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眠れない夜5

2013/05/30 Thu 18:04

眠れない夜5



「マジっすか……」

 片桐は、そう呟きながら恐る恐る座卓の下から顔を上げた。
 その表情には、見てはいけないものを見てしまったという焦りが浮かんでおり、一瞬にして酔いが冷めたかのように引き攣っていた。
 サッと私から視線を反らした片桐は、やり場の無い視線を、座卓の上に転がる空になった缶ビールに向け、「いつの間にか随分と飲んでしまいました……」と反省するかのように呟いた。
 そして早々と帰り支度を始めると、携帯を素早く胸ポケットに滑らせ、「それじゃあ、僕はこれで……」と席を立とうとした。

「ちょっと待ってくれ」

 そう彼を引き止めた私の声は震えていた。
「はい?」と中腰で私を見つめる片桐に、私は「すまないが……手伝ってくれないか……」と呟いた。
 すると片桐は、はっと気付いたように「ああ、はいはい」と慌てて頷き、座卓の上に散乱している皿やグラスなどを素早く集め始めた。

「いや、そうじゃない」

 そう睨むと、一瞬片桐は「えッ?」と手を止め、訝しげに私の目を見た。

「そうじゃないんだ片桐君……」

「…………」

「誠に恥ずかしい話なんだが……泥酔した妻を着替えさせるのは実に大変でね……こんな事をキミに頼むのは重々失礼だとわかっているが……妻の着替えを手伝ってもらえないだろうか……」

 そう言いながら私は、ボタンが外れたままののフロント部分にソッと手を置いた。
 躊躇いと葛藤に苛まれながらも、見せたい見せたいという欲望が激しく渦を巻き、震える指でジッパーを摘んだ。
 片桐を見ると、真っ赤な目でそこを覗き込みながらゴクリと唾を飲み込んでいた。

「手伝ってくれるか?……」

 もう一度聞くと、片桐は、一瞬「はぁ……」と頷きながらも、しかしすぐに「でも……」と言い直した。

「嫌か?」

「嫌ではないですけど……主任は……いいんですか?」

 彼のその言葉に、不意に亀頭がズキンっと疼いた。
 その言葉こそ、私の淫らな妄想の中に何度も登場する場面だった。この言葉の後、他人男は私の顔色を伺いながらも、妻の柔らかい裸体を自由に弄び始めるのだ。
 そんな妄想に一歩近付いた私は、胸に溜まった熱い息を、ゆっくりゆっくり吐き出しながら言った。

「ああ……私はかまわんよ……寧ろ、手伝ってくれたら有り難い……」

 私は震える指でジッパーを下ろした。心の中で、妻に必死に詫びながらジーンズのフロントを開き、他人には絶対に晒してはいけない夫婦の神聖な部分を、この不浄な若者に見せつけてやったのだった。

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 陰毛が見えると同時に顔がカーッと熱くなった。妻の恥ずかしい部分が他人に見られていると思うと、心臓がロカビリーのウッドベースのようにボンボンと響き、まるでキツいウオッカを一気飲みしたような目眩に襲われた。
 朦朧としながら片桐をチラッと見た。そこを見つめる片桐も、朦朧とした表情を浮かべ、半開きの唇からハァハァと酒臭い息を吐き出していた。
 妻を他人に見せたい男と、他人の妻を見たい男の、互いの欲望が見事に一致し、その場の空気は一気に熱を帯びた。
 私は、座っていたソファーベッドの背凭れを押し、素早くソファーをベッドに変えた。そして座卓の下から妻の体を引きずり出すと静かにそこに寝かせた。
 ぐったりとする妻の横に腰を下ろした私は、妻の足下に突っ立っている片桐に「すまんが、足首から引っ張ってくれ」と頼むと、大きな尻を包み込んでいるピタピタのジーンズを剥がし始めた。
 片桐は、複雑な表情のまま無言で妻の足下にしゃがんだ。そして両脚の裾を静かに摘み、そのまま裾をグイグイと引っ張りながら、すぐ目の前にみるみると露出されていく人妻の下半身に熱い溜め息を吐いたのだった。

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 私と片桐は、仰向けに寝転がる妻を黙って見下ろしていた。
 ストッキングに包まれた下半身には、フロント部分がレースになった白い下着がぴったりと張り付き、そのレースには黒い陰毛が透けて見えた。
 静まり返った部屋に、二人の男の荒い息が交互に谺し、異様な雰囲気を醸し出していた。

 ここまでは順調だったが、しかし、ここからどうやって事を進めて行けばいいのかわからなくなった。
 素直に「妻を抱いてもいいぞ」と言えば、恐らく片桐は飢えた獣の如く妻の体にむしゃぶりつくだろうが、しかしそれは絶対だとは言えなかった。
 もしここで片桐に拒否されたら最悪だった。当然、お喋りな片桐はそれを同僚達に話すであろう。そうなれば、たちまち『女房を部下に勧める変態親父』という噂が広まり、社内での私は最悪な状況下に置かれる事になるのである。
 だから絶対に拒否されるわけにはいかなかった。
 ここまで来たら、何としても彼に妻をヤらせるしかなかった。更に彼を欲情させ、妻と性交したくて堪らなくなるように仕向け、あくまでも自らの意思でそれを実行したかのようにしなければならなかった。
 最悪な状況を避ける為には、そうやって彼を共犯者にし、そのお喋りな口を塞いでしまうしか方法は無かったのだった。

 そう頭ではわかっていても、しかし実際にどうすればいいのかがわからなかった。
 取りあえず、この状態で妻と片桐を二人きりにする事が先決だと思った。
 この場に私さえいなければ、きっと片桐は妻の体に何らかの『行為』をするはずだと私は睨んだのだ。

「タオルを冷やして来るから、悪いがそのままちょっと待っててくれ」

 そう言いながら、片桐を一人残して洗面場に向かおうとした私だったが、しかしそこで、ふとある案が浮かんだ。
 二人に背を向けたまま私は、散らかった座卓に手を伸ばした。あたかも、洗面所に行くついでにとばかりに、食べ散らかした皿類を素早く重ね始めた。

「……妻はね、酔っぱらうと意識不明になるという厄介な癖があるんだよ……」

 そう言いながら重ねた皿を右手に持ち、左手にはコンビニで買った『エビチリ』のプラスチック容器を手にした。

「先週もそうだったんだよ。ほら、震度六の地震があっただろ、あの時も妻は酔って眠っていたんだけどね、タンスの上から色んな荷物がバタバタと頭の上に落ちて来たというのに、こいつはピクリともしないまま鼾をかいていたんだ。ホント、困った奴だろ」

 私は、小さく「ははははは」っと笑いながら、勢いをつけて背後の片桐に振り返った。そして、わざと左手に持っていたエビチリの容器を片桐の下半身に向けて落とし、彼のズボンを真っ赤なエビチリソースでネトネトにしてやったのだ。

「あああ! すまんすまん!」

 そう慌てた私は、すぐに洗濯してしまえばシミにならないからと、ズボンを脱ぐよう片桐に言った。
 しかし片桐は「いえ、大丈夫ですから」、とズボンをなかなか脱ごうとはしなかった。それでも私は、しつこく「早くしろ!」と彼を急かせ、やっと片桐をトランクス姿にしたのだった。

 こうなると、たちまち部屋の空気が一変した。
 たかだかズボン一枚の事ではあるが、しかし今のこの状況で相手をトランクス姿にさせるというのは、私にとっては大きな一歩なのだ。
 私は、エビチリソースで汚れたズボンと、脱がされた妻のジーンズを手の中でクルクルと巻きながら、そのままスタスタと洗面所に向かった。
 一応、そのズボンを洗濯機の中に放り込んだが、面倒臭いため、洗濯機のスイッチは入れなかった。
 そのまま私は、暫くの間、息を殺しながら洗面所の鏡を見つめていた。
 酔った片桐が、この状況で妻に何もしないはずが無かった。あの男は、私が一枚ずつ楽しみながらカリカリと齧っていた西利の『からし漬』を、何の躊躇いも無く一口でバリバリと全て食い尽くしてしまったほどの図々しい男なのである。
 そんな男が、この状況で妻に何もしないはずが無かった。少なくとも、股間を覗き込んだり、股間の匂いを嗅ぐくらいは平気でするに決まっているのだ。
 と、そう思った瞬間、そう言えば妻のアソコが濡れていた事を、ふと私は気付いた。少しそこに触れただけで、ヌルヌルとした汁が指に絡み付いて来た、あの感触までもが鮮明に蘇って来た。
 
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股間を間近で見られれば、当然、そこが濡れている事もわかるだろう。まして私は、さっきそこを指で弄っていたため、下着にはその時の残液が浮かび上がっている可能性もあるのである。
 それを思うと、私は強烈な興奮に襲われた。妻の濡れたオマンコが他人に見られ、尚かつそこに漂ういやらしい匂いも嗅がれているかも知れないと思うと、もはや我慢できないと私は勃起したペニスをズボンから引きずり出し、洗面所の鏡にその厳つい物体を映しては、激しくシコシコとシゴいてしまっていたのだった。

 ものの数十秒でイキそうになった私は、慌ててその手を止めた。ここで早くもこの欲望を放出してしまうのは、あまりにも勿体ないのだ。
 ハァ、ハァ、という荒い呼吸に合わせ、ガチガチに勃起したペニスがヒクヒクと痙攣していた。尿道からは我慢汁が溢れ、亀頭全体がメラメラと濡れ輝いていた。
 きっと片桐のペニスも、こんな状態になっている事だろうと思うと、そのペニスが昏睡する妻の陰部を出入りしているシーンが唐突に浮かび上がり、私は居ても立っても居られないくらいの焦燥感を覚えた。

 私は勃起したペニスをズボンの中に押し込むと、居間に向かって「片桐君!」と、そう叫んだ。
 ひと呼吸置いて、「はい!」という片桐の声が返って来た。そのひと呼吸の『間』に、こっそり妻の股間を覗き込んでいた片桐が、ビクンっと肩を震わせながら慌てて返事をする姿が浮かんだ。
 私はムラムラしながらも、今から彼に告げようとしているその言葉を一度頭の中で復唱した。すると、ただそれだけで凄まじい興奮に胸を煽られ、もはやその場に立っていられなくなった。
 ゆっくりと洗面台の前にしゃがんだ。震える膝をジッと見つめながら、居間に向かって必死に声を振り絞った。

「すまんが片桐君……妻のストッキングと下着を持って来てくれないか……ついでだからキミのズボンと一緒に洗濯してしまおうと思うんだ……」

 するとすかさず、「えっ!」と絶句する声が廊下の向こうから聞こえて来た。
 そして、十秒ほど沈黙した後、相当焦った口調で「で、でも、僕が脱がしちゃっていいんですか!」という声が返って来た。
 私はクラクラと目眩を感じた。
 妻の生マンコをあの糞のような若造に見られてしまうと思うと、怒りと嫉妬で軽い貧血を起こした。
 それでも私は、「いいよ……かまわないから脱がしちゃってくれ……」と呟きながら、その怒りと嫉妬に異様な興奮を覚えていた。
 しかし片桐は、「で、でも……」と戸惑い、なかなか実行しようとはしなかった。
 そんな片桐に、私は「何をしてるんだキミは、早くしなさい!」とハッパをかけた。そして「キミはいつもそうなんだ、決断力が足りないんだよ! だから何をやらせても鈍臭いんだよ! なんでもパッパッと素早く動けないのか!」と、まるで、煮え切らない今の自分に言い聞かせるかのように叫ぶと、私は洗面台の前に踞りながら、破裂せんばかりに勃起している自分のペニスを硬く握りしめたのだった。

 そうハッパをかけた後、更に長い沈黙が続いた。
 片桐は、やっと決心したのか、静まり返った居間からは、衣類がカサカサと擦れる音が微かに聞こえてきた。
 私はその音に、(やめろ! やめてくれ片桐!)と悶えた。そして、既に、ぐったりとする妻を背後から犯してしまっている片桐の姿を想像しては、更に悶えた。

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 暫くすると、再び片桐の狼狽える声が返って来た。

「主任……調べてみましたが……そのぉ……奥さんがお漏らししている形跡は見当たりませんでした……ですから……もういいですか?」

 おもわず私は、片桐がそれをどうやって調べたのかと想像しながら、ズボンの上からペニスを激しくシゴいた。
 この刺激と興奮は、今までに経験した事の無い凄まじいものであり、今更「もういいですか?」と言われ、ここでやめるわけにはいかなかった。
 だから私は、半開きの目で洗面台の棚の扉にハァハァと熱い息を吹き掛けながら、「そんなはずはない……もっとよく調べてみろ……」と、更なる調査を指示した。

「よく調べろって言われてもですね……下着も濡れてませんし……これ以上、どうやって調べればいいのか……」

「……下着が濡れていないのなら……性器が濡れているかどうかを調べてみればいいじゃないか……」

「せ、性器って、主任……」

「パンツの中に手を突っ込んで調べてみればいいじゃないか!」

 いきなりそう怒鳴ると、片桐はそれっきり絶句した。
 静まり返った居間からは物音一つ聞こえて来なくなった。
 重い沈黙が流れ、私はその沈黙にあらゆる妄想を掻き立てられながら、拳の中のペニスを必死に握り潰していた。
 私の中では、もはや嫉妬など言う安い感情は消え去っていた。脱衣場の床に崩れ落ちる私は、嫉妬を通り越した絶望に陥っていた。
 三分、いや五分は経っていただろうか、私は、やっと重い腰を上げた。
 洗面所の鏡に映るズボンの股間には、斜めに伸びる肉棒の形がくっきりと浮かび上がっていた。そしてその先には、ズボンにまで滲み出した我慢汁が、涙の雫のようにポツンっと丸いシミを作っていた。

 片桐は、妻のアソコを見ているのだろうか……もしかしたら股間に顔を埋め、アソコを舐めているのかも知れない……いや、ヌルヌルに濡れている妻のアソコを見て我慢できなくなり、もはやペニスを入れてしまっているのではないだろうか……

 そう胸を締め付けられながらも、ふと、もしかしたら片桐は、恐れをなして帰ってしまったのではないかという不安に駆られた。昏睡した妻を残し、こっそりマンションを出て行ってしまったのではないかと思った。
 無きにしも非ずだった。これだけ部屋が静まり返っているというのは、あまりにもおかしすぎるのだ。
 私は焦った。それは作戦の失敗に対して焦ったのではなく、今頃片桐が、この件をおもしろおかしくツイッターに書き込んだり、又は同僚の誰かに電話しては、「主任は変態だぞ」などと言いふらしているのではないかと焦ったのだ。

 私は「ちっ」と舌打をすると、焦燥感に駆られながら、そのままズカズカと廊下を進んだ。
 リビングに出て、冷蔵庫の角を曲がった。
 居間の襖の前に立つと、ビールの缶が散らかったままの座卓と、その奥のソファーベッドで、露な姿で横たわっている妻の姿が目に飛び込んできた。

 そんな妻の横には、片桐が呆然としゃがんでいた。
 大きく股を開かされた妻のパンティーの中には、片桐の右手が手首まですっぽりと収まっていたのだった。

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 いきなり現れた私に、片桐は酷く慌てた様子で「主任……」と絶句するが、しかし膨らんだクロッチはモゾモゾと蠢き、その中で片桐の指がまだ動いている事が伺えた。

 激しく込み上げる興奮を慌てて飲み込みながら、私は至って冷静に「どっちなんだ」と聞き、片桐の指が蠢く妻のクロッチをおもいきり睨んだ。
 そんな私の視線と同時に、モゾモゾしていたクロッチの動きがピタリと止まった。

「主任、もう勘弁して下さいよ……」

 そう情けない声で呟く片桐に、私は更に「濡れているのか濡れていないのかどっちなんだ、はっきりしろ」と聞くと、片桐はバツの悪い表情を浮かべながら、「……濡れてます……」と呟いた。

 そんな片桐の、しゃがんだ太もものトランクスの隙間から、勃起した巨大なペニスがニョキッと顔を出していた。
 紫色に膨らんだその亀頭はピンポン球のように丸く、我慢汁に濡れてはテラテラと卑猥に輝いていた。

 妻の陰部が弄られていた事よりも、私はその巨大なペニスに異様な興奮を覚えた。
 今から、あの若くビンビンとした特大ペニスを妻の穴の中にぬぽぬぽと入れられるのかと思うと、愕然と立ち竦んでいた私は目眩を感じるほどの興奮を覚え、次々に込み上げて来る熱い息を、おもわずハァァァァァと大きく吐き出してしまったのだった。

眠れ22

(つづく)

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