような優越感を感じた。

パンティーに激しくペニスを擦り付けながら、僕は彼女の尻や胸の膨らみを思い出す。
そしてあの黒々とした尻の中心部を思い出した時、あっ!と絶頂が訪れた。
パンティーに精液が飛び掛からないよう、パンティーを鼻に押し付ける。
彼女の股間の香りに包まれながら僕は絶頂に達した。
ペニスから大量の精液が飛び出し、ソレは膝掛け毛布の上に飛び散った。
「あぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」
僕は半開きの目をフワフワとさせながら、その快楽に身を委ねた。

と、その時、いきなり男湯の脱衣場に立っていたホモ親父と目が合った。
(し、しまった!)
僕は慌てて手の平の中に握っていたパンティーをポケットの中へ押し込むと、精液だらけの膝掛け毛布で露出していた下半身を隠した。

(ヤバいヤバいヤバい!)
少しパニック気味の僕は、僕の目を見つめながら意味ありげにニヤニヤと笑うホモ親父から慌てて目を反らすと、精液でビチョビチョのままのペニスをズボンにしまい込み、番台を飛び出した。

浴場の彼女は髪を洗い終え、今まさに最後の湯に入ろうとしている瞬間だった。
僕は「は」のロッカーを掃除するフリをしながら、彼女の「い」のロッカーの中に赤いパンティーを素早く投げ込んだ。

慌てて番台に戻ると、コーヒー牛乳の代金100円をチラつかせながらホモ親父が番台の中を覗いていた。
そして精液でドロドロになった膝掛け毛布を見つめながら、ホモ親父は「ふふふふ」と小さく微笑む。

僕は番台の隅に置いていた飲みかけのコーラの缶を手にすると、それを精液だらけの毛布の上にぶちまけた。
「あらららら・・・・」
それを見ていたホモ親父が「もったいない・・・」と呟いた。
コーラがもったいないのかそれとも精液がもったいないのか。
とにかくこの変態親父にかまっている暇はない。
早くこの精液毛布をなんとかしなければ、もうすぐ女将が帰って来てしまうのだ。

コーラと精液が混ざり合った不気味な液体を、雑巾でゴシゴシと拭き取る僕の後でガラガラガラ・・・と浴場のドアが開く音が聞こえた。
ドロドロのコーヒーゼリーのようなソレを手で掬いながら女湯をチラッと見た。

そこには、水の滴る白い肌をバスタオルで拭き取りながら、タプタプのオッパイを揺らした彼女が「うふっ」と意味ありげに微笑んでいたのだった。

(つづく)

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