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卑猥な害虫4

2013/05/30 Thu 17:30

卑猥な害虫・4




「こっちです……」

 そう言いながら康夫は、部長を駐車場に連れ出した。
 巨大なサーチライトで照らされた駐車場には、百台以上の車がズラリと並び、フロントガラスに反射する水銀灯がキラキラと輝いていた。
 そんな車の隙間をすり抜けながら駐車場の奥へと進んで行くと、後ろからトボトボと付いて来ていた部長が、「蛾ですか?」と、面倒臭そうに聞いてきた。

「いえ、もっと厄介な害虫です」

「厄介?……危険な害虫なんですか?……」

 一瞬部長が身構えた。

「いや、地域から見れば非常に危険な害虫ですが、しかし、個人的に見れば……」

 康夫はそう言葉を切ると、「まぁ、とにかく見て下さいよ」と足を速めたのだった。

 乾いたアスファルトの小石が、革靴の踵でジリジリと鳴っていた。
 のこのこ付いて来たこの糞真面目なおっさんが、果たして貴子のあの淫体を見てどう反応するだろうかとそれを想像すると、先を進む康夫の胸の鼓動はドクドクと音を立てて暴れ回った。
 見覚えのある白いワンボックスカーが見えて来た。フロントガラスに『大日本皇政塾』という趣味の悪いステッカーを飾っているこの白いワンボックスカーのすぐ後ろに、康夫の車はあった。
 康夫はワンボックスカーの横で足を止めるとソッと後ろに振り返った。ガチャピンのような目をしたおっさんが、一瞬ギクっとしながら慌てて足を止めた。

「あそこの黒い車です……中を見て来て下さい……」

 部長は、訝しげな表情で黒い車をチラッと見ると、「誰か乗ってますよ」と康夫の顔を見た。

「とにかく見て来て下さいよ。見ればわかりますから……」

 そう言いながら康夫が部長の腰を押すと、部長は辺りを警戒しながらゆっくりと足を進めた。
 そんな部長の背中を、白いワンボックスカーの影で見送る康夫は、もはや、その場に立っていられないほどの興奮を覚えていたのだった。

 今まさに、初めて妻の裸体が他人に見られようとしていた。
 今までの康夫は病的に嫉妬深く、妻のTシャツの襟元に胸の谷間がチラッと見えただけで発狂するほど神経質だった。
 つい先日も、ヤマダ電機に電子レンジを買いに行った際、前屈みになって電子レンジを眺めていた貴子のブラウスの胸元に乳の谷間がくっきりと見えるのを発見した康夫は、貴子をわざわざパソコン売り場まで引っ張って行き、「店員に見られたらどうするんだ!」と狂ったように貴子を責めたものだった。
 そんな嫉妬深い康夫が、今、見ず知らずの赤の他人に妻の淫らな姿を見せようとしていた。この時の康夫の精神状態は、まだこの世に未練があるのにそれでも切腹を望む武士のような、そんな複雑な心境なのであった。

 ジリジリと小石を鳴らしながら進んでいた部長の足音が、突然「ジリッ」と止まった。
 白いワンボックスカーの影からソッと様子を見てみると、黒い車の正面で足を止めた部長が呆然と立ち竦んでいた。
 康夫は、白いワンボックスカーの影から身を乗り出すと、足音も無く部長の背後に迫り、その耳元にソッと囁いた。

「あれですよ……とんでもない害虫でしょ?……」

 言葉を失くした部長は、返事の代わりにゴクリと喉仏を動かしたのだった。

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 微かなサーチライトの明かりに照らされた助手席には、見事に真っ白な肉の塊がぼんやりと浮かび上がっていた。
 貴子は、康夫の命令通り、両乳を曝け出し、スカートを腰までたくし上げ、そしてパンティーを膝までズラした状態で待っていた。
 そんな卑猥な姿で露出している貴子の表情には、羞恥と恐怖がありありと浮かんでいた。
 ギュッと噛み締めている下唇はブルブルと震え、上目遣いに部長を見つめているその目は、今にも泣き出しそうなほどウルウルしていた。

「これは、いったいどう言う事ですか……」

 部長は、貴子をジッと見つめたまま背後の康夫に聞いた。

「あれは私の妻です。あいつ、変態なんです」

 部長は突然「はっ」と振り向き、険しい目つきで康夫の顔をジッと睨んだ。

「いやいや、私もほとほと困ってるんですよ。実は妻には異常な露出癖がありましてね、夜になると、他人に恥ずかしい姿を見て貰いたくて我慢できなくなるらしいんですよ……かと言って、一人で夜の町をフラフラさせて露出させるってのもあまりにも危険でしょ、だからその度に私がこうして彼女に付き添って、安全に露出をさせてやってるってわけなんです……」

 すると部長は、鼻の穴を大きく広げながら「それが私と何の関係があるんですか!」と怒鳴った。

「いや、あなたが地域環境課のお偉いさんだって聞いたもんですからね、ほら、さっきのあの毛虫のおばちゃんの時みたいに、変態妻の駆除もやってくれないかなぁ、なんて思ったりしたわけでして……」

 部長は更に鼻の穴を広げながら「毛虫と人間は違います!」と怒鳴ると、怒りに火照った顔をいきなり康夫に近づけ、「そんな事はね、精神科に頼みなさいよ」と、奥歯をギリギリと噛み締めながら言った。

「病院に頼むと入院されちゃうじゃないですか」

「じゃあ警察に頼みなさい!」

「警察に頼むと逮捕されちゃうじゃないですか」

「じゃあどうしょうもないじゃないか!」

「だから地域環境課のあんたに相談してるんじゃないですか!」

 急に康夫が大きな声を出すと、部長は真っ赤な顔をしたまま「ふぐっ」と口をつぐんだ。

「……これはね部長さん、この地域にとっては大問題なんですよ。変態露出女が夜な夜な徘徊しては通行人に性器やおっぱいを見せてるなんてね、これはこの地域の大問題ですよ。毛虫なんてもんじゃないですよ、とんでもない環境破壊ですよ、地域の環境を著しく乱してますよ、そうでしょ? 違いますか部長さん?」

「……………」

「ほら、見て下さいよ妻のアソコを……もうグジョグジョに濡れちゃってるでしょ……あいつはもうそろそろ我慢できなくなってる頃ですから、もうすぐ車から出て行きますよ……そしてあの格好で、あんた達が管理している児童公園に潜り込んで、そこのホームレス達とヤっちゃうんですよ……ね、わかるでしょ部長、この地域にとってこの事態は、代々木公園のデング熱に匹敵するほどの緊急事態なんですよ」

 そう熱く語ると、部長は今まで吊り上げていた目を再びガチャピンの目に戻し、弱々しく康夫を見つめながら、「私にどうしろと言うんですか……」と情けない声で呟いた。
 康夫は、内心ニヤリと微笑んだ。
 コレ系の人間は、一度落ちてしまえばこっちのもんだという事を、以前、闇金で働いている友人から聞いた事があった康夫は、そう細く微笑みながらそんな部長の耳元にソッと囁いた。

「駆除してやって下さい……」

 すると部長は、「どうやって!」と目を丸くさせた。

「あのいやらしいオマンコの中に潜んでいる卑猥な害虫を、部長のコレで駆除して欲しいんですよ……」

 康夫はそう笑いながら部長の股間を静かに撫でた。
 部長は、いきなりそこを撫でられながらも抵抗しなかった。今まで鼻呼吸していたのが急に口呼吸に変わり、ハァハァと荒い息を乾いた唇から吐き出しながら、助手席で陰部を曝け出している貴子を呆然と見つめていた。

「あいつの具合は最高ですよ……チンポをヌプヌプとピストンさせてるとね、穴全体がキュンキュンと締め付けてきますからね……」

 そう囁きながら部長の股間を摩っていると、部長のそれは一瞬のうちに硬く膨らんだ。
 貴子のあの卑猥な股の中で、腰をコキコキと動かしている自分の姿をリアルに想像しているのか、部長のそれはこれでもかというくらいに膨れ上がり、みるみると石のように硬くなっていった。

 そんな部長のペニスは、申し分のない代物だった。太さも、長さも、硬さも、そしてパンパンに腫れ上がった亀頭の張り具合といい、康夫のそれとは比べ物にならない代物だった。

(こんなペニスでズボズボと犯されたら……貴子はいったいどうなってしまうんだろう……)

 そう思うと、康夫の口からもハァハァと熱い息が漏れ始めた。
 もはや一刻も早く妻のアソコにズボズボして欲しいと思った康夫は、部長の背中をソッと押しながら、「遠慮せずに車に乗って下さい……」と囁いた。
 しかし部長は、それでもまだ躊躇っていた。押される背中に両脚を踏ん張りながらも、「しかし……」と俯いてしまった。

 仕方がなかった。そこそこの社会的地位がある男は、そこらのチンピラと違ってそれなりに安全ではあるが、しかし、コレ系の男には最後の一歩を踏み切れないという面倒臭さがあり、それは男の社会的リスクから考えても仕方がない事なのであった。
 康夫は、そんなリスクを部長から取り除く為に、慌てて財布の中から自分の免許証を取り出し、それを部長に示した。

「見て下さい。ここに書いてある通り、私達の住所は隣の市です。ですから、もし部長がここで妻の悪い虫をやっつけてくれたら、もう二度とこの町には来ません。約束します」

 その免許証を、部長は必死になってマジマジと見つめていた。
 康夫がわざわざ免許証までも見せたのは、自分たちが余所者であり、この秘密は絶対に漏れないという安心感を部長に植え付けるためでもあった。
 確固たる身分証明書を見せつけられた部長の気分は、みるみると落ち着いて来た。康夫の思惑通り、二人が余所者だと知って安心したのかも知れない。
 しかし部長は、それでもまだ煮え切らなかった。
 そこで康夫は部長の背中を押し、貴子が露出している助手席のドアまで連れて行った。
 そして車内にいる貴子に助手席の窓を開けさせると、呆然としている部長の横でニヤニヤと笑いながら、貴子に股を開くように命令したのだった。

 そんな康夫の命令を貴子は素直に従った。
 脅えながらもシートの上で両脚をM字に曲げると、グロテスクなワレメがネチャっと糸を引きながらゆっくりと口を開いた。
 貴子は今にも泣き出さんばかりの表情で下を向いていた。
 そんな貴子の顔を、部長は恐る恐る覗き込んでいた。しかし、部長のその目が、赤く爛れたワレメをチラチラと見ていたのを康夫は見逃さなかった。
 部長のいやらしい視線に康夫は背筋がゾクゾクした。他人に最も見られたく無い妻の恥部を、見ず知らずの中年男にジロジロと覗き込まれているこの現実に、康夫は貧血の時のようなクラクラした目眩いを覚え、おもわず下唇を噛み締めていた。

(ヤるなら早くヤってしまってくれ……)

 そう思った康夫は、まるでトドメを刺すかのように、「地域の皆様の為に働くのが役人の務めですからね……」と、さっきの部長の決めゼリフを耳元に囁き、そしてそのまま部長の腕を掴むと、「地域の為にも、あの卑猥な害虫を駆除して下さい」と言いながらその腕を助手席の窓の中へと入れ、M字に開いている貴子の股に押し付けたのだった。

「はっ!」と息を飲んだ貴子が、慌てて股を閉じた。
 すると部長の手は、そのまま股に挟まれてしまい、貴子は股間に腕を突っ込まれたまま身を縮めた。

「凄く濡れてるでしょ……」

 部長の耳元にそう囁くと、部長は手を股間に入れたまま、「しかしキミ……」と困惑した表情を浮かべた。

「お願いです……穴の中を触ってやって下さい……それがこの女の穴の中に潜む害虫を駆除する事になるのです、そしてそれがこの地域の害虫駆除にも繋がるのです……」

 部長の耳に必死にそう囁いていると、不意に貴子が「んんっ……」と首を振り始めた。
 見ると部長の手首がゆっくりと動き、車内には、くちゃ、くちゃ、という湿った音が響いていた。
 ソッと部長の顔を見ると、その目はギラギラと輝いていた。
 それは、やっとオオカミが羊の皮を脱いだ瞬間だった。

妻貸し7

(つづく)

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