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裸のOL3



 スワッピング。
 その言葉を佐々木山が初めて口にしたのはそれより数ヶ月前の事でした。スワッピングというものがどういうものなのか多少の知識を得ていた私は、それを求めて来た佐々木山を激しく罵りました。
 そんな私に焦った佐々木山は「冗談だよ」と笑って誤魔化していましたが、しかし私は、佐々木山がそんなグループの人達とこっそりネットで情報交換していた事を知っておりました。
 しかし、私がそれを拒否してからと言うもの、佐々木山は一切スワッピングに対しての話題は持ち出さず、又、今までネットで情報交換していた人達ともそれ以来交流はなさそうでした。だから私はそのままその話しをすっかり忘れてしまっていたのですが、しかし、そんな佐々木山は私に内緒でまだ彼らと交流していたのです……

 二年前のクリスマスの夜。佐々木山に連れて行かれた旅館に集まっていたのは、まさにそのスワッピングという不浄な性癖を持つ変態達でした。
 そんな変態達に見下ろされながらストッキングを脱がされてしまった私は、口の中にまだほんのりと残っているオレンジジュースの苦さを恐る恐る確かめていました。そう、あの恰幅の良い中年男が矢鱈と勧めて来たオレンジジュースには、きっとなんらかのクスリが仕込まれていたに違いありません。
 しかし、今さらそれに気付いても後の祭りです。身動きできない今の私は、なんと大勢の中年男達に囲まれながらもパンティーをスルスルと下ろされている真っ最中なのです。
 私の足首からパンティーが抜き取られると、今まで心配そうな表情で私を見つめていた男達は遂に本性を剥き出しました。
 全裸になった私の両足を、おばさんが「よいしょっ」っと言いながら膝を立てました。
 仰向けになったまま両足をM字に開かされた私の股間を、中年男達が無言のまま一斉に覗き込みます。
 1人だけそんな私の股間を覗き込まない男がいました。その男はカッパのように脳天だけを丸く剥げさせた中年男で、その男は私の開いた股間を覗かない代りに、なんと私の白いパンティーを両手で開きながらジッと眺め、そしてそこに付着している私の分泌物を恍惚とした表情でクンクンと嗅いでいるのでした。
 私は既に諦めていました。最愛の婚約者に騙されてしまったとわかった時点で、とたんに抵抗する気力が失せてしまっていたのです。というか、最初から身動き1つできない私に抵抗する力はないのです。ですから、もう、潔く諦めるしかないのです。
 しかし、そうは思っていても、実際、赤の他人に性器を弄られるのは耐え難い苦痛でした。私の股間で蠢く無数の指は、クリトリスを摘み、性器のヒダを引っ張り、そして濡れていない膣の中にグリグリと押し入ろうとしております。
 私を囲むそんな男達は、興奮するわけでもなく騒ぐわけでもなく、ただひたすら黙々と私の体を弄っていました。そうやって無言で弄られるのが逆に不気味さを増し、そんな恐怖と屈辱に包まれた私は、声の出ない喉の奥で何度も何度も悲鳴をあげていました。
 そんな私は、2人の男に両足を掴まれたまま、『まんぐり返し』というポーズにさせられました。なぜ私がそのような卑猥な言葉を知っているかというと、佐々木山とのセックスでは、いつもその『まんぐり返し』というポーズをさせられており、その度に佐々木山は、まんぐり返しされた私の陰部をベロベロと舐めながら「まんぐり返しで舐められると気持ちいいだろ」と囁いていたからです。
 私の腰と尻が座布団から浮き上がり、広げられた私の股間はもはや肛門の中までも大勢の男達の目に晒されておりました。
 男達はそうやって広げられた私の股間に顔を近づけ、私の性器や肛門の匂いを嗅いだり舐めたりしながら、1枚ずつ自分の服を脱ぎ始めました。
 せっせと服を脱ぐ男達を見つめながら、いったい私は何人の男達に辱められるのだろうかと、言いようのない恐怖に包まれていました。
 ふと気がつくと、座敷の至るところで性交が繰り広げられておりました。中年男達は中年オバさんに群がり動物のようにひたすら腰を振っております。私はそんな獣たちの中を必死で佐々木山を探します。実際、この状態の中で佐々木山が他の女と性交していないというのは考えられませんが、しかし私の心のどこかにはまだそんな佐々木山を信じる気持ちがあったのでしょう、私は乱交しているケダモノたちをひとりひとり確認しながらもそれが佐々木山じゃない事を知ると、その度に心の中で「信ちゃん……」っと佐々木山の名を呼んでいたのでした。
 しかし、現実はそんなに甘くはありませんでした。
 大広間で乱交を繰り広げているグループの中に佐々木山の姿がない事に安心した私は、ゆっくりと視線を元に戻しますと、なんと私を見下ろす男達の顔の中に佐々木山の顔もポツンと並んでいたのです。
 私はそんな佐々木山に向かって「うぅぅぅ……うぅぅ……」っと必死に叫びかけます。
 そのうち大粒の涙が溢れ出し、涙を拭う事も出来ないままの私はそのままひたすら佐々木山を見つめていると、そんな私の顔を誰かがそっと向きを変えました。
 佐々木山から顔を背けさせられた私の目の前に、まるでオロナミンCのような形をしたペニスがビーンっと勃起していました。
 私の顔の向きを変えた男は、いきなり私の唇の中に指を押し込み、閉じていた前歯を無理矢理こじ開けようとします。アゴに力を入れる事も出来ない私はいとも簡単に口を開かされ、まるで歯医者で治療されているようにポッカリと口を開いたままの状態にさせられました。
 すると、そんな私の口の中にいきなり横から這い出て来た別の男が強引に舌を押し込んできました。男の生臭い口臭とザラザラの無精髭が私の顔を襲い、息苦しくなった私はとたんに恐怖に震え上がります。が、しかしそんな恐怖よりも、こんな姿を婚約者の佐々木山に見られていると言う屈辱感のほうが激しく、されるがままの私はただただ涙をポロポロと流す事しかできませんでした。
 散々口内を舐め回された私は、やっと生臭い舌から解放されたかと思うと、今度はオロナミンCのようなペニスが私の口内にグニグニと侵入して来ました。
 私は今までに、佐々木山以外の男とも何度かセックスの経験はありますが、しかし見ず知らずの男のペニスを銜えた事は生まれて初めてです。しかも、この男の顔はハッキリとは見えませんが雰囲気からしても50代の中年男らしく、私は今までにこんなオヤジとは1度も寝た事はなかったのです。
 そんなオヤジのオロナミンCは私の口の中をゆっくりとピストンし、ペニスが引かれる度に私の唇からヨダレがボタボタっと垂れては枕代わりにしていた座布団にシミを作りました。
 そんな強引なフェラチオをさせられ、そして無数の指に性器を弄られていると、誰かがポツリと呟きました。

「濡れて来たぞ……」

 ペニスを銜えさせられている私は、その言葉に向かって「嘘よ!きっとそれはあなた達の唾液よ!」と必死で叫びますが、そんな私の叫びが彼らに届くはずはありません。
 しかし、確かに自分の股間から聞こえて来る、その「くちゃ、くちゃ」っといういやらしい音は、私のそこが濡れている音以外のなにものでもございませんでした。その音を佐々木山にだけは聞かれたくないと思っていた私は、佐々木山の姿がそこにないことを必死で祈っていました。
 しかしそんな願いも直ぐに叩き潰されました。
「それじゃあ順番にハメてやって下さい。最初は誰からヤリますか」と笑うその声は、なんと佐々木山の声だったのです。
 私はペニスを銜えながら「うぅぅ!うぅぅ!」と泣き叫びました。見知らぬ親父達にレイプされる事よりも、その姿を婚約者の佐々木山に見られる事の方が地獄だったのです。
 そんな私を囲む親父達は、まるでゲームを楽しむかのようにジャンケンを始めました。あの時に聞こえた「最初はグー」っという佐々木山の掛け声は、2年経った今でもふいに甦ることがあり、今でもその声に私は苦しめられています。

 ジャンケンに勝ったのは、皆からシバさんと呼ばれているメタボリックなオヤジでした。
 シバさんと呼ばれるその男はそそくさとコンドームを装着し始めると、周りを囲んでいる男達に「お先に」と笑い掛けながらゆっくりと私の体の上に乗って来ました。とたんに強烈な体重が細い私の体に伸しかかって来ました。体勢を変えられない私は、その肥満体に押し潰されそうになりながらも必死に耐えるしかありません。
 私の体を胸の中に包み込むようにして抱きしめたその男は、丸々と太った手の平を私の頬にそっとあて、横を向いていた私の顔を正面に向けました。薄汚れた天井を背景にシバさんと呼ばれていた男の顔が私の目に映ります。男は鼻の頭にポツポツと汗玉を作りながらニヤリと笑っていました。その顔は、子供頃に読んだグリム童話「親指姫」の絵本の中に描かれていた悪いモグラにそっくりでした。

「怖がらなくてもいいんだよ……気持ち良くしてあげるからね……」

 男はそう言いながら左手で私の胸を揉み、そして右手を私の股間に伸ばしてはその太い指で乱暴に私のワレメをこじ開けました。そして指で大きく開いたワレメにペニスの先をあて、亀頭だけをスッポリとワレメに押し込むと、そのままゆっくりと私の両足を腕に抱え込み、周りで見ているギャラリー達に「では、お先にいただきま〜す」と戯けながら一気に腰を突き出したのでした。
 ヌルッとした感触と共に不快な異物感が私の股間に広がりました。それは気持ち良いとか気持ち悪いという感じではなく、ただただ異物感といった感じでした。
 男は額に溢れる汗を私の唇の上にポタポタと落としながら、まるで職人が作業するかのようにコキコキと腰を振りまくります。周りの男達は、そんな私とこの男の結合部分を覗き込みながら、口々に「凄いねぇ」や「ズッポリだねぇ」などと語り合い、時折私の肛門を指でグリグリと悪戯しては下品に笑っておりました。
 しばらくすると、必死に腰を振っていた男の顔がみるみると赤くなっていきました。男は苦しそうに顔を顰めながら「シンちゃん……キスはいいの?」と横を向きながら呟きます。するとすかさず私の顔の真横から「いいですよ」という佐々木山の声が聞こえて来ました。
 男は佐々木山のその言葉を合図に、「いくよっ!」と短く叫びながら私の唇にそのブヨブヨの醜い唇を押しあてて来ました。凶暴な舌が私の口内で暴れ回ります。牛小屋のような悪臭が私の顔を包み込み、私は男の鼻頭や額から垂れる汗を顔に受けながら(これは地獄だ……)っとつくづくそう思いました。
 その後、何人もの男達が私の体を通り過ぎて行きました。
 4人までは覚えていたのですが、しかしある衝撃を受けた私は4人目からの記憶は飛んでしまいました。

 ある衝撃。
 そう、それは、4人目の男が私の体の上に乗った時でした。その男は、ポロポロと涙を流して耐えている私に良心が傷んだのでしょう、いきなり「見られているとやりづらいよ……」と言いながら正面に向いていた私の顔を横に向けました。
 その時です。横を向かされた私の目に地獄のような光景が飛び込んできました。それは、40をとうに越しているだろうと思われるブヨブヨに太ったおばさんの股間に、無我夢中で顔を埋めている佐々木山の姿が私の目に飛び込んできたのです。
 そんな残酷な姿を目の当たりに見せつけられた私は脳に重たい衝撃を感じました。まるで、誰かが私の後頭部を開き、高熱でトロトロに溶かされた真っ赤な鉄をゆっくりと脳味噌に流し込んだかのような、そんな重圧な衝撃が私の脳に広がって行ったのでした。

 それからの私の記憶は完全に消えております。
 佐々木山いわく、その後、しばらくしてクスリの効果が切れた私は、それでも男達を迎え入れてはまるで痴女のように乱れ、大勢の男達と共に何度も何度もエクスタシーに達していたという事ですが、しかし私にはそんな記憶はまったくございません。
 帰りの車の中で、佐々木山は、「キミはきっと先天性の淫乱なんだよ」と私に言い、その時の私の乱れた状態を事細かく説明しました。
「たまには、ああいうのも楽しいもんだろ」
 そう笑いながらハンドルを握る佐々木山は、その後も私をそれらの不潔なパーティーに連れて行きました。ただただ佐々木山に嫌われたく無いと思う私は、もはや拒否も抵抗もしませんでした。

 しかし、どんなパーティーに連れて行かれても、あの日見た、佐々木山がブヨブヨに太ったおばさんの性器を舐めているシーンが頭から離れなくなりました。それを思い出す度に激しい吐き気を覚え、嘔吐を繰り返していました。食べたものをすぐに吐くようになってしまった私は7キロも痩せてしまいました。それを掛かり付けの医師に相談すると、大きな病院の心療内科を紹介してくれたのでした。

 真っ白な空間にポツンっと座って微笑んでいた若い精神科医は、まるでアメリカの古い人形のような顔をしておりました。彼は私のカルテをジッと見つめながら、「原因不明の嘔吐か……」と呟きました。
 原因不明ではありません。その原因は明らかです。
 しかし私は本当の事を話せませんでした。まさか最愛の婚約者にスワッピングパーティーに連れて行かれたなどと説明できるはずがないのです。
 カルテをジッと見ていた若い精神科医は、私を何も調べようともせず、矢鱈にボールペンをカチカチと鳴らしながら、「軽いウツ病ですね」とあっさり言いました。ウツ病というのがどんな病気なのかわかりませんが、処方された大量の薬を見れば、それが単純な心の病ではないという事がわかりました。

 その日から私は、若い精神科医に言われるがまま、大量の薬を飲み始めました。しかし、それを飲めば飲むほど私の精神は不安定となり、更に深い闇の中へと陥るような気がしてなりませんでした。
 薬が効いている時の私は、まさに廃人でした。体を動かす事も、脳で考える事も億劫になり、一日中天井を眺めて過ごしていました。ですから私は、佐々木山に例の不潔なパーティーに連れて行かれる時には、必ずその薬を飲むようにしていたのでした。
 すると佐々木山は、廃人のようになってしまった私をおもしろがり、更に醜いパーティーに連れて行くようになりました。それは、豚のような中年男達にロープで縛られ、体中に蝋燭を垂らされたり鞭で叩かれたりするという無惨なパーティーでした。しかし、私は薬が効いておりましたから、そのような無惨な仕打ちにも顔色一つ変えずに耐えられました。縛られたまま浣腸され、大勢の人前で大量の汚物を垂れ流していても、人形のように無心でいられました。

 そんな私に、ある時佐々木山がポツリと呟きました。
「おまえ、おもしろくない」
 その言葉に私は戸惑いました。今まで佐々木山に嫌われたくないと思う一心から必死にそれらの気色悪いパーティーに耐えていたのです。それなのに佐々木山は、無情にも私に「おもしろくない」と言い放ったのです。
 その晩、私は手首を切りました。残っていた薬を全て飲み、カッターナイフを手首に突き刺し、40度の浴槽に沈みました。しかし、途中で凄まじい吐き気に襲われ、飲んだ薬を全て吐いてしまいました。手首の傷も中途半端で、気が付くと既に血は止まっていました。
 血まみれの浴室で吐瀉物にまみれながら泣いている所を佐々木山に発見されました。佐々木山は私を見るなり「気持ち悪い」と一言呟き、そのまま部屋を出て行きました。それっきり佐々木山は私の前から姿を消えてしまったのでした。

 佐々木山が消えた事により、あのアメリカの人形のような顔をした若い精神科医とも縁が切れました。
 佐々木山と別れた後、あれだけ執着していた結婚願望もまったく失せ、男に対する意欲自体が消えてしまい、私の人生はどっぷりと灰色に包まれました。
 いつも1人の根暗なOL。
 そんなキャラクターを背負ってしまった私は、友達もなく彼氏も出来ず、ただただ機械のように毎日を素通りして行くだけの女になってしまいました。

 しかしある時、ある事件が起きました。
 その事件により、再び私の人生は変わってしまったのでした。

(つづく)

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